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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】建物の空調設備
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20220926BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20220926BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20220926BHJP
   F24F 13/072 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F24F9/00 J
F24F9/00 A
F24F9/00 L
F24F11/79
F24F13/068 A
F24F13/072 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019049003
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020148445
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】丸藻 晴菜
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-020150(JP,A)
【文献】特開2016-027294(JP,A)
【文献】特開平05-106898(JP,A)
【文献】実開昭62-147844(JP,U)
【文献】特開2018-105556(JP,A)
【文献】特開昭55-068547(JP,A)
【文献】特開2007-101165(JP,A)
【文献】実開平02-034936(JP,U)
【文献】西独国特許出願公開第01679528(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
F24F 11/79
F24F 13/072
F24F 13/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の屋内空間を形成する壁部と当該壁部の開口部を開閉する開閉体とを備えている建物に適用され、前記所定の屋内空間を対象として空調を行うことが可能な建物の空調設備であって、
前記開閉体は、前記開口部の幅方向にて当該開口部の一部が開放された状態となるようにして当該開口部を部分的に開放させることが可能な構成となっており、
前記所定の屋内空間には、前記開口部における上側又は下側の縁部に沿うようにして吹出口が形成されており、
前記吹出口から、前記所定の屋内空間の空調いられる空調空気を吹出させる空調装置と、
前記幅方向に配列され、前記吹出口から前記開口部の前面側の領域に前記空調空気を吹出させ、且つその空調空気の吹出方向を制御する複数の制御体と、
前記複数の制御体の向きを切り替える切替手段と
を備え、
前記切替手段は、前記幅方向にて前記開口部の一部が開放されている場合に、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応した前記制御体の向きを前記吹出口から当該開放部分を遮蔽するように前記空調空気を吹出させてエアカーテンを形成する向きとすることを特徴とする建物の空調設備。
【請求項2】
前記複数の制御体は、前記開口部の前面側の領域に前記空調空気を吹出させて前記エアカーテンを形成する第1状態と、前記空調空気の吹出方向を前記第1状態よりも前記開口部から離れる側とする第2状態とに切替可能となっており、
前記切替手段は、前記幅方向にて前記開口部の一部が開放されている場合に、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応した制御体を前記第1状態とし且つ前記開放部分に対応しない制御体を第2状態とすることを特徴とする請求項1に記載の建物の空調設備。
【請求項3】
前記複数の制御体は、前記空調空気の吹出方向が前記開口部側に向くように設定された第1状態と、前記空調空気の吹出方向が前記開口部側とは異なる側を向くように設定された第2状態とに切替可能となっており、
前記切替手段は、前記幅方向にて前記開口部の一部が開放されている場合に、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応した制御体を前記第1状態とし且つ前記開放部分に対応しない制御体を第2状態とすることを特徴とする請求項1に記載の建物の空調設備。
【請求項4】
前記切替手段は、前記複数の制御体が前記第2状態となっており且つ前記吹出口から前記所定の屋内空間に前記空調空気が吹出されている状況下において前記幅方向にて前記開口部の一部が開放された場合に、前記吹出口からの前記空調空気の吹出しを継続しつつ、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応しない制御体については前記第2状態に維持し且つ当該開放部分に対応する制御体については前記第2状態から前記第1状態に切り替える構成となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の建物の空調設備。
【請求項5】
前記切替手段は、前記複数の制御体の少なくとも何れかが前記第1状態となっている場合に、それら第1状態となっている制御体による前記空調空気の吹出方向を、前記幅方向における前記開放部分の大きさが大きくなるほど鉛直方向を基準として前記開口部側へ傾く角度が大きくなるように調整する手段を有していることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【請求項6】
各前記制御体は、前記吹出口にて当該制御体が配設されている部分の開口面積を、前記第2状態となっている場合よりも前記第1状態となっている場合の方が小さくなるようにして変化させる構成となっていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【請求項7】
前記制御体として、前記吹出口の短手方向にて並べて設けられた第1制御体及び第2制御体を有し、それら第1制御体及び第2制御体の間に前記空調空気の流路を形成するものであり、
前記第1制御体及び前記第2制御体は、それら第1制御体及び第2制御体の所定部分を中心に回動することにより前記第1状態及び前記第2状態に切り替わる構成となっており、前記所定部分から前記空調空気の吹出方向に延び前記流路を挟んで相対向する対向部を有してなり、
前記第1制御体及び前記第2制御体のうち前記開口部寄りとなる一方には、前記所定部分から前記第1制御体及び前記第2制御体のうち他方側へ突出する突出部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の建物の空調設備。
【請求項8】
前記幅方向における前記開口部の開放部分を検出する検出手段を備え、
前記切替手段は、前記検出手段により検出された開放部分に対応する前記制御体について前記空調空気の吹出方向が当該開放部分を遮蔽する向きとなるようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【請求項9】
前記吹出口は、前記所定の屋内空間の床部又は天井部に設けられ、平面視において前記開口部に隣接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には空調設備が設けられているものがある。空調等が行われている最中に窓等の開口部が開放されその開放部分を通じて外部から空気が流入した場合には快適さが損なわれる可能性がある。このような不都合を解消すべく、特許文献1においては空調設備の吹出口から吹出される空気によって開口部を遮蔽するエアカーテンを形成することにより、外部からの空気の流入を抑制可能としたものが提案されている。また、特許文献2においては、ドアスイッチによりドアの開動作を監視し、ドアの開作動を検知した場合に開口部を遮蔽するエアカーテンを形成するものが提案されている。このような構成とすることにより、エアカーテンの形成機能を有する空調設備について利便性の更なる向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭51-139962号公報
【文献】実開平2-30819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、開口部をその幅方向にて部分的に開放させることが可能な窓や戸(例えば引き戸)においては、空調設備を利用してエアカーテンを形成する上で、空調設備に係る構成に未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、空調設備によるエアカーテンの形成を好適に行うことを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.所定の屋内空間(居室11)を形成する壁部(外壁部12)と当該壁部の開口部(窓開口23)を開閉する開閉体(サッシ戸25)とを備えている建物(建物10)に適用され、前記所定の屋内空間を対象として空調を行うことが可能な建物の空調設備であって、
前記開閉体は、前記開口部の幅方向にて当該開口部の一部が開放された状態となるようにして当該開口部を部分的に開放させることが可能な構成となっており、
前記所定の屋内空間には、前記開口部における上側又は下側の縁部(レール22)に沿うようにして吹出口(吹出口14)が形成されており、
前記吹出口から空調用の空気を吹出させる送風装置(空調装置50)と、
前記幅方向に配列され、前記吹出口から前記開口部の前面側の領域に空気を吹出させ、且つその空気の吹出方向を制御する複数の制御体(ルーバー55)と、
前記複数の制御体の向きを切り替える切替手段(制御部65による切替機能)と
を備え、
前記切替手段は、前記幅方向にて前記開口部の一部が開放されている場合に、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応した前記制御体の向きを前記吹出口から当該開放部分を遮蔽するように空気を吹出させてエアカーテンを形成する向きとすることを特徴とする建物の空調設備。
【0008】
手段1によれば、開口部の一部が開放されている場合には、複数の制御体のうちその開放部分に対応した制御体により当該開放部分を遮蔽する空気の流れ(エアカーテン)を発生させることができる。開放部分の大きさ(幅)に応じてエアカーテンの形成範囲を変化させることが可能であるため、空調設備からの空気を無駄なく活用でき、エアカーテンの形成を好適なものとすることができる。また、エアカーテンの形成に寄与していない制御体についてはエアカーテン形成中の吹出方向に係る制約を回避できる。これは、エアカーテンによる開放部分の遮蔽に並行して空調を行う構成を実現する上で好ましい。
【0009】
なお、本手段に示す「空調用の空気」とは、所定の屋内空間の空気の温度・湿度や清浄度などを調節し、快適な状態に保つために空調設備から供給される空気を示し、温度や湿度が調整されている空気の他、温度や湿度が調整されていない換気用(循環用)の空気を含む。
【0010】
また、本手段に示す「前記開口部の前面側の領域」とは、所定の屋内空間側から開口部(壁部)を見た場合に当該開口部の手前側となる領域を示す。
【0011】
手段2.前記複数の制御体は、前記開口部の前面側の領域に空気を吹出させて前記エアカーテンを形成する第1状態(外向き状態)と、空気の吹出方向を前記第1状態よりも前記開口部から離れる側とする第2状態(内向き状態)とに切替可能となっており、
前記切替手段は、前記幅方向にて前記開口部の一部が開放されている場合に、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応した制御体を前記第1状態とし且つ前記開放部分に対応しない制御体を第2状態とすることを特徴とする手段1に記載の建物の空調設備。
【0012】
エアカーテンの形成に寄与する制御体が第1状態且つエアカーテンの形成に寄与しない制御体が第2状態となることにより、吹出口から吹出された空気がエアカーテンを形成するものと空調を行うものとに分かれることとなる。この際、空調用の空気については第1状態と比べて開口部から離れる側へ吹出されるため、当該空気が開口部に配設された開閉体に衝突することを抑制できる。
【0013】
なお、開口部が部分的に開放された際に開放部分の幅に関係なく全ての制御体を第1状態に切り替える構成を想定した場合、吹出口から吹出された空気の一部が開口部に設けられた開閉体に衝突し得る。つまり、エアカーテンの形成に寄与しない空気については、開閉体によって外部への流出が回避されるとしても、流れが滞る等して当該空気による空調の効率は低くなる。故に、本手段2に示すように、実質的にエアカーテンの形成に寄与しない部分では第2状態を維持することには明確な技術的意義がある。
【0014】
手段3.前記複数の制御体は、空気の吹出方向が前記開口部側に向くように設定された第1状態(外向き状態)と、空気の吹出方向が前記開口部側とは異なる側を向くように設定された第2状態(内向き状態)とに切替可能となっており、
前記切替手段は、前記幅方向にて前記開口部の一部が開放されている場合に、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応した制御体を前記第1状態とし且つ前記開放部分に対応しない制御体を第2状態とすることを特徴とする手段1に記載の建物の空調設備。
【0015】
エアカーテンの形成に寄与する制御体が第1状態且つエアカーテンの形成に寄与しない制御体が第2状態となることにより、吹出口から吹出された空気がエアカーテンを形成するものと空調を行うものとに分かれることとなる。この際、空調用の空気については開口部側とは異なる側(反対側)へ吹出されるため、当該空気が開口部に配設された開閉体に衝突することを回避できる。
【0016】
なお、開口部が部分的に開放された際に開放部分の幅に関係なく全ての制御体を第1状態に切り替える構成を想定した場合、吹出口から吹出された空気の一部が開口部に設けられた開閉体に衝突し得る。つまり、エアカーテンの形成に寄与しない空気については、開閉体によって外部への流出が回避されるとしても、流れが滞る等して当該空気による空調の効率は低くなる。故に、本手段3に示すように、実質的にエアカーテンの形成に寄与しない部分では第2状態を維持して吹出方向が開閉体側を向かないようにすることには明確な技術的意義がある。
【0017】
手段4.前記切替手段は、前記複数の制御体が前記第2状態となっており且つ前記吹出口から前記所定の屋内空間に空気が吹出されている状況下において前記幅方向にて前記開口部の一部が開放された場合に、前記吹出口からの空気の吹出しを継続しつつ、前記複数の制御体のうちその開放部分に対応しない制御体については前記第2状態に維持し且つ当該開放部分に対応する制御体については前記第2状態から前記第1状態に切り替える構成となっていることを特徴とする手段2又は手段3に記載の建物の空調設備。
【0018】
空調設備によって空調が行われている最中に開口部が開放された場合には、開放部分に対応した制御体を第2状態→第1状態に切り替えることでエアカーテンが速やかに形成されることとなる。これは、エアカーテンによる遮蔽の応答性を高める上で好ましい。また、空気の吹出しを継続しながら第2状態→第1状態に切り替わることにより、第1状態への切替完了前の時点においても外部から開放部分を通じて所定の屋内空間側へ流入しようとする空気を妨げやすくなる。
【0019】
手段5.前記切替手段は、前記複数の制御体の少なくとも何れかが前記第1状態となっている場合に、それら第1状態となっている制御体による空気の吹出方向を、前記幅方向における前記開放部分の大きさが大きくなるほど鉛直方向を基準として前記開口部側へ傾く角度が大きくなるように調整する手段を有していることを特徴とする手段2乃至手段4のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【0020】
開放部分が大きくなるほど開口部側への吹出方向の傾きを大きくすることにより、エアカーテンによる遮蔽機能を好適に発揮させることができる。
【0021】
手段6.各前記制御体は、前記吹出口にて当該制御体が配設されている部分の開口面積を、前記第2状態となっている場合よりも前記第1状態となっている場合の方が小さくなるようにして変化させる構成となっていることを特徴とする手段2乃至手段5のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【0022】
空調設備からの空気によって空調を行う場合には、空気の流れ(吹出速度)が過度に強くなることがユーザに不快感を与える要因になり得る。これに対して、エアカーテンを形成する場合には空気の流れ(吹出速度)をある程度強くすることで遮蔽機能を強化できる。このように、空調を行う場合とエアカーテンを形成する場合とで理想となる吹出速度に差が生じる。そこで、本手段6に示すように、第2状態と比べて第1状態の方が開口面積が小さくなるようにして差が生じる構成とすれば、空調用の空気の流れを緩やかにする一方、エアカーテン形成用の空気の流れを速くすることができ、空調及び遮蔽の各機能を好適に共存させることが可能となる。
【0023】
手段7.前記制御体として、前記吹出口の短手方向にて並べて設けられた第1制御体及び第2制御体を有し、それら第1制御体及び第2制御体の間に空気の流路を形成するものであり、
前記第1制御体及び前記第2制御体は、それら第1制御体及び第2制御体の所定部分(軸部56)を中心に回動することにより前記第1状態及び前記第2状態に切り替わる構成となっており、前記所定部分から空気の吹出方向に延び前記流路を挟んで相対向する対向部(本体部57)を有してなり、
前記第1制御体及び前記第2制御体のうち前記開口部寄りとなる一方には、前記所定部分から前記第1制御体及び前記第2制御体のうち他方側へ突出する突出部(突出部58)が形成されていることを特徴とする手段6に記載の建物の空調設備。
【0024】
手段7によれば、開口部側となる一方の制御体に設けられた突出部は第2状態から第1状態への切り替えに伴い他方の制御体に近づく。これにより、手段5に示した開口面積(流路の幅)が小さくなり、吹出速度を高くなる。また、突出部は第1状態から第2状態への切り替えに伴い突出部が前記他方の制御体から遠ざかる。これにより、開口面積(流路の幅)が大きくなり、吹出速度が低くなる。このように、制御体の形状を工夫する構成とすれば簡易な構成によって手段6に示した効果を発揮させることができる。
【0025】
手段8.前記幅方向における前記開口部の開放部分を検出する検出手段(磁気センサヘッド35)を備え、
前記切替手段は、前記検出手段により検出された開放部分に対応する前記制御体について空気の吹出方向が当該開放部分を遮蔽する向きとなるようにすることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【0026】
検出手段によって開口部の開放部分を検出し、その検出結果に基づいて開放部分に合わせたエアカーテンを形成する構成とすることで、手段1等に示した効果を好適に発揮させることができる。
【0027】
手段9.前記吹出口は、前記所定の屋内空間の床部又は天井部に設けられ、平面視において前記開口部に隣接する位置に配置されていることを特徴とする手段1乃至手段8のいずれか1つに記載の建物の空調設備。
【0028】
手段9に示すように、吹出口を開口部に隣接する位置に配置することにより、開放部分の近くから当該開放部分に向けて空気を吹出すことが可能となる。これにより、吹出口から吹出された空気の流れが開放部分に到達する前に弱まることを抑制し、エアカーテンによる遮蔽機能を強化できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施の形態における建物の窓部及びその周辺を示す斜視図。
図2】窓部及びその周辺を示す平面図。
図3】吹出口の縦断面図。
図4】ルーバーユニットの状態と空調空気の流れとの関係を示す概略図。
図5】ルーバーユニットとエリアとの対応関係を示す概略図。
図6】開放部分が形成されるエリアとルーバーの状態との関係を示す概略図。
図7】吹出方向の切り替わりを例示した概略図。
図8】ルーバーの動きを示す概略図。
図9】開口量とルーバーの傾きとの関係を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図1図3を参照しつつ説明する。本実施の形態では、住宅等の建物に設けられた空調設備に具体化されている。図1は建物の窓部及びその周辺を屋内側から見た斜視図、図2は窓部及びその周辺を示す平面図、図3は吹出口の縦断面図である。
【0031】
図1に示すように、建物10の外壁部12には居室11と屋外とを連通する窓部15が設けられている。窓部15には、外壁部12に形成された建物開口部の内周に沿うようにして配設された矩形状の窓サッシ21と、窓サッシ21の開口(窓開口23)を塞ぐ左右一対のサッシ戸25(ガラス戸)とが設けられている。窓部15は、サッシ戸25を左右にスライドさせることで窓開口23を開閉可能な引き違い窓である。
【0032】
図2に示すように、空調設備30は、機械室に配置され当該機械室の空気を取り込んでその空気の温度・湿度を調整することで空調空気(例えば冷気又は暖気)を生成する空調装置50(「送風装置」に相当)と、空調装置50から空調対象となる複数の屋内空間に延びる複数のダクトとを備えており、1の空調装置50を用いて複数の屋内空間(居室11を含む)の空調を行う全館空調システムとして構築されている。
【0033】
ここで、居室11の空調に係る構成について説明する。居室11の床下空間にはダクト51が配設されており、このダクト51が居室11の床部13に形成された吹出口14に接続されている。空調装置50により生成された空調空気は、ダクト51を通じて吹出口14に供給される。そして、その供給された空調空気が吹出口14から居室11(詳しくは窓開口23の前面側の領域)に吹出されることにより、居室11の空調(例えば冷房又は暖房)が行われる。
【0034】
吹出口14については窓開口23の近傍、詳しくは窓開口23の開口方向(換言すると外壁部12の厚さ方向)において当該窓開口23と隣接する位置に配置されている。吹出口14は、窓開口23の下端縁(レール22)に沿って左右に延びる横長状をなしており、その全長(横幅)が窓開口23の横幅と同等となるように形成されている。つまり、窓開口23の幅方向において吹出口14の左右両端と窓開口23の左右両端とが揃えられている。以下、説明の便宜上、窓開口23の幅方向及び吹出口14の長手方向を「基準方向」という。
【0035】
ダクト51における吹出口14側の端部には流路が吹出口14に合わせて拡張された吹出チャンバ52が形成されている(図3参照)。吹出チャンバ52には、空調空気の吹出方向を規定するルーバーユニット54が上記基準方向に並べて複数(13個)設けられている。ルーバーユニット54については、基準方向において吹出チャンバ52(吹出口14)のほぼ全域に配設されている。吹出チャンバ52には、図3に示すように、チャンバ領域をルーバーユニット54毎に仕切る仕切り部53が設けられている。これら仕切り部53については鉛直方向に延びる板状をなしており、基準方向における空調空気の移動が妨げられている。
【0036】
各ルーバーユニット54は、吹出口14の短手方向に並ぶ複数(3個)のルーバー55により構成されている。各ルーバー55は、吹出口14の長手方向に延びる軸部56を介して仕切り部53に取り付けられており、当該軸部56を中心に回動可能となっている。ルーバー55は、軸部56から上方(吹出口14側)へ延びる平板状の本体部57を有しており、本体部57の板面が吹出口14の短手方向を向くようにして配設されている。隣り合っているルーバー55の本体部57は隙間を隔てて相対向しており、この隙間が空調空気が通過する流路となっている。
【0037】
ルーバー55が軸部56を中心に回動して本体部57の向き(傾き)が変わることにより、空調空気の吹出方向が変更される。具体的には、図4に示すように、本体部57が窓部15から遠ざかる側へ上り傾斜となる状態と、本体部57が窓部15に近づく側へ上り傾斜となる状態とに切替可能となっている。ここで、各ルーバーユニット54を構成する3つのルーバー55についてはリンク部材を介して連結されており、それら3つのルーバー55の向きが一致する構成となっている。以下の説明においては、各ルーバー55の本体部57が窓部15から遠ざかる側へ上り傾斜となっているルーバーユニット54の状態を内向き状態(「第2状態」に相当)、各ルーバー55の本体部57が窓部15へ近づく側へ上り傾斜となっているルーバーユニット54の状態を外向き状態(「第1状態」に相当)と称する。
【0038】
図4(a)に示すように、ルーバーユニット54が内向き状態となっている状況下にて吹出口14から吹出された空調空気については、居室11の天井部に向けて移動し、屋内を循環する。これに対して、図4(b)に示すように、ルーバーユニット54が外向き状態となっている状況下にて吹出口14から吹出された空調空気については窓部15に向かう。窓開口23が開放されている場合には、その開放部分へ空調空気が吹出されることにより、当該空調空気の流れによって開放部分を遮蔽する空気の壁(エアカーテン)が形成されることとなる。これにより、当該開放部分を通じた居室11への外気の流入が抑制される。
【0039】
ここで、空調空気を利用してエアカーテンを形成する上では、空調空気の流れをある程度強くすることが好ましい。他方で居室11の空調を行う際には空調空気の流れが強くなりすぎることが居住者に不快感を与える要因になると懸念される。本実施の形態では、このような事情に配慮して、内向き状態における空調空気の吹出速度と外向き状態における空調空気の吹出速度とを変化させる工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図4を参照して当該工夫について説明する。
【0040】
各ルーバーユニット54を構成する3つのルーバー55のうち窓部15寄りの2つについては、本体部57の下端部から斜め下方、詳しくは窓部15側とは反対側に突出する突出部58が設けられており、全体として略L字状をなしている。外向き状態においては突出部58が隣のルーバー55に近づくことで、内向き状態と比べてルーバー55間の隙間が小さくなる。つまり、空調空気が通過する流路の開口面積が小さくなる。これにより、外向き状態においては内向き状態と比較して吹出口14から吹出される空調空気の吹出速度が大きくなる。以上詳述した工夫により、空調空気の送風強度を変更することなく、ルーバーユニット54を内向き状態として空調を行う場合の空調空気の流れを緩やかにし且つルーバーユニット54を外向き状態として外気を遮蔽する場合の空調空気の流れを強くすることが可能となっている。
【0041】
上述したサッシ戸25については、全開位置及び全閉位置だけではなくそれらの位置の間となる任意の位置(例えば半開位置)に配置することが可能となっている。つまり、上記基準方向にて窓開口23を部分的に開放した状態に維持することが可能となっている。ここで、仮にサッシ戸25が開放された場合に開放部分の大きさに関係なくエアカーテンを形成しようとした場合には、空調空気の一部がサッシ戸25に吹き付けられることとなる。つまり、一部の空調空気の屋外側への流れがサッシ戸25によって妨げられたとしても、当該空調空気の流れが乱れるため同空調空気によって空調を効率よく行うことは困難となる。本実施の形態では、窓開口23が開放された場合に上記基準方向における窓開口23の開放部分(幅)に応じて部分的にエアカーテンを形成することにより、遮蔽機能と空調機能とを好適に共存させることが可能となっている。以下、図2及び図5を参照して、開放部分に応じてエアカーテンの形成範囲を変化させるための具体的な構成について説明する。
【0042】
図2に示すように、各ルーバーユニット54には駆動部61が併設されている。駆動部61は上記リンク部材に連結されており、当該駆動部61の動力が各ルーバー55に伝達される構成となっている。駆動部61は空調装置50の制御部65に接続されており、制御部65からの駆動信号に基づいて動作する。つまり、制御部65においては各ルーバーユニット54を内向き状態及び外向き状態に個別に切替可能となっている。
【0043】
また、窓部15には、サッシ戸25の位置を検出する検出手段が設けられている。検出手段は、サッシ戸25の戸車に内蔵された磁気センサヘッド35とレール22に取り付けられた磁気テープとで構成されている。磁気センサヘッド35は空調装置50の制御部65に接続されており、制御部65においては磁気センサヘッド35からの信号に基づいて上記基準方向における窓開口23の開放部分(開放領域又は開放範囲)を判定する。
【0044】
ここで、窓開口23については、左側のサッシ戸25Aによって開閉される左エリアと、右側のサッシ戸25Bによって開閉される右エリアと、それら間であってサッシ戸25A,25Bの位置に関係なく開放不可となる中央エリアとに大別される。左エリアについては左側の5つのルーバーユニット54からの空調空気によるエアカーテンの形成エリア(遮蔽エリア)となっており、右エリアについては右側の5つのルーバーユニット54からの空調空気によるエアカーテンの形成エリア(遮蔽エリア)となっている。
【0045】
空調装置50の制御部65には、遮蔽エリアとルーバーユニット54との対応関係が記憶されている。以下、13個のルーバーユニット54を、左側から順に第1ルーバーユニットT1、第2ルーバーユニットT2、第3ルーバーユニットT3・・・第13ルーバーユニットT13として区別した上で、上記対応関係について説明する。
【0046】
左エリアについては、第1ルーバーユニットT1からの空調空気によりエアカーテンが形成される第1エリアX1と、第2ルーバーユニットT2からの空調空気によりエアカーテンが形成される第2エリアX2と、第3ルーバーユニットT3からの空調空気によりエアカーテンが形成される第3エリアX3と、第4ルーバーユニットT4からの空調空気によりエアカーテンが形成される第4エリアX4と、第5ルーバーユニットT5からの空調空気によりエアカーテンが形成される第5エリアX5とに区分けして記憶されている。
【0047】
右エリアについても同様に、第13ルーバーユニットT13からの空調空気によりエアカーテンが形成される第1エリアY1と、第12ルーバーユニットT12からの空調空気によりエアカーテンが形成される第2エリアY2と、第11ルーバーユニットT11からの空調空気によりエアカーテンが形成される第3エリアY3と、第10ルーバーユニットT10からの空調空気によりエアカーテンが形成される第4エリアY4と、第9ルーバーユニットT9からの空調空気によりエアカーテンが形成される第5エリアY5とに区分けして記憶されている。
【0048】
制御部65においては、各ルーバーユニット54の状態切替を行うための切替処理が定期的に実行される。この切替処理においては、磁気センサヘッド35からの検知信号に基づいて上記基準方向における窓開口23の開放部分(開放領域又は開放範囲)を判定する判定処理と、その判定結果及び上記対応関係に基づいて各ルーバーユニット54を外向き状態/内向き状態に切り替えるべく駆動部61を駆動させる駆動制御処理とを含む。
【0049】
以下、図6を参照して窓開口23の開放部分と各ルーバーユニット54の状態との関係について補足説明する。
【0050】
上記判定処理にて左側のサッシ戸25Aが全閉位置に配置されていると判定された場合には、ルーバーユニット54は全て内向き状態に維持される。
【0051】
第1エリアX1が開放されていると判定された場合、すなわち左側のサッシ戸25Aの端部25aAが第1エリアX1に位置している場合には、第2ルーバーユニットT2~第5ルーバーユニットT5が内向き状態且つ第1ルーバーユニットT1が外向き状態となるように駆動制御処理が実行される。
【0052】
第1エリアX1~第2エリアX2に跨るようにして開放部分が生じていると判定された場合、すなわち左側のサッシ戸25Aの端部25aAが第2エリアX2に位置している場合には、第3ルーバーユニットT3~第5ルーバーユニットT5が内向き状態且つ第1ルーバーユニットT1~第2ルーバーユニットT2が外向き状態となるように駆動制御処理が実行される。
【0053】
第1エリアX1~第3エリアX3に跨るようにして開放部分が生じていると判定された場合、すなわち左側のサッシ戸25Aの端部25aAが第3エリアX3に位置している場合には、第4ルーバーユニットT4~第5ルーバーユニットT5が内向き状態且つ第1ルーバーユニットT1~第3ルーバーユニットT3が外向き状態となるように駆動制御処理が実行される。
【0054】
第1エリアX1~第4エリアX4に跨るようにして開放部分が生じていると判定された場合、すなわち左側のサッシ戸25Aの端部25aAが第4エリアX4に位置している場合には、第5ルーバーユニットT5が内向き状態且つ第1ルーバーユニットT1~第4ルーバーユニットT4が外向き状態となるように駆動制御処理が実行される。
【0055】
第1エリアX1~第5エリアX5に跨るようにして開放部分が生じていると判定された場合、すなわち左側のサッシ戸25Aの端部25aAが第5エリアX5に位置している場合又はサッシ戸25が全開位置に配置されている場合には、第1ルーバーユニットT1~第5ルーバーユニットT5が全て内向き状態となるように駆動制御処理が実行される。
【0056】
なお、図6(b)に示すように、右側のサッシ戸25Bがスライドされて右エリアに開放部分が生じた場合の第9ルーバーユニットT9~第13ルーバーユニットT13の切替態様については、左側のサッシ戸25Aがスライドされて左エリアに開放部分が生じた場合の第1ルーバーユニットT1~第5ルーバーユニットT5の切替態様と同様であるため説明を省略する。また、図6(c)に示すように、中央エリアに対応する第6ルーバーユニットT6~第8ルーバーユニットT8については、サッシ戸25の開閉に関係なく内向き状態に維持され、外向き状態への切り替えが行われない構成となっている。
【0057】
次に、図7を参照して、窓開口23の開放に伴う空調空気の吹出態様の変化について例示する。
【0058】
図7(a)に示す例では、サッシ戸25A,25Bが全閉位置に各々配置されており、ルーバーユニットT1~T13が全て内向き状態となっている。また、空調装置50が稼働中であり、空調空気が内向きとなるようにして居室11に吹出されている。
【0059】
図7(a)→図7(b)に示すように、左右のサッシ戸25A,25Bが半開位置に各々配置されて窓開口23(左エリア及び右エリア)に開放部分が生じると、開放部分に非対応となるルーバーユニットT3~T11については内向き状態に維持され内向きでの空調空気の吹出しが継続される。これに対して、開放部分に対応するルーバーユニットT1~T2,T12~T13については内向き状態から外向き状態に切り替わり左右の開放部分を遮蔽するようにしてエアカーテンが形成される。これにより、それら開放部分を通じて居室11に外気等が流入することが抑制される。
【0060】
この際、開放部分に向けて吹出される空調空気については流れが強くなることにより、エアカーテンの遮蔽機能が強化される。本実施の形態においては上述の如く吹出チャンバ52のチャンバ領域が仕切り部53によって仕切られている。このため、外向き状態に切り替わることで流路の開口面積が減少して抵抗が増したとしても、該当するルーバーユニットへ向かうはずの空調空気が隣接する他のルーバーユニット側へ流れる等して、吹出速度が上手く上がらなくなることが抑制されている。
【0061】
以上詳述した実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0062】
窓開口23の一部が開放されている場合には、複数のルーバーユニット54のうちその開放部分に対応したルーバーユニット54により、当該開放部分を遮蔽する空気の流れ(エアカーテン)を発生させることができる。開放部分の大きさ(幅)に応じてエアカーテンの形成範囲を変化させることが可能であるためエアカーテンの形成に空調空気を効率よく活用できる。
【0063】
エアカーテンの形成に寄与するルーバーユニット54が外向き状態且つエアカーテンの形成に寄与しないルーバーユニット54が内向き状態となることにより、吹出口14から吹出される空調空気がエアカーテンを形成する外向きの空調空気と空調を行う内向きの空調空気とに分かれることとなる。内向きに吹出された空調空気についてはサッシ戸25への衝突が回避され、当該空調空気の天井部へ向けた流れが妨げられにくい。故に、空調設備30を用いてエアカーテンを形成する上で、エアカーテン形成中であっても空調機能を好適に発揮させることが可能となっている。
【0064】
空調中に窓開口23が開放された場合には、開放部分に対応したルーバーユニット54のみを内向き状態→外向き状態に切り替えることでエアカーテンが速やかに形成されることとなる。これは、エアカーテンによる遮蔽を行う際の応答性を高める上で好ましい。また、空調空気の吹出しを継続しながら内向き状態→外向き状態に切り替わることにより、外向き状態への切替完了前の時点においても開放部分を通じて外気が流入することを抑制できる。
【0065】
本実施の形態に示す空調設備30は全館空調システムを構築している。全館空調システムについては、ON状態に維持される時間が一般的なルームエアコンと比べて長くなる傾向にある。そこで、本実施の形態に示したように、空調中に窓開口23が開放された場合にルーバーユニット54の状態を切り替えるだけでエアカーテンが形成される構成との組み合せとすることは上記各種効果を発揮させる上で効果的である。
【0066】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0067】
・上記実施の形態に示したルーバー55については、外向き状態及び内向き状態の2つの状態に切替可能とした。外向き状態となっている場合のルーバー55(詳しくは本体部57)の屋外側への傾きについては、窓開口23における開放部分の幅(開放量)に応じて変化させる構成としてもよい。具体的には、図8に示すように、外向き状態にて屋外側へのルーバー55の傾きを所定の範囲で変更可能な構成する。そして、図9に示すように、開放部分の幅が大きくなるほど屋外側への傾きが大きくなる構成とすることも可能である。このような構成とすれば、エアカーテンによる遮蔽機能を好適に強化できる。なお、外向き状態にてルーバー55の傾きを変化させる上で、当該傾きを段階的に変化させる構成とするか連続的に変化させる構成とするかについては任意である。
【0068】
・上記実施の形態では、磁気センサヘッド35による検出結果に基づいて駆動部61の駆動制御を行うことによりルーバーユニット54(ルーバー55)の向きを変更する構成としたが、窓開口23の開放量に応じてルーバーユニット54の向きを変更するための具体的構成については任意であり、センサやアクチュエータを必須とするものではない。サッシ戸25と各ルーバーユニット54のリンク部材とをリンク機構等によって連結し、サッシ戸25が開閉された際の操作力を当該リンク機構を介してルーバーユニット54に伝えることでそれらルーバーユニット54を内向き状態/外向き状態に切り替える構成とすることも可能である。
【0069】
・上記実施の形態では、居室11(「所定の屋内空間」に相当)と屋外空間とを仕切る外壁部12(「壁部」に相当)に設けられた窓開口23をエアカーテンによる遮蔽対象としたが、所定の屋内空間(例えばキッチン)と他の屋内空間(例えばリビングや廊下)とを仕切る間仕切り壁に形成された開口をエアカーテンによる遮蔽対象とすることも可能である。
【0070】
・上記実施の形態では、窓開口23が開放されている場合に開放部分と非開放部分との境界が位置しているエリアに対応したルーバーユニット54を外向き状態への切替対象に含む構成としたが、窓開口23が開放されている場合に開放部分と非開放部分との境界が位置しているエリアに対応したルーバーユニット54を外向き状態への切替対象から外すことも可能である。例えば、上記実施の形態では開放部分の境界が第2エリアX2に位置している場合には第1ルーバーユニットT1及び第2ルーバーユニットT2が外向き状態となるように構成したが、第1ルーバーユニットT1が外向き状態且つ第2ルーバーユニットT2が内向き状態となるように構成してもよい。
【0071】
・上記実施の形態では、空調(送風)ON中に窓開口23が開放された場合にエアカーテンが形成される構成としたが、空調(送風)OFF中に窓開口23が開放された場合にもエアカーテンが形成される構成とすることも可能である。具体的には、空調OFF中にて窓開口23が開放された場合に開放部分に対応したルーバーユニット54を外向き状態に切り替えるとともに空調(送風)を開始することでエアカーテンが形成される構成とすることも可能である。
【0072】
・上記実施の形態では、空調空気の吹出口14を居室11の床部13に設けたが、空調空気の吹出口を窓開口23の下側の縁部(レール22)に沿って設ける場合にはその配設対象を窓サッシとすることも可能である。また、空調空気の吹出口を窓開口23の上側の縁部に沿うようにして設けてもよい。この場合、吹出口の配設対象を天井部や窓サッシとすることも可能である。
【0073】
・上記実施の形態では平面状の突出部58によって流路の開口面積を変化させることにより、空調空気の吹出速度(流速)を変化させる構成とした。開口面積の変化によって吹出速度を変化させることができるのであれば当該突出部58の具体的に形状については任意である。例えば、突出部を窓部15側とは反対側又は上側に凸となる曲面状とすることも可能である。
【0074】
・上記実施の形態では磁気センサヘッド35(「検出手段」に相当)を用いて窓開口23の開放部分を検出する構成としたが、開口部分を検出するための具体的に構成については任意である。例えば、明暗を感知する光センサをレール22に内蔵し、サッシ戸25を開放した際の明るさの変化に基づいて開放部分を検出する構成とすることも可能である。また、サッシ戸25の変位に伴って回転するローラ(例えば戸車)の回転を検出する回転センサを設け、ローラの回転方向及び回転数に基づいて開放部分を検出する構成とすることも可能である。
【0075】
・空調装置50を空調モード及び送風モード(換気モード)に切替可能としてもよい。この場合、送風モードにてエアカーテンを形成する構成としてもよいし、送風モード及び空調モードの両方にてエアカーテンを形成する構成としてもよい。なお、空調モード中にエアカーテンを形成する必要が生じた場合には、空調モードから送風モードへの切り替えを行う構成とすることも可能である。
【0076】
・上記実施の形態では、引違い窓の開放部分を対象として空調装置50によるエアカーテンを形成する場合について例示したが、窓開口(「開口部」に相当)の幅方向(左右)にスライド可能な開閉体が設けられた他の窓(例えば引き分け窓、片引き窓、引き込み窓)にてエアカーテンを形成することも可能である。また、開口部の幅方向(左右)にスライド可能な開閉体が設けられた玄関等の戸(例えば、引違い戸、引き分け戸、片引き戸、引き込み戸)に適用することも可能である。なお、開口部の正面視にて幅方向の一部を部分的に開放可能な開閉体が設けられているのであれば足り、スライドタイプの開閉体に代えてアコーディオンタイプの開閉体とすることも可能である。
【0077】
・上記実施の形態では1のダクト51によって吹出口14全体へ空調空気を供給する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、複数のダクトによって吹出口14へ空調空気を供給する構成としてもよい。この場合、吹出口14における空調空気の供給エリアを上記基準方向にてダクト毎に分ける構成とするとよい。なお、ダクトを複数に分ける場合の数については任意である。
【0078】
・上記実施の形態に示した窓部15を掃出し窓とすることも可能である。
【0079】
・上記実施の形態では、ルーバー55が吹出口14から居室11側に突出しない構成としたが、当該ルーバー55の一部又は全部が居室11側に突出する構成とすることも可能である。但し、窓開口23が開放される場合には、居住者が窓開口23の傍にいる可能性が高く、このような状況下にてルーバー55を動作させた場合に当該動作が妨げられることは空調/エアカーテンの円滑な切り替えが妨げられる要因になる。故に、上記実施の形態に示したように吹出口14からルーバー55を突出させない構成とすることには技術的意義がある。
【符号の説明】
【0080】
10…建物、11…「所定の屋内空間」としての居室、12…壁部としての外壁部、13…床部、14…吹出口、15…窓部、23…「開口部」としての窓開口、25…「開閉体」としてのサッシ戸、30…空調設備、35…「検出手段」としての磁気センサヘッド、50…「送風装置」としての空調装置、54…ルーバーユニット、55…ルーバー、56…「所定部分」としての軸部、57…「対向部」としての本体部、58…突出部、61…駆動部、65…切替手段としての制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9