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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220926BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220926BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220926BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220926BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220926BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220926BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220926BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220926BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220926BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/044 124
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/04
G09F9/00 366A
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/00 348Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021006714
(22)【出願日】2021-01-19
(62)【分割の表示】P 2017016739の分割
【原出願日】2017-02-01
(65)【公開番号】P2021073582
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輔
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0154499(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0306472(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0307971(US,A1)
【文献】特開2011-023558(JP,A)
【文献】特開2016-099767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/02
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/04
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一表面に設けられた表示素子と、
前記表示素子の上層に設けられた、第1無機絶縁膜と第2無機絶縁膜と、前記第1無機絶縁膜と前記第2無機絶縁膜との間に設けられた第1有機絶縁膜と、
前記第2無機絶縁膜の上層に設けられた第2有機絶縁膜と、
前記第2有機絶縁膜の上層に設けられたタッチ電極層と、
前記第1有機絶縁膜と前記第2有機絶縁膜の外側に配列された接続端子とを備え、
前記接続端子に接続され、前記第1有機絶縁膜と重畳した接続配線を有し、
前記第2有機絶縁膜は、前記接続配線の一部に重畳する領域に開口部を有し、
前記タッチ電極層は、前記第1有機絶縁膜に重畳するタッチ電極を有し、
前記タッチ電極は、前記開口部を介して前記接続配線に接続されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示素子を囲む第1隔壁、及び、前記第1隔壁と間隔を有し、且つ前記第1隔壁を囲む周状の第2隔壁を有し、
前記開口部は、前記第1隔壁よりも外側に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示素子は、前記基板側から積層された第1電極、発光層及び第2電極を有し、
前記第1隔壁は、前記第1電極及び前記発光層の間の層に設けられ、且つ前記第1電極の周縁を被覆する、ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1有機絶縁膜は、両面及び端部が前記第1無機絶縁膜及び前記第2無機絶縁膜に被覆され、前記表示素子に重畳し、且つ端部が前記第1隔壁及び前記第2隔壁の間に配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記開口部に設けられた導電性ペーストを更に備え、
前記タッチ電極は、前記導電性ペーストを介して前記接続配線に接続される、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記基板の前記一表面には、前記表示素子に接続された画素回路を含む、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記開口部は、テーパー形状を有する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は表示装置に関する。例えば、本明細書によって開示される発明の一実施形態は、タッチセンサが搭載された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサは、表示装置又は情報端末装置の操作を行うための入力インターフェースとして用いられている。タッチセンサを表示装置の画面と重なるように設置することで、画面上に表示される入力ボタンやアイコンなどをユーザが操作することができ、表示装置へ容易に情報を入力することができる。このような入力機能を有する表示装置では、多くの場合、静電容量式のタッチセンサが採用されている。静電容量方式のタッチセンサは、静電容量を形成する電極(「タッチ電極」とも呼ばれる。)がセンシング面に設けられている。例えば、タッチ電極をパネルの内部に設けたインセル型と呼ばれる入力機能を有する表示装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-050245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タッチ電極と接続される信号線(配線)は、パネルの周縁部を引き回されて、端子電極と接続される。信号線は集積化されて引き回されるので、下地面は平坦であることが望ましいと考えられる。例えば、パネルの周縁部に配設される信号線の下地面に段差部があると、信号線の微細化が困難となり、また信号線の断線が問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、基板の一表面に設けられた回路層と、回路層の上層に配列された表示素子と、表示素子の上層に設けられた封止層と、封止層の上層に設けられた保護層と、保護層の上層に設けられたタッチ電極層と、回路層の上層且つ封止層の外側に配列された複数の接続端子とを備え、回路層は、各々が複数の接続端子のいずれかに接続された複数の接続配線を有し、保護層は複数の接続配線の各々の一部に重畳する領域に開口部を有し、タッチ電極層は、表示素子に重畳する複数のタッチ電極を有し、複数のタッチ電極の各々は、開口部を介して複数の接続配線のいずれかに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を説明する上面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を説明する断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。なお、本発明の表示装置は以下の実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行ない実施することが可能である。全ての実施形態においては、同じ構成要素には同一符号を付して説明する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0008】
第1実施形態:
図1は、本実施形態に係る入力機能を有する表示装置100の構成を説明する平面図である。表示装置100は、表示領域102aと、周辺領域102bと、端子領域102cとを含んでいる。
【0009】
表示領域102aは、画像を表示するための領域である。表示領域102aには、複数の表示素子が配置されている(図示せず)。表示素子としては、一対の電極間に有機エレクトロルミネセンス材料を含む発光層を有する発光素子、又は一対の電極間に液晶層が設けられた液晶素子などが適用される。複数の表示素子は、互いに交差する2方向に、行列状に配列される。複数の表示素子の各々には、その動作を制御するための画素回路が接続されている(図示せず)。
【0010】
表示領域102aには、複数の表示素子の上層に、複数のタッチ電極が配列されている。複数のタッチ電極の各々は、複数の第1タッチ電極128a及び複数の第2タッチ電極128bによって構成される。本実施形態において、複数の第1タッチ電極128aの各々は、複数の矩形領域128cと、複数の矩形領域128cの中で一方向に隣接する矩形領域128cを接続する接続領域128dとを有している。複数の第1タッチ電極128aの各々は、他方向(一方向と交差する方向)に隣接する第1タッチ電極128aと電気的に独立して配列されている。同様に、複数の第2タッチ電極128bの各々は、複数の矩形領域128cと、複数の矩形領域128cの内、当該他方向に隣接する矩形領域128cを接続する接続領域128dとを有している。複数の第2タッチ電極128bの各々は、当該一方向に隣接する第2タッチ電極128bと電気的に独立して配列されている。第1タッチ電極128a及び第2タッチ電極128bによって、所謂投影型静電容量方式のタッチセンサが形成される。投影型静電容量方式は、自己容量方式又は相互容量方式がある。本実施形態に係る入力機能を有する表示装置100は、そのいずれの方式も採用することができる。
【0011】
自己容量方式においては、人の指などの検出対象が第1タッチ電極128a及び第2タッチ電極128bを介して表示領域a102に触れる、又は接近する(以下、触れる場合および接近する場合をまとめてタッチと記す)ことで、第1タッチ電極128a及び第2タッチ電極128bにおける寄生容量に対し、当該検出対象と、第1タッチ電極128a及び第2タッチ電極128bとの間に生ずる容量が上乗せされる。この容量の変化を読み取ることによって、表示領域102a内のタッチの位置が検出される。
【0012】
相互容量方式においては、第1タッチ電極128a及び第2のタッチ電極の一方は送信電極(Tx)、他方は受信電極(Rx)とも呼ばれる。人の指などの検出対象が第1タッチ電極128a及び第2タッチ電極128bを介して表示領域102aにタッチすることで、当該第1タッチ電極128a及び当該第2タッチ電極128b204が形成する容量が変化し、この変化を読み取ることによってタッチの位置が検出される。
【0013】
本実施形態に係る表示装置100は、自己容量方式および相互容量方式のいずれの方式にも適用することが可能である。
【0014】
周辺領域102bは、表示領域102aの周縁に接し、表示領域102aを囲む領域である。周辺領域102bには、複数の第1タッチ電極128aの各々に接続される第1タッチ配線128e及び複数の第2タッチ電極128bの各々に接続される第2タッチ配線128fが配置されている。第1タッチ配線128eは、複数の接続配線108eのいずれかに接続されている。同様に、第2タッチ配線128fは、複数の接続配線108eのいずれかに接続されている。複数の接続配線108eの各々は、複数の接続端子132のいずれかに接続されている。これによって、複数の第1タッチ電極128a及び複数の第2タッチ電極128bの各々は、複数の接続端子132のいずれかに電気的に接続される。
【0015】
周辺領域102bにはまた、複数の表示素子の発光を制御するための周辺回路(図示せず)や、周辺回路を制御するためのICチップ106が更に配置されてもよい。周辺回路としては、行列状に配列された複数の発光層の内、映像データを書き込む行を選択する走査線駆動回路、複数の表示素子の各々に、映像データに対応する電圧を供給する映像線駆動回路等を含んでもよい
【0016】
図1においては、複数の表示素子の上層であって、且つタッチ電極層の下層に設けられた第1保護層126が示されている。第1保護層126の詳細は後述されるが、第1保護層126は、少なくとも1つの開口部126aを有している。開口部126aは、少なくとも複数の接続配線108eの各々の一部に重畳する領域に設けられている。本実施形態においては、開口部126aの数は1であり、開口部126aは、複数の接続配線108eの各々の一部に重畳する領域に設けられている。第1保護層126の上層に設けられている第1タッチ配線128e及び第2タッチ配線128fの各々は、当該開口部126aを介して複数の接続配線108eのいずれかに接続されている。
【0017】
尚、本実施形態においては、開口部126aの数は1であるが、これに限られない。開口部126aの数は複数であってもよく、複数の接続配線108eの各々に対し、その一部に重畳する領域に設けてもよい。
【0018】
端子領域102cは、表示装置100と、フレキシブル回路基板(FPC基板)140等とを接続するための領域である。端子領域102cは、表示装置100の一辺に沿って設けられてもよく、複数の接続端子132が配列されている。複数の接続端子132の各々は、複数の接続配線108eのいずれかと電気的に接続されている。
【0019】
図2は、本実施形態に係る表示装置100の構成を説明する断面図であり、図1に示すA1-A2に沿った断面の構成を示している。表示装置100は、基板102と、回路層104と、表示素子として複数の発光素子114と、隔壁層122と、封止層124と、第1保護層126と、タッチ電極層128と、複数の接続端子132と、第2保護層130と、偏光板134と、カバーフィルム136とを備えている。
【0020】
基板102は、その一表面に配置される回路層104や複数の画素112等の各種素子を支持する。基板102の材料としては、ガラス、石英、プラスチック、金属、セラミック等が適用される。表示装置100に可撓性を付与する場合、基板102は樹脂材料によって形成される。樹脂材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナートに例示される高分子材料が適用される。
【0021】
回路層104は、基板102の一表面に設けられている。本実施形態においては、回路層104は、複数の画素回路、周辺回路、複数の接続配線108e及び層間絶縁層110を有する。複数の画素回路の各々は、表示領域102a内に配列された複数の発光素子114のいずれかに接続され、複数の発光素子114の各々の発光を制御する。周辺回路は、周辺領域102bに設けられ、画素回路を制御する。周辺回路としては、行列状に配列された複数の発光素子114の内、映像データを書き込む行を選択する走査線駆動回路、複数の発光素子114の各々に、映像データに対応する電圧を供給する映像線駆動回路等を含んでもよい。
【0022】
図2に示すように、画素回路は、トランジスタ108を有する。トランジスタ108は、半導体層108a、ゲート絶縁層108b、ゲート電極108c、ソース・ドレイン電極108d等を含む。半導体層108aは、島状に設けられている。半導体層108aの材料としては、例えば珪素などの14族元素、酸化物半導体等を含んでもよい。酸化物半導体としては、インジウムやガリウムなどの第13族元素を含むことができ、例えばインジウムとガリウムの混合酸化物(IGO)が挙げられる。半導体層108aに酸化物半導体を用いる場合、更に12族元素を含んでもよく、一例としてインジウム、ガリウム、および亜鉛を含む混合酸化物(IGZO)が挙げられる。半導体層108aの結晶性に限定はなく、単結晶、多結晶、微結晶又はアモルファスのいずれの結晶状態を含んでもよい。
【0023】
ゲート絶縁層108bは、半導体層108aの上層に設けられている。本実施形態において、ゲート絶縁層108bは、複数のトランジスタ108に亘って設けられている。しかし、ゲート絶縁層108bは、少なくともゲート電極108cと重畳する領域に設けられていればよい。ゲート絶縁層108bの材料としては、下地層109に用いることができる材料を用いることができ、単層構造であっても、これらの材料から選択された積層構造であってもよい。
【0024】
ゲート電極108cは、ゲート絶縁層108bを介して半導体層108aと重畳している。半導体層108aにおいて、ゲート電極108cと重畳する領域がチャネル領域である。ゲート電極108cの材料としては、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン、タングステン、タンタル等の金属や、その合金等を用いることができる。これらの材料のいずれかの単層、あるいはこれらから選択された複数の材料の積層構造を有するように形成することができる。例えば、チタン、タングステン、モリブデン等の比較的高い融点を有する金属で、アルミニウムや銅などの導電性の高い金属を挟持する構造を採用することができる。
【0025】
ソース・ドレイン電極108dは、層間絶縁層110上に設けられ、層間絶縁層110及びゲート絶縁層108bに設けられる開口において、半導体層108aのソース・ドレイン領域と電気的に接続される。層間絶縁層110上には更に、接続配線108eが設けられる。つまり、図2に示すように、接続配線108eは、ソース・ドレイン電極108dと同一の層内に存在することができる。また、これに限られず、接続配線108eはゲート電極108cと同一の層内に存在するよう構成してもよい(図示せず)。
【0026】
図2では、トランジスタ108は、トップゲート型のトランジスタを例示しているが、トランジスタ108の構造に限定はなく、ボトムゲート型トランジスタ、ゲート電極108cを複数有するマルチゲート型トランジスタ、半導体層108aの上下を二つのゲート電極108cで挟持する構造を有するデュアルゲート型トランジスタでもよい。また、図2では、一つの画素回路に一つのトランジスタ108が設けられる例が示されているが、一つの画素回路は複数のトランジスタ108や容量素子等の半導体素子を更に有してもよい。
【0027】
複数の接続配線108eの各々は、複数の接続端子132のいずれかに接続されている。複数の接続配線108eは、トランジスタのソース・ドレイン電極108dと同じ層に設けられ、同じ材料によって形成されてもよい。このことから、複数の接続配線108e及びソース・ドレイン電極108dは、同一の工程によって形成することができる。
【0028】
層間絶縁層110は、画素回路及び周辺回路を被覆する。本実施形態においては、下地層109及び層間絶縁層110を有する。下地層109は、任意の構成であり、画素回路、周辺回路及び複数の接続配線108eの下層に設けられている。下地層109は、基板102(および基材)からアルカリ金属などの不純物がトランジスタ108等へ拡散することを防ぐための層である。下地層109の材料としては、無機絶縁材料を含むことができる。無機絶縁材料としては、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素等を含むことができる。基板102中の不純物濃度が小さい場合、下地層109は設けないか、あるいは基板102の一部のみを覆うように形成してもよい。
【0029】
層間絶縁層110は、画素回路及び周辺回路の上層に設けられている。層間絶縁層110の材料としては、下地層109に用いることができる材料を用いることができ、単層構造であっても、これらの材料から選択された積層構造であってもよい。
【0030】
複数の発光素子114は、回路層104の上層に配列されている。複数の発光素子114の各々は、基板102側から積層された第1電極116、発光層118及び第2電極120を有している。第1電極116及び第2電極120からキャリアが発光層118へ注入され、キャリアの再結合が発光層118内で生じる。これにより、発光層118内の発光性分子が励起状態となり、これが基底状態へ緩和するプロセスを経て発光が得られる。
【0031】
第1電極116は、詳細は後述する平坦化絶縁層122dよりも上層に設けられる。第1電極116はまた、平坦化絶縁層122d及び無機絶縁層122eに設けられた開口を覆い、ソース・ドレイン電極108dと電気的に接続されるように設けられる。これにより、トランジスタ108を介して電流が発光素子114へ供給される。発光素子114からの発光を第2電極120から取り出す場合、第1電極116の材料としては、可視光を反射することができる材料から選択される。この場合、第1電極116は、銀やアルミニウムなどの反射率の高い金属やその合金を用いる。あるいはこれらの金属や合金を含む層上に、透光性を有する導電性酸化物の層を形成する。導電酸化物としてはITOやIZOなどが挙げられる。逆に、発光素子114からの発光を第1電極116から取り出す場合、第1電極116の材料としては、ITOやIZOを用いればよい。
【0032】
発光層118は、第1電極116及び第1隔壁122aを覆うように設けられる。発光層118の構成は適宜選択することができ、例えばキャリア注入層、キャリア輸送層、発光層118、キャリア阻止層、励起子阻止層などを組み合わせて構成することができる。発光層118は、発光素子114毎に異なる材料を含むように構成することができる。発光層118に用いる材料を適宜選択することで、発光素子114毎に異なる発光色を得ることができる。あるいは、発光層118の構造を発光素子114間で同一としてもよい。このような構成では、各発光素子114の発光層118から同一の発光色が出力されるため、例えば発光層118を白色発光可能な構成とし、カラーフィルタを用いて種々の色(例えば、赤色、緑色、青色)をそれぞれ発光素子114から取り出してもよい。
【0033】
第2電極120は、発光層118の上層に設けられる。第2電極120はまた、本実施形態のように、複数の発光素子114に共通して設けられてもよい。発光素子114からの発光を第2電極120から取り出す場合、第2電極120の材料としては、ITOなどの透光性を有する導電性酸化物等から選択される。あるいは、上述した金属を可視光が透過する程度の厚さで形成することができる。この場合、さらに透光性を有する導電性酸化物を積層してもよい。
【0034】
隔壁層122は、回路層104の上層に設けられている。本実施形態においては、隔壁層122は、第1隔壁122a、第2隔壁122b、第3隔壁122c、平坦化絶縁層122d及び無機絶縁層122eを有している。
【0035】
第1隔壁122aは、平面視において複数の画素112の内、隣接する画素112の間に設けられ、複数の画素112の各々を囲む。第1隔壁122aは、第1電極116の発光層118側の面の周縁を被覆する。第1隔壁122aは、第1電極116の周縁を覆うことで、その上層に設けられる発光層118や第2電極120の断線を防ぐことができる。平面視において、第1電極116と発光層118が接触する領域が発光領域である。
【0036】
第2隔壁122bは、平面視において第1隔壁122aと間隔を有し、第1隔壁122aを囲む周状である。換言すると、第2隔壁122b及び第1隔壁122aの間には、周状の溝部122fが形成される。つまり、第2隔壁122bは、平面視において第1隔壁122aと分離されている。詳細は後述するが、製造工程において封止層124を構成する第1有機絶縁層124bを形成する際に、第1有機絶縁層124bが表示領域102aを覆い、且つ基板102の端部に拡がらないように基板102の一表面内の領域に選択的に形成する必要がある。第1有機絶縁層124bが基板102の端部まで拡がると、端部において露出した第1有機絶縁層124bを介して水分が表示装置100内に侵入することが懸念される。第1有機絶縁層124bは、例えばインクジェット法を用いて表示領域102aに選択的に塗布される。このとき、第2隔壁122bは、その外側に第1有機絶縁層124bが拡がらないように堰き止める機能を有する。
【0037】
第3隔壁122cは、平面視において第2隔壁122bと間隔を有し、第2隔壁122bを囲む周状である。換言すると、第3隔壁122c及び第2隔壁122bの間には、周状の溝部122gが形成される。尚、第3隔壁122cは任意の構成であり、必ずしも設けなくても構わない。一方、第3隔壁122cと間隔を有し、第3隔壁122cを囲む周状の他の隔壁を更に設けても構わない。
【0038】
以上、隔壁層122の内、第1隔壁122a、第2隔壁122b及び第3隔壁122cの構成について説明した。第1隔壁122a、第2隔壁122b及び第3隔壁122cの材料としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の有機絶縁材料を用いることができる。
【0039】
平坦化絶縁層122dは、回路層104の上層、且つ発光素子114の下層に配置されている。平坦化絶縁層122dは、トランジスタ108等の半導体素子に起因する凹凸を吸収して平坦な表面を与える。平坦化絶縁層122dの材料としては、第1隔壁122a、第2隔壁122b及び第3隔壁122cに用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。
【0040】
無機絶縁層122eは、任意の構成であり、トランジスタ108等の半導体素子を保護する機能を有する。更に、発光素子114の第1電極116と、無機絶縁層122eの下層に、第1電極116と無機絶縁層122eを挟むように形成される電極(図示せず)との間で容量を形成することができる。
【0041】
平坦化絶縁層122d及び無機絶縁層122eには、複数の開口が設けられる。その内の一つは、発光素子114の第1電極116とトランジスタ108のソース・ドレイン電極108dとを電気的に接続するために設けられる。他の一つは、接続配線108eの一部を露出するように設けられる。この開口によって露出した接続配線108eは、その上層に形成される接続端子132に電気的に接続される。例えば異方性導電膜138等によりFPC基板140と接続される。
【0042】
封止層124は、複数の発光素子114及び隔壁層122の上層に設けられている。本実施形態においては、封止層124は、基板102側から積層された第1無機絶縁層124a、第1有機絶縁層124b及び第2無機絶縁層124cを有している。
【0043】
第1無機絶縁層124aは、隔壁層122に起因する凹凸表面を被覆する。第1無機絶縁層124aは、第1隔壁122a及び第2隔壁122bの間の溝部122fの底面及び隔壁を被覆する。第1無機絶縁層124aはまた、第2隔壁122b及び第3隔壁122cの間の溝部122gの底面及び隔壁を被覆する。
【0044】
本実施形態において、第1無機絶縁層124aは、少なくとも次の3つの役割を有する。1つは、第1無機絶縁層124aの上層に配置され、水分が透過しやすい第1有機絶縁層124bが発光素子114に接触しないように設けられている。これによって、第1有機絶縁層124bが含有する水分、又は表示装置100の外部から第1有機絶縁層124bに侵入した水分が発光層118へ到達し、発光層118が劣化することを防止することができる。他の1つは、第1隔壁122a及び第2隔壁122bの間に有機材料を介した水分の侵入経路を生じさせないために設けられている。これによって、第2隔壁122bが含有する水分、又は表示装置100の外部から第2隔壁122bに侵入した水分が、第2隔壁122bの内側へ侵入し、発光層118が劣化することを防止することができる。他の1つは、同様に、第2隔壁122b及び第3隔壁122cの間に有機材料を介した水分の侵入経路を生じさせないために設けられている。これによって、第3隔壁122cが含有する水分、又は表示装置100の外部から第3隔壁122cに侵入した水分が、第3隔壁122cの内側へ侵入し、発光層118が劣化することを防止することができる。
【0045】
以上のことから、第1無機絶縁層124aの材料としては、透湿性の低い絶縁材料を用いることが好ましい。透湿性の低い絶縁材料としては、無機絶縁材料を用いることが好ましい。無機絶縁材料としては、例えば、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等を使用することができる。また、これらから選択された複数の材料を積層した構造を使用してもよい。
【0046】
第1有機絶縁層124bは、第1無機絶縁層124aの上層に設けられている。第1有機絶縁層124bはまた、平面視において複数の発光素子114に重畳し、且つ端部が第1隔壁122a及び第2隔壁122bの間に配置されている。第1有機絶縁層124bは、第1隔壁122a等に起因する凹凸を平坦化するために設けられる。
【0047】
このような凹凸が十分に平坦化されず、第1有機絶縁層124b上に第2無機絶縁層124cが設けられると、第2無機絶縁層124cが第1有機絶縁層124bに残った凹凸を十分に被覆できず、第2無機絶縁層124cにクラック等の欠陥が生じ、それに起因する水分の侵入経路が生じる場合がある。
【0048】
第2無機絶縁層124cは、第1有機絶縁層124bの上層に設けられている。本実施形態においては、第2無機絶縁層124cは、平面視において第1無機絶縁層124aの端部に沿って配置されている。つまり、第1有機絶縁層124bは、両面及び端部が第1無機絶縁層124a及び第2無機絶縁層124cに被覆されている。このような構成を有することによって、第1有機絶縁層124bを介した、表示装置100の外部から内部へ水分の侵入経路を遮断することができる。第2無機絶縁層124cの材料としては、透湿性の低い絶縁材料を用いることが好ましく、第1無機絶縁層124aと同様の材料を用いることができる。
【0049】
尚、第2無機絶縁層124cは、必ずしもその端部が第1無機絶縁層124aの端部に沿って配置される必要は無い。第1有機絶縁層124bが、第1無機絶縁層124a及び第2無機絶縁層124cによって密封されるように封止層124が構成されればよい。
【0050】
第1保護層126は、封止層124の上層に設けられている。第1保護層126はまた、平面視において、少なくとも複数の接続配線108eの各々の一部に重畳する領域に開口部126aを有している。本実施形態において開口部126aは、平面視において、第2隔壁122b及び第3隔壁122cの間の溝部122gに設けられている。尚、開口部126aを設ける領域は、第2隔壁122b及び第3隔壁122cの間の溝部122gに限られない。開口部126aを設ける領域は、第1隔壁122aよりも外側であれば構わない。また、開口部126aは、図2で示すように、断面視においてテーパー形状を有している。別言すれば、第1保護層126に設けられる開口部126aは、開口部内の側壁が、上方に向かうに従い外側に開くように傾斜している。
【0051】
第1保護層126は、端部が第3隔壁122c上に配置されている。本実施形態においては、第1保護層126は、端部が第1無機絶縁層124aの端部に沿って配置されている。本実施形態においては、第1保護層126、第2無機絶縁層124c及び第1無機絶縁層124aの端部がほぼ重畳し、共に第3隔壁122c上に配置されているが、これに限られず、これらの層が複数の接続端子132に重畳しなければよい。第1保護層126の材料としては、前述の第1有機絶縁層124bに用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。
【0052】
タッチ電極層128は、第1保護層126の上層に設けられている。タッチ電極層128は、複数のタッチ電極を含んでいる。複数のタッチ電極の各々は、第1保護層126に設けられた開口部126aを介して複数の接続配線108eのいずれかに接続されている。
【0053】
本実施形態においては、第1保護層126によって、第2隔壁122bに起因した凹凸、第1有機絶縁層124bの端部のテーパー、その他の周辺領域102bの凹凸を吸収し、平坦化された表面を形成することができる。第1保護層126によって平坦化された表面上に、タッチ電極層128が設けられる。
【0054】
従来の表示装置においては、封止層124の直上に複数のタッチ電極が設けられていた。このような構成では、第2隔壁122bに起因した凹凸、第1有機絶縁層124bの端部のテーパーその他周辺領域102bの凹凸を有する表面上に、タッチ電極層128が設けられる。そのため、表示装置の製造工程において、当該凹凸に起因して、複数のタッチ電極に断線、クラック等が生じることが懸念される。
【0055】
しかしながら、本実施形態によれば、上述のような構成を有することによって、表示装置の製造工程において、複数のタッチ電極に断線、クラック等が生じることを抑制することができる。これによって、表示装置100の信頼性向上を図ることができる。
【0056】
複数の接続端子132は、基板102の当該一表面上に配列されている。複数の接続端子132の各々は、無機絶縁層122e及び平坦化絶縁層122dに設けられた開口を介して、接続配線108eに電気的に接続されている。複数の接続端子132はまた、平面視において第1保護層126の外側に配置される。
【0057】
第2保護層130は、任意の構成であり、表示装置100を物理的に保護する。第2保護層130の材料としては、エステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの高分子材料を含むことができる。印刷法やラミネート法などを適用して形成することができる。
【0058】
偏光板134は、例えばλ/4板134a及びその上に配置される直線偏光板134bの積層構造を有することができる。表示装置100の外から入射する光が直線偏光板134bを透過して直線偏光となった後、λ/4板134aを通過すると、右回りの円偏光となる。この円偏光が第1電極116で反射すると左回りの円偏光となり、これが再度λ/4板134aを透過することで直線偏光となる。このときの直線偏光の偏光面は、反射前の直線偏光と直交する。したがって、直線偏光板134bを透過することができない。その結果、偏光板134を設置することで外光の反射が抑制され、コントラストの高い映像を提供することが可能となる。
【0059】
カバーフィルム136は、任意の構成であり、本実施形態においては、偏光板134の上層に設けられている。カバーフィルム136は、偏光板134を物理的に保護する。
【0060】
以上、本実施形態に係る表示装置100の構成によれば、表示装置において、複数のタッチ電極に断線、クラック等が生じることを抑制することができる。これによって、表示装置100の信頼性の向上を図ることができる。
【0061】
次いで、本実施形態に係る表示装置100の製造方法について詳細に説明する。図3乃至図8は、本実施形態に係る表示装置100の製造方法を説明する断面図である。
【0062】
基板102は、その一表面側に配置される回路層104や複数の画素112等の各種素子を支持する。従って、基板102には、その上に形成される各種素子のプロセスの温度に対する耐熱性とプロセスで使用される薬品に対する化学的安定性を有する材料を使用すればよい。基板102の材料としては、ガラス、石英、プラスチック、金属、セラミック等を含むことができる。
【0063】
表示装置100に可撓性を付与する場合、基板102上に基材を形成すればよい。この場合、基板102は支持基板とも呼ばれる。基材は、可撓性を有する絶縁層である。基材の具体的な材料としては、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナートに例示される高分子材料から選択される材料を含むことができる。基材は、例えば印刷法やインクジェット法、スピンコート法、ディップコーティング法などの湿式成膜法、あるいはラミネート法などを適用して形成することができる。
【0064】
図3を用いて、基板102の一表面上に、回路層104を形成する方法について説明する。先ず、下地層109を形成する。下地層109の材料としては、無機絶縁材料を含むことができる。無機絶縁材料としては、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素等を含むことができる。下地層109は、化学気相成長法(CVD法)やスパッタリング法等を適用して、単層、あるいは積層構造を有するように形成することができる。尚、下地層109は任意の構成であり、必ずしも設ける必要は無い。
【0065】
半導体層108aを形成する。半導体層108aは、前述した珪素等の14族元素、あるいは半導体層108aは、酸化物半導体を含んでもよい。半導体層108aが珪素を含む場合、半導体層108aは、シランガスなどを原料として用い、CVD法によって形成すればよい。これによって得られるアモルファスシリコンに対して加熱処理、あるいはレーザなどの光を照射することで結晶化を行ってもよい。半導体層108aが酸化物半導体を含む場合、スパッタリング法等を利用して形成することができる。
【0066】
半導体層108aを覆うようにゲート絶縁層108bを形成する。ゲート絶縁層108bは単層構造、積層構造のいずれの構造を有していてもよく、下地層109と同様の手法で形成することができる。
【0067】
ゲート絶縁層108b上にゲート電極108cを形成する。ゲート電極108cは、チタンやアルミニウム、銅、モリブデン、タングステン、タンタルなどの金属やその合金などを用いることができる。これらの材料のいずれかの単層、あるいはこれらから選択された複数の材料の積層構造を有するように形成することができる。例えばチタンやタングステン、モリブデンなどの比較的高い融点を有する金属でアルミニウムや銅などの導電性の高い金属を挟持する構造を採用することができる。ゲート電極108cは、スパッタリング法やCVD法を用いて形成することができる。
【0068】
ゲート電極108c上に層間絶縁層110を形成する。ゲート電極108cの上層に設けられる。層間絶縁層110の材料としては、下地層109に用いることができる材料を用いることができ、単層構造であっても、これらの材料から選択された積層構造であってもよい。層間絶縁層110は、下地層109と同様の手法で形成することができる。積層構造を有する場合、例えば有機材料を含む層を形成した後、無機材料を含む層を積層してもよい。
【0069】
次に、層間絶縁層110とゲート絶縁層108bに対してエッチングを行い、半導体層108aに達する開口を形成する。開口は、例えばフッ素含有炭化水素を含むガス中でプラズマエッチングを行うことで形成することができる。
【0070】
開口を覆うように金属層を形成し、エッチングを行って成形することで、ソース・ドレイン電極108dを形成する。本実施形態では、ソース・ドレイン電極108dの形成と同時に接続配線108eを形成する。従って、ソース・ドレイン電極108dと接続配線108eは同一の層内に存在することができる。金属層はゲート電極108cと同様の構造を有することができ、ゲート電極108cの形成と同様の手法を用いて形成することができる。
【0071】
図4を用いて、基板102の一表面上に、複数の発光素子114と、隔壁層122と、複数の接続端子132とを形成する方法について説明する。ここで、隔壁層122は、第1隔壁122a、第2隔壁122b、第3隔壁122c、平坦化絶縁層122d、無機絶縁層122eを有する。第1隔壁122aは、複数の画素112の各々の周縁に配置され、第2隔壁122bは、第1隔壁122aを囲み、第3隔壁122cは、第2隔壁122bを囲む。接続端子132は、第3隔壁122cの外側に配置される。
【0072】
平坦化絶縁層122dを形成する。平坦化絶縁層122dは、ソース・ドレイン電極108dや接続配線108eを覆うように形成される。平坦化絶縁層122dは、トランジスタ108、接続配線108e等に起因する凹凸や傾斜を吸収し、平坦な面を与える機能を有する。平坦化絶縁層122dの材料としては、有機絶縁材料を用いることができる。有機絶縁材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリシロキサン等の高分子材料が挙げられる。成膜方法としては、湿式成膜法等によって形成することができる。
【0073】
平坦化絶縁層122d上に無機絶縁層122eを形成する。上述したように、無機絶縁層122eは、トランジスタ108に対する保護層として機能するだけでなく、後に形成される発光素子114の第1電極116と共に容量を形成する。従って、誘電率の比較的高い材料を用いることが好ましい。例えば窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素等を用いることができる。成膜方法としては、CVD法やスパッタリング法を適用することができる。
【0074】
ソース・ドレイン電極108dと接続配線108eをエッチングストッパとして、無機絶縁層122eと平坦化絶縁層122dに対してエッチングを行い、開口を形成する。その後、これらの開口を覆うように第1電極116及び接続端子132を形成する。
【0075】
発光素子114からの発光を第2電極120から取り出す場合、第1電極116は可視光を反射するように構成される。この場合、第1電極116は、銀やアルミニウムなどの反射率の高い金属やその合金を用いる。あるいはこれらの金属や合金を含む層上に、透光性を有する導電性酸化物の層を形成する。導電酸化物としてはITOやIZOなどが挙げられる。発光素子114からの発光を第1電極116から取り出す場合には、ITOやIZOを用いて第1電極116を形成すればよい。
【0076】
本実施形態においては、第1電極116及び接続電極が無機絶縁層122e上に形成される。したがって、例えば開口を覆うように上記金属の層を形成し、その後可視光を透過する導電酸化物を含む層を形成し、エッチングによる加工を行って第1電極116及び接続電極を形成することができる。
【0077】
第1隔壁122a、第2隔壁122b及び第3隔壁122cを形成する。第1隔壁122aにより、第1電極116の端部に起因する段差を吸収し、かつ、隣接する画素112の第1電極116を互いに電気的に絶縁することができる。
【0078】
後の製造工程において封止層124を構成する第1有機絶縁層124bを形成する際に、第1有機絶縁層124bが表示領域102aを覆い、且つ基板102の端部に拡がらないように基板102の表面内の領域に選択的に形成する必要がある。第1有機絶縁層124bは、例えばインクジェット法を用いて表示領域102aに選択的に形成される。このとき、第2隔壁122bは、その外側に第1有機絶縁層124bが拡がらないように堰き止める機能を有する。
【0079】
第1隔壁122a、第2隔壁122b及び第3隔壁122cは、エポキシ樹脂やアクリル樹脂など、平坦化絶縁層122dに使用可能な材料を用いることができ、湿式成膜法で形成することができる。
【0080】
発光層118及び第2電極120を、第1電極116及び隔壁層122を覆うように形成する。発光層118は、主に有機化合物を含み、インクジェット法やスピンコート法などの湿式成膜法、あるいは蒸着等の乾式成膜法を適用して形成することができる。
【0081】
発光素子114からの発光を第1電極116から取り出す場合、第2電極120の材料としては、アルミニウム、マグネシウム、銀等の金属やこれらの合金を用いればよい。逆に発光素子114からの発光を第2電極120から取り出す場合、第2電極120の材料としては、ITOなどの透光性を有する導電性酸化物などを用いればよい。あるいは、上述した金属を可視光が透過する程度の厚さで形成することができる。この場合、さらに透光性を有する導電性酸化物を積層してもよい。
【0082】
図5を用いて、封止層124を形成する方法について説明する。ここで、封止層124は、第1無機絶縁層124a、第1有機絶縁層124b及び第2無機絶縁層124cを有する。第1無機絶縁層124aは、基板102の表面に亘って配置される。第1有機絶縁層124bは、第1無機絶縁層124a上、且つ複数の画素112を覆い、第2隔壁122bの内側に配置される。第2無機絶縁層124cは、第1有機絶縁層124b上、且つ表面に亘って配置される。
【0083】
先ず、第1無機絶縁層124aを、基板102の一表面に亘って成膜する。第1無機絶縁層124aは、例えば窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素等の無機材料を含むことができ、下地層109と同様の手法で形成することができる。
【0084】
次いで、第1有機絶縁層124bを成膜する。第1有機絶縁層124bは、第2隔壁122bの内側に塗布することによって形成される。第1有機絶縁層124bは、アクリル樹脂、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリエステルなどを含む有機樹脂を含有することができる。また、隔壁層122に起因する凹凸を吸収するよう、また、平坦な面を与えるような厚さで形成してもよい。第1有機絶縁層124bは、表示領域102a内に選択的に形成することが好ましい。すなわち第1有機絶縁層124bは、複数の接続端子132と重ならないように形成することが好ましい。第1有機絶縁層124bは、インクジェット法等の湿式成膜法によって形成することができる。このとき、表示領域102aに選択的に塗布された第1有機絶縁層124bは、第2隔壁122bによって堰き止められ、その外側へ広がることがない。
【0085】
第2無機絶縁層124cを成膜する。第2無機絶縁層124cは、第1無機絶縁層124aと同様の構造を有し、同様の方法で形成することができる。第2無機絶縁層124cも、第1有機絶縁層124bのみならず、接続電極を覆うように形成することができる。これにより、第1有機絶縁層124bを第1無機絶縁層124aと第2無機絶縁層124cとで封止することができる。
【0086】
ここまでの工程によって、封止層124は、第2隔壁122bの内側において、第1無機絶縁層124a、第1有機絶縁層124b及び第2無機絶縁層124cの3層構造を有し、第2隔壁122bの外側において、第1無機絶縁層124a及び第2無機絶縁層124cの2層構造を有する。
【0087】
図6を用いて、第1保護層126を形成する方法について説明する。第1保護層126は、封止層124上に設けられる。第1保護層126は、図6に示すように、表示領域102a内に選択的に、第1無機絶縁層124a及び第2無機絶縁層124cが互いに接する領域を覆い、少なくとも複数の接続配線108eの各々と一部重畳する領域に開口部126aを有し、且つ、接続端子132と重ならないように形成する。第1保護層126は、封止層124を構成する第1有機絶縁層124bと同様の材料を含むことができ、これと同様にインクジェット法等を用いて形成することができる。
【0088】
図7を用いて、封止層124に覆われている複数の接続端子132及び複数の接続配線108eの各々の一部を露出させる方法について説明する。ここでは、第1保護層126をマスクとして、封止層124をエッチングして複数の接続端子132及び複数の接続配線108eの各々の一部を露出させる。ここで、第1保護層126に露出された封止層124の領域は、いずれも第1無機絶縁層124a及び第2無機絶縁層124cの2層構造を有する領域である。
【0089】
図8を用いて、タッチ電極層128を形成する方法について説明する。先ず、第1保護層126上に、複数の第1タッチ電極128aを同時に形成する。複数の第1のタッチ電極202は透光性を有する導電性酸化物を主成分として含むことができ、導電性酸化物としてはITOやIZOなどが挙げられる。ここで、複数の第1タッチ電極128aの各々に接続される第1タッチ配線128eも、複数の第1タッチ電極128aと同一の材料及び層に形成することができるため、同時に形成する。第1タッチ配線128eは、第1保護層126に設けられた開口部126aを覆うように形成され、これにより、第1タッチ電極128a及び複数の接続配線108eのいずれかが電気的に接続される。
【0090】
引き続き、第1のタッチ電極202上に有機絶縁層を形成する。有機絶縁層は、第1有機層と同等な材料、及び方法で形成することができる。平坦化絶縁層122d等と異なるのは、例えばベーク処理等を行う場合に、高温を用いない点である。この時点で既に有機化合物を含む発光層118が形成されているため、有機化合物が分解しない程度の温度下で処理を行うことが望まれる。
【0091】
有機絶縁層上に第2タッチ電極128bを形成する。第2タッチ電極128bの材料としては、第1タッチ電極128aと同様の材料を用いることができる。また、第2タッチ電極128bの形成と同時に、第2タッチ配線128fを形成する。第2タッチ配線128fは、第1保護層126に設けられた開口部126aを覆うように形成され、これにより、複数の第2タッチ電極128bの各々は、複数の接続配線108eのいずれかに電気的に接続される。
【0092】
第2保護層130、偏光板134及びカバーフィルム136を形成する。第2保護層130は、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの高分子材料を含むことができ、印刷法やラミネート法などを適用して形成することができる。カバーフィルム136も第2保護層130と同様の高分子材料を含むことができ、上述した高分子材料に加え、ポリオレフィン、ポリイミドなどの高分子材料を適用することも可能である。引き続きコネクタを開口において異方性導電膜138などを用いて接続することで、図1及び図2に示す表示装置100を形成することができる。
【0093】
本実施形態に係る表示装置100の製造方法によれば、製造工程において封止層124の劣化を防止することができる。これによって、製造歩留まり及び信頼性が向上した表示装置100を提供することができる。
【0094】
第2実施形態:
図9は、本実施形態に係る表示装置の構成を説明する断面図を示す。表示装置200は、第1実施形態に係る表示装置と比べると、複数のタッチ電極と、複数の接続配線108eとの接続部が異なっている。表示装置200においては、第1保護層126の開口部126aに、複数のタッチ電極の材料とは異なる導電性材料が設けられている。当該導電性材料としては、導電性ペースト127を用いることができる。複数のタッチ電極の各々は、導電性ペースト127を介して複数の配線のいずれかに接続される。
【0095】
本実施形態によれば、上述のような構成を有することによって、表示装置200の製造工程において、第1保護層126の開口部126aに起因した段差に起因して、複数のタッチ電極に断線、クラック等が生じることを抑制することができる。これによって、製造歩留まり及び信頼性が更に向上した表示装置200を提供することができる。
【0096】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0097】
本明細書においては、開示例として主にEL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0098】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0099】
100、200・・・表示装置、102・・・基板、102a・・・表示領域、102b・・・周辺領域、102c・・・端子領域、104・・・回路層、106・・・ICチップ、108・・・トランジスタ、108a・・・半導体層、108b・・・ゲート絶縁層、108c・・・ゲート電極、108d・・・ソース・ドレイン電極、108e・・・接続配線、109・・・下地層、110・・・層間絶縁層、114・・・発光素子、116・・・第1電極、118・・・発光層、120・・・第2電極、122・・・隔壁層、122a・・・第1隔壁、122b・・・第2隔壁、122c・・・第3隔壁、122d・・・平坦化絶縁層、122e・・・無機絶縁層、122f・・・溝部、122g・・・溝部、124・・・封止層、124a・・・第1無機絶縁層、124b・・・第1有機絶縁層、124c・・・第2無機絶縁層、126・・・第1保護層、126a・・・開口部、127・・・導電性ペースト、128・・・タッチ電極層、128a・・・第1タッチ電極、128b・・・第2タッチ電極、128c・・・矩形領域、128d・・・接続領域、128e・・・第1タッチ配線、128f・・・第2タッチ配線、130・・・第2保護層、132・・・接続端子、134・・・偏光板、134a・・・λ/4板、134b・・・直線偏光板、136・・・カバーフィルム、138・・・異方性導電膜、140・・・フレキシブル回路基板(FPC基板)
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図9