(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220926BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220926BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220926BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20220926BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/205
H01L21/302 101G
C23C16/44 B
F16L23/02 Z
(21)【出願番号】P 2021547083
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2020046048
(87)【国際公開番号】W WO2021145110
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2020004065
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒津 貴久
(72)【発明者】
【氏名】田中 和孝
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/154435(WO,A1)
【文献】特開2009-54871(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104465453(CN,A)
【文献】中国実用新案第208138644(CN,U)
【文献】国際公開第2016/117424(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/023831(WO,A1)
【文献】特開2011-61040(JP,A)
【文献】米国特許第5968379(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/205
H01L 21/3065
C23C 16/44
F16L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、
前記第1の方向に延び、セラミックスにより形成された管状部材であって、前記第1の方向の一方側の端部において前記板状部材の前記第2の表面に接合され、前記第1の方向の他方側の端部に、前記第1の方向に略直交する方向に突出し、かつ、前記第1の方向に延びる第1の貫通孔が形成されたフランジ部を有する管状部材と、
を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、
前記管状部材における、前記第1の方向の前記他方側に配置された接続部材であって、前記第1の方向の前記一方側の端面である第3の表面に開口するように、前記フランジ部の前記第1の貫通孔に挿通された締結部材が螺号する孔が形成された接続部材を備え、
前記管状部材における前記第1の方向の前記他方側の端面である第4の表面の一部分は、前記接続部材の前記第3の表面に接しており、かつ、前記管状部材の前記第4の表面の外縁線の内、前記第4の表面を包含する最小の仮想円に重なる部分である特定部分は、前記接続部材の前記第3の表面に接していない、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保持装置において、
前記管状部材の前記第4の表面の前記外縁線の全体が、前記接続部材の前記第3の表面に接していない、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の保持装置において、
前記接続部材の前記第3の表面には、前記第1の方向視で前記管状部材の前記第4の表面の前記外縁線の前記特定部分に重なる部分が存在し、
前記第1の方向において、前記接続部材の前記第3の表面と、前記管状部材の前記第4の表面の前記外縁線の前記特定部分とは、離間している、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置において、さらに、
前記フランジ部に対して前記第1の方向の前記一方側に配置されたスペーサであって、前記フランジ部の前記第1の貫通孔に連通し、かつ、前記締結部材が挿通される第2の貫通孔が形成されたスペーサを備え、
前記フランジ部における前記第1の方向の前記一方側の端面である第5の表面の一部分は、前記スペーサにおける前記第1の方向の前記他方側の端面である第6の表面に接しており、かつ、前記フランジ部の前記第5の表面の外縁線の全体が、前記スペーサの前記第6の表面に接していない、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記管状部材の前記フランジ部には、複数の前記第1の貫通孔が形成されており、
前記接続部材には、前記フランジ部の複数の前記第1の貫通孔に挿通された複数の前記締結部材が螺号する複数の前記孔が形成されている、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の保持装置において、さらに、
前記締結部材を備える、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の保持装置において、さらに、
前記板状部材の内部に配置された内部電極を備える、
ことを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物(例えば、半導体ウェハ)を保持しつつ所定の温度(例えば、400~800℃程度)に加熱する加熱装置(「サセプタ」とも呼ばれる。)が知られている。加熱装置は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置、スパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。
【0003】
一般に、加熱装置は、板状部材と管状部材とを備える。板状部材は、所定の方向(以下、「第1の方向」という。)に略直交する表面(以下、「保持面」という。)と、保持面とは反対側の表面(以下、「裏面」という。)とを有する板状の部材である。管状部材(「シャフト」とも呼ばれる。)は、上記第1の方向に延びる管状の部材であり、上記第1の方向の一方側の端部において板状部材の裏面に接合されている。板状部材の内部には、抵抗発熱体であるヒータ電極が配置されており、ヒータ電極に電圧が印加されるとヒータ電極が発熱し、板状部材の保持面上に保持された対象物が加熱される。
【0004】
加熱装置は、さらに、管状部材における上記第1の方向の他方側(板状部材に対向する側とは反対側)に配置された接続部材(「アダプタ」とも呼ばれる。)を備える。接続部材は、管状部材を他の部材(例えば、真空チャンバ)に取り付けるための部材である。接続部材は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成されている。
【0005】
加熱装置の管状部材と接続部材とは、ボルト等の締結部材により接合される(例えば、特許文献1参照)。より詳細には、管状部材における接続部材に対向する側の端部には、フランジ部が形成されており、該フランジ部には、貫通孔が形成されている。該フランジ部の貫通孔に挿通された締結部材が、接続部材における管状部材に対向する側の表面に形成された孔に螺号することにより、管状部材と接続部材とが接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、加熱装置の管状部材は、欠けが生じやすいセラミックスにより形成されている。そのため、管状部材と接続部材とを締結部材により締結する際に、2つの部材間にわずかな傾きが生じた場合に、管状部材の端面(接続部材に対向する面)における外縁線付近に接続部材が接触し、該外縁線付近に欠けが生ずるおそれがある。
【0008】
なお、このような課題は、加熱装置に限らず、板状部材と、セラミックス製の管状部材と、接続部材とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する保持装置一般に共通の課題である。
【0009】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0011】
(1)本明細書に開示される保持装置は、第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、前記第1の方向に延び、セラミックスにより形成された管状部材であって、前記第1の方向の一方側の端部において前記板状部材の前記第2の表面に接合され、前記第1の方向の他方側の端部に、前記第1の方向に略直交する方向に突出し、かつ、前記第1の方向に延びる第1の貫通孔が形成されたフランジ部を有する管状部材と、を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、前記管状部材における、前記第1の方向の前記他方側に配置された接続部材であって、前記第1の方向の前記一方側の端面である第3の表面に開口するように、前記フランジ部の前記第1の貫通孔に挿通された締結部材が螺号する孔が形成された接続部材を備え、前記管状部材における前記第1の方向の前記他方側の端面である第4の表面の一部分は、前記接続部材の前記第3の表面に接しており、かつ、前記管状部材の前記第4の表面の外縁線の内、前記第4の表面を包含する最小の仮想円に重なる部分である特定部分は、前記接続部材の前記第3の表面に接していない。
【0012】
上述した管状部材の第4の表面(接続部材に対向する側の端面)の外縁線の部分は、管状部材と接続部材とを締結部材により締結する際に、管状部材と接続部材との間にわずかな傾きが生じた場合に、接続部材との接触による管状部材の欠けが生じやすい箇所である。特に、管状部材の第4の表面の外縁線のうち、該第4の表面を包含する最小の仮想円に重なる部分である特定部分(すなわち、外縁線のうちの最外周側の部分)は、上記欠けが最も生じやすい箇所である。上述したように、本保持装置では、管状部材の第4の表面の外縁線における特定部分が、接続部材の第3の表面に接していない。そのため、本保持装置によれば、上述した2つの部材間のわずかな傾きが生じた場合であっても、管状部材の第4の表面の外縁線における特定部分が接続部材と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材の欠けの発生を抑制することができる。
【0013】
(2)上記保持装置において、前記管状部材の前記第4の表面の前記外縁線の全体が、前記接続部材の前記第3の表面に接していない構成としてもよい。このような構成によれば、管状部材の欠けの発生をより確実に抑制することができる。
【0014】
(3)上記保持装置において、前記接続部材の前記第3の表面には、前記第1の方向視で前記管状部材の前記第4の表面の前記外縁線の前記特定部分に重なる部分が存在し、前記第1の方向において、前記接続部材の前記第3の表面と、前記管状部材の前記第4の表面の前記外縁線の前記特定部分とは、離間している構成としてもよい。このような構成によれば、によれば、管状部材のフランジ部と接続部材との間の外径の大小関係等にかかわらず、管状部材の欠けの発生を抑制することができる。
【0015】
(4)上記保持装置において、さらに、前記フランジ部に対して前記第1の方向の前記一方側に配置されたスペーサであって、前記フランジ部の前記第1の貫通孔に連通し、かつ、前記締結部材が挿通される第2の貫通孔が形成されたスペーサを備え、前記フランジ部における前記第1の方向の前記一方側の端面である第5の表面の一部分は、前記スペーサにおける前記第1の方向の前記他方側の端面である第6の表面に接しており、かつ、前記フランジ部の前記第5の表面の外縁線の全体が、前記スペーサの前記第6の表面に接していない構成としてもよい。スペーサを用いて管状部材と接続部材とを締結する形態において、上述した管状部材のフランジ部の第5の表面(スペーサに対向する側の端面)の外縁線の部分は、スペーサと管状部材との間にわずかな傾きが生じた場合に、スペーサとの接触により管状部材の欠けが生じやすい箇所である。上記構成では、管状部材のフランジ部の第5の表面の外縁線の全体が、スペーサの第6の表面に接していない。そのため、上記構成によれば、上述した2つの部材間のわずかな傾きが生じた場合であっても、管状部材のフランジ部の第5の表面の外縁線の部分がスペーサと接触することを抑制することができ、その結果、管状部材の欠けの発生を抑制することができる。
【0016】
(5)上記保持装置において、前記管状部材の前記フランジ部には、複数の前記第1の貫通孔が形成されており、前記接続部材には、前記フランジ部の複数の前記第1の貫通孔に挿通された複数の前記締結部材が螺号する複数の前記孔が形成されている構成としてもよい。このような構成では、管状部材と接続部材とを複数の締結部材により締結する際に、各締結部材の締結力のばらつきに起因して管状部材と接続部材との間にわずかな傾きが生じやすく、上記欠けが発生しやすい。しかしながら、本保持装置では、管状部材の第4の表面の外縁線における特定部分が、接続部材の第3の表面に接していないため、管状部材の第4の表面の外縁線における特定部分が接続部材と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材の欠けの発生を抑制することができる。
【0017】
(6)上記保持装置において、さらに、前記締結部材を備える構成としてもよい。このような構成によれば、管状部材と接続部材とを締結する締結部材を備える保持装置において、管状部材の第4の表面の外縁線における特定部分が接続部材と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材の欠けの発生を抑制することができる。
【0018】
(7)上記保持装置において、さらに、前記板状部材の内部に配置された内部電極を備える構成としてもよい。このような構成によれば、板状部材の内部に配置された内部電極を備える保持装置において、管状部材の第4の表面の外縁線における特定部分が接続部材と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材の欠けの発生を抑制することができる。
【0019】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、加熱装置、保持装置、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図
【
図2】本実施形態における加熱装置100の断面構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.実施形態:
A-1.加熱装置100の構成:
図1は、本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、
図2は、本実施形態における加熱装置100の断面構成を概略的に示す説明図である。
図2には、後述する
図3~
図8のII-IIの位置における加熱装置100のXZ断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、加熱装置100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0022】
加熱装置100は、対象物(例えば、半導体ウェハW)を保持しつつ所定の温度(例えば、400~800℃程度)に加熱する装置であり、サセプタとも呼ばれる。加熱装置100は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置、スパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。加熱装置100は、特許請求の範囲における保持装置の一例である。
【0023】
図1および
図2に示すように、加熱装置100は、板状部材10と、管状部材20と、接続部材80とを備える。
【0024】
板状部材10は、所定の方向(本実施形態ではZ軸方向)に略直交する表面(以下、「保持面S1」という。)と、保持面S1とは反対側の表面(以下、「裏面S2」という。)と、を有する略円板状の部材である。板状部材10は、窒化アルミニウム(AlN)やアルミナ(Al2O3)等のセラミックスにより形成されている。板状部材10の直径は、例えば100mm以上、500mm以下程度であり、板状部材10の厚さ(上下方向における長さ)は、例えば3mm以上、20mm以下程度である。板状部材10の保持面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、裏面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当し、Z軸方向に沿った上側は、特許請求の範囲における第1の方向の一方側に相当し、Z軸方向に沿った下側は、特許請求の範囲における第1の方向の他方側に相当する。
【0025】
管状部材20は、上記所定の方向(Z軸方向)に延びる略円管状の部材である。管状部材20は、板状部材10と同様に、窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミックスにより形成されている。本実施形態では、管状部材20は、上側(板状部材10に対向する側)の端部に、Z軸方向に直交する方向(以下、「面方向」という。)に突出する上側フランジ部22を有し、また、下側(接続部材80に対向する側)の端部に、面方向に突出する下側フランジ部23を有する。上側フランジ部22および下側フランジ部23は、管状部材20の周方向の全体にわたって形成されている。なお、以下では、管状部材20における上側フランジ部22および下側フランジ部23以外の部分を、本体部21という。管状部材20の本体部21の外径は、例えば30mm以上、90mm以下程度であり、管状部材20の高さ(上下方向における長さ)は、例えば100mm以上、300mm以下程度である。下側フランジ部23は、特許請求の範囲におけるフランジ部に相当する。
【0026】
板状部材10と管状部材20とは、板状部材10の裏面S2と管状部材20の上面S3とが上下方向に対向するように配置されている。管状部材20は、板状部材10の裏面S2の中心部付近に、公知の接合材料により形成された接合部30を介して接合されている。
【0027】
図2に示すように、板状部材10の内部には、発熱抵抗体であるヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50は、例えば、タングステンまたはモリブデン等の金属を含む材料により形成されている。本実施形態では、ヒータ電極50は、Z軸方向視で略同心円状に延びる線状のパターンを構成している。ヒータ電極50の線状パターンの両端部は、板状部材10の中心部近傍に配置されており、各端部にはビア導体52の上端部が接続されている。また、板状部材10の裏面S2には、一対の凹部12が形成されており、各凹部12の位置には、導電性の給電電極(電極パッド)54が設けられている。本実施形態では、給電電極54は、Z軸方向視で略円形であり、タングステンを含む材料(例えば、タングステンと窒化アルミニウムとの混合材料)により形成されている。ビア導体52の下端部は、給電電極54に接続されている。その結果、ヒータ電極50と給電電極54とがビア導体52を介して電気的に接続された状態となっている。
【0028】
また、管状部材20には、管状部材20の全長にわたってZ軸方向に延びる貫通孔24が形成されている。貫通孔24には、複数の端子部材70が収容されている。端子部材70は、例えばZ軸方向視で略円形の柱状部材であり、ニッケル(Ni)含む材料(例えば、純ニッケルやニッケルを含む合金(例えばコバール))により形成されている。端子部材70の上端部は、金属ろう材56(例えば金ろう材)を介して給電電極54に接合されている。
【0029】
図示しない電源から各端子部材70、各給電電極54、各ビア導体52等を介してヒータ電極50に電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱し、板状部材10の保持面S1上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハW)が所定の温度(例えば、400~800℃程度)に加熱される。
【0030】
接続部材80は、管状部材20の下側に配置されており、管状部材20を他の部材(例えば、真空チャンバ(不図示))に取り付けるための部材である。接続部材80は、例えば、上記所定の方向(Z軸方向)に延びる略円柱状であり、例えばアルミニウム等の金属材料により形成されている。接続部材80と管状部材20とは、接続部材80の上面S3と管状部材20の下面S4とがZ軸方向に対向するように配置されており、後述するように、複数のボルト99により互いに接合されている。接続部材80には、管状部材20の貫通孔24に連通する貫通孔84が形成されており、上述した端子部材70は、管状部材20の貫通孔24と接続部材80の貫通孔84とにより形成された空間に配置されている。接続部材80の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当し、管状部材20の下面S4は、特許請求の範囲における第4の表面に相当する。
【0031】
なお、後述する
図3~
図6に示すように、管状部材20の本体部21には、Z軸方向に延びる複数の貫通孔26が形成されており、接続部材80には、Z軸方向に延び、かつ、それぞれ管状部材20の貫通孔26に連通する複数の貫通孔86が形成されている。管状部材20の貫通孔26および接続部材80の貫通孔86により形成された空間(Z軸方向に延びる空間)は、例えば、板状部材10の保持面S1や半導体ウェハW等を取り囲むエアーカーテン(不図示)を形成するため、窒素やアルゴン等の不活性ガスが供給されるガス流路や、板状部材10に配置された高周波電極(不図示)に接続された高周波体(不図示)を収容するための空間として利用される。
【0032】
A-2.管状部材20と接続部材80との接合箇所付近の詳細構成:
次に、本実施形態の加熱装置100における管状部材20と接続部材80との接合箇所付近の詳細構成について説明する。
図3は、管状部材20の下面S4の構成を示す説明図であり、
図4は、管状部材20の断面構成を示す説明図であり、
図5は、接続部材80の上面S3の構成を示す説明図であり、
図6は、接続部材80の断面構成を示す説明図であり、
図7は、後述するスペーサ90の下面S6の構成を示す説明図であり、
図8はスペーサ90の断面構成を示す説明図である。
図4には、
図2のIV-IVの位置における管状部材20のXY断面構成が示されており、
図6には、
図2のVI-VIの位置における接続部材80のXY断面構成が示されており、
図8には、
図2のVIII-VIIIの位置におけるスペーサ90のXY断面構成が示されている。
【0033】
上述したように、管状部材20は、下側の端部に、面方向に突出する下側フランジ部23を有する(
図2~
図4参照)。下側フランジ部23は、管状部材20の周方向の全体にわたって形成されている。本実施形態では、下側フランジ部23に、周方向に沿って略均等に配置された8つの貫通孔25が形成されている。下側フランジ部23に形成された各貫通孔25は、ボルト99を挿通するための孔である。なお、本実施形態では、下側フランジ部23に形成された各貫通孔25は、閉じた孔ではなく、下側フランジ部23の外周面に開口した孔(切り欠き)である。すなわち、本明細書において、ある部材に形成された、ある方向に延びる貫通孔は、該部材の該方向廻りの外周面に開口せずに閉じた孔の他に、該外周面に開口した孔(切り欠き)を含む。貫通孔25は、特許請求の範囲における第1の貫通孔に相当し、ボルト99は、特許請求の範囲における締結部材に相当する。
【0034】
また、
図5および
図6に示すように、接続部材80には、上面S3に開口する8つのボルト孔85が形成されている。各ボルト孔85は、周方向に沿って略均等に配置されている。接続部材80のボルト孔85には、管状部材20の下側フランジ部23の貫通孔25に挿通された複数のボルト99が螺号している(
図2参照)。これにより、管状部材20と接続部材80とが互いに接合される。ボルト孔85は、特許請求の範囲における接続部材80に形成された孔に相当する。
【0035】
なお、
図5および
図6に示すように、接続部材80の上面S3には、貫通孔84を囲むような略円環状の凹部(溝)88が形成されており、凹部88には、Oリング89が配置されている(
図2参照)。なお、
図5および
図6では、図の煩雑さを回避するために、Oリング89を簡易的に一点鎖線で示している。Oリング89の存在によって、貫通孔84により形成された空間がシールされる。なお、本実施形態では、凹部88が、各貫通孔86が形成された箇所にも連続的に形成されており、Oリング89が各貫通孔86を取り囲むような形状となっており、その結果、各貫通孔86により形成された空間もシールされている。
【0036】
また、本実施形態の加熱装置100は、さらに、管状部材20の下側フランジ部23の上側に配置された2つのスペーサ90を備えている(
図2参照)。
図7および
図8に示すように、各スペーサ90は、Z軸方向視で略半円弧状の板状部材であり、例えばアルミニウム等の金属材料により形成されている。2つのスペーサ90は、2つのスペーサ90を合わせるとZ軸方向視で略円形となるように配置されている。このように配置された2つのスペーサ90の組には、周方向に沿って略均等に配置された8つの貫通孔95(すなわち、1つのスペーサ90あたり4つの貫通孔95)が形成されている。各貫通孔95は、管状部材20の下側フランジ部23に形成された各貫通孔25に連通しており、ボルト99が挿通される(
図2参照)。2つのスペーサ90は、下側フランジ部23の上面S5に接すると共に、ボルト99の座面に接しており、座金(ワッシャ)として機能する。貫通孔95は、特許請求の範囲における第2の貫通孔に相当する。
【0037】
(管状部材20の下面S4と接続部材80の上面S3との関係)
本実施形態の加熱装置100では、接続部材80の上面S3に凹凸が形成されており、その結果、管状部材20の下面S4の一部分は、接続部材80の上面S3に接しており、管状部材20の下面S4の残りの一部分は、接続部材80の上面S3に接していない。以下、この点について、詳細に説明する。
【0038】
図3および
図4に示すように、管状部材20の下面S4の外縁線Lxは、該下面S4を包含する最小の仮想円VCに重なる部分(以下、「外周部分Lx1」という。)と、外周部分Lx1以外の部分(貫通孔25の内周面を構成する部分であり、以下、「内側部分Lx2」という。)とから構成されている。管状部材20の下面S4の外縁線Lxのうち、外周部分Lx1は、下側フランジ部23の最外周面を規定する部分であり、内側部分Lx2は、貫通孔25の内周面を規定する部分である。なお、
図5および
図6には、管状部材20の下面S4の外縁線Lxと接続部材80との位置関係を示すために、Z軸方向視での外縁線Lxの位置を破線で示している。管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1は、特許請求の範囲における特定部分に相当する。
【0039】
図5および
図6に示すように、本実施形態の加熱装置100では、接続部材80の上面S3の外径は、管状部材20の下面S4の外径より大きい。そのため、接続部材80の上面S3には、Z軸方向視で管状部材20の下面S4の外縁線Lx(外周部分Lx1および内側部分Lx2)に重なる部分が存在する。
【0040】
また、
図2、
図5および
図6に示すように、接続部材80の上面S3には、凹部(下方に後退した部分)87が形成されている。凹部87は、Z軸方向視で、接続部材80の上面S3の外周全周に沿って略一定の幅を有する帯状の外周部分87aと、外周部分87aから各ボルト孔85が形成された位置に向けて内側に延びる略半円形の内側部分87bとから構成されている。
図5および
図6に示すように、Z軸方向視で、管状部材20の下面S4の外縁線Lxのうちの外周部分Lx1は、その全体が、接続部材80の上面S3に形成された凹部87の外周部分87aに重なっている。そのため、該外周部分Lx1の全体は、Z軸方向において接続部材80の上面S3と離間しており、該上面S3に接していない。一方、Z軸方向視で、管状部材20の下面S4の外縁線Lxのうちの内側部分Lx2は、その一部分は、凹部87の外周部分87aに重なっているが、残りの一部分は、凹部87の外周部分87aに重なっていない。ただし、該残りの一部分は、凹部87の内側部分87bに重なっている。そのため、該内側部分Lx2の全体も、Z軸方向において接続部材80の上面S3と離間しており、該上面S3に接していない。以上のことから、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下面S4の外縁線Lxの全体が、Z軸方向において接続部材80の上面S3と離間しており、該上面S3に接していない。
【0041】
(管状部材20の下側フランジ部23の上面S5とスペーサ90の下面S6との関係)
本実施形態の加熱装置100では、各スペーサ90の下面S6に凹凸が形成されており、その結果、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の一部分は、各スペーサ90の下面S6に接しており、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の残りの一部分は、各スペーサ90の下面S6に接していない。以下、この点について、詳細に説明する。なお、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5は、特許請求の範囲における第5の表面に相当し、スペーサ90の下面S6は、特許請求の範囲における第6の表面に相当する。
【0042】
図2に示すように、管状部材20の下側フランジ部23の側面は、Z軸方向に平行である。そのため、
図3および
図4に示すように、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyは、Z軸方向視で、管状部材20の下面S4の外縁線Lxと一致する。すなわち、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyは、該上面S5を包含する最小の仮想円VCに重なる部分(以下、「外周部分Ly1」という。)と、外周部分Ly1以外の部分(貫通孔25の内周面を構成する部分であり、以下、「内側部分Ly2」という。)とから構成されている。管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyのうち、外周部分Ly1は、下側フランジ部23の最外周面を規定する部分であり、内側部分Ly2は、貫通孔25の内周面を規定する部分である。なお、
図7および
図8には、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyとスペーサ90との位置関係を示すために、Z軸方向視での外縁線Lyの位置を破線で示している。
【0043】
図7および
図8に示すように、本実施形態の加熱装置100では、2つのスペーサ90の下面S6により構成される領域の外径は、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外径より大きい。そのため、各スペーサ90の下面S6には、Z軸方向視で管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Ly(外周部分Ly1および内側部分Ly2)に重なる部分が存在する。
【0044】
また、
図2、
図7および
図8に示すように、各スペーサ90の下面S6には、凹部(上方に後退した部分)97が形成されている。凹部97は、Z軸方向視で、各スペーサ90の下面S6の外周全周に沿って略一定の幅を有する帯状の外周部分97aと、外周部分97aから各貫通孔95が形成された位置に向けて内側に延びる略矩形の内側部分97bとから構成されている。
図7および
図8に示すように、Z軸方向視で、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyのうちの外周部分Ly1は、その全体が、各スペーサ90の下面S6に形成された凹部97の外周部分97aに重なっている。そのため、該外周部分Ly1の全体は、Z軸方向においてスペーサ90の下面S6と離間しており、該下面S6に接していない。一方、Z軸方向視で、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyのうちの内側部分Ly2は、その一部分は、凹部97の外周部分97aに重なっているが、残りの一部分は、凹部97の外周部分97aに重なっていない。ただし、該残りの一部分は、凹部97の内側部分97bに重なっている。そのため、該内側部分Ly2の全体も、Z軸方向においてスペーサ90の下面S6と離間しており、該下面S6に接していない。以上のことから、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyの全体が、Z軸方向においてスペーサ90の下面S6と離間しており、該下面S6に接していない。
【0045】
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の加熱装置100は、Z軸方向に略直交する保持面S1と保持面S1とは反対側の裏面S2とを有する板状部材10と、Z軸方向に延び、セラミックスにより形成された管状部材20とを備え、板状部材10の保持面S1上に対象物を保持する保持装置である。管状部材20は、上側の端部において板状部材10の裏面S2に接合され、下側の端部に、面方向に突出する下側フランジ部23を有する。下側フランジ部23には、Z軸方向に延びる貫通孔25が形成されている。また、本実施形態の加熱装置100は、さらに、管状部材20の下側に配置された接続部材80を備える。接続部材80には、接続部材80の上面S3に開口するようにボルト孔85が形成されている。このボルト孔85には、管状部材20の下側フランジ部23の貫通孔25に挿通されたボルト99が螺号する。また、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下面S4の一部分は、接続部材80の上面S3に接しており、かつ、管状部材20の下面S4の外縁線Lxの内、該下面S4を包含する最小の仮想円VCに重なる部分である外周部分Lx1は、接続部材80の上面S3に接していない。
【0046】
上述した管状部材20の下面S4(接続部材80に対向する側の端面)の外縁線Lxの部分は、管状部材20と接続部材80とをボルト99により締結する際に、管状部材20と接続部材80との間にわずかな傾きが生じた場合に、接続部材80との接触による管状部材20の欠けが生じやすい箇所である。特に、管状部材20の下面S4の外縁線Lxのうち、該下面S4を包含する最小の仮想円VCに重なる部分である外周部分Lx1(すなわち、外縁線Lxのうちの最外周側の部分)は、上記欠けが最も生じやすい箇所である。上述したように、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1が、接続部材80の上面S3に接していない。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、上述した2つの部材間のわずかな傾きが生じた場合であっても、管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1が接続部材80と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材20の欠けの発生を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下面S4の外縁線Lxの全体が、接続部材80の上面S3に接していない。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、管状部材20の欠けの発生をより確実に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態の加熱装置100では、接続部材80の上面S3には、Z軸方向視で管状部材20の下面S4の外縁線Lxの外周部分Lx1に重なる部分が存在し、Z軸方向において、接続部材80の上面S3と、管状部材20の下面S4の外縁線Lxの外周部分Lx1とは離間している。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、管状部材20の下側フランジ部23と接続部材80との間の外径の大小関係等にかかわらず、管状部材20の欠けの発生を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態の加熱装置100は、さらに、管状部材20の下側フランジ部23の上側に配置されたスペーサ90を備える。スペーサ90には、貫通孔95が形成されている。スペーサ90の貫通孔95は、管状部材20の下側フランジ部23の貫通孔25に連通し、かつ、ボルト99が挿通される孔である。また、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の一部分は、スペーサ90の下面S6に接しており、かつ、下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyの全体が、スペーサ90の下面S6に接していない。スペーサ90を用いて管状部材20と接続部材80とを締結する形態において、上述した管状部材20の下側フランジ部23の上面S5(スペーサ90に対向する側の端面)の外縁線Lyの部分は、スペーサ90と管状部材20との間にわずかな傾きが生じた場合に、スペーサ90との接触により管状部材20の欠けが生じやすい箇所である。上述したように、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyの全体が、スペーサ90の下面S6に接していない。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、上述した2つの部材間のわずかな傾きが生じた場合であっても、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyの部分がスペーサ90と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材20の欠けの発生を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態の加熱装置100では、管状部材20の下側フランジ部23には、複数の貫通孔25が形成されており、接続部材80には、管状部材20の下側フランジ部23の複数の貫通孔25に挿通された複数のボルト99が螺号する複数のボルト孔85が形成されている。そのため、本実施形態の加熱装置100は、管状部材20と接続部材80とを複数のボルト99により締結する際に、各ボルト99の締結力のばらつきに起因して管状部材20と接続部材80との間にわずかな傾きが生じやすく、上記欠けが発生しやすい構成である。しかしながら、本実施形態の加熱装置100では、上述したように、管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1が、接続部材80の上面S3に接していないため、上述した2つの部材間のわずかな傾きが生じた場合であっても、管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1が接続部材80と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材20の欠けの発生を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の加熱装置100は、さらに、ボルト99を備える。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、管状部材20と接続部材80とを締結するボルト99を備える加熱装置100において、管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1が接続部材80と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材20の欠けの発生を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態の加熱装置100は、さらに、板状部材10の内部に配置された内部電極であるヒータ電極50を備える。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、板状部材10の内部に配置された内部電極を備える加熱装置100において、管状部材20の下面S4の外縁線Lxにおける外周部分Lx1が接続部材80と接触することを抑制することができ、その結果、管状部材20の欠けの発生を抑制することができる。
【0053】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0054】
上記実施形態における加熱装置100の構成は、あくまで例示であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、管状部材20の下面S4の外縁線Lxの全体が接続部材80の上面S3に接していないが、該外縁線Lxのうち、外周部分Lx1は接続部材80の上面S3に接していないが、内側部分Lx2(の少なくとも一部)は接続部材80の上面S3に接しているとしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、接続部材80の上面S3に凹部87が形成されることにより、管状部材20の下面S4の外縁線Lxのうちの外周部分Lx1が接続部材80の上面S3に接していない構成が実現されているが、接続部材80の上面S3の外径が管状部材20の下面S4の外径より小さいことによって該構成が実現されてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyの全体がスペーサ90の下面S6に接していないが、該外縁線Lyのうち、外周部分Ly1はスペーサ90の下面S6に接していないが、内側部分Ly2(の少なくとも一部)はスペーサ90の下面S6に接しているとしてもよい。また、管状部材20の下側フランジ部23の上面S5の外縁線Lyの全体がスペーサ90の下面S6に接しているとしてもよい。また、加熱装置100がスペーサ90を備えないとしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、管状部材20の下側フランジ部23に複数の貫通孔25が形成されており、接続部材80に、管状部材20の下側フランジ部23の複数の貫通孔25に挿通された複数のボルト99が螺号する複数のボルト孔85が形成されているが、管状部材20の下側フランジ部23に1つの貫通孔25が形成されており、接続部材80に、管状部材20の下側フランジ部23の1つの貫通孔25に挿通された1つのボルト99が螺号する1つのボルト孔85が形成されているとしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、加熱装置100が、板状部材10の内部に配置された内部電極として、ヒータ電極50を備えているが、加熱装置100が、板状部材10の内部に配置された内部電極として、他の電極(例えば、RF電極)を備えていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態における加熱装置100を構成する各部材の形成材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態では、板状部材10がセラミックス製であるとしているが、板状部材10がセラミックス以外の材料製(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属製)であるとしてもよい。また、上記実施形態では、接続部材80やスペーサ90が金属製であるとしているが、接続部材80やスペーサ90が金属以外の材料製であるとしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態の加熱装置100では、パージガスを供給するためのガス流路や高周波体を収容するための空間として利用される空間を形成するために、管状部材20の貫通孔26および接続部材80の貫通孔86が形成されているが、これらの孔は無くてもよいし、さらに他の空間を形成するための孔が形成されていてもよい。
【0061】
また、本明細書に開示される技術は、加熱装置に限らず、板状部材と、セラミックス製の管状部材と、接続部材とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10:板状部材 12:凹部 20:管状部材 21:本体部 22:上側フランジ部 23:下側フランジ部 24:貫通孔 25:貫通孔 26:貫通孔 30:接合部 50:ヒータ電極 52:ビア導体 54:給電電極 56:金属ろう材 70:端子部材 80:接続部材 84:貫通孔 85:ボルト孔 86:貫通孔 87:凹部 87a:外周部分 87b:内側部分 88:凹部 89:Oリング 90:スペーサ 95:貫通孔 97:凹部 97a:外周部分 97b:内側部分 99:ボルト 100:加熱装置 Lx1:外周部分 Lx2:内側部分 Lx:外縁線 Ly1:外周部分 Ly2:内側部分 Ly:外縁線 S1:保持面 S2:裏面 S3:上面 S4:下面 S5:上面 S6:下面 VC:仮想円 W:半導体ウェハ