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特許7145845コンピュータ支援遠隔操作手術システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】コンピュータ支援遠隔操作手術システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20220926BHJP
【FI】
A61B34/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019510440
(86)(22)【出願日】2017-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017048425
(87)【国際公開番号】W WO2018039459
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】62/379,112
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/379,114
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アボット,ライアン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,ダニエル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ケルドック,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】マクドウォール,イアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ステガー,ジョーン ライアン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/064692(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02415418(EP,A1)
【文献】特表平11-507252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30 - 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援遠隔操作手術システムのための手術器具であって、
近位端部分と、
該近位端部分から延びる器具シャフトであって、前記近位端部分とは反対側の遠位端部分を含む、器具シャフトと、
前記遠位端部分に連結されるエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが前記器具シャフトに対して移動可能である1つ又はそれよりも多くの自由度のうちの第1の自由度を有する、エンドエフェクタと、
前記近位端部分に移動可能に連結される第1のアクチュエータ係合部材と、
前記近位端部分に移動可能に連結される第2のアクチュエータ係合部材と
前記近位端部分に連結される器具シャフトアクチュエータ係合部材であって、(i)拘束係合において器具駆動ユニットシャフトアクチュエータと係合するように構成され、或いは(ii)非拘束係合において器具駆動ユニットシャフトアクチュエータが器具シャフトアクチュエータ係合部材に向かう方向において器具駆動ユニットシャフトアクチュエータと係合するように構成される、器具シャフトアクチュエータ係合部材と、を含み、
前記第1のアクチュエータ係合部材は、前記第1のアクチュエータ係合部材の近位方向への移動が前記エンドエフェクタを前記第1の自由度において移動させ且つ前記第2のアクチュエータ係合部材を遠位方向に移動させるよう、前記エンドエフェクタを介して前記第2のアクチュエータ係合部材に連結され、
前記第1のアクチュエータ係合部材は、第1の非拘束係合において、第1の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第1のアクチュエータ係合部材に向かう方向において前記第1の器具駆動ユニットアクチュエータと係合するように構成され、
前記第2のアクチュエータ係合部材は、第2の非拘束係合において、第2の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第2のアクチュエータ係合部材に向かう方向において前記第2の器具駆動ユニットアクチュエータと係合するように構成され
前記第1の非拘束係合において前記第1の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第1のアクチュエータ係合部材に向かう前記方向は、前記第2の非拘束係合において前記第2の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第2のアクチュエータ係合部材に向かう前記方向と同じであり、
前記非拘束係合において前記器具駆動ユニットシャフトアクチュエータが前記器具シャフトアクチュエータ係合部材に向かう前記方向は、前記第1の非拘束係合において前記第1の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第1のアクチュエータ係合部材に向かう前記方向及び前記第2の非拘束係合において前記第2の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第2のアクチュエータ係合部材に向かう前記方向と反対である
手術器具。
【請求項2】
前記器具シャフトアクチュエータ係合部材は、手動操作ラッチを含む、請求項に記載の手術器具。
【請求項3】
前記第1及び第2のアクチュエータ係合部材は、当該手術器具の前記近位端部分にある共通の長手方向場所に配置される、請求項1又は2に記載の手術器具。
【請求項4】
当該手術器具の長手方向軸が、前記近位端部分及び前記遠位端部分を通じて延びるように定められ、
前記近位端部分は、前記長手方向軸から径方向に外向きに延びるハンドルを含む、
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記器具シャフトアクチュエータ係合部材を含、請求項に記載の手術器具。
【請求項6】
前記器具シャフトアクチュエータ係合部材は、手動操作ラッチを含む、請求項に記載の手術器具。
【請求項7】
前記第1及び第2のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、前記近位端部分上で長手方向にスライドする、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項8】
前記器具シャフトに沿って延び、前記第1のアクチュエータ係合部材で終端する、前記エンドエフェクタに連結される第1の張力付与部材と、
前記器具シャフトに沿って延び、前記第2のアクチュエータ係合部材で終端する、前記エンドエフェクタに連結される第2の張力付与部材と、
前記第1の張力付与部材に張力を付与するように位置付けられる第1の予荷重張力付与部材と、
前記第2の張力付与部材に張力を付与するように位置付けられる第2の予荷重張力付与部材とを更に含む、
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項9】
前記近位端部分に移動可能に連結される第3のアクチュエータ係合部材と、
前記近位端部分に移動可能に連結される第4のアクチュエータ係合部材とを更に含み、
前記エンドエフェクタは、前記1つ又はそれよりも多くの自由度のうちの第2の自由度を有し、
前記第3のアクチュエータ係合部材は、前記第3のアクチュエータ係合部材の近位方向への移動が前記エンドエフェクタを前記第2の自由度において移動させ且つ前記第4のアクチュエータ係合部材を遠位方向に移動させるよう、前記エンドエフェクタを介して前記第4のアクチュエータ係合部材に連結され、
前記第3のアクチュエータ係合部材は、第3の非拘束係合において、第3の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第3のアクチュエータ係合部材に向かう方向において前記第3の器具駆動ユニットアクチュエータと係合するように構成され、
前記第4のアクチュエータ係合部材は、第4の非拘束係合において、第4の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第4のアクチュエータ係合部材に向かう方向において前記第4の器具駆動ユニットアクチュエータと係合するように構成され
前記第3の非拘束係合において前記3の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第3のアクチュエータ係合部材に向かう前記方向は、前記第4の非拘束係合において前記第4の器具駆動ユニットアクチュエータが前記第4のアクチュエータ係合部材に向かう前記方向と同じである
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項10】
前記第1及び第2のアクチュエータ係合部材は、当該手術器具の前記近位端部分にある第1の共通の長手方向場所に配置され、前記第3及び第4のアクチュエータ係合部材は、当該手術器具の前記近位端部分にある第2の共通の長手方向場所に配置され、前記第1、第2、第3、及び第4のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、前記近位端部分上で長手方向にスライドする、請求項に記載の手術器具。
【請求項11】
前記第1、第2、第3、及び第4のアクチュエータ係合部材は、当該手術器具の前記近位端部分にある共通の長手方向場所に配置され、前記第1、第2、第3、及び第4のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、前記近位端部分上で長手方向にスライドする、請求項に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、(2016年8月24日に出願された)米国特許仮出願第62/379,112号及び(2016年8月24日に出願された)米国特許仮出願第62/379,114号の優先権の利益を主張し、それらの両方を参照として本明細書に援用する。
【0002】
この開示は、最小侵襲コンピュータ支援遠隔操作手術のためのデバイス及び方法に関する。例えば、この開示は、ケーブル伸張(cable stretch)の影響を打ち消すように構成されるコンピュータ支援遠隔操作手術のための手術器具に関する。
【背景技術】
【0003】
(ロボット技術の使用の故に「ロボット」手術システムと呼ばれることが多い)遠隔操作手術システム及び他のコンピュータ支援デバイスは、しばしば、手術作業部位でタスクを行うための器具を操作する1以上(1つ又はそれよりも多く)の器具マニピュレータと、手術作業部位の画像を取り込む画像取込みデバイスを支持する少なくとも1つのマニピュレータとを含む。マニピュレータアームが、1以上の能動的に制御されるジョイント(関節)によって互いに連結される複数のリンクを含む。多くの実施形態では、複数の能動的に制御されるジョイントが提供されることがある。ロボットアームは、1以上の受動的なジョイントを含むこともあり、受動的なジョイントは、能動的に制御されないが、能動的に制御されるジョイントの動きに従う。そのような能動的なジョイント及び受動的なジョイントは、回転ジョイント(revolute joint)又はプリズム状ジョイント(prismatic joint)を含む、様々な種類であってよい。マニピュレータアーム及びその関連する器具又は画像取込みデバイスの運動学的な姿勢は、ジョイントの位置、リンクの構造及び連結に関する知識、並びに既知の運動学的計算の適用によって決定されることがある。
【0004】
外科医の器用さを増大させるために、並びに外科医が遠隔場所から患者を手術することを可能にするために、手術における使用のための最小侵襲遠隔操作手術システムが開発されている。遠隔手術は、手術器具を直接的に手で保持して動かすよりもむしろ手術器具の動きを操作するために、外科医が何らかの形態の遠隔制御、例えば、サーボ機構又は同等物を使用する、外科システムについての一般用語である。そのような遠隔手術システムにおいて、外科医は、遠隔場所で手術部位の画像を提供される。典型的には、適切なビューア又はディスプレイ上で深さの錯覚をもたらす手術部位の立体視画像を見ながら、外科医は、マスタ制御入力デバイスを操作することによって患者に対して外科処置を行い、次いで、マスタ制御入力デバイスは、対応する遠隔操作器具の動きを制御する。遠隔操作手術器具を、小さな最小侵襲手術孔又は自然開口部を通じて挿入して、患者内の手術部位で組織を治療することができ、しばしば観血手術技法による手術部位へのアクセスと概ね関連付けられる外傷を回避することができる。これらのコンピュータ支援遠隔操作システムは、しばしば、最小侵襲孔で器具のシャフトを騒動させること、その孔を通じてシャフトを軸方向にスライドさせること、その孔内でシャフトを回転させること、及び同等のことによって、極めて複雑な手術タスクを行うための十分な器用さで、手術器具の作業端(エンドエフェクタ)を移動させることができる。
【発明の概要】
【0005】
この開示は、コンピュータ支援遠隔操作手術デバイスを使用する最小侵襲ロボット手術のためのデバイス及び方法を提供する。例えば、この開示は、ケーブル伸張(cable stretch)の影響を打ち消すように構成されるコンピュータ支援遠隔操作手術のための手術器具に関する。本明細書で提供されるデバイス及び方法を、ハードウェア制約された遠隔運動中心又はソフトウェア制約された遠隔運動中心のいずれかを使用する(本明細書では「ロボット手術システム」とも呼ぶ)コンピュータ支援遠隔操作手術システムと共に使用することができる。
【0006】
1つの態様において、医療デバイスは、手術器具と、手術器具のための駆動ユニットとを含む。駆動ユニット内の第1のアクチュエータが、器具の第1の係合部材との非拘束係合にあり、駆動ユニット内の第2のアクチュエータが、器具の第2の係合部材と非拘束係合にある。器具の第1及び第2の係合部材は、器具のエンドエフェクタに連結されるので、第1及び第2の係合部材が移動すると、エンドエフェクタは移動する。更なる態様において、駆動ユニットは、器具シャフトアクチュエータを含み、器具は、シャフトアクチュエータ係合部材を含み、器具シャフトアクチュエータ及びシャフトアクチュエータ係合部材は、非拘束係合又は拘束係合のいずれかにあってよい。
【0007】
1つの態様において、手術器具は、エンドエフェクタと、エンドエフェクタに連結される第1の係合部材と、エンドエフェクタに連結される第2の係合部材とを含む。第1及び第2の係合部材は、手術器具のための駆動ユニットの対応する第1及び第2のアクチュエータと非拘束係合にあるように構成される。更なる態様において、器具は、駆動ユニットの対応する器具シャフトアクチュエータと非拘束係合又は拘束係合にあるように構成されるシャフトアクチュエータ係合部材を含む。
【0008】
1つの態様において、本開示は、コンピュータ支援遠隔操作手術システムのための手術器具に向けられている。手術器具は、近位端部分、近位端部分から延びる器具シャフト(器具シャフトは、近位端部分とは反対側の遠位端部分を含む)、遠位端部に連結されるエンドエフェクタ(エンドエフェクタは、少なくとも第1の自由度を有することにより、エンドエフェクタは、器具シャフトに対して移動可能である)、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第1の張力付与部材、及び、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第2の張力付与部材を含む。第2の張力付与部材は、第2のアクチュエータ係合部材で終端する。第2のアクチュエータ係合部材は、近位端部分に移動可能に連結される。器具シャフトは、手術器具の長手方向軸を定める。第1の張力付与部材は、第1のアクチュエータ係合部材で終端する。第1のアクチュエータ係合部材は、近位端部分に移動可能に連結される。第1のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第2のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させ、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第1の方法で移動させる。第1の方法は、第1の自由度によって容易にされる移動を含む。第2のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第1のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させ、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第2の方法で移動させる。第2の方法は、第1の自由度によって容易にされ、第1の方法と反対である。第1のアクチュエータ係合部材及び第2のアクチュエータ係合部材は、手術器具の長手方向軸に沿う同じ長手方向場所に位置決め可能である。
【0009】
そのような手術器具は、以下の構成のうちの1以上を任意的に含んでよい。近位端部分は、手術器具の手動の握り及び操作を容易にするように構成されるハンドルを含んでよい。ハンドルは、近位端部分の他の部分に対して長手方向軸から径方向に延びてよい。ハンドルは、手術器具に関する情報を格納するRFIDチップを含んでよい。ハンドルは、手術器具の種類を識別するしるし(indicium)を含んでよい。手術器具は、近位端部分に連結される器具シャフトアクチュエータ係合部材を含んでもよい。器具シャフトアクチュエータ係合部材は、ラッチ機構を含んでよい。第1のアクチュエータ係合部材及び第2のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、近位端部分にスライド可能に連結されてよい。手術器具は、第1の張力付与部材及び第2の張力付与部材に張力を掛ける1以上の予荷重張力付与部材を含んでもよい。1以上の予荷重張力付与部材は、それぞれ、バネを含んでよい。第1の張力付与部材及び第2の張力付与部材は、それぞれ、ケーブルを含んでよい。エンドエフェクタは、少なくとも第2の自由度を有してよい。手術器具は、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第3の張力付与部材(第3の張力付与部材は、第3のアクチュエータ係合部材で終端してよく、近位端部分に移動可能に連結されてよい)、及び、エンドエフェクタに結合され、器具シャフトに沿って延びる、第4の張力付与部材(第4の張力付与部材は、第4のアクチュエータ係合部材で終端してよく、近位端部分に移動可能に連結されてよい)を更に含んでよい。第3のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第4のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させることがあり、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第3の方法で移動させることがある(第3の方法は、第2の自由度によって容易にされる移動を含む)。第4のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第3のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させることがあり、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第4の方法で移動させることがある(第4の方法は、第2の自由度によって容易にされ、第3の方法と反対である)。幾つかの実施形態では、(i)第1のアクチュエータ係合部材、(ii)第2のアクチュエータ係合部材、(iii)第3のアクチュエータ係合部材、及び(iv)第4のアクチュエータ係合部材のそれぞれは、手術器具の長手方向軸に沿う同じ長手方向場所に位置決め可能である。第3のアクチュエータ係合部材及び第4のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、近位端部分にスライド可能に連結されてよい。
【0010】
他の態様において、本開示は、コンピュータ支援遠隔操作手術システムのための手術器具に向けられている。手術器具は、近位端部分、近位端部分から延びる器具シャフト(器具シャフトは、近位端部分とは反対側の遠位端部分を含み、手術器具の長手方向軸を定める)。遠位端部分に連結されるエンドエフェクタ(エンドエフェクタは、少なくとも第1の自由度を有することにより、エンドエフェクタは、器具シャフトに対して移動可能である)、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第1の張力付与部材(第1の張力付与部材は、近位端部分に移動可能に連結される第1のアクチュエータ係合部材で終端する)、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第2の張力付与部材(第2の張力付与部材は、近位端部分に移動可能に連結される第2のアクチュエータ係合部材で終端する)、及び、近位端部分に連結される器具シャフトアクチュエータ係合部材を含む。第1のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第2のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させ、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第1の方法で移動させる。第1の方法は、第1の自由度によって容易にされる移動を含む。第2のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第1のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させ、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第2の方法で移動させる。第2の方法は、第1の自由度によって容易にされ、第1の方法と反対である。第1のアクチュエータ係合部材及び第2のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、近位に方向付けられる力を受け取ることに応答してエンドエフェクタの移動を容易にするように構成され、それぞれ、遠位に方向付けられる力を受け取ることに応答してエンドエフェクタの移動を容易にするように構成されない。器具シャフトアクチュエータ係合部材は、遠位に方向付けられる力を受け取ることに応答して手術器具全体の遠位への移動を容易にするように構成される。
【0011】
そのような手術器具は、以下の構成のうちの1以上を任意的に含んでよい。近位端部分は、手術器具の手動の握り及び操作を容易にするように構成されるハンドルを含んでよい。ハンドルは、近位端部分の他の部分に対して長手方向軸から径方向に延びてよい。ハンドルは、手術器具に関する情報を格納するRFIDチップと、手術器具の種類を識別するしるしとを含んでよい。器具シャフトアクチュエータ係合部材は、近位に方向付けられる力を受け取ることに応答して手術器具全体の近位への移動を容易にするように構成されてよい。器具シャフトアクチュエータ係合部材は、ラッチ機構を含んでよい。第1のアクチュエータ係合部材及び第2のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、近位端部分にスライド可能に連結されてよく、手術器具の長手方向軸に沿う同じ長手方向場所に位置決め可能であってよい。手術器具は、第1の張力付与部材及び第2の張力付与部材に張力を与える1以上の予荷重張力付与部材を含んでもよい。1以上の予荷重張力付与部材は、それぞれ、バネを含んでよい。エンドエフェクタは、少なくとも第2の自由度を有してよい。手術器具は、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第3の張力付与部材(第3の張力付与部材は、近位端部分に移動可能に連結されてよい第3のアクチュエータ係合部材で終端してよい)、及び、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第4の張力付与部材(第4の張力付与部材は、近位端部分に移動可能に連結されてよい第4のアクチュエータ係合部材で終端してよい)。第3のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第4のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させることがあり、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第3の方法で移動させることがある。第3の方法は、第2の自由度によって容易にされる移動を含んでよい。第4のアクチュエータ係合部材を近位に移動させることは、第3のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させることがあり、エンドエフェクタを器具シャフトに対して第4の方法で移動させることがある。第4の方法は、第2の自由度によって容易にされ、第3の方法と反対であってよい。第3のアクチュエータ係合部材及び第4のアクチュエータ係合部材は、それぞれ、近位に方向付けられる力を受け取ることに応答してエンドエフェクタを移動させるように構成されてよく、それぞれ、遠位に方向付けられる力を受け取ることに応答してエンドエフェクタを移動させないように構成されてよい。幾つかの実施形態では、(i)第1のアクチュエータ係合部材、(ii)第2のアクチュエータ係合部材、(iii)第3のアクチュエータ係合部材、及び(iv)第4のアクチュエータ係合部材のそれぞれは、手術器具の長手方向軸に沿う同じ長手方向場所に位置決め可能であってよい。
【0012】
他の態様において、本開示は、手術器具を長手方向軸に沿って遠位方向に移動させて器具駆動システムと解放可能に係合させることによって、手術器具と選択的に連結されるように構成される、手術器具及び器具駆動システムに向けられている。手術器具は、近位端部分、近位端部分から延びる器具シャフト(器具シャフトは、近位端部分とは反対側の遠位端部分を含み、手術器具の長手方向軸を定める)、遠位端部分に取り付けられるエンドエフェクタ(エンドエフェクタは、少なくとも第1の自由度を有することにより、エンドエフェクタは、器具シャフトに対して移動可能である)、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第1の張力付与部材、及び、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第2の張力付与部材を含む。器具駆動システムは、器具シャフトに対して第1の方法でエンドエフェクタを移動させることができる第1の引張力で第1の張力付与部材に張力を付与する第1のアクチュエータ(第1の方法は、第1の自由度によって容易にされる)、器具シャフトに対して第2の方法でエンドエフェクタを移動させることができる第2の引張力で第2の張力付与部材に張力を付与する第2のアクチュエータ(第2の方法は、第1の自由度によって容易にされ、第1の方法と反対である)、及び、器具シャフトに力を加えるシャフトアクチュエータ(器具シャフトに対する力は、第1の引張力及び第2の引張力と方向的に反対である)を含む。
【0013】
そのような手術器具システムは、以下の構成のうちの1以上を任意的に含んでよい。近位端部分は、手術器具の手動の握り及び操作を容易にするように構成されるハンドルを含んでよい。ハンドルは、長手方向軸から径方向に延びてよく、手術器具が器具駆動システムと連結される間に、器具駆動システムの隣接部分よりも更に遠く径方向に延びてよい。器具駆動システムと手術器具との選択的な連結は、長手方向軸に沿って遠位に移動させられる手術器具をスライド可能に受ける器具駆動システムによって容易にされてよい。手術器具は、シャフトアクチュエータが解放可能に連結する器具シャフトアクチュエータ係合部材を含んでもよい。器具シャフトアクチュエータ係合部材は、ラッチ機構を含んでよい。ラッチ機構は、手術器具が器具駆動システムと連結される間に、長手方向軸から径方向に延びてよく、器具駆動システムの隣接部分よりも更に遠く径方向に延びてよい。第1の張力付与部材は、近位端部分にスライド可能に連結される第1のアクチュエータ係合部材で終端してよい。第2の張力付与部材は、近位端部分にスライド可能に連結される第2のアクチュエータ係合部材で終端してよい。第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータ係合部材と選択的に連結可能であってよい。第2のアクチュエータは、第2のアクチュエータ係合部材と選択的に連結可能であってよい。第1の引張力及び第2の引張力は、器具シャフトに沿って平行であってよく、近位端に向かって方向付けられてよい。器具シャフトに対する力は、器具シャフトに沿って遠位端部分に向かって方向付けられてよい。第1の引張力が第2の引張力よりも大きいとき、エンドエフェクタは、器具シャフトに対して第1の方法で移動してよい。第2の引張力が第1の引張力よりも大きいとき、エンドエフェクタは、第1の方法とは反対であってよい第2の方法で移動することがある。器具シャフトに対する力が第1の引張力に第2の引張力を加えた合計よりも大きいとき、器具シャフトは、器具駆動システムに対して遠位に移動することがある。器具シャフトに対する力が第1の引張力に第2の引張力を加えた合計よりも小さいとき、器具シャフトは、器具駆動システムに対して近位に移動することがある。エンドエフェクタは、少なくとも第2の自由度を有してよい。手術器具は、以下も含んでよい。エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第3の張力付与部材、器具シャフトに対して第3の方法でエンドエフェクタを移動させることができる第3の引張力で第3の張力付与部材に張力を付与する第3のアクチュエータ(第3の方法は、第2の自由度によって容易にされる移動を含んでよい)、エンドエフェクタに連結され、器具シャフトに沿って延びる、第4の張力付与部材、及び、器具シャフトに対して第4の方法でエンドエフェクタを移動させることができる第4の引張力で第4の張力付与部材に張力を付与する第4のアクチュエータ(第4の方法は、第2の自由度によって容易にされてよく、第3の方法と反対であってよい)。第3の引張力が第4の引張力よりも大きいとき、エンドエフェクタは、器具シャフトに対して第3の方法で移動することがある。第4の引張力が第3の引張力よりも大きいとき、エンドエフェクタは、第3の方法とは反対の第4の方法で移動することがある。器具シャフトに対する力が、第1の引張力に第2の引張力を加え、第3の引張力を加え、第4の引張力を加えた合計よりも大きいとき、器具シャフトは、器具駆動システムに対して遠位に移動することがある。器具シャフトに対する力が、第1の引張力に第2の引張力を加え、第3の引張力を加え、第4の引張力を加えた合計よりも小さいとき、器具のシャフトは、器具駆動システムに対して近位に移動することがある。手術器具システムは、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータが、それぞれ、第1の張力付与部材及び第2の張力付与部材に張力を付与していない間に第1の張力付与部材及び第2の張力付与部材に張力を付与する1以上の予荷重張力付与部材を含んでもよい。1以上の予荷重張力付与部材は、それぞれ、バネを含んでよい。手術器具システムは、以下を含んでもよい。第1の引張力を検出する第1の力センサ、第2の引張力を検出する第2の力センサ、及び、器具シャフトに対する力を検出する器具シャフト力センサ。第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、及びシャフトアクチュエータのそれぞれは、親ネジを含む線形アクチュエータであってよい。幾つかの実施形態では、手術器具システムの全体が、長手方向軸についてロールするように構成される。
【0014】
本明細書に記載する実施形態の一部又は全部は、以下の利点のうちの1以上を提供することがある。幾つかの場合には、本明細書で提供される遠隔操作手術器具は、ケーブル伸張の影響を打ち消すように有利に構成される。従来的な遠隔操作手術器具内のケーブルは製造中に予め張力が付与されるが、その張力は時間の経過と共に減少する傾向を有することがある。何故ならば、ケーブルは、器具が使用されるに応じて伸張することがあるからである。そのような張力の減少は、幾つかの場合には、遠隔操作手術器具の制御精度の低下に寄与し得る。加えて、熱及び湿分を使用する遠隔操作手術器具をオートクレーブ滅菌は、ケーブルの伸張とケーブル張力の損失とを悪化させ得る。本明細書で提供される遠隔操作手術器具は、器具の制御の精度を損失せずにケーブル伸張を有利に補償する。更に、本明細書で提供される遠隔操作手術器具は、使用されていないが、ケーブル上の張力は器具の操作中の張力よりも有利には小さい。更に、本明細書で提供される遠隔操作手術器具は、ケーブル張力に関する製造公差を有利に補償する。その結果、器具の製造プロセスを合理化することができ、より費用効率的にすることができる。
【0015】
加えて、本明細書で提供される遠隔操作手術器具は、コンパクトであり且つ比較的低い質量及び慣性を有する器具駆動システムとインターフェース接続するように有利に構成される。加えて、質量分布は、慣性が実質的に一定であり、従って、予測可能であるよう、実質的に一定である。
【0016】
一層更に、幾つかの実施形態において、本明細書で提供される遠隔操作手術器具は、容易に取り外し可能な方法で器具駆動システムとインターフェース接続するよう有利に構成される。例えば、幾つかの実施形態では、単にラッチ機構を作動させて、器具を近位に後退させて駆動システムとの係合から外すことによって、手術器具を器具駆動システムから取り外すことができる。手術器具と器具駆動システムとの間のそのような容易に取り外し可能なインターフェースは、緊急事態における迅速な器具の取外し及び他の手術器具と1つの手術器具の一般的な交換の間のユーザの便宜のような、利点を提供することができる。
【0017】
1以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の記述中に示されている。他の構成、目的、及び利点は、本記述及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コンピュータ支援遠隔操作手術システムの例示的な患者側ユニットの斜視図である。
【0019】
図2】コンピュータ支援遠隔操作手術システムの例示的な外科医制御ユニットの正面図である。
【0020】
図3】コンピュータ支援遠隔操作手術システムの例示的なマニピュレータアームアセンブリの側面図である。
【0021】
図4】患者側コンピュータ支援遠隔操作手術システムの他の種類の斜視図である。
【0022】
図5】第1の姿勢にある例示的な手術器具の遠位端部分の斜視図である。
【0023】
図6】第2の姿勢にある図5の手術器具の遠位端部分の斜視図である。
【0024】
図7】第3の姿勢にある図5の手術器具の遠位端部分の斜視図である。
【0025】
図8】幾つかの実施形態に従った例示的な遠隔操作手術器具の簡略化された概略図である。
【0026】
図9】幾つかの実施形態に従った例示的な器具駆動システムと連結される図8の遠隔操作手術器具の概略図である。
【0027】
図10図9の駆動システム及び器具に関する力図である。
【0028】
図11】例示的な姿勢に方向付けられたエンドエフェクタを備える図9の駆動システム及び器具の概略図である。
【0029】
図12】エンドエフェクタがその例示的な姿勢において方向付けられたままの間に、器具が駆動システムに対して遠位に延ばされた状態の、図11の駆動システム及び器具の概略図である。
【0030】
図13】エンドエフェクタがその例示的な姿勢において方向付けられたままの間に、器具が駆動システムに対して近位に後退させられた状態の、図11の駆動システム及び器具の概略図である。
【0031】
図14】ケーブル張力のような力を検出するための力センサの例示的な場所を示す図11の駆動システム及び器具の一部分の概略図である。
【0032】
図15図9の概略図に従って構成された例示的な手術器具の斜視図である。
【0033】
図16図15の手術器具の近位端部分の斜視図である。
【0034】
図17図15の手術器具の他の斜視図である。
【0035】
図18図15の手術器具の近位端図である。
【0036】
図19図15の手術器具を幾つかの実施形態に従った例示的な器具駆動システムとどのように連結することができるかを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0037】
様々な図面中の同等の参照記号は、同等の要素を示している。
【0038】
発明的な態様、実施形態、実装、又は用途を例示する、この記述及び添付の図面は、限定として解釈されてならない。特許請求の範囲が、保護される発明を定義する。様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的な変更が、この記述及び特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、行われてよい。幾つかの例では、本発明を曖昧にしないために、よく知られている回路、構造、又は技法は、詳細に示されないか或いは詳細に記載されない。2以上(2つ又はそれよりも多く)の図中の同等の番号は、同一又は類似の要素を表している。
【0039】
更に、1以上(1つ又はそれよりも多く)の実施形態及び任意的な要素又は構成を記載するために選択される特定の単語は、本発明を限定することを意図しない。例えば、「下(beneath)」、「下(below)」、「下方(lower)」、「上(above)」、「上方(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、及び同等表現のような、空間的に相対的な用語を使用して、図中に例示される他の要素又は構成に対する1つの要素又は構成の関係を記載することがある。これらの空間的に相対的な用語は、図中に示される場所及び向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる場所(即ち、並進配置)及び向き(即ち、回転配置)を包含することを意図する。例えば、図中のデバイスをひっくり返すと、他の要素又は構成の「下(below)」又は「下(beneath)」として記載されている要素は、他の要素又は構成の「上(above)」又は「上(over)」になる。よって、例示的な用語「下(below)」は、上及び下の場所及び向きの両方を包含することができる。デバイスは、他の方法において(例えば、90度回転されて或いは他の向きで)方向付けられてよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は相応して解釈される。同様に、様々な軸に沿う動き(並進)及び様々な軸の周りの動き(回転)の記述は、様々な特定のデバイスの場所及び向きを含む。体の場所及び向きの組み合わせは、体の姿勢を定義する。
【0040】
同様に、「平行(parallel)」、「垂直(perpendicular)」、「丸い(round)」、又は「正方形(square」のような、幾何学的用語は、文脈が他のことを示さない限り、絶対的な数学的精度を必要とすることを意図しない。代わりに、そのような幾何学的用語は、製造機能又は同等機能に起因する変動を許容する。例えば、ある要素が「丸い」又は「概ね丸い」として記載されるならば、正確に円形でない構成要素(例えば、僅かに長円形であるもの又は多辺多角形であるもの)は、依然としてこの記述によって包含される。「含む(including)」又は「有する(having)」という用語は、非限定的に含むことを意味する。
【0041】
この記述は十分に明瞭、簡潔、かつ正確であるように行われているが、綿密で網羅的な言語学的な精密さは必ずしも可能でなく且つ望ましくない。何故ならば、記述は合理的な長さに維持されるべきであり、熟練した読者は、背景及び関連技術を理解するからである。例えば、ビデオ信号を考えると、当業者は、信号を表示するものとして記載されるオシロスコープが信号自体を表示せず、信号の表現を表示すること、並びに信号を表示するものとして記載されるビデオモニタが信号自体を表示せず、信号が運ぶビデオ情報を表示することを理解するであろう。
【0042】
加えて、単数形の表現は、文脈が他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図する。そして、「含む(comprises)」、「含む(includes)」、及び「有する(has)」という用語、並びに同等表現は、述べられる構成、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1以上の他の構成、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。そして、1以上の個々の列挙される品目(items)の各々は、他のことが述べられない限り、任意的であると考えられるべきであり、よって、品目の様々な組み合わせは、各々の可能な組み合わせの網羅的なリストを伴わずに記載される。補助動詞である「may」は、同様に、構成、ステップ、操作、要素、又は構成要素が任意的であることを暗示する。
【0043】
1つの実施形態、実装、又は用途を参照して詳細に記載される要素は、実用的であるときにはいつでも、それらが具体的に示されていない或いは記載されていない他の実施形態、実装、又は用途に含まれることがある。例えば、ある要素が1つの実施形態を参照して詳細に記載され、第2の実施形態を参照して記載されないならば、それにも拘わらず、その要素は、第2の実施形態に含まれるものとして主張されることがある。よって、以下の記述における不必要な繰り返しを避けるために、1つの実施形態、実装、又は用途に関連して示され且つ記載される1以上の要素は、特に他のことが記載されない限り、その1以上の要素が実施形態又は実装を非機能的にしない限り、或いは要素のうちの2以上が矛盾する機能を提供しない限り、他の実施形態、実装、又は態様に組み込まれてよい。
【0044】
連結されるものとして記載される要素は、電気的又は機械的に直接的に連結されてよく、或いはそれらは1以上の中間構成要素を介して間接的に連結されてよい。
【0045】
機械的構造、構成要素、又は構成要素アセンブリのような、部品と関連付けられる「可撓性(フレキシブル)(flexible)」という用語は、広義に解釈されるべきである。本質的には、この用語は、部品に害を与えることなく部品を繰り返し曲げ且つ元の形状に復元することができることを意味する。多くの「剛性(rigid)」物体は、材料特性の故に僅かに固有の弾力性のある「曲げ容易性(bendiness)」を有するが、そのような物体は、本明細書で使用されるような「可撓性」とは考えられない。可撓性部品は、無限の自由度(DOF)を有することがある。そのような部品の例は、多くの場合に有意な断面変形を伴わずに様々な単純な又は複合的な曲線に曲げることができる、閉塞された(例えば、ニチノール、ポリマ、軟質ゴム、及び同等物で作られる)曲げ可能なチューブ、螺旋コイルバネなどを含む。他の可撓性部品は、一連の「椎骨(vertebrae)」の蛇のような配置に類似する一連の密接に離間する構成要素を使用することによって、そのような無限の自由度部品に近似することがある。そのような椎骨配置において、各構成要素は、運動連鎖内の短いリンクであり、各リンク間の可動な機械的制約(例えば、ピンヒンジ、カップアンドボール、ライブヒンジ、及び同等物)は、リンク間の相対移動の1つのDOF(例えば、ピッチ)又は2つのDOF(例えば、ピッチ及びヨー)を許容することがある。可撓性部品自体が幾つかの連結されたリンクから成る運動連鎖であることがあるとしても、短い可撓性部品は、運動連鎖内の2つのリンク間に1以上の自由度をもたらす単一の機械的拘束(ジョイント)として機能し且つモデル化されることがある。知識のある人々は、部品の可撓性(フレキシビリティ)(flexibility)がその剛性(stiffness)において表現される場合があることを理解するであろう。
【0046】
この記述中で他のことが述べられない限り、機械的構造、構成要素、又は構成要素アセンブリのような、可撓性部分は、能動的に又は受動的に可撓であることがある。能動的に可撓性部品は、部品自体に固有に関連付けられる力を使用することによって曲げられることがある。例えば、1以上の腱(テンドン)は、部品に沿って長さ方向に経路制御され、部品の長手方向軸からオフセットされることがあるので、1以上の腱に対する張力は、その部品又はその部品の一部分を曲げる。能動的に可撓性部分を能動的に曲げる他の方法は、非限定的に、空圧力又は液圧力、ギア、電気活性ポリマ(より一般的には「人工筋肉」)、及び同等物の使用を含む。受動的に可撓性部品は、部品に対する外力(例えば、加えられた機械的力又は電磁力)を使用することによって曲げられる。受動的に可撓性部品は、再び曲げられるまで、その曲げられた形状に留まることがあり、或いは、受動的に可撓性部品は、部品を元の形状に復元する傾向を有する固有の特性を有することがある。固有の剛性を備える受動的に可撓性部品の例は、プラスチックロッド又は弾性ゴムチューブである。その固有に関連付けられる力によって作動されないとき、能動的に可撓性部分は、受動的に可撓であることがある。単一の部品は、直列の1以上の能動的に及び受動的に可撓性部品で作られてよい。
【0047】
遠隔操作手術システムの一例は、Sunnyvale,
CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical、Inc.によって商品化されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemである。発明的な態様は、コンピュータ支援遠隔操作手術システムと関連付けられている。知識のある人々は、本明細書に開示される発明的な態様が、コンピュータ支援実施形態及び実装並びに手動実施形態及び実装とコンピュータ支援実施形態及び実装との混成の組み合わせを含む、様々な方法で具現され且つ実施される場合があることを理解するだろう。適用可能な場合、発明的な態様は、比較的小さい手持ち式手動デバイス及び追加的な機械的支持体を有する比較的より大きいシステムの両方、並びにコンピュータ支援遠隔操作医療デバイスの他の実施形態において具現され且つ実施されてよい。加えて、発明的な態様は、遠隔操作動作というよりもむしろ自律的作用を含むコンピュータ支援手術システムにおける進歩と関連付けられるので、たとえ記述が遠隔操作システムに集中するとしても、遠隔操作手術システム及び自律手術システムの両方が含まれる。
【0048】
コンピュータは、プログラムされた命令に従って入力情報に対して数学的又は論理的機能を実行して、処理された出力情報を生成する、機械である。コンピュータは、数学的又は論理的機能を実行する論理ユニットと、プログラムされた命令、入力情報、及び出力情報を格納するメモリとを含む。「コンピュータ」という用語及び「プロセッサ」又は「コントローラ」のような類似の用語は、集中型の単一場所実装及びと分散型の実装の両方を含む。
【0049】
本開示は、改良された手術及び遠隔手術デバイス、システム、及び方法を提供する。発明的な着想は、外科処置中に複数の手術ツール又は器具が関連する複数の遠隔操作マニピュレータ上に取り付けられ且つそれらによって動かされる遠隔手術システムと共に使用するために特に有利である。遠隔操作手術システムは、しばしば、マスタ-スレーブコントローラとして構成されたプロセッサを含む、遠隔ロボットシステム、遠隔手術システム、及び/又はテレプレゼンスシステムを含む。比較的多数の自由度を有する関節作動リンケージを備えるマニピュレータアセンブリを動かすように適切に構成されたプロセッサを利用する遠隔操作手術システムを提供することによって、リンケージの動きを、最小侵襲アクセス部位を通じる作業に合わせて調整することができる。より多数の自由度は、プロセッサがマニピュレータを位置決めしてこれらの移動構造間の干渉又は衝突及び同等のことを抑制することを可能にすることもある。
【0050】
本明細書に記載するマニピュレータアセンブリは、しばしば、遠隔操作マニピュレータと、その上に取り付けられるツール(しばしば手術バージョンの手術器具を含むツール)とを含むが、「マニピュレータアセンブリ」という用語は、その上に取り付けられるツールを伴わないマニピュレータも包含する。「ツール」という用語は、一般的な又は工業用のロボットツール及び特殊なロボット手術器具の両方を包含し、これらの後者の構造は、しばしば、組織の操作、組織の治療、組織の撮像、又は同等のことに適した、エンドエフェクタを含む。ツール/マニピュレータインタフェースは、しばしば、迅速切断ツールホルダ又は継手(coupling)であることで、ツールの迅速な取外し及び代替的なツールとの交換を可能にする。マニピュレータアセンブリは、しばしば、遠隔手術処置の少なくとも一部の間に空間内に固定されるベース(基部)を有し、マニピュレータアセンブリは、ベースとツールのエンドエフェクタとの間に多数の自由度を含むことがある。(把持デバイスのジョーを開閉させること、電気外科パドルを通電させること、又は同等のことのような)エンドエフェクタの作動は、しばしば、これらのマニピュレータアセンブリの自由度とは別個であり且つそれらに対して追加的である。
【0051】
エンドエフェクタは、典型的には、2~6自由度の間で作業空間内を移動する。本明細書で使用するとき、「位置(position)」という用語は、場所(location)及び向き(orientation)の両方を包含する。故に、(例えば)エンドエフェクタの位置の変化は、第1の位置から第2の位置へのエンドエフェクタの並進、第1の向きから第2の向きへのエンドエフェクタの回転、又はそれらの組み合わせを包含することがある。従って、本明細書で使用するとき、「エンドエフェクタ(end effector)」という用語は、その最遠位の部分又は複数の部分(例えば、(複数の)ジョー及び同等物)の向き又は位置を変更する機能(例えば、「リスト(手首)(wrist)」機能、平行移動機能)を含むが、これらに限定されない。
【0052】
最小襲遠隔操作手術のために使用するとき、マニピュレータアセンブリの動きは、ツール又は器具のシャフト又は中間部分が最小侵襲手術アクセス部位又は他の孔を通じる安全な動きに拘束されるよう、システムのプロセッサによって制御されてよい。そのような動きは、例えば、孔部位を通じるシャフトの軸方向挿入、その軸についてのシャフトの回転、及びアクセス部位に隣接するピボット点(枢動点)についてのシャフトのピボット運動(枢動運動)を含むことがあるが、さもなければ孔に隣接する組織を引き裂くか或いは不注意にアクセス部位を拡大することがあるシャフトの過剰な横方向の動きをしばしば妨げる。アクセス部位でのマニピュレータの動きに対するそのような制約の一部又は全部は、不適切な動きを抑制する機械的なマニピュレータジョイントリンケージを使用して課されてよく、或いはロボットデータ処理及び制御技法を使用して部分的又は完全に課されてよい。故に、マニピュレータアセンブリのそのような最小侵襲孔拘束運動は、マニピュレータアセンブリの0~3の間の自由度を利用することがある。
【0053】
本明細書に記載する例示的なマニピュレータアセンブリの多くは、手術部位内でエンドエフェクタを位置決めして移動させるのに必要とされるよりも多くの自由度を有する。例えば、低侵襲孔を通じて内部手術部位に6自由度で位置決めされることができる手術エンドエフェクタは、幾つかの実施形態において、9自由度(6エンドエフェクタ自由度-場所についての3自由度及び向きについての3自由度に加えて、アクセス部位拘束に従う3自由度)を有することがあるが、しばしば10以上の自由度を有する。所与のエンドエフェクタ位置に必要とされるよりも多くの自由度を有する高度に構成可能なマニピュレータアセンブリは、作業空間内のエンドエフェクタ位置についてある範囲のジョイント状態を可能にするのに十分な自由度を有するか或いは提供するものとして記載されることができる。例えば、所与のエンドエフェクタ位置について、マニピュレータアセンブリは、ある範囲の代替的なマニピュレータリンケージ位置のうちのいずれかを占めることがある(そして、それらの間で駆動させられることがある)。同様に、所与のエンドエフェクタ速度ベクトルについて、マニピュレータアセンブリは、マニピュレータアセンブリの様々なジョイントについて、ある範囲の異なるジョイント移動速度を有することがある。
【0054】
図1及び図2を参照すると、(本明細書では「最小侵襲ロボット手術」と呼ぶ)最小侵襲コンピュータ支援遠隔手術のためのシステムは、患者側ユニット100と、外科医制御ユニット40とを含むことができる。遠隔手術は、外科医が、器具を直接的に手で保持して動かすというよりもむしろロボット技術を使用することによって手術器具の動きを操作するために、何らかの形態の遠隔制御装置、例えば、サーボ機構又は同等物を使用する、手術システムについての一般的な用語である。ロボット操作可能な手術器具を小さな最小侵襲手術孔を通じて挿入して患者内の手術部位で組織を治療することができることで、観血手術のためのアクセスと関連付けられる外傷を回避することができる。これらのロボットシステムは、しばしば、最小侵襲孔で器具のシャフトを枢動させること、孔を通じてシャフトを軸方向にスライドさせること、孔内でシャフトを回転させること、及び/又は同等のことによって、非常に複雑な手術タスクを行うのに十分な器用さで、手術器具の作業端を動かすことができる。
【0055】
描写する実施形態において、患者側ユニット100は、ベース110と、第1のロボットマニピュレータアームアセンブリ120と、第2のロボットマニピュレータアームアセンブリ130と、第3のロボットマニピュレータアームアセンブリ140と、第4のロボットマニピュレータアームアセンブリ150とを含む。図示のように、ベース110は、床の上に位置する部分と、垂直コラムと、水平ブームとを含み、患者側ユニットを機械的に接地させる他のベース構成が任意的に使用されてよい。各ロボットマニピュレータアームアセンブリ120,130,140,150は、ベース110に対して枢動可能に連結される。幾つかの実施形態では、4つよりも少ない又は4つよりも多いロボットマニピュレータアームアセンブリが、患者側ユニット100の一部として含められてよい。描写する実施形態において、ベース110は、移動性を容易にするキャスタを含むが、幾つかの実施形態において、患者側ユニット100は、床、天井、手術台、構造枠組、又は同等物に固定的に取り付けられる。
【0056】
典型的な用途において、ロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、又は150のうちの2つは、手術器具を保持し、第3のものは、立体内視鏡を保持する。残余のロボットマニピュレータアームアセンブリは利用可能であるので、他の器具が作業部位で導入されてよい。代替的に、残余のロボットマニピュレータアームアセンブリは、第2の内視鏡、又は超音波トランスデューサのような他の画像取込みデバイスを作業部位に導入するために使用されてよい。
【0057】
ロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、及び150の各々は、従来的には、互いに連結されて作動可能なジョイントを通じて操作されるリンクから形成される。ロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、及び150の各々は、セットアップアームと、デバイスマニピュレータとを含む。セットアップアームは、ピボット点が患者へのその入口孔で生じるよう、その保持されるデバイスを位置決めする。次に、デバイスマニピュレータは、その保持されるデバイス(ツール;手術器具)がピボット点について枢動させられ、入口孔に挿入させられ且つ入口孔から引っ込められ、そのシャフト軸について回転させられるよう、その保持されるデバイスを操作してよい。
【0058】
描写する実施形態において、外科医コンソール40は、ユーザが患者側カート100の立体視カメラによって取り込まれる画像から立体視野で手術部位を見ることがあるよう、立体視野ディスプレイ45を含む。ユーザがユーザの左右の眼でディスプレイ45内の左右のディスプレイスクリーンをそれぞれ見ることがあるように、左右の接眼レンズ
46,47が、立体視野ディスプレイ45内に設けられる。典型的には、適切なビューア又はディスプレイ上で手術部位の画像を見ながら、外科医は、マスタ制御入力デバイスを操作することによって患者に外科処置を実行し、次いで、マスタ制御入力デバイスは、ロボット器具の動きを制御する。
【0059】
外科医コンソール40は、好ましくは6自由度(「DOF」)において患者側カート100のロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、及び150によって保持されるデバイス(例えば、手術器具)を操作するために、ユーザが自分の左手及び右手でそれぞれ握ることがある、左右の入力デバイス41、42も含む。褄先制御装置と踵制御装置とを備えるフットペダル44が外科医コンソール40に設けられることで、ユーザはフットペダルと関連付けられるデバイスの動き及び/又は作動を制御することがある。システムへの追加的な入力は、入力49によって例示するように、ボタン、タッチパッド、音声、及び同等物のような、1以上の他の入力を介して行われてよい。
【0060】
プロセッサ43は、制御及び他の目的のために外科医コンソール40に設けられる。プロセッサ43は、医療ロボットシステムにおける様々な機能を実行する。プロセッサ43によって実行される1つの機能は、外科医が手術器具のようなデバイスを効果的に操作することができるよう、入力デバイス41、42の機械的運動を並進及び伝達して、それらの関連するロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、及び150内のそれぞれのジョイントを作動させることである。プロセッサ43の他の機能は、本明細書に記載する方法、クロスカップリング制御論理、及びコントローラを実施することである。
【0061】
プロセッサとして記載しているが、プロセッサ43は、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせによって実装されてよいことが理解されるべきである。また、本明細書に記載するその機能は、1つのユニットによって実行されてよく、或いは多数のサブユニットの間で分割されてよく、次いで、サブユニットの各々は、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせによって実装されてよい。更に、外科医制御ユニット40の一部として或いは外科医制御ユニット40に物理的に隣接して示しているが、プロセッサ43は、遠隔手術システム全体に亘るサブユニットとして分散されてもよい。従って、本明細書で言及する制御態様は、集中形態又は分散形態のいずれかにおいてプロセッサ43を介して実施される。
【0062】
図3も参照すると、ロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、及び150は、手術器具のようなデバイスを操作して、最小侵襲手術を実行することができる。例えば、描写する構成において、ロボットマニピュレータアームアセンブリ120は、器具ホルダ122に枢動可能に連結されている。次いで、カニューレ180及び手術器具200は、器具ホルダ122に解放可能に連結されている。カニューレ180は、手術中に患者インターフェース部位に配置される管状部材である。カニューレ180は、手術器具200の細長いシャフト220がスライド可能に配置される管腔を定める。以下に更に記載するように、幾つかの実施形態において、カニューレ180は、体壁開創器部材(body wall retractor member)を備える遠位端部分を含む。
【0063】
器具ホルダ122は、ロボットマニピュレータアームアセンブリ120の遠位端に枢動可能に連結されている。幾つかの実施形態において、機器ホルダ122とロボットマニピュレータアームアセンブリ120の遠位端との間の枢動可能な連結は、外科医コンソール40及びプロセッサ43から作動可能な電動ジョイントである。
【0064】
器具ホルダ122は、器具ホルダフレーム124と、カニューレクランプ126と、器具ホルダキャリッジ128とを含む。描写する実施形態において、カニューレクランプ126は、器具ホルダフレーム124の遠位端に固定されている。カニューレクランプ126を作動させて、カニューレ180と連結させることができ、或いはカニューレ180から切り離すことができる。器具ホルダキャリッジ128は、器具ホルダフレーム124に移動可能に連結されている。より具体的には、器具ホルダキャリッジ128は、器具ホルダフレーム124に沿って線形に並進可能である。
幾つかの実施形態において、器具ホルダフレーム124に沿う器具ホルダキャリッジ128の移動は、プロセッサ43によって作動可能/制御可能な電動並進移動である。
【0065】
手術器具200は、伝達アセンブリ210と、細長いシャフト220と、エンドエフェクタ230とを含む。伝達アセンブリ210は、器具ホルダキャリッジ128と解放可能に連結可能である。シャフト220は、伝達アセンブリ210から遠位に延びている。エンドエフェクタ230は、シャフト220の遠位端に配置されている。
【0066】
シャフト220は、カニューレ180の長手方向軸と一致する長手方向軸222を定める。器具ホルダキャリッジ128が器具ホルダフレーム124に沿って並進すると、手術器具200の細長いシャフト220は、長手方向軸222に沿って移動させられる。そのようにして、エンドエフェクタ230を患者の体内の手術作業空間に挿入することができ、且つ/或いはそこから後退させることができる。
【0067】
図4も参照すると、最小侵襲コンピュータ支援遠隔操作手術のための他の例示的な患者側システム160は、第1のロボットマニピュレータアームアセンブリ162及び第2のロボットマニピュレータアームアセンブリ164を含み、それらはそれぞれ手術台10に取り付けられている。幾つかの場合には、患者側システム160のこの構成を、図1の患者側ユニット100の代替として使用することができる。2つのロボットマニピュレータアームアセンブリ162及び164のみを示しているが、幾つかの構成では、2つよりも多く(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、及び6つよりも多く)を含むことができることが理解されるべきである。
【0068】
幾つかの場合、手術台10は手術中に移動させられるか或いは再構成されることがある。例えば、幾つかの場合、手術台10は、様々な軸について傾けられることがあり、上昇させられることがあり、下降させられることがあり、枢動させられることがあり、回転させられることがあり、且つ同等のことがある。幾つかの場合には、手術台10の向きを操作することによって、臨床医は、重力の効果を利用して、患者の内臓を、拡張手術アクセス(enhanced surgical access)を容易にする位置に位置決めすることができる。幾つかの場合、手術台10のそのような移動は、コンピュータ支援遠隔操作手術システムの一部として統合されてよく、システムによって制御されてよい。
【0069】
図5図7も参照すると、異なる種類及び異なるエンドエフェクタ230の様々な代替的なコンピュータ支援遠隔操作手術器具が使用されてよく、マニピュレータのうちの少なくとも一部のマニピュレータの器具が外科処置中に取り外され且つ交換される。例えば、ドベーキー鉗子(DeBakey Forceps)56i、マイクロ鉗子(microforceps)56ii、及びポット鋏(Potts scissors)56iiiを含む、これらのエンドエフェクタのうちの幾つかは、一対のエンドエフェクタジョーを定めるよう互いに対して枢動する第1及び第2のエンドエフェクタ要素56a,56bを含む。 メス及び電気焼灼プローブを含む、他のエンドエフェクタは、単一のエンドエフェクタ要素を有する。エンドエフェクタジョーを有する器具の場合、ジョーは、しばしば、入力デバイス41,42のグリップ部材を絞ることによって作動される。
【0070】
幾つかの場合、コンピュータ支援遠隔操作手術器具は、非限定的に、ロール、ピッチ、ヨー、挿入深さ、ジョーの開閉、ステープル送達の作動、電気焼灼のアクティブ化、及び同等のことのような、複数の自由度を含む。そのような自由度のうちの少なくとも一部を、手術器具を選択的に連結することができる器具駆動システムによって作動させることができる。
【0071】
幾つかの実施形態において、コンピュータ支援遠隔操作手術器具は、非限定的に、把持又は剪断のために設計された対向するジョーのような、2つの個別に移動可能な構成要素を備える、エンドエフェクタを含む。個別に移動可能な構成要素のうちの第2のものが概ね静止的なままでありながら或いは反対方向に移動させられながら、個別に移動可能な構成要素のうちの第1のものが移動させられるとき、エンドエフェクタは、把持、剪断、解放、及び同等のことのための開閉のような、有用な動作を実行することができる。2つの構成要素が同じ方向、速度及び距離において同期的に動かされるとき、結果として生じる運動は、エンドエフェクタの一種のピッチ又はヨー運動である。故に、ジョーのような2つの個別に移動可能な構成要素を備えるエンドエフェクタを有する幾つかの手術器具の実施形態において、この配置は、2自由度(例えば、ピッチ/ヨー動作及び開閉動作)を提供することができる。
【0072】
細長いシャフト220は、エンドエフェクタ230及びシャフト220の遠位端が、(カニューレ180を介して)最小侵襲孔を通じて、しばしば体壁(例えば、腹壁)又は類似物を通じて、手術部位内に遠位に挿入されることを可能にする。幾つかの場合には、カニューレ180の遠位端にある体壁開創器部材(body wall retractor member)を使用して体壁にテントを張り(tent)、それにより、手術作業空間の大きさを増大させることができる。幾つかの場合、手術部位は通気されて(insufflated)よく、患者内のエンドエフェクタ230の動きは、しばしば、少なくとも部分的に、シャフト220が最小侵襲孔を通過する場所の周りでの器具200を枢動によってもたらされる。換言すれば、シャフト220が、エンドエフェクタ50の所望の移動を提供するのを助けるために最小侵襲孔場所を通じて延びるよう、ロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、150は、患者の外側で伝達アセンブリ210を移動させる。故に、ロボットマニピュレータアームアセンブリ120、130、140、150は、しばしば、外科処置中に患者の外側で有意な動きを受ける。
【0073】
図8を参照すると、コンピュータ支援遠隔操作手術システムの一部として使用することができる例示的な手術器具300が概略的に描写されている。手術器具300は、(シャフト220、640と類似する)器具シャフト302を含む。(手術部位から離れる)近位端部分310と、近位端部分310とは反対側の(手術部位に向かう)遠位端部分320とを有する。手術器具300は、(エンドエフェクタ230、650と類似する)エンドエフェクタ330も含む。この概略図において、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して単一の自由度(即ち、エンドエフェクタ330を回転式又は枢動式に偏揺れさせる自由度)を有するものとして描写されている。しかしながら、本明細書に記載する手術器具のエンドエフェクタ330は、1よりも多くの自由度(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は6つよりも多くの自由度)を有することができることが理解されるべきである。その上、エンドエフェクタ330の単一の自由度の脈絡において記載する着想を、手術器具300及びコンピュータ支援遠隔操作手術システムの他の種類の手術器具の複数の自由度の各自由度に拡張することができることが理解されるべきである。
【0074】
例示的な手術器具300は、第1の張力付与部材340や、第1のアクチュエータ係合部材350や、第2の張力付与部材360や、第2のアクチュエータ係合部材370も含む。第1の張力付与部材340は、エンドエフェクタ330に連結され、器具シャフト302に沿って延び、器具シャフト302で、第1の張力付与部材340は、第1のアクチュエータ係合部材350で終端する。同様に、第2の張力付与部材360は、エンドエフェクタ330に連結され、器具シャフト302に沿って延び、器具シャフト302で、第2のアクチュエータ係合部材370で終端する。第1のアクチュエータ係合部材350及び第2のアクチュエータ係合部材370は、手術器具の近位端部分310に移動可能に連結される。幾つかの実施形態において、第1のアクチュエータ係合部材350及び第2のアクチュエータ係合部材370は、手術器具の近位端部分310にスライド可能に連結される。
【0075】
描写の実施形態は、摺動アクチュエータ係合部材350及び370を含むが、幾つかの実施形態では、1以上の他の種類のアクチュエータ係合部材を手術器具300に含めることができる。例えば、幾つかの実施形態では、回転可能なアクチュエータ係合部材が含められる。そのような回転可能なアクチュエータ係合部材を、張力付与部材340及び360と係合するキャプスタン又はプーリに連結することができる。回転可能なアクチュエータ係合部材の回転は、対応する張力付与部材340及び360に張力を加えたり或いは軽減したりすることができる。従って、回転可能なアクチュエータ係合部材を介してエフェクタ330の移動及び張力付与部材340及び360の張力付与を制御することができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360の一部又は全部の部分は、可撓性ケーブル(例えば、非限定的に、撚線タングステンケーブル、ステンレス鋼ケーブルなど)を含む。幾つかの実施形態において、第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360は、単一の連続ケーブルの異なる部分である。幾つかの実施形態では、第1の張力付与部材340と第2の張力付与部材360は、別個のケーブルである。第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360は、非限定的に、ハイポチューブ(hypo-tubes)のような、他の構成要素を追加的に又は代替的に含むことがある。
【0077】
第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360は、それぞれ、エンドエフェクタ330に連結される。描写の実施形態において、第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360は、それぞれ、(キャプスタン、クランクアーム、回転駆動部材などであることができる)プーリ332を介して、エンドエフェクタ330に連結される。故に、第1のアクチュエータ係合部材350の近位への移動は、第2のアクチュエータ係合部材370を遠位に移動させ、エンドエフェクタ330を器具シャフト302に対する第1の方法で移動させる。逆に、第2のアクチュエータ係合部材370の近位への移動は、第1のアクチュエータ係合部材を遠位に移動させ、エンドエフェクタ330を器具シャフト302に対する第2の方法で移動させる。このようにして、エンドエフェクタ330の所望の移動を、制御された方法で容易にすることができる。その上、以下に更に記載するように、アクチュエータ係合部材350及び370を使用してエンドエフェクタ330の動き及び/又は姿勢を制御する間に、張力付与部材340及び360内の張力を同時に制御することができる。実際には、手術器具300の2つの自由度(例えば、エンドエフェクタ330の位置並びに張力付与部材340及び360の張力付与)を本明細書に記載するデバイス及び方法に従って同時に制御することができる。
【0078】
手術器具300は、ここでは、器具駆動システムから分離されているように描写されている。従って、幾つかの実施形態では、第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360の張力は、手術器具300の動作中に使用される張力よりも少なくあり得る。幾つかの場合、手術器具300が使用されていない間に第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360において比較的低い張力を有することは、(例えば、ケーブル伸張の可能性を減少させるのに)有利であり得る。幾つかの実施形態では、予荷重張力付与部材(例えば、図示しないバネ)を手術器具300に含めて、手術器具300が器具駆動システムから分離される間に第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内で最小限の張力を維持することができる。そのような最小限の事前張力付与は、第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360が手術器具300内に所望に配向された(oriented)ままであることを保証するのに役立つことがある。
【0079】
手術器具300は、単一の自由度を有するものとして描写されているが、これは単純化された概略図であること並びに手術器具300は2以上(2つ又はそれよりも多く)の自由度を有することができることが理解されるべきである。(描写するような)手術器具300の単一の自由度に関して本明細書に記載する着想を、本明細書で提供する手術器具の2以上の自由度に外挿することができる。例えば、エンドエフェクタ330が上述のような把持又は剪断のために設計された対向するジョーのような2つの個別に可動な構成要素を含むとき、その構成は2つの自由度(例えば、構成要素が同期的に移動させられるときのピッチ/ヨー運動及び構成要素が非同期的に又は反対に移動させられるときの開閉運動)を提供する。手術器具300を参照して記載する着想をそのようなエンドエフェクタに拡張することは、2つの自由度を作動させる4つのアクチュエータ係合部材と4つの張力付与部材とを有する器具をもたらす。
【0080】
図9を参照すると、手術器具300を器具駆動システム400と選択的に連結させることができる。即ち、コンピュータ支援遠隔操作手術システムの一部としての作動のために手術器具300を器具駆動システム400と連結することができる。加えて、(例えば、他の種類の手術器具による交換、手術器具300の滅菌などのために)手術器具300を器具駆動システム400から切り離すことができる。
【0081】
幾つかの実施形態において、器具駆動システム400をマニピュレータアセンブリに取り付けることができ、次に、マニピュレータアセンブリを他の構造又はベースに取り付けることができる。幾つかの場合、器具駆動システム400をマニピュレータアセンブリに交換可能に取り付けることができる。即ち、幾つかの実施形態において、器具駆動システム400は、それが他の器具駆動システムと容易に交換可能であるよう、マニピュレータアセンブリからの便利な取外しのために設計される。従って、器具駆動システム400をポッド400と呼ぶこともある。本明細書で使用するとき、「ポッド(pod)」という用語は、マニピュレータアセンブリに対する幾つかの器具駆動システムの交換可能な態様を示す。即ち、1つのポッドは、マニピュレータアセンブリから取り外されて、同じ、類似の、又は異なる構成の第2のポッドと交換されてよい。幾つかの実施形態において、器具駆動システム400は、器具駆動システム400が容易に取り外し可能又は交換可能でないような方法において、マニピュレータアセンブリに取り付けられる。
【0082】
幾つかの実施形態において、手術器具300は、器具駆動システム400とスライド可能に連結可能である。即ち、手術器具300を器具駆動システム400に対して遠位にスライド可能に延出させることができ、器具駆動システム400に対して近位にスライド可能に引っ込める(後退させる)ことができる。
【0083】
描写の実施形態において、器具駆動システム400は、第1のアクチュエータ410と、第2のアクチュエータ420と、シャフトアクチュエータ430とを含む。第1のアクチュエータ410は、第1のアクチュエータ係合部材350と解放可能に連結可能である。第2のアクチュエータ420は、故に、第1のアクチュエータ410は、第1の張力付与部材340内の引張力(tensile force)を減少させることができる。第2のアクチュエータ420は、第2のアクチュエータ係合部材370と解放可能に連結可能である。故に、第2のアクチュエータ420は、第2の張力付与部材360内の引張力を減少させることができる。アクチュエータ410,420は、対応するアクチュエータ係合部材350、370との非拘束係合(non-detained engagement)において示されている。任意的に、アクチュエータ410、420は、ラッチのような対応するアクチュエータ係合部材350、370との拘束係合(detained engagement)にある。拘束係合において、2つの物体は、一方の物体が動くと、他方の物体が相応して動くよう、(解放可能に又は他の方法で)互いに固定される。非拘束係合では、2つの物体は互いに固定されないので、一方の物体が他方の物体に向かって動くと、他方の物体は動くが、一方の物体が他方から離れる方向に動くと、他方の物体は動かない。
【0084】
上述のような手術器具300と器具駆動システム400の第1及び第2のアクチュエータ410及び420との間の配置に鑑みると、第1及び第2のアクチュエータ410から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370にそれぞれ加えられる力の協調的な調整(concerted modulation)がエンドエフェクタ330のその自由度内の制御された動きをもたらすことを想定することができる。その上、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370にそれぞれ加えられる力の協調的な調整によって第1及び第2の張力付与部材340及び360内の張力を制御することができることも(以下に更に記載するように)想定することができる。一層更には、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370にそれぞれ加えられる力の協調的な調整によって第1及び第2の張力付与部材340及び360内の張力を制御することができる一方で、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力の協調的な調整がエンドエフェクタ330の所望の動きも同時に引き起こすことも想定することができる。より平易に言えば、エンドエフェクタ330の動きが所望に行われている間に、第1及び第2の張力付与部材340及び360内の張力を所望の量の引張力に制御することができる。本明細書では、この着想を「動的張力制御(dynamic tension control)」又は「動的張力及び位置制御(dynamic tension and position control)」と呼ぶことがある。
【0085】
更に図9を参照すると、器具駆動システム400は、非拘束係合又は拘束係合において手術器具上の対応するシャフトアクチュエータ係合部材と係合するシャフトアクチュエータ430も含む。非拘束係合の一例は、図示のように、シャフトアクチュエータ係合部材として作用する遠位端部分310の一部分との係合である。拘束係合の一例は、以下に記載するように、ラッチとの係合である。シャフトアクチュエータ430は、拘束係合及び非拘束係合の両方のために器具シャフト302と解放可能に連結する。
【0086】
幾つかの実施形態において、シャフトアクチュエータ430は、ラッチ機構を使用して器具シャフト302(又は器具シャフト302に結合された構造)に解放可能に連結する。従って、幾つかのそのような実施形態では、シャフトアクチュエータ430が器具300にラッチされる間に、シャフトアクチュエータ430は、遠位に向けられた力又は近位に向けられた力を加えて、器具300を所望に器具駆動システム400に対して遠位に延出させ或いは近位に引っ込めることができる。シャフトアクチュエータ430を器具シャフト302に連結するためのそのようなラッチ機構は、全ての実施形態において必要とされないことが理解されるべきである。更に、幾つかの実施形態において、シャフトアクチュエータ430は、器具300に遠位に向けられた力のみを加える(即ち、近位に向けられた力を加えない)ように構成される。シャフトアクチュエータ430が器具300に遠位に向けられる力のみを加えるように構成されている間に、本明細書に記載する動的張力及び位置制御の着想を依然として実行することができる。
【0087】
アクチュエータ410、420、及び430は、様々な種類のアクチュエータであることができる。幾つかの実施形態において、第1のアクチュエータ410、第2のアクチュエータ420、及びシャフトアクチュエータ430は、それぞれ、親ネジ(lead screw)のねじ山(threads)上のナット部材を線形に駆動する親ネジに連結される電気モータを含む。幾つかの実施形態では、器具駆動システム400との組み合わせにおいて手術器具300のアセンブリ全体を一緒に駆動させて、手術器具300の長手方向軸についての回転運動のようなエンドエフェクタの所望の運動をもたらすことができる。
【0088】
図10も参照して、力図500(force diagram)を使用して、器具駆動システム400と組み合わせにおいて手術器具300の構造及び動作を更に記載することができる。本体301は、外科用器具300を表している。力
は、第1のアクチュエータ410によって第1の係合部材350に加えられる力を表している。力
は、第2のアクチュエータ420によって第2の係合部材370に加えられる力を表している。力
は、シャフトアクチュエータ430によって器具シャフト302に加えられる力を表している。
【0089】

は、力
及び

と方向的に反対である。故に、静的な脈絡において、力
は、力
及び力
の合計と等しい。動的な脈絡では、力
が力
及び力
の合計よりも大きいならば、本体301は、力
の方向に移動する。逆に、力
が力
及び力
の合計よりも小さいならば、本体301は、力
及び力
の方向に移動する。
【0090】
図500に関して上述した原理を器具駆動システム400と組み合わせにおいて手術器具300の類似の構成に適用するならば、以下の着想を想定することができる。手術器具300が器具駆動システム400と一定の空間的関係にある間に(即ち、静的な脈絡において)、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力の合計は、シャフトアクチュエータ430から器具シャフト302に加えられる力と等しい。加えて、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力の合計が、シャフトアクチュエータ430から器具シャフト302に加えられる力よりも大きい間に、手術器具300は、器具駆動システム400に対して近位に移動する。一層更には、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力の合計が、シャフトアクチュエータ430から器具シャフト302に加えられる力よりも少ない間に、手術器具300は、器具駆動システム400に対して遠位に移動する。
【0091】
明確にするために、器具駆動システム400に対する手術器具300の近位及び遠位の移動を引き起こすアクチュエータ410、420、及び430からの力の組み合わせは、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力合計を含む。故に、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力は、互いに等しくあり得ることを想定することができ、或いは、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力は、その合計が依然として手術器具300と器具駆動システム400との間の所望の遠位方向/近位方向への移動及び/又は向きをもたらすように適切である総量である間に、互いに異なり得ることを想定することができる。例えば、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力が互いに異なる場合には、エンドエフェクタ330の移動が生じ、第1及び第2のアクチュエータ410及び420から第1及び第2のアクチュエータ係合部材350及び370に加えられる力が互いに等しい場合には、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して静止的である。やはり、本明細書で提供される構造及び動作の着想を使用して、器具駆動システム400に対する手術器具300の遠位方向/近位方向への移動を、器具シャフト302に対するエンドエフェクタ300の移動と同時に行い得ることが理解されるべきである。その上、第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内の張力が所望のレベルの引張力に(例えば、所望の引張力の標的範囲内に)に維持される間に、そのような移動の両方を同時に行うことができる。
【0092】
アクチュエータ430によって加えられる力は、主移動力(prime moving force)であることがあるので、器具330の挿入及び引抜きは、アクチュエータ430によって直接的に制御され、アクチュエータ410、420は、張力要素340、360内の張力を維持するのに十分な並びにアクチュエータ430が器具を挿入及び引き抜くときにエンドエフェクタ330の向きを維持し或いは変更するのに十分な力を加えることが理解されるべきである。よって、1つの態様において、アクチュエータ430は、器具300の挿入及び引抜き場所を制御する一方で、アクチュエータ410、420は、場所が変化するに応じて、張力要素340、360に対する張力を制御するように反応する。例えば、アクチュエータ430が器具シャフトを挿入する力を僅かに増加させると、張力要素340、360内の僅かな張力増加が感知され、よって、アクチュエータ410、420は、力を減少させて、張力要素340、360を所望の値に戻す。代替的に、器具330の挿入及び引抜きは、張力要素340、360に対する張力を制御するよう協調して作動するアクチュエータ410、420、430によって制御され、次いで、張力要素340,360は、器具300の挿入及び引抜き場所を制御し、同時に、エンドエフェクタ330の向きは、張力要素340,360の間の相対的な張力を制御するよう一緒に作動するアクチュエータ410、420によって維持され或いは変更される。例えば、アクチュエータ430が器具シャフトを挿入する力を僅かに増加させると、アクチュエータ410、420は、同時に力を減少させて、張力要素340、360内の張力を所望の値に維持する。これら2つの張力制御の態様は、アクチュエータ410,420が一緒に作用して挿入/引抜きのための主移動力を加え、アクチュエータ430が張力部材内の張力を制御する、逆の状況にも当て嵌まることを理解することができる。そして、これらの張力制御の態様は、器具シャフトが挿入/引抜き中に移動させられ、エンドエフェクタが1以上の自由度で移動させられる、より複雑な移動に当て嵌まることを理解することができる。
【0093】
図11図13も参照して、器具駆動システム400に対する様々な位置における手術器具300の例示を使用する例によって、上述の着想を更に記載することができる。
【0094】
第1の例において、2つの力、即ち、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力及び第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力の合計が、シャフトアクチュエータ430によって器具シャフト302に加えられる力と等しい間に、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力を、第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力と比べて一時的に増加させることによって、図9の構成を図11の構成に移行させることができる。その結果、手術器具300が器具駆動システム400に対して一定の空間的関係に維持される(即ち、遠位移動及び近位移動がない)間に、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して移動する。第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内の張力が所望のレベルの引張力(例えば、所望の引張力の標的範囲内)に維持される間に、そのような移動を行うことができる。
【0095】
第2の例では、2つの力、即ち、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力及び第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力の合計が、シャフトアクチュエータ430によって器具シャフト302に加えられる力よりも一時的に少ない間に、第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力と比べて、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力を一時的に増加させることによって、図9の構成を図12の構成に移行させることができる。その結果、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して移動し、手術器具300は、器具駆動システム400に対して遠位に延びる。第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内の張力が所望のレベルの引張力(例えば、所望の引張力の標的範囲内)に維持される間に、そのような移動を行うことができる。
【0096】
第3の例では、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力及び第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力の合計がシャフトアクチュエータ430によって器具シャフト302に加えられる力よりも一時的に大きい間に、第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力と比べて、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力を一時的に増大させることによって、図9の構成を図13の構成に移行することができる。結果的に、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して移動し、手術器具300は、器具駆動部400に対して近位に後退する。第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内の張力が所望のレベルの引張力(例えば、所望の引張力の標的範囲内)に維持される間に、そのような移動を行うことができる。
【0097】
第4の例では、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力及び第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力の合計がシャフトアクチュエータ430によって器具シャフト302に加えられる力よりも一時的に大きい間に、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる並びに第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる等しい力を維持することによって、図12の構成を図13の構成に移行することができる。結果的に、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して移動せず、手術器具300は、器具駆動部400に対して近位に後退する。第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内の張力が所望のレベルの引張力(例えば、所望の引張力の標的範囲内)に維持される間に、そのような移動を行うことができる。
【0098】
第5の例では、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる力及び第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる力の合計がシャフトアクチュエータ430によって器具シャフト302に加えられる力よりも一時的に少ない間に、第1のアクチュエータ410によって第1のアクチュエータ係合部材350に加えられる並びに第2のアクチュエータ420によって第2のアクチュエータ係合部材370に加えられる等しい力を維持することによって、図13の構成を図12の構成に移行することができる。結果的に、エンドエフェクタ330は、器具シャフト302に対して移動し、手術器具300は、器具駆動部400に対して遠位に延びる。第1の張力付与部材340及び第2の張力付与部材360内の張力が所望のレベルの引張力(例えば、所望の引張力の標的範囲内)に維持される間に、そのような移動を行うことができる。
【0099】
これまでの例は、対応する第1及び第2のアクチュエータ係合部材に対して近位方向の圧縮力を加える駆動ユニットの第1及び第2のアクチュエータと、器具シャフトに対して遠位方向の圧縮力を加える駆動ユニットのシャフトアクチュエータとを例示した。しかしながら、他の態様では、これらの力の向きは逆にさせられるので、駆動ユニットの第1及び第2のアクチュエータは、対応する第1及び第2のアクチュエータ係合部材に対して遠位方向の圧縮力を加え、駆動ユニットのシャフトアクチュエータは、器具シャフトに対して近位方向の圧縮力を加える。この態様において、張力付与部材は、アクチュエータ係合部材の遠位方向への移動が対応する張力付与部材内の張力及び関連するエンドエフェクタの移動を引き起こすよう、プーリ上で経路指定されてよい。
或いは、張力付与部材は、エンドエフェクタに連結されたプッシュロッドのような、圧縮部材と置換されることがあるので、アクチュエータ係合部材の遠位方向への移動は、対応する圧縮部材内の圧縮及び関連するエンドエフェクタの移動を引き起こす。
【0100】
図14を参照すると、幾つかの実施形態では、1以上の力検出デバイスを使用することによって、アクチュエータ410、420、及び/又は430によって手術器具300に加えられる力を検出することができる。アクチュエータ410、420、及び/又は430を制御するために(即ち、手術器具300の移動を制御するために、及び/又は第1及び第2の張力付与部材340及び360の張力を制御するために)、そのような力検出デバイスの(複数の)出力を使用することができる。
【0101】
第1の非限定的な例において、描写の構成は、第1のアクチュエータ410と第1のアクチュエータ係合部材350との間の接合部又はその付近に配置されるロードセル510型の力センサを含む。他の例において、描写の構成は、器具駆動システム400の構造部材401と第1のアクチュエータ410との間の接続部付近に配置されるロードセル520型の力センサを含む。幾つかの実施形態において、器具駆動システム400は、ポッド(pod)(即ち、マニピュレータアセンブリの土台(mounting)に対して容易に交換可能なポッド)であることができる。
【0102】
幾つかの実施形態では、他のセンサ及び/又は他のデバイスを使用して、アクチュエータ410、420、及び/又は430によって手術器具300に加えられる力を検出することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ひずみ計をアクチュエータ係合部材、例えば、第1のアクチュエータ係合部材350の上に配置することができる。他の実施形態では、アクチュエータ410、420、及び/又は430の電気モータによって引き出される電流を測定して、アクチュエータ410、420、及び/又は430によって手術器具300に加えられる力の表示として使用することができる。幾つかの実施形態では、そのような力検出デバイス及び技法の組み合わせを使用することができる。
【0103】
図15図18を参照すると、コンピュータ支援遠隔操作手術システムの一部として使用することができる例示的な手術器具600が、近位端部分610と、器具シャフト640と、エンドエフェクタ650とを含む。手術器具600は、上述の概略図(例えば、図8図9、及び図11図14)に従って構成される手術器具の一例である。故に、手術器具600は、上述の概略図に従って機能することができる。
【0104】
器具シャフト640は、近位端部分610から遠位方向に延びる。器具シャフト640は、エンドエフェクタ650が連結される遠位端部分を含む。器具シャフト640は、手術器具600の長手方向軸602を定め、手術器具は、長手方向軸602に沿って患者に挿入され且つ患者から引き抜かれる。
【0105】
本明細書に記載する手術器具のエンドエフェクタ(例えば、エンドエフェクタ650)は、任意の種類の外科エンドエフェクタ(例えば、グラスパ、カッタ、焼灼器具、ステープラ、鉗子、カメラなど)であることができる。本明細書に記載する手術器具のエンドエフェクタ(例えば、エンドエフェクタ650)は、1つ又は複数の自由度(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は8つを超える自由度)を有することができる。その上、エンドエフェクタの単一の自由度の脈絡において本明細書で記載する着想を手術器具600及びコンピュータ支援遠隔操作手術システム用の他の種類の手術器具の複数の自由度の各自由度に拡張することができることが理解されるべきである。
【0106】
描写の実施形態において、近位端部分610は、ハンドル612と、(ここでは、長手方向軸602に沿う同じ長手方向場所にグループ630(grouping)において配置されて描写された)複数のアクチュエータ係合部材と、器具シャフトアクチュエータ係合部材620とを含む。複数のアクチュエータ係合部材630は、近位端部分610に移動可能に連結される。描写の実施形態において、複数のアクチュエータ係合部材630は、複数のアクチュエータ係合部材630が長手方向軸602と平行に並進することができるよう、近位端部分610にスライド可能に連結されている。器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、近位端部分610に連結されている。描写の実施形態において、器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、近位端部分610に枢動可能に連結されている。
【0107】
ハンドル612は、長手方向軸602から径方向に延びている。描写の実施形態において、ハンドル612は、近位端部分610の部分であり且つ最も遠く径方向に延びる手術器具600全体の部分である。ハンドル612は、手術器具600の手動把持及び操作を容易にするように構成される。
【0108】
幾つかの実施形態において、ハンドル612は、手術器具600の種類を識別する表示を含む。例えば、描写の実施形態において、ハンドル612は、手術器具600がグラスパデバイスであることを描写するアイコン614である目に見える表示を含む。幾つかの実施形態において、ハンドル612は、手術器具600に関する情報を格納し且つ通信するために使用することができるRFIDチップ又はNFCタグのような、機械可読表示を含む。例えば、手術器具600に関するそのような情報は、非限定的に、特異な識別番号又はシリアル番号、器具の種類、器具が1以上の外科処置のために使用された回数、及び同等のことを含むことができる。
【0109】
幾つかの実施形態において、ハンドル612は、任意的に、器具駆動システムが器具駆動システムに取り付けられる手術器具600の存在を感知するために使用することができる1以上の磁石を含む。
【0110】
近位端部分610は、複数のアクチュエータ係合部材を含む。描写するように、アクチュエータ係合部材は、長手方向軸602に沿う共通の長手方向場所でグループ630において配置される。任意的に、それらは、第1の連結されたペアのアクチュエータ係合部材が第1の長手方向場所にあり且つ第2の連結されたペアのアクチュエータ係合部材が第2の長手方向場所にあるよう、或いは、連結されたペアの各アクチュエータ係合部材が異なる長手方向場所にあるよう、長手方向軸602に沿う2以上の長手方向場所にあってよい。アクチュエータ係合部材は、図8図14を参照して上述したようにアクチュエータ係合部材及びエンドエフェクタ650の対応する動きを駆動するアクチュエータと解放可能に係合するように構成される。図示のように、各個々のアクチュエータ係合部材は、近位端部分610内の対応する個々の長手方向スロット内で長手方向に摺動する。しかしながら、他の任意的な態様において、個々のアクチュエータ係合部材は、異なる構成(例えば、レバー、ディスク又はギアのような回転部品、カム面、及び同等物)を有してよい。図示のように、全ての個々のアクチュエータ係合部材は、関連するアクチュエータが近位端部610内に延びないよう、近位端部610の外周を僅かに越えて径方向に外向きに延びる。代替的に、1以上の個々のアクチュエータ係合部材は、近位端部分の外周まで或いは近位端部分の外周を越えて延びないことがある(例えば、それらは近位端部分610の僅かに内側に配置される)ので、それらは損傷を受けにくいか或いは物体に引っ掛からない。この代替的な構成において、関連するアクチュエータは、近位端部分610内に僅かに延びて、手術器具のアクチュエータ係合部材と係合する。全てのアクチュエータ係合部材は、同じ構成を有してよく、或いは、アクチュエータ係合部材が図8図14を参照して記載した動作原理に従う限り、単一の手術器具において2以上のアクチュエータ係合部材が使用されてよい。描写の実施形態には、以下の例示的なアクチュエータ係合部材、即ち、632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638が含まれる。幾つかの実施形態では、より多い又はより少ないアクチュエータ係合部材が含まれてよい。
【0111】
アクチュエータ係合部材、例えば、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、器具シャフト640に沿って延び且つエンドエフェクタ650に移動可能に連結される、(例えば、小径プーリ上で経路指定することができる可撓性ケーブル(例えば、2~10mmの尺度(scale))、小径プーリ上で経路指定することができない半可撓性ケーブル、剛性ハイポチューブ、プルロッドなどを含む)、張力付与部材に連結される。故に、アクチュエータ係合部材の動きは、エンドエフェクタ650の動きをもたらす。
【0112】
幾つかの場合、アクチュエータ係合部材のペアのうちの一方のアクチュエータ係合部材の近位方向への動きが、そのペアのうちの他方のアクチュエータ係合部材の対応する遠位方向への動きをもたらすよう、アクチュエータ係合部材はペアにされる(例えば、アクチュエータ係合部材632a及び632b、アクチュエータ係合部材634a及び634b、並びにアクチュエータ係合部材636a及び636b)。例えば、アクチュエータ係合部材632aを近位方向に移動させることは、アクチュエータ係合部材632bの対応する遠位方向への動きをもたらし、アクチュエータ係合部材632bを近位方向に移動させることは、アクチュエータ係合部材632aの対応する遠位方向への動きをもたらす。換言すれば、アクチュエータ係合部材のペアは、互いに反対方向に動く。
【0113】
手術器具600の構造が可撓性張力付与ケーブルに連結されるアクチュエータ係合部材(例えば、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638)を含むとき、ペアにされたアクチュエータ係合部材の対応する近位方向への移動を伴わないアクチュエータ係合部材の遠位方向への移動は、エンドエフェクタ650を移動させないことを想定することができる。むしろ、遠位方向に移動させられるアクチュエータ係合部材に取り付けられる可撓性張力付与ケーブルは、(可撓性張力付与ケーブルの限定的なコラム強度/剛性の故に)単に弛むようになる。故に、幾つかの実施形態では、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、近位に方向付けられた力を受けることに応答して、エンドエフェクタ650を移動させるように構成され、そして、遠位に方向付けられる力を受けることに応答してエンドエフェクタ650を移動させないように構成される。しかしながら、幾つかの実施形態では、アクチュエータ係合部材の1以上(例えば、他のアクチュエータ係合部材とペアにされないアクチュエータ係合部材638)は、エンドエフェクタ650を両方向(近位及び遠位)に移動させるように構成される。即ち、そのようなアクチュエータ係合部材は、ボーディンケーブル操作と類似の方法で可撓性又は半可撓性部材を任意的に駆動するか、或いは、プッシュ/プルロッド操作と類似の方法で剛性部材を駆動する。例えば、幾つかの実施形態において、アクチュエータ係合部材638は、エンドエフェクタ650のブレード又はエンドエフェクタ650がステープラを含む場合におけるクランプを操作するように構成されてよい。ブレードの例において、アクチュエータ係合部材638は、バネと反対に作用する(駆動部の下で切断され、撥ね戻る(スプリングバックする)(spring back))。ステープラの例では、アクチュエータ係合部材638は遠位に移動して、発射シーケンス(firing sequence)を駆動する一方で、グリップオープン作動(grip-open actuation)は、アクチュエータ係合部材638を近位に戻す。
【0114】
更に図15図18を参照すると、手術器具600の描写の構成では、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、全て、手術器具の長手方向軸602に沿う同じ長手方向場所に位置付けられる。しかしながら、手術器具600の使用中、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、手術器具の長手方向軸602に沿う様々な長手方向場所に移動させられる。これは以下の例によって更に記載される。
【0115】
手術器具600が器具駆動システムと連結されるとき、器具駆動システムのアクチュエータは、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638と解放可能に連結する。例えば、アクチュエータは、係合を示す反力が感知されるまで近位に移動させることによって、アクチュエータ係合部材を係合する。ペアにされるアクチュエータ係合部材632a及び632bの場合、第1のアクチュエータは、アクチュエータ係合部材632aが係合させられるまで近位に移動し、第2のアクチュエータは、アクチュエータ係合部材632bが係合させられるまで近位に移動する。次に、第1及び第2のアクチュエータは、対応するアクチュエータ係合部材632a及び632bの長手方向位置を調整して、遠位端構成要素に連結される対応するペアにされる張力部材内に所望の張力を設定することがあるので、アクチュエータ係合部材の移動は、対応する遠位端構成要素の即座の移動をもたらす。即ち、1以上の器具駆動システムアクチュエータは、対応する1以上の器具アクチュエータ係合部材と係合し、1以上のアクチュエータ係合部材と対応する器具遠位端構成要素(例えば、リスト又はエンドエフェクタ構成要素)との間で1以上の器具張力部材内に(以下に記載する静的予荷重張力(static preload tension)に対して追加的であることがある)動的予荷重張力(dynamic preload tension)を設定する。
【0116】
次に、(図2の外科医コンソール40からのような)入力に応答して、器具駆動システムのアクチュエータは、相応して、アクチュエータ係合部材(例えば、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、632a、及び/又は636b)の一部又は全部を近位方向に移動させて、エンドエフェクタ650又は他の遠位端構成要素の所望の動きを開始させる。例えば、ペアにされるアクチュエータ係合部材632a及び632bの場合、器具駆動システムの第1のアクチュエータは、アクチュエータ係合部材632aを近位に移動させてよい。アクチュエータ係合部材632aのその近位方向への移動と協調して、器具駆動システムの第2のアクチュエータは、アクチュエータ係合部材632bの遠位方向への移動に抵抗することにより、アクチュエータ係合部材632bの対応する張力部材に対する張力を維持してよいが、アクチュエータ係合部材632bを遠位方向に移動させることも依然として可能にする。アクチュエータ係合部材632bの遠位方向への移動に対する第2のアクチュエータの抵抗は、アクチュエータ係合部材632a及び632bに対応する張力付与部材内で所望の張力を維持するよう調整される。この操作は、図8図14を参照して上述の動的張力付与着想に従って実行される。
【0117】
1つの態様において、制御システムは、張力部材が対応するエンドエフェクタを移動させるときに、ペアとされる張力部材の各々における張力が等しくなるように制御する。しかしながら、他の態様において、制御システムは、張力部材内の張力を制御して、荷重を掛けられた張力部材内で所要の荷重力を引き起こさせ、無荷重の張力部材に対する最小の張力を維持する。
【0118】
この差動力(differential force)の態様を例によって説明するために、ペアとされるアクチュエータ係合部材632a及び632bを検討する。それらの関連するエンドエフェクタが(例えば、器具の長手方向軸上で中心化され、他の物体と係合させられない)中立位置にあり、移動しておらず、荷重を受けていないとき、制御システムは、等しい力をアクチュエータ係合部材632a及び632bに加えられるようにさせる。この等しい力は、効果的な制御のためにエンドエフェクタとアクチュエータ係合部材との間の張力部材の接続部からバックラッシュを除去するのに必要とされる最小の力以上にある。しかしながら、等しい力は、機械的磨耗をもたらす摩擦及び張力荷重を減少させるために低く維持される。
【0119】
関連するエンドエフェクタを移動させるために、制御システムは、アクチュエータ係合部材632a及び632bを反対方向に移動させる。アクチュエータ係合部材632aの近位方向への動きによって引き起こされるエンドエフェクタの移動は、抵抗を受けないことがあり(例えば、エンドエフェクタは、自由に移動する)、或いは抵抗を受けることがある(例えば、エンドエフェクタは、グリップ内の他のジョーに対して移動するジョーのようにエンドエフェクタの端お部分又は組織に対して移動する)。ドライブトレイン内の摩擦は、エンドエフェクタを効果的な制御の下で中立位置に維持するのに必要とされるよりも高い力がアクチュエータ係合部材632aに加えられることを必要とする荷重を引き起こすこともある。よって、対応するエンドエフェクタを移動させ続けるため或いは抵抗に抗して対応するエンドエフェクタの力を維持するために、アクチュエータ係合部材632aと関連付けられるアクチュエータは、アクチュエータ係合部材632に対するその力を増大させなければならない。しかしながら、この状況では、ペアとされるアクチュエータ係合部材632bと関連付けられるアクチュエータが、アクチュエータ係合部材632aに対して加えられる力と同じ力をアクチュエータ係合部材632bに対して加える必要はない。必要とされるのは、アクチュエータ係合部材に対して加えられる力が、関連する張力部材が、例えば、プーリを離れることによって、緩んだり或いはその経路から逸脱したりすることを防ぐために必要な、最小の閾値以上にあることである。
【0120】
更なる例示として、制御システムが、対応するエンドエフェクタで最大の力を生成するために(例えば、最大可能なエンドエフェクタグリップ力を生成するために)、アクチュエータ係合部材632aに、その関連する駆動ユニットアクチュエータから最大の許容力を受け取らせるならば、制御システムは、アクチュエータ係合部材632bに、それに関連する張力部材が緩まずその適切な経路設定(routing)から外れないことを保証するのに必要とされる最小の力のみを受け取らせることがあり、或いはこの最小の力とアクチュエータ係合部材632aに加えられる力との間の力を受け取らせることがある。そして、この態様は、アクチュエータ係合部材632aに加えられる最大の力に当て嵌まるが、それはアクチュエータ係合部材632bに対する力によって引き起こされる相反する張力が再び最小にされるようにより低い力が加えられるときにも当て嵌まる。エンドエフェクタが次に反対方向に移動させられるならば、必要とされる荷重力がアクチュエータ係合部材632bに対して加えられ、必要とされる張力維持力がアクチュエータ係合部材632aに対して加えられることが理解されるべきである。張力の代わりに圧縮を使用してエンドエフェクタを移動させるとしても、この差動力の態様が当て嵌まるので、あらゆる不必要な圧縮力が減少させられ或いは最小に抑えられることをも理解されるべきである。
【0121】
手術器具600の幾つかの実施形態では、外科用器具600が器具駆動システムから分離されている間に張力部材内に最小の張力-静止予荷重張力(static preload tension)を維持するために、予荷重張力付与部材(例えば、バネ633)が含められてよい。そのような最小の予張力付与は、張力付与部材が手術器具600内で所望に配向され且つ経路制御されたままであるのを保証するのに役立つことがある。描写の実施形態では、手術器具600が器具駆動システムから分離されている間に張力付与部材内で最小の張力を維持するために、圧縮ばね633がアクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638に近位に方向付けられた力を加える。幾つかの実施形態では、非限定的に、近位端部分610又はシャフト640の一部分として創成される屈曲部(flexures)、引張りバネ、ねじりバネ、板バネ、及び同等物のような、他の種類の予荷重張力付与部材が使用されてよい。更に、引張付与部材の代わりに圧縮部材を組み込む実施形態では、これらの予荷重張力付与部材と類似の予荷重圧縮部材を使用して、アクチュエータ係合部材とエンドエフェクタとの間のドライブトレインにおける機械的バックラッシュを排除してよい。
【0122】
依然として図15図18を参照すると、近位端部分610は、器具シャフトアクチュエータ係合部材620を含む。器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、近位端部分610を器具駆動システムのアクチュエータに解放可能に連結するために使用される。器具シャフト640は、近位端部分610に剛的に連結されるので、器具シャフトアクチュエータ係合部材620も、器具シャフト640を器具駆動システムのアクチュエータに解放可能に連結する。器具シャフトアクチュエータ係合部材620を使用してアクチュエータを近位端部分610及び器具シャフト640に連結するというこの着想を、上記概略図及びその記述によって(例えば、器具シャフト302と解放可能に連結し得るシャフトアクチュエータ430を含む図9によって)提示した。故に、器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、器具駆動システムのアクチュエータと連結されるときに、手術器具600全体を器具駆動システムに対して近位に及び/又は遠位に移動させるために使用される。加えて(図10の力図を参照して記載したように)、器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、器具駆動システムのアクチュエータと連結されるときに、アクチュエータによってアクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638に加えられる近位に方向付けられる力を均衡させるために使用される。
【0123】
描写の実施形態において、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、器具駆動システムのアクチュエータから近位に方向付けられる力を受け取るように構成されるが、器具駆動システムのアクチュエータから遠位に方向付けられる力を受け取るように構成されない。換言すれば、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、器具駆動システムのアクチュエータに拘束されない(不動に連結されない;非拘束係合)。別の言い方をすれば、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638は、それぞれ、対応するアクチュエータから近位に方向付けられる力を受け取ることに応答してエンドエフェクタ650の移動を直接的に容易にする(引き起こす)ように構成され、それぞれ、対応するアクチュエータから遠位に方向付けられる力を受け取ることに応答してエンドエフェクタ650の移動を直接的容易にするように構成されない。対照的に、描写の実施形態において、器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、近位に方向付けられる力を受け取ることに応答して手術器具600全体の近位方向への移動を直接的に容易にするように構成され、遠位に方向付けられる力を受け取ることに応答して手術器具600全体の遠位方向への移動を直接的に容易にするように構成される。それが当て嵌まるのは、器具シャフトアクチュエータ係合部材620が器具駆動システムのアクチュエータに解放可能に拘束されるように構成されるからである。例えば、描写の実施形態において、器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、近位端部分610及び器具シャフト640を器具駆動システムのアクチュエータに解放可能に拘束するために使用し得るラッチ機構である。器具シャフトアクチュエータ係合部材620のためのラッチ機構の使用は全ての実施形態において必要とされず、器具上の様々な場所にある他の適切な連結機構が使用されてよいことが理解されるべきである。
【0124】
更に、幾つかの実施形態において、器具シャフトアクチュエータ係合部材620は、器具駆動システムが手術器具600に遠位に方向付けられる力のみを加える(即ち、近位に方向付けられる力を加えない)ように構成される。本明細書に記載する動的張力及び位置制御の着想は、器具シャフトアクチュエータ係合部材620が器具駆動システムから遠位に方向付けられる力のみを受け取るように構成されるような場合においても依然として実行されることができる。この態様において、器具のシャフトアクチュエータ係合部材に対する遠位に方向付けられる力は、器具のアクチュエータ係合部材への近位に方向付けられる力と均衡させられる。
【0125】
図18を特に参照すると、幾つかの実施形態において、手術器具600は、エンドエフェクタ650にエネルギ(例えば、焼灼のためのエネルギ)を入力するための1以上のコネクタ又は接点を備えて構成される。例えば、幾つかの実施形態において、手術器具は、単極RF、双極RF、又は他のエネルギ形態を使用するように構成されてよい。そのような場合、幾つかの実施形態において、1以上のコネクタは、ハンドル612の近位領域613に配置される。そのような場所は、1以上のコネクタが、エネルギを供給する1以上のケーブルとの接続のために容易にアクセス可能であることを可能にすることができる。そのような場所は、手術器具600が器具駆動システムと連結される間に接続が行われこと及び/又は切断されることを可能にすることができる。
【0126】
図19を参照すると、手術器具600を、手術器具600を受け入れるように構成される空間の長手方向軸702を定める(ポッド700とも呼ぶ)適合(compatible)器具駆動システム700と選択的に連結させることができる。コンピュータ支援遠隔操作手術についての典型的な実施によれば、器具駆動システム700を、多自由度を備えるマニピュレータアセンブリ800に連結させることができる。幾つかの実施形態では、ポッド700を他のポッドと便利に交換し得るよう、ポッド700はマニピュレータアセンブリ800から容易に取り外し可能である。マニピュレータアセンブリ800を様々な種類の支持構造に取り付けることができる(例えば、図3及び図4を参照)。器具シャフト640は、マニピュレータアセンブリ800又は器具駆動システム700に任意的に解放可能に取り付けられるカニューレ740を通じてスライド可能に延びることができる。
【0127】
描写の実施形態では、手術器具600を器具駆動システム700の近位端704にある開口内に遠位に移動させることによって、手術器具600を器具駆動システム700と解放可能に連結することができる。具体的には、先ず、手術器具600の長手方向軸602を器具駆動システム700の長手方向軸702と整列させることができる。次に、器具シャフト係合部材620が器具駆動システム700と連結するまで、手術器具600を器具駆動システム700に対して遠位にスライドさせることができる。
【0128】
手術器具が器具駆動システムと連結される間に、器具シャフト係合部材620及びハンドル612の少なくとも一部分は器具駆動システム700の隣接部分よりも径方向に更に遠く延びるので、ハンドル612は、ポッド700から突出する。従って、ハンドル612及び器具シャフト係合部材620は、ユーザの手にアクセス可能である。そのようなアクセス可能性は、器具駆動システム700からの手術器具600の容易な切断を有利に容易にすることができる。
【0129】
見えないが、器具駆動システム700は、手術器具600が器具駆動システム700と連結される間にアクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び638と解放可能に連結する(図9及び図11図14に概略的に描写する)複数のアクチュエータを含む。幾つかの実施形態において、アクチュエータは、親ネジと親ネジナット部材とを含む線形アクチュエータであり、他の適切な線形アクチュエータ(例えば、チェーン、ベルト、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、電磁アクチュエータ、及び同等物)が使用されてよい。幾つかの実施形態では、回転アクチュエータのような非線形アクチュエータ又は線形アクチュエータ及び非線形アクチュエータの組み合わせを使用して、記載したような相反力(antagonistic force)の態様をもたらしてよい。幾つかの実施形態では、1以上の力センサが、器具駆動システム700に含められ、それによって、アクチュエータ係合部材632a、632b、634a、634b、636a、636b、及び/又は638に加えられる力を決定し、プロセッサ43(図2)にフィードバックすることができる。
【0130】
幾つかの実施形態では、器具駆動システム700に連結される手術器具600の全体を単一のユニットとして長手方向軸602及び702について回転又はロールさせることができる。器具アクチュエータ係合部材620は、器具シャフト挿入/引抜きアクチュエータを介してポッド700に連結されるか或いは直接的にポッド700に連結されるときに、ポッド700がその長手方向軸702の周りを回転するときの長手方向軸602の周りのロール中に器具シャフトを固定するために使用される。加えて、ハンドル612は、ロールのためにポッド700に対する余分の支持を提供してよい。ポッド700の内側又はマニピュレータ800の一部分のいずれかであるポッド700の遠位端にあるモータは、ポッド700及び器具600のアセンブリを回転させる。よって、器具シャフト及び遠位端エフェクタは、同時に挿入/引抜きされ且つロールさせられることがある。
【0131】
この明細書は多くの具体的な実施の詳細を含むが、これらはいずれの発明及び主張されることがあるものの範囲に対する限定として解釈されてならず、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有なことがある構成の記述として解釈されるべきである。この明細書中で別個の実施形態の脈絡において記載する特定の構成を、単一の実施形態において組み合わせにおいて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の脈絡において記載する様々な構成を、複数の実施形態において別個に又は任意の適切なサブ組み合わせ(サブコンビネーション)において実施することもできる。その上、構成は本明細書中で特定の組み合わせにおいて作用するものとして記載されることがあり、最初はそのように請求されることさえあるが、幾つかの場合には、請求する組み合わせからの1以上の構成を組み合わせから削除することができ、請求する組み合わせは、サブ組み合わせ又はサブ組み合わせの変形に向けられてよい。
【0132】
同様に、動作は特定の順序で図面に描写されるが、これはそのような動作が図示される特定の順序又は順次式の順序において実行されること及び所望の結果を達成するために全ての例示される動作が実行されるべきことを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスキング及び並列処理が有利なことがある。その上、本明細書に記載する実施形態における様々なシステムモジュール及び構成要素の分離は全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものと理解されてならず、記載するプログラム構成要素及びシステムを単一の製品に概ね統合することができ或いは複数の製品にパッケージ化し得ることが理解されるべきである。
【0133】
主題の特定の実施形態を記載した。他の実施形態は添付の請求項の範囲内にある。例えば、請求項に列挙される動作を異なる順序で実行して依然として望ましい結果を達成することができる。一例として、添付の図面に描写するプロセスは、望ましい結果を達成するために、図示の特定の順序又は順次式の順序を必ずしも必要としない。特定の実装では、マルチタスキング及び並列処理が有利なことがある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-16】
図17
図18
図19