(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】連続回転押出式表面補強型クッション、成形装置および方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/03 20190101AFI20220926BHJP
B29C 48/33 20190101ALI20220926BHJP
B29C 48/345 20190101ALI20220926BHJP
B29C 48/25 20190101ALI20220926BHJP
【FI】
B29C48/03
B29C48/33
B29C48/345
B29C48/25
(21)【出願番号】P 2021118963
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】2021103961462
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521319591
【氏名又は名称】大連塑研塑料科技開発有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】孫 成倫
(72)【発明者】
【氏名】宋 小川
(72)【発明者】
【氏名】孫 徳明
(72)【発明者】
【氏名】孫 俊
(72)【発明者】
【氏名】鄒 軍
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-088188(JP,A)
【文献】特開2002-088634(JP,A)
【文献】特開昭56-139937(JP,A)
【文献】特開昭51-132276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円柱体状であり、それぞれ内層網(1)と外層網(3)としての2層の回転網が不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層(2)を挟み込んでなり、内層網(1)と外層網(3)
が不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層(2)に熱融着されていることを特徴とする連続回転押出式表面補強型クッション。
【請求項2】
前記回転網の格子形状は、平行四辺形であることを特徴とする請求項1に記載の連続回転押出式表面補強型クッション。
【請求項3】
前記連続回転押出式表面補強型クッションの材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリオレフィン弾性体、およびPETよりなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載の連続回転押出式表面補強型クッション。
【請求項4】
請求項1に記載の連続回転押出式表面補強型クッションを製造する成形装置であって、前記成形装置は、内型(4)、外型(5)および中型(6)を備え、内型(4)、中型(6)および外型(5)が装置の中心軸から装置の外壁へ向かって順に対称的に設置され、中型(6)が多孔の流路であり、中型(6)と外型(5)の間に外層網(3)を製造する流路が形成され、中型(6)と内型(4)の間に内層網(1)を製造する流路が形成されることを特徴とする成形装置。
【請求項5】
請求項1に記載の連続回転押出式表面補強型クッションを製造する成形システムであって、順に接続される押出機(7)、溶融物ポンプ(8)、金型伝動装置(9)、成形装置(10)、定形冷却装置(11)、第1牽引装置(12)、水切り除湿装置(13)、第2牽引装置(14)、トリミング装置(15)、切断装置(16)、および製品受け台(17)を備えることを特徴とする成形システム。
【請求項6】
請求項5に記載の成形システムを用いて連続回転押出式表面補強型クッションを成形する方法であって、前記成形方法は、原料を押出機(7)から溶融物ポンプ(8)に押し出すと共に、金型伝動装置(9)にて成形装置(10)の回転を駆動し、成形装置(10)にて製品を成形し、定形冷却装置(11)にて製品を定形冷却し、第1牽引装置(12)にて製品を牽引し、水切り除湿装置(13)にて製品を乾燥し、さらに第2牽引装置(14)にて製品を牽引し、トリミング装置(15)にて製品をトリミングした後、切断装置(16)にて所定寸法の製品を得て、製品受け台(17)に落下させる工程を有することを特徴とする成形方法。
【請求項7】
前記成形装置が動作するときに、溶融した原料を圧力により流路に注ぎ、さらに内型(4)、中型(6)および外型(5)のそれぞれの流路に配分し、中型(6)における下への流路から不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層(2)を直接流し出し、中型(6)と内型(4)の境界および中型(6)と外型(5)の境界におけるそれぞれの流路から垂直なフィラメントを流し出し、内型(4)は中心軸に沿って回転して傾斜なフィラメントを形成し、傾斜なフィラメントと垂直なフィラメントは重ねて内層網(1)を形成し、外型(5)は中心軸に沿って回転して傾斜なフィラメントを形成し、傾斜なフィラメントと垂直なフィラメントは重ねて外層網(3)を形成し、内層網(1)、外層網(3)および不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層(2)は熱融着して連続回転押出式表面補強型クッションを形成することを特徴とする請求項6に記載の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品およびプラスチック成形の技術分野に属し、具体的に連続回転押出式表面補強型クッション、成形装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の不規則的に配列されたプラスチックフィラメントからなるクッションの押出成形の1つは、プレート金型を用いて不規則的に配列されたフィラメントを連続的に押出し、様々な厚みを有する製品を定形するが、この製品の表面フィラメントは不規則でフィラメント同士の接着堅牢度が低く、製品は崩れ・変形しやすい。押出成形のもう1つは、中空の金型を用いて不規則的に配列されたプラスチックフィラメントからなる円筒状物を連続的に押出し、様々な製品を定形するが、この製品は、内、外側の丸フィラメント同士の接着堅牢度が低く、脱落しやすい。よって、強固で規則な構造を有する、不規則的に配列されたプラスチックフィラメントから構成されるクッションは求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、不規則的に配列されたフィラメントからなるクッションの表面が不規則で接着堅牢度が低く、製品が崩れ・変形しやすいことや、製品の接着堅牢度が低く、脱落しやすいことなどの従来技術の欠点を克服するために、連続回転押出式表面補強型クッション、成形装置および方法を提供する。外層網と内層網により不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層を挟み込むことで、補強クッションの内部がより強固となる。金型内の成形方法を用いることで、補強クッションの重なり点での接着堅牢度がより高くなる。係る成形装置により補強クッションを効率的に製造することができる。係る成形方法により補強クッションを安定的に製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の前記目的は、下記の技術手段により達成される。即ち、成形後は中空円柱体状であり、それぞれ内層網と外層網としての2層の回転網が不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層を挟み込んでなり、内層網と外層網が金型内において溶融成形され、且つ不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層に熱融着されている連続回転押出式表面補強型クッション。
さらに、前記回転網の格子形状は、平行四辺形である。
【0005】
本発明では、さらに好ましくは、前記連続回転押出式表面補強型クッションの材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリオレフィン弾性体、およびPETよりなる群から選択されるものである。
【0006】
本発明に、連続回転押出式表面補強型クッションの成形装置が含まれる。係る装置は、外層網状構造と内層網状構造を回転押出すことができると共に、中間層としてフィラメント構造を押出すことができる。前記装置は、具体的に、内型、外型および中型を備え、内型、中型および外型が装置の中心軸から装置の外壁へ向かって順に対称的に設置され、中型が多孔の流路であり、中型と外型の間に外層網を製造する流路が形成され、中型と内型の間に内層網を製造する流路が形成される。成形装置が動作するときに、溶融した原料を圧力により流路に注ぎ、さらに内型、中型および外型のそれぞれの流路に配分し、中型における下への流路から不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層を直接流し出し、中型と内型の境界および中型と外型の境界におけるそれぞれの流路から垂直なフィラメントを流し出し、内型は中心軸に沿って回転して傾斜なフィラメントを形成し、傾斜なフィラメントと垂直なフィラメントは重ねて内層網を形成し、外型は中心軸に沿って回転して傾斜なフィラメントを形成し、傾斜なフィラメントと垂直なフィラメントは重ねて外層網を形成し、内層網、外層網および不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層は熱融着して連続回転押出式表面補強型クッションを形成する。
【0007】
本発明に、連続回転押出式表面補強型クッションの成形システムが含まれる。係る成形システムは、押出機、溶融物ポンプ、金型伝動装置、成形装置、定形冷却装置、牽引装置、水切り除湿装置、トリミング装置、切断装置、および製品受け台を備える。前記押出機、溶融物ポンプ、金型伝動装置、成形装置、定形冷却装置、第1牽引装置、水切り除湿装置、第2牽引装置、トリミング装置、切断装置、および製品受け台は、順に接続されている。
【0008】
連続回転押出式表面補強型クッションの成形方法は、原料を押出機から溶融物ポンプに押し出すと共に、金型伝動装置にて成形装置の回転を駆動し、成形装置にて製品を成形し、定形冷却装置にて製品を定形冷却し、第1牽引装置にて製品を牽引し、水切り除湿装置にて製品を乾燥し、さらに第2牽引装置にて製品を牽引し、トリミング装置にて製品をトリミングした後、切断装置にて所定寸法の製品を得て、製品受け台に落下させる工程を有する。
【0009】
さらに、成形装置により成形した中空円柱体状の連続回転押出式表面補強型クッションは、定形冷却装置にて圧力をかけられ、枕状の異形状のクッションとなる。
さらに、成形装置により成形した中空円柱体状の連続回転押出式表面補強型クッションは、定形冷却装置にて切断され、伸ばされ、板状のクッションとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来技術に比べて、下記の有益な効果を奏する。
1.係る製品は、不規則的に配列されたフィラメントに外層網と内層網を組み合わせたものである。前記外層網と内層網は、いずれも金型内において接着され、重なり点での接着堅牢度が高く、且つ不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層に熱融着されている。この製品の接着堅牢度が従来の単に不規則的に配列されたフィラメントからなる構造よりも遥かに高い。
2.一体化成形システムを用いることにより、連続回転押出式表面補強型クッションの生産效率を上げることができる。
3.連続的に回転押出することによる表面補強型クッションの成形方法を用いることにより、連続回転押出式表面補強型クッションの生産安定性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】連続回転押出式表面補強型クッションの側面の断面図。
【
図2】連続回転押出式表面補強型クッションの内、外層網の詳細を示す図。
【
図3】連続回転押出式表面補強型クッションの成形装置を示す図。
【
図4】連続回転押出式表面補強型クッションの成形システムを示す図。
【
図5】定形冷却装置による処理で得た枕状の異形状の製品及び板状の製品を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施例により本発明を詳しく説明するが、これらの実施例は本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明で使用する実験方法は、特に断りのない限り常法であり、使用する実験装置、材料、試薬等は全て市販のものである。
【実施例】
【0013】
実施例1
中空円柱体状の連続回転押出式表面補強型クッションの成形方法
原料を押出機7から溶融物ポンプ8に押し出し、溶融物ポンプ8において原料を溶融させ、成形装置10にポンプした。金型伝動装置9にて成形装置10の回転を駆動し、成形装置10を作動させた。成形装置10は、内型4、外型5および中型6を備えた。溶融した原料を圧力により流路に注ぎ、さらに内型4、中型6および外型5のそれぞれの流路に配分した。中型6における下への流路から不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層2を直接流し出し、中型6と内型4の境界および中型6と外型5の境界におけるそれぞれの流路から垂直なプラスチックフィラメントを流し出し、内型4は中心軸に沿って回転して傾斜なプラスチックフィラメントを形成し、傾斜なプラスチックフィラメントと垂直なプラスチックフィラメントは重ねて内層網1を形成し、外型5は中心軸に沿って回転して傾斜なプラスチックフィラメントを形成し、傾斜なプラスチックフィラメントと垂直なプラスチックフィラメントは重ねて外層網3を形成し、内層網1、外層網3および不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層2は熱融着して連続回転押出式表面補強型クッションを形成した。中型6は環状であり、内型4と外型5は立方体状で軸に沿って回転して中空円柱体状の表面補強型クッションを形成した。中空円柱体状の表面補強型クッションを定形冷却装置11において水冷定形した後、第1牽引装置12にて牽引し、水切り除湿装置13において定形冷却装置11による水冷定形の水分を除去した。その後、製品を第2牽引装置14にてトリミング装置15へ牽引し、トリミング装置15において加工処理した。トリミングされた製品を切断装置16にて切断し所定寸法の製品を得て、製品受け台17に落下させた。
【0014】
実施例2
枕状の異形状の連続回転押出式表面補強型クッションの成形方法
原料を押出機7から溶融物ポンプ8に押し出し、溶融物ポンプ8において原料を溶融させ、成形装置10にポンプした。金型伝動装置9にて成形装置10の回転を駆動し、成形装置10を作動させた。成形装置10は、内型4、外型5および中型6を備えた。溶融した原料を圧力により流路に注ぎ、さらに内型4、中型6および外型5のそれぞれの流路に配分した。中型6における下への流路から不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層2を直接流し出し、中型6と内型4の境界および中型6と外型5の境界におけるそれぞれの流路から垂直なプラスチックフィラメントを流し出し、内型4は中心軸に沿って回転して傾斜なプラスチックフィラメントを形成し、傾斜なプラスチックフィラメントと垂直なプラスチックフィラメントは重ねて内層網1を形成し、外型5は中心軸に沿って回転して傾斜なプラスチックフィラメントを形成し、傾斜なプラスチックフィラメントと垂直なプラスチックフィラメントは重ねて外層網3を形成し、内層網1、外層網3および不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層2は熱融着して連続回転押出式表面補強型クッションを形成した。中型6は環状であり、内型4と外型5は立方体状で軸に沿って回転して中空円柱体状の表面補強型クッションを形成した。圧力板を備えた定形冷却装置11において、中空円柱体状の表面補強型クッションに圧力をかけて枕状の異形状にし、さらに水冷定形した後、第1牽引装置12にて牽引し、水切り除湿装置13において定形冷却装置11による水冷定形の水分を除去した。その後、製品を第2牽引装置14にてトリミング装置15へ牽引し、トリミング装置15において加工処理した。トリミングされた製品を切断装置16にて切断し所定寸法の製品を得て、製品受け台17に落下させた。
【0015】
実施例3
板状の連続回転押出式表面補強型クッションの成形方法
原料を押出機7から溶融物ポンプ8に押し出し、溶融物ポンプ8において原料を溶融させ、成形装置10にポンプした。金型伝動装置9にて成形装置10の回転を駆動し、成形装置10を作動させた。成形装置10は、内型4、外型5および中型6を備えた。溶融した原料を圧力により流路に注ぎ、さらに内型4、中型6および外型5のそれぞれの流路に配分した。中型6における下への流路から不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層2を直接流し出し、中型6と内型4の境界および中型6と外型5の境界におけるそれぞれの流路から垂直なプラスチックフィラメントを流し出し、内型4は中心軸に沿って回転して傾斜なプラスチックフィラメントを形成し、傾斜なプラスチックフィラメントと垂直なプラスチックフィラメントは重ねて内層網1を形成し、外型5は中心軸に沿って回転して傾斜なプラスチックフィラメントを形成し、傾斜なプラスチックフィラメントと垂直なプラスチックフィラメントは重ねて外層網3を形成し、内層網1、外層網3および不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層2は熱融着して連続回転押出式表面補強型クッションを形成した。中型6は環状であり、内型4と外型5は立方体状で軸に沿って回転して中空円柱体状の表面補強型クッションを形成した。カッターを備えた定形冷却装置11において、中空円柱体状の表面補強型クッションをカッターで切断し、板状に伸ばし、さらに水冷定形した後、第1牽引装置12にて牽引し、水切り除湿装置13において定形冷却装置11による水冷定形の水分を除去した。その後、製品を第2牽引装置14にてトリミング装置15へ牽引し、トリミング装置15において加工処理した。トリミングされた製品を切断装置16にて切断し所定寸法の製品を得て、製品受け台17に落下させた。
【0016】
前記実施態様は、本発明が実施可能なすべての実施例ではなく、本発明の好ましい実施例であり過ぎない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0017】
1:内層網、2:不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層、3:外層網、4:内型、5:外型、6:中型、7:押出機、8:溶融物ポンプ、9:金型伝動装置、10:成形装置、11:定形冷却装置、12:第1牽引装置、13:水切り除湿装置、14:第2牽引装置、15:トリミング装置、16:切断装置、17:製品受け台
【要約】
【課題】本発明は、プラスチック製品およびプラスチック成形の技術分野に属し、連続回転押出式表面補強型クッション、成形装置および方法を提供する。
【解決手段】係る成形装置および成形方法により製造した、2層の回転網が不規則的に配列されたフィラメントからなる中間層を挟み込んでなる表面補強型クッションは、金型内において成形され、網製品と不規則的に配列されたフィラメント製品とが重なり点を有しており、接着堅牢度が高い。係る成形装置の生産效率が高い。係る成形方法の生産安定性が高い。
【選択図】
図1