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特許7146029ネオジム鉄ホウ素永久磁石及びその製造方法と使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ネオジム鉄ホウ素永久磁石及びその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20220926BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20220926BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20220926BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20220926BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20220926BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20220926BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20220926BHJP
   B22D 11/06 20060101ALI20220926BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01F1/057 170
C22C38/00 303D
B22F9/04 D
B22F9/04 C
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
B22F3/02 R
B22F3/24 B
B22D11/06 360B
H01F41/02 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021114232
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】202110602728.1
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521305066
【氏名又は名称】バオトウ ジンサン マグネティック マテリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Baotou Jinshan Magnetic Material Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】8-07 Xitu Street, Xitu High-tech Zone, Inner Mongolia 014030, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャ、ファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ユ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ヤンリ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヨンファイ
(72)【発明者】
【氏名】リュ、チャンガン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ジシャン
(72)【発明者】
【氏名】スー、マンヨウ
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ガチェン
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056188(JP,A)
【文献】特開2015-193925(JP,A)
【文献】特表2012-533879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
B22F 1/00-12/90
C22C 1/04- 1/05
C22C 5/00-25/00
C22C 27/00-28/00
C22C 30/00-30/06
C22C 33/02
C22C 35/00-45/10
H01F 1/00- 1/117
H01F 1/40- 1/42
H01F 41/00-41/04
H01F 41/08
H01F 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示す組成を有し、
[mHR(1-m)(Pr25Nd75)](Fe100-a-b-c-dGaInSn100-x-y 式I、
式Iにおいて、a=0.995~3.493、b=0.114~0.375、c=0.028~0.125、d=0.022~0.100、x=29.05~30.94、y=0.866~1.000、m=0.02~0.05、
HRはDy及び/又はTbであり、
MはCo、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Ni、W、Moのうちの1種類又は複数種類であることを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石。
【請求項2】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成に応じて、ストリップキャスト合金ピースと液体合金を提供し、前記ストリップキャスト合金ピースの組成は、HR、Pr、Nd、Fe、M、およびBであり、前記液体合金の組成はGa、In、Snであるステップと、
前記ストリップキャスト合金ピースに対して、水素破砕とジェットミル粉砕を順次行って粉末合金を得るステップと、
前記粉末合金と前記液体合金を混合し、得られた混合物に対して、配向成形、焼結、および焼き戻しを順番に行って、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石の製造方法。
【請求項3】
前記液体合金の組成はGaInSnであり、ここで、e=57~75、f=14~25、g=11~18であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記液体合金の製造方法は、
保護雰囲気圧力0.05~0.15MPa、酸素含有量<0.02%、温度25~35℃の条件下で、金属Ga、金属In、金属Snを混合して液体合金を得るステップを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記水素破砕には、順番に行われる活性化処理、水素吸収処理、脱水素処理が含まれ、
ここで、前記活性化処理の温度は80~150℃、温度保持時間は30~60minであり、
前記水素吸収処理の圧力≦0.088Pa、600kgを基準にすると、前記水素吸収処理時間は50~70minであり、
前記脱水素処理の温度は480~650℃、600kgを基準にすると、前記脱水素処理時間は2~5時間であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ジェットミル粉砕は、10ppm未満の酸素補給量を含む雰囲気で実施され、前記ジェットミル粉砕プロセス中に、選別ホイールの回転速度は4200~4300r/minであり、前記ジェットミル粉砕後に得られる粉末合金の平均粒度d[5,0]は3.5~4.5μm、粒度分布d[9,0]/d[1,0]は3.8~4.2であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記配向成形は、磁気誘導強度が1.5~2Tの条件で行い、配向成形後に得られるリーン体の密度が4.2~4.5g/cmであることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記焼結は真空度≦3×10-3Paの条件下で実施され、前記焼結温度は1030~1100℃、温度保持時間は2~8時間であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記焼き戻し処理は、順番に行われる第1の焼き戻し処理および第2の焼き戻し処理を含み、前記第1の焼き戻し処理温度は850~920℃、温度保持時間は2~5時間、前記第2の焼き戻し処理温度は470~550℃、温度保持時間は3~8時間であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石または請求項2から9のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石の電子情報製品または新エネルギー自動車モーター製品への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の技術分野、特にネオジム鉄ホウ素永久磁石、及びその製造方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイエンドの電子情報製品や新エネルギー自動車部品の小型化の開発に伴い、高残留磁気・高保磁力の焼結ネオジム鉄ホウ素永久磁石の開発が今後の主流の研究開発の方向性となっている。従来技術では、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造する際に、一般に、一定量の有機添加剤(有機酸化防止剤、有機潤滑剤、および有機離型剤など)が導入され、これは、ネオジム鉄ホウ素永久磁石の炭素と酸素の含有量の増加に直接つながり、高残留磁気と高保磁力の焼結ネオジム鉄ホウ素永久磁石の性能を大幅に制限する。また、従来技術でネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造する場合、製品密度を上げるために、成形工程後に冷間等方圧加圧工程が必要となり、製造コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ネオジム鉄ホウ素永久磁石及びその製造方法と使用を提供することを目的とし、本発明によって提供されるネオジム鉄ホウ素永久磁石は、炭素および酸素含有量が低く、総合性能が優れ、本発明は、高密度製品を得るために成形プロセス後に追加の冷間等方圧加圧工程を必要とせず、製造コストを節約する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0005】
本発明は、式Iに示される組成を有するネオジム鉄ホウ素永久磁石を提供する。
【0006】
[mHR(1-m)(Pr25Nd75)](Fe100-a-b-c-dGaInSn100-x-y 式I、
式Iにおいて、a=0.995~3.493、b=0.114~0.375、c=0.028~0.125、d=0.022~0.100、x=29.05~30.94、y=0.866~1.000、m=0.02~0.05、
HRはDy及び/又はTbであり、
MはCo、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Ni、W、Moのうちの1種類又は複数種類である。
【0007】
本発明は、上記の技術的解決手段に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石の製造方法を提供し、
ネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成に応じて、ストリップキャスト合金ピースと液体合金を提供し、前記ストリップキャスト合金ピースの組成は、HR、Pr、Nd、Fe、M、およびBであり、前記液体合金の組成はGa、In、Snであるステップと、
前記ストリップキャスト合金ピースに対して、水素破砕とジェットミル粉砕を順次行って粉末合金を得るステップと、
前記粉末合金と前記液体合金を混合し、得られた混合材料に対して、配向成形、焼結、および焼き戻しを順番に行って、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得るステップと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記液体合金の組成はGaInSnであり、ここで、e=57~75、f=14~25、g=11~18。
【0009】
好ましくは、前記液体合金の製造方法は、
保護雰囲気圧力0.05~0.15MPa、酸素含有量<0.02%、温度25~35℃の条件下で、金属Ga、金属In、金属Snを混合して液体合金を得るステップを含む。
【0010】
好ましくは、前記水素破砕には、順番に行われる活性化処理、水素吸収処理、脱水素処理が含まれ、
ここで、前記活性化処理の温度は80~150℃、温度保持時間は30~60minであり、
前記水素吸収処理の圧力≦0.088Pa、600kgを基準にすると、前記水素吸収処理時間は50~70minであり、
前記脱水素処理の温度は480~650℃、600kgを基準にすると、前記脱水素処理時間は2~5時間である。
【0011】
好ましくは、前記ジェットミル粉砕は、酸素補給量が10ppm未満の雰囲気で実施され、前記ジェットミル粉砕プロセス中に、選別ホイールの回転速度は4200~4300r/minであり、前記ジェットミル粉砕後に得られる粉末合金の平均粒度d[5,0]は3.5~4.5μm、粒度分布d[9,0]/d[1,0]は3.8~4.2である。
【0012】
好ましくは、前記配向成形は、磁気誘導強度が1.5~2Tの条件で行い、配向成形後に得られる前記グリーン体の密度が4.2~4.5g/cmである。
【0013】
好ましくは、前記焼結は、3×10-3Pa以下の真空度の条件下で行われ、前記焼結の温度は1030~1100℃であり、温度保持時間は2~8時間である。
【0014】
好ましくは、前記焼戻し処理は、順番に実行する第1の焼戻し処理および第2の焼戻し処理を含み、前記第1の焼戻し処理温度は850~920℃、温度保持時間は2~5時間、前記第2の焼戻し処理温度は470~550℃、温度保持時間は3~8時間である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記の技術的解決手段に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石、または上記の技術的解決手段に記載の製造方法によって製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石の電子情報製品または新エネルギー自動車モーター製品への使用を提供する。
【0016】
本発明は、式Iに示される組成を有するネオジム鉄ホウ素永久磁石を提供する。本発明は、Ga、InおよびSn元素をネオジム鉄ホウ素永久磁石に導入し、従来技術における有機添加剤の導入によって引き起こされるネオジム鉄ホウ素永久磁石における高炭素および高酸素含有量の問題を回避し、ネオジム鉄ホウ素永久磁石の総合性能が優れ、かつ本発明において、高密度製品を得るために成形工程後の冷間等方圧加圧工程を必要とせず、製造コストを節約する。実施例の結果は、本発明により提供されるネオジム鉄ホウ素永久磁石が、高い残留磁気および高い保磁力を有する52Hネオジム鉄ホウ素永久磁石であり、残留磁気が20℃で14.4kGsに達することができ、固有保磁力が18.5kOeに達することができ、ハイエンドアプリケーション市場におけるネオジム鉄ホウ素永久磁石の競争力を高めるのに役立つことを示している。
【0017】
本発明は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石の製造方法を提供し、ネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成に応じて、ストリップキャスト合金ピースと液体合金を提供し、前記ストリップキャスト合金ピースの組成は、HR、Pr、Nd、Fe、M、およびBであり、前記液体合金の組成はGa、In、Snであるステップと、前記ストリップキャスト合金ピースに対して、水素破砕とジェットミル粉砕を順次行って粉末合金を得るステップと、前記粉末合金と前記液体合金を混合し、得られた混合材料に対して、配向成形、焼結、および焼き戻しを順番に行って、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得るステップと、を含む。本発明では、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造するとき、Ga、In、およびSnは液体合金として導入され、従来の技術における水素粉砕後の有機酸化防止剤の導入、ジェットミル粉砕後の有機潤滑剤の導入、および配向成形プロセス中に有機離型剤などの有機添加剤の導入により、ネオジム鉄ホウ素永久磁石の炭素および酸素含有量が高くなるという問題を回避し、同時に、成形工程の後に冷間等方圧加圧工程を追加する必要がなく、最終的に総合性能に優れたネオジム鉄ホウ素永久磁石が得られ、製造コストを節約する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、式Iに示される組成を有するネオジム鉄ホウ素永久磁石を提供する。
【0019】
[mHR(1-m)(Pr25Nd75)](Fe100-a-b-c-dGaInSn100-x-y 式I、
式Iにおいて、a=0.995~3.493、b=0.114~0.375、c=0.028~0.125、d=0.022~0.100、x=29.05~30.94、y=0.866~1.000、m=0.02~0.05、
HRはDy及び/又はTbであり、
MはCo、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Ni、W、Moのうちの1種類又は複数種類である。
【0020】
本発明において、好ましくは、式Iにおいて、a=0.135~0.253、b=0.193~0.252、c=0.058~0.086、d=0.045~0.073、x=29.65~30.34、y=0.902~0.962、m=0.03~0.04、HRはDy又はTbであってもよく、DyとTbの混合元素であってもよく、具体的には、HRがDyとTbの混合元素である場合、前記DyとTbのモル比は、好ましくは(0.008~0.012):(0.02~0.03)、より好ましくは0.01:0.025であり、MはCo、Cu、Ti、Al、Nb、Zr、Ni、W又はMoであってもよく、Co、Cu、Nbの混合元素であってもよく、Co、Cu、Zrの混合元素であってもよく、具体的には、MがCo、CuおよびNbの混合元素である場合、前記Co、CuおよびNbのモル比は、好ましくは(1.0~1.5):(0.1~0.3):(0.20~0.25)、より好ましくは1.2:0.2:0.23であり、MがCo、CuおよびZrの混合元素である場合、前記Co、CuおよびZrのモル比は、好ましくは(1.0~1.5):(0.10~0.25):(0.15~0.25)、より好ましくは1.2:(0.15~0.20):(0.18~0.20)である。
【0021】
本発明は、上記の技術的解決手段に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石の製造方法を提供し、
ネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成に応じて、ストリップキャスト合金ピースと液体合金を提供し、前記ストリップキャスト合金ピースの組成は、HR、Pr、Nd、Fe、M、およびBであり、前記液体合金の組成はGa、In、Snであるステップと、
前記ストリップキャスト合金ピースに対して、水素破砕とジェットミル粉砕を順次行って粉末合金を得るステップと、
前記粉末合金と前記液体合金を混合し、得られた混合材料に対して、配向成形、焼結、および焼き戻しを順番に行って、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得るステップと、を含む。
【0022】
本発明において、ネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成に応じて、ストリップキャスト合金ピースと液体合金を提供し、前記ストリップキャスト合金ピースの組成は、HR、Pr、Nd、Fe、M及びBであり、前記液体合金の組成はGa、In及びSnである。本発明において、前記ストリップキャスト合金ピースと液体合金のそれぞれの組成と両者の比率は、式Iに示すネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成を満たすように基準とする。本発明において、前記液体合金の組成は、好ましくはGaInSnであり、ここで、e=57~75、f=14~25、g=11~18、好ましくは、e=60~65、f=18~20、g=13~15、本発明の実施例において、前記液体合金の組成は、具体的にはGa65In20Sn15であってもよい。本発明において、前記合金ピースの組成は、好ましくは[mHR(1-m)Pr25Nd75(Fe100-n100-h-iであり、ここで、n=1.0~3.5、h=29.2~31.0、i=0.87~1.00、mの値の範囲と、HRとM元素の任意選択可能な種類は、式Iに示されている組成と一致しているため、ここでは更に説明せず、好ましくは、m=0.025~0.035、n=1.5~2.0、h=29.6~30.8、i=0.90~0.96、さらに好ましくは、m=0.01~0.02、n=1.53~1.63、h=29.8~30.0、i=0.92~0.95。本発明の実施例において、前記ストリップキャスト合金ピースの組成は、具体的には以下のいずれか1種類であってもよい。
[0.025Dy0.975(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.37Co1.2Cu0.2Nb0.2369.240.96
[0.05Tb0.95(Pr25Nd75)]29.6(Fe98.47Co1.2Cu0.15Zr0.1869.450.95
[0.02Tb0.98(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.4Co1.2Cu0.2Zr0.269.250.95
[0.01Tb0.025Dy0.965(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.4Co1.2Cu0.2Zr0.269.250.95
【0023】
本発明において、前記ストリップキャスト合金ピースの厚さは、好ましくは0.15~0.5mmである。本発明の実施例において、前記ストリップキャスト合金ピースの平均厚さは、好ましくは0.2mmである。本発明において、前記ストリップキャスト合金ピースの製造方法は、好ましくは、ストリップキャスト合金ピースの組成に応じて原料を配合した後にピース鋳造を行うことを含む。本発明において、前記鋳造は、アルゴン圧力≦3×10Paの条件下で実施することが好ましい。前記鋳造プロセス中に、銅ロール回転速度は好ましくは35~58r/min、より好ましくは41~46r/minであり、鋳造温度は好ましくは1350~1600℃、より好ましくは1420~1500℃である。本発明の実施例において、前記鋳造は、具体的にストリップキャスト鋳造炉で実施される。
【0024】
本発明において、前記液体合金の製造方法は、好ましくは、
保護雰囲気圧力0.05~0.15MPa、酸素含有量<0.02%、温度25~35℃の条件下で、金属Ga、金属In、金属Snを混合して液体合金を得るステップを含む。
【0025】
本発明は、好ましくは、グローブボックス内で前記液体合金を製造する。具体的には、本発明では、グローブボックス内の真空度が1Pa未満になるようにグローブボックスを真空排気し、次に前記グローブボックス内の酸素含有量が0.02%未満、圧力が0.05~0.15MPa(保護ガス提供)になるように保護ガスをグローブボックス内に導入し、25~35℃の条件で、前記グローブボックスに金属Ga、金属In、金属Snを加えて混合し、液体合金を得ることが好ましい。
【0026】
本発明は、当業者に周知の窒素などの保護ガスを使用できる限り、保護ガスに特別な制限はない。本発明において、前記金属Ga、金属Inおよび金属Snの純度は、独立して99.95%以上であることが好ましく、前記金属Ga、金属Inおよび金属Snの比率は、液体合金の必要な組成に従って選択すればよい。本発明において、前記混合は、好ましくは撹拌および混合であり、前記撹拌時間は好ましくは25~35min、より好ましくは30minであり、本発明は、各成分を均一に混合できる限り、前記撹拌の回転速度を特に制限するものではない。本発明において、前記混合温度はさらに好ましくは28~30℃である。
【0027】
本発明は、ストリップキャスト合金ピースを得た後、前記ストリップキャスト合金ピースに対して、水素破砕とジェットミル粉砕を順次行って粉末合金を得る。本発明において、前記水素破砕には、好ましくは順番に行われる活性化処理、水素吸収処理、脱水素処理が含まれる。本発明において、前記活性化処理の温度は、好ましくは80~150℃、より好ましくは100~120℃であり、前記活性化処理の温度保持時間は、好ましくは30~60min、より好ましくは40~50minである。本発明において、前記水素吸収処理の圧力は、好ましくは≦0.088Pa、600kgを基準にすると、前記水素吸収処理時間は、好ましくは50~70min、より好ましくは55~60minである。本発明において、前記脱水素処理の温度は、好ましくは480~650℃、より好ましくは530~580℃であり、600kgを基準にすると、前記脱水素処理時間は、好ましくは2~5時間、より好ましくは3~4時間である。本発明において、水素破砕材料は水素破砕後に得られるものであり、前記水素破砕材料の粒度は50~300μmが好ましい。本発明の実施例において、具体的には、水素破砕は水素破砕炉で行われる。本発明では、水素破砕プロセス中にいかなる添加剤は添加されない。
【0028】
水素破砕材料が得られた後、本発明において、前記水素破砕材料に対して、ジェットミル粉砕を行い、粉末合金を得る。本発明において、前記ジェットミル粉砕は、好ましくは10ppm未満の酸素補給量を含む雰囲気で実施され、前記ジェットミル粉砕プロセス中に、選別ホイールの回転速度は、好ましくは4200~4300r/minである。本発明において、前記粉末合金の平均粒度d[5,0]は、好ましくは3.5~4.5μm、より好ましくは3.8~4.0μm、粒度分布d[9,0]/d[1,0]は、好ましくは3.8~4.2、より好ましくは4.0~4.1である。本発明では、ジェットミル粉砕プロセス中にいかなる添加剤は添加されない。
【0029】
本発明は、粉末合金と液体合金を得た後、前記粉末合金と前記液体合金を混合して混合材料を得る。本発明において、前記粉末合金と液体合金の比率は、ネオジム鉄ホウ素永久磁石の組成に応じて選択すればよく、具体的には、前記液体合金の質量は、好ましくは前記粉末合金の質量の0.20~0.45%、より好ましくは0.30~0.35%である。本発明は、2つが十分に混合され均一である限り、前記混合を特に制限しない。本発明の実施例において、具体的には、前記混合は全自動三次元ミキサーで行われ、混合時間は好ましくは30~200min、より好ましくは60~90minであり、前記混合プロセス中、ミキサーの壁温度は、好ましくは25℃以下、より好ましくは15~20℃、さらに好ましくは16~19℃、さらにより好ましくは17~18℃である。本発明は、より低い温度条件下で混合することによって抗酸化効果を改善するのに有利である。
【0030】
混合材料が得られた後、本発明において、前記混合材料を配向成形してグリーン体を得る。本発明において、前記配向成形は、好ましくは磁気誘導強度が1.5~2Tの条件で行われる。本発明において、前記グリーン体の密度は、好ましくは4.2~4.5g/cmである。本発明の実施例において、具体的には、前記配向成形は磁場プレスで行われる。本発明において、前記配向成形後、冷間等方圧加圧工程なしで高密度のグリーン体を得ることができる。
【0031】
グリーン体が得られた後、本発明は前記グリーン体を焼結して焼結材料を得る。本発明において、前記焼結は、好ましくは真空度≦3×10-3Paの条件下で実施される。本発明において、前記焼結温度は、好ましくは1030~1100℃、より好ましくは1050~1075℃、温度保持時間は、好ましくは2~8時間、より好ましくは4~6時間である。本発明は、好ましくは、室温から第1の昇温速度で、焼結に必要な温度まで昇温し、前記第1の昇温速度は、好ましくは3~5℃/min、より好ましくは4℃/minであり、本発明の実施例において、前記室温は具体的には25℃である。本発明の実施例において、具体的には、前記焼結は焼結炉内で行われる。
【0032】
焼結材料を得た後、本発明は、前記焼結材料を焼戻し処理して、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得る。本発明において、前記焼戻し処理は、好ましくは順番に行われる第1の焼戻し処理および第2の焼戻し処理を含む。本発明において、前記第1の焼戻し処理温度は、好ましくは850~920℃、より好ましくは870~900℃、温度保持時間は、好ましくは2~5時間、より好ましくは3~4時間、前記第2の焼戻し処理温度は、好ましくは470~550℃、より好ましくは500~520℃、温度保持時間は、好ましくは3~8時間、より好ましくは4~5時間である。本発明において、焼結が完了した後、好ましくは、第1の降温速度で70~80℃に冷却し、次に第2の昇温速度で第1の焼戻し処理に必要な温度に加熱し、第1の焼戻し処理を行い、前記第1の焼戻し処理が完了した後、第2の降温速度で70~80℃に冷却し、次に第3の昇温速度で第2の焼戻し処理に必要な温度まで加熱し、第2の焼戻しを行い、前記第2の焼戻し処理が完了した後、第3の降温速度で温度<40℃に冷却する。本発明において、前記第1の降温速度は、好ましくは15~20℃/min、前記第2の昇温速度は、好ましくは8~10℃/min、前記第2の降温速度は、好ましくは15~20℃/min、前記第3の昇温速度は、好ましくは10~15℃/min、前記第3の降温速度は、好ましくは10~15℃/minである。
【0033】
本発明は、上記の技術的解決手段に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石、または上記の技術的解決手段に記載の製造方法によって製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石の電子情報製品または新エネルギー自動車モーター製品への使用を提供する。本発明は、その方法が当業者に周知である限り、前記使用に特別な制限はない。
【実施例
【0034】
以下に本発明における実施例を参照しながら、本発明における技術的解決手段を明確で、完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、すべての実施例ではなく、本発明の実施例の一部にすぎない。本発明の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0035】
実施例1
次のステップに応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造した。
【0036】
[0.025Dy0.975(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.37Co1.2Cu0.2Nb0.2369.240.96の組成に従って原料を配合した後、アルゴン圧力≦3×10Paのストリップキャスト鋳造炉で鋳造して、平均厚さ0.25mmのストリップキャスト合金ピースを得て、前記鋳造プロセス中に、銅ロール回転速度は41r/min、鋳造温度は1420℃であった。
【0037】
前記ストリップキャスト合金ピースを水素破砕炉に入れ、活性化処理、水素吸収処理、脱水素処理を順次行い、粒度50~300μmの水素破砕材料を得て、ここで、前記活性化処理の温度は100℃、温度保持時間は40minであり、前記水素吸収処理は、0.088Paの条件で行い、600kgを基準にすると、前記水素吸収処理時間は1時間、前記脱水素処理温度は580℃、600kgを基準にすると、前記脱水素処理時間は3時間であった。
【0038】
前記水素破砕材料に対して、酸素補給量が10ppm未満の雰囲気でジェットミル粉砕を行い、ジェットミル粉砕プロセスでの選別ホイールの回転速度は4300r/minで、粉末合金が得られ、前記粉末合金の平均粒度d[5,0]は3.8μmであり、粒度分布d[9,0]/d[1,0]は4.0であった。
【0039】
グローブボックスを真空にして前記グローブボックス内の真空度を<1Paにし、その後に前記グローブボックス内の酸素含有量が<0.02%、圧力が0.1MPa(窒素によって提供される)になるようにグローブボックスに窒素を充填し、30℃の条件下で、Ga65In20Sn15の成分に応じて原料を配合し、金属Ga(純度99.95%以上)、金属In(純度99.95%以上)、金属Sn(純度99.95%以上)を前記グローブボックスに入れ、0.5時間撹拌して混合し、液体合金を得て、
前記粉末合金と液体合金を全自動三次元ミキサーで1時間十分に撹拌して混合し、混合プロセス中、ミキサーの壁温度が19℃で、混合材料が得られ、ここで、前記液体合金の質量は、前記粉末合金の質量の0.2%であり、
前記混合材料を磁場プレスに入れ、2Tの磁気誘導強度の条件下で配向および成形して、密度4.21g/cmのグリーン体を得て、
前記グリーン体を3×10-2Pa以下の真空度の焼結炉に入れて焼結し、具体的には、室温(25℃)から1075℃まで4℃/minの速度で温度を上げ、6時間温度保持して、焼結材料を得て、その後、15℃/minの速度で75℃まで温度を下げ、その後8℃/minの速度で900℃まで温度を上げ、4時間温度保持して第1の焼き戻し処理を行い、次に、15℃/minの速度で75℃まで温度を下げ、その後10℃/minの速度で500℃まで温度を上げ、5時間温度保持して第2の焼き戻し処理を行い、最後に、温度を10℃/minの速度で25℃に下げて、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得た。
【0040】
実施例2
実施例1の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金の質量が粉末合金の質量の0.35%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が17℃であったことである。
【0041】
実施例3
実施例1の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金の質量が粉末合金の質量の0.45%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が16℃であったことである。
【0042】
比較例1
次のステップに応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造した。
【0043】
[0.025Dy0.975(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.37Co1.2Cu0.2Nb0.2369.240.96の組成に従って原料を配合した後、アルゴン圧力≦3×10Paのストリップキャスト鋳造炉で鋳造して、平均厚さ0.25mmのストリップキャスト合金ピースを得て、前記鋳造プロセス中に、銅ロール回転速度は41r/min、鋳造温度は1420℃であり、
前記ストリップキャスト合金ピースを水素破砕炉に入れ、活性化処理、水素吸収処理、脱水素処理を順次行い、粒度50~300μmの水素破砕材料を得て、ここで、前記活性化処理の温度は100℃、温度保持時間は40minであり、前記水素吸収処理は、0.088Paの条件で行い、600kgを基準にすると、前記水素吸収処理時間は1時間、前記脱水素処理温度は580℃、600kgを基準にすると、前記脱水素処理時間は3時間であった。前記水素破砕材料と有機酸化防止剤を、全自動三次元ミキサーで60分間十分に撹拌して混合し、混合プロセス中、ミキサーの壁の温度は40℃で、第1の混合材料が得られ、前記有機酸化防止剤の質量は、水素破砕材料質量の0.35‰であり、
前記第1の混合材料を、10ppm未満の酸素補給量を含む雰囲気でジェットミル粉砕し、ジェットミル粉砕プロセス中に、選別ホイールの回転速度は4300r/minであり、粉末合金が得られ、前記粉末合金の平均粒度d[5,0]は3.8μm、粒度分布d[9,0]/d[1,0]は4.0であり、前記粉末合金と有機潤滑剤を全自動三次元ミキサーで90min十分に撹拌して混合し、混合プロセス中、ミキサーの壁温度が40℃で、第2の混合材料が得られ、前記有機潤滑剤の質量は、粉末合金の質量の0.45‰であり、
前記第2の混合材料を磁場プレスに入れ、2Tの磁気誘導強度の条件下で配向および成形して、次に冷間等方圧の加圧処理(圧力は250MPa、圧力保持時間は30s)を行い、密度3.9g/cmのグリーン体を得て、
前記グリーン体を3×10-2Pa以下の真空度の焼結炉に入れて焼結し、具体的には、室温(25℃)から1075℃まで4℃/minの速度で温度を上げ、6時間温度保持して、焼結材料を得て、その後、18℃/minの速度で75℃まで温度を下げ、その後に8℃/minの速度で900℃まで温度を上げ、4時間温度保持して第1の焼き戻し処理を行い、次に、18℃/minの速度で75℃まで温度を下げ、その後に10℃/minの速度で500℃まで温度を上げ、5時間温度保持して第2の焼き戻し処理を行い、最後に、温度を13℃/minの速度で25℃に下げて、ネオジム鉄ホウ素永久磁石を得た。
【0044】
試験例1
実施例1から3および比較例1で製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石に対して、20℃でφ10×10円柱試験を実施し、具体的には、残留磁気(Br)、磁気誘導保磁力(Hcb)、固有保磁力(Hcj)、磁気エネルギー積((BH)max)、磁石のJ減磁曲線でJ=0.9Jrの場合の逆磁場(Hk)、角型比(Hk/Hcj)を測定し、同時に、各ネオジム鉄ホウ素永久磁石のCとOの含有量を測定した。得られた試験データを表1に示し、ここで、表1の「粉末の温度(℃)」のデータは、材料混合プロセス中のミキサーの壁温度であった。表1から、本発明は、追加の有機添加剤なしでネオジム鉄ホウ素永久磁石にGa、InおよびSn元素を導入し、CおよびOの含有量が大幅に減少し、成形後に追加の冷間等方圧加圧を実施する必要がなく、グリーン体の密度を比較的高くし、最終的に総合性能に優れたネオジム鉄ホウ素永久磁石が得られたことが分かる。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例4
実施例1の方法を参照してネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造したが、区別は、使用したストリップキャスト合金ピースの組成が具体的に[0.05Tb0.95(Pr25Nd75)]29.6(Fe98.47Co1.2Cu0.15Zr0.1869.450.95であり、この実施例で使用された液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.2%であったということである。
【0047】
実施例5
実施例4の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.35%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が18℃であったことである。
【0048】
実施例6
実施例4の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.45%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が16℃であったことである。
【0049】
比較例2
比較例1の方法を参照してネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造したが、区別は、使用したストリップキャスト合金ピースの組成が具体的に[0.05Tb0.95(Pr25Nd75)]29.6(Fe98.47Co1.2Cu0.15Zr0.1869.450.95であったのみにある。
【0050】
試験例2
試験例1の方法に従って、実施例4から6および比較例2で製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石の性能を試験し、得られた試験データを表2に示し、ここで、表2の「粉末温度(℃)」のデータは、材料混合プロセス中のミキサーの壁温度であった。表2から、本発明は、追加の有機添加剤なしでネオジム鉄ホウ素永久磁石にGa、InおよびSn元素を導入し、CおよびOの含有量が大幅に減少し、成形後に追加の冷間等方圧加圧を実施する必要がなく、グリーン体の密度を比較的高くし、最終的に総合性能に優れたネオジム鉄ホウ素永久磁石が得られたことが分かる。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例7
実施例1の方法を参照してネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造したが、区別は、使用したストリップキャスト合金ピースの組成が具体的に[0.02Tb0.98(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.4Co1.2Cu0.2Zr0.269.250.95であり、この実施例で使用された液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.2%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中にミキサーの壁温度が18℃であったということである。
【0053】
実施例8
実施例7の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.35%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が16℃であったことである。
【0054】
実施例9
実施例7の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.45%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が16℃であったことである。
【0055】
比較例3
比較例1の方法を参照してネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造したが、区別は、使用したストリップキャスト合金ピースの組成が具体的に[0.02Tb0.98(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.4Co1.2Cu0.2Zr0.269.250.95であり、第1の混合材料および第2の混合材料を製造する際の混合プロセス中のミキサーの壁の温度が38℃であったことである。
【0056】
試験例3
試験例1の方法に従って、実施例7から9および比較例3で製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石の性能を試験し、得られた試験データを表3に示し、ここで、表3の「粉末温度(℃)」のデータは、材料混合プロセス中のミキサーの壁温度であった。表3から、本発明は、追加の有機添加剤なしでネオジム鉄ホウ素永久磁石にGa、InおよびSn元素を導入し、CおよびOの含有量が大幅に減少し、成形後に追加の冷間等方圧加圧を実施する必要がなく、グリーン体の密度を比較的高くし、最終的に総合性能に優れたネオジム鉄ホウ素永久磁石が得られたことが分かる。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例10
実施例1の方法を参照してネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造したが、区別は、使用したストリップキャスト合金ピースの組成が具体的に[0.01Tb0.025Dy0.965(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.4Co1.2Cu0.2Zr0.269.250.95であり、この実施例で使用された液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.2%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中にミキサーの壁温度が20℃であったということである。
【0059】
実施例11
実施例10の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.35%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が15℃であったことである。
【0060】
実施例12
実施例10の方法に応じてネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造し、区別は、液体合金Ga65In20Sn15の質量が粉末合金の質量の0.45%であり、前記粉末合金と液体合金Ga65In20Sn15の混合プロセス中のミキサーの壁温度が17℃であったことである。
【0061】
比較例4
比較例1の方法を参照してネオジム鉄ホウ素永久磁石を製造したが、区別は、使用したストリップキャスト合金ピースの組成が具体的に[0.01Tb0.025Dy0.965(Pr25Nd75)]29.8(Fe98.4Co1.2Cu0.2Zr0.269.250.95であり、第1の混合材料と第2の混合材料を製造するとき、混合プロセス中のミキサーの壁温度が42℃であったことである。
【0062】
試験例4
試験例1の方法に従って、実施例10から12および比較例4で製造されたネオジム鉄ホウ素永久磁石の性能を試験し、得られた試験データを表4に示し、ここで、表4の「粉末温度(℃)」のデータは、材料混合プロセス中のミキサーの壁温度であった。表4から、本発明は、追加の有機添加剤なしでネオジム鉄ホウ素永久磁石にGa、InおよびSn元素を導入し、CおよびOの含有量が大幅に減少し、成形後に追加の冷間等方圧加圧を実施する必要がなく、グリーン体の密度を比較的高くし、最終的に総合性能に優れたネオジム鉄ホウ素永久磁石が得られたことが分かる。
【0063】
【表4】
【0064】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎない。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善および修正を行うことができ、これらの改善および修正はまた、本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【要約】
【課題】ネオジム鉄ホウ素永久磁石およびその製造方法と使用を提供する。
【解決手段】本発明は、永久磁石の技術分野に属する。本発明は、Ga、InおよびSn元素をネオジム鉄ホウ素永久磁石に導入し、従来技術における有機添加剤の導入によって引き起こされるネオジム鉄ホウ素永久磁石における高炭素および酸素含有量の問題を回避し、成形後の冷間等方圧加圧工程を排除し、製造コストを節約し、総合性能に優れたネオジム鉄ホウ素永久磁石を実現する。実施例の結果は、本発明により提供されるネオジム鉄ホウ素永久磁石が、高い残留磁気および高い保磁力を有する52Hネオジム鉄ホウ素永久磁石であり、残留磁気が20℃で14.4kGsに達することができ、固有保磁力が18.5kOeに達することができ、ハイエンドアプリケーション市場におけるネオジム鉄ホウ素永久磁石の競争力を高めるのに役立つことを示している。
【選択図】なし