(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】診断検査装置のマニホルド圧力を維持するインテリジェント圧力制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
G05D 16/20 20060101AFI20220926BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G05D16/20 A
G01N35/10 A
G05D16/20 C
(21)【出願番号】P 2020559556
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 US2019024501
(87)【国際公開番号】W WO2019209454
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-09
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ダーマン
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・ハルチ
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-213466(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128793(JP,U)
【文献】特開2006-343243(JP,A)
【文献】特開平08-338801(JP,A)
【文献】特開昭59-040139(JP,A)
【文献】特開平06-130072(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055931(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0014238(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192601(US,A1)
【文献】特開平01-169363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/20
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力制御装置であって:
複数のピペットの各出口から液体を分注するように構成された、複数のピペットと;
該複数のピペットの出口に、マニホルドチャンバと出口との間を通る流路を通って液体を供給するように構成されたマニホルドチャンバを含む、マニホルドと;
各流路内にあり、その内部の液体の流れを変調するように構成された流量制御弁と;
液体源に相互連結され、マニホルドチャンバに液体を供給しマニホルドチャンバ内の目標圧力を維持するように構成されたポンプと;
マニホルドチャンバに連結され、該マニホルドチャンバ内の圧力に相関する測定圧力をもたらすように構成された圧力センサと;
複数の動作状態組合せから個々の動作状態組合せを命令するように構成された流量コントローラと
を含み、該流量コントローラはさらに:
キャリブレーションモードでは、測定圧力が高過ぎる場合はポンプ駆動設定を低減させ、測定圧力が低過ぎる場合はポンプ駆動設定を増加させ、圧力測定値が目標圧力の所定圧力閾値限界内にある場合は個々の組合さった動作状態についてのポンプ駆動設定を記憶するように、または、
検査モードでは、マニホルドチャンバ内の測定圧力が、個々の動作状態組合せ前に命令された事前命令状態組合せについての目標圧力の所定圧力閾値限界内にあるかを判定し、所定圧力閾値限界内にない場合、次に事前命令状態組合せが命令されるときのためにポンプ駆動設定を調節する
ように構成される、前記圧力制御装置。
【請求項2】
流量制御弁の複数の動作状態組合せのそれぞれについてのポンプ駆動設定を含むルックアップテーブルをさらに含む、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項3】
マニホルドチャンバと液体源との間に連結され固定流量制限器を含む戻り流路をさらに含む、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項4】
各流路内の流量制御弁は、電磁駆動弁を含む、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項5】
各流路内の流量制御弁は、オン状態とオフ状態を有する弁を含む、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項6】
圧力制御装置内の流量制御弁の個数は、2から22個である、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項7】
所定圧力閾値限界は、目標圧力のプラスマイナスパーセンテージである、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項8】
所定圧力閾値限界は、目標圧力のプラスマイナス5%である、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項9】
所定圧力閾値限界は、目標圧力のプラスマイナス2%である、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項10】
マニホルドチャンバ内の目標圧力は、50psiから70psiの間である、請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項11】
診断検査装置における流量制御装置のマニホルドチャンバ内のマニホルド圧力を維持する圧力制御方法であって:
マニホルドチャンバに連結された流路内にある複数の流量制御弁の動作状態組合せを特徴付けることと;
駆動設定を、マニホルドチャンバに液体を供給するポンプに提供することと;
測定圧力をもたらすためにマニホルドチャンバ内の圧力を測定することと;
マニホルドチャンバ内の測定圧力が目標圧力の所定圧力閾値限界内にあるかを判定することと;
所定圧力閾値限界内にない場合、駆動設定を増加もしくは低減させること、または、
所定圧力閾値限界内にある場合、複数の流量制御弁の動作状態組合せについての最適駆動設定を記憶することのどちらかと:
を含む、前記圧力制御方法。
【請求項12】
マニホルドチャンバ内の測定圧力を、該マニホルドチャンバに連結されたセンサを用いて決定することを含む、請求項11に記載の圧力制御方法。
【請求項13】
所定圧力閾値限界は、目標圧力のプラスマイナスパーセンテージである、請求項11に記載の圧力制御方法。
【請求項14】
所定圧力閾値限界は、目標圧力のプラスマイナス5%である、請求項13に記載の圧力制御方法。
【請求項15】
所定圧力閾値限界は、目標圧力のプラスマイナス2%である、請求項13に記載の圧力制御方法。
【請求項16】
所定圧力閾値限界内にない場合の駆動設定の増加は、測定圧力が低過ぎる場合、最適駆動設定へと駆動設定をより上に調節することを含む、請求項11に記載の圧力制御方法。
【請求項17】
複数の流量制御弁の動作状態組合せについての最適駆動設定を記憶することを含む、請求項16に記載の圧力制御方法。
【請求項18】
所定圧力閾値限界内にない場合の駆動設定の低減は、測定圧力が高過ぎる場合、最適駆動設定へと駆動設定をより下に調節することを含む、請求項11に記載の圧力制御方法。
【請求項19】
複数の流量制御弁の動作状態組合せについての最適駆動設定を記憶することを含む、請求項18に記載の圧力制御方法。
【請求項20】
定流量制限をもたらす、液体源への戻り流路を設けることを含む、請求項11に記載の圧力制御方法。
【請求項21】
診断検査装置における流量制御装置のマニホルドチャンバ内の圧力を維持する圧力制御方法であって:
マニホルドチャンバに連結された流路内にある複数の流量制御弁の新しい動作状態組合せを選択することと;
該新しい動作状態組合せに変える前に、現在の動作状態組合せのマニホルドチャンバ内のマニホルド圧力を測定することと;
マニホルドチャンバに液体を供給するポンプにポンプ駆動設定を出力することと;
現在の動作状態組合せから新しい動作状態組合せに変えることと;
マニホルドチャンバ内の測定圧力が目標圧力の所定圧力閾値限界内にあるかを判定することと;
他の新しい動作状態組合せを選択すること、または、
所定圧力閾値限界内にない場合、現在の動作状態組合せについてのポンプ駆動設定を調節することのどちらかと:
を含む、前記圧力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月25日出願の米国仮出願第62/662,587号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示は、生体液体診断検査装置のマニホルドチャンバ内の圧力を制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
患者から得られる生体液体の様々な化学的成分、たとえば血清、血漿などを測定するための臨床検査室での検査においては、臨床分析装置またはイムノアッセイ分析装置などの全自動診断検査装置が、そのような生体液体の分析を実施するために求められる訓練された技術者の数を減らし、生体液体診断検査の精度を向上させ、検査1回あたりの総コストを減らすことができる。
【0004】
そのような全自動診断検査装置は、最初の容器から液体(たとえば、生体液体および/または液体試薬の試料)を吸引し、その液体を反応容器(たとえば、キュベット)などの別の容器に分注するように構成された自動吸引分注装置を含むことができる。吸引分注装置は、ロボットの可動構成要素にそれぞれ取り付けられた複数の可動ピペット(「プローブ」とも呼ばれる)を含む。可動ピペットは、液体の吸引分注機能を実施し、その液体をある場所から反応容器に移動させるように構成される。
【0005】
吸引分注動作後、可動構成要素と各ピペットは、廃棄物レセプタクルに位置することができ、ピペットの洗浄を促進するピペットの内部通路内にすすぎ液が分注される。いくつかの例では、ピペットは、ピペット外側の洗浄を促進する洗浄ステーション浴中に浸漬することもできる。このピペット内すすぎプロセスは、比例積分(PI)フィードバック制御法を含むポンプにより行うことができる。そのようなピペット洗浄プロセスは、検査間、たとえば患者検体間の一生体液体の相互汚染を防ぐ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような診断検査装置の従来の吸引分注装置は、この吸引分注を許容可能に実施することができる。しかし、より速く、より高い信頼性および/またはより安価に実施するシステムがまだ求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、圧力制御装置が提供される。圧力制御装置は、複数のピペットの各出口から液体を分注するように構成された、複数のピペットと;複数のピペットの出口に、マニホルドチャンバと出口との間を通る流路を通って液体を供給するように構成されたマニホルドチャンバを含む、マニホルドと;各流路内にあり、その内部の液体の流れを変調するように構成された流量制御弁と;液体源に相互連結され、マニホルドチャンバに液体を供給しマニホルドチャンバ内の目標圧力を維持するように構成されたポンプと;マニホルドチャンバに連結され、マニホルドチャンバ内の圧力に相関する測定圧力をもたらすように構成された圧力センサと;複数の動作状態組合せから個々の動作状態組合せを命令するように構成された流量コントローラとを含み、流量コントローラはさらに、キャリブレーションモードでは、測定圧力が高過ぎる場合はポンプ駆動設定を低減させ、測定圧力が低過ぎる場合はポンプ駆動設定を増加させ、圧力測定値が目標圧力の所定閾値限界内にある場合は個々の組合さった動作状態についてのポンプ駆動設定を記憶するように、または、検査モードでは、マニホルドチャンバ内の測定圧力が、個々の動作状態組合せ前に命令された事前命令状態組合せについての目標圧力の所定閾値限界内にあるかを判定し、所定閾値限界内にない場合、次に事前命令状態組合せが命令されるときのためにポンプ駆動設定を調節するように構成される。
【0008】
他の態様によれば、診断検査装置における流量制御装置のマニホルドチャンバ内のマニホルド圧力を維持する圧力制御方法が提供される。圧力制御方法は、マニホルドチャンバに連結された流路内にある複数の流量制御弁の動作状態組合せを特徴付けることと;駆動設定を、マニホルドチャンバに液体を供給するポンプに提供することと;測定圧力をもたらすためにマニホルドチャンバ内の圧力を測定することと;マニホルドチャンバ内の測定圧力が目標圧力の所定圧力閾値限界内にあるかを判定することと;所定圧力閾値限界内にない場合、駆動設定を増加もしくは低減させること、または、所定圧力閾値限界内にある場合、複数の流量制御弁の動作状態組合せについての最適駆動設定を記憶することのどちらかと、を含む。
【0009】
他の態様では、診断検査装置における流量制御装置のマニホルドチャンバ内の圧力を維持する圧力制御方法が提供される。圧力制御方法は、マニホルドチャンバに連結された流路内にある複数の流量制御弁の新しい動作状態組合せを選択することと;新しい動作状態組合せに変える前に、現在の動作状態組合せのマニホルドチャンバ内のマニホルド圧力を測定することと;マニホルドチャンバに液体を供給するポンプにポンプ駆動設定を出力することと;現在の動作状態組合せから新しい動作状態組合せに変えることと;マニホルドチャンバ内の測定圧力が目標圧力の所定圧力閾値限界内にあるかを判定することと;他の新しい動作状態組合せを選択すること、または、所定圧力閾値限界内にない場合、現在の動作状態組合せについてのポンプ駆動設定を調節することのどちらかと、を含む。
【0010】
さらに、本開示の他の態様、構成および利点は、本発明を実施するために企図されたベストモードを含む、いくつかの例示的な実施形態を例示することによって、以下の詳細な説明から容易に明らかになろう。本開示は、他の実施形態および異なる実施形態も可能であり、その詳細は、すべて本開示の範囲から逸脱することなく、様々な点で変更することができる。したがって、図面および説明は、事実上、例示的であるとみなすべきであり、限定的とみなすべきではない。本開示は、特許請求の範囲内にあるすべての変更形態、均等物、および代替形態を網羅する。
【0011】
本開示は、以下の図面とあわせて詳細な説明を参照することでより良く理解されよう。図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。明細書を通して、同じ数字は同じ要素を示すのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態による診断検査装置のマニホルドチャンバ内の圧力を制御するように構成された圧力制御装置の概略図である。
【
図2】実施形態による圧力制御装置の構成要素の概略図である。
【
図3A】実施形態による圧力制御装置のキャリブレーション動作の流れ図である。
【
図3B】実施形態による圧力制御装置の検査動作の流れ図である。
【
図3C】実施形態による圧力制御装置および方法のいくつかの動作状態組合せについてのポンプ駆動設定を示すルックアップテーブルの一実施形態の表である。
【
図4】実施形態による圧力制御を示す性能プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述の困難を考慮すると、共通のマニホルドチャンバに連結された多数のピペットから液体(たとえば、すすぎ液)を分注するときに診断検査装置の圧力制御装置内の圧力をより正確に制御する未対処の必要性が存在する。本明細書に記載の圧力制御装置および方法は、被検物質測定、アッセイもしくはイムノアッセイなどの生体液体検体における測定または生体液体検体における他の臨床検査を実施するための分析装置における使用に有用である。具体的には、本明細書に記載の圧力制御装置および方法は、各分析装置がそれぞれ、生体液体検体、および/または試薬、および/または他の液体を異なるタイミングで吸引および分注するように構成された多数のピペットを含むピペット洗浄プロセスに適用可能である。ピペットは、圧力制御装置の動作によりすすぎ液(たとえば、水)を分注することによって洗浄される。本明細書に記載の実施形態は、たとえば2本以上のピペットが一度に洗浄動作を受けるときなど、行われる洗浄動作の数にかかわらず、ピペットに連結されたマニホルドチャンバ内の圧力を制御する能力を劇的に向上させる。
【0014】
一態様では、本開示の実施形態は、すすぎ液を多数のピペットに供給するように構成されたマニホルドチャンバ内の圧力変動を大幅に減少させる圧力制御装置および方法を提供する。たとえば、多数のピペットのうちの1本だけ、または多数のピペットのうちの1本より多いピペット、たとえば、2、3もしくは4本以上のピペットが一度にすすぎ液を分注することができる。したがって、すすぎ液を分注するように命令されるピペットの数に応じて、すすぎ液をマニホルドチャンバに供給するように設けられたポンプの負荷は大きく変化することがある。本発明の圧力制御装置および方法は、すすぎ液を分注するように命令されるピペットの数にかかわらず、確実に、一定の圧力水頭を得ることができるようにする。したがって、圧力制御装置および方法は、確実に、実質的に一定の加圧すすぎ液源が利用できるようにすることによって迅速なすすぎ能力を提供する。したがって、本開示の実施形態を使用することにより、すすぎ液を分注する閾圧力に再び達する前の待機時間が最低限にされるという点で、従来技術より、各ピペットのすすぎ動作を迅速に行うことを可能にすることができる。
【0015】
具体的には、本明細書において、発明者らは、マニホルドチャンバ圧力を比較的安定に(比較的一定に)制御する試みにおいて、従来技術によるポンプおよび可変オリフィス圧力リリーフ弁のPI制御の使用が問題であったことを発見した。具体的には、PI制御を用いると、実際は、動作中に比較的大きな圧力変動が起こる。つまり、PI制御は、マニホルド圧を一定値に維持することにあまり効果がなく、すすぎ液分注後に圧力が再び十分になるまで長い過渡期間が生じ得る。その結果、使用中に様々なピペットをすすぐすすぎ液分注の合間の待機時間が過度となり、場合により50msになることもある。したがって、分析装置の処理量に影響を及ぼすおそれがある。本開示の実施形態は、この待機時間の状況を改善する。
【0016】
本開示の実施形態の上記その他の態様および構成を、本明細書の
図1~
図4を参照して述べる。
【0017】
まず
図1を参照すると、圧力制御装置100の第1の実施形態が示され記載されている。圧力制御装置100は、複数のピペット101A~101Dを含む。複数のピペット101A~101Dは、それらの各出口103A~103Dから液体102(たとえば、水)を分注するように構成される。出口103A~103Dからの液体102(たとえば、水)の分注は、たとえばピペット101A~101Dのうちの1本またはそれ以上によって生体液体および/または試薬の分注が行われる先行分注動作後に命令することができる。すすぎ動作は、それぞれのピペット101A~101Dの通路に付着した生体液体および/または試薬の任意の残った残留部分を洗い流すことを意図する。すすぎ動作中、ロボットA~ロボットDのようなロボットは、コントローラ109の位置コントロール109Pから命令を受けることができる。命令は、ピペット101A~101Dを洗浄ステーション107A~107Dへ動かし、洗浄ステーション107A~107Dの所望の深さまで挿入し、次いでピペット101A~101Dの通路からすすぎ液102を分注することであってよい。
【0018】
ロボットA~Dは、ピペット101A~101DのX、Yおよび/またはZなど1つまたはそれ以上の座標方向の運動を実行するように構成された任意の適当なロボットとすることができる。ロボットA~Dは、ロボット構成要素(たとえば、ロボットアーム、ブーム、フレームなど)を含むことができ、それにピペット101A~101Dをその運動を行うために取り付けることができる。ロボット構成要素は、たとえばX-Y平面の運動能力をもたらす回転アクチュエータ動作によって固定軸周りに揺動することができる。いくつかの実施形態では、運動を行うのにガントリロボットを使用することができる。場合により、またはそれに加えて、垂直Z軸に沿ったピペット101A~101Dの垂直運動は、ピペット101A~101Dに連結された可動構成要素の適当なアクチュエータの動作によって付与することもできる。アクチュエータは、少なくともいくらかの液体を吸引し次いで検査のために反応容器(たとえば、キュベット)に分注することができるようにピペット101A~101Dを大量の試薬液体を含む試薬容器(図示せず)および/または生体液体を含む試料容器(図示せず)へと下降させて入れ上昇させてそこから出すように動作可能とすることができる。生体液体は、血液、血清、血漿、脳液、脊髄液、間質液、尿などとすることができる。他の適当な液体も吸引し検査することができる。加えて、または場合により、X軸および/またはY軸に沿った運動を付与するために1つまたはそれ以上のアクチュエータを設けてもよい。各アクチュエータは、ピペット101A~101Dに一次元、二次元または三次元空間の所望の運動を付与するように、コントローラ109の位置コントロール109Pの制御を受けて適当に作動することができる。
【0019】
それぞれのアクチュエータは、ピペット101A~101Dを、たとえば、試薬容器から反応容器(たとえば、図示されないキュベット)へ、および/または試料容器(図示せず)から反応容器へ、および反応容器からそれぞれの洗浄ステーション107A~107Dへと動かすように動作することができる。4本のピペット101A~101Dおよび4つの洗浄ステーション107A~107Dが図示されているが、それぞれより多くまたはより少なくてもよく、ピペットの数が洗浄ステーションの数と異なってもよい。
【0020】
こうして、洗浄動作を受けることによって、任意の残留材料(検体および/または試薬)がピペット101A~101Dの通路から除去される。さらに、洗浄液を低圧マニホルド118から各洗浄ステーション107A~107Dに供給することもできる。各洗浄ステーション107A~107Dは、内部に含まれる、洗浄液のリザーバを含むことができる。洗浄液は、たとえば、水または水性石鹸液を含むことができる。他の適当な洗浄液も使用することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのリザーバに流体連結された入口および出口導管を介してそれぞれのリザーバ内を洗浄液が循環してもよい(矢印は1つの例示的な流れ方向を示している)。
【0021】
再び
図1を参照すると、圧力制御装置100は、内部にマニホルドチャンバ106を含むマニホルド105(たとえば、高圧マニホルド)をさらに含む。マニホルドチャンバ106は、複数のピペット101A~101Dの出口103A~103Dに液体102を供給するように構成されたチャンバである。液体102は、マニホルドチャンバ106と出口103A~103Dとの間を通る流路108A~108D内に供給される。流路108A~108Dは、可撓性の小径管または同様のものを含むことができる。
【0022】
流量制御弁110A~110Dは、各流路108A~108Dに設けられ、各流路108A~108D内の液体102の流れを、たとえばオンまたはオフの間で変調するように構成される。オン状態とオフ状態を有する電磁駆動の流量制御弁のような任意の適当な二方弁を使用することができる。他のタイプの弁を使用することもできる。図示の実施形態では、オンは、液体102の流れを可能にする弁構成を提供し、オフは、液体102の流れが提供されないように閉じた弁構成を提供する。したがって、流量制御弁110A~110Dのうちの1つまたはそれ以上のオン構成によって、液体102はそれぞれの流路108A~108Dを流れ、それによって、オンに構成された流量制御弁110A~110Dに関連したピペット101A~101Dのすすぎが行われる。流量制御弁110A~110Dの弁構成は、インテリジェント流量コントロール109Iからの適当な命令に基づく。コントローラ109のインテリジェント流量コントロール109Iによってオンに命令される流量制御弁110A~110Dの数および組合せに応じて、いくつかの異なる流れ要求が存在し得ると理解されたい。
【0023】
たとえば、図示のようにピペットが4本の場合、各流量制御弁110A~110Dのそれぞれの動作状態組合せに応じて16の異なる流れ要求が可能である(複数の動作状態組合せについての様々なオンとオフの構成を示す
図3C参照)。たとえば、すべてオフ(動作状態16)、すべてオン(動作状態15)、およびオンとオフの任意の数の組合せ(動作状態1~14参照)があり得る。図示の実施形態では4本のピペット101A~101Dが示されているが、本明細書の圧力制御装置および方法は、共通のマニホルドチャンバからすすぎ液を受けるピペットおよび対応する流路がより少ないまたはより多い(たとえば、3、5、6、7、8、9、または10本以上のピペットの)装置にも同じように適用可能である。いくつかの実施形態では、圧力制御装置100内の流量制御弁の個数は、たとえば、約2から22個とすることができる。しかし、他の個数も可能である。
【0024】
圧力制御装置100は、液体源104と相互連結され作動するとマニホルドチャンバ106に液体102を供給するように構成されたポンプ112(たとえば、高圧ポンプ)をさらに含む。ポンプ112は、たとえば、約50psiから約70psiの間の設計圧力で動作する能力を有するデニールサイレンサ(Denier Silencer)タイプのポンプのような高速ポンプとすることができる。他の適当な動作圧力も使用することができる。液体源104は、水ボトル、または他の適当なリザーバもしくは液体源とすることができる。ポンプ112の動作は、動作状態組合せにかかわらず高圧システムのマニホルドチャンバ106内の目標圧力Ptを維持するようにコントローラ109のインテリジェント流量コントロール109Iから命令を受ける。本圧力制御装置100において、目標圧力Ptの維持は、順次的なすすぎ動作が最低限の過渡待機時間で非常に迅速に行われるように提供される。目標圧力Ptは、まず、
図3Aを参照して述べられるような適当なキャリブレーション方法によって維持され、その後、検査では、新しい状態組合せが命令される前の測定チャンバ圧力Pmによって維持され、測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値内にあるか判定される。測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値内にない場合、命令のあった個々の状態組合せについてのポンプ駆動設定が、次に動作状態が命令されるときのために調節される。
【0025】
圧力制御装置100は、高圧システムのマニホルドチャンバ106に連結された圧力センサ114をさらに含む。圧力センサ114は、マニホルドチャンバ106内の圧力に相関する測定チャンバ圧力Pmを決定しコントローラ109のインテリジェントコントロール109Iに提供するように構成される。測定チャンバ圧力Pmは、コントローラ109に提供されるデジタルまたはアナログの信号の形態とすることができる。適当な調整用電子機器(
図2では調整部217)は、コントローラ109で使用される信号を調整することに使用することができる。圧力センサ114は、マニホルドチャンバ106の約15psiから150psiの範囲内の圧力を測定するように構成された高圧センサ(SH)とすることができる。圧力センサ114は、たとえば、Honeywell、East Syracuse、NYから入手可能なTRUESTABILITY(商標)RSCシリーズの圧力センサなどのピエゾ抵抗シリコン圧力センサとすることができる。他の適当な圧力センサを使用することもできる。センサ調整部217は、圧力センサ114によって提供される圧力生信号を調整するために設けることができる。このセンサ調整部217は、適当なA/D変換器、増幅器、および場合により適当なアンチエイリアシングフィルタを含むことができる。アンチエイリアシングフィルタは、約160Hz以上のカットオフ周波数を有することができる。測定チャンバ圧力Pmのサンプリング速度は、たとえば、2,000試料/秒以上とすることができる。他のサンプリング速度を使用することもできる。
【0026】
圧力制御装置100は、マニホルドチャンバ106と液体源104との間に連結された戻り流路Rをさらに含む。図示の実施形態では、戻り流路Rは、固定オリフィス(FO)のような固定流量制限部117を含む導管を含む。戻り流路Rは、たとえば、流れを液体源104に戻す。戻り流路Rは、その内部に、任意の適当なパティキュレートフィルタなどを含む、液体102の濾過部を含むことができる。固定流量制限部117(たとえば、固定オリフィス-FO)は、たとえば、直径0.25mmから6.35mm、長さ2mmから8mmのような寸法を有する円形オリフィスを含むことができる。固定オリフィスの他の寸法を使用することもできる。固定流量制限部117は、実質的に不変の流れ制限を提供し、それによって、定流量かつ定圧の制限を提供する、液体源104への戻り流路Rが提供される。有利には、固定流量制限部117は、すべての流量制御弁110A~110Dがオフ状態にあるときにマニホルドチャンバ106内の流量がゼロになり得ないようにする。これによって、この全オフ状態下でも圧力制御の維持が可能になる。これは、ポンプが高い動的範囲機能を持つ必要性、および速い応答時間の必要性を劇的に低減させ、したがってそのコストを低くすることができる。固定オリフィス(FO)と液体102を液体源104に戻す戻り流路Rなどと類似の固定流量制限部を設けることもできる。
【0027】
より詳細には、コントローラ109のインテリジェント流量コントロール109Iは、キャリブレーションモードおよび/または検査モードを実行するように構成される。キャリブレーションモード(
図3A)では、インテリジェント流量コントロール109Iは、マニホルドチャンバ106内の測定圧力Pmが目標チャンバ圧力Ptの所定閾値限界内にあるかを判定する。次いで、インテリジェント流量コントロール109Iは、所定閾値限界内にない場合、ポンプ駆動設定DSを(上または下に)調節する、または測定チャンバ圧力Pmが所定閾値限界内にある場合、複数の流量制御弁110A~110Dの動作状態組合せについての最適駆動設定DS(たとえば、Ds1~Ds16)を記憶することができる。記憶は、メモリ内の
図2および
図3Cに示されるようなデータベース内のルックアップテーブル227として行うことができる。目標圧力Ptの±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、またはさらに±0.5%などの任意の適当な所定圧力閾値限界を使用することができる。
【0028】
コントローラ109は、実行可能命令および比較を実行するように構成された適当なマイクロプロセッサ、データベース(ルックアップテーブル227)に情報を記憶するように構成された固定メモリ製品など(たとえば、ハードドライブなど)の適当なメモリ、ならびにセンサ114、120とポンプ112、122の間の信号の送受信を可能にする調整用電子機器227および電子周辺機器(たとえば、ドライバ221A~221D)を含む、デジタルコンピュータなどの任意の適当なコンピューティングデバイスとすることができる。
【0029】
図示の実施形態では、ポンプ112は、低圧マニホルド118を介して液体102の流れを受けることができ、図示の実施形態では洗浄液を含む液体102の流れを洗浄ステーション107A~107Dにもたらすように構成された低圧液体供給システムの一部として構成することができる。マニホルド105を含む高圧システムは、場合により液体源104から液体102の流れを直接受けることができるが、低圧システムを介して流れを受けることは、ポンプ112の要求を低減させ、したがって望ましいことであると理解されたい。
【0030】
低圧液体供給システムを含む圧力制御装置100は、低圧マニホルドチャンバ119内の圧力に関係する圧力測定値を流量コントローラ109のインテリジェント流量コントロール109Iに供給するように構成された、低圧マニホルド118に連結された低圧センサ120を含むことができる。低圧ポンプ122は、ポンプ112と同様に駆動することができ、低圧マニホルドチャンバ119内に実質的に一定の圧力をもたらす。
【0031】
圧力制御装置100は、ピペット101A~101D内部への所望の液体(たとえば、試薬液体または検体)の厳格かつ精確な吸引を促進するように提供される吸引器/分注装置とともに使用することができる。吸引体積は、非常に小さく、すなわち、いくつかの実施形態では約25μL未満とすることができる。吸引/分注装置は、ピペット101A~101D内部への所望の量の液体(たとえば、液体検体)の吸い込み(たとえば、吸引)および分注動作の制御を行うように構成された高精度のポンプ(図示せず)を含むことができる。吸引/分注装置は、高精度容積型ポンプ、1つもしくはそれ以上の弁、アキュムレータ、分注器、または液体の吸引および分注を実現する他の油圧構成要素(図示せず)など、他の従来の構成要素を含むことができる。ピペット101A~101Dへの液体検体の精確な吸引および分注のための任意の適当な装置を使用することができる。吸引および分注を達成するための支援(backing)液体の供給は、液体102であってよく、高精度ポンプは、高圧マニホルド105か低圧マニホルド118のどちらかから液体102を得ることができる。
【0032】
次に、
図2および
図3A~
図3Cを参照すると、本開示の広範な方法が示されており、制御を受ける構成要素が記載されている。上述のように、圧力制御装置100は、第1のモードまたは第2のモードで動作することができる。第1のモードである、
図3Aに示されるようなキャリブレーションモードでは、圧力制御装置100のキャリブレーションが行われる。検査モードでは、圧力制御装置100は、キャリブレーションが検証されるように、または先に記憶されているポンプ駆動設定が場合により更新されるように、動作される。
【0033】
図3Aに示されるようなキャリブレーション方法300Cは、325で、動作状態組合せの特徴付けを含む。特徴付けは、単に、流量制御弁110A~110Dについて、最初にキャリブレーションされることが望まれる動作状態組合せを決定することである。たとえば、キャリブレーションは、動作状態組合せ1(CV1-オン、CV2-オフ、CV3-オフ、CV4-オフ)から始まってよく、方法300Cは、他の状態2~16についてのキャリブレーションを一つ一つ実施することができる。いくつかの実施形態では、各流量制御弁110A~110Dについての動作状態は、オン状態かオフ状態のどちらかである。各流量制御弁110A~110Dのこの動作状態組合せは、任意の適当な手段によって特徴付けることができる。たとえば、流量制御弁110A~110Dのこの動作状態組合せは、新しい動作状態組合せ(すなわち、流量制御弁設定)を要求するコントローラ109によって発行された命令をパースすることによって特徴付けることができる。次いで、方法300Cは、326で、複数の動作状態組合せから流量制御弁110A~110Dの個々の状態組合せを命令することができる。方法300Cは、327で、ポンプ駆動設定DS(すなわち、ポンプ駆動電圧)をポンプ112に出力することができる。326および327での命令は、たとえば同時に行うことができる。いくつかの実施形態では、各流量制御弁110A~110Dとポンプ112のラグおよび遅延を考慮して、それらがほぼ同時に作動されるようにすることができる。
【0034】
図1の構成の場合、
図3Cに示されるルックアップテーブル227に示されるような16の動作状態組合せがある。動作状態組合せごとに、キャリブレーション方法300Cによって確立された、事前確立のポンプ駆動設定DS1~DS16がある。たとえば、CVA-オン、CVB-オフ、CVC-オン、CVD-オフの動作状態組合せの場合、ポンプ駆動設定(DS)は、事前確立ポンプ駆動設定値(ポンプ駆動装置223によって出力される駆動電圧など)であるDS9に設定される。これらのポンプ駆動設定DS1~DS16は、特定の圧力制御装置100についてキャリブレーション方法300Cを実行することによってもたらすことができる。
【0035】
より詳細には、326で個々の動作状態組合せが流量制御弁110A~110Dに命令され327でポンプ駆動設定がポンプ112に出力された後、方法300Cは、328で、マニホルドチャンバ106内の測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値限界内にあるかを判定する。具体的には、コントローラ109のメモリに記憶されている適当なソフトウェアルーチンであるインテリジェント流量コントロール109Iが比較動作を実行し、マニホルドチャンバ106内の測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定圧力閾値限界内にあるかを判定する。いくつかの実施形態では、目標圧力Ptの所定閾値限界は、たとえば、Ptの±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、またはさらに±0.5%内など、目標圧力Ptのパーセンテージに基づいてよい。他の適当な圧力閾値限界を使用することもできる。目標圧力Ptならびに上限および下限の閾圧力(UTP、LTP)は、メモリ内に記憶されているデータベースの一部としてのルックアップテーブル227に記憶することができる。圧力センサ114によって測定されるような測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値限界内にある場合(はい-上限(UTP)と下限(LTP)の閾圧力の間)、330で、流量制御弁110A~110Dのその動作状態組合せについての緻密な駆動設定(最適駆動設定)が記憶される。これは、ルックアップテーブルの第1の母集団、またはその時点のもしくは事前投入のポンプ駆動設定の代替とすることができる。次いで、検査モードにおいて、流量制御弁110A~110Dのその動作状態組合せが命令されたとき、記憶されているこのポンプ駆動設定が使用される。したがって、方法300Cは、ルックアップテーブル227に、検査の開始のときに使用することができる最適ポンプ駆動設定を記憶する。
【0036】
方法300Cが、測定圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値の閾値内にないと判定した(いいえ)場合、332で追加の比較動作に取り掛かり、圧力が高過ぎる、すなわち上限閾圧力(UTP)を上回っているかを判定する。上限閾圧力(UTP)は、
図3Cに示されるようにルックアップテーブル227に記憶することができる。測定圧力Pmが高過ぎる(はい)場合、334で流量制御弁110A~110Dの個々の動作状態組合せについてのポンプ駆動設定が低減される。ポンプ駆動設定の低減量は、決まった量、または測定圧力Pmと目標圧力Ptとの比率もしくは差に基づいた量、または何らかの他の適当な設定補正とすることができる。たとえば、最適駆動設定(ODS)は、下式1:
ODS=DS×Pt/Pm 式1
に従って、ある係数に現在記憶されている駆動設定(DS)を乗じたものに基づいて調節することができる。
【0037】
新しい最適駆動設定(ODS)が判明したら、検査中に使用するために任意の現在のポンプ駆動設定(DS)に取って代わってその最適駆動設定(ODS)をルックアップテーブル227に記憶することができる。
【0038】
方法300Cが、332で測定圧力Pmが高過ぎないと判定した(いいえ)場合、測定圧力Pmは、下限閾圧力(LTP)を下回っている。下限閾圧力(LTP)は、やはりまた、
図3Cに示されるようなルックアップテーブル227に記憶することができる。測定圧力Pmが高過ぎない(いいえ)場合、すなわち低過ぎるまたは下限閾圧力(LTP)から外れている場合、336で流量制御弁110A~110Dの個々の状態組合せについてのポンプ駆動設定(DS)が増加される。ポンプ駆動設定の増加量は、決まった量、または測定圧力Pmと目標圧力Ptとの比率もしくは差に基づいた量、または何らかの他の適当な駆動設定補正とすることができる。たとえば、最適駆動設定(ODS)は、上式1に従って増加させることができる。検査での使用のために任意の現在のポンプ駆動設定(DS)に取って代わって新しい最適駆動設定(ODS)をルックアップテーブル227に記憶することができる。
【0039】
したがって、ポンプ駆動設定DS1~DS16は、方法300Cで行われるキャリブレーション動作に基づいてもたらす(たとえば、ルックアップテーブル227に事前投入する)ことができる。いくつかの実施形態では、ポンプ駆動設定DS1~DS16は、圧力制御装置100とほぼ同じ別の圧力制御装置で行ったキャリブレーション動作に基づいてもたらす(たとえば、ルックアップテーブル227に事前投入する)ことができ、次いで、ポンプ駆動設定(DS)が、インテリジェント圧力コントロール109Iに転送またはダウンロードされる。明らかなように、特定の圧力制御装置100についての初期設定DS1~DS16は、動作の開始点を提供することができるが、ポンプ駆動設定DS1~DS16は、以下に述べるように検査モードの間に最適化することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、キャリブレーション方法300Cの間、初期ポンプ駆動設定は、閾値限界を下回る比較的低い開始電圧から開始し、次いで、圧力センサ114によって測定されるような測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値限界内になるまで上昇される。下限閾圧力(LTP)、すなわち下限閾値限界に最初になったときに得られた第1の駆動電圧を一時的に保存することができる。続いて、比較的高いポンプ駆動設定は、閾値限界を上回る第2の開始電圧をもたらすことができ、次いで、圧力センサ114によって測定されるような測定チャンバ圧力Pmが目標圧力Ptの所定閾値限界内になるまで下降される。上限閾圧力(UTP)、すなわち上限閾値限界に最初になったときの第2の駆動電圧値は、第1の駆動電圧と平均化することができる。この平均電圧は、ポンプ駆動設定として使用されルックアップテーブル227に投入することができる。したがって、このキャリブレーション方法300Cを使用することで、ポンプ駆動設定の取得におけるヒステリシスを説明できる。
【0041】
たとえば、構成要素およびアセンブリの公差による圧力制御装置100ごとの若干の差異ならびに動作の変動があり得るので、任意の事前投入の初期設定DS1~DS16が最適ではなくなることがある。さらに、時間とともに、電気システムのずれ、ポンプの摩耗などにより、ポンプ駆動設定がずれ、もはや最適ではなくなることがある。したがって、本開示の他の方法の態様によれば、各動作状態組合せについてのポンプ駆動設定は、
図3Bを参照して述べられる検査方法300Tの使用によって、検査モードにおいて最適ポンプ設定へ更新することができる。
【0042】
次に、
図3Bを参照すると、検査方法300Tが示されている。検査方法300Tによれば、前の検査が行われた後、340で、方法300Tは、コントローラ109により、流量制御弁110A~110Dについての新しい動作状態組合せを選択する。新しい動作状態組合せは、その時点で診断検査装置で行われている動作に基づくことができる。次いで、検査方法300Tは、342で、新しい動作状態組合せへの変更前にマニホルドチャンバ106内の圧力(Pm)の測定を行う。次いで、検査方法300Tは、344でポンプ駆動設定をポンプ112へ、好ましくは一斉に行われるように、出力し、346でたとえば流量制御弁110A~110Dに駆動信号を送信することによって、流量制御弁110A~110Dの現在の動作状態組合せを新しい動作状態組合せに変える。さらに、検査方法300Tは、348で、先に測定された圧力Pmが、たとえば事前確立されルックアップテーブル227に事前投入されている閾圧力限界内(すなわち、上限閾圧力(UTP)と下限閾圧力(LTP)との間)にあるかを判定する。答えがはいの場合、ルックアップテーブル227に記憶されている駆動設定(DS)への変更はなく、340で、新しい動作状態組合せが、ピペット(101A~101D)で行われる次の洗浄動作の組合せについて選択される。答えがいいえの場合、ルックアップテーブル227に記憶されているポンプ駆動設定(DS)は、350で、次に動作状態組合せが選択されるときのために調節される。
【0043】
ポンプ駆動設定の補正量は、決まった量、または測定圧力Pmと目標圧力Ptとの比率もしくは差に基づいた量、または何らかの他の適当な駆動設定補正とすることができる。たとえば、最適駆動設定(ODS)は、上式1に従って増加され、ルックアップテーブル227に記憶することができる。
【0044】
図4は、流量制御弁110A~110Dのオンオフ状態組合せについてのルックアップテーブル227からのポンプ駆動設定(DS)に基づいた駆動電圧信号440、および流量制御弁への状態を変える(たとえば、オフからオン)弁駆動信号445、および流量制御弁110A~110Dの新しい状態についての新しいポンプ駆動設定(DS)へと移っているときの経時的な生じた圧力のプロット450、についての例示的なプロット400を示している。図示の実施形態では、生じた圧力のプロット450は、測定圧力Pmが、状態組合せが変わったときにわずか(たとえば、約5%未満、またはさらに約2%未満、またはさらに約1%未満)しか変わらないことを示している。したがって、マニホルドチャンバ106内において実質的に一定の目標圧力Ptが実現する。
【0045】
本開示の様々な実施形態を図示し述べてきたが、特許請求される本発明の範囲に依然として入る多くの他の変形形態も可能であることが当業者には理解されよう。したがって、特許請求の範囲およびその均等物で示されるものとしてのみ本発明を限定することが意図されている。