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特許7145884残圧機能を有するコンパクトなガスボンベ弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】残圧機能を有するコンパクトなガスボンベ弁
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20220926BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20220926BHJP
   F16K 1/30 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
F17C13/02 301Z
F16K1/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019562564
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2018060692
(87)【国際公開番号】W WO2018215159
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】LU100263
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】521562016
【氏名又は名称】ロタレックス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】セレン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,フィリップ
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0356426(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0118402(US,A1)
【文献】独国特許発明第10137361(DE,C1)
【文献】実開昭53-043520(JP,U)
【文献】実開昭53-043521(JP,U)
【文献】特開2015-187467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/04
F17C 13/02
F16K 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-入口(18;118)、出口(40;140)、及び前記入口と出口を流体的に相互接続する通路(20;120)を有する本体(4;104)と、
-前記通路(20;120)に形成される座部(26;126)及び該座部と協働するために縦軸(7;107)に沿って移動可能なシャッタ(24;124)を有する遮断装置(22;122)と
-縦軸(7;107)に沿って前記本体(4;104)に回転可能に取付けられたスピンドル(12;112)であって、該スピンドルの回転時に前記シャッタを移動させるように前記シャッタ(24;124)と協働する、スピンドルと、
-前記遮断装置(22;122)の流体的に下流にあり、前記通路(20;120)に形成された座部(32;132)及び横軸(38;138)に沿って移動可能なピストン(30;130)を有する、残圧装置(28;128)とを含むガスボンベ弁(2;102)であって、
前記シャッタ(24;124)及び前記ピストン(30;130)の少なくとも一方は、前記シャッタ及び前記ピストンの他方を収容する凹部(130.4)又は開口部(24.4)を示すことを特徴とする、ガスボンベ弁(2;102)。
【請求項2】
前記ピストン(30;130)の前記横軸(38;138)は、前記シャッタ(24)の前記縦軸(7)を横断する、又は前記シャッタ(124)と向かい合う前記ピストン(130)の直径の半分以下だけ前記縦軸(107)から離れている、請求項1に記載のガスボンベ弁(2;102)。
【請求項3】
前記シャッタ(24;124)は、前記スピンドル(12;112)と係合する第1端部(24.1;124.1)、前記遮断装置(22;122)の前記座部(26;126)と協働するための密閉手段を有する第2端部(24.2;124.2)、及び前記第1端部と前記第2端部との間に延在する中間長尺部(24.3;124.3)を含む、請求項1及び2のどちらか一項に記載のガスボンベ弁(2;102)。
【請求項4】
前記シャッタ(24)の前記中間長尺部(24.3)は、前記ピストン(30)を収容する前記開口部(24.4)を示す、請求項3に記載のガスボンベ弁(2)。
【請求項5】
前記開口部(24.4)は、前記軸に沿って前記シャッタの移動を可能にするように、前記シャッタ(24)の前記縦軸(7)に沿って楕円形又は円形である、請求項4に記載のガスボンベ弁(2)。
【請求項6】
前記シャッタ(24)の前記中間長尺部(24.3)は、概して平坦で、少なくとも1つの主面(24.6)、及び前記本体(4)の縦方向穴に摺動的に収納される少なくとも一方が円弧形状の側面(24.5)を有する、請求項4及び5のどちらか一項に記載のガスボンベ弁(2)。
【請求項7】
前記シャッタ(24)の前記中間長尺部(24.3)の前記少なくとも1つの主面(24.6)は、前記シャッタの回転を防ぐように、前記本体(4)における平坦面と摺接する、請求項6に記載のガスボンベ弁(2)。
【請求項8】
前記ピストン(30)は、前記残圧装置(28)の前記座部(32)と、気密に協働する前部(30.1)、及び該前部(30.1)と比較して大きな直径の後部(30.2)を含み、前記後部は、前記本体(4)上に取付けられたプラグ(36)に形成された穴内に摺動的に収納されるガスケットを含み、前記シャッタ(24)と摺接する前記平坦面は、前記プラグによって支持される、請求項7に記載のガスボンベ弁(2)。
【請求項9】
前記シャッタ(24)と摺接する平坦面は、前記プラグ(36)によって支持されるカラー(42)によって形成される、請求項8に記載のガスボンベ弁(2)。
【請求項10】
前記シャッタ(124)の前記中間長尺部(124.3)は、前記第1端部(124.1)及び前記第2端部(124.2)の少なくとも一方の平均径より小さい平均径を示す、請求項3に記載のガスボンベ弁(102)。
【請求項11】
前記シャッタ(124)の前記中間長尺部(124.3)は、前記シャッタ(124)と向かい合う前記ピストン(130)の直径全体にわたり延在する、請求項3及び10のどちらか一項に記載のガスボンベ弁(102)。
【請求項12】
前記ピストン(130)の前記凹部(130.4)は、前記ピストンのストロークに沿って、前記シャッタ(124)の前記中間長尺部(124.3)を収容するように、前記横軸(138)に沿って延在する、請求項1、10及び11のうちいずれか一項に記載のガスボンベ弁(102)。
【請求項13】
前記ピストン(130)の前記凹部(130.4)は、前記ピストン直径の4分の1より大きい径方向深さを示す、請求項12に記載のガスボンベ弁(102)。
【請求項14】
前記ピストン(130)は、主要部(130.2)及び該主要部と比べて小径の前部(130.1)を含み、該前部は、前記残圧装置(128)の前記座部(132)と気密に協働し、前記凹部(130.4)は、前記主要部(130.2)内に設けられる、請求項12及び13のどちらか一項に記載のガスボンベ弁(102)。
【請求項15】
前記主要部(130.2)は、前記前部(130.1)に対向して後端部を含み、該後端部は、前記端部と前記前部との間に、弾性力(134)に対抗して前記残圧装置(128)の前記座部(132)から前記ピストンを離隔するための前記ガス用チャンバを形成するように、前記本体(104)内にある穴と摺動的に協働するガスケットを有する、請求項14に記載のガスボンベ弁(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガス用弁、特にガスボンベ用弁の分野を対象にする。
【背景技術】
【0002】
先行技術の公開された特許文献の米国特許出願公開第2012/00118402号明細書(特許文献1)では、手動遮断装置及び残圧装置を有するガスボンベ弁を開示している。遮断装置は、弁体内に形成された座部と協働して回転及び並進移動可能なシャッタを含む。シャッタの移動は、回転スピンドルに取付けられたハンドル車の回転によって操作される。スピンドルは、シャッタと回転係合状態にある一方で、上記シャッタは、本体と螺合状態にある。従って、スピンドルの回転は、シャッタの回転を引き起し、その結果、シャッタは回転するだけでなく、並進移動もする。残圧装置は、遮断装置の下流で流体的に配置される。残圧装置は、ピストンを含み、該ピストンは、主要部、及び弁のガス出口と直接接続した状態で、本体に形成された座部と密閉的に協働するよう構成される前部を有する。ピストンは、通路を閉鎖するように、上記座部に向けてバネによって付勢される。遮断装置が開放されると、ガス圧力は、ピストンの主要部周りで上昇し、座部上に載置する前部のガスケットと、本体にある穴と摺動的に協働する主要部のガスケットとの断面差から生じた力をピストンに対して加える。この結果的に生じた力は、バネの力と対抗し、入口圧力が所定の値、通常、1~10バールとする、を上回ると、ピストンを移動させる。つまり、ガスがボンベから流出するときにだけ、弁が開放される。ボンベが空にされているとき、圧力が上記所定値まで低下するとすぐに、残圧装置は、それ以上開放せず、それにより、ボンベの内部が、環境大気に流体的に接触するのを回避する。これにより、ボンベの汚染を回避する。
【0003】
また、上記装置のガス出口は、ガスボンベを補充するのにも役立つ。あらゆる無許可の補充を回避するために、残圧装置のピストンは、ピストンの裏側によって形成されるチャンバとガス出口を相互接続するガス流路を含む。不適当な取付部品がガスボンベを補充するのに使用された場合、補充圧力は、ピストンの裏側にあるチャンバ内で上昇し、その結果、主要部と前部との断面が異なることにより、力がピストンにかかり、ピストンを座部に向けて付勢する。補充圧力が高いほど、ピストンにかかる力が大きくなり、ピストンを座部に対して付勢する。ガスボンベを補充するには、ピストンを開放位置に機械的に移動するために、特別な取付部品が必要となる。そのために、特別な取付部品は、特別なピンを含む。
【0004】
上記教示では、ピストンは、シャッタがそれに沿って移動可能である縦軸に垂直な横軸に沿って移動可能である。残圧装置は、シャッタの側に位置し、その結果、該装置を収納するために本体内に嵩張り部が生じる。本体は、真鍮から一体的に形成される。本体の費用は、かかる弁の製造費用の重要な部分である。従って、残圧装置を収納するために本体に設けられる嵩張り部は、著しい追加費用を発生させる。加えて、オフセット穿孔を作製するための機械は、インライン構想(即ち、残圧装置を収納する出口が、遮断装置に隣接して位置し、弁の縦軸を含む平面内で並べられるという構想)と比較して、一般的により高価であり、そのために、材料だけでなく、幾何学形状も著しい追加費用の原因となる。
【0005】
公開された特許文献の独国特許発明第10137361号明細書(特許文献2)は、上記教示の1つと類似するガスボンベ弁を開示している。上記教示とは対照的に、残圧装置は、縦軸に関して、遮断装置の座部の下に位置する。これにより、嵩張り部の大きさを減少できるが、本体の高さが増大する。しかしながら、本体の増大した高さは、側面の衝撃抵抗の低下に繋がるが、かかる抵抗は、認証基準に必要とされる。言い換えれば、この設計は、本体を形成する材料の削減には役立たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2012/00118402号明細書
【文献】独国特許発明第10137361号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、技術的課題として、上述した先行技術の欠点の少なくとも1つを解消することを有する。より詳細には、本発明は、技術的課題として、遮断装置と残圧装置を有する弁で、且つ本体のための、例えば真鍮といった材料の量を減少することを示すだけでなく、その剛性により側面の衝撃負荷に対する高抵抗を有するコンパクトな設計を示す弁を提供することを有する。また、弁体の簡単な機械加工やバリ取り加工も求められる。異なる密閉構想を有する多くの異なる種類の出口接続部が存在するため、解決方法は、内円錐密閉構想及び対向ガスケット(face gasket)をカバーする必要があり、これは、限られた質量流量を有する現状技術のインライン構想では、不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、入口、出口、及び上記入口と出口を流体的に相互接続する通路を有する本体;通路に形成される座部及び該座部と協働するために縦軸に沿って移動可能なシャッタを有する遮断装置;縦軸に沿って本体に回転可能に取付けられたスピンドルであって、該スピンドルの回転時に上記シャッタを移動させるようにシャッタと協働する、スピンドル;通路に形成された座部と横軸に沿って移動可能なピストンを伴い、遮断装置の流体的に下流にある残圧装置を含むガスボンベ弁であって、シャッタ及びピストンの少なくとも一方は、上記シャッタ及び上記ピストンの他方を収容する凹部又は開口部を示す、ガスボンベ弁を対象とする。
【0009】
好適な実施形態によると、ピストンの横軸は、シャッタの縦軸を横断する、又はシャッタと向かい合うピストンの直径の半分未満だけ、上記軸から離れている。
【0010】
好適な実施形態によると、シャッタは、スピンドルと係合する第1端部、遮断装置の座部と協働するための密閉手段を有する第2端部、及び上記第1端部と上記第2端部との間に延在する中間長尺部を含む。
【0011】
好適な実施形態によると、シャッタの中間長尺部は、ピストンを収容する開口部を示す。
【0012】
好適な実施形態によると、開口部は、シャッタの縦軸に沿って楕円形であり、上記軸に沿って上記シャッタの移動を可能にする。
【0013】
好適な実施形態によると、シャッタの中間長尺部は、概して平坦で、少なくとも1つの主面、及び本体の縦方向穴に摺動的に収納される少なくとも一方が円弧形状の側面を有する。有利には、シャッタの中間長尺部は、2つの相対する主面及び/又は2つの相対する円弧形状の側面を含む。
【0014】
好適な実施形態によると、シャッタの中間長尺部の少なくとも1つの主面は、上記シャッタの回転を防ぐように、本体における平坦面と摺接する。該平坦面は、カラーによって、又はプラグによって、即ちカラー無しで、形成できる。
【0015】
好適な実施形態によると、ピストンは、残圧装置の座部と気密に協働する前部、及び該前部と比較して大きな直径の後部を含み、該後部は、本体上に取付けられたプラグに形成された穴内に摺動的に収納されるガスケットを含み、シャッタと摺接する平坦面は、上記プラグによって支持される。
【0016】
好適な実施形態によると、シャッタと摺接する平坦面は、プラグによって支持されるカラーによって形成される。
【0017】
好適な実施形態によると、シャッタの中間長尺部は、第1端部及び第2端部の少なくとも一方の平均径より小さい平均径を示す。
【0018】
好適な実施形態によると、シャッタの中間長尺部は、シャッタと向かい合うピストンの直径全体にわたり延在する。
【0019】
好適な実施形態によると、ピストンの凹部は、上記ピストンのストロークに沿って、シャッタの中間長尺部を収容するように、横軸に沿って延在する。
【0020】
好適な実施形態によると、ピストンの凹部は、上記ピストン直径の4分の1超の径方向深さを示す。
【0021】
好適な実施形態によると、ピストンは、主要部、及び該主要部と比べて小径の前部を含み、該前部は、残圧装置の座部と気密に協働し、凹部は、主要部内に設けられる。
【0022】
好適な実施形態によると、主要部は、前部に対向して後端部を含み、該後端部は、該端部と上記前部との間に、弾性力に対抗して残圧装置の座部からピストンを離隔するためのガス用チャンバを形成するように、本体内にある穴と摺動的に協働するガスケットを有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、遮断機能と残圧機能を有する弁であって、本体が、直径及び高さによって大幅に縮小された体積、従って、大幅に縮小された質量と同時に、増大した剛性を示す弁を提供する点で、特に興味深い。従って、かかる弁の製造費用は、銅の含有量が高いために、弁の総製造費用に関しては高価であるが、特に、本体が、真鍮等の材料で作製される場合には、低減される。また、弁も、よりコンパクトとなり、利用可能な空間が限られている用途に対して、有利であり得る。これは、医療用途に使用され(例えば、酸素)、保護カバーに収納されるもの等、限定的な高さのガスボンベの場合であり得る。また、本発明は、遮断装置の縦軸と残圧装置の横軸が互いに接近される、又は交差さえして、遮断装置を収納する穴と残圧装置を収納する穴との交差点における鋭角を回避するという効果がある。概して、これらの軸間のオフセットは、各穴が弁本体の2つの流路を十分接続するための更なる機械加工操作を必要とする。更にまた、オフセット設計は、加圧面の増大をもたらし、最終的には、インライン設計と比べて、弁本体の壁厚の増大をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態による弁の正面図である。
図2図1の弁のII-IIに沿った断面図である。
図3図2の弁のIII-IIIに沿った断面図である。
図4図3のIV-IVに沿った断面図である。
図5】遮断装置が開放位置にある図3に対応する。
図6】本発明の第2実施形態による弁の正面図である。
図7図6の弁のVII-VIIに沿った断面図である。
図8図7の断面図に垂直な、図7の弁のVIII-VIIIに沿った断面図である。
図9図8の弁のIX-IXに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図5は、本発明の第1実施形態によるガスボンベ弁を示している。より詳細には、図1は、弁の平面図であり、図2図4は、閉鎖状態にある弁の異なる断面図であり、図5は、図3に対応する断面図であるが、弁は開放状態にある。
【0026】
図1では、弁2は、本体4を含み、該本体は、有利には、単一体であり、好適には鍛造による、真鍮製である。本体4は、縦軸6に沿って延在する。本体4は、ガスボンベのカラーに取付けられ、弁のガス入口を形成するように設計された先細のネジ付き基部8を含む。また、本体4は、出口部10も含む。スピンドル12は、ナット14を用いて、縦軸7に沿って、本体4の先端に取付けられる。圧力解放装置16は、本体4に取付けられる。
【0027】
図2は、図1の弁のII-IIに沿った断面図である。本体4のネジ付き基部8は、弁2のガス入口18を形成し、本体4は、該本体4内に形成され、上記ガス入口18を出口部10にあるガス出口と相互接続するガス通路20を含む。
【0028】
圧力解放装置16は、バーストディスクを保持する環状部材16.1、本体4に係合され、環状部材16.1を、本体4内に形成された座部に対して、気密に押圧するネジ付きスリーブ16.2を含む。キャップ16.3は、圧力解放装置16の出口に、即ちネジ付きスリーブの出口に設けられる。バーストディスクは、本体4に形成されたガス通路20に直接接触している。ガスボンベにおける、従ってバーストディスクにも対する圧力が、所定レベルまで増大した場合、上記ディスクは、破裂し、圧力を、スリーブ16.2を通して弁の外に排出する。
【0029】
弁2は、圧力解放装置16の下流に、縦方向に沿って移動可能なシャッタ24、及び座部26から基本的に成る遮断装置22を含む。
【0030】
図3は、図1の平面と平行で、断面II-IIと垂直な、図1の弁の断面図である。
【0031】
図3において明らかなように、シャッタ24は、第1左回し雄ネジ端部24.1を含み、該第1左回し雄ネジ端部24.1は、例えば、細長で、スピンドル12と協働して、軸7に沿ってシャッタの縦方向の並進を作動する。例えば、第1端部24.1は、スピンドル12内に形成される左回しの雌ネジと係合するスタッドを形成する。また、シャッタ24は、第1端部24.1と対向し、座部26と協働する、密閉手段を有する第2端部24.2も含む。座部26は、例えば、本体4内に直接形成され、ガス用通路20によって横断される。
【0032】
また、図3において明らかなように、弁2は、ピストン30から基本的に成る残圧装置28も含み、該ピストンは、座部32と協働し、例えば、螺合によって本体4に取付けられるプラグ36に対して載置したバネ34によって上記座部32へ向かい付勢される。ピストン30は、シャッタ24の中間長尺部24.3内に形成された開口部24.4を通り、横軸38に沿って延在し、上記中間長尺部24.3は、第1端部24.1と第2端部24.2との間に延在する。
【0033】
残圧装置28は、遮断装置22の下流に流体的に配置される。ピストン30は、座部32と協働する前部30.1を含む。前部30.1は、出口部10にある弁出口40と直接連通状態の通路20によって横断される。例えば、前部30.1は、外側円環溝に収納されるガスケットを含み、弁出口40に関して通路20を閉鎖するように、座部32と気密に係合する。後部30.2は、プラグ36内に形成された穴に、気密状態に、摺動的に受容される。後部30.2は、外側円環溝に収納されるガスケットを含むことができ、該ガスケットは、プラグ36内の穴と接触する。穴と気密接触するレベルでの後部30.2の有効径は、座部32と気密接触するレベルでの前部30.1の有効径より大きい。ピストン30周りの空洞において圧力がないとき、バネ34は、通路を閉鎖するように、座部32に対してピストン30を付勢する。遮断装置22が開放されると、ガスは、ボンベからピストン30周りの空洞に流れ、上記空洞内での圧力が増大する。後部30.2及び前部30.1の有効径によって画成された環状面に印加されるガスの圧力から生じたバイアス力は、ピストンに加えられ、該ピストンを、バネ34の弾性力に対抗して、座部32から離隔させ、通路を開放する。残圧装置を開放するのに必要な圧力は、1~10バールとすることができる。
【0034】
更に図3を参照すると、ピストンは、流路30.3を含み、該流路30.3は、軸方向に延在し、前部30.1の前面を、後部30.2及びプラグ36の穴によって画成されるチャンバと接続する。運転時、ガスボンベの圧力が、残圧装置を開放するための所定レベルより低下すると、上記装置は、閉鎖されたままになる。出口部10がガス補充源と接続される場合、補充圧力は、後部30.2及びプラグ36の穴によって画成されるチャンバ内で上昇し、その結果、ピストンに対して力を加え、座部32に対して上記ピストンを付勢する。
【0035】
ピストン30周りの空洞における圧力が、所定レベルを超えると、ピストンは、座部32を通過する際の圧力低下により、開放位置に留まる。
【0036】
図4は、図3のIV-IVに沿った断面図である。明らかなように、シャッタ24、より詳細には、シャッタ24の中間長尺部24.3は、概して平坦であり、本体4の対応する湾曲空洞と摺接する湾曲した輪郭を示す2つの相対する側面24.5を含む。より詳細には、湾曲した輪郭は、円弧形をしており、空洞は、円形断面を示している。また、シャッタ24の中間長尺部24.3は、2つの相対する主面24.6も含み、該面の一方は、概して平坦であり、上記シャッタの回転を防ぐように本体の空洞内で案内面と摺接する。案内面は、有利には、プラグ36によって支持されるカラー42によって形成される。カラー42は、縦軸7周りのシャッタ24の回転自由度を回避し、同時に、ピストン30をその横軸38に沿って案内する。カラー42は、L字形断面を示すことができ、L字形の径方向に延在する翼部は、案内面を形成する。また、Z字形も可能であり、Z字形では、ピストン30の案内長さが増大する。
【0037】
図5は、図3に対応するが、弁が開放状態になっている。スピンドル12は、ガス通路20を開放するために、シャッタ24を座部26から離隔するように回転されている。 ガスの圧力がピストン30周りの空洞に存在する状態下では、該ピストンを座部32から離隔し、出口40とのガス通路20を開放する。図2を参照すると、シャッタ内の開口部24.4は、有利には、ピストン30と接触せずにそのストロークにわたりシャッタの縦運動を可能にするために、縦方向に楕円形をしている。
【0038】
図4に戻り参照すると、残圧装置28のピストン30の軸38が、遮断装置のシャッタ24の縦軸7を横断していることを観察できる。これは、図2でも明らかである。つまり、本体4は、先行技術でのように、嵩張る側部をもう必要としない。従って、本体4は、材料、例えば、真鍮の質量に関して最適化できる。加えて、弁2は、材料的な利得に関係無く、体積の提供が限定され、安全上の理由から側面の衝撃負荷に対する高い耐性が要求される用途にとって有利となる、コンパクトな設計を示す。また、遮断装置と残圧装置との流体接続は、上記遮断装置のシャッタを収納する空洞によって自動的に達成される。先行技術では、この接続は、通常、遮断装置を収納するための縦穴と残圧装置を収納するための横穴を交差することによって達成される。これらの穴を機械加工するのには普通、これらの穴の交差部で発生するバリの点検、および潜在的にはバリの除去が必要である。
【0039】
図6図9は、本発明の第2実施形態によるガスボンベ弁を示している。より詳細には、図6は、弁の平面図であり、図7図9は、閉鎖状態における弁の異なる断面図である。第1実施形態の参照番号が、ここでは、同じ又は対応する要素を指すのに使用されており、そうした参照番号は、100ずつ増大されている。また、第1実施形態に関するこれらの要素の説明も参照される。
【0040】
図6では、図1で図説された弁と同様に、弁102は、縦軸106、入口部108、出口部110を有する本体104、ナット114によって保持されるスピンドル112、及び圧力解放装置116を含む。スピンドル112は、例えば、本体104の縦軸106と異なる縦軸107に沿って延在する。
【0041】
図7は、図6における弁のVII-VIIに沿った断面図である。図2の図説と同様に、弁102は、基本的にシャッタ124及び座部126から成る遮断装置122を含み、シャッタ124は、座部126と協働するために、縦軸107に沿って移動可能である。より詳細には、シャッタ124は、スピンドル112と協働する第1端部124.1、座部126と協働する密閉手段を有する第2端部124.2、及び中間長尺部124.3を含む。例えば、第1端部124.1は、本体104における対応する雌ネジと係合する雄ネジ、及びスピンドル112の対応する非円形端部を受容する非円形空洞を含む。スピンドル112は、従って、シャッタ124と回転係合状態にある一方で、上記シャッタは、スピンドル112に対して縦方向に移動できる。言い換えれば、スピンドル112の回転は、シャッタ124の回転を引き起し、該回転は、第1端部124.1の本体104との螺合により、並進を引き起す。
【0042】
第1実施形態の弁と同様に、弁102は、残圧装置128も含み、該残圧装置128は、図7では部分的にだけ視認できる。残圧装置128は、ピストン130を含み、該ピストンは、軸138に沿って摺動可能であり、シャッタ124の中間部124.3を収容するように凹陥されている。
【0043】
図8は、図6の平面と平行で、断面VII-VIIと垂直な、図7における弁のVIII-VIIIに沿った断面図である。図8で図説された断面は、残圧装置128のピストン130の横軸138を含む。第1実施形態と同様に、残圧装置128は、遮断装置と出口140との間で流体的に接続される。ピストン130は、残圧装置128の座部132と気密に協働する前部130.1を含む。また、ピストン130は、本体に形成された穴、例えば、本体104に取付けられたプラグ136に形成された穴内に、気密状態で摺動可能に受容される後部を有する主要部130.2も含む。穴と気密状態で協働する後部の有効径は、座部132と気密状態で協働する前部130.1の有効径より大きい。その結果、ピストン130周りの空洞内の圧力が、所定レベルに達すると、ピストン130に結果的にかかる力は、出口140との通路を開放するように、上記ピストンを、バネ134の弾性力に対抗して、座部132から離隔する。第1実施形態と同様に、ピストン130は、前部130.1にあるピストンの前面を、主要部130.2の後端部にあるピストンの後面と、流体的に相互接続する中心流路130.3を含むことができる。
【0044】
図9は、図8のIX-IXに沿った断面図である。明らかなように、ピストン130は、シャッタの中間長尺部124.3を収容する空間を提供する、主要部130.2にある凹部130.4を示している。明らかなように、凹部130.4は、有利には、シャッタと干渉せずにピストン130の動作時の並進を可能にするために、ピストン130の軸138に沿って細長くする。ピストンに形成された流路130.3は、有利には、上記流路と干渉せずに凹部を機械加工するのに十分平坦な材料を提供するために小径を示している。
【0045】
図9において、また図7において明らかなように、遮断装置の軸107は、残圧装置の軸138から遠くにある。しかしながら、これらの軸は、基本的にピストン130にある凹部130.4のために、互いに接近し、シャッタの中間長尺部124.3を収容する。従って、この配置は、残圧装置を収納するための本体における嵩張り部の寸法及び体積、従って本体に必要な材料の量を、大幅に減少させる。例えば、図7及び図9を参照すると、本体104は、2カ所の極めて限られた嵩張り領域、即ち、ピストン130周りにある第1領域(図7)とシャッタ124周りにある第2領域(図9)を示している。従って、本体は、先行技術と比べて減少した体積を示している。また、弁も、よりコンパクトである。第1実施形態と同様に、残圧装置と遮断装置を互いに接近させることで、本体の機械加工プロセスにおいて、遮断装置と残圧装置との間の流体連通が、遮断装置を収納する縦穴と残圧装置を収納する横穴とを鋭角に交差させずに、容易に提供されるという長所も提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9