(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】間欠クロック信号を用いるメモリアレイを有する印刷構成要素
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B41J2/14 611
(21)【出願番号】P 2021541662
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 US2019016727
(87)【国際公開番号】W WO2020162889
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ジェイムズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リン,スコット,エイ
(72)【発明者】
【氏名】カンビー,マイケル,ダブリュー
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-205770(JP,A)
【文献】特開2009-292148(JP,A)
【文献】特表2007-525342(JP,A)
【文献】特表2018-505077(JP,A)
【文献】米国特許第08864260(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷構成要素であって、
データパッドと、
間欠クロック信号を受け取るためのクロックパッドと、
前記データパッドに対応するアクチュエータグループとを含み
、前記アクチュエータグループは、
前記アクチュエータグループの動作セットアップを構成するための複数の構成機能
を備えており、前記アクチュエータグループは
、
流体アクチュエータのアレイと、
前記複数の構成機能に対応する第1の部分、及び前記流体アクチュエータのアレイに対応する第2の部分を含むメモリ素子のアレイとを含み、前記メモリ素子のアレイは、
前記クロックパッドから前記間欠クロック信号を受け取り、
前記間欠クロック信号が前記クロックパッド上に存在するたびに、
前記データパッドからデータビットのセグメントを直列的にロードするように構成され、前記ロードすることは、
前記データビットのセグメントのデータビットの第1の部分を、前記複数の構成機能に対応する前記メモリ素子の第1の部分へロードし、
前記データビットのセグメントのデータビットの第2の部分を、前記流体アクチュエータのアレイに対応する前記メモリ素子の第2の部分へロードすることを含む、印刷構成要素。
【請求項2】
前記メモリ素子のアレイは、直列-並列データ変換器として機能するように適合されたメモリ素子のチェーンを含む、請求項1に記載の印刷構成要素。
【請求項3】
前記メモリ素子のアレイは、順序論理回路を含む、請求項2に記載の印刷構成要素。
【請求項4】
前記順序論理回路は、直列入力並列出力シフトレジスタとして機能するように適合される、請求項3に記載の印刷構成要素。
【請求項5】
流体ダイを含み、
前記アクチュエータグループが
、流体ダイにおいて具現化さ
れる、請求項1~4の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項6】
前記流体アクチュエータのアレイの流体アクチュエータは、複数のプリミティブを形成するように構成され、各プリミティブは、同じ数の流体アクチュエータを有し、前記メモリ素子の第2の部分の各メモリ素子は、前記プリミティブの異なる1つに対応する、請求項1~
5の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項7】
各プリミティブは、プリミティブメモリを有する、請求項
6に記載の印刷構成要素。
【請求項8】
モード信号を受け取るためのモードパッドを含み、前記メモリ素子の第2の部分の各メモリ素子に格納されたデータ値は、前記モードパッド上の前記モード信号の状態に依存して、前記流体アクチュエータの1つに又は前記プリミティブメモリに対応する、請求項
7に記載の印刷構成要素。
【請求項9】
噴射信号を受け取るための噴射パッドを含み
、前記メモリ素子のアレイの各メモリ素子は、前記噴射パッド上の噴射信号に応答して、内部に格納されたデータ値を対応するメモリ素子にラッチする、請求項1~
8の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項10】
印刷構成要素であって、
複数のデータパッドと、
間欠クロック信号を受け取るためのクロックパッドと、
複数のアクチュエータグループとを含み、各アクチュエータグループ
は、前記データパッドの異なる1つに対応し、
対応するアクチュエータグループの動作セットアップを構成するための複数の構成機能を備えており、各アクチュエータグループは、
流体アクチュエータのアレイと、
前記複数の構成機能に対応する第1の部分、及び前記流体アクチュエータのアレイに対応する第2の部分を含むメモリ素子のアレイとを含み、前記メモリ素子のアレイは、
前記クロックパッドから前記間欠クロック信号を受け取り、
前記間欠クロック信号が前記クロックパッド上に存在するたびに、対応するデータパッドからデータビットのセグメントを直列的にロードするように構成され、前記ロードすることは、
前記データビットのセグメントのデータビットの第1の部分を、前記複数の構成機能に対応する前記メモリ素子の第1の部分へロードし、
前記データビットのセグメントのデータビットの第2の部分を、前記流体アクチュエータのアレイに対応する前記メモリ素子の第2の部分へロードすることを含む、印刷構成要素。
【請求項11】
前記メモリ素子のアレイは、直列-並列データ変換器として機能するように適合されたメモリ素子のチェーンを含む、請求項10に記載の印刷構成要素。
【請求項12】
前記メモリ素子のアレイは、順序論理回路を含む、請求項11に記載の印刷構成要素。
【請求項13】
前記順序論理回路は、直列入力並列出力シフトレジスタとして機能するように適合される、請求項12に記載の印刷構成要素。
【請求項14】
各アクチュエータグループが異なる液体タイプに対応する、請求項10~13の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項15】
複数の流体ダイを含み、各アクチュエータグループが、異なる個々の流体ダイにおいて具現化される、請求項10~14の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項16】
前記複数のアクチュエータグループの1つのアクチュエータグループの前記メモリ素子のアレイの多数のメモリ素子が、前記複数のアクチュエータグループの別のアクチュエータグループの前記メモリ素子のアレイのメモリ素子の数と異なる、請求項10~15の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項17】
各流体アクチュエータグループに関して、前記流体アクチュエータのアレイの流体アクチュエータは、複数のプリミティブを形成するように構成され、各プリミティブは、同じ数の流体アクチュエータを有し、前記メモリ素子の第2の部分の各メモリ素子は、前記プリミティブの異なる1つに対応する、請求項10~16の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項18】
各流体アクチュエータグループに関して、各プリミティブは、プリミティブメモリを有する、請求項17に記載の印刷構成要素。
【請求項19】
モード信号を受け取るためのモードパッドを含み、前記メモリ素子の第2の部分の各メモリ素子に格納されたデータ値は、前記モードパッド上の前記モード信号の状態に依存して、前記流体アクチュエータの1つに又は前記プリミティブメモリに対応する、請求項18に記載の印刷構成要素。
【請求項20】
噴射信号を受け取るための噴射パッドを含み、各アクチュエータグループに関して、前記メモリ素子のアレイの各メモリ素子は、前記噴射パッド上の噴射信号に応答して、内部に格納されたデータ値を対応するメモリ素子にラッチする、請求項10~19の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項21】
各データパッド
からロードされたデータ
ビットのセグメントは、各データパッド
からロードされた前記セグメント
のビットの数が同じであるように、充填ビットのグループを含む、請求項
10~20の何れか1項に記載の
印刷構成要素。
【請求項22】
前記充填ビットのグループの充填ビットは、アクティブ状態またはイナクティブ状態を有し、前記充填ビットは、
前記セグメント
のビットが前記メモリ素子のアレイ
に直列的にロードされる際に、前記印刷構成要素に対する電磁的影響を軽減するようにアクティブ状態およびイナクティブ状態のパターンを有する、請求項21に記載の
印刷構成要素。
【請求項23】
印刷構成要素がプリントヘッドを含む、請求項1~
22の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【請求項24】
前記構成機能は、アドレスドライバ機能、噴射パルス制御機能、及びセンサ構成機能を含む、請求項1~
23の何れか1項に記載の印刷構成要素。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
幾つかの印刷構成要素は、ノズルのアレイ及び/又はポンプを含むことができ、それらの各々が流体チャンバ及び流体アクチュエータを含み、この場合、流体アクチュエータは、チャンバ内の流体の変位をもたらすように付勢され得る。幾つかの例示的な流体ダイは、プリントヘッドであることができ、この場合、流体は、インク又は印刷薬剤に対応することができる。印刷構成要素は、2D及び3D印刷システム及び/又は他の高精度流体分注システムのプリントヘッドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】一例による、印刷構成要素を示す略ブロック図である。
【
図2】一例による、印刷構成要素を示す略ブロック図である。
【
図3】一例による、プリミティブ構成の部分を一般的に示す略ブロック図である。
【
図4A】一例による、データセグメントを一般的に示す略図である。
【
図4B】一例による、データセグメントを一般的に示す略図である。
【
図5】一例による、印刷構成要素を示す略ブロック図である。
【
図6】一例による、印刷構成要素を示す略ブロック図である。
【
図7】流体吐出システムの一例を示すブロック図を示す略図である。
【
図8】一例による印刷構成要素を動作させる方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
図面の全体にわたって、同じ参照番号は、類似するが、必ずしも全く同じでない要素を示す。図面は、必ずしも一律の縮尺に従っておらず、幾つかの部分のサイズは、図示された例をより明確に示すために誇張され得る。更に、図面は、説明と一致した例および/または具現化形態を提供するが、当該説明は、図面に提供された当該例および/または具現化形態に制限されない。
【0004】
詳細な説明
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面が参照され、添付図面には、本開示が実施され得る特定の例が実例として示される。理解されるべきは、他の例が利用されることができ、構造的または論理的変更が本開示の範囲から逸脱せずに行われ得る。従って、以下の詳細な説明は、制限の意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。理解されるべきは、本明細書で説明される様々な例の特徴要素は、特に断りのない限り、部分的に又は全体的に互いに組み合わされ得る。
【0005】
流体ダイの例は、流体アクチュエータを含むことができる。流体アクチュエータは、電気的付勢に応答して流体の変位をもたらすことができる、熱抵抗器ベースのアクチュエータ(例えば、流体を噴射または再循環するための)、圧電膜ベースのアクチュエータ、静電膜アクチュエータ、機械的/インパクト駆動型膜アクチュエータ、磁歪駆動アクチュエータ、又は他の適切なデバイスを含むことができる。本明細書で説明される流体ダイは、流体アクチュエータのアレイと呼ばれ得る、複数の流体アクチュエータを含むことができる。付勢イベントは、流体変位をもたらすために流体ダイの流体アクチュエータの単一の又は同時の付勢を意味することができる。付勢イベントの一例は、流体噴射イベントであり、それにより、流体がノズルを介して噴出される。
【0006】
例示的な流体ダイにおいて、流体アクチュエータのアレイは、流体アクチュエータのセット(組)で配列(構成)されることができ、この場合、係る流体アクチュエータのセットのそれぞれは、「プリミティブ」又は「噴射プリミティブ」と呼ばれ得る。プリミティブにおける流体アクチュエータの数は、プリミティブのサイズと呼ばれ得る。幾つかの例において、各プリミティブの流体アクチュエータのセットは、付勢アドレスの同じセットを用いてアドレス指定可能であり、この場合、プリミティブの各流体アクチュエータは、付勢アドレスのセットの異なる付勢アドレスに対応し、アドレスは、アドレスバスを介して伝えられる。幾つかの例において、プリミティブの流体アクチュエータは、流体アクチュエータに対応する付勢アドレスがアドレスバス上に存在する際に、プリミティブに対応する付勢データ(場合によっては、ノズルデータ又はプリミティブデータとも呼ばれる)に基づいた噴射信号(噴射パルスとも呼ばれる)に応答して、付勢する(例えば、噴射する)。
【0007】
場合によっては、流体ダイの電気的および流体的な動作制約は、各プリミティブのどの流体アクチュエータが所与の付勢イベントに対して同時に(並行して)付勢され得るかを制限する場合がある。プリミティブは、係る動作制約に従う所与の付勢イベントに関して同時に付勢され得る流体アクチュエータのサブセットのアドレス指定および後続の付勢を容易にする。
【0008】
一例として示すために、流体ダイが4個のプリミティブを含み、各プリミティブが、8個の流体アクチュエータ(この場合、各流体アクチュエータは、一組のアドレス0~7の異なるアドレスに対応する)を含む場合、電気的および流体的な制約は、付勢をプリミティブ毎に1個の流体アクチュエータに制限し、総計4個の流体アクチュエータ(各プリミティブから1個)が所与の付勢イベントに関して同時に付勢され得る。例えば、第1の付勢イベントに関して、アドレス「0」に対応する各プリミティブの個々の流体アクチュエータが付勢され得る。第2の付勢イベントに関して、アドレス「5」に対応する各プリミティブの個々の流体アクチュエータが付勢され得る。理解されるように、係る例は、例示のために単に提供されており、本明細書で企図された流体ダイは、プリミティブ毎により多い又はより少ない流体アクチュエータ、及びダイ毎により多い又はより少ないプリミティブを含むことができる。
【0009】
例示的な流体ダイは、エッチング、微細加工(例えば、フォトリソグラフィー)、マイクロマシニングプロセス、又は他の適切なプロセス、或いはそれらの組み合わせにより、流体ダイの基板に製作された表面により画定され得る流体チャンバ、オリフィス、及び/又は他の特徴要素を含むことができる。幾つかの例示的な基板は、シリコンベースの基板、ガラスベースの基板、ガリウムヒ素ベースの基板、及び/又は微細加工されるデバイス及び構造用の他の係る適切なタイプの基板を含むことができる。本明細書で使用される限り、流体チャンバは、流体が吐出され得るノズルオリフィスと流体連絡する吐出チャンバ、及び流体が運ばれ得る流体チャネルを含むことができる。幾つかの例において、流体チャネルは、微小流体チャネルであることができ、この場合、本明細書で使用される限り、微小流体チャネルは、少量の流体(例えば、ピコリットルのスケール、ナノリットルのスケール、マイクロリットルのスケール、ミリリットルのスケールなど)の輸送を容易にするために、十分小さいサイズ(例えば、ナノメートルサイズのスケール、マイクロメートルサイズのスケール、ミリメートルサイズのスケールなど)のチャネルに対応することができる。
【0010】
幾つかの例において、流体アクチュエータは、ノズルの一部として配置(配列)されることができ、この場合、流体アクチュエータに加えて、ノズルは、ノズルオリフィスと流体連絡する吐出チャンバを含む。流体アクチュエータの付勢が、ノズルオリフィスを介して流体チャンバから流体滴の吐出をもたらすことができる流体チャンバ内の流体の変位を生じさせるように、流体アクチュエータは流体チャンバに対して配置される。従って、ノズルの一部として配置された流体アクチュエータは、時として、流体吐出器または吐出アクチュエータと呼ばれ得る。
【0011】
幾つかの例において、流体アクチュエータは、ポンプの一部として配置(配列)されることができ、この場合、流体アクチュエータに加えて、ポンプは、流体チャネルを含む。流体アクチュエータの付勢が、例えば流体供給部とノズルとの間のような、流体ダイ内で流体を輸送するために流体チャネル(例えば、微小流体チャネル)において流体変位を生じるように、流体アクチュエータは、流体チャネルに対して配置される。ダイ内の流体変位/ポンピングの一例は、時として、微小再循環とも呼ばれる。流体チャネル内で流体を輸送するように構成された流体アクチュエータは、時として、非吐出アクチュエータ又は微小再循環アクチュエータと呼ばれ得る。1つの例示的なノズルにおいて、流体アクチュエータは、サーマルアクチュエータからなることができ、この場合、流体アクチュエータの付勢(時として、「噴射」と呼ばれる)は、流体滴がノズルオリフィスから吐出され得る流体チャンバ内にガス状駆動気泡を形成するために流体を加熱する。上述されたように、流体アクチュエータは、アレイ(例えば、列)に配列されることができ、この場合、アクチュエータは、流体吐出器および/またはポンプとして具現化されることができ、流体吐出器の選択的な動作は、流体滴の吐出をもたらし、ポンプの選択的な動作は、流体ダイ内で流体の変位をもたらす。幾つかの例において、流体アクチュエータのアレイは、プリミティブへ構成され得る。
【0012】
幾つかのプリントヘッドは、時として、噴射パルスグループ又は噴射パルスグループデータパケットと呼ばれる、データパケットの形態でデータを受け取り、この場合、各データパケットは、ヘッド部分とボディ部分を含む。幾つかの例において、ヘッド部分は、例えば、スタートビット、アドレスドライバ用のアドレスビットのようなオンダイ機能の構成データ、及び噴射パルス選択用の噴射パルスデータのシーケンスを含む。パケットのボディ部分は、プリミティブのアドレスビットにより表されたアドレスに対応するどのノズルが付勢(又は噴射)されるかを選択する、アクチュエータデータ及び/又はメモリデータのようなプリミティブデータを含み、幾つかの例において、プリミティブと関連したメモリアレイのメモリ素子に書き込まれるべきデータを表す。噴射パルスグループデータパケットは、データパケットの終端を示すストップビットで終了する。
【0013】
係るプリントヘッドは、自走クロックを使用するデータパーサを含み、当該データパーサは、スタートパターンを検出し、それにより噴射パルスグループデータパケットの始端を識別するために、プリントヘッドにより受け取られた際に、到来データビットを捕捉するように動作する。スタートパターンの検出時に、データパーサ回路は、受信された際にビットを収集し、それらを適切なプリミティブに送る。幾つかの例において、データパケットが完了する時を判断するために、データパーサ回路は、受信されるビットの総数をカウントする。データパケットの適正な数のビットが受信された場合、データパーサ回路は、ビットを分配することを停止し、別のデータパケットのスタートシーケンスを識別するために到来データを監視することに戻る。
【0014】
幾つかある機能の中で、データパーサ回路は一般に、例えば、データが送られるべきプリミティブの特定のグループを示し(例えば、プリントヘッドはプリミティブの複数の列を含むことができる)、受信されたビットの総数をカウントするためのように、幾つかのカウンタを含む。データパーサ回路は、プリントヘッドダイ上で比較的大量のシリコン面積を消費し、それによりダイのサイズとコストが増加する。更に、データパーサ回路は、フレキシブルでなく、プリントヘッドの各噴射パルスグループデータが固定長を有することを必要とする。更に、自走クロックは潜在的に、ダイに電磁妨害(EMI)の問題をもたらす可能性がある。
【0015】
本開示は、本明細書でより詳細に説明されるように、間欠クロック信号がクロックパッドで受け取られるたびに、構成データ及びプリミティブデータを含むデータビットのセグメントを直列的に受け取るためのメモリ素子のアレイを有する印刷構成要素を提供し、それにより、データパーサ回路および自走クロックが取り除かれる。係る構成は、シリコン面積の要件を低減し、自走クロック信号によりもたらされるEMIを除去し、異なる流体ダイのような異なるプリミティブサイズを有する流体アクチュエータのアレイがクロック信号および噴射信号を共用することを可能にし、それにより相互接続の複雑性が低減される。
【0016】
図1は、本開示の一例による、印刷構成要素30を一般的に示す略ブロック図であり、当該印刷構成要素30は、データパッド32-1~32-Nとして示された複数のデータパッド32、間欠クロック信号35を受け取るためのクロックパッド34、及びアクチュエータグループ36-1~36-Nとして示された複数のアクチュエータグループ36を含み、この場合、各アクチュエータグループ36は、データパッド32の異なる1つに対応する。一例において、アクチュエータグループ36のそれぞれは、異なる流体タイプに対応する。例えば、或る事例において、印刷構成要素30は、異なるタイプのインク(例えば、黒色、シアン、マゼンタ、及びイエロー)に対応する各アクチュエータグループを備えるプリントヘッドを含む。一例において、印刷構成要素30の各アクチュエータグループ36は、異なる個々の流体ダイで具現化され、この場合、或る事例において、各個々の流体ダイは、異なる液体タイプに対応する。
【0017】
一例に従って、各アクチュエータグループ36は、38-1~38-Nとして示された構成機能のグループ38、アレイ40-1~40-Nとして示された流体アクチュエータのアレイ40、アレイ50-1~50-Nとして示されたメモリ素子のアレイ50を含む。或る事例において、構成機能の各グループ38は、対応するアクチュエータグループ36の動作セットアップを構成するための、構成機能CF(1)~CF(m)として示された多数の構成機能を含む。例において、構成機能CF(1)~CF(m)は、例えば、アドレスドライバ、噴射パルス構成機能、及びセンサ構成機能(例えば、熱センサ)のような、機能を含むことができる。
【0018】
一例において、流体アクチュエータの各アレイ40は、多数の流体アクチュエータ(FA)を含み、この場合、アクチュエータグループ36-1のアレイ40-1は、流体アクチュエータFA(1)~FA(x)を含み、アクチュエータグループ36-2のアレイ40-2は、流体アクチュエータFA(1)~FA(y)を含み、及びアクチュエータグループ36-Nのアレイ40-Nは、流体アクチュエータFA(1)~FA(z)を含む。或る事例において、流体アクチュエータの各アレイ40は、同じ数の流体アクチュエータ(x=y=z)を有することができる。別の場合では、流体アクチュエータのアレイ40は、異なる数の流体アクチュエータ(x≠y≠z)を有することができる。
【0019】
各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、多数のメモリ素子51を含み、この場合、各アレイ50は、構成機能の個々のグループ38に対応する第1の部分52-1~52-Nとして示されたメモリ素子の第1の部分52、及び流体アクチュエータの個々のアレイ40に対応する第2の部分56-1~56-Nとして示されたメモリ素子の第2の部分54を有する。場合よっては、各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、同じ数のメモリ素子51を有することができる。別の場合では、異なるアクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、異なる数のメモリ素子51を有することができる。
【0020】
各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、対応する通信経路52を介して、対応するデータパッド32に接続され、この場合、メモリ素子のアレイ50-1~50-Nはそれぞれ、通信経路52-1~52-Nにより、データパッド32-1~32-Nに接続される。一例において、
図1の構成により示されたように、流体アクチュエータの各グループ36のメモリ素子の各アレイ50は、クロックパッド34に接続され、クロックパッド34を介して間欠クロック信号35を受け取る。
【0021】
一例において、間欠クロック35が印刷構成要素30のクロックパッド34に存在するたびに、各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、一連のデータビットを含むデータセグメント33(データセグメント33-1~33-Nとして示された)を、対応するデータパッド32から直列的(シリアル)にロードし、データビットは、それぞれ構成機能のグループ38に及び流体アクチュエータのアレイ40に対応するメモリ素子の第1の部分52へ及びメモリ素子の第2の部分54へロードされる。一例において、間欠クロック信号35がクロックパッド34に存在するたびに、各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、先行するデータセグメント33の以前にロードされたデータビットに取って代わる現在のデータセグメント33の一連のデータビットを直列的にロードする。
【0022】
一例において、より詳細に後述されるように(例えば、
図3を参照して)、各データセグメント33の一連のデータビットは、上述されたものに類似する噴射パルスグループを含む。しかしながら、印刷構成要素30は、間欠クロック信号35がクロックパッド34に存在する時だけ各データセグメント33をロードするので(即ち、自走クロックを利用しない)、データセグメント33の噴射パルスグループは、スタートビットシーケンスを含まない。データセグメント33がスタートビットシーケンスを含まず且つ間欠クロック信号35がクロックパッド34に存在する時だけメモリ素子のアレイ50へロードされるので、本開示による、印刷構成要素30及びアクチュエータグループ36は、データパーサ回路を含まず、それにより回路面積が節約されて、コストが低減される。
【0023】
更に、より詳細に後述されるように、間欠クロック信号35及びデータを直列的に受け取るためのメモリ素子のアレイ50を使用することにより、印刷構成要素30は、(より詳細に後述されるように)異なる数の流体アクチュエータを有し且つ同じ間欠クロック信号34で動作して共通の噴射信号を共用すると同時に様々な長さの噴射パルスグループを用いる流体アクチュエータの複数のアレイ40をサポートすることを可能にする。更に、間欠クロック信号を利用することは、自走クロックと関連した潜在的なEMI問題を取り除く。
【0024】
図2は、本開示の一例による、印刷構成要素30を一般的に示す略ブロック図である。一例において、アクチュエータグループ36-1~36-nは、流体ダイ37-1~37-nとして具現化される。
図2の例に従って、アクチュエータグループ36-1~36-nの流体アクチュエータ40-1~40-nのアレイのそれぞれの流体アクチュエータ(FA)は、多数のプリミティブを形成するように構成され、この場合、アクチュエータグループ36-1のアレイ40-1の流体アクチュエータは、プリミティブP(1)~P(x)を形成するように構成され、アクチュエータグループ36-2のアレイ40-2の流体アクチュエータは、プリミティブP(1)~P(y)を形成するように構成され、アクチュエータグループ36-nのアレイ40-nの流体アクチュエータは、プリミティブP(1)~P(z)を形成するように構成され、各プリミティブは、多数の流体アクチュエータFA(1)~FA(p)を含む。或る事例において、流体アクチュエータの各アレイ40は、同じ数のプリミティブ(x=y=z)を有することができる。別の場合では、流体アクチュエータのアレイ40は、異なる数のプリミティブ(x≠y≠z)を有することができる。各アクチュエータグループ36のプリミティブは、同じ数pの流体アクチュエータを有するように示されるが、他の例において、各プリミティブの流体アクチュエータの数は、アクチュエータグループ36間で変化することができる。
【0025】
一例において、図示されたように、各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、直列-並列データ変換器として機能するように具現化された一連のメモリ素子51またはメモリ素子51のチェーンを含み、この場合、メモリ素子51の第1の部分54は、構成機能のグループ38に対応し、メモリ素子の第2の部分56は、流体アクチュエータのアレイ40に対応し、第2の部分56の各メモリ素子51は、プリミティブP(1)~P(x)の異なる1つに対応する。一例において、各アクチュエータグループ36のメモリ素子のアレイ50は、順序論理回路(例えば、フリップフロップのアレイ、ラッチアレイなど)を含む。一例において、順序論理回路は、直列入力並列出力シフトレジスタとして機能するように適合される。
【0026】
一例に従って、各アクチュエータグループ36の構成機能のグループ38は、メモリ素子のアレイ50の第1の部分54の対応するメモリ素子51のアドレスビットに基づいて、アドレスバス62-1~62-nとして示された対応するアドレスバス62上へアドレスを駆動するアドレスドライバ(アドレスドライバ60-1~60-nとして示される)を含み、この場合、アドレスバス62は、駆動されたアドレスを、対応するプリミティブのそれぞれの流体アクチュエータFA(1)~FA(p)へ伝える。一例において、印刷構成要素30は、通信経路74を介してアクチュエータグループ36のそれぞれに伝えられる噴射信号72を受け取るための噴射パッド70を含む。
【0027】
図2の印刷構成要素30の動作の一例は、
図3及び
図4に関連して後述される。
図3は、
図2のアクチュエータグループ36-1~36-nのプリミティブに関するプリミティブ構成の一部を一般的に示す略ブロック図である。例示のために、図
3の略ブロック図は、
図2のアクチュエータグループ36-1のプリミティブP(1)に関連して説明される。
【0028】
一例において、
図3において熱抵抗器として示された各流体アクチュエータは、電源VPPと、FET80により示されたような対応する制御可能なスイッチを介した基準電位(例えば、接地)との間に接続可能である。
【0029】
一例に従って、プリミティブP(1)を含む各プリミティブは、ローカルメモリ素子84に格納されたプリミティブP(1)用のプリミティブデータ(例えば、アクチュエータデータ)を、第1の入力において受け取るANDゲート82を含み、この場合、ローカルメモリ素子は、係るプリミティブデータを、アクチュエータグループ36-1のメモリ素子のアレイ50-1の対応するメモリ素子51から受け取る。第2の入力において、ANDゲート82は、通信経路74を介して噴射信号72を受け取る。一例において、噴射信号72は、遅延素子86により遅延され、この場合、各プリミティブは、噴射アクチュエータの噴射がプリミティブP(1)~P(x)間で同時に起きないように、異なる遅延を有する。
【0030】
一例において、各流体アクチュエータは、アドレスバス62-1上でアドレスドライバ60-1により駆動されたアドレスを受け取る対応するアドレス復号器88、及びFET80のゲートを制御するためのANDゲート90を有する。ANDゲート90は、第1の入力において、対応するアドレス復号器88の出力を受け取り、第2の入力において、ANDゲート82の出力を受け取る。留意される点は、アドレス復号器88及びANDゲート90は、各流体アクチュエータに対して繰り返されるが、ANDゲート82、メモリ素子84、及び遅延素子86は、各プリミティブに対して繰り返される。
【0031】
図4Aは、データパッド32-1~32-nを介して印刷構成要素30によりそれぞれ受け取られる例示的なデータセグメント33-1~33-nを一般的に示すブロック図である。図示されたように、各データセグメント33は、構成機能のグループ38に対応するデータビットの第1の部分102(時として、構成データと呼ばれる)、及び流体アクチュエータのアレイ40に対応するデータビットの第2の部分104(時として、プリミティブデータと呼ばれる)を含む第1のパルスグループ100を含む。例えば、データセグメント33-1に関して、データビットの第1の部分102-1のデータビットは、構成機能のグループ38-1に対応し、アドレスドライバ60-1のアドレスデータビットを含み、データビットの第2の部分104-1のデータビットは、流体アクチュエータのアレイ40-1に対応し、この場合、第2の部分104-1の各データビットは、プリミティブP(1)~P(x)の異なる1つに対応する。各データセグメント33に関して、噴射パルスグループ32のデータビットの数(即ち、噴射パルスビットの数)は、データビットの第1の部分102のビット(即ち、構成データビット)の数と、データビットの第2の部分104(即ち、プリミティブデータ)のビットの数との和に等しい。
【0032】
図4Aの例に従って、データセグメント33-1の噴射パルスグループ100-1の第2の部分104-1は、データセグメント33-2の噴射パルスグループ100-2の第2の部分104-2より多いプリミティブデータビットを有するように示され、データセグメント33-2の噴射パルスグループ100-2の第2の部分104-2は、データセグメント33-nの噴射パルスグループ100-nの第2の部分104-nより多いプリミティブデータビットを有するように示されており、これは、
図2に関連して、流体ダイ36-1の流体アクチュエータのアレイ40-1が、流体ダイ36-2の流体アクチュエータのアレイ40-2より多い数のプリミティブを有すると同時に、流体ダイ36-2の流体アクチュエータのアレイ40-2が、流体ダイ36-nの流体アクチュエータのアレイ40-nより多い数のプリミティブを有することを意味する(即ち、x>y>z)。結果として、噴射パルスグループ100-1は、噴射パルスグループ100-2より多い噴射パルスグループのビットを有し、噴射パルスグループ100-2は、噴射パルスグループ100-nより多い噴射パルスグループのビットを有し、これは、データセグメント33-1がデータセグメント33-2より長く(即ち、データセグメント33-2より多いデータセグメントのビットを有する)、データセグメント33-2がデータセグメント33-nより長い(即ち、データセグメント33-nより多いデータセグメントのビットを有する)ことを意味する。
【0033】
図2に関連して、間欠クロック信号35がクロックパッド34で受け取られている際(例えば、間欠クロック信号35の第1の立ち上がりエッジを受け取る際)、データセグメント33-1~33-nは、アクチュエータグループ36-1~36-nのメモリ素子のそれらの個々のアレイ50-1~50-nのメモリ素子51へ直列的にロードされる。しかしながら、
図2の例示的な具現化形態により示されたように、同じ間欠クロック信号35を共用する場合、それらの異なる長さという理由で、メモリ素子のアレイ50-1へデータセグメント33-1の噴射パルスグループ100-1をロードするのに必要な間欠クロック信号35のサイクル数は、メモリ素子のそれらの個々のアレイ50-2及び50-nへデータセグメント33-2及び33-nの噴射パルスグループ100-2及び100-nをロードするのに必要なクロックサイクルの数より多い。結果として、データセグメント33-2及び33-nの噴射パルスグループ100-2及び100-nのデータビットは、データセグメント33-1の噴射パルスグループ100-1のデータビットがメモリ素子のアレイ50-1へ直列的にロードされていることを完了する前に、メモリ素子のアレイ50-2及び50-nからそれぞれシフトアウトされ始めるであろう。従って、考慮されない場合、データセグメント33-1をアレイ50-1へロードすることの完了時に、誤ったデータがアレイ50-2及び50-nのメモリ素子に存在するであろう。
【0034】
図4Bに関連して、一例に従って、クロック信号35のような間欠クロック信号を共用する場合、それらの個々のメモリアレイ50-1~50-nへロードするために間欠クロック信号35の同じクロックサイクル数を用いるように、等しい長さ(即ち、同じ数のビット)のデータセグメント33-1~33-nのそれぞれを作成するために、噴射パルスグループ100-2及び100-nに加えて、データセグメント33-1及び33-nはそれぞれ、先頭に追加される充填ビットのセグメント110-1及び110-nを含む。一例に従って、図示されたように、データセグメント33-1が最も長いデータセグメントである(即ち、最も多いセグメントビットを有する)ので、データセグメント33-1の充填ビットのセグメント110-1は、充填ビットを含まないが、充填ビットのセグメント110-2及び110-nはそれぞれ、データセグメント33-1と同じ長さのデータセグメント33-2及び33-nをそれぞれ作成するために多数の充填ビットを有する(この場合、充填ビットセグメント33-nは、充填ビットセグメント33-2より多い充填ビットを有する)。
図4Bの例示的な図に従って、一般に、充填ビットのセグメント110は、全てのデータセグメント33-1~33-nがデータセグメント33-1~33-nの最も長いデータセグメント33と同じ長さを有するように、データセグメント33-1~33-nの各より短いデータセグメント33に追加される。
【0035】
間欠クロック信号がアクチュエータグループ36-1~36-nにより共用される場合、データセグメント33-1~33-nの先頭に充填ビットセグメント110-1~110-nを追加することにより、データセグメント33-1~33-nをそれらのメモリ素子の個々のアレイ50-1~50-nへ直列的にロードする際に、各データセグメント33-1~33-nの最後のデータビットは、各噴射パルスグループがそれらの個々のメモリアレイ50-1~50-nへ適切にロードされるように、同じクロックサイクルでロードされ、この場合、データビットの第1及び第2の部分102及び104はそれぞれ、メモリ素子の対応するアレイ50の第1及び第2の部分54及び56へロードされる。
【0036】
全てのデータセグメント33が同じ長さを有するように、少なくともより短い長さを有するデータセグメント33の先頭に充填ビットセグメント110を追加することにより、流体アクチュエータの複数のアレイ36が異なる数の流体アクチュエータ(FA)を有する場合でさえも、クロック信号35が流体アクチュエータの係るアレイ36により共用されることを可能にし、それにより、印刷構成要素30の回路のような回路が低減されて簡略化される。
【0037】
幾つかの例において、データセグメント33-1~33-nのそれぞれは、多数の充填ビットを含む充填ビットセグメント100を含み、この場合、各充填ビットセグメント100-1~100-nの充填ビットの数は、データセグメント33-1~33-nのそれぞれが同じ長さを有するようにする。一例において、充填ビットのそれぞれは、論理「ハイ」値(例えば、「1」)又は論理「ロー」値(「0」)の何れかを有し、この場合、各充填ビットセグメント100の充填ビットは、データセグメント33-1~33-nがそれぞれメモリアレイ50-1~50-nへ直列的にロードされる際に、印刷構成要素30に対する電磁的影響を軽減するための論理「ロー」値と論理「ハイ」値のパターンを有する。
【0038】
図2~
図3を参照して、上記の説明上の例を続けると、或る事例において、データセグメント33-1~33-nのそれぞれの最後のデータビットがメモリ素子の個々のアレイ50-1~50-nへロードされている(例えば、噴射パルスグループ100-1~100-nの第2の部分104-1~104-nのそれぞれの最後のデータビットがプリミティブP(1)に対応するそれらの個々のメモリ素子51へロードされている)際、間欠クロック信号35は、メモリアレイ50-1~50-nへのデータのシリアルローディングが停止するように、クロックパッド34から除去される。
【0039】
一例に従って、噴射パルスグループ100-1~100-nをそれらの個々のメモリアレイ50-1~50-nへロードすることを完了する際、噴射信号72(例えば、噴射パルス信号)が噴射パッド70で受け取られる。
図2及び
図3に関連して、一例において、噴射パルス信号72を受け取ることに応答して、メモリ素子の各アレイ50-1~50-nの各メモリ素子51に格納されたデータは、流体アクチュエータの対応するアレイ40-1~40-n又は構成機能のグループ38-1~38-nの対応するメモリ素子へ並列にシフトされる。例えば、
図3において、噴射信号72に応答して、メモリ素子51に格納されたプリミティブデータは、プリミティブP(1)の対応するメモリ素子84へシフトされる。
【0040】
一例において、メモリ素子のアレイ50-1~50-nから並列にシフトアウトされた後、噴射パルスグループデータは、流体を循環する又は流体滴を吐出するように、選択された流体アクチュエータ(FA)を動作させるために、構成機能の対応するグループ38-1~38-n及びプリミティブ(P(1)~P(x)、P(1)~P(y)、及びP(1)~P(z))により処理される。例えば、
図3に関連して、一例において、メモリ素子84に格納されたプリミティブデータが論理ハイ(例えば、「1」)を有し、噴射パルス信号72が通信経路74上に存在する場合、ANDゲート82の出力は論理「ハイ」に設定される。メモリ素子の第2のグループ54-1の対応するメモリ素子から受け取られたアドレスビットに応答して、アドレス符号器60-1によりアドレスバス62-1上に駆動されたアドレスがアドレス「0」を表す場合、アドレス「0」復号器88の出力は、論理「ハイ」に設定される。ANDゲート82及びアドレス「0」復号器88の出力がそれぞれ論理「ハイ」に設定される場合、ANDゲート90の出力も、論理「ハイ」に設定され、それにより、流体を変位させる(例えば、流体滴を吐出する)ために流体アクチュエータFA(0)を付勢するように、対応するFET80がターン「オン」される。
【0041】
一例において、噴射パルスグループデータが噴射信号72に応答して、メモリ素子のアレイ50-1~50-nからシフトアウトされる際、間欠クロック信号35がクロックパッド34を介して再び受け取られ、次のデータセグメント33-1~33-nがメモリ素子のアレイ50-1~50-nへ直列的にロードされる。
【0042】
図5は、
図2の印刷構成要素30を一般的に示す略ブロック図であり、この場合、流体アクチュエータFA(1)~FA(p)に加えて、アクチュエータグループ40-1~40-nのプリミティブP(1)~P(x)、P(1)~P(y)、及びP(1)~P(z)はそれぞれ、M(1)~M(x)、M(1)~M(y)及びM(1)~M(z)としてそれぞれ示されたメモリ素子のアレイを含む。一例において、図示されたように、構成グループ38-1~38-nのそれぞれは、1つ又は複数のメモリCMを含み、当該メモリCMのそれぞれは、構成機能の異なる1つに対応する。
【0043】
一例において、
図5の印刷構成要素30は、モード信号79を受け取るためのモードパッド78を更に含む。一例において、モード信号79の状態に基づいて、流体アクチュエータ及び構成機能にシフトされているメモリ素子のアレイ50-1~50-nに格納されたデータの代わりに、噴射信号72が噴射パッド70上で引き上げられる際、データは、それらの個々のプリミティブのプリミティブメモリアレイ(例えば、M(1)~M(x)、M(1)~M(y)及びM(1)~M(z))、及び構成機能の個々のグループ38-1~38-nの構成メモリCMへシフトされる。
【0044】
図6は、
図5の印刷構成要素30を一般的に示す略ブロック図であり、この場合、共通間欠クロック信号35を共用する流体ダイ37-1~37-nの代わりに、各流体ダイ37-1~37-nは、対応するクロックパッド34-1~34-nを介して、クロック信号35-1~35-nとして示されたそれ自体の対応する間欠クロック信号を受け取る。
図2~
図4に関連して、間欠クロック信号35-1~35-nは、別個に制御されることができ(例えば、異なる時間に開始および/または停止することができる)、データセグメント33-1~33-nは、同じ長さからなる必要がなく、かくして、充填ビットセグメント110を含まないことができる。
図6を参照すると、データセグメント33-1~33-nの噴射パルスグループ100-1~100-nを対応する流体ダイ37-1~37-nのメモリ素子のアレイ50-1~50-nへロードすることを完了する際、噴射信号72は、(上述されたように)噴射パルスグループデータ上の動作を開始するために引き上げられ得る。
【0045】
図7は、流体吐出システム200の一例を示すブロック図である。流体吐出システム200は、プリントヘッドアセンブリ204のような流体吐出アセンブリ、及びインク供給アセンブリ216のような流体供給アセンブリを含む。図示され例において、流体吐出システム200は、サービスステーションアセンブリ208、キャリッジアセンブリ222、印刷媒体搬送アセンブリ226、及び電子コントローラ230も含む。以下の説明はインクに関して取り扱う流体に対するシステム及びアセンブリの例を提供するが、開示されたシステム及びアセンブリは、インク以外の流体の取り扱いにも適用可能である。
【0046】
プリントヘッドアセンブリ204は、複数のオリフィス又はノズル214を介してインク又は流体の小滴を吐出する少なくとも1つのプリントヘッド212を含み、この場合、プリントヘッド212は、一例において、例えば、
図2により本明細書で前述されたように、ノズル214として具現化されたアクチュエータグループ36-1~36-nの流体アクチュエータ(FA)を有する印刷構成要素30として具現化され得る。一例において、小滴は、印刷媒体232上へ印刷するように、印刷媒体232のような媒体へ向けて送られる。一例において、印刷媒体232は、用紙、カード用紙、透明媒体、マイラー(登録商標)、生地、及び同類のもののような、任意のタイプの適切なシート材料を含む。別の例において、印刷媒体232は、粉末ベッドのような三次元(3D)印刷用の媒体、或いはリザーバ又は容器のようなバイオプリンティング及び/又は創薬試験用の媒体を含む。一例において、プリントヘッドアセンブリ204及び印刷媒体232が互いに対して移動する際に、ノズル214からの適切に順序付けられたインクの吐出により、文字、記号および/または他のグラフィックス又はイメージが印刷媒体232上に印刷されるように、ノズル214は、少なくとも1つの列またはアレイに配列される。
【0047】
インク供給アセンブリ216は、インクをプリントヘッドアセンブリ204に供給し、インクを貯蔵するためのリザーバ218を含む。そのため、一例において、インクはリザーバ218からプリントヘッドアセンブリ204に流れる。一例において、プリントヘッドアセンブリ204及びインク供給アセンブリ216は、インクジェット又は流体ジェット印刷カートリッジ又はペンに一緒になるように収容される。別の例において、インク供給アセンブリ216は、プリントヘッドアセンブリ204から分離し、供給管および/またはバルブのようなインターフェース接続220を介して、インクをプリントヘッドアセンブリ204に供給する。
【0048】
キャリッジアセンブリ222は、プリントヘッドアセンブリ204を印刷媒体搬送アセンブリ226に対して位置決めし、印刷媒体搬送アセンブリ226は、印刷媒体232をプリントヘッドアセンブリ204に対して位置決めする。かくして、印刷区域234が、プリントヘッドアセンブリ204と印刷媒体232との間の領域において、ノズル214に隣接して画定される。一例において、プリントヘッドアセンブリ204は、キャリッジアセンブリ222が印刷媒体搬送アセンブリ226に対してプリントヘッドアセンブリ204を移動させるような、走査型プリントヘッドアセンブリである。別の例において、プリントヘッドアセンブリ204は、キャリッジアセンブリ222が印刷媒体搬送アセンブリ226に対して所定の位置にプリントヘッドアセンブリ204を固定するような、非走査型プリントヘッドアセンブリである。
【0049】
サービスステーションアセンブリ208は、プリントヘッドアセンブリ204、より具体的にはノズル214の機能性を維持するために、プリントヘッドアセンブリ204のスピッティング(吐き出し)、ワイピング、キャッピング及び/又はプライミングを行う。例えば、サービスステーションアセンブリ208は、ノズル214から余分なインクを拭き取る又は取り除くためにプリントヘッドアセンブリ204上を周期的に通過するゴム製ブレード又はワイパを含むことができる。更に、サービスステーションアセンブリ208は、使用していない期間中にノズル214を乾燥から保護するためにプリントヘッドアセンブリ204を覆うキャップを含むことができる。更に、サービスステーションアセンブリ208は、リザーバ218が適切なレベルの圧力および流動性を確実に維持するために且つノズル214が詰まっていない又は垂らさないことを保証するために、プリントヘッドアセンブリ204がスピッティング中にインクを吐出するインク壺を含むことができる。サービスステーションアセンブリ208の機能は、サービスステーションアセンブリ208とプリントヘッドアセンブリ204との間の相対運動を含むことができる。
【0050】
電子コントローラ230は、通信経路206を介してプリントヘッドアセンブリ204と通信し、通信経路210を介してサービスステーションアセンブリ208と通信し、通信経路224を介してキャリッジアセンブリ222と通信し、及び通信経路228を介して印刷媒体搬送アセンブリ226と通信する。一例において、プリントヘッドアセンブリ204がキャリッジアセンブリ222に取り付けられる場合、電子コントローラ230とプリントヘッドアセンブリ204は、通信経路202を介してキャリッジアセンブリ222を経由して通信することができる。また、電子コントローラ230は、一具現化形態において、新たな(又は使用済み)インク供給品が検出され得るように、インク供給アセンブリ216と通信することもできる。
【0051】
電子コントローラ230は、コンピュータのようなホストシステムからデータ236を受け取り、一時的にデータ236を格納するためのメモリを含むことができる。データ236は、電子経路、赤外線経路、光学的経路または他の情報伝達経路に沿って、流体吐出システム200に送信され得る。データ236は例えば、印刷されるべき文章(書類)及び/又はファイルを表す。そのため、データ236は、流体吐出システム200用の印刷ジョブを形成し、少なくとも1つの印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータを含む。
【0052】
一例において、電子コントローラ230は、プリントヘッドアセンブリ204の制御を行い、当該制御には、ノズル214からのインク滴の吐出に関するタイミング制御が含まれる。そのため、電子コントローラ230は、文字、記号および/または他のグラフィックス又はイメージを印刷媒体232上に形成する、吐出されるインク滴のパターンを定義する。タイミング制御、それ故に吐出されるインク滴のパターンは、印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータにより決定される。一例において、電子コントローラ230の一部を形成する論理回路および駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ204上に位置する。別の例において、電子コントローラ230の一部を形成する論理回路および駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ204から離れて位置する。一例において、データセグメント33-1~33-n、間欠クロック信号35、噴射信号72、及びモード信号79は、電子コントローラ230により印刷構成要素30に供給されることができ、この場合、電子コントローラ230は、印刷構成要素30から離れることができる。
【0053】
図8は、本開示の一例による、
図2~
図4の印刷構成要素30のような、印刷構成要素を動作させる方法300を示す流れ図である。302において、方法300は、
図2により示されたようなデータパッド32-1~32-n上でデータセグメント33-1~33-nを受け取るような、多数のデータパッド上でデータセグメントを受け取ることを含み、この場合、各データセグメントは、多数のセグメントビットを含み、当該多数のセグメントビットは、多数の噴射パルスグループビットを含む噴射パルスグループを含み、当該多数のセグメントビットは、
図4Aにより示されたように、多数の噴射パルスグループビットに少なくとも等しく、ここで各データセグメント33-1~33-nはそれぞれ、噴射パルスグループ100-1~100-nを含む。
【0054】
304において、方法300は、クロックパッド34上で間欠クロック信号35を受け取る
図2の印刷構成要素30のように、クロックパッド上で間欠クロック信号を受け取ることを含む。306において、方法300は、多数の流体アクチュエータアレイを形成するために多数の流体アクチュエータを配列することを含み、流体アクチュエータの各アレイは、流体アクチュエータのアレイ40-1~40-nをそれぞれ含む
図2のアクチュエータグループ36-1~36-nのような、データパッドの異なる1つに対応するメモリ素子の対応するアレイを有し、この場合、流体アクチュエータのアレイ40-1~40-nはそれぞれ、対応するメモリ素子のアレイ50-1~50-nを有し、メモリ素子のアレイ50-1~50-nはそれぞれ、対応するデータパッド32-1~32-nを有する。
【0055】
308において、方法300は、少なくとも噴射パルスセグメント100-1~100-nをそれぞれ格納するようにメモリ素子のアレイ50-1~50-nへデータセグメント33-1~33-nをそれぞれロードする(
図4A及び
図4Bにより示されたように)ような、少なくとも噴射パルスグループビットを格納するためにクロックパッド上に間欠クロック信号が存在するたびに、対応するデータパッドからのデータセグメントをメモリ素子の各アレイへ直列的にロードすることを含む。
【0056】
本明細書において、特定の例が図示および説明されたが、様々な代替および/または等価な具現化形態が、本開示の範囲から逸脱せずに、図示および説明された特定の例と置き換えられ得る。本明細書は、本明細書で説明された特定の例の任意の改作物または変化形態を網羅することが意図されている。従って、本開示は、特許請求の範囲およびその等価物によってのみ制限されることが意図されている。