(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】営農システム、営農支援装置及び営農支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20220926BHJP
G16Y 10/05 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
G06Q50/02
G16Y10/05
(21)【出願番号】P 2019181154
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2019-10-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2018220786
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載日:平成30年10月16日、「スマート農業技術カタログ(全体版)平成30年8月公表(平成30年10月更新)」、農林水産省
(73)【特許権者】
【識別番号】522171280
【氏名又は名称】猪又 琢夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】猪又 琢夫
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】中野 浩昌
【審判官】関口 明紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-157206(JP,A)
【文献】特開2018-173917(JP,A)
【文献】特開2017-131130(JP,A)
【文献】特開2005-229886(JP,A)
【文献】特開2011-86208(JP,A)
【文献】特開2015-179348(JP,A)
【文献】国際公開第2017/161365(WO,A1)
【文献】特開2003-76824(JP,A)
【文献】特開2004-28658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーと、スマートフォン及び/又はタブレット端末と、を備え、
圃場ごと及び/又は圃場における管理単位ごとに設置される立て看板のそれぞれに対して、前記立て看板が設置された前記圃場及び/又は前記管理単位を識別可能な識別情報が設けられ、
前記立て看板には、前記識別情報を記憶したRFタグが取り付けられており、
前記サーバーは、
農作物の育成手順を前記圃場ごと及び/又は前記管理単位ごとに登録した作業予定計画を記憶する記憶部と、
前記スマートフォン及び/又はタブレット端末から要求があった場合に、前記作業予定計画に基づく実施予定情報を前記
スマートフォン及び/又はタブレット端末に送信する応答部と、を有し、
前記スマートフォン及び/又はタブレット端末は、
前記立て看板に取り付けられた前記RFタグから前記識別情報を読み取り可能なRFリーダーと、
前記RFタグから読み取った前記識別情報を前記サーバーに送信することで、前記サーバーから前記識別情報に対応する前記圃場又は前記管理単位の前記実施予定情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記実施予定情報を表示可能な表示部と、を有する営農システム。
【請求項2】
前記圃場及び/又は前記管理単位は、GAP(農業生産工程管理)の認証を受けている前記圃場及び/又は前記管理単位であり、
前記立て看板は、前記GAPの認証を受けている前記圃場及び/又は前記管理単位に義務付けられる立て看板である、請求項1に記載の営農システム。
【請求項3】
前記応答部は、前記識別情報とともに実施予定情報の要求があった場合、当該識別情報に対応する圃場における本日の前記作業予定計画に基づく前記実施予定情報を前記
スマートフォン及び/又はタブレット端末に送信し、
前記スマートフォン及び/又はタブレット端末の前記取得部は、前記サーバーから前記識別情報に対応する本日の前記圃場又は前記管理単位における前記実施予定情報を取得し、
前記スマートフォン及び/又はタブレット端末の前記表示部は、本日の前記実施予定情報を表示可能である、請求項1又は2に記載の営農システム。
【請求項4】
前記サーバーは、前記作業予定計画を作成、修正または閲覧することが可能な端末装置である、請求項1ないし3のいずれかに記載の営農システム。
【請求項5】
前記サーバーは、前記圃場又は前記管理単位に設けられた水位センサーから前記圃場又は前記管理単位の水位データを取得する水位データ取得部をさらに有する、請求項1ないし4のいずれかに記載の営農システム。
【請求項6】
前記サーバーは、前記スマートフォン及び/又はタブレット端末、あるいは端末装置から受信した指示に基づいて、遠隔から制御可能な自動給水装置に対して給水指示を出力する給水指示部をさらに有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の営農システム。
【請求項7】
前記サーバーは、前記スマートフォン及び/又はタブレット端末、あるいは端末装置から受信した指示に基づいて、遠隔から制御可能な自動排水装置に対して排水指示を出力する排水指示部をさらに有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の営農システム。
【請求項8】
圃場ごと及び/又は圃場における管理単位ごとに設置される立て看板のそれぞれに対して取り付けられたRFタグに記憶されており、前記立て看板が設置された前記圃場及び/又は前記管理単位を識別可能な識別情報を読み取り可能なRFリーダーと、
前記RFリーダーによって読み取られた前記識別情報を外部に送信する送信部と、
前記外部から前記識別情報に対応する前記圃場又は前記管理単位の実施予定情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記実施予定情報を表示可能な表示部と、
を有する、スマートフォン及び/又はタブレット端末からなる営農支援装置。
【請求項9】
スマートフォン及び/又はタブレット端末に、
圃場ごと及び/又は圃場における管理単位ごとに設置される立て看板のそれぞれに対して取り付けられたRFタグに記憶されており、前記立て看板が設置された前記圃場及び/又は前記管理単位を識別可能な識別情報を、RFリーダーを介して読み取らせる読み取り処理と、
前記RFリーダーによって読み取られた前記識別情報を外部に送信させる送信処理と、
前記外部から前記識別情報に対応する前記圃場又は前記管理単位の前記実施予定情報を取得させる取得処理と、
前記取得処理で取得した前記実施予定情報を表示させる表示処理と、
を実行させる、営農支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の農作区画に区分けされた圃場に対して実施される農作業を管理することで、農作業管理者および農作業従事者を支援する営農システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人手不足などにより、個人が、所有する圃場の農作業を行う形態ではなく、複数の農業従業者が組織を作り、複数の圃場を、複数の農業従業者で運用・管理する形態が注目されている。しかしながら、このように複数の農業従業者が複数の圃場で農作業を行う場合、圃場ごとの農作業を管理することが困難となるため、圃場ごとの農作業工程を表した農作業計画書を作成する営農システムが知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、たとえ農作業計画書を作成し、農作業従業者が農作業を実施する圃場の情報を把握した場合でも、農作業従事者が圃場まで実際に赴いた際に、密集した複数の圃場の中から、農作業を実際に実施する圃場を見つけることが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、複数の圃場が密集している場合でも、農作業従事者が農作業を実施する圃場を容易に見つけることができる営農システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る営農システムは、サーバーと、携帯端末と、圃場に立てられる標識と、を有する営農システムであって、サーバーは、農作物の育成手順を圃場ごとに登録した作業予定計画を記憶する記憶部と、前記携帯端末から要求があった場合に、前記作業予定計画に基づく実施予定情報を前記携帯端末に送信する応答部と、を有し、前記標識は、当該標識が立てられる圃場の識別情報を有し、前記携帯端末は、前記標識から前記識別情報を読み取る読み取り部と、前記サーバーから前記識別情報に対応する圃場の前記実施予定情報を取得する取得部と、を有する営農システム。
上記営農システムにおいて、前記標識は、前記識別情報を記憶したRFタグを有し、 前記携帯端末の読み取り部は、前記RFタグから前記識別情報を読み取り可能なRFリーダーであり、前記携帯端末の取得部は、前記RFタグから読み取った前記識別情報を前記サーバーに送信することで、前記サーバーから前記識別情報に対応する圃場の前記実施予定情報を取得するように構成することができる。
上記営農システムにおいて、前記標識は、前記識別情報をQRコードとして有しており、前記携帯端末の読み取り部は、前記QRコードを読み取り可能であり、前記携帯端末の取得部は、前記QRコードに応じたURLにアクセスすることで、前記サーバーから前記識別情報に対応する圃場の前記実施予定情報を取得するように構成することができる。
上記営農システムにおいて、前記携帯端末は前記実施予定情報を表示する表示部をさらに有するように構成することができる。
上記営農システムにおいて、前記サーバーに接続し、前記作業予定計画を作成、修正または閲覧することが可能な端末装置をさらに有するように構成することができる。
上記営農システムにおいて、前記サーバーは、前記圃場に設けられた水位センサーから圃場の水位データを取得する水位データ取得部をさらに有するように構成することができる。
上記営農システムにおいて、前記サーバーは、前記携帯端末または端末装置から受信した指示に基づいて、遠隔から開閉制御可能な自動給水装置に対して給水指示を出力する給水指示部をさらに有するように構成することができる。
上記営農システムにおいて、前記サーバーは、前記携帯端末または端末装置から受信した指示に基づいて、遠隔から制御可能な自動排水装置に対して排水指示を出力する排水指示部をさらに有するように構成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の圃場が密集している場合でも、農作業従事者が農作業を実施する圃場を簡易に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る営農システムの構成図である。
【
図3】本実施形態に係る農作業登録処理を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る農作業確認処理を示すフローチャートである。
【
図5】農作物の育成手順を作成するための画面の一例を示す図である。
【
図6】育成手順の詳細登録画面の一例を示す図である。
【
図7】圃場台帳を作成するための画面の一例を示す図である。
【
図8】圃場台帳に関連付けされた圃場の航空写真の一例を示す図である。
【
図9】作業予定計画を作成するための画面の一例を示す図である。
【
図10】印刷した実施予定情報の一例を示す図である。
【
図11】携帯端末のディスプレイに表示される実施予定情報の一例である。
【
図12】携帯端末から実施状況を入力するための画面の一例を示す図である。
【
図13】実施状況を確認するための画面の一例を示す図である。
【
図14】実施状況を確認するための画面に関連付けされた圃場の航空写真の一例を示す図である。
【
図15】実施実績を登録するための画面の一例を示す図である。
【
図16】第2実施形態に係る営農システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図に基づいて、本実施形態に係る営農システムを説明する。本実施形態に係る営農システムは、複数の農作業従事者と、当該複数の農作業従事者を管理する農作業管理者とにより利用されるシステムであり、農作業管理者が作成した作業予定計画に基づいて、農作業従事者が農作業を行うことを支援する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る営農システム100を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る営農システム100は、端末装置10と、外部サーバー20と、携帯端末30と、標識40とを有する。なお、端末装置10と、外部サーバー20と、携帯端末30とは、インターネット回線や電話通信網などの電気通信回線50を介して電気的に接続しており、互いに情報の授受が可能となっている。
【0011】
端末装置10は、たとえばサーバー機能を有するパーソナルコンピューターなどの情報機器であり、処理部11と、記憶部12と、入力部13と、ディスプレイ14と、通信部15とを有する。記憶部12には、営農プログラムが記憶されているとともに、データベースとしても機能し、営農プログラムのマスターデータや実績データなどの各種データが記憶されている。端末装置10は、記憶部12に記憶された営農プログラムを実行することで、農作物の育成手順(作業内容および作業日付)を圃場ごとに割り当てた作業予定計画を作成または修正し、作成または修正した作業予定計画を記憶部12に記憶するとともに、通信部15を介して外部サーバー20に送信することで外部サーバー20のデータベース24にも保存する。なお、端末装置10により作業予定計画を作成および修正する方法の詳細については後述する。
【0012】
また、端末装置10は、入力部13を介して農作業管理者または農作業従事者から作業予定計画の確認指示が入力された場合に、データーベース機能を有する記憶部12から作業予定計画を取得し、ディスプレイ14に表示する。また、端末装置10は、プリンター16と電気的に接続しており、入力部13を介して農作業管理者または農作業従事者から作業予定計画の印刷指示が入力された場合に、作業予定計画または作業予定計画に基づく実施予定情報(特定の日付または特定の担当者の作業計画)を、プリンター16に印刷させる。
【0013】
外部サーバー20は、たとえば電気通信回線50上に置かれた外部のサーバーであって、電気通信回線50を介して携帯端末30が外部サーバー20から作業予定計画を取得できるように構成されている。外部サーバー20は、処理装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、データベース24とを有する。外部サーバー20は、通信装置23を介して、端末装置10から作業予定計画を受信した場合に、受信した作業予定計画をデータベース24に保存することで、作業予定計画について端末装置10と同期を行っている。また、外部サーバー20は、通信装置23を介して携帯端末30から、本日実施する予定の農作業の内容を含む実施予定情報の取得要求を受信した場合に、データベース24に保存している作業予定計画から本日の実施予定情報を抽出し、携帯端末30に送信する。また、外部サーバー20は、携帯端末30から圃場を識別するための圃場識別情報とともに実施予定情報の取得要求があった場合には、当該識別情報に対応する圃場における本日の実施予定情報を携帯端末30に送信する。
【0014】
携帯端末30は、たとえばスマートフォンやタブレットなどの携帯可能な機器であり、処理部31と、記憶部32と、入力部33と、ディスプレイ34と、通信部35と、読み取り部36とを有する。携帯端末30は、農作業経営者または農作業従事者により入力部33から本日の実施予定情報の取得指示が入力された場合に、本日の実施予定情報を外部サーバー20から受信し、携帯端末30のディスプレイ34に受信した実施予定情報を表示する。
【0015】
また、本実施形態における営農システム100では、圃場ごとに標識40がそれぞれ立てられている。
図2は、本実施形態に係る標識40の一例を示す図である。本実施形態では、
図2に示すように、看板部42と、圃場に埋め込まれる脚部43とを有しており、看板部42は、標識40が立てられている圃場を識別するための識別情報を有している。たとえば、本実施形態に係る標識40では、看板部42に、非接触式のRFタグ41が埋め込まれており、当該RFタグには圃場を識別するための圃場識別情報が記憶されている。なお、RFタグは、RFID(radio frequency identifier)技術を用いて、RFタグに記憶した情報を、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm~数m)の無線通信により、RFIDリーダーで読み取ることができるものであり、たとえばICタグやNFC(Near field communication)タグなどが含まれる。また現在、食の安全や環境保全に取り組む農場であることを認証する枠組みとして、ジェーギャップ(J-GAP)やグローバルギャップ(G-GAP)などの制度がある。これらの認証を受けた圃場は標識(看板)を設置する義務があり、このような認証を示すための標識(看板)を、標識40として利用することもできる。
【0016】
本実施形態において、携帯端末30は、非接触式のRFIDリーダーである読み取り部36を備えており、農作業従事者は、携帯端末30を標識40にかざすことで、標識40が立てられている圃場の識別番号を取得することができる。そして、携帯端末30の処理部31は、標識40から圃場の識別情報を取得した場合に、通信部35を介して、圃場の識別番号を含む実施予定情報の取得要求を外部サーバー20に送信する。外部サーバー20は、携帯端末30から圃場の識別番号を含む実施予定情報の要求情報を受信すると、受信した圃場の識別番号に基づいて、当該識別番号に対応する圃場の実施予定情報(識別番号に対応する圃場において本日実施する農作業の内容などの情報)をデータベース24に格納された作業予定計画から抽出し、携帯端末30に送信する。これにより、携帯端末30は、外部サーバー20から、標識40が立てられた圃場における実施予定情報を取得することができディスプレイ34に表示することで、農作業従事者に、標識40が立てられた圃場における本日の実施予定情報を表示することができる。
【0017】
次に、本実施形態における農作業登録処理および農作業確認処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る農作業登録処理を示すフローチャートであり、
図4は、本実施形態に係る農作業確認処理を示すフローチャートである。まず、
図3に基づいて、本実施形態に係る農作業登録処理について説明する。
【0018】
図3に示すように、まずステップS101では、端末装置10の処理部11により、農作物の育成手順を作成する処理が行われる。ここで、
図5は、農作物の育成手順を作成するための画面の一例を示す図である。農作業管理者は、端末装置10の入力部13により端末装置10に農作物の育成手順を作成するための画面を表示させることができ、当該画面において、農作物の種類、品種、作業内容、作業日付などの入力情報を入力する。また、本実施形態では、
図5に示すように、田植えや除草剤散布などの圃場内の作業だけではなく、掃除片付雑務、機械整備、消毒、乾燥、浸種、または播種などの圃場外の作業も作業内容に含めて入力することができる。
【0019】
また、
図6は、育成手順の詳細登録画面の一例を示す図である。
図6に示すように、農作業管理者は、端末装置10の入力部13を介して、使用する農薬や肥料の情報を入力情報として入力することができる。なお、本実施形態では、データベース機能を有する端末装置10の記憶装置12に、農作物の種類・品種ごとにデフォルトの育成手順(育成手順のマスター)が登録されており、農作業管理者は、端末装置10を介して、記憶部12からデフォルトの育成手順を取得して画面に表示させることができる。これにより、農作業管理者は、
図5に示すように、作業日付(今回予定日)を入力するだけで育成手順を容易に作成することができる。
図5に示す画面では、新しい作業内容の追加や、デフォルトの作業内容の削除を行うこともできる。
【0020】
ステップS102では、端末装置10の処理部11により、圃場台帳を作成する処理が行われる。ここで、
図7は、圃場台帳を作成するための画面の一例を示す図である。農作業管理者は、端末装置10の入力部13を介して、
図7に示すように、圃場台帳を作成するための画面を端末装置10のディスプレイ14に表示させ、ステップS101で作成した育成手順(作付けする農作物・品種を含む)を各圃場に割り当てることができる。これにより、農作物の種類、品種、作業内容、作業日付などを圃場ごとに設定することができる。なお、圃場台帳は、
図8に示すように、航空写真と連動しており、たとえば
図7に示す画面において圃場を示す列をクリックすることで、
図8に示す画面に切り替わり、クリックした圃場を地図上で確認することもできる。なお、
図8は、圃場台帳に関連付けされた圃場の航空写真の一例を示す図である。
【0021】
ステップS103では、端末装置10の処理部11により、作業予定計画の作成が行われる。具体的には、端末装置10は、
図9に示すように、ステップS102で圃場ごとに割り当てた育成手順を時系列に沿って一覧とした作業予定計画を作成し、ディスプレイ14に表示する。なお、
図9は、作業予定計画を作成するための画面の一例を示す図である。たとえば、
図9に示す例において、一番上の列には、作物名「こがねもち」、圃場番号「0347」、圃場名「上直海347」について、5月13日(日)、5月15(火)、5月23(水)に作業を行うことを把握することができる。たとえば、農作業管理者が5月13日(日)の作業内容の詳細を知りたい場合には、5月13日(日)の箇所をクリックすることで、作業内容の詳細が表示される。
【0022】
ステップS104では、端末装置10の処理部11により、ステップS103で作成した作業予定計画の修正が行われる。
図9に示すように、作業予定計画は、各圃場の作業内容が日ごとに一覧で表示されるため、たとえば、農作業管理者は、農作業従事者の数に対して作業内容が多い日付では、作業内容のうちの一部を別の日付を変更するなどして、作業予定計画を修正することができる。なお、作業予定計画を修正する必要がない場合は、ステップS104の処理は行う必要はない。
【0023】
ステップS105では、端末装置10の処理部11により、ステップS103で作成した作業予定計画、または、ステップS104で修正した作業予定計画が、通信部15を介して外部サーバー20に送信され、外部サーバー20のデータベース24に保存される。これにより、圃場ごとの育成手順を登録した作業予定計画を作成する農作業登録処理が終了する。そして、
図3に示す農作業登録処理により作成した作業予定計画を用いて、
図4に示す農作業確認処理が行われる。以下に、
図4に示す農作業確認処理を説明する。
【0024】
図4に示す農作業確認処理では、たとえば農作業管理者または農作業従事者が、本日の作業を開始する前に、端末装置10や携帯端末30を用いて、本日の作業内容を含む実施予定情報を確認し、本日の作業を開始した後は、作業の実施状況を入力および確認し、さらに作業実績を登録する処理である。なお、本実施形態例に係る農作業確認処理において、ステップS201~S203は端末装置10により実行され、ステップS204~S208は携帯端末30および外部サーバー20により実行され、ステップS209は端末装置10により実行される。
【0025】
ステップS201~S203は、たとえば農作業管理者または農作業従事者が、本日の作業を開始する前に、端末装置10により、本日の実施予定情報を確認し、印刷する処理である。具体的に、ステップS201では、端末装置10の処理部11により、記憶部12に記憶されている実施予定情報が取得され、ディスプレイ14に表示される。農作業管理者または農作業従事者は、実施予定情報を確認する圃場や担当者、日付などを適宜選択することができ、このような場合、選択された条件に応じた実施予定情報をディスプレイ14に表示することができる。ここで、
図10は、ステップS201で表示される実施予定情報の一例であり、特定の担当者の実施予定情報の一例を示す図である。このように、農作業管理者および農作業従事者は、本日実施すべき作業を確認することができる。そして、ステップS202では、端末装置10の処理部11により、農作業管理者または農作業従事者が入力部13を介して、実施予定情報を印刷する指示を入力したか否かの判断が行われる。実施予定情報の印刷指示があった場合には、ステップS203に進み、ステップS202で表示した実施予定情報の印刷が行われる。
【0026】
ステップS204~S208は、たとえば農作業従事者が、実際に圃場まで行き、自分が本日作業する圃場および作業内容を確認するとともに、作業状況を入力するための処理である。ステップS204では、農作業従事者が携帯する携帯端末30により、実施予定情報を取得するための取得要求がサーバー20に送信され、サーバー20により、携帯端末30から送信された取得要求が受信される。そして、ステップS205では、外部サーバー20により、ステップS204で取得した取得要求に、圃場の識別番号が含まれるか否かの判断が行われる。本実施形態では、携帯端末30を携帯した農作業従事者が圃場まで実際に赴いて作業を行うが、圃場が密集している場合には、農作業従事者が作業を行う圃場を区別できない場合がある。そのため、本実施形態では、圃場ごとに標識40が立てられており、農作業事業者が標識40に携帯端末30を近づけることで、標識40に埋設されたRFタグ41から圃場の識別番号を読み取り、これにより、携帯端末30は圃場の識別番号とともに実施予定情報の取得要求を外部サーバー20に送信することができる。このような場合、ステップS205においては、ステップS204で取得した実施予定情報の取得要求に、圃場の識別番号が含まれると判断し、ステップS207に進むこととなる。一方、本実施形態では、農作業従事者が、自身が担当する農作業を確認するために、携帯端末30を介して、圃場を特定することなく、担当者を特定して、実施予定情報を取得する指示を入力することができ、この場合も、圃場の識別番号を含まないため、ステップS206に進む。
【0027】
ステップS206では、圃場の識別番号を含まないため、外部サーバー20は、データベース24に記憶されている圃場を限定せずに実施予定情報を抽出し、携帯端末30に送信する。なお、携帯端末30から送信された取得要求に、実施予定情報を確認する圃場や担当者、日付などの情報が要求情報に含まれている場合には、外部サーバー20は、要求情報に含まれる条件に応じた実施予定情報を携帯端末30に送信する。これにより、携帯端末30の処理部31は、要求情報に含まれる条件に応じた実施予定情報をディスプレイ34に表示する。
【0028】
一方、ステップS205において、実施予定情報の取得要求に圃場の識別番号が含まれると判断された場合はステップS207に進む。ステップS207では、外部サーバー20により、データベース24に記憶されている作業予定表から、圃場の識別番号に対応する圃場の本日の実施予定情報が抽出され、外部サーバー20から携帯端末30へと送信される。携帯端末30は、受信した実施予定情報を、ディスプレイ34に表示する。ここで、
図11は、携帯端末30のディスプレイ34に表示される実施予定情報の一例である。識別番号に対応する圃場において実施すべき作業がある場合は、
図11(A)に示すように、当該圃場において実施すべき作業の内容が携帯端末30のディスプレイ34に表示される。これにより、農作業従事者は、当該圃場で行うべき作業の内容を把握することができる。一方、農作業従事者が作業を行う圃場を間違えた場合など、圃場において実施すべき作業がない場合、
図11(B)に示すように、「本日、この圃場での作業予定はありません。」などのコメント情報が携帯端末30のディスプレイ34に表示される。
【0029】
ステップS208では、携帯端末30により、実施状況の入力が行われる。たとえば、農作業従事者は、作業を開始した後は、携帯端末30の入力部33を介して、
図12(A),(B)に示すように、実施状況を登録するための画面を表示させることができる。
図12に示す例では、圃場に本日の実施予定情報が登録されている場合には、
図12(A)に示すように、作業予定情報に基づいて、作業を実施する担当者と作業内容が表示される。また、圃場に本日の実施予定情報が登録されていない場合やスケジュールの関係から実施予定情報にない作業を行う場合に、農作業従事者は、
図11(A),(B)に示す画面において「指示外作業」を選択することができる。この場合、
図12(B)に示すように、農作業従事者は、携帯端末30の入力部33を介して、作業を実施する担当者や作業内容を変更したり、追加したりすることができる。
【0030】
また、
図12(A),(B)に示すように、実施状況を登録するための画面には、作業の実施状況について「開始」、「中断」および「終了」が表示されており、農作業従事者は、これら実施状況の中から現在の実施状況を選択し入力することができる。たとえば、農作業従事者は、農作業を開始する際に当該画面において実施状況として「開始」を選択する。また、農作業従事者は、農作業を中断する際には当該画面において実施状況として「中断」を選択し、農作業を終了する際には当該画面において実施状況として「終了」を選択する。なお、入力部33を介して実施状況が選択された場合、
図12(C)に示すように、実施状況の選択を確認する画面が表示される。
図12に示す画面で登録された実施状況情報(担当者、作業内容、実施状況などの情報)は、携帯端末30の処理部31により、通信部35を介して外部サーバー20へと送信され、外部サーバー20のデータベース24に実施実績情報として保存される。なお、
図12は、実施状況を登録するための画面の一例を示す図である。
【0031】
ステップS209では、端末装置10の処理部11により、実施状況の確認が行われる。たとえば、農作業管理者は、任意のタイミングで、端末装置10の入力部13を介して、
図13に示すように、各圃場の作業の実施状況を確認するための画面を端末装置10のディスプレイ14に表示させることができる。この場合、端末装置10の処理部11は、通信部15を介して、各圃場の実施予定情報と実施状況情報とを外部サーバー20から取得する。そして、処理部11は、
図13に示すように、各圃場の実施予定と実施状況とを関連付けてディスプレイ14に表記する(
図13に示す例では、実施状況がステータスとして表示されている。)。これにより、農作業管理者は、各圃場における作業の実施状況を把握することができる。また、
図14に示すように、各圃場の実施状況は航空写真に関連付けられており、各圃場の実施状況を視覚的に把握することもできる。特に、実施状況に応じて航空写真の圃場の色を変えることで、各圃場の実施状況を視覚から容易に把握することができる。なお、
図14は、実施状況を確認するための画面に関連付けされた圃場の航空写真の一例を示す図である。なお、ステップS209の処理は、必要がある場合に行われ、省略することが可能である。
【0032】
ステップS210では、端末装置10の処理部11により、実施実績(実施内容、担当者、実施開始時刻、実施終了時刻、実施状況、メモなど)の登録が行われる。たとえば、農作業管理者は、必要がある場合に、端末装置10の入力部13を介して、データベース24から実施状況情報を取得し、
図15に示すように、各圃場の実施実績を登録するための画面をディスプレイ14に表示させ、実施状況情報(作業内容、担当者、実施状況)を変更することができる。変更された実施状況情報は、通信部15を介して、外部サーバー20のデータベース24に送信され記憶される。なお、ステップS210の処理も、省略することが可能である。
【0033】
以上のように、第1実施形態に係る営農システム100では、端末装置10と、外部サーバー20と、携帯端末30と、圃場に立てられる標識40と、を有する営農システム100であって、外部サーバー20は、農作物の育成手順を圃場ごとに登録した作業予定計画を記憶する記憶装置22と、携帯端末30から要求があった場合に、作業予定計画に基づく実施予定情報を携帯端末30に送信する処理装置21と、を有し、標識40は、当該標識40が立てられる圃場の識別情報を有し、携帯端末30は、標識40から識別情報を読み取る読み取り部36と、外部サーバー20から識別情報に対応する圃場の実施予定情報を取得する処理部31と、を有する。これにより、第1実施形態に係る営農システムでは、農作業従事者が、携帯端末30により、標識40から圃場の識別情報を読み取ることで、携帯端末30に当該圃場で実施すべき作業内容が表示されるため、複数の圃場が密集する場合でも、各圃場で実施する作業を容易に把握することができる。特に、従来では、GPS(Global Positioning System)を利用して作業を実施する圃場を特定するものが知られていたが、このような技術では、山間部などのGPS情報が得られない圃場で使用できない場合や、GPS情報の誤差により目的とする圃場が特定できない場合があった。しかしながら、本実施形態に係る営農システム100は、圃場に立てられた標識40から識別情報を読み取ることで、作業を行う圃場を間違うことなく、圃場で行う作業を確実に取得することができる。また、標識40は電源が不要であり、メンテナンスも容易である。また、上述した実施形態では、端末装置10に営農プログラム、並びに、マスターデータおよび実績データなどを記憶することで、電気通信回線50を使用できない状況でも、端末装置10により農作業を管理することができる。
【0034】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係る営農システムについて説明する。ここで、
図16は、第2実施形態に係る営農システムの構成図である。
図16に示すように、第2実施形態に係る営農システム100aは、第1実施形態に係る営農システム100の構成に加えて、圃場に設置される水位センサー60と、圃場に設置され圃場への給水を制御する自動給水装置70と、圃場に設置され圃場からの排水を制御する自動排水装置80とを有する。水位センサー60、自動給水装置70、および自動排水装置80は、外部サーバー20とそれぞれ電気通信回線50を介して情報の授受が可能となっている。これにより、第2実施形態において、外部サーバー20の通信装置23は、水位センサー60から圃場の水位情報を受信するとともに、自動給水装置70および自動排水装置80に給水または排水の指示を送信することができる。
【0035】
具体的には、第2実施形態において、外部サーバー20は、水位センサーから所定の時間間隔で(または所定の時刻に)各圃場の水位センサー60から各圃場の水位情報を取得しており、作業予定計画または実施予定情報に、水位センサー60から取得した各圃場の水位情報を含めて、端末装置10および携帯端末30に送信することができる。これにより、農作業管理者および農作業従事者は、端末装置10または携帯端末30のディスプレイ14,34を介して、各圃場の水位を確認することができる。なお、端末装置10および携帯端末30において、水位の情報を、圃場ごとに数値で表示することもできるし、また、
図8や
図14のような圃場の航空写真において、水位が十分、水位が少ない、水位が多い、の3つに色分けし、水位の情報を各圃場の航空写真に重畳して表示することもできる。
【0036】
また、農作業管理者および農作業従事者は、各圃場の水位情報に基づいて、端末装置10または携帯端末30の入力部13,33を介して、所定の画面から、外部サーバー20に、自動給水装置70の給水指示および自動排水装置80の排水指示を送信することができる。外部サーバー20は、自動給水装置70の給水指示または自動排水装置80の排水指示を端末装置10または携帯端末30から受信した場合に、当該指示を自動給水装置70または自動排水装置80に送信する。
【0037】
自動給水装置70は、農業用水路から圃場への給水を制御するための機構を有している。このような給水制御機構は、特に限定されず、たとえば給水口の開閉制御を行う機構など公知の技術を使用することができる。同様に、自動排水装置80は、圃場から農業用水路への排水を制御するための機構を有している。このような排水制御機構も、特に限定されず、たとえば排水口の開閉制御を行う機構など公知の技術を使用することができる。自動給水装置70および自動排水装置80は、外部サーバー20から給水指示を受信した場合、自動給水装置70は給水を開始し、自動排水装置80は排水を行っている場合には排水を停止する。同様に、自動給水装置70および自動排水装置80は、外部サーバー20から排水指示を受信した場合、自動給水装置70は給水を行っている場合には給水を停止し、自動排水装置80は排水を開始する。
【0038】
以上のように、第2実施形態に係る営農システム100aでは、作業予定計画や実施予定情報とともに各圃場の水位情報を確認することができ、たとえば農作業管理者は、各圃場の水位情報に基づいて作業予定計画や実施予定を適宜修正することが可能となる。また、第2実施形態においては、端末装置10または携帯端末30から自動給水装置70および自動排水装置80の制御を指示することができるため、わざわざ遠方の圃場に赴かずに、遠隔地から圃場の給水および排水を制御することができ、農作業従事者の農作業に要する労力を削減することもできる。
【0039】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る営農システムについて説明する。第3実施形態に係る営農システム100は、第1実施形態に係る営農システム100と同様の構成を有しているが、果樹ごと、畝ごと、または畝や圃場の一部(畝や圃場を複数の領域に分割した一部領域)ごとなどの管理単位ごとに標識40を設置し営農管理を行う点で、圃場ごとに標識40を設置して営農管理する第1実施形態と異なる。なお、第3実施形態においても、看板部42にRFタグ41を埋め込んだ標識40を用いることができる。
【0040】
第3実施形態において、農作業管理者は、端末装置10を用いて、管理単位(果樹、畝、畝や圃場の一部領域)ごとに、農作物の種類、品種、作業内容、作業日付などの入力情報を入力することで、農作業従事者は、携帯端末30を用いて、標識40から管理単位ごとの実施予定情報を取得することができ、当該実施予定情報に基づいて管理単位ごとに農作業を実施することができる。
【0041】
たとえば、果樹を管理単位として標識40を設置した場合、農作業従事者は、携帯端末30をそれぞれの果樹に設置された標識40にかざすことで、標識40が設置されている果樹の識別番号を取得することができる。そして、携帯端末30の処理部31は、通信部35を介して果樹の識別番号を含む実施予定情報の取得要求を外部サーバー20に送信することで、外部サーバー20から、当該果樹の実施予定情報を取得することができる。これにより、当該果樹の実施予定情報(たとえば、剪定、消毒、果実の収穫の作業内容など)に基づいて、当該果樹における農作業を実行することができる。
【0042】
また、畝を管理単位として標識40を設置した場合、農作業従事者は、携帯端末30をそれぞれの畝に設置された標識40にかざすことで、標識40が設置されている畝の識別番号を取得することができる。そして、携帯端末30の処理部31は、通信部35を介して畝の識別番号を含む実施予定情報の取得要求を外部サーバー20に送信することで、外部サーバー20から、当該畝の実施予定情報を取得することができる。これにより、農作業従業者は、当該畝の実施予定情報(たとえば、当該畝に植えられている農作物に関する情報や作業内容など)に基づいて、当該畝における農作業を実行することができる。
【0043】
さらに、複数の領域に分割された畝や圃場の一部を管理単位として標識40を設置した場合、農作業従事者は、携帯端末30を畝や圃場のそれぞれの領域に設置された標識40にかざすことで、標識40が設置されている領域の識別番号を取得することができる。そして、携帯端末30の処理部31は、通信部35を介して畝の識別番号を含む実施予定情報の取得要求を外部サーバー20に送信することで、外部サーバー20から、当該領域での実施予定情報を取得することができる。これにより、農作業従業者は、当該領域での実施予定情報(たとえば、当該領域に植えられている農作物の情報や作業内容など)に基づいて、当該領域における農作業を実行することができる。
【0044】
以上のように、第3実施形態に係る営農システム100では、果樹、畝、あるいは畝や圃場の一部領域を管理単位として標識40を設置することで、農作業従事者は、携帯端末30を用いて、標識40から管理単位ごとの実施予定情報を取得することができ、当該実施予定情報に基づいて管理単位ごとに農作業を実施することができる。これにより、圃場において複数の農作物を育てている場合でも、農作業従事者は、農作物ごと(または管理単位ごと)に適切な農作業を行うことができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
たとえば、上述した実施形態では、標識40が圃場の識別情報を記憶したRFタグ41を有する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば標識40が圃場の識別情報としてQRコード(登録商標)を有する構成とすることもできる。この場合、農作業従事者は、携帯端末30に備えるQRコードリーダーである読み取り部36により標識40のQRコードを読み取り、QRコードに関連付けされたURLにアクセスすることで、圃場の識別情報に応じた圃場の実施予定情報を取得することができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、サーバー機能を有する端末装置10および携帯端末30に営農システムのプログラムが記憶されており、当該プログラムを端末装置10または携帯端末30で実行することで、
図3の農作業登録処理および
図4の農作業確認処理を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、外部サーバー20に営農システムのプログラムを記憶しておき、端末装置10および携帯端末30はブラウザや専用画面を介して外部サーバー20にアクセスすることで、外部サーバー20上で営農システムのプログラムを実行する構成とすることもできる。このように、本発明における「サーバー」とは、営農プログラムを実行する主体をいい、サーバー機能を有する端末装置10としてもよいし、外部サーバー20としてもよい。
【0048】
さらに、上述した実施形態では、携帯端末30が実施予定情報を圃場などの外部で取得するために外部サーバー20を設置する構成としたが、この構成に限定されず、VPNなどのトンネリングや暗号化技術を用いて、携帯端末30が端末装置10に直接接続して、実施予定情報を取得する構成としてもよい。
【0049】
加えて、上述した実施形態に加えて、上述した実施形態で作成した実施予定情報を、組織内で共有するために、たとえば外部サーバー20または端末装置10に記憶したグループウェアに取り込む構成とすることができる。これにより、グループウェアで農作業の実施予定を入力する二度手間を省くことができる。
【0050】
また、上述した第2実施形態では、農作業管理者および農作業従事者が、水位センサー60の水位情報に基づいて、端末装置10または携帯端末30を介して、自動給水装置70の給水指示または自動排水装置80の排水指示を外部サーバー20に送信することで、自動給水装置70に給水制御および自動排水装置80に排水制御を行わせる構成を例示したが、この構成に加えて、外部サーバー20は、水位センサー60で検知した圃場の水位が所定の上限値に達した場合に、直接に(農作業管理者または農作業従事者からの指示なく)、自動排水装置80に排水制御を行わせることができる。同様に、外部サーバー20は、水位センサー60で検知した圃場の水位が所定の下限値に達した場合に、直接に(農作業管理者または農作業従事者からの指示なく)、自動給水装置70に給水制御を行わせることができる。なお、水位センサー60、自動給水装置70および自動排水装置80を制御するための専用サーバーを、外部サーバー20から独立分離して設置する構成としてもよい。
【0051】
さらに、上述した第2実施形態では、営農システム100aを用いて、水位センサー60、自動給水装置70および自動排水装置80を制御することで圃場の水位を遠隔地から監視・調整する構成を例示したが、水位を監視・調整するのは圃場の農作業管理者または農作業従事者に限定されず、たとえば、土地改良区などに設置した端末装置10で自動給水装置70および自動排水装置80を遠隔地からも制御可能であり、土地改良区などの送水ポンプ(給水のためのパイプラインの給水ポンプ)の起動・停止を管理している者が水位を監視・調整することもできる。つまり、土地改良区などの管理者は、端末装置10により圃場に設置した自動給水装置70が稼働していないことを把握した場合に、節電のために送水ポンプを停止することができる。
【符号の説明】
【0052】
100,100a…営農システム
10…端末装置
11…処理部
12…記憶部
13…入力部
14…ディスプレイ
15…通信部
20…外部サーバー
21…処理装置
22…記憶装置
23…通信装置
24…データベース
30…携帯端末
31…処理部
32…記憶部
33…入力部
34…ディスプレイ
35…通信部
36…読み取り部
40…標識
42…看板部
41…RFタグ
43…脚部
50…電気通信回線
60…水位センサー
70…自動給水装置
80…自動排水装置