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特許7145911自動履物プラットフォーム用のひも締めアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】自動履物プラットフォーム用のひも締めアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20220926BHJP
   A43C 11/16 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A43B23/02 104
A43C11/16
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114434
(22)【出願日】2020-07-01
(62)【分割の表示】P 2019522690の分割
【原出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2020168430
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】62/413,142
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/424,294
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100192924
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、サマー エル.
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ナリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ダニエル エイ.
(72)【発明者】
【氏名】サベージ、ピーター アール.
(72)【発明者】
【氏名】ベリアン、トラビス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホー、ファニー ユン
(72)【発明者】
【氏名】アバール、エリック ピー.
(72)【発明者】
【氏名】キルゴア、エリザベス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブルース、ケイトリン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04937952(US,A)
【文献】国際公開第2009/071652(WO,A1)
【文献】特開2001-197905(JP,A)
【文献】特表2006-502797(JP,A)
【文献】特表2016-530058(JP,A)
【文献】特許第5782665(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00-23/30
A43C 1/00-19/00
A43D 1/00-999/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先芯部と、内側側部と、外側側部と、開口した中央部と、かかと部とを含む履物アッパーであって、前記内側側部および前記外側側部は、各々が前記開口した中央部のいずれかの側で、前記先芯部からかかと部まで近接して延びている、履物アッパーと、
前記内側側部の遠位外部に沿って固定された第1の端部と、前記外側側部の遠位外部に沿って固定された第2の端部とを有する締めひもケーブルと、
前記内側側部および前記外側側部に沿って配置された複数の締めひもガイドであって、前記複数の締めひもガイドの各締めひもガイドは、前記締めひもケーブルの所定長さを受け入れるように適合され、前記締めひもケーブルは、前記開口した中央部を跨がずに、前記複数の締めひもガイドの各々を通って延びている、複数の締めひもガイドと、
少なくとも1つの内側側部の締めひもガイドを、前記開口した中央部を跨いで、対応する外側側部の締めひもガイドに結合する補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、少なくとも前記先芯部から足開口部に近接して延びている弾性中心線部を含み、
前記補強部材は、前記複数の締めひもガイドの少なくとも1つを覆う、履物アセンブリ。
【請求項2】
先芯部と、内側側部と、外側側部と、開口した中央部と、かかと部とを含む履物アッパーであって、前記内側側部および前記外側側部は、各々が前記開口した中央部のいずれかの側で、前記先芯部からかかと部まで近接して延びている、履物アッパーと、
前記内側側部の遠位外部に沿って固定された第1の端部と、前記外側側部の遠位外部に沿って固定された第2の端部とを有する締めひもケーブルと、
前記内側側部および前記外側側部に沿って配置された複数の締めひもガイドであって、前記複数の締めひもガイドの各締めひもガイドは、前記締めひもケーブルの所定長さを受け入れるように適合され、前記締めひもケーブルは、前記開口した中央部を跨がずに、前記複数の締めひもガイドの各々を通って延びている、複数の締めひもガイドと、
少なくとも1つの内側側部の締めひもガイドを、前記開口した中央部を跨いで、対応する外側側部の締めひもガイドに結合する補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、締めひもガイドのペアを、弾性布地により、前記履物アッパーの前記開口した中央部を跨いで結合し、
前記補強部材は、前記複数の締めひもガイドの少なくとも1つを覆う、履物アセンブリ。
【請求項3】
前記複数の締めひもガイドの各締めひもガイドは、前記締めひもケーブルを保持するためのU字状チャネルを形成する、請求項1又は2に記載の履物アセンブリ。
【請求項4】
各締めひもガイドにおける前記U字状チャネルは、締めひもループを前記締めひもガイドに引き込めるようにする開口チャネルである、請求項3に記載の履物アセンブリ。
【請求項5】
各締めひもガイドにおける前記U字状チャネルは、前記締めひもケーブルが管状構造に挿通された状態で、U字状に湾曲されたまたは形成された前記管状構造によって形成される、請求項3に記載の履物アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の締めひもガイドのパターンは、前記締めひもケーブルの締付け中の力またはトルク対締めひも変位曲線を均すように形成される、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項7】
前記複数の締めひもガイドの各締めひもガイドは、熱活性化接着剤を含むオーバーレイを各締めひもガイドを覆って圧迫した状態で、前記履物アッパーに固定される、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項8】
前記オーバーレイは、前記熱活性化接着剤を染み込ませた布地である、請求項7に記載の履物アセンブリ。
【請求項9】
前記複数の締めひもガイドの各締めひもガイドは、少なくとも最初に縫製によって前記履物アッパーに固定される、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項10】
前記複数の締めひもガイドの各締めひもガイドはさらに、熱活性化接着剤を含むオーバーレイを各締めひもガイドを覆って圧迫した状態で、前記履物アッパーに固定される、請求項9に記載の履物アセンブリ。
【請求項11】
前記複数の締めひもガイドのパターンは、前記内側側部および前記外側側部の各々に、前記履物アッパーの中心線に近接して3つのアッパー締めひもガイドを含む、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項12】
前記内側側部および前記外側側部の各々の上の前記3つのアッパー締めひもガイドの各々は、前記中心線から異なる距離だけ離間されている、請求項11に記載の履物アセンブリ。
【請求項13】
前記弾性布地は、前記締めひもケーブルの締付け中のトルク対締めひも変位曲線を均すように機能する、請求項2に記載の履物アセンブリ。
【請求項14】
前記補強部材は、可変弾性係数を与えて前記履物アッパーのフィット特性を変更するための異なる補強部材と置換え可能である、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項15】
前記履物アッパーは、前記複数の締めひもガイドの内側部と、前記複数の締めひもガイドの外側部との間に、前記先芯部から足開口部まで延びているジッパーを含む、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項16】
前記締めひもケーブルは、前記履物アッパーの下に通されて、前記履物アセンブリの下部に配置されるひも締めエンジンに係合する、請求項1に記載の履物アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動履物プラットフォーム用のひも締めアーキテクチャに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下の明細書は、電動または非電動のひも締めエンジンと、ひも締めエンジンに関連す
る履物構成要素と、自動ひも締め履物プラットフォームと、関連する製造プロセスとを含
むひも締めシステムを伴う履物アセンブリのさまざまな態様について記載している。より
具体的には、以下の明細書の大部分は、集中型の締めひも締付け用の電動または非電動の
ひも締めエンジンを含む履物に用いられるひも締めアーキテクチャ(構成)のさまざまな
態様について記載している。
【0003】
必ずしも縮尺通りには描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図における
類似の構成要素を表すことがある。異なる添字を持つ同様の数字は、類似の構成要素の異
なる事例を表している可能性がある。図面は、限定ではなく例として、本書で述べるさま
ざまな実施形態を大略的に図示する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めシステムを有する履物アセンブリの一部の構成要素の分解図である。
図2】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリとともに用いられるひも締めアーキテクチャを示す平面図である。
図3A】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する、平らな履物アッパーを示す平面図である。
図3B】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する、平らな履物アッパーを示す平面図である。
図3C】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する、平らな履物アッパーを示す平面図である。
図4】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する履物アッパーの一部を示す図である。
図5】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する履物アッパーの一部を示す図である。
図6】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する履物アッパーの一部を示す図である。
図7A】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する履物アッパーの一部を示す図である。
図7B】いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャを有する履物アッパーの一部を示す図である。
図7C】いくつかの例示的な実施形態による、履物アセンブリに用いられる変形可能な締めひもガイドを示す図である。
図7D】いくつかの例示的な実施形態による、履物アセンブリに用いられる変形可能な締めひもガイドを示す図である。
図7E】いくつかの例示的な実施形態による、変形可能な締めひもガイドの場合のさまざまなトルク対締めひも変位曲線を示すグラフである。
図8A】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図8B】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図8C】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図8D】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図8E】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図8F】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図8G】いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチャに用いられるひも締めガイドを示す図である。
図9】いくつかの例示的な実施形態による、ひも締めエンジンを含む履物のアセンブリのための履物組立てプロセスを示すフローチャートである。
図10】いくつかの例示的な実施形態による、ひも締めエンジンを含む履物のアセンブリのための履物組立てプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本書に記載されている見出しは、どれも単に便宜上のものであり、必ずしも使用されて
いる用語またはその見出しの下での議論の範囲または意味に影響を及ぼすものではない。
自動的に締まる靴ひものコンセプトは、1989年に公開された映画「バック・トゥ・
ザ・フューチャー2(Back to the Future II)」でマーティ・マ
クフライ(Marty McFly)が履いた、架空の電動靴ひも締めNike(登録商
標)スニーカーによって、最初に広く一般に広められた。Nike(登録商標)はその後
、「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」の映画の小道具版に外観が似た、電動靴ひも締
めスニーカーの少なくとも1つのバージョンを発売したが、採用した内部メカニカルシス
テムおよび周辺の履物プラットフォームは、必ずしも大量生産または日常的な使用に適し
ていない。さらに、他のこれまでの電動ひも締めシステムの設計は、製造コストの高さ、
複雑さ、組立ての難しさ、および保守性の不十分さなどの問題をかなり抱えている。本発
明者らは、特に、上で挙げた問題のいくつかまたは全部を解決する、電動および非電動の
ひも締めエンジンに適合するモジュール式履物プラットフォームを開発した。以下で簡単
に議論されており、かつ「自動化されたフットウェア・プラットフォームのためのレーシ
ング装置(LACING APPRATUS FOR AUTOMATED FOORW
EAR PLATFORM)」と題された同時係属の米国特許出願第62/308686
号明細書で詳細に議論されているモジュール式ひも締めエンジンを十分に活用するために
、本発明者らは、本書で議論されているひも締めアーキテクチャを開発した。本書で議論
されているひも締めアーキテクチャは、集中型締めひも締付け機構が直面するさまざまな
問題、例えば、不均一な締付け、フィット性、快適性およびパフォーマンスを解決するこ
とができる。ひも締めアーキテクチャは、より長い締めひも移動距離にわたって締めひも
張力を均すこと、およびフィット性能を維持しながらの快適性の向上を含むさまざまな利
益をもたらす。快適性の向上に関する一態様は、足の上部での圧力を低下させるひも締め
アーキテクチャを含む。また、例示的なひも締めアーキテクチャは、内側‐外側方向と前
後(縦)方向との両方において締めひも張力を操作することにより、フィット性およびパ
フォーマンスを向上させることもできる。以下で説明する構成要素の、他のさまざまな利
益は、当業者には明白であろう。
【0006】
議論されているひも締めアーキテクチャは、履物アセンブリのミッドソール部内に配置
されたモジュール式ひも締めエンジンと連動するように明確に開発された。しかし、その
概念は、履物の周りのさまざまな位置、例えば、履物プラットフォームのかかとの中また
はさらにはつま先部の中に設けられた、電動および手動のひも締め機構にも当てはめるこ
とができるであろう。議論されているひも締めアーキテクチャは、数ある形状および材料
の中でも特に、管状プラスチック、金属クリップ、布地ループまたはチャネル、プラスチ
ッククリップおよび開口U字状チャネルから形成することができる締めひもガイドの利用
を含む。いくつかの実施例においては、さまざまな異なる種類のひも締めガイドを、ひも
締めアーキテクチャ内の特定の締めひも経路指定機能を実行するように混合することがで
きる。
【0007】
以下で議論する電動ひも締めエンジンは、自動ひも締め履物アーキテクチャの、強固で
、実用的でかつ交換可能な構成要素を提供するように徹底的に開発された。ひも締めエン
ジンは、小売り段階でのモジュール式履物プラットフォームへの最終的な組立てを可能に
する、固有の設計要素を含んでいる。ひも締めエンジン設計は、標準的な組立てプロセス
への独特な適応が依然として現在の組立て資源を活用できる状態で、公知の組立て技術を
活用する履物組立てプロセスの大部分を可能にする。
【0008】
一実施例において、モジュール式の自動ひも締め履物プラットフォームは、ひも締めエ
ンジンを収容するためにミッドソールに固定されたミッドソールプレートを含む。ミッド
ソールプレートの設計は、購入時点のような遅い時点であってもひも締めエンジンを履物
プラットフォームに入れることができるようになっている。ミッドソールプレートと、モ
ジュール式の自動履物プラットフォームの他の態様は、交換可能に使用される異なる種類
のひも締めエンジンを可能にする。例えば、以下で議論する電動ひも締めエンジンは、人
力によるひも締めエンジンと取り換えることができるであろう。あるいは、足存在検知機
能または任意の他の機能を有する全自動電動ひも締めエンジンを、標準的なミッドソール
プレート内に収容することができるであろう。
【0009】
電動または非電動の集中型ひも締めエンジンを利用して運動用履物を締め付けることは
、ある程度の快適性を犠牲にすることなく十分なパフォーマンスを提供する際に、いくつ
かの問題を呈する。本書で議論されているひも締めアーキテクチャは、これまで、集中型
ひも締めエンジンとともに使用するために明確に設計され、およびカジュアルから高性能
までのさまざまな履物設計を可能にするように設計されてきた。
【0010】
この冒頭の概要は、本特許出願の主題を紹介することを意図している。以下のより詳細
な説明で開示されているさまざまな発明に関する排他的または包括的な説明を提供するこ
とは意図されていない。
【0011】
自動履物プラットフォーム
以下では、電動ひも締めエンジンと、ミッドソールプレートと、上記プラットフォーム
の他のさまざまな構成要素とを含む、自動履物プラットフォームのさまざまな構成要素に
ついて議論している。この開示の大部分は、電動ひも締めエンジンとともに用いるための
ひも締めアーキテクチャに重点を置いているが、議論されている設計は、人手によるひも
締めエンジン、または、追加的な能力もしくはより少ない能力を備えた他の電動ひも締め
エンジンに適用可能である。したがって、「自動履物プラットフォーム」で用いられてい
る「自動」という用語は、ユーザ入力なしに作動するシステムだけをカバーすることを意
図していない。正確に言えば、「自動履物プラットフォーム」という用語は、履物のひも
締めまたは保持システムを締め付けるための、さまざまな電動および人力の、自動的に作
動されるおよび人が作動させる機構を含む。
【0012】
図1は、いくつかの例示的な実施形態による、履物用の電動ひも締めシステムの構成要
素の分解図である。図1に示す電動ひも締めシステム1は、ひも締めエンジン10と、蓋
20と、アクチュエータ30と、ミッドソールプレート40と、ミッドソール50と、ア
ウトソール60とを含む。図1は、自動ひも締め履物プラットフォームの構成要素の基本
的な組立て順序を示している。電動ひも締めシステム1は、ミッドソールプレート40が
ミッドソール内に固定されることから始まる。次に、アクチュエータ30が、アウトソー
ル60内に埋め込むことができるインタフェースボタンとは反対側のミッドソールプレー
トの外側側部の開口部に挿入される。次いで、ひも締めエンジン10が、ミッドソールプ
レート40内に入れられる。一実施例において、ひも締めシステム1は、ひも締めケーブ
ルの連続ループの下に挿入され、ひも締めケーブルは、ひも締めエンジン10内のスプー
ルと位置合わせされる(以下で議論する)。最後に、蓋20が、ミッドソールプレート4
0の溝に挿入されて、閉位置に固定されて、ミッドソールプレート40の凹部にラッチ係
合される。蓋20は、ひも締めエンジン10を捕捉することができ、および動作中のひも
締めケーブルの位置合わせを維持するのを支援することができる。
【0013】
一実施例において、履物製品または電動ひも締めシステム1は、足存在特性をモニタす
るかまたは判断することができる1つ以上のセンサを含むか、または、該センサと連動す
るように構成されている。電動ひも締めシステム1を含む履物は、1つ以上の足存在セン
サからの情報に基づいて、さまざまな機能を実行するように構成することができる。例え
ば、足存在センサは、履物内に足が存在しているか存在していないかに関する二値情報を
提供するように構成することができる。足存在センサからの二値信号が、足が存在してい
ることを示している場合には、電動ひも締めシステム1を、例えば、履物ひも締めケーブ
ルを自動的に締め付けるか、または弛緩させる(すなわち、緩める)ように作動させるこ
とができる。一実施例において、履物製品は、足存在センサからの信号を受信または解釈
することができるプロセッサ回路を含む。プロセッサ回路は、任意選択で、ひも締めエン
ジン10内に、またはひも締めエンジンとともに、例えば、履物製品のソール内に埋め込
むことができる。
【0014】
ひも締めアーキテクチャ
図2は、いくつかの例示的な実施形態による、例示的なひも締め構成を示すアッパー2
00の平面図である。この実施例では、アッパー205は、締めひも210およびひも締
めエンジン10に加えて、外側締めひも固定部215と、内側締めひも固定部216と、
外側締めひもガイド222と、内側締めひもガイド220と、ブリオケーブル(brio
cable)225とを含む。図2に示す実施例は、斜め方向の締めひもパターンが、
重なっていない内側および外側の締めひも経路を含んでいる連続ニット布地アッパー20
5を含んでいる。締めひも経路は、外側締めひも固定部215で始まって、外側締めひも
ガイド222を通って、ひも締めエンジン10を通り、上方に向かって内側締めひもガイ
ド220を通って内側締めひも固定部216に戻って形成されている。この実施例では、
締めひも210は、外側締めひも固定部215から内側締めひも固定部216まで連続ル
ープを形成している。この実施例では、内側から外側への締付けは、ブリオケーブル22
5を介して伝えられる。他の実施例では、締めひも経路は、アッパー205を横切る内側
‐外側方向に締付け力を伝えるための追加的な形状構成を交差させるか、または組み込ん
でもよい。さらに、連続締めひもループという概念は、中央(内側)ギャップと締めひも
210とが、中央ギャップを横切って行ったり来たりして交差している、より従来的なア
ッパーに組み込むことができる。
【0015】
図3A図3Cは、いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む
履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャ300を用いた、平らな履物アッパ
ー305を示す平面図である。例示的な履物アッパーについて議論するために、アッパー
305は、履物アセンブリの右足バージョンへの組み込みのために設計されると仮定する
図3Aは、図示されているようなひも締めアーキテクチャ300を有する、平らな履物
アッパー305の平面図である。この実施例では、履物アッパー305は、締めひもケー
ブル310が締めひもガイド320を通っている状態の一連の締めひもガイド320A~
320J(まとめて締めひもガイド320と呼ぶ)を含む。締めひもケーブル310は、
この実施例では、ループの中間部分が、履物アセンブリのミッドソール内のひも締めエン
ジン内に通されている状態で、外側締めひも固定部345Aおよび内側締めひも固定部3
45B(まとめて締めひも固定点345と呼ぶ)においてアッパー305のいずれかの側
で終端されているループを形成している。また、アッパー305は、一連の締めひもガイ
ド320の各々と関連付けられている補強部も含んでいる。補強部は、個々の締めひもガ
イドをカバーすること、または、複数の締めひもガイドに及ぶことが可能である。この実
施例では、補強部は、中央補強部325と、第1の外側補強部335Aと、第1の内側補
強部335Bと、第2の外側補強部330Aと、第2の内側補強部330Bとを含む。締
めひもケーブル310の中間部分は、外側後方締めひもガイド315Aおよび内側後方締
めひもガイド315Bを介して、ひも締めエンジンへおよびそれらの後方締めひもガイド
から通されるか、またはひも締めエンジンへもしくはそれらの後方締めひもガイドから通
されて、外側締めひも出口340Aおよび内側締めひも出口340Bを通って、アッパー
300から抜け出てアッパー300に入るか、またはアッパー300から抜け出るかもし
くはアッパー300に入る。
【0016】
アッパー305は、異なる部分、例えば、足先(つま先)部307と、中足部308と
、かかと部309とを含むことができる。足先部307は、足の中足骨と指骨とを接続す
る関節に対応する。中足部308は、足のアーチ区域に対応していてもよい。かかと部3
09は、足の後部またはかかと部分に対応していてもよい。アッパー305の中足部の内
側側部および外側側部は、中央部306を含むことができる。いくつかの一般的な履物設
計において、中央部306は、足の周りの履物アッパーのフィット性を調節できるように
なっている、締めひもの交差(または同様の)パターンが及んでいる開口部を含むことが
できる。開口部を含む中央部306は、履物アセンブリからの足の出し入れも容易にする
【0017】
締めひもガイド320は、アッパー305の外側側部および内側側部の各々に沿ったパ
ターンを介して締めひもケーブル310を通すと同時に締めひもケーブル310を保持す
るための、管状またはチャネル構造である。この実施例では、締めひもガイド320は、
アッパー305の内側側部および外側側部に沿って周期的に行ったり来たりする本質的に
正弦波状のパターンで展開されたU字状のプラスチックチューブである。締めひもケーブ
ル310が完了する周期の数は、靴のサイズによって変わる可能性がある。より小さなサ
イズの履物アセンブリは、1.5周期に適応できるに過ぎず、例示的なアッパー305は
、内側後方締めひもガイド315Bまたは外側後方締めひもガイド315Aに入る前に、
2.5周期に適応している。該パターンは、この実施例では、少なくともU字状のガイド
が、純粋な正弦波の山または谷よりも幅広のプロファイルを有しているため、本質的に正
弦波として説明される。他の実施例では、純粋な正弦波パターンにより近いパターンを利
用することができるであろう(綿密に湾曲された締めひもガイドの大量使用なくしては、
純粋な正弦波は、締めひもが締めひもガイド間に張り渡された状態で容易には実現されな
い)。締めひもガイド320の形状は、いろいろなトルク対締めひも変位の曲線を生じる
ように変えることができ、この場合、トルクは、靴のミッドソール内のひも締めエンジン
で測定される。よりタイトな半径曲線を有する締めひもガイドを使用すること、または、
より高い頻度の波形パターン(例えば、より多くの締めひもガイドを伴う、より多くの数
の周期)を含むことは、トルク対締めひも変位曲線に対する変化をもたらす可能性がある
。例えば、よりタイトな半径の締めひもガイドの場合、締めひもケーブルはより高い摩擦
を受け、そのことは、より高い初期トルクを生じさせる可能性があり、それにより、トル
ク対締めひも変位曲線を超えるトルクを均すように見える可能性がある。しかし、いくつ
かの実施態様では、トルク対締めひも変位曲線を均すのを支援するために締めひもガイド
配置パターンまたは締めひもガイド設計を利用しつつ、(例えば、締めひもガイド内の摩
擦を低く保つことにより)低い初期トルクレベルを維持することがより好ましい可能性が
ある。このような1つの締めひもガイド設計は、図7Aおよび図7Bに関連して議論され
、別の代替的な締めひもガイド設計が、図8A図8Gに関連して議論されている。これ
らの図面に関連して議論されている締めひもガイドに加えて、締めひもガイドは、プラス
チック、ポリマー、金属または布地から製作することができる。例えば、締めひもケーブ
ルを所望のパターンで通すために、布地の層を、成形チャネルを形成するのに用いること
ができる。以下で議論するように、プラスチックまたは金属のガイドと布地オーバーレイ
との組合せは、議論しているひも締めアーキテクチャで利用するためのガイド構成要素を
生成するのに用いることができる。
【0018】
図3Aを参照すると、補強部325、335および330が、異なる締めひもガイド、
例えば、締めひもガイド320と関連付けられて図示されている。一実施例において、補
強部335は、締めひもガイド320G、320Hの上部を覆って付着させることができ
る熱活性化接着剤を浸み込ませた布地を含むことができ、そのプロセスは、ホットメルト
と呼ばれる場合もある。補強部325等の補強部は、多数の締めひもガイドを覆うことが
でき、例えば、この実施例では、履物の中央部、例えば、中央部306に隣接して配置さ
れた6つのアッパー締めひもガイドを覆っている。別の実施例では、補強部325は、中
央部306の真ん中で分割して、中央部306の外側側部に沿った締めひもガイドとは独
立して、中央部306の内側側部に沿って締めひもガイドを覆っている2つの部材を構成
することができる。また別の代替的な実施例では、補強部325は、個々の締めひもガイ
ドを覆う6つの独立した補強部に分けることができる。補強部の利用は、締めひもガイド
と、下にある履物アッパー、例えば、アッパー305との間の相互作用の動力学を変化さ
せるように変えることができる。また、補強部は、縫製、接着剤、または、メカニズムの
組合せを含むさまざまな他の方法でアッパー305に付着させることもできる。補強材に
使用する種類の布地または材料とともに、補強材を付着させる方法は、締めひもガイドを
通っている締めひもケーブルが受ける摩擦にも影響を与える可能性がある。例えば、他の
フレキシブルな締めひもガイドを覆ってホットメルト処理されたより固い材料は、締めひ
もケーブルが受ける摩擦を増す可能性がある。対照的に、締めひもガイドを覆って付着さ
れたフレキシブルな材料は、締めひもガイドのさらなる柔軟性を維持することによって摩
擦を低減することができる。
【0019】
上述したように、図3Aは、内側および外側のアッパー締めひもガイド(320A、3
20B、320E、320F、320Iおよび320J)に及ぶ単一部材である中央補強
部325を示す。補強部325が、下にある履物アッパー、この実施例ではアッパー30
5よりも柔軟性が小さい、より固い材料であると仮定すると、その履物アセンブリの、結
果として生じる中央部306は、あまり寛容ではないフィット特性を呈するであろう。い
くつかの用途においては、より固い、あまり寛容ではない中央部306が望ましい可能性
がある。しかし、中央部306にわたるより大きな柔軟性が望ましい用途では、中央補強
部325は、2つ以上の補強部に分けることができる。特定の用途において、分けられた
中央補強部は、中央部306にフィットするより多くの形態を可能にするさまざまなフレ
キシブルまたは弾性の材料を用いて、中央部306にわたって結合することができる。い
くつかの実施例において、アッパー305は、例えば締めひもガイド410と弾性部材4
40とによって図4に少なくとも一部が図示されているように、中央部306の全長にわ
たっている小さなギャップを、1つ以上の弾性部材が小さなギャップにかけ渡されて複数
の中央補強部を接続している状態で有することができる。
【0020】
図3Bは、図示されているようなひも締めアーキテクチャ300を有する、平らな履物
アッパー305の別の平面図である。この実施例では、履物アッパー305は、補強部3
25、330および335の構成に対する変更を伴う、締めひもガイド320を含む同様
の締めひもガイドパターンを含む。上述したように、補強部構成に対する変更は、少なく
ともわずかに異なるフィット特性をもたらし、また、トルク対締めひも変位曲線も変える
可能性がある。
【0021】
図3Cは、例示的な実施形態による、平らな履物アッパーに関して図示した一連のひも
締めアーキテクチャの実施例である。締めひもアーキテクチャ300Aは、図3Aに関連
して説明した正弦波パターンと同様の締めひもガイドパターンを示し、個々の補強部が各
個別の締めひもガイドを覆っている。締めひもアーキテクチャ300Bは、ここでもまた
、上方の締めひもガイドのペアを覆っている細長い補強部が、中央部と個別の下方の締め
ひもガイドとにわたって及んでいる、パラシュートひも締めとも呼ばれる波状ひも締めパ
ターンを示している。締めひもアーキテクチャ300Cは、単一の中央補強部を有するま
た別の波状ひも締めパターンである。締めひもアーキテクチャ300Dは、個々の補強部
が、個別の締めひもガイドを覆ってフィットするように形成するためにカットされている
、三角形状の締めひもパターンを導入している。締めひもアーキテクチャ300Eは、三
角形状の締めひもパターンにおける補強部構成の変形例を示す。最後に、締めひもアーキ
テクチャ300Fは、中央補強部と、統合した下方補強部とを含む補強部構成の別の変形
例を示す。
【0022】
図4は、いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセン
ブリに用いられるひも締めアーキテクチャ400を有する履物アッパー405の一部を示
す図である。この実施例では、アッパー405の内側部は、締めひもガイド410が、締
めひもケーブル430を内側出口ガイド435まで通している状態で図示されている。締
めひもガイド410は、締めひもガイド構成要素415を形成するように、補強部420
内に入れられ、締めひもガイド構成要素の少なくとも一部は、アッパー405上に再配置
可能になっている。一実施例において、締めひもガイド構成要素415は、面ファスナ材
料で裏打ちされ、アッパー405は、面ファスナ材料を受け入れ可能な面を形成している
。この実施例では、締めひもガイド構成要素415は、アッパー405が、締めひもガイ
ド構成要素415を受け入れるようにニットループ面を形成している状態で、フック部で
裏打ちすることができる。別の実施例では、締めひもガイド構成要素415は、トラック
、例えば、トラック445と係合するように一体化されたトラックインタフェースを有す
ることができる。トラックベースの一体化は、安全で限定された移動、運動オプションを
締めひもガイド構成要素415に与える。例えば、トラック445は、中央部450の長
手方向軸に本質的に直角に通っており、そのトラックの長さに沿って締めひもガイド構成
要素415を配置することを可能にしている。いくつかの実施例において、トラック44
5は、中央部450のいずれかの側で締めひもガイド構成要素を保持するために、外側側
部から内側側部まで及んでいることが可能である。すべての締めひもガイド構成要素41
5を保持するために、同様のトラックを適切な位置に配置することができ、履物アッパー
405上のすべての締めひもガイドに対する制限方向での調節を可能にしている。
【0023】
履物アッパー405は、中央弾性部材、例えば、弾性部材440を含む別の例示的なひ
も締めアーキテクチャを示している。これらの実施例において、内側側部および外側側部
に沿った少なくともアッパー締めひもガイド構成要素は、異なるレベルのフィット性およ
びパフォーマンスを実現するための異なる履物設計を可能にする弾性部材を用いて、中央
部450にわたって接続することができる。例えば、広範囲の横方向運動を通じて足を固
定する必要がある高パフォーマンスのバスケットボールシューズは、確実にぴったりフィ
ットするように、高い弾性係数を有する弾性部材を用いることができる。別の実施例では
、ランニングシューズは、長距離の路上ランニング対高レベルの横方向運動抑制の実現に
対する快適性に重点を置くように設計されている可能性があるため、ランニングシューズ
は、低い弾性係数を有する弾性部材を用いることができる。特定の実施例では、弾性部材
440は、弾力性のレベルの調節を可能にする機構と置換え可能にすることができるか、
または、その機構を含むことができる。上述したように、いくつかの実施例では、履物ア
ッパー、例えば、アッパー405は、内側側部と外側側部を少なくとも部分的に分けてい
る、中央部450に沿ったギャップを含むことができる。中央部450に沿った小さなギ
ャップの場合でも、弾性部材、例えば、弾性部材440は、そのギャップに亘らせるのに
用いることができる。
【0024】
図4は、単一のトラック445または単一の弾性部材440を例示しているにすぎない
が、それらの要素は、特定のひも締めアーキテクチャにおける締めひもガイドのいずれか
またはすべてに対して複製することができる。
【0025】
図5は、いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセン
ブリに用いられるひも締めアーキテクチャ400を有する履物アッパー405の一部を示
す図である。この実施例では、図4に示す中央部450は、この実施例では中央ジッパー
465として図示されている中央クロージャ機構460と置き換えられている。中央クロ
ージャ機構は、容易な出し入れのための、履物アッパー405における、より幅広の開口
部を可能にするように設計されている。中央ジッパー465は、足の出し入れを可能にす
るように容易に開けることができる。他の実施例では、中央クロージャ460は、面ファ
スナ、スナップ、留め金、トグル、補助的な締めひも、または、何らかの同様のクロージ
ャ機構とすることができる。
【0026】
図6は、いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む履物アセン
ブリに用いられるひも締めアーキテクチャ600を有する履物アッパー405の一部を示
す図である。この実施例では、ひも締めアーキテクチャ600は、かかとひも締めガイド
610およびかかと補強部620ならびにかかとリダイレクトガイド610およびかかと
出口ガイド635を含むかかとひも締め構成要素615を追加している。かかとリダイレ
クトガイド610は、締めひもケーブル430を、出ていく最後の締めひもガイド410
からかかとひも締め構成要素615の方へシフトさせる。かかとひも締め構成要素615
は、かかと補強部620を用いてかかとひも締めガイド610から形成されている。かか
とひも締めガイド610は、アッパー405上の他の位置で使用されるひも締めガイドと
同様の形状を有して図示されている。しかし、他の実施例では、かかとひも締めガイド6
10は、他の形状とすることができるか、または、複数の締めひもガイドを含むことがで
きる。この実施例では、かかと締めひも構成要素615は、かかとトラック645上に取
付けられて、かかと締めひも構成要素615の位置の調節機能を可能にしている。上述し
た調節可能な締めひもガイドと同様に、かかと締めひも構成要素615の位置決めの調節
を可能にするために、他の機構、例えば、面ファスナまたは同等の締付け機構を用いるこ
とができる。
【0027】
いくつかの実施例において、アッパー405は、上述した中央部450と同様に、クロ
ージャ機構を含むことができるかかと隆起部650を含む。かかとクロージャ機構を有す
る実施例では、かかとクロージャ機構は、従来の履物アセンブリの足開口部を拡大するこ
とにより、その履物からの容易な出し入れを実行できるように設計されている。さらに、
いくつかの実施例では、かかとひも締め構成要素615を、(かかとクロージャ機構とと
もに、または該機構なしで)かかと隆起部650にわたって、反対側の適合するかかとひ
も締め構成要素に接続することができる。この接続は、弾性部材440と同様の弾性部材
を含むことができる。
【0028】
図7A図7Bは、いくつかの例示的な実施形態による、電動ひも締めエンジンを含む
履物アセンブリに用いられるひも締めアーキテクチャ700を有する履物アッパー405
の一部を示す図である。この実施例では、ひも締めアーキテクチャ700は、締めひも7
30を通すための締めひもガイド710を含んでいる。締めひもガイド710は、関連す
る補強部720を含むことができる。この実施例では、締めひもガイド710は、図7A
に示す初期開位置から、図7Bに示す撓んだ閉位置への締めひもガイド710の一部の撓
み(参照のために、仮想線が各図面の対向位置を示している)を可能にするように構成さ
れている。この実施例では、締めひもガイド710は、初期開位置と閉位置との間の約1
4度の撓みを呈する延在部を含む。他の実施例は、締めひもガイド710の最初の位置と
最後の位置(または形状)との間で多少の撓みを呈する可能性がある。締めひもガイド7
10の撓みは、締めひも730が締め付けられたときに起こる。締めひもガイド710の
撓みは、ある程度の初期張力を締めひも730に印加することにより、および締付けプロ
セス中の締めひも張力を分散させるための追加的な機構を設けることにより、トルク対締
めひも変位曲線を均すように作用する。したがって、撓み位置の初期形状において、締め
ひもガイド710は、締めひもケーブルにある程度の初期張力を生じさせ、そのこともま
た、締めひもケーブルにおける緩みを取るように機能する。締めひもケーブルの締付けが
始まると、締めひもガイド710が撓むかまたは変形する。
【0029】
締めひもガイド710は、この実施例では、プラスチックチューブまたはポリマーチュ
ーブであり、それらのチューブの具体的な組成により、異なる弾性係数を有することがで
きる。締めひもガイド710の弾性係数は、補強部720の構成とともに、締めひもガイ
ド710の撓みによる締めひも730に生じた追加的な張力の量を制御する。締めひもガ
イド710の端部(脚部または延在部)の弾性変形は、締めひもガイド710が元の形状
に戻ろうとする際に、締めひも730に継続的な張力を生じさせる。いくつかの実施例で
は、締めひもガイド全体は、締めひもガイドの全長にわたって均一に撓む。他の実施例で
は、撓みは、延在部が実質的に直線状のままの状態で、主に締めひもガイドのU字状の部
分で生じる。さらに他の実施例では、延在部は、そのU字状の部分が相対的に固定された
状態で、ほとんどの撓みに適応する。
【0030】
補強部720は、締めひもガイド710の端部の動きを可能にする方法で、締めひもガ
イド710を覆って付着されている。いくつかの実施例において、補強部720は、上述
したホットメルトプロセスによって付着され、熱活性化接着剤の配置は、締めひもガイド
710の撓みを可能にする開口部を可能にしている。他の実施形態では、補強部720は
、所定の位置に縫い込むことができるか、または、接着剤と縫製との組合せを利用するこ
とができる。補強部720がどのように付着されるかまたは構成されるかということは、
締めひもケーブルからの負荷下で締めひもガイドのどの部分が撓むか、ということに影響
を与える。いくつかの実施例において、ホットメルトは、締めひもガイドのU字状の部分
の周りに集中して、延在部(脚部)がより自由に撓むようにしている。
【0031】
図7C図7Dは、いくつかの例示的な実施形態による、履物アセンブリに用いられる
変形可能な締めひもガイド710を示す図である。この実施例では、図7Aおよび図7B
に関連して上記で紹介したひも締めガイド710について、さらに詳細に議論する。図7
Cは、第1の(開)状態の締めひもガイド710を示し、これは、変形していない状態と
見なすことができる。図7Dは、第2の(閉/撓んだ)状態の締めひもガイド710を示
し、これは、変形した状態と見なすことができる。締めひもガイド710は、3つの異な
る区画、例えば、中間区画712と、第1の延在部714と、第2の延在部716とを含
むことができる。また、締めひもガイド710は、締めひも収容開口部740と、締めひ
も出口開口部742も含むことができる。上述したように、締めひもガイド710は、異
なる弾性係数を有することができ、そのことが、特定の印加張力を用いた変形のレベルを
制御する。いくつかの実施例では、締めひもガイド710は、異なる区画が異なる弾性係
数を有する状態で、例えば、中間区画712が第1の弾性係数を有し、第1の延在部が第
2の弾性係数を有し、および第2の延在部が第3の弾性係数を有する状態で構成すること
ができる。特定の実施例において、第2および第3の弾性係数は、実質的に同じにするこ
とができ、第1の延在部および第2の延在部の同様の撓みまたは変形を生じさせる。この
実施例では、「実質的に同様」とは、これらの弾性係数が互いの数パーセント内にあると
解釈することができる。いくつかの実施例では、締めひもガイド710は、頂点746に
おける高い係数から、第1の延在部と第2の延在部との外端部に向かう低い係数まで変わ
る可変弾性係数を有することができる。これらの実施例では、それらの係数は、締めひも
ガイド710の壁厚に基づいて変化する可能性がある。
【0032】
締めひもガイド710は多くの有用な軸を画定し、変形可能な締めひもガイドがどのよ
うに機能するかを説明している。例えば、第1の延在部714は、第1の入ってくる締め
ひも軸750を画定することができ、この軸は、第1の延在部714内に画定されている
内方チャネルの少なくとも外方部分と位置合わせされている。第2の延在部716は、第
1の出ていく締めひも軸760を画定し、この軸は、第2の延在部716内に画定されて
いる内方チャネルの少なくとも外方部分と位置合わせされている。締めひもガイド710
は、変形時に、第2の入ってくる締めひも軸752と、第2の出ていく締めひも軸762
とを画定し、これらの軸は各々が、第1の延在部および第2の延在部のそれぞれの部分と
位置合わせされている。また、締めひもガイド710は、頂点746において締めひもガ
イド710と交差し、および第1の延在部および第2の延在部から等距離にある中間軸7
44も含んでいる(図7Cに示すような、変形していない状態での対称的な締めひもガイ
ドを想定する)。
【0033】
図7Eは、いくつかの例示的な実施形態による、変形可能な締めひもガイドの場合のさ
まざまなトルク対締めひも変位曲線を示すグラフ770である。上述したように、締めひ
もガイド710を用いて達成される利益のうちの1つは、トルク(または締めひも張力)
対締めひも変位(または短縮)曲線を修正することを含む。曲線776は、例示的なひも
締めアーキテクチャで用いられる変形不能の締めひもガイドの場合のトルク対変位曲線を
示す。曲線776は、締付けプロセスの終了近くでの短い変位に関する急速な張力の増加
を、締めひもがどのように受けるかを示している。対照的に、曲線778は、例示的なひ
も締めアーキテクチャで用いられる第1の変形可能な締めひもガイドの場合のトルク対変
位曲線を示す。キュア778は、曲線776と同様の様式で始まるが、締めひもガイドは
、追加的な締めひも張力で変形するため、その曲線は平坦化されて、より大きな締めひも
変位にわたって増加する張力をもたらす。曲線を平坦化することは、エンドユーザのため
の履物のフィット性およびパフォーマンスのさらなる制御を可能にする。
【0034】
最後の実施例は、3つのセグメント、すなわち、初期締付けセグメント780と、適応
セグメント782と、反応セグメント784とに分けられる。セグメント780、782
、784は、トルクと結果として生じる変位とが所望されるどのような状況においても利
用することができる。しかし、反応セグメント784は、特に、電動ひも締めエンジンが
、予期せぬ外部要因に対する締めひもの変位において、急激な変化または補正を実行する
状況、例えば、着用者が突然動くのを止めて、比較的高い負荷が締めひもに生じた状況に
おいて利用することができる。対照的に、適応セグメント782は、締めひもにかかる負
荷の変化を予測することができるため、例えば、負荷の変化がそれほど急激ではない可能
性があり、または、活動の変化が着用者によって電動ひも締めエンジンに入力されるため
、または、電動ひも締めエンジンは、機械学習によって活動の変化を予測することができ
るため、締めひものより漸進的な変位が利用される可能性がある場合に用いることができ
る。この最後の実施例をもたらす変形可能な締めひもガイドの設計は、締めひもガイドの
構造設計(例えば、チャネル形状、材料選択、または、パラメータの組合せ)によって適
応セグメント782および反応セグメント784を生ずるように設計される。最後の実施
例を生じるひも締めアーキテクチャおよび締めひもガイドは、図示されている初期の締付
けセグメント780をもたらす締めひもケーブルにおける予備張力も生成する。
【0035】
図8A図8Fは、いくつかの例示的な実施形態による、特定のひも締めアーキテクチ
ャに用いられる例示的なひも締めガイド800を示す図である。この実施例では、開口し
た締めひもチャネルを有する代替的な締めひもガイドが図示されている。以下で説明する
ひも締めガイド800は、締めひもガイド410、かかと締めひもガイド610、または
さらには内側出口ガイド435に関連して上述したひも締めアーキテクチャのいずれかに
おいて代用することができる。上述したさまざまな構成のすべてについては、完結にする
ためにここでは繰り返さない。ひも締めガイド800は、ガイドタブ805と、ステッチ
開口部810と、ガイド上面815と、締めひもリテーナ820と、締めひもチャネル8
25と、チャネル半径830と、締めひもアクセス開口部840と、ガイド下面845と
、ガイド半径850とを含む。開口チャネル締めひもガイド、例えば、ひも締めガイド8
00の利点は、履物アッパーへの締めひもガイドの取付け後に、締めひもケーブルを容易
に通す能力を含む。上述した締めひもアーキテクチャの実施例の多くで図示されている管
状の締めひもガイドの場合、締めひもガイドに締めひもケーブルを通すことは、(後では
実現できないとは言わないまでも)締めひもガイドを履物アッパーに付着させる前に最も
容易に実現される。開口チャネル締めひもガイドは、締めひもガイド800が、履物アッ
パー上に配置された後に、締めひもケーブルが、単純に締めひもリテーナ820の傍に通
されることを可能にすることにより、シンプルな締めひもルーティングを容易にする。ひ
も締めガイド800は、金属またはプラスチックを含むさまざまな材料から製作すること
ができる。
【0036】
この実施例では、ひも締めガイド800は、最初に、縫製または接着剤により、履物ア
ッパーに取付けることができる。図示されている設計は、履物アッパー(または、同様の
材料)へのひも締めガイド800の簡単な手動縫製または自動縫製を可能にするように構
成されているステッチ開口部810を含む。一旦、ひも締めガイド800が履物アッパー
に取付けられると、締めひもケーブルのループを単純に締めひもチャネル825内に引き
入れることによって締めひもケーブルを通すことができる。締めひもアクセス開口部84
0は、締めひもケーブルが締めひもリテーナ820の周りで動き回るためのリリーフ凹部
を形成するように、下面845を貫通して延びている。いくつかの実施例では、締めひも
リテーナ820は、異なる寸法にすることができ、または、さらには複数のより小さな突
出部に分けることもできる。一実施例において、締めひもリテーナ820は、幅をより狭
くすることができるが、さらにアクセス開口部840に向かって、またはアクセス開口部
内にまでも延ばすことができる。いくつかの実施例では、アクセス開口部840は、異な
る寸法にすることもでき、および通常は、(図8Fに示すように)締めひもリテーナ82
0の形状にある程度似ている。この実施例では、チャネル半径830は、締めひもケーブ
ルの直径に一致するように、または、該直径よりもわずかに大きくなるように設計されて
いる。チャネル半径830は、ひも締めガイド800を通っている締めひもケーブルが受
ける摩擦の量を制御することができる、ひも締めガイド800のパラメータのうちの1つ
である。締めひもケーブルが受ける摩擦に影響を与えるひも締めガイド800の別のパラ
メータは、ガイド半径850を含む。また、ガイド半径850は、履物アッパー上に配置
される締めひもガイドの頻度または間隔にも影響を与える可能性がある。
【0037】
図8Gは、いくつかの例示的な実施形態による、ひも締めガイド800を用いるひも締
めアーキテクチャ890を備えた履物アッパー405の一部を示す図である。この実施例
では、ひも締めアーキテクチャ890の半分を構成するように、複数のひも締めガイド8
00が、履物アッパー405の外側側部に配置されている。上述したひも締めアーキテク
チャと同様に、ひも締めアーキテクチャ890は、ひも締めガイド800を用いて、締め
ひもケーブルを通すための波形パターンまたはパラシュートひも締めパターンを形成して
いる。この種のひも締めアーキテクチャの利益の1つは、締めひもの締付けが、履物アッ
パー405の後‐内側の締付けと前後方向の締付けとの両方を生じさせることができると
いうことである。
【0038】
この実施例では、ひも締めガイド800は、少なくとも最初に、縫製860によってア
ッパー405に付着される。縫製860は、ステッチ開口部810を覆ってまたは該開口
部に係合して図示されている。また、ひも締めガイド800のうちの1つも、補強部87
0がひも締めガイドを覆っている状態で描かれている。このような補強部は、ひも締めガ
イド800の各々の上に個別に配置することができる。あるいは、より大きな補強部を、
複数のひも締めガイドを覆うのに用いることができるであろう。上述した補強部と同様に
、補強部870は、接着剤、熱活性化接着剤および/または縫製を介して付着させること
ができる。いくつかの実施例では、補強部870は、(熱活性化型またはそうではない)
接着剤と、ひも締めガイドを覆っている補強部を均一に圧迫する真空バギングプロセスと
を用いて付着させることができる。また、同様の真空バギングプロセスを、上述した補強
部およびひも締めガイドに対して用いることもできる。他の実施例では、機械プレスまた
は同様の機械を、ひも締めガイドを覆って補強部を付着させるのを補助するのに用いるこ
とができる。
【0039】
一旦、すべてのひも締めガイド800が最初に配置されて、履物アッパー405に取付
けられると、締めひもケーブルを、それらのひも締めガイドに通すことができる。締めひ
もケーブルのルーティングは、外側固定点470において、締めひもケーブルの第1の端
部を固定することで始めることができる。その場合、締めひもケーブルを、各締めひもチ
ャネル825に引き込んで、最前方のひも締めガイドで始めて、アッパー405のかかと
に向かって後方へ進ませることができる。一旦、締めひもケーブルが、すべてのひも締め
ガイド800に通されると、ひも締めガイドおよび締めひもケーブルの両方を固定するた
めに、任意選択で、補強部870を、ひも締めガイド800の各々を覆って付着させるこ
とができる。
【0040】
組立てプロセス
図9は、いくつかの例示的な実施形態による、ひも締めエンジンを含む履物のアセンブ
リのための履物組立てプロセス900を示すフローチャートである。この実施例では、組
立てプロセス900は、910において、履物アッパーと締めひもガイドと締めひもケー
ブルとを得ること、920において、締めひもケーブルを管状の締めひもガイドに通すこ
と、930において、締めひもケーブルの第1の端部を固定すること、940において、
締めひもケーブルの第2の端部を固定すること、950において、締めひもガイドを配置
すること、960において、締めひもガイドを固定すること、および、970において、
アッパーを履物アセンブリと一体化すること等の動作を含む。以下でさらに詳細に説明す
るプロセス900は、記載されているプロセス動作のうちのいくつかまたはすべてを含む
ことができ、また、プロセス動作のうちの少なくともいくつかは、さまざまな位置でかつ
異なる自動化ツールを用いて、または、さまざまな位置でもしくは異なる自動化ツールを
用いて、行うことができる。
【0041】
この実施例では、プロセス900は、910において、履物アッパーと、複数の締めひ
もガイドと、締めひもケーブルとを得ることによって始まる。履物アッパー、例えば、ア
ッパー405は、履物アセンブリの残り(例えば、ソール、ミッドソール、外カバー等)
から独立した平らな履物アッパーとすることができる。締めひもガイドは、この実施例で
は、上述したような管状のプラスチック締めひもガイドを含むが、他の種類の締めひもガ
イドも含むことができるであろう。920において、プロセス900は、複数の締めひも
ガイドに通される(挿通される)締めひもケーブルに関して続行する。締めひもケーブル
は、組立てプロセス900のさまざまな時点で締めひもガイドに通すことができるが、管
状の締めひもガイドを用いる場合、履物アッパーへの組付け前に締めひもガイドに締めひ
もを通すことが好ましい可能性がある。いくつかの実施例では、プロセス900が、91
0における動作中に得られた締めひもに複数の締めひもガイド挿通することを既に始めて
いる状態で、締めひもガイドを予め締めひもケーブルに挿通することができる。
【0042】
930において、プロセス900は、履物アッパーに固定される締めひもケーブルの第
1の端部に関して続行する。例えば、締めひもケーブル430は、アッパー405の外側
縁部に沿って固定することができる。いくつかの実施例では、締めひもケーブルは、より
永続的な固定が履物アッパーと残りの履物アセンブリとの一体化の間に実現される状態で
、アッパー405に一時的に固定してもよい。940において、プロセス900は、履物
アッパーに固定される締めひもケーブルの第2の端部に関して続行する。締めひもケーブ
ルの第1の端部と同様に、第2の端部は、アッパーに一時的に固定することができる。さ
らに、プロセス900は、任意選択で、このプロセスの後半まで、または、履物アセンブ
リとの一体化の間まで、第2の端部の固定を遅らせることができる。
【0043】
950において、プロセス900は、アッパー上に配置される複数の締めひもガイドに
関して続行する。例えば、締めひもガイド410をアッパー405上に配置して、所望の
締めひもパターンを生成することができる。一旦、締めひもガイドが配置されると、プロ
セス900は、960において、締めひもガイドを履物アッパー上に固定することによっ
て続行することができる。例えば、補強部420は、締めひもガイド410を適切な位置
に保持するように、締めひもガイド410を覆って固定することができる。最後に、プロ
セス900は、970において、履物アッパーを、ソールを含む履物アセンブリの残りに
一体化することを完了することができる。一実施例において、一体化は、履物アセンブリ
のミッドソール内のひも締めエンジンに係合するために、履物アッパーの外側側部と内側
側部とを接続する締めひもケーブルのループを適切な位置に配置することを含むことがで
きる。
【0044】
図10は、いくつかの例示的な実施形態による、複数のひも締めガイドを含む履物のア
センブリのための履物組立てプロセス1000を示すフローチャートである。この実施例
では、組立てプロセス1000は、1010において、履物アッパーと、締めひもガイド
と、締めひもケーブルとを得ること、1020において、ひも締めガイドを履物アッパー
上に取付けること、1030において、締めひもケーブルの第1の端部を固定すること、
1040において、締めひもケーブルを締めひもガイドに通すこと、1050において、
締めひもケーブルの第2の端部を固定すること、1060において、任意選択で、締めひ
もガイドを覆って補強部を取付けること、および、1070において、アッパーを履物ア
センブリと一体化すること等の動作を含む。以下でさらに詳細に説明するプロセス100
0は、記載されているプロセス動作のうちのいくつかまたはすべてを含むことができ、ま
た、プロセス動作のうちの少なくともいくつかは、さまざまな位置でかつ異なる自動化ツ
ールを用いて、または、さまざまな位置でもしくは異なる自動化ツールを用いて、行うこ
とができる。
【0045】
この実施例では、プロセス1000は、1010において、履物アッパーと、複数のひ
も締めガイドと、締めひもケーブルとを得ることによって始まる。履物アッパー、例えば
、アッパー405は、履物アセンブリの残り(例えば、ソール、ミッドソール、外カバー
等)から独立した平らな履物アッパーとすることができる。締めひもガイドは、この実施
例では、上述したような開口チャネルプラスチックひも締めガイドを含むが、他の種類の
締めひもガイドを含むこともできるであろう。1020において、プロセス1000は、
アッパーに固定される締めひもガイドに関して続行する。例えば、ひも締めガイド800
は、アッパー405上の適切な位置に個別に縫製することができる。
【0046】
1030において、プロセス1000は、履物アッパーに固定される締めひもケーブル
の第1の端部に関して続行する。例えば、締めひもケーブル430は、アッパー405の
外側縁部に沿って固定することができる。いくつかの実施例では、締めひもケーブルは、
より永続的な固定が履物アッパーと残りの履物アセンブリとの一体化の間に実現される状
態で、アッパー405に一時的に固定してもよい。1040において、プロセス1000
は、開口チャネル締めひもガイドに通される締めひもケーブルに関して続行し、そのこと
は、履物アッパーの外側側部と内側側部との間に、ひも締めエンジンとの係合のための締
めひもループを残すことを含む。締めひもループは、ひも締めエンジンが、組立てられた
履物を確実に的確に締め付けることができるような所定の長さとすることができる。
【0047】
1050において、プロセス1000は、履物アッパーに固定される締めひもケーブル
の第2の端部に関して続行することができる。締めひもケーブルの第1の端部と同様に、
第2の端部は、アッパーに一時的に固定することができる。さらに、プロセス1000は
、任意選択で、このプロセスの後半まで、または、履物アセンブリとの一体化の間まで、
第2の端部の固定を遅らせることができる。特定の実施例では、締めひもケーブルの第1
の端部および第2の端部または第1の端部もしくは第2の端部の固定を遅らせることは、
締めひもの全長の調節を可能にすることができ、そのことは、ひも締めエンジンの一体化
の間に有用である可能性がある。
【0048】
1060において、プロセス1000は、締めひもガイドを覆って布地補強部(カバー
)を固定して、これらをさらに履物アッパーに固定する動作を任意選択で含むことができ
る。例えば、ひも締めガイド800は、ひも締めガイドと締めひもケーブルとをさらに固
定するために、ひも締めガイドを覆ってホットメルトされた補強部870を有することが
できる。最後に、プロセス1000は、1070において、履物アッパーを、ソールを含
む履物アセンブリの残りに一体化することを完了することができる。一実施例において、
一体化は、履物アセンブリのミッドソール内のひも締めエンジンに係合するために、履物
アッパーの外側側部と内側側部とを接続する締めひもケーブルのループを適切な位置に配
置することを含むことができる。
【0049】
実施例
本発明者らは、特に、靴ひもの自動および半自動の締付けのための改良されたひも締め
アーキテクチャの必要性を認識している。この文書は、特に、例示的なひも締めアーキテ
クチャ、そのひも締めアーキテクチャに用いられる例示的な締めひもガイド、および自動
履物プラットフォームのための関連する組立て技術について記載している。以下の実施例
は、本書において議論されているアクチュエータおよび履物アセンブリの非限定的な実施
例を提供する。
【0050】
実施例1は、自動締付けを容易にするためのひも締めアーキテクチャを有する履物アセ
ンブリを含む主題について記載している。この実施例では、履物アセンブリは、先芯部と
、内側側部と、外側側部と、かかと部とを含む履物アッパーを含むことができ、内側側部
および外側側部は、各々が、先芯部からかかと部まで近接して延びている。また、履物ア
センブリは、複数の締めひもガイドを通っている締めひもケーブルも含むことができる。
締めひもケーブルは、内側側部の遠位外部に沿って固定された第1の端部と、外側側部の
遠位外部に沿って固定された第2の端部とを含むことができる。複数の締めひもガイドを
、内側側部および外側側部に沿って配置することができ、複数の締めひもガイドの各締め
ひもガイドは、ある長さの締めひもケーブルを受け入れるように適合させることができる
。この実施例では、締めひもガイドは、履物アッパーの内側側部および外側側部の各々に
沿ってあるパターンを形成するように、複数の締めひもガイドの各々を通って延びること
ができる。また、履物アセンブリは、締めひもケーブルを、複数の締めひもガイドの内側
部によって形成されたパターンから、締めひもケーブルが、ミッドソール部内に配置され
たひも締めエンジンに係合することを可能にする位置まで通す内側近接締めひもガイドも
含むことができる。最後に、履物アセンブリは、締めひもケーブルを、締めひもケーブル
がひも締めエンジンに係合することを可能にする位置から出して、複数の締めひもガイド
の外側部によって形成されたパターンまで通すための外側近接締めひもガイドを含む。
【0051】
実施例2において、実施例1の主題は、締めひもケーブルを保持するためのU字状チャ
ネルを形成している複数の締めひもガイドの各締めひもガイドを任意選択で含むことがで
きる。
【0052】
実施例3において、実施例2の主題は、各締めひもガイドにおけるU字状チャネルが、
締めひもループを締めひもガイド内に引き込めるようにする開口チャネルであることを任
意選択で含むことができる。
【0053】
実施例4において、実施例2の主題は、各締めひもガイドにおけるU字状チャネルが、
締めひもケーブルが管状構造を介して挿通される、U字状に湾曲されたまたは形成された
管状構造で形成されていることを任意選択で含むことができる。
【0054】
実施例5において、実施例1~実施例4のいずれか1つの主題は、パターンが、締めひ
もケーブルの締付け中の力またはトルク対締めひも変位曲線を均すように形成されること
を任意選択で含むことができる。
【0055】
実施例6において、実施例1~実施例5のいずれか1つの主題は、複数の締めひもガイ
ドの各締めひもガイドが、熱活性化接着剤を含むオーバーレイを各締めひもガイドを覆っ
て圧迫した状態で履物アッパーに固定されることを任意選択で含むことができる。
【0056】
実施例7において、実施例6の主題は、オーバーレイが、熱活性化接着剤を染み込ませ
た布地であることを任意選択で含むことができる。
実施例8において、実施例6の主題は、各締めひもガイドを固定するオーバーレイを越
えて延びている各締めひもガイドの部分を任意選択で含むことができる。
【0057】
実施例9において、実施例1~実施例8のいずれか1つの主題は、複数の締めひもガイ
ドの各締めひもガイドが、少なくとも最初に縫製によって履物アッパーに固定されること
を任意選択で含むことができる。
【0058】
実施例10において、実施例9の主題は、複数の締めひもガイドの各締めひもガイドが
さらに、熱活性化接着剤を含むオーバーレイを各締めひもガイドを覆って圧迫した状態で
履物アッパーに固定されることを任意選択で含むことができる。
【0059】
実施例11において、実施例1~実施例10のいずれか1つの主題は、締めひもガイド
が履物アッパーの内側側部および外側側部の各々に沿って実質的に正弦波を形成している
状態で形成されたパターンを任意選択で含むことができる。
【0060】
実施例12において、実施例11の主題は、実質的な正弦波が、標準的な正弦波と比較
して、より大きな半径曲線を山および谷に含む修正された正弦波であることを任意選択で
含むことができる。
【0061】
実施例13において、実施例1~実施例12のいずれか1つの主題は、内側側部および
外側側部の各々の履物アッパーの中心線に近接して3つのアッパー締めひもガイドを含む
パターンを任意選択で含むことができる。
【0062】
実施例14において、実施例13の主題は、内側側部および外側側部の各々の3つのア
ッパー締めひもガイドの各々が、上記中心線から異なる距離だけ離間されていることを任
意選択で含むことができる。
【0063】
実施例15において、実施例1~実施例14のいずれか1つの主題は、少なくとも先芯
部から足開口部に近接して延びている弾性中心線部分を有する履物アッパーを任意選択で
含むことができる。
【0064】
実施例16において、実施例1~実施例15のいずれか1つの主題は、締めひもガイド
のペアが、弾性部材によって、履物アッパーの中心線部分を跨いで接続されていることを
任意選択で含むことができる。
【0065】
実施例17において、実施例16の主題は、弾性部材が、締めひもケーブルの締付け中
のトルク対締めひも変位曲線を均すように適合されることを任意選択で含むことができる
【0066】
実施例18において、実施例16の主題は、弾性部材が、可変弾性係数を与えて履物ア
ッパーのフィット特性を変更するための異なる弾性部材と置換え可能であることを任意選
択で含むことができる。
【0067】
実施例19において、実施例1~実施例18のいずれか1つの主題は、複数の締めひも
ガイドの内側部と、複数の締めひもガイドの外側部との間に、先芯部から足開口部まで延
びているジッパーを含む履物アッパーを任意選択で含むことができる。
【0068】
実施例20において、実施例1~実施例19のいずれか1つの主題は、締めひもケーブ
ルが、内側側部と外側側部との間の履物アッパーの中央部を越えることを防ぐパターンを
任意選択で含むことができる。
【0069】
実施例21は、自動締付けを容易にするためのひも締めアーキテクチャを有する履物ア
センブリについて記載している。この実施例では、自動履物プラットフォーム用のひも締
めアーキテクチャは、複数の締めひもガイドを通された締めひもケーブルを含むことがで
きる。締めひもケーブルは、履物アセンブリのアッパー部の内側側部の遠位外部に沿って
固定された第1の端部と、アッパー部の外側部に沿って固定された第2の端部とを含むこ
とができる。複数の締めひもガイドは、内側側部に沿った第1のパターンで、および外側
側部に沿った第2のパターンで配置することができる。さらに、複数の締めひもガイドの
各締めひもガイドは、ある長さの締めひもケーブルを受け入れるための開口締めひもチャ
ネルを含むことができる。また、ひも締めアーキテクチャは、複数の締めひもガイドの内
側部によって形成された第1のパターンから、締めひもケーブルが、ミッドソール部内に
設けられたひも締めエンジンに係合することを可能にする位置まで締めひもケーブルを通
すための内側近接締めひもガイドも含むことができる。最後に、この実施例では、ひも締
めアーキテクチャは、締めひもケーブルを、締めひもケーブルがひも締めエンジンに係合
することを可能にする位置から出して、複数の締めひもガイドの外側部によって形成され
た第2のパターンへ通すための外側近接締めひもガイドも含むことができる。
【0070】
実施例22において、実施例21の主題は、締めひもケーブルを締めひもガイド内で保
持するのを支援するように、開口締めひもチャネル内へ延びている締めひも保持部材を含
む複数の締めひもガイドの各締めひもガイドを任意選択で含むことができる。
【0071】
実施例23において、実施例22の主題は、複数の締めひもガイドの各締めひもガイド
が、締めひも保持部材の反対側に締めひもアクセス開口部を有し、締めひもアクセス開口
部が、締めひも保持部材の周りにケーブルを通すための隙間を形成していることを任意選
択で含むことができる。
【0072】
実施例24において、実施例21~実施例23のいずれか1つの主題は、複数の締めひ
もガイドの各締めひもガイドが、締めひもガイドの上面に沿ってステッチ開口部を有し、
ステッチ開口部は、締めひもガイドを縫製によりアッパー部に少なくとも部分的に固定で
きるようになっていることを任意選択で含むことができる。
【0073】
付記
この明細書全体を通して、複数の事例は、単一の事例として記載されている構成要素、
動作または構造を実施することができる。1つ以上の方法の個別の動作が、別々の動作と
して図示されおよび記載されているが、個別の動作のうちの1つ以上は、同時に実行され
てもよく、また、それらの動作が、図示されている順番で実行される必要はない。例示的
な構成において、別々の構成要素として提示されている構造および機能は、組合された構
造または構成要素として実施されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示されてい
る構造および機能は、別々の構成要素として実施されてもよい。これらおよびその他の変
形、変更、追加および改良は、本書における主題の範囲内にある。
【0074】
発明の主題に関する要旨を具体的な例示的実施形態に関して説明してきたが、それらの
実施形態に対しては、本開示の実施形態のさらに広範な範囲から逸脱することなく、種々
の変更や変形を行ってもよい。発明の主題のこのような実施形態は、個々にまたはまとめ
て、便宜上、および実際には1つ以上が開示されている場合に、この出願の範囲をいずれ
か1つの開示または発明の概念に自発的に限定しようとすることなく、単に「発明」とい
う用語によって称することができる。
【0075】
本書に図示されている実施形態は、開示されている教示を当業者が実施できるように十
分に詳細に記載されている。構造的かつ論理的な置換えおよび変更を、この開示の範囲か
ら逸脱することなく実行できるように、他の実施形態を用いてもよく、またそこから導き
出してもよい。したがって、本開示は、限定的に解釈すべきではなく、また、さまざまな
実施形態の範囲は、開示されている主題が権利を与えられる等価物のすべての範囲を含む
【0076】
「または」という用語は、本書で用いる場合、包括的または排他的な意味のいずれかで
解釈することができる。さらに、複数の事例を、本書において単一の事例として記載され
ているリソース、動作または構造のために提供することができる。また、さまざまなリソ
ース、動作、モジュール、エンジンおよびデータストア間の境界は、多少任意的であり、
具体的な動作は、特定の例示的な構成という文脈において例示されている。機能の他の割
当てが想定され、それらは本開示のさまざまな実施形態の範囲に含まれ得る。一般的に、
例示的な構成において独立したリソースとして提示されている構造および機能は、組合せ
た構造またはリソースとして実施してもよい。同様に、単一のリソースとして提示されて
いる構造および機能は、独立したリソースとして実施してもよい。これらおよびその他の
変形、変更、追加および改良は、添付の請求項によって示されているように、本開示の実
施形態の範囲に含まれる。したがって、明細書および図面は、限定的にではなく、例示的
に考えるべきである。
【0077】
これらの非限定的な実施例の各々は独立することができ、または、他の実施例のうちの
1つ以上とのさまざまな置換えまたは組合せで組合せることができる。
上記の詳細な説明は、その詳細な説明の一部を構成する添付図面への参照を含む。図面
は、例として、本発明を実施することができる具体的な実施形態を示している。それらの
実施形態は、本書において実施例とも呼ばれる。そのような実施例は、図示されているま
たは記載されているものに加えて、要素を含むことができる。しかし、本発明者らは、図
示されているまたは記載されている要素のみが設けられている実施例も想定している。さ
らに、本発明者らは、特定の実施例(または、その1つ以上の態様)に関する、または、
本書において図示されまたは記載されている他の実施例(または、その1つ以上の態様)
に関する、図示されているまたは記載されているそれらの要素(または、その1つ以上の
態様)の任意の組合せまたは置換えを用いる実施例も想定している。
【0078】
この文書と、参照により組み込まれる任意の文書との間で用法に矛盾がある場合、この
文書における用法が支配する。
この文書において、「1つの」という用語は、特許文書で普通に見られるように、「少
なくとも1つ」または「1つ以上」の他の任意の事例または用法とは無関係に、1つまた
は1つ以上を含むように用いられている。この文書では、「または」という用語は、非排
他的なことを指すのに用いられ、または、特に別段の断りのない限り、「AまたはB」が
、「BではなくA」、「AではなくB」および「AとB」を含むように用いられる。この
文書では、「含む」および「において」という用語は、「備える」および「この場合」と
いうそれぞれの用語の平易な英語の同意義として用いられている。また、以下の請求項に
おいて、「含む」および「備える」という用語は、非限定的であり、すなわち、請求項に
おけるそのような用語の後に挙げられているものの他に要素を含むシステム、装置、物品
、組成、設計またはプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあるものと見なされる
。さらに、以下の請求項において、「第1の」、「第2の」および「第3の」等の用語は
、単に呼び名として用いられており、それらの対象物に対して数的な要件を課す意図はな
い。
【0079】
本書に記載されている方法(プロセス)の実施例、例えば、履物アセンブリの実施例は
、機械またはロボットによる実施を少なくとも部分的に含むことができる。
上記の説明は、例示的であり、かつ制限的ではないことが意図されている。例えば、上
述した実施例(または、その1つ以上の態様)は、互いに組合せて用いてもよい。例えば
、当業者が上記の説明を再検討することにより、他の実施形態を用いることができる。要
約は、記載されている場合、読者が技術的開示の本質を迅速に確認することを可能にする
ように含まれている。これは、請求項の範囲または意味を解釈または限定するのに用いら
れないという了解のもとに提出されている。また、上記の説明において、さまざまな形状
構成は、本開示を簡素化するためにまとめてグループ化してもよい。このことは、未請求
の開示されている形状構成が任意の請求項に不可欠であることを意図するように解釈すべ
きではない。むしろ、発明の主題は、開示されている具体的な実施形態のすべての形状構
成にあるとは限らない可能性がある。したがって、以下の請求項は、参照により、発明を
実施するための形態に実施例または実施形態として組み込まれ、各請求項は、個別の実施
形態として独立しており、また、このような実施形態は、さまざまな組合せまたは置換え
で互いに組合せることができることが想定されている。本発明の範囲は、添付の請求項を
参照して、このような請求項に権利が認められる均等物の全範囲とともに判断すべきであ
る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10