(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】抗CD19 ADCを投与するための投与レジメ
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220926BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20220926BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220926BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220926BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220926BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220926BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20220926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K31/5517
A61K39/395 L ZNA
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/573
A61P43/00 121
A61K9/08
(21)【出願番号】P 2019569479
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2018065873
(87)【国際公開番号】W WO2018229222
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-11
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517182365
【氏名又は名称】アーデーセー セラピューティクス ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】506042265
【氏名又は名称】メディミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ファインゴールド,ジェイ マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】アンガー,デイヴィッド ロドニー
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/057117(WO,A1)
【文献】特表2017-512801(JP,A)
【文献】国際公開第2016/166298(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/052534(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 31/33-33/44
A61K 45/00
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD19-
抗体薬物複合体(ADC)を含む、対象の
B細胞系非ホジキンリンパ腫を治療する医薬組成物であって、前記CD19-ADCは、前記対象に、
複数の治療サイクルを含む投与レジメで投与され、2回目の治療サイクルの後に用量
が低減
される投与レジメで投与され、
低減された前記CD19-ADCの用量は前記CD19-ADCの開始用量の約50%であり、前記治療サイクルは各々3週間であり、かつ、
前記CD19-ADCは、以下の式:
【化1】
(式中、Abは、配列番号2の配列を有するVHドメイン、及び配列番号8の配列を有するVLドメインを含む、CD19抗体であり、
薬物/抗体比(DAR
)が、1~8である)
で表される化学構造を有する、医薬組成物。
【請求項2】
2回目の治療サイクルの後に用量が低減される投与レジメにおいて、用量の低減は一回である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記
CD19-ADCの開始用量は、150μg/kg
、120μg/kg、90μg/kg、又は60μg/kgである、請求項
2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
150μg/kgのCD19-ADCを2回の3週間の治療サイクルで投与し、
その2回目のサイクルの投与から3週間後に、75μg/kgの3週間のサイクルを開始する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記
B細胞系非ホジキンリンパ腫が、以下の:
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症及び辺縁帯B細胞性リンパ腫(MZBL)
からなる群から選択される非ホジキンリンパ腫である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記対象が、ヒトである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記CD19-ADCが、化学療法剤と併用投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記
化学療法剤は、イブルチニブ
である、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記イブルチニブは、QD(1日に1回)投与レジメで投与され、かつ、560mg/日の用量で投与される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記化学療法剤がデュルバルマブである、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記デュルバルマブは、Q4WD(4週間おきに1回)投与レジメで投与され、かつ、1500mgの用量で投与される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記化学療法剤がリツキシマブである、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記リツキシマブがQ3W(3週間おきに1回)投与レジメで投与され;かつ、375mg/m
2
の用量で投与される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記CD19-ADCはステロイドと併用投与される、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、がんのような病理学的状態を抗体薬物コンジュゲート(ADC)によって治療するための新規投与レジメに関するものである。特には、本開示は、CD19に結合するADC(CD19-ADC)に結合するADCの投与に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抗体療法
抗体療法は、がん、免疫障害及び血管形成障害の対象に標的治療を行うために確立された(Carter,P.(2006)Nature Reviews Immunology 6:343-357)。がんの治療の際に、細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤、すなわち、腫瘍細胞を殺傷または阻害する薬物を局所送達するために、抗体薬物コンジュゲート(ADC)、すなわち、免疫コンジュゲートを使用することは、薬物部分を腫瘍に送達して、腫瘍細胞内に蓄積させることを目的としているが、コンジュゲートしていないこれらの薬剤を全身投与すると、正常細胞に対する毒性が許容不能なレベルとなり得る(Xie et al(2006)Expert.Opin.Biol.Ther.6(3):281-291、Kovtun et al(2006)Cancer Res.66(6):3214-3121、Law et al(2006)Cancer Res.66(4):2328-2337、Wu et al(2005)Nature Biotech.23(9):1137-1145、Lambert J.(2005)Current Opin.in Pharmacol.5:543-549、Hamann P.(2005)Expert Opin.Ther.Patents 15(9):1087-1103、Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207-212、Trail et al(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328-337、Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605-614)。
【0003】
CD19
CD19は、B細胞分化の際に初期に発現するとともに、B細胞が最終分化を誘導されるまで、継続して発現する95kDaの膜受容体である(Pezzutto et al.(1987),J.Immunol 138:2793、Tedder et al(1994)lmmunol Today 15:437)。CD19細胞外ドメインは、2つのC2型の免疫グロブリン(IG)様ドメインが、それらよりも小さいジスルフィド結合ドメインによって隔てられたものを含む。CD19細胞質ドメインは、構造的に特有であるが、ヒト、マウス及びモルモットの間で高度に保存されている(Fujimoto et al.,(1998)Semin Immunol.10:267)。CD19は、Bリンパ球の細胞表面に見られるタンパク質複合体の一部である。そのタンパク質複合体は、CD19、CD21(補体受容体、2型)、CD81(TAPA-1)及びCD225(Leu-13)を含む(Fujimotoの上記文献)。
【0004】
CD19は、B細胞における膜貫通シグナルの重要な制御因子である。CD19の細胞表面密度の増減は、B細胞の発生及び機能に影響を及ぼし、自己免疫または低ガンマグロブリン血症の疾患を引き起こす。CD19複合体は、B細胞の膜に見られる2つの別個のシグナル伝達複合体の架橋を通じて、インビボにおいて、抗原に対するB細胞の応答を助長する。膜IgM及びCD19と関連するその2つのシグナル伝達複合体は、異なる機序によって、ホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。CD19及びB細胞受容体の架橋によって、PLCの活性化に必要とされるIgM分子の数が軽減される。CD19は、Arcファミリーキナーゼの増幅に特化したアダプタータンパク質としても機能する(Hasegawa et ah,(2001)J Immunol 167:3190)。
【0005】
CD19の結合は、発生する架橋の量に応じて、B細胞の活性化及び増殖の向上と阻害の両方を行うことが示されている(Tedder,1994,Immunol.Today 15:437)。CD19は、B細胞リンパ腫の90%超で発現し、インビトロ及びインビボにおいて、リンパ腫の成長に影響を及ぼすと予想されている。
【0006】
抗CD19 ADCの治療的使用
例えば、がんの治療における、抗CD19抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(抗CD19-ADC)の有効性は、開示されてきている。例えば、WO2014/057117及びWO2016/166298を参照されたい。
【0007】
抗CD19 ADCの有効性、忍容性及び臨床的有用性をさらに向上させる目的で、研究が続けられている。この目的のために、本執筆者は、抗CD19 ADCを投与するための臨床的に有益な投与レジメを特定した。
【発明の概要】
【0008】
本執筆者は、対象をCD19-ADCによって治療することを通じて、CD19-ADCによる治療の有効性、効率性及び/または忍容性を改善させる投与レジメを開発した。興味深いことに、治療の最適な有効性、効率性及び/または忍容性を得るために必要なパラメーターが、適応症サブセット間で異なることが明らかになった。
【0009】
リンパ腫
本執筆者は、下記のように、3週間の治療サイクルごとに単回用量のCD19-ADCを用いて、再発性または難治性のB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)の対象のコホートを治療中に、120μg/kg以上の用量では、3週間おきの反復投与は、充分な忍容性を示さないか、または不要であることに気付いた。
-120μg/kgで処置した6人の奏効患者(4人が完全寛解、2人が部分寛解)のうち、4人において、治療(3~7回の治療サイクル)中に、有害事象により、少なくとも1用量を遅延させる必要があったとともに、2人において、治療を中止した。
-副作用が見られるまで、2~3回の治療サイクルで、CD19-ADCを150μg/kgで処置した3人の患者では、投与の遅延が必要となった。この遅延のケースでは、毒性がなかなか解消されなかったため、最終的には、試験から除外された。
-200μg/kgで処置した6人の患者のうち、5人は完全奏効を達成し、残りの1人は部分奏効を達成した。しかしながら、いずれの患者でも、2回目または3回目の治療サイクルの最後に、何らかの毒性のエビデンスが見られた。
【0010】
加えて、薬物動態試験によって、CD19 ADCは、血流から速やかには消失せず、3週間の各治療サイクルの終了時のトラフ濃度が、比較的高いレベルで維持されるか、または治療サイクルごとに、徐々に上昇さえすることが示されている。
【0011】
したがって、本執筆者は、CD19-ADCの用量を漸減させ、及び/または各治療サイクルの長さを延ばせば、CD19-ADCに合理的に暴露させて、効能をもたらす一方で、CD19-ADCの蓄積の低減を通じて、長期忍容性を最大化することによって、リンパ腫の対象をより有効に長期治療可能になると推測した。
【0012】
したがって、本開示の主題の一部は、増殖性疾患を治療するために、漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを使用することに関するものである。これらの漸減型及び/または延長型のレジメは、様々な臨床上の利点に結び付くと予想され、その利点としては、毒性及び副作用の低減、ならびに、それらの結果、治療を適用可能な集団が拡大して、既知の投与レジメの副作用に耐えられない対象が含まれるようになることが挙げられる。
【0013】
好ましくは、増殖性疾患がリンパ腫であるときに、本明細書に記載されている漸減型及び/または延長型の投与レジメを採用する。例えば、増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)のような非ホジキンリンパ腫であってよい。
【0014】
第1の態様では、本開示は、対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCを対象に漸減型及び/または延長型の投与レジメで投与する前記方法を提供する。
【0015】
そのCD19-ADCは、本明細書に記載されているようなADCx19であってよい。
【0016】
「漸減型の投与レジメ」という用語は、本明細書では、1回目の治療サイクルで投与するCD19-ADCの総用量(以下では「開始用量」という)が、2回目以降の1回以上の治療サイクルで投与するCD19-ADCの総用量よりも多い投与レジメを述べる目的で用いられている。漸減型の投与レジメは、開始用量が、2回目以降の各治療サイクルで投与する総用量と同じである一定型の投与レジメとは対照的である(下記の表1の「一定型」を参照)。
【0017】
いくつかのケースでは、対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD](すなわち、SD、またはそれを上回る奏効(PRもしくはCRなど))を達成した場合のみに、投与量を低減する。
【0018】
好ましくは、対象の治療中に開始用量を低減するのは、1回以下である。これらのケースでは、用量低減後の総用量は、以下では「低減用量」という。
【0019】
いくつかのケースでは、1回目の治療サイクルの後に、用量を低減する。すなわち、1回目の治療サイクルで、開始用量を投与し、2回目以降の治療サイクルで、低減用量を投与する。表1の「漸減型6」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0020】
いくつかのケースでは、2回目の治療サイクルの後に、用量を低減する。すなわち、1回目及び2回目の治療サイクルのそれぞれで、開始用量を投与し、3回目以降の治療サイクルのそれぞれで、低減用量を投与する。表1の「漸減型3」、「漸減型4」、「漸減型5」及び「漸減型7」の投与レジメが、このような投与レジメの例である。
【0021】
いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも120μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも150μg/kg(少なくとも200μg/kgなど)である。いくつかのケースでは、開始用量は、約120μg/kg、150μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、開始用量の約50%である。いくつかのケースでは、低減用量は、約60μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、約75μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約200μg/kgであり、低減用量は、約60μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約140~160μg/kgであり、低減用量は、約70~80μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約150μg/kgであり、低減用量は、約75μg/kgである。
【0022】
いくつかのケースでは、各治療サイクルの長さは、3週間である。
【0023】
いくつかのケースでは、各治療サイクルの長さは、6週間である。
【0024】
「延長型の投与レジメ」という用語は、本明細書では、1回目の治療サイクルの長さ(以下では「開始サイクル長」という)が、2回目以降の1回以上の治療サイクルの長さよりも短い投与レジメを述べる目的で用いられている。延長型の投与レジメは、開始サイクル長が、2回目以降の各治療サイクルの長さと同じである一定型の投与レジメとは対照的である(下記の表2の「一定型」を参照)。
【0025】
いくつかのケースでは、対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、治療サイクルの長さを延長する。
【0026】
好ましくは、対象の治療中に治療サイクルの長さを延長するのは、1回以下である。これらのケースでは、治療サイクルの長さを延長した後の長さは、以下では「延長サイクル長」という。
【0027】
いくつかのケースでは、1回目の治療サイクルの後に、サイクル長を延長する。すなわち、1回目の治療サイクルは、開始サイクル長であり、2回目以降の各治療サイクルは、延長サイクル長である。表2の「延長型4」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0028】
いくつかのケースでは、2回目の治療サイクルの後に、サイクル長を延長する。すなわち、1回目及び2回目の治療サイクルはそれぞれ、開始サイクル長であり、3回目以降の治療サイクルはそれぞれ、延長サイクル長である。表2の「延長型3」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0029】
いくつかのケースでは、開始サイクル長は、3週間である。いくつかのケースでは、延長サイクル長は、6週間である。
【0030】
好ましくは、漸減型かつ延長型の投与レジメでは、対象の治療中、開始用量を低減するのは、1回以下であり、治療サイクルの長さを延長するのは、1回以下である。
【0031】
いくつかのケースでは、対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、投与量を低減し、及び/またはサイクル長を延長する。
【0032】
いくつかのケースでは、2回目の治療サイクルの後に、用量の低減及びサイクル長の延長を行う。すなわち、1回目及び2回目の治療サイクルのそれぞれは、開始用量及び開始サイクル長であり、3回目以降の各治療サイクルは、低減用量及び延長サイクル長である。
【0033】
いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも120μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも150μg/kg(少なくとも200μg/kgなど)である。いくつかのケースでは、開始用量は、約120μg/kg、150μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、約75μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、約60μg/kgである。いくつかのケースでは、開始サイクル長は、3週間であり、延長サイクル長は、6週間である。いくつかのケースでは、開始用量は、約120μg/kgであり、開始サイクル長は3週間であり、低減用量は、約60μg/kgであり、延長サイクル長は、6週間である。いくつかのケースでは、開始用量は、約150μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約60μg/kgであり、延長サイクル長は、6週間である。いくつかのケースでは、開始用量は、約140~160μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約70~80μg/kgであり、延長サイクル長は、3週間である。いくつかのケースでは、開始用量は、約150μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約75μg/kgであり、延長サイクル長は、3週間である。
【0034】
本開示の対象は、ヒトであってよい。
【0035】
本開示の対象は、がんであっても、またはがんであると判断されていてもよい。本開示の対象は、CD19+がんであるか、もしくは腫瘍と関連するCD19+非腫瘍細胞(CD19+浸潤T細胞など)を有していても、またはCD19+がんであるか、もしくは腫瘍と関連するCD19+非腫瘍細胞(CD19+浸潤細胞など)を有すると判断されていてもよい。
【0036】
好ましくは、対象が、リンパ腫であるか、リンパ腫と疑われているか、またはリンパ腫と診断されているときに、本明細書に記載されている漸減型及び/または延長型の投与レジメを採用する。例えば、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)のような非ホジキンリンパ腫であっても、その非ホジキンリンパ腫と疑われていても、またはその非ホジキンリンパ腫と診断されていてもよい。
【0037】
優先性に劣る別の実施形態では、対象は、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病であっても、その白血病と疑われていても、またはその白血病と診断されていてもよい。
【0038】
本開示の増殖性疾患は、耐性、再発性または難治性であってよい。
【0039】
対象は、再発性または難治性のB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)であっても、または再発性または難治性のB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)であると判断されていてもよい。
【0040】
いくつかのケースでは、対象は、CD19-ADCによる治療の開始前に、本開示の増殖性疾患であると診断されている。
【0041】
いくつかのケースでは、本開示の方法はさらに、CD19-ADCと組み合わせて、第2の抗がん化合物を投与することを含む。
【0042】
具体的には、CD19-ADCとイブルチニブ、CD19-ADCとデュルバルマブ、CD19-ADCとリツキシマブ、CD19-ADCとシタラビン、ならびにCD19-ADCとリツキシマブ及びシタラビンの組み合わせが企図されている。
【0043】
いくつかのケースでは、本開示の漸減型及び/または延長型の投与レジメは、一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメと比べて、治療の毒性または副作用を低減する。
【0044】
いくつかのケースでは、本開示の漸減型及び/または延長型の投与レジメは、一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメと比べて、治療の有効性を向上させる。
【0045】
いくつかのケースでは、CD19-ADCは、静脈内投与する。
【0046】
第2の態様では、本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する毒性及び/または副作用の低減方法であって、本明細書に定義されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法を提供する。
【0047】
第3の態様では、本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する治療の有効性の向上方法であって、本明細書に定義されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法を提供する。
【0048】
第4の態様では、本開示は、本明細書に記載されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメによる治療の対象の選定方法であって、該当組織でCD19を発現する治療対象を選定することを含む選定方法を提供する。
【0049】
第5の態様では、本開示は、漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを投与する必要がある旨を通知するラベルまたは挿入文書と併せて、本明細書に記載されているようなCD19-ADCを含む包装医薬品を提供する。
【0050】
本開示は、
CD19-ADCを含む第1の医薬、ならびに任意に
本明細書に記載されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを投与することに関する説明を含むパッケージ挿入文書またはラベル
を含むキットも提供する。
【0051】
第6の態様では、本開示は、本明細書で定義されているようなCD19-ADCであって、本明細書に記載されているような治療方法で使用するためのCD19-ADCを提供する。
【0052】
第7の態様では、本開示は、本明細書に記載されているような治療方法で使用するための医薬の調製に、本明細書で定義されているようなCD19-ADCを使用することを提供する。
【0053】
白血病
本執筆者は、3週間の治療サイクルでのCD19-ADCの単回投与を用いて、再発性または難治性の急性リンパ芽球性白血病(ALL)のヒト対象コホートを治療していた時に、ADCの血漿中濃度を測定したところ、大半の患者で、その濃度が、定量下限近くであったとともに、薬物動態(PK)パラメーターを判別できないことに気付いた。これらの患者では、経過時間の初期に、薬物の速やかな消失が明らかとなった。完全回復(CR)を達成した多くの患者の方が、血漿からのADCの消失がゆっくりであったことが、治療サイクル2によって明らかに認められた観察結果と、上記の観察結果を結びつけた。
【0054】
したがって、本執筆者は、CD19-ADCによる治療の有効性を向上させるために、投与レジメの改変を模索した。CD19+増殖性疾患の多種多様なマウス異種移植モデルから収集したデータによって、治療サイクルの1日目に、CD19-ADCを単回用量として投与すると、有効な治療が得られ、同じ総投与量のAD19-ADCを、より少量の一連の用量に分けて投与したところ、死亡率のレベルが向上することが示された(
図2及び3を参照)。
【0055】
しかしながら、本執筆者は、CD19-ADCの用量を分割し、治療サイクル全体を通じて、より短い間隔で投与すれば、(1)治療サイクル全体を通じて、より一貫した有効なADC暴露度が維持され、かつ(2)使用する総用量は向上するが、ピークレベルは低下するので、ピーク暴露レベルと関連する毒性が低減されると推測した。
【0056】
理論に拘束されることを意図しないが、循環芽球の急速な産生が、CD19-ADCに対する抗原シンクとして作用する急性白血病のような疾患で、このような分割投与レジメの利用は、特に有益である可能性がある。これは、白血病の対象を治療するいくつかの他のケースで、分割投与レジメを探究または採用していたことと整合している(Frey F,et al.Abstract 7002.Presented at:ASCO Annual Meeting;June 3-7,2016;Chicago、Aue G,et al.Haematologica February 2010 95:329-332、Taksin A,et al.Leukemias(2007)21,66-71.Published online 19 October 2006)。
【0057】
したがって、本開示の主題の一部は、増殖性疾患、特に白血病を治療するための分割投与レジメで、CD19-ADCを使用することに関するものである。これらの分割レジメは、様々な臨床上の利点に結び付くと予想され、その利点としては、有効性の向上、毒性及び副作用の低減、ならびに、それらの結果、治療を適用可能な集団が拡大して、より副作用の大きい既知の投与レジメの副作用に耐えられない対象が含まれるようになることが挙げられる。
【0058】
好ましくは、増殖性疾患が、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病であるときに、本明細書に記載されている分割投与レジメを採用する。
【0059】
第8の態様では、本開示は、対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCを対象に分割投与レジメで投与する前記方法を提供する。
【0060】
そのCD19-ADCは、本明細書に記載されているようなADCX19であってよい。
【0061】
「分割投与レジメ」という用語は、本明細書では、治療サイクル中に投与するCD19-ADCの総用量を、治療サイクル中に、2回以上に分けた一連の用量で投与する投与レジメを述べる目的で用いられている。「分割用量」という用語は、本明細書では、治療サイクルにおいて投与するADC総用量の一部であるADC用量を示す目的で用いられている。治療サイクルで送達するすべての分割用量の合計は、総用量に等しい。分割投与レジメは、治療サイクルにおいて投与するCD19-ADCの総用量を、治療サイクルの開始時に単回用量として投与する、「単回用量」による投与レジメとは対照的である。
【0062】
好ましくは、CD19-ADCの総用量を、等分した分割用量として、治療サイクル全体を通じて等間隔で投与する。対象に週に1回投与するのが特に好ましい。いくつかのケースでは、CD19-ADCの総用量を3週間の治療サイクルにわたって、3等分した分割用量で投与する(分割用量を週に1回投与する)。例えば、3週間の治療サイクルの1日目、8日目及び15日目に、分割用量を投与する。本明細書では、分割投与レジメのさらなる特徴について論じる。
【0063】
本開示の対象は、ヒトであってよい。その対象は、がんであっても、またはがんであると判断されていてもよい。その対象は、CD19+がんであるか、もしくは腫瘍と関連するCD19+非腫瘍細胞(CD19浸潤T細胞など)を有していても、またはCD19+がんであるか、もしくは腫瘍と関連するCD19+非腫瘍細胞を有すると判断されていてもよい。
【0064】
好ましくは、本明細書に記載されている分割投与レジメは、対象が白血病であるか、白血病と疑われているか、または白血病と診断されたときに採用する。例えば、その対象は、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)であるか、これらの白血病と疑われているか、またはこれらの白血病と診断されていてよい。.
【0065】
優先性に劣る別の実施形態では、対象は、リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)のような非ホジキンリンパ腫であっても、リンパ腫と疑われていても、またはリンパ腫と診断されていてもよい。
【0066】
その増殖性疾患は、耐性、再発性または難治性であってよい。
【0067】
本開示の対象は、再発性または難治性のB細胞系急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)であっても、そのB-ALLと判断されていてもよい。
【0068】
いくつかのケースでは、対象は、CD19-ADCによる治療の開始前に、本開示の増殖性疾患であると診断されている。
【0069】
いくつかのケースでは、本開示の方法はさらに、CD19-ADCと組み合わせて、第2の抗がん化合物を投与することを含む。
【0070】
いくつかのケースでは、本開示の分割投与レジメは、治療サイクルレジメごとに単回用量で行う場合と比べて、治療の毒性または副作用を低減する。
【0071】
いくつかのケースでは、本開示の分割投与レジメは、治療サイクルレジメごとに単回用量で行う場合と比べて、治療の有効性を向上させる。
【0072】
いくつかのケースでは、CD19-ADCを静脈内投与する。
【0073】
第9の態様では、本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する毒性及び/または副作用の低減方法であって、本明細書に定義されているような分割投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法を提供する。
【0074】
第10の態様では、本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する治療の有効性の向上方法であって、本明細書に定義されているような分割投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法を提供する。
【0075】
第11の態様では、本開示は、本明細書に記載されているような分割投与レジメによる治療の対象の選定方法であって、該当組織でCD19を発現する治療対象を選定することを含む選定方法を提供する。
【0076】
第12の態様では、本開示は、CD19-ADCを分割投与レジメで投与する必要がある旨を通知するラベルまたは挿入文書と併せて、本明細書に記載されているようなCD19-ADCを含む包装医薬品を提供する。
【0077】
本開示は、
CD19-ADCを含む第1の医薬、及び任意に
本明細書に記載されているような分割投与レジメで、そのCD19-ADCを投与することに関する説明を含むパッケージ挿入文書またはラベル
を含むキットも提供する。
【0078】
第13の態様では、本開示は、本明細書で定義されているようなCD19ADCであって、本明細書に記載されているような治療方法で使用するためのCD19ADCを提供する。
【0079】
第14の態様では、本開示は、本明細書に記載されているような治療方法で使用するための医薬の調製に、本明細書で定義されているようなCD19-ADCを使用することを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0080】
下にさらに詳細に説明されているように、本明細書で定義されているようなCD19-ADCは、リンパ腫の治療の際、漸減型及び/または延長型の投与レジメで投与すると、一定型の用量規模及び治療サイクル長によるレジメでADCを投与した場合に観察される有効性及び/または毒性と比べて、有効性の向上及び/または毒性の低減が見られると本執筆者は推測した。
【0081】
したがって、第1の態様では、本開示は、対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCを対象に、漸減型及び/または延長型の投与レジメで投与する前記方法を提供する。
【0082】
さらに、本明細書で定義されているようなCD19-ADCは、白血病の治療の際、分割投与レジメで投与すると、同等の用量のADCを単回用量として投与した場合に観察される有効性及び/または毒性と比べて、有効性の向上及び/または毒性の低減が見られると本執筆者は推測した。
【0083】
したがって、第8の態様では、本開示は、対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCを対象に分割投与レジメで投与する前記方法を提供する。
【0084】
これらの所見によって、上記のようなCD19-ADCのさらなる有用性が得られ、例えば、CD19-ADCの毒性に対する感受性が高い患者群、または有効な治療を得るには、さらに多い用量のCD19-ADCを必要とする患者群に関連して使用する新たな治療状況が示唆される。
【0085】
抗CD19 ADC
本明細書で使用する場合、「CD19-ADC」という用語は、抗体部分が抗CD19抗体であるADCを指す。「PBD-ADC」という用語は、薬物部分がピロロベンゾジアゼピン(PBD)ウォーヘッドであるADCを指す。「抗CD19-ADC」という用語は、抗体部分が抗CD19抗体であり、薬物部分がPBDウォーヘッドであるADCを指す。
【0086】
そのADCは、L-(D
L)
pという式のコンジュゲートを含んでよく、式中、D
Lは、下記の式IまたはIIの基であり、
【化1】
【化2】
式中、
Lは、CD19に結合する抗体である抗体(Ab)であり、
C2’とC3’の間に二重結合が存在するときには、R
12は、
(ia)任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1-3アルキレンを含む群から選択した1つ以上の置換基によって置換されたC
5-10アリール基、
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル、
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル、
(id)下記の基であって、
【化3】
R
21、R
22及びR
23のそれぞれが独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択されており、R
12基の炭素原子の総数が、5個以下である基、
(ie)下記の基であって、
【化4】
R
25a及びR
25bのうちの1つが、Hであり、もう一方が、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基、ならびに
(if)下記の基であって、
【化5】
R
24が、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基
からなる群から選択されており、
C2’とC3’の間に単結合が存在するときには、
R
12は、下記の基であって、
【化6】
R
26a及びR
26bが独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されており、そのアルキル基及びアルケニル基が任意に、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択した基によって置換されているか、またはR
26a及びR
26bのうちの1つが、Hであるときには、もう一方が、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択されている基であり、
R
6及びR
9は独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されており、
そのR及びR’は独立して、任意に置換されたC
1-12アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基及びC
5-20アリール基から選択されており、
R
7は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NHRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されており、
R”は、C
3-12アルキレン基であり、その鎖は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、NR
N2(R
N2は、HもしくはC
1-4アルキルである)、及び/または芳香族環、例えば、ベンゼンもしくはピリジンによって中断されていてもよく、
Y及びY’は、O、SまたはNHから選択されており、
R
6’はR
6と、R
7’はR
7と、R
9’はR
9と同じ群から選択されており、
[式I]においては、
R
L1’は、抗体(Ab)に連結するためのリンカーであり、
R
11aは、OH、OR
A(R
Aは、C
1-4アルキルである)、及びSO
zM(zは、2または3であり、Mは、製薬学的に許容可能な1価のカチオンである)から選択されており、
R
20及びR
21はいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
20は、H及びR
Cから選択されており、R
Cは、キャッピング基であり、
R
21は、OH、OR
A及びSO
zMから選択されており、
C2及びC3の間に二重結合が存在するときには、R
2は、
(ia)任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1-3アルキレンを含む群から選択した1つ以上の置換基によって置換されたC
5-10アリール基、
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル、
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル、
(id)下記の基であって、
【化7】
R
11、R
12及びR
13のそれぞれが独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択されており、R
2基の炭素原子の総数が、5個以下である基、
(ie)下記の基であって、
【化8】
R
15a及びR
15bのうちの1つが、Hであり、もう一方が、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基、ならびに
(if)下記の基であって、
【化9】
R
14が、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基
からなる群から選択されており、
C2及びC3の間に単結合が存在するときには、
R
2は、下記の基であり
【化10】
R
16a及びR
16bは独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されており、そのアルキル基及びアルケニル基が任意に、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択した基によって置換されているか、またはR
16a及びR
16bのうちの1つが、Hであるときには、もう一方は、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択されており、
[式II]においては、
R
22は、下記の式IIIa、式IIIbまたは式IIIcの基であり、
(a)
【化11】
(式中、Aは、C
5-7アリール基であり、
(i)Q
1は、単結合であり、Q
2は、単結合及び-Z-(CH
2)
n-から選択されており、そのZは、単結合、O、S及びNHから選択されており、nは、1~3であるか、または
(ii)Q
1は、-CH=CH-であり、Q
2は、単結合である)
(b)
【化12】
(式中、
R
C1、R
C2及びR
C3は独立して、H及び非置換のC
1-2アルキルから選択されている)
(c)
【化13】
(式中、Qは、O-R
L2’、S-R
L2’及びNR
N-R
L2’から選択されており、R
Nは、H、メチル及びエチルから選択されている)
Xは、O-R
L2’、S-R
L2’、CO
2-R
L2’、CO-R
L2’、NH-C(=O)-R
L2’、NHNH-R
L2’、CONHNH-R
L2’、
【化14】
、
【化15】
、
NR
NR
L2’を含む群から選択されており、そのR
Nは、H及びC
1-4アルキルを含む群から選択されており、
R
L2’は、抗体(Ab)に連結するためのリンカーであり、
R
10及びR
11はいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
10は、Hであり、R
11は、OH、OR
A及びSO
zMから選択されており、
R
30及びR
31はいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
30は、Hであり、R
31は、OH、OR
A及びSO
zMから選択されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、L-R
L1’またはL-R
L2’は、下記の基であり、
【化16】
式中、アスタリスクは、PBDへの結合位置を示しており、Abは、抗体であり、L
1は、切断性リンカーであり、Aは、L
1を抗体に連結する連結基であり、L
2は、共有結合であるか、または-OC(=O)-と一体となって、自壊性リンカーを形成している。
【0088】
これらの実施形態のいくつかでは、L1は、酵素切断性である。
【0089】
このようなADCは、CD19発現がんの治療に有用であることが以前に示されている(例えば、WO2014/057117を参照されたい。この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される)。
【0090】
「抗CD19-ADC」という用語には、WO2014/057117に記載されているいずれの実施形態も含めてよい。特に、好ましい実施形態では、本開示のADCは、下記の化学構造を有し得る。
【化17】
式中、Abは、CD19抗体であり、DARは、1~8である。
【0091】
本開示の抗体は、配列番号1、2、3、4、5または6のいずれか1つによる配列を有するVHドメインを含んでよく、任意に、配列番号7、8、9、10、11または12のいずれか1つによる配列を有するVLドメインをさらに含む。
【0092】
いくつかの態様では、抗CD19-ADCの抗体部分は、s respectively having the sequences of: 配列番号1の配列を有するVHドメイン、及び配列番号7の配列を有するVLドメイン、配列番号2の配列を有するVHドメイン、及び、配列番号8の配列を有するVLドメイン、配列番号3の配列を有するVHドメイン、及び配列番号9の配列を有するVLドメイン、配列番号4の配列を有するVHドメイン、及び配列番号10の配列を有するVLドメイン、配列番号5の配列を有するVHドメイン、及び、配列番号11の配列を有するVLドメイン、または配列番号6の配列を有するVHドメイン、及び配列番号12の配列を有するVHドメインを含む抗体である。
【0093】
好ましい実施形態では、本開示の抗体は、配列番号2による配列を有するVHドメインを含む。好ましい実施形態では、本開示の抗体は、配列番号8による配列を有するVLドメインを含む。
【0094】
好ましい実施形態では、本開示の抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含み、そのVHドメインは、配列番号2の配列を有し、VLドメインは、配列番号8の配列を有する。
【0095】
VHドメイン及びVLドメイン(複数可)は、CD19と結合する抗体抗原結合部位を形成するように対をなしてよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含むインタクト抗体であり、そのVH及びVLドメインは、配列番号2及び配列番号8の配列を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、配列番号13の配列を有する重鎖、及び配列番号14の配列を有する軽鎖を含む抗体である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、完全ヒトモノクローナルIgG1抗体、好ましくはIgG1、κである。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、WO2014/057117に記載されているRB4v1.2抗体である。
【0100】
一態様では、本開示の抗体は、本明細書に記載されているような抗体であって、下に記載されているように改変されている(またはさらに改変した)抗体である。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、本発明で開示されている抗体のヒト化型、脱免疫化型または表面再処理型である。
【0101】
本開示の態様で用いる最も好ましい抗CD19-ADCは、本明細書に後述されているようなADCX19である。
【0102】
ADCx19
ADCx19は、ヒトCD19に対するヒト化抗体が、切断性リンカーを介してピロロベンゾジアゼピン(PBD)ウォーヘッドに結合したものから構成される抗体薬物コンジュゲートである。ADCX19の作用機序は、CD19との結合に依存する。このCD19特異的抗体は、CD19を発現している細胞に、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を導く。結合すると、ADCは、インターナライズされて、リソソームに輸送され、そのリソソームで、プロテアーゼ感受性リンカーが切断され、標的細胞内で、遊離PBD二量体が放出される。放出されたPBD二量体は、RNAポリメラーゼの直接的な阻害、または関連する転写因子の相互作用の阻害のいずれかによって、配列選択的に転写を阻害する。PBD二量体は、DNA二重らせんを変形させないとともに、ヌクレオチド除去修復因子によって認識されない共有結合性の架橋を形成し、それにより、有効期間を長くできる(Hartley 2011)。DNA複製フォークが、これらのDNA架橋部に到達すると、それらのDNA架橋部により、鎖が切断され、アポトーシスの誘導に至る。
【0103】
ADCx19は、下記の化学構造を有する。
【化18】
【0104】
Abは、RB4v1.2抗体(配列番号2のVH配列及び配列番号8のVL配列を有する抗体)を表している。ADCx19は、WO2014/057117(RB4v1.2-E)に記載されているようにして合成し、そのDAR(薬物抗体比)は、典型的には2±0.3である。
【0105】
CD19との結合
本明細書で使用する場合、「CD19と結合する」とは、本開示の抗体が、ウシ血清アルブミン(BSA、GenBankアクセッション番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1 GI:3336842、記録更新日時:2011年1月7日午後02:30)のような非特異的なパートナーよりも高い親和性で、CD19と結合することを指す目的で使用する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、生理的条件で測定した場合、その抗体のBSAに対する結合定数(Ka)よりも、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、104倍、105倍または106倍高い結合定数で、CD19と結合する。本開示の抗体は、高い親和性で、CD19と結合できる。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、約10-6M以下(1×10-6以下、1×10-7以下、1×10-8以下、1×10-9以下、1×10-10以下、1×10-11以下、1×10-12以下、1×10-13以下または10-14以下など)のKDで、CD19と結合できる。
【0106】
いくつかの実施形態では、CD19のポリペプチドは、GenBankアクセッション番号NP_001171569、バージョン番号NP_001171569.1 GI:296010921(記録更新日時:2012年9月10日午前12:43)に対応する。一実施形態では、CD19のポリペプチドをコードする核酸は、GenBankアクセッション番号NM_001178098、バージョン番号NM_001178098.1 GI:296010920(記録更新日:2012年9月10日午前12:43)に対応する。いくつかの実施形態では、CD19のポリペプチドは、Uniprot/Swiss-Protアクセッション番号P15391に対応する。
【0107】
漸減型及び/または延長型の投与レジメ
「漸減型の投与レジメ」という用語は、本明細書では、1回目の治療サイクルで投与するCD19-ADCの総用量(以下では「開始用量」という)が、2回目以降の1回以上の治療サイクルで投与するCD19-ADCの総用量よりも多い投与レジメを述べる目的で用いられている。漸減型の投与レジメは、開始用量が、2回目以降の各治療サイクルで投与する総用量と同じである一定型の投与レジメ(下記の表1の「一定型」を参照)とは対照的である。
【0108】
本明細書で使用する場合、「総用量」という用語は、1回の治療サイクル中の総ADC投与量を述べる目的で用いられている。
【0109】
対象の漸減型の投与レジメは、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、25回、26回、27回、28回、29回、30回またはそれを超える回数の治療サイクルからなってよい。いくつかのケースでは、対象が、CRを達成したら、投与レジメを終了する。いくつかのケースでは、対象において、DLTが認められたら、投与レジメを終了する。いくつかのケースでは、直前の治療サイクルの長さを超越して、投与を遅延させる必要がある場合に、投与レジメは、終了したものとみなす。
【0110】
漸減型の投与レジメでは、投与レジメの最中に開始用量を低減するのは、1回以下、2回以下または3回以下であってよい。開始用量を2回以上低減するケースでは、各低減量は、同じ量であっても、異なる量であってもよい。総用量は、用量の低減前には、1回、2回、3回またはそれを上回る回数の治療サイクルで、一定に保ってよい(例えば、下記の表1を参照)。
【表1】
表1
【0111】
いくつかのケースでは、対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、投与量を低減する。
【0112】
いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも約10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、130μg/kg、140μg/kg、150μg/kg、160μg/kg、170μg/kg、180μg/kg、190μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも120μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも150μg/kg(少なくとも200μg/kgなど)である。
【0113】
いくつかのケースでは、開始用量は、約10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、120μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kgまたは600μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、1~10μg/kg、11~20μg/kg、21~30μg/kg、31~40μg/kg、41~50μg/kg、51~60μg/kg、61~70μg/kg、71~80μg/kg、81~90μg/kg、91~100μg/kg、101~120μg/kg、121~140μg/kg、141~160μg/kg、161~180μg/kg、181~200μg/kg、201~220μg/kg、221~240μg/kg、241~260μg/kg、261~280μg/kg、281~300μg/kg、301~320μg/kg、321~340μg/kg、341~360μg/kg、361~380μg/kg、381~400μg/kg、401~420μg/kg、421~440μg/kg、441~460μg/kg、461~480μg/kg、481~500μg/kg、501~520μg/kg、521~540μg/kg、541~560μg/kg、561~580μg/kgまたは581~600μg/kgである。
【0114】
いくつかのケースでは、開始用量は、約120μg/kg、150μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約140~160μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約150μg/kgである。
【0115】
いくつかのケースでは、用量の各低減時には、投与量を少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減する。いくつかのケースでは、用量の低減時ごとに、投与量を約50%低減する。
【0116】
好ましくは、対象の治療中に開始用量を低減するのは、1回以下である。これらのケースでは、用量低減後の総用量は、以下、「低減用量」という。
【0117】
いくつかのケースでは、1回目の治療サイクルの後に、用量を低減する。すなわち、1回目の治療サイクルで、開始用量を投与し、2回目以降の治療サイクルで、低減用量を投与する。表1の「漸減型6」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0118】
いくつかのケースでは、2回目の治療サイクルの後に、用量を低減する。すなわち、1回目及び2回目の治療サイクルのそれぞれで、開始用量を投与し、3回目以降の治療サイクルのそれぞれで、低減用量を投与する。表1の「漸減型3」、「漸減型4」、「漸減型5」及び「漸減型7」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0119】
いくつかのケースでは、低減用量は、約10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、120μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kgまたは300μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、1~10μg/kg、11~20μg/kg、21~30μg/kg、31~40μg/kg、41~50μg/kg、51~60μg/kg、61~70μg/kg、71~80μg/kg、81~90μg/kg、91~100μg/kg、101~120μg/kg、121~140μg/kg、141~160μg/kg、161~180μg/kg、181~200μg/kg、201~220μg/kg、221~240μg/kg、241~260μg/kg、261~280μg/kgまたは281~300μg/kgである。
【0120】
いくつかのケースでは、低減用量は、60μg/kgである。
【0121】
いくつかのケースでは、低減用量は、約70~80μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、75μg/kgである。
【0122】
いくつかのケースでは、各治療サイクルの長さは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間または9週間である。
【0123】
いくつかのケースでは、各治療サイクルの長さは、3週間である。いくつかのケースでは、各治療サイクルの長さは、6週間である。
【0124】
「延長型の投与レジメ」という用語は、本明細書では、1回目の治療サイクルの長さ(以下では「開始サイクル長」という)が、2回目以降の1回以上の治療サイクルの長さよりも短い投与レジメを述べる目的で用いられている。延長型の投与レジメは、開始サイクル長が、2回目以降の各治療サイクルの長さと同じである一定型の投与レジメ(以下の表2の「一定型」を参照)とは対照的である。
【0125】
対象の漸減型の投与レジメは、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、25回、26回、27回、28回、29回または30回の治療サイクルからなってよい。いくつかのケースでは、対象が、CRを達成したら、投与レジメを終了する。いくつかのケースでは、対象において、DLTが認められたら、投与レジメを終了する。いくつかのケースでは、直前の治療サイクルの長さを超越して、投与を遅延させる必要がある場合に、投与レジメは、終了したものとみなす。
【0126】
延長型の投与レジメでは、投与レジメの最中に治療サイクル長を延長するのは、1回以下、2回以下または3回以下であってよい。サイクル長を2回以上延長するケースでは、延長の長さは毎回、同じであっても、異なってもよい。治療サイクルの長さは、その延長前には、1回、2回、3回またはそれを上回る回数の治療サイクルで、一定に保ってよい(例えば、以下の表2を参照)。
【表2】
表2
【0127】
いくつかのケースでは、対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、治療サイクル長を延長する。
【0128】
好ましくは、治療サイクルの1日目に、その用量を単回用量として投与する。したがって、例えば、上記の「一定型」投与レジメを開始する対象には、そのレジメを中止するまでは、1日目、22日目、43日目などに投与を行ってよい。
【0129】
このパターンの後、上記の「延長型3」の投与レジメを開始する対象には、そのレジメを中止するまでは、1日目-(+3週間)→22日目-(+3週間)→43日目-(+6週間)→85日目-(+6週間)→127日目などに投与を行ってよい。しかしながら、好ましくは、延長サイクル長の1回目の治療サイクルの「1日目」を遅延して、短い治療サイクルのうちの最後のサイクルの「1日目」と、延長サイクル長の1回目の治療サイクルの「1日目」の間の経過時間が、延長治療サイクルの長さと同じになるようにする。したがって、「延長型3」の投与レジメの好ましい投与パターンでは、対象には、そのレジメを中止するまで、1日目-(+3週間)→22日目-(+3週間)→-(+3週間遅延)→64日目-(+6週間)→106日目-(+6週間)→148日目などに投与する。
【0130】
いくつかのケースでは、開始サイクル長は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間または9週間である。
【0131】
いくつかのケースでは、開始サイクル長は、3週間である。
【0132】
いくつかのケースでは、サイクル長の各延長時には、治療サイクル長を少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または少なくとも100%延長する。いくつかのケースでは、サイクル長の各延長時には、治療サイクル長を1週間、2週間、3週間、4週間、5週間または6週間延長する。
【0133】
好ましくは、対象の治療中に治療サイクル長を延長するのは、1回以下である。これらのケースでは、治療サイクル長を延長した後の長さは、以下では「延長サイクル長」という。
【0134】
いくつかのケースでは、1回目の治療サイクルの後に、サイクル長を延長する。すなわち、1回目の治療サイクルは、開始サイクル長であり、2回目以降の各治療サイクルは、延長サイクル長である。表2の「延長型4」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0135】
いくつかのケースでは、2回目の治療サイクルの後に、サイクル長を延長する。すなわち、1回目及び2回目の治療サイクルのそれぞれは、開始サイクル長であり、3回目以降の各治療サイクルは、延長サイクル長である。表2の「延長型3」の投与レジメは、このような投与レジメの例である。
【0136】
いくつかのケースでは、延長サイクル長は、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間または12週間である。
【0137】
いくつかのケースでは、開始サイクル長は、3週間である。いくつかのケースでは、延長サイクル長は、6週間である。いくつかのケースでは、開始サイクル長は、3週間であり、延長サイクル長は、6週間である。
【0138】
投与レジメは、漸減させるか、延長するか、または漸減及び延長の両方を行ってもよい。
【0139】
漸減型かつ延長型の投与レジメには、本明細書に記載されているようなそれらの要素の両方が組み込まれている。
【0140】
いくつかのケースでは、対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、投与量を低減し、及び/または治療サイクル長を延長する。
【0141】
好ましくは、漸減型かつ延長型の投与レジメでは、対象の治療中に、開始用量を低減するのは、1回以下であり、治療サイクル長を延長するのは、1回以下である。
【0142】
いくつかのケースでは、1回目の治療サイクルの後に、用量の低減及びサイクル長の延長を行う。すなわち、1回目の治療サイクルでは、開始用量及び開始サイクル長であり、2回目以降の各治療サイクルでは、低減用量及び延長サイクル長である。
【0143】
いくつかのケースでは、2回目の治療サイクルの後に、用量の低減及びサイクル長の延長を行う。すなわち、1回目及び2回目の治療サイクルのそれぞれでは、開始用量及び開始サイクル長であり、3回目以降の各治療サイクルでは、低減用量及び延長サイクル長である。
【0144】
いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも約10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、130μg/kg、140μg/kg、150μg/kg、160μg/kg、170μg/kg、180μg/kg、190μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも120μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、少なくとも150μg/kg(少なくとも200μg/kgなど)である。
【0145】
いくつかのケースでは、開始用量は、約10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、120μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kgまたは600μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、1~10μg/kg、11~20μg/kg、21~30μg/kg、31~40μg/kg、41~50μg/kg、51~60μg/kg、61~70μg/kg、71~80μg/kg、81~90μg/kg、91~100μg/kg、101~120μg/kg、121~140μg/kg、141~160μg/kg、161~180μg/kg、181~200μg/kg、201~220μg/kg、221~240μg/kg、241~260μg/kg、261~280μg/kg、281~300μg/kg、301~320μg/kg、321~340μg/kg、341~360μg/kg、361~380μg/kg、381~400μg/kg、401~420μg/kg、421~440μg/kg、441~460μg/kg、461~480μg/kg、481~500μg/kg、501~520μg/kg、521~540μg/kg、541~560μg/kg、561~580μg/kgまたは581~600μg/kgである。
【0146】
いくつかのケースでは、低減用量は、約10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、120μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kgまたは300μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、1~10μg/kg、11~20μg/kg、21~30μg/kg、31~40μg/kg、41~50μg/kg、51~60μg/kg、61~70μg/kg、71~80μg/kg、81~90μg/kg、91~100μg/kg、101~120μg/kg、121~140μg/kg、141~160μg/kg、161~180μg/kg、181~200μg/kg、201~220μg/kg、221~240μg/kg、241~260μg/kg、261~280μg/kgまたは281~300μg/kgである。
【0147】
いくつかのケースでは、開始サイクル長は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間または9週間である。
【0148】
いくつかのケースでは、延長サイクル長は、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間または12週間である。
【0149】
いくつかのケースでは、開始用量は、約120μg/kg、150μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約140~160μg/kgである。いくつかのケースでは、開始用量は、約150μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、約60μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、約70~80μg/kgである。いくつかのケースでは、低減用量は、約75μg/kgである。いくつかのケースでは、開始サイクル長は、3週間であり、延長サイクル長は、6週間である。いくつかのケースでは、開始用量は、約120μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約60μg/kgであり、延長サイクル長は、6週間である。いくつかのケースでは、開始用量は、約150μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約60μg/kgであり、延長サイクル長は、6週間である。
【0150】
いくつかの特に好ましいケースでは、開始用量は、約140~160μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約70~80μg/kgであり、延長サイクル長は、3週間である(すなわち、このレジメでは、漸減させるが、延長しない)。
【0151】
いくつかの特に好ましいケースでは、開始用量は、約150μg/kgであり、開始サイクル長は、3週間であり、低減用量は、約75μg/kgであり、延長サイクル長は、3週間である(すなわち、このレジメでは、漸減させるが、延長しない)。
【0152】
いくつかの特に好ましいケースでは、本開示の投与レジメは、下記の表に示されているようなものであり、[+21]は、ADCの投与を行う医療従事者によって適切とみなされる多くの治療サイクル数にわたって、75μg/kgの低減用量を3週間おきに反復し得ることを示している。
【表3】
【0153】
分割投与レジメ
「分割投与レジメ」という用語は、本明細書では、治療サイクル中に投与するCD19-ADCの総用量を、治療サイクル中に、2回以上に分けた一連の用量で投与する投与レジメを述べる目的で用いられている。「分割用量」という用語は、本明細書では、治療サイクルにおいて投与するADC総用量の一部であるADC用量を示す目的で用いられている。治療サイクルで送達するすべての分割用量の合計は、総用量に等しい。分割投与レジメは、治療サイクルにおいて投与するCD19-ADCの総用量を、治療サイクルの開始時に単回用量として投与する「単回用量」投与レジメとは対照的である。
【0154】
例えば、CD19-ADCの単回用量投与レジメの例では、治療サイクル中に投与するCD19-ADCの総用量の100%を、3週間の治療サイクルの1日目に投与する。そして、そのサイクル全体を通じて、対象をモニタリングし、対象の奏効レベルを用いて、その治療サイクルを反復、中止または修正すべきかを判断する。対照的に、分割投与レジメは、3週間の治療サイクルの1日目に、治療サイクル中に投与するADCの総用量の33%のみを投与し、さらに、8日目に33%を投与し、15日目に最後の33%投与することを含み得る。
【0155】
総投与用量は、いずれかの回数分の用量で分割してよく、その回数は、対象の臨床的な要件に従って定める。例えば、総投与用量は、2回分、3回分、4回分、5回分、6回分、7回分、8回分、9回分、10回分、またはそれを上回る回数分の用量に分割してよい。
【0156】
各回の分割投与時のCD19-ADC投与量は、同じであっても、異なってもよい。したがって、例えば、100単位の総用量のADCを3分割の用量で送達するには、(1×50単位、1×30単位及び1×20単位)または(3×33 1/3単位)として送達してよい。好ましくは、すべての分割用量には、同じ量のCD19-ADCが含まれていてよく、すなわち、すべての分割用量は、等しい規模の用量である。
【0157】
分割投与してから次の分割投与までの時間間隔は、前回の分割投与からその回の分割投与までの時間間隔と同じであっても、異なってもよい。好ましくは、分割投与してから次の分割投与までの時間間隔は、前回の分割投与からその回の分割投与までの時間間隔と同じである。すなわち、好ましくは、分割用量の投与は、治療サイクル全体を通じて等間隔である。このような定期的投与の例は、3週間(すなわち21日間)の治療サイクルの1日目、8日目及び15日目に、3分割した用量を投与するものである。
【0158】
治療サイクルの長さは、CD19-ADCの薬物動態(PK)及び対象の臨床的な要件に応じて変動し得る。治療サイクルは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間または9週間であってよい。好ましくは、治療サイクルは、3週間または6週間であり、3週間が特に好ましい。
【0159】
治療サイクル中に投与するCD19-ADCの総用量は、対象の臨床的な要件に従って変動し得る。例えば、総用量は、約10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、120μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kgまたは600μg/kgであってよい。いくつかのケースでは、総用量は、1~10μg/kg、11~20μg/kg、21~30μg/kg、31~40μg/kg、41~50μg/kg、51~60μg/kg、61~70μg/kg、71~80μg/kg、81~90μg/kg、91~100μg/kg、101~120μg/kg、121~140μg/kg、141~160μg/kg、161~180μg/kg、181~200μg/kg、201~220μg/kg、221~240μg/kg、241~260μg/kg、261~280μg/kg、281~300μg/kg、301~320μg/kg、321~340μg/kg、341~360μg/kg、361~380μg/kg、381~400μg/kg、401~420μg/kg、421~440μg/kg、441~460μg/kg、461~480μg/kg、481~500μg/kg、501~520μg/kg、521~540μg/kg、541~560μg/kg、561~580μg/kgまたは581~600μg/kgである。
【0160】
分割用量の規模は、治療サイクル中に投与するCD19-ADCの総用量、総用量を分割する分割投与の回数、及び分割用量の相対的規模に左右されることになる。いくつかのケースでは、各回の分割用量は、等しい規模の用量である。いくつかのケースでは、分割用量は、約3μg/kg、10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、130μg/kg、140μg/kg、150μg/kg、160μg/kg、170μg/kg、180μg/kg、190μg/kgまたは200μg/kgである。いくつかのケースでは、分割用量は、1~10μg/kg、11~20μg/kg、21~30μg/kg、31~40μg/kg、41~50μg/kg、51~60μg/kg、61~70μg/kg、71~80μg/kg、81~90μg/kg、91~100μg/kg、101~110μg/kg、111~120μg/kg、121~130μg/kg、131~140μg/kg、141~150μg/kg、151~160μg/kg、161~170μg/kg、171~180μg/kg、181~190μg/kgまたは191~200μg/kgである。
【0161】
好ましくは、CD19-ADCの総用量を、等分した分割用量として、治療サイクル全体を通じて等間隔で投与する。対象に週に1回投与するのが特に好ましい。好ましいケースでは、各回の分割用量は、40~60μg/kg(45~55μg/kgなど)である。特に好ましいケースでは、各回の分割用量は、50μg/kgである。
【0162】
いくつかのケースでは、CD19-ADCの総用量を3週間の治療サイクルにわたって、3等分した分割用量で投与し、分割用量を週に1回投与する。例えば、3週間の治療サイクルの1日目、8日目及び15日目に、分割用量を投与する。
【0163】
治療する障害
本明細書に記載されている療法には、抗がん療法の有用性を有するものが含まれる。特には、特定の態様では、本開示の療法には、PBD薬物部分、すなわち毒素にコンジュゲートした抗体、すなわち、リンカーによって共有結合した抗体が含まれる。この薬物が抗体にコンジュゲートされていないと、PBD薬は、細胞傷害作用を有する。したがって、PBD薬物部分の生物学的活性は、抗体へのコンジュゲートによって調節される。本開示の抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、有効な用量の細胞傷害剤を腫瘍組織に選択的に送達し、それによって、選択性の向上、すなわち、治療域の拡大が実現し得る。
【0164】
したがって、一態様では、本開示は、CD19と結合する療法用ADCを投与することを含む療法であって、CD19の発現に基づき、対象を選定することを含む方法を提供する。
【0165】
一態様では、本開示は、療法で用いるための包装ADCであって、その療法が、その使用に適すると判断された対象で使用するのが好適である旨を明記したラベルを備える包装ADCを提供する。そのラベルには、その療法が、CD19を発現している対象、すなわちCD19+である対象での使用に適する旨を明記し得る。
【0166】
そのラベルには、本明細書に記載されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで、ADCを投与する旨を明記し得る。そのラベルには、対象が、B細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)のようなリンパ腫などの特定のタイプのがんである旨を明記し得、任意に、そのリンパ腫は、再発性または難治性である。NHLリンパ腫の例としては、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)が挙げられる。
【0167】
そのラベルには、本明細書に記載されているような分割投与レジメで、ADCを投与する旨を明記し得る。そのラベルには、対象が、血病などの特定のタイプのがんである旨を明記し得、任意に、そのB-ALLは、再発性または難治性である。白血病の例としては、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)、B細胞系急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)が挙げられる。
【0168】
本明細書に開示されている方法によって治療する増殖性疾患は、CD19+であってよい。しかしながら、本明細書に説明されているように、本開示の実施の際には、標的の位置(典型的には新生物)の細胞の少なくとも一部には、抗原が存在しないか、または細胞表面にわずかなレベルで存在することがある。例えば、標的新生物において、例えば、細胞の80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、30%未満、20%未満、10%未満または5%未満が、CD19陽性であるに過ぎないことがある。その疾患が、B-ALLのような白血病であるいくつかのケースでは、CD19+とは、認可された臨床検査機関で評価した場合に、骨髄(穿刺液または生検標本)中の白血病芽球細胞の5%以上がCD19を発現していると判断されたものとして定義する。
【0169】
いくつかのケースでは、CD19+ve細胞は、腫瘍浸潤細胞である。いくつかのケースでは、新生物または腫瘍性細胞は、血液癌であるか、または血液癌に存在する。いくつかのケースでは、新生物または腫瘍性細胞は、固形腫瘍であるか、または固形腫瘍に存在する。本開示における「固形腫瘍」には、下でさらに詳細に論じられているリンパ腫(ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫)のような固形血液癌が含まれると理解するものとする。
【0170】
他の固形腫瘍は、CD-19陽性細胞が浸潤している新生物(非血液癌を含む)であってもよい。
【0171】
いくつかのケースでは、新生物または腫瘍性細胞は、悪性である。いくつかのケースでは、新生物または腫瘍性細胞は、転移性である。
【0172】
本明細書に記載されている療法を用いて、増殖性疾患を治療し得る。「増殖性疾患」という用語は、インビトロまたはインビボにかかわらず、腫瘍性または肥大性成長のように、望ましくない過剰または異常な細胞の無用または無制御の細胞増殖に関するものである。
【0173】
いずれかのタイプの細胞を治療してよく、肺、消化管(例えば、腸、大腸を含む)、胸部(乳房)、卵巣、前立腺、肝臓(liver)(肝臓(hepatic))、腎臓(kidney)(腎臓(renal))、膀胱、膵臓、脳及び皮膚の細胞が挙げられるが、これらに限らない。
本開示の療法を用いて、例えば、腫瘍抗原の過剰発現によって特徴付けられる様々な疾患または障害を治療し得ることが企図されている。過剰増殖障害の例示的な状態としては、良性または悪性腫瘍、白血病、血液悪性腫瘍及びリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。他のものとしては、ニューロンの障害、グリア細胞の障害、星状グリア細胞の障害、視床下部の障害、腺の障害、マクロファージの障害、上皮の障害、間質の障害、胞胚腔の障害、炎症性の障害、血管形成の障害及び免疫の障害(自己免疫障害及び移植片対宿主病(GVHD)を含む)が挙げられる。
【0174】
概して、治療する疾患または障害は、がんのような過剰増殖性疾患である。本発明で治療するがんの例としては、がん、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限らない。さらに詳細には、このようながんの例としては、扁平上皮癌(例えば上皮性扁平細胞癌)、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌及び肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌または腹部癌(消化器癌を含む)、膵臓癌、神経膠肉腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌、メラノーマ、肉腫、骨肉腫、ならびに頭頸部がんが挙げられる。
【0175】
治療の際に併用療法を用いてよい自己免疫疾患としては、リウマチ性障害(例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLE及びループス腎炎などのループス、多発性筋炎/皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、ならびに乾癬性関節炎など)、変形性関節症、自己免疫性消化器障害及び自己免疫性肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ならびにセリアック病など)、血管炎(例えば、チャーグ・ストラウス血管炎を含むANCA関連血管炎、ウェゲナー肉芽腫症及び多発性動脈炎など)、自己免疫性神経障害(例えば、多発性硬化症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病及び自己免疫性多発神経障害など)、腎臓障害(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群及びベルジェ病など)、自己免疫性皮膚障害(例えば、乾癬、蕁麻疹(urticaria)、蕁麻疹(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡及び皮膚ループスエリテマトーデスなど)、血液障害(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病及び自己免疫性溶血性貧血など)、アテローム性動脈硬化症、ぶどう膜炎、自己免疫性聴覚疾患(例えば、内耳疾患及び聴力損失など)、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植、移植片対宿主病(GVHD)、そして、自己免疫性内分泌障害(例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)のような糖尿病関連の自己免疫疾患、アジソン病、ならびに自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病及び甲状腺炎)など)が挙げられる。このような疾患のうち、より好ましいものとしては、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎及び糸球体腎炎が挙げられる。
【0176】
特に対象となる増殖性障害としては、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む非ホジキンリンパ腫、ならびに有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病が挙げられるが、これらに限らない。[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]。
【0177】
特定の態様では、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、または末梢性T細胞リンパ腫(未分化大細胞型リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫のサブタイプを含む)である。
【0178】
本開示の疾患は、耐性、再発性または難治性であってよい。本明細書で使用する場合、再発性疾患は、過去に治療した腫瘍であって、従来の画像技術によって検出不能となった腫瘍が、再び検出可能になる状態を指し、難治性疾患は、抗腫瘍療法を行ったにもかかわらず、がんが成長し続ける状態を指す。
【0179】
好ましくは、その増殖性疾患がリンパ腫であるときには、本明細書に記載されている漸減型及び/または延長型の投与レジメを採用する。例えば、増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)のような非ホジキンリンパ腫であってよい。いくつかのケースでは、増殖性疾患は、再発性または難治性のB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である。
【0180】
好ましくは、その増殖性疾患が、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病であるときには、本明細書に記載されている分割投与レジメを採用する。いくつかのケースでは、増殖性疾患は、再発性または難治性のB細胞系急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である。いくつかのケースでは、増殖性疾患は、CD19+急性リンパ芽球性白血病である。
【0181】
毒性の低減及び有効性の向上
リンパ腫
本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する毒性及び/または副作用の低減方法であって、本明細書に定義されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法を提供する。
【0182】
いくつかのケースでは、毒性の低下は、用量レベル及びサイクル長が一定である投与レジメと比較して測定する。一定型の比較レジメの用量レベル及びサイクル長は、漸減型及び/または延長型のレジメの開始用量及び開始サイクル長と同じであってよい。
【0183】
いくつかのケースでは、毒性のレベルは、所定の総用量のCD19-ADCでの1回の治療サイクル後に、治療下で発現した有害事象(TEAE)が発生した数として測定する。治療下で発現した有害事象(TEAE)は、CD19-ADCへの暴露前には見られなかったいずれかの事象、またはすでに見られていたが、CD19-ADCへの暴露後に強度または頻度のいずれかが悪化したいずれかの事象として定義する。漸減型及び/または延長型の投与レジメでのAE発生数は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるAE発生数の95%以下(90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下など)であり得る。有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0184】
例えば、100人の対象において、単回用量レジメの治療サイクルを1回行った結果、AEが10回見られ、対応する漸減型及び/または延長型のレジメの治療サイクルを1回行った結果、AEが5回見られる場合には、漸減型及び/または延長型のレジメでのAE発生数は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるAE発生数の50%である。
【0185】
いくつかのケースでは、毒性のレベルは、所定の総用量のCD19-ADCでの1回の治療サイクル後に、重篤な有害事象(SAE)が発生した数として測定する。重篤な有害事象(SAE)は、死に至るか、直ちに生命を脅かすか、入院させる必要もしくはすでに入院している期間を延長する必要を生じるか、持続的もしくは顕著な障害/不能に至るか、または先天異常/出生時欠損であるいずれかの事象として定義する。選択的な処置またはプロトコールの順守のための入院は、SAEとみなさない。死に至ったり、生命を脅かしたり、または入院を必要としたりしない可能性のある重大な医学的事象は、適切な医学的判断に基づき、患者を脅かし得るか、またはこの定義に列挙されている転帰のうちの1つを予防するために、医学的もしくは外科的介入を必要とし得るときには、SAEとみなしてよい。このような医学的事象の例としては、救急処置室もしくは家庭での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院に至らない血液疾患もしくは痙攣、または薬物依存もしくは薬物乱用の発症が挙げられる。漸減型及び/または延長型の投与レジメでのSAEの発生数は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるSAEの発生数の95%以下(90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下など)であり得る。有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0186】
いくつかのケースでは、毒性のレベルは、所定の総用量のCD19-ADCでの1回の治療サイクル後に、用量制限毒性(DLT)が発生した数として測定する。漸減型及び/または延長型の投与レジメでのDLTの発生数は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるDLTの発生数の95%以下(90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下など)であり得る。
【0187】
例えば、100人の対象において、単回用量レジメの治療サイクルを1回行った結果、DLTが10回見られ、対応する漸減型及び/または延長型のレジメの治療サイクルを1回行った結果、DLTが5回見られる場合には、漸減型及び/または延長型のレジメでのDLTの発生数は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるDLTの発生数の50%である。
【0188】
DLTは、本明細書で使用する場合、下記の事象のうちのいずれかとして定義する。ただし、明らかに、基礎疾患または外来性の原因によるものを除く。
●血液学的なDLTは、以下のように定義する。
○グレード3または4の発熱性好中球減少症または好中球減少性感染
○グレード4の好中球減少症が7日超、継続している。
○グレード4の血小板減少症
○臨床的に有意な出血を伴うグレード3の血小板減少症、または血小板輸血を要するグレード3の血小板減少症
○グレード4の貧血
●非血液学的なDLTは、以下のように定義する。
○グレード4の腫瘍崩壊症候群(末端器官の不可逆性の損傷に至らない限りは、グレード3の腫瘍崩壊症候群は、DLTとしない。)
○グレード3以上のAE(最適な治療にもかかわらず、悪心、嘔吐、下痢及び電解質平衡異常が48時間超、継続することを含む。すべてのグレードの脱毛症は除く。
○グレード3以上の過敏性反応(前投薬は問わない。)
○グレード2以上の皮膚潰瘍
【0189】
上記の有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0190】
本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する治療の有効性の向上方法であって、本明細書に定義されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法も提供する。
【0191】
いくつかのケースでは、この有効性の向上は、用量レベル及びサイクル長が一定である投与レジメと比較して測定する。一定型の比較レジメの用量レベル及びサイクル長は、漸減型及び/または延長型のレジメの開始用量及び開始サイクル長と同じてあってよい。
【0192】
いくつかのケースでは、有効性のレベルは、所定の総用量のADCでの1回の治療サイクル後に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した対象の割合(すなわち、疾患の安定[SD]、部分奏効[PR]または完全奏効[CR]のいずれかを達成した対象の割合)として測定する。少なくともSDを達成した対象の割合は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおいて少なくとも疾患の安定[SD]を達成した対象の割合の少なくとも110%(少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%または少なくとも200%など)であり得る。
【0193】
例えば、100人の対象において、単回用量レジメによって、50人の対象で少なくともSDが見られ、対応する漸減型及び/または延長型のレジメによって、80人の対象で少なくともSDが見られる場合には、漸減型及び/または延長型のレジメで少なくともSDを達成した対象の割合は、対応する一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおいて少なくとも部分奏効[SD]を達成した対象の割合の160%である。
【0194】
ADCによる治療に対する奏効の評価は、各治療サイクルが終わる前後、例えば、21日の治療サイクルの19日目(±3日)に採取した骨髄試料(穿刺液または穿刺液を得られない場合には生検標本)に基づいてよい。ADCに対する対象の奏効は、下記のような2014 Lugano Classification Criteria(New “Cheson”Criteriaを使用)に従って、CR、PR、SDまたはPDとして分類してよい。
●完全奏効(CR)は、下記のそれぞれを達成したものとして定義する。
○LDiが1.5cm未満の結節性疾患
○節外疾患:見られない
○脾臓:萎縮~正常
○新たな病変は見られない。
○骨髄:形態は正常である。確定できない場合には、IHCで陰性である。
●部分奏効(PR)は、下記のそれぞれを達成したものとして定義する。
○結節性疾患:すべての標的病変のSPDが、ベースラインから50%以上短縮している。
○非標的の増大が見られない。
○脾臓:脾臓の肥大部分が、ベースラインから50%超縮小している(値は13cm超)。
○新たな病変は見られない。
●疾患の安定(SD)は、下記のそれぞれを達成したものとして定義する。
〇結節性疾患:すべての標的病変のSPDが、ベースラインから50%超短縮している。
〇結節のPDの基準を満たしていない。
○非標的の進行が見られない。
○脾臓肥大の進行が見られない。
○新たな病変が見られない。
結節のPDの基準:
個々の結節/病変は、以下の場合には、異常としなければならない。
●LDiが1.5cm超であり、かつ
●PPDが最低値から50%以上増大し、かつ
●LDiまたはSDiが最低値から、下記のように増大している。
○2cm以下の病変では、0.5cm以上
○2cm超の病変では1.0cm以上
【0195】
白血病
本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する毒性及び/または副作用の低減方法であって、本明細書に定義されているような分割投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法を提供する。
【0196】
いくつかのケースでは、毒性の低減は、総投与用量及び治療サイクルの長さが同じである単回用量投与レジメと比較して測定する。このような単回用量レジメでは、CD19-ADCの総用量を、治療サイクルの開始時に単回用量として投与する。
【0197】
いくつかのケースでは、毒性のレベルは、所定の総用量のCD19-ADCでの1回の治療サイクル後に、治療下で発現した有害事象(TEAE)が発生した数として測定する。治療下で発現した有害事象(TEAE)は、CD19-ADCへの暴露前には見られなかったいずれかの事象、またはすでに見られていたが、CD19-ADCへの暴露後に強度または頻度のいずれかが悪化したいずれかの事象として定義する。分割投与レジメでのAE発生数は、対応する単回用量レジメにおけるAE発生数の95%以下(90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下など)であり得る。有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0198】
例えば、100人の対象において、単回用量レジメの治療サイクルを1回行った結果、AEが10回見られ、対応する分割レジメの治療サイクルを1回行った結果、AEが5回見られる場合には、分割レジメでのAE発生数は、対応する単回用量レジメにおけるAE発生数の50%である。
【0199】
いくつかのケースでは、毒性のレベルは、所定の総用量のCD19-ADCでの1回の治療サイクル後に、重篤な有害事象(SAE)が発生した数として測定する。重篤な有害事象(SAE)は、死に至るか、直ちに生命を脅かすか、入院させる必要もしくはすでに入院している期間を延長する必要を生じるか、持続的もしくは顕著な障害/不能に至るか、または先天異常/出生時欠損であるいずれかの事象として定義する。選択的な処置またはプロトコールの順守のための入院は、SAEとみなさない。死に至ったり、生命を脅かしたり、または入院を必要としたりしない可能性のある重大な医学的事象は、適切な医学的判断に基づき、患者を脅かし得るか、またはこの定義に列挙されている転帰のうちの1つを予防するために、医学的もしくは外科的介入を必要とし得るときには、SAEとみなしてよい。このような医学的事象の例としては、救急処置室もしくは家庭での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院に至らない血液疾患もしくは痙攣、または薬物依存もしくは薬物乱用の発症が挙げられる。分割投与レジメでのSAEの発生数は、対応する単回用量レジメにおけるSAEの発生数の95%以下(90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下など)であり得る。有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0200】
いくつかのケースでは、毒性のレベルは、所定の総用量のCD19-ADCでの1回の治療サイクル後に、用量制限毒性(DLT)が発生した数として測定する。分割投与レジメでのDLT発生数は、対応する単回用量レジメにおけるDLT発生数の95%以下(90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下または5%以下など)であり得る。
【0201】
例えば、100人の対象において、単回用量レジメの治療サイクルを1回行った結果、DLTが10回見られ、対応する分割レジメの治療サイクルを1回行った結果、DLTが5回見られる場合には、分割レジメでのDLT発生数は、対応する単回用量レジメにおけるDLT発生数の50%である。
【0202】
DLTは、本明細書で使用する場合、下記の事象のうちのいずれかとして定義する。ただし、明らかに、基礎疾患または外来性の原因によるものは除く。
●血液学的なDLTは、以下のように定義する。
○好中球減少症及び/または血小板減少症のグレード3以上の事象、あるいはグレード4の貧血であり、サイクルの開始から6週間以上、低形成骨髄が継続し、残存白血病が認められない(すなわち、芽球細胞が5%未満である)もの。芽球細胞が5%未満である正形成骨髄のケースでは、グレード3以上の汎血球減少症を8週間伴うと、DLTとみなすことになる。
●非血液学的なDLTは、以下のように定義する。
〇グレード4の腫瘍崩壊症候群(末端器官の不可逆性の損傷に至らない限りは、グレード3の腫瘍崩壊症候群は、DLTとしない。)
〇グレード3以上のAE(最適な治療にもかかわらず、悪心、嘔吐、下痢及び電解質平衡異常が48時間超、継続することを含む。すべてのグレードの脱毛症は除く。)
〇CTCAEグレード3以上の過敏性反応(前投薬は問わない。)
〇CTCAEグレード3以上の皮膚潰瘍
【0203】
上記の有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0204】
本開示は、対象へのCD19-ADCの投与と関連する治療の有効性の向上方法であって、本明細書に定義されているような分割投与レジメで、CD19-ADCを投与することを含む方法も提供する。
【0205】
いくつかのケースでは、この有効性の向上は、総投与用量及び治療サイクルの長さが同じである単回用量投与レジメと比較して測定する。このような単回用量レジメでは、ADCの総用量を、治療サイクルの開始時に単回用量として投与する。
【0206】
いくつかのケースでは、有効性のレベルは、所定の総用量のADCでの1回の治療サイクル後に、少なくとも部分奏効[PR]を達成した対象の割合(すなわち、部分奏効[PR]、血球数の回復が不完全な完全奏効[CRi]または完全奏効[CR]のいずれかを達成した対象の割合)として測定する。少なくともPRを達成した対象の割合は、対応する単回用量レジメにおいて少なくとも部分奏効[PR]を達成した対象の割合の少なくとも110%(少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%または少なくとも200%など)であり得る。
【0207】
例えば、100人の対象において、単回用量レジメによって、50人の対象で少なくともPRが見られ、対応する分割レジメによって、80人の対象で、少なくともPRが見られる場合には、分割レジメによって、少なくともPRを達成した対象の割合は、対応する単回用量レジメにおいて少なくとも部分奏効[PR]を達成した対象の割合の160%である。
【0208】
ADCによる治療に対する奏効の評価は、各治療サイクルが終わる前後、例えば、21日の治療サイクルの19日目(±3日)に採取した骨髄試料(穿刺液または穿刺液を得られない場合には生検標本)に基づいてよい。ADCに対する対象の奏効は、下記の基準に従って、CR、CRi、PR、PDまたはNRとして分類してよい。
●完全奏効(CR)は、下記のそれぞれを達成したものとして定義する。
〇骨髄像において、芽球細胞が5%以下であり、アウエル小体のある芽球細胞が見られない。
〇好中球絶対数が1.0×109/L以上で、血小板数が100×109/L以上である。
〇髄外疾患が見られない。
〇患者は、赤血球(RBC)輸血の影響下にない。
●血球数の回復が不完全な完全奏効(CRi)は、ANCの値が1.0×109/L未満であってよく、及び/または血小板の値が100×109/L未満であってよい点を除き、すべてのCR基準を満たすものとして定義する。
●部分奏効(PR)は、下記のそれぞれを満たすものとして定義する。
○好中球絶対数が1.0×109/L以上で、血小板数が100×109/L以上である。
〇骨髄像において、骨髄芽球細胞の割合(%)が、ベースラインから50%以上低下して、5%超、25%以下のレベルになっているか、または骨髄像において、芽球細胞が5%未満で、アウエル小体が見られる。
●無奏効(NR)は、CR、CRiまたはPRを達成していないものとして定義する。
●疾患の進行(PD)は、以下のように定義する。
○CRまたはCRiの患者では、骨髄及び/または末梢血で芽球細胞が5%以上のレベルまで再出現したか、または髄外疾患の発現した初日
〇PRの患者では、骨髄及び/または末梢血で芽球細胞が増加して、患者がPRの基準を満たさないようになった初日
【0209】
患者の選定
特定のケースでは、対象は、治療を行う前に、(a)漸減型及び/または延長型の投与レジメ、あるいは(b)分割投与レジメのいずれかによる治療に適する者として選定する。
【0210】
好ましくは、対象は、リンパ腫であるか、リンパ腫と疑われているか、またはリンパ腫と診断されている場合に、記載されている漸減型及び/または延長型の投与レジメによる治療対象に選定する。例えば、そのリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)のような非ホジキンリンパ腫であってよい。
【0211】
好ましくは、対象は、白血病であるか、白血病であるか、白血病と疑われているか、または白血病と診断されている場合に、記載されている分割投与レジメによる治療対象に選定する。例えば、その白血病は、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)であってよい。
【0212】
本明細書で使用する場合、治療に適するとみなされる対象は、治療の利益を得るか、または治療に対して奏功を示すと予想される対象である。対象は、がんであるか、がんと疑われているか、またはがんになるリスクがあってもよい。対象は、がんと診断されていてもよい。特には、対象は、リンパ腫であるか、リンパ腫と疑われているか、またはリンパ腫になるリスクがあってもよい。いくつかのケースでは、対象は、CD19を発現する浸潤細胞のように、CD19を発現する腫瘍関連非腫瘍細胞を有する固形癌であるか、この固形癌と疑われているか、またはこの固形癌になるリスクがあってもよい。
【0213】
いくつかのケースでは、対象は、CD19の発現の量またはパターンに基づいて選定する。いくつかのケースでは、選定は、細胞表面でのCD19の発現に基づいている。
【0214】
いくつかのケースでは、該当する特定の組織、例えば、リンパ組織または腫瘍組織の試料で、該当する特定の組織でのCD19の発現を求める。いくつかのケースでは、例えば、血液、血漿、血清またはリンパ液などの循環体液の試料で、CD19の全身での発現を求める。
【0215】
いくつかのケースでは、対象は、試料におけるCD19の発現の存在によって、治療に適する者として選定する。これらのケースでは、CD19の発現の見られない対象は、治療に適さないとみなしてよい。
【0216】
別のケースでは、CD19の発現のレベルを用いて、対象を治療に適する者として選定する。CD19の発現レベルが閾値レベルを上回る場合に、対象は、治療に適すると判断する。
【0217】
いくつかのケースでは、試料中の細胞におけるCD19+の存在によって、その対象が、ADCを含む混合薬による治療に適していることが示される。別のケースでは、対象が治療に適していることを示すには、CD19の発現量は、閾値レベルを上回らなければならない。いくつかのケースでは、CD19の局在が、試料において、コントロールと比べて変化しているという観察結果によって、対象が治療に適していることが示される。
【0218】
いくつかのケースでは、IHCによって判断した際に、リンパ節または節外部位から採取した細胞が、CD19に対する抗体と反応する場合に、その対象は、治療に適する者として示される。
【0219】
いくつかのケースでは、患者は、試料中の全細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%またはそれを超える割合が、CD19発現する場合に、治療に適すると判断される。本明細書に開示されているいくつかのケースでは、患者は、試料中の細胞の少なくとも5%が、CD19を発現する場合に、治療に適すると判断される。
【0220】
いくつかのケースでは、患者は、ADCによる過去の単回用量の治療サイクルで、DLTが見られた場合には、治療に適すると判断される。
【0221】
いくつかのケースでは、患者は、ADCによる過去の単回用量の治療サイクルで、ADCの誘導による毒性のいずれかの徴候が見られた場合には、治療に適すると判断される。
【0222】
いくつかのケースでは、患者は、ADCの誘導による毒性に対する感受性が増大している場合には、適すると判断される。
【0223】
いくつかのケースでは、患者は、その疾患が再発性または難治性である場合には、治療に適すると判断される。
【0224】
いくつかのケースでは、対象は、ADCによる治療の前に、神経学的診察を受ける。好ましくは、神経学的診察には、体力、感覚及び深部腱反射の検査が含まれる。
【0225】
いくつかのケースでは、対象は、神経障害であるか、または最近、神経障害になった場合には、ADCによる治療に適さないと判断する。このような障害の例としては、ポリオ及び多発性硬化症が挙げられる。概して、対象の過去の病歴によって説明されるとともに、ADCによる治療に関連しないか、またはADCによる治療のリスク因子ではないことが知られている神経障害によっては、対象は、ADCによる治療に不適応とみなさない。このような障害の例は、脳梗塞のような過去の脳血管障害によるものと分かっている左半身脱力である。
【0226】
本明細書で論じられているような神経障害は、多発神経根障害(急性炎症性脱髄性多発神経根障害(AIDP)を含む)、ギラン・バレー症候群(GBS)、重症筋無力症、あるいは多発性神経根炎、GBSまたは重症筋無力症に関係があるか、その早期指標である神経障害(例えば上行(両側)感覚消失及び/または運動衰弱)であってよい。
【0227】
いくつかのケースでは、対象は、ADCの投与後に、神経学的診察を受ける。いくつかのケースでは、検査した神経学的パラメーターの何らかの変化を評価するために、ADCの投与後の対象の神経学的診察の結果を、ADCの投与前に得た結果と比較する。いくつかのケースでは、対象で神経毒性が見られる場合に、ADCによる治療を減少させるか、中断するかまたは恒久的に中止する。
【0228】
本明細書で論じられているような神経毒性は、多発神経根障害(急性炎症性脱髄性多発神経根障害(AIDP)を含む)、ギラン・バレー症候群(GBS)、重症筋無力症、あるいは多発性神経根炎、GBSまたは重症筋無力症に関係があるか、その早期指標である神経障害(例えば上行(両側)感覚消失及び/または運動衰弱)であってよい。
【0229】
いくつかのケースでは、対象は、ADCの毎回の投与後に、神経学的診察を受ける。いくつかのケースでは、検査した神経学的パラメーターの何らかの変化を評価するために、ADCの毎回の投与後の対象の神経学的診察の結果を、直近のADC投与前に得た結果と比較する。いくつかのケースでは、検査した神経学的パラメーターの何らかの変化を評価するために、ADCの毎回の投与後の対象の神経学的診察の結果を、1回目のADC投与前に得た結果と比較する。
【0230】
いくつかのケースでは、対象は、ADCの投与後に神経毒性が見られる場合に、神経学的診察を受ける。
【0231】
いくつかのケースでは、対象が神経障害であるか、または対象で神経毒性が見られる場合に、ADCによる治療を減少させるか、中断するかまたは恒久的に中止する。例えば、対象で、グレード1以上の神経毒性(多発性神経根炎に関係があるか、またはその早期指標であるグレード1の神経毒性(例えば上行(両側)感覚消失及び/または運動衰弱)など)が見られる場合に、ADCによる治療を減少させるかまたは中断してよい。いくつかのケースでは、対象で、グレード2以上の神経毒性(例えば、グレード2の多発性神経根炎またはGBS)が見られる場合に、ADCによる治療を恒久的に中止してよい。
【0232】
有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0233】
いくつかのケースでは、2回目以降の各治療サイクルで、対象に投与するADCの用量を低減することによって、ADCによる治療を減少させる。いくつかのケースでは、2回目以降の各治療サイクルの長さを、例えば3週間のサイクルから6週間のサイクルに延長することによって、ADCによる治療を減少させる。いくつかのケースでは、次の治療サイクルのたびに、対象に投与するADCの用量を低減し、次の治療サイクルのたびに、サイクル長を延長することによって、ADCによる治療を減少させる。
【0234】
いくつかのケースでは、毒性が解消されるまで、ADCによる治療を停止することによって、ADCによる治療を中断する。いくつかのケースでは、毒性がベースラインまで解消された後に、ADCによる治療を再開する。神経毒性が解消されるまで、対象を週に1回モニタリングしてよい。いくつかのケースでは、治療は、最長で3週間(21日間)中断する。
【0235】
例えば、いくつかのケースでは、対象は、グレード1以上の神経毒性(多発性神経根炎に関係があるか、またはその早期指標であるグレード1の神経毒性(例えば上行(両側)感覚消失及び/または運動衰弱)など)が見られる場合に、神経学的診察を受ける。いくつかのケースでは、対象で、グレード1以上の神経毒性(例えばグレード1の多発性神経根炎またはGBS)が見られる場合には、毒性がベースラインまで解消された後に、ADCによる治療を再開する。神経毒性が解消されるまで、対象を週に1回モニタリングしてよい。
【0236】
いくつかのケースでは、対象で、グレード2以上の神経毒性(例えばグレード2の多発性神経根炎またはGBS)が見られる場合には、ADCによる治療を恒久的に中止する。
【0237】
いくつかのケースでは、対象は、神経疾患及び/または免疫関連疾患と関連し得る病原体を原因とする感染症であるか、最近その感染症になったか、またはその感染症になった病歴がある場合には、ADCによる治療に適さないと判断する。このような病原体の例としては、HSV1、HSV2、VZV、EBV、CMV、麻疹、インフルエンザA、ジカウイルス、チクングニヤウイルス、Mycoplasma pneumonia、Campylobacter jejuniまたはエンテロウイルスD68が挙げられる。
【0238】
いくつかのケースでは、対象が、神経疾患及び/または免疫関連疾患と関連し得る病原体を原因とする感染症を経験したか、その感染症であるか、またはその感染症を得た場合には、ADCによる治療を減少させるか、中断するかまたは恒久的に中止する。このような病原体の例としては、HSV1、HSV2、VZV、EBV、CMV、麻疹、インフルエンザA、ジカウイルス、チクングニヤウイルス、Mycoplasma pneumonia、Campylobacter jejuniまたはエンテロウイルスD68が挙げられる。いくつかのケースでは、その感染症の症状が解消されてから少なくとも4週間後まで、ADCによる治療を中断する。
【0239】
免疫関連疾患の例としては、関節リウマチ、全身性進行性硬化症[強皮症]、全身性ループスエリテマトーデス、シェーグレン症候群、自己免疫性血管炎[例えばウェゲナー肉芽腫症]が挙げられる。
【0240】
いくつかのケースでは、対象で、グレード1以上の自己免疫毒性(例えば内分泌障害)が見られる場合には、ADCによる治療を減少させるか、中断するかまたは恒久的に中止する。
【0241】
試料
本開示の試料は、前記対象から採取した多少の血液、対象の血液に由来する多少の血清(フィブリンクロット及び血液細胞の除去後に得られる、血液の流体部分を含み得る)、多少の膵液もしくは脊椎穿刺から得られる体液、組織試料もしくは生検標本、または単離細胞を含んでも、またはそれらに由来してもよい。
【0242】
試料は、いずれかの組織または体液から採取し得る。特定のケースでは、試料は、前記対象から採取した組織試料、生検標本、切片または単離細胞を含んでも、またはそれらに由来してもよい。
【0243】
特定のケースでは、試料は、組織試料である。試料は、がん性腫瘍組織のような腫瘍組織の試料であってよい。試料は、腫瘍生検によって得たものであってよい。いくつかのケースでは、試料は、リンパ病変試料またはリンパ節生検標本のようなリンパ組織試料である。いくつかのケースでは、試料は、皮膚生検標本である。
【0244】
いくつかのケースでは、試料は、体液、より好ましくは、全身を循環する体液から採取する。したがって、試料は、血液試料またはリンパ液試料であってよい。いくつかのケースでは、試料は、尿試料または唾液試料である。
【0245】
いくつかのケースでは、試料は、血液試料または血液由来の試料である。血液由来の試料は、対象の血液のうちの選択した画分、例えば、選択した細胞含有画分、血漿画分または血清画分であってよい。
【0246】
選択した細胞含有画分は、白血球(WBC)、特には末梢血単核球(PBC)及び/または顆粒球及び/または赤血球(RBC)を含み得る該当する種類の細胞を含んでよい。したがって、本開示による方法は、血液、白血球、末梢血単核球、顆粒球及び/または赤血球中のCD19のポリペプチドまたは核酸の検出を伴ってよい。
【0247】
試料は、採取したての試料または保存試料であってよい。例えば、保存組織は、対象の1回目の診断から得たものであっても、または再発時の生検標本であってもよい。特定のケースでは、試料は、採取したての生検標本である。
【0248】
対象の状態
本開示の対象は、動物、哺乳動物、有胎盤哺乳動物、有袋動物(例えば、カンガルー、ウォンバット)、単孔類動物(例えばカモノハシ)、齧歯動物(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科動物(例えばマウス)、ウサギ目動物(例えばウサギ)、鳥類(例えばトリ)、イヌ類(例えばイヌ)、ネコ科動物(例えばネコ)、ウマ科動物(例えばウマ)、ブタ類(例えばブタ)、ヒツジ類(例えばヒツジ)、ウシ類(例えばウシ)、霊長類動物、サル類(例えば、サルもしくは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オラウータン、テナガザル)またはヒトであってよい。
【0249】
さらに、対象は、その発生形態のいずれか、例えば胎児であってよい。好ましい一実施形態では、対象は、ヒトである。「対象」、「患者」及び「個体」という用語は、本明細書では同義的に用いられている。
【0250】
本発明で開示されているいくつかのケースでは、対象は、がんであるか、がんである疑いがあるか、またはがんのリスクがあると特定されている。本発明で開示されているいくつかのケースでは、対象は、すでにがんの診断を受けている。
【0251】
対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む非ホジキンリンパ腫のようなリンパ腫であるか、そのリンパ腫である疑いがあるか、そのリンパ腫のリスクがあると特定されているか、またはすでにそのリンパ腫の診断を受けていてよい。このような対象は好ましくは、本発明で開示されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメで治療する。
【0252】
対象は、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病であるか、その白血病である疑いがあるか、その白血病のリスクがあると特定されているか、またはすでにその白血病の診断を受けていてよい。[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]。このような対象は好ましくは、本発明で開示されているような分割投与レジメで治療する。
【0253】
いくつかのケースでは、対象は、CD19+発現浸潤T細胞を含む固形癌の診断を受けた者である。
【0254】
対象は、そのがんに対する治療処置を受けているか、または受けたことがあってもよい。対象は、以前にADCX19を投与されたことがあっても、なくてもよい。いくつかのケースでは、そのがんは、白血病または非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫である。
【0255】
コントロール
いくつかのケースでは、対象におけるCD19の発現は、コントロールにおける標的の発現と比較する。コントロールは、染色の妥当性を裏付けたり、及び実験的なアーチファクトを特定したりするのに有用である。
【0256】
いくつかのケースでは、コントロールは、対照試料または対照データセットであってよい。対照は、適性度が既知の対象から以前に採取した試料であってよい。対照は、対照試料の解析によって得たデータセットであってもよい。
【0257】
コントロールは、標的分子が存在しているか、もしくは高レベルで発現していることが既知であるポジティブコントロール、または標的分子が存在しないか、または低レベルで発現していることが既知であるネガティブコントロールであってよい。
【0258】
コントロールは、治療の利益を得ることが既知である対象に由来する組織の試料であってよい。その組織は、試験する試料と同じ種類の試料であってよい。例えば、対象から採取した腫瘍組織の試料を、治療に適することが既知である対象(以前に治療に対して奏効を示した対象など)から採取した腫瘍組織のコントロール試料と比較してよい。
【0259】
いくつかのケースでは、コントロールは、試験試料と同じ対象から採取した試料であるが、正常であることが既知である組織の試料であってよい。したがって、対象から採取したがん性組織の試料を、非がん性組織試料と比較してよい。
【0260】
いくつかのケースでは、コントロールは、細胞培養試料である。
【0261】
いくつかのケースでは、試験試料は、その試料に固有のバックグラウンド染色のレベルを求めるために、抗体とインキュベートする前に解析する。
【0262】
いくつかのケースでは、アイソタイプコントロールを使用する。アイソタイプコントロールでは、標的特異的抗体と同じクラスの抗体であるが、試料と免疫反応しない抗体を使用する。このようなコントロールは、標的特異的抗体の非特異的な相互作用を識別するのに有用である。
【0263】
本開示の方法には、試験結果が正確に解釈されるように、血液病理学者による形態及び免疫組織化学の解釈を含めてよい。本開示の方法には、発現のパターンが、予測パターンと相関することを確認することを含めてよい。例えば、CD19の発現量を解析する場合、本開示の方法には、試験試料において、細胞質成分とともに、膜の染色として、発現が観察されることを確認することを含めてよい。本開示の方法には、ノイズに対する標的シグナルの比率が、閾値レベルを上回ることを確認することによって、特異的シグナルと非特異的なバックグラウンドシグナルをはっきり区別可能にすることを含めてよい。
【0264】
治療方法
「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、状態の治療に関しては、概して、ヒトまたは動物(例えば、獣医学的用途)にかかわらず、何らかの望ましい治療効果(例えば、状態の進行の阻害)が得られる治療及び療法に関するものであり、進行速度の低減、進行速度の停止、状態の退縮、状態の改善及び状態の治癒が含まれる。予防手段(すなわち、予防(prophylaxis)、予防(prevention))としての治療も含まれる。
【0265】
「治療に有効な量」または「有効な量」という用語は、本明細書で使用する場合、活性化合物、または活性化合物を含む物質、組成物もしくは剤形の量であって、望ましい治療レジメンに従って投与したときに、何らかの望ましい治療効果をもたらすのに有効であり、合理的な効果/リスク比に釣り合う量に関するものである。概して、治療方法で、ADCの使用について記載されているときには、治療に有効な量でADCを使用することが意図されている。
【0266】
実際の投与量、ならびに投与の速度及び時間的経過は、治療する状態の性質及び重症度に依存することになる。治療の処方、例えば、用量に関する判断は、一般的な医療従事者及びその他の医師が担う範囲内である。対象は、本発明で開示されている方法による治療を受ける適性を判断するための検査を受けた者であってもよい。本開示の治療方法は、対象が、本発明で開示されている方法を用いて、治療に適するか判断する工程を含んでよい。
【0267】
同様に、「予防に有効な量」という用語は、本明細書で使用する場合、活性化合物、または活性化合物を含む物質、組成物もしくは剤形の量であって、何らかの望ましい予防効果をもたらすのに有効であり、望ましい治療レジメンに従って投与したときに、合理的な効果/リスク比に釣り合う量に関するものである。
【0268】
本発明で開示されているのは、療法である。治療の必要な対象に、ADCを治療に有効な量、漸減型及び/または延長型の投与レジメで投与することを含む治療方法も提供する。
【0269】
そのADCは、抗CD19抗体を含んでよい。その抗CD19抗体は、RB4v1.2であってよい。そのADCは、PBD二量体である薬物を含んでよい。そのADCは、抗CD19-ADC、特にはADCX19であってよい。そのADCは、WO2014/057117に開示されているADCであってよい。
【0270】
本開示の治療は、治療する状態に応じて、ADCを単独で投与するか、またはさらに他の治療と組み合わせて同時または順次のいずれかで投与することを含んでよい。順次投与では、いくつかのケースでは、他の治療の前にADCを投与し、別のケースでは、他の治療の後にADCを投与する。治療及び療法の例としては、化学療法(例えば化学療法剤のような薬物を含む活性薬剤の投与)、免疫療法、手術及び放射性療法が挙げられるが、これらに限らない。
【0271】
「化学療法剤」は、作用機序にかかわらず、がんの治療に有用な化学的な化合物である。化学療法剤の種類としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞障害性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤及びキナーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限らない。化学療法剤には、「標的療法」で用いられる化合物、チェックポイント阻害剤のようなイムノオンコロジー薬及び従来の化学療法剤が含まれる。
【0272】
化学療法剤の例としては、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標)、Celgene)、ボリノスタット(ZOLINZA(登録商標)、Merck)、パノビノスタット(FARYDAK(登録商標)、Novartis)、モセチノスタット(MGCD0103)、エベロリムス(ZORTRESS(登録商標)、CERTICAN(登録商標)、Novartis)、ベンダムスチン(TREAKISYM(登録商標)、RIBOMUSTIN(登録商標)、LEVACT(登録商標)、TREANDA(登録商標)、Mundipharma International)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Sanofi-Aventis)、5-FU(フルオロウラシル、5-フルオロウラシル、CAS番号51-21-8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、Lilly)、PD-0325901(CAS番号391210-10-9、Pfizer)、シスプラチン(シス-ジアミン、ジクロロプラチナム(II)、CAS番号15663-27-1)、カルボプラチン(CAS番号41575-94-4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキサミド、CAS番号85622-93-1、TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標)、Schering Plough)、タモキシフェン((Z)-2-[4-(1,2-ジフェニルブタ-1-エニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン、NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti-1/2、HPPD及びラパマイシンが挙げられる。
【0273】
化学療法剤のさらなる例としては、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、XL-518(Mek阻害剤、Exelixis、WO2007/044515)、ARRY-886(Mek阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF-1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ-235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL-147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SARASAR(商標)、SCH66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、BAY43-9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT-11、Pfizer)、チピファルニブ(ZARNESTRA(商標)、Johnson & Johnson)、パクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子性剤であるABRAXANE(商標)(クレモフォア無添加)(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ZACTIMA(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271、Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標))、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパのようなアジリジン、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルメラミン、アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン)、カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065(その合成アナログのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシンを含む)、クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8)、ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成アナログのKW-2189及びCB1-TM1を含む)、エレウテロビン、パンクラチスタチン、サルコジクチン、スポンジスタチン、クロラムブシル、クロロナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードのようなナイトロジェンマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチンのようなニトロソウレア、抗生物質のエンジインのような抗生物質(例えば、カリケアマイシン、カリケアマイシンγ1I、カリケアマイシンωI1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183-186)、ダイネミシン、ダイネミシンA、クロドロネートのようなビスホスホネート、エスペラミシン、ネオカルチノスタチンクロモフォア及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような代謝拮抗剤、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートのような葉酸アナログ、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリンアナログ、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンのようなピリミジンアナログ、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンのようなアンドロゲン、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤、フロリン酸のような葉酸補充剤、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトレキサート、デフォファミン、デメコルチン、ジアジクオン、エルフォルニチン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、レンチナン、ロニダミン、メイタンシン及びアンサマイトシンのようなメイタンシノイド、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモール、ニトラミン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR)、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン)、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテパ、6-チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキセート、シスプラチン及びカルボプラチンのような白金アナログ、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、ノバントロン、テニポシド、エダトレキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、カペシタビン(XELODA(登録商標)、Roche)、イバンドロン酸塩、CPT-11、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイン酸のようなレチノイド、ならびに上記のいずれかの製薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体が挙げられる。CHP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド)またはCHOP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド、ビンクリスチン)のように、薬剤を組み合わせたものを用いてもよい。
【0274】
「化学療法剤」の定義には、(i)例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフェン)を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のように、ホルモンが腫瘍に及ぼす作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、(ii)例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer)、フォルムスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca)のように、副腎におけるエストロゲンの産生を調節する酵素であるアロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン及びトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ)のような抗アンドロゲン、(iv)MEK阻害剤(WO2007/044515)のようなタンパク質キナーゼ阻害剤、(v)脂質キナーゼ阻害剤、(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標)、Genta Inc.)のように、異常な細胞増殖に関与しているシグナル伝達経路の遺伝子、例えば、PKCα、Raf及びH-Rasの発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、(vii)VEGF発現阻害剤(例えばANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤のようなリボザイム、(viii)遺伝子療法ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標)のようなワクチン、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2、LURTOTECAN(登録商標)のようなトポイソメラーゼ1阻害剤、ABARELIX(登録商標)rmRH、(ix)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)のような血管新生阻害剤、ならびに上記のいずれかの製薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体も含まれる。
【0275】
「化学療法剤」の定義には、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)のような治療用抗体、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標)、GSK)、ペルツズマブ(PERJETA(商標)、OMNITARG(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、MDX-060(Medarex)及び抗体薬物コンジュゲートであるゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も含まれる。
【0276】
本開示のコンジュゲートと組み合わされる化学療法剤としての潜在的な治療能力を有するヒト化モノクローナル抗体としては、アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルロチニブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、パキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ及びビシリズマブが挙げられる。
【0277】
いくつかのケースでは、特に、ステロイド、イブルチニブ、デュルバルマブ、リツキシマブ及び/またはシタラビンと組み合わせて、ADCを対象に投与する。
【0278】
ステロイドとの併用
本明細書に記載されているADC投与レジメの開発においては、デキサメタゾンのようなステロイドの投与によって、対象から報告された毒性症状の頻度及び/または重症度が低減されたことが観察された。
【0279】
したがって、好ましい実施形態では、デキサメタゾンのようなステロイドと組み合わせて、ADCを投与する。
【0280】
好ましくは、このステロイドは、デキサメタゾンである。他の好適なステロイドは、グルココルチコイドのような副腎皮質ステロイドの類で見出されている。グルココルチコイドの例は、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、βメタゾン、トリアムシノロン、酢酸フルドロコルチゾン及び酢酸デオキシコルチコステロンである。
【0281】
具体的には、デキサメタゾンのようなステロイドと組み合わせて、CD19-ADCを投与する実施形態が企図されている。好ましくは、CD19-ADCを投与する前、例えば、ADCを投与する少なくとも2時間前に、1回目の用量のステロイドを投与する。ADCを投与した翌日に、デキサメタゾンのようなさらなる用量のステロイドを対象に投与してよい。任意に、ADCを投与する前日に、デキサメタゾンのようなさらなる用量のステロイドを対象に投与してもよい。
【0282】
ステロイドは、ADCを投与する前、例えば、ADCを投与する少なくとも2時間前、少なくとも6時間前、少なくとも12時間前または前日に投与してよい。
【0283】
いくつかの実施形態では、ADCを投与する前日に、1回目の用量のステロイドを投与する。そして、ADCを投与する日に、好ましくはADCを投与する前(ADCを投与する少なくとも2時間前など)に、2回目の用量のステロイドを投与してよい。続いて、ADCを投与した翌日に、3回目の用量のステロイドを投与してよい。治療サイクルごとにADCを1回以上投与することを含む投与レジメ(例えば分割投与レジメ)では、ステロイドは好ましくは、各治療サイクルのADCの1回目の投与のみに併せて投与する。
【0284】
いくつかの実施形態では、ADCを投与する日に、好ましくはADCを投与する前(ADCを投与する少なくとも2時間前など)に、1回目の用量のステロイドを投与する。そして、ADCを投与した翌日に、2回目の用量のステロイドを投与する。治療サイクルごとにADCを1回以上投与することを含む投与レジメ(例えば分割投与レジメ)では、ステロイドは好ましくは、各治療サイクルのADCの1回目の投与のみに併せて投与する。
【0285】
ステロイドは、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内注射、筋肉内注射もしくは髄腔内注射)、吸入または局所投与など、当該技術分野において知られているいずれかの方法で投与してよい。好ましくは、ステロイドは、経口投与する。
【0286】
ステロイドは、様々な投与レジメで投与してよい。例えば、1日のステロイド投与量を単回用量、2分割用量、3分割用量または3分割超の分割用量として投与してよい。好ましくは、分割用量は、等しい規模の用量である。好ましくは、1日のステロイド投与量を2等分の分割用量として投与する。
【0287】
ステロイドの各回の用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、22mg、24mg、26mg、28mgまたは30mgであってよい。
【0288】
ステロイドの各回の分割用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mgまたは15mgであってもよい。
【0289】
いくつかの実施形態では、(i)ADCを投与する前日、(ii)ADCを投与する日、及び(iii)ADCを投与した翌日に、デキサメタゾンを4mgで1日2回、経口投与する。ステロイドは、ADCによる治療スケジュールにかかわらず、各サイクルの1週目の1日目に投与するADCのみに併せて投与する。
【0290】
いくつかの実施形態では、(i)ADCを投与する日、ADCの少なくとも2時間前、及び(ii)ADCを投与した翌日に、デキサメタゾンを4mgで1日2回、経口投与する。ステロイドは、ADCによる治療スケジュールにかかわらず、各サイクルの1週目の1日目に投与するADCのみに併せて投与する。
【0291】
いくつかの実施形態では、(i)ADCを投与する前日、(ii)ADCを投与する日、好ましくはADCの少なくとも2時間前、及び(iii)ADCを投与した翌日に、デキサメタゾンを8mgで1日2回、経口投与する。ステロイドは、ADCによる治療スケジュールにかかわらず、各サイクルの1週目の1日目に投与するADCのみに併せて投与する。
【0292】
いくつかの実施形態では、(i)ADCを投与する日、好ましくはADCの少なくとも2時間前、及び(ii)ADCを投与した翌日に、デキサメタゾンを8mgで1日2回、経口投与する。ステロイドは、ADCによる治療スケジュールにかかわらず、各サイクルの1週目の1日目に投与するADCのみに併せて投与する。
【0293】
デキサメタゾン:
デキサメタゾン:
(i)CAS番号→50-02-2
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照)
【0294】
(ii)Unique Ingredient Identifier(UNII)→7S5I7G3JQL
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照)
【0295】
(iii)IUPAC名→
(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン
【0296】
【0297】
イブルチニブとの組み合わせ
特に、増殖性障害がリンパ腫である実施形態では、イブルチニブと組み合わせて、CD19-ADCを投与することが企図されている。
【0298】
イブルチニブは、CD19-ADCの前、CD19-ADCと併用的にまたはCD19-ADCの後に、対象に投与してよい。好ましくは、CD19-ADC及びイブルチニブは、併用的に投与する。例えば、いくつかのケースでは、イブルチニブの投与は、本明細書に記載されているCD19-ADC投与レジメの治療サイクル1の1日目に開始する。
【0299】
CD19-ADCは、イブルチニブと組み合わせて投与するときには、好ましくは、2回のQ3W(3週間おきに1回)治療サイクルからなる投与レジメで投与する。好ましくは、2回の治療サイクルのそれぞれの投与量は、同じである。あるいは、2回目の用量は、低減用量であってよく、すなわち、投与レジメは、本明細書に定義されているような漸減型の投与レジメであってよい。
【0300】
イブルチニブと組み合わせて投与するときには、開始用量は、約60μg/kg、約90μg/kg、約120μg/kgまたは約150μg/kgであってよい。いくつかの実施形態では、イブルチニブと組み合わせて投与するときには、CD19-ADCの開始用量は、約140~160μg/kgであってよい。
【0301】
いくつかのケースでは、CD19-ADC及びイブルチニブは、順次に投与する。例えば、いくつかのケースでは、イブルチニブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後に開始する。
【0302】
いくつかのケースでは、イブルチニブの投与は、CD19-ADCによる治療が完了したら中止する。しかしながら、典型的には、イブルチニブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する。いくつかのケースでは、イブルチニブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後、最長で1年間継続する。
【0303】
対象が、CD19-ADCとイブルチニブの併用による初期治療後に、CRを達成した場合には、典型的には、それ以上はCD19-ADCを対象に投与しない。これらのケースでは、イブルチニブの投与は、典型的には、CD19-ADCによる治療の完了後、最長で1年間継続する。
【0304】
対象が、CD19-ADCとイブルチニブの併用による初期治療後に、SDまたはPRを達成した場合には、さらなるCD19-ADCを対象に投与してもよい。これらのケースでは、イブルチニブの投与は、典型的には、CD19-ADCとイブルチニブの併用による初期治療後も継続する。対象が、CD19-ADCによる初期治療の完了から3カ月以内に、CRを達成していない場合には、さらなるCD19-ADCを対象に投与してもよい。
【0305】
そのさらなるCD19-ADCは、2回のQ3W治療サイクルからなる投与レジメで投与してよい。好ましくは、2回の治療サイクルのそれぞれの投与量は、同じである。あるいは、2回目の用量は、低減用量であってよく、すなわち、投与レジメは、本明細書に定義されているような漸減型の投与レジメであってよい。典型的には、さらなるCD19-ADCは、イブルチニブによる治療と組み合わせて投与する。
【0306】
イブルチニブは、QD(1日に1回)投与レジメで投与してよく、すなわち、イブルチニブは、1日に1回投与してよい。好ましくは、イブルチニブの投与量は、約550~570mg/日(約560mg/日など)である。1日当たりの低減用量は、約420mg/日及び約280mg/日であり、低減用量は、対象で、例えば治療関連毒性が見られる場合に投与してよい。
【0307】
イブルチニブと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかのケースでは、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)のような非ホジキンリンパ腫のがんであるか、そのがんである疑いがあるか、そのがんのリスクがあると特定されているか、またはそのがんの診断を受けている。
【0308】
イブルチニブ(イムブルビカ):
(i)CAS番号→936563-96-1
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照)
【0309】
(ii)Unique Ingredient Identifier(UNII)→1X70OSD4VX(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照)
【0310】
(iii)IUPAC名→1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d] ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0311】
【0312】
デュルバルマブとの組み合わせ
特に、増殖性障害がリンパ腫である実施形態では、デュルバルマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与することが企図されている。
【0313】
デュルバルマブは、CD19-ADCの前、CD19-ADCと併用的にまたはCD19-ADCの後に、対象に投与してよい。好ましくは、CD19-ADC及びデュルバルマブは、併用的に投与し、すなわち、CD19-ADC及びデュルバルマブは、同じ治療サイクルの一部として投与する。いくつかのケースでは、CD19-ADC及びデュルバルマブは、治療サイクルの同じ日には投与しない。例えば、いくつかのケースでは、CD19-ADCは、治療サイクルの1日目に投与し、デュルバルマブは、治療サイクルの8日目に投与する。
【0314】
CD19-ADCは、デュルバルマブと組み合わせて投与するときには、好ましくは、2回のQ3W治療サイクルからなる投与レジメで投与する。好ましくは、2回の治療サイクルのそれぞれのCD19-ADC投与量は、同じである。あるいは、2回目の用量は、低減用量であってよく、すなわち、投与レジメは、本明細書に定義されているような漸減型の投与レジメであってよい。
【0315】
デュルバルマブは、CD19-ADCと組み合わせて投与するときには、好ましくは、Q3W投与レジメで投与する。いくつかの実施形態では、デュルバルマブの投与用量は、約1400~1600mgである。デュルバルマブの投与用量は好ましくは1500mgである。
【0316】
CD19-ADCをデュルバルマブと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、開始用量は、約90μg/kg、約120μg/kgまたは約150μg/kgである。いくつかの実施形態では、デュルバルマブと組み合わせて投与するときには、CD19-ADCの開始用量は、約140~160μg/kgであってよい。
【0317】
いくつかのケースでは、CD19-ADC及びデュルバルマブは、順次に投与する。例えば、いくつかのケースでは、デュルバルマブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後に開始する。
【0318】
いくつかのケースでは、デュルバルマブの投与は、CD19-ADCによる治療が完了したら中止する。しかしながら、典型的には、デュルバルマブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する。いくつかのケースでは、デュルバルマブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後、最長で1年間継続する。
【0319】
デュルバルマブは、CD19-ADCによる治療の完了後に投与するときには、好ましくは、Q4W投与レジメで投与する。いくつかの実施形態では、デュルバルマブの投与用量は、約1400~1600mgである。デュルバルマブの投与用量は好ましくは1500mgである。
【0320】
対象が、CD19-ADCとデュルバルマブの併用による初期治療後に、CRを達成した場合には、典型的には、それ以上はCD19-ADCを対象に投与しない。これらのケースでは、デュルバルマブの投与は、典型的には、CD19-ADCによる治療の完了後、最長で1年間継続する。
【0321】
対象が、CD19-ADCとデュルバルマブの併用による初期治療後に、SDまたはPRを達成した場合には、さらなるCD19-ADCを対象に投与してもよい。これらのケースでは、デュルバルマブの投与は、典型的には、CD19-ADCとデュルバルマブの併用による初期治療後も継続する。対象が、CD19-ADCによる初期治療の完了から3カ月以内に、CRを達成していない場合には、さらなるCD19-ADCを対象に投与してもよい。
【0322】
そのさらなるCD19-ADCは、2回のQ3W治療サイクルからなる投与レジメで投与してよい。好ましくは、2回の治療サイクルのそれぞれの投与量は、同じである。あるいは、2回目の用量は、低減用量であってよく、すなわち、投与レジメは、本明細書に定義されているような漸減型の投与レジメであってよい。典型的には、さらなるCD19-ADCは、デュルバルマブによる治療と組み合わせて投与する。
【0323】
CD19-ADCをデュルバルマブと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)または濾胞性リンパ腫(FL)のような非ホジキンリンパ腫のがんであるか、そのがんである疑いがあるか、そのがんのリスクがあると特定されているか、またはそのがんの診断を受けている。
【0324】
デュルバルマブ/MEDI4736:
(i)CAS番号→1428935-60-7
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照)
【0325】
(ii)Unique Ingredient Identifier(UNII)→28X28X9OKV(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照)
【0326】
【0327】
【0328】
リツキシマブとの組み合わせ
特に、増殖性障害がリンパ腫である実施形態では、リツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与することが企図されている。
【0329】
リツキシマブは、CD19-ADCの前、CD19-ADCと併用的にまたはCD19-ADCの後に、対象に投与してよい。好ましくは、CD19-ADC及びリツキシマブは、併用的に投与する。例えば、いくつかのケースでは、リツキシマブ及びCD19-ADCの投与は、記載されているCD19-ADC投与レジメの治療サイクル1の1日目に開始する。
【0330】
いくつかのケースでは、CD19-ADC及びリツキシマブは、順次に投与する。例えば、いくつかのケースでは、リツキシマブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後に開始する。
【0331】
リツキシマブは、Q3W投与レジメで投与してよい。いくつかの実施形態では、リツキシマブの投与用量は、325~425mg/m2である。好ましくは、リツキシマブの投与用量は、375mg/m2である。
【0332】
好ましくは、リツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与する場合には、開始用量は、約90μg/kg、約120μg/kgまたは約150μg/kgである。いくつかの実施形態では、リツキシマブと組み合わせて投与するときには、CD19-ADCの開始用量は、約140~160μg/kgであってよい。
【0333】
CD19-ADCをリツキシマブと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のような非ホジキンリンパ腫のがんであるか、そのがんである疑いがあるか、そのがんのリスクがあると特定されているか、またはそのがんの診断を受けている。
【0334】
CD19-ADCをリツキシマブと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、対象は、リツキシマブによる治療を受けているか、または受けたことがあってもよい。いくつかのケースでは、個体は、リツキシマブによる治療(またはさらなる治療)に対して難治性であってよい。個体が、リツキシマブによる治療を受けているか、または受けたことがある実施形態では、リツキシマブと組み合わせて、またはリツキシマブの投与を継続せずに、抗CD19 ADCを投与してよい。
【0335】
リツキシマブ:
(i)CAS番号→174722-31-7
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照)
【0336】
(ii)Drugbank参照番号→DB00073
(https://www.drugbank.ca/を参照)
【0337】
(iii)Unique Ingredient Identifier (UNII)→4F4X42SYQ6(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照)
【0338】
(iv)重鎖配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGRGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARSTYYGGDWYFNVWGAGTTVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKAEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0339】
軽鎖配列:
QIVLSQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSYIHWFQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0340】
シタラビンとの組み合わせ
特に、増殖性障害がリンパ腫である実施形態では、シタラビンと組み合わせて、CD19-ADCを投与することが企図されている。
【0341】
シタラビンは、CD19-ADCの前、CD19-ADCと併用的にまたはCD19-ADCの後に、対象に投与してよい。好ましくは、CD19-ADC及びシタラビンは、併用的に投与する。
【0342】
好ましい実施形態では、CD19-ADCは、Q3Wレジメで、好ましくは治療サイクルの2日目に投与する。好ましくは、CD19-ADCは、2回の治療サイクルにわたって、開始用量で投与し、それ以降のサイクルでは、開始用量の50%の低減用量で投与する。いくつかの実施形態では、開始用量は、約140~160μg/kgであり、低減用量は、約70~80μg/kgである。好ましくは、開始用量は、約150μg/kgであり、低減用量は、約75μg/kgである。
【0343】
好ましい実施形態では、シタラビンは、Q3Wレジメで、好ましくは、各サイクルの1~5日目に1日に1分割用量で5分割した用量として投与する。好ましくは、シタラビンは、5等分した分割用量として投与する。分割用量は、約100mg/m2、約200mg/m2、約300mg/m2または約400mg/m2であってよい。
【0344】
CD19-ADCをシタラビンと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のような非ホジキンリンパ腫のがんであるか、そのがんである疑いがあるか、そのがんのリスクがあると特定されているか、またはそのがんの診断を受けている。
【0345】
シタラビン:
(i)CAS番号→147-94-4(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照)
【0346】
(ii)Unique Ingredient Identifier(UNII)→04079A1RDZ(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照)
【0347】
(iii)IUPAC名: 4-アミノ-1-[(2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]ピリミジン-2-オン
【0348】
【0349】
シタラビン及びリツキシマブとの組み合わせ
特に、増殖性障害がリンパ腫である実施形態では、シタラビン及びリツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与することが企図されている。
【0350】
シタラビン及びリツキシマブは、CD19-ADCの前、CD19-ADCと併用的にまたはCD19-ADCの後に、対象に投与してよい。好ましくは、CD19-ADC、シタラビン及びリツキシマブは、併用的に投与する。例えば、いくつかのケースでは、シタラビン、リツキシマブ及びCD19-ADCの投与は、記載されているCD19-ADC投与レジメの治療サイクル1の1日目に開始する。
【0351】
好ましい実施形態では、リツキシマブは、Q3Wレジメで、好ましくは、治療サイクルの1日目に投与する。いくつかの実施形態では、リツキシマブの投与用量は、325~425mg/m2である。好ましくは、リツキシマブの投与用量は、375mg/m2である。
【0352】
好ましい実施形態では、CD19-ADCは、Q3Wレジメで、好ましくは、治療サイクルの2日目に投与する。好ましくは、CD19-ADCは、2回の治療サイクルにわたって、開始用量で投与し、それ以降のサイクルでは、開始用量の50%の低減用量で投与する。いくつかの実施形態では、開始用量は、約140~160μg/kgであり、低減用量は、約70~80μg/kgである。好ましくは、開始用量は、約150μg/kgであり、低減用量は、約75μg/kgである。
【0353】
好ましい実施形態では、シタラビンは、Q3Wレジメで、好ましくは、各サイクルの1~5日目に1日に1分割用量で5分割した用量として投与する。好ましくは、シタラビンは、5等分した分割用量として投与する。分割用量は、約100mg/m2、約200mg/m2、約300mg/m2または約400mg/m2であってよい。
【0354】
CD19-ADCをリツキシマブ及びシタラビンと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のような非ホジキンリンパ腫のがんであるか、そのがんである疑いがあるか、そのがんのリスクがあると特定されているか、またはそのがんの診断を受けている。
【0355】
CD19-ADCをシタラビン及びリツキシマブと組み合わせて投与するいくつかのケースでは、対象は、リツキシマブによる治療を受けているか、または受けたことがあってもよい。いくつかのケースでは、個体は、リツキシマブによる治療(またはさらなる治療)に対して難治性であってよい。個体が、リツキシマブによる治療を受けているか、または受けたことがある実施形態では、リツキシマブと組み合わせて、またはリツキシマブの投与を継続せずに、抗CD19 ADCを投与してよい。
【0356】
具体的に企図されているのは、スピロノラクトンのような利尿剤と組み合わせて、CD19-ADCを投与する実施形態である。その利尿剤は、CD19-ADCを投与されている対象であって、体重増加、浮腫または胸水が見られる対象に投与してよい。
【0357】
具体的に企図されているのは、CNS予防のための髄腔内投薬と組み合わせて、CD19-ADCを投与する実施形態である。
【0358】
本開示による組成物は好ましくは、医薬組成物である。本開示によるとともに、本開示に従って使用するためのものである医薬組成物は、活性成分、すなわち、コンジュゲート化合物に加えて、製薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当業者に周知のその他の物質を含んでよい。このような物質は、無毒性でなければならず、活性成分の有効性を損なってはならない。担体またはその他の物質の正確な性質は、投与経路によって決まることになり、投与経路は、経口経路または注射による経路、例えば皮膚経路、皮下経路または静脈内経路であってよい。
【0359】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤または液剤の形態であってよい。錠剤は、固体担体またはアジュバントを含んでよい。液体医薬組成物は概して、水、石油系、動物油、植物油、鉱油または合成油のような液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースもしくはその他のサッカリド溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールのようなグリコールを含めてよい。カプセル剤は、ゼラチンのような固体担体を含んでよい。
【0360】
静脈内注射、皮膚注射、皮下注射または罹患部位への注射のためには、活性成分は、パイロジェンフリーであり、好適なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容可能な水溶液の形態となる。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液のような等張性ビヒクルを用いて、好適な溶液を充分に調製できる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/またはその他の添加剤を含めてよい。
【0361】
用量
ADC及びそれらの活性成分を含む組成物の適切な用量が、対象によって変動し得ることは当業者には明らかであろう。最適な用量の決定には概して、治療効果のレベルと、いずれかのリスクまたは有害な副作用をつり合わせることを含むことになる。選択する用量レベルは、様々な要因によって決まることになり、その要因としては、具体的な化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用する他の薬物、化合物及び/または物質、状態の重症度、ならびに対象の種、性別、年齢、体重、状態、全身の健康状態及び過去の病歴が挙げられるが、これらに限らない。化合物の投与量及び投与経路は最終的には、医師、獣医または臨床医の裁量にゆだねられることになるが、概して、あまり危険または有害な副作用が起きずに、所望の作用をもたらす局所濃度が作用部位で得られるように、用量を選択することになる。
【0362】
特定の態様では、ADCの用量は、対象から採取した試料中のCD19の発現によって決定する。したがって、試料中のCD19の発現のレベルまたは局在性によって、高用量または低用量のADCが必要とされることを示し得る。例えば、CD19の高い発現レベルによって、高用量のADCが適することを示し得る。いくつかのケースでは、CD19の高い発現レベルによって、ADCに加えて、別の薬剤を投与する必要性を示し得る。例えば、化学療法剤と併せて、ADCの投与を行う。CD19の高い発現レベルによって、より積極的な療法の必要性を示し得る。
【0363】
概して、各活性化合物の好適な用量は、1日当たり、対象の体重1kgにつき約100ng~約25mg(より典型的には、約1μg~約10mg)の範囲である。活性化合物が、塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合には、親化合物をベースに投与量を算出するので、実際の使用重量は、比例的に増加する。
【0364】
いくつかの状況では、体表面積(BSA)のような体格パラメーターに基づいて、用量を標準化する方が、体重に基づいて標準化するよりも、ADCの薬物動態(クリアランス速度など)の対象間でのばらつきが考慮される。これらの状況では、体格パラメーターを用いて用量レベルを算出する方が、正確な用量が得られる。
【0365】
したがって、いくつかの態様では、対象へのADCの投与量は、対象の体格に対して標準化する(すなわち、対象の体重に対して標準化するのではない)。いくつかのケースでは、対象へのADCの投与量は、対象の体表面積(BSA)に対して標準化する。好ましくは、ADCの用量は、(例えば、Japanese Journal of Clinical Oncology,Volume 33,Issue 6,1 June 2003,Pages 309-313、https://doi.org/10.1093/jjco/hyg062に開示されているように)デュボイス式を用いて、BSAに対して標準化する。
【0366】
抗体
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられており、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、インタクト抗体(「完全長」抗体とも記載されている)及び抗体断片(ただし、所望の生物学的活性、例えば、第1の標的タンパク質に結合する能力を示すことを条件とする)(Miller et al(2003)Jour.of Immunology 170:4854-4861)を網羅する。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体であってよく、またはウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマもしくはラクダのような他の種に由来してもよい。
【0367】
抗体は、免疫系によって産生されるタンパク質であって、特異的な抗原を認識して、それに結合できるタンパク質である(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は概して、複数の抗体の相補性決定領域(CDR)によって認識される数多くの結合部位(エピトープともいう)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、対応する抗体を2つ以上有し得る。抗体は、完全長免疫グロブリン分子、または完全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、対象とする標的の抗原またはその一部と免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を含んでよく、このような標的としては、がん細胞、または自己免疫疾患と関連する自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限らない。免疫グロブリンは、いずれかのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)もしくはサブクラス、またはアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[G1m1以外のいずれかのアロタイプ]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2及びKm3)の免疫グロブリン分子であることができる。免疫グロブリンは、ヒト、マウスまたはウサギ由来を含め、いずれかの種に由来するものであることができる。
【0368】
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、概して、その抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びscFv断片、ダイアボディ、線状抗体、Fab発現ライブラリーによって作製される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及びがん細胞抗原、ウイルス抗原または微生物抗原に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合断片、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0369】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、天然に生じる考え得る変異であって、微量で存在し得る変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一の抗原部位に誘導される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に誘導される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に誘導される。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の抗体が混入しない状態で合成し得る点で有益である。「モノクローナル」という修飾語によっては、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴が示されており、いずれかの特定の方法によって、抗体を作製する必要があると解釈すべきではない。例えば、本開示に従って使用するモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)Nature 256:495によって初めて説明されたハイブリドーマ法によって作製してよく、または組み換えDNA法(US4816567を参照)によって作製してもよい。モノクローナル抗体は、Clackson et al(1991)Nature,352:624-628、Marks et al(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に記載されている技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離するか、または完全ヒト免疫グロブリン系を有するトランスジェニックマウスから単離してもよい(Lonberg(2008)Curr.Opinion 20(4):450-459)。
【0370】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、「キメラ」抗体が含まれ、キメラ抗体では、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である一方で、その鎖(複数可)の残部が、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片の対応する配列と同一または相同であり、ただし、所望の生物学的活性を示すことを条件とする(US4816567及びMorrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855)。キメラ抗体には、ヒト以外の霊長類動物(例えば旧世界ザルまたは猿人類)に由来する可変ドメインの抗原結合配列、及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体が含まれる。
【0371】
本明細書における「インタクト抗体」は、VLドメイン、VHドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)、重鎖定常ドメインCH1、CH2及びCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然の配列の定常ドメイン(例えばヒトの天然の配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであってよい。インタクト抗体は、抗体のFc領域(天然の配列のFc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因する生物学的活性を指す「エフェクター機能」を1つ以上有してよい。抗体のエフェクター機能の例としては、C1qの結合、補体依存性細胞障害、Fc受容体の結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、及びB細胞受容体、すなわちBCRのような細胞表面受容体のダウンレギュレーションが挙げられる。
【0372】
インタクト抗体は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なる「クラス」に割り当てることができる。インタクト抗体には、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという5つの主なクラスがあり、これらのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2にさらに分けることができる。抗体のそれぞれ異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンのそれぞれ異なるクラスのサブユニットの構造及び三次元構造は、周知である。
【0373】
以下では、本開示の原理を説明する実施形態及び実験について、添付の図面を参照しながら論じていく。
【図面の簡単な説明】
【0374】
【
図2】Ramos-e222皮下モデル-マウス異種移植
【
図3】NALM-6腫瘍細胞接種モデル-マウス異種移植
【
図4】患者及び用量ごとの全抗体及びADCx19の、時間経過に対する濃度(サイクル1)
【0375】
本開示には、明らかに許容不能であるか、または明らかに回避される場合を除き、記載されている実例及び好ましい特徴を組み合わせたものが含まれる。
【0376】
本明細書で用いられている、節の見出しは、構成上のためのものに過ぎず、記載されている主題を限定するものと解釈すべきてはない。
【0377】
以下では、添付の図面を参照しながら、本開示の実例及び実施形態を例として示す。さらなる実例及び実施形態は、当業者には明らかであろう。本明細書で言及されている文書はいずれも、参照により本明細書に援用される。
【0378】
添付の請求項を含め、本明細書全体を通じて、文脈上別段の解釈を必要としない限り、「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」のような変形表現は、示されている整数、工程、整数群または工程群を含むが、いずれの他の整数、工程、整数群または工程群も除外しないことを示すと理解するものとする。
【0379】
本明細書及び添付の請求項で使用する場合、「a」、「an」及び「the」という単数形には、文脈上明らかに別に解すべき場合を除き、複数の言及物が含まれることに留意するものとする。本明細書では、「約」を付した特定の下限値、及び/または「約」を付した特定の上限値として、範囲が表されていることがある。このような範囲が述べられているときには、別の実施形態には、その特定の下限値及び/またはその特定の上限値が含まれる。同様に、「約」という先行詞を用いることによって、値が近似値として述べられているときには、その特定の値によって別の実施形態が形成されると理解するものとする。
【0380】
いくつかの実施形態
リンパ腫
本開示は、対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCを対象に、漸減型及び/または延長型の投与レジメで投与する前記方法を提供する。
【0381】
いくつかのケースでは、その投与レジメは、約120μg/kgを3週間おきに、2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約60μg/kgの低減用量で、引き続き6週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から6週間後に開始する)ことを含む。好ましくは、2回目のサイクル後に少なくともSDを達成した対象のみ、低減用量かつ延長したサイクル長で継続することになる。
【0382】
いくつかのケースでは、その投与レジメは、約150μg/kgを3週間おきに、2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約60μg/kgの低減用量で、引き続き6週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から6週間後に開始する)ことを含む。好ましくは、2回目のサイクル後に少なくともSDを達成した対象のみ、低減用量かつ延長したサイクル長で継続することになる。
【0383】
いくつかの好ましいケースでは、その投与レジメは、約140~160μg/kgを3週間おきに、2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約70~80μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む。好ましくは、2回目のサイクル後に少なくともSDを達成した対象のみ、低減用量で継続することになる。
【0384】
いくつかの特に好ましいケースでは、その投与レジメは、約150μg/kgを3週間おきに、2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約75μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む。好ましくは、2回目のサイクル後に少なくともSDを達成した対象のみ、低減用量で継続することになる。
【0385】
いくつかのケースでは、その投与レジメは、約200μg/kgを6週間おきに、2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約60μg/kgの低減用量で、引き続き6週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から6週間後に開始する)ことを含む。好ましくは、2回目のサイクル後に少なくともSDを達成した対象のみ、低減用量で継続することになる。
【0386】
いくつかのケースでは、その投与レジメは、約200μg/kgを6週間おきに1サイクルにわたり投与し、その後、2回目以降のサイクルでは、約60μg/kgの低減用量で、引き続き6週間おきに治療を行う(1回目のサイクルでの投与から6週間後に開始する)ことを含む。好ましくは、1回目のサイクル後に少なくともSDを達成した対象のみ、低減用量で継続することになる。
【0387】
いくつかのケースでは、その投与レジメは、約45μg/kgを3週間おきに、最大4回の治療サイクルにわたり投与し、その後、3週間おきに約30μg/kgまたは約20μg/kg(20~30μg/kgなど)の低減用量で、引き続き治療を行うことを含む。いくつかのケースでは、45μg/kgの開始用量を1回の治療サイクルのみ投与した後に、用量を低減する。いくつかのケースでは、45μg/kgの開始用量を2回の治療サイクルのみ投与した後に、用量を低減する。いくつかのケースでは、45μg/kgの開始用量を3回の治療サイクルのみ投与した後に、用量を低減する。いくつかのケースでは、45μg/kgの開始用量を4回の治療サイクル投与した後に、用量を低減する。
【0388】
好ましくは、別段の定めのない限り、CD19-ADCを単回用量として、各サイクルの1日目に投与する。
【0389】
好ましくは、CD19-ADCは、本明細書に記載されているようなADCx19である。
【0390】
好ましくは、増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)のようなB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である。その疾患は、再発性または難治性であってよい。
【0391】
好ましくは、対象は、ヒトである。
【0392】
好ましくは、本明細書に記載されているように、デキサメタゾンと組み合わせて、CD19-ADCを投与する。
【0393】
イブルチニブとの組み合わせ
イブルチニブと組み合わせて、CD19-ADCを投与する実施形態では、CD19-ADCは好ましくは、2回の等しいQ3W治療サイクルからなる投与レジメで投与する。
【0394】
好ましくは、CD19-ADCの開始用量は、約60μg/kg、約90μg/kg、約120μg/kgまたは約150μg/kgである。
【0395】
イブルチニブは好ましくは、QDレジメで、CD19-ADCと併用的に投与する。イブルチニブの用量は好ましくは約560mg/日である。
【0396】
好ましくは、イブルチニブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する。
【0397】
対象が、CD19-ADCとイブルチニブの併用による初期治療後に、CRを達成した場合には、好ましくは、それ以上はCD19-ADCを対象に投与しない。
【0398】
対象が、CD19-ADCとイブルチニブの併用による初期治療後に、SDまたはPRを達成した場合には、好ましくは、イブルチニブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する。対象が、CD19-ADCによる初期治療の完了から3カ月以内に、CRを達成していない場合には、好ましくは、さらなるCD19-ADCを対象に投与する。
【0399】
好ましくは、そのさらなるCD19-ADCは、上記のように、2回の等しいQ3W治療サイクルからなる投与レジメで、イブルチニブと組み合わせて投与する。
【0400】
デュルバルマブとの組み合わせ
デュルバルマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与する実施形態では、CD19-ADCは好ましくは、2回の等しいQ3W治療サイクルからなる投与レジメで投与する。
【0401】
好ましくは、CD19-ADCの開始用量は、約90μg/kg、約120μg/kgまたは約150μg/kgである。
【0402】
デュルバルマブは好ましくは、Q3Wレジメで、CD19-ADCと併用的に投与する。デュルバルマブの用量は好ましくは約1500mgである。
【0403】
Q3Wレジメで併用的に投与するときには、好ましくは、Q3Wサイクルの1日目にCD19-ADCを投与し、デュルバルマブをQ3Wサイクルの8日目に投与する。
【0404】
好ましくは、デュルバルマブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する。CD19-ADCによる治療の完了後に投与するときには、デュルバルマブは好ましくは、Q4W投与レジメで投与する。デュルバルマブの投与用量は好ましくは約1500mgである。
【0405】
対象が、CD19-ADCとデュルバルマブの併用による初期治療後に、CRを達成した場合には、好ましくは、それ以上はCD19-ADCを対象に投与しない。
【0406】
対象が、CD19-ADCとデュルバルマブの併用による初期治療後に、SDまたはPRを達成した場合には、好ましくは、デュルバルマブの投与は、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する。対象が、CD19-ADCによる初期治療の完了から3カ月以内に、CRを達成していない場合には、好ましくは、さらなるCD19-ADCを対象に投与する。
【0407】
好ましくは、そのさらなるCD19-ADCは、上記のように、2回の等しいQ3W治療サイクルからなる投与レジメで、デュルバルマブと組み合わせて投与する。
【0408】
リツキシマブとの組み合わせ
リツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかの実施形態では、CD19-ADCは、約140~160μg/kgを3週間おきに2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約70~80μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む投与レジメで投与する。
【0409】
リツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかの好ましい実施形態では、CD19-ADCは好ましくは、約150μg/kgで3週間おきに2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約75μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む投与レジメで投与する。
【0410】
リツキシマブは好ましくは、Q3Wレジメで、CD19-ADCと併用的に投与し、例えば、両方とも、各治療サイクルの1日目に投与する。いくつかの実施形態では、リツキシマブの用量は、約325~425mg/m2である。リツキシマブの用量は、好ましくは 約375mg/m2である。
【0411】
シタラビンとの組み合わせ
シタラビンと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかの実施形態では、CD19-ADCは、約140~160μg/kgで3週間おきに2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約70~80μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む投与レジメで投与する。
【0412】
シタラビンと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかの好ましい実施形態では、CD19-ADCは好ましくは、約150μg/kgで3週間おきに2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約75μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む投与レジメで投与する。
【0413】
好ましくは、CD19-ADCは、各Q3W治療サイクルの2日目に投与する。
【0414】
シタラビンは好ましくは、Q3Wレジメで、CD19-ADCと併用的に投与する。好ましくは、シタラビンは、各サイクルの1~5日目に1日に1分割用量で5等分した用量として投与する。その分割用量レベルは、1分割用量当たり約100mg/m2、約200mg/m2、約300mg/m2または約400mg/m2であってよい。
【0415】
シタラビン及びリツキシマブとの組み合わせ
シタラビン及びリツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかの実施形態では、CD19-ADCは、約140~160μg/kgで3週間おきに2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約70~80μg/kgの低減用量で、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む投与レジメで投与する。
【0416】
シタラビン及びリツキシマブと組み合わせて、CD19-ADCを投与するいくつかの好ましい実施形態では、CD19-ADCは好ましくは、約150μg/kgで3週間おきに2サイクルにわたり投与し、その後、3回目以降のサイクルでは、約75μg/kgの低減用量、引き続き3週間おきに治療を行う(2回目のサイクルでの投与から3週間後に開始する)ことを含む投与レジメで投与する。
【0417】
好ましくは、CD19-ADCは、各Q3W治療サイクルの2日目に投与する。
【0418】
リツキシマブは好ましくは、Q3Wレジメで、CD19-ADCと併用的に投与する。いくつかの実施形態では、リツキシマブの用量は、約325~425mg/m2である。リツキシマブの用量は好ましくは 約375mg/m2である。
【0419】
好ましくは、リツキシマブは、各Q3W治療サイクルの1日目に投与する。
【0420】
シタラビンは好ましくは、Q3Wレジメで、CD19-ADCと併用的に投与する。好ましくは、シタラビンは、各サイクルの1~5日目に1日に1分割用量で5等分した用量として投与する。その分割用量レベルは、1分割用量当たり約100mg/m2、約200mg/m2、約300mg/m2または約400mg/m2であってよい。
【0421】
白血病
分割用量を対象に週に1回、例えば、21日(3週間)の治療サイクルの1日目、8日目及び15日目に投与する分割投与レジメが具体的に企図されている。
【0422】
好ましくは、各回の分割用量は、等しい規模の用量であり、すなわち、各回の分割用量によって、同じ量のCD19-ADCを対象に送達する。
【0423】
好ましくは、各回の分割用量は、40~60μg/kg(45~55μg/kgなど)である。特に好ましいケースでは、各回の分割用量は、50μg/kgである。
【0424】
好ましくは、CD19-ADCは、本明細書に記載されているようなADCx19である。
【0425】
好ましくは、対象は、ヒトである。
【0426】
好ましくは、増殖性疾患は、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病である。その疾患は、再発性または難治性であってよい。
【0427】
このタイプの分割投与レジメを使用して、ALLのような血液癌を治療することが、特に対象となる実施形態である。好ましくは、そのALLは、CD19+であり、再発性または難治性の型であってよい。
【0428】
好ましくは、本明細書に記載されているように、デキサメタゾンと組み合わせて、CD19-ADCを投与する。
【0429】
開示の陳述
リンパ腫
1.対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCが、L-(D
L)
pという式のコンジュゲートを含み、式中、D
Lが、下記の式IまたはIIの基であり、
【化22】
【化23】
式中、
Lが、CD19に結合する抗体である抗体(Ab)であり、
C2’とC3’の間に二重結合が存在するときには、R
12が、
(ia)任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1-3アルキレンを含む群から選択した1つ以上の置換基によって置換されたC
5-10アリール基、
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル、
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル、
(id)下記の基であって、
【化24】
式中、R
21、R
22及びR
23のそれぞれが独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択されており、R
12基の炭素原子の総数が、5個以下である基、
(ie)下記の基であって、
【化25】
式中、R
25a及びR
25bのうちの1つが、Hであり、もう一方が、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基、ならびに
(if)下記の基であって、
【化26】
R
24が、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基
からなる群から選択されており、
C2’とC3’の間に単結合が存在するときには、
R
12が、下記の基であって、
【化27】
R
26a及びR
26bが独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されており、そのアルキル基及びアルケニル基が任意に、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択した基によって置換されているか、またはR
26a及びR
26bのうちの1つが、Hであるときには、もう一方が、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択されている基であり、
R
6及びR
9が独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されており、
そのR及びR’が独立して、任意に置換されたC
1-12アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基及びC
5-20アリール基から選択されており、
R
7が、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NHRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されており、
R”が、C
3-12アルキレン基であり、その鎖が、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、NR
N2(R
N2は、HもしくはC
1-4アルキルである)、及び/または芳香族環、例えば、ベンゼンもしくはピリジンによって中断されていてもよく、
Y及びY’が、O、SまたはNHから選択されており、
R
6’がR
6と、R
7’がR
7と、R
9’がR
9と同じ群から選択されており、
[式I]においては、
R
L1’が、抗体(Ab)に連結するためのリンカーであり、
R
11aが、OH、OR
A(R
Aは、C
1-4アルキルである)、及びSO
zM(zは、2または3であり、Mは、製薬学的に許容可能な1価のカチオンである)から選択されており、
R
20及びR
21がいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
20が、H及びR
Cから選択されており、R
Cが、キャッピング基であり、
R
21が、OH、OR
A及びSO
zMから選択されており、
C2及びC3の間に二重結合が存在するときには、R
2が、
(ia)任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1-3アルキレンを含む群から選択した1つ以上の置換基によって置換されたC
5-10アリール基、
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル、
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル、
(id)下記の基であって、
【化28】
R
11、R
12及びR
13のそれぞれが独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択されており、R
2基の炭素原子の総数が、5個以下である基、
(ie)下記の基であって、
【化29】
R
15a及びR
15bのうちの1つが、Hであり、もう一方が、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基、ならびに
(if)下記の基であって、
【化30】
R
14が、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基
からなる群から選択されており、
C2及びC3の間に単結合が存在するときには、
R
2が、下記の基であり、
【化31】
R
16a及びR
16bが独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されており、そのアルキル基及びアルケニル基が任意に、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択した基によって置換されているか、またはR
16a及びR
16bのうちの1つが、Hであるときには、もう一方は、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択されており、
[式II]においては、
R
22が、下記の式IIIa、式IIIbまたは式IIIcの基であり、
(a)
【化32】
(式中、Aは、C
5-7アリール基であり、
(i)Q
1は、単結合であり、Q
2は、単結合及び-Z-(CH
2)
n-から選択されており、そのZは、単結合、O、S及びNHから選択されており、nは、1~3であるか、または
(ii)Q
1は、-CH=CH-であり、Q
2は、単結合である)
(b)
【化33】
(式中、
R
C1、R
C2及びR
C3は独立して、H及び非置換のC
1-2アルキルから選択されている)
(c)
【化34】
(式中、Qは、O-R
L2’、S-R
L2’及びNR
N-R
L2’から選択されており、R
Nは、H、メチル及びエチルから選択されている)
Xが、O-R
L2’、S-R
L2’、CO
2-R
L2’、CO-R
L2’、NH-C(=O)-R
L2’、NHNH-R
L2’、CONHNH-R
L2’、
【化35】
、
【化36】
、
NR
NR
L2’を含む群から選択されており、そのR
Nが、H及びC
1-4アルキルを含む群から選択されており、
R
L2’が、抗体(Ab)に連結するためのリンカーであり、
R
10及びR
11がいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
10が、Hであり、R
11が、OH、OR
A及びSO
zMから選択されており、
R
30及びR
31がいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
30が、Hであり、R
31が、OH、OR
A及びSO
zMから選択されている前記方法。
【0430】
2.そのCD19-ADCを対象に漸減型及び/または延長型の投与レジメで投与する、第1の陳述に記載の方法。
【0431】
3.そのCD19-ADCが、下記の化学構造を有し、
【化37】
式中、Abが、CD19抗体であり、DARが、1~8である、第1または第2の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0432】
4.Abが、配列番号2の配列を有するVHドメイン、及び配列番号8の配列を有するVLドメインを含む、第1~第3の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0433】
5.Abが、配列番号13の配列を有する重鎖、及び配列番号14の配列を有する軽鎖を含む、第1~第4の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0434】
6.そのCD19-ADCが、ADCx19である、第1~第5の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0435】
7.その投与レジメの最中に、CD19-ADCの開始用量を2回以下低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0436】
8.その投与レジメの最中に、CD19-ADCの開始用量を1回以下低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0437】
9.1回目の治療サイクルの後に、その用量を低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0438】
10.2回目の治療サイクルの後に、その用量を低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0439】
11.3回目の治療サイクルの後に、その用量を低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0440】
12.4回目の治療サイクルの後に、その用量を低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0441】
13.対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、その用量を低減する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0442】
14.その開始用量が、40~50μg/kg(約45μg/kgなど)である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0443】
15.その開始用量が、少なくとも60μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0444】
16.その開始用量が、約60μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0445】
17.その開始用量が、少なくとも90μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0446】
18.その開始用量が、約90μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0447】
19.その開始用量が、少なくとも120μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0448】
20.その開始用量が、約120μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0449】
21.その開始用量が、少なくとも150μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0450】
22.その開始用量が、約140~160μg/kg(150μg/kgなど)である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0451】
23.その開始用量が、少なくとも200μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0452】
24.その開始用量が、約200μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0453】
25.その低減用量が、開始用量の約50%である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0454】
26.その低減用量が、約60μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0455】
27.その低減用量が、約70~80μg/kgであり、任意に、その低減用量が、75μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0456】
28.その低減用量が、15~35μg/kg(約20μg/kgまたは約30μg/kgなど)である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0457】
29.各治療サイクルが、同じ長さである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0458】
30.各治療サイクルが、3週間である、第29の陳述に記載の方法。
【0459】
31.各治療サイクルが、6週間である、第29の陳述に記載の方法。
【0460】
32.約200μg/kgのCD19-ADCを2回の6週間の治療サイクルで投与してから、
その2回目のサイクルの投与から6週間後に、それ以降の60μg/kgの6週間のサイクルを開始する、第31の陳述に記載の方法。
【0461】
33.約200μg/kgのCD19-ADCを1回の6週間の治療サイクルで投与してから、
その1回目のサイクルの投与から6週間後に、それ以降の60μg/kgの6週間のサイクルを開始する、第31の陳述に記載の方法。
【0462】
34.約140~160μg/kgのCD19-ADCを2回の3週間の治療サイクルで投与してから、
その2回目のサイクルの投与から3週間後に、それ以降の70~80μg/kgの3週間のサイクルを開始し、
任意に、約150μg/kgのCD19-ADCを2回の3週間の治療サイクルで投与してから、
その2回目のサイクルの投与から3週間後に、それ以降の75μg/kgの3週間のサイクルを開始する、第30の陳述に記載の方法。
【0463】
35.その投与レジメの最中に、治療サイクルの長さを2回以下延長する、第1~第27の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0464】
36.その投与レジメの最中に、治療サイクルの長さを1回以下延長する、第1~第27または第31の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0465】
37.1回目の治療サイクルの後に、治療サイクルの長さを延長する、第1~第27または第35~第36の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0466】
38.2回目の治療サイクルの後に、治療サイクルの長さを延長する、第1~第27または第35~第37の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0467】
39.対象が、直前の治療サイクルの終了時に、少なくとも疾患の安定[SD]を達成した場合のみに、サイクル長を延長する、第1~第27または第35~第38の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0468】
40.延長サイクル長の1回目の治療サイクルの「1日目」を遅延して、短い治療サイクルのうちの最後のサイクルの「1日目」と、延長サイクル長の1回目の治療サイクルの「1日目」の間の経過時間が、延長治療サイクルの長さと同じになるようにする、第1~第27または第35~第39の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0469】
41.その開始サイクル長が、3週間である、第1~第27または第35~第40の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0470】
42.その延長サイクル長が、6週間である、第1~第27または第35~第41の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0471】
43.約150μg/kgのCD19-ADCを2回の3週間の治療サイクルで投与してから、
その2回目のサイクルの投与から6週間後に、それ以降の60μg/kgの6週間のサイクルを開始する、第42陳述に記載の方法。
【0472】
44.約120μg/kgのCD19-ADCを2回の3週間の治療サイクルで投与してから、
その2回目のサイクルの投与から6週間後に、それ以降の60μg/kgの6週間のサイクルを開始する、第42陳述に記載の方法。
【0473】
45.そのCD19-ADCを単回用量として投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0474】
46.治療サイクルの1日目に、CD19-ADCの用量を投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0475】
47.その増殖性疾患が、CD19+ve細胞を含む新生物の存在によって特徴付けられる、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0476】
48.その対象が、CD19-ADCによる治療の開始前に、その増殖性疾患であると診断されている、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0477】
49.その疾患が、B細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0478】
50.CD19の発現に基づき、治療の対象を選定する工程を含む、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0479】
51.新生物細胞の少なくとも5%が、CD19を発現する場合に、対象を選定する、第50の陳述に記載の方法。
【0480】
52.その増殖性疾患が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む非ホジキンリンパ腫、ならびに有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)など)のような白血病である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0481】
53.その増殖性疾患が、B細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0482】
54.その増殖性疾患が、耐性、再発性または難治性である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0483】
55.その対象が、ヒトである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0484】
56.そのCD19-ADCを静脈内投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0485】
57.CD19-ADCと組み合わせて、化学療法剤を投与することをさらに含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【0486】
58.その化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、第57の陳述に記載の方法。
【0487】
59.そのチェックポイント阻害剤が、イブルチニブである、第57の陳述に記載の方法。
【0488】
60.そのイブルチニブをCD19-ADCと併用的に投与する、第59の陳述に記載の方法。
【0489】
61.そのイブルチニブをQD投与レジメで投与する、第59または第60のいずれか1つ陳述に記載の方法。
【0490】
62.イブルチニブの投与量が、560mg/日、420mg/日または280mg/日である、第59~第61の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0491】
63.イブルチニブの投与量が、560mg/日である、第59~第61の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0492】
64.CD19-ADCを対象に2回のQ3Wサイクルで投与する、第59~第63の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0493】
65.その2回の3週間の治療サイクルのそれぞれのCD19-ADCの投与量が同じである、第64の陳述に記載の方法。
【0494】
66.CD19-ADCの用量が、約60μg/kg、約90μg/kg、約120μg/kg、約140~160μg/kgまたは約150μg/kgである、第59~第65の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0495】
67.イブルチニブの投与を、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する、第59~第66の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0496】
68.CD19-ADCを対象に、さらに2回の3週間の治療サイクルで投与する、第64~第67の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
69.対象が、最初の2回の3週間の治療サイクルの完了から3カ月後に、CRを達成しなかった場合に、そのさらに2回のCD19-ADCの治療サイクルを投与する、第68の陳述に記載の方法。
【0498】
70.その対象が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)のような非ホジキンリンパ腫であるか、その非ホジキンリンパ腫である疑いがあるか、その非ホジキンリンパ腫のリスクがあると特定されているか、またはその非ホジキンリンパ腫の診断を受けている、第59~69の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0499】
71.その化学療法剤が、デュルバルマブである、第57の陳述に記載の方法。
【0500】
72.そのデュルバルマブをCD19-ADCと併用的に投与する、第71の陳述に記載の方法。
【0501】
73.そのデュルバルマブをQ3W投与レジメで投与する、第71または第72のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0502】
74.デュルバルマブの用量が、1500mgである、第71~第73の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0503】
75.CD19-ADCを対象に2回の3週間の治療サイクルで投与する、第71~第74の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0504】
76.その2回の3週間の治療サイクルのそれぞれのCD19-ADCの投与量が同じである、第75の陳述に記載の方法。
【0505】
77.CD19-ADCの用量が、約90μg/kg、約120μg/kg、約140~160μg/kgまたは約150μg/kgである、第71~第76の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0506】
78.デュルバルマブの投与を、CD19-ADCによる治療の完了後も継続する、第71~第77の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0507】
79.CD19-ADCによる治療の完了後に、そのデュルバルマブをQ4W投与レジメで投与する、第78の陳述に記載の方法。
【0508】
80.CD19-ADCを対象に、さらに2回の3週間の治療サイクルで投与する、第75~第79陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0509】
81.対象が、最初の2回の3週間の治療サイクルの完了から3カ月後に、CRを達成しなかった場合に、そのさらに2回のCD19-ADCの治療サイクルを投与する、第80の陳述に記載の方法。
【0510】
82.その対象が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)のような非ホジキンリンパ腫であるか、その非ホジキンリンパ腫である疑いがあるか、その非ホジキンリンパ腫のリスクがあると特定されているか、またはその非ホジキンリンパ腫の診断を受けている、第59~第69の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0511】
83.その化学療法剤が、リツキシマブである、第57の陳述に記載の方法。
【0512】
84.そのリツキシマブをCD19-ADCと併用的に投与する、第83の陳述に記載の方法。
【0513】
85.そのリツキシマブをQ3W投与レジメで投与する、第83または第84のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0514】
86.リツキシマブの投与用量が、325~425mg/m2であり、
任意に、リツキシマブの投与用量が、375mg/m2である、第83~第85の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0515】
87.CD19-ADCの用量が、約90μg/kg、約120μg/kg、約140~160μg/kgまたは約150μg/kgである、第83~第86の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0516】
88.その対象が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のような非ホジキンリンパ腫であるか、その非ホジキンリンパ腫である疑いがあるか、その非ホジキンリンパ腫のリスクがあると特定されているか、またはその非ホジキンリンパ腫の診断を受けている、第83~第87の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0517】
89.その化学療法剤が、シタラビンである、第57の陳述に記載の方法。
【0518】
90.そのシタラビンをCD19-ADCと併用的に投与する、第89の陳述に記載の方法。
【0519】
91.CD19-ADCを各Q3W治療サイクルの2日目に投与する、第89または第90のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0520】
92.そのシタラビンをQ3W投与レジメで投与する、第89~第91の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
93.そのシタラビンを各サイクルの1~5日目に1日に1分割用量で5分割した用量として投与する、第92の陳述に記載の方法。
【0522】
94.シタラビンの各回の分割用量が、100mg/m2、200mg/m2、300mg/m2または400mg/m2である、第93の陳述に記載の方法。
【0523】
95.対象が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のような非ホジキンリンパ腫であるか、その非ホジキンリンパ腫である疑いがあるか、その非ホジキンリンパ腫のリスクがあると特定されているか、またはその非ホジキンリンパ腫の診断を受けている、第89~第94の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0524】
96.第84~第88の陳述のいずれか1つに記載されているように、リツキシマブとさらに組み合わせて、そのシタラビンを投与する、第89~第95の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0525】
97.CD19-ADCの前、CD19-ADCと同時またはCD19-ADCの後に、その化学療法剤を対象に投与する、第57の陳述または第58の陳述に記載の方法。
【0526】
98.ステロイドと組み合わせて、CD19-ADCを投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0527】
99.そのADCと同じ日に、1回目の用量のステロイドを投与する、第98の陳述に記載の方法。
【0528】
100.そのADCの少なくとも2時間前に、1回目の用量のステロイドを投与する、第99の陳述に記載の方法。
【0529】
101.そのADCの翌日に、2回目の用量のステロイドを投与する、第98または第99のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0530】
102.そのADCの前日に、1回目の用量のステロイドを投与する、第98の陳述に記載の方法。
【0531】
103.そのADCと同じ日に、2回目の用量のステロイドを投与する、第102の陳述に記載の方法。
【0532】
104.そのADCの少なくとも2時間前に、2回目の用量のステロイドを投与する、第103の陳述に記載の方法。
【0533】
105.そのADCの翌日に、3回目の用量のステロイドを投与する、第103または第104のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0534】
106.各治療サイクルのADCの1回目の投与のみに併せて、ステロイドまたは複数用量のステロイドを投与する、第98~第105の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0535】
107.そのステロイドを経口投与する、第98~第106の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0536】
108.ステロイドの各回の用量が、8mgである、第98~第107の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0537】
109.ステロイドの各回の用量が、16mgである、第98~第108の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0538】
110.各回の用量のステロイドを2等分の分割用量として投与する、第98~第109の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0539】
111.各回の分割用量が、4mgである、第98~第110の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0540】
112.各回の分割用量が、8mgである、第96~第111の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0541】
113.そのステロイドが、デキサメタゾンである、第96~第112の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0542】
114.(i)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与する前日、(ii)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与する日、及び(iii)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与した翌日に、4mgまたは8mgのデキサメタゾンを1日2回、経口投与する、第98の陳述に記載の方法。
【0543】
115.(i)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与する日、及び(ii)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与した翌日に、4mgまたは8mgのデキサメタゾンを1日2回、経口投与する、第98の陳述に記載の方法。
【0544】
116.ADCと同じ日に投与するデキサメタゾンを、ADCの少なくとも2時間前に投与する、第114及び第115のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0545】
117.各治療サイクルのADCの1回目の投与のみに併せて、そのデキサメタゾンを投与する、第114~第115の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0546】
118.その漸減型及び/または延長型の投与レジメの毒性が、用量レベル及びサイクル長が一定である単回用量投与レジメよりも低く、任意に、その比較レジメの一定の用量レベル及びサイクル長が、その漸減型及び/または延長型のレジメの開始用量及び開始サイクル長と同じである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0547】
119.その漸減型及び/または延長型の投与レジメでのTEAEの発生数が、一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるTEAEの発生数の50%以下である、第98の陳述に記載の方法。
【0548】
120.その漸減型及び/または延長型の投与レジメでのSAEの発生数が、一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるSAEの発生数の50%以下である、第119の陳述に記載の方法。
【0549】
121.その漸減型及び/または延長型の投与レジメでのDLTの発生数が、一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおけるDLTの発生数の50%以下である、第98の陳述に記載の方法。
【0550】
122.その漸減型及び/または延長型の投与レジメの有効性が、用量レベル及びサイクル長が一定である投与レジメよりも高く、任意に、その比較レジメの一定の用量レベル及びサイクル長が、その漸減型及び/または延長型のレジメの開始用量及び開始サイクル長と同じである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0551】
123.その漸減型及び/または延長型の投与レジメで少なくともPRを達成した対象の割合が、一定型の用量レベル及びサイクル長のレジメにおいて少なくとも部分奏効[PR]を達成した対象の割合の少なくとも150%である、第122の陳述に記載の方法。
【0552】
124.その対象が、ADCによる治療の前に、神経学的診察を受ける、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0553】
125.その対象が、ADCの投与後に、神経学的診察を受ける、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0554】
126.その対象が、ADCの投与後に毎回、神経学的診察を受ける、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0555】
127.ADCの投与後に、対象で神経毒性が見られる場合に、その対象が、神経学的診察を受ける、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0556】
128.その神経学的診察が、体力、感覚及び/または深部腱反射の検査を含む、第124~第127の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0557】
129.対象が神経障害であるか、または対象で神経毒性が見られる場合に、ADCによる治療を減少させるか、中断するかまたは恒久的に中止する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0558】
130.その対象で、グレード1の神経毒性が見られる場合に、ADCによる治療を減少させるか、または中断する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0559】
131.その対象で、グレード2の神経毒性が見られる場合に、ADCによる治療を恒久的に中止する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0560】
132.2回目以降の各治療サイクルで、対象に投与するADCの用量を低減することによって、及び/または2回目以降の各治療サイクルの長さを延長することによって、ADCによる治療を減少させる、第129~第131の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0561】
133.第1~第129の陳述のいずれか1つに記載の方法による治療の対象の選定方法であって、その対象が、神経障害であるか、または最近、神経障害になったか判断することを含み、その対象が、神経障害であるか、または最近、神経障害になった場合には、ADCによる治療に適さないと判断する方法。
【0562】
134.第1~第132の陳述のいずれか1つに記載の方法による治療の対象の選定方法であって、その対象が、神経疾患及び/または免疫関連疾患と関連し得る病原体を原因とする感染症であるか、または最近、その感染症になったか判断することを含み、その対象が、そのような感染症及び/または免疫関連疾患であるか、または最近、そのような感染症及び/または免疫関連疾患になった場合には、ADCによる治療に適さないと判断することを含む方法。
【0563】
135.その神経障害または神経毒性が、多発神経根障害、急性炎症性脱髄性多発神経根障害(AIDP)、ギラン・バレー症候群(GBS)、重症筋無力症、または多発性神経根炎、GBSもしくは重症筋無力症に関係があるか、その早期指標である神経障害(上行感覚消失及び/または運動衰弱など)である、第127~第134の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0564】
136.その神経障害または神経毒性が、ギラン・バレー症候群(GBS)である、第125~第132の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0565】
137.対象へのCD19-ADCの投与と関連する毒性及び/または副作用の低減方法であって、先行陳述のいずれかの方法に従って、CD19-ADCを投与することを含む方法。
【0566】
138.対象へのCD19-ADCの投与と関連する治療の有効性の向上方法であって、先行陳述のいずれかの方法に従って、CD19-ADCを投与することを含む方法。
【0567】
139.第1~第138の陳述のいずれか1つに記載の方法による治療の対象の選定方法であって、該当する組織でCD19を発現する治療対象を選定することを含む方法。
【0568】
140.該当する組織の試料中の細胞の少なくとも5%が、CD19を発現する場合に、対象を選定する、第139の陳述に記載の方法。
【0569】
141.その該当する組織が、リンパ組織または腫瘍組織である、第139及び第140のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0570】
142.その対象で、CD19-ADCの一定型の用量及びまたは一定型のサイクル長の投与レジメにおいて、DLTが見られた、第139~第141の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0571】
143.第1~第5の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCと併せて、第1~第92の陳述のいずれか1つの方法に従って、そのCD19-ADCを投与する必要がある旨を通知するラベルまたは挿入文書を含む包装医薬品。
【0572】
144.第1~第6の陳述のいずれかで1つ定義されているようなCD19-ADCを含む第1の医薬、及び任意に
第1~第136の陳述のいずれか1つの方法に従って、そのCD19-ADCを投与することに関する説明を含むパッケージ挿入文書またはラベル
を含むキット。
【0573】
145.第1~第6の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCであって、第1~第136の陳述のいずれか1つの方法で使用するためのCD19-ADC。
【0574】
146.任意に製薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて、第1~第6の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCを含む医薬組成物であって、第1~第136の陳述のいずれか1つの方法で使用するための医薬組成物。
【0575】
147.第1~第136の陳述のいずれか1つの方法で使用するための医薬の調製に、第1~第6の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCを使用すること。
【0576】
白血病
1.対象の増殖性疾患の治療方法であって、対象にCD19-ADCを投与することを含み、そのCD19-ADCを対象に分割投与レジメで投与し、
そのCD19-ADCが、L-(D
L)
pという式のコンジュゲートを含み、式中、D
Lが、下記の式IまたはIIの基であり、
【化38】
【化39】
式中、
Lが、CD19に結合する抗体である抗体(Ab)であり、
C2’とC3’の間に二重結合が存在するときには、R
12が、
(ia)任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1-3アルキレンを含む群から選択した1つ以上の置換基によって置換されたC
5-10アリール基、
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル、
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル、
(id)下記の基であって、
【化40】
R
21、R
22及びR
23のそれぞれが独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択されており、R
12基の炭素原子の総数が、5個以下である基、
(ie)下記の基であって、
【化41】
R
25a及びR
25bのうちの1つが、Hであり、もう一方が、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基、ならびに
(if)下記の基であって、
【化42】
R
24が、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基
からなる群から選択されており、
C2’とC3’の間に単結合が存在するときには、
R
12が、下記の基であって、
【化43】
R
26a及びR
26bが独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されており、そのアルキル基及びアルケニル基が任意に、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択した基によって置換されているか、またはR
26a及びR
26bのうちの1つが、Hであるときには、もう一方が、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択されている基であり、
R
6及びR
9が独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されており、
そのR及びR’が独立して、任意に置換されたC
1-12アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基及びC
5-20アリール基から選択されており、
R
7が、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NHRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されており、
R”が、C
3-12アルキレン基であり、その鎖が、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、NR
N2(R
N2は、HもしくはC
1-4アルキルである)、及び/または芳香族環、例えば、ベンゼンもしくはピリジンによって中断されていてもよく、
Y及びY’が、O、SまたはNHから選択されており、
R
6’がR
6と、R
7’がR
7と、R
9’がR
9と同じ群から選択されており、
[式I]においては、
R
L1’が、抗体(Ab)に連結するためのリンカーであり、
R
11aが、OH、OR
A(R
Aは、C
1-4アルキルである)、及びSO
zM(zは、2または3であり、Mは、製薬学的に許容可能な1価のカチオンである)から選択されており、
R
20及びR
21がいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
20が、H及びR
Cから選択されており、R
Cが、キャッピング基であり、
R
21が、OH、OR
A及びSO
zMから選択されており、
C2及びC3の間に二重結合が存在するときには、R
2が、
(ia)任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1-3アルキレンを含む群から選択した1つ以上の置換基によって置換されたC
5-10アリール基、
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル、
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル、
(id)下記の基であって、
【化44】
R
11、R
12及びR
13のそれぞれが独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択されており、R
2基の炭素原子の総数が、5個以下である基、
(ie)下記の基であって、
【化45】
R
15a及びR
15bのうちの1つが、Hであり、もう一方が、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基、ならびに
(if)下記の基であって、
【化46】
R
14が、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニルであって、任意に、ハロ、メチル、メトキシから選択した基によって置換されているフェニル、ピリジル及びチオフェニルから選択されている基
からなる群から選択されており、
C2及びC3の間に単結合が存在するときには、
R
2が、下記の基であり、
【化47】
R
16a及びR
16bが独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されており、そのアルキル基及びアルケニル基が任意に、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択した基によって置換されているか、またはR
16a及びR
16bのうちの1つが、Hであるときには、もう一方は、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択されており、
[式II]においては、
R
22が、下記の式IIIa、式IIIbまたは式IIIcの基であり、
(a)
【化48】
(式中、Aは、C
5-7アリール基であり、
(i)Q
1は、単結合であり、Q
2は、単結合及び-Z-(CH
2)
n-から選択されており、そのZは、単結合、O、S及びNHから選択されており、nは、1~3であるか、または
(ii)Q
1は、-CH=CH-であり、Q
2は、単結合である)
(b)
【化49】
(式中、
R
C1、R
C2及びR
C3は独立して、H及び非置換のC
1-2アルキルから選択されている)
(c)
【化50】
(式中、Qは、O-R
L2’、S-R
L2’及びNR
N-R
L2’から選択されており、R
Nは、H、メチル及びエチルから選択されている)
Xが、O-R
L2’、S-R
L2’、CO
2-R
L2’、CO-R
L2’、NH-C(=O)-R
L2’、NHNH-R
L2’、CONHNH-R
L2’、
【化51】
、
【化52】
NR
NR
L2’を含む群から選択されており、そのR
Nが、H及びC
1-4アルキルを含む群から選択されており、
R
L2’が、抗体(Ab)に連結するためのリンカーであり、
R
10及びR
11がいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
10が、Hであり、R
11が、OH、OR
A及びSO
zMから選択されており、
R
30及びR
31がいずれも、一体となって、それらと結合している窒素原子及び炭素原子の間で二重結合を形成しているか、または
R
30が、Hであり、R
31は、OH、OR
A及びSO
zMから選択されている前記方法。
【0577】
2.そのCD19-ADCが、下記の化学構造を有し、
【化53】
式中、Abが、CD19抗体であり、DARが、1~8である、第1の陳述に記載の方法。
【0578】
3.Abが、配列番号2の配列を有するVHドメイン、及び配列番号8の配列を有するVLドメインを含む、第1及び第2のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0579】
4.Abが、配列番号13の配列を有する重鎖、及び配列番号14の配列を有する軽鎖を含む、第1~第3の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0580】
5.そのCD19-ADCが、ADCx19である、第1~第4の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0581】
6.治療サイクル中に投与するCD19-ADCの総用量を、治療サイクル中に、2回以上に分けた一連の用量として投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0582】
7.CD19 ADCの分割用量を、治療サイクル全体を通じて等間隔で投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0583】
8.分割用量のCD19-ADCを対象に週に1回投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0584】
9.治療サイクルの長さが、3週間である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0585】
10.治療サイクルの長さが、6週間である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0586】
11.分割用量のCD19-ADCを週に1回、3週間の治療サイクルで投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0587】
12.分割用量のCD19-ADCを、3週間の治療サイクルの1日目、8日目及び15日目に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0588】
13.総用量約10μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0589】
14.総用量約20μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0590】
15.総用量約30μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0591】
16.総用量約40μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0592】
17.総用量約50μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0593】
18.総用量約60μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0594】
19.総用量約70μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0595】
20.総用量約80μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0596】
21.総用量約90μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0597】
22.総用量約100μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0598】
23.総用量約120μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0599】
24.総用量約140~160μg/kg(約150μg/kgなど)のCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0600】
25.総用量約200μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0601】
26.総用量約250μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0602】
27.総用量約300μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0603】
28.総用量約350μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0604】
29.総用量約400μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0605】
30.総用量約450μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0606】
31.総用量約500μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0607】
32.総用量約550μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0608】
33.総用量約600μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0609】
34.総用量1~10μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0610】
35.総用量11~20μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0611】
36.総用量21~30μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0612】
37.総用量31~40μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0613】
38.総用量41~50μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0614】
39.総用量51~60μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0615】
40.総用量61~70μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0616】
41.総用量71~80μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0617】
42.総用量81~90μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0618】
43.総用量91~100μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0619】
44.総用量101~120μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0620】
45.総用量121~140μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0621】
46.総用量141~160μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0622】
47.総用量161~180μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0623】
48.総用量181~200μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0624】
49.総用量201~220μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0625】
50.総用量221~240μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0626】
51.総用量241~260μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0627】
52.総用量261~280μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0628】
53.総用量281~300μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0629】
54.総用量301~320μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0630】
55.総用量321~340μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0631】
56.総用量341~360μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0632】
57.総用量361~380μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0633】
58.総用量381~400μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0634】
59.総用量401~420μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0635】
60.総用量421~440μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0636】
61.総用量441~460μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0637】
62.総用量461~480μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0638】
63.総用量481~500μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0639】
64.総用量501~520μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0640】
65.総用量521~540μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0641】
66.総用量541~560μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0642】
67.総用量561~580μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0643】
68.総用量581~600μg/kgのCD19-ADCを治療サイクル中に投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0644】
69.分割用量が、約10μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0645】
70.分割用量が、約20μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0646】
71.分割用量が、約30μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0647】
72.分割用量が、約40μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0648】
73.分割用量が、約50μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0649】
74.分割用量が、約60μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0650】
75.分割用量が、約70μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0651】
76.分割用量が、約80μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0652】
77.分割用量が、約90μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0653】
78.分割用量が、約100μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0654】
79.分割用量が、約110μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0655】
80.分割用量が、約120μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0656】
81.分割用量が、約130μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0657】
82.分割用量が、約140μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0658】
83.分割用量が、約150μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0659】
84.分割用量が、約160μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0660】
85.分割用量が、約170μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0661】
86.分割用量が、約180μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0662】
87.分割用量が、約190μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0663】
88.分割用量が、約200μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0664】
89.分割用量が、1~10μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0665】
90.分割用量が、11~20μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0666】
91.分割用量が、21~30μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0667】
92.分割用量が、31~40μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0668】
93.分割用量が、41~50μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0669】
94.分割用量が、51~60μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0670】
95.分割用量が、61~70μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0671】
95a.分割用量が、約40~60μg/kg(約45~55μg/kgなど)である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0672】
96.分割用量が、71~80μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0673】
97.分割用量が、81~90μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0674】
98.分割用量が、91~100μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0675】
99.分割用量が、101~110μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0676】
100.分割用量が、111~120μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0677】
101.分割用量が、121~130μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0678】
102.分割用量が、131~140μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0679】
103.分割用量が、141~150μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0680】
104.分割用量が、151~160μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0681】
105.分割用量が、161~170μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0682】
106.分割用量が、171~180μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0683】
107.分割用量が、181~190μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0684】
108.分割用量が、191~200μg/kgである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0685】
109.各回の分割用量におけるCD19-ADCの量が、同じである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0686】
110.その増殖性疾患が、CD19+ve細胞を含む新生物の存在によって特徴付けられる、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0687】
111.その対象が、CD19-ADCによる治療の開始前に、その増殖性疾患であると診断されている、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0688】
112.その疾患が、CD19+ALLである、第111の陳述に記載の方法。
【0689】
113.CD19の発現に基づき、治療の対象を選定する工程を含む、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0690】
114.新生物細胞の少なくとも5%が、CD19を発現する場合に、対象を選定する、第113の陳述に記載の方法。
【0691】
115.その増殖性疾患が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む非ホジキンリンパ腫、ならびに有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病亜型(HCL-v)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)(フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)またはフィラデルフィア染色体陰性(Ph-ALL)など)のような白血病である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0692】
116.その増殖性疾患が、CD19+ALLである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0693】
117.その増殖性疾患が、耐性、再発性または難治性である、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0694】
118.その対象が、ヒトである、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0695】
119.そのCD19-ADCを静脈内投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0696】
120.CD19-ADCと組み合わせて、化学療法剤を投与することをさらに含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【0697】
121.CD19-ADCの前、CD19-ADCと同時またはCD19-ADCの後に、その化学療法剤を対象に投与する、第120の陳述に記載の方法。
【0698】
122.ステロイドと組み合わせて、CD19-ADCを投与する、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0699】
123.そのADCと同じ日に、1回目の用量のステロイドを投与する、第122の陳述に記載の方法。
【0700】
124.そのADCの少なくとも2時間前に、1回目の用量のステロイドを投与する、第123の陳述に記載の方法。
【0701】
125.そのADCの翌日に、2回目の用量のステロイドを投与する、第123または第124のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0702】
126.そのADCの前日に、1回目の用量のステロイドを投与する、第122の陳述に記載の方法。
【0703】
127.そのADCと同じ日に、2回目の用量のステロイドを投与する、第126の陳述に記載の方法。
【0704】
128.そのADCの少なくとも2時間前に、2回目の用量のステロイドを投与する、第127の陳述に記載の方法。
【0705】
129.そのADCの翌日に、3回目の用量のステロイドを投与する、第127または第128のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0706】
130.各治療サイクルのADCの1回目の投与のみに併せて、ステロイドまたは複数用量のステロイドを投与する、第122~第129の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0707】
131.そのステロイドを経口投与する、第122~第130の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0708】
132.ステロイドの各回の用量が、8mgである、第122~第131の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0709】
133.ステロイドの各回の用量が、16mgである、第122~第132の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0710】
134.各回の用量のステロイドを2等分の分割用量として投与する、第122~第133の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0711】
135.各回の分割用量が、4mgである、第122~第134の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0712】
136.各回の分割用量が、8mgである、第122~第135の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0713】
137.そのステロイドが、デキサメタゾンである、第122~第136の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0714】
138.(i)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与する前日、(ii)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与する日、及び(iii)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与した翌日に、4mgのデキサメタゾンを1日2回、経口投与する、第122の陳述に記載の方法。
【0715】
139.(i)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与する日、及び(ii)その治療サイクルの1週目の1日目にADCを投与した翌日に、4mgのデキサメタゾンを1日2回、経口投与する、第122の陳述に記載の方法。
【0716】
140.ADCと同じ日に投与するデキサメタゾンを、ADCの少なくとも2時間前に投与する、第138及び第139のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0717】
141.各治療サイクルのADCの1回目の投与のみに併せて、そのデキサメタゾンを投与する、第138~第140の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0718】
142.分割投与レジメの毒性が、同じ総投与用量及び同じ治療サイクル長である単回用量投与レジメよりも低い、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0719】
143.分割投与レジメでのTEAEの発生数が、単回用量レジメにおけるTEAEの発生数の50%以下である、第142の陳述に記載の方法。
【0720】
144.分割投与レジメでのSAEの発生数が、単回用量レジメにおけるSAEの発生数の50%以下である、第142の陳述に記載の方法。
【0721】
145.分割投与レジメでのDLTの発生数が、単回用量レジメにおけるDLTの発生数の50%以下である、第142の陳述に記載の方法。
【0722】
146.分割投与レジメの有効性が、同じ総投与用量及び同じ治療サイクル長である単回用量投与レジメよりも高い、先行陳述のいずれかに記載の方法。
【0723】
147.分割投与レジメで少なくともPRを達成した対象の割合が、単回用量レジメにおいて少なくとも部分奏効[PR]を達成した対象の割合の少なくとも150%である、第146の陳述に記載の方法。
【0724】
148.対象へのCD19-ADCの投与と関連する毒性及び/または副作用の低減方法であって、先行陳述のいずれかの方法に従って、CD19-ADCを投与することを含む方法。
【0725】
149.対象へのCD19-ADCの投与と関連する治療の有効性の向上方法であって、先行陳述のいずれかの方法に従って、CD19-ADCを投与することを含む方法。
【0726】
150.第1~第141陳述のいずれか1つに記載の方法による治療の対象の選定方法であって、該当する組織でCD19を発現する治療対象を選定することを含む方法。
【0727】
151.該当する組織の試料中の細胞の少なくとも5%が、CD19を発現する場合に、対象を選定する、第150の陳述に記載の方法。
【0728】
152.その該当する組織が、リンパ組織または腫瘍組織である、第150及び第151のいずれか1つの陳述に記載の方法。
【0729】
153.その対象で、CD19-ADCの単回用量投与レジメにおいて、DLTが見られた、第150~第152の陳述のいずれか1つに記載の方法。
【0730】
154.第1~第5の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCと併せて、第1~第151の陳述のいずれか1つの方法に従って、そのCD19-ADCを投与する必要がある旨を通知するラベルまたは挿入文書を含む包装医薬品。
【0731】
155.第1~第5の陳述のいずれかで1つ定義されているようなCD19-ADCを含む第1の医薬、及び任意に、
第1~第151の陳述のいずれか1つの方法に従って、そのCD19-ADCを投与することに関する説明を含むパッケージ挿入文書またはラベル
を含むキット。
【0732】
156.第1~第5の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCであって、第1~第151の陳述のいずれか1つの方法で使用するためのCD19-ADC。
【0733】
157.任意に製薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて、第1~第5の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCを含む医薬組成物であって、第1~第151の陳述のいずれか1つの方法で使用するための医薬組成物。
【0734】
158.第1~第151の陳述のいずれか1つの方法で使用するための医薬の調製に、第1~第5の陳述のいずれか1つで定義されているようなCD19-ADCを使用すること。
【実施例】
【0735】
実施例1:ALL患者におけるADCx19の薬物動態
再発性または難治性のB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である48人の患者に、少なくとも1用量のADCx19を投与した(15μg/kgで4人、30μg/kgで4人、60μg/kgで4人、90μg/kgで5人、120μg/kgで12人、150μg/kgで3人、及び200μg/kgで17人)。120μg/kg及び200μg/kgでのコホートを拡大して、これらの用量レベルで見られる早期の有効性シグナルをさらに検討した。
【0736】
明らかになった安全性、薬物動態及び有効性のデータによって、120μg/kg以上の用量では、3週間おきの反復投与が、充分な忍容性を示さないか、または不要であることが示唆されている。12人の患者(10人がDLBCL、1人がFL、及び1人がMCL)を120μg/kgで治療したところ、4人の患者が完全寛解(CR)を達成し、2人が部分寛解(PR)を達成した。6人の奏効患者には、ADCx19を3~7回注入し、これらの患者のうちの4人で、有害事象(疲労感(2)、浮腫(3)、筋肉の痛み(2)、発疹(1)、GGT及びアルカリホスファターゼの増加(1))により、少なくとも1用量を遅延させた。このコホートにおいては、2人の患者は、有害事象により、治療を中止した(いずれもCRを達成した)。
【0737】
150μg/kgでは、3人の最初の患者には、2サイクルまたは3サイクルのいずれかでADCTx19を投与した後、副作用により、投与の遅延が必要となり、最終的には、毒性がなかなか解消されなかったため、試験から除外された。
【0738】
200μg/kgのコホートで治療した(3週間おきにその用量を投与した)最初の6人の評価可能な患者は、サイクル2の終了時(2回目の投与後)の1回目の再病期診断で、CR(5)またはPR(1)を達成した。しかしながら、すべての患者で、サイクル2の終了時(4人の患者)またはサイクル3の終了時(1人の患者)に、毒性の徴候がいくらか見られた。200μg/kgのコホートで治療した最初の3人の患者での最初の2サイクルの薬物動態プロファイルによって、200μg/kgの用量レベルでのAUC及びCmaxが、それよりも低用量で見られるAUC及びCmaxよりも有意に高いことが示された。サイクル1の終了時のトラフ濃度は、500~1000ng/mlの範囲と見られる。
【0739】
明らかになった安全性プロファイルに鑑みると、今後、120μg/kg以上の用量の対象では、投与レジメを修正して、本明細書に記載されているような漸減型及び/または延長型の投与レジメになるようにすることが提案される。特には、下記の漸減型及び延長型の投与レジメを使用することになる。
【0740】
A.120μg/kg:3週間おきに、2サイクル投与する。2回目のサイクル後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)。
B.150μg/kg:3週間おきに、2サイクル投与する。2回目のサイクル後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)。
C.200μg/kg:6週間おきに、2サイクル投与する。サイクル2の6週間後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)。
D.200μg/kg:6週間おきに投与する。サイクル1の6週間後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル1での注入から6週間後に開始する)。
E.150μg/kg:3週間おきに、2サイクル投与する。2回目のサイクル後に少なくともSDである患者は、3週間おきに、75μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から3週間後に開始する)。
【0741】
1日目に単回用量を投与する3週間の治療サイクルの完全な臨床試験プロトコールは、www.clinical trials.govで公開されており、ClinicalTrials.govの固有識別子はNCT02669017である(2017年4月25日更新)。
【0742】
実施例2:漸減型及び/または延長型の投与プロトコールの概要
適応
いずれかの確立された療法が無効であったか、もしくその療法に不耐であるか、または治験医の意見において、他の治療選択肢が利用不可能である再発性または難治性のB細胞系非ホジキンリンパ腫(B-NHL)の患者
【0743】
Dose Escalation Steering Committee(DESC)が、試験のパート2で、パート1から明らかになった有効性及び忍容性プロファイルに基づき、どの組織学的サブタイプを調べるか判断することになる。
【0744】
B細胞NHLは、以下のものとして定義する。
・びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)
・濾胞性リンパ腫(FL)
・慢性リンパ性白血病(CLL)
・マントル細胞リンパ腫(MCL)
・辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBCL)
・バーキットリンパ腫(BL)
・リンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症[WM])
【0745】
目的
一次的な目的:
-再発性または難治性のB細胞系NHLの患者におけるADCx19の安全性及び忍容性を評価し、適宜、最大耐用量(MTD)を定める(パート1)。
-パート2(拡大)のためのADCx19の推奨用量(複数可)を定める。
-パート2(拡大)において、パート1で推奨された用量レベル(複数可)で、ADCx19の安全性及び忍容性を評価する。
【0746】
二次的な目的:
-全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存率(PFS)及び全生存率(OS)によって測定した場合のADCx19の臨床活性を評価する。
-ADCx19(全抗体、薬物抗体比[DAR]≧0)、PBDコンジュゲート抗体(DAR≧1)及び遊離ウォーヘッドの薬物動態(PK)プロファイルを特徴付ける。
-ADCx19による治療の前、治療中及び治療の後に、血中抗薬物抗体(ADA)を評価する。
【0747】
有効性評価
サイクル3及び5の1日目の6日前以内に、疾患の評価を行い、その後は、病状が進行するまで、3サイクルおきに(すなわち、サイクル8、11、14など)、または臨床適応される場合には、これよりも頻繁に疾患の評価を行うことになる。すべての後続評価では、疾患の部位を特定するスクリーニングで用いるのと同じ方法を一様に用いる必要がある。PET-CTが陽性である場合には、臨床適応されない限りは、その後の診断的CT及びMRIは不要である。スクリーニング時のPET-CT検査が陰性であった場合には、PET-CTは不要である。
【0748】
投与頻度を低下させたとともに、6週間のスケジュールに従っている患者では、疾患の評価は、サイクル1の1日目から約6週間後及び12週間後に行い、その後は、少なくとも12週間おきに行う必要がある。これらの患者の再病期診断には、±6日の時間枠があることがわかる。
【0749】
治療に対する患者の奏効は、2014 Lugano Classification Criteriaに基づき、治験医によって、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、疾患の安定(SD)または疾患の進行(PD)として定めることになる。
【0750】
PK評価
実証済みの生物分析方法による測定値を用いて、ADCT-402(全抗体、DAR≧0)、PBDコンジュゲート抗体(DAR≧1)及び遊離ウォーヘッドSG3199のPKプロファイルを評価することになる。PKプロファイルには、標準的なPKパラメーター(例えば最高血中濃度[Cmax]、Cmax到達時間[Tmax])の定量値を含めることになる。
【0751】
試験では、様々な時点に、下記の薬力的評価及びその他の診査評価を行うことになる。
-CD19タンパク質の発現に関する免疫組織化学(同意している患者の保存腫瘍組織または治療前の腫瘍生検標本)
-ADCx19に対するADAの血清中レベル
-ADCx19による治療の前、治療中及び治療後の末梢WBC集団及びCDマーカーパネル発現(CD19、CD20、CD21、CD22)の解析(米国のみ)
-ADCx19及び遊離ウォーヘッドの血清中濃度を求めることになる。QT間隔も測定することになる。
【0752】
安全性評価
安全性は、有害事象(AE)の評価、重篤なAE(SAE)、AEによる治療中止、用量制限毒性(複数可)(DLT)、定期的な12誘導心電図(ECG)の記録、身体診察、バイタルサイン測定値、ECOGパフォーマンスステータス、ならびに試験中の様々な時点に得た血液学、凝固パネル、妊娠検査(妊娠の可能性のある女性の場合)、生化学及び尿検査の結果に基づき評価することになる。有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0753】
製品の用量及び投与方法
ADCx19は、PBD-コンジュゲートヒト化モノクローナルIgG1抗体(DAR≧1)、ヒト化モノクローナルIgG1抗体(DAR=0)及びSG3249を含む滅菌製剤である。ADCx19は、10mLの使い捨てガラスバイアルで予め配合した状態で供給されており、バイアル1本当たり約16mgのADCx19を含む(送達可能体積:5mg/mLで、3.2mL及び追加の過充填分0.3mL)。
【0754】
患者には、サイクル1の1日目に、ADCx19を1時間、静脈内(IV)注入することになる。1回目の注入後、ADCx19で、充分な忍容性が示された場合には、治験医の裁量で、その患者の2回目以降のサイクルで、注入期間を30分まで短縮し得る。
【0755】
用量漸増デザイン
パート1では、3+3の試験デザインによる漸増用量でのADCT-402による治療に、患者を割り当てる。ADCT-402の初回用量は、15μg/kg(用量レベル1)となり、最大許容用量は、300μg/kgとなる。
【0756】
評価するさらなる用量レベル及びスケジュールには、下記のものが含まれる。
A.120μg/kg:3週間おきに、2サイクル投与する。2回目のサイクル後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)。
B.150μg/kg:3週間おきに、2サイクル投与する。2回目のサイクル後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)。
C.200μg/kg:6週間おきに、2サイクル投与する。サイクル2の6週間後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)。
D.200μg/kg:6週間おきに投与する。サイクル1の6週間後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル1での注入から6週間後に開始する)。
E.150μg/kg:3週間おきに、2サイクル投与する。2回目のサイクル後に少なくともSDである患者は、6週間おきに60μg/kgの低減用量で治療を継続する(サイクル2での注入から6週間後に開始する)
【0757】
15μg/kg(用量レベル1)での試験に登録する第1の患者は、試験において第2の患者を治療する前に、7日間、AEの発生について観察する必要がある。用量漸増時のDLT観察期間は、1サイクルである。
【0758】
各用量レベルにおいて、最初の3人の患者で、そのレベルにおいてDLTが認められない場合には、新たな患者に、次に高い用量レベルを採用し得る。3人の患者のうちの1人で、DLTが見られる場合には、追加の患者を最大で3人、それと同じ用量レベルで治療するものとする。その追加の3人の患者で、その用量レベルにおいて、DLTが認められない場合には、新たな患者に、次に高い用量レベルを採用し得る。しかしながら、追加した3人の患者の1人以上で、DLTが見られる場合には、その用量レベルで、さらなる患者の試験を開始することはせず、直前の用量をMTDとして定める。したがって、MTDは、最初の3人の治療患者で、DLTが認められないか、または最初の6人の治療患者でDLTが認められるのが、1人以下である最大用量レベルとして定義する。
【0759】
MTDをうまく定められるように、試験では、安全性及び早期中止について継続的にモニタリングすることになる。
【0760】
用量拡大デザイン
パート2(拡大)では、導き出された安全性、有効性及び薬物動態データに基づき、パート1で特定した、ADCT-402の用量レベル(複数可)及び/またはスケジュール(複数可)に、患者を割り当てることになる。
【0761】
パート2(拡大)での集団は、活性シグナル及びパート1で観察された安全性の両方に基づき、特定の組織像に限定し得る。
【0762】
さらに、パート2で評価する用量レベル及びスケジュールには、パート1に関して上記したようなレジメA、B、C及びDを含めてよい。
【0763】
実施例3:ADCx19による治療の安全性及び有効性試験の概要
試験デザイン
実証済みの電気化学発光免疫測定法を用いて、PBDコンジュゲートAbの血清中濃度を求めた。NONMEM(バージョン7.3、条件付一次近似)を用いて、母集団PK法によって、データを解析した。
【0764】
ベイズのPK解析では、2-コンパートメントオープンモデル及びゼロ次注入速度とともに、両辺を対数変換するアプローチを採用した。曲線下面積(AUC)値は、個々の患者の事後ベイズ推定値から推定した。
【0765】
各種共変量要因がPK変動に及ぼす影響を評価し、その要因には、年齢、性別、人種、体表面積(BSA)、肥満度指数、体重、アルブミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、クレアチニンクリアランス及びヘモグロビン(Hb)を含めた。
【0766】
いずれかのグレードのTEAEに関する早期(サイクル1)及び晩期(全サイクル)TEAEの最大重症度、貧血、血小板、好中球、Hb、疲労感、浮腫及び胸水とともに、PK暴露値の傾向を図によって検討した。
【0767】
AUCならびにデモグラフィック要因(年齢、性別、体重、BSA及び最大Eastern Cooperative Oncology Groupステータス)に伴う、下記の二値結果変数の確率に関して、ロジスティック回帰を用いて、明らかな傾向を定量的に評価した。
-グレード3以上の最大重症度TEAE
-グレード3以上の血小板減少
-グレード1以上の浮腫または胸水.
【0768】
用量及びPKと、ベースラインの腫瘍サイズからの最大変化との関連性を求めて、暴露値と活性(少なくとも50%低減、完全奏効及び部分奏効)の潜在的な関係を特定した。
【0769】
結果
患者の特徴
77人の患者(男性53人、女性24人)に関するデータ(1138件の観察結果を含む)を母集団PKモデルに含めた。
【0770】
最終母集団PKモデル
最終母集団PKモデルパラメーターは、下記の表に示されている。
【0771】
薬物の血清中濃度の観察結果と推定値の間には、強い相関が見られた。暴露値、及び関連する対象間変動度は、用量とともに向上した。見かけ終末相半減期値は、大きかったが、変動は中程度であった。
【0772】
反復投与では、中度の薬物蓄積が見られた。
【0773】
BSAは、分布容積に有意に作用した。
【0774】
他の有意な共変量は特定されなかった。
【0775】
【表4】
BSA:体表面積、CL:全身クリアランス、CV:変動係数、IIV:各薬物動態項目の個人間変動、Q1:コンパートメント間クリアランス、SE:標準誤差、Vc:中央コンパートメントの分布容積、Vp:末梢コンパートメントの分布容積
【0776】
曝露値と安全性の関係
PBDコンジュゲートAbの曝露値(AUC)の増大は、サイクル1において、グレード3以上の血小板減少の確率と関連していた(p=0.0067)とともに、サイクル1及び全サイクルの最中に、グレード3以上のいずれのTEAEとも関連していた(いずれもp=0.031)(下記の表を参照)。グレード3以上のいずれのTEAEにおいても、男性の方が、女性よりも、感受性が高いようであった。グレード1以上の浮腫または胸水の確率とともに、AUCが増大する視覚的傾向が明らかであった。
【表5】
【0777】
曝露値と有効性の関係
ADCx19の用量増加は、客観的奏効の確率の上昇と有意に関連していた(p=0.0439)。
【0778】
PBDコンジュゲートAbの曝露値(AUC)の増大は、客観的奏効の確率の上昇と有意に関連していた(p=0.0292)。
【0779】
結論
線形2-コンパートメントモデルを用いて、ADCx19の投与後のPBDコンジュゲートAbのPKプロファイルを記述した。
【0780】
BSAは、分布容積の有意な共変量であった。
【0781】
PBDコンジュゲートAb暴露値(AUC)と、グレード3以上のTEAE(サイクル1及び全サイクル)及びサイクル1におけるグレード3以上の血小板減少の発生数の間には、有意な正の相関が観察された。
【0782】
グレード3以上のTEAEの頻度は、持続的投与とともに高くなったことから、投与サイクル数の制限によって、重篤な有害事象の割合が制御されるとみられる。
【0783】
重篤な有害事象に関しては、男性の方が、女性よりも感受性が高い可能性がある。
【0784】
AUCと、グレード1以上の浮腫または胸水には、関連のある傾向が明らかになった。
【0785】
暫定的な有効性評価によって、q3wスケジュールで投与したときのADCx19の有意な用量応答性及び暴露量応答性の関係が示された。
【0786】
実施例4:マウス異種移植インビボモデルにおけるADCx19による治療の有効性
Ramos-e222皮下モデル
雌の重症複合免疫不全マウス(Fox Chase SCID(登録商標)、C.B-17/Icr-Prkdcscid,Charles River)は、試験の1日目には、8週齢かつ117.5~25.6グラムの体重(BW)範囲であった。
【0787】
腫瘍移植日に、Ramos細胞を対数増殖期に回収し、リン酸緩衝生理食塩水に再懸濁させた。各試験マウスの右側腹部に、1×107個のRamos細胞(0.1mLの懸濁液)を皮下移植することによって、異種移植を開始し、腫瘍の体積が、100~150mm3の標的範囲に近づくのに応じて、腫瘍をモニタリングした。腫瘍では、ノギスを用いて、2つの寸法を測定し、体積は、下記の式を用いて算出した。
腫瘍体積(mm3)=w2×l/2
式中、wは、腫瘍の幅であり、lは長さであり、単位はmmである。1mgが、腫瘍体積1mm3に相当すると想定して、腫瘍重量を推定し得る。
【0788】
腫瘍移植から13日後(試験1日目とした)に、それらのマウスを群分けし、その各群は、10匹のマウスから構成させ、個々の腫瘍体積は108~172mm3であり、群の平均腫瘍体積は、120mm3であった。いずれの薬剤も、尾静脈注射によって、1日目に1回、体重20グラム当たり0.2mLの投与体積(10mL/kg)(各個体マウスの体重に合わせて秤量した)で静脈内(i.v.)投与した。ノギスを用いて、週に2回、腫瘍を測定し、その腫瘍が、2000mm3のエンドポイント体積に達した時点、または試験の終了時のうちの早い方で、各マウスを安楽死させた。
【0789】
1つのマウス群では、1日目に、1mg/kgのADCx19を単回用量として投与した(qd×1)。
【0790】
別の2群では、同じ用量のADCx19を3分割の用量、すなわち、それぞれ0.33mg/kgを3回の用量で投与した。1つの群では、それらの用量を1週間間隔で投与し(qwk×3)、第2の群では、それらの用量を4日間隔で投与した(q4d×3)。
【0791】
分割用量を投与したいずれの群でも、20日目あたりから、腫瘍サイズが着実に成長したことが観察された。対照的に、1日目に単回用量を投与した群では、試験終了まで、有意な腫瘍塊は見られなかった(
図2を参照)。
【0792】
NALM-6腫瘍細胞接種モデル
ヒトB細胞白血病NALM-6を静脈内異種移植モデルとして使用した。腫瘍細胞の接種には、継代12代目のNALM-6培養液を使用した。接種細胞の生存率は、90%であった。
【0793】
実験の開始時には、成体の雌NOGマウスは、5~8週齢で、平均体重は17.2gであった。7日間の馴化期間後、インビトロ継代から得た1x107個の腫瘍細胞を各雌NOGマウスに静脈内接種した(0日目)。
【0794】
NALM-6の接種から3日後に、治療を開始した。体重を週に3回測定し、すべてのマウスの全身の健康状態を毎日チェックした。
【0795】
後足の麻痺が見られたか及び/または体重が20%以上減少したら、各マウスを殺処分し、死体解剖を行った。試験は、90日目に終了した。
【0796】
一方のマウス群では、1日目に、1mg/kgのADCx19を単回用量として投与した(qd×1)。
【0797】
もう一方の群では、同じ用量のADCx19を3分割の用量、すなわち、それぞれ0.33mg/kgを3回の用量で、4日間隔で投与した(q4d×3)。
【0798】
分割用量を投与した群では、試験の終わりに近づくにつれて、一部の個体が死亡したことが観察された。対照的に、1日目に単回用量を投与した群では、試験の終わりに近づくにつれて死亡することはなかった(
図3を参照)。
【0799】
実施例5:ALL患者におけるADCx19の薬物動態
3つの用量コホート(15μg/kg、30μg/kg及び60μg/kg)を構成する再発性または難治性のB細胞系急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の19人の患者に、1日目に単回用量を投与する3週間の治療サイクルを用いて、ADCx19を投与した。
【0800】
7人の患者(15μg/kgにおけるn=4、30μg/kgにおけるn=2、60μg/kgにおけるn=1)から得た予備的な薬物動態(PK)情報によって、患者間変動が示されている。大半の患者で、濃度は、定量下限近くであったとともに、PKパラメーターを認識できなかった。それらの患者では、経過時間の初期において、薬物の速やかな消失が明らかになった。CRを示した患者では、サイクル2によって、他の患者よりも消失が遅いことが明らかに認められた。
【0801】
1日目に単回用量で投与する3週間の治療サイクルの完全な臨床試験プロトコールは、www.clinical trials.govに公開されており、ClinicalTrials.gov固有識別子はNCT02669264である(2017年2月21日更新)。
【0802】
実施例6:分割用量プロトコールの概要
適応
再発性または難治性のB細胞系急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の患者であって、いずれかの確立された療法が無効であったか、もしくはその療法に不耐であるか、または他の治療選択肢が利用不可能である患者。
【0803】
目的
一次的な目的:
-再発性または難治性B-ALLの患者において、ADCx19の安全性及び忍容性を評価し、最大耐用量(MTD)を決定する(パート1)。
-パート2(拡大)のためのADCx19推奨用量を決定する。
-パート2(拡大)において、パート1で推奨した用量レベルで、ADCx19の安全性及び忍容性を評価する。
【0804】
二次的な目的:
試験のパート1及びパート2の二次的な目的は、以下のとおりである。
-治療に対する患者の奏効(完全奏効[CR]、血球数の回復が不完全なCR[CRi]、部分奏効[PR]、疾患の進行[PD]、無奏効[NR])、ならびに全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存率(OS)及び無増悪生存率(PFS)の決定値に基づき、ADCx19の臨床活性を評価する。
-ADCx19(全抗体、薬物抗体比[DAR]≧0)、PBDコンジュゲート抗体(DAR≧1)及び遊離ウォーヘッドの薬物動態(PK)プロファイルを特徴付ける。
-ADCx19による治療の前、治療中及び治療後に、血清中のADCx19に対する抗薬物抗体(ADA)を評価する。
【0805】
有効性評価
ADCx19による治療に対する奏効の評価は、骨髄試料(穿刺液または穿刺液を得られない場合には生検標本)に基づくことになる。ADCx19の活性は、ADCx19に対する患者の奏効を、本明細書に定義されているようなCR、CRi、PR、PDまたはNRとして、治験医が評価したものに基づき、評価することになる。
【0806】
PK評価
ADCx19(全抗体、DAR≧0)、PBDコンジュゲート抗体(DAR≧1)及び遊離ウォーヘッドのPKプロファイルを主としてサイクル1及び2において評価することになる。PKプロファイルには、標準的なPKパラメーター(例えば、最高血中濃度[Cmax]、Cmax到達時間[Tmax])の決定値が含まれることになる。試験の様々な時点に、下記のPD及びその他の診査評価を行うことになる。
-骨髄穿刺液から単離した単核球(MNC)及び全血(WB)中のCD19及びその他のCDマーカー発現のフローサイトメトリー評価(中央検査室によって、ADCx19による治療の前に採取した試料において、遡及的に試験する)
-ADCx19による治療前、治療中及び治療後の、ADCx19に対するADAの血清中レベル
-ADCx19による治療前、治療中及び治療後(サイクル1及び2)の、WBにおけるフローサイトメトリーによる、末梢WBC集団及びCDマーカーパネル発現(例えば、CD19、CD20、CD21、CD22)の解析
-ADCx19及び遊離ウォーヘッドの血清中濃度、QT間隔
-骨髄におけるフローサイトメトリーによるMRDの測定
【0807】
安全性評価
安全性は、AE、重篤なAE(SAE)、AEによる治療中止、DLT(本明細書に定義されているようなもの)、血清中サイトカインの測定値、定期的な12誘導心電図(ECG)の記録、身体診察、バイタルサインの測定、ECOGパフォーマンスステータス、ならびに血液学、生化学、凝固パネル、妊娠検査(妊娠の可能性のある女性の場合)及び尿検査の結果に基づき、評価することになる。有害事象は、CTCAE Version 4.0(v4.03、2010年6月14日公開、NIH Publication No.09-5410)に従って判定することになる。
【0808】
製品の用量及び投与方法
ADCx19は、PBDコンジュゲートヒト化モノクローナルIgG1抗体(DAR≧1)、ヒト化モノクローナルIgG1抗体(DAR=0)及びSG3249を含む滅菌製剤である。ADCx19は、10mLの使い捨てガラスバイアルで予め配合した状態で供給されており、バイアル1本当たり約16mgのADCx19を含む(送達可能体積:5mg/mLで、3.2mL及び追加の過充填分0.3mL)。患者には、サイクル1の1日目に、ADCx19を1時間、静脈内(IV)注入することになる。1回目の注入後に、ADCx19で、充分な忍容性が示された場合には、治験医の裁量で、その患者の2回目以降のサイクルで、注入期間を30分まで短縮し得る。
【0809】
治験製品の投与スケジュールは、以下のとおりである。
【0810】
患者に、ADCx19を3週間(21日)の各治療サイクルの1日目、8日目及び15日目に(週に1回[QW])投与することになる。
【0811】
患者は、試験期間を通じて同じ治療スケジュールを維持することになる。
【0812】
患者がCR/CRiを達成したら、明らかになった安全性、有効性及びPKプロファイルに基づき、DESCによって、頻度または用量を調整し得る。
【0813】
試験では、明らかになった安全性、有効性及び/またはPKプロファイルについて継続的にモニタリングし、QWスケジュールを維持するか、3週間おきの(Q3W)スケジュールに戻すか、または他の投与レジメンを試験するのが適切であるのかをDESCが判断することになる。
【0814】
用量漸増デザイン
3+3デザインに従って、用量の漸増(パート1)を行う。ADCx19の初回用量は、15μg/kg(用量レベル1)となり、最大許容用量は、600μg/kgとなる。
【0815】
用量漸増時のDLT観察期間は、1サイクルとなる。患者は、各用量レベルに順次に移行することになる。
【0816】
各用量レベルにおいては、そのレベルで、最初の3人の患者でDLTが認められない場合には、新たな患者に、次に高い用量レベルを採用し得る。3人の患者のうちの1人で、DLTが認められる場合には、追加の患者を最大で3人、それと同じ用量レベルで治療するものとする。その用量レベルで、その追加した3人の患者でDLTが認められない場合には、新たな患者に、次に高い用量レベルを採用し得る。しかしながら、追加した3人の患者の1人以上で、DLTが見られる場合には、その用量レベルで、さらなる患者を追加することはせず、直前の用量をMTDと定める。したがって、MTDは、最初の3人の治療患者で、DLTが認められないか、または最初の6人の治療患者でDLTが認められるのが、1人以下である最大用量レベルとして定義する。
【0817】
パート1の際、用量漸増運営委員会(DESC)は、用量漸増プロセスの一部として、その時点の用量レベル未満の用量での登録を拡大し得る。PR(以上)を達成した患者が、少なくとも1人いることを場合のみに、追加の患者を低減用量レベルで加えてよい。10人の患者のうち、3人以上がPR以上を達成しない限りは、いずれの用量レベルでも、治療できる患者は、合計10人以下である。
【0818】
用量拡大の際には、患者は、用量漸増時に用いたのと同じDLT基準を用いて、安全性についてモニタリングすることになる。治療期間中に、30%超の患者で、試験の用量漸増相でDLTを定める基準を満たす安全性事象が見られる場合には、拡大コホート(複数可)での登録を中断し、試験データを再検討して、さらなる登録を行う前に、追加のモニタリングまたはその他の措置(用量レベルの変更など)を評価すべきか判断し得る。
【0819】
実施例7:ADCx19による治療の安全性及び有効性試験の概要
試験デザイン
米国での第1相オープンラベル多施設用量漸増試験(パート1)及び用量拡大試験(パート2)では、R/R B-ALLの患者を登録している。
【0820】
パート1では、最大耐用量(MTD)を求めるために、3+3の用量漸増デザインによる治療に、患者を割り当てる。ADCx19の初期用量は、15μg/kg(用量レベル1)であった。3週間おきに治療する患者では、21日の各サイクルの1日目に、週に1回のレジメンに割り当てた患者では、1日目、8日目及び15日目に、ADCx19を静脈内注射する。
【0821】
パート2では、パート1によって推奨された用量で、ADCx19の安全性、忍容性、PK及び臨床活性をさらに評価することになる。完全奏効は、下記のそれぞれを達成したものとして定義する。
-骨髄像において見られる芽球細胞が5%以下である。
-好中球絶対数が1.0×109/L以上で、血小板数が100×109/L以上である。
-髄外疾患が見られない。
-患者は、赤血球輸血の影響下にない。
【表6】
【0822】
結果
患者の特徴
2017年10月30日の時点で、29人のB-ALL患者(男性18人、女性11人)をADCx19で治療した。
【0823】
患者は、事前に化学療法を中央値で2回(最小値1回、最大値12回)受けていた。11人(37.9%)の患者は、事前に同種幹細胞移植を受けていた。3週間に1回(q3w)による150μg/kgの最大評価用量まで、用量制限毒性(DLT)は観察されなかった。直近の治療コホートには、ADCx19を50μg/kgの用量で、週に1回投与した。
【0824】
PKデータ
PKデータによって、21日の治療サイクルの終了時よりもかなり前に、PBDコンジュゲート抗体の濃度が定量可能レベル未満の5.0ng/L、全抗体の濃度が、定量可能レベル未満の20ng/Lになったことが示されている(
図4を参照)。PBD二量体の濃度は、経過時間の全体にわたり、測定可能レベルを大きく下回ったことから、週に1回の投与への変更の正当性が認められた。
【0825】
安全性データ
DLTは観察されなかった。29人の患者中、28人(96.6%)によって、治療下で発現した有害事象(TEAE)が報告され、合わせて265件のTEAEが報告された。12人(41.4%)の患者で、ADCx19に関連する可能性があるかまたは可能性が高いとみなされた有害事象が報告された。特に多く見られたTEAEは、以下のものである。
-悪心(n=9)
-疲労感(n=7)
-発熱性好中球減少症(n=7)
-頭痛(n=7)
【0826】
29人の患者中、24人(82.8%)でグレード3以上のTEAEが報告され、発熱性好中球減少症(n=7)及び好中球数減少(n=4)が特に多く見られた(下記の表を参照)。
【0827】
2人の患者で、致命的な転帰のTEAE(肺感染症及び敗血症)が見られ、いずれも、120μg/kg q3w投与群の患者であった。4人の患者で、投与の遅延または低減に至ったTEAEが見られたが、治療の中止に至ったTEAEは見られなかった。7人の患者で肝臓毒性事象が報告され、1人の患者で、(高ビリルビン血症により)投与の遅延に至った。サイクル1の最中を含め、4人の患者でグレード3の肝臓毒性事象が見られ、いずれも、可逆性で(期間の中央値[範囲]:11.5日[5~36日])、静脈閉塞性疾患とは関係がなかった。を含め、注入に伴う反応が3件見られ、注入に伴うグレード2の反応が1件、サイトカイン放出症候群が1件、及びグレード1の頻脈が1件含まれた。
【0828】
まだ、MTDには至っていない。
【0829】
好ましい項ごとのグレード3以上のTEAE(安全性解析セット、用量の単位:ug/kg):
【表7】
【0830】
有効性データ
2人の患者が、30μg/kg q3wの用量で、5回の治療サイクルの後、及び120μg/kg q3wの用量で、2回の治療サイクルの後に、微小残存病変(MRD)の見られない完全奏効を達成した。
【0831】
いずれの奏効者も、以前にブリナツモマブを投与されていた。
【0832】
3人目の患者は、150μg/kg q3wの用量で、MRD陽性の状態の完全奏効を達成した。
【0833】
4人目の患者は、150μg/kg q3wの用量で、血球数奏効が不完全で髄外疾患の進行を伴う完全骨髄奏効を達成した。
【0834】
結論
R/R B-ALL患者におけるこの第1相試験では、ADCx19単剤は、DLTの見られない状態で、充分な忍容性を示したとともに、重度の前治療を行った集団で、MRD陰性の完全寛解が2例見られた。
【0835】
週に1回のレジメンのためのMTDを見出すために、用量全量を継続していく。
【0836】
ADCx19の忍容性、安全性、PK及び活性をさらに評価するために、試験のパート2における用量拡大相が計画されている。
【配列表】