(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】PTHrP類似体の製剤、その経皮パッチ、およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/29 20060101AFI20220926BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220926BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220926BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20220926BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20220926BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61K38/29 ZNA
A61K47/02
A61K9/70 401
A61P19/10
A61P19/08
A61M37/00 520
(21)【出願番号】P 2021065966
(22)【出願日】2021-04-08
(62)【分割の表示】P 2018517605の分割
【原出願日】2016-10-08
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513073898
【氏名又は名称】ラジウス ヘルス,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521044431
【氏名又は名称】キンデバ ドラッグ デリバリー エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ハタスリー,ガリー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,アラン
(72)【発明者】
【氏名】サー,ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】ハメッド,エハブ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ケニス
(72)【発明者】
【氏名】ドーマイヤー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】モーゼマン,ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イン
(72)【発明者】
【氏名】ディック,リサ
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/105508(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/060500(WO,A1)
【文献】Endocrine Reviews,2014年,Vol.35, No.3, Supple,OR22-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/70
A61K 38/29
A61M 37/00
A61K 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮パッチをコーティングするのに
使用するための調製製剤であって、
該経皮パッチは、複数の微小突起を含み、該調製製剤は、配列番号:1に示されるアバロパラチドと、水と、Zn
2+
塩から選択される1種以上の賦形剤とを含む調製製剤。
【請求項2】
前記
Zn
2+
塩は、ZnCl
2、Zn(OAc)
2
および
その組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の調製製剤。
【請求項3】
前記アバロパラチドに対する前記
Zn
2+
塩のモル比は、0.1から2.0である、請求項1または2に記載の調製製剤。
【請求項4】
前記アバロパラチドに対する前記
Zn
2+
塩のモル比は、0.2から1.5である、請求項1から3のいずれか一項に記載の調製製剤。
【請求項5】
前記アバロパラチドに対する前記
Zn
2+
塩のモル比は、0.25から1.0である、請求項1から4のいずれか一項に記載の調製製剤。
【請求項6】
調製製剤中のZn
2+塩の濃度は、調製製剤の総重量に対して約0.01重量%から約30重量%である、請求項
1に記載の調製製剤。
【請求項7】
調製製剤中のZn
2+塩の濃度は、調製製剤の総重量に対して約0.5重量%から約8.5重量%である、請求項
1に記載の調製製剤。
【請求項8】
前記
Zn
2+
塩は、ZnCl
2
である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の調製製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2015年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/239,773号、2015年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/239,774号、2015年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/239,801号、2016年4月18日に出願された米国仮特許出願第62/324,336号、2016年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/353,249号、2016年9月18日に出願された米国仮特許出願第62/396,196号に対する優先権を主張し、これらは全て、参照することにより図面を含めたそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、PTHrP類似体の製剤、その経皮パッチ、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、骨粗しょう症は、骨吸収を抑制するために、再吸収阻害薬の投与により処置される。これらの処置の最も一般的なものは、ビスホスホネートの経口または静脈内投与である。しかしながら、ビスホスホネート投与の望ましくない副作用は、骨形成の低減である(MacLean 2008)。同化剤は、再吸収阻害剤の代替を提供する。骨粗しょう症の処置に現在利用可能な唯一の同化剤は、(吸収と共に)新骨形成の刺激および内部骨微細構造の再構築が関与する機序によって作用する、副甲状腺ホルモン(PTH)の組換え形態であるテリパラチド(PTH (1-34)、Forteo(登録商標))である(Recker 2009;Dempster 2012;Ma 2011)。骨ミネラル濃度(BMD)に対するテリパラチドの効果は、脊椎においては再吸収阻害薬より優れているが、股関節におけるその効果はより控えめであり、しばしば、2年コースの治療の2年目まで遅延する(Leder 2014;Neer 2001)。
【0004】
副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP;UniProt Accession No. P12272)は、そのN末端において副甲状腺ホルモン(PTH)といくつかの相同性を共有し、両方のタンパク質が同じGタンパク質結合受容体、PTH受容体1型(PTH1R)に結合する。共通の受容体にかかわらず、PTHは、主としてカルシウム恒常性の内分泌調整因子として機能し、一方PTHrPは、軟骨内骨発達の媒介において基礎的な傍分泌の役割を担う(Kronenberg 2006)。これらのタンパク質の示差的効果は、示差的な組織発現だけでなく、異なる受容体結合特性にも関連し得る(Pioszak 2009;Okazaki 2008;Dean 2008)。過去数年間にわたり、PTHrPおよびその分泌型(PTHrP(1-36)、PTHrP(38-94)、およびオステオスタチン)、ならびにそれらの類似体が、骨粗しょう症の潜在的治療剤として調査されてきた。PTHrPならびにその誘導体および類似体の皮下注射は、骨粗しょう症の処置、および/または骨の治癒の改善に効果的であることが報告されている(Horwitz 2010;Horwitz 2006;Bostrom 2000;Augustine 2013)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Horwitz et al., ”Parathyroid hormone-related protein for the treatment of postmenopausal osteoporosis: defining the maximal tolerable dose,” J Clin Endocrinol Metab 95:1279-1287 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、患者の満足度およびコンプライアンスを改善するために、処置に効果的である(例えば、PTHrPならびに/またはその誘導体および類似体の皮下送達との実質的な生物学的均等性)と共に投与が容易である代替の送達経路を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書のある特定の実施形態において、アバロパラチド等のPTHrP類似体の経皮送達における使用のための調製製剤であって、PTHrP類似体(例えばアバロパラチド)と、Zn2+塩(例えば、ZnCl2、Zn(OAc)2、Zn3(PO4)2、クエン酸Zn、シュウ酸Zn等、またはそれらの組み合わせ)、Mg2+塩(例えば、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、MgCl2、Mg(OAc)2等、またはそれらの組み合わせ)、Ca2+塩(例えば、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、Ca(OAc)2等、またはそれらの組み合わせ)、PEG(ポリエチレングリコール)、PVP(ポリビニルピロリドン)、シクロデキストリン(CD、例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD))、脂肪酸を含むカルボン酸の塩、NaClおよびヒスチジン、ならびにそれらの様々な組み合わせからなる群から選択される1種以上の賦形剤とを含む調製製剤が提供される。ある特定の実施形態において、調製製剤は、注射用水、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)をさらに含む。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するアバロパラチド([Glu22,25,Leu23,28,31,Aib29,Lys26,30]hPTHrP(1-34)NH2)を含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、調製製剤を使用して作製された、少なくとも1つの微小突起(例えば微小針)を備える経皮パッチにより送達される。
【0008】
本明細書のある特定の実施形態において、本明細書で開示されるような調製製剤を使用して作製された、1つ以上の微小突起を備えるPTHrP類似体の経皮投与用のパッチが提供される。
【0009】
本明細書のある特定の実施形態において、PTHrP類似体の投与用の経皮パッチを作製する方法であって、本明細書で開示される調製製剤を有するブランク経皮パッチ上に少なくとも微小突起を作製することを含む方法が提供される。ある特定の実施形態において、微小突起は、微小針である。
【0010】
本明細書のある特定の実施形態において、対象における骨粗しょう症を処置するため、骨減少を処置するため、変形性関節炎を処置するため、骨ミネラル濃度(BMD)を改善するため、骨梁スコア(TBS)を改善するため、ならびに骨折を処置、予防、および低減するための方法であって、本明細書で開示されるようなPTHrP類似体調製製剤を使用して作製された、少なくとも1つの微小突起を備える経皮パッチを介して、治療有効量のPTHrP類似体を経皮投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、処置されている骨粗しょう症は、閉経後骨粗しょう症である。いくつかの実施形態において、処置されている骨粗しょう症は、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症である。ある特定のこれらの実施形態において、調製製剤は、本明細書で開示されるような経皮パッチを介して投与される。処置、予防または低減されている骨折、および改善されたBMDまたはTBSを有する骨は、脊椎または非脊椎であってもよい。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、
[1]経皮パッチをコーティングするのに好適な調製製剤であって、治療活性物質と、水と、Zn2+塩、Mg2+塩、Ca2+塩、ポリエチレングリコールおよびヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリンからなる群から選択される1種以上の賦形剤とを含む調製製剤、
[2]生物活性ペプチドまたはタンパク質をさらに含む、[1]に記載の調製製剤。
[3]抗体を含む、[1]または[2]に記載の調製製剤、
[4]生物活性ペプチドを含む、[1]または[2]に記載の調製製剤、
[5]前記生物活性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸を含有する、[4]に記載の調製製剤、
[6]前記生物活性ペプチドは、配列番号1に記載のようなアバロパラチドである、[5]に記載の調製製剤、
[7]前記賦形剤は、ZnCl2、Zn(OAc)2、Zn3(PO4)2、クエン酸Zn、シュウ酸Zn、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、およびCa(OAc)2からなる群から選択される、[1]から[6]のいずれか一項に記載の調製製剤、
[8]前記賦形剤は、ZnCl2およびZn(OAc)2ならびにそれらの組み合わせから選択される、[7]に記載の調製製剤、
[9]前記治療活性物質に対する前記賦形剤のモル比は、0.1から2.0である、[1]から[8]のいずれか一項に記載の調製製剤、
[10]前記治療活性物質に対する前記賦形剤のモル比は、0.2から1.5である、[1]から[9]のいずれか一項に記載の調製製剤、
[11]前記治療活性物質に対する前記賦形剤のモル比は、0.25から1.0である、[1]から[10]のいずれか一項に記載の調製製剤、
[12]複数の微小突起を備える経皮パッチであって、アレイ内の少なくとも1つの微小突起は、少なくとも部分的にコーティングにより被覆され、前記コーティングは、治療活性物質と、Zn2+塩、Mg2+塩、Ca2+塩、ポリエチレングリコールおよびヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリンからなる群から選択される1種以上の賦形剤とを含む経皮パッチ、
[13]前記微小突起は、微小針である、[12]に記載の経皮パッチ、
[14]前記治療活性物質は、生物活性ペプチドまたはタンパク質を含む、[12]または[13]に記載の経皮パッチ、
[15]前記治療活性物質は、抗体を含む、[12]から[14]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[16]生物活性ペプチドを含む、[12]から[14]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[17]前記生物活性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸を含有する、[17]に記載の経皮パッチ、
[18]前記生物活性生物活性ペプチドは、配列番号1に記載のようなアバロパラチドである、[17]に記載の経皮パッチ、
[19]前記賦形剤は、ZnCl2、Zn(OAc)2、Zn3(PO4)2、クエン酸Zn、シュウ酸Zn、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、およびCa(OAc)2からなる群から選択される、[12]から[18]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[20]前記賦形剤は、ZnCl2およびZn(OAc)2ならびにそれらの組み合わせから選択される、[12]から[19]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[21]前記治療活性物質に対する前記賦形剤のモル比は、0.1から2.0である、[12]から[20]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[22]前記治療活性物質に対する前記賦形剤のモル比は、0.2から1.5である、[12]から[21]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[23]前記治療活性物質に対する前記賦形剤のモル比は、0.25から1.0である、[12]から[22]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[24]前記アバロパラチドは、90~110μg、140~160μg、185~220μg、225~275μgの間、または約100μg、約150μg、約200μgもしくは約250μgの量で前記微小突起アレイ上に存在する、[18]から[23]のいずれか一項に記載の経皮パッチ、
[25]対象における骨粗しょう症、骨減少、変形性関節炎、および骨折からなる群から選択される状態を処置する方法であって、[18]から[24]のいずれか一項に記載の経皮パッチを貼付することを含む方法、
[26]脊椎、非脊椎、臨床的、および大きな骨粗しょう症性骨折を予防する方法であって、[18]から[24]のいずれか一項に記載の経皮パッチを貼付することを含む方法、
[27]対象における骨ミネラル濃度(BMD)を改善する、骨梁スコア(TBS)を改善する、および/または骨折を低減する方法であって、[18]から[24]のいずれか一項に記載の経皮パッチを対象に貼付することを含む方法、
[28]前記パッチは、300~750個の間の微小突起を備える、[25]から[27]のいずれか一項に記載の方法、
[29]前記貼付は、患者の角質層に微小突起の1つ以上を突き通すのに十分な力を経皮パッチに印加することを含む、[25]から[28]のいずれか一項に記載の方法、
[30]貼付部位は、腹部または大腿部である、[25]から[29]のいずれか一項に記載の方法
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、PTHrP類似体の製剤、その経皮パッチ、およびその使用が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの様々な製剤の薬物動態プロファイルである。
図1A:アバロパラチド-SC処置の1つの可能な生物学的均等性「ウィンドウ」であり、縦軸上の%スケールは、それ自体の最大(C
max)、すなわち100=C
maxの%により表される血漿アバロパラチド濃度を示し、本明細書において、以降「正規化血漿濃度」と呼ばれる。
図1B:ZnCl
2を含むアバロパラチドの調製製剤を使用したサルへの経皮送達であり、縦軸は、正規化ペプチド血漿濃度を示す。
図1C:PEGを含むアバロパラチドの調製製剤を使用した経皮送達である。
【
図1B】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの様々な製剤の薬物動態プロファイルである。
図1A:アバロパラチド-SC処置の1つの可能な生物学的均等性「ウィンドウ」であり、縦軸上の%スケールは、それ自体の最大(C
max)、すなわち100=C
maxの%により表される血漿アバロパラチド濃度を示し、本明細書において、以降「正規化血漿濃度」と呼ばれる。
図1B:ZnCl
2を含むアバロパラチドの調製製剤を使用したサルへの経皮送達であり、縦軸は、正規化ペプチド血漿濃度を示す。
図1C:PEGを含むアバロパラチドの調製製剤を使用した経皮送達である。
【
図1C】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの様々な製剤の薬物動態プロファイルである。
図1A:アバロパラチド-SC処置の1つの可能な生物学的均等性「ウィンドウ」であり、縦軸上の%スケールは、それ自体の最大(C
max)、すなわち100=C
maxの%により表される血漿アバロパラチド濃度を示し、本明細書において、以降「正規化血漿濃度」と呼ばれる。
図1B:ZnCl
2を含むアバロパラチドの調製製剤を使用したサルへの経皮送達であり、縦軸は、正規化ペプチド血漿濃度を示す。
図1C:PEGを含むアバロパラチドの調製製剤を使用した経皮送達である。
【
図2】経皮対皮下経路(SC)により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルである。経皮送達用のアバロパラチドのアバロパラチド調製製剤は、ZnCl
2またはPEGを含まなかったが、SCと比較した経皮送達の極めて迅速なC
max、および送達の増加する拍動性に留意されたい。四角:経皮送達(TD);および菱形:アバロパラチド-SC処置。健常な閉経後の女性における投与であり、縦軸上の%スケールは、各群のC
maxの%により表されるアバロパラチドの正規化血漿濃度を示す。
【
図3】経皮(TD)対皮下(SC)経路により投与されたZnCl
2を含有するアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、中央血漿アバロパラチド濃度の経度対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。ZnCl
2の追加により、より長期の放出が提供されたことに留意されたい。
【
図4】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、中央血漿アバロパラチド濃度対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図5】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、中央血漿アバロパラチド濃度の経度対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図6】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、平均血漿アバロパラチド濃度対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図7】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、用量正規化血漿アバロパラチド濃度の中央値の経度対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図8】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、用量正規化血漿アバロパラチド濃度の中央値対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図9】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、用量正規化血漿アバロパラチド濃度の平均値の経度対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図10】経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルであり、健常な閉経後の女性における、用量正規化血漿アバロパラチド濃度の平均値対投与後の時間である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図11】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のC
maxの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図12】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のC
maxの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図13】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のAUC
lastの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図14】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のAUC
lastの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図15】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のAUC
infの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図16】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のAUC
infの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図17】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のC
max/D(投薬毎のC
max)の比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTDを表している。
【
図18】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のC
max/D(投薬毎のC
max)の比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図19】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のCL/Fの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図20】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のCL/Fの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図21】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のHL_Lambda_zの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図22】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のHL_Lambda_zの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図23】健常な閉経後の女性における、経皮対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のT
maxの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図24】健常な閉経後の女性における、経皮(腹部)対皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のT
maxの比較である。経皮投与は、ZnCl
2を含む製剤による腹部への投与であった。歴史的TDは、PBS緩衝液中のアバロパラチド製剤(ZnCl
2なし)を使用したが、組み合わされた全ての150μgTD試験を表している。
【
図25】選択された患者における経皮経路(腹部)により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイル対健常な閉経後の女性における歴史的皮下データである。TDは、Zn塩が添加されていないアバロパラチド製剤PBS緩衝液を使用した。
【
図26】骨粗しょう症を有する閉経後の女性における経皮送達またはSC注射を介してアバロパラチドで処置された対象の腰椎における、ベースラインからのパーセントBMD変化である。経皮送達は、PBS緩衝液(Zn塩なし)を含むアバロパラチド製剤を使用した。
【
図27】骨粗しょう症を有する閉経後の女性における経皮送達またはSC注射を介してアバロパラチドで処置された対象の全股関節における、ベースラインからのパーセントBMD変化である。経皮送達は、PBS緩衝液(Zn塩なし)を含むアバロパラチド製剤を使用した。
【
図28】骨粗しょう症を有する閉経後の女性における経皮送達を介してアバロパラチドで処置された対象の局所耐性データである。経皮送達は、PBS緩衝液(Zn塩なし)を含むアバロパラチド製剤を使用した。
【
図29】健常な閉経後の女性(菱形)における、PBSのみ(Zn塩なし)を含むアバロパラチド製剤を使用した経皮送達対皮下(四角)経路により投与されたアバロパラチドの製剤の薬物動態プロファイルである。SC投与と比較して、経皮送達における極めて迅速および拍動性の放出に留意されたい。
【
図30A】全て骨粗しょう症を有する閉経後の女性における、経皮および皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のPK/PD関係である。
図30A:経皮および皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の、C
max対BMD改善(%)である。
図30B:経皮および皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の、AUC対BMD改善(%)である。
【
図30B】全て骨粗しょう症を有する閉経後の女性における、経皮および皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤のPK/PD関係である。
図30A:経皮および皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の、C
max対BMD改善(%)である。
図30B:経皮および皮下経路により投与されたアバロパラチドの製剤の、AUC対BMD改善(%)である。
【
図31】sc組み合わせコホート(80μg)、第1世代経皮(200μgアバロパラチド+PBS緩衝液のみ)および第2世代経皮(200μgアバロパラチド+ZnCl
2)からのpK曲線の比較である。値は、幾何平均である。
【
図32】第2世代経皮(200μgアバロパラチド+ZnCl
2)で処置され、sc処置患者の参照セットと比較された、選択された個々の患者のpK曲線の比較である。値は、幾何平均である。
【
図33】PEG3350NFおよび100μgのアバロパラチドが配合されたパッチの、健常な閉経後の女性(N=12)の腹部への貼付後の濃度-時間グラフであり、血漿濃度時点は算術平均である。
【
図34】PEG3350NFおよび150μgのアバロパラチドが配合されたパッチの、健常な閉経後の女性(N=13)の腹部への貼付後の濃度-時間グラフであり、血漿濃度時点は算術平均である。
【
図35】PEG3350NFおよび200μgのアバロパラチドが配合されたパッチの、健常な閉経後の女性(N=14)の腹部への貼付後の濃度-時間グラフであり、血漿濃度時点は算術平均である。
【
図36】PEG3350NFおよびZnCl
2、ならびに100μgのアバロパラチドが配合されたパッチの、健常な閉経後の女性(N=8)の腹部への貼付後の濃度-時間グラフであり、血漿濃度時点は算術平均である。
【
図37】PEG3350NFおよびZnCl
2、ならびに150μgのアバロパラチドが配合されたパッチの、健常な閉経後の女性(N=7)の腹部への貼付後の濃度-時間グラフであり、血漿濃度時点は算術平均である。
【
図38】PEG3350NFおよびZnCl
2、ならびに200μgのアバロパラチドが配合されたパッチの、健常な閉経後の女性(N=8)の腹部への貼付後の濃度-時間グラフであり、血漿濃度時点は算術平均である。
【
図39】経皮投与は、サルにおいて、アバロパラチド製剤(Znなし)を有する異なる微小針長さを有するパッチを利用した。四角:皮下送達;三角:経皮送達(短微小針-250μm);菱形:経皮送達(通常微小針-500μm);および星型:経皮送達(長微小針-700μm)。
【
図40】サルにおける、配列番号1のPTHrP類似体の様々な製剤のCmax(ピーク血漿濃度(pg/mL))の比較である。
【
図41】経皮対皮下経路により投与された、配列番号1のPTHrP類似体の様々な製剤のAUC(曲線下面積)の比較である。
【
図42】皮下経路(SC)または経皮投与(TD)により投与されたアバロパラチド(ABL、配列番号1)の製剤の血漿濃度(pg/mL)の比較であり、経皮投与は、サルにおいて異なる経皮製剤を使用してコーティングされた経皮パッチを利用した。
【0014】
表1。アバロパラチド-SC処置の生物学的均等性のTD-A32データのモデリング。
【0015】
表2。アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、アバロパラチド200μg TD、アバロパラチド80μg SC、および歴史的150μg TDのPK結果。
【0016】
表3。アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、アバロパラチド200μg TD、アバロパラチド80μg SC、および歴史的150μg TDそれぞれの、UnoPen 80 μg SCとの比較。
【0017】
表4。アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、アバロパラチド200μg TD、およびアバロパラチド80μg SCそれぞれの、歴史的150μg TDとの比較。
【0018】
表5。第1の一般的なアバロパラチド製剤(PBSを含む)により作製された経皮パッチを使用したアバロパラチドの経皮送達の第2相試験の設計。
【0019】
表6。第1の一般的なアバロパラチド製剤(PBSあり)により作製された経皮パッチを使用したアバロパラチドの経皮送達(TD-50mcg、TD-100mcg、およびTD-150mcg)、ならびにアバロパラチドの皮下送達(SC-80mcg)の第2相試験のCmax、AUC、およびBMDの改善。
【発明を実施するための形態】
【0020】
アバロパラチドは、配列番号1に記載の配列を有する合成PTHrP類似体である。アバロパラチドは、減少した骨吸収、より少ないカルシウム動員能、および改善された室温安定性と共に、強力な同化活性を示した(Obaidi 2010)。動物において行われた試験では、アバロパラチドの投与後の顕著な骨同化活性と共に、卵巣摘出誘発性骨粗しょう症ラットおよびサルにおける骨量減少の完全な逆転が実証された(Doyle 2013a;Doyle 2013b;Hattersley 2013)。アバロパラチドは、骨減少(例えば、グルココルチコイド誘発性骨減少)、骨粗しょう症(例えばグルココルチコイド誘発性骨粗しょう症)、および/または変形性関節炎の処置のための有望な同化剤として開発された。
【0021】
80μgのアバロパラチドの皮下投与(本明細書において、以降「アバロパラチド-SC処置」と呼ばれる)は、プラセボに対して、新たな脊椎、非脊椎、大きな骨粗しょう症性および臨床的骨折の発生を著しく低減することが示されている。また、皮下アバロパラチド投与は、処置された対象の腰椎、全股関節、および大腿骨頸部における骨ミネラル濃度(BMD)および/または骨梁スコア(TBS)を改善することが示されている。ある特定の実施形態において、アバロパラチド-SC処置は、pH約4.5から5.6、または約5.1の酢酸緩衝液中のアバロパラチド(約2mg/mL)を含む水性製剤の皮下投与を含む。任意選択で、水性製剤は、フェノール(約5mg/mL)をさらに含む。これらの実施形態のある特定の例において、酢酸緩衝液は、酢酸で調整されたpH(例えば約4.5から約5.6、または約5.1)を有する三水和酢酸ナトリウム(約5mg/mL)を含む。
【0022】
アバロパラチドの経皮投与は、そのより低い侵襲性のため、皮下投与の魅力的な代替法である。しかしながら、経皮投与は、皮下投与と比較して異なるPKプロファイルを有し得る。経皮アバロパラチド投与および皮下アバロパラチド投与(80μg)のAUCは、処置の6ヶ月後に達成されるベースラインからのBMD変化と直線関係を有することが判明した(
図30B)。したがって、皮下アバロパラチド投与の好ましい骨同化プロファイルおよび経皮投与の利便性の両方から利益を得るために、皮下アバロパラチド投与と実質的に生物学的に均等である経皮アバロパラチド投与を開発することが望ましい。
【0023】
本明細書で開示されるように、予想外にも、アバロパラチドと、ZnCl2、PEG、およびヒスチジンからなる群から選択される1種以上の賦形剤とを含む調製製剤を用いて作製されたパッチを使用した経皮アバロパラチド投与は、サルモデルにおいて、皮下投与との実質的な生物学的均等性をもたらすことが判明した。さらに、予備臨床試験では、経皮製剤中のZnCl2が、非ZnCl2含有製剤と比較して拍動性を鈍らせ、曲線をsc曲線に類似させることが示されている。これは、アバロパラチドのsc用量との生物学的均等性を達成することにより、80μg sc投与に関して報告されているような卓越した骨折予防効果が示されるという点で、優れた業績である。
【0024】
これらの所見に基づき、本明細書において、PTHrP類似体調製製剤、これらの調製製剤を使用して作製された経皮パッチ、これらの調製製剤を含む経皮パッチ、これらのパッチを作製する方法、ならびに、PTHrP類似体を経皮様式で投与し、骨粗しょう症、骨減少、および変形性関節炎を処置し、BMDを改善し、TBSを改善し、また対象における骨折を処置、予防および低減するために、開示された調製製剤およびパッチを使用する方法が提供される。本明細書において提供される調製製剤、経皮パッチ、および方法のある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアバロパラチド、または配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む、もしくは本質的にそれからなるアバロパラチド誘導体である。本明細書において提供される調製製剤、経皮パッチ、および方法のある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、約20μgから約200μg、約40μgから約120μg、約60μgから約100μg、約70μgから約90μg、または約80μgの投薬量で、アバロパラチドの皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。本明細書において提供される調製製剤、経皮パッチ、および方法のある特定の実施形態において、PTHrPの経皮送達は、アバロパラチド-SC処置と実質的に生物学的に均等または生物学的に均等である。
【0025】
本明細書において使用される場合、活性薬剤の2つの処置は、曲線下面積(AUC)および/または活性薬剤のピーク血清濃度(C
max)の比の90%信頼区間が、完全に80~125%の範囲内に収まる場合、互いに生物学的に均等である。例えば、チャイニーズカニクイザルにおけるアバロパラチド-SC処置の生物学的均等性ウィンドウを示す
図1Aを参照されたい。血清アバロパラチド濃度は、C
maxのパーセンテージとして示される。
【0026】
本明細書において使用される場合、「実質的に」、「実質的」または「本質的に」という用語は、ほとんど完全に、または完全にを表す。特に、通常の生物学的均等性範囲は、参照製剤中の参照化合物のAUC(0-t,0-inf)およびCmaxの80%~125%(90%信頼区間(CI)における平均)以内の経皮送達用の特定の製剤中の化合物を意味する。いくつかの実施形態において、参照製剤は、本明細書に記載のように製剤化された80μgのアバロパラチドのSC送達である。ある特定の実施形態において、化合物、またはより具体的にはアバロパラチドの経皮送達は、実質的に生物学的に均等な範囲内に収まり、前記範囲は、参照製剤中の参照化合物のAUC(0-t,0-inf)およびCmaxの70%~136%、または65%~141%、または60%~147%、または50%~158%(90%信頼区間(CI)における平均)である。
【0027】
本明細書において使用される場合、「約」または「ほぼ」という用語は、±0~10%、または±0~5%の範囲、またはその用語の後の数字を意味する。
【0028】
本明細書において使用される場合、「経皮送達」という用語は、貫通後に大きな痛みを伴わずに皮内空間に接触する角質層を通した活性薬剤の送達を指す。角質層は神経を有しないため、神経を刺激することなく穿刺され得る。本明細書において、「経皮」および「皮内」という用語は、同義的に使用される。角質層は、主に死んだ皮膚細胞のいくつかの層で構成され、血管が形成されていない。したがって、角質層は、多くの場合、活性薬剤の経皮送達、特にペプチド等の荷電巨大分子に対して厄介な障壁となる。ほぼ血流への完全な進入を提供する皮下注射により送達される活性薬剤とは異なり、多くの因子(および障壁)が、経皮経路により送達される薬物の薬物動態に影響し得る。例えば、皮膚の適用部位、厚さ、完全性、および保水状態、適用部位の皮膚の下の脂肪組織の密度、薬物分子のサイズ、pH条件、ならびに経皮デバイスの膜の浸透性等が全て、経皮送達された薬物のバイオアベイラビリティに影響し得る。ある特定の実施形態において、経皮送達は、最大約700μm、または最大約600μm、または最大約500μm、または最大約400μm、または最大約300μm、または最大約250μm、または最大約150μmの深さまでの角質層を通した真皮内への皮膚の貫通を含む。いくつかの実施形態において、平均針貫通深度は、ほぼ800μm、または約700μm、または約600μm、または約500μm、または約400μm、または約300μm、または約250μm、または約150μmである。
【0029】
I.経皮送達用の調製製剤
本明細書のある特定の実施形態において、治療活性物質、例えば生物活性ペプチドの経皮送達用の調製製剤が提供され、生物活性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸、例えばPTHrP類似体(例えば、アバロパラチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる)を含有する。ある特定の実施形態において、経皮送達は、PTHrP類似体の皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす(例えば80μgで)。これらの製剤は、PTHrP類似体と、Zn2+の塩、Mg2+の塩、Ca2+の塩、ヒスチジンの塩、カルボン酸(例えば脂肪酸)の塩、NaCl、PEG、PVP、シクロデキストリン(CD、例えば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD))、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の賦形剤とを含む。ある特定の実施形態において、Zn2+の塩は、Zn(OAc)2、ZnCl2、Zn3(PO4)2、クエン酸亜鉛(クエン酸Zn)、シュウ酸亜鉛(シュウ酸Zn)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、Ca2+の塩は、ソルビン酸カルシウム(ソルビン酸Ca)、クエン酸カルシウム(クエン酸Ca)、アスコルビン酸カルシウム(アスコルビン酸Ca)、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、Ca(OAc)2およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、Mg2+の塩は、MgO、クエン酸マグネシウム(クエン酸Mg)、MgSO4、オロチン酸マグネシウム(オロチン酸Mg)、乳酸マグネシウム(乳酸Mg)、MgCO3、MgCl2、Mg(OAc)2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、本明細書に記載のようなMg2+、Zn2+および/またはCa2+の2種以上の塩が、経皮製剤を目的として互いに組み合わされる。ある特定の実施形態において、調製製剤は、注射用水、ブラインまたはPBSをさらに含む。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、アバロパラチドを含む、それからなる、または本質的にそれからなる。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、約20μgから約200μg、約40μgから約120μg、約60μgから約100μg、約70μgから約90μg、または約80μgの投薬量で、アバロパラチドの皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。ある特定の実施形態において、PTHrPの経皮送達は、アバロパラチド-SC処置と実質的に生物学的に均等または生物学的に均等である。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、調製製剤を使用して作製された、少なくとも1つの微小突起(例えば微小針)を備える経皮パッチにより送達される。
【0030】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、約3,000から約3,700、約2,000から約5,000、約3,00から約3,500、または約1,000から約6,000の分子量を有するPEGを含む。調製製剤の総量に対するPEGの重量濃度は、約0.01%から約50%、約5%から約50%、約5%から約45%、約5%から約40%、約5%から約35%、約5%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約10%から約50%、約10%から約45%、約10%から約40%、約10%から約35%、約10%から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約10%から約15%、約15%から約50%、約15%から約45%、約15%から約40%、約15%から約35%、約15%から約30%、約15%から約25%、約15%から約20%、約13%から約17%、約14%から約16%、または約14.9%である。
【0031】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、水およびZn2+塩(Zn塩、Znの塩、またはZn2+の塩とも呼ばれる)を含み、いくつかの実施形態において、前記コーティング製剤は、ZnCl2、またはZn(OAc)2、またはZn3(PO4)2、またはクエン酸Zn、またはシュウ酸Zn、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、調製製剤の総量に対する重量での調製製剤中のZn2+塩(例えばZnCl2)の濃度は、約0.01%から約30%、0.1%から約30%、0.3%から約30%、約0.5%から約30%、約0.8%から約30%、約1%から約30%、約1.5%から約30%、約2%から約30%、約5%から約30%、10%から約30%、15%から約30%、約20%から約30%、約25%から約30%、約0.01%から約20%、0.1%から約20%、0.3%から約20%、約0.5%から約20%、約0.8%から約20%、約1%から約20%、約1.5%から約20%、約2%から約20%、約5%から約20%、10%から約20%、15%から約20%、約0.01%から約10%、0.1%から約10%、0.3%から約10%、約0.5%から約10%、約0.8%から約10%、約1%から約10%、約1.5%から約10%、約2%から約10%、約5%から約10%、約0.01%から約5%、0.1%から約5%、0.3%から約5%、約0.5%から約5%、約0.8%から約5%、約1%から約5%、約1.5%から約5%、約2%から約5%、約0.01%から約3%、0.1%から約3%、0.3%から約3%、約0.5%から約3%、約0.8%から約3%、約1%から約3%、約1.5%から約3%、約2%から約3%、約0.01%から約30%、0.1%から約30%、0.3%から約30%、約0.5%から約30%、約0.8%から約2%、約1%から約2%、約1.5%から約2%、約0.01%から約1%、0.1%から約1%、0.3%から約1%、約0.5%から約1%、約0.8%から約1%、または約0.8%である。ある特定の実施形態において、記載された範囲のコーティング製剤は、Ca2+塩を含み、前記Ca2+塩は、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、Ca(OAc)2またはそれらの組み合わせを含み得る。Ca2+塩はまた、Ca塩、Caの塩、またはCa2+の塩とも呼ばれる。いくつかの実施形態において、コーティング溶液は、Mg2+塩を含み、前記Mg2+塩は、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、MgCl2、Mg(OAc)2、またはそれらの組み合わせを含み得る。Mg2+塩はまた、Mg塩、Mgの塩、またはMg2+の塩とも呼ばれる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、すぐに包装および使用可能な製剤化パッチ(最初のコーティング溶液が乾燥されて水が除去されている)が提供され、前記製剤化パッチは、Zn2+塩を含む。ある特定の実施形態において、Zn2+塩はZn(OAc)2であり、いくつかの実施形態において、Zn2+塩はZnCl2であり、ある特定の実施形態において、それはZn3(PO4)2であり、いくつかの実施形態において、それはクエン酸Znであり、ある特定の実施形態において、それはシュウ酸Znであり、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、製剤化パッチは、1回または複数回のコーティングの反復でコーティング溶液でコーティングし、極めて一定の重量まで前記パッチを乾燥する、または前記パッチを乾燥させ、次いで前記パッチを塩の重量パーセントとして特性決定することにより作製されるが、金属はその対イオンを含む。ある特定の実施形態において、乾燥されすぐに使用可能なコーティングされたパッチは、1.0から20重量%のZn塩を含む。ある特定の実施形態において、前記コーティングされたパッチは、1.5重量%から15重量%のZn塩を含む。いくつかの実施形態において、コーティングおよび乾燥されたパッチは、1.5重量%から10重量%、もしくは1.8重量%~8.5重量%、もしくは1.9重量%から5.9重量%、もしくは約1.9重量%から8.5重量%、もしくは約2.0重量%から約8重量%、もしくは5重量%から8重量%のZn塩を含み、または1.7重量%から2.25重量%の間、もしくは5から7重量%の間、もしくは約5.8重量%、もしくは約1.9重量%である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、すぐに包装および使用可能な製剤化パッチ(最初のコーティング溶液が乾燥されて水が除去されている)が提供され、前記製剤化パッチは、Ca2+塩を含む。いくつかの実施形態において、Ca2+塩は、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、Ca(OAc)2またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、製剤化パッチは、1回または複数回のコーティングの反復でコーティング溶液でコーティングし、極めて一定の重量まで前記パッチを乾燥する、または前記パッチを乾燥させ、次いで前記パッチを塩の重量パーセントとして特性決定することにより作製されるが、金属はその対イオンを含む。ある特定の実施形態において、乾燥されすぐに使用可能なコーティングされたパッチは、1.0から20重量%のCa塩を含む。ある特定の実施形態において、前記コーティングされたパッチは、1.5重量%から15重量%のCa塩を含む。いくつかの実施形態において、コーティングおよび乾燥されたパッチは、1.5重量%から10重量%、または1.8重量%~8.5重量%、または1.9重量%から5.9重量%、または約1.9重量%から8.5重量%、または約2.0重量%から約8重量%、または5重量%から8重量%のCa塩を含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、すぐに包装および使用可能な製剤化パッチ(最初のコーティング溶液が乾燥されて水が除去されている)が提供され、前記製剤化パッチは、Mg2+塩を含む。いくつかの実施形態において、Mg2+塩は、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、MgCl2、Mg(OAc)2、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、製剤化パッチは、1回または複数回のコーティングの反復でコーティング溶液でコーティングし、極めて一定の重量まで前記パッチを乾燥する、または前記パッチを乾燥させ、次いで前記パッチを塩の重量パーセントとして特性決定することにより作製されるが、金属はその対イオンを含む。ある特定の実施形態において、乾燥されすぐに使用可能なコーティングされたパッチは、0.5から15重量%のMg塩を含む。ある特定の実施形態において、前記コーティングされたパッチは、1.0重量%から10重量%のMg塩を含む。いくつかの実施形態において、コーティングおよび乾燥されたパッチは、1.5重量%から10重量%、または1.8重量%~8.5重量%、または1.9重量%から5.9重量%、または約1.9重量%から8.5重量%、または約2.0重量%から約8重量%、または5重量%から8重量%のMg塩を含む。
【0035】
ある特定の実施形態において、製剤化パッチは、すぐ上に記載されたZn
2+、Ca
2+および/またはMg
2+塩の2種以上を含む。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0036】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、ヒスチジン(例えば一塩酸塩一水和物)を含む。ヒスチジンの濃度(調製製剤の総量に対する重量で)は、約1%から約15%、約1%から約10%、約1%から約5%、約3%から約15%、約3%から約10%、約3%から約5%、約5%から約15%、約5%から約10%、約3%、約5%、または約10%である。
【0037】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、PEG、ZnCl2、およびヒスチジンからなる群から選択される2種または3種の賦形剤を含み、各賦形剤の濃度は、本明細書で開示されるものと同じである。
【0038】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、PEG、ZnCl2、およびヒスチジンからなる群から選択される2種の賦形剤、例えばPEGおよびZnCl2、ヒスチジンおよびPEGの組み合わせ、ならびにヒスチジンおよびZnCl2の組み合わせを含む。
【0039】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、PEG、ZnCl2、およびヒスチジンの組み合わせを含む。
【0040】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、約5重量%から約15重量%、約12.5重量%から約20重量%、約15重量%から約60重量%、約40重量%から約48重量%、約43重量%から約48重量%、約40重量%から約46重量%、約40重量%から約52重量%、約46重量%から約48重量%、約46重量%から約52重量%、約50重量%から約62重量%、約52重量%から約60重量%、または約54重量%から約58重量%の濃度のPTHrP類似体を含む。
【0041】
ある特定の実施形態において、調製製剤は、約500センチポアズ超、約550センチポアズ超、約600センチポアズ超、約700センチポアズ超、約800センチポアズ超、約900センチポアズ超、約1,000センチポアズ超、約1,500センチポアズ超、約2,000センチポアズ超、約10,000センチポアズ、約500から約5,000センチポアズ、約500から約2,000センチポアズ、または約500から約1,000センチポアズ、約550から約5,000センチポアズ、約550から約2,000センチポアズ、または約550から約1,000センチポアズの25℃における粘度を有する。
【0042】
ある特定の実施形態において、本明細書で開示される調製製剤は、生物活性ペプチドまたはタンパク質をさらに含む。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される調製製剤は、抗体を含む。
【0043】
ある特定の実施形態において、本明細書で開示さえる調製製剤は、ZnCl2、Zn(OAc)2、Zn3(PO4)2、クエン酸Zn、シュウ酸Zn、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、およびCa(OAc)2からなる群から選択される賦形剤をさらに含む。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される調製製剤は、ZnCl2、Zn(OAc)2およびそれらの組み合わせから選択される賦形剤を含む。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される調製製剤は、約0.1から約2.0、約0.2から約1.5、または約0.25から約1.0の範囲から選択される、治療活性物質に対する賦形剤(複数種可)のモル比を有する。
【0044】
II.経皮パッチ
本明細書のある特定の実施形態において、本明細書で開示されるようなPTHrP類似体の調製製剤を使用して作製された、1つ以上の微小突起を備えるPTHrP類似体の投与用の経皮パッチが提供され、パッチを使用したPTHrP類似体の経皮送達は、PTHrPの皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、アバロパラチドを含む、それからなる、または本質的にそれからなる。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、約20μgから約250μg、約20μgから約200μg、約40μgから約120μg、約60μgから約100μg、約70μgから約90μg、約80μg、約100μg、約150μg、または約200μgの投薬量で、アバロパラチドの皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、アバロパラチド-SC処置との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。
【0045】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される経皮パッチは、本明細書において提供されるようなPTHrP類似体の受動拡散用に設計される。他の実施形態において、経皮パッチは、外部エネルギー源を使用したPTHrP類似体の能動的送達用に設計される。
【0046】
ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の調製製剤は、経皮パッチ上の1つ以上の微小突起を作製するために使用され、PTHrP類似体を含む経皮パッチが得られる。例えば、経皮パッチ上の1つ以上の微小突起の少なくとも一部は、PTHrP類似体を含む。ある特定の実施形態において、経皮パッチ上の1つ以上の微小突起の少なくとも一部は、PEG、ZnCl2およびヒスチジンからなる群から選択される1種以上の賦形剤をさらに含む。
【0047】
ある特定の実施形態において、パッチ当たりの各賦形剤の量は、約1μgから約300μg、約10μgから約300μg、約100μgから約300μg、約200μgから約300μg、約1μgから約200μg、約10μgから約200μg、約100μgから約200μg、約150μgから約200μg、約1μgから約150μg、約10μgから約150μg、約100μgから約150μg、約1μgから約100μg、約10μgから約100μg、約50μgから約100μg、約1μgから約50μg、約10μgから約50μg、約20μgから約50μg、約1μgから約20μg、約10μgから約20μg、約15μgから約20μg、約1μg、約5μg、約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約130μg、約140μg、約150μg、約160μg、約170μg、約180μg、約190μg、約200μg、約210μg、約220μg、約230μg、約240μg、約250μg、約260μg、約270μg、約280μg、約290μg、または約300μgである。
【0048】
ある特定の実施形態において、パッチ当たりのPTHrP類似体(例えばアバロパラチド)の量は、1μgから約300μg、約10μgから約300μg、約100μgから約300μg、約200μgから約300μg、約1μgから約200μg、約10μgから約200μg、約50μgから約200μg、約80μgから約200μg、約100μgから約200μg、約150μgから約200μg、約1μgから約150μg、約10μgから約150μg、約50μgから約150μg、約80μgから約150μg、約100μgから約150μg、約1μgから約100μg、約10μgから約100μg、約50μgから約100μg、約1μgから約50μg、約10μgから約50μg、約20μgから約50μg、約1μgから約20μg、約10μgから約20μg、約15μgから約20μg、約1μg、約5μg、約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約130μg、約140μg、約150μg、約160μg、約170μg、約180μg、約190μg、約200μg、約210μg、約220μg、約230μg、約240μg、約250μg、約260μg、約270μg、約280μg、約290μg、または約300μgである。
【0049】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される経皮パッチは、複数のこれらの微小突起を備える。「微小突起」という用語は、本明細書において使用される場合、皮膚の角質層を穿刺することができる経皮パッチ上の任意の形状またはサイズの穿刺要素を指す。これらの小さい穿刺要素は、様々な材料、形状および寸法を有し得る。ある特定の実施形態において、開示される経皮パッチの微小突起の1つ以上は、微小針である。「微小針」という用語は、本明細書において使用される場合、基部および先端を備える微小突起を指し、先端は、基部より小さい直径、幅、外周または周長を有する。1つ以上の微小針を備える経皮パッチはまた、「経皮微小針パッチ」または「微小針経皮パッチ」とも呼ばれ得る。
【0050】
本明細書において提供される経皮パッチにおける微小針は、当技術分野において一般的に使用される任意のサイズ、形状、または設計を有し得る。ある特定の実施形態において、微小針は、基部においてその最大の直径、幅、外周または周長を有する。ある特定の実施形態において、微小針はテーパ型設計を有し、すなわち、微小針は、基部から先端まで、その長さにわたり比較的一定に狭まる形態を反映する。ある特定の実施形態において、微小針の先端における直径、幅、外周、または周長に対する、微小針の基部における直径、幅、外周、または周長の比は、2超である。他の実施形態において、比は、4超、または6超である。ある特定の実施形態において、微小針は、先端よりも基部においてより幅広い、軸周りの略円形の外周を有する。ある特定の実施形態において、微小針は、頂部に向けてテーパするほぼ長方形の基部を有するピラミッド形状であり、前記頂部は、ほぼ長方形である。ある特定の実施形態において、微小針は、頂部に向けてテーパする正方形の基部を有するピラミッド形状であり、前記頂部は、ほぼ正方形である。ある特定の実施形態において、微小針は、長方形または正方形の基部を有するピラミッド形状、および頂部が長方形または正方形として容易に特徴付けられない形状である。
【0051】
微小突起は、様々な長さ、例えば約30μmから約1,500μm、約50μmから約1,500μm、約100μmから約1,500μm、約250μmから約1,500μm、約500μmから約1,500μm、約600μmから約1,500μm、約750μmから約1,500μm、約800μmから約1,500μm、約1,000μmから約1,500μm、約30μmから約1,00μm、約50μmから約1,500μm、約30μmから約1,000μm、約50μmから約1,000μm、約750μmから約1,200μm、約800μmから約1,200μm、約100μmから約1,000μm、約250μmから約1,000μm、約500μmから約1,000μm、約600μmから約1,000μm、約750μmから約1,000μm、約800μmから約1,000μm、約30μmから約750μm、約50μmから約750μm、約100μmから約750μm、約250μmから約750μm、約500μmから約750μm、約600μmから約750μm、約600μmから約800μm、約30μmから約600μm、約50μmから約600μm、約100μmから約600μm、約250μmから約600μm、約500μmから約600μm、約30μmから約500μm、約50μmから約500μm、約100μmから約500μm、約250μmから約500μm、約30μmから約250μm、約50μmから約250μm、約100μmから約250μm、約30μm、約50μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約500μm、約750μm、または約1,500μmの長さを有してもよい。
【0052】
本明細書において提供される経皮パッチ上の微小突起は、所望の曲げ弾性率を達成するために、例えば炭素、ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む任意の好適な材料から作製され得る。いくつかの実施形態において、微小突起は、1,000MPa超、2,000MPa超、3,000MPa超、または3,000MPaから15,000MPaの間の曲げ弾性率を有する。本明細書において使用される場合、「ISO178」は、プラスチックの曲げ特性の決定のためのISO試験基準を指す。
【0053】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される経皮パッチは、微小突起が配列される第1の裏打ち層を備える。これらの実施形態において、微小突起は、第1の裏打ち層に貼られる、またはそれと統合され得る。ある特定の実施形態において、微小突起は、第1の裏打ち層と同じ材料から作製される。例えば、微小突起は、第1の裏打ち層からのエッチングまたは打ち抜きにより形成されてもよい。ある特定の実施形態において、微小突起は、射出成形プロセスにより作製される。他の実施形態において、微小突起は、第1の裏打ち層とは異なる材料で作製されてもよい。ある特定の実施形態において、微小突起は、接着剤により第1の裏打ち層に貼られる。ある特定のこれらの実施形態にいて、微小突起は、第1の裏打ち層および/または第2の裏打ち層から取り外し可能である。
【0054】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される経皮パッチは、第1の裏打ち層が貼られる第2の裏打ち層をさらに備える。第2の裏打ち層は、可撓性または非可撓性であってもよい。
【0055】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される経皮パッチは、PTHrP類似体の経皮投与の前および/またはその間に対象の皮膚上の所定位置にパッチが留まるのを促進するために、接着材料を備える。ある特定のこれらの実施形態において、接着材料は、第1および/または第2の裏打ち層上に備えられる。
【0056】
本明細書において開示される経皮パッチのある特定の実施形態において、1つ以上の微小突起の縦軸は、第1および/第2の裏打ち層から少なくとも45度または少なくとも60度の角度で延在する。いくつかの実施形態において、微小突起は、第1および/または第2の裏打ち層に対して垂直である。
【0057】
本明細書において提供される経皮パッチのある特定の実施形態において、パッチは、1cm2当たり約20から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約50から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約100から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約250から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約500から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約750から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約1,000から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約1,500から約2,000個の微小突起、1cm2当たり約300から約500個の微小突起の微小突起密度を有する。ある特定の実施形態において、パッチは、約50から約4,000個の微小突起、約100から約4,000個の微小突起、約250から約4,000個の微小突起を備え、パッチは、約1,400から約4,000個の微小突起、約1,600から約4,000個の微小突起、約2,000から約4,000個の微小突起、約3,000から約4,000個の微小突起、約3,500から約4,000個の微小突起を備え、パッチは、約50から約3,500個の微小突起、約100から約3,500個の微小突起、約250から約3,500個の微小突起、約1,400から約3,500個の微小突起、約1,600から約3,500個の微小突起、約2,000から約3,500個の微小突起、約3,000から約3,500個の微小突起、約50から約3,000個の微小突起、約100から約3,000個の微小突起、約250から約3,000個の微小突起、約1,400から約3,000個の微小突起、約1,600から約3,000個の微小突起、約2,000から約3,000個の微小突起、約50から約600個の微小突起、約100から約500個の微小突起、約250から約400個の微小突起、約300から約375個の微小突起、約300から約750個の微小突起、約366個の微小突起、約316個の微小突起、または約320個の微小突起を備える。
【0058】
ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮パッチは、PTHrP類似体で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つの微小突起を備える(本明細書において、以降「コーティングされた微小突起」と呼ばれる)。
【0059】
「コーティングされた」という用語は、本明細書において個々の微小突起に関連して使用される場合、微小突起がその表面の少なくとも一部上にPTHrP類似体を含むことを意味する。ある特定の実施形態において、微小突起は、その全表面積の約1%から約100%、1%から約80%、約1%から約50%、約2%から約40%、約5%から約35%、10%から約30%、15%から約20%、または約30%から約50%にPTHrP類似体組成物を備える。ある特定の実施形態において、微小突起は、微小突起の最上部の約30%から約50%にPTHrP類似体組成物を含む(本明細書において使用される場合、「最上部」は、皮膚に接触する微小突起の端部を意味する)。
【0060】
「コーティングされた」という用語は、本明細書において複数の微小突起に関連して使用される場合、その複数のうちの2つ以上の微小突起が、この用語が個々の微小突起に関連して上で使用されたようにコーティングされていることを意味する。ある特定の実施形態において、複数の微小突起のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、または90%超の微小突起がコーティングされている。ある特定の実施形態において、複数の微小突起における全微小突起表面積の約1%から約100%、1%から約80%、約1%から約50%、約2%から約40%、約5%から約35%、10%から約30%、15%から約20%、または約30%から約50%がコーティングされている。「微小突起表面積」は、本明細書において使用される場合、単一の経皮パッチ上の全ての微小突起の組み合わされた表面積を指す。
【0061】
ある特定の実施形態において、1つ以上のコーティングされた微小突起を備える経皮パッチは、第1の裏打ち層のその表面の少なくとも一部上にPTHrP類似体組成物をさらに備えてもよい。例えば、経皮パッチは、第1の裏打ち層のその全表面積の約1%から約100%、1%から約80%、約1%から約50%、約2%から約40%、約5%から約35%、10%から約30%、15%から約20%、または約30%から約50%超にPTHrP類似体組成物を備える。
【0062】
ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮パッチは、第1の裏打ち層に概して平行(例えば、少なくとも約80%平行、少なくとも約90%平行、または少なくとも約95%平行)に配置された複数の層を備える少なくとも1つの微小突起を備え、複数の層の少なくとも1つの層は、PTHrP類似体(本明細書において、以降「活性薬剤層」と呼ばれる)を備える(本明細書において、以降「層状微小突起」と呼ばれる)。
【0063】
ある特定の実施形態において、少なくとも1つの層状微小突起を備える経皮パッチの第1の裏打ち層は、活性薬剤層をさらに備える。ある特定の実施形態において、活性薬剤層は、経皮送達のために角質層を貫通し得る微小突起の先端を形成する。微小突起の先端は、微小突起の形状に関して上記で開示された任意の形状をとり得る(例えば、ピラミッド、正方形、長方形等)。
【0064】
他の実施形態において、本明細書において提供される微小突起は、対象に適用されると皮膚と流体連通する貯蔵部を備える。貯蔵部には、投与されるPTHrP類似体が充填される。貯蔵部は、適用されると皮膚と流体連通する微小突起、例えば中空部分を含む微小突起の内部空間であってもよい。ある特定の実施形態において、中空部分は、側方開口部を有してもよい。
【0065】
ある特定の実施形態において、本明細書で開示される経皮パッチは、複数の微小突起を備え、アレイ内の少なくとも1つの微小突起(例えば微小針)は、少なくとも部分的にコーティングにより被覆され、前記コーティングは、治療活性物質と、Zn2+塩、Mg2+塩、Ca2+塩、ポリエチレングリコールおよびヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリンからなる群から選択される1種以上の賦形剤とを含む。ある特定の実施形態において、治療活性物質は、生物活性ペプチドまたはタンパク質を含む。ある特定の実施形態において、治療活性物質は、抗体を含む。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される経皮パッチは、生物活性ペプチドまたはタンパク質、例えば、配列番号1に記載のようなアバロパラチド等の少なくとも10個のアミノ酸を含有する生物活性ペプチドを含む。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される経皮パッチが有する1種または複数種の賦形剤は、ZnCl2、Zn(OAc)2、Zn3(PO4)2、クエン酸Zn、シュウ酸Zn、MgO、クエン酸Mg、MgSO4、オロチン酸Mg、乳酸Mg、MgCO3、ソルビン酸Ca、クエン酸Ca、アスコルビン酸Ca、Ca3(PO4)2、CaCl2、CaCO3、CaSO4、およびCa(OAc)2からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される経皮パッチが有する1種以上の賦形剤は、ZnCl2およびZn(OAc)2、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される経皮パッチは、約0.1から約2.0、約0.2から約1.5、または約0.25から約1.0の範囲から選択される、治療活性物質に対する賦形剤(複数種可)のモル比を有する。ある特定の実施形態において、本明細書で開示される経皮パッチは、90~110μg、140~160μg、185~220μg、225~275μgの間、または約100μg、約150μg、約200μgもしくは約250μgの量のアバロパラチドを有する。
【0066】
経皮パッチはまた、米国特許出願第14/361,787号、同第14/361,802号、同第13/452,412号、同第13/791,170号、同第13/791,360号において開示されているように調製されてもく、これらは参照することにより図面を含めてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0067】
III.経皮パッチを作製する方法
本明細書のある特定の実施形態において、本明細書で開示されるようなPTHrP類似体の投与用の経皮パッチを作製する方法であって、本明細書で開示される調製製剤を有する経皮パッチ上に少なくとも1つの微小突起を作製することを含む方法が提供される。ある特定の実施形態において、微小突起は、微小針である。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、アバロパラチドを含む、それからなる、または本質的にそれからなる。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、約20μgから約200μg、約40μgから約120μg、約60μgから約100μg、約70μgから約90μg、または約80μgの投薬量で、アバロパラチドの皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、アバロパラチド-SC処置との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。
【0068】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される作製方法は、ブランク(すなわち以前にPTHrP類似体を含まない)経皮パッチ上の1つ以上の微小突起を本明細書において提供される調製製剤と接触させることを含む。ある特定のこれらの実施形態において、微小突起は、ブランク経皮パッチを調製製剤中に浸漬し、次いでパッチを取り出して乾燥させることにより、調製製剤でコーティングされる。
【0069】
ある特定のこれらの実施形態において、微小突起は、層状微小突起であり、層を第1および/または第2の裏打ち層上にキャストまたは堆積させ、次いでパッチを取り出して乾燥させることにより作製される。
【0070】
ある特定の実施形態において、例えば循環空気流、乾燥剤、真空、および/または熱を含む加速された乾燥条件が経皮パッチに適用される。
【0071】
ある特定の実施形態において、対象に経皮パッチを適用することによるPTHrP類似体の経皮送達は、PTHrP類似体の皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。
【0072】
IV.処置方法
本明細書のある特定の実施形態において、対象における骨粗しょう症、骨減少、および変形性関節炎を処置するため、骨ミネラル濃度(BMD)を改善するため、骨梁スコア(TBS)を改善するため、ならびに/または骨折を処置、予防、および/もしくは低減する方法であって、本明細書において提供される調製製剤に含まれる、治療有効量のPTHrP類似体を経皮投与することを含む方法が提供される。ある特定の実施形態において、経皮投与は、本明細書において提供されるような経皮パッチを使用することにより達成され、パッチは、本明細書において提供される調製製剤を使用して作製された少なくとも1つの微小突起を備える。処置、予防または低減されている骨折、ならびに/または改善されたBMDおよび/もしくはTBSを有する骨は、脊椎または非脊椎、臨床的および大きな骨粗しょう症性骨折であってもよい。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、アバロパラチドを含む、それからなる、または本質的にそれからなる。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、約20μgから約200μg、約40μgから約120μg、約60μgから約100μg、約70μgから約90μg、または約80μgの投薬量で、アバロパラチドの皮下送達との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、アバロパラチド-SC処置との実質的な生物学的均等性または生物学的均等性をもたらす。
【0073】
「対象」という用語は、本明細書において使用される場合、哺乳動物対象を指す。好適な対象の例は、限定されないが、骨減少、グルココルチコイド誘発性骨減少、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症、変形性関節炎、骨折、および高い皮質空隙率からなる群から選択される1つ以上の状態に罹患した対象(例えば、糖尿病、特にII型糖尿病に罹患した対象)、雌の哺乳動物、雄の哺乳動物、イヌ、ネコ、ヒト、男性、女性、骨粗しょう症に罹患した女性、閉経後の女性、骨粗しょう症に罹患した閉経後の女性、高い皮質空隙率を有する哺乳動物、ならびに高い皮質空隙率を有する男性および女性を含む。
【0074】
本明細書において使用される場合、「皮質空隙率」は、骨に占有されていない皮質骨容積の割合を意味する。皮質空隙率は、外側領域から出発して再帰(上昇)アルゴリズムを使用して皮質骨領域内の局所的強度最小値(「穴」)の推定を提供するために、デジタルX線ラジオグラメトリー(DXR)または他の方法により測定され得る(Dhainaut 2013)。組み合わされた空隙率測定値は、関連した骨にわたり平均化することにより全体の皮質面積に対する皮質部分において見られた穴の面積パーセントから得られ、投影面積よりも体積比率を反映させるように縮尺される。「高い皮質空隙率」は、対照と同じ年齢群からの健常対象の空隙率より約10%高い、約15%高い、約20%高い、約50%高い、約100%高い、または約150%高い空隙率を意味する。例えば、対象は、約0.01256の皮質空隙率を有してもよく、対照群は、約0.01093の皮質空隙率を有する(Dhainaut 2013)。II型糖尿病に罹患した対象は、対照の2倍までの皮質空隙率を有し得る(Oei 2013)。対象は、高い皮質空隙率を有する一方で、正常なBMDまたは若干低いBMDを有し得る。
【0075】
「治療有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、特定の処置の状況において必要とされ得るような、必要な、または所望の治療および/または予防反応を惹起するのに十分である、本明細書において提供されるようなPTHrP製剤の量を指す。PTHrP類似体の治療有効量の例は、これらに限定されないが、20μg、40μg、60μg、80μg、100μg、120μg、140μg、160μg、180μg、200μg、220μg、240μg、260μg、280μg、または300μgを含む。PTHrP類似体の治療有効量の他の例は、限定されないが、1μg/kgから50μg/kg、5μg/kgから50μg/kg、1μg/kgから40μg/kg、1μg/kgから30μg/kg、1μg/kgから20μg/kg、1μg/kgから10μg/kg、1μg/kgから5μg/kg、5μg/kgから40μg/kg、5μg/kgから30μg/kg、5μg/kgから20μg/kg、5μg/kgから10μg/kg、10μg/kgから50μg/kg、10μg/kgから40μg/kg、10μg/kgから30μg/kg、10μg/kgから20μg/kg、10μg/kgから15μg/kg、20μg/kgから50μg/kg、20μg/kgから40μg/kg、または20μg/kgから30μg/kg(対象の体重)の間を含み得る。
【0076】
PTHrP類似体の経皮送達後に改善されたBMDおよび/またはTBSを示し得る骨の例は、限定されないが、対象における腰椎、全股関節、手首、大腿、大腿の皮質骨(大腿骨幹)、および/または大腿骨頸部を含む。
【0077】
PTHrP類似体の経皮送達は、治療有効性に必要な任意の処置間隔で施すことができる。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、毎日施される。他の実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、週1回、または月1回もしくは2回投与され得る。当業者には、処置間隔が処置の間に変動し得ることが理解される。例えば、PTHrP類似体の経皮送達は、処置の開始時により頻繁に施され、次いで1つ以上の治療基準が達成されるにつれて経時的に低頻度となってもよい。代替として、PTHrP類似体の経皮送達は、処置の開始時により低頻度で施され、経時的に処置間隔が減少されてもよい。
【0078】
本明細書において提供される方法のそれらの実施形態において、PTHrP類似体の経皮送達は、本明細書において提供される経皮パッチを使用して施される。経皮パッチは、満足のいく類似体送達を達成するために必要な任意の期間、皮膚と接触して設置され得る。ある特定の実施形態において、経皮パッチは、約1秒から約30秒、約1秒から約1分、約15秒から約30秒、約15秒から約1分、約30秒から約1分、約1分から約5分、約5分から約10分、約10分から約15分、約15分から約20分、約20分から約25分、約25分から約30分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも40分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、少なくとも60分、少なくとも75分、少なくとも90分、または少なくとも120分の間、皮膚と接触したままであってもよい。ある特定の実施形態において、所望の接触期間を達成するために、2つ以上の経皮パッチが逐次的に皮膚に接触して設置されてもよい。ある特定の実施形態において、2つ以上の経皮パッチが同時に適用されてもよい。
【0079】
本明細書において提供される方法のある特定の実施形態において、事前に決定された設定期間処置が行われる。他の実施形態において、処置は、1つ以上の治療基準に達するまで行われる。処置の好適な時間枠の例は、限定されないが、6週間、12週間、3ヶ月、24週間、6ヶ月、48週間、12ヶ月、18ヶ月、および24ヶ月を含む。ある特定の実施形態において、処置は、18ヶ月の間、経皮パッチの1日1回の貼付により行われる。
【0080】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるように経皮送達によりPTHrP類似体を投与された対象は、同じ薬剤の皮内投与により達成されたCmaxの約80%から約125%のCmaxを達成する。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、アバロパラチドを含む、それからなる、または本質的にそれからなり、PTHrP類似体の経皮送達は、アバロパラチド-SC処置により達成されるCmaxの約80%から約125%のCmaxを達成する。
【0081】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるように経皮送達によりPTHrP類似体を投与された対象は、対応する製剤の皮下投与により達成されるAUCの約80%から約125%のAUCを達成する。ある特定の実施形態において、PTHrP類似体は、アバロパラチドを含む、それからなる、または本質的にそれからなり、PTHrP類似体の経皮送達は、アバロパラチド-SC処置により達成されるAUCの約80%から約125%のAUCを達成する。
【0082】
ある特定の実施形態において、PTHrP類似体製剤は、例えばアレンドロン酸塩治療を含む1つ以上の追加的な骨粗しょう症治療と組み合わせて投与される。これらの実施形態において、追加的な骨粗しょう症治療は、PTHrP類似体製剤による処置の前、その間、またはその後に投与され得る。
【0083】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、前記貼付は、患者の角質層に微小突起の1つ以上を突き通すのに十分な力を経皮パッチに印加することを含む。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、貼付部位は、腹部または大腿部である。
【0084】
以下の実施例は、請求される発明をより良く例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特定の材料が言及される場合、それは単に例示を目的としており、本発明を限定することを意図しない。当業者は、発明の能力を行使することなく、また本発明の範囲から逸脱することなく、均等の手段または反応物質を開発することができる。本発明の境界内であることを維持しながら、本明細書に記載の手順に多くの変更を行うことができることが理解される。本発明者は、そのような変更が本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【実施例】
【0085】
実施例1:非ヒト霊長類における、PEGまたはZnCl2を含む調製製剤を使用して作製された経皮パッチにより送達されたアバロパラチドの薬物動態学
すぐに使用可能な様々なアバロパラチド製剤でコーティングされた微小針経皮パッチを提供し、2~8℃で冷蔵保存した。使用の少なくとも1時間前に、個々のパウチ内の経皮パッチを室温に置いた。
【0086】
8匹の雌非ナイーブチャイニーズカニクイザル(投薬時2~4kg)を試験に含めた。各製剤を試験するために同じ8匹の動物を使用し、試験間に3日間のウォッシュアウト期間を設けた。各動物に、体重に関して補正せずにアバロパラチドの固定用量を与えた。
【0087】
各経皮パッチ適用の24時間前に、皮膚を準備した。背側脇腹の小さいエリア(5×5cm)を、小型の家畜用バリカンで毛を丸刈りすることで準備した。丸刈り手順の間、皮膚の擦過を回避するように注意した。皮膚炎のない側が確実に用量投与に使用されるように、両側の背側脇腹(大腿部)を各投与用に準備した。パッチ適用の15分前に、アルコール消毒綿で皮膚を拭いた。適用前に、確実にパスのカラーがアプリケータにしっかりと取り付けられ、また経皮パッチが投与のために脚の上にしっかりと据え付けられるように特に注意した。
【0088】
1日目の前に、動物の体重を記録した。1日目の投薬前に、全血1ml当たり15μL(の2.5mgタンパク質/mL/アプロチニン溶液)を含有するK3EDTA/アプロチニン管内に、末梢血管からの全血1.5mLを採取した。
【0089】
経皮パッチを、設置後15分間所定位置に保持した。投薬後の観察を可能にするために、投与部位の周りに線を引いた。Draize採点システムを使用して、1日目の投薬前、ならびに投薬から1時間および24時間後に、各投薬部位を採点した。パッチ除去後、残留物含量に関して経皮パッチを分析した。
【0090】
パッチ適用から5、10、20、30、60、および90分後に、全血1ml当たり15μL(の2.5mgタンパク質/mL/アプロチニン溶液)を含有するK3EDTA/アプロチニン管に、末梢血管からの全血1.5mLを採取した。スケジュールされた採取時間の±5%以内で全血試料を採取し、実際の採取時間を記録した。処理するまで湿潤した氷上で試料を維持した。各試験血液回収時点で動物を観察した。いかなる異常も例外により記録し、すぐに報告した。
【0091】
全血試料を血漿に処理した。血液を冷却遠心分離機内で10±2分間遠心分離した。血漿試料を2つのほぼ等しいアリコート(アリコート1およびアリコート2)に移した。試料を-70℃±10℃で冷凍した。
【0092】
アバロパラチド濃度をLC-MS/MSにより分析した。アバロパラチド血清濃度を、
図1A~1Bおよび
図2においてC
maxのパーセンテージとして示した。
【0093】
アバロパラチド-SC処置の生物学的均等性「ウィンドウ」は、アバロパラチド-SC処置後の時間に対するアバロパラチドの80%~125%血清濃度を特定することにより確立された(
図1A)。アバロパラチド-SC処置は、80μg用量のアバロパラチドと共にフェノール(5mg/mL)をさらに含む酢酸緩衝液(5mg/mLの三水和酢酸ナトリウム、pH5.1、酢酸により調整)中のアバロパラチドの水性製剤(2mg/mL)の単回皮下投与により行った。
【0094】
微小針アレイを、水中0.8%のZnCl
2および50~60%のアバロパラチドを含むアバロパラチド調製製剤(調製製剤A32、
図1B)でコーティングすることにより作製された経皮パッチ(本明細書において、以降「TD-A32」と呼ばれる)の適用は、
図1Aの生物学的均等性ウィンドウと著しく重複する薬物動態プロファイルをもたらした。パッチ(「パッチ-A32」)には、79μgのアバロパラチドが投入されている。
【0095】
微小針アレイを、水中14.9%のPEGおよび50~60%のアバロパラチドを含むアバロパラチド調製製剤(調製製剤A31、
図1C)でコーティングすることにより作製された経皮パッチの適用は、
図1aの生物学的均等性ウィンドウと著しく重複する薬物動態プロファイルをもたらした。パッチには、125μgのアバロパラチドが投入されている。
【0096】
さらに、上記のように得られたTD-A32の薬物動態プロファイルに対し、固定増分を使用したモデル化を行った。アバロパラチド-SC処置データおよび79μgの用量でのTD-A32データは、上記の実験から得られた(表1)。118.5μg、146.95μg、158μg、および177.75μgの用量でのTD-A32データ(表1)は、以下の製剤による79μgの用量でのTD-A32の実験データのモデル化により得られた。
【数1】
【0097】
共に80~125%の範囲内であるCmax 90%CIおよびAUC 90%CIによるTD-A32モデル化データは、アバロパラチド-SC処置と生物学的に均等であった(例えば、表1、約177.75μgの用量でのTD-A32)。したがって、表は、経皮投与のアバロパラチドの用量を調節することにより、アバロパラチド-SC処置との生物学的均等性または実質的な生物学的均等性を達成するようにPKプロファイルを調節することができることを示している。
【0098】
実施例2:ヒトにおける、PEGまたはZnCl
2を含む調製製剤を使用して作製された経皮パッチにより送達されたアバロパラチドの薬物動態学
アバロパラチドの経皮投与およびアバロパラチド-SC処置の薬物動態プロファイルを、50歳から80歳(これらの数字を含む))の健常な閉経後の女性において評価した。対象に、1×PBS緩衝液中54%のアバロパラチドを含むアバロパラチド製剤でコーティングすることにより作製された経皮パッチ(100μgアバロパラチド)の単回適用(
図2、正方形)、または酢酸緩衝液(5mg/mLの三水和酢酸ナトリウム、pH5.1、酢酸で調整)、5mg/mLのフェノール、および2mg/mLのアバロパラチドを含む水性製剤中の80μgのアバロパラチドのSC-注射(
図2、菱形)を行った。ベースライン、および投薬から5、10、15、20、30、60、90および120分後に、血液試料を採取した。アバロパラチド濃度をLC-MS/MS法により分析した。
【0099】
PEGまたはZnCl2を含まないアバロパラチド製剤を使用して作製された経皮パッチを使用したアバロパラチドの経皮送達は、アバロパラチド-SC処置よりもはるかに速いアバロパラチドの放出を提供した。賦形剤としてZnCl2またはPEGを含むアバロパラチド製剤を使用して作製された経皮パッチを使用した経皮送達は、アバロパラチド-SC処置のPKプロファイルにはるかにより類似したPKプロファイルをもたらした。
【0100】
実施例3: ヒトにおける、ZnCl2を含む調製製剤(製剤A)を使用して作製された経皮パッチにより送達されたアバロパラチドの薬物動態
健常な閉経後の女性において、アバロパラチドの経皮投与およびアバロパラチド-SC処置の薬物動態プロファイルを評価した。
【0101】
対象に、100μg、150μg、もしくは200μgのアバロパラチドが投入された経皮パッチ(長さ500マイクロメートルの微小突起を有する500×550パッチ構成)、または80μgのアバロパラチドのSC-注射の単回適用を行った。
【0102】
ある特定の経皮パッチを、0.7%のZnCl2、39.2%のアバロパラチド、60.1%のWFI(注射用水)を含むアバロパラチド製剤(製剤A)でコーティングすることにより作製した(それぞれ、アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、およびアバロパラチド200μg TD)。ある特定の経皮パッチには、PBS緩衝液中のアバロパラチドを含む第1の一般的なアバロパラチド製剤を使用して150μgのアバロパラチドが投入された(歴史的150μg TD)。
【0103】
注射ペン(UnoPen 80μg SC)を使用して、80μgのアバロパラチドのある特定のSC-注射を、酢酸緩衝液(5mg/mLの三水和酢酸ナトリウム、pH5.1、酢酸により調整)、5mg/mLのフェノール、および2mg/mLのアバロパラチドを含む水性製剤の注射ペンにより投与した。80μgのアバロパラチドのある特定のSC-注射を、製剤A(アバロパラチド80μg SC)の注射により投与した。
【0104】
ベースライン、および投薬から4時間後までの様々な時点で、血液試料を採取した。アバロパラチド濃度をLC-MS/MS法により分析した。血管外モデルを使用して、NCA(非コンパートメント分析)を行った。可能な場合には相対的な実時間を使用し、さもなくば相対的な公称時間を使用した。公称用量を分析に使用した。BQLはゼロに設定し、対象または試料除外は適用しなかった。別段に指定されない限り、
図11から24において、ボックスは、観察の25から75パーセンタイルを表し、破線は、観察の中央値を表し、実線は、観察の平均値を表し、ウィスカーは、極端な観察値を表す。
【0105】
PK結果は、それぞれ、表2、
図3(中央血漿アバロパラチド濃度の経度対投与後の時間)、
図4(中央血漿アバロパラチド濃度対投与後の時間)、
図5(平均血漿アバロパラチド濃度の経度対投与後の時間)、
図6(平均血漿アバロパラチド濃度対投与後の時間)、
図7(用量正規化血漿アバロパラチド濃度の中央値の経度対投与後の時間)、
図8(用量正規化血漿アバロパラチド濃度の中央値対投与後の時間)、
図9(用量正規化血漿アバロパラチド濃度の平均の経度対投与後の時間)、および
図10(用量正規化血漿アバロパラチド濃度の平均対投与後の時間に要約される。
【0106】
アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、アバロパラチド200μg TD、アバロパラチド80μg SC、および歴史的150μg TDの処置のPK結果を、UnoPen 80μg SCと比較し(表3)、C
max、AUC
last、AUC
inf、C
max/D(投薬当たりのC
max)、CL/F、HL_Lambda_z、およびT
maxに関してそれぞれ
図11、13、15、17、19、21、および23に示す。アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、およびアバロパラチド200μg TD処置は、同様の曝露をもたらし、一方アバロパラチド200μg TDは、最も有望な結果を示した。
【0107】
アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、アバロパラチド200μg TD、アバロパラチド80μg SC、およびUnoPen 80μg SCの処置のPK結果を、歴史的150μg TDと比較した(表4)。歴史的150μg TDと比較したアバロパラチド200μg TDおよびアバロパラチド80μg SCの処置のPK結果を、C
max、AUC
last、AUC
inf、C
max/D(投薬当たりのC
max)、CL/F、HL_Lambda_z、およびT
maxに関してそれぞれ
図12、14、16、18、20、22、および24に示す。アバロパラチド100μg TD、アバロパラチド150μg TD、およびアバロパラチド200μg TD処置は全て、歴史的TD製剤と比較してより低いC
max(約60%対約70%)、より長いt
1/2(約2倍)、およびより遅いT
maxと共に、アバロパラチド送達を著しく向上させた(AUCの約2倍)。変動性は2つの投与経路(SCおよびTD)の間で類似しているが、範囲(最大-最小)はTD投与においてより低いようであった(
図16)。製剤AのTDおよびSC送達のC
maxの比較では、より同等となるには、小増分の用量上昇が必要となり得ることが示唆された(
図12)。
図25は、製剤Aを使用して作製された経皮パッチで処置された対象のPKプロファイルが、UnoPen 80μg SC処置の同等範囲内であったことを示している。
【0108】
実施例4: ヒトにおける、第1世代アバロパラチド製剤を使用して作製された経皮パッチの第2相試験
アバロパラチドおよびPBSを含む第1世代アバロパラチド製剤を使用して作製された経皮パッチを使用して、無作為化、並行群間、プラセボ対照、実薬対照第2相試験を行った。6ヶ月間、対象に、50μg、100μg、もしくは150μgのアバロパラチド(それぞれTD ABL 50mcg、TD ABL 100mcg、およびTD ABL 150mcg)が投入された経皮パッチ(長さ500マイクロメートルの微小突起を有する)の毎日のTD適用、80μgのアバロパラチド(SC ABL 80mcg)またはプラセボ(TDプラセボ)の毎日のSC-注射を行った(表5)。
【0109】
対象のベースラインからのパーセントBMD変化を、腰椎(
図26)、および全股関節(
図27)においてそれぞれ決定した(N=合計231)。局所耐性データを、腫脹または皮膚反応を示す対象の%に関して
図28に要約した。
【0110】
アバロパラチド経皮パッチ(TD-50mcg、TD-100mcgおよびTD-150mcg)ならびにアバロパラチドSC-注射(SC-80mcg)で処置された対象のベースラインからのCmax、AUCおよびBMD変化の概要を、表6にさらに要約する。
【0111】
PK/PD関係(C
max対BMDおよびAUC対BMD)の分析では、用量依存性およびAUCとの直線関係が明らかとなり、C
maxよりもむしろAUCが有効性の重要な促進力であることが示唆された(
図30A~30B)。アバロパラチド経皮パッチで処置された対象(緑色の菱形)およびアバロパラチドSC-注射で処置された対象(橙色の菱形)のAUCは、対象のベースラインからのパーセントBMD変化に対して直線関係を示した(
図30B)が、これらの対象のC
maxは示さなかった(
図30A)。そのようなデータは、AUCがアバロパラチド処置の有効性の重要な促進力であることを示していた。
【0112】
図28に示されるように、TDパッチは、十分な耐性を示した。アバロパラチドのTD送達のPOCが示されたが、SC送達と比較してより低いBMDゲインが達成された。
【0113】
第1世代アバロパラチド製剤を使用して作製されたTDパッチのPKプロファイルは、同等のC
maxおよびより低いAUC(SCの約25~30%)(
図29)と共に、SC送達よりも拍動性の送達を示した。予備的な使用者体験調査および米国処方者調査では、医者および患者の両方が、約3:1でSC注射よりTDパッチを好むことが示唆された。
【0114】
実施例5:ヒトにおける、亜鉛を含む調製製剤(製剤B)を使用して作製された経皮パッチにより送達されたアバロパラチドの薬物動態
健常な閉経後の女性において、アバロパラチドの経皮投与およびアバロパラチド-SC処置の薬物動態プロファイルを評価した。
【0115】
対象に、80μgのアバロパラチドのSC-注射の単回適用、または、後述の調製製剤Bから作製された200μgのアバロパラチドが投入された経皮パッチ(長さ500マイクロメートルの微小突起を有する500×550パッチ構成)の大腿部への単回適用を行い、PBS中の150μg(歴史的td)のアバロパラチドを含有する第1世代調製製剤から生成された以前のデータと比較した。
【0116】
ある特定の経皮パッチを、アバロパラチドおよび無菌水、例えばWFI(注射用水)中2%のZnCl2を含むアバロパラチド製剤(製剤B)でコーティングすることにより作製した(製剤B TD、乾燥パッチ製剤中に5~6%塩化亜鉛を含む)。ある特定の経皮パッチを、第1の一般的なアバロパラチド製剤を使用して作製した(第1世代TD、ZnCl2を含まないPBS中のアバロパラチド)。
【0117】
注射ペン(SC注射)を使用して、80μgのアバロパラチドのSC-注射を、酢酸緩衝液(5mg/mLの三水和酢酸ナトリウム、pH5.1、酢酸により調整)、5mg/mLのフェノール、および2mg/mLのアバロパラチドを含む水性製剤の注射ペンにより投与した。
【0118】
ベースライン、および投薬から3時間後までの様々な時点で、血液試料を採取した。アバロパラチド濃度をLC-MS/MS法により分析した。
図31中のバーは、観察の25から75パーセンタイルを表す。
【0119】
PK結果は、血漿アバロパラチド濃度対投与後の時間を示す
図31および32に要約される。
【0120】
処方Bの送達は、第1世代TDよりも、SCのPKプロファイルとはるかにより同等のPKプロファイルを提供した(
図31および32)。
図31は、SC-注射(SC、n=60、複数の比較皮下対sc研究からのsc投薬研究の平均)、幾何平均としての処方B TD(TD製剤、n=19)、および第1世代TD(TD第1世代、n=12)で処置された対象の幾何平均PKプロファイルを示す。
【0121】
実施例6 PEGを含有する経皮製剤の薬物動態
健常な閉経後の志願者を、以前に説明したように80μgのsc注射で、または100、150もしくは200μgのアバロパラチドを含有するように製剤化された経皮パッチで処置した。経皮製剤を、ほぼ40%のアバロパラチド、15%のPEG3350NFおよび45%の無菌水(全て重量%)からなるコーティング製剤で、PEG3350NFと共にコーティングした。乾燥後のPEGパッチは、本質的に74%のアバロパラチドおよび26%のPEG33550NFからなっていた。投与部位は腹部であり、pKパラメータは
図33~35に示される。
【0122】
実施例7 PEG/ZnCl
2を含有する経皮製剤の薬物動態
健常な閉経後の志願者を、以前に説明したように80μgのsc注射で、または100、150もしくは200μgのアバロパラチドを含有するように製剤化された経皮パッチで処置した。経皮製剤を、ほぼ35%のアバロパラチド、12.5%のPEG3350NF、0.7%のZnCl
2および52%の水からなるコーティング溶液で、PEG3350NF/ZnCl2と共にコーティングした。乾燥後のPEG/ZnCl
2パッチは、本質的に73%のアバロパラチドおよび26%のPEG33550NF、1.5%のZnCl
2からなっていた。投与部位は腹部であり、pKパラメータは
図36~38に示される。
【0123】
上述のように、上記は、単に本発明の様々な実施形態を例示することを意図する。上で議論された特定の修正は、本発明の範囲の限定として解釈されるべきではない。当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに様々な均等物、変更、および修正が実現され得ることが明らかであり、そのような均等な実施形態は本明細書に含まれることが理解される。本開示における全ての参考文献は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【0124】
実施例8: 経皮パッチによるアバロパラチドの投与後の雌非ヒト霊長類からの血液試料採取:
すぐに使用可能な配列番号1のPTHrP類似体の様々な製剤でコーティングされた微小針経皮パッチを提供し、2~8℃で冷蔵保存した。使用の少なくとも1時間前に、個々のパウチ内の経皮パッチを室温に置いた。8匹の雌非ナイーブチャイニーズカニクイザル(投薬時2~4kg)を試験に含めた。各製剤を試験するために同じ8匹の動物を使用し、試験間に3日間のウォッシュアウト期間を設けた。
【0125】
時点は、投薬後5分、10分、20分、30分、1時間、および1.5時間のパッチ適用の時間から計算した。投薬前の時点を1日目とした。1.5mLの全血を各時点で採取した。K3EDTA/アプロチニンを抗凝固剤として使用した。
【0126】
各動物に、体重に関して補正せずに配列番号1の固定用量を与えた。以下のように用量投与を行った。
【0127】
1日目:経皮パッチの適用により試験物質を送達した。各経皮パッチ適用の24時間前に、以下のように皮膚を準備した。背側脇腹の小さいエリア(5×5cm)を、小型の家畜用バリカンで毛を丸刈りすることで準備した。丸刈り手順の間、皮膚の擦過を回避するように注意した。皮膚炎のない側が確実に用量投与に使用されるように、両側の背側脇腹(大腿部)を各投与用に準備した。パッチ適用の15分前に、アルコール消毒綿で皮膚を拭いた。適用前に、確実にパスのカラーがアプリケータにしっかりと取り付けられ、また経皮パッチが投与のために脚の上にしっかりと据え付けられるように特に注意した。
【0128】
4、7および10日目:経皮パッチの適用により試験物質を送達した。各経皮パッチ適用の24時間前に、上述のように皮膚を準備した。適用前に、確実にパスのカラーがアプリケータにしっかりと取り付けられ、また経皮パッチが投与のために脚の上にしっかりと据え付けられるように特に注意した。
【0129】
1、4、7および10日目:経皮パッチを、設置後15分間所定位置に保持した。投薬後の観察を可能にするために、投与部位の周りに線を引いた。パッチ除去後、残留物含量に関して経皮パッチを分析した。
【0130】
各試験血液回収時点で動物を観察した。いかなる異常も例外により記録し、すぐに報告した。Draize採点システムを使用して、投薬前、投薬から1時間および24時間後の各投薬部位を採点した。1日目の前に、動物の体重を記録した。
【0131】
末梢血管から全血試料を採取した。1日目の投薬前に、全血1ml当たり15μL(の2.5mgタンパク質/mL/アプロチニン溶液)を含有するK3EDTA/アプロチニン管内に、全血1.5mLを採取した。1、4、7、および10日目に、各時点(パッチ適用から5分、10分、20分、30分、60分および90分後)で、全血1ml当たり15μL(の2.5mgタンパク質/mL/アプロチニン溶液)を含有するK3EDTA/アプロチニン管内に、1.5mLの全血を採取した。スケジュールされた採取時間の±5%以内で全血試料を採取し、実際の採取時間を記録した。処理するまで湿潤した氷上で試料を維持した。
【0132】
全血試料を血漿に処理した。血液を冷却遠心分離機内で10±2分間遠心分離した。血漿試料を2つのほぼ等しいアリコート(アリコート1およびアリコート2)に移した。試料を-70℃±10℃で冷凍した。
【0133】
A):異なる長さの微小針を有する経皮パッチにより送達されたアバロパラチド製剤の薬物動態:
図39に示されるように、いかなる賦形剤も含まないアバロパラチド(配列番号1)を、皮下投与により、ならびに、短い、通常の、および長い微小針の異なる長さを備える経皮パッチにより送達した。
【0134】
B):経皮パッチにより送達された様々なアバロパラチド製剤の薬物動態
図40および41は、皮下投与されたアバロパラチド(配列番号1)のCmaxおよびAUCと比較した、本明細書で開示される様々なコーティング製剤でコーティングされた経皮パッチによる投与後のアバロパラチドの送達のCmaxおよびAUCを示す。
【0135】
図42は、配列番号1(ABL)の皮下(SC)送達、およびコーティング用の様々な経皮製剤により作製されたパッチを使用した配列番号1(ABL)の経皮送達(TD)のPKプロファイルを示す。黒菱形:SC投与されたABL;白抜きの三角:TD投与された賦形剤なしのABL製剤;黒丸:TD投与されたPVPを含むABL製剤;黒正方形:TD投与されたPLGAを含むABL製剤;黒三角:TD投与されたPLGAを含むABL製剤;X:TD投与されたHPβCDを含むABL製剤;星型:TD投与されたPLGAを含むABL製剤;白抜きの丸:TD投与されたPEGを含むABL製剤;+:TD投与されたHPβCDを含むABL製剤;白抜きの正方形:TD投与されたZnCl
2を含むABL製剤。各投与後の様々な時間でのABL血漿濃度が、以下の表に要約される。
【表21】
【0136】
参考文献
以下に列挙される参考文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
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【表22】
【表23-1】
【表23-2】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】