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特許7145768検査装置、画像形成システム、検査プログラム、および検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】検査装置、画像形成システム、検査プログラム、および検査方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220926BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20220926BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H04N1/00 567Z
B41J29/393 105
G03G21/14
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019007218
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020120160
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-06-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鮎川 翔一
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】渡辺 努
【審判官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-241413(JP,A)
【文献】特開2005-250327(JP,A)
【文献】特開2007-148027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N1/00
B41J29/00-29/70
G03G21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査部を有し、
前記検査部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、検査装置。
【請求項2】
画像の検査の基準となる正解画像を記憶させ、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像とを比較して検査結果を出力させる制御部を有し、
前記制御部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する正解画像生成部をさらに有し、
前記検査部は、前記正解画像生成部により生成された前記正解画像のうち、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記検査部により前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記検査部により前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
操作表示部からの指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、請求項1又は5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像は、検査の対象外であることを示す内部パラメータが対応付けられて記憶部に記憶される、請求項1、5、6のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項8】
印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査部と、
前記印刷ジョブに基づいて用紙に前記画像を形成する画像形成部と、
を有し、
前記検査部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、画像形成システム。
【請求項9】
画像の検査の基準となる正解画像を記憶させ、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像とを比較して検査結果を出力させる制御部と、
前記印刷ジョブに基づいて用紙に前記画像を形成する画像形成部と、を有し、
前記制御部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、画像形成システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する正解画像生成部をさらに有し、
前記検査部は、前記正解画像生成部により生成された前記正解画像のうち、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項13】
操作表示部からの指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、請求項8又は12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像は、検査の対象外であることを示す内部パラメータが対応付けられて記憶部に記憶される、請求項8、12、13のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項15】
検査装置に実行させるための検査プログラムであって、
印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査工程を有し、
前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする手順(a)を有する処理をコンピューターに実行させるための検査プログラム。
【請求項16】
検査装置に実行させるための検査プログラムであって、
印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像を取得し、前記画像の検査の基準となる正解画像を記憶部に記憶させ、前記スキャン画像を前記正解画像と比較して検査結果を出力する検査工程を有し、
前記用紙がエンボス紙であるページは前記検査工程の対象外とする処理をコンピューターに実行させるための検査プログラム。
【請求項17】
記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない請求項16に記載の検査プログラム。
【請求項18】
前記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない請求項16に記載の検査プログラム。
【請求項19】
前記処理は、前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する手順(b)をさらに有し、
前記手順(a)においては、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、請求項15に記載の検査プログラム。
【請求項20】
前記手順(a)においては、受信した指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、請求項15又は19に記載の検査プログラム。
【請求項21】
前記処理は、前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像を、検査の対象外であることを示す内部パラメータを対応付けて記憶部に記憶させる手順(c)をさらに有する、請求項15、19、20のいずれか一項に記載の検査プログラム。
【請求項22】
検査装置で実行される検査方法であって、
印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査工程を有し、
前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする段階(a)を有する検査方法。
【請求項23】
検査装置で実行される検査方法であって、
印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像を取得し、前記画像の検査の基準となる正解画像を記憶部に記憶させ、前記スキャン画像を前記正解画像と比較して検査結果を出力する検査工程を有し、
前記用紙がエンボス紙であるページは前記検査工程の対象外とする検査方法。
【請求項24】
記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない請求項23に記載の検査方法。
【請求項25】
記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない請求項23に記載の検査方法。
【請求項26】
前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する段階(b)をさらに有し、
前記段階(a)においては、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記検査装置による前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、請求項22に記載の検査方法。
【請求項27】
前記段階(a)においては、受信した指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、請求項22又は26に記載の検査方法。
【請求項28】
前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像を、検査の対象外であることを示す内部パラメータを対応付けて記憶部に記憶させる段階(c)をさらに有する、請求項22、26、27のいずれか一項に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、画像形成システム、検査プログラム、および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、用紙に画像を形成した後、形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像を、正常な画像として検査の基準となる正解画像と比較することで、異常を生じた印刷物をヤレ紙として検出する自動検品機能を備える。自動検品機能により検出された、汚れ、スジ、ホタル、位置ずれ等の異常を生じた印刷物は、パージ機能により、良品の印刷物と区分けされることで、除外される。
【0003】
自動検品機能に関連する先行技術として、下記特許文献1には、次の技術が開示されている。印刷物のページ間の整合性の検査において、原稿画像データに基づいて印刷された印刷物を撮像して得られた印刷画像データに含まれるコード情報と、原稿画像データとともに送信される制御信号に含まれるページ情報との間で不整合がないか否かを検査する。その際、表紙等の検査を行わないページの画像データを非検査画像データとして予め登録しておき、非検査画像データと、制御信号に含まれる情報とに基づいて、検査を行わないページかどうか判定し、検査を行わないと判定されたページを検査対象から除外する。これにより、表紙等のコード情報のないページを検査対象とすることで生じる検査異常による無駄な印刷動作の停止を回避できるとともに、表紙等の検査の必要性が少ないページの、不要な検査処理を省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-241413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記先行技術は、エンボス紙についての記載はない。エンボス紙は、用紙毎に同じ凹凸パターンを持つものであっても、エンボス紙の製造時の精度によって、凹凸が微妙に異なる場合がある。そして、これに起因して、検査画像が画像形成されたエンボス紙のスキャン画像と、正解画像との差分が基準より大きいと判定されることで、良品としてよい印刷物がヤレ紙として検出されてしまう可能性がある。また、ユーザーが予め非検査画像データを登録する必要があるため、特に非検査画像が大量に存在する場合、ユーザーの負担が比較的大きいという問題がある。また、製品印刷時に、印刷する用紙の種類を、検査に適さない用紙の種類に変更することで、検査から除外したいページが変更される場合に対応できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。すなわち、ユーザーに事前登録等の負担を強いることなく、自動検品機能による検査に適さない用紙の種類の印刷物を検査対象から除外できるとともに、製品印刷時に用紙の種類を変更することで検査対象から除外したいページが変わる場合に対応できる、検査装置、画像形成システム、検査プログラム、および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
(1)印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査部を有し、前記検査部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、検査装置。
(2)画像の検査の基準となる正解画像を記憶させ、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像とを比較して検査結果を出力させる制御部を有し、前記制御部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、検査装置。
(3)前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない上記(2)に記載の検査装置。
(4)前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない上記(2)に記載の検査装置。
(5)前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する正解画像生成部をさらに有し、前記検査部は、前記正解画像生成部により生成された前記正解画像のうち、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記検査部により前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記検査部により前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、上記(1)に記載の検査装置。
(6)操作表示部からの指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、上記(1)又は(5)に記載の検査装置。
(7)前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像は、検査の対象外であることを示す内部パラメータが対応付けられて記憶部に記憶される、上記(1)、(5)、(6)のいずれかに記載の検査装置。
(8)印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査部と、前記印刷ジョブに基づいて用紙に前記画像を形成する画像形成部と、を有し、前記検査部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、画像形成システム。
(9)画像の検査の基準となる正解画像を記憶させ、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像とを比較して検査結果を出力させる制御部と、前記印刷ジョブに基づいて用紙に前記画像を形成する画像形成部と、を有し、前記制御部は、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、画像形成システム。
(10)前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない上記(9)に記載の画像形成システム。
(11)前記制御部は、前記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない上記(9)に記載の画像形成システム。
(12)前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する正解画像生成部をさらに有し、前記検査部は、前記正解画像生成部により生成された前記正解画像のうち、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、上記(8)に記載の画像形成システム。
(13)操作表示部からの指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、上記(8)又は(12)に記載の画像形成システム。
(14)前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像は、検査の対象外であることを示す内部パラメータが対応付けられて記憶部に記憶される、上記(8)、(12)、(13)のいずれかに記載の画像形成システム。
(15)検査装置に実行させるための検査プログラムであって、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査工程を有し、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする手順(a)を有する処理をコンピューターに実行させるための検査プログラム。
(16)検査装置に実行させるための検査プログラムであって、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像を取得し、前記画像の検査の基準となる正解画像を記憶部に記憶させ、前記スキャン画像を前記正解画像と比較して検査結果を出力する検査工程を有し、前記用紙がエンボス紙であるページは前記検査工程の対象外とする処理をコンピューターに実行させるための検査プログラム。
(17)記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない上記(16)に記載の検査プログラム。
(18)記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない上記(16)に記載の検査プログラム。
(19)前記処理は、前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する手順(b)をさらに有し、前記手順(a)においては、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、上記(15)に記載の検査プログラム。
(20)前記手順(a)においては、受信した指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、上記(15)又は(19)に記載の検査プログラム。
(21)前記処理は、前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像を、検査の対象外であることを示す内部パラメータを対応付けて記憶部に記憶させる手順(c)をさらに有する、上記(15)、(19)、(20)のいずれかに記載の検査プログラム。
(22)検査装置で実行される検査方法であって、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と、前記画像の検査の基準となる正解画像とを比較して検査結果を出力する検査工程を有し、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする段階(a)を有する検査方法。
(23)検査装置で実行される検査方法であって、印刷ジョブに基づいて用紙に形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像を取得し、前記画像の検査の基準となる正解画像を記憶部に記憶させ、前記スキャン画像を前記正解画像と比較して検査結果を出力する検査工程を有し、前記用紙がエンボス紙であるページは前記検査工程の対象外とする検査方法。
(24)記エンボス紙のページに形成される画像の正解画像を記憶させない上記(23)に記載の検査方法。
(25)記エンボス紙のページに形成された画像を読み取ることで生成されたスキャン画像と前記正解画像との比較を行わない上記(23)に記載の検査方法。
(26)前記印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの前記画像にそれぞれ対応する前記正解画像を生成する段階(b)をさらに有し、前記段階(a)においては、前記検査の対象であるページの前記画像に対応する前記正解画像を記憶部に記憶させ、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記正解画像に対応するページの前記画像に対して前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行い、前記用紙がエンボス紙であるページの前記画像に対して前記検査装置による前記正解画像と比較して検査結果を出力する前記検査を行わない、上記(22)に記載の検査方法。
(27)前記段階(a)においては、受信した指示に基づいて、前記用紙がエンボス紙であるページは検査の対象外とする、上記(22)又は(26)に記載の検査方法。
(28)前記用紙がエンボス紙であるページのスキャン画像を、検査の対象外であることを示す内部パラメータを対応付けて記憶部に記憶させる段階(c)をさらに有する、上記(22)、(26)、(27)のいずれかに記載の検査方法
【発明の効果】
【0020】
印刷ジョブの印刷設定に基づいて、画像をそれぞれ形成する用紙の種類により、検査の対象外とするページを判別し、検査の対象外と判別されたページの画像を検査対象から除外する。これにより、ユーザーに事前登録等の負担を強いることなく、自動検品機能による検査に適さない用紙の種類の印刷物を検査対象から除外できるとともに、製品印刷時に用紙の種類を変更することで検査対象から除外したいページが変わる場合に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】画像形成システムの構成を示す概略図である。
図2】画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図3】検査ジョブに基づいて検査画像が形成された印刷物を示す図である。
図4図3に示す、検査画像が形成された印刷物のうち、検査の対象となるページの印刷物を示す図である。
図5】ジョブ編集操作画面を示す図である。
図6】画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示す概略図である。図2は、画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0024】
画像形成システム100は、画像形成装置101、読取装置102、後処理装置103、および給紙装置104を有する。画像形成装置101は用紙Sに画像形成(印刷)を行う。読取装置102は、用紙Sに形成された画像を読み取る。後処理装置103は画像形成された用紙を後処理する。給紙装置104は給紙トレイ51と共に、収納している用紙Sを画像形成部40に供給する。なお、これらの装置は、それぞれ互いに他の装置を含んで構成されてもよい。従って、例えば、画像形成装置101は、読取装置102を含んで構成され得る。画像形成システム100は、プロダクションプリント機であり得る。読取装置102は、検査装置を構成する。
【0025】
図2に示すように、画像形成システム100は、制御部10、記憶部20、画像制御部30、画像形成部40、給紙搬送部50、操作表示部60、読取部70、後処理部80、および通信部90を有する。これらは、各部の間で信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。
【0026】
制御部10は、CPUであり、プログラムに従って各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部10は、画像形成装置101が備える制御部12と、読取装置102が備える制御部11とを含み、これらが協働して画像形成システム100全体を制御する。制御部10の作用の詳細については後述する。制御部11は、検査部および判別部を構成する。制御部11は、画像制御部30とともに正解画像生成部を構成する。
【0027】
記憶部20は、画像形成装置101が備える記憶部22と、読取装置102が備える記憶部21とを含む。記憶部20は、各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、および各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等から構成される。
【0028】
画像制御部30は、印刷ジョブに含まれる印刷データのレイアウト処理およびラスタライズ処理を行い、ビットマップ形式の画像のデータである画像データを生成する。印刷ジョブとは、画像形成装置101等に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDL(Page Description Language)データ、PDF(Portable Document Format)データまたはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙への画像形成および後処理に関する設定であり、例えば、用紙の種類、カラーまたはモノクロの選択、片面印刷または両面印刷の選択、Nin1(ページ割付)、印刷部数、ステープル、パンチ、折り、ウォーターマーク、原稿の向き、および用紙サイズの設定が含まれる。用紙の種類およびパンチ等の印刷設定は、ページ毎に設定され得る。
【0029】
画像形成部40は、中間転写ベルト41、感光体ドラム42、現像部43、書込部44、および2次転写部45を備える。
【0030】
画像形成部40は、以下説明するように、印刷ジョブに基づいて、用紙Sに画像を形成する。
【0031】
感光体ドラム42、現像部43、および書込部44は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各基本色に対応した構成をそれぞれ備える。図1では、感光体ドラム42、現像部43については、符号42(Y)、43(Y)以外の符号の表記を省略している。
【0032】
画像形成部40の書込部44は、画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム42の表面を露光し、静電潜像を形成する。現像部43では、形成された静電潜像を現像部43のトナーにより現像して、各感光体ドラム42の表面に各色のトナー画像を形成する。これを各色の1次転写部(図示せず)で中間転写ベルト41上に順次重ねてゆき、フルカラーのトナー画像を形成する。このトナー画像は、2次転写部45で用紙S上に転写される。その後、トナー画像が形成された用紙Sは、定着部46へ搬送されて、定着部46で加熱・加圧処理することで用紙S上にフルカラーの画像を定着する。
【0033】
給紙搬送部50は、給紙トレイ51、搬送路52(52a~52e)、複数の搬送ローラー、これを駆動する駆動モーター(図示せず)、および給紙装置104を備える。
【0034】
給紙搬送部50は、駆動モーターの駆動によってそれぞれの搬送ローラーを所定のタイミングで回転させ、給紙トレイ51または給紙装置104から供給される用紙Sを画像形成部40へ搬送する。
【0035】
給紙トレイ51は、ここでは上トレイ51aと下トレイ51bの2段の引き出し式トレイとなっていて、それぞれ個別に用紙を収納し、画像形成装置101へ用紙を供給する。
【0036】
給紙装置104は、画像形成装置101内部の上トレイ51aおよび下トレイ51bよりも多くの用紙を収納し、画像形成装置101へ用紙Sを供給する。
【0037】
搬送路52は、画像形成部40内の搬送路52a、52d、読取装置102内の搬送路52b、後処理部80内の搬送路52c、52eから構成される。
【0038】
給紙装置104または給紙トレイ51から給紙された用紙Sは、搬送路52aを搬送される。搬送路52aには、クラッチにより回転、停止することで用紙の搬送タイミングを調整するレジストローラー531が配置されている。
【0039】
搬送路52aを搬送され画像形成部40により画像形成された用紙Sは、下流側の搬送路52b、52cを経由して、印刷ジョブの印刷設定に応じた各処理を施されたのち機外に排出され排紙トレイ54上に載置される。
【0040】
製品としての印刷物を出力する本印刷の印刷ジョブに基づいて、画像形成部40により画像形成された用紙Sは、読取装置102による、自動検品機能による検査(以下、単に「検査」とも称する)が行われる。本印刷の印刷ジョブに基づいて用紙S上に形成された画像(以下、「検査画像」とも称する)は、検査の対象となる。以下、本印刷の印刷ジョブを検査ジョブとも称する。自動検品機能は、検査ジョブに基づいて画像形成された検査画像の検査の基準となる正解画像と、検査画像が読取部70により読み取られることで生成されたスキャン画像とを比較することで、印刷物の異常を検出する機能である。異常が検出された用紙Sは、ヤレ紙とされ、製品としての印刷物から除外される。
【0041】
正解画像は、検査ジョブの実行前に、プルーフ出力モードまたはサンプル出力モードで出力された用紙Sに形成された画像が読取部70により読み取られることで生成され得る。なお、正解画像は、検査ジョブに含まれる印刷データと同じ印刷データが画像制御部30でラスタライズされることで生成されてもよい。プルーフ出力モードとは、検査ジョブを実行する前に、印刷物を1部印刷し、目視検査で正常と判断された場合に、当該印刷物のスキャン画像を正解画像として記憶し、検査ジョブに対応付けて検査を行った後、検査ジョブを記憶部20から削除(または記憶部20に保存しない)モードであり得る。サンプル出力モードは、記憶されている検査ジョブのうちいずれかについて、印刷物を1部印刷するとともに、当該印刷物のスキャン画像を正解画像として当該検査ジョブに関連付けて検査ジョブとともに記憶するモードであり得る。以下、正解画像を生成するための印刷ジョブを「正解画像生成ジョブ」と称する。
【0042】
検査画像が検査された結果、ヤレ紙と判断された用紙Sは、搬送路52eを経由して、サブトレイ55に排出される。これにより、印刷物から、ヤレ紙と判断された用紙Sが除外される。なお、サブトレイ55上に排出される用紙Sは、ヤレ紙と判断された用紙S(印刷物)のみでなく、当該ヤレ紙を含む部に含まれるすべての用紙Sとし得る。画像形成された用紙Sが搬送路52eを経由してサブトレイ55に排出されるか、搬送路52cを経由して排紙トレイ54に排出されるかは、制御部10によるガイド板56の制御により選択される。
【0043】
印刷ジョブの印刷設定が、両面印刷の設定であれば、片面(第1面、通常は表面)に画像形成された用紙Sを画像形成部40の下部にあるADU搬送路52dに搬送する。このADU搬送路52dに搬送された用紙Sは、スイッチバック経路で表裏を反転された後、搬送路52aに合流し、再び画像形成部40で用紙Sのもう一方の面(第2面、通常は裏面)に画像形成される。
【0044】
操作表示部60はタッチパネル付きディスプレイ、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種指示を入力するための入力画面および装置の状態等を表示するとともに、印刷設定等の各種設定および各種指示の入力を受け付ける。
【0045】
読取部70は、搬送路52b上に、この搬送路52bを通過する、画像形成された用紙Sの画像を読み取ることで、スキャン画像を生成する。スキャン画像は、例えば、ビットマップ形式のデータであり得る。
【0046】
読取部70は、ラインイメージセンサー、レンズ光学系、LED(Light Emitting Diode)光源およびこれらを収納する筐体等を備え、搬送される用紙Sに形成された画像を読み取る。画像の読み取りは、LED光源からの光が、搬送路52b上の読取位置を通過する用紙Sの表面を照射し、読取位置の像がレンズ光学系により導かれ、ラインイメージセンサー上に結像することでなされる。
【0047】
読取部70は、自動検品機能により、用紙S上の検査画像を読み取ることでスキャン画像を生成する。また、読取部70は、検査ジョブの実行前のサンプル出力モード等で印刷された印刷物を読み取ることで正解画像を生成する。
【0048】
後処理部80は、搬送路52cに設けられている。後処理部80では、例えば綴じ処理を行い、用紙Sをスタックするスタック部とステープル部を有し、複数枚の用紙Sをこのスタック部で重ねた後、ステープル部でステープルを用いた平綴じ処理を行う。平綴じされた用紙Sの束は、排紙トレイ54に排出される。また平綴じしない用紙Sは、そのまま搬送路52cを経由して排紙トレイ54に排出される。
【0049】
後処理部80は、検査によりヤレ紙と判定されたページの検査画像が形成された印刷物を、搬送路52eを経由してサブトレイ55に排出する。
【0050】
通信部90には、SATA、PCI Expres、USB、イーサネット(登録商標)、IEEE1394などの規格によるネットワークインターフェース、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11などの無線通信インターフェース、などの各種ローカル接続インターフェースが用いられる。通信部90を通じてPC等の外部の端末からの印刷データおよび印刷設定で構成される印刷ジョブが受信され得る。
【0051】
制御部10の作用の詳細について説明する。
【0052】
制御部10は、検査ジョブに基づいて、画像形成部40により用紙Sに検査画像を形成し、用紙Sに形成された検査画像を読取部70により読み取ることでスキャン画像を生成する。制御部10は、生成したスキャン画像と、当該印刷ジョブに関連付けられた(紐付けられた)正解画像とを比較することで、用紙Sに形成された検査画像を検査する。制御部10は、検査の結果、用紙Sに形成された検査画像に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検査画像が形成された用紙Sをヤレ紙と判定し、サブトレイ55へ排出する。ヤレ紙として判定される、用紙S上の検査画像の異常には、汚れ、スジ、ホタル、位置ずれ、角折れ、しわ、傾き等が含まれる。検査の結果良品とされた用紙Sは、製品の印刷物として排紙トレイ54へ排出される。
【0053】
制御部10は、検査ジョブの印刷設定に基づいて、検査画像をそれぞれ形成する用紙Sの種類により、検査の対象とするページか、検査の対象外とするページかを判別する。制御部10は、検査ジョブの実行によりエンボス紙に検査画像が形成されるページ、およびパンチ穴ありの用紙Sに検査画像が形成されるページの少なくともいずれか一方を、検査の対象外とするページとして判別し得る。
【0054】
図3は、検査ジョブに基づいて検査画像が形成された印刷物を示す図である。図4は、図3に示す、検査画像が形成された印刷物のうち、検査の対象となるページの印刷物を示す図である。図3、4において示されている数字は、ページの番号を示している。図3、4の例においては、検査ジョブに基づいて画像形成される検査画像のページ数は5である。また、検査ジョブの印刷設定において、3ページ目の検査画像のみがエンボス紙に、それ以外のページの検査画像は普通紙に、それぞれ画像形成される設定がされている。
【0055】
図3の例においては、検査ジョブによる印刷物の全てのページに検査画像が画像形成されている。
【0056】
図4に示すように、エンボス紙に検査画像が形成された印刷物が検査の対象となる印刷物から除外されている。これは、エンボス紙に検査画像が画像形成されるページが、検査の対象外とするページとして判別されたからである。
【0057】
エンボス紙に検査画像が形成されるページを、検査の対象外のページと判別するのは、次の理由による。エンボス紙は、用紙毎に同じ凹凸パターンを持つものであっても、エンボス紙の製造時の精度によって、凹凸が微妙に異なる場合がある。そして、これに起因して、検査画像が画像形成されたエンボス紙のスキャン画像と、正解画像との差分が基準より大きいと判定されることで、良品としてよい印刷物がヤレ紙として検出されてしまう可能性があるからである。
【0058】
パンチ穴ありの用紙Sに検査画像が形成されるページを、検査の対象外とするのは、次の理由による。パンチ穴の位置が用紙Sに対して一定でない場合があるため、位置ずれの異常として検知され得るからである。また、用紙Sに対してパンチ穴の位置が一定であったとしても、検査画像の位置に対して一定でない場合があり、その場合、画像位置合せ時の比較でパンチ穴または検査画像のいずれかが位置ずれを生じているため、良品としてよい印刷物がヤレ紙として検出されてしまう可能性があるからである。さらに、パンチ穴ありの用紙Sの製造時に発生した紙の残留物(バリ等)が用紙Sに残留している場合があり、これに起因して検査画像のスキャン画像と正解画像との比較において、差異が基準を超えることで、ヤレ紙として誤検出される可能性があるからである。
【0059】
制御部10は、正解画像生成ジョブに基づいて、画像形成部40により用紙Sに画像形成し、画像形成された用紙Sを読取部70により読み取ることで、正解画像として使用するスキャン画像を生成する。生成されたスキャン画像は、ユーザーによる目視検査等により正常と判断された後、正解画像として、当該正解画像を検査に使用する検査ジョブに関連付けられるとともに、記憶部20に記憶される。
【0060】
制御部10は、正解画像生成ジョブに基づいて、検査ジョブの実行により画像形成される全てのページの画像と同じ画像を、それぞれ普通紙の用紙Sに画像形成し、画像形成されたすべてのページの画像を読取部70により読み取ることで正解画像を生成して、記憶部20に記憶し得る。
【0061】
制御部10は、生成された正解画像のうち、検査の対象と判別されたページに対応する正解画像を記憶部20に記憶し、検査の対象外と判別されたページに対応する正解画像を記憶部20に記憶させないようにしてもよい。これにより、記憶部20に記憶された正解画像に対応するページの形成画像に対して検査を行い、記憶部20に記憶されていない正解画像に対応するページの形成画像に対して検査を行わないようにし得る。すなわち、図3、4の例においては、普通紙に画像形成されるページに対応する正解画像を記憶部20に記憶させ、エンボス紙に画像形成されるページに対応する正解画像を記憶部20に記憶させないようにし得る。これにより、エンボス紙に画像形成されるページに対応する正解画像は記憶部20に記憶されていないため、エンボス紙に画像形成されたページの形成画像については、検査に必要な正解画像が存在しないことから、当該形成画像に対して検査し得ない状態にすることができる。
【0062】
また、検査の対象外と判別されたページに対応する正解画像を記憶部20に記憶させない場合、制御部10は、正解画像生成ジョブの実行において、検査の対象外のページは読取部70により読み取らなくてもよく、または、検査の対象外のページについても正解画像を生成した上で、記憶部20に記憶させなくてもよい。上述したように、検査ジョブによりエンボス紙に画像形成されるページは、検査の対象外のページとされ得る。その場合、制御部10は、正解画像生成ジョブにより画像形成する用紙Sの全てを普通紙とせずに、検査ジョブによりエンボス紙に画像形成されるページは、検査ジョブと同じエンボス紙としてもよい。
【0063】
図5は、ジョブ編集操作画面を示す図である。ジョブ編集操作画面は、正解画像生成ジョブの生成および実行の指示、ならびに、検査ジョブの生成および実行の指示をするための操作画面である。ジョブ編集操作画面は、操作表示部60に表示され得る。操作画面は、画像形成システム100と通信可能な端末(図示せず)の画面に表示されてもよい。
【0064】
正解画像生成ジョブの生成および実行の指示は次のように行い得る。正解画像の生成に用いるファイル(印刷データ)を、「ファイル名」ボタンを操作することで、ファイル名により選択する。図5においては、ファイル名として「1054」が選択されている。選択されたファイルの全ページ数は、ページ毎に印刷設定するための「ページ別チケット」欄61のシート番号表示欄62に表示されているように、「5」である。印刷設定をしようとするページは、ページ送りボタン63の操作により選択できる。図5においては、1ページ目が選択されており、「用紙設定」欄64において太線で囲まれているように、1ページ目の用紙Sの印刷設定として、用紙の種類が普通紙で、パンチ穴なしの設定がされている。
【0065】
「出力設定」欄65の「自動検品」ボタン66を操作することで、「自動検品」の設定を「ON」にし、「サンプル出力」ボタンを選択すると、サンプル出力モードで正解画像を生成するための正解画像印刷ジョブが生成される。生成された正解画像印刷ジョブは、画像形成装置101、および読取装置102により実行され、正解画像が生成される。
【0066】
検査ジョブの生成および実行の指示は次のように行い得る。検査ジョブにより画像形成するファイル(印刷データ)として、正解画像の生成に用いたファイルと同じファイルを、「ファイル名」ボタンを操作することで、ファイル名により選択する。「用紙設定」欄64等において、ページ毎に印刷設定をする。例えば、3ページ目の印刷設定について、「用紙設定」欄64において用紙の種類としてエンボス紙が選択されると、エンボス紙の用紙Sに3ページ目の画像が形成される。なお、この場合、上述したように、3ページ目はエンボス紙の用紙Sに画像形成されるため、3ページ目が画像形成された印刷物は、検査の対象外とされ得る。
【0067】
「出力設定」欄65の「自動検品」ボタン66を操作することで、「自動検品」の設定を「ON」にすると、自動検品設定画面(図示せず)が表示される。自動検品設定画面において、検査に用いる正解画像のファイル名を入力または選択し、「OK」ボタンを選択することで、検査ジョブが生成される。その際、読取装置102には、検査ジョブに含まれる印刷設定が送信されることで、検査の対象とするページか検査の対象外とするページかが判別される。生成された検査ジョブに基づいて、画像形成装置101により用紙Sに画像形成され、検査の対象と判別されたページの検査画像が形成された印刷物(用紙S)に対し、読取装置102による検査がなされる。
【0068】
画像形成システムの動作について説明する。
【0069】
図6は、画像形成システムの動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、読取装置102が備える制御部11により、記憶部21に記憶されたプログラムに従って実行され得る。なお、本フローチャートの一部は、制御部11および画像形成装置101が備える制御部12が協働することで実行されてもよい。
【0070】
制御部11は、検査ジョブに基づいて用紙Sに形成された検査画像の検査に用いる正解画像を記憶部20から読み出す(S101)。
【0071】
制御部11は、検査の対象外とするページがあるか判断する(S102)。具体的には、制御部11は、検査ジョブの印刷設定に基づいて、各ページの検査画像がそれぞれ形成される用紙Sの種類により、検査の対象とするページか、検査の対象外とするページかを判別する。
【0072】
制御部11は、検査の対象外とするページがある場合は(S102:YES)、当該ページについて、検査の対象外のページとして設定する(S103)。具体的には、検査の対象外とするページと判別されたページの画像データに、検査の対象外のページであることを示す内部パラメーターを対応付けて記憶部20に記憶することで、検査の対象外のページとして設定し得る。
【0073】
制御部11は、画像形成部40により検査画像が形成された用紙Sを、読取部70により読み取ることでスキャン画像を生成する(S104)。
【0074】
制御部11は、スキャン画像が、検査の対象とするページの検査画像が読み取られたスキャン画像か、検査の対象外とするページの検査画像が読み取られたスキャン画像かを、各ページの検査画像毎に判断する(S105)。当該判断は、上述した内部パラメーターの有無を、各ページの検査画像に対応する画像データ毎に判断することでなされる。
【0075】
制御部11は、検査の対象外とするページと判断した場合は(S105:NO)、当該ページについては、ステップS106~S108による検査は実行せず、ステップS109以降の処理を行う。
【0076】
制御部11は、検査の対象とするページと判断した場合は(S105:NO)、当該ページの検査画像が形成された用紙Sのスキャン画像と、当該ページに対応する正解画像とを比較する(S106)。
【0077】
制御部11は、スキャン画像と正解画像とを比較し、差分が基準を超えるかどうかにより、検査画像に異常があるかどうかを判断する(S107)。
【0078】
制御部11は、検査画像に異常がないと判断した場合は(S107:NO)、ステップS109に移行する。
【0079】
制御部11は、検査画像に異常があると判断した場合は(S107:YES)、画像形成装置101の制御部12へ、検査ジョブのジョブIDを特定した異常通知を送信する(S108)。画像形成装置101の制御部12は、後処理装置103に対し、異常がある検査画像が形成された印刷物(用紙S)を含む部に含まれる全ての印刷物をサブトレイ55に排出するパージ制御をする。
【0080】
制御部11は、検査ジョブの全てのページの検査が終了していないと判断した場合は(S109:NO)、ステップS105に戻り、処理を継続する。
【0081】
制御部11は、検査ジョブの全てのページの検査が終了したと判断した場合は(S109:YES)、検知レポートを作成する(S110)。検知レポートは、通信部90を介して、ネットワーク経由で、画像形成システム100の外部端末等からアクセス可能に、記憶部20に記憶され得る。検知レポートには、検査ジョブのジョブIDや印刷設定等の基本情報とともに、異常発生個所を線で囲む等により視認可能に特定した検査画像のスキャン画像が含まれ得る。
【0082】
本実施形態は以下の効果を奏する。
【0083】
印刷ジョブの印刷設定に基づいて、画像をそれぞれ形成する用紙の種類により、検査の対象外とするページを判別し、検査の対象外と判別されたページの画像を検査対象から除外する。これにより、ユーザーに事前登録等の負担を強いることなく、自動検品機能による検査に適さない用紙の種類の印刷物を検査対象から除外できるとともに、製品印刷時に用紙の種類を変更することで検査対象から除外したいページが変わる場合に対応できる。
【0084】
さらに、エンボス紙に画像が形成されるページ、およびパンチ穴ありの用紙に画像が形成されるページの少なくともいずれか一方を、検査対象外とするページと判別する。これにより、適切な検査対象外ページの設定ができる。
【0085】
さらに、印刷ジョブに基づいて形成される、各ページの画像にそれぞれ対応する正解画像を生成し、正解画像のうち、検査の対象と判別されたページの画像に対応する正解画像を記憶部に記憶させ、検査の対象外と判別されたページの前記画像に対応する前記正解画像を前記記憶部に記憶させない。これにより、記憶部の記憶容量の圧迫を抑止できるとともに、処理速度を高速化できる。
【0086】
以上に説明した検査装置、画像形成システム、検査プログラム、および検査方法の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な画像形成システム等が備える構成を排除するものではない。
【0087】
また、上述した実施形態に係る検査装置、または画像形成システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10、11、12 制御部、
20、21、22 記憶部、
30 画像制御部、
40 画像形成部、
50 給紙搬送部、
60 操作表示部、
70 読取部、
80 後処理部、
90 通信部、
100 画像形成システム、
101 画像形成装置、
102 読取装置、
103 後処理装置、
104 給紙装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6