(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】新規の製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/08 20060101AFI20220926BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220926BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220926BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220926BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61K9/08 ZNA
A61P3/10
A61P43/00 121
A61K38/28
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/12
A61K38/02
(21)【出願番号】P 2019517947
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 GB2017052940
(87)【国際公開番号】W WO2018060735
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-18
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519111280
【氏名又は名称】アレコル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ジェリング
(72)【発明者】
【氏名】サラ ハウエル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジェゼク
(72)【発明者】
【氏名】レオン ザクルゼウスキ
【審査官】松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/100042(WO,A1)
【文献】特表2012-531431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 38/00-38/58
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。
【請求項2】
前記インスリン化合物がインスリングラルギンではない、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
前記インスリン化合物がインスリンリスプロである、請求項1記載の製剤。
【請求項4】
前記インスリン化合物がインスリンアスパルトである、請求項1記載の製剤。
【請求項5】
前記インスリン化合物がインスリングルリジンである、請求項1記載の製剤。
【請求項6】
前記インスリン化合物が組換えヒトインスリンである、請求項1記載の製剤。
【請求項7】
前記インスリン化合物が10~1000U/mlの濃度で存在する、請求項1~6のいずれか一項記載の製剤。
【請求項8】
前記インスリン化合物が50~1000U/mlの濃度で存在する、請求項7記載の製剤。
【請求項9】
前記インスリン化合物が10~250U/mlの濃度で存在する、請求項7記載の製剤。
【請求項10】
前記インスリン化合物が400~1000U/mlの濃度で存在する、請求項7記載の製剤。
【請求項11】
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%超の濃度で存在する、請求項1~10のいずれか一項記載の製剤。
【請求項12】
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5%超の濃度で存在する、請求項11記載の製剤。
【請求項13】
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5~1%の濃度で存在する、請求項12記載の製剤。
【請求項14】
亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が、クエン酸塩、ピロリン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、システイン、シスチン、グルタチオン、エチレンジアミン、ヒスチジン、DETA、及びTETAから選択される、請求項1~13のいずれか一項記載の製剤。
【請求項15】
前記亜鉛結合種がクエン酸塩である、請求項14記載の製剤。
【請求項16】
前記クエン酸塩の源がクエン酸である、請求項15記載の製剤。
【請求項17】
亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が1~50mMの濃度で存在する、請求項1~16のいずれか一項記載の製剤。
【請求項18】
イオン性亜鉛と亜鉛結合種のモル比が1:3~1:175である、請求項1~17のいずれか一項記載の製剤。
【請求項19】
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、請求項1~13のいずれか一項記載の製剤。
【請求項20】
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない、請求項1~13のいずれか一項記載の製剤。
【請求項21】
前記アルキルグリコシドが、ドデシルマルトシド、ドデシルグルコシド、オクチルグルコシド、オクチルマルトシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、デシルグルコピラノシド、トリデシルグルコシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルグルコシド、テトラデシルマルトシド、ヘキサデシルグルコシド、ヘキサデシルマルトシド、モノオクタン酸スクロース、モノデカン酸スクロース、モノドデカン酸スクロース、モノトリデカン酸スクロース、モノテトラデカン酸スクロース、及びモノヘキサデカン酸スクロースからなる群から選択される、請求項1~20のいずれか一項記載の製剤。
【請求項22】
前記アルキルグリコシドがドデシルマルトシド又はデシルグルコピラノシドである、請求項21記載の製剤。
【請求項23】
前記アルキルグリコシドがドデシルマルトシドである、請求項22記載の製剤。
【請求項24】
前記非イオン性界面活性剤が、1~1000μg/mlの濃度で存在する、請求項1~23のいずれか一項記載の製剤。
【請求項25】
前記非イオン性界面活性剤が、10~400μg/mlの濃度で存在する、請求項24記載の製剤。
【請求項26】
浸透圧調節剤をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項記載の製剤。
【請求項27】
前記浸透圧調節剤が非荷電性浸透圧調節剤である、請求項26記載の製剤。
【請求項28】
前記非荷電性浸透圧調節剤が、トレハロース、マンニトール、グリセロール、及び1,2-プロパンジオールからなる群から選択される、請求項27記載の製剤。
【請求項29】
前記非荷電性浸透圧調節剤がグリセロールである、請求項28記載の製剤。
【請求項30】
前記浸透圧調節剤が荷電性浸透圧調節剤である、請求項26記載の製剤。
【請求項31】
前記荷電性浸透圧調節剤が塩化ナトリウムである、請求項30記載の製剤。
【請求項32】
前記
塩化ナトリウムが、>60mMの濃度で存在する、請求項
31記載の製剤。
【請求項33】
前記亜鉛結合種及び前記インスリン化合物を除く前記製剤のイオン強度が、<40mMであり、ここで、イオン強度が、式Ia:
【数1】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり、総和は、該製剤中に存在する全てのイオン(n)を含める)に従って計算される、請求項10記載の製剤。
【請求項34】
前記
製剤が実質的に等張である、請求項1~33のいずれか一項記載の製剤。
【請求項35】
pHが5.5~9.0の範囲である、請求項1~34のいずれか一項記載の製剤。
【請求項36】
前記pHが7.0~7.5の範囲である、請求項35記載の製剤。
【請求項37】
前記pHが7.6~8.0の範囲である、請求項35記載の製剤。
【請求項38】
リン酸塩緩衝剤を含む、請求項36又は請求項37記載の製剤。
【請求項39】
防腐剤をさらに含む、請求項1~38のいずれか一項記載の製剤。
【請求項40】
前記防腐剤が、フェノール、m-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、メチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムからなる群から選択される、請求項39記載の製剤。
【請求項41】
ニコチンアミドをさらに含む、請求項1~40のいずれか一項記載の製剤。
【請求項42】
ニコチン酸又はその塩をさらに含む、請求項1~41のいずれか一項記載の製剤。
【請求項43】
トレプロスチニル又はその塩をさらに含む、請求項1~42のいずれか一項記載の製剤。
【請求項44】
(i)50~500U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む、請求項1記載の水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。
【請求項45】
前記クエン酸塩が10~30mMの濃度で前記製剤中に存在する、請求項44記載の製剤。
【請求項46】
(i)400~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む、請求項1記載の水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。
【請求項47】
前記クエン酸塩が30~50mMの濃度で前記製剤中に存在する、請求項46記載の製剤。
【請求項48】
真性糖尿病に罹患している対象の治療において使用するための、請求項1~47のいずれか一項記載の製剤。
【請求項49】
請求項1~47のいずれか一項記載の製剤を含む、真性糖尿病の治療のための医薬組成物。
【請求項50】
1用量又は複数用量の請求項1~47のいずれか一項記載の製剤を含有する容器。
【請求項51】
1用量又は複数用量の請求項1~47のいずれか一項記載の製剤を注射針とともに含有する容器を含む1回又は複数回使用のための注射器具。
【請求項52】
複数用量の請求項1~47のいずれか一項記載の製剤を含むリザーバー及び自動又は遠隔操作したときに1以上の用量の前記製剤が体内に投与されるように自動又は遠隔操作に適応しているポンプを含む医療器具。
【請求項53】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を該製剤に添加することを含む、前記方法。
【請求項54】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤の使用。
【請求項55】
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、請求項
53記載の
方法。
【請求項56】
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、請求項
54記載の
使用。
【請求項57】
前記製剤が亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない、請求項
53又は55記載の
方法。
【請求項58】
前記製剤が亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない、請求項
54又は56記載の
使用。
【請求項59】
血管拡張薬を含有しない、請求項1~47のいずれか一項記載の製剤。
【請求項60】
追加の治療活性剤をさらに含む、請求項1~47及び59のいずれか一項記載の製剤。
【請求項61】
前記追加の活性剤が、アミリン類似体又はGLP-1アゴニストからなる群から選択される、請求項60記載の製剤。
【請求項62】
長時間作用型インスリンと共投与される、請求項1~47及び59~61のいずれか一項記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、特に、インスリン及びインスリン類似体の速効型水性液体製剤に関する。そのような組成物は、真性糖尿病、特に、I型真性糖尿病に罹患している対象の治療に好適である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
真性糖尿病(「糖尿病」)は、低血糖又は高血糖に至る血糖値の制御不全と関連する代謝障害である。未治療の糖尿病は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、卒中、糖尿病性腎症、ニューロパチー、及び網膜症を含む、重篤な微小血管及び大血管合併症に至ることがある。糖尿病の2つの主要なタイプは、(i)インスリンを産生しない膵臓に起因し、それに対する通常の治療がインスリン補充療法である、1型糖尿病、及び(ii)患者が不十分なインスリンを産生するか又はインスリン抵抗性を有するかのいずれかであり、かつそれに対する治療がインスリン感受性増強剤(例えば、メトホルミン又はピオグリタゾン)、従来のインスリン分泌促進物質(例えば、スルホニルウレア)、腎臓におけるグルコース吸収を低下させ、それにより、グルコース排泄を促進するSGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、及びエンパグリフロジン)、膵臓β細胞からのインスリン放出を刺激するGLP-1アゴニスト(例えば、エキセナチド及びデュラグルチド)、並びにGLP-1の分解を阻害して、インスリン分泌の増加をもたらすDPPIV阻害剤(例えば、シタグリプチン又はビルダグリプチン)を含む、2型糖尿病である。2型糖尿病を有する患者は、最終的には、インスリン補充療法を必要とし得る。
【0003】
インスリン補充療法を必要とする患者のために、種々の治療選択肢があり得る。組換えヒトインスリンの使用は、近年、改変された性質を有する、例えば、通常のインスリンよりも作用が長いか又は作用が速いインスリン類似体の使用に取って代わられている。したがって、患者に対する一般的なレジメンは、食事時の頃に、速効型インスリンにより補足された長時間作用型の基本インスリンの受容を伴う。
【0004】
インスリンは、ジスルフィド架橋によって連結された2つの鎖(それぞれ、長さが21アミノ酸及び30アミノ酸のA鎖及びB鎖)から形成されるペプチドホルモンである。インスリンは、通常、中性pHでは、6量体の形態で存在し、各々の6量体は、亜鉛イオンで結び付けられた3つの2量体を含む。インスリン上のヒスチジン残基は、亜鉛イオンとの相互作用に関与することが知られている。インスリンは、体内で6量体形態で貯蔵されるが、単量体形態が活性形態である。伝統的に、インスリンの治療的組成物も、亜鉛イオンの存在下、6量体形態で製剤化されている。典型的には、1つのインスリン6量体当たりおよそ3個の亜鉛カチオンが存在する。6量体形態は、単量体及び2量体形態よりもかなりゆっくりと注射部位から吸収されると理解されている。それゆえ、6量体形態を不安定化し、注射後の皮下空間における亜鉛結合6量体から2量体及び単量体へのより迅速な解離を可能にすれば、より速やかなインスリン作用の開始を達成することができる。この原理を考慮して、3つのインスリン類似体が遺伝子改変されている。1つ目は、B鎖の残基28及び29(それぞれ、Pro及びLys)が逆転しているインスリンリスプロ(Humalog(登録商標))であり、2つ目は、B鎖の残基28、通常ProがAspに置き換えられているインスリンアスパルト(NovoRapid(登録商標)/NovoLog(登録商標))であり、3つ目は、B鎖の残基3、通常AsnがLysに置き換えられ、かつB鎖の残基29、通常LysがGluに置き換えられているインスリングルリジン(Apidra(登録商標))である。
【0005】
既存の速効型インスリン類似体は、より迅速な作用開始を達成することができるが、亜鉛カチオンをインスリンから完全に除去することにより、より一層迅速に作用する(「超速効型」)インスリンを達成することができると理解されている。残念なことに、6量体解離の結果は、通常、物理的安定性(例えば、凝集に対する安定性)と化学的安定性(例えば、脱アミド化に対する安定性)の両方に関して、インスリン安定性の相当な障害となる。例えば、作用が迅速に開始される単量体インスリン又はインスリン類似体は凝集し、極めて迅速に物理的に不安定化することが知られているが、それは、不溶性凝集体の形成がインスリンの単量体を介して進行するからである。この問題に対処するための様々なアプローチが当技術分野において記載されている:
【0006】
US5,866,538号(Norup)は、ヒトインスリン又はその類似体もしくは誘導体、グリセロール、並びに/或いはマンニトール及び5mM~100mMのハロゲン化物(例えば、NaCl)を含む化学的安定性に優れたインスリン調製物を記載している。
【0007】
US7,205,276号(Boderke)は、インスリン並びにインスリン誘導体及び類似体の亜鉛不含製剤の調製と関連する安定性の問題に対処し、少なくとも1つのインスリン誘導体、少なくとも1つの界面活性剤、任意に少なくとも1つの防腐剤、並びに任意に、等張化剤(isotonicizing agent)、緩衝剤、及び賦形剤のうちの少なくとも1つを含む水性液体製剤(ここで、該製剤は安定であり、亜鉛を含まないか又は製剤のインスリン含有量ベースで0.4重量%未満(例えば、0.2重量%未満)の亜鉛を含む)が記載されている。好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)であるように思われる。
【0008】
US2008/0194461号(Maggio)は、その成分が凝集及び免疫原性を低下させると考えられているアルキルグリコシドを含有する、インスリンを含むペプチド及びポリペプチドの製剤を記載している。
【0009】
WO2012/006283号(Pohl)は、インスリンをエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの亜鉛キレーターとともに含有する製剤を記載している。EDTAの種類及び量を調節することにより、インスリン吸収プロファイルが変化すると考えられている。カルシウムEDTAは、注射部位での疼痛の軽減と関連していると考えられており、かつカルシウムを体内から除去する可能性が低いので、EDTAの好ましい形態である。好ましい製剤は、吸収をさらに増強させ、かつ製剤の化学的安定性を改善すると考えられているクエン酸塩も含有する。
【0010】
US2010/0227795号(Steiner)は、インスリン、解離剤、例えば、クエン酸又はクエン酸ナトリウム、及び亜鉛キレーター、例えば、EDTAを含む組成物(ここで、該製剤は生理的pHを有し、透明な水溶液である)を記載している。該製剤は、安定性が改善され、かつ作用が迅速に開始されると考えられている。
【0011】
WO2015/120457号(Wilson)は、亜鉛キレーター、例えば、EDTA、溶解/安定化剤、例えば、クエン酸、マグネシウム塩、亜鉛化合物、及び任意に追加の賦形剤と組み合わせたインスリンを含む安定化された超速効型インスリン製剤を記載している。
【0012】
特定の加速添加剤の使用によるインスリンの吸収及び効果を加速させるためのさらなるアプローチが記載されている:
【0013】
WO91/09617号(Jorgensen)は、ニコチンアミドもしくはニコチン酸又はこれらの塩が非経口投与された水性調製物からのインスリンの吸収速度を高めることを報告している。
【0014】
WO2010/149772号(Olsen)は、インスリン、ニコチン化合物、及びアルギニンを含む製剤を記載している。アルギニンの存在は、製剤の化学的安定性を改善すると考えられている。
【0015】
WO2015/171484号(Christe)は、トレプロスチニルの存在のために、インスリンの作用及び/又は吸収の開始がより速い速効型インスリン製剤を記載している。
【0016】
US2013/0231281号(Soula)は、インスリン又はインスリン類似体及びその平均重合度が3~13であり、かつその多分散指数が1.0を上回る少なくとも1つのオリゴ糖を含む水性溶液組成物であって、該オリゴ糖が部分置換カルボキシル官能基を有し、非置換カルボキシル官能基が塩形成性である、水性溶液組成物を記載している。そのような製剤は速効性であると考えられている。
【0017】
PCT/GB2017/051254号(Arecor Limited)は、インスリン又はインスリン類似体、イオン性亜鉛、キレート剤、及びポリソルベート80を含む水性液体医薬製剤を記載している。
【0018】
WO2016/100042号(Eli Lilly and Company)は、特定の濃度のクエン酸塩、塩化物を含み、場合により、塩化ナトリウム、亜鉛、及び任意に、塩化マグネシウム及び/又は界面活性剤の添加を含み、既存のインスリン類似体産物の市販製剤よりも速い薬物動態及び/又は薬力学作用を有すると考えられている、ヒトインスリン又はインスリン類似体の組成物を記載している。
【0019】
市販の速効型インスリン製剤は、100U/ml製剤(Humalog(登録商標)(インスリンリスプロ)、NovoRapid(登録商標)(別名、NovoLog(登録商標)、インスリンアスパルト)、及びApidra(登録商標)(インスリングルリジン))、並びに200U/ml製剤(Humalog(登録商標))として入手可能である。より高い濃度のインスリン化合物を有する製剤は、例えば、より高いインスリン用量を必要とする患者、例えば、肥満患者又はインスリン抵抗性を発症した患者に望ましい。必要とされる高い用量をより小さい容量で送達することができるので、より高い濃度のインスリンを有する製剤は、結果として、これらのカテゴリーの患者に望ましい。200U/ml Humalog(登録商標)製剤の開発は、上記の状況における患者の利便性に向けての重要な一歩であったが、迅速な作用開始を維持しつつ、かなり高い濃度、例えば、500U/ml又は1000U/mlの速効型インスリンの製剤を開発することが依然として強く必要とされている。
【0020】
しかしながら、より高い濃度のインスリン化合物、特に、速効型インスリン化合物を含有する製剤の使用と関連する既知の問題は、低濃度(又は低強度)製剤、例えば、100U/mlのインスリン化合物で観察される速効作用が低下するということである。したがって、インスリン化合物の濃度を増加させると、同じ用量が送達された場合でも、より遅い作用開始をもたらすことが観察されている。例えば、de la Penaらの文献、健康な肥満対象における高用量ヒト正規U-500インスリンとヒト正規U-100インスリンの薬物動態及び薬力学(Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of High-Dose Human Regular U-500 Insulin Versus Human Regular U-100 Insulin in Healthy Obese Subjects)、Diabetes Care, 34, pp 2496-2501, 2011を参照されたい。
【0021】
超速効型であり、したがって、生理的インスリンの活性により厳密に一致するインスリンの類似体又は製剤が利用できるならば、望ましいであろう。速効型でかつ安定であるインスリン及びインスリン類似体のさらなる、好ましくは、改善された製剤を提供することも当技術分野で依然として必要とされている。さらに、インスリン化合物の作用の開始速度が維持されている高濃度のインスリン化合物の製剤を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
(発明の概要)
本発明によれば、(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤(「本発明の製剤」)が提供される。いくつかの実施態様において、アルキルグリコシドはドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩である。
【0023】
本発明の製剤は、良好な物理的及び化学的安定性を有する速効型又は超速効型である形態のインスリンを提供する。上の背景の考察において述べられているように、6量体インスリン中の亜鉛イオンをキレートするためのEDTAの使用は作用の速度を確かに増加させるが、安定性を大いに低下させるという代償を払う。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、亜鉛を亜鉛との結合があまり強くない種と併用することにより、作用速度に関して同様の効果を達成することができ、アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を使用することにより、その適度に不安定化する効果を低下又は消失させることができることを理解している。
【0024】
本発明の製剤は、真性糖尿病、特に、1型真性糖尿病に罹患している対象の治療において、特に、食事時の投与のために使用することができる。
【0025】
付随する実施例から分かるように、本発明の製剤は、非イオン性界面活性剤を含まない対応する製剤よりも顕著に安定である。本製剤は、インスリンの迅速な作用速度を達成し、EDTAを含有する従来技術の速効型インスリン製剤よりも安定である。
【0026】
(配列表の説明)
配列番号1:ヒトインスリンのA鎖
配列番号2:ヒトインスリンのB鎖
配列番号3:インスリンリスプロのB鎖
配列番号4:インスリンアスパルトのB鎖
配列番号5:インスリングルリジンのB鎖
【図面の簡単な説明】
【0027】
(図面)
【
図1】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例4の製剤1~3の薬力学プロファイル。
【
図2】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例13の製剤13A及び13Bの薬力学プロファイル。
【
図3】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例14の製剤14A~14Dの薬力学プロファイル。
【
図4】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例14の製剤14A~14Cの薬物動態プロファイル。
【
図5】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例15の製剤15A~15Dの薬力学プロファイル。
【
図6】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例15の製剤15A、15B、及び15Dの薬物動態プロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用される場合、「インスリン化合物」は、インスリン及びインスリン類似体を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「インスリン」は、配列番号1及び2に示されるA鎖及びB鎖を有し、ネイティブな分子と同様のジスルフィド架橋を含有し、かつそれによって接続されている(Cys A6-Cys A11、Cys B7~Cys A7、及びCys-B19-Cys A20)、ネイティブなヒトインスリンを指す。インスリンは、好適には、組換えインスリンである。
【0030】
「インスリン類似体」は、インスリン受容体アゴニストであり、かつ例えば、A又はB鎖(特に、B鎖)の配列中に1個又は2個のアミノ酸変化を含有する、修飾されたアミノ酸配列を有する、インスリンの類似体を指す。望ましくは、そのようなアミノ酸修飾は、該分子の亜鉛に対する親和性を低下させ、それにより、作用速度を増加させることが意図される。したがって、望ましくは、インスリン類似体は、インスリンの作用速度と同じか又は好ましくはそれを上回る作用速度を有する。インスリン又はインスリン類似体の作用速度は、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)で決定することができる。例示的なインスリン類似体としては、速効型類似体、例えば、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、及びインスリングルリジンが挙げられる。これらの形態のインスリンは、ヒトインスリンA鎖を有するが、変異体B鎖を有さない-配列番号3~5を参照されたい。さらに速効型類似体は、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、EP0214826号、EP0375437号、及びEP0678522号に記載されている。好適には、インスリン化合物は、インスリングラルギンではない。好適には、インスリン化合物は、インスリンデグルデクではない。好適には、インスリン化合物は、速効型インスリン化合物であり、ここで、「速効型」は、例えば、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的な方法(c)を参照)を用いて測定したときに、ネイティブなヒトインスリンの作用速度を上回る作用速度を有する、インスリン化合物と定義される。
【0031】
一実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。別の実施態様において、それは、インスリンリスプロである。別の実施態様において、それは、インスリンアスパルトである。別の実施態様において、それは、インスリングルリジンである。
【0032】
本明細書で使用される「水性液体医薬製剤」という用語は、水性成分が、水、好ましくは、蒸留水、脱イオン水、注射用水、滅菌注射用水、もしくは静菌注射用水であるか、又はそれらを含む、治療的使用に好適な製剤を指す。本発明の水性液体医薬製剤は、全成分が水に溶解している溶液製剤である。
【0033】
製剤中のインスリン化合物の濃度は、通常、10~1000U/mlの範囲、例えば、50~500U/ml、例えば、50~200U/mlである。例示的な製剤は、100U/mlの濃度のインスリン化合物(約3.6mg/ml)を含有する。別の対象となる範囲は、500~1000U/ml、例えば、800~1000U/mlであり、別の例示的な製剤は、1000U/ml(約36mg/ml)の濃度のインスリン化合物を含有する。別の対象となる範囲は、50~1000U/mlである。
【0034】
一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、10~500U/ml、例えば、10~<500U/ml、20~500U/ml、20~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、又は100~<500U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、10~400U/ml、例えば、10~<400U/ml、20~400U/ml、20~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、又は100~<400U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、10~300U/ml、例えば、10~<300U/ml、20~300U/ml、20~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、又は100~<300U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、10~250U/ml、例えば、10~<250U/ml、20~250U/ml、20~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、又は100~<250U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、10~200U/ml、例えば、10~<200U/ml、20~200U/ml、20~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、10~100U/ml、例えば、10~<100U/ml、20~100U/ml、20~<100U/ml、50~100U/ml、又は50~<100U/mlである。
【0035】
一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、400~1000U/ml、例えば、>400~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、600~1000U/ml、例えば、>600~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、700~1000U/ml、例えば、>700~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、750~1000U/ml、例えば、>750~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、800~1000U/ml、例えば、>800~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、900~1000U/ml、例えば、>900~1000U/mlである。
【0036】
本明細書で使用される「U/ml」は、容量当たりの単位に換算したインスリン化合物の濃度を記載したものであり、ここで、「U」は、インスリン活性の国際単位である(例えば、欧州薬局方5.0、ヒトインスリン(European Pharmacopoeia 5.0, Human Insulin)、pp 1800-1802を参照)。
【0037】
本発明の製剤は、イオン性亜鉛、すなわち、Zn2+イオンを含有する。イオン性亜鉛の源は、通常、水溶性亜鉛塩、例えば、ZnCl2、ZnO、ZnSO4、Zn(NO3)2、又はZn(酢酸)2、最も好ましくは、ZnCl2又はZnOである。
【0038】
製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、通常、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%超、例えば、0.1%超、例えば、0.2%超、0.3%超、又は0.4%超である。したがって、製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5%超、例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5~1%、例えば、0.5~0.75%、例えば、0.5~0.6%であり得る。計算のために、亜鉛に対する対イオンの重量は除外される。製剤中のイオン性亜鉛の濃度は(例えば、100U/mlのインスリン化合物を含有する製剤の場合)、通常、0.015mM超、例えば、0.03mM超、例えば、0.06mM超、0.09mM超、又は0.12mM超である。したがって、製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、0.15mM超、例えば、0.15~0.60mM、例えば、0.20~0.45mM、例えば、0.25~0.35mMであり得る。
【0039】
例えば、1000U/mlのインスリン化合物を含有する製剤において、イオン性亜鉛の濃度は、通常、0.15mM超、例えば、0.3mM超、例えば、0.6mM超、0.9mM超、又は1.2mM超である。したがって、製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、1.5mM超、例えば、1.5~6.0mM、例えば、2.0~4.5mM、例えば、2.5~3.5mMであり得る。
【0040】
本発明の製剤は、亜鉛結合種を含有する。亜鉛結合種は、イオン性亜鉛を錯体にすることができるべきであり、25℃で決定したとき、4.5~12.3の亜鉛イオン結合に関する金属結合安定度定数logKを有する。アメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)の参照データベース46(金属錯体の厳しく選択された安定度定数)に掲載されている金属結合安定度定数を使用することができる。このデータベースは、通常、25℃で決定されたlogK定数を掲載している。それゆえ、本発明に対する亜鉛結合種の好適性は、25℃で測定される及び該データベースに引用されている、亜鉛結合に関するその金属結合安定度定数logKに基づいて決定することができる。亜鉛結合種は、本発明による製剤中の「加速剤」と記載されてもよい。例示的な亜鉛結合種としては、多座配位子有機アニオンが挙げられる。したがって、好ましい亜鉛結合種は、例えば、クエン酸三ナトリウムとして利用することができるクエン酸塩(logK=4.93)である。さらなる例としては、ピロリン酸塩(logK=8.71)、アスパラギン酸塩(logK=5.87)、グルタミン酸塩(logK=4.62)、システイン(logK=9.11)、シスチン(logK=6.67)、及びグルタチオン(logK=7.98)が挙げられる。他の考えられる亜鉛結合種としては、イオン性亜鉛との相互作用のための孤立電子対又は電子密度に寄与し得る物質、例えば、エチレンジアミン(logK=5.69)、ジエチレントリアミン(DETA、logK=8.88)、及びトリエチレンテトラミン(TETA、logK=11.95)を含む、多座アミン;並びに孤立電子対に寄与し得る芳香族又はヘテロ芳香族物質、特に、イミダゾール部分を含むもの、例えば、ヒスチジン(logK=6.51)が挙げられる。したがって、一実施態様において、亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種は、クエン酸塩、ピロリン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、システイン、シスチン、グルタチオン、エチレンジアミン、ヒスチジン、DETA、及びTETAから選択される。
【0041】
一実施態様において、亜鉛結合種は、亜鉛イオン結合に関する金属結合安定度定数logKが25℃で4.5~10である。
【0042】
亜鉛結合種の最も好適な濃度は、薬剤とそのlogK値によって決まり、通常、1~100mMの範囲、例えば、1~50mM、5~50mM、10~50mM、20~50mM、30~50mM、40~50mM、15~60mM、30~60mM、20~30mM、又は10~30mM、特に、15~60mM、例えば、20~50mMである。亜鉛結合種の濃度は、所望の加速効果をもたらすために、組成物中に存在するインスリン化合物の特定の濃度に従って調整することができる。特定の実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩である。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。
【0043】
例えば、製剤中の亜鉛結合種の濃度は、特に、該亜鉛結合種がクエン酸塩又はヒスチジンであり、かつ特に、インスリン化合物100U/ml製剤用のものであるとき、通常、1~50mMの範囲、より好ましくは、5~50mM、例えば、10~50mM、例えば、10~30mM、より好ましくは、約20mM(例えば、22mM)であり得る。好適には、製剤中の亜鉛結合種の濃度は、該亜鉛結合種がインスリン化合物1000U/ml製剤用のクエン酸塩又はヒスチジンであるとき、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50mM、より好ましくは、約44mMである。
【0044】
一実施態様において、亜鉛結合種の濃度は、10mM以上である。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、クエン酸塩の濃度は、10mM以上、例えば、1~100mM、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。
【0045】
アニオン性亜鉛結合種は、遊離酸又は塩形態、例えば、ナトリウムもしくはカルシウムイオン、特に、ナトリウムイオンとの塩形態として利用することができる。
【0046】
亜鉛結合種の混合物を利用することができるが、単一の亜鉛結合種が好ましい。
【0047】
好適には、製剤中のイオン性亜鉛と亜鉛結合種のモル比は、1:1~1:1000の範囲、例えば、1:1~1:500、例えば、1:1~1:250、又は1:3~1:500、例えば、1:3~1:175である。
【0048】
例えば、イオン性亜鉛と亜鉛結合種の好適なモル比は、特に、亜鉛結合種としてのクエン酸塩又はヒスチジンについて、1:10~1:500、例えば、1:20~1:500、例えば、1:20~1:100又は1:40~1:250、例えば、1:40~1:90又は1:60~1:200、例えば、1:60~1:80である。特に、亜鉛結合種としてのクエン酸塩又はヒスチジンについて、以下の範囲が特に対象となる: 1:10~1:500、例えば、1:10~1:200、例えば、1:10~1:100、例えば、1:10~1:50、例えば、1:10~1:30、例えば、1:10~1:20(特に、インスリン化合物1000U/ml製剤の場合)又は1:50~1:100、例えば、1:60~1:80(特に、インスリン化合物100U/ml製剤の場合)。
【0049】
例えば、100U/mlのインスリン化合物を含有する製剤は、約0.3mMのイオン性亜鉛(すなわち、約19.7μg/mlのイオン性亜鉛、すなわち、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で約0.54%)及び約15~30mM、例えば、20~30mMの亜鉛結合種(特に、クエン酸塩)を含有し得る。
【0050】
例えば、1000U/mlのインスリン化合物を含有する製剤は、約3mMのイオン性亜鉛(すなわち、約197μg/mlのイオン性亜鉛、すなわち、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で約0.54%)及び約30~60mM、例えば、40~60mMの亜鉛結合種(特に、クエン酸塩)を含有し得る。
【0051】
一実施態様において、製剤中のインスリン化合物濃度(U/ml)と亜鉛結合種(mM)の比は、100:1~2:1の範囲、例えば、50:1~2:1、例えば、40:1~2:1である。
【0052】
本発明の製剤は、25℃で決定したとき、亜鉛結合に関する金属結合安定度定数logKが12.3を上回る亜鉛結合種を実質的に含まない。具体的に、本発明の製剤は、EDTA(logK=14.5)を実質的に含まない。避けられるべき亜鉛結合に関する金属結合安定度定数logKが12.3を上回る亜鉛結合種のさらなる例としては、EGTA(logK=12.6)が挙げられる。一般に、本発明の製剤は、四座配位子又は配位座数がより大きい配位子を実質的に含まない。ある実施態様において、本発明の製剤はまた、25℃で決定したとき、亜鉛イオン結合に関する金属結合安定度定数logKが10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、指定されているような亜鉛結合に関する金属結合安定度定数logKを有する亜鉛結合種(例えば、EDTA)の濃度が、0.1mM未満、例えば、0.05mM未満、例えば、0.04mM未満、又は0.01mM未満であることを意味する。
【0053】
酸形態を有する亜鉛イオン結合種(例えば、クエン酸)を、本発明の水性製剤中に、酸の塩、例えば、ナトリウム塩(例えば、クエン酸三ナトリウム)の形態で導入することができる。或いは、それらを酸の形態で導入し、その後、pHを必要とされるレベルに調整することができる。したがって、ある実施態様において、亜鉛イオン結合種としてのクエン酸塩の源は、クエン酸である。
【0054】
一実施態様において、(i)50~500U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤が提供される。好適には、クエン酸塩は、製剤中に10~30mMの濃度で存在する。
【0055】
別の実施態様において、(i)400~1000U/ml、例えば、500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤が提供される。好適には、クエン酸塩は、製剤中に30~50mMの濃度で存在する。
【0056】
本発明の製剤は、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含有する。別の実施態様において、アルキルグリコシドは、デシルグルコピラノシドである。他のアルキルグリコシドとしては、ドデシルグルコシド、オクチルグルコシド、オクチルマルトシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、トリデシルグルコシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルグルコシド、テトラデシルマルトシド、ヘキサデシルグルコシド、ヘキサデシルマルトシド、モノオクタン酸スクロース、モノデカン酸スクロース、モノドデカン酸スクロース、モノトリデカン酸スクロース、モノテトラデカン酸スクロース、及びモノヘキサデカン酸スクロースが挙げられる。製剤中の非イオン性界面活性剤の濃度は、通常、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlである。一実施態様において、非イオン性界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、50~200μg/ml、10~100μg/ml、20~100μg/ml、又は50~100μg/mlの濃度で存在する。
【0057】
一実施態様において、インスリン化合物の濃度は10~250U/mlであり、非イオン性界面活性剤は50~100μg/mlの濃度で存在する。この実施態様において、好適には、非イオン性界面活性剤は、ドデシルマルトシドである。
【0058】
別の実施態様において、インスリン化合物の濃度は、10~<400U/ml、例えば、20~400U/ml、50~400U/ml、10~300U/ml、20~300U/ml、50~300U/ml、10~200U/ml、20~200U/ml、50~200U/ml、10~100U/ml、20~100U/ml、又は50~100U/mlであり、非イオン性界面活性剤は50~200μg/mlの濃度で存在する。この実施態様において、好適には、非イオン性界面活性剤は、ドデシルマルトシドである。
【0059】
別の実施態様において、インスリン化合物の濃度は、400~1000U/ml、例えば、500~1000U/mlであり、非イオン性界面活性剤は50~200μg/mlの濃度で存在する。この実施態様において、好適には、非イオン性界面活性剤は、ドデシルマルトシドである。
【0060】
好適には、本発明の水性製剤のpHは、5.5~9.0の範囲、特に、6.5~8.0、例えば、7.0~7.8、例えば、7.0~7.5である。注射痛を最小限に抑えるために、pHは、好ましくは、生理的pH(約pH 7.4)付近である。別の対象となるpHは、7.6~8.0、例えば、約7.8である。さらなる対象となるpHは、7.2~7.8、例えば、約7.6である。
【0061】
好適には、本発明の組成物は、製剤のpHを安定化するために、緩衝剤(例えば、1以上の緩衝剤)を含み、これは、タンパク質安定性を増強するように選択することもできる。一実施態様において、緩衝剤は、組成物のpHに近いpKaを有するように選択され;例えば、ヒスチジンは、好適には、組成物のpHが5.0~7.0の範囲であるときに緩衝剤として利用される。そのような緩衝剤は、0.5~20mM、例えば、2~5mMの濃度で利用され得る。ヒスチジンが製剤中に亜鉛結合種として含まれる場合、それは、このpHで緩衝する役割も有する。別の例として、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウムは、好適には、組成物のpHが6.1~8.1の範囲であるときに緩衝剤として利用される。そのような緩衝剤は、0.5~20mM、例えば、2~5mM、例えば、2mMの濃度で利用され得る。或いは、別の実施態様において、本発明の製剤は、タンパク質及び1以上の添加剤を含む製剤であって、系が従来の緩衝剤、すなわち、組成物の意図される貯蔵温度範囲、例えば、25℃で、製剤のpHの1単位以内のpKaを有するイオン化可能な基を有する化合物を実質的に含まないことを特徴とする、製剤を記載しているWO2008/084237号(引用により完全に本明細書中に組み込まれる)に開示されているようにさらに安定化にされる。この実施態様において、製剤のpHは、該製剤がpHに関して最大の測定可能な安定性を有する値に設定され; 1以上の添加剤(置換緩衝剤)は、プロトンをインスリン化合物と交換することができ、製剤の意図される貯蔵温度範囲で製剤のpHよりも少なくとも1単位大きい又は小さいpKa値を有する。添加剤は、組成物の意図される貯蔵温度範囲(例えば、25℃)で、水性製剤のpHの1~5 pH単位、好ましくは、1~3 pH単位、最も好ましくは、1.5~2.5 pH単位のpKaを有するイオン化可能な基を有し得る。そのような添加剤は、通常、0.5~10mM、例えば、2~5mMの濃度で利用され得る。
【0062】
本発明の水性製剤は、低張、等張、及び高張組成物を含む、広範囲のオスモル濃度に及ぶ。好ましくは、本発明の製剤は、実質的に等張である。好適には、製剤のオスモル濃度は、投与経路による、例えば、注射時の痛みを最小限に抑えるように選択される。好ましい製剤は、約200~約500mOsm/Lの範囲のオスモル濃度を有する。好ましくは、オスモル濃度は、約250~約350mOsm/Lの範囲である。より好ましくは、オスモル濃度は、約300mOsm/Lである。
【0063】
製剤の浸透圧は、浸透圧調節剤(例えば、1以上の浸透圧調節剤)で調整することができる。浸透圧調節剤は、荷電性であっても非荷電性であってもよい。荷電性浸透圧調節剤の例としては、塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はカルシウムイオンと、塩化物、硫酸、炭酸、亜硫酸、硝酸、乳酸、コハク酸、酢酸、又はマレイン酸イオンとの組合せ(特に、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム、特に、塩化ナトリウム)が挙げられる。本発明のインスリン化合物製剤は、インスリン製剤を調製する際に利用される標準的な酸性化及び後続の中和工程の使用の結果として、2~4mMの残存NaCl濃度を含有し得る。アルギニン、グリシン、又はヒスチジンなどのアミノ酸も、この目的で使用し得る。荷電性浸透圧調節剤(例えば、NaCl)は、好ましくは、100~300mM、例えば、約150mMの濃度で使用される。一実施態様において、本発明の製剤は、>60mM、例えば、>65mM、>75mM、>80mM、>90mM、>100mM、>120mM、又は>140mM、例えば、>60~300mM、>60~200mM、50~175mM、75~300mM、75~200mM、又は75~175mMの塩化物、例えば、塩化ナトリウムを含む。一実施態様において、製剤中の荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の塩化ナトリウムである。
【0064】
一実施態様において、インスリン化合物は、50~500U/ml、例えば、50~200U/ml、例えば、100U/mlの濃度のインスリンリスプロであり、製剤中の荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の塩化ナトリウムである。
【0065】
一実施態様において、インスリン化合物は、50~500U/ml、例えば、50~200U/ml、例えば、100U/mlの濃度のインスリンアスパルトであり、製剤中の荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の塩化ナトリウムである。
【0066】
一実施態様において、インスリン化合物は、50~500U/ml、例えば、50~200U/ml、例えば、100U/mlの濃度のインスリングルリジンであり、製剤中の荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の塩化ナトリウムである。
【0067】
非荷電性浸透圧調節剤の例としては、糖、糖アルコール及び他のポリオール、例えば、トレハロース、スクロース、マンニトール、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ラフィノース、ラクトース、デキストロース、ソルビトール、又はラクチトール(特に、トレハロース、マンニトール、グリセロール、もしくは1,2-プロパンジオール、特に、グリセロール)が挙げられる。非荷電性浸透圧調節剤は、好ましくは、200~500mM、例えば、約300mMの濃度で使用される。別の対象となる範囲は、100~500mMである。一実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度で使用される。一実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度のグリセロールである。
【0068】
インスリン化合物が、特に、>400U/ml、例えば、>400~1000U/ml、例えば、>500U/ml、例えば、>500~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度のインスリンリスプロである場合、浸透圧は、好ましくは、200~500mM、例えば、約300mMの濃度の非荷電性浸透圧調節剤を用いて好適に調整される。この実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、好適には、トレハロース、マンニトール、グリセロール、及び1,2-プロパンジオール(最も好適には、グリセロール)からなる群から選択される。別の実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度で使用される。一実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度のグリセロールである。
【0069】
インスリン化合物が、>400U/ml;例えば、>500U/ml(例えば、1000U/ml)の濃度のインスリンアスパルトである場合、浸透圧は、好ましくは、200~500mM、例えば、約300mMの濃度の非荷電性浸透圧調節剤を用いて好適に調整される。この実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、好適には、トレハロース、マンニトール、グリセロール、及び1,2-プロパンジオール(最も好適には、グリセロール)からなる群から選択される。別の実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度で使用される。一実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度のグリセロールである。
【0070】
製剤のイオン強度は、式Ia:
【数1】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり、総和は、組成物中に存在する全てのイオン(n)を含める)に従って計算することができる。インスリン化合物自体の寄与は、計算のために無視されるべきである。亜鉛結合種の寄与は、計算のために無視されるべきである。好適には、イオン性亜鉛の寄与は、計算のために含まれるべきである。双性イオンの場合、電荷の絶対値は、極性を除いた総電荷であり、例えば、グリシンの場合、考えられるイオンは、0、1、又は2という絶対電荷を有し、アスパラギン酸の場合、考えられるイオンは、0、1、2、又は3という絶対電荷を有する。
【0071】
一般に、製剤のイオン強度は、好適には、約1mMから約500mMまでの範囲である。
【0072】
一実施態様において、インスリン化合物は、>400U/ml、又は>500U/ml、例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度で存在し、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満、例えば、1~10mMである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM未満、30mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0073】
インスリン化合物が、インスリンリスプロ、特に、>400U/ml、又は>500U/ml、例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度のインスリンリスプロである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い製剤よりも、特に、高いインスリン濃度で安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満、例えば、1~10mMである。特に、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM未満、30mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0074】
インスリン化合物が、>400U/ml、又は>500U/ml(例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃度のインスリンアスパルトである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い製剤よりも安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満である。特に、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM未満、30mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0075】
インスリン化合物が、>400U/ml、又は>500U/ml(例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃度のインスリングルリジンである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い製剤よりも安定性が低い可能性があるので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満である。特に、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM未満、30mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0076】
別の実施態様において、製剤のイオン強度は、式Ib:
【数2】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり、総和は、組成物中に存在する全てのイオン(n)を含める)に従って計算することができ、ここで、インスリン化合物、亜鉛結合種、及びイオン性亜鉛の寄与は、計算のために無視されるべきである。双性イオンの場合、電荷の絶対値は、極性を除いた総電荷であり、例えば、グリシンの場合、考えられるイオンは、0、1、又は2という絶対電荷を有し、アスパラギン酸の場合、考えられるイオンは、0、1、2、又は3という絶対電荷を有する。
【0077】
この実施態様において、製剤のイオン強度は、好適には、約1mMから約500mMまでの範囲である。
【0078】
一実施態様において、インスリン化合物は、>400U/ml、又は>500U/ml、例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度で存在し、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満、例えば、1~10mMである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0079】
インスリン化合物が、インスリンリスプロ、特に、>400U/ml、又は>500U/ml、例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度のインスリンリスプロである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い製剤よりも、特に、高いインスリン濃度で安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満、例えば、1~10mMである。特に、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0080】
或いは、インスリン化合物が、>400U/ml、又は>500U/ml(例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃度のインスリンアスパルトである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い製剤よりも安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満である。特に、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0081】
或いは、インスリン化合物が、>400U/ml、又は>500U/ml(例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃度のインスリングルリジンである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い製剤よりも安定性が低い可能性があるので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満である。特に、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0082】
本発明の製剤は、任意に、防腐剤(例えば、1以上の防腐剤)、好ましくは、フェノール、m-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、メチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、又は塩化ベンゼトニウムを含むことができる。一実施態様において、製剤は、フェノール又はm-クレゾールを含む。一実施態様において、防腐剤の混合物、例えば、フェノールとm-クレゾールが利用される。
【0083】
本発明の製剤は、任意に、ニコチンアミドを含み得る。ニコチンアミドの存在は、本発明の組成物中に製剤化されたインスリンの作用の開始速度をさらに増加させ得る。好適には、ニコチンアミドの濃度は、10~150mMの範囲、好ましくは、20~100mMの範囲、例えば、約80mMである。
【0084】
本発明の製剤は、任意に、ニコチン酸又はその塩を含み得る。ニコチン酸又はその塩の存在も、本発明の組成物中で製剤化されたインスリンの作用の開始速度をさらに増加させ得る。好適には、ニコチン酸又はその塩の濃度は、10~150mMの範囲、好ましくは、20~100mM、例えば、約80mMである。例となる塩としては、金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0085】
典型的には、ニコチンアミド及びニコチン酸(又はその塩としてのもの)のうちの1つを製剤中に含めることができるが、両方を含めることはできない。
【0086】
本発明の製剤は、任意に、トレプロスチニル又はその塩を含み得る。トレプロスチニルの存在は、本発明の組成物中に製剤化されたインスリンの作用の開始速度をさらに増加させ得る。好適には、製剤中のトレプロスチニルの濃度は、0.1~12μg/mlの範囲、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2μg/ml、0.5~2μg/ml、例えば、約1μg/mlである。
【0087】
一実施態様において、製剤は、血管拡張薬を含有しない。さらなる実施態様において、製剤は、トレプロスチニルも、ニコチンアミドも、ニコチン酸も、これらの塩も含有しない。
【0088】
本発明の製剤は、任意に、安定剤を含む他の有益な成分を含み得る。例えば、安定化する性質を有し得るアルギニン又はプロリンなどのアミノ酸を含め得る。したがって、一実施態様において、本発明の製剤は、アルギニンを含む。
【0089】
本発明の実施態様において、製剤は、グルタミン酸、アスコルビン酸、コハク酸、アスパラギン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、及び酢酸から選択される酸を含まず、これらの酸の対応するイオン形態も含まない。
【0090】
本発明の実施態様において、製剤は、アルギニンを含まない。
【0091】
本発明の実施態様において、製剤は、プロタミン及びプロタミン塩を含まない。
【0092】
本発明の実施態様において、製剤は、マグネシウムイオンを含まない。
【0093】
例えば、塩化マグネシウムの形態での、マグネシウムイオンの添加は、安定化する効果をもたらすことができる。したがって、本発明の実施態様において、製剤は、マグネシウムイオン、例えば、MgCl2を含有する。
【0094】
本発明の実施態様において、製剤は、カルシウムイオンを含まない。
【0095】
本発明の製剤は、追加の治療活性剤(「活性剤」)、特に、糖尿病の治療において有用な(すなわち、インスリン化合物、特に、速効型インスリン化合物に加えた)薬剤、例えば、アミリン類似体又はGLP-1アゴニストをさらに含み得る。一実施態様において、製剤は、好適には、0.1~10mg/ml、例えば、0.2~6mg/mlの濃度のアミリン類似体、例えば、プラムリンタイドをさらに含む。一実施態様において、製剤は、好適には、10μg/ml~50mg/ml、例えば、200μg/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度のGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドをさらに含む。
【0096】
好適には、本発明の製剤は、長期貯蔵したときに高分子量種の濃度が低い状態であり続ける程度に十分に安定である。本明細書で使用される「高分子量種」という用語は、サイズ排除クロマトグラフィーなどの好適な分析法によって検出したとき、親インスリン化合物の分子量の少なくとも約2倍の見掛けの分子量を有するタンパク質含有物の任意の不可逆的に形成された成分を指す。すなわち、高分子量種は、親インスリン化合物の多量体凝集物である。多量体凝集物は、かなり変化した立体構造を有する親タンパク質分子を含み得るか、又はそれらは、ネイティブなもしくはネイティブに近い立体構造の親タンパク質ユニットの集合体であり得る。高分子量種の決定は、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動、分析的超遠心分離、光散乱、動的光散乱、静的光散乱、及びフィールドフローフラクショネーションを含む、当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。
【0097】
好適には、本発明の製剤は、それらが、30℃で少なくとも、1、2、又は3カ月間貯蔵した後に、可視粒子を実質的に含まない状態であり続ける程度に十分に安定である。可視粒子は、好適には、2.9.20.欧州薬局方各条(European Pharmacopoeia Monograph)(微粒子汚染:可視粒子(Particulate Contamination: Visible Particles))を用いて検出される。例えば、製剤が、実施例の項で与えられる定義に従って、視覚的評価方法Bによる1、2、又は3、特に、1又は2という視覚的スコアを有する場合、それは、可視粒子を実質的に含まない。
【0098】
好適には、本発明の製剤は、長期貯蔵したときに関連種の濃度が低い状態であり続ける程度に十分に安定である。本明細書で使用される「関連種」という用語は、親インスリン化合物、特に、デスアミド又は環状イミド形態のインスリンの化学修飾によって形成されるタンパク質含有物の任意の成分を指す。関連種は、好適には、RP-HPLCによって検出される。
【0099】
好ましい実施態様において、本発明の製剤は、30℃で1、2、又は3カ月間貯蔵した後、(全タンパク質の重量で)少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、例えば、少なくとも97%、例えば、少なくとも98%、例えば、少なくとも99%の親インスリン化合物を保持する。(全タンパク質の重量による)インスリン化合物のパーセンテージは、サイズ排除クロマトグラフィー又はRP-HPLCによって決定することができる。
【0100】
好ましい実施態様において、本発明の製剤は、30℃で1、2、又は3カ月間貯蔵した後、(全タンパク質の重量で)4%以下、好ましくは、2%以下の高分子量種を含む。
【0101】
好ましい実施態様において、本発明の製剤は、30℃で1、2、又は3カ月間貯蔵した後、(全タンパク質の重量で)4%以下、好ましくは、2%以下、好ましくは、1%以下のA-21デスアミド形態のインスリン化合物を含む。
【0102】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同じ条件(例えば、30℃)及び時間の長さ(例えば、1、2、又は3カ月)の下で貯蔵した後、非イオン性界面活性剤を欠くが、その他の点では同一である組成物よりも少なくとも10%低い、好ましくは、少なくとも25%低い、より好ましくは、少なくとも50%低い貯蔵時の高分子量種の増加を示すべきである。
【0103】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同じ条件(例えば、30℃)及び時間の長さ(例えば、1、2、又は3カ月)の下で貯蔵した後、非イオン性界面活性剤を欠くが、その他の点では同一である組成物よりも少なくとも10%低い、好ましくは、少なくとも25%低い、より好ましくは、少なくとも50%低い貯蔵時の関連種の増加を示すべきである。
【0104】
本発明の製剤の作用速度は、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)で決定することができる。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、このモデルを用いると、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲(例えば、4.5~10の範囲)である亜鉛結合種を欠くが、その他の点では同一である組成物よりも少なくとも20%短い、例えば、好ましくは、少なくとも30%短いTmax(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、このモデルを用いると、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲(例えば、4.5~10の範囲)である亜鉛結合種を欠くが、その他の点では同一である組成物よりも少なくとも20%大きい、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す。
【0105】
一実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤が、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、亜鉛結合種及びアルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を欠くが、その他の点では同一である製剤よりも少なくとも20%短い、好ましくは、少なくとも30%短いTMAX(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。
【0106】
一実施態様において、本発明は、(i)例えば、400U/ml又は<400U/ml、例えば、10~400U/ml、10~300U/ml、10~200U/ml、10~100U/ml、又は100U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、亜鉛結合種及びアルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を欠くが、その他の点では同一である製剤よりも少なくとも20%短い、好ましくは、少なくとも30%短いTMAX(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。
【0107】
一実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤が、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤のものと実質的に同じ(例えば、±20%以内、例えば、±10%)であるTMAX(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。
【0108】
一実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤が、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤よりも少なくとも20%短い、好ましくは、少なくとも30%短いTMAX(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。
【0109】
別の実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、亜鉛結合種及びアルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を欠くが、その他の点では同一である製剤のものよりも少なくとも20%大きい、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0110】
別の実施態様において、本発明は、(i)例えば、400U/ml又は<400U/ml、例えば、10~400U/ml、10~300U/ml、10~200U/ml、10~100U/ml、又は100U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、亜鉛結合種及びアルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を欠くが、その他の点では同一である製剤のものよりも少なくとも20%大きい、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0111】
別の実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤のものと実質的に同じ(例えば、±20%以内、例えば、±10%)である注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0112】
別の実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤のものよりも少なくとも20%大きい、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0113】
一実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤よりも少なくとも20%短い、好ましくは、少なくとも30%短いTmax(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。
【0114】
一実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤のものと実質的に同じ(例えば、±20%以内、例えば、±10%)であるTmax(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。
【0115】
別の実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤よりも少なくとも20%大きい、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0116】
別の実施態様において、本発明は、(i)例えば、400~1000U/ml又は500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤のものと実質的に同じ(例えば、±20%以内、例えば、±10%)である注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0117】
本発明の別の態様において、(i)400~1000U/mlの濃度のインスリン化合物及び(ii)イオン性亜鉛を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤が100U/mlの濃度のインスリン化合物を含む対応する製剤と生物学的に等価である、水性液体医薬製剤が提供される。
【0118】
本明細書で使用される場合、「生物学的に等価」とは、本発明の製剤が対応する製剤と等価又は同様の薬物動態/薬力学(PK/PD)プロファイルを有することを意味する。例えば、本発明の製剤は、対応する製剤のものと実質的に同じ(例えば、±20%以内、例えば、±10%以内)であるTMAX又はT1/2MAX(一般的方法の項目(c)に記載されている糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデルに従って測定された)を示す。生物学的等価性は、スチューデントのt-検定を、一般的方法の項目(c)に記載されている糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデルに記載されている2つの異なる組成物を用いて達成された薬物動態/薬力学の結果に適用することにより確定することもできる。
【0119】
「対応する製剤」とは、標準的製剤、例えば、100U/mlの濃度の同じインスリン化合物の市販製剤、例えば、Humalog(登録商標)(インスリンリスプロの場合)又はNovoRapid(登録商標)(インスリンアスパルトの場合)又はApidra(登録商標)(インスリングルリジンの場合)を意味する。
【0120】
一実施態様において、インスリン化合物は、400~1000U/ml、例えば、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、例えば、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する。一実施態様において、インスリン化合物は、1000U/mlの濃度で存在する。
【0121】
一実施態様において、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ及び(ii)イオン性亜鉛を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤が、100U/mlの濃度のインスリンリスプロの市販製剤、例えば、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤(すなわち、Humalog(登録商標)の製剤)と生物学的に等価である、水性液体医薬製剤が提供される。
【0122】
一実施態様において、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト及び(ii)イオン性亜鉛を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤が、100U/mlの濃度のインスリンアスパルトの市販製剤、例えば、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤(すなわち、NovoRapid(登録商標)の製剤)と生物学的に等価である、水性液体医薬製剤が提供される。
【0123】
製剤の一実施態様において、貯蔵中(例えば、30℃で、1、2、又は3カ月間)の関連種の総増加率は、100U/mlの濃度のインスリン化合物を含む対応する製剤のものと同じくらい高い。別の実施態様において、製剤は、好適にはクエン酸塩である、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を含む。一実施態様において、亜鉛結合種の濃度は、30mM~50mMである。一実施態様において、製剤は、非イオン性界面活性剤、特に、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドなどの非イオン性界面活性剤を含む。一実施態様において、製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない。一実施態様において、500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物を含む水性液体医薬製剤及び100U/mlの濃度の同じインスリン化合物を含む対応する製剤のTMAXに適用されるスチューデントのt-検定は、≧0.05のp-値をもたらす。一実施態様において、製剤は、血管拡張薬を含有しない。さらなる実施態様において、製剤は、トレプロスチニルも、ニコチンアミドも、ニコチン酸も、これらの塩も含有しない。
【0124】
本発明のさらなる態様によれば、真性糖尿病に罹患している対象の治療において使用するための本発明の製剤が提供される。それを必要としている対象に有効量の本発明の製剤投与することを含む、真性糖尿病の治療方法も提供される。
【0125】
本発明の組成物の典型的なインスリン化合物用量は、2~30U、例えば、5~15Uである。投与は、好適には、食事の15分前(すなわち、食事の開始前)から食事の15分後(すなわち、食事の終了後)の間の時間帯で行われるべきである。
【0126】
一実施態様において、本発明の製剤は、好適には、50~1000U/ml、例えば、100~500U/ml、又は100~200U/mlの濃度の長時間作用型インスリン、例えば、インスリングラルギン又はインスリンデグルデクと共投与される。
【0127】
一実施態様において、本発明の組成物は、静脈内注射もしくは注入、又は皮下もしくは筋肉内注射による投与のためのものである。一実施態様において、本発明の組成物は、鼻腔内送達による投与のためのものではない。
【0128】
本発明の一態様は、例えば、1用量又は複数用量の本発明の製剤を含有するプラスチック又はガラスでできた容器である。容器は、例えば、注射器具とともに使用するための交換可能アイテムとなるように設計されたカートリッジであることができる。
【0129】
本発明の製剤は、注射、特に、皮下又は筋肉内注射用に好適にパッケージングすることができる。皮下注射が好ましい。注射は、従来のシリンジによるもの、又はより好ましくは、糖尿病対象による使用に適したペン型装置によるものであり得る。例示的なペン型装置としては、Kwikpen(登録商標)装置及びFlexpen(登録商標)装置が挙げられる。
【0130】
本発明の一態様は、注射針とともに1用量又は複数用量の本発明の製剤を含有する容器を含む単回又は複数回使用のための注射器具、特に、皮下又は筋肉内注射に適した器具である。一実施態様において、容器は、複数用量を含有する交換可能カートリッジである。一実施態様において、針は、例えば、各々の使用機会の後に、交換可能である。
【0131】
本発明の別の態様は、複数用量の本発明の製剤を含むリザーバー及び自動又は遠隔操作したときに、1以上の用量の本発明の製剤が、体内に、例えば、皮下又は筋肉内に投与されるように自動又は遠隔操作に適応しているポンプを含む医療器具である。そのような器具は、体の外側に着用するか又は体内に移植することができる。
【0132】
本発明の製剤は、原料を混合することにより調製することができる。例えば、インスリン化合物を、他の成分を含む水性製剤に溶解させることができる。或いは、インスリン化合物を、強酸(通常、HCl)に溶解させ、溶解後、他の成分を含む水性製剤で希釈し、その後、アルカリ(例えば、NaOH)を添加して、pHを所望のpHに調整することができる。この方法のバリエーションとして、酸溶液を中和する工程を希釈工程の前に実施してもよく、その時は、希釈工程の後にpHを調整する必要がない場合がある(又はわずかな調整しか必要でない場合がある)。
【0133】
本発明の別の態様によれば、再構成の後、(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;該組成物がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、乾燥固体医薬組成物が提供される。したがって、本発明の製剤は、そのような乾燥固体医薬組成物を、水性媒体、例えば、水又は食塩水に溶解させることにより調製することができる。そのような乾燥固体医薬組成物は、本発明の製剤を脱水する(例えば、フリーズドライする)ことにより調製することができる。本発明はまた、1用量又は複数用量のそのような乾燥固体医薬組成物を含有する容器を提供することができる。
【0134】
本発明のさらなる態様は、以下のものを含む。
【0135】
(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を該製剤に添加することを含む、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、製剤中のクエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0136】
(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛;(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を該製剤に添加することを含む、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、製剤中のクエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0137】
(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛;(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を該製剤に添加することを含む、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、製剤中のクエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0138】
(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、製剤中のクエン酸濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0139】
(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛;(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、製剤中のクエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0140】
(i)インスリン化合物、(ii)例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛;(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種はクエン酸塩であり、製剤中のクエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0141】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0142】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0143】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0144】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0145】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0146】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0147】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mMの濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0148】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0149】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50、20~30mM、例えば、30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0150】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;及び(v)トレプロスチニル又はその塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、トレプロスチニルは、0.1~12μg/ml、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2μg/ml、0.5~2μg/mlの範囲、例えば、約1μg/mlの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0151】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)トレプロスチニル又はその塩;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、トレプロスチニルは、0.1~12μg/ml、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2μg/ml、0.5~2μg/mlの範囲、例えば、約1μg/mlの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0152】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)トレプロスチニル又はその塩;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、トレプロスチニルは、0.1~12μg/ml、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2μg/ml、0.5~2μg/mlの範囲、例えば、約1μg/mlの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0153】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;及び(v)ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩は、10~150mMの範囲、例えば、20~100mM、例えば、約80mMの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0154】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;及び(v)アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドを含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドは、0.1~10mg/mlの範囲、例えば、0.2~6mg/mlの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0155】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドは、0.1~10mg/mlの範囲、例えば、0.2~6mg/mlの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0156】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドは、0.1~10mg/mlの範囲、例えば、0.2~6mg/mlの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0157】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;及び(v)GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドを含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドは、10μg/ml~50mg/ml、200ug/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度範囲である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0158】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチド;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドは、10μg/ml~50mg/ml、200ug/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度範囲である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0159】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチド;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドは、10μg/ml~50mg/ml、200ug/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度範囲である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、例えば、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0160】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩は、10~150mMの範囲、例えば、20~100mM、例えば、約80mMの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0161】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩;(vi)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vii)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;並びに(viii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaClからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、10~1000U/ml、例えば、50~500U/ml、50~200U/ml、100U/ml、1000U/ml、50~1000U/ml、10~500U/ml、10~<500U/ml、50~500U/ml、50~<500U/ml、100~500U/ml、100~<500U/ml、10~400U/ml、10~<400U/ml、50~400U/ml、50~<400U/ml、100~400U/ml、100~<400U/ml、10~300U/ml、10~<300U/ml、50~300U/ml、50~<300U/ml、100~300U/ml、100~<300U/ml、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、100~<200U/ml、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤。一実施態様において、ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩は、10~150mMの範囲、例えば、20~100mM、例えば、約80mMの濃度である。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0162】
(i)50~500U/ml、例えば、50~200U/ml、例えば、約100U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上(好ましくは、10~50mM、例えば、10~30mM、例えば、約20mM、例えば、22mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤)を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない(例えば、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0163】
(i)50~500U/ml、例えば、50~200U/ml、例えば、約100U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上(好ましくは、10~50mM、例えば、10~30mM、例えば、約20mM、例えば、22mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、例えば、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、NaCl、及び(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない(例えば、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0164】
(i)50~500U/ml、例えば、50~200U/ml、例えば、約100U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上(好ましくは、10~50mM、例えば、10~30mM、例えば、約20mM、例えば、22mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、例えば、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、NaCl、及び(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0165】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml、例えば、約1000U/mlの濃度のインスリン化合物(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上(好ましくは、30~50mM、例えば、40~50mM、例えば、約44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤)を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない(例えば、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)を含む、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0166】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml、例えば、約1000U/mlの濃度のインスリン化合物(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上(好ましくは、30~50mM、例えば、40~50mM、例えば、約44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、例えば、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は174mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、グリセロール、及び(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない(例えば、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0167】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml、例えば、約1000U/mlの濃度のインスリン化合物(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上(好ましくは、30~50mM、例えば、40~50mM、例えば、約44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、例えば、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は174mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、グリセロール、及び(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、クエン酸塩の濃度は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0168】
再構成の後、(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を含む、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;該組成物がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0169】
再構成の後、(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;該組成物がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0170】
再構成の後、(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤;(v)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(vi)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vii)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(viii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0171】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含む、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0172】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含む、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0173】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含む、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0174】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)1mMの濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含み、ここで、該インスリン化合物が、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlの濃度で存在する、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0175】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、例えば、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、NaCl、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含み、ここで、該インスリン化合物が、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlの濃度で存在する、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0176】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、例えば、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、NaCl、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含み、ここで、該インスリン化合物が、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlの濃度で存在する、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0177】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含み、ここで、該インスリン化合物が、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0178】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、例えば、100~300mM、例えば、150~200mM、例えば、170~180mM、又は174mMの濃度のグリセロール、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含み、ここで、該インスリン化合物が、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0179】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、例えば、100~300mM、例えば、150~200mM、例えば、170~180mM、又は174mMの濃度のグリセロール、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤を添加することを含み、ここで、該インスリン化合物が、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、方法。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0180】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0181】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0182】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0183】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0184】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、例えば、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、NaCl、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0185】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、例えば、100~300mM、例えば、約150mMの濃度の1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、NaCl、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、10~250U/ml、10~<250U/ml、50~250U/ml、50~<250U/ml、100~250U/ml、100~<250U/ml、10~200U/ml、10~<200U/ml、50~200U/ml、50~<200U/ml、100~200U/ml、又は100~<200U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0186】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0187】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩; iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、例えば、100~300mM、例えば、150~200mM、例えば、170~180mM、又は174mMの濃度のグリセロール、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、ここで、該インスリン化合物が、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0188】
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩; iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、好適には、例えば、100~300mM、例えば、150~200mM、例えば、170~180mM、又は174mMの濃度のグリセロール、及び(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって、該インスリン化合物が、400~1000U/ml、>400~1000U/ml、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドである非イオン性界面活性剤の使用。一実施態様において、アルキルグリコシドは、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~500μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlの濃度のドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、1~100mM、例えば、15~60mM、20~50mM、20~30mM、又は30~60mMの濃度のクエン酸塩である。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0189】
少なくともいくつかの実施態様における本発明の製剤は、以下の有利な性質のうちの1つ又は複数を有すると考えられる:
・対象に投与したときに、典型的には、通常のヒトインスリンよりも速い、迅速な作用速度;
・特に、HMWSの量又は粒子の目視検査によって測定される、貯蔵時の良好な物理的安定性;
・特に関連産物、例えば、脱アミド化の産物の量によって測定される、貯蔵時の良好な化学的安定性。
(略語)
【表1】
【実施例】
【0190】
(実施例)
(一般的方法)
(a)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
インスリン調製物の超高速サイズ排除クロマトグラフィーは、Waters ACQUITY H-class Bio UPLC(登録商標)システムを、1.7μmエチレン架橋ハイブリッド125Å孔充填材料とともに、300mm×4.6mmのカラム中で用いて実施した。カラムは、0.65mg/ml L-アルギニン、20%v/vアセトニトリル、15%v/v氷酢酸移動相、及び0.01M HClで酸性化した10μlの試料中で平衡化し、276nmでのUV検出により、0.4mL/分で分析した。分析は全て、周囲温度で実施した。
【0191】
(b)逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)
超高速逆相クロマトグラフィーは、50mm×2.1mmのカラム中で3つの官能基を介してC18リガンドで固定化された1.7μmエチレン架橋ハイブリッド粒子の130Å孔樹脂を含むWaters ACQUITY H-class Bio UPLC(登録商標)システムを用いて実施した。インスリン試料を、82%w/v Na2SO4、18%v/vアセトニトリル、pH 2.3の移動相中で結合させ、50%w/v Na2SO4、50%v/vアセトニトリル勾配流中で溶出させた。2μlの試料を0.01M HClで酸性化し、214nmでのUV検出により、0.61mL/分で分析した。分析は全て、40℃で実施した。
【0192】
(c)糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル:作用速度を決定する方法:
10匹のオスの糖尿病ユカタンミニブタを使用した。ブタに、試験製剤の試料を皮下注射し、血液を、注射後約240分までの注射に対する様々な時点(分)で採取した(1又は2ml)。薬力学プロファイルのために、血清を(市販の血糖値測定器を用いて)グルコースについて分析した。薬物動態プロファイルのために、インスリン濃度を、イムノアッセイを用いて、血清中で決定した。
【0193】
製剤を生物学的等価性について評価するために、TMAX(すなわち、血清中で最大インスリン濃度に達するまでの時間)の平均値及び対応する標準偏差を本試験で使用された10匹のブタの全セットにわたって計算した。同様に、T1/2MAX(すなわち、最大濃度の半分に達するまでの時間)の平均値及び対応する標準偏差を本試験で使用された10匹のブタの全セットにわたって計算した。その後、スチューデントのt-検定(95%信頼区間)を適用して、試験された任意の2つの製剤間の生物学的等価性の評価を可能にした。2つの試料の結果母集団に適用されたt-検定のp-値が≧0.05である場合、試料を生物学的に等価であるとみなし、結果が<0.05である場合、試料を生物学的に等価でないとみなした。
【0194】
(d)視覚的評価
可視粒子を、好適には、2.9.20.欧州薬局方各条(European Pharmacopoeia Monograph)(微粒子汚染:可視粒子(Particulate Contamination: Visible Particles))を用いて検出した。必要とされる装置は、以下のものを含むビューイングステーションからなる:
・垂直位置に保持された適当なサイズの艶消し黒色パネル
・黒色パネルの隣に垂直位置に保持された適当なサイズの反射防止白色パネル
・好適な笠付白色光源及び好適な散光器が装着された調整可能なランプホルダー(各々長さ525mmの2本の13W蛍光管を含むビューイングイルミネーターが好適である)。ビューイングポイントにおける照明の強度は、2000ルクス~3750ルクスに維持される。
【0195】
いかなる接着ラベルも容器から除去し、外側を洗浄し、乾燥させる。気泡が確実に入らないようにしながら、容器を穏やかに旋回又は反転させて、白色パネルの前で約5秒間観察する。この手順を黒色パネルの前で繰り返す。いかなる粒子の存在も記録する。
【0196】
視覚的スコアを次のように順位付ける:
(視覚的評価スコアリング方法A)
視覚的スコア1:可視粒子を含まない透明な溶液
視覚的スコア2:わずかな粒子形成
視覚的スコア3:より顕著な沈殿
(視覚的評価スコアリング方法B)
視覚的スコア1:粒子をほとんど含まない透明な溶液
視覚的スコア2:~5個の非常に小さい粒子
視覚的スコア3:~10から20個の非常に小さい粒子
視覚的スコア4:巨大粒子を含む20~50個の粒子
視覚的スコア5:巨大粒子を含む>50個の粒子
【0197】
視覚的スコア4及び5を有する試料中の粒子は、普通光下での随時の視覚的評価で明らかに検出可能であるが、視覚的スコア1~3を有する試料は、通常、同じ評価で透明な溶液に見える。視覚的スコア1~3を有する試料は「合格」とみなされ;視覚的スコア4~5を有する試料は「不合格」とみなされる。
【0198】
(実施例1-実例となる製剤)
以下の実例となる製剤を調製することができる:
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
(上記の製剤の調製方法:)
インスリン粉末を水に添加し、該粉末が完全に溶解するまでHClを添加する(完全溶解を達成するために、pHは<3でなければならない)。ZnCl2を所要のレベルまで添加する。溶解したら、pHをおよそ7に調整し、インスリン濃度が所要の濃度の2倍となるように、容量を水で調整する。その後、組成物を(全て所要の濃度の2倍の)追加の賦形剤の混合物と1:1(v/v)で混合する。
【0225】
(実施例2-クエン酸塩の存在下における本発明のインスリンアスパルト製剤の安定性)
インスリンアスパルトの安定性に対するクエン酸塩の効果を調べた。さらに、本実験において、様々な界面活性剤がインスリンアスパルトの安定性に対するクエン酸塩の効果にどのように影響するかということを調べた。これらの効果を、NaClの存在下と浸透圧調節剤としてのグリセロールの存在下の両方で調べた。インスリンアスパルトの安定性を、以下によって評価した:
・視覚的評価(視覚的評価スコアリング方法Aを用いる一般的方法に記載されている)
・SEC(一般的方法に記載されている、可溶性凝集体の形成)
表1: 30℃で4及び8週間貯蔵された後に視覚的評価スコアリング方法Aを用いて評価されたインスリンアスパルトの安定性。製剤は全て、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(2mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、NaCl(150mM)、及び19.7μg/mlの亜鉛(製剤中のインスリン化合物の重量に基づくと、ZnCl
2として0.55%(w/w))を含有し、pH 7.4に調整された。可視沈殿の度合いに、1~3の段階で点数を付ける; 1=可視粒子を含まない透明な溶液; 2=わずかな微粒子形成、3=より顕著な沈殿。
【表27】
表2: 30℃で4及び8週間貯蔵された後にSECによって評価されたインスリンアスパルトの安定性。製剤は全て、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(2mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、NaCl(150mM)、及び19.7μg/mlの亜鉛(製剤中のインスリン化合物の重量に基づくと、ZnCl
2として0.55%(w/w))を含有し、pH 7.4に調整された。
【表28】
表3: 30℃で4及び8週間貯蔵された後に視覚的評価スコアリング方法Aを用いて評価されたインスリンアスパルトの安定性。製剤は全て、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(2mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、グリセロール(174mM)、及び19.7μg/mlの亜鉛(製剤中のインスリン化合物の重量に基づくと、ZnCl
2として0.55%(w/w))を含有し、pH 7.4に調整された。可視沈殿の度合いに、1~3の段階で点数を付ける; 1=可視粒子を含まない透明な溶液; 2=わずかな微粒子形成、3=より顕著な沈殿。
【表29】
表4: 30℃で4及び8週間貯蔵された後にSECによって評価されたインスリンアスパルトの安定性。製剤は全て、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(2mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、グリセロール(174mM)、及び19.7μg/mlの亜鉛(製剤中のインスリン化合物の重量に基づくと、ZnCl
2として0.55%(w/w))を含有し、pH 7.4に調整された。
【表30】
【0226】
NaClを浸透圧調節剤として用いて、インスリンアスパルトの組成物へのクエン酸塩(22mM)の添加が、特に、可視粒子の形成に関して、インスリンアスパルトの安定性の障害をもたらすことが示された(表1及び2)。30℃で4週間インキュベートした後、明白な粒子の形成が観察され、8週間後、より顕著な沈殿が観察された。クエン酸塩の添加も可溶性凝集体の形成にわずかに負の影響を及ぼした(表2のSECクロマトグラム上で主ピークの保持として表されている)。クエン酸塩の悪影響は、ドデシルマルトシドの存在下で完全に覆されるように思われた。Tween 20の存在下では若干の改善も観察されたが、その効果は、ドデシルマルトシドの場合と同じくらいに明白ではなかった。明白な粒子の形成は、Tween 20の存在下、30℃で8週間インキュベートした後にもなお観察された。
【0227】
グリセロールを浸透圧調節剤として用いて(表3及び4)、クエン酸塩及び界面活性剤の同様の効果も観察された。しかしながら、この場合、クエン酸塩によるインスリンアスパルトの不安定化は、より顕著であった。特に、視覚的評価に関して、ドデシルマルトシドの安定化効果も観察されたが、全体的な安定性は、NaClの存在下の対応する組成物よりも悪かった。したがって、100U/mlのインスリンアスパルトでは、低イオン強度製剤は、イオン強度のより高い製剤よりも安定ではない可能性がある。Tween 20も軽い安定化効果を有していたが、ドデシルマルトシドの安定化効果ほど顕著ではなかった。
【0228】
(実施例3-TETA及びEDTAの存在下におけるインスリンアスパルト製剤の安定性)
インスリンアスパルトの安定性に対するTETA及びEDTAの効果を調べた。この安定性を、WO2010/149772号に開示されている超速効型製剤(WO2010/149772号の実施例1の製剤K)の安定性と比較した。試験された製剤は全て、インスリンアスパルト(100U/ml)、フェノール(16mM)、m-クレゾール(16mM)、及び亜鉛(ZnCl
2由来、亜鉛に関して19.7μg/ml=0.3mM)を含み、pH 7.4に調整された。各々の製剤の追加の成分は、表5に掲載されている。
表5:試験されたインスリンアスパルトの製剤中の追加の成分。
【表31】
【0229】
インスリンアスパルトの安定性を、一般的方法に記載されている視覚的評価スコアリング方法Bを用いて調べた。結果は表6に示されている。NovoRapid(登録商標)の組成物は、30℃で4週間貯蔵した後、透明でかつ粒子を含まない状態であり続けた。ニコチンアミドに基づく組成物(WO2010/149772号の実施例1の製剤K)も30℃で4週間にわたって良好な安定性を示したが、わずかな粒子形成が4週の時点で観察された。顕著な沈殿は、EDTAに基づく製剤で観察された。ドデシルマルトシドの存在が沈殿を遅延させるように思われたが、顕著な粒子形成が4週の時点でなおも観察された。ゆっくりとした沈殿がTETAに基づく製剤でも観察された。しかしながら、ドデシルマルトシドの存在下では、TETAに基づく製剤は、30℃で4週間貯蔵した後、透明でかつ粒子を含まない状態であり続けた。
表6: 30℃で貯蔵した後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト組成物の視覚的スコア。視覚的スコア1:粒子をほとんど含まない、透明な溶液;視覚的スコア2:~5個の極めて小さい粒子;視覚的スコア3:~10~20個の極めて小さい粒子;視覚的スコア4:より大きい粒子を含む、20~50個の粒子;視覚的スコア5:より大きい粒子を含む、>50個の粒子。
【表32】
【0230】
(実施例4-(a)TETA、(b)EDTA、及び(c)ニコチンアミドの存在下におけるインスリンアスパルト製剤の薬力学プロファイルの比較)
以下の組成物の薬力学プロファイルを糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(一般的方法(c)を参照)を用いて検討した:
(製剤1:)インスリンアスパルト(100U/ml)、NaCl(10mM)、TRIS(7mM)、グリセロール(83.6mM)、アルギニン(30mM)、ニコチンアミド(80mM)、フェノール(16mM)、m-クレゾール(16mM)、亜鉛(ZnCl2由来、亜鉛に関して19.7μg/ml)、pH 7.4
(製剤2:)インスリンアスパルト(100U/ml)、NaCl(150mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、EDTA(0.5mM)、ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)、フェノール(16mM)、m-クレゾール(16mM)、亜鉛(ZnCl2由来、亜鉛に関して19.7μg/ml)、pH 7.4
(製剤3:)インスリンアスパルト(100U/ml)、NaCl(150mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、TETA(0.5mM)、ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)、フェノール(16mM)、m-クレゾール(16mM)、亜鉛(ZnCl2由来、亜鉛に関して19.7μg/ml)、pH 7.4
【0231】
製剤1は、市販のNovoRapid(登録商標)製品(WO2010/149772号の実施例1の製剤A)の作用開始と比較して有意に作用開始が速いことが示されたWO2010/149772号の実施例1の製剤Kと同一である-WO2010/149772号の
図4及び5を参照されたい。製剤1、2、及び3は、それぞれ、本出願の実施例3で言及されている、製剤3B、3E、及び3Iとも同じである。
【0232】
結果は、
図1に示されている。TETAを含む製剤(製剤3)がニコチンアミドを含む組成物(製剤1)のPDプロファイルと同程度のPDプロファイルを生じることが示された。グルコース濃度の低下は、注射後の最初の50分では、TETAに基づく製剤よりもわずかに速いように思われたが、その時点を超えると、減速するように思われた。
【0233】
EDTAを含む製剤(製剤2)は、TETAに基づく製剤とニコチンアミドに基づく製剤の両方と比較して、より速いグルコース減少をもたらした。しかしながら、実施例3に示されているように、この製剤は不安定であり、それゆえ、実現可能な医薬製品に適していない。
【0234】
(実施例5-インスリンアスパルトの安定性に対するpH及びクエン酸塩の源の効果)
37℃及び30℃で貯蔵した後、現在市販されているNovoRapid(登録商標)速効型製品(表7の製剤5A)の製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)の安定性を、ドデシルマルトシド及びクエン酸三ナトリウム又はクエン酸のいずれかを含むいくつかの組成物(表7の製剤5B~5I)中のインスリンアスパルトの安定性と比較した。
【0235】
製剤は、次のように調製した。
【0236】
インスリン粉末を水に添加し、該粉末が完全に溶解するまでHClを添加した(完全溶解を達成するために、pHは<3でなければならない)。ZnCl
2を所要のレベルまで添加した。ZnCl
2が完全に溶解したら、pHをおよそ7に調整し、インスリン濃度が200U/mlとなるように、容量を脱イオン水で調整した。それとは別に、所要濃度の2倍の全ての必要な賦形剤を含有する試験された製剤の各々について、バックグラウンド溶液を調製した。その後、各々のバックグラウンド溶液を所要のレベルに調整した。例えば、製剤5Bのバックグラウンド溶液は、4mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、0.1mg/mlドデシルマルトシド、44mMクエン酸三ナトリウムを含有し、pH 7.0に調整された。同様に、製剤5Hのバックグラウンド溶液は、4mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、0.1mg/mlドデシルマルトシド、44mMクエン酸を含有し、pH 7.8に調整された。その後、1部(v/v)の200U/mlのインスリン溶液を1部(v/v)のバックグラウンド溶液と混合することにより、製剤5A~5Iを調製した。その後、各々の組成物のpHが正確なレベルにあることを保証するために、それをチェックした。
表7:試験されたインスリンアスパルトの製剤(5A~5I)の組成物。製剤は全て、インスリンアスパルト(100U/ml)、亜鉛(0.3mM)、フェノール(16mM)、及びm-クレゾール(16mM)を含有し、水酸化ナトリウム又は塩酸のいずれかにより、所要のpHに調整された。
【表33】
【0237】
製剤5A~5Iの視覚的評価(視覚的評価スコアリング方法Bを使用)及び関連種の形成(RP-HPLCによる)の結果は、表8に示されている。クエン酸三ナトリウムの存在下では、37℃(加速貯蔵温度)で、pH 7.0及び7.4で顕著な粒子形成があることが示された。粒子形成の割合は、より高いpHレベルで、特に、pH 7.8でかなりより低かった。同様の傾向は、30℃で観察され、30℃では、pH 7.8も最適であるように思われた。クエン酸三ナトリウムの代わりにクエン酸を使用すると、全pH範囲にわたって、より少ない粒子形成がもたらされた。クエン酸を用いたpH 7.8での粒子形成の割合とクエン酸三ナトリウムを用いた該割合は、実際、現在市販されているNovoRapid(登録商標)製品の製剤よりも低かった。pH 7.8では、クエン酸三ナトリウムの使用とクエン酸の使用の間で違いは最小限であるが、製品の目標pH周辺での変動が小さいことが規制当局によって期待され、そのため、製品が製造中に目標pHをわずかに下回って製剤化された場合、クエン酸であれば、より少ない粒子形成を保証するので、クエン酸の使用が製品の安全性を保証するのに好ましいように思われる。
【0238】
製剤のpHの増加に伴って、関連種形成の割合のわずかな増加が観察されたが、クエン酸の使用は、クエン酸三ナトリウムに基づく対応する製剤と比較して、関連種形成の割合の低下ももたらし、クエン酸を使用することの利益をさらに強調した。重要なことに、pH 7.8のクエン酸に基づく組成物は、あらゆる点において、現在市販されているNovoRapid(登録商標)製品の製剤よりも良好な安定性を示した。
表8: 37℃及び30℃で4週間貯蔵した後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト製剤5A~5Iの視覚的スコア及び関連種の形成。視覚的スコア1:粒子をほとんど含まない、透明な溶液;視覚的スコア2:~5個の極めて小さい粒子;視覚的スコア3:~10から20個の極めて小さい粒子;視覚的スコア4:より大きい粒子を含む、20~50個の粒子;視覚的スコア5:より大きい粒子を含む、>50個の粒子。
【表34】
*過剰な沈殿のため、試料は分析されなかった。
【0239】
(実施例6-クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、及びピロリン酸塩の存在下におけるインスリンアスパルトの安定性に対するアルキルグリコシド及び他の非イオン性界面活性剤効果)
インスリンアスパルト(100U/ml)の安定性を、クエン酸三ナトリウム(22mM)、L-ヒスチジン(10mM)、又はピロリン酸塩(5mM)を含む組成物中、アルキルグリコシド及び他の選択された非イオン性界面活性剤の存在下と非存在下の両方で調べた。試験された組成物は全て、塩化ナトリウム(150mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、イオン性亜鉛(ZnCl2として19.7μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、pH 7.4に調整された。
【0240】
視覚的評価スコアリング方法Bを用いて、クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、又はピロリン酸塩の存在によって、インスリンアスパルトの製剤中での粒子形成の割合がかなり増加することが示された(表9)。アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルトシドの存在は、粒子形成の割合の増加を緩和するように思われた。ポリソルベート80も安定化効果を示したが、ドデシルマルトシドほど大きな効果ではなかった。粒子形成の割合の増加を緩和するポロキサマー188の能力は、試験された他の非イオン性界面活性剤のものよりも劣ることが示された。ポリソルベート20は、本実験では、全く効果がなかった。
表9: 30℃で貯蔵した後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(100U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表35】
【0241】
(実施例7-クエン酸の存在下におけるインスリンリスプロの安定性に対するドデシルマルトシド及び他の非イオン性界面活性剤の効果)
インスリンリスプロ(100U/ml)の安定性を、クエン酸(22mM)を含む製剤中、ドデシルマルトシド及び他の選択された非イオン性界面活性剤の存在下と非存在下の両方で調べた。製剤(Humalog(登録商標)対照を除く、下記参照)は全て:フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、イオン性亜鉛(ZnCl2として19.7μg/ml、対アニオンを除く)を含み、pH 7.8に調整された。製剤は、浸透圧調節剤として、グリセロール(174mM)又はNaCl(150mM)のいずれかを含有していた。
【0242】
比較のために、市販のインスリンリスプロ製品(Humalog(登録商標))の製剤も本試験に含めた。この製剤は、本実験で検討された他の全ての製剤に使用された手順と同じ手順を用いて調製され、市販のHumalog(登録商標)製品の賦形剤を含有していた。Humalog(登録商標)の組成物は: pH 7.3に調整された、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く)である。
【0243】
視覚的評価スコアリング方法Bを用いて、クエン酸(22~44mM)の存在が、ドデシルマルトシド又は他の非イオン性界面活性剤の非存在下のインスリンリスプロの組成物中での粒子形成を増加させることが示された(表10)。より高い濃度のクエン酸は、より高い割合の粒子形成をもたらした。浸透圧調整剤の性質は、粒子形成の割合に最小限の影響を有していた。したがって、製剤がより高いイオン強度のものであるか、それともより低いイオン強度のものであるかということは、100U/mlの濃度のインスリンリスプロの安定性にそれほど大きい影響を及ぼさないように思われる。ドデシルマルトシドの存在は、不安定化効果を緩和した。不安定化効果は、22及び34mMクエン酸を含む製剤では、ドデシルマルトシドによって完全に覆された。44mMを含む製剤では、この効果は、ほぼ完全に覆され、粒子形成の割合は、クエン酸を含まない参照製剤よりも極めてわずかにしか高くなかった。ドデシルマルトシドの安定化効果は、200μg/mlよりも50μg/ml又は100μg/mlで強いように思われ、より低いドデシルマルトシド濃度を使用することの利点があり得ることを示した。
【0244】
ポリソルベート80も不安定化効果を緩和するように思われたが、ドデシルマルトシドと同程度ではなかった。ポリソルベート20及びポロキサマー188の安定化効果は、ドデシルマルトシド及びポリソルベート80の安定化効果よりもかなり弱かった。
表10:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンリスプロ(100U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表36】
【0245】
(実施例8-クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、及びピロリン酸塩の存在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するドデシルマルトシド及びポリソルベート80の効果)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性を、クエン酸三ナトリウム(44mM)、L-ヒスチジン(22mM)、又はピロリン酸塩(22mM)を含む製剤中、ドデシルマルトシド又はポリソルベート80の存在下と非存在下の両方で調べた。組成物(NovoRapid(登録商標)組成物に基づく対照を除く、下記参照)は全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、pH 7.4に調整された。
【0246】
比較のために、100U/mlの市販のインスリンアスパルト製品(NovoRapid(登録商標))の組成物中のインスリンアスパルト(1000U/ml)の製剤も本試験に含めた。この製剤は、本実験で検討された他の全ての1000U/mlの製剤に使用された手順と同じ手順を用いて調製され、市販のNovoRapid(登録商標)製品の賦形剤を含有していた。インスリンアスパルトとイオン性亜鉛の比が100U/ml NovoRapid(登録商標)製品中での比と確実に同じになるように、イオン性亜鉛の濃度を調整した。したがって、本製剤は、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(197μg/ml、対アニオンを除く)を含み、pH 7.4に調整された。
【0247】
視覚的評価スコアリング方法Bを用いて、クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、又はピロリン酸塩の存在が、インスリンアスパルトの粒子形成の割合をかなり増加させることが示された(表11)。ドデシルマルトシドの存在は、不安定化効果を緩和した。ポリソルベート80も安定化効果を示したが、ドデシルマルトシドのものと同程度ではなかった。
表11:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表37】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、又はピロリン酸塩)及びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0248】
(実施例9-クエン酸三ナトリウム/ドデシルマルトシド組合せの存在下と非存在下の両方におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するNaCl濃度の効果)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するNaCl濃度の効果をクエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/ml)組合せの存在下と非存在下の両方で調べた。製剤は全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、イオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、pH 7.4に調整された。
【0249】
この製剤は、浸透圧調節剤としてのグリセロール(174mM)又はNaCl(150mM)又はグリセロールとNaClの混合物のいずれかを含んでいた(表12を参照)。グリセロールとNaClの混合物を含む製剤中のグリセロールの濃度は、組成物の全体的なオスモル濃度がグリセロールのみを含む組成物中と同じままであるように174mM未満であった。
【0250】
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性は、クエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/ml)組合せの非存在下と存在下の両方で、NaClの存在による負の影響を受けることが示された(表12)。クエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/ml)組合せの非存在下では、グリセロール(174mM)及びグリセロール(154mM)/NaCl(10mM)混合物を浸透圧調節剤として使用すると、安定性は同程度であった。しかしながら、150mM NaClを使用したとき、安定性のかなりの障害が観察された。興味深いことに、この障害は、2~8℃でしか観察されず、2~8℃では、150mM NaClの存在下で、粒子形成の割合の顕著な増加が観察された。インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するNaCl濃度増加の悪い影響は、クエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/ml)組合せの存在下でも観察された。浸透圧調節剤としてグリセロール(174mM)を含む組成物とグリセロール(154mM)/NaCl(10mM)混合物を含む組成物の間ではごくわずかな違いしか観察されなかったが、グリセロール(154mM)/NaCl(50mM)混合物を含む組成物は、2~8℃でかなり障害された安定性を示した。
【0251】
したがって、1000U/mlのインスリンアスパルトの組成物のイオン強度を増加させると、粒子形成の割合の増加がもたらされることが示された。
表12:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表38】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸三ナトリウム)及びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0252】
(実施例10:インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するクエン酸塩の源及び製剤のpHの比較)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対する製剤のクエン酸塩アニオンの源及びpHの効果を調べた。クエン酸とクエン酸三ナトリウムをクエン酸塩アニオンの源として比較した。クエン酸を含む製剤をpH 7.8で試験し、クエン酸三ナトリウムを含む製剤をpH 7.4で試験した。両製剤は、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、グリセロール(174mM)、ドデシルマルトシド(50μg/ml)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含んでいた。
【0253】
クエン酸塩の源及びpHは、インスリンアスパルトの安定性に最小限の影響しかないことが示された(表13)。クエン酸(pH 7.8)を含む製剤は、30℃で、8週の時点で、ごくわずかにより安定であるように思われた。
表13.表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表39】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸三ナトリウム、クエン酸)及びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0254】
(実施例11:ドデシルマルトシドの存在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するクエン酸濃度の効果の検討)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するクエン酸濃度の効果をドデシルマルトシド(0.05mg/ml)の存在下で調べた。試験された製剤は全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、グリセロール(174mM)、ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、これをpH 7.8に調整された。
【0255】
クエン酸の濃度を0から44mMに増加させることは、ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)の存在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対して、ごくわずかな影響しかないことが示された(表14)。効果は、実験期間中、2~8℃及び37℃で観察されず、粒子形成の割合は、30℃で、0及び11mMクエン酸を含む組成物と比較して、22、33、及び44mMクエン酸を含む組成物中でごくわずかしか高くなかった。
表14:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表40】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸)及びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0256】
(実施例12:様々な濃度のクエン酸の存在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するドデシルマルトシド及びポリソルベート80の最適濃度の検討)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性を様々な濃度のクエン酸及び様々な濃度のドデシルマルトシド又はポリソルベート80のいずれかの存在下で調べた。試験された製剤は全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、グリセロール(174mM)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、pH 7.8に調整された。3つの濃度のクエン酸(44、66、及び88mM)並びに4つの濃度の各々の非イオン性界面活性剤、並びに対応する界面活性剤不含組成物を試験した。
【0257】
インスリンアスパルト(1000U/ml)の製剤中の粒子形成の割合は、44~88mMの範囲でクエン酸濃度に比例し、44mMというより低いクエン酸濃度が最も好適であることが分かった(表15)。ドデシルマルトシドとポリソルベート80の両方の存在は粒子形成の割合の低下をもたらすが、ドデシルマルトシドは、ポリソルベート80よりも粒子形成を阻害するのに効果的であることが分かった。より低い濃度のドデシルマルトシド(0.05及び0.1mg/ml)は、より高い濃度(0.2及び0.3mg/ml)よりも粒子形成を阻害するのに効果的であるように思われた。対照的に、ポリソルベート80の場合、より低い濃度(0.05及び0.1mg/ml)よりも粒子形成の割合を低下させる能力が大きいことを示すのは、より高い濃度(0.3及び0.5mg/ml)であった。
表15.表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表41】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸)及びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0258】
(実施例13-インスリンアスパルト(100U/ml)の薬力学プロファイルに対するクエン酸三ナトリウム及びドデシルマルトシドの効果)
インスリンアスパルトの薬力学プロファイルを、以下の製剤において、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(一般的方法(c)を参照)を用いて比較した:
・現在市販されているNovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品の製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)
・22mMクエン酸三ナトリウム及び0.05mg/mlドデシルマルトシドを含む製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)
【0259】
試験された両製剤は、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(ZnCl
2として19.7μg/ml、対アニオンを除く)を含み、pH 7.4に調整された。各々の製剤の追加の成分は、表16に掲載されている。
表16:試験されたインスリンアスパルト(100U/ml)の製剤中の追加の成分。
【表42】
【0260】
製剤13A及び13Bの薬力学プロファイルは、
図2に示されている。クエン酸三ナトリウム及びドデシルマルトシドを含むインスリンアスパルトの製剤は、現在市販されているNovoRapid(登録商標)速効型製品の組成物と比較して、かなりより速い作用開始をもたらした。
【0261】
(実施例14:インスリンアスパルト(100U/ml)の薬力学及び薬物動態プロファイルに対する賦形剤の効果)
インスリンアスパルトの薬力学プロファイルを、以下の製剤において、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(一般的方法(c)を参照)を用いて比較した:
・NovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品と比較して作用開始が有意により速いことが示されたWO2010/149772号の実施例1の製剤K中のインスリンアスパルト(100U/ml)。
・現在市販されているNovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品の製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)
・22mMクエン酸三ナトリウム及び0.05mg/mlドデシルマルトシドを含む製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)
・22mM L-ヒスチジン及び0.05mg/mlドデシルマルトシドを含む製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)。
【0262】
試験された製剤は全て、フェノール(16mM)、m-クレゾール(16mM)、及びイオン性亜鉛(ZnCl
2として19.7μg/ml、対アニオンを除く)を含み、pH 7.4に調整された。各々の製剤の追加の成分は、表17に掲載されている。
表17:試験されたインスリンアスパルト(100U/ml)の製剤中の追加の成分。
【表43】
*WO2010/149772号の製剤K
**NovoRapid(登録商標)の製剤
【0263】
製剤14A~14Dの薬力学プロファイルは、
図3に示されている。WO2010/149772号の製剤Kは、インスリンアスパルトの現在市販されているNovoRapid(登録商標)速効型製品の組成物(製剤14A及び製剤14B)と比較して、より速い作用開始をもたらすことが確認された。クエン酸三ナトリウム及びドデシルマルトシド(14C)又はヒスチジン及びドデシルマルトシド(14D)のいずれかを含む製剤も、現在市販されているNovoRapid(登録商標)速効型製品の製剤(14B)と比較して、かなりより速い作用開始をもたらした。
【0264】
製剤14A、14B、及び14Cの薬物動態プロファイル(糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(一般的方法(c)を参照)を使用、
図4)は、薬力学プロファイルと一致し、WO2010/149772号の製剤K並びにクエン酸三ナトリウム及びドデシルマルトシドを含む製剤が、市販のNovoRapid(登録商標)製品の製剤と比較して、血清インスリンレベルのより速やかな増加をもたらすことを示した。製剤14Dの薬物動態プロファイルは、試験しなかった。
【0265】
(実施例15-クエン酸塩及びドデシルマルトシドの存在下及び非存在下におけるインスリンアスパルト(100及び1000U/ml)製剤の薬力学及び薬力学プロファイルの比較)
インスリンアスパルトの薬力学及び薬物動態プロファイルを、以下の組成物において、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(一般的方法(c)を参照)を用いて比較した:
・現在市販されているNovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品の製剤中のインスリンアスパルト(100U/ml)
・現在市販されているNovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品の製剤中のインスリンアスパルト(1000U/ml)
・22mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlのドデシルマルトシドを含む本発明の製剤中のインスリンアスパルト(1000U/ml)
・44mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlのドデシルマルトシドを含む本発明の製剤中のインスリンアスパルト(1000U/ml)
【0266】
試験された製剤は全て、フェノール(15.9mM)及びm-クレゾール(15.9mM)を含み、pH 7.4に調整された。各々の製剤の追加の成分は、表18に掲載されている。
表18:試験されたインスリンアスパルトの製剤中の追加の成分。
【表44】
*対アニオンの寄与を含まない
【0267】
製剤15A~15Dの薬力学プロファイルは、
図5に示されている。市販のNovoRapid(登録商標)製品の製剤中のインスリンアスパルトの濃度を100U/mlから1000U/mlへと増加させることが、より遅い作用開始をもたらすことが示された。これは、速効型インスリンのグルコース低下効果の用量依存的遅延に関する以前の報告と一致していた(例えば、de la Penaらの文献、健康な肥満対象における高用量ヒト正規U-500インスリンとヒト正規U-100インスリンの薬物動態及び薬力学(Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of high-dose human regular U-500 insulin versus human regular U-100 insulin in healthy obese subjects)、Diabetes Care, 34, pp 2496-2501, 2011)。44mMクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlドデシルマルトシドを含むインスリンアスパルト(1000U/ml)の製剤が、市販のNovoRapid(登録商標)製品(100U/ml)の製剤によって達成されるものと同程度の薬力学プロファイルをもたらすことも示された(
図5)。グルコース低下の開始のそのような加速は、22mMクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlドデシルマルトシドを含む組成物では観察されず、このクエン酸塩濃度が低すぎて、このインスリンアスパルト濃度で加速効果を達成することができないことが示された。
【0268】
製剤15A、15B、及び15D(
図6)の薬物動態プロファイルは、薬力学プロファイルと一致し、市販のNovoRapid(登録商標)製品の製剤中のインスリンアスパルト濃度を100U/mlから1000U/mlへと増加させることが、よりゆっくりとした血清インスリンレベルの増加をもたらすのに対し、44mMクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlドデシルマルトシドを含む製剤は、市販のNovoRapid(登録商標)製品(100U/ml)の製剤によって達成されるものと同程度のプロファイルをもたらした。製剤15Cの薬物動態プロファイルは、試験しなかった。
【0269】
製剤15A、15B、及び15Dの薬物動態プロファイルに関するT
MAX及びT
1/2MAXの平均値及び標準偏差(SD)は、下の表19に示されている。
表19:製剤15A、15B、及び15Dの薬物動態プロファイルに関するT
MAX及びT
1/2MAXの平均値及び標準偏差(SD)。
【表45】
【0270】
製剤15Aと製剤15Bと製剤15Dの間の生物学的等価性を評価するために実施されたスチューデントのt-検定の結果は、下の表20に示されている。製剤15Aと製剤15Dが生物学的に等価であることが示されたのに対し、製剤15Aと製剤15B及び製剤15Bと製剤15Dは、生物学的に等価ではないことが示された
表20:製剤15A、15B、及び15Dの薬物動態プロファイルの生物学的等価性のt-検定分析。
【表46】
【0271】
(実施例16-クエン酸三ナトリウム及び非イオン性界面活性剤の存在下におけるインスリンリスプロの安定性-WO2016/100042号に開示されている製剤との比較)
WO2016/100042号のインスリンリスプロ(100U/ml)の以下の組成物は、50ページ(15~20行目)の記載に基づいて選択した:クエン酸塩(25mM-クエン酸ナトリウム由来)、ポロキサマー188(0.09%w/v)、グリセロール(16mg/ml)、m-クレゾール(3.15mg/ml)、亜鉛(0.3mM、塩化亜鉛由来)、塩化マグネシウム(5mM)、塩化ナトリウム(13mM)、pH 7.45。この組成物は、以下、「基本製剤」と呼ばれている。
【0272】
以下のパラメータの効果を、インスリンリスプロの安定性に関して、基本製剤中の選択成分及び/又はその濃度を変化させることにより調べた:
・ポロキサマー188濃度の効果
・NaCl濃度の効果(すなわち、総塩化物濃度の効果)
・塩化マグネシウムの存在の効果
・ドデシルマルトシド(ポロキサマー188の代替物として)の効果
【0273】
さらなる比較を可能にするために、上記の効果の全てをインスリンアスパルトも用いて調べた。
【0274】
インスリンリスプロ及びインスリンアスパルトの安定性を、WO2016/100042号に記載されているストレスと一致する2つの別々のストレス条件下で試験した:
・30℃での貯蔵(撹拌なし)
・振盪ストレス(1分間当たり75ストローク、30℃)
【0275】
試験された製剤は全て、インスリンリスプロ又はインスリンアスパルト(100U/ml)、クエン酸三ナトリウム(25mM)、グリセロール(16mg/ml)、m-クレゾール(3.15mg/ml)、及び亜鉛(0.3mM、塩化亜鉛由来)を含み、pH 7.45に調整された。追加の成分は、表21~24に記載されている。
【0276】
インスリンリスプロを用いて、以下のことが示された(表21及び22):
・ドデシルマルトシドの存在下で達成されたインスリンリスプロの安定性は、ポロキサマー188を含む対応する組成物で達成されるものよりもかなり良好であった。この効果は、どちらのストレス条件下でも観察された。
・より低い濃度のドデシルマルトシドは、より高い濃度のものよりも良好なインスリンリスプロの安定性をもたらすように思われた。この効果は、どちらのストレス条件下でも観察された。
・(NaClの濃度を増加させることにより、総塩化物濃度を維持しながら)塩化マグネシウムを除去すると、どちらのストレス条件下でもインスリンリスプロの安定性の障害がもたらされた。これは、マグネシウムイオンの安定化効果を示している。塩化マグネシウムの存在がドデシルマルトシド含有製剤に対して適度な安定化効果を有することが留意された。
・(NaClの濃度を増加させることによる)総塩化物の濃度は、このインスリンリスプロ濃度でのインスリンリスプロの安定性に対して最小限の影響しかなかった。
【0277】
インスリンアスパルトを用いて、同様の観察が行われた(表23及び24)。
表21: 30℃での非撹拌貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンリスプロ(100U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表47】
表22:振盪ストレス(1分間当たり75ストローク、30℃)後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンリスプロ(100U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表48】
表23: 30℃での非撹拌貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(100U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表49】
表24:振盪ストレス(1分間当たり75ストローク、30℃)後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンアスパルト(100U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表50】
【0278】
(実施例17-US7998927号に開示されているドデシルマルトシドを含む製剤中のインスリンリスプロ及びインスリンアスパルトの安定性)
US7998927号の以下の組成物を、実施例1(カラム25)の記載に基づいて選択した:酢酸ナトリウム緩衝剤(5mM)、食塩水(0.9%w/v)、ドデシルマルトシド(0.18%w/v)、pH 6.0。インスリンアスパルト(100U/ml)及びインスリンリスプロ(100U/ml)を上記の製剤中に調製した。
【0279】
その調製の後、どちらのインスリン類似体の製剤も濁っており、ストレスがなくても、多数の粒子があった(視覚的評価スコアリング方法Bにより、5というスコアが付いた)。試料を24時間撹拌することにより、いかなる改善も達成されず、組成物は、非常に濁った状態のままであった。透明な溶液として製剤を調製するのが不可能なのは、pHがインスリン類似体の等電点(pI=~5.4)に極めて近いという事実によるものである可能性が非常に高い。組成物のpHを≧7.0に調整すると、透明な溶液が非常に速やかに生じるが、pH 6.0で透明な溶液を達成することは不可能であることが分かった。それゆえ、US7998927号の組成物は、100U/ml以上の治療製品の製剤として使用可能ではない。
【0280】
(実施例18-pH 6.0及び7.4のドデシルマルトシドを含む製剤中のヒトインスリンの安定性-US7998927号に開示されている製剤との比較)
組換えヒトインスリンは、Sigma Aldrich, St. Louis, MO(USA)から入手した。
【0281】
US7998927号の以下の組成物を、実施例1(カラム25)の記載に基づいて選択した:酢酸ナトリウム緩衝剤(5mM)、食塩水(0.9%w/v)、ドデシルマルトシド(0.18%w/v)、pH 6.0。
【0282】
US7998927号の実施例1は、5U/ml(すなわち、100μl中0.5U)及び25U/ml(すなわち、20μl中の0.5U)の上記の製剤中のヒトインスリンの組成物を記載している。どちらの場合も、インスリン濃度は、ヒト使用のための市販のインスリン製品のインスリン濃度(≧100U/ml)よりも低かった。
【0283】
ヒトインスリンの製剤を5U/ml、25U/ml、及び100U/mlの上記の製剤中に調製した。上記のヒトインスリン製剤を試験された3つのインスリン濃度のいずれかの透明な溶液として調製することは不可能であることが分かった(表25)。組成物は、ストレスが存在しなくても多数の粒子を示し、視覚的評価スコアリング方法Bにより、3(5U/mlインスリン製剤)、4(25U/mlインスリン製剤)、及び5(100U/mlインスリン製剤)というスコアが付いた。その後の30でのストレスは、さらに速やかな粒子形成をもたらし、3つの製剤は全て、30℃で4週間インキュベートした後の視覚的評価スコアリング方法Bにより、5というスコアが付いた。
表25: 30℃での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたヒトインスリン製剤の視覚的スコア。
【表51】
*=0.9%w/v
【0284】
0.18%w/v及び0.005%w/vの濃度のドデシルマルトシドを含む製剤へのクエン酸の添加の効果も比較した。試験された製剤は全て、ヒトインスリン(100U/ml)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、イオン性亜鉛(ZnCl2として19.7μg/ml、対アニオンを除く)を含み、pH 7.4に調整された。追加の成分は、表26に示されている。
【0285】
クエン酸塩の存在下では、製剤を透明な液体として調製することができることが示された(表26)。しかしながら、より低レベルのドデシルマルトシドを含む製剤だけが、30℃での貯蔵の後、安定な状態のままであった。0.18%ドデシルマルトシドを含む製剤は、かなり大きい粒子形成を示した。
表26: 30℃での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたヒトインスリン製剤の視覚的スコア。
【表52】
【0286】
本明細書及び以下に続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈上、別段の解釈を要する場合を除き、「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などのその変化形は、記載された整数、工程、整数の群、又は工程の群の包含を意味するが、任意の他の整数、工程、整数の群、又は工程の群の除外を意味するものではないと理解されるであろう。
【0287】
本明細書において「A及び/又はB」などの語句の中で使用される「及び/又は」という用語は、AとBの両方; A又はB; A(のみ);及びB(のみ)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句の中で使用される「及び/又は」という用語は、以下の実施態様の各々を包含することが意図される: A、B、及びC; A、B、又はC; A又はC; A又はB; B又はC; A及びC; A及びB; B及びC; A(のみ); B(のみ);並びにC(のみ)。
【0288】
引用された刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号/データベース配列(ポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列の両方を含む)は全て、あたかも各々の個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号/データベース配列が引用によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別的に示されるのと同じ程度まで、あらゆる目的のために、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0289】
(配列表)
【化1】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。
(態様2)
前記インスリン化合物がインスリングラルギンではない、態様1記載の製剤。
(態様3)
前記インスリン化合物がインスリンリスプロである、態様1記載の製剤。
(態様4)
前記インスリン化合物がインスリンアスパルトである、態様1記載の製剤。
(態様5)
前記インスリン化合物がインスリングルリジンである、態様1記載の製剤。
(態様6)
前記インスリン化合物が組換えヒトインスリンである、態様1記載の製剤。
(態様7)
前記インスリン化合物が10~1000U/mlの濃度で存在する、態様1~6のいずれか一項記載の製剤。
(態様8)
前記インスリン化合物が50~1000U/mlの濃度で存在する、態様7記載の製剤。
(態様9)
前記インスリン化合物が10~250U/mlの濃度で存在する、態様7記載の製剤。
(態様10)
前記インスリン化合物が400~1000U/mlの濃度で存在する、態様7記載の製剤。
(態様11)
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%超の濃度で存在する、態様1~10のいずれか一項記載の製剤。
(態様12)
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5%超の濃度で存在する、態様11記載の製剤。
(態様13)
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5~1%の濃度で存在する、態様12記載の製剤。
(態様14)
亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が、クエン酸塩、ピロリン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、システイン、シスチン、グルタチオン、エチレンジアミン、ヒスチジン、DETA、及びTETAから選択される、態様1~13のいずれか一項記載の製剤。
(態様15)
前記亜鉛結合種がクエン酸塩である、態様14記載の製剤。
(態様16)
前記クエン酸塩の源がクエン酸である、態様15記載の製剤。
(態様17)
亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が1~50mMの濃度で存在する、態様1~16のいずれか一項記載の製剤。
(態様18)
イオン性亜鉛と亜鉛結合種のモル比が1:3~1:175である、態様1~17のいずれか一項記載の製剤。
(態様19)
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、態様1~13のいずれか一項記載の製剤。
(態様20)
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない、態様1~13のいずれか一項記載の製剤。
(態様21)
前記アルキルグリコシドが、ドデシルマルトシド、ドデシルグルコシド、オクチルグルコシド、オクチルマルトシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、デシルグルコピラノシド、トリデシルグルコシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルグルコシド、テトラデシルマルトシド、ヘキサデシルグルコシド、ヘキサデシルマルトシド、モノオクタン酸スクロース、モノデカン酸スクロース、モノドデカン酸スクロース、モノトリデカン酸スクロース、モノテトラデカン酸スクロース、及びモノヘキサデカン酸スクロースからなる群から選択される、態様1~20のいずれか一項記載の製剤。
(態様22)
前記アルキルグリコシドがドデシルマルトシド又はデシルグルコピラノシドである、態様21記載の製剤。
(態様23)
前記アルキルグリコシドがドデシルマルトシドである、態様22記載の製剤。
(態様24)
前記非イオン性界面活性剤が、1~1000μg/ml、例えば、5~500μg/ml、10~200μg/ml、10~100μg/ml、又は約50μg/mlの濃度で存在する、態様1~23のいずれか一項記載の製剤。
(態様25)
前記非イオン性界面活性剤が、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、50~200μg/ml、10~100μg/ml、20~100μg/ml、又は50~100μg/mlの濃度で存在する、態様24記載の製剤。
(態様26)
浸透圧調節剤をさらに含む、態様1~25のいずれか一項記載の製剤。
(態様27)
前記浸透圧調節剤が非荷電性浸透圧調節剤である、態様26記載の製剤。
(態様28)
前記非荷電性浸透圧調節剤が、トレハロース、マンニトール、グリセロール、及び1,2-プロパンジオールからなる群から選択される、態様27記載の製剤。
(態様29)
前記非荷電性浸透圧調節剤がグリセロールである、態様28記載の製剤。
(態様30)
前記浸透圧調節剤が荷電性浸透圧調節剤である、態様26記載の製剤。
(態様31)
前記荷電性浸透圧調節剤が塩化ナトリウムである、態様30記載の製剤。
(態様32)
前記塩化物が、>60mM、例えば、>65mM、>75mM、>80mM、>90mM、>100mM、>120mM、又は>140mMの濃度で存在する、態様30又は態様31記載の製剤。
(態様33)
前記亜鉛結合種及び前記インスリン化合物を除く前記製剤のイオン強度が、<40mM、例えば、<30mM、<20mM、又は<10mMであり、ここで、イオン強度が、式Ia:
(数1)
(式中、c
x
は、イオンxのモル濃度(mol L
-1
)であり、z
x
は、イオンxの電荷の絶対値であり、総和は、該製剤中に存在する全てのイオン(n)を含める)に従って計算される、態様10記載の製剤。
(態様34)
前記組成物が実質的に等張である、態様1~33のいずれか一項記載の製剤。
(態様35)
pHが5.5~9.0の範囲である、態様1~34のいずれか一項記載の製剤。
(態様36)
前記pHが7.0~7.5の範囲、例えば、7.4である、態様35記載の製剤。
(態様37)
前記pHが7.6~8.0の範囲、例えば、7.8である、態様35記載の製剤。
(態様38)
リン酸塩緩衝剤、例えば、リン酸ナトリウムを含む、態様36又は態様37記載の製剤。
(態様39)
防腐剤をさらに含む、態様1~38のいずれか一項記載の製剤。
(態様40)
前記防腐剤が、フェノール、m-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、メチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムからなる群から選択される、態様39記載の製剤。
(態様41)
ニコチンアミドをさらに含む、態様1~40のいずれか一項記載の製剤。
(態様42)
ニコチン酸又はその塩をさらに含む、態様1~41のいずれか一項記載の製剤。
(態様43)
トレプロスチニル又はその塩をさらに含む、態様1~42のいずれか一項記載の製剤。
(態様44)
(i)50~500U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む、態様1記載の水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。
(態様45)
前記クエン酸塩が10~30mMの濃度で前記製剤中に存在する、態様44記載の製剤。
(態様46)
(i)400~1000U/ml、例えば、500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む、態様1記載の水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。
(態様47)
前記クエン酸塩が30~50mMの濃度で前記製剤中に存在する、態様46記載の製剤。
(態様48)
真性糖尿病に罹患している対象の治療において使用するための、態様1~47のいずれか一項記載の製剤。
(態様49)
それを必要としている対象に、有効量の態様1~47のいずれか一項記載の製剤を投与することを含む、真性糖尿病の治療方法。
(態様50)
1用量又は複数用量の態様1~47のいずれか一項記載の製剤を含有する容器。
(態様51)
1用量又は複数用量の態様1~47のいずれか一項記載の製剤を注射針とともに含有する容器を含む1回又は複数回使用のための注射器具。
(態様52)
複数用量の態様1~47のいずれか一項記載の製剤を含むリザーバー及び自動又は遠隔操作したときに1以上の用量の前記製剤が体内に投与されるように自動又は遠隔操作に適応しているポンプを含む医療器具。
(態様53)
再構成の後、(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を含む水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;該組成物がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記乾燥固体医薬組成物。
(態様54)
態様1~47のいずれか一項記載の製剤を調製する方法であって、態様53記載の乾燥固体医薬組成物を水性媒体に溶解させることを含む、前記方法。
(態様55)
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善する方法であって;アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤を該製剤に添加することを含む、前記方法。
(態様56)
(i)インスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤の貯蔵安定性を改善するための、アルキルグリコシドである非イオン性界面活性剤の使用。
(態様57)
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、態様53~56のいずれか一項記載の組成物、方法、又は使用。
(態様58)
前記製剤が亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない、態様53~57のいずれか一項記載の組成物、方法、又は使用。
(態様59)
(i)400~1000U/mlの濃度のインスリン化合物及び(ii)イオン性亜鉛を含む水性液体医薬製剤であって;
該製剤が100U/mlの濃度の該インスリン化合物を含む対応する製剤と生物学的に等価である、前記水性液体医薬製剤。
(態様60)
前記インスリン化合物が、>400~1000U/ml、例えば、500~1000U/ml、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、例えば、1000U/mlの濃度で存在する、態様59記載の製剤。
(態様61)
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ及び(ii)イオン性亜鉛を含む、態様59記載の製剤であって;
該製剤が、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤と生物学的に等価である、前記製剤。
(態様62)
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト及び(ii)イオン性亜鉛を含む、態様59記載の製剤であって;
該製剤が、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤と生物学的に等価である、前記製剤。
(態様63)
貯蔵中(例えば、30℃で、1、2、又は3カ月間)の関連種の総増加率が100U/mlの濃度の前記インスリン化合物を含む対応する製剤の該増加率と同じくらいの大きさである、態様59~62のいずれか一項記載の製剤。
(態様64)
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を含む、態様59~63のいずれか一項記載の製剤。
(態様65)
前記亜鉛結合種がクエン酸塩である、態様64記載の製剤。
(態様66)
亜鉛結合種の濃度が30mM~50mMである、態様64又は態様65記載の製剤。
(態様67)
非イオン性界面活性剤を含む、態様59~66のいずれか一項記載の製剤。
(態様68)
EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、態様59~67のいずれか一項記載の製剤。
(態様69)
前記水性液体医薬製剤及び前記対応する製剤のT
max
に適用されるスチューデントのt-検定が≧0.05のp-値をもたらす、態様59~68のいずれか一項記載の製剤。
(態様70)
血管拡張薬を含有しない、例えば、トレプロスチニル、ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩を含有しない、態様1~47及び59~69のいずれか一項記載の製剤。
(態様71)
例えば、糖尿病の治療において有用な追加の治療活性剤をさらに含む、態様1~47及び59~70のいずれか一項記載の製剤。
(態様72)
前記追加の活性剤が、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる群から選択される、態様71記載の製剤。
(態様73)
長時間作用型インスリン、例えば、インスリングラルギン又はインスリンデグルデクと共投与される、態様1~47及び59~72のいずれか一項記載の製剤。
【配列表】