(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ベルト鋳造経路制御
(51)【国際特許分類】
B22D 11/06 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B22D11/06 340A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205243
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2020508548の分割
【原出願日】2018-08-16
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ウィリアム・バーカー
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-220741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00- 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に鋳造キャビティを画定する対向する一対の冷却アセンブリであって、前記鋳造キャビティは溶融金属を受け入れるための近位端と凝固金属を出力するための遠位端との間に長手方向に延在し、前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれが、前記溶融金属から熱を抽出して前記凝固金属を形成するための熱伝導性材料で作られた冷却表面を備え、前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれが、
前記冷却表面を変位させるために前記鋳造キャビティから前記冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの近位支持体であって、前記少なくとも1つの近位支持体が前記鋳造キャビティの前記近位端に隣接して
前記鋳造キャビティの鋳造方向に配置され、前記少なくとも1つの近位支持体が前記鋳造キャビティの近位ゾーンにおける前記鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、少なくとも1つの近位支持体と、
前記冷却表面を変位させるために前記鋳造キャビティから前記冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの遠位支持体であって、前記少なくとも1つの遠位支持体が前記少なくとも1つの近位支持体と前記鋳造キャビティの前記遠位端との間に
前記鋳造キャビティの鋳造方向に配置されている、少なくとも1つの遠位支持体と、を備えた、対向する一対の冷却アセンブリを備え、
前記少なくとも1つの近位支持体は、前記冷却表面の幅にわたって横方向に延在する複数の線形ノズルを含む、連続鋳造装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの遠位支持体が、前記近位ゾーンと前記鋳造キャビティの遠位端との間の、前記鋳造キャビティの遠位ゾーンにおける前記鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、請求項1に記載の連続鋳造装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの近位支持体が、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整するように旋回可能である、請求項1に記載の連続鋳造装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの近位支持体が複数の近位支持体を含み、前記複数の近位支持体のそれぞれが、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整するように、個別に調整可能である、請求項1に記載の連続鋳造装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの近位支持体が、鋳造プロセス中に前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整するための少なくとも1つのアクチュエータに結合されている、請求項1に記載の連続鋳造装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの近位支持体および前記少なくとも1つの遠位支持体のうちの少なくとも一方が、前記冷却表面から熱を抽出するための冷却パッドを含む、請求項1に記載の連続鋳造装置。
【請求項7】
前記冷却表面のそれぞれが連続金属ベルトである、請求項1に記載の連続鋳造装置。
【請求項8】
間に鋳造キャビティを画定する対向する一対の冷却アセンブリであって、前記鋳造キャビティは、近位端と遠位端との間に長手方向に延在する、前記対向する一対の冷却アセンブリと、
前記鋳造キャビティに溶融金属を供給するための、前記鋳造キャビティの前記近位端に配置されたノズルと、を備え、前記対向する一対の冷却アセンブリがそれぞれ、前記溶融金属が前記鋳造キャビティの前記遠位端に向かって移動するにつれて、前記鋳造キャビティ内の前記溶融金属から熱を抽出して、前記溶融金属を凝固させるための熱伝導性材料で作られた冷却表面を備え、
前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれが、
前記冷却表面を変位させるために前記鋳造キャビティから前記冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの近位冷却パッドであって、前記少なくとも1つの近位冷却パッドが、前記鋳造キャビティの前記近位端に隣接して
前記鋳造キャビティの鋳造方向に配置され、前記少なくとも1つの近位冷却パッドが、前記鋳造キャビティの近位ゾーンにおける前記鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、少なくとも1つの近位冷却パッドと、
前記冷却表面を変位させるために前記鋳造キャビティから前記冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの遠位冷却パッドであって、前記少なくとも1つの遠位冷却パッドが、前記少なくとも1つの近位冷却パッドと前記鋳造キャビティの前記遠位端との間に
前記鋳造キャビティの鋳造方向に配置されている、少なくとも1つの遠位冷却パッドと、を含み、
前記少なくとも1つの近位冷却パッドが、前記冷却表面の幅にわたって横方向に延在する複数の線形ノズルを含む、金属鋳造システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの遠位冷却パッドが、前記近位ゾーンと前記鋳造キャビティの遠位端との間の、前記鋳造キャビティの遠位ゾーンにおける前記鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、請求項8に記載の金属鋳造システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの近位冷却パッドが、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整するように旋回可能である、請求項8に記載の金属鋳造システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの近位冷却パッドが複数の近位冷却パッドを含み、前記複数の近位冷却パッドのそれぞれが、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整するように個別に調整可能である、請求項8に記載の金属鋳造システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの近位冷却パッドが、鋳造プロセス中に前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整するための少なくとも1つのアクチュエータに結合されている、請求項8に記載の金属鋳造システム。
【請求項13】
前記冷却表面のそれぞれが連続金属ベルトである、請求項8に記載の金属鋳造システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの遠位冷却パッドが、少なくとも前記溶融金属が凝固する距離だけ前記鋳造キャビティの前記近位端から長手方向に離間している、請求項8
に記載の金属鋳造システム。
【請求項15】
連続鋳造する方法であって、
鋳造キャビティの近位端における、対向する一対の冷却アセンブリ間の前記鋳造キャビティに溶融金属を提供することと、
前記溶融金属から熱を抽出して、前記溶融金属を凝固させて、前記鋳造キャビティの遠位端から出る凝固金属にすることと、
近位領域における前記鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することであって、前記近位領域が前記鋳造キャビティの前記近位端に隣接することと、
遠位領域における前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することであって、前記遠位領域が、前記近位領域と前記鋳造キャビティの遠位端との間に位置することと、を含み、
前記近位領域が、前記鋳造キャビティの前記近位端に隣接して
前記鋳造キャビティの鋳造方向に配置されている少なくとも1つの近位支持体を含み、および
前記遠位領域が、前記少なくとも1つの近位領域と前記鋳造キャビティの前記遠位端との間に
前記鋳造キャビティの鋳造方向に配置されている少なく
とも1つの遠位支持体を含み、
前記少なくとも1つの近位支持体は、前記冷却表面の幅にわたって横方向に延在する複数の線形ノズルを含む、方法。
【請求項16】
前記近位領域における前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することが、前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、前記冷却アセンブリの冷却表面の近位迎え角を調整することを含み、前記近位迎え角が、前記近位領域における、前記鋳造キャビティの中心線に対する前記冷却表面の配向を画定し、
前記遠位領域における前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することが、前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、前記冷却アセンブリの前記冷却表面の遠位迎え角を調整することを含み、前記遠位迎え角が、前記遠位領域における、前記鋳造キャビティの中心線に対する前記冷却表面の配向を画定する、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記近位領域における、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することが、前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、前記少なくとも1つの近位支持体を移動することを含み、前記少なくとも1つの近位支持体を移動することが、前記冷却アセンブリの冷却表面を変位させて、前記近位領域における、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整し、
前記遠位領域における、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することが、前記対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、前記少なくとも1つの遠位支持体を移動することを含み、前記少なくとも1つの遠位支持体を移動することが、前記冷却アセンブリの前記冷却表面を変位させて、前記遠位領域における、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整する、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
所望の鋳造プロファイルを決定することをさらに含み、前記所望の鋳造プロファイルを決定することが、少なくとも1つの鋳造パラメータに基づき、前記近位領域における、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することが、前記所望の鋳造プロファイルを使用することを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項19】
前記近位領域における、前記鋳造キャビティの前記収束プロファイルを調整することが、鋳造プロセス中に行われる、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月16日に出願され、「BELT CASTING PATH CONTROL」と題され、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国仮出願第62/546,030号の利益を主張している。
【0002】
本開示は、一般に金属鋳造に関し、より具体的には、ベルト鋳造デバイスを使用した連続鋳造に関する。
【背景技術】
【0003】
ベルト鋳造機などの特定の連続鋳造デバイスを使用して、連続鋳造デバイスの移動する冷却表面の間を通過する溶融金属を凝固させ得る。場合によっては、冷却表面は連続ベルト鋳造機の移動ベルトの表面である場合がある。
【0004】
溶融金属はベルト間のスペースに注入され、冷却表面と接触し得る。冷却表面は、溶融金属から熱を抽出して凝固させ得る。冷却表面は、冷却パッドによって溶融金属の反対側から冷却され得る。
【0005】
溶融金属が連続鋳造デバイス内で凝固し始めると、金属は冷却するにつれて収縮し得る。例えば、金属は冷却すると体積が約6%収縮し得る。金属が収縮すると、冷却表面から引き離され得る。場合によっては、金属が冷却表面から引き離されると、金属と冷却表面との間の熱伝達が減少し、金属内の潜熱により凝固中の金属が再加熱される可能性がある。この再加熱により、表面滲出の領域などの表面欠陥が生じる場合があり、これはブレブとして知られ得る。表面欠陥は、鋳造またはその後の金属加工ステップ中に機械的および/または冶金学的問題を引き起こす可能性がある。例えば、アルミニウム合金などの特定の合金では、合金の共晶組成が再加熱する最初の部分であり、鋳造金属製品の残りの部分とは異なる化学組成を有する局所領域をもたらす場合がある。
【0006】
連続鋳造デバイスは、鋳造金属製品の望ましい表面を製造するのが困難な場合がある。表面欠陥は、(例えば、鋳造金属製品を使用できない場合に)廃棄物になるか、または、(例えば、修正可能な表面欠陥を修正するか、または軽減するための)追加の下流の加工の必要性につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
実施形態という用語および同様の用語は、本開示の主題および以下の特許請求の範囲のすべてを広く指すように意図されている。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載される主題を限定するものでもなく、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものでもないと理解されるべきである。本明細書で網羅される本開示の実施形態は、本発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。本発明の概要は、本開示のさまざまな態様の大まかな概要であり、以下の発明を実施するための形態の節でさらに説明される概念のいくつかを紹介する。本発明の概要は、特許請求された主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。本主題は、本開示の明細書全体の適切な部分、任意のまたはすべての図面および各特許請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0008】
本開示の例は、間に鋳造キャビティを画定する対向する一対の冷却アセンブリであって、鋳造キャビティが、近位端と遠位端との間に長手方向に延在する、対向する一対の冷却アセンブリと、鋳造キャビティに溶融金属を供給するために、鋳造キャビティの近位端に配置されたノズルと、を備え、対向する一対の冷却アセンブリがそれぞれ、溶融金属が鋳造キャビティの遠位端に向かって移動するにつれて、鋳造キャビティ内の溶融金属から熱を抽出して、溶融金属を凝固させるための熱伝導性材料で作られた冷却表面を備え、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれが、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの近位冷却パッドであって、少なくとも1つの近位冷却パッドが、鋳造キャビティの近位端に隣接して長手方向に配置され、少なくとも1つの近位冷却パッドが、鋳造キャビティの近位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、少なくとも1つの近位冷却パッドと、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの遠位冷却パッドであって、少なくとも1つの遠位冷却パッドが、少なくとも1つの近位冷却パッドと鋳造キャビティの遠位端との間に長手方向に配置されている、少なくとも1つの遠位冷却パッドと、を含む、金属鋳造システムを含む。
【0009】
場合によっては、少なくとも1つの遠位冷却パッドは、近位ゾーンと鋳造キャビティの遠位端との間の鋳造キャビティの遠位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である。場合によっては、少なくとも1つの近位冷却パッドは、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように旋回可能である。場合によっては、少なくとも1つの近位冷却パッドは、複数の近位冷却パッドを含み、複数の近位冷却パッドのそれぞれは、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように、個別に調整可能である。場合によっては、少なくとも1つの近位冷却パッドは、鋳造プロセス中に鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するための少なくとも1つのアクチュエータに結合されている。場合によっては、少なくとも1つの近位冷却パッドは、冷却表面の幅にわたって横方向に延在する複数の線形ノズルを含む。場合によっては、冷却表面はそれぞれ連続金属ベルトである。場合によっては、少なくとも1つの遠位冷却パッドは、鋳造キャビティの近位端から少なくとも溶融金属が凝固する距離だけ長手方向に離間している。
【0010】
本開示のさらなる例は、間に鋳造キャビティを画定する対向する一対の冷却アセンブリであって、鋳造キャビティは溶融金属を受け入れるための近位端と凝固金属を出力するための遠位端との間に長手方向に延在し、冷却アセンブリのそれぞれが、溶融金属から熱を抽出して凝固金属を形成するための熱伝導性材料で作られた冷却表面を備え、冷却アセンブリのそれぞれが、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの近位支持体であって、少なくとも1つの近位支持体が鋳造キャビティの近位端に隣接して長手方向に配置され、少なくとも1つの近位支持体が鋳造キャビティの近位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、少なくとも1つの近位支持体と、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの遠位支持体であって、少なくとも1つの遠位支持体が少なくとも1つの近位支持体と鋳造キャビティの遠位端との間に長手方向に配置されている、少なくとも1つの遠位支持体と、を備えた、対向する一対の冷却アセンブリを備える、連続鋳造装置を含む。
【0011】
場合によっては、少なくとも1つの遠位支持体は、近位ゾーンと鋳造キャビティの遠位端との間の鋳造キャビティの遠位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である。場合によっては、少なくとも1つの近位支持体は、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように旋回可能である。場合によっては、少なくとも1つの近位支持体は、複数の近位支持体を含み、複数の近位支持体のそれぞれは、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように、個別に調整可能である。場合によっては、少なくとも1つの近位支持体は、鋳造プロセス中に鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するための少なくとも1つのアクチュエータに結合される。場合によっては、少なくとも1つの近位支持体および少なくとも1つの遠位支持体のうちの少なくとも一方は、冷却表面から熱を抽出するための冷却パッドを含む。場合によっては、冷却表面のそれぞれは連続金属ベルトである。
【0012】
本開示のさらなる例は、鋳造キャビティの近位端における対向する一対の冷却アセンブリ間の鋳造キャビティに溶融金属を提供することと、溶融金属から熱を抽出して、溶融金属を凝固させて、鋳造キャビティの遠位端から凝固金属を出すことと、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することであって、近位領域が鋳造キャビティの近位端に隣接する、調整することと、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することであって、遠位領域が、近位領域と鋳造キャビティの遠位端との間に位置する、調整することと、を含む、連続鋳造方法を含む。
【0013】
場合によっては、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することは、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、冷却アセンブリの冷却表面の近位迎え角を調整することを含み、近位迎え角が、近位領域における鋳造キャビティの中心線に対する冷却表面の配向を画定し、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、冷却アセンブリの冷却表面の遠位迎え角を調整することを含み、遠位迎え角が、遠位領域における鋳造キャビティの中心線に対する冷却表面の配向を画定する。場合によっては、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、少なくとも1つの近位支持体を移動することを含み、少なくとも1つの近位支持体を移動することが、冷却アセンブリの冷却表面を変位させて、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整し、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、少なくとも1つの遠位支持体を移動することを含み、少なくとも1つの遠位支持体を移動することが、冷却アセンブリの冷却表面を変位させて、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整する。場合によっては、本方法は、所望の鋳造プロファイルを決定することをさらに含み、所望の鋳造プロファイルを決定することが、少なくとも1つの鋳造パラメータに基づき、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、所望の鋳造プロファイルを使用することを含む。場合によっては、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、鋳造プロセス中に行われる。
【0014】
前述のいずれの場合でも、溶融金属はアルミニウム合金であり得る。場合によっては、アルミニウム合金は、合金の総重量に基づいて8重量%以上のマグネシウム含有量を有し得る。場合によっては、マグネシウム含有量は8.5重量%以上である。場合によっては、マグネシウム含有量は9重量%以上である。場合によっては、マグネシウム含有量は9.6重量%以上である。
【0015】
また、前述の方法によって、かつ/または前述のシステムもしくは装置を使用して作られた連続鋳造品も開示される。
【0016】
他の目的および利点は、非限定的な例の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書は、以下の添付図面を参照し、そこで、異なる図面における同様の参照番号の使用は、同様または類似する構成要素を例示することを意図する。
【0018】
【
図1】本開示の特定の態様による、連続鋳造デバイスを示す側面概略図である。
【
図2】本開示の特定の態様による、連続鋳造デバイスの鋳造キャビティの下半分を示す側面概略図である。
【
図3】本開示の特定の態様による、線形ノズル冷却パッドを有する、連続鋳造デバイスの鋳造キャビティの下半分を示す側面概略図である。
【
図4】本開示の特定の態様による、迎え角を示す連続鋳造デバイスの鋳造キャビティの下半分を示す側面概略図である。
【
図5】本開示の特定の態様による、単調減少している収束プロファイルを示すグラフである。
【
図6】本開示の特定の態様による、一定の第2段階を含む収束プロファイルを示すグラフである。
【
図7】本開示の特定の態様による、マルチパート第1段階を含む、収束プロファイルを示すグラフである。
【
図8】本開示の特定の態様による、非線形第1段階および、増加する第2段階を示す収束プロファイルを示すグラフである。
【
図9】本開示の特定の態様による、複数の収束段階を有する連続鋳造デバイスを調整するためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の特定の態様および特徴は、多段階収束制御を有する連続鋳造デバイスに関する。連続鋳造デバイスの移動する冷却表面は、鋳造キャビティの長手方向に離間した領域に個別の収束制御を提供するように、複数の段階で関節運動し得る。溶融金属が凝固収縮を示す第1の(例えば、近位)領域では、凝固収縮を最適に考慮するために、第1の収束プロファイル(例えば、第1の収束速度を有する)を使用することができる。第1の領域の後の第2の(例えば、遠位)領域では、連続鋳造品の出口温度の最適な制御を提供するなどのために、(例えば、第2の収束速度を有する)第2の収束プロファイルを使用することができる。多段階収束制御は、鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された個別に関節運動可能な冷却パッドを介して実現し得る。個別に関節運動可能な冷却パッドの作動は、連続鋳造デバイスの長さに沿って異なる収束プロファイルをもたらすことができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」または「その(the)」の意味は、文脈上他に明確に指示されない限り、単数および複数の言及を含む。本明細書で使用される場合、「上部」および「下部」という用語は、連続鋳造デバイスが水平方向に鋳造しているときの垂直位置に関連付けることができる。しかしながら、場合によっては、連続鋳造デバイスは非水平方向で使用されてもよく、その場合、「上部」および「下部」という用語は、連続鋳造デバイスの鋳造方向に垂直な平面内の位置を指し得る。
【0021】
連続鋳造機または連続鋳造デバイスは、間に鋳造キャビティを形成する対向する一対の冷却アセンブリを含むことができる。場合によっては、サイドダムなどの追加機能により、鋳造キャビティの範囲をさらに定義し得る。各冷却アセンブリは、鋳造キャビティ内の溶融金属から熱を抽出するための少なくとも1つの冷却表面、ならびに冷却表面または冷却アセンブリの動作に関連する追加の機器(例えば、冷却パッド、モータ、冷媒配管、センサ、および他のそのような機器)を含み得る。
【0022】
ベルト鋳造機などのいくつかの連続鋳造機は、サイドダムとともに、溶融金属を供給できる鋳造キャビティを形成する2つの逆回転ベルト(例えば、対向する冷却表面)で構成され得る。ベルトは水冷される(例えば、脱イオン水で冷却される)か、または他の流体を使用して冷却され得る。鋳造キャビティの入口から鋳造キャビティに入る溶融金属は、冷却ベルトを介した熱抽出により凝固することができ、鋳造キャビティの出口に向かって遠位方向に移動するにつれ、そこで凝固金属(例えば、連続鋳造品)として出る。金属は、ベルトの移動速度とほぼ同じ速度で鋳造デバイス内を移動して、凝固中の金属とベルトとの間のせん断力を最小限に抑えるか、または排除することができる。
【0023】
金属が冷却し、かつ凝固するにつれて、金属の体積は収縮し得る。例えば、アルミニウムは体積の約6~7%収縮することがあり、これは凝固収縮として知られている。凝固収縮は、溶融金属がベルトに接触する場所から最初の200mm~300mmにわたって起こり得るが、同様に、200mm~300mmのサブ範囲を含む他の範囲にわたっても起こり得る。鋳造キャビティが平行である場合(例えば、平行ベルトまたは収束速度ゼロを有する)、凝固中の金属は冷却ベルト、特に上部ベルトと接触しなくなる場合があり、その時点で凝固中の金属から熱を抽出するための熱伝達係数が急速に大幅に減少する(例えば、数桁)ことがある。この接触しない状態は、表面の再加熱、再融解、または表面滲出などの望ましくない結果をもたらす可能性がある。現在の収束制御技術は、鋳放し金属製品の出口温度および厚さを制御するために使用され得るが、凝固中の収縮を考慮していない。これらの現在の収束制御技術は、鋳造キャビティにおける上部および下部ベルトの冷却表面が、鋳造キャビティの遠位点で交差する交差平面に位置するように、移動金属ベルトとその駆動装置を傾けることを伴うことが多い。言い換えれば、鋳造キャビティの高さは、鋳造キャビティの近位端から遠位端まで一定の速度(例えば、一定の収束速度)で減少する。しかしながら、本開示の特定の態様は、凝固収縮を考慮することができる多段階収束制御を提供することができ、同時に現在の動的収束制御技術の他の態様も実行することができる。この多段階収束制御は、鋳造キャビティの長さに沿って動的収束速度を実現し、したがって、複数の収束プロファイルを備えた収束キャビティを実現する。
【0024】
場合によっては、この多段階収束制御は、鋳造キャビティの冷却表面(例えば、連続ベルト)の反対側に配置された冷却パッドによって実現され得る。場合によっては、鋳造プロセスの前に冷却パッドを調整し、所定の位置に固定し得る。場合によっては、冷却パッドを事前に形成して、多段階の収束プロファイルを実現し得る。そのような場合、冷却パッドは移動可能であってもなくてもよい。
【0025】
場合によっては、冷却パッドは、モータ駆動、油圧、空気圧、または他のタイプのアクチュエータなどの線形アクチュエータなど、任意の適切なアクチュエータによって作動され得る。場合によっては、各冷却パッドが旋回点または支点を中心に旋回して、冷却ベルトの少なくとも1つの外形を調整することにより、鋳造キャビティ内に所望の収束プロファイルを実現し得る。場合によっては、鋳造プロセス中にアクチュエータを調整し得る。場合によっては、センサのフィードバックに基づいて、鋳造プロセス中にアクチュエータを動的に調整し得る。アクチュエータは、所望の結果を達成するために、センサデータを受信し、1つ以上の冷却パッドの位置に関する決定を行うことができる制御装置に結合され得る。例えば、制御装置に結合された温度センサは、鋳造キャビティ内の、冷却表面の、かつ/または鋳造キャビティを出る連続鋳造品の温度に関する情報を提供し得る。これらの温度を使用して、望ましい表面品質を維持または達成するために、1つ以上の冷却パッドを移動または調整すべきかどうかを判断し得る。他のセンサを使用してもよい。
【0026】
場合によっては、冷却パッドは、冷却パッドの表面に沿って配置され、六角形または他のパターンなどのパターンで配列された複数のノズルを含み得る。場合によっては、冷却パッドは、冷却パッドの幅にわたって、かつ/または鋳造キャビティの幅にわたって実質的にもしくは完全に延在する少なくとも1つの線形ノズルを含むことができる。
【0027】
本明細書では、冷却表面の外形の制御、したがって鋳造キャビティの収束プロファイルについて、圧力を加えて冷却表面(例えば、連続ベルト)を変位させる冷却パッドの使用に関して説明する。ただし、場合によっては、低摩擦表面(例えば、テフロン被覆表面)や可動表面(例えば、関節運動可能なローラー)など、冷却パッド以外の代替支持体を使用し得る。
【0028】
本開示の特定の態様および特徴は、対向する冷却アセンブリの冷却表面が、鋳造中に鋳造キャビティ内の凝固中の金属とともに移動する連続金属ベルトである連続ベルト鋳造デバイスに特に適している可能性がある。明確化および例示のために、本開示の特定の態様を連続ベルト鋳造機に関して説明するが、これらの態様は、必要に応じて他の連続鋳造デバイスに適用可能であり得る。
【0029】
本明細書に開示される多関節設計により、連続鋳造デバイスの冷却表面は、鋳造デバイス内の金属の凝固忠の表面と一定か、または実質的に一定の接触を保つことができる。本開示の特定の態様および特徴は、各冷却ベルトについて、冷却ベルトと鋳造キャビティの中心との間の距離を調整することができる複数の冷却パッドまたは他の関節運動可能な表面を含む。冷却パッドは冷却ベルトから熱を抽出するために使用できるため、複数の関節式または作動可能な冷却パッドを使用して、鋳造キャビティの長さに沿って冷却ベルトにさまざまな収束速度を与えることが有利になる場合がある。複数の冷却パッドまたは他の関節運動可能な表面は、近位領域および遠位領域などの第1の領域および第2の領域で鋳造キャビティの収束プロファイルを個別に調整することを可能にする。複数の冷却パッドを個別に調整して、その領域の比較的高い収縮率を考慮するために、近位領域(例えば、鋳造キャビティへの溶融金属の入口またはその近くの第1領域)でより急勾配の収束速度を達成し、その領域の比較的低い収縮率を考慮するために、遠位領域(例えば、鋳造キャビティの凝固金属出口またはその近くの第2の領域)でより浅い収束速度を達成する。したがって、表面に関連する望ましくない欠陥のリスクを最小限に抑えることができる。
【0030】
本開示の特定の態様は、連続鋳造金属物品の鋳放し表面品質を改善することができる。任意の適切な金属を使用することができるが、本開示の特定の態様は、アルミニウム合金の鋳造に特に適している。場合によっては、本開示の特定の態様は、高マグネシウム含有量(例えば、8%、8.2%、8.4%、8.6%、8.8%、9%、9.2%、9.4%または9.6重量%以上のマグネシウム)を有するアルミニウム合金の鋳造に特に適しており、少なくとも連続鋳造品の表面またはその近くのベータフィルムの形成を抑制するか、または排除するのに役立ち得る。
【0031】
連続鋳造品は、連続鋳造機の冷却表面間の鋳造キャビティのサイズによって少なくとも部分的に決定される、任意の適切な厚さを有することができる。連続鋳造品は金属ストリップであり得るが、連続鋳造品は他のサイズ(例えば、プレートまたはシェート)であってもよい。
【0032】
本明細書で使用される場合、プレートは、一般に、約15mmを超える厚さを有する。例えば、プレートは、15mmを超えるか、20mmを超えるか、25mmを超えるか、30mmを超えるか、35mmを超えるか、40mmを超えるか、45mmを超えるか、50mmを超えるか、または100mmを超える厚さを有するアルミニウム製品を指してもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、シェート(シートプレートとも称される)は、概して、約4mmから約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、または15mmの厚さを有し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、シートは、概して、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、または0.1mmの厚さを有し得る。
【0035】
本開示の特定の態様は、多段階収束制御を有する連続鋳造デバイスに関する。場合によっては、収束段階の数は2つであるが、3つ以上の段階を使用することもあり得る。第1の、または近位の段階は、連続鋳造機に入る熔融金属が最初に凝固するときの溶融金属の収縮を考慮して調整可能であり得る。追加の、または遠位の段階を調整して、顕熱の除去を制御し、それによって連続鋳造機からの出口温度を制御し得る。
【0036】
本明細書で開示されるすべての範囲は、その中に含まれる任意およびすべての部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1~10」の記載された範囲は、最小値の1と最大値の10との間の任意およびすべての部分範囲、すなわち、1以上の最小値から始まるすべての部分範囲、例えば、1~6.1、および10以下の最大値で終わるすべての部分範囲、例えば、5.5~10を含むとみなされなければならない。
【0037】
連続鋳造製品は、当業者に既知の任意の手段によって加工され得る。そのような加工ステップとしては、均質化、熱間圧延、冷間圧延、溶体化熱処理、および任意の予備エイジングステップが挙げられるが、それらに限定されない。
【0038】
任意に、連続鋳造品は、300°Cから450°Cの温度に冷却され得る。例えば、連続鋳造品は、約325℃~約425℃または約350℃~約400℃の温度に冷却され得る。次いで、連続鋳造製品は、約300℃~約450℃の温度で熱間圧延され、3mm~200mm(例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、160mm、170mm、180mm、190mm、200mm、またはその間の任意の値)のゲージを有する熱間圧延プレート、熱間圧延シェート、または熱間圧延シートを形成することができる。熱間圧延中、熱間圧延機から出る際の熱間圧延中間産物の温度が、約470℃以下、約450℃以下、約440℃以下、または約430℃以下となるように、温度および他の操作パラメータが制御され得る。
【0039】
場合によっては、従来の冷間圧延機および技術を使用して、プレート、シェート、またはシートが、冷間圧延されて、シートになり得る。冷間圧延シートは、約0.5mm~10mm、例えば約0.7mm~6.5mmのゲージを有し得る。任意に、冷間圧延シートは、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6.0mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、8.0mm、8.5mm、9.0mm、9.5mm、または10.0mmのゲージを有し得る。冷間圧延は、最大85%のゲージ減少(例えば、最大10%、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、または最大85%の減少)を表す最終ゲージ厚さをもたらすように実施され得る。任意に、中間焼鈍ステップは、冷間圧延ステップ中に実施され得る。中間焼鈍ステップは、約300℃~約450℃(例えば、約310℃、約320℃、約330℃、約340℃、約350℃、約360℃、約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、または約450℃)の温度で実施され得る。いくつかの場合において、中間焼鈍ステップは、複数のプロセスを含む。いくつかの非限定的な例において、中間焼鈍ステップは、プレート、シェート、またはシートを第1の温度に第1の一定時間にわたって加熱し、続いて第2の温度に第2の一定時間にわたって加熱することを含む。例えば、プレート、シェート、またはシートは、約410℃に約1時間加熱され、次いで約330℃に約2時間加熱され得る。
【0040】
その後、プレート、シェート、またはシートは、溶体化熱処理ステップを経る場合がある。溶体化熱処理ステップは、可溶性粒子の溶解をもたらす、シートに対する任意の従来の処理であり得る。プレート、シェート、またはシートは、最大約590℃(例えば、約400℃~約590℃)のピーク金属温度(PMT)に加熱され、その温度で一定時間浸漬され得る。例えば、プレート、シェート、またはシートは、約480℃で、最大約30分(例えば、0秒、60秒、75秒、90秒、5分、10分、20分、25分、または30分)の浸漬時間の間浸漬され得る。
【0041】
加熱および浸漬後、プレート、シュートまたはシートは、約200°C/秒を超える速度で約500~200°Cの温度まで急速に冷却される。一例では、プレート、シュート、またはシートは、約450℃~200℃の温度で200℃/秒を超える急冷速度を有する。任意に、その他の場合において、冷却速度はより速くなり得る。
【0042】
急冷後、プレート、シェート、またはシートは、巻く前に、プレート、シェート、またはシートを再加熱することによって、任意に予備エイジング処理を経る場合もある。予備エイジング処理は、約70℃~約125℃の温度で最大6時間の一定時間にわたって実施され得る。例えば、予備エイジング処理は、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、または約125℃の温度で実施され得る。任意に、予備エイジング処理は、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、または約6時間実施され得る。予備エイジング処理は、放射熱、対流熱、誘導熱、赤外線熱などを放出するデバイスなどの加熱デバイスに、プレート、シェート、またはシートを通すことによって実行され得る。
【0043】
本明細書に記載の鋳造製品はまた、プレートの形態の製品または他の好適な製品を作成するためにも使用され得る。例えば、本明細書に記載の製品を含むプレートは、本明細書に開示の連続鋳造機で製品を鋳造し、続いて熱間圧延ステップにより調整することができる。熱間圧延ステップにおいて、鋳造製品は、厚さゲージ200mm以下(例えば、約10mm~約200mm)まで熱間圧延され得る。例えば、鋳造製品は、約10mm~約175mm、約15mm~約150mm、約20mm~約125mm、約25mm~約100mm、約30mm~約75mm、または約35mm~約50mmの最終ゲージ厚さを有するプレートに熱間圧延され得る。
【0044】
本明細書に記載のアルミニウム合金製品は、自動車用途、ならびに航空機および鉄道用途、または任意の他の適切な用途を含む他の輸送用途に使用され得る。例えば、開示されたアルミニウム合金製品は、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、およびCピラー)、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフード、アウターフード、またはトランクリッドパネルなどの自動車構造部品を調製するために使用され得る。本明細書に開示されたアルミニウム合金製品および方法はまた、航空機または鉄道車両の用途において、例えば、外部パネルおよび内部パネルを調製するために使用され得る。
【0045】
本明細書に記載のアルミニウム合金製品および方法は、電子機器用途にも使用され得る。例えば、本明細書に記載のアルミニウム合金製品および方法は、携帯電話およびタブレットコンピュータを含む電子デバイス用のハウジングを調製するために使用され得る。いくつかの例では、アルミニウム合金製品は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットのボトムシャーシ、および他の携帯用電子機器の外部ケーシング用のハウジングを調製するために使用され得る。
【0046】
これらの例示的な例は、本明細書で説明される一般的な主題を読者に紹介するために与えられ、かつ開示された概念の範囲を限定することを意図するものではない。以下の節は、図面を参照してさまざまな追加の特徴および実施例を説明するが、例示的な実施形態のように本開示を限定するために使用されるべきではなく、図面において、同じ番号は同じ要素を示し、方向の記述は例示的な実施形態を説明するために使用される。本明細書の図に含まれる要素は、縮尺通りに描かれていない場合がある。具体的には、本明細書に図示されている迎え角は、例示目的のために誇張されている。
【0047】
図1は、本開示のある特定の態様による、連続鋳造デバイス100を示す側面概略図である。連続鋳造デバイス100は、上部ベルトアセンブリ102と下部ベルトアセンブリ104とを含み、それらの間に鋳造キャビティ150が配置されている。上部ベルトアセンブリ102および下部ベルトアセンブリ104のそれぞれは、冷却ベルト108、近位支持体110、および遠位支持体112を含むことができる。場合によっては、近位支持体110は、冷却ベルト108から熱を抽出するために使用される近位冷却パッドであり得る。場合によっては、遠位支持体112は、冷却ベルト108から熱を抽出するために使用される遠位冷却パッドとすることができる。近位支持体110および/または遠位支持体112が冷却パッドでない場合、冷却ベルト108からの熱抽出は、冷媒ノズル、スプレーバー、または任意の他の適切な冷却要素などの他の冷却要素を使用して達成できる。本明細書で使用される場合、冷却パッド、支持体などに関する「近位」という用語は、溶融金属が鋳造キャビティ150に入る場所など、鋳造キャビティ150の入口またはその近くに配置された構造物を指すことができる。本明細書で使用される場合、冷却パッド、支持体などに関する「遠位」という用語は、凝固金属が鋳造キャビティ150を出る場所など、鋳造キャビティ150の出口またはその近くに配置された構造物を指すことができる。
【0048】
図1は、上部ベルトアセンブリ102および下部ベルトアセンブリ104のそれぞれについて単一の近位支持体110および単一の遠位支持体112を示しているが、他の数の支持体または冷却パッドを使用することができる。場合によっては、近位支持体110および/または遠位支持体112はそれぞれ、複数の支持体および/または冷却パッドを含むことができ、これらは2段階収束プロファイルを達成するように構成することができる。場合によっては、追加の支持体(例えば、追加の冷却パッド)を近位支持体110と遠位支持体112の間に配置して、3段階以上の収束プロファイルを達成するなど、収束プロファイルに追加の段階を提供できる。
【0049】
ベルト108は、銅、鋼、またはアルミニウムなどの任意の適切な熱伝導性材料で作ることができる。上部ベルトアセンブリ102および下部ベルトアセンブリ104のベルト108は、互いに反対方向に回転することができ、その結果、鋳造キャビティ150内の液体金属152と接触するベルト108の表面が下流方向154に移動する。上部ベルトアセンブリ102および下部ベルトアセンブリ104は、必要に応じて、モータおよび他の機器などの追加の機器をさらに含むことができる。
【0050】
液体金属152は、ノズル114を介して鋳造キャビティ150に入ることができる。鋳造キャビティ150内では、上部ベルトアセンブリ102および下部ベルトアセンブリ104のベルト108を介して熱が抽出されるにつれて、液体金属152は凝固することができる。液体金属152および凝固中の液体金属152は、鋳造キャビティ内で方向154に移動する。十分な熱が抽出された後、液体金属152は固体になり、連続鋳造品106として鋳造キャビティ150から出ることができる。連続鋳造品106は、出口温度で連続鋳造デバイス100を出る。
【0051】
鋳造キャビティ150は、入口(例えば、ノズル114)、出口(例えば、連続鋳造品106が鋳造キャビティ150を出る場所)、サイドダム、上部ベルトアセンブリ102、および下部ベルトアセンブリ104によって境界付けられている。より具体的には、上部および下部ベルトアセンブリ102、104のベルト108が動いているので、特定の時点で、鋳造キャビティ150の上部および下部は、鋳造キャビティ150の入口と出口との間にあるベルト108の外面156によって、境界付けられている。これらの外面156の経路は、上部および下部ベルトアセンブリ102、104内から(例えば、鋳造キャビティ150から見てベルト108の反対側から)それらを押すことなどにより調整することができる。
図1に示されるように、近位支持体110および遠位支持体112は、上部および下部ベルトアセンブリ102、104のそれぞれの中に配置される。近位支持体110および遠位支持体112は、ベルト108と物理的に接触して、ベルト108の経路、したがってベルト108の外面156の経路を画定することができる。上部および下部ベルトアセンブリ102、104のベルト108の外面156の経路は、鋳造キャビティ150の収束プロファイルを画定する。
【0052】
収束プロファイルは、鋳造キャビティ150の長さ(例えば、方向154に沿った鋳造キャビティ150の長手方向の距離)にわたる鋳造キャビティ150の高さ(例えば、ベルト108の外面156間の距離)を表している。近位支持体110および遠位支持体112は個別に調整可能であるため、鋳造キャビティの収束プロファイルは、(例えば、高い高さから低い高さまで迅速に移動する)高い正の収束速度を有する近位ゾーン(例えば、第1のゾーン)および、(例えば、最初の高さから少し高い高さまでゆっくりと移動する)低い負の収束速度を有する遠位ゾーン(例えば、第2のゾーン)などの複数のゾーンを有することができる。
【0053】
場合によっては、任意の制御装置158を使用して、鋳造プロセスの前および/または最中などに、近位支持体110および/または遠位支持体112の動きを制御することができる。制御装置158は、近位支持体110および/または遠位支持体112に関連付けられたアクチュエータに結合することができる。分かりやすくするために、制御装置158から支持体110、112への制御経路は
図1には示されていない。場合によっては、近位支持体110および遠位支持体112のそれぞれは、制御装置158によって制御可能である。しかしながら、場合によっては、近位支持体110のみが制御装置158によって制御可能であり、遠位支持体112は別の方法で所定の位置に(例えば、鋳造プロセスの前に)固定される。近位支持体110および任意には、遠位支持体112の位置を調整することにより、制御装置158は、鋳造キャビティ150の収束プロファイルを調整することができる。
【0054】
場合によっては、制御装置158は、動的フィードバックの有無にかかわらず、保存された収束プロファイル情報に基づいて収束プロファイルを調整し得る。例えば、制御装置158は、特定の鋳造パラメータの組み合わせについて事前設定されるか、またはモデル化された収束プロファイル情報を有することができる。鋳造パラメータの例には、合金の選択、鋳放し連続鋳造品の高さ、および鋳造速度が含まれるが、他の鋳造パラメータを使用することもあり得る。事前設定された収束プロファイル情報には、一連の鋳造パラメータに対して以前に生成され、後で使用するために保存された収束プロファイル情報を含めることができる。モデル化された収束プロファイル情報には、入力された鋳造パラメータに基づいてオンデマンドで生成される収束プロファイル情報を含めることができる。収束プロファイル情報には、(例えば、鋳造プロセス前に収束プロファイルを設定するための)収束プロファイルの初期設定および、任意には、鋳造プロセス中に収束プロファイルを調整するための1つ以上の追加設定を含めることができる。
【0055】
場合によっては、制御装置158は、ライブフィードバックに基づいて収束プロファイルに動的な変更を加えることができる。フィードバックは、さまざまなセンサやその他の機器から発信し得る。例えば、鋳造速度に関連するフィードバックは、ベルト108に関連するモータから来ることがある。場合によっては、センサ160を制御装置158に結合することができる。センサ160は、温度センサまたは他のタイプのセンサであり得る。センサ160は、ベルト108の温度、連続鋳造品106の出口温度、および/または他のデータなど、鋳造プロセスに関するライブデータを制御装置158に提供することができる。センサ160は、ベルトアセンブリ102、104内、または鋳造キャビティ150の出口付近の連続鋳造品106に隣接するなど、任意の適切な場所に配置することができる。
【0056】
図2は、本開示の特定の態様による、連続鋳造デバイス200の鋳造キャビティ250の下半分を示す側面概略図である。連続鋳造デバイス200は、
図1の連続鋳造デバイス100とすることができる。連続鋳造デバイス200は、冷却パッド(例えば、近位冷却パッド210および遠位冷却パッド212)を有するものとして
図2に記載されているが、場合によっては、連続鋳造デバイス200は、近位冷却パッド210と遠位冷却パッド212の一方または両方のために冷却パッドではない支持体を使用してもよい。
【0057】
鋳造キャビティ250の下部は、下部ベルトアセンブリのベルト208の外面256によって画定され得る。鋳造キャビティ250は、鋳造方向に鋳造キャビティ250の中心を通って延在する中心線230を有することができる。鋳造キャビティ250の中心面は、中心線230および鋳造キャビティ250の横幅(例えば、
図2に見られるようにページに出入りする)によって画定することができる。
【0058】
ノズル(例えば、
図1のノズル114)のノーズピース216は、液体金属252を鋳造キャビティ250に分配することができる。液体金属252はノーズピース216を出て、鋳造キャビティ250を満たし始め、ベルト208の外面256に接触することができる。メニスカス262は、ノズルのノーズピース216とベルト208の外面256との間の液体金属252に形成することができる。液体金属252が冷却されるにつれて、液体金属252は凝固し始め、固体の連続鋳造品206(例えば、金属ストリップ)になる。凝固距離226は、液体金属252が最初にベルト208に接触する場所と、液体金属252が完全に凝固するか、またはその後凝固収縮がほとんどもしくは全く起こらないように十分凝固する場所との間に存在する。
【0059】
液体ゾーン240は、液体金属252が感知できる量(例えば、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、または2%未満の固体)だけ凝固する前に存在し得る。固体ゾーン244は、液体金属252が実質的に凝固する(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の固体)か、または完全に凝固する(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の固体)場所に、存在し得る。凝固ゾーン242は、液体ゾーン240と固体ゾーン244の間に存在することができる。凝固距離226は、ほぼまたは正確に凝固ゾーン242の長さであり得る。場合によっては、近位冷却パッド210は凝固ゾーン242に存在し、遠位冷却パッド212は固体ゾーン244に存在する。
【0060】
近位冷却パッド210は、ベルト208に接触することができる。本明細書で使用される場合、ベルトに接触する冷却パッドに関して使用される場合の「接触」という用語は、冷却流体の層を通してベルトに接触することを含むことができる。近位冷却パッド210は、別の予想される移動経路からベルト208を変位させるように配置することができる。近位冷却パッド210を作動させて、所望に応じてベルト208の経路を調整することができる。遠位冷却パッド212はまた、ベルト208と接触することができ、別の予想される移動経路からベルト208を変位させることもできる。場合によっては、遠位冷却パッド212を作動させて、所望に応じてベルト208の経路を調整することができる。そのような場合、近位冷却パッド210に関して示されるように、遠位冷却パッド212は、その調整を制御するための関連要素を含むことができる。
【0061】
図2に示されるように、近位冷却パッド210は、旋回点218の周りに固定することができる。方向224におけるアクチュエータ222の伸長および/または収縮により、近位冷却パッド210の迎え角220を調整することができる。迎え角220は、近位冷却パッド210のベルト接触面と中心線230(例えば、場合によっては水平)との間の角度とすることができる。アクチュエータ222を伸長または収縮させることにより、近位冷却パッド210によるベルト208の変位によって、ベルト208の外面256の迎え角を調整することができる。したがって、近位冷却パッド210を旋回させることができ、鋳造キャビティ250の収束プロファイルおよび収束速度を調整することができる。鋳造パラメータ(例えば、液体金属252の合金、鋳造速度、またはその他)に基づいて、近位冷却パッド210の迎え角220は、凝固ゾーン242内で生じる凝固収縮を考慮して調整することができる。この凝固収縮を考慮することにより、凝固中の金属の表面をベルト208の外面256と接触したままにすることができる。場合によっては、近位冷却パッド210は、鋳造キャビティ250の位置または上流(例えば、ノーズピース216の出口の位置または上流)から凝固距離226の端部まで延在する。場合によっては、近位冷却パッド210は、凝固距離226の端部の上流または下流で終わることができる。
【0062】
図2は、上流旋回点218および下流アクチュエータ222を有する近位冷却パッド210を示すが、アクチュエータ222および/または旋回点218の任意の適切な組み合わせおよび配置を使用して、近位冷却パッド210の所望の作動可能性を達成することができる。例えば、近位冷却パッド210は、望ましい迎え角220を達成するために独立して動作するように設計された複数のアクチュエータ222によって支持され得る。
【0063】
場合によっては、近位冷却パッド210は、長手方向(例えば、鋳造方向)にさらに調整可能であり得る。連続鋳造デバイス200の上半分は、
図2に示され開示されている下半分と同様に設計することができる。場合によっては、上部と下部の冷却表面の調整を対称にし得る。ただし、場合によっては、重力と熱流の非対称効果を考慮して、上部と下部の冷却表面の調整を非対称にし得る。
【0064】
本明細書で説明されるように、遠位冷却パッド212は、近位冷却パッド210と同様に固定されるか、または調整可能であり得る。近位冷却パッド210は、凝固ゾーン242内で生じる凝固収縮を考慮して調整することができる。遠位冷却パッド212は、連続鋳造品206の所望の出口温度をもたらす位置に固定されるか、または調整可能であり得る。特定の出口温度を達成して下流の加工を促進し、冷却デバイスや加熱デバイスなどの追加の機器の必要性を最小限に抑えることが望ましい場合がある。
【0065】
図3は、本開示の特定の態様による、線形ノズル冷却パッドを備えた連続鋳造デバイス300の鋳造キャビティ350の下半分を示す側面概略図である。連続鋳造デバイス300は、
図1の連続鋳造デバイス100とすることができる。連続鋳造デバイス300は、冷却パッド(例えば、線形ノズル310を含む近位冷却パッドセット311、および遠位冷却パッド312)を有するものとして
図3に記載されているが、場合によっては、連続鋳造デバイス300は、線形ノズル310、近位冷却パッドセット311、または遠位冷却パッド312のいずれかの代わりに冷却パッドではない支持体を使用してもよい。
【0066】
鋳造キャビティ350の下部は、下部ベルトアセンブリのベルト308の外面356によって画定することができる。鋳造キャビティ350は、鋳造方向に鋳造キャビティ350の中心を通って延在する中心線330を有することができる。鋳造キャビティ350の中心面は、中心線330および鋳造キャビティ350の横幅(例えば、
図3に見られるようにページに出入りする)によって画定することができる。
【0067】
ノズル(例えば、
図1のノズル114)のノーズピース316は、鋳造キャビティ350内に液体金属352を分配することができる。液体金属352は、ノーズピース316を出て、鋳造キャビティ350を満たし始め、ベルト308の外面356に接触することができる。メニスカス362は、ノズルのノーズピース316とベルト308の外面356との間の液体金属352に形成することができる。液体金属352は冷却されるにつれて、凝固し始め、固体の連続鋳造品306(例えば金属ストリップ)になる。凝固距離326は、液体金属352が最初にベルト308に接触する場所と、液体金属352が完全に凝固するか、またはその後凝固収縮がほとんどまたは全く起こらないように十分凝固する場所との間に存在する。
【0068】
液体ゾーン340は、液体金属352が感知できる量(例えば、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、または2%未満の固体)だけ凝固する前に存在し得る。固体ゾーン344は、液体金属352が実質的に凝固する(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の固体)か、または完全に凝固する(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の固体)場所に、存在し得る。凝固ゾーン342は、液体ゾーン340と固体ゾーン344との間に存在することができる。凝固距離326は、ほぼまたは正確に凝固ゾーン342の長さであり得る。場合によっては、凝固ゾーン342に近位冷却パッドセット311が存在し、固体ゾーン344に遠位冷却パッド312が存在する。
【0069】
近位冷却パッドセット311は、ベルト308に接触する2つ以上の近位冷却パッドを含むことができる。
図3に示すように、近位冷却パッドセット311は、線形ノズル310である5つの冷却パッドを含むが、他の数の冷却パッドおよび他のスタイルの冷却パッドを使用してもよい。線形ノズル310は、別の予想される移動経路からベルト308を変位させるように配置することができる。線形ノズル310のそれぞれを作動させて、凝固ゾーン342内の個々の位置で所望に応じてベルト308の経路を調整することができる。遠位冷却パッド312はまた、ベルト308と接触することができ、また、別の予想される移動経路からベルト308を変位させることができる。場合によっては、遠位冷却パッド312を作動させて、所望に応じてベルト308の経路を調整することができる。そのような場合、遠位冷却パッド312は、
図2の近位冷却パッド210に関してなど、本明細書で説明されるように、その調整を制御する関連要素を含むことができる。
【0070】
図3に示されるように、近位冷却パッドセット311は、複数の線形ノズル310を含む。場合によっては、
図2の近位冷却パッド210を作動させるための機器および技術のいずれかを使用するなどして、線形ノズル310のそれぞれは互いに対して固定され、近位冷却パッドセット311全体を全体として作動させることができる。場合によっては、線形ノズル310のいくつかまたはそれぞれは、ベルト308の経路を調整し、したがって、鋳造キャビティ350の収束プロファイルを調整するように、個別に調整可能であり得る。線形ノズル310のそれぞれは、線形ノズル310の位置、したがってベルト308の移動経路を調整することができる関連するアクチュエータ(例えば、
図2のアクチュエータ222と同様)に結合することができる。したがって、鋳造キャビティ350の収束プロファイルおよび収束速度を調整することができる。線形ノズル310のそれぞれの位置は、鋳造パラメータ(例えば、液体金属352の合金、鋳造速度、またはその他)に基づいて、凝固ゾーン342内で生じる凝固収縮を考慮して調整することができる。この凝固収縮を考慮することにより、凝固中の金属の表面をベルト308の外面356と接触したままにすることができる。単一の近位冷却パッドよりも近位冷却パッドセット311で利用可能な分解能が高いため、凝固ゾーン342の収束プロファイルにいくつかの異なる収束速度が存在する可能性がある。場合によっては、近位冷却パッドセット311は、鋳造キャビティ350の位置または上流(例えば、ノーズピース316の出口の位置または上流)から凝固距離326の端部まで延在する。場合によっては、近位冷却パッドセット311は、凝固距離326の端部の上流または下流で終わることができる。
【0071】
場合によっては、線形ノズル310のそれぞれ、いくつか、またはすべては、長手方向に(例えば、鋳造方向に)さらに調整可能であり得る。連続鋳造デバイス300の上半分は、
図3に示され開示されている下半分と同様に設計することができる。場合によっては、鋳造キャビティ350の収束プロファイルは中心線330に沿って対称にすることができる。しかし、場合によっては、鋳造キャビティ350の収束プロファイルは、重力と熱流の非対称効果を考慮するために中心線330に沿って対称ではない。
【0072】
本明細書に記載されるように、遠位冷却パッド312は、近位冷却パッドセット311と同様に固定されるか、または調整可能であり得る。場合によっては、線形ノズルなどの2つ以上の個別の冷却パッドを備えた遠位冷却パッドセットを使用し得る。近位冷却パッドセット311は、凝固ゾーン342内で生じる凝固収縮を考慮して調整することができる。遠位冷却パッド312は、連続鋳造品306の所望の出口温度をもたらす位置に固定されるか、または調整可能であり得る。特定の出口温度を達成して下流の加工を促進し、冷却デバイスや加熱デバイスなどの追加の機器の必要性を最小限に抑えることが望ましい場合がある。
【0073】
図4は、本開示の特定の態様による、迎え角を示す連続鋳造デバイス400の鋳造キャビティ450の下半分を示す側面概略図である。連続鋳造デバイス400は、
図1、
図2、または
図3のそれぞれの連続鋳造デバイス100、200、または300とすることができる。支持体または冷却パッドおよび凝固中の金属は、例示の目的で描かれていない。
【0074】
鋳造キャビティ450の下部は、下部ベルトアセンブリのベルト408の外面456によって画定され得る。鋳造キャビティ450は、鋳造方向に鋳造キャビティ450の中心を通って延在する中心線430を有することができる。鋳造キャビティ450の中心面は、中心線430および鋳造キャビティ450の横幅(例えば、
図4に見られるようにページに出入りする)によって画定することができる。
【0075】
ノズル(例えば、
図1のノズル114)のノーズピース416は、鋳造キャビティ450に液体金属を分配することができ、その後、鋳造キャビティ450を満たすことができ、連続鋳造デバイス400の出口に向かって移動するにつれて凝固し得る。
【0076】
ベルト408の移動経路は、鋳造キャビティ450の収束プロファイルを変更するように調整することができる。
図1~
図3を参照して説明したように、ベルト408を変位させるために支持体または冷却パッドを使用することによってなど、任意の適切な技術を使用して、ベルト408の移動経路を調整することができる。場合によっては、ベルト408の移動経路は、低摩擦表面または転がり表面(例えば、ローラー)などの他の調整可能な表面を使用して調整することができる。
【0077】
ベルト408は、少なくとも2つの段階を達成するために十分に変位させることができ、各段階は特定の収束プロファイルに関連付けられている。第1段階446は、凝固中の液体金属が凝固収縮を受けている間に使用することができ、したがって、
図2の凝固ゾーン242に正確に、またはほぼ一致し得る。第2段階448は、金属が実質的に、または完全に凝固した後に使用することができ、したがって、
図2の固体ゾーン244に正確に、またはほぼ一致し得る。
【0078】
ベルト408は、第1の収束速度を達成するために、第1段階446で変位させることができる。場合によっては、収束速度は、迎え角αでの第1段階446の間、線形である。迎え角αは、第1段階446の中心線430とベルト408の外面456との間の角度として定義することができる。ベルト408は、第2の収束速度を達成するために第2段階448で変位させることができる。場合によっては、収束速度は、迎え角βでの第2段階448の間、線形である。迎え角βは、中心線430と第2段階448のベルト408の外面456との間の角度として定義することができる。凝固収縮を考慮すると、迎え角αは正である場合があり、したがって、第1段階446での第1の収束速度は正である(例えば、鋳造キャビティの高さは鋳造方向に減少する)。場合によっては、迎え角βは負である場合があり、したがって、第2段階448の第2の収束速度は負である(例えば、鋳造キャビティの高さは鋳造方向に増加する)。しかしながら、場合によっては、
図4に示されるように、迎え角βは、迎え角αよりも小さい場合があるが、依然として正であり得る。冷却パッドまたは他の作動可能な表面は、第1段階の旋回点432を中心に旋回して第1段階446で所望の迎え角αを達成し、第2段階の旋回点434を中心に旋回して第2段階448で所望の迎え角βを達成することができる。
【0079】
場合によっては、収束プロファイルに3つ以上のゾーンが含まれることがある。場合によっては、ゾーン内の収束プロファイルには、非線形プロファイル(例えば、非線形速度)が含まれる場合がある。
【0080】
図5は、本開示の特定の態様による、単調減少する収束プロファイル500を示すグラフである。収束プロファイル500は、ノーズピースと鋳造キャビティの出口との間の鋳造キャビティの高さを示している。鋳造キャビティの高さは、連続鋳造デバイスの冷却表面(例えば、連続ベルト)間の距離である。ライン556は、
図2のベルト208の外面256などのベルトの表面を表す。第1段階546の間(例えば、凝固収縮を考慮した凝固中)の収束プロファイルは、第2段階548の間(例えば、凝固後)の収束プロファイルとは異なる。
【0081】
ライン556は、第1段階546で第1の速度で直線的に減少し、第2段階548で異なる速度でさらに減少する。鋳造キャビティの高さの減少は、ベルトが収束するにつれて高さが減少するため、正の収束速度に対応する。鋳造キャビティの高さは、ノーズピースと鋳造機の出口の間で単調に減少し得る。第1段階546の間の鋳造キャビティの高さの減少率は、第2段階548の間の減少率より大きくなり得る。
【0082】
図6は、本開示の特定の態様による、一定の第2段階648を含む収束プロファイル600を示すグラフである。収束プロファイル600は、ノーズピースと鋳造キャビティの出口との間の鋳造キャビティの高さを示している。鋳造キャビティの高さは、連続鋳造デバイスの冷却表面(例えば、連続ベルト)間の距離である。ライン656は、
図2のベルト208の外面256などのベルトの表面を表す。第1段階646の間の収束プロファイル(例えば、凝固収縮を考慮した凝固中)は、第2段階648の間の収束プロファイル(例えば、凝固後)とは異なる。
【0083】
ライン656は、第1段階646で第1の速度で直線的に減少し、その後、第2段階648の間は一定のままである。鋳造キャビティの高さの減少は、ベルトが収束するにつれて高さが減少するため、正の収束速度に対応する。鋳造キャビティの高さは、第1段階646の間に単調減少し、その後、第2段階648を通して一定のままであり得る。
【0084】
図7は、本開示の特定の態様によるマルチパート第1段階746を含む収束プロファイル700を示すグラフである。収束プロファイル700は、ノーズピースと鋳造キャビティの出口との間の鋳造キャビティの高さを示している。鋳造キャビティの高さは、連続鋳造デバイスの冷却表面(例えば、連続ベルト)間の距離である。ライン756は、
図2のベルト208の外面256などのベルトの表面を表す。第1段階746の間(例えば、凝固収縮を考慮した凝固中)の収束プロファイルは、第2段階748の間(例えば、凝固後)の収束プロファイルとは異なる。
【0085】
ライン756は、第2段階748でさらに減少する前に、第1段階746において複数の異なる速度で減少する。鋳造キャビティの高さの減少は、ベルトが収束するにつれて高さが減少するため、正の収束速度に対応する。収束プロファイル700は、
図3を参照して説明したように、複数の近位冷却パッドまたは近位冷却パッドセットを使用して達成することができる。鋳造キャビティの高さの減少率は、第1段階746内のそれぞれの長手方向位置で発生する凝固収縮の量に従って変化する可能性がある。第2段階748の間の鋳造キャビティの高さは、線形速度で減少するなど、必要に応じて調整することができる。
【0086】
図8は、本開示の特定の態様による、非線形第1段階846および増加する第2段階848を示す収束プロファイル800を示すグラフである。収束プロファイル800は、ノーズピースと鋳造キャビティの出口との間の鋳造キャビティの高さを示している。鋳造キャビティの高さは、連続鋳造デバイスの冷却表面(例えば、連続ベルト)間の距離である。ライン856は、
図2のベルト208の外面256などのベルトの表面を表す。第1段階846の間の収束プロファイル(例えば、凝固収縮を考慮した凝固中)は、第2段階848の間の収束プロファイル(例えば、凝固後)とは異なる。
【0087】
ライン856は、第2段階848で増加する前に、徐々に減少する速度で第1段階846において減少する。鋳造キャビティの高さの減少は、ベルトが収束するにつれて高さが減少するため、正の収束速度に対応する。鋳造キャビティの高さの増加は、ベルトが発散するにつれて高さが増加するため、負の収束速度に対応する。第1段階846の収束プロファイル800は、
図3を参照して説明したように、複数の近位冷却パッドまたは近位冷却パッドセットを使用して達成することができる。場合によっては、第1段階846の収束プロファイル800は、ベルトの内面に露出する非線形表面を有する1つ以上の近位冷却パッドを使用して達成することができる。例えば、冷却パッドは、望ましい収束プロファイルを実現するように形作ることができる。そのような冷却パッドをさらに作動させて、必要に応じて収束プロファイルを調整し得る。
【0088】
図8に示されるように、鋳造キャビティの高さは、第2段階848の間に増加する可能性がある。第2段階848の間のこのタイプの負の収束(例えば、鋳造キャビティの高さの増加)は、
図5、
図6、
図7のそれぞれの収束プロファイル500、600、700など、本明細書で開示される他の収束プロファイルのいずれかで使用することができる。場合によっては、このタイプの負の収束を使用して、連続鋳造デバイスを出るときの連続鋳造品の望ましい出口温度を達成し得る。
【0089】
図9は、本開示の特定の態様による、複数の収束段階を有する連続鋳造デバイスを調整するプロセス900を示すフローチャートである。プロセス900を使用して、
図1の連続鋳造デバイス100または任意の適切な連続鋳造デバイスを調整することができる。
【0090】
任意のブロック902において、1つ以上の鋳造パラメータが制御装置に提供される。制御装置は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、比例積分微分制御装置、比例制御装置など、本明細書で説明するアクチュエータを制御するための任意の適切なデバイスであり得る。制御装置によって実行可能なアクションを実行するための命令、および制御装置にアクセス可能なデータ(例えば、保存された収束プロファイルなど)は、ローカルおよび/もしくはネットワークアクセス可能な記憶装置を備え得るがそれらに限定されない、かつ/または、プログラム可能、フラッシュ更新可能などであり得る、ディスクドライブ、ドライブアレイ、光記憶デバイス、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)および/もしくは読み取り専用メモリ(「ROM」)などのソリッドステート記憶デバイスを含み得るが、それらに限定されない、1つ以上の非一時的な機械可読記憶媒体もしくは記憶デバイスに保存され得る。
【0091】
ブロック904において、鋳造キャビティの所望の収束プロファイルを決定することができる。所望の収束プロファイルを決定することは、ブロック902で提供される鋳造パラメータ(複数可)を使用して、事前設定された収束プロファイルを取得することを含むことができる。所望の収束プロファイルを決定することは、ブロック902で提供される鋳造パラメータ(複数可)を使用して、所望の収束プロファイルを計算するか、モデル化するか、または推定することを含むことができる。場合によっては、所望の収束プロファイルを決定することは、プロセス900に関連する連続鋳造デバイスで使用するための一般に許容可能である、一般的な事前設定された収束プロファイルから開始することを含むことができる。場合によっては、所望の収束プロファイルを決定することは、制御装置に接続された1つ以上のセンサなどを介して、連続鋳造デバイスまたは連続鋳造デバイスに供給される溶融金属に関連する現在のデータにアクセスすることを含むことができる。
【0092】
ブロック906で、連続鋳造デバイスの冷却表面は、凝固ゾーンで所望の収束プロファイルを達成するように調整される。ブロック906は、
図1の近位支持体110などの近位支持体または近位冷却パッドを調整することを含むことができる。場合によっては、近位支持体または近位冷却パッドを調整することは、
図3の近位冷却パッドセット311の少なくとも1つの線形ノズル328など、近位冷却パッドセットのうちの少なくとも1つを調整することを含むことができる。ブロック906で行われる調整は、凝固収縮にもかかわらず、鋳造キャビティ内の凝固中の金属と連続鋳造デバイスの冷却表面との間の連続接触を達成するのに適した鋳造キャビティの収束プロファイルをもたらし得る。
【0093】
任意のブロック908で、連続鋳造デバイスの冷却表面は、固体ゾーンの少なくとも一部で所望の収束プロファイルを達成するように調整される。ブロック908は、
図1の遠位支持体112などの遠位支持体または遠位冷却パッドを調整することを含むことができる。場合によっては、遠位支持体または遠位冷却パッドを調整することは、遠位冷却パッドセットの少なくとも1つを調整することを含むことができる。ブロック908で実行される調整は、連続鋳造デバイスを出る連続鋳造品の望ましい出口温度を達成するのに適した鋳造キャビティの収束プロファイルをもたらすことができる。場合によっては、ブロック908で必要な調整量は、ブロック906で行われた調整に依存する場合がある。ブロック908での調整は、ブロック906での調整に関して同時にまたは連続して行うことができる。
【0094】
任意のブロック910で、制御装置はセンサデータを受信し、所望の収束プロファイルへの調整を決定するために使用することができる。次に、決定された調整をブロック906および/またはブロック908に供給して、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することができる。場合によっては、ブロック910で受信されるセンサデータは、鋳造キャビティ、冷却アセンブリ(例えば、冷却表面)、および連続鋳造デバイスを出る際の連続鋳造品のうちの少なくとも1つに関連する温度データである。
【0095】
場合によっては、鋳造キャビティもしくは冷却表面の温度に関連するセンサデータ、または連続鋳造品の表面品質に関連するセンサデータを使用して、凝固ゾーンの収束プロファイルを調整し得、一方、連続鋳造デバイスを出る際の連続鋳造品の温度に関連するセンサデータを使用して、固体ゾーンの少なくとも一部の収束プロファイルを調整し得る。
【0096】
場合によっては、収束は、近位冷却パッドおよび/または遠位冷却パッド(複数可)において、その付近に、またはその中に取り付けられた熱電対のアレイを使用して熱流束プロファイルを測定することにより間接的に監視し得る。熱電対のアレイは、連続鋳造デバイスの幅および連続鋳造デバイスの長手方向の長さにわたって配置された複数の熱電対を含むことができる。ベルトが凝固中の金属との接触を失うと、熱流束プロファイルは大幅に低下する可能性がある。冷却表面との改善された接触は、より滑らかな熱流束プロファイルとして現れ得る。したがって、熱電対のアレイからのフィードバックを使用して、近位冷却パッドおよび、任意にはいずれかの遠位冷却パッドを調整するためのフィードバックを提供し得る。
【0097】
図示した実施形態を含む実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的でのみ提示されており、網羅的であることまたは開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。その多数の修正、適合、および使用は、当業者には明らかであろう。
【0098】
以下で使用されるように、一連の実施例へのいかなる言及も、これらの実施例のそれぞれへの言及として理解されるべきである(例えば、「実施例1~4」は「実施例1、2、3、または4」として理解されるべきである)。
【0099】
実施例1は、間に鋳造キャビティを画定する対向する一対の冷却アセンブリであって、鋳造キャビティが、近位端と遠位端との間に長手方向に延在する、対向する一対の冷却アセンブリと、鋳造キャビティに溶融金属を供給するための、鋳造キャビティの近位端に配置されたノズルと、を備え、対向する一対の冷却アセンブリがそれぞれ、溶融金属が鋳造キャビティの遠位端に向かって移動するにつれて、溶融金属から熱を抽出して、溶融金属を凝固させるための熱伝導性材料で作られた冷却表面を備え、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれが、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの近位冷却パッドであって、少なくとも1つの近位冷却パッドが、鋳造キャビティの近位端に隣接して長手方向に配置され、少なくとも1つの近位冷却パッドが、鋳造キャビティの近位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、少なくとも1つの近位冷却パッドと、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの遠位冷却パッドであって、少なくとも1つの遠位冷却パッドが、少なくとも1つの近位冷却パッドと鋳造キャビティの遠位端との間に長手方向に配置されている、少なくとも1つの遠位冷却パッドと、を含む、金属鋳造システムである。
【0100】
実施例2は、実施例1の金属鋳造システムであり、ここでは、少なくとも1つの遠位冷却パッドは、近位ゾーンと鋳造キャビティの遠位端との間の鋳造キャビティの遠位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である。
【0101】
実施例3は、実施例1または2の金属鋳造システムであり、ここでは、少なくとも1つの近位冷却パッドは、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように旋回可能である。
【0102】
実施例4は、実施例1~3の金属鋳造システムであり、ここでは、少なくとも1つの近位冷却パッドは複数の近位冷却パッドを含み、複数の近位冷却パッドのそれぞれは、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように、個別に調整可能である。
【0103】
実施例5は、実施例1~4の金属鋳造システムであり、ここでは、少なくとも1つの近位冷却パッドは、鋳造プロセス中に鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するための少なくとも1つのアクチュエータに結合される。
【0104】
実施例6は、実施例1~5の金属鋳造システムであり、ここでは、少なくとも1つの近位冷却パッドは、冷却表面の幅にわたって横方向に延在する複数の線形ノズルを含む。
【0105】
実施例7は、実施例1~6の金属鋳造システムであり、ここでは、冷却表面のそれぞれは連続金属ベルトである。
【0106】
実施例8は、実施例1~7の金属鋳造システムであり、ここでは、少なくとも1つの遠位冷却パッドは、少なくとも溶融金属が凝固する距離だけ鋳造キャビティの近位端から長手方向に離間している。
【0107】
実施例9は、間に鋳造キャビティを画定する対向する一対の冷却アセンブリであって、ここでは、鋳造キャビティは溶融金属を受け入れるための近位端と凝固金属を出力するための遠位端との間に長手方向に延在し、冷却アセンブリのそれぞれが、溶融金属から熱を抽出して凝固金属を形成するための熱伝導性材料で作られた冷却表面を備え、冷却アセンブリのそれぞれが、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの近位支持体であって、少なくとも1つの近位支持体が鋳造キャビティの近位端に隣接して長手方向に配置され、少なくとも1つの近位支持体が鋳造キャビティの近位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である、少なくとも1つの近位支持体と、冷却表面を変位させるために鋳造キャビティから冷却表面の反対側に配置された少なくとも1つの遠位支持体であって、少なくとも1つの遠位支持体が少なくとも1つの近位支持体と鋳造キャビティの遠位端との間に長手方向に配置されている、少なくとも1つの遠位支持体と、を備えた、冷却アセンブリを備える、連続鋳造装置である。
【0108】
実施例10は、実施例9の連続鋳造装置であり、ここでは、少なくとも1つの遠位支持体は、近位ゾーンと鋳造キャビティの遠位端との間の鋳造キャビティの遠位ゾーンにおける鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように移動可能である。
【0109】
実施例11は、実施例9または10の連続鋳造装置であり、ここでは、少なくとも1つの近位支持体は、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように旋回可能である。
【0110】
実施例12は、実施例9~11の連続鋳造装置であり、ここでは、少なくとも1つの近位支持体は、複数の近位支持体を含み、複数の近位支持体のそれぞれは、鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するように個別に調整可能である。
【0111】
実施例13は、実施例9~12の連続鋳造装置であり、ここでは、少なくとも1つの近位支持体は、鋳造プロセス中に鋳造キャビティの収束プロファイルを調整するための少なくとも1つのアクチュエータに結合される。
【0112】
実施例14は、実施例9~13の連続鋳造装置であり、ここでは、少なくとも1つの近位支持体および少なくとも1つの遠位支持体のうちの少なくとも一方は、冷却表面から熱を抽出するための冷却パッドを含む。
【0113】
実施例15は、実施例9~14の連続鋳造装置であり、ここでは、冷却表面のそれぞれは連続金属ベルトである。
【0114】
実施例16は、連続鋳造を行う方法であって、この方法は、鋳造キャビティの近位端における対向する一対の冷却アセンブリ間の鋳造キャビティに溶融金属を提供することと、溶融金属から熱を抽出して、溶融金属を凝固させて、鋳造キャビティの遠位端から凝固金属出すことと、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することであって、近位領域が鋳造キャビティの近位端に隣接する、調整することと、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することであって、遠位領域が、近位領域と鋳造キャビティの遠位端との間に位置する、調整することと、を含む。
【0115】
実施例17は、実施例16の方法であり、ここでは、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することは、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、冷却アセンブリの冷却表面の近位迎え角を調整することを含み、近位迎え角が、近位領域における鋳造キャビティの中心線に対する冷却表面の配向を画定し、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、冷却アセンブリの冷却表面の遠位迎え角を調整することを含み、遠位迎え角が、遠位領域における鋳造キャビティの中心線に対する冷却表面の配向を画定する。
【0116】
実施例18は、実施例16または17の方法であり、ここでは、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、少なくとも1つの近位支持体を移動することを含み、少なくとも1つの近位支持体を移動することが、冷却アセンブリの冷却表面を変位させて、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整し、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、対向する一対の冷却アセンブリのそれぞれについて、少なくとも1つの遠位支持体を移動することを含み、少なくとも1つの遠位支持体を移動することが、冷却アセンブリの冷却表面を変位させて、遠位領域における鋳造キャビティの収束プロファイル調整する。
【0117】
実施例19は、実施例16~18の方法であり、この方法は、所望の鋳造プロファイルを決定することをさらに含み、ここでは、所望の鋳造プロファイルを決定することが、少なくとも1つの鋳造パラメータに基づき、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、所望の鋳造プロファイルを使用することを含む。
【0118】
実施例20は、実施例16~19の方法であり、ここでは、近位領域における鋳造キャビティの収束プロファイルを調整することが、鋳造プロセス中に行われる。
【0119】
例21は、例1~20のシステム、装置、または方法であり、ここでは、溶融金属はアルミニウム合金である。
【0120】
例22は、例1~20のシステム、装置、または方法であり、ここでは、溶融金属は、8重量%以上のマグネシウム含有量を有するアルミニウム合金である。場合によっては、マグネシウム含有量は8.5重量%以上である。場合によっては、マグネシウム含有量は9重量%以上である。場合によっては、マグネシウム含有量は9.6重量%以上である。
【0121】
実施例23は、実施例16~22の方法に従って製造された連続鋳造品である。