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特許7146047業務管理システム、業務管理のためにコンピューターによって実行される方法、および、当該方法を実現するためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】業務管理システム、業務管理のためにコンピューターによって実行される方法、および、当該方法を実現するためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q10/06 324
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021172586
(22)【出願日】2021-10-21
【審査請求日】2021-12-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522226063
【氏名又は名称】株式会社ガバメイツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】塚野 俊樹
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126301(JP,A)
【文献】特開2008-065711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の業務フローを表わすデータの入力と、前記第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受ける入力手段と、
前記第1の業務フローを表わすデータと、前記第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶する記憶手段とを備え
前記第1の業務フローは、現在の業務フローであり、
前記第2の業務フローは、前記現在の業務フローの将来の業務フローであり、
前記将来の業務フローは、理想の業務フローと、前記理想の業務フローに至るまでの過渡的な目標とされる業務フローとを含む、業務管理システム。
【請求項2】
前記業務管理システムに接続された情報通信端末に、前記第1の業務フローと、前記第2の業務フローとを並べて表示させるための表示制御手段をさらに備える、請求項に記載の業務管理システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、複数の前記将来の業務フローを記憶する、請求項1または2に記載の業務管理システム。
【請求項4】
第1の業務フローを表わすデータの入力と、前記第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受ける入力手段と、
前記第1の業務フローを表わすデータと、前記第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記第1の業務フローを前記第2の業務フローに切り替えるのために必要な作業の進捗を管理する管理手段とを備える、業務管理システム。
【請求項5】
第1の業務フローを表わすデータの入力と、前記第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受ける入力手段と、
前記第1の業務フローを表わすデータと、前記第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記第2の業務フローの表示を現在の業務フローとしての表示に切り替える切替手段とを備える、業務管理システム。
【請求項6】
前記記憶手段は、バージョンごとに、前記第1の業務フローまたは前記第2の業務フローを記憶する、請求項1~5のいずれかに記載の業務管理システム。
【請求項7】
前記第2の業務フローの検討過程の情報を記憶する過程情報記憶手段をさらに備える、請求項1~のいずれかに記載の業務管理システム。
【請求項8】
業務管理のためにコンピューターによって実行される方法であって、
第1の業務フローを表わすデータの入力と、前記第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受けるステップと、
前記第1の業務フローを表わすデータと、前記第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶するステップとを含
前記第1の業務フローは、現在の業務フローであり、
前記第2の業務フローは、前記現在の業務フローの将来の業務フローであり、
前記将来の業務フローは、理想の業務フローと、前記理想の業務フローに至るまでの過渡的な目標とされる業務フローとを含む、方法。
【請求項9】
業務管理のためにコンピューターによって実行される方法であって、
第1の業務フローを表わすデータの入力と、前記第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受けるステップと、
前記第1の業務フローを表わすデータと、前記第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶するステップと、
前記第1の業務フローを前記第2の業務フローに切り替えるのために必要な作業の進捗を管理するステップとを含む、方法。
【請求項10】
業務管理のためにコンピューターによって実行される方法であって、
第1の業務フローを表わすデータの入力と、前記第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受けるステップと、
前記第1の業務フローを表わすデータと、前記第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶するステップと、
前記第2の業務フローの表示を現在の業務フローとしての表示に切り替えるステップとを含む、方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれかに記載の方法をコンピューターに実させるプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は業務管理を支援する技術に関し、より特定的には、業務フローの改善を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や自治体その他の組織における生産性向上という観点から、業務改善は継続的に必要となる。業務改善に関し、特開2019-185272号公報(特許文献1)は、「問診票情報に基づいて業務フローチャートおよび問題点を選択して問題点と業務フローチャートとが組み合わされた業務フローチャートを作成することが可能な業務フローチャート作成方法およびシステム」を開示している。具体的には、当該業務フローチャート作成方法は、「業務改善の前提となる業務フローチャートを作成する方法であって、業務に関わる問題をチェックするための複数の問診表に関する複数の問診表情報のうちの業種および業態に対応する業種および業態に応じた業務フローチャートを、業務フローチャート記憶手段に記憶された複数の業務フローチャートから選択する業務フローチャート選択工程と、業務フローチャートに応じた複数の問題点を、問診表情報に基づいて選択する問題点選択工程と、選択された問題点を業務フローチャート選択工程で選択された業務フローチャートに組み合わせて、問題点と業務フローチャートとが組み合わされた業務フローチャートを作成する組合せ工程と、を含む」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-185272号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に開示された技術によれば、同一業務に対して複数の業務フローを管理することができない。そして、現在の業務フローから改善した将来の業務フローを検討しても、日ごろ業務で使用する業務管理システムとは独立してなされており、将来の業務フローへ改善していく行動を根付かせることが困難であった。したがって、現在の業務フローを改善しつつ望ましい業務フローへの移行を支援する技術が必要とされている。
【0005】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、現在の業務フローを改善しつつ望ましい業務フローへの移行を支援する技術を提供することである。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ある実施の形態に従うと、業務管理システムが提供される。業務管理システムは、第1の業務フローを表わすデータの入力と、第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受ける入力手段と、第1の業務フローを表わすデータと、第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶する記憶手段とを備える。
【0007】
ある局面に従う業務管理システムにおいて、第1の業務フローは、現在の業務フローである。第2の業務フローは、現在の業務フローの将来の業務フローである。
【0008】
ある局面に従う業務管理システムにおいて、将来の業務フローは、理想の業務フローと、理想の業務フローに至るまでの過渡的な目標とされる業務フローとを含む。
【0009】
ある局面に従うと、業務管理システムは、業務管理システムに接続された情報通信端末に、第1の業務フローと、第2の業務フローとを並べて表示させるための表示制御手段をさらに備える。
【0010】
ある局面に従うと、記憶手段は、複数の将来の業務フローを記憶する。
ある局面に従うと、記憶手段は、バージョンごとに、第1の業務フローまたは第2の業務フローを記憶する。
【0011】
ある局面に従うと、業務管理システムは、第1の業務フローを第2の業務フローに切り替えるのために必要な作業の進捗を管理する管理手段をさらに備える。
【0012】
ある局面に従うと、業務管理システムは、第2の業務フローの表示を現在の業務フローとしての表示に切り替える切替手段をさらに備える。
【0013】
ある局面に従うと、業務管理システムは、第2の業務フローの検討過程の情報を記憶する過程情報記憶手段をさらに備える。
【0014】
他の実施の形態に従うと、業務管理のためにコンピューターによって実行される方法が提供される。この方法は、第1の業務フローを表わすデータの入力と、第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受けるステップと、第1の業務フローを表わすデータと、第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶するステップとを含む。
【0015】
さらに他の実施の形態に従うと、業務管理のためにコンピューターによって実行される方法を実現するためのプログラムが提供される。このプログラムはコンピューターに、第1の業務フローを表わすデータの入力と、第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受けるステップと、第1の業務フローを表わすデータと、第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶するステップとを実行させる。
【0016】
ある実施の形態に従うと、現在の業務フローを改善しつつ望ましい業務フローへの移行が支援され得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ある実施の形態に従うシステム10の構成の概要を表わす図である。
図2】コンピューター装置200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
図3】クライアント110のユーザーによる業務フローの登録を受け付ける画面の一例を表わす。
図4】業務フローの詳細を表示する画面400の一例を表わす図である。
図5】業務を改善するための情報がクライアント110に入力された状態を表わす図である。
図6】ある局面に従うサーバー120が備えるハードディスク5におけるデータの格納の一態様を表わす図である。
図7】ある局面に従うサーバー120が備えるハードディスク5におけるデータの格納の一態様を表わす図である。
図8】ある局面に従うサーバー120が備えるハードディスク5におけるデータの格納の一態様を表わす図である。
図9】ある局面にしたがってクライアント110のモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
図10】ある局面にしたがってクライアント110のモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
図11】ある局面にしたがってクライアント110のモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
図12】ある局面にしたがってクライアント110のモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
図13】ある局面において業務フローの登録を受け付けるためにサーバー120のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図14】業務フローを表示しつつ改善作業の進捗を管理するためにサーバー120のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図15】将来の業務フローが検討される過程を記憶するためにサーバー120が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図16】検討過程を表示するためにサーバー120が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図17】ある業務フローについて、現在の業務フロー(As-Is)と、次に目標とする業務フロー(Can-Be)とを表わす図である。
図18】現在の業務フロー(As-Is)と、将来の理想の業務フロー(To-Be)とを表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
[業務フロー改善システムの概要]
図1を参照して、業務フローの改善を支援するためのシステム10の構成について説明する。図1は、ある実施の形態に従うシステム10の構成の概要を表わす図である。
【0021】
以下、本明細書では、業務フローとは、一つの目的を達成するために行なわれる一連の業務をいう。各業務(またはタスクともいう。)は、当該業務フローを構成する管理の対象となり得るものである。たとえば、同一の業務フローが複数の主体の協働によって実現される場合、各主体がそれぞれ行なう業務は、管理、改善または省略の単位となり得る。
【0022】
システム10は、クライアント110と、サーバー120と、データベース130とを備える。クライアント110とサーバー120とは、ネットワーク190にそれぞれ接続されている。クライアント110およびサーバ-120は、周知の構成を有するコンピューター装置によって実現される。データベース130は、一台の記憶装置またはRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)のように複数の記憶装置によって実現され得る。他の局面において、データベース130は、サーバー120に組み込まれる形式であってもよい。ネットワーク190は、インターネットおよびイントラネットのいずれであってもよい。
【0023】
クライアント110は、通信部111と、表示部112と、操作部113とを備える。通信部111は、サーバー120と通信する。表示部112は、サーバー120から受信したデータに基づいて業務フローを表示する。操作部113は、クライアント110のユーザーによる命令の入力を受け付ける。たとえば、操作部113は、業務の流れを示す業務フローの入力を受け付ける。業務フローは、ユーザーが現在実施している業務フロー、現在の業務フローの理想的な業務フロー、現在の業務フローから理想的な業務フローへの移行段階に行なわれる過渡的な業務フローのいずれであってもよい。
【0024】
サーバー120は、通信部121と、業務フロー登録部122と、業務フロー検索部123と、表示内容生成部124と、改善作業進捗管理部125とを備える。通信部121は、クライアント110と通信する。業務フロー登録部122は、クライアント110によって送信された業務フローの登録を受け付ける。業務フロー検索部123は、クライアント110によって送信された検索クエリーを受信すると、検索条件を満たす業務フローをデータベース130から検索する。
【0025】
表示内容生成部124は、クライアント110の表示部112に画面を表示させるためのデータを生成する。当該データで表示される画面は、例えば、現在の業務フローを表示する画面、現在の業務フローと理想的な業務フローとを対比可能に表示する画面、現在の業務フローと、過渡的な業務フローと、理想的な業務フローとを対比可能に表示する画面、各業務フローを構成する各々の業務の詳細を表示する画面と、の少なくともいずれかを含み得る。
【0026】
改善作業進捗管理部125は、現在の業務フローの改善の進捗度を示す情報を保持する。例えば、ある業務フローが複数の業務から構成される場合、改善作業進捗管理部125は、各業務について、改善の必要性の有無、改善が必要な場合における改善の進捗度、改善の完了予定日などを保持する。換言すると、改善作業進捗管理部125は、所謂プロジェクトマネジメントの機能の一部を有するともいえる。
【0027】
データベース130は、現在の業務フロー、理想的な業務フローおよび過渡的な業務フローの各々を保持している。ある局面において、データベース130は、組織別にそれぞれの業務フローを保持する。例えば、データベース130は、サーバー120がクライアント110を使用する組織から受信した現在の業務フローと、実現可能な業務フローと、将来の業務フローとを関連付けて保持している。また、データベース130は、各業務フローのデータをバージョン管理しているので、過渡的な業務フローの検索が容易になる。
【0028】
[コンピューター装置の構成]
図2を参照して、情報処理装置の一態様であるコンピューター装置200の構成について説明する。図2は、コンピューター装置200のハードウェア構成を表わすブロック図である。コンピューター装置200は、クライアント110またはサーバー120として機能する。
【0029】
コンピューター装置200は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)1と、コンピューター装置200の使用者による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、通信インターフェイス(I/F)7と、モニター8とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)9その他の光ディスクが装着される。
【0030】
コンピューター装置200における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されて、コンピュータープログラムとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なアプリケーションプログラムとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他の読取装置によりその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0031】
図2に示されるコンピューター装置200を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本開示に係る技術思想の本質的な部分の一つは、RAM4、ハードディスク5、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。記録媒体は、一時的でない、コンピューター読取可能なデータ記録媒体を含み得る。なお、コンピューター装置200の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0032】
なお、記録媒体としては、ハードディスク5またはCD-ROM9に限られず、SSD(Solid State Drive)、磁気テープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリー等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0033】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0034】
ある局面において、1または複数のコンピューター装置200は、クライアント110として機能する。この場合、通信インターフェイス7は、通信部121として機能する。モニター8は、表示部112として機能する。マウス2またはキーボード3は、操作部113として機能する。
【0035】
また、他のコンピューター装置200は、サーバー120として機能する。この場合、通信インターフェイス7は、通信部121として機能する。CPU1は、業務フロー登録部122、業務フロー検索部123、表示内容生成部124、および、改善作業進捗管理部125として機能する。他の局面において、一つのCPU1の代わりに、複数のプロセッサが業務フロー登録部122、業務フロー検索部123、表示内容生成部124、および、改善作業進捗管理部125として全体として機能し得る。
【0036】
図3図5を参照して、クライアント110における画面の一態様について説明する。図3は、クライアント110のユーザーによる業務フローの登録を受け付ける画面の一例を表わす。
【0037】
クライアント110のモニター8は、画面300を表示する。画面300は、入力項目として、ユーザーによって登録された業務フローを構成する各業務を識別する番号310と、当該業務の内容320と、当該業務の作成日または更新日330と、当該業務の運用が開始された運用開始日340とを含む。たとえば、ユーザーが、画面300において、内容320と、作成日または更新日330と、運用開始日340とを入力して、入力したデータのアップロードを指示すると、入力された各データは、クライアント110からサーバー120に送信され、さらに、データベース130に格納される。
【0038】
図4は業務フローの詳細を表示する画面400の一例を表わす図である。画面400は、クライアント110のモニター8に表示される。画面400は、Can-Be(実現可能な姿)およびTo-Be(将来の理想的なあるべき姿)という二種類の業務フローの各業務について、改善に必要な作業と、当該作業の進捗を示す情報とを表示する。
【0039】
より具体的には、ユーザーは、Can-Beとしての業務フローおよびTo-Beとしての業務フローのいずれについても、改善に必要な作業を領域410,430に、進捗を示す情報を領域420,440にそれぞれ入力できる。入力の形式は、マウス2またはキーボード3を用いた自由入力形式、または、予め準備された項目からの選択式のいずれであってもよい。さらに他の局面において、クライアント110が音声入力機構を有している場合は、ユーザーの発話がテキスト変換されて各領域に入力されてもよい。図4に示される情報は、クライアント110で入力された後、サーバー120に送信され、サーバー120によってデータベース130に記録される。記録される情報は、当該業務フローを実施する組織の識別情報に関連付けられている。したがって、他のクライアント110のユーザーも、当該識別情報を入力することにより、当該他のクライアント110でも当該業務フローの情報を閲覧できる。
【0040】
図5は、業務を改善するための情報がクライアント110に入力された状態を表わす図である。ユーザーが、クライアント110の入力装置を用いて問題事象、原因および試作の方向性のそれぞれの内容を入力すると、RAM4に保持され、モニター8に表示される。ユーザーが入力した内容を確定すると、クライアント110のCPU1は、RAM4に保持されているデータをサーバー120に送信する。
【0041】
ある局面において、クライアント110のモニター8は、テーブル500を表示する。テーブル500は、領域510~560を含む。
【0042】
領域510は、問題事象を分類するための情報を表示する。当該情報は、例えば、予め準備された項目から該当する項目を選択する形式で入力され得る。他の局面において、ユーザーが追加で情報を入力できる態様が採用され得る。
【0043】
領域520は、当該問題事象の内容を表示する。当該内容は、自由入力が可能であり、ユーザーが文字情報を用いて詳細を入力できる。
【0044】
領域530は、当該問題事象の原因を分類する情報を表示する。当該情報は、例えば、予め準備された項目から該当する項目を選択する形式で入力され得る。他の局面において、ユーザーが追加で情報を入力できる態様が採用され得る。
【0045】
領域540は、当該原因の内容を表示する。当該内容は、自由入力が可能であり、ユーザーが文字情報を用いて詳細を入力できる。
【0046】
領域550は、当該問題事象に対する施策の方向性を分類する情報を表示する。当該情報は、例えば、予め準備された項目から該当する項目を選択する形式で入力され得る。他の局面において、ユーザーが追加で情報を入力できる態様が採用され得る。
【0047】
領域560は、当該施策の方向性の内容を表示する。当該内容は、自由入力が可能であり、ユーザーが文字情報を用いて詳細を入力できる。
【0048】
[データ構造]
図6図8を参照して、サーバー120のデータ構造について説明する。図6図8は、それぞれサーバー120が備えるハードディスク5におけるデータの格納の一態様を表わす図である。
【0049】
図6に示されるように、ハードディスク5は、業務フローを規定するためのテーブル600を含む。テーブル600は、領域610~640を含む。領域610は、データ項目の番号を含む。領域620は、当該データ項目の論理名を含む。領域630は、当該データの物理名を含む。領域640は、当該データ項目のデータ型を含む。
【0050】
図7に示されるように、ハードディスク5は、改善に必要な作業を規定するためのテーブル700を含む。テーブル700は、領域710~740を含む。領域710は、データ項目の番号を含む。領域720は、当該データ項目の論理名を含む。領域730は、当該データの物理名を含む。領域740は、当該データ項目のデータ型を含む。
【0051】
図8に示されるように、ハードディスク5は、業務改善の検討過程を規定するためのテーブル800を含む。テーブル800は、領域810~840を含む。領域810は、データ項目の番号を含む。領域820は、当該データ項目の論理名を含む。領域830は、当該データの物理名を含む。領域840は、当該データ項目のデータ型を含む。
【0052】
[画面の表示例]
図9図12を参照して、画面の表示例について説明する。図9図12は、それぞれ、クライアント110のモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
【0053】
図9に示されるように、クライアント110は、ある業務に対してサーバー120から受信した3種類の業務フローのデータ、すなわち、現在の業務フロー(As-Is)、次に目標とする業務フロー(Can-Be)、および、最終目標の理想的な業務フロー(To-Be)の各データをRAM4に保持し、その各データに基づいて業務フローを並べてモニター8に表示できる。より具体的には、モニター8は、フロー910,920,フロー930を表示する。なお、複数の業務フローを並べて表示する態様は、左右に配列する態様に限られず、上下に業務フローを並べる態様、あるいは、各業務フローをオーバーラップさせて表示する態様であってもよい。
【0054】
また、サーバー120は、各業務フローのデータをバージョン毎に記憶可能であり、クライアント110は、サーバー120から各バージョンのデータを受信し、そのデータを保持している。したがって、クライアント110のユーザーは、モニター8に表示されたバージョン940を選択することで、モニター8に表示させる業務フローのバージョンを切り替えることができる。
【0055】
フロー910は、現在の業務フロー(As-Is)を表わす。一例として、現在の業務フローは、8つの業務からなり、各業務の関係者(申請者、係、外部)が示されている。図9の例では、最初のタスクは申請者によって行なわれて係に引き渡され、係の者が次のタスクを行なうことを示している。その後、当該業務は外部に委託され、二つのタスクが外部の事業者等によって行なわれる。その後、当該業務は、外部から内部の係の者に渡され、四つのタスクが当該係によって行なわれる。
【0056】
フロー920は、次に目標とする業務フロー(Can-Be)を表わす。一例として、タスク950には、アイコン951が付されている。アイコン951は、そのアイコンが付されたタスク950が簡素化できることを示している。たとえば、業務フローの分析の過程において、改善策として簡素化が見出された場合には、クライアント110のユーザーは、タスク950に対してアイコン951を関連付ける操作を行なうことで、第三者もタスク950が業務改善の対象となることを知ることができる。他の局面において、タスク950の内容を規定するデータが業務改善のためのデータに書き換えられた場合、その書き換えられたことに基づいてアイコン951がCPU1によって自動的に関連付けられてもよい。
【0057】
フロー930は、最終目標の業務フロー(To-Be)を表わす。一例として、フロー920においてタスク950として示されていた二番目のタスクは、その内容が変更されることに基づいてタスク960として示されている。タスク960には、アイコン961が付されている。アイコン961は、タスク950がタスク960のように改善されることを示している。六番目のタスク970には、アイコン971が関連付けられている。アイコン971は、当該六番目のタスクが、当該業務フローから排除されるものであることを示されている。すなわち、理想の業務フローが実現された場合には、タスク970は、当該理想の業務フローには存在しなくなる。
【0058】
八番目のアイコン980には、アイコン981が関連付けられている。アイコン981は、アイコン951と同様に、当該八番目のタスクが簡素化可能であることを示している。
【0059】
図10は、タスクの改善に必要な作業の進捗を管理する画面がポップアップ表示された状態を表わす。ある局面において、ユーザーが、タスク950またはアイコン951を押下すると、モニター8は、領域1010をポップアップ表示する。領域1010は、当該タスク950を改善するために必要な詳細情報(例、具体的な作業の内容)と、その進捗状況とを表示する。領域1010は、領域1011,1012を含む。
【0060】
ある局面において、領域1011は、サーバー120に格納されているデータに基づいて改善に必要な作業を表示する。他の局面において、ユーザーは、領域1011に対して改善に必要な作業を入力できる。入力の形態は、特に限定されない。
【0061】
領域1012は、サーバー120に格納されているデータに基づいて、当該作業の進捗状況を表示する。進捗状況は、未着手、進行中および完了のいずれかを含む。その他のステータスが進捗状況として使用されてもよい。各作業の進捗状況が全て「完了」になると、サーバー120またはクライアント110のCPU1は、当該タスクの改善が完了したと判定する。他の局面において、ユーザーは、領域1012に対して、進捗状況を示す情報を入力できる。入力の形態は特に限定されないが、予め準備された項目から選択する形式であってもよい。領域1010がポップアップ表示されることで、当該業務フローの改善の担当者は、進捗状況を容易に確認することができる。
【0062】
図11は、業務フローの改善の完了に応じて画面が切り替えられる一例を表わす図である。たとえば、CPU1は、当該業務フローを構成するタスクに含まれる一以上の作業の改善の進捗状況が「完了」になったか否かに応じて、改善が完了したか否かを判定する。
【0063】
状態(A)に示されるように、現在の業務フロー(As-Is)から、次に目標とする業務フロー(Can-Be)への改善が完了した場合、モニター8は、ポップアップ画面1110を表示する。ポップアップ画面1110は、業務フローの切り替えの要否を問い合わせるメッセージを表示する。ユーザーが、ポップアップ画面1110において「はい」を選択すると、クライアント110のCPU1は、画面の切り替えを指示するメッセージをサーバー120に送信する。サーバー120は、その指示を受信すると、To-Beの業務フローの配置を維持した状態で、現在のAs-Isが表示されている場所に、改善に必要な作業が完了したCan-Beの業務フローを配置するデータを生成する。サーバー120は、その生成したデータをクライアント110に送信する。クライアント110は、当該データを受信すると、これまでのAs-Isの業務フローがCan-Beの業務フローに置き換えられた業務フローをモニター8に表示する(状態B)。これにより、これまでのCan-Beの業務フローは、新たなAs-Isの業務フローとなり、理想の業務フロー(To-Be)への改善のための新たなスタートとなる。
【0064】
図12は、画面の切り替えの他の例を表わす図である。業務フローの改善の対象となる業務(タスク)には、問題事象、原因および施策の方向性が関連付けられている。したがって、クライアント110のユーザーは、モニター8に表示されているタブを切り替えることにより、問題事象、原因および施策の方向性を確認することができる。
【0065】
より具体的には、状態(A)に示されるように、モニター8は、三種類の業務フローを表示している。さらに、モニター8は、表示される画面に対応付けられたタブ1210,1220等を表示している。状態(A)では、タブ1210が選択されてアクティブになっており、各業務フローが表示されている。ユーザーがタブ1220を選択すると、モニター8は、問題事象、原因および施策の方向性を表示する画面に切り替える(状態B)。これにより、業務フローを構成する各業務のうち該当する業務について、クライアント110のユーザーは、問題事象、原因および施策の方向性を容易に確認することができる。
【0066】
[制御構造]
図13図16を参照して、サーバー120の制御構造について説明する。図13は、ある局面において業務フローの登録を受け付けるためにサーバー120のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0067】
ステップS1310にて、CPU1は、クライアント110に対する操作に応じてクライアント110から送信される信号に基づいて、システム10へのログインを検知する。
【0068】
ステップS1320にて、CPU1は、クライアント110に対して入力されるデータに基づいて生成された業務フローのデータを、クライアント110から受信する。
【0069】
ステップS1330にて、CPU1は、当該業務フローが新規の業務フローであるか否かを判断する。CPU1は、当該業務フローが新規の業務フローであると判断すると(ステップS1330にてYES)、制御をステップS1340に切り替える。そうでない場合には(ステップS1330にてNO)、CPU1は制御をステップS1350に切り替える。
【0070】
ステップS1340にて、CPU1は、当該業務フローのデータを、新規の業務フロー(バージョン1)として、ハードディスク5のデータベースに登録する。
【0071】
ステップS1350にて、CPU1は、当該業務フローのデータを、既存の業務フローの最新バージョンとして、ハードディスク5のデータベースに登録する。
【0072】
図14は、業務フローを表示しつつ改善作業の進捗を管理するためにサーバー120のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0073】
ステップS1410にて、CPU1は、クライアント110に対する操作に応じてクライアント110から送信される信号に基づいて、システム10へのログインを検知する。
【0074】
ステップS1415にて、CPU1は、クライアント110から受信したデータに基づいて、ハードディスク5のデータベースから業務フローを検索する。クライアント110から受信するデータは、クライアント110の識別番号と、業務フローの識別番号または名称と、抽出命令とを含み得る。
【0075】
ステップS1420にて、CPU1は、検索した業務フローについて、現在の業務フローと将来の業務フローとを並べて表示するためのデータを生成し、生成したデータをクライアント110に送信する。クライアント110は、そのデータを受信すると、現在の業務フローと将来の業務フローとをモニター8に並べて表示する。
【0076】
ステップS1425にて、CPU1は、将来の業務フローの全ての改善に必要な作業が完了したか否かを判断する。この判断は、各作業の進捗状況が全て「完了」になっているか否かに基づいて行なわれる。CPU1は、当該作業が完了したと判断すると(ステップS1425にてYES)、制御をステップS1460に切り替える。そうでない場合には(ステップS1425にてNO)、CPU1は、制御をステップS1430に切り替える。
【0077】
ステップS1430にて、CPU1は、将来の業務フローの作業が新たに選択されたか否かを判断する。CPU1は、当該将来の業務フローの作業が新たに選択されたと判断すると(ステップS1430にてYES)、制御をステップS1435に切り替える。そうでない場合には(ステップS1430にてNO)、CPU1は制御をステップS1430に戻す。
【0078】
ステップS1435にて、CPU1は、改善に必要な作業が登録されているか否かを判断する。CPU1は、改善に必要な作業が登録されていると判断すると(ステップS1435にてYES)、制御をステップS1440に切り替える。そうでない場合には(ステップS1435にてNO)、CPU1は制御をステップS1430に戻す。
【0079】
ステップS1440にて、CPU1は、改善に必要な作業の一覧とその進捗を表示する。
【0080】
ステップS1445にて、CPU1は、進捗の更新指示があったか否かを判断する。CPU1は、進捗の更新指示があったと判断すると(ステップS1445にてYES)、制御をステップS1450に切り替える。そうでない場合には(ステップS1445にてNO)、CPUは、制御をステップS1430に戻す。
【0081】
ステップS1450にて、CPU1は、データベースの業務フローの進捗を更新する。
ステップS1455にて、CPU1は、将来の業務フローの全ての改善に必要な作業が完了したか否かを判断する。CPU1は、当該必要な作業が完了したと判断すると(ステップS1455にてYES)、制御をステップS1460に切り替える。そうでない場合には(ステップS1455にてNO)、CPU1は、制御をステップS1430に戻す。
【0082】
ステップS1460にて、CPU1は、将来の業務フローを現在の業務フローに切り替えるか否かのメッセージを表示する。より具体的には、CPU1は、クライアント110に当該メッセージを表示させるためのデータを生成し、生成したデータをクライアント110に送信する。クライアント110は、当該メッセージをモニター8に表示する。ユーザーがメッセージに対する返信を操作すると、その返信に応じた信号が、クライアント110からサーバー120に送信される。
【0083】
ステップS1465にて、CPU1は、切り替えが選択されたか否かを判断する。この判断は、クライアント110から当該切り替えを指示するデータを受信したか否かに基づいて行なわれる。CPU1は、当該切り替えが選択されたと判断すると(ステップS1465にてYES)、制御をステップS1470に切り替える。そうでない場合には(ステップS1465にてNO)、CPU1は処理を終了する。
【0084】
ステップS1470にて、CPU1は、将来の業務フローを現在の業務フローに置き換え、最新バージョンとしてデータベースを更新する。
【0085】
ステップS1475にて、CPU1は、表示する業務フローを最新バージョンに切り替える。
【0086】
図15は、将来の業務フローが検討される過程を記憶するためにサーバー120が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。一例として、ユーザーがクライアント110を操作して、業務フローを改善するための情報を入力すると、その情報はクライアント110からサーバー120に送信され、サーバー120は、その情報をデータベース130に格納する。業務フローを改善するための情報は、当該業務フローを構成する各業務(タスク)を実現する手段を他の手段に変更すること(たとえば、用紙からソフトウェアによる自動入力への変更)、当該業務の主体を新たな実行主体にすること(サービスを提供する外部の事業者に委託)等を含む。
【0087】
ステップS1510にて、サーバー120のCPU1は、クライアント110から受信する情報に基づいて、ログインを検知する。ログインする画面は、システム10が最初に表示する初期画面、および、業務フローの改善のための画面のいずれであってもよい。ログインしたユーザーが予め登録されたユーザーであることが認証されると、CPU1は、初期画面またはクライアント110のユーザーが希望する画面へのアクセスを許可する。
【0088】
ステップS1520にて、CPU1は、業務フローの検索要求を受信する。例えば、クライアント110のユーザーが業務フローを検索するための情報として、業務フローの番号、業務フローを管理する部署、各業務を実行する主体、あるいは業務に関するキーワードを入力すると、当該情報は、クライアント110からサーバー120に送信される。サーバー120は、当該情報を受信すると、当該情報を検索キーとしてデータベース130から該当する業務フローを抽出し、抽出した業務フローのデータをクライアント110に送信する。クライアント110は、当該データを受信すると、当該データに基づく画面をモニター8に表示する。なお、サーバー120がデータベース130から検索した結果、複数の候補が抽出された場合には、サーバー120は、複数の候補の各々のデータをクライアント110に送信してもよい。この場合、クライアント110は、業務フローを表示する前に複数の候補の一覧と、いずれかの業務フローの選択を促すメッセージとをモニター8に表示し得る。ユーザーがいずれかの業務フローを選択すると、選択された業務フローの識別情報がサーバー120に送信される。サーバー120は、その識別情報に基づいて、選択された業務フローを表示するためのデータをデータベース130から抽出し、その抽出したデータをクライアント110に送信する。
【0089】
ステップS1530にて、CPU1は、検討過程の情報を受領する。一例として、CPU1は、業務フローの改善を検討するためにクライアント110に入力された情報をクライアント110から受信する。より詳しくは、クライアント110のユーザーが、現在の業務フローのいずれかの業務の詳細(作業)を別の作業に変更するための情報を入力すると、その情報は、検討過程の情報としてクライアント110からサーバー120に送信される。検討過程の情報は、例えば、既存の業務(タスク)を実行する主体の代替可能な他の主体、既存の業務を実行するための既存の手段とは異なる新たな手段を含む。
【0090】
ステップS1540にて、CPU1は、クライアント110から受領した検討過程を表わす情報を、最新の検討過程の情報としてデータベース130に登録する。たとえば、CPU1は、業務フローの識別番号、改善の対象となる業務の識別番号、改善により取り入れられる作業の内容、当該作業の実行主体等をデータベース130に記録する。その後、当該業務フローについての情報がクライアント110その他の端末から要求された場合には、サーバー120は、当該情報を抽出して、要求を送信したクライアントまたは他の端末にその情報を送信する。当該情報を受信したクライアント110または他の端末は、その情報に基づき、検討過程にある業務フローの情報をモニター8に表示する。これにより、検討過程にある業務フローの情報は、クライアント110または他の端末の各ユーザーによって共有され得る。
【0091】
図16は、検討過程を表示するためにサーバー120が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0092】
ステップS1610にて、CPU1は、クライアント110から受信したデータに基づいて、ログインを検知する。ログインの対象となる画面は、業務フローを閲覧する初期画面、業務フローの検討や改善のために入力が行なわれる画面のいずれであってもよい。ログイン要求の認証が成功すると、サーバー120は、クライアント110からの要求を受け付ける状態となる。
【0093】
ステップS1620にて、CPU1は、クライアント110から受信したデータに基づいて、業務フローを検索する。たとえば、ユーザーが、改善を希望する業務フローを特定する情報をクライアント110に入力すると、当該特定する情報は、クライアント110からサーバー120に送信される。この情報は、業務フローの識別番号、業務フローの名称等であり得る。サーバー120は、当該情報に基づいて、当該業務フローについて、現在の業務フロー(As-Is)および将来の業務フロー(Can-Be、To-Be)の情報を抽出する。
【0094】
ステップS1630にて、CPU1は、クライアント110に、現在の業務フローと将来の業務フローとを並べて表示させる。具体的には、サーバー120は、抽出した情報を用いて、これらの業務フローを並べて表示するための描画データを生成する。サーバー120は、生成した描画データをクライアント110に送信する。クライアント110は、描画データを受信すると、各業務フローを並べてモニター8に表示する。ユーザーは、現在の業務フロー(As-Is)と、将来の業務フロー(Can-BeまたはTo-Be)とを対比しながら確認することができる。
【0095】
ステップS1640にて、CPU1は、検討過程の業務フローの表示への切り替え要求があったか否かを判断する。この処理は、サーバー120が、クライアント110から切り替えを要求するメッセージを受信した場合に実行される。CPU1は、クライアント110から受信したメッセージが検討過程の業務フローの表示への切り替えを要求していると判断すると(ステップS1640にてYES)、制御をステップS1650に切り替える。そうでない場合には(ステップS1640にてNO)、CPU1は、制御をステップS1640に戻す。
【0096】
ステップS1650にて、CPU1は、表示中の業務フローの検討過程をクライアント110に表示させる。より具体的には、サーバー120は、表示中の業務フローに関連付いた検討過程の最新バージョンをデータベース130から取得し、当該最新バージョンの業務フローのデータをクライアント110に送信する。クライアント110は、そのデータを受信すると、当該データに基づいて、検討過程の最新バージョンの業務フローをモニター8に表示する。
【0097】
[業務フローの詳細例]
図17および図18を参照して、業務フローの詳細例について説明する。図17は、ある業務フローについて、現在の業務フロー(As-Is)と、次に目標とする業務フロー(Can-Be)とを表わす図である。
【0098】
図17において、状態(A)として示されるように、現在の業務フローは、家畜保健所と、監督官庁(本庁)と、獣医師とによって遂行される。
【0099】
一例として、ステップS1700にて、本庁は、ある届出の周知依頼を行なう。この周知依頼は、本庁から家畜保健所に送信される。送信の形態は、郵送、電子メール、ファクシミリ、イントラネットでの告知等のいずれであってもよい。
【0100】
ステップS1710にて、家畜保健所の担当者は、各獣医師へ当該届出を通知する。通知の形態は特に限定されず、例えば、郵送、ファクシミリ、電子メール等が用いられ得る。
【0101】
ステップS1720にて、獣医師は、家畜保健所から受信した通知に基づいて、届出書を入手する。ステップS1730にて、獣医師は、届出書に所定事項を記入し、記入後の届出書を本庁に郵送する。
【0102】
ステップS1740にて、本庁の担当者は、獣医師から郵送された届出書を受領する。さらに、担当者は、当該届出書の受領を受け付けて届出書を開封する。
【0103】
ステップS1750にて、本庁の担当者は、受領した届出書に通し番号を記入する。ステップS1760にて、本庁の担当者は、受領した届出書の内容をスプレッドシート(たとえば、Excel(登録商標))に入力する。
【0104】
ステップS1770にて、本庁の担当者は、他の都道府県在住者からの届出を転送する。ステップS1780にて、本庁の担当者は、当該届出について起案を行ない、管理者による決裁を受ける。ステップS1790にて、本庁の担当者は、決裁を受けた届出を国に提出する。
【0105】
当該業務フローについて、本庁の担当者が改善を希望する場合、全体の業務フローについて理想的な将来の業務フロー(To-Be)を想定しつつ、現実に実施可能な次に目標とする業務フロー(Can-Be)を想定する。以下では、次に目標とする業務フロー(Can-Be)が検討された場合について説明する。
【0106】
図17において、状態(B)として示されるように、家畜保健所による通知業務が、次に目標とする業務フロー(Can-Be)から省略されている。すなわち、ステップS1715にて、本庁の担当者は、家畜保健所ではなく、獣医師に直接通知する。この場合、改善のための施策として、郵送やファクシミリの利用に変えて、電子データでのやりとりを想定して電子メールを用いた連絡が採用されている。これにより、本庁と家畜保健所との連絡業務がなくなると共に、獣医師から受領する連絡が電子データ化される。
【0107】
さらに、ステップS1765にて、本庁の担当者は、従来の手入力に代えて自動入力により、スプレッドシートにデータを入力する。たとえば、スプレッドシートへのデータ入力は、AI-OCR(Artificial Intelligence-Optical Character Recognition/Reader)またはRPA(Robotic Process Automation)のような自動化のためのツールが採用される。
【0108】
以上のようにして、現在の業務フロー(As-Is)は、次に目標とする業務フロー(Can-Be)に改善され得る。状態(B)のように規定された業務フローのデータは、クライアント110からサーバー120に送信され、タイムスタンプおよびバージョン情報と共に、データベース130に蓄積される。
【0109】
図18は、現在の業務フロー(As-Is)と、将来の業務フロー(To-Be)とを表わす図である。なお、状態(A)は、図17の状態(A)と同じであるので、状態(A)の説明は繰り返さない。
【0110】
状態(B)に示されるように、将来の業務フローでは、現在採用されている届出書の入手および記入・郵送という処理は、業務改善の対象とされる。具体的には、当該処理は電子化され、電子申請の方式が採用される。より詳しくは、状態(A)で示されているステップS1720およびステップS1730の業務が、ステップS1810として示されるように、届出書の電子申請に変更される。
【0111】
さらに、状態(B)においてステップS1820として包括的に示されるように、現在の業務フローにおけるステップS1740~ステップS1770までの各業務は、全体として改善される。
【0112】
具体的には、ステップS1741にて、本庁の担当者は、獣医師による電子申請されたデータを受信すると、電子的に受付を行ない電子データを開封する。電子データは、当該業務に関するデータを格納するために予め準備された領域に保持され得る。
【0113】
ステップS1751にて、本庁の担当者は、受領した届出書の電子データに通し番号を関連付ける。当該届出書と通し番号とは、関連付けられた状態で、クライアント110からサーバー120に送信され、データベース130に格納される。
【0114】
ステップS1761にて、本庁の担当者は、クライアント110を操作して、スプレッドシートを自動作成し、提出用紙を出力する。例えば、システム10の一例である電子申請システムは、RPAを用いて用紙を出力する。
【0115】
ステップS1771にて、本庁の担当者は、他の都道府県からの届出として電子申請されたものを転送する。
【0116】
以上のようにして、現在の業務フローは、電子申請システムを用いた将来の業務フローに変更され得る。
【0117】
本明細書および図面を参照して開示された技術的特徴の一部は、以下のように要約され得る。
【0118】
[構成1]ある実施の形態に従うと、システム10が提供される。システム10は、サーバー120によって実現される。サーバー120のCPU1は、通信インターフェイス7を介して、第1の業務フローを表わすデータの入力と、第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フローを表わすデータの入力とをそれぞれ受ける。これらのデータは、クライアント110から送信される。サーバー120は、第1の業務フローを表わすデータと、第2の業務フローを表わすデータとを関連付けてハードディスク5に記憶し、さらに、データベース130にこれらのデータを格納する。
【0119】
[構成2]ある局面に従うシステム10において、第1の業務フローは、現在の業務フロー(As-Is)である。第2の業務フローは、現在の業務フローの将来の業務フロー(Can-BeまたはTo-Be)である。
【0120】
[構成3]ある局面に従うシステム10において、将来の業務フローは、理想の業務フロー(To-Be)と、理想の業務フローに至るまでの過渡的な目標とされる業務フロー(Can-Be)とを含む。
【0121】
[構成4]ある局面に従うと、システム10は、システム10と通信可能に接続されたクライアント110に、第1の業務フローと、第2の業務フローとを並べて表示させる。例えば、サーバー120のCPU1は、現在の業務フローと将来の業務フローとを並べて表示するための描画データを生成し、生成した描画データをクライアント110に送信する。クライアント110は、この描画データに基づいてモニター8に現在の業務フローと将来の業務フローとを並べて表示する。
【0122】
[構成5]ある局面に従うと、ハードディスク5またはデータベース130は、複数の将来の業務フローを記憶する。
【0123】
[構成6]ある局面に従うと、ハードディスク5またはデータベース130は、バージョンごとに、第1の業務フローまたは第2の業務フローを記憶する。例えば、クライアント110のユーザーが現在の業務フローを改善するための業務フローを入力した状態で保存操作を行なうと、サーバー120は、当該改善するための業務フローが現在の業務フローの進化版であることが分かるように、予め定められたルールに基づくバージョン番号を当該改善するための業務フローに関連付ける。サーバー120は、バージョン番号が付された業務フローのデータをハードディスク5またはデータベース130に格納すると、当該バージョン番号と共に、当該改善するための業務フローが格納されたことをクライアント110に通知する。
【0124】
[構成7]ある局面に従うと、システム10は、第1の業務フローを第2の業務フローに切り替えるのために必要な作業の進捗を管理する。たとえば、ユーザーがクライアント110において、各業務のいずれかを改善するための施策や進捗状況を入力すると、入力された施策および進捗状況は、クライアント110からサーバー120に送信される。サーバー120は、受信した施策および進捗状況を、当該業務フローの改善を管理するデータとして、ハードディスク5またはデータベース130に格納する。
【0125】
[構成8]ある局面に従うと、システム10は、第2の業務フローの表示を現在の業務フローとしての表示に切り替える。例えば、サーバー120は、クライアント110から受信した切り替え信号に基づいて、クライアント110における表示を切り替えるための描画データを生成する。
【0126】
[構成9]ある局面に従うと、システム10は、第2の業務フローの検討過程の情報を記憶する。例えば、サーバー120は、現在の業務フローを改善して将来の業務フローとするために検討された改善案としての新たな作業およびその具体的な内容などをクライアント110から受信すると、受信したデータをハードディスク5またはデータベース130に格納する。サーバー120は、その後、クライアント110からデータの呼出し要求を受信した場合、要求されているデータをハードディスク5またはデータベース130から読み出して、クライアント110に当該読み出したデータを送信できる。これにより、ユーザーは、クライアント110とは別のクライアント110からデータを要求した場合でも、それまでのデータに基づく業務フローの内容を確認することができる。
【0127】
[構成10]他の実施の形態に従うと、業務管理のためにコンピューターによって実行される方法が提供される。この方法は、サーバー120のCPU1が、第1の業務フロー(たとえば、現在の業務フロー)を表わすデータの入力と、第1の業務フローと異なる1以上の第2の業務フロー(例えば、実現可能な業務フロー、または、理想の業務フロー)を表わすデータの入力とをそれぞれ受けるステップと、第1の業務フローを表わすデータと、CPU1が、第2の業務フローを表わすデータとを関連付けて記憶するステップとを含む。
【0128】
以上のようにして、ある実施の形態に従うと、現在の業務フローを改善しつつ望ましい業務フローへの移行が支援され得る。また、現在の業務フローと将来の業務フローとが共に表示されるので、業務フローの改善の担当者あるいは管理者は、当該業務フローの改善の進捗状況を把握しやすくなる。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
開示された技術的特徴は、たとえば、クラウドサービス、あるいは、SaaS(Software as a Service)の形態で利用可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 CPU、2 マウス、3 キーボード、4 RAM、5 ハードディスク、6 光ディスク駆動装置、7 通信インターフェイス、8 モニター、9 ROM、10 システム、110 クライアント、111,121 通信部、112 表示部、113 操作部、120 サーバー、122 業務フロー登録部、123 業務フロー検索部、124 表示内容生成部、125 改善作業進捗管理部、130 データベース、190 ネットワーク、200 コンピューター装置、300,400 画面、310 番号、320 内容、330 更新日、340 運用開始日、500,600,700,800 テーブル、910,920,930 フロー、940 バージョン、950,960,970 タスク、951,961,971,980,981 アイコン、1110 ポップアップ画面、1210,1220 タブ。
【要約】      (修正有)
【課題】As-IsからTo-Beに業務フローの改善を支援する業務管理システム、業務管理のためにコンピューターによって実行される方法及び当該方法を実現するためのプログラムを提供する。
【解決手段】業務管理システムにおいて、クライアント110は、サーバーから受信したデータに基づいて、現在の業務フロー(As-Is)と、次に目標とする業務フロー(Can-Be)を表わすフローと、最終目標となる理想的な業務フロー(To-Be)を表わすフローと、を表示部に並べて表示し、業務フローを構成するタスクが簡素化可能であることを示すアイコンを当該タスクに関連付けて表示し、クライアントのユーザーによる操作に応答して、前記タスクを改善するために必要な詳細情報(例、具体的な新たな作業の内容)と、その進捗状況とを表示する領域をポップアップ表示する。
【選択図】図1
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