(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
H04N 5/374 20110101AFI20220926BHJP
H04N 5/359 20110101ALI20220926BHJP
H04N 5/378 20110101ALI20220926BHJP
【FI】
H04N5/374
H04N5/359 800
H04N5/378
(21)【出願番号】P 2021001051
(22)【出願日】2021-01-06
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】牛永 健雄
(72)【発明者】
【氏名】森川 佳直
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283557(JP,A)
【文献】特開2019-054399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/374
H04N 5/359
H04N 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光電変換する単位画素が複数配列された画素部と、
複数の前記単位画素と接続された画素信号線から読み出されたアナログ信号の電位についてAD変換するAD変換回路と、
前記アナログ信号の電位におけるリセット電位が、所定の第1参照電位よりも高いか否か判別する判別回路と、を備え、
前記AD変換回路は、
カウント処理を行うカウンタ回路と、
前記判別回路の判別結果
と、前記カウンタ回路から出力された第1出力結果
と、の両方を保持する第1ラッチ回路と、を有していることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記AD変換回路は、
前記アナログ信号の電位と、時間とともに変化するランプ波形の電位である第2参照電位と、を比較する比較回路をさらに備え、
前記アナログ信号の電位を第1カウント期間および前記第1カウント期間の後の第2カウント期間でAD変換し、
前記カウンタ回路は、
前記第1カウント期間に行う第1カウント処理の初期値を負の値に設定し、
前記比較回路から出力された出力信号の変化をトリガとして前記第1カウント処理を停止し、
前記第1カウント処理の停止時の第1カウント値を、前記第2カウント期間に行う第2カウント処理の開始前に全ビット反転させ、
前記第2カウント期間に行う第2カウント処理の初期値として前記第1カウント値を全ビット反転させた値を用い、
前記第1ラッチ回路は、前記カウンタ回路から出力された第1カウント値の最上位ビットを保持し、
前記カウンタ回路から出力された前記第2カウント処理の停止時の第2カウント値を全ビット保持する第2ラッチ回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1ラッチ回路から出力された前記判別結果および前記第1出力結果、ならびに、前記第2ラッチ回路から出力された第2出力結果のそれぞれが入力される後段処理ロジック回路をさらに備え、
前記後段処理ロジック回路は、前記第1ラッチ回路から出力された前記判別結果に応じて、前記第2ラッチ回路から出力された前記第2出力結果、または、前記第2出力結果を前記後段処理ロジック回路でフルコードに置き換えた置換結果のいずれかを出力することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
入射光を光電変換する単位画素が複数配列された画素部と、
複数の前記単位画素と接続された画素信号線から読み出されたアナログ信号の電位におけるシグナル電位とリセット電位との差分に応じた電位、及び、所定の基準電位についてAD変換するAD変換回路と、
前記アナログ信号の電位における前記リセット電位が、所定の第1参照電位よりも高いか否か判別する判別回路と、を備え、
前記AD変換回路は、
カウント処理を行うカウンタ回路と、
前記判別回路の判別結果を保持する第1ラッチ回路と、を有していることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項5】
前記判別回路は、前記リセット電位と前記所定の第1参照電位とを比較するコンパレータ回路で構成されていることを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:以下、CMOS)イメージセンサなどの固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCMOSイメージセンサは、行列状に配置された単位画素毎に、浮遊拡散層およびアンプを有する。従来のCMOSイメージセンサは、画素配列を構成する一行分の単位画素を順次選択し、選択された単位画素の各行で生成されたアナログ信号を同時に列方向に読み出すような列並列出力型が主流になっている。列方向に読み出されたアナログ信号は、列毎にAD(Analog-Digital)変換回路にてデジタル信号にAD変換される。
【0003】
列並列出力型のCMOSイメージセンサに搭載されるAD変換回路に関しても、従来からさまざまな構成ものが提案されている。中でも、初期状態のデータと信号蓄積後のデータとをそれぞれAD変換し、AD変換後の各データを減算処理することによって、低ノイズ特性を実現した構成のAD変換回路が主流になっている。
【0004】
前記の減算処理は、具体的にはデジタルCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)のことを指す。デジタルCDS(以下、デジタル的なCDS処理)は、画素におけるリセット状態の画素信号線電位をAD変換したデジタル値と、シグナル状態の画素信号線電位をAD変換したデジタル値との差分をとって単位画素毎のバラつきをキャンセルすることにより、列並列出力型のCMOSイメージセンサに搭載されるAD変換回路の列毎のバラつきも合わせてキャンセルして、単位画素に入射した光に対応するデータだけを取り出す方法である。以下、デジタル的なCDS処理による減算処理の方式をデジタルCDS駆動方式と称す。リセット状態は、単位画素が初期化された状態であり、シグナル状態は、光が単位画素に入射した状態である。
【0005】
しかしながら、太陽光のように強烈な光が各単位画素に入射した場合、単位画素間の素子分離状態が保てず、結果、リセット状態が異常になる。リセット状態が異常になると、リセット状態とシグナル状態との差分も正しい結果とならない。そのため、本来太陽光等の強烈光が単位画素に入射すれば画像が白出力されなければならないところ、画像が黒出力されるという誤出力が生じてしまう(以下、画像の黒化現象)。
【0006】
上述のような画像の黒化現象を抑制すべく、例えば特許文献1には、無信号期間のリセット電圧を検出して強烈光が単位画素に入射したかどうかを判定し、強烈光入射時にのみ所定の処理を実行する固体撮像素子が開示されている。具体的には、特許文献1の固体撮像素子は、強烈光入射時にのみリセット電圧を無信号電圧に置き替える。あるいは、特許文献1の固体撮像素子は、電圧が低下する前の電圧をクリップしてリセット電圧として用いる。これらの処理のいずれかを実行することで、特許文献1の固体撮像素子は画像の黒化現象の抑制を図っている。また、特許文献2には、符号用のビットを用いることなく、負の初期値で動作するカウンタを用いたデジタルCDS駆動方式によるAD変換をすることにより、画像の黒化現象の抑制を図りつつ、回路規模の縮小および消費電力の低減を実現した固体撮像素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-287131号公報(2000年10月13日公開)
【文献】特開2019-54399号公報(2019年4月4日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の固体撮像素子では、比較器の後段にパルス合成器、セレクタおよび電圧発生器などが備わっていることが必要であり、回路規模が大きくなってしまうという問題点がある。また、特許文献2に開示された技術は、デジタルCDS駆動方式の固体撮像素子において画像の黒化現象の抑制を実現するのには有効であるものの、ハイブリットCDS駆動方式の固体撮像素子においては必ずしも有効であるとは言えない。ここで、ハイブリットCDS駆動方式は、アナログ的なCDS処理とデジタル的なCDS処理とが組み合わさったAD変換回路の駆動方式である。
【0009】
具体的には、ハイブリットCDS駆動方式におけるアナログ的なCDS処理では、単位画素におけるリセット状態の画素信号線電位と、シグナル状態の画素信号線電位との差分をアナログ的にとることにより、単位画素毎のバラつきをキャンセルする。また、ハイブリットCDS駆動方式におけるデジタル的なCDS処理では、ある基準電位をAD変換したデジタル値と、前記画素信号線のアナログ的なCDS処理後の差分信号成分の電位をAD変換したデジタル値との差分をとることにより、列並列出力型のCMOSイメージセンサに搭載されるAD変換回路の列毎のバラつきをキャンセルする。ハイブリットCDS駆動方式は、上述した各処理によって、単位画素に入射した光に対応するデータだけを取り出す方式である。
【0010】
本発明の一態様は、前記の各問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、回路規模を小さくしつつ、デジタルCDS駆動方式およびハイブリットCDS駆動方式のいずれでも画像の黒化現象を抑制できる固体撮像素子を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、入射光を光電変換する単位画素が複数配列された画素部と、複数の前記単位画素と接続された画素信号線から読み出されたアナログ信号の電位についてAD変換するAD変換回路と、前記アナログ信号の電位におけるリセット電位が、所定の第1参照電位よりも高いか否か判別する判別回路と、を備え、前記AD変換回路は、カウント処理を行うカウンタ回路と、前記判別回路の判別結果と、前記カウンタ回路から出力された第1出力結果と、の両方を保持する第1ラッチ回路と、を有している、固体撮像素子。
【0012】
(2)また、本発明のある実施形態は、前記(1)の構成に加え、前記AD変換回路は、前記アナログ信号の電位と、時間とともに変化するランプ波形の電位である第2参照電位と、を比較する比較回路をさらに備え、前記アナログ信号の電位を第1カウント期間および前記第1カウント期間の後の第2カウント期間でAD変換し、前記カウンタ回路は、前記第1カウント期間に行う第1カウント処理の初期値を負の値に設定し、前記比較回路から出力された出力信号の変化をトリガとして前記第1カウント処理を停止し、前記第1カウント処理の停止時の第1カウント値を、前記第2カウント期間に行う第2カウント処理の開始前に全ビット反転させ、前記第2カウント期間に行う第2カウント処理の初期値として前記第1カウント値を全ビット反転させた値を用い、前記第1ラッチ回路は、前記カウンタ回路から出力された第1カウント値の最上位ビットを保持し、前記カウンタ回路から出力された前記第2カウント処理の停止時の第2カウント値を全ビット保持する第2ラッチ回路をさらに備えている、固体撮像素子。
【0013】
(3)また、本発明のある実施形態は、前記(2)の構成に加え、前記第1ラッチ回路から出力された前記判別結果および前記第1出力結果、ならびに、前記第2ラッチ回路から出力された第2出力結果のそれぞれが入力される後段処理ロジック回路をさらに備え、前記後段処理ロジック回路は、前記第1ラッチ回路から出力された前記判別結果に応じて、前記第2ラッチ回路から出力された前記第2出力結果、または、前記第2出力結果を前記後段処理ロジック回路でフルコードに置き換えた置換結果のいずれかを出力する、固体撮像素子。(4)また、本発明のある実施形態は、入射光を光電変換する単位画素が複数配列された画素部と、複数の前記単位画素と接続された画素信号線から読み出されたアナログ信号の電位におけるシグナル電位とリセット電位との差分に応じた電位、及び、所定の基準電位についてAD変換するAD変換回路と、前記アナログ信号の電位における前記リセット電位が、所定の第1参照電位よりも高いか否か判別する判別回路と、を備え、前記AD変換回路は、カウント処理を行うカウンタ回路と、前記判別回路の判別結果を保持する第1ラッチ回路と、を有している、固体撮像素子。
【0014】
(5)また、本発明のある実施形態は、前記(1)から(4)のいずれかの構成に加え、前記判別回路は、前記リセット電位と前記所定の第1参照電位とを比較するコンパレータ回路で構成されている、固体撮像素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様は、回路規模を小さくしつつ、デジタルCDS駆動方式およびハイブリットCDS駆動方式のいずれでも画像の黒化現象を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態1および2に係る固体撮像素子の構成例を示す回路図である。
【
図2】単位画素の構成の一例としての、一般的な4トランジスタ構成(セレクト有型)を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態1~3に係る固体撮像素子の第2比較回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る固体撮像素子の通常時の駆動例である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る固体撮像素子の異常時の駆動例である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る固体撮像素子の変形例の構成例を示す回路図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る固体撮像素子の通常時の駆動例である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る固体撮像素子の異常時の駆動例である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る固体撮像素子の構成例を示す回路図である。
【
図11】本発明の実施形態3に係る固体撮像素子のアナログ回路の構成例を示す回路図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る固体撮像素子のAD変換器の駆動例である。
【
図13】本発明の実施形態3に係る固体撮像素子のAD変換器の駆動例である。
【
図14】本発明の実施形態3に係る固体撮像素子の変形例の構成例を示す回路図である。
【
図15】デジタルCDS駆動方式およびハイブリットCDS駆動方式の従来の固体撮像素子の構成例を示す回路図である。
【
図16】デジタルCDS駆動方式の従来の固体撮像素子の通常時における駆動例である。
【
図17】デジタルCDS駆動方式の従来の固体撮像素子の異常時における駆動例である。
【
図18】ハイブリッドCDS駆動方式の従来の固体撮像素子の通常時および異常時における駆動例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先に説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0018】
〔実施形態1〕
<固体撮像素子1の構成>
図1~
図4に基づき、本発明の実施形態1に係る固体撮像素子1の構成について説明する。固体撮像素子1は、
図1に示すように、画素部10、垂直走査回路20、水平走査回路30、クランプ部40、AD変換回路50、黒化現象判定回路60および後段処理ロジック回路70を備えている。黒化現象判定回路60は単位画素12の画素列毎に備えられている。
【0019】
(画素部10および垂直走査回路20)
画素部10は、複数の単位画素12がマトリックス状に配列された構成になっている。単位画素12は、入射光をアナログ信号に光電変換する。同じ画素行方向に並んだ単位画素12は、同じ配線22を介して垂直走査回路20に接続されており、垂直走査回路20によって制御される。また、同じ画素列方向に並んだ単位画素12は、同じ画素信号線32に接続されている。単位画素12から出力されたアナログ信号は、画素信号線32を通じてAD変換回路50へ転送される。
【0020】
なお、単位画素12は、3トランジスタ構成、4トランジスタ構成、グローバルシャッタ画素構成等の一般的な構成をとり得る。本実施形態では、単位画素12のとり得る構成の一例として
図2に示す4トランジスタ構成について説明する。
図2の単位画素12は、4つのトランジスタで構成されるCMOSイメージセンサの単位画素である。
【0021】
図2の単位画素12は、光電変換素子として例えばフォトダイオード200を有している。
図2の単位画素12は、1個のフォトダイオード200に対して、転送素子としての転送トランジスタ201、リセット素子としてのリセットトランジスタ202、増幅トランジスタ203および選択トランジスタ204を能動素子として有する。
【0022】
フォトダイオード200は、入射光をその光量に応じた量の電荷(ここでは電子)に光電変換する。転送トランジスタ201は、フォトダイオード200と、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。転送トランジスタ201は、転送制御線LTXを通じてそのゲート(転送ゲート)に駆動信号TXが与えられることで、フォトダイオード200で光電変換された電子をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0023】
リセットトランジスタ202は、電源ラインPVDDとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。リセットトランジスタ202は、リセット制御線LRSTを通してそのゲートにリセットRSTが与えられることで、フローティングディフュージョンFDの電位を電源ラインPVDDの電位にリセットする。
【0024】
フローティングディフュージョンFDには、増幅トランジスタ203のゲートが接続されている。増幅トランジスタ203は、選択トランジスタ204を介して画素信号線205に接続され、画素部10外の定電流源とソースフォロアを構成している。そして、選択制御線LSELを通して制御信号(アドレス信号またはセレクト信号)SELが選択トランジスタ204のゲートに与えられ、選択トランジスタ204がオンする。
【0025】
選択トランジスタ204がオンすると、増幅トランジスタ203はフローティングディフュージョンFDの電位を増幅してその電位に応じた電圧を画素信号線205に出力する。画素信号線205を通じて、各単位画素12から出力された電圧は、画素信号読み出し部としてのAD変換回路50(
図1参照)に出力される。
【0026】
これらの一連の動作は、例えば転送トランジスタ201、リセットトランジスタ202、および選択トランジスタ204の各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各単位画素12について同時並列的に行われる。
図2の単位画素12に配線されているリセット制御線LRST、転送制御線LTX、および選択制御線LSELが一組として画素配列の各行単位で配線されている。これらのリセット制御線LRST、転送制御線LTX、および選択制御線LSELは、画素駆動部としての垂直走査回路20(
図1参照)により駆動される。
【0027】
(クランプ部40)
クランプ部40は、後述する第2比較回路54のオートゼロ期間において、画素信号線32から読み出したアナログ信号の電位VSIGが所定値以下にならないようクランプする。第2比較回路54のオートゼロ期間とは、第2比較回路54の入出力をショートして、第2比較回路54のオフセットをキャンセルする期間である。第2比較回路54のオートゼロ期間の間、画素信号線32をクランプすることにより、後述するデジタルCDS駆動方式では、第1AD変換期間において、強烈光の受光等により前記の電位VSIGが低下することを検出することができる。
【0028】
クランプ部40は、
図1に示すように、クランプ電圧生成器42、および単位画素12の列毎に設けられたスイッチ部44を含んでいる。スイッチ部44は、第2比較回路54のオートゼロ期間、もしくは前記のオートゼロ期間の前後を含む期間において、クランプ電圧生成器42を画素信号線32に接続させる。オートゼロ期間以外の期間では、スイッチ部44は、クランプ電圧生成器42を画素信号線32に接続させないよう動作する。
【0029】
クランプ電圧生成器42は、クランプ部40のクランプ電位VCLAMPを、リセット電位より高く、画素部10の電源電圧より低くなるように生成する。クランプ部40のクランプ電位VCLAMPをこのように生成するのは、
図3に示すように、ランプ信号の波形で表される第2参照電位VRAMPを高い電位から低い電位へ変化させているためである。第2参照電位VRAMPの詳細については後述する。
【0030】
ここで、画素信号線32から読み出されたアナログ信号の電位VSIGには、リセット電位およびシグナル電位の2つの異なる電位がある。本実施形態では、リセット電位とは、画素信号線32から読み出されたアナログ信号の電位VSIGにおける、第1カウント期間でAD変換される電位を指す。また本実施形態では、シグナル電位とは、前記アナログ信号の電位VSIGにおける、第2カウント期間でAD変換される電位を指す。
【0031】
また、クランプ電位VCLAMPは、AD変換回路50でのAD変換における基準電位の役割をする。つまり、第1カウント期間および第1カウント期間の後の第2カウント期間において、画素信号線32から読み出されたアナログ信号の電位VSIGとクランプ電位VCLAMPとの電位差が、AD変換回路50によってAD変換される。ここで、電位VSIGとクランプ電位VCLAMPとの電位差は、電位VSIGのリセット電位とクランプ電位VCLAMPとの第1電位差ΔVRと、電位VSIGのシグナル電位とクランプ電位VCLAMPとの第2電位差ΔVSと、で構成される。このため、第1カウント期間のカウント結果にも、第2カウント期間のカウント結果にも、それぞれオフセット値が含まれている。なお、カウント結果の詳細については後述する。
【0032】
また、クランプ電圧生成器42は、
図3に示すように、クランプ部40のクランプ電位VCLAMPをランプ信号の波形の傾きに応じて変化させる。クランプ電位VCLAMPを変化させることなくランプ信号の波形の傾きを小さくする場合、AD変換回路50が、第1電位差ΔVRおよび第2電位差ΔVSをAD変換しようとすると、第2比較回路54の判定時間が長くなる。そのため、カウント結果のオフセット値が増加する。
【0033】
そこで、ランプ信号の傾きに応じてクランプ電位VCLAMPを変化させることにより、カウント結果のオフセット値を一定にすることができる。カウント結果のオフセット値を一定にすることにより、カウント結果のオフセット値が増加し過ぎて、強烈光の受光等があったか否かの判定を誤ることを低減することができる。
【0034】
クランプ電圧生成器42は、クランプ部40のクランプ電位VCLAMPを、当該クランプ電位VCLAMPとリセット電位との第1電位差ΔVRがランプ波形の傾きに比例するように変化させる。カウント結果のオフセット値はクランプ電位VCLAMPと関係している。そのため、クランプ電圧生成器42は、クランプ部40のクランプ電位VCLAMPを前記のように変化させることにより、リセット電位とクランプ電位VCLAMPとの第1電位差ΔVRに応じてカウント結果のオフセット値を増減させることができる。
【0035】
(AD変換回路50および水平走査回路30)
AD変換回路50は、単位画素12の列毎に、画素信号線32を通じて転送されたアナログ信号をAD変換してデジタル信号を生成する。具体的には、AD変換回路50は、画素信号線32を通じて転送された第1電位差ΔVRおよび第2電位差ΔVSのアナログ信号を、第1カウント期間および第1カウント期間の後の第2カウント期間でそれぞれAD変換する。第1カウント期間および第2カウント期間の詳細については後述する。AD変換回路50は、
図1に示すように、ランプ生成器52、第2比較回路54およびカウンタラッチ回路56を有している。
【0036】
ランプ生成器52は、時間とともに、具体的には基準クロックに対応して変化するランプ波形を生成する。第2比較回路54は、画素信号線32を通じて転送された第1電位差ΔVRおよび第2電位差ΔVSと、ランプ生成器52で生成されたランプ波形の電位である第2参照電位VRAMPと、を比較する。第2比較回路54は本発明に係る比較回路の一例であり、単位画素12の列毎に設けられている。
【0037】
本実施形態では、第2比較回路54のとり得る回路構成の一例として、
図4に示す回路構成について説明する。
図4には、第2比較回路54に加えて、信号VSIGもしくはVAD_SIGINおよび第2参照電位VRAMPの入力コンデンサCINも合わせて示されている。具体的には、固体撮像素子1が
図1および後述の
図7に示す回路構成であれば、画素信号線32の出力に相当する信号VSIGが入力される。一方、後述の
図10および
図14に示す、実施形態3に係る固体撮像素子3の回路構成であれば、後述のアナログ回路80を介した画素信号線32の出力に相当する信号VAD_SIGINが入力される。
【0038】
図4において、AVDD、CVDD、CGND、AGNDはそれぞれ、アナログ電源電圧、コンパレータ部レギュレータ電圧、1stコンパレータグランド、アナロググランドである。CMP_REG_VG1、CMP_REG_VG2、XAZはそれぞれ、1stコンパレータ部レギュレータ電圧生成Trのゲート入力電圧、2ndコンパレータ部レギュレータ電圧生成Trのゲート入力電圧、入出力ショート(オートゼロ)制御信号である。
【0039】
また、
図4において、CMP1ST_VB1、CMP1ST_VB0、CMP1ST_ENはそれぞれ、第1の1stコンパレータのテイルバイアス電流制御電圧、第2の1stコンパレータのテイルバイアス電流制御電圧、1stコンパレータのテイルバイアス電流オン/オフ制御信号である。CMP2ND_VB1、CMP2ND_VB0、CMP2ND_ENはそれぞれ、第1の2ndコンパレータのテイルバイアス電流制御電圧、第2の2ndコンパレータのテイルバイアス電流制御電圧、2ndコンパレータのテイルバイアス電流オン/オフ制御信号である。
【0040】
カウンタラッチ回路56は、
図1に示すように単位画素12の列毎に設けられ、カウンタ回路58およびラッチ回路59を有している。カウンタ回路58は、本実施形態ではデジタルCDS用のカウンタであり、カウント処理を行う。カウンタ回路58は、第2比較回路54から出力された出力信号の変化をトリガとしてカウント処理を開始および停止する。
【0041】
なお、カウンタ回路58は、第2参照電位VRAMPの変化開始前もしくは開始後にカウント処理を開始するものであってもよい。また、カウンタ回路58は、前記出力信号の変化をトリガとしてカウント処理を停止する。具体的には、第2比較回路54が後述するクロック信号が変化しないように制御することで、カウンタ回路58はカウント処理を停止する。
【0042】
また、カウンタ回路58は、第1カウント期間において、カウント値が第1所定値になるまでカウント処理できる。さらに、カウンタ回路58は、第2カウント期間において、カウント値が第2所定値になるまでカウント処理をすることができる。つまり、カウンタ回路58は、第1所定値までカウントすることができ、第1所定値を超えるカウントができない。同様に、カウンタ回路58は、第2所定値までカウントすることができ、第2所定値を超えるカウントができない。
【0043】
そのため、第1カウント期間において、カウント値が第1所定値になっても第2比較回路54の出力変化がない場合、カウンタ回路58はカウント処理を停止する。同様に、第2カウント期間において、カウント値が第2所定値となっても第2比較回路54の出力変化がない場合、カウンタ回路58はカウント処理を停止する。これにより、強烈光の受光等の異常が発生して第2比較回路54から比較結果が出力されなくても、カウンタ回路58はカウント処理を停止することができる。第1所定値は、第1AD変換期間の最大値(Drmax(
図6参照))にすることができる。第2所定値は、第2AD変換期間の最大値(Dsmax(
図6参照))にすることができる。
【0044】
ここで、第1カウント期間における、カウンタ回路58のカウント処理の開始から停止までの期間が第1AD変換期間となる。また、第2カウント期間における、カウンタ回路58のカウント処理の開始から停止までの期間が第2AD変換期間となる。また、カウンタ回路58が第1カウント期間においてカウント処理したカウント値が、第1AD変換期間のカウント結果となる。また、カウンタ回路58が第2カウント期間においてカウント処理したカウント値が、第2AD変換期間のカウント結果となる。
【0045】
カウンタ回路58は、第1カウント期間におけるカウント処理停止時のカウンタ回路58の第1カウント値について、その最上位ビットを単位画素12の列毎にラッチ回路59に出力する。また、カウンタ回路58は、第2カウント期間におけるカウント処理停止時の第2カウント値について、その全ビットを単位画素12の列毎にラッチ回路59に出力する。第1カウント値の最上位ビットおよび第2カウント値の全ビットの詳細については後述する。
【0046】
ラッチ回路59は、後述する第1比較回路62の比較結果およびカウンタ回路58から出力された第1出力結果および第2カウント値の全ビットを保持する。第1出力結果には、カウンタ回路58から単位画素12の列毎に出力される第1カウント値の最上位ビットが含まれる。
【0047】
ラッチ回路59は、
図1に示すように、第1ラッチ回路591および第2ラッチ回路592を有している。第1ラッチ回路591は、第1比較回路62の比較結果と、カウンタ回路58から出力された第1出力結果、つまり単位画素12の列毎の第1カウント値の最上位ビットと、を保持する。第2ラッチ回路592は、カウンタ回路58から出力された単位画素12の列毎の第2カウント値の全ビットを保持する。また、第1ラッチ回路591は第1センサアンプ601と接続されており、第2ラッチ回路592は、第2センサアンプ602と接続されている。
【0048】
なお、第1ラッチ回路591は、比較結果のみ保持して第1出力結果を保持しなくてもよい。つまり、第1ラッチ回路591は、比較結果および第1出力結果のうち、少なくとも比較結果を保持する回路であればよい。
【0049】
水平走査回路30は、AD変換回路50内でAD変換され、ラッチ回路59に保持された値を順次選択して読み出す。また、水平走査回路30は、読み出し結果を第1センサアンプ601および第2センサアンプ602に出力する。具体的には、水平走査回路30は、第1ラッチ回路591に保持された値を読み出して第1センサアンプ601に出力する。また、水平走査回路30は、第2ラッチ回路592に保持された値を読み出して第2センサアンプ602に出力する。
【0050】
(黒化現象判定回路60)
黒化現象判定回路60は、固体撮像素子1に画像の黒化現象が生じるか否かを判定し、判定結果を保持する。黒化現象判定回路60は、
図1に示すように、参照電位生成器61、第1比較回路62およびラッチ回路59を有している。参照電位生成器61は、所定の第1参照電位VBSREFを生成する。第1参照電位VBSREFは、固体撮像素子1に画像の黒化現象が生じるか否かを判定する上での基準となる電位である。
【0051】
第1比較回路62は、本発明に係る判別回路の一例であり、本実施形態以下の各実施形態ではコンパレータ回路で構成されている。第1比較回路62は、画素信号線32から読み出したアナログ信号の電位VSIGのうちのリセット電位と、第1参照電位VBSREFとを比較する。なお、第1比較回路62は、コンパレータ回路で構成されていなくてもよい。第1比較回路62は、リセット電位が第1参照電位VBSREFよりも高いか否かを判別できる回路であればどのような回路でもよい。
【0052】
比較の結果、リセット電位が第1参照電位VBSREFよりも低ければ、第1比較回路62は、リセット電位に異常、つまり固体撮像素子1に異常が発生したと判定する。このように判定するのは、リセット電位が、通常時は単位画素12の電源電圧とリセットトランジスタ202(
図2参照)の閾値電位とで決まる電位であるところ、異常時は単位画素12から飽和信号が出力されたように電位が下がるためである。
【0053】
固体撮像素子1に異常が発生したと判定した場合、第1比較回路62は、固体撮像素子1に画像の黒化現象が生じたものと見做す。一方、リセット電位が第1参照電位VBSREF以上であれば、第1比較回路62は、リセット電位が通常、つまり固体撮像素子1が通常であると判定する。ラッチ回路59は、第1比較回路62から出力された比較結果を保持する。第1比較回路62の比較結果は、本発明に係る判別結果の一例であり、具体的には第1ラッチ回路591に保持される。
【0054】
(後段処理ロジック回路70)
後段処理ロジック回路70には、ラッチ回路59から出力された第1比較回路62の比較結果、カウンタ回路58の第1出力結果および第2出力結果が入力される。第2出力結果は、具体的には、第2ラッチ回路592から出力される単位画素12の出力信号である。また、後段処理ロジック回路70は、ラッチ回路59から出力された第1比較回路62の比較結果に応じて、ラッチ回路59から出力された第2出力結果、または、第2出力結果を自回路でフルコード(白)に置き換えた置換結果のいずれかを出力する。
【0055】
具体的には、第1比較回路62によってリセット電位が通常と判定された場合、後段処理ロジック回路70は、第2ラッチ回路592が保持していた第2出力結果をそのままを出力する。一方、第1比較回路62によってリセット電位が異常と判定された場合、後段処理ロジック回路70は、第2ラッチ回路592が保持していた第2出力結果をフルコードに置き換えて出力する。後段処理ロジック回路70からの出力結果が、固体撮像素子1としての出力となる。
【0056】
<固体撮像素子1の駆動例>
図5および
図6、ならびに、
図15~
図17に基づき、固体撮像素子1の駆動例について、従来の固体撮像素子100と対比しつつ説明する。
図15に示す従来の固体撮像素子100は、黒化現象判定回路60を構成する参照電位生成器61および第1比較回路62を備えていない点以外は固体撮像素子1と同一の構成であるものとする。また、従来の固体撮像素子100は、デジタルCDS駆動方式である。
【0057】
(通常時の駆動例)
図5および
図16に示すように、従来の固体撮像素子100、固体撮像素子1ともに、カウンタ回路58は、第1カウント期間に行う第1カウント処理の初期値を、負の値(-Di)に設定する。次に、カウンタ回路58は、リセット電位を読み出し(
図5および
図16中の「Reset Read」)第1AD変換期間においてリセット電位をAD変換する(
図5および
図16中の「Reset AD」)。
【0058】
次に、従来の固体撮像素子100、固体撮像素子1ともに、カウンタ回路58は、リセット電位に対応した第1カウント処理を行い、第2比較回路54から出力された出力信号の変化をトリガとして第1カウント処理を停止する。次に、第1ラッチ回路591は、カウンタ回路58が第1カウント処理の停止時に得た第1カウンタ値(-Di+Dr)について、当該第1カウンタ値およびその最上位ビットを保持する。通常時では、第1カウンタ値は必ず負の値になるため、第1ラッチ回路591に保持される最上位ビットは必ず1になる。
【0059】
次に、従来の固体撮像素子100、固体撮像素子1ともに、カウンタ回路58は、第1カウント値を全ビット反転した値(Di-Dr-1)を、第2カウント期間に行う第2カウント処理の初期値とする。この間に、カウンタ回路58はシグナル電位を読み出す(
図5および
図16中の「Signal Read」)。次に、カウンタ回路58は、第2AD変換期間においてシグナル電位をAD変換する(
図5および
図16中の「Signal
AD」)。
【0060】
次に、カウンタ回路58は、シグナル電位に対応した第2カウント処理を行い、第2比較回路54から出力された出力信号の変化をトリガとして第2カウント処理を停止する。次に、第2ラッチ回路592は、カウンタ回路58が第2カウント処理の停止時に得た第2カウント値(Di-Dr-1+Ds)について、その全ビットを保持する。
【0061】
第2カウント値(Di-Dr-1+Ds)は、第1カウント処理の初期値と第1AD変換期間でカウントアップされた値とを加算した値を反転した値(-(-Di+Dr)-1)に、第2AD変換期間でカウントアップされた値(Ds)を加算した値になる。つまり、第2カウント値は、従来の固体撮像素子100、固体撮像素子1ともに、リセット電位とシグナル電位との差分と、反転した第1カウント処理の初期値とを加算した値になる。
【0062】
ここで、従来の固体撮像素子100には黒化現象判定回路60を構成する参照電位生成器61および第1比較回路62がない。そのため、リセット電位が通常であることは、
図16に示すようにカウンタ回路58が第1カウント処理を停止して第1カウント値の最上位ビットを第1ラッチ回路591に出力するまで判らない(
図16中の「カウンタ最上位ビット出力」参照)。
【0063】
一方、固体撮像素子1には黒化現象判定回路60があることから、リセット電位が通常であることは、
図5に示すように第1比較回路62が比較結果をラッチ回路59に出力することによっても判明する(
図5中の「比較回路出力(黒化現象判定用)」参照)。そのため、固体撮像素子1は、リセット信号が通常であることを第1カウント値の最上位ピットだけでなく第1比較回路62の比較結果でも判定できる。
【0064】
(異常時の駆動例)
従来の固体撮像素子100、固体撮像素子1ともに、前提として、第1AD変換期間の最大値(Drmax)は、第1カウント処理の初期値が-Di(Di:自然数)の場合、1クロックを単位としてDi+1以上にすることができる。すなわち、異常時の第1カウント値は、最大でDrmaxになり得る。
【0065】
図6および
図17に示すように、従来の固体撮像素子100、固体撮像素子1ともに、異常時には第2比較回路54の出力が変化しない(
図6および
図17中の「Reset Read」から「Signal AD」までの期間)。したがって、カウンタ回路58は、第1AD変換期間の最大値(Drmax)となるまで第1カウント処理を行う。最大値(Drmax)の絶対値はDi以上であるため、第1カウント値は0以上となる。そのため、第1ラッチ回路591に保持される第1カウンタ値の最上位ビットは0となる。
【0066】
ここで、従来の固体撮像素子100には黒化現象判定回路60を構成する参照電位生成器61および第1比較回路62がない。そのため、リセット電位が異常であることは、
図17に示すようにカウンタ回路58が第1カウント処理を停止して第1カウント値の最上位ビットを第1ラッチ回路591に出力するまで判らない(
図17中の「カウンタ最上位ビット出力」参照)。
【0067】
一方、固体撮像素子1には黒化現象判定回路60があることから、リセット電位が異常であることは、
図6に示すように第1比較回路62が比較結果をラッチ回路59に出力することによっても判明する(
図6中の「比較回路出力(黒化現象判定用)」参照)。そのため、固体撮像素子1は、リセット信号が異常であることを第1カウント値の最上位ピットだけでなく第1比較回路62の比較結果でも判定できる。以上のことから、固体撮像素子1は、従来の固体撮像素子100に比べてリセット電位が通常か異常かを精度高く判定することができる。
【0068】
<変形例>
固体撮像素子1の変形例としては、例えば
図7に示すように、黒化現象判定回路60に替えて黒化現象判定回路60aを備えた固体撮像素子1aが想定される。なお、固体撮像素子1aにおける黒化現象判定回路60a以外の構成は、固体撮像素子1と同様である。黒化現象判定回路60aは、参照電位生成器61、第1比較回路62、ラッチ回路59およびセレクタ63を有している。
【0069】
セレクタ63は、カウンタ回路58と接続されており、カウンタ回路58から出力された第1黒化現象判定フラグを取得する。また、セレクタ63は、第1比較回路62とも接続されており、第1比較回路62から出力された比較結果(第2黒化現象判定フラグ)を取得する。セレクタ63は、第1黒化現象判定フラグおよび比較結果(第2黒化現象判定フラグ)を、固体撮像素子1aの駆動モードおよび状況に応じて適宜選択することができる。
【0070】
固体撮像素子1の他の変形例としては、図示しないものの、参照電位生成器61、第1比較回路62およびラッチ回路59(以上、
図1参照)に加えてFET(電界効果トランジスタ)を有する黒化現象抑制回路を備えた固体撮像素子も想定される。なお、他の変形例に係る固体撮像素子における黒化現象抑制回路以外の構成は、固体撮像素子1と同様である。
【0071】
ラッチ回路59は、第1比較回路62の比較結果を保持するとともに、リセット電位のサンプリング期間にFETのゲートを制御する。FETは、第1比較回路62の比較結果に応じたゲート電圧がラッチ回路59から入力されることにより、ゲートが制御される。具体的には、正常である旨の比較結果がラッチ回路59に保持された場合、FETはラッチ回路59によってゲートの動作がオフにされる。一方、異常である旨の比較結果がラッチ回路59に保持された場合、FETはラッチ回路59によってゲートの動作がオンにされる。ゲートの動作がオンになると、画素信号線32(
図1参照)から読み出されたアナログ信号の電位VSIGが、リセット電位以上かつ画素部10(
図1参照)の電源電圧以下の電位になるよう吊り上げられる。これにより、他の変形例に係る固体撮像素子の異常時にリセット電位が第1参照電位VBSREFよりも下がることを防ぐことができ、結果、画像の黒化現象を抑制することができる。
【0072】
〔実施形態2〕
<固体撮像素子2の概要>
本発明の実施形態2に係る固体撮像素子2の構成は、
図1に示す本発明の実施形態1に係る固体撮像素子1の構成と同様である。また、固体撮像素子2の第2比較回路54の構成は、
図4に示す固体撮像素子1の第2比較回路54の構成と同様である。後述する固体撮像素子3の第2比較回路54の構成も、
図4に示す固体撮像素子1の第2比較回路54の構成と同様である。
【0073】
AD変換回路50は、第1カウント期間の第1AD変換期間で基準電位、つまりクランプ電位VCLAMPをAD変換する。また、AD変換回路50は、第2カウント期間の第2AD変換期間で、第2参照電位VRAMPを基準としたリセット電位とシグナル電位との差分である差分電位をAD変換する。リセット電位、シグナル電位および差分電位のそれぞれは、アナログ的なCDS処理が施されている。
【0074】
さらに、AD変換回路50は、第1AD変換期間でのAD変換の結果および第2AD変換期間でのAD変換の結果のそれぞれをデジタル的にCDS処理する。これにより、単位画素12間のばらつきをアナログ的なCDS処理にて低減することができ、かつ、カラム毎の第1比較回路62(コンパレータ回路)のばらつきをデジタル的なCDS処理にて低減することができる。なお、アナログ的なCDS処理は、第1比較回路62内の差動入力部にあるキャパシタおよびAZスイッチ(ともに不図示)の動作を制御して駆動方法を変更することにより実現できる。
【0075】
<固体撮像素子2の駆動例>
図8、
図9、
図15および
図18に基づいて、固体撮像素子2の駆動例について、
図15に示す従来の固体撮像素子101と対比しつつ説明する。従来の固体撮像素子101は、黒化現象判定回路60を構成する参照電位生成器61および第1比較回路62を備えていない点以外は固体撮像素子2と同一の構成であるものとする。
【0076】
従来の固体撮像素子101、固体撮像素子2ともに、
図8、
図9および
図18に示すように、第1ラッチ回路591が第1カウンタ値(-Di+Dr)およびその最上位ビットを保持する点は、実施形態1と同様である。また、通常時において、第1ラッチ回路591に保持される最上位ビットが必ず1になる点についても、実施形態1と同様である。さらに、従来の固体撮像素子101、固体撮像素子2ともに、第2ラッチ回路592が第2カウント値(Di-Dr-1+Ds)の全ビットを保持する点についても、実施形態1と同様である。
【0077】
ここで、従来の固体撮像素子101、固体撮像素子2ともに、リセット電位およびシグナル電位のそれぞれを読み出して差分電位を生成することから、この時点でリセット電位に係る情報が消失する。そのため、黒化現象判定回路60を備えていない従来の固体撮像素子では、リセットが異常であることが判らなくなってしまう。なお、リセット電位およびシグナル電位のそれぞれを読み出して差分電位を生成するまでの期間が、
図8、
図9および
図18中の「Reset Read」から「Signai Read」までの期間に相当する。
【0078】
一方、固体撮像素子2には黒化現象判定回路60がある。そのため、リセット電位が通常および異常であることは、第1比較回路62の比較結果により判明する(
図8中および
図9中の「比較回路出力(黒化現象判定用)」参照)。よって、ハイブリットCDS駆動方式の固体撮像素子2において、カウンタ回路58としてデジタルCDS用のカウンタを用いた場合でも、回路規模の増加を最低限に留めつつ画像の黒化現象を抑制することができる。
【0079】
〔実施形態3〕
図10~
図14に基づいて、本発明の実施形態3に係る固体撮像素子3について説明する。固体撮像素子3は、
図10に示すように、アナログ回路80を備えている点で本発明の実施形態1および2に係る固体撮像素子1および2と異なる。固体撮像素子3のその他の構成は、固体撮像素子1および2と同様である。
【0080】
<アナログ回路80およびAD変換回路50>
アナログ回路80は、第2参照電位VRAMPを基準としたリセット信号とシグナル電位との差分である差分電位を、AD変換回路50に出力する。ここで、
図11を用いてアナログ回路80の構成について説明する。以下の説明では、アナログ回路の80の入力端に近い方を入力側、AD変換回路50のデジタル出力端に近い側を出力端と称す。アナログ回路80は、画素信号線32から読み出したアナログ信号の電位VSIGが入力される入力端から2分岐されて、それぞれスイッチSIG_SMPと、スイッチRST_SMPとが接続されている。また、アナログ回路80には、リファレンス電位VCDS_REFも入力され、スイッチCDS_REF_SMPに接続されている。
【0081】
スイッチSIG_SMPの出力側(電圧ラベルVC_SIG)とグラウンドとの間にはコンデンサCS(第2のコンデンサ)が設けられている。スイッチSIG_SMPの出力側とスイッチRST_SMPの出力側(電圧ラベルVC_RST)との間には、スイッチACDS_ENが設けられている。スイッチRST_SMPの出力側とスイッチCDS_REF_SMPの出力側(電圧ラベルVACDS)との間には、コンデンサCR(第1のコンデンサ)が設けられている。スイッチCDS_REF_SMPの出力側(コンデンサCRの一端)とアナログ回路80の出力(電圧ラベルVAD_SIGIN)との間には、スイッチCMP_CNCTが設けられている。
【0082】
AD変換回路50は、まず、ランプ生成器52から出力された第2参照電位VRAMPをAD変換する。次に、AD変換回路50は、リセット電位とクランプ電位VCLAMPとの第1電位差ΔVRおよびシグナル電位とクランプ電位VCLAMPとの第2電位差ΔVSを、順次読み出す。次に、AD変換回路50のカウンタ回路58は、アナログ回路80から取得した差分電位をハイブリッドCDS処理する。最後に、AD変換回路50は、ハイブリッドCDS処理された差分電位をAD変換し、カウンタ回路58から第1出力結果としてラッチ回路59に出力する。
【0083】
<AD変換器の駆動例>
以下、
図12および
図13を用いてAD変換器の駆動例について説明する。AD変換器は、前段のアナログ回路80と後段のAD変換回路50とで構成される。
【0084】
期間T1(オートゼロ期間):初めに、スイッチCDS_REF_SMPと、スイッチCLAMPとをオンにする。他のスイッチはオフである。第2比較回路54の入力端子にクランプ電位VCLAMPが印加されると同時に、第2比較回路54の入出力をショートする(入出力ショート制御信号XAZオン)ことでオートゼロされる。期間の終わりに、スイッチCLAMPをオフにする(入出力ショート制御信号XAZ信号もオフ)。
【0085】
期間T2(リファレンス電位のAD変換期間):スイッチCMP_CNCTをオンにする。すると、第2比較回路54の入力電圧VAD_SIGINは、リファレンス電位VCDS_REFに等しくなる。そして、カウンタ回路58(
図11参照)によるクロック数のカウントと第2参照電圧VRAMPの電圧変化とを開始する(シングルスロープ型AD変換開始)。ここで、第2参照電圧VRAMPは、通常状態で、リファレンス電位VCDS_REFよりやや高電位の一定値VRAMP(ST)であるが、電圧変化を開始すると時間とともに一定の傾きで直線的に下降する信号である。なお、電圧変化は下降方向に限らず上昇方向である構成とすることもできる。
【0086】
電圧変化が終了すると、最初の一定値に戻る。電圧変化開始時点で、第2参照電圧VRAMPの方が第2比較回路54への入力電圧VAD_SIGINよりも高電位である。第2参照電圧VRAMPの電位の下降に伴って大小関係が逆転すると、コンパレータ出力XCMPOが反転する。コンパレータ出力XCMPOの反転を検出するとカウンタ回路58はカウントを終了する。(シングルスロープ型AD変換終了)。よってここでは、VRAMP(ST)を基準としたリファレンス電位VRAMP(ST)-VCDS_REFが、カウント数に変換されている。また、リファレンス電位のAD変換(期間T2)においては、ダウンカウントとする。カウントが停止すると、スイッチCMP_CNCTをオフにし、期間T2を終了する。
【0087】
期間T3(リセット電位のサンプリング期間):AD変換器は、期間T3を単位画素12がリセット電位VSIG(RST)を出力信号VSIGとして出力している期間に適合させるように動作する。スイッチRST_SMPをオンにする。すると、コンデンサCRの両端の電位は、それぞれ、VACDS=VCDS_REF、VC_RST=VSIG(RST)となる。期間T3の終わりに、スイッチRST_SMP、スイッチCDS_REF_SMPをオフにする。
【0088】
期間T4(シグナル電位のサンプリング期間):AD変換器は、期間T4を単位画素12がシグナル電位VSIG(SIG)を出力信号VSIGとして出力している期間に適合させるように動作する。スイッチSIG_SMPをオンにする。すると、コンデンサCSの出力側の端子の電位VC_SIGがVSIG(SIG)となる。コンデンサCSの他端子の電位はグラウンドされているため常に0である。期間T4の終わりに、スイッチSIG_SMPをオフにする。
【0089】
期間T5(CDS期間):スイッチACDS_ENをオンにする。一般にコンデンサはそれぞれ電荷が出入りしない限り、両端の電位差を保とうとする。コンデンサCSの出力側の端子の電位VC_SIGは期間T4から変化せずVSIG(SIG)である。コンデンサCRは、期間T3中に両端の電位差がVCDS_REF-VSIG(RST)となるように充電されている。その後の期間T4の間はコンデンサCRに繋がるスイッチは全てオフである。したがって、コンデンサCRは、期間5においても、両端の電位差VACDS-VC_RSTを、VCDS_REF-VSIG(RST)に保つように動作する。
【0090】
よって、スイッチACDS_ENをオンにすることによりコンデンサCRとCSとを直列接続した結果、それぞれの電位差が合成される。そして、コンデンサCRの出力側の端子の電位VACDSは、合成電位VSIG(SIG)+VCDS_REF-VSIG(RST)=VCとなる。つまり、合成電位VCは、リファレンス電位VCDS_REFからリセット電位VSIG(RST)を減じ、さらにシグナル電位VSIG(SIG)を加えたものである。また、合成電位はリファレンス電位を基準にすれば、リセット電位とシグナル電位との差分VSIG(SIG)-VSIG(RST)である。次いで、スイッチCMP_CNCTをオンにすると、第2比較回路54の入力電圧VAD_SIGINが本合成電位VCにセットされる。
【0091】
期間T6(合成電位のAD変換期間):カウンタ回路58によるクロックのカウントと第2参照電圧VRAMPの電圧変化を実行して、上述の期間T2と同様にシングルスロープ型AD変換を行う。するとここでは、VRAMP(ST)を基準とした合成電位VCがカウント数に変換されることになる。さらに、合成電位のAD変換(期間T6)では、リファレンス電位のAD変換(期間T2)でのダウンカウント終了時点からカウント数を引き継いでアップカウントを実施する。
【0092】
したがって、合成電位VCのAD変換(期間T6)が完了した時点で、カウント数は、合成電位のAD変換値とリファレンス電位のAD変換値の差分に相当する。つまり、VSIG(RST)-VSIG(SIG)が、最終的なカウント数に相当し、デジタル出力D_OUTとしてAD変換器から出力される。期間T6の終わりに、スイッチACDS_EN、スイッチCMP_CNCTをオフにする。
【0093】
以上、期間T1~T6で、AD変換器による1単位画素分についての読み出しとAD変換処理とが完了する。したがって、実施形態3において、AD変換器が1単位画素分の読み出しを行う周期であり、また1単位画素分のデジタル出力を行う周期でもある、単位H時間(単位水平時間)は、期間T1~T6に等しい期間となる。
【0094】
<変形例>
固体撮像素子3の変形例としては、例えば
図14に示すように、黒化現象判定回路60に替えて黒化現象判定回路60aを備えた固体撮像素子3aが想定される。なお、固体撮像素子3aにおける黒化現象判定回路60a以外の構成は、固体撮像素子3と同様である。固体撮像素子3aの黒化現象判定回路60aは、参照電位生成器61、第1比較回路62、ラッチ回路59およびセレクタ63を有しており、実施形態1の変形例に係る固体撮像素子1aの黒化現象判定回路60aと同一の構成である。また、固体撮像素子3aの黒化現象判定回路60aのセレクタ63は、固体撮像素子1aの黒化現象判定回路60aのセレクタ63と同一の構成・機能である。
【0095】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る固体撮像素子(1、1a、2、3、3a)は、入射光を光電変換する単位画素(12)が複数配列された画素部(10)と、複数の前記単位画素と接続された画素信号線(32)から読み出されたアナログ信号の電位(VSIG)についてAD変換するAD変換回路(50)と、前記アナログ信号の電位におけるリセット電位が、所定の第1参照電位(VBSREF)よりも高いか否か判別する判別回路(第1比較回路62)と、を備え、前記AD変換回路は、カウント処理を行うカウンタ回路(58)と、前記判別回路の判別結果および前記カウンタ回路から出力された第1出力結果のうち、少なくとも前記判別結果を保持する第1ラッチ回路(591)と、を有している構成である。
【0096】
前記構成によれば、判別回路が、リセット電位が所定の第1参照電位より高いか否かを判別することにより、画像の黒化現象が生じるか否かを判定することができる。また、カウンタ回路の第1出力結果を保持する第1ラッチ回路が、場合によっては判別回路の判別結果も保持する。ここで、カウンタ回路の第1出力結果を保持する第1ラッチ回路は従来の固体撮像素子も備えている基本回路であることから、判別回路の判別結果を保持するための特別なラッチ回路を別途設ける必要がない。そのため、固体撮像素子の回路構成が複雑化するのを回避できる。
【0097】
上述した画像の黒化現象の判定機能は、固体撮像素子のAD変換回路がデジタルCDS駆動方式およびハイブリットCDS駆動方式のいずれであっても実現できる。よって、回路規模を小さくしつつ、デジタルCDS駆動方式およびハイブリットCDS駆動方式のいずれでも画像の黒化現象を抑制することが可能な固体撮像素子を実現することができる。
【0098】
本発明の態様2に係る固体撮像素子(1、1a)は、前記態様1において、前記AD変換回路は、前記アナログ信号の電位と、時間とともに変化するランプ波形の電位である第2参照電位(VRAMP)と、を比較する比較回路(第2比較回路54)をさらに備え、前記アナログ信号の電位を第1カウント期間および前記第1カウント期間の後の第2カウント期間でAD変換し、前記カウンタ回路は、前記第1カウント期間に行う第1カウント処理の初期値を負の値に設定し、前記比較回路から出力された出力信号の変化をトリガとして前記第1カウント処理を停止し、前記第1カウント処理の停止時の第1カウント値を、前記第2カウント期間に行う第2カウント処理の開始前に全ビット反転させ、前記第2カウント期間に行う第2カウント処理の初期値として前記第1カウント値を全ビット反転させた値を用い、前記第1ラッチ回路は、前記カウンタ回路から出力された第1カウント値の最上位ビットを保持し、前記カウンタ回路から出力された前記第2カウント処理の停止時の第2カウント値を全ビット保持する第2ラッチ回路(592)をさらに備えていてもよい。
【0099】
前記構成によれば、カウンタ回路が、第1カウント処理の初期値を負の値に設定し、かつ、第1カウント値を全ビット反転させることから、通常時は第2カウント値が負の値を取り得ない。そのため、カウンタ回路に符号用の1ビットのカウンタ回路を追加する必要がなくなる。よって、回路規模をより小さくしつつ、消費電力をより低減することが可能な固体撮像素子を実現することができる。
【0100】
また、第1カウント値は、リセット電位が通常のときは負の値をとるため、第1ラッチ回路が保持する最上位ビットは必ず1になる。一方、リセット電位が異常のときは、第1カウント値は0以上になるため、第1ラッチ回路が保持する最上位ビットは必ず0になる。そのため、判別回路の判別結果のみならず第1カウント値の最上位ビットに基づいても強烈光の受光等の異常が発生したか否かを判定でき、固体撮像素子1の判定精度が向上する。
【0101】
さらに、カウンタ回路の第1出力結果を保持する第1ラッチ回路は従来の固体撮像素子も備えている基本回路であることから、異常の発生の有無を検知するための特別なラッチ回路または検知期間を別途設ける必要がない。そのため、固体撮像素子の回路構成が複雑化するのを回避できるとともに、固体撮像素子の消費電力を低減することができる。また、第2ラッチ回路に保持された第2カウント値に基づいて、リセット電位とシグナル電位との差分を取得することができる。
【0102】
本発明の態様3に係る固体撮像素子(1、1a、2、3、3a)は、前記態様2において、前記第1ラッチ回路から出力された前記判別結果および前記第1出力結果、ならびに、前記第2ラッチ回路から出力された第2出力結果のそれぞれが入力される後段処理ロジック回路(70)をさらに備え、前記後段処理ロジック回路は、前記第1ラッチ回路から出力された前記判別結果に応じて、前記第2ラッチ回路から出力された前記第2出力結果、または、前記第2出力結果を前記後段処理ロジック回路でフルコードに置き換えた置換結果のいずれかを出力してもよい。
【0103】
前記構成によれば、後段処理ロジック回路は、第1ラッチ回路から通常時である旨の判別結果を取得した場合、第2ラッチ回路から出力された第2出力結果をそのまま出力することができる。一方、第1ラッチ回路から異常が発生した旨の判別結果を取得した場合、後段処理ロジック回路は、第2ラッチ回路から出力された第2出力結果をフルコードに置き換えて出力することができる。そのため、画像の黒化現象を効果的に抑制することができる。
【0104】
本発明の態様4に係る固体撮像素子は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記判別回路は、前記リセット電位と前記所定の第1参照電位とを比較するコンパレータ回路で構成されていてもよい。前記構成によれば、コンパレータ回路でリセット電位と所定の第1参照電位とを比較することにより、画像の黒化現象が生じるか否かを判定することができる。
【0105】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0106】
1、1a、2、3、3a 固体撮像素子
10 画素部
12 単位画素
32 画素信号線
50 AD変換回路
54 第2比較回路(比較回路)
58 カウンタ回路
59 ラッチ回路
62 第1比較回路(判別回路、コンパレータ回路)
70 後段処理ロジック回路
591 第1ラッチ回路
592 第2ラッチ回路
VSIG 電位(画素信号線から読み出されたアナログ信号の電位)
VBSREF 第1参照電位
VRAMP 第2参照電位