(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20220926BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/64
(21)【出願番号】P 2020537077
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2019031747
(87)【国際公開番号】W WO2020036152
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2018153387
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 将寿
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 一人
(72)【発明者】
【氏名】米田 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 有紹
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-100382(JP,A)
【文献】特開2017-216067(JP,A)
【文献】特開2002-359037(JP,A)
【文献】特開2015-069837(JP,A)
【文献】特開2016-219399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー式コネクタであって、
第1
コネクタと、
前記第1
コネクタに嵌合・離脱可能な第2
コネクタと、
前記第2
コネクタに回動可能に支持され、回動動作によって前記第1
コネクタと第2
コネクタを嵌合・離脱させるレバーと、
前記第2
コネクタと前記レバーのいずれか一方に設けられた支持軸と、
前記第2
コネクタと前記レバーのいずれか他方に設けられ、前記支持軸が摺動可能な軸摺動溝を備えた軸受部と、
前記レバーと前記1
コネクタのいずれか一方に設けられたカムフォロアと、
前記レバーと前記1
コネクタのいずれか他方に設けられ、前記カムフォロアが係合可能なカム溝と、
前記レバーと前記第2
コネクタのいずれか一方に設けられたガイド突起と、
前記レバーと前記第2
コネクタのいずれか他方に設けられ、前記ガイド突起が係合可能な円弧形状のガイド溝と、
を備え、
前記レバーの操作部側にテーパ部を設け、
前記レバーが回動動作をするときには、前記ガイド溝に係合した前記ガイド突起が前記ガイド溝の円弧形状により案内され、
前記レバーの回動動作によって前記第1
コネクタと前記第2
コネクタが嵌合完了した状態のときには、前記ガイド突起と前記ガイド溝との係合が解除され、前記レバーが前記第2
コネクタに対してスライド可能とな
り、
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合が完了した時には、嵌合させた前記第1コネクタと前記第2コネクタの車体パネルへの組み付けが可能となり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合が完了した後に前記車体パネルの取付孔に組み付ける際に、前記テーパ部が前記取付孔の端面に押されて、前記レバーが前記第2コネクタに対する正規位置までスライドする
ことを特徴とするレバー式コネクタ。
【請求項2】
請求項
1に記載のレバー式コネクタであって、
前記レバーの前記第2
コネクタに対するスライドの可否により、前記第1
コネクタと前記第2
コネクタの前記車体パネルへの組み付けが可能な状態が検知される
ことを特徴とするレバー式コネクタ。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のレバー式コネクタであって、
嵌合させた前記第1
コネクタと前記第2
コネクタの前記車体パネルへの組み付けの可否により、前記第1
コネクタと前記第2
コネクタの嵌合状態が検知される
ことを特徴とするレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のレバー式コネクタとして、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に開示された従来例のレバー式コネクタは、各々の側面に軸部と円弧状の押動部を有した雄ハウジングと、雄ハウジングに嵌合・離脱可能であり、各々の側面にカムフォロアを設けた雌ハウジングと、操作部の各々の端部から延設された一対のアーム部に軸部に嵌合される軸受孔とカムフォロアが係合されるカム溝及び半嵌合の場合に押動部に乗り上がる反片持ち状の可動検知部とを有したレバーとを備える。
【0004】
そして、操作部の押圧操作により、レバーを回転させると、レバーのカム溝がカムフォロアに沿って移動して、雄ハウジングと雌ハウジングが嵌合する。また、雄ハウジングと雌ハウジングの嵌合が不完全で未嵌合状態になっている状態のままで車体パネルの取付孔に嵌め込もうとした場合には、可動検知部が押動部に乗り上がってアーム部の外側面よりも外側へ弾性変形して突出し、可動検知部が取付孔に干渉するため、取付孔への嵌め込みを行うことができず、雄ハウジングと雌ハウジングが半嵌合状態であることが検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-359035号公報(JP 2002-359035 A)
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、従来例のレバー式コネクタでは、製品寸法のバラ付き、部品組付のガタ付き、車体組み付け時のコネクタ傾き等の要因で、レバーのアーム部と車体パネルとの干渉量不足により半嵌合品が車体パネルに取り付けられる可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、嵌合が完全の嵌合済みの雄ハウジングと雌ハウジングのみを車体パネルに簡単かつ確実に組み付けることができるレバー式コネクタを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の形態に係るレバー式コネクタであって、第1コネクタと、第1コネクタに嵌合・離脱可能な第2コネクタと、第2コネクタに回動可能に支持され、回動動作によって第1コネクタと第2コネクタを嵌合・離脱させるレバーと、第2コネクタとレバーのいずれか一方に設けられた支持軸と、第2コネクタとレバーのいずれか他方に設けられ、支持軸が摺動可能な軸摺動溝を備えた軸受部と、レバーと第1コネクタのいずれか一方に設けられたカムフォロアと、レバーと第1コネクタのいずれか他方に設けられ、カムフォロアが係合可能なカム溝と、レバーと第2コネクタのいずれか一方に設けられたガイド突起と、レバーと第2コネクタのいずれか他方に設けられ、ガイド突起が係合可能な円弧形状のガイド溝と、を備え、レバーの操作部側にテーパ部を設け、レバーが回動動作をするときには、ガイド溝に係合したガイド突起がガイド溝の円弧形状により案内され、レバーの回動動作によって第1コネクタと第2コネクタが嵌合完了した状態のときには、ガイド突起とガイド溝との係合が解除され、レバーが第2コネクタに対してスライド可能となり、第1コネクタと第2コネクタの嵌合が完了した時には、嵌合させた第1コネクタと第2コネクタの車体パネルへの組み付けが可能となり、第1コネクタと第2コネクタの嵌合が完了した後に車体パネルの取付孔に組み付ける際に、テーパ部が取付孔の端面に押されて、レバーが第2コネクタに対する正規位置までスライドする。
【0009】
本発明の形態に係るレバー式コネクタによれば、レバーの回動動作によって第1コネクタと第2コネクタの嵌合が完了した状態のときに、ガイド突起とガイド溝との係合が解除され、レバーが第2コネクタに対してスライド可能となり、第1コネクタと第2コネクタの嵌合が完了した時に、嵌合させた第1コネクタと第2コネクタの車体パネルへの組み付けが可能となり、第1コネクタと第2コネクタの嵌合が完了した後に車体パネルの取付孔に組み付ける際に、テーパ部が取付孔の端面に押されて、レバーが第2コネクタに対する正規位置までスライドすることにより、第1コネクタと第2コネクタの嵌合が完了した時にのみ車体パネルに簡単かつ確実に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るレバー式コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るレバー式コネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るレバー式コネクタの雄ハウジングの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るレバー式コネクタのレバーの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るレバー式コネクタのレバーが仮係止された状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るレバー式コネクタのレバーが本係止された状態を示す側面図である。
【
図9】
図9(a)~9(e)は、実施形態に係るレバー式コネクタを車体パネルに取り付ける手順を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るレバー式コネクタのレバーがスライドする前の車体パネルの取付孔とレバーの位置関係を示す側面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るレバー式コネクタのレバーがスライドして車体パネルの取付孔に取り付けられる途中の状態を示す側面図である。
【
図12】
図12(a)~12(c)は、実施形態に係るレバー式コネクタの雄ハウジングと雌ハウジングを離脱させる手順を示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられた状態を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1、
図13に示すように、実施形態に係るレバー式コネクタ10は、車体パネル11側に設置される雄コネクタ20
(第2コネクタ)と、ドア12側に設置される雌コネクタ
(第1コネクタ)50とを備える。
【0013】
図2に示すように、雄コネクタ20は、複数の雄端子29を収容し、雌コネクタ50の雌ハウジング(第1ハウジング)51に嵌合・離脱可能な合成樹脂製の雄ハウジング(第2ハウジング)21と、雄ハウジング21に支持軸24を介して回動可能に支持されると共にスライド可能に支持され、回動動作によって雄ハウジング21と雌ハウジング51を嵌合・離脱させるための合成樹脂製のレバー30と、雄ハウジング21の後面22c側を覆うように装着される合成樹脂製の電線カバー40とを備える。
【0014】
雌コネクタ50は、複数の雌端子59を収容し、雄コネクタ20の雄ハウジング21に嵌合・離脱可能な合成樹脂製の雌ハウジング(第1ハウジング)51と、雌ハウジング51の外周に嵌め込まれ、車体パネル11の取付孔11aに係止される合成樹脂製で矩形枠筒状のフレーム60と、フレーム60のフランジ部62に装着されるゴム製のグロメット65とを備える。
【0015】
図2、3に示すように、雄ハウジング21は、雄端子29を収容する端子収容孔22dを有した矩形ブロック状のハウジング本体22と、ハウジング本体22の前側に一体突出形成され、内部に雌ハウジング51が嵌め込まれるフード部23とを備える。ハウジング本体22の各々の側面22aの中央のフード部23との境目には、嵌合方向に垂直な方向に延びる支持軸24が一体突出形成されている。
【0016】
ハウジング本体22の一方の側面22aには、開口部22bが形成されている。開口部22bには、雄端子29を係止するための第1サイドリテーナ25が嵌め込まれる。ハウジング本体22の各々の側面22aの後面22c側でレバー30の操作部31寄りの位置には、ガイド突起26が一体突出形成されている。ガイド突起26は、レバー30の回動時において、
図12(c)に示すように、支持軸24側よりもレバー30の操作部31側に設けられている。各々のガイド突起26の頂部26aは、レバー30の摺動部37及び当接部38よりも垂直方向で内側になるように設定されている。
【0017】
フード部23とハウジング本体22の各々の側面22aのレバー30の係止アーム39の突起部39aの回動軌跡上に対応する位置には、仮係止凹部27と本係止凹部28がそれぞれ形成されている。ハウジング本体22の各々の側面22aの本係止凹部28寄りの位置には、ハウジング本体22の後面22c側を覆うように装着された電線カバー40の係止突起41に係止されてロックする枠状のロック部22fが一体突出形成されている。
【0018】
図1、2、4に示すように、レバー30は、操作部31と、操作部31の各々の側部から延びる一対のアーム部32とを備える。
【0019】
操作部31の電線カバー40側には、テーパ部31aが形成されている。
図10に示すように、雄ハウジング21と雌ハウジング51を嵌合させた後に、嵌合させた雄ハウジング21と雌ハウジング51を車体パネル11の取付孔11aに組み付ける。そして、
図11に示すように、テーパ部31aが取付孔11aの端面に押されることにより、レバー30が正規位置までスライドされる。レバー30のスライドの可否により、雄ハウジング21と雌ハウジング51の車体パネル11への組付可能状態が検知される。
【0020】
図1、2、4に示すように、各々のアーム部32の中央には、支持軸24が摺動する軸摺動溝34を有した軸受孔(軸受部)33が形成されている。各々のアーム部32には、ピン状のカムフォロア35が一体突出形成されている。各々のアーム部32の操作部31と軸受孔33の間には、ガイド突起26が係合する円弧状のガイド溝36が形成されている。ガイド溝36は、支持軸24を中心とする細長い円弧状に形成されている。ガイド溝36の開放端側には、ガイド突起26を案内するための拾いテーパ36aが形成されている。
【0021】
図4に示すように、各々のアーム部32には、レバー30の回動後にガイド突起26がスライド方向に摺動可能な摺動部37が設けられている。摺動部37は、内側が凹んだレール状に形成されている。各々のアーム部32には、レバー30の回動後のスライドの終端でガイド突起26が当接する当接部38が設けられている。レバー30の回動動作によって雄ハウジング21と雌ハウジング51が嵌合した状態で、ガイド突起26が摺動部37に沿って当接部38に当たるまで摺動することにより、レバー30が雄ハウジング21に対してスライドする。
【0022】
各々のアーム部32の先端の外側には、嵌合方向と垂直な方向に弾性変形可能な係止アーム39が一体形成されている。係止アーム39に設けられた突起部39aは、雄ハウジング21の各々の側面22aに設けられた仮係止凹部27と本係止凹部28に係止・離脱可能に構成されている。即ち、係止アーム39は、雄ハウジング21の仮係止凹部27と本係止凹部28との係止・離脱に兼用されている。
【0023】
図2に示すように、雌ハウジング51は、雌端子59が収容される端子収容室52を有した矩形ブロック状に形成されている。雌ハウジング51の各々の側面51aの雄ハウジング21の各々の側面22aの仮係止凹部27に対向する位置には、係止アーム39の突起部39aと仮係止凹部27との仮係止状態を解除する解除突起53が一体突出形成してある。
【0024】
雌ハウジング51の一方の側面51aには開口部54が形成されている。開口部54には、雌端子59を係止するための第2サイドリテーナ55が嵌め込まれる。
【0025】
フレーム60は、上面側が開口した四角筒状のフレーム本体61と、フレーム本体61に一体形成された枠板状のフランジ部62とを備える。
【0026】
フレーム本体61の各々の側壁61aには、レバー30のカムフォロア35が係合するカム溝63が形成されている。フレーム本体61の各々の側壁61aのフランジ部62寄りの位置には、車体パネル11の取付孔11aに係止される弾性変形可能なパネル係止アーム64が一体形成されている。パネル係止アーム64の突起部64aとフランジ部62との間で、車体パネル11の取付孔11aの周縁部が係止される。フランジ部62には、グロメット65の凹溝状の止水部66が嵌め込まれる。
【0027】
図2、13に示すように、雄端子29には電線29Aが接続されていて、複数の電線29Aの束によりワイヤハーネスW/Hが構成されている。雌端子59には電線59Aが接続されていて、複数の電線59Aの束によりワイヤハーネスW/Hが構成されている。
【0028】
実施形態に係るレバー式コネクタ10によれば、車体パネル11の取付孔11aにレバー式コネクタ10を組み付ける際に、まず、
図9(a)の矢印Aで示すように、ドアパネル13の貫通孔13aにフレーム60にグロメット65を装着した雌コネクタ50を貫通させる。そして、
図9(b)の矢印Bで示すように、車体パネル11の取付孔11aにはレバー30が仮係止状態の雄コネクタ20を貫通させる。レバー30が雄ハウジング21に対して仮係止状態にある場合は、
図5、6に示すように、レバー30の係止アーム39の突起部39aが雄ハウジング21の仮係止凹部27に仮係止されていて、レバー30を雄ハウジング21と雌ハウジング51の嵌合方向へ回転できない。この仮係止状態より、雌ハウジング51を雄ハウジング21のフード部23内に押し込んで行くと、雌ハウジング51の解除突起53がレバー30の係止アーム39を外側に弾性変形させることにより、雄ハウジング21の仮係止凹部27とレバー30の係止アーム39の突起部39aの仮係止状態が解除され、レバー30を雄ハウジング21と雌ハウジング51の嵌合方向へ回転できるようになる。
【0029】
次に、
図9(c)に示すように、雄コネクタ20の雄ハウジング21と雌コネクタ50の雌ハウジング51とを向き合わせ、レバー30のカムフォロア35を雌コネクタ50のフレーム60のカム溝63に内側より挿入して係合させる。
【0030】
そして、
図9(d)の矢印Cで示すように、レバー30を回転させ、雄コネクタ20の雄ハウジング21と雌コネクタ50の雌ハウジング51の嵌合を完了させる。
【0031】
その際、雄ハウジング21の支持軸24にレバー30の軸受孔33が摺接した状態で、雄ハウジング21のガイド突起26にレバー30の円弧状のガイド溝36が沿って移動することによりレバー30が回転する。そして、レバー30の回転が終了すると、雄ハウジング21のガイド突起26がレバー30の円弧状のガイド溝36の開放端の拾いテーパ36aから外れ、レバー30が雄ハウジング21に対してスライド可能な状態となる。
【0032】
その後、
図9(d)の矢印Dで示すように、レバー30の操作部31を押し込むことで、レバー30を雄ハウジング21のガイド突起26に沿わせてスライドさせる。そして、
図7、8に示すように、レバー30の係止アーム39の突起部39aを雄ハウジング21の本係止凹部28に係止させる。レバー30をスライドさせる時に、雄ハウジング21の支持軸24にレバー30の軸摺動溝34側が摺接する。
【0033】
レバー30を雄ハウジング21のガイド突起26に沿わせてスライドさせる際に、
図12(b)に示すように、雄ハウジング21のガイド突起26がレバー30の操作部31のテーパ部31a側の近傍(付近)に設けられている状態になる。このため、レバー30の軸摺動溝34と円弧状のガイド溝36に対して傾く方向へスライドさせた際に、傾き抑制効果が得られる。これにより、雄ハウジング21の支持軸24及びレバー30の破損を確実に防止することができる。また、ガイド突起26を操作部31側の近傍に設け、レバー30の回転用とスライド用として兼用(共用)している。このため、テコ比抑制によるコネクタ全体の小型化及び軽量化を図ることができる。さらに、ガイド突起26の頂部26aをレバー30の摺動部37及び当接部38より垂直方向の内側にくるように設定して、アーム部32から外側へ突出しない。このため、後述するレバー30により車体に組み付ける時のガイド突起26の破損も確実に防止することができる。
【0034】
そして、
図9(e)の矢印Eで示すように、レバー30の操作部31による操作を完了した雌コネクタ50を車体パネル11の取付孔11aに押し込み、雌コネクタ50のフレーム60に設けたパネル係止アーム64の突起部64aを車体パネル11の取付孔11aの周縁部に係止させる。さらに、グロメット65の止水部66を車体パネル11に押し付けた状態を保持することにより、車体パネル11の取付孔11aからレバー式コネクタ10への水の浸入を防止する。
【0035】
図10、11に示すように、嵌合が完全の嵌合済みの雄ハウジング21と雌ハウジング51を車体パネル11に押し込んで取付孔11aに組み付ける際に、レバー30が雄ハウジング21の正規位置(雄ハウジング21のガイド突起26にレバー30のアーム部32の当接部38が当たる位置)までスライドしていない場合(僅かにレバー30のスライド移動量が不足している場合も含む)がある。この場合には、レバー30の操作部31のテーパ部31aが取付孔11aの縁端面に押されて、レバー30が正規位置まで強制的にスライド移動する。よって、
図9(e)、11に示すように、レバー30を雄ハウジング21の正規位置までスライド移動させることで、嵌合が完全の嵌合済みの雄ハウジング21と雌ハウジング51のみを車体パネル11に簡単かつ確実に組み付けることができる。また、レバー30を雄ハウジング21の正規位置までスライド移動していない場合には、車体パネル11への組み付けができないことで、異常を検知することができる。このように、レバー30のスライド移動の可否、即ち、車体パネル11のレバー30の位置検出により、レバー式コネクタ10の車体パネル11の取付孔11aへの組付可能状態を簡単かつ確実に検知することができる。
【0036】
嵌合している雄ハウジング21と雌ハウジング51を離脱させる場合は、
図12(a)に示すように、雄ハウジング21と雌ハウジング51の離脱前のレバー30のスライド前状態から、
図12(b)で矢印Fに示すように、レバー30をスライドできる位置まで移動させる。このことで、雄ハウジング21のガイド突起26をレバー30の円弧状のガイド溝36の開放端の拾いテーパ36aから収容することができる。そして、その後に、
図12(c)で矢印Gに示すように、レバー30を雄ハウジング21に対してスムーズに回転させることができ、雄ハウジング21と雌ハウジング51を離脱できる。雄ハウジング21と雌ハウジング51の離脱の際にも、前述した嵌合の際のレバー30の回転とスライド時と同様に、雄ハウジング21の支持軸24とガイド突起26及びレバー30の破損を確実に防止することができる。
【0037】
このように、雄コネクタ20の雄ハウジング21と雌コネクタ50の雌ハウジング51を嵌合・離脱させる際に、レバー30の係止アーム39を雄ハウジング21の仮係止凹部27と本係止凹部28とにそれぞれ係止・離脱させて兼用し、レバー30側に仮係止と本係止それぞれ専用の係止アームを必要としない。このため、レバー30の一対のアーム部32に従来例のように仮係止と本係止それぞれ専用の係止アームを複数箇所設けることによるレバー30の強度低下、及び、レバー30の大型化を回避することができる。よって、コネクタ全体が大型化せずに、より端子数が多いレバー式コネクタ10の嵌合力の低減が可能となる。
【0038】
尚、上述した実施形態によれば、雄ハウジング21に支持軸24を設け、レバー30に支持軸24が摺動する軸摺動溝34を有した軸受部33を設けたが、レバー30に支持軸を設け、雄ハウジング21に支持軸が摺動する軸摺動溝を有した軸受部を設けても良い。
【0039】
また、上述の実施形態によれば、レバー30にカムフォロア35を設け、雌コネクタ50のフレーム60にカムフォロア35が係合するカム溝63を設けたが、雌コネクタ50のフレーム60或いは雌ハウジング51にカムフォロアを設け、レバー30にカムフォロアが係合するカム溝を設けても良い。
【0040】
さらに、上述した実施形態によれば、雄ハウジング21にガイド突起26を設け、レバー30にガイド突起26が係合するガイド溝36を設けたが、レバー30にガイド突起を設け、雄ハウジング21或いは電線カバー40にガイド突起が係合するガイド溝を設けても良い。
【0041】
さらに、上述した実施形態によれば、雌コネクタ50を雌ハウジング51と車体パネル11に取り付けられるフランジ部62及びパネル係止アーム64を有したフレーム60で構成し、フレーム60にカム溝63を形成したが、雌コネクタ50を車体パネル11に取り付けられるフランジ部及びパネル係止アームを有した雌ハウジングで構成し、雌ハウジングにカム溝を形成するようにしても良い。