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特許7145807地図表示装置、地図表示システム、プログラムおよび地図データ生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】地図表示装置、地図表示システム、プログラムおよび地図データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20220926BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20220926BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20220926BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G09B29/10 A
G01C21/36
G06T11/60 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019065083
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166068
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】城平 銀次
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特許第6021024(JP,B2)
【文献】特開2017-106736(JP,A)
【文献】特開2015-224871(JP,A)
【文献】特開2013-003005(JP,A)
【文献】特開2012-215869(JP,A)
【文献】特開2008-096268(JP,A)
【文献】特開2003-337033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14,
G01C 21/00-21/36,
23/00-25/00,
G06T 1/00,11/60-13/80,
17/05,19/00-19/20,
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示部と、
移動体の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部と、
前記現在地情報と前記移動体を走行させるエネルギー源となる燃料またはバッテリの残量を示す情報とに基づいて、前記移動体の前記現在地から放射状に広がり、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能経路を探索する探索部と、
前記表示部に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、前記探索部によって探索された前記走行可能経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を幅方向に所定範囲まで拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更して、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能エリアの境界を表す第2地図データを生成する地図データ生成部と、
前記第2地図データに基づいて、前記走行可能エリアと前記走行可能エリア内の前記走行可能経路と前記自然物とを表す前記地図画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記自然物は、海と、河川が少なくとも含まれる陸水部であり、
前記地図データ生成部は、前記拡張道路図形に対応する前記表示情報を、前記第1地図データが表す色と異なる第2の色を示す第2表示情報に変更することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記地図データ生成部は、前記第1地図データにおいて前記拡張道路図形である第1拡張道路図形の外側に対応する前記表示情報を、第3の色を示す第3表示情報に一時的に変更し、前記第3表示情報でなく、かつ前記自然物図形に対応しない前記表示情報を前記第2表示情報に変更して、前記自然物図形と重ならない範囲で前記道路図形が拡張された第2拡張道路図形を生成することを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図データ生成部は、前記拡張道路図形である第1拡張道路図形を生成し、前記第1拡張道路図形から前記自然物図形を除外した第3拡張道路図形に対応する前記表示情報を前記第2表示情報に変更することを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図データ生成部は、前記第1地図データにおいて前記第1拡張道路図形の外側に対応する前記表示情報を前記第3表示情報に変更する場合に、前記第1地図データの解像度を一時的に低下させることを特徴とする請求項3に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記地図データ生成部は、前記道路図形の外周に沿って2以上の多角形の図形を描画して、前記道路図形と前記多角形の図形とで構成される前記第1拡張道路図形を生成し、
前記多角形の図形は、前記道路図形の前記幅方向の長さが、前記表示部に表示された場合に所定距離に相当する長さであることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記表示情報は、色の透過度を示す透過度情報を含み、
前記第2表示情報に含まれる透過度情報は、透過度が40%以上80%以下であることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項8】
2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示装置と、前記表示装置と通信するサーバとを備える地図表示システムであって、
前記サーバは、
移動体の現在地を示す現在地情報と前記移動体を走行させるエネルギー源となる燃料またはバッテリの残量を示す情報とに基づいて、前記移動体の前記現在地から放射状に広がり、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能経路を探索する探索部と、
前記表示装置に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、前記探索部によって探索された前記走行可能経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を幅方向に所定範囲まで拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更して、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能エリアの境界を表す第2地図データを生成する地図データ生成部とを有し、
前記表示装置は、前記第2地図データに基づいて、前記走行可能エリアと前記走行可能エリア内の前記走行可能経路と前記自然物とを表す前記地図画像を表示することを特徴とする地図表示システム。
【請求項9】
2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示部を備えるコンピュータを、
移動体の現在地を示す現在地情報と前記移動体を走行させるエネルギー源となる燃料またはバッテリの残量を示す情報とに基づいて、前記移動体の前記現在地から放射状に広がり、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能経路を探索する探索部と、
前記表示部に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、前記探索部によって探索された前記走行可能経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を幅方向に所定範囲まで拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更して、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能エリアの境界を表す第2地図データを生成する地図データ生成部と、
前記第2地図データに基づいて、前記走行可能エリアと前記走行可能エリア内の前記走行可能経路と前記自然物とを表す前記地図画像を前記表示部に表示させる表示制御部として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示装置と接続された通信部と、
移動体の現在地を示す現在地情報と前記移動体を走行させるエネルギー源となる燃料またはバッテリの残量を示す情報とに基づいて、前記移動体の前記現在地から放射状に広がり、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能経路を探索する探索部と、
前記表示装置に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、前記探索部によって探索された前記走行可能経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を幅方向に所定範囲まで拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更して、前記現在地を起点に前記移動体が前記燃料または前記バッテリの前記残量で走行を継続できると予測される走行可能エリアの境界を表す第2地図データを生成する地図データ生成部と、
前記通信部を介して、前記走行可能エリアと前記走行可能エリア内の前記走行可能経路と前記自然物とを表す前記第2地図データを前記表示装置に送信する通信制御部とを備えることを特徴とする地図データ生成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の経路を示す地図画像を表示する地図表示装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1には、視認性を確保するため、車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路に含まれる道路の画像を、複数の矩形の画像に置き換えて表示するナビゲーション装置が開示されている。この複数の矩形の画像は、航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように位置及び大きさが特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6021024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、海や河川を示す図形を含む地図画像を表示させる場合、航続可能経路に含まれる道路の画像を複数の矩形の画像に単に置き換えると、海や河川を示す図形に前記矩形の画像が重なり、海や河川の一部も走行可能範囲として表示されて、地図画像の正確性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、所定の経路を適切に表す地図画像を表示できる地図表示装置、地図表示システム、プログラムおよび地図データ生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様に係る地図表示装置は、2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示部と、前記表示部に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、探索された所定の経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を所定範囲に拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更した第2地図データを生成する地図データ生成部と、前記第2地図データに基づいて、前記拡張道路図形と前記自然物図形とを表す前記地図画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【0007】
第一態様の地図表示装置において、前記自然物は、海と、河川が少なくとも含まれる陸水部であり、前記地図データ生成部は、前記拡張道路図形に対応する前記表示情報を、前記第1地図データが表す色と異なる第2の色を示す第2表示情報に変更することを特徴とする。
【0008】
第一態様の地図表示装置において、前記地図データ生成部は、前記道路図形を拡張した第1拡張道路図形の外側に対応する前記表示情報を、第3の色を示す第3表示情報に一時的に変更し、前記第3表示情報でなく、かつ前記自然物図形に対応しない前記表示情報を前記第2表示情報に変更して、前記自然物図形と重ならない範囲で前記道路図形が拡張された第2拡張道路図形を生成することを特徴とする。
【0009】
本開示の第二態様に係る地図表示装置において、前記地図データ生成部は、前記道路図形を拡張した第1拡張道路図形を生成し、前記第1拡張道路図形から前記自然物図形を除外した第3拡張道路図形に対応する前記表示情報を前記第2表示情報に変更することを特徴とする。
【0010】
第一態様および第二態様の地図表示装置は、前記経路を探索する探索部をさらに備え、前記地図データ生成部は、前記探索部が探索した前記経路に基づいて、前記第1地図データを描画することを特徴とする。
【0011】
第一態様および第二態様の地図表示装置において、前記地図データ生成部は、前記道路図形の外周に沿って2以上の多角形の図形を描画し、前記道路図形と前記多角形の図形とで構成される前記第1拡張道路図形を生成する。
【0012】
第一態様および第二態様の地図表示装置は、移動体の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部をさらに備え、前記探索部は、前記現在地情報と、前記移動体を走行させるエネルギー源となる燃料またはバッテリの残量を示す情報とに基づいて、前記現在地を起点に前記移動体が走行可能な前記経路を探索することを特徴とする。
【0013】
本開示の第三態様に係る地図表示システムは、2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示装置と、前記表示装置と通信するサーバとを備え、前記サーバは、前記表示装置に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、探索された所定の経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を所定範囲に拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更した第2地図データを生成し、前記表示装置は、前記第2地図データに基づいて、前記拡張道路図形と前記自然物図形とを表す前記地図画像を表示することを特徴とする。
【0014】
本開示の第四態様に係るプログラムは、2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示部を備えるコンピュータを、前記表示部に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、探索された所定の経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を所定範囲に拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更した第2地図データを生成する地図データ生成部と、前記第2地図データに基づいて、前記拡張道路図形と前記自然物図形とを表す前記地図画像を前記表示部に表示させる表示制御部として機能させることを特徴とする。
【0015】
本開示の第五態様に係る地図データ生成装置は、2以上の画素で構成され、地図を示す地図画像を表示する表示装置と接続された通信部と、前記表示装置に表示する色を少なくとも示す表示情報を前記画素ごとに有し、探索された所定の経路に対応する道路を示す道路図形と自然物を示す自然物図形とを前記表示情報に基づいて表す第1地図データから、前記自然物図形の位置に基づいて前記自然物図形に対応する前記表示情報を維持しつつ、前記道路図形を所定範囲に拡張した拡張道路図形に対応する前記表示情報を変更した第2地図データを生成する地図データ生成部と、前記通信部を介して、前記拡張道路図形と前記自然物図形とを表す前記第2地図データを前記表示装置に送信する通信制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、拡張道路図形と自然物図形とが重ならず、所定の経路を適切に表す地図画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成図である。
図2】第1地図データに基づく地図画像を表示部に表示させた場合のイメージ図である。
図3】第1拡張道路図形を示すイメージ図である。
図4】描画部が第1拡張道路図形を描画する処理を示すイメージ図である。
図5】第2地図データに基づく地図画像を表示部に表示させた場合のイメージ図である。
図6】走行可能エリア表示処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係るナビゲーション装置が表示する地図画像の一例を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る地図表示システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成図である。ナビゲーション装置1は移動体に搭載される。移動体は、車両または人である。車両は、電気自動車、ガソリン自動車、バイクなどの自動二輪車、車いす、電動自転車などを含む。本実施形態において移動体は電気自動車である。ナビゲーション装置1は、車内LANを介して、車両が備えるオーディオ、エアコン、ボディ制御部およびバッテリ制御部などの電装品と接続される。そのため、ナビゲーション装置1は、電装品から自車に関する車両情報を取得できる。車両情報は、車両を走行させるエネルギー源であるバッテリの残量を示す残量情報と、所定の電力量で車両が走行できる距離を示す燃費情報とを含む。なお車両情報は、車両への乗車人数などを示す情報を含んでもよい。
【0019】
ナビゲーション装置1は、車両の走行可能エリアを表示する走行可能エリア表示処理と、出発地から目的地までの経路を案内する経路案内処理とを行う。走行可能エリアは、車両の現在地を起点として、バッテリの残量で走行を継続できると予測される範囲である。このようなナビゲーション装置1は、表示部20と、入力部30と、記憶部40と、GPS(Global Positioning System)センサ10と、制御部50とを備える。
【0020】
表示部20は、走行可能エリア表示処理の実行時に、走行可能エリアを示す地図画像を表示する。また表示部20は、経路案内処理の実行時に、経路案内に必要な地図画像を表示する。地図画像は、2以上の画素で構成される。本実施形態において、表示部20はディスプレイである。
【0021】
入力部30は、ユーザの操作に基づき、各種の指示を制御部50に入力する。入力部30は、たとえばタッチパネル、各種のスイッチおよび音声入力装置などで構成される。タッチパネルは、表示部20と一体で構成される。入力部30は、ユーザからの指示を制御部50に入力する。ユーザからの指示としては、走行可能エリア表示処理を実行する指示や、経路案内を希望する目的地を設定する指示などが挙げられる。
【0022】
記憶部40は、ナビゲーション装置1が実行する各種プログラムおよび地図情報などを記憶する。また記憶部40は、各種の処理に必要な情報を一時的に記憶する。記憶部40は、たとえばフラッシュメモリ等で構成される。
【0023】
地図情報は、道路に関する情報と、自然物に関する情報とを含む。自然物は、道路や建物などの人工物でなく、自然界に存在する物である。自然物としては、たとえば、海、河川や湖沼などの陸水部、山林、渓谷および国立公園などの自然公園が挙げられる。
【0024】
道路に関する情報は、道路座標情報と、道路色情報とを含む。道路座標情報は、実在する道路の座標を示す情報である。道路の座標は、図4に示すノード61gとリンク61oとの組み合わせで表される。ノード61gは、交差点、道路の末端、県道や国道などの道路の種別が変わる地点、道路幅が変わる地点などの位置を示す。ノード61gは、たとえば緯度および経度で特定される。リンク61oは、隣り合うノード61g・61g同士をつなぎ、ノード61gとノード61gの間の道路区間を表す。リンク61oには、それぞれ対応するリンクID(identification)が紐づけられている。このような道路座標情報は、地図画像において道路を表す道路図形の形状を表す。道路色情報は、図1に示す表示部20に表示させる道路図形の色を示す情報である。なお道路は、陸地に形成される道路、島と島をつなぐ橋に形成される道路、および、河川などにかけられた橋に形成される道路などを含む。
【0025】
また道路に関する情報は、リンクIDごとに、道路の曲率、道路の勾配、道路の方位、道路の制限速度、道路の通行方向、道路の種別、および道路の名称などの少なくともいずれかを示す情報を含んでもよい。道路の種別は、たとえば高道道路、国道、県道および細街路などが挙げられる。道路の名称は、たとえば高速道路の名称やインターチェンジの名称などを含む。
【0026】
自然物に関する情報は、自然物形状情報と、自然物色情報とを含む。自然物形状情報は、実在する自然物の座標を表す情報を含み、地図画像において自然物を表す自然物図形の形状を示す。なお、自然物図形の形状は、自然物を上空から見たときの形状である。自然物形状情報は、自然物の座標は、たとえば緯度および経度で特定される。自然物色情報は、表示部20に表示させる自然物図形の色を示す情報である。また自然物に関する情報は、自然物の名称を示す情報を含んでもよい。自然物の名称としては、海の名称、河川の名称および自然公園の名称などが挙げられる。
【0027】
また地図情報は、建物に関する情報と、施設に関する情報とをさらに含んでもよい。建物に関する情報は、建物形状情報と、建物色情報と、建物名情報とを含む。建物形状情報は、地図画像において2以上の線分の組み合わせで建物を表した建物図形の形状を示し、線分の始点の座標と終点の座標をそれぞれ示す情報を含む。始点の座標および終点の座標は、たとえば緯度および経度で表される。なお、建物図形の形状は、建物を上空から見たときの形状である。建物色情報は、表示部20に表示される建物図形の色を示す情報である。建物名情報は、建物の名称を示す情報である。
【0028】
施設としては、たとえば、充電スタンド、ガソリンスタンド、病院、警察署、消防署、鉄道駅、コンビニエンスストアおよびスーパーなどが挙げられる。施設に関する情報は、施設の座標を示す情報と、地図画像に表示する各施設のマークを表す情報とを含む。施設の座標は、たとえば緯度および経度で表される。
【0029】
本実施形態において、ナビゲーション装置1は、走行可能エリア表示処理と経路案内処理とで同じ地図情報を用いるが、この構成に限定されず、走行可能エリア表示処理と経路案内処理とでそれぞれ異なる地図情報を用いてもよい。この構成の場合、ナビゲーション装置1は、たとえば、経路案内処理では、実在する道路の形状や道路のネットワークなどが正確に表された一般的な地図情報を用いる。そして、ナビゲーション装置1は、走行可能エリア表示処理では、たとえばノード61g・61g間の距離や所要時間などのコストを示す情報をメインとした地図情報を用いることが考えられる。
【0030】
図1に示すGPSセンサ10は、GPS衛星からの電波を受信し、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在地を示す現在地情報を取得する。本実施形態において、現在地情報は、緯度および経度を示す情報である。GPSセンサ10は、現在地情報取得部に相当する。
【0031】
制御部50は、マップマッチング部51と、探索部52と、描画部53と、表示制御部54と、誘導部55とを備える。
【0032】
マップマッチング部51は、GPSセンサ10が受信した情報および地図情報を基に、マップマッチング処理を行う。マップマッチング処理は、GPSセンサ10が受信した緯度および経度を示す情報を、地図データが表す道路図形上の位置に修正する処理である。マップマッチング部51は、記憶部40から地図情報を取得し、GPSセンサ10が受信した緯度および経度を示す情報が表す車両の位置を地図情報に重畳させ、その重畳させた位置に対応する道路のリンク61oを求める。続いて、マップマッチング部51は、求めたリンク61oに対応するリンクID情報を取得する。
【0033】
探索部52は、所定の経路を探索する。本実施形態において、所定の経路は、走行可能エリア表示処理において探索する走行可能経路と、経路案内処理において探索する出発地から目的地までの経路とを含む。なお、所定の経路は、地震や台風などの災害発生時またはその直後に、車両や人などが通行可能な経路を含んでもよい。また、所定の経路は、通行止めや渋滞を伴うマラソン大会などのイベント時に車両や人などが通行可能な経路を含んでもよい。探索部52は、上記のような通行可能な経路を探索する場合、国や地方公共団体、イベント主催団体などが発信する情報などを利用する。
【0034】
探索部52は、走行可能エリア表示処理を行う場合、現在地情報と車両情報と地図情報とに基づいて、走行可能経路を探索する。走行可能経路は、車両が走行するエネルギー源であるバッテリを途中で充電することなく、現在地を起点に連続して走行可能と予測される経路である。
【0035】
走行可能経路を探索する際、探索部52は、たとえば、走行可能経路として検出する道路の種別などを探索条件として決定する。そして探索部52は、車種ごとに予め決められた所定の計算式に、現在地情報、残量情報、燃費情報、ならびに、道路の勾配および制限速度を示す情報などを入力して、現在地から走行可能なすべての経路に対応する道路のリンクIDを特定する。なお、現在地周辺において探索対象の道路が複数枝分かれして延びる場合、走行可能経路は、現在地から放射状に広がる。本実施形態において、走行可能経路は、現在地からの片道の経路であるが、往復の経路であってもよい。また探索部52は、走行可能エリア表示処理を行う場合、現在地情報の代わりに、ユーザが入力部30を介して入力した出発地を示す情報を用いてもよい。
【0036】
本実施形態において、探索部52は、種別が高速道路や国道などの幅が比較的広い道路を探索対象とする。ナビゲーション装置1は、このような探索条件に基づいて走行可能エリア表示処理を行うと、幅が比較的狭い道路を探索対象外にできるので、扱うデータ量が抑えられ、走行可能エリア表示処理にかかる負荷を軽減できる。またナビゲーション装置1は、幅が狭すぎて実際には車両が通行できない道路が走行可能経路として抽出されることを防止できる。なお、検索条件は上述の条件に限定されず、すべての種別の道路を検索対象としてもよい。
【0037】
探索部52は、経路案内処理を行う場合、ユーザが入力部30を介して入力した目的地を示す情報と、現在地情報と、地図情報とに基づいて、現在地から目的地までの経路を探索する。
【0038】
描画部53は、探索部52が検索した所定の経路に基づいて、走行可能エリア表示処理で用いる地図データと、経路案内処理で用いる地図データとをそれぞれ生成する。このような描画部53は、地図データ生成部に相当する。
【0039】
描画部53は、走行可能エリア表示処理を行う場合、走行可能経路および地図情報に基づいて、たとえば図2に示すような第1地図データを描画する。図2は、第1地図データに基づく地図画像60を表示部20に表示させた場合のイメージ図である。第1地図データは、2以上の表示情報を有する。この表示情報は、表示部20に表示する色を示す。表示情報は、たとえばRGB(Red-Green-Blue)カラーで色を表す場合、地図画像の1画素あたりの赤色と緑色と青色の配合比率を示す情報である。また表示情報には、輝度を示す輝度情報および色の透過度を示す透過度情報の少なくともいずれかがさらに含まれてもよい。第1地図データは、このような表示情報を、地図画像の画素ごとに有する。
【0040】
描画部53は、表示情報を画素ごとに調整して、2以上の道路図形61と、自然物図形62と、車両の現在地を示すマークPとを表す第1地図データを描画する。すなわち、描画部53は、探索部52が検索した走行可能経路のリンクIDに基づいて、道路に関する情報を記憶部40から取得する。そして、描画部53は、道路座標情報および道路色情報に対応する表示情報を設定し、道路図形61を描画する。また描画部53は、探索部52が検索した走行可能経路のリンクIDに基づいて、自然物に関する情報を記憶部40から取得する。そして、描画部53は、自然物形状情報および自然物色情報に対応する表示情報を設定して、自然物図形62を描画する。
【0041】
描画部53は、自然物図形62を描画する際、自然物図形62を表す表示情報が対応する位置、すなわち自然物図形62の位置を記憶部40に記憶させる。自然物図形62の位置は、たとえば緯度および経度を示す情報や、第1地図データにおけるX,Y座標値などで示される。なお図2において、自然物図形62は海を表す。また図2において、自然物図形62は、便宜的に斜線を引いて示す。自然物図形62は、橋などに形成された道路を表す道路図形61を挟んで、2以上の位置に描画される場合がある。このような場合、描画部53は、各自然物図形62の位置を記憶部40に記憶させる。
【0042】
また描画部53は、道路の名称を示す情報および自然物の名称を示す情報に対応する表示情報を設定して、道路や自然物の名称を示す文字図形を描画してもよい。さらに描画部53は、建物に関する情報に対応する表示情報を設定して、建物図形や建物の名称を示す文字図形などを描画してもよい。
【0043】
描画部53は、上記図形以外の残りの領域に、陸地を表す図形に対応する表示情報を設定する。描画部53は、たとえば、自然物図形62や建物図形など地図画像の背景となる図形を描画した後、道路図形61を描画する。描画部53は、さらに文字図形を描画する場合、道路図形61の後に文字図形を描画する。
【0044】
このようにして、ナビゲーション装置1は、第1地図データを描画する。そのため、ナビゲーション装置1は、経路案内処理の際に、道路および建物などを示す図形を3D(three dimensions)で適切に表した3次元地図データを描画部53で生成できる。なお、ナビゲーション装置1は、第1地図データを描画する構成に限定されず、道路図形61を表すレイヤーおよび自然物図形62を表すレイヤーなどを重ねて、第1地図データを生成する構成でもよい。
【0045】
描画部53は、第1地図データに基づいて第2地図データを描画する。第2地図データは、走行可能エリアを表すデータである。
【0046】
第2地図データの描画にあたり、描画部53は、第1地図データが表す道路図形61のうち、走行可能経路となる道路のリンクIDに対応する道路図形61を抽出する。以下、この道路図形61を「第1道路図形」とも記載し、走行可能経路となる道路のリンクIDに対応しない道路図形61を「第2道路図形」とも記載する。すなわち道路図形61は、第1道路図形と第2道路図形とで構成される。続いて、描画部53は、第1道路図形に対応する表示情報を、所定の色を示す表示情報に変更する。所定の色は、地図画像を表示部20に表示させたときの視認性の観点から、第1地図データが表す色と異なる色が好ましい。以下、第1地図データが表す色を「第1の色」と記載し、上記所定の色を「第2の色」とも記載する。この第2の色を示す第2表示情報は、透過度が40%以上80%以下に設定されることが好ましい。また、透過度が50%以上70%以下に設定されることがより好ましい。なお、透過度は、この範囲に限定されず、これ以外の数値でもよい。
【0047】
図3は、第1拡張道路図形63を示すイメージ図である。図4は、描画部53が第1拡張道路図形63を描画する処理を示すイメージ図である。第1拡張道路図形63は、第1道路図形61aを所定範囲に拡張した図形である。
【0048】
図4に示すように、描画部53は、所定の計算式を用いて、第1道路図形61aの外周に沿って四角形を表す2以上の四角図形61bを描画する。所定の計算式は、たとえば、表示部20に表示された第1拡張道路図形63が曲線を帯びて見えるような計算式を用いる。描画部53は、第1道路図形61aの幅方向における四角図形61bの長さ61fが、たとえば1キロメートルの距離に相当する長さになるように四角図形61bを描画する。また描画部53は、第1道路図形61aの端部61eに、端部61eに頂点を集めた三角形を示す2以上の三角図形61cを扇状に連続して描画する。これにより、描画部53は、曲線に近い輪郭を有する第1拡張道路図形63を描画できる。このように描画部53は、第1道路図形61aと四角図形61bと三角図形61cとを合わせた第1拡張道路図形63を描画する。このようにして描画される第1拡張道路図形63は、走行可能経路に対応する道路が分岐および合流している場合、図3に示すように第1拡張道路図形63の輪郭内に抜け部63aが形成される。抜け部63aは、第1道路図形61aが描画されていない所定範囲以上の領域に形成される。
【0049】
なお、描画部53は、上述のように四角形や三角形などの多角形の図形を描画する構成に限定されず、曲線を描画できる構成であってもよい。その構成の場合、描画部53は、第1拡張道路図形63を曲線で描画する。
【0050】
次に、描画部53は、第1拡張道路図形63の外側に対応する表示情報に、第2の色と異なる第3の色を示す第3表示情報に一時的に変更する。具体的に、描画部53は、図5に示す地図画像65の1列目の1行目の画素65a1に対応する第1地図データの表示情報が、第1拡張道路図形63を表す表示情報か否か判断し、第1拡張道路図形63を表す表示情報でないと判断した場合、その表示情報を第3表示情報に変更する。続いて、描画部53は、その画素65a1に隣接する2列目の1行目の画素65b1に対応する表示情報に対して、第1拡張道路図形63を表す表示情報か否か判断し、第1拡張道路図形63を表す表示情報でないと判断した場合に第3表示情報に変更する。描画部53は、第1拡張道路図形63を表す表示情報であると判断するまで上記の第3表示情報への変更処理を繰り返す。描画部53は、第1拡張道路図形63を表す表示情報であると判断すると、処理の対象を、地図画像65の1列目の2行目の画素65a2に対応する表示情報に変更する。すなわち、描画部53は、地図画像65の1列目の画素65a1、65a2・・・65anで構成される第1端部65Aに対応する表示情報から、第1端部65Aと対向する第2端部65Bに対応する表示情報に向けて、上記の第3表示情報への変更処理を行う。また、描画部53は、地図画像65の1行目の画素65a1、65b1・・・65n1で構成される第3端部65Cに対応する表示情報から、第3端部65Cと対向する第4端部65Dに対応する表示情報に向けて、上記の第3表示情報への変更処理を行う。また、描画部53は、第2端部65Bに対応する表示情報から、第1端部65Aに対応する表示情報に向けて、上記の第3表示情報への変更処理を行う。さらに描画部53は、第4端部65Dに対応する表示情報から、第3端部65Cに対応する表示情報に向けて、上記の第3表示情報への変更処理を行う。
【0051】
なお、この第3表示情報への変更処理は、第1地図データの変更によって行われ、第3表示情報が表示部20に表示されることはない。ナビゲーション装置1は、表示部20の表示に関する処理の場合、ある程度の処理速度でその処理を実行する必要があるが、第3表示情報への変更処理は、高速で行う必要がなく、処理負荷を抑えることができる。
【0052】
次に、描画部53は、第3表示情報以外の表示情報を、第1拡張道路図形63の輪郭の内側を表す表示情報と判断して第2表示情報に変更する。すなわち描画部53は、自然物図形62の位置に基づいて自然物図形62に対応する表示情報については第1地図データから維持し、第3表示情報でなく、かつ自然物図形62に対応しない表示情報を、第2表示情報に変更する。また描画部53は、第3表示情報を元の表示情報に戻す。これにより、描画部53は、第1拡張道路図形63が自然物図形62と重なる場合であっても、図5に示すように、自然物図形62と重ならない範囲で第1道路図形61aが拡張された第2拡張道路図形64を表す第2地図データを生成する。図5は、第2地図データに基づく地図画像65を表示部20に表示させた場合のイメージ図である。図5に示す例では、領域Aに含まれる自然物図形62に対応する表示情報が、図2に示す第1地図データから維持される。なお、第1地図データから維持される自然物図形62の範囲は、図3において細かい斜線を引いて示す。第2地図データは、アメーバ状の第2拡張道路図形64を走行可能エリアとして表す。
【0053】
このように生成される第2拡張道路図形64は、第1拡張道路図形63が抜け部63aを有する場合でも、抜け部63aが形成されない。描画部53は、上記の第3表示情報への変更処理を行うことで、たとえばすべての画像情報に対して、第1拡張道路図形63に対応する表示情報であるか否かの判断と、第1拡張道路図形63の輪郭の内側と外側のいずれに対応するかという判断の両方を実施する必要がなく、比較的少ない負荷で、第2拡張道路図形64を生成できる。
【0054】
さらに描画部53は、記憶部40から施設に関する情報を取得し、施設に関する情報に基づいて、充電スタンドやガソリンスタンドなどを示すマークを表示させて、第2地図データを生成してもよい。これにより、ナビゲーション装置1は、走行可能エリア内に存在する充電スタンドやガソリンスタンドなどを地図画像65に表すことができる。
【0055】
なおナビゲーション装置1は、地図レイヤーを重ねることで、第2地図データを生成する構成であってもよい。たとえば描画部53は、第1拡張道路図形63を表した地図データに、自然物図形62を表すレイヤーとして重ねる構成であってもよい。レイヤーを重ねる構成とすることで、地図データ作成に関する細かな調整を容易に行える。
【0056】
また描画部53は、上記の第3表示情報への変更処理を行う際、第1地図データの解像度を一時的に低下させ、第1拡張道路図形63の輪郭の内側に対応する表示情報を第2表示情報に変更する時点で、第1地図データの解像度を元に戻す構成であってもよい。このような構成のナビゲーション装置1は、計算処理の負荷を低減できる。
【0057】
さらに描画部53は、第2拡張道路図形64を生成する際、表示情報のうち色および透過度を示す情報を変更したが、この構成に限定されず、色、輝度および透過度の少なくともいずれかを示す情報が変更されればよい。
【0058】
描画部53は、経路案内処理を行う場合、ユーザが入力部30を介して入力した目的地を示す情報と、現在地情報と、地図情報とに基づいて、現在地から目的地までの経路を表す種々の倍率の地図データを描画する。
【0059】
表示制御部54は、描画部53が生成した地図データに基づく地図画像を表示部20に表示する。具体的に、表示制御部54は、走行可能エリア表示処理が行われる場合、第2地図データに基づいて、自然物図形62と、第2拡張道路図形64からなる走行可能エリアとが適切に表された地図画像65を表示部20に表示する。地図画像65において、走行可能エリアは、自然物図形62と重複することなく表示される。第2拡張道路図形64は半透明の色で表示されるので、第1道路図形61aは、第2拡張道路図形64から透けて表示される。なお、ナビゲーション装置1は、ユーザによってタッチされた表示部20の位置に対応する地点を、目的地として制御部50に入力することもできる。
【0060】
また表示制御部54は、経路案内処理が行われる場合、経路案内に対応した地図画像を表示部20に表示させる。誘導部55は、経路案内処理を行う場合、目的地までの経路を音声などで案内する。
【0061】
上述した制御部50などの機能は、ソフトウェアなどにより実現される。ソフトウェアなどはプログラムとして記述され、記憶部40に格納される。図示しないCPUは、記憶部40に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部50などの各機能を実現する。
【0062】
図6は、走行可能エリア表示処理を示すフローチャートである。図6を用いて、ナビゲーション装置1が実施する走行可能エリア表示処理を説明する。走行可能エリア表示処理は、入力部30より走行可能エリアを表示する指示が制御部50に入力されると、開始される。
【0063】
ステップS1において、探索部52は、マップマッチング部51から現在地情報を取得する。
【0064】
ステップS2において、探索部52は、記憶部40から地図情報を取得する。
【0065】
ステップS3において、探索部52は、車両から車両情報を取得する。
【0066】
ステップS4において、探索部52は、ステップS1で取得した現在地情報と、ステップS2で取得した地図情報と、ステップS3で取得した車両情報とに基づいて、走行可能経路を求め、走行可能経路を示す道路に対応するリンクIDを特定する。
【0067】
ステップS5において、描画部53は、ステップS2で取得した地図情報と、ステップS4で求めた走行可能経路とに基づいて、第1地図データを描画する。
【0068】
ステップS6において、描画部53は、第1地図データにおいて、第1道路図形61aを表す表示情報を、第2表示情報に変更する。この第1道路図形61aは、ステップS4で特定したリンクIDが示す道路に対応する。
【0069】
ステップS7において、描画部53は、第1道路図形61aを拡張した第1拡張道路図形63を描画する。
【0070】
ステップS8において、描画部53は、第1拡張道路図形63の外側に対応する表示情報を、第3表示情報に変更する。
【0071】
ステップS9において、描画部53は、第3表示情報でなく、かつ自然物図形62に対応しない表示情報を、第2表示情報に変更する。これによって、描画部53は、第2拡張道路図形64が表れた第2地図データを生成する。
【0072】
ステップS10において、表示制御部54は、第2の画像データに基づいて、第2拡張道路図形64と自然物図形62とが表れた地図画像を表示部20に表示する。この地図画像は、第2拡張道路図形64により走行可能エリアを示す。
≪第2実施形態≫
図7は、本発明の第2実施形態に係るナビゲーション装置100が表示する地図画像165の一例を示す図である。第1実施形態のナビゲーション装置1は、第1拡張道路図形63に抜け部63aが形成されている場合でも、抜け部63aのない第2拡張道路図形64を生成する。これに対して、第2実施形態に係るナビゲーション装置100は、抜け部63aが形成された第3拡張道路図形66が生成される可能性がある点が、第1実施形態のナビゲーション装置1と異なる。
【0073】
具体的に、第2実施形態に係るナビゲーション装置100が備える描画部53は、自然物図形62の位置に基づいて、第1拡張道路図形63から自然物図形62を除外した第3拡張道路図形66を描画する。次に、描画部53は、第3拡張道路図形66を表す表示情報を、第2表示情報に変更する。これにより、ナビゲーション装置100は、抜け部63aが形成された走行可能エリアを示す地図画像を表示部20に表示できる。
≪第3実施形態≫
図8は、本発明の第3実施形態に係る地図表示システム200を示す概略構成図である。地図表示システム200は、表示装置202と、サーバ201とを備える。
【0074】
表示装置202は、第1通信部270と、入力部30と、GPSセンサ10と、表示部20と、第1制御部258とを備える。第1制御部258は、表示制御部54と、第1通信制御部257とを備える。GPSセンサ10と表示部20と入力部30と表示制御部54の構成は、第1実施形態のナビゲーション装置1が備えるGPSセンサ10と表示部20と入力部30と表示制御部54の構成と同様である。第1通信制御部257は、第1通信部270を制御して、サーバ201との間でデータの送受信を行う。
【0075】
表示装置202は、GPSセンサ10が取得した現在地情報を、第1通信部270を介してサーバ201に送信する。また表示装置202は、入力部30を介して入力されたユーザの指示を、第1通信部270を介してサーバ201に送信する。このような表示装置202は、たとえばスマートフォンやタブレット端末などの携帯型の端末で構成される。
【0076】
サーバ201は、第2制御部250と、記憶部40と、第2通信部271とを備える。第2制御部250は、マップマッチング部51と、探索部52と、描画部53と、第2通信制御部256とを備える。マップマッチング部51と探索部52と描画部53と記憶部40の構成は、第1実施形態のナビゲーション装置1が備えるマップマッチング部51と探索部52と描画部53と記憶部40の構成と同様である。第2通信制御部256は、第2通信部271を制御して、表示装置202との間でデータの送受信を行う。
【0077】
第2制御部250は、表示装置202から送信された現在地情報および記憶部40に記憶された地図情報に基づいて、第1地図データおよび第2地図データを生成する。サーバ201は、第2通信部271を介して第2地図データを表示装置202に送信する。このようなサーバ201は、地図データ生成装置に相当する。
【0078】
表示装置202は、第1通信部270を介してサーバ201から第2地図データを受信すると、表示制御部54によって、第2地図データに基づく地図画像を表示部20に表示させる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、装置構成や制御方法等は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0080】
たとえば、上記実施形態では、地図表示装置がナビゲーション装置1、100であるが、この構成に限定されない。たとえば、地図表示装置が、スマートフォンやタブレット端末、スマートウォッチなどの携帯型の端末、または、表示部20を備えるその他の装置でもよい。
【0081】
また、上記実施形態において、経路の探索や地図データの描画などの各機能は、単一の装置によって集中処理されて実現されてもよく、2以上の装置によって分散処理されて実現されてもよい。
【0082】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。また上記実施形態および変形例の構成がそれぞれ組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、100 ナビゲーション装置
10 GPSセンサ
20 表示部
52 探索部
53 描画部
54 表示制御部
61 道路図形
61b 四角図形
61c 三角図形
62 自然物図形
63 第1拡張道路図形
64 第2拡張道路図形
65 地図画像
66 第3拡張道路図形
200 地図表示システム
201 サーバ
202 表示装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8