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特許7146111高圧及び超高圧液体クロマトグラフィー用バルブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】高圧及び超高圧液体クロマトグラフィー用バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/08 20060101AFI20220926BHJP
   F16K 3/18 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F16K3/08
F16K3/18 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021552614
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 US2020013656
(87)【国際公開番号】W WO2020180399
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】62/813,430
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508276110
【氏名又は名称】ヴァルコ インスツルメンツ カンパニー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100167047
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸典
(74)【代理人】
【識別番号】100085785
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 昌典
(72)【発明者】
【氏名】スターンズ, スタンレー, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】プリスティル, アレス
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178239(JP,A)
【文献】特開2014-038096(JP,A)
【文献】実開昭58-006263(JP,U)
【文献】特表2014-507646(JP,A)
【文献】実開昭59-164875(JP,U)
【文献】米国特許第06193213(US,B1)
【文献】米国特許第09400265(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00-3/36
31/44-31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧配置において単一の高圧で、または前記単一の高圧よりも高い単一の超高圧で、液体を出力ポートに選択的に伝達するためのバルブ(100)であって、該バルブは、
バルブ第1端(150)の所に少なくとも2つのポート(112)の各々が連通するステータ面(154)と、バルブ第2端(152)の所にバルブ本体内部円筒形肩部(134)と、バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)を有するバルブ本体円筒形キー付き通路(158)とを有するバルブ本体(140)と、
前記ステータ面(154)に隣接し、前記少なくとも2つのポート(112)のうちの2つの間を連通するために設けられた少なくとも1つのスロット(194)を有するロータ(120)と、
円筒形カムエレメント上面(160)上の所で前記ロータ(120)に取り付けられ、前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触するようになった円筒形カムエレメント停止部材(156)を円筒形カムエレメントの側部(162)上に有する円筒形カムエレメント(124)であって、
該円筒形カムエレメント(124)は円筒形カムエレメント底面(161)を有し、該円筒形カムエレメント底面(161)から延び出た少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と、該少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)の間の円筒形カムエレメントトラフ(286)と、前記少なくとも2つのクレスト(272)のそれぞれと横方向に隣接する前記円筒形カムエレメントトラフ(286)との間の円筒形カムエレメントランプ(290)を有し、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のそれぞれは円筒形カムエレメントクレスト高さ(174)を有し、前記円筒形カムエレメント(124)は前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)の1つと、前記円筒形カムエレメントトラフ(286)と、2つの前記円筒形カムエレメントランプ(290)とを含む波長(177)を有し、前記バルブ本体(140)に対して相対的に回転可能である円筒形カムエレメント(124)と、
カムシャフト面(268)を有するカムシャフト(132)であって、前記カムシャフト面(268)から延び出た少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)と、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれの間にカムシャフトトラフ(288)と、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれと横方向に隣接するカムシャフトトラフ(288)の間にカムシャフトランプ(292)とを有し、前記カムシャフトクレスト(276)のそれぞれはカムシャフトクレスト高さ(175)を有し、前記カムシャフト(132)は前記円筒形カムエレメント(124)の円筒形カムエレメント底面(161)と隣接するカムシャフト面(268)の近傍にカムシャフト肩部(178)を有し、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のうちの1つと前記カムシャフトトラフ(288)2つの前記カムシャフトランプ(292)とからなる長さは前記円筒形カムエレメント(124)の波長(177)に等しいカムシャフト(132)と、
前記カムシャフト(132)を取り囲み且つ前記バルブ本体(140)と前記カムシャフト肩部(178)とによって包囲されたスプリング(136)であって、該スプリング(136)は前記円筒形カムエレメント(124)に接触しておらず、前記バルブ本体内部円筒形肩部(134)および該バルブ本体内部円筒形肩部(134)に隣接するベアリング(135)のグループからなるものの1つに一方端が、前記ベアリング(135)および前記カムシャフト肩部(178)からなるグループものの1つに他方端が接触して設けられ、単一の高圧で動作する高圧配置構成においては第1の高さ(196)であるスプリング(136)と、
を具備することを特徴とするバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブにおいて、前記バルブが単一のより高い圧力で動作する超高圧配置構成を有し、該超高圧配置構成では、
少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれは前記円筒形カムエレメントトラフ(286)のうちの1つ内に位置しており、スプリング(136)は第1の高さ(196)を維持し、該スプリング(136)に何ら追加的な負荷を加えることなく、高圧配置構成において、前記ステータ面(154)に対して前記ロータ(120)をバイアスするためにすべての力を提供し、
前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)への前記円筒形カムエレメント停止部材(156)の接触が前記カムシャフト(132)に対する前記円筒形カムエレメント(124)の第1方向(502)への回転を拘束・停止し、前記少なくとも2つのカムシャフトクレストが前記円筒形カムエレメントクレスト(272)の1つの上に配置され、前記カムシャフト(132)が前記ロータ(120)から離れる方向の第1移動・変位位置となり、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)よりも短い前記カムシャフト(132)の変位に基づく第2の高さ(298)を維持し、
前記バルブ(100)は、円筒形カムエレメントクレスト部材(156)がバルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、ステータ面(154)に対するロータ(120)の回転を阻止している間に、カムシャフト(132)の第1方向(502)の回転によって、前記高圧配置構成から前記超高圧配置構成に移行するようになっており、また、前記少なくとも2つのカムシャフトクレストの各々が前記円筒形カムエレメントトラフ(286)の1つ内に嵌り込むまで、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触して前記ステータ面(154)に対する前記ロータ(120)の回転が妨げられている間に、前記カムシャフト(132)の前記第1方向(502)への回転によって、前記超高圧配置構成から前記高圧配置構成に移行する、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブにおいて、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は4つのカムシャフトクレスト(276)からなり、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)は4つのカムエレメントクレスト(272)からなり、前記バルブは以下の第1ポジション、第2ポジション、第3ポジション、第4ポジションおよび第5ポジションをとり、
前記第1ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は4つの前記円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、且つ前記スプリング(136)は前記第1の高さを維持し、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記単一の高圧下で高圧境界面を提供し、
前記第2ポジションは前記第1ポジションから前記カムシャフト(132)及び前記円筒形カムエレメント(124)を第1の方向に45度回転した位置であり、前記ロータ(120)および前記円筒形カムエレメント(124)が前記第1ポジションから前記第2ポジションへ前記第1の方向に回転している間および前記第2ポジションでは、前記ステータ面(154)が前記高圧境界面で前記ロータ(120)と接触し、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)はバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は前記円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)に維持され、
前記第3ポジションは前記第2ポジションから前記カムシャフト(132)及び前記円筒形カムエレメント(124)を前記第1の方向とは反対方向に45度回転した、バルブのインジェクト動作を促進する位置であり、前記カムシャフト(132)および前記円筒形カムエレメント(124)が前記第2ポジションから前記第3ポジションへ前記第1の方向とは逆方向に回転している間および前記第3ポジションでは、前記ステータ面(154)が前記高圧境界面で前記ロータ(120)と接触し、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は前記円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)を維持され、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記高圧境界面を提供し、
前記第4ポジションは前記カムシャフト(132)を前記円筒形カムエレメント(124)に対して前記第1の方向とは反対方向に45度回転した状態であり、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は前記円筒形カムエレメントクレスト(272)の上に乗り上がっており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)よりも短い第2の高さ(298)に維持され、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記単一のより高い高圧の超高圧境界面を提供し、前記第4ポジションでは前記ステータ面(154)は前記超高圧境界面の所でロータ(120)に接触し、
前記第5ポジションは前記カムシャフト(132)を前記円筒形カムエレメント(124)に対して更に前記第1の方向とは逆方向に45度回転させた状態であり、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記高圧境界面を提供し、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は前記円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)に維持される、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項4】
請求項1に記載のバルブ(100)であって、該バルブ(100)は更に、前記バルブ本体円筒形キー付き通路(158)内にバルブ本体円筒形キー付き第2キー(166)と、前記円筒形カムエレメント(124)の上に位置した円筒形カムエレメント停止部材(257)とを具備することを特徴とするバルブ。
【請求項5】
バルブ(100)であって、該バルブは、
バルブ第1端(150)の所にそれぞれが継手細部と関連し且つステータ面(154)の所で終端する2つのポート(112)と、バルブ第2端(152)の所にバルブ本体内部円筒形肩部(134)と、バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)とバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)を有するバルブ本体円筒形キー付き通路(158)とを有するバルブ本体(140)と、
前記ステータ面(154)に隣接したロータ(120)と、
前記ロータ(120)がその上面(160)の所で固着され、その側面(162)に円筒形カムエレメント停止部材(156)を有す円筒形カムエレメント(124)であって、該円筒形カムエレメント(124)は円筒形カムエレメント底面(161)を有し、該円筒形カムエレメント底面(161)には、そこから延出したそれぞれが円筒形カムエレメントクレスト高さ(174)を有する少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のそれぞれの間に円筒形カムエレメントトラフ(286)と、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のそれぞれと横方向に隣接する前記円筒形カムエレメントトラフ(286)との間に円筒形カムエレメントランプ(290)とを有し、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のうちの1つと前記円筒形カムエレメントトラフ(286)と2つの前記円筒形カムエレメントランプ(290)とを含んでなる波長(177)を有する円筒形カムエレメント(124)と、
前記円筒形カムエレメント(124)と一緒にまたは該円筒形カムエレメント(124)に対して相対的に回転可能なカムシャフト(132)であって、前記円筒形カムエレメント(124)の円筒形カムエレメント底面(161)に隣接するカムシャフト面(268)を有し、該カムシャフト面(268)には、そこからそれぞれが円筒形カムシャフトクレスト高さ(175)を有する4つのカムシャフトクレスト(276)と、該カムシャフトクレスト(276)のそれぞれの間のカムシャフトトラフ(288)と、前記カムシャフトクレストのそれぞれと横方向に隣接する前記カムシャフトトラフ(288)との間のカムシャフトランプ(292)とを有し、前記4つのカムシャフトクレスト(276)のうちの1つと前記カムシャフトトラフ(288)の1つと2つの前記カムシャフトランプ(292)とを含む長さは前記波長(177)に等しく、前記カムシャフト面(268)の近傍にカムシャフト肩部(178)を有するカムシャフト(132)と、
前記カムシャフト(132)を包囲し且つ前記バルブ本体(140)と前記カムシャフト肩部(178)によって包囲され、前記円筒形カムエレメント(124)に接触することなく、前記バルブ本体内部円筒形肩部(134)と前記カムシャフト肩部(178)との間に保持されるスプリング(136)であって、該スプリング(136)は、高圧配置構成において、前記スプリング(136)に対して如何なる追加の負荷を与えることなく第1の高さ(196)に維持され、その全発生力を前記ロータ(120)をバイアスするために提供し、また、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)に接触し、且つ前記4つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれが前記円筒形カムエレメントクレスト(272)上に移動して乗り上げた状態にあるときは、その長さが前記円筒形カムシャフトクレスト高さ(175)前記円筒形カムエレメントクレスト高さ(174)の小さい方だけ圧縮されるスプリング(136)と、
を具備することを特徴とするバルブ。
【請求項6】
バルブ(100)であって、該バルブは、
バルブ第1端(150)の所にそれぞれが継手細部と関連し且つステータ面(154)の所で終端する2つのポート(112)と、バルブ第2端(152)の所にバルブ本体内部円筒形肩部(134)と、バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)とバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)を有するバルブ本体円筒形キー付き通路(158)とを有するバルブ本体(140)と、
前記ステータ面(154)に隣接したロータ(120)と、
前記ロータ(120)がその上面(160)の所で固着され、その側面(162)に円筒形カムエレメント停止部材(156)を有す円筒形カムエレメント(124)であって、該円筒形カムエレメント(124)は円筒形カムエレメント底面(161)を有し、該円筒形カムエレメント底面(161)には、そこから延出したそれぞれが円筒形カムエレメントクレスト高さ(174)を有する少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のそれぞれの間に円筒形カムエレメントトラフ(286)と、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のそれぞれと横方向に隣接する前記円筒形カムエレメントトラフ(286)との間に円筒形カムエレメントランプ(290)とを有し、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)のうちの1つと前記円筒形カムエレメントトラフ(286)と2つの前記円筒形カムエレメントランプ(290)を含んでなる波長(177)を有する円筒形カムエレメント(124)と、
前記円筒形カムエレメント(124)と共にまたは相対的に回転可能であり、それぞれが円筒形カムシャフトクレスト高さ(174)を有する少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)と、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(276)の間にカムシャフトトラフ(288)と、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれと横方向に隣接した前記カムシャフトトラフ(288)との間にカムシャフトランプ(292)とを、前記円筒形カムエレメント(124)の前記円筒形カムエレメント底面(161)に隣接したカムシャフト面(268)上に有し、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のうちの1つと前記カムシャフトトラフ(288)と2つの前記カムシャフトランプ(292)を含む長さは前記波長に等しく、前記カムシャフト面(268)の近傍にカムシャフト肩部(178)を有するカムシャフト(132)と、
前記カムシャフト(132)を包囲し且つ前記バルブ本体(140)と前記カムシャフト肩部(178)によって包囲され、前記円筒形カムエレメント(124)に接触することなく、前記バルブ本体内部円筒形肩部(134)と前記カムシャフト肩部(178)との間に保持されるスプリング(136)と、を具備するバルブ(100)であって、該バルブ(100)は以下の第1ポジション、第2ポジション、第3ポジション、第4ポジションおよび第5ポジションをとり、
前記第1ポジションでは、前記ステータ面(154)が単一の圧力である単一の高圧でロータ(120)に接触しており、前記スプリング(136)が、該スプリング(136)に付加的負荷を与えることなく第1の高さ(196)で維持され、前記高圧のために、全発生力を前記ステータ面(154)に対してバイアスするように提供し、
前記第2ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(166)に接触しており、前記カムシャフト(132)が、前記第1ポジションから該カムシャフト(132)と前記円筒形カムエレメント(124)と共に第1方向(502)に回転している間は、前記ステータ面(154)は前記ロータ(120)に対して前記単一の高圧で接触しており、前記スプリング(136)はこの第2ポジションでは前記第1の高さ(196)であり、
前記第3ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)に接触しており、前記ステータ面(154)が前記単一の高圧で前記ロータ(120)に接触しており、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は前記少なくも2つのカムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記第3ポジションは前記第2ポジションにある前記カムシャフト(132)と前記円筒形カムエレメント(124)を前記第1方向(502)と逆方向に回転したポジションであり、前記カムシャフト(132)が前記第2ポジションから前記第3ポジションに回転中は、前記ステータ面(154)は前記単一の高圧で前記ロータ(120)に接触しており、前記スプリング(136)はこの第3ポジションでは前記第1の高さ(196)であり、
前記第4ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触しており、前記ステータ面(154)が前記単一の高圧を超える単一の超高圧で前記ロータ(120)に接触しており、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は前記少なくも2つのカムエレメントクレスト(272)の上に乗り上がっており、前記第4ポジションは前記第3ポジションにある前記カムシャフト(132)が前記第1方向(502)とは逆方向に更に回転した状態であり、前記カムシャフト(132)が前記第3ポジションから第4ポジションに回転中は、前記ステータ面(154)は前記単一の高圧から前記単一の超高圧に遷移する圧力で前記ロータ(120)に接触しており、前記カムシャフト(132)が前記第3ポジションから第4ポジションに回転中は、前記ロータ(120)は所定の位置に固定されており、前記スプリング(136)はこの第4ポジションでは前記第1の高さ(196)よりも短い第2の高さ(298)であり、
前記第5ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触しており、前記ステータ面(154)が前記単一の高圧で前記ロータ(120)に接触しており、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は前記少なくも2つのカムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記第5ポジションは前記第4ポジションにある前記カムシャフト(132)が前記第1方向(502)とは逆方向に更に回転した状態であり、前記カムシャフト(132)が前記第4ポジションから第5ポジションに回転中は、前記ステータ面(154)は前記単一の超高圧から前記単一の高圧に遷移する圧力で前記ロータ(120)に接触しており、前記カムシャフト(132)が前記第3ポジションから第4ポジションに回転中は、前記ロータ(120)は所定の位置に固定されており、前記スプリング(136)はこの第5ポジションでは前記第1の高さ(196)である、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項7】
請求項6に記載の単一の超高圧で動作する超高圧配置構成を有するバルブは、
高圧配置構成において、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれは前記円筒形カムエレメントトラフ(286)の1つ内に嵌り込んでおり、前記スプリング(136)は、前記第1の高さ(196)に維持され、該スプリング(136)に付加的負荷が加えられことなく、その全ての力を前記ロータ(120)をバイアスするために提供し、
前記超高圧配置構成において、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は、前記円筒形カムエレメント(124)の前記カムシャフト(132)に対する第1方向(502)の回転を拘束・停止するために前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触しており、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は前記円筒形カムエレメントクレスト(272)の上に乗り上げた状態にあり、前記カムシャフト(132)は前記ロータ(120)から離れる方向に第1変位量だけずれた位置にあり、前記スプリング(136)は前記の変位により、前記第1の高さ(198)よりも小さい第2の高さ(298)に維持され、
前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記ロータ(120)の前記ステータ面(154)に対する回転が阻止されている間に、前記高圧配置構成から前記超高圧配置構成への移行が前記カムシャフト(132)の前記第1方向(502)の回転によって行われ、
前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記ロータ(120)の前記ステータ面(154)に対する回転が、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれが前記円筒形カムエレメントトラフ(286)内に嵌り込むまで阻止されている間に、前記超高圧配置構成から前記高圧配置構成への移行が前記カムシャフト(132)の前記第1方向(502)の回転によって行われる、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項8】
請求項6に記載のバルブ(100)において、
前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は4つのカムシャフトクレスト(276)であり、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)は4つの円筒形カムエレメントクレスト(272)であり、前記バルブ(100)は次の第1ポジション、第2ポジション、第3ポジション、第4ポジションおよび第5ポジションをとり、
前記第1ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は4つの前記円筒形カムエレメントクレスト(272)に横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は第1の高さ(196)を維持して、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に高圧の高圧境界面を提供し、
前記第2ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は4つの前記円筒形カムエレメントクレスト(272)に横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は第1の高さ(196)を維持しており、前記第2ポジションは前記第1ポジションから前記カムシャフト(132)と前記円筒形カムエレメント(124)とを一緒に第1方向(502)に45度回転した状態であり、前記ステータ面(154)は前記第2ポジションでは前記ロータ(120)に接触しており、前記ロータ(120)と前記円筒形カムエレメント(124)の前記第1ポジションから前記第2ポジションへの前記第1方向(502)の回転中および前記第2ポジションでは前記ステータ面(154)は前記ロータ(120)に前記高圧境界面の所で接触しており、
前記第3ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は4つの前記円筒形カムエレメントクレスト(272)に横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)を維持して、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に高圧の高圧境界面を提供し、
前記第3ポジションは、前記第2ポジションから前記カムシャフト(132)と前記円筒形カムエレメント(124)とを前記第1方向(502)とは反対方向に45度回転して前記バルブへのインジェクトを容易にした状態であり、前記ステータ面(154)は前記第3ポジションでは前記高圧境界面で前記ロータ(120)に接触しており、前記ロータ(120)と前記円筒形カムエレメント(124)の前記第2ポジションから前記第3ポジションへの前記第1方向(502)とは反対方向への回転中および前記第3ポジションでは前記ステータ面(154)は前記ロータ(120)に前記高圧境界面の所で接触しており、
前記第4ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)と隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は4つの前記円筒形カムエレメントクレスト(272)の上に乗り上がった状態にあり、前記スプリング(136)は前記第2の高さ(298)を維持して、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記単一の超高圧である超高圧境界部を提供し、
前記第4ポジションは、前記カムシャフト(132)を前記円筒形カムエレメント(124)に対して前記第1方向(502)とは反対方向に45度回転した状態であり、前記第4ポジションでは、前記ステータ面(154)は前記超高圧境界部の所で前記ロータ(120)と接触しており、
前記第5ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)と隣接しており、前記4つのカムシャフトクレスト(276)は4つの前記円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリングは前記第1の高さ(196)を維持しており、
前記第5ポジションは、前記カムシャフト(132)を前記円筒形カムエレメント(124)に対して前記第1方向(502)とは反対方向に更に45度回転した状態であり、前記第5ポジションでは、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)の間には前記高圧境界面を提供する、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項9】
請求項6に記載のバルブ(100)であって、該バルブ(100)は更に、前記バルブ本体円筒形キー付き通路(158)内にバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)と、前記円筒形カムエレメント(124)上に円筒形カムエレメント第2停止部材(257)を具備することを特徴とするバルブ。
【請求項10】
請求項1に記載のバルブ(100)において、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は3つのカムシャフトクレスト(276)であり、前記少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト(272)は3つの円筒形カムエレメントクレスト(272)であり、前記バルブは次の第1ポジション、第2ポジション、第3ポジション、第4ポジションおよび第5ポジションをとり、
前記第1ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)と隣接しており、前記3つのカムシャフトクレスト(276)は前記3つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は第1の高さ(196)に維持されて、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記高圧である高圧境界部を提供し、
前記第2ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)はバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー(166)に隣接しており、前記3つのカムシャフトクレスト(276)は前記3つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)に維持され、
前記第2ポジションは、前記第1ポジションから、前記カムシャフト(132)と前記円筒形カムエレメント(124)とを第1の方向とは反対に回転した状態であり、前記ステータ面(154)は前記第2ポジションでは前記ロータ(120)に接触しており、前記ロータ(120)と前記円筒形カムエレメント(124)とを前記第1ポジションから第2ポジションへ前記第1の方向とは反対方向に回転している間、および前記第2ポジションでは、前記ステータ面(154)が前記高圧境界部の所で前記ロータ(120)に接触しており、
前記第3ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記3つのカムシャフトクレスト(276)は前記3つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)に維持され、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記高圧境界部を提供し、
前記第3ポジションは、前記第2ポジションから、前記カムシャフト(132)と前記円筒形カムエレメント(124)とを最初の前記第1の方向に回転してバルブのインジェクト動作を容易にした状態であり、前記ステータ面(154)は前記第3ポジションでは前記高圧境界部の所で前記ロータ(120)に接触しており、前記ロータ(120)と前記円筒形カムエレメント(124)とを前記第2ポジションから第3ポジションへ前記第1の方向へ回転している間、および前記第3ポジションであるときは、前記ステータ面(154)が前記高圧境界部の所で前記ロータ(120)に接触しており、
前記第4ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記3つのカムシャフトクレスト(276)は前記3つの円筒形カムエレメントクレスト(272)の上に乗り上げた状態にあり、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)よりも小さい第2の高さ(298)に維持され、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に、単一の超高圧である超高圧境界部を提供し、
前記第4ポジションは、前記カムシャフト(132)を前記円筒形カムエレメント(124)に対して前記第1の方向に60度回転した状態であり、前記第4ポジションであるときは、前記ステータ面(154)は前記超高圧境界部の所で前記ロータ(120)に接触しており、前記ロータ(120)と前記円筒形カムエレメント(124)とを前記第2ポジションから第3ポジションへ前記第1の方向へ回転している間、および前記第3ポジションであるときは、前記ステータ面(154)が前記高圧境界部の所で前記ロータ(120)に接触しており、
前記第5ポジションでは、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に隣接しており、前記3つのカムシャフトクレスト(276)は前記3つの円筒形カムエレメントクレスト(272)と横方向に隣接しており、前記スプリング(136)は前記第1の高さ(196)に維持され、
前記第5ポジションは、前記カムシャフト(132)を前記円筒形カムエレメント(124)に対して前記第1の方向に更に60度回転した状態であり、前記第5ポジションは、前記ロータ(120)と前記ステータ面(154)との間に前記高圧境界部を提供する、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項11】
請求項5に記載のバルブ(100)であって、該バルブ(100)は超高圧配置構成を有し、
前記高圧配置構成では単一の高圧で動作し、前記4つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれは前記円筒形カムエレメントトラフ(286)のそれぞれの中に位置しており、前記スプリング(136)は第1の高さ(196)に維持され、その全スプリング力を、該スプリング(136)に如何なる追加的負荷を与えることなく、前記ステータ面(154)に対して前記ロータ(120)をバイアスするために提供し、
前記超高圧配置構成では第2の単一の超高圧で動作し、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)は、前記カムシャフト(132)に対する前記円筒形カムエレメント(124)の第1方向(502)への回転を拘束・阻止するように前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記4つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれは、前記円筒形カムエレメントクレスト(272)の上に乗り上げた位置にあり、前記カムシャフト(132)は前記ロータ(120)から離れる方向の第1の変位の位置にあり、前記スプリング(136)は、前記第1の変位によって前記第1の高さ(196)よりも小さい第2の高さ(298)に維持され、
前記高圧配置構成から前記超高圧配置構成への移行は、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記ロータ(120)の前記ステータ面(154)に対する回転が阻止されている間に、前記カムシャフト(132)の前記第1方向(502)への回転によって行われ、
他方、前記超高圧配置構成から前記高圧配置構成への移行は、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記ロータ(120)の前記ステータ面(154)に対する回転が阻止されている間で、前記4つのカムシャフトクレスト(276)のそれぞれが前記円筒形カムエレメントトラフ(286)のそれぞれの中に配置されるまでの前記カムシャフト(132)の前記第1方向(502)への回転によって行われる、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項12】
請求項1に記載のバルブ(100)において、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は少なくとも2つの前記円筒形カムエレメントトラフ(286)内に入れ子状態(篏合状態)にあることを特徴とするバルブ。
【請求項13】
請求項6に記載のバルブ(100)において、前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)は少なくとも2つの前記円筒形カムエレメントトラフ(286)内に入れ子状態(篏合状態)にあることを特徴とするバルブ。
【請求項14】
請求項2に記載のバルブ(100)において、
前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記ステータ面(154)に対する前記ロータ(120)の回転が阻止されている間に行われる前記高圧配置構成から前記超高圧配置構成への移行は、前記カムシャフト(132)を、前記第1方向(502)に、360を前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)の数の2倍で割ったときの商の数に等しい角度回転させることにより実行され、
他方、前記円筒形カムエレメント停止部材(156)が前記バルブ本体円筒形キー付き通路キー(164)に接触し、前記ステータ面(154)に対する前記ロータ(120)の回転が阻止されている間に行われる前記超高圧配置構成から前記高圧配置構成への移行は、前記カムシャフト(132)を、前記第1方向(502)に、360を前記少なくとも2つのカムシャフトクレスト(276)の数の2倍で割ったときの商の数に等しい角度回転させることにより実行される、
ことを特徴とするバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体がクロマトグラフィー分析装置に超高圧で供給される液体クロマトグラフィー装置で使用されるバルブに関する。より詳しくは、本発明は、高圧動作において外部からの追加的な負荷を加えることなく、内部スプリングによりロータに加えられる力を増加させるように内部スプリングを内部構成要素に機械的に係合させることにより高圧動作を可能にすることで、各構成要素の摩耗を回避しつつ、内部スプリングによる力の印加によって高圧および超高圧の選択的動作を可能にするバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、一般的に、圧力の掛かった液体を供給するようにそのサイズが調整されたポンプ、インジェクションバルブ、カラム、およびディテクター(検出器)を用いて行われる。一部のシステムでは、液体は、20,000psi(20,000ポンド/平方インチ)に近いか、またはそれを超える超高圧で供給される。バルブは、バルブの入出力部に接続されたサンプルループに関連した液体の流量及び方向を制御するのに用いられる。具体的には、バルブは、バルブ本体のロータスロットのみに、より少ない量のサンプル(試料)を保持するように制御したり、ポンプやインジェクション、カラムからの液体を受け取ったり、更には、カラム、検出器、その他の装置から流体を受け取ったり/それらに送り出したりするために使用される。バルブは、このような圧力に関連した力と、少なくとも2つの位置の間で動作する必要があることで、バルブを構成する部品の機械的摩耗は相当なものである。
【0003】
問題なのは、バルブのステータとロータの構成部品は、バルブによって制御される液体を汚染する可能性のある液体シール剤や潤滑剤がない、乾燥した状態で動作するということである。バルブのステータポートとロータスロットの間に密封された接触を維持するための一定の力、特に超高圧で確実に動作させるのに十分な力は、ロータが適切に配置され且つバルブが適切に使用されているときには、常時には必要でないことが以前から認識されている。力の増加が部品の摩耗率を増加させるためである。現在のサンプルインジェクション・切換バルブは、表面がセラミック、金属、ポリマーの何れであるかに関わらず、超高圧下では表面同士の接触状態が摩擦により破壊されるため、20,000psiを超えると構造の材料に制限がある。
【0004】
ロータとステータの間の圧力を高めるために、ロータに印加される力を大きくするシステムの1つが、米国特許第6,193,213号に開示されている。この特許に係るシステムは、高圧流体(1,000~4,000psi、及びそれ以上)に関連して使用されるもので、バルブが静止して動作しているときには、バルブを通過する流体の圧力を利用して内部のスプリングのばね力に抗してリミットリングを駆動し、その後、流体の流れが停止したとき、または圧力が低下したとき(0~1,000psi)には、印加されていた力の一部を解除・除去してバルブの動きを容易にするものであった。理解できるとおり、この従来システムでは、追加の力を提供する流体の除去を可能にする追加のドレインが必要であったことである。
【0005】
したがって、追加の流体を必要とせずに、導入後の液体を平方インチ当たり20,000ポンド(20,000psi)を超える圧力に加圧でき、さらに、液体に超高圧を加えている間、バルブを構成する各部品が動くことを回避できるバルブシステムを提供することが望ましい。さらに、2つの圧力領域のそれぞれでの動作を可能にし、より高い圧力領域(超高圧領域)に近づくとき、その超高圧領域で動作している最中、またはその超高圧領域から離脱するときに、ステータに対するロータの移動を回避することができるバルブシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記の要望を満たし、先行技術における1つまたは複数の欠点を解消・克服するものである。シャフトを回転し、そのシャフトからロータの係合を切り離す構造のため、超高圧下における、ステータに対するロータの動きによる摩耗が回避される。単一の高い圧力(超高圧)は、超高圧液体クロマトグラフィーのための最小圧力またはそれ以上であってもよい。ロータをステータに対して位置決めするためには、様々なシール力が用いられる。その力は、高圧動作で、静止した状態で動作しているときでカムシャフトとロータに関連する部品とが山(クレスト)と谷(トラフ)の位置関係にあるときは、より小さい力で構わない。他方、その力は、さらにより高い超高圧動作で、静止した状態で動作しているときのカムシャフトとロータに関連する部品との関係が、山(クレスト)と山(クレスト)の関係にあるときは、より大きな力とすれば良い。もし表面が摺動運動を起こす最大限界を超えて静的に負荷を受けても、そこに漏れが生じることはない。シアシールバルブ(せん断密封弁)は、接触表面同士が互いに動かない限り、その有用な圧力を遥かに超える圧力で圧縮シールすることができる。本発明によるバルブは、単一の高圧下または単一のより高い圧力下(超高圧下)で、移動相ストリームのサンプルをバルブに導入することを可能にし、超高圧動作中のコンポーネントの移動を回避し、さらに、電気機械的な潜在的な位置決め不良を回避する。この構成による有益なことは、バルブが各圧力領域で一定の圧力に維持され、これにより、流体の搬送中やポジションの変更中における、印加される圧力の変動を避けることができることである。
【0007】
本発明により、高圧力配置構成において、単一の高圧で、または、その高圧よりもさらに高い単一の高圧(超高圧)で、流体を選択的に出力ポートに伝達するために使用されるバルブが提供された。バルブは、バルブ本体、ロータ、円筒形カムエレメント、カムシャフト、およびスプリングを含んで構成される。バルブ本体は、バルブ第1端部に少なくとも2つのポートを備えたステータ面を有し、これら少なくとも2つのポートのそれぞれがステータ面と連通している。バルブ本体はさらに、バルブ第2端部にバルブ本体内部円筒形肩部を有する。バルブ本体はまた、その中にバルブ本体円筒形キー付き通路キーを有するバルブ本体円筒形キー付き通路を具えている。ロータは、ステータ面に隣接しており、少なくとも2つのポートのうちの2つのポートとの間の連通のために設けられまたは配置さられた少なくとも1つのスロットを有する。円筒形カムエレメントは、円筒形カムエレメント上面の所でロータに取り付けられている。円筒形カムエレメントは、その側面に、前記バルブ本体円筒形キー付き通路キーに接触するように位置決め固定された円筒形カムエレメント停止部材を有している。円筒形カムエレメントは円筒形カムエレメント底面を有し、その底面には、そこから突出した少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレストと、少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレストのそれぞれの中間に円筒形カムエレメントトラフと、少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレストのそれぞれと横方向に隣接する円筒形カムエレメントトラフの中間にある円筒形カムエレメントランプとを備えている。少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレストのそれぞれは、円筒形カムエレメントクレスト高さを有している。さらに、円筒形カムエレメントは、少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレストの1つと、1つの円筒形カムエレメントトラフと、2つの円筒形カムエレメントランプとを含む波長を有している。注目すべきことは、円筒形カムエレメントが、バルブ本体に対して相対的に回転可能であるということである。カムシャフトはカムシャフト底面を有し、そこから延び出た少なくとも2つのカムシャフトクレストと、少なくとも2つのカムシャフトクレストの間にカムシャフトトラフと、少なくとも2つのカムシャフトクレストのそれぞれと横方向に隣接するカムシャフトトラフとの間にカムシャフトランプとを有している。カムシャフトクレストのそれぞれは、カムシャフトクレスト高さを有する。カムシャフトは、円筒形カムエレメントの底面に隣接するカムシャフト面の近傍に、カムシャフト肩部を有する。少なくとも2つのカムシャフトクレストと、1つカムシャフトトラフと、2つのカムシャフトランプからなる長さは、波長に等しい。スプリングはカムシャフトを包囲すると共に、バルブ本体とカムシャフト肩部とに包囲されている。スプリングは、円筒形カムエレメントには接続されていないが、その一方端はバルブ本体内側円筒状肩部と該バルブ本体内部円筒状肩部に隣接するベアリングからなるグループの何れかの所で接触し、他方端はベアリングとカムシャフト肩部からなるグループの何れかの所で接触する。スプリングは、単一の高圧で動作する高圧配置構成においては、一定の長さ(第1高さ)を維持する。
【0008】
本発明のその他の特徴、利点、および実施形態は、以下に説明する様々な実施態様及びそれに関連する添付図面から、当業者には明らかになる。
【0009】
上記に開示、説明された特徴、利点、および目的は、上記で簡単に要約されたものに加えて、更により具体的な以下の説明を、添付図面に示されたその実施形態を参照しながら読むことにより理解することができる。添付する図面は本明細書の一部を構成するものである。なお、添付の図面は、本発明の典型的な好ましい実施形態を単に示すものであって、図面には示されていない他の同様に効果的な実施形態も本発明に含まれるものであり、添付の図面が発明の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、それぞれのカムクレストが隣接して位置している、高圧動作位置にあるバルブの縦断面図である。
図1B図1Bは、カムシャフトが回転してバルブ本体円筒形キー付き通路キーが接触した、高圧動作位置にあるバルブの縦断面図である。
図2図2は、各クレストが互いにクレスト同士で乗り上げた状態の、超高圧動作位置にあるバルブの縦断面図である。
図3図3は、バルブの一部の部品の分解斜視図である。
図4A図4Aは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に4つのクレストが設けられている場合に、4つのステップのうちの最初のステップで、高圧インジェクトから高圧ロードへ移行する状態を、バルブの上から見た図である。
図4B図4Bは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に4つのクレストが設けられている場合に、4つのステップのうちの第2番目のステップで、高圧インジェクトから高圧ロード状態へ移行する状態を、バルブの上から見た図である。
図4C図4Cは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に4つのクレストが設けられている場合に、4つのステップのうちの第3番目のステップで、高圧インジェクトから超高圧インジェクト状態へ移行する状態を、バルブの上から見た図である。
図4D図4Dは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に4つのクレストが設けられている場合に、4つのステップのうちの第4番目のステップで、超高圧インジェクトから高圧インジェクト状態へ移行する状態を、バルブの上から見た図である。
図5A図5Aは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に3つのクレストが設けられているバルブの場合に、バルブ本体円筒形キー付き通路内の円筒形カムエレメントが第1ポジションにある時に、図1Aの切断線5-5から円筒形カムエレメントを見上げた図である。
図5B図5Bは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に3つのクレストが設けられている図5Aのバルブの場合に、バルブ本体円筒形キー付き通路内の円筒形カムエレメントが第2ポジションにある時に、図1Aの切断線5-5から円筒形カムエレメントを見上げた図である。
図5C図5Cは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に3つのクレストが設けられている図5Aのバルブの場合に、バルブ本体円筒形キー付き通路内の円筒形カムエレメントが第3ポジションにある時に、図1Aの切断線5-5から円筒形カムエレメントを見上げた図である。
図5D図5Dは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に3つのクレストが設けられている図5Aバルブの場合に、バルブ本体円筒形キー付き通路内の円筒形カムエレメントが第4ポジションにある時に、図1Aの切断線5-5から円筒形カムエレメントを見上げた図である。
図5E図5Eは、カムシャフトおよび円筒形カムエレメントのそれぞれ上に3つのクレストが設けられている図5Aのバルブの場合に、バルブ本体円筒形キー付き通路内の円筒形カムエレメントが第5ポジションにある時に、図1Aの切断線5-5から円筒形カムエレメントを見上げた図である。
図6A図6Aは、図5Aに示された第1ポジションにおける円筒形カムエレメントおよびカムシャフトの側面図である。
図6B図6Bは、図5Bに示された第2ポジションにおける円筒形カムエレメントおよびカムシャフトの側面図である。
図6C図6Cは、図5Cに示された第3ポジションにおける円筒形カムエレメントおよびカムシャフトの側面図である。
図6D図6Dは、図5Dに示された第4ポジションにおける円筒形カムエレメントおよびカムシャフトの側面図である。
図6E図6Eは、図5Eに示された第5ポジションにおける円筒形カムエレメントおよびカムシャフトの側面図である。
図7A図7Aは、図5Aに示された第1ポジションにおけるカムシャフトおよびバルブ本体を図1Aの切断線7-7から見上げた図である。
図7B図7Bは、図5Bに示された第2ポジションにおけるカムシャフトおよびバルブ本体を図1Aの切断線7-7から見上げた図である。
図7C図7Cは、図5Cに示された第3ポジションにおけるカムシャフトおよびバルブ本体を図1Aの切断線7-7から見上げた図である。
図7D図7Dは、図5Dに示された第4ポジションにおけるカムシャフトおよびバルブ本体を図1Aの切断線7-7から見上げた図である。
図7E図7Eは、図5Eに示された第5ポジションにおけるカムシャフトおよびバルブ本体を図1Aの切断線7-7から見上げた図である。
図8図8は、図5A図7Eに表された5つのポジションに関連して、高圧配置構成と超高圧構成との二元的選択(二者選択)において、ロータによってステータ面に加えられる圧力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A図1Bおよび図2には、本発明によるバルブ100が示されている。バルブ100は、単一の高い圧力(高圧)または単一のそれよりも高い圧力(超高圧)の下で、流体を1つまたは複数の出力ポートに選択的に伝達するための、2つの圧力領域それぞれにおいて動作が可能な機械的スイッチを提供する。バルブ100は、動作圧力が5800~7000psi(39,989.60~48263.30kPa)の範囲にある高圧液体クロマトグラフィー「HPLC」や、動作圧力が15,000~19,000psi(103,421.36~131,000.04kPa)の範囲にある超高圧液体クロマトグラフィー「UHPLC」または「UPLC」を含む、より高い圧力で行われる液体クロマトグラフィーに使用されてもよいが、それ以上の圧力であっても構わない。本発明のバルブ100は、関連するカムシャフト132の回転後に、ロータ120によってより高いシール力を限定的に加えることにより、ロータ120とステータ面154との間の超高圧に伴うこれらの摩耗を防止しつつ、バルブ100のより高い圧力での動作を機械的手段により提供するものである。これは、カムシャフト132を継続的に回転している中、ロータ120に関連する円筒形カムエレメント124がある限界点に達したとき、ロータ120を、関連するカムシャフト132から係合関係を解除することによって達成される。カムシャフト132を継続的に回転するだけで、カムシャフト132がロータ120から変位し離れ、その変位に基づきスプリング136の圧縮が更に進み、そのスプリング136の伸張力がステータ面に対するロータの圧力を増強し、動作時の圧力が超高圧にも耐え得るように増すことになる。さらに回転させると、カムシャフト132は円筒形のカムエレメント124に再び嵌合・合体し、これにより、スプリング136は、それに付加的な負荷が掛からない元のバイアス力の状態に復帰することになる。このように、スプリング136は、このスプリング136自体に追加的な負荷が全く加えられることなく、高圧構成において、ロータ120をステータ面154に対してバイアスするために、スプリングが発生する伸張力のすべてをロータ120に提供する。
【0012】
このバルブで注目すべきことは、バルブ100は、単一の高圧(15,000psi(103,421.36kPa)以下であっても構わない)での動作と、より高い単一の高圧(15,000psi(103,421.36kPa)以上であっても良く、20,000psi(137,895.15kPa)を超えるより高い単一の超高圧を含んでも構わない)での動作との間で、単一の超高圧にある間、ロータ120およびステータ面154が互いに相対的に確実に動かないことである。バルブ100は、選択された通路に応じて、単一の高圧又は単一のより高い超高圧の下で動作し、ロータ120がステータ面154に対して静止しているときに、複数の出力ポートに流体を選択的に供給することを可能にした機械的スイッチを提供する。 同様に、バルブ100は、単一の高圧下で、ロータ120がステータ面154に対して位置を変えている最中は、ポジションを変えるように動作する。ポジションに応じて、ロータ120がステータ面154に対して静止状態で且つバルブ100が動作しているとき、バルブ100は、単一のより高い超圧力または単一の高い圧力で動作することになる。
【0013】
このように、本発明のバルブ100は、ステータ面154、ロータ120、円筒形カムエレメント124、カムシャフト132、スプリング136を含むバルブ本体140を含んで構成される。勿論、上記に加えて他の構成要素が含まれても構わない。
【0014】
バルブ本体140の内部に設けられたステータ面154は、バルブ第1端150の所に2つまたはそれ以上のポート112を有する。これにより、ポート112はステータ面154と連通することになる。ポート112のそれぞれは、ステータ面154と連通している。バルブ本体140は更に、バルブ第2端152の所にバルブ本体内側円筒形肩部134を有している。この肩部134はバルブ本体140の内部開口を狭めて形成され、バルブ本体140に対してバイアスを掛けるスプリング136のための着座面を提供する。ステータ面154はバルブ第1端部150の外側面を構成する。バルブ本体140は、その内部に、バルブ円筒形キー付き通路キー164が設けられたバルブ円筒形キー付き通路158を有する。
【0015】
ロータ120は、ステータ面154に隣接して配置され、複数あるポート112のうちの2つの間の連通を可能にするスロット194を有する。ロータ120は、ステータ面154に対して相対的に回転可能であるので、そのスロット194を介してポート112の様々なもの同士を接続することにより、複数の流路を提供する。
【0016】
円筒形カムエレメント124は、円筒形カムエレメント上面160の所でロータ120に取り付けられ、円筒形カムエレメントの側面162に取り付けられた円筒形カムエレメント停止部材156を有している。円筒形カムエレメント124とロータ120は一体的に作られており、単一の部品として提供されても構わない。円筒形カムエレメント停止部材156は、カムシャフト132の回転に伴い、バルブ本体円筒形キー付き通路キー164とちょうど接触するように配置されている。
【0017】
円筒形カムエレメント124は更に円筒形カムエレメント底面161を有し、その底面には、そこから延び出た少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト272(図2参照)と、該少なくとも2つの円筒形カムエレメントの間にある円筒形カムエレメントトラフ286(図2参照)と、少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト272のそれぞれと横方向に隣接する円筒形カムエレメントトラフ286との間にある円筒形カムエレメントランプ290(図2参照)が備わっている。円筒形カムエレメントクレスト272のそれぞれはクレスト高さ174(図1参照)を有する。少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト272のうちの1つ(第1のクレスト)から、少なくとも2つの円筒形カムエレメントクレスト272のうちの次のクレスト(第2のクレスト)までの距離は、本明細書では波長177(図1B参照)と定義される。円筒形カムエレメント124は、クレストの数が2つのシステムの時よりも安定性の高い動作と、クレストの数が4つのシステムの時よりもより円滑な動作とを確実に得られるように、6つの円筒形カムエレメントランプ290を具えるとともに、3つの円筒形カムエレメントクレスト272と3つの円筒形カムエレメントトラフ286を有するものであることが望ましい。円筒形カムエレメント124は、このように、円筒形カムエレメントの上面160上に繰り返しの波形形状を有する。波形形状は、半径が変化するときの複雑さを考慮すると、カムシャフト124の中心まで延びる必要はない。
【0018】
カムシャフト132はカムシャフト面268(図2参照)を有し、このカムシャフト面268からは少なくとも2つの、好ましくは3つのカムシャフトクレスト276が飛び出している。このカムシャフトクレスト276はカムシャフト132の中心まで延びていてもよく、それに応じてサイズが小さくなる。カムシャフト132は、さらに、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276のそれぞれの間にカムシャフトトラフ288と、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276のそれぞれと横方向に隣接するカムシャフトトラフ288との間にカムシャフトランプ292とを有する。カムシャフトクレスト276のそれぞれは、カムシャフトクレスト高さ175を有する。カムシャフトクレスト高さ175と円筒形カムエレメントクレスト高さ174とは等しいことが好ましく、そうなっていると、カムシャフト132と円筒形カムエレメント124は、全面において互いにネスティング(入れ子状態または組子状態)また嵌合状態になる。カムシャフトクレスト高さ175は円筒形カムエレメントクレスト高さ175と一致していなくてもよく、その場合、カムシャフトクレスト高さ175と円筒形カムエレメントクレスト高さ174のうちの小さい(低い)方に応じたカムシャフト132の変位が生じる。共通の構造である結果として、共通の波長177を持たせることにより、カムシャフトクレスト高さ175と円筒形カムエレメントクレスト高さ174とに潜在的な差があるとしても、少なくとも2つのカムシャフト276と2つの円筒形カムエレメントクレスト272とは補完し合うことになる。具体的には、カムシャフト175と円筒形カムエレメントクレストとの間に高さに差があることに関わらず、クレストとトラフは整列し同じ幅を持つことになる。少なくとも2つのカムシャフトクレスト276は、これらが円筒形カムエレメント底面161には届かないかも知れないが、少なくとも2つの円筒形カムエレメントトラフ286内に入り込む。同様に、円筒形カムエレメントクレスト272は、これらクレスト272が少なくとも2つのカムシャフトトラフ288の最大深さまでは届かないかも知れないが、少なくとも2つのカムシャフトトラフ288内に入り込む。カムシャフト132はそのカムシャフト面268の所に繰り返しの波形を有することになる。カムシャフト132の波形は、シャフトの半径が変わった場合の複雑さを考えると、カムシャフト132の中心にまで延びている必要はない。
【0019】
カムシャフト132は更に、カムシャフト面268の近傍に、カムシャフト肩部178を有する。カムシャフト132のカムシャフト面268は、円筒形カムエレメント124の底面161に隣接しており、カムシャフト132と円筒形カムエレメント124は、その接触点は変化するものの、常に接触状態を維持するようになっている。
【0020】
カムシャフト132は、円筒状のカムエレメント124と一緒に、または相対的に回転可能であり、そのカムシャフト肩部178のところで、スプリング136を圧縮するように構成されている。このような圧縮は、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体円筒形キー付き通路キー164,166に接触し、カムシャフトクレスト276のそれぞれが円筒形カムエレメントクレスト272の上に乗り上げてき、カムシャフト132をカムシャフトクレスト高さ175と円筒形カムエレメントクレスト高さ174のうちの小さい(低い)方の高さだけ、カムシャフト132がバルブ本体内部円筒形肩部134の方に向かって変位(移動)したときに生じる。
【0021】
スプリング136は、カムシャフト132を包囲し、またバルブ本体140とカムシャフト肩部178に囲まれている。スプリング136は、バルブ本体内部円筒形肩部134とカムシャフト肩部178との間に保持される。スプリング136の回転を可能にするためのベアリングを設けない場合には、スプリング136は、バルブ本体内部円筒形肩部134およびカムシャフト肩部178に直接接触する構造としても構わない。バルブ本体内部円筒形肩部134とカムシャフト肩部178との間の組み上がった状態での距離は、スプリング136を変位・圧縮し、それの長さと、流体を通過させるか又は位置(ポジション)を移行しているかに関わらず、高圧動作中にロータ120をステータ面154に対してシール(封止)するために使用される全体の力を規定することになる。スプリング136の長さ(高さ)は、高圧動作時には、スプリング136の第1高さ196でありこれは固定値である。より高い圧力(超高圧)の動作では、スプリング136は、第2の高さ298(図2参照)を有し、これもまた固定値である。どちらの動作でも、ロータ120が動いている間は、圧力の変化・変動は一切許されない。その結果、高圧動作時には、ロータ120が動いている間、圧力は変化するのではなく、一定に維持される。円筒形カムエレメントランプ290およびカムシャフトランプ292は、高圧動作から更に高い高圧動作(超高圧動作)への移行、およびその逆が、ロータ120が固定化された状態でのみ発生することを確実にし、したがって、印加される圧力の単一の一方向の減少を提供し、いつでも圧力が変化することを排除することができる。注目すべきことは、スプリング136が、円筒形カムエレメント124から独立していること、つまり円筒形カムエレメント124に接続されていないことである。
【0022】
バルブ本体140は、流体の通過を容易にすることを意図した幾つかの他の構成要素を含んでいても良い。各ポート112は、チューブを介して他のクロマトグラフィー機器に繋ぐ接続ポイントを提供するために、継手細部114を含んでも良く、さらには、ねじ部108、テーパ付フェルールシート106、およびパイロット104を含んでも良い。各パイロット104は、ポート112からステータ面154に連通する流体通路118と関連している。バルブ100を通る流体の流れは、流体通路118に関連付けられたステータ面154上のステータポートからロータ120の接続スロットを介して、第2の流体通路118に関連付けられたステータ面154上の第2のステータポートへの連絡を可能にするように、ステータ面154およびロータ120の位置合わせが行われたときにのみ許容される。
【0023】
バルブ100を適正に動作させるには、バルブ100を通る所望の流路を提供すべく、ロータ100をステータ面154に整合するように再配置することが必要である。ステータ面154に隣接し且つ接触して配置されたロータ120の位置変更の動作は、これら両者間の構造的関係を打ち崩す力が加わっていないときに、単一ユニットとして動作する円筒形カムエレメント124およびカムシャフト132によって行われる。
【0024】
カムシャフト132および円筒形カムエレメント124に設けられる波状のパターンは、正弦波形状であってもよいし、あるいは、平坦なクレスト(山)およびトラフ(谷)と、好ましくは1.0以下の傾きを有するそれらのクレストおよびトラフの間のランプ290、292とを有するような疑似正弦波のようなものであっても構わない。複数のカムシャフトクレスト276と、これと一致する数の円筒形カムエレメントクレスト272が必要である。好ましくは、3つの円筒形カムエレメントクレスト272とこれと同数のカムシャフトクレスト276が設けられる。4つ、6つ等のカムシャフトクレスト276、および同数の円筒形カムエレメントクレスト272としても良いが、これらの場合、クレストの数が増えると、平坦化されたまたは正弦波状のクレストから対応するトラフまでの波が急峻になり、その結果、クレストの間に大きな力が加わり、より大きな摩耗が生じることになる。カムシャフトクレスト276および円筒形カムエレメントクレスト272の山と谷を平らにすることは、カムシャフト132と円筒形カムエレメント124の間に安定したべリング面を提供することになり有益である。
【0025】
カムシャフト132のカムシャフト第1端122と円筒形カムエレメント124の一部分の両方にまたがり、カムシャフト132の任意の変位量よりも大きい高さを有するのはリング126であり、このリング126があることにより、円筒形カムエレメント停止部材156と干渉することなく、位置決めを確実にすることができる。バルブ本体140、ステータ面154、ロータ120、円筒形カムエレメント124、カムシャフト132、スプリング136、及びリング126(存在する場合)の中心線は共通である。したがって、円筒形カムエレメント124は、バルブ本体140に対して相対的に回転可能となる。
【0026】
円筒形カムエレメント124は、円形カムエレメントの側部162上に、円筒形カムエレメント停止部材156を有する。この円筒形カムエレメント停止部材156は、ピンまたは他の突出物形状の物であっても構わない。このように、円筒形カムエレメント停止部材156は、カムシャフト132が、図1Aに示される第1位置から図1Bに示されるバルブ本体円筒形キー付き通路キーへの接触位置への回転時に、バルブ本体円筒形キー付き通路キー164に接触するようになっている。この位置では、スプリング136は、圧縮状態の第1の高さ196維持されている。第1の位置に向かっての回転の前、及びバルブ100が第1の位置にある間は、ロータ120とステータ面154とが相互に静止しており、バルブは高圧配置動作にあることになる。この位置では、ステータ面154上のポート112のうちの少なくとも2つが、ロータ120上のスロット194のうちの少なくとも1つと連通しており、その結果、バルブ100は、単一の高圧下で1つの入力ポート112から1つの出力ポート112への流体の流れを提供し、且つ同じ高圧下で、バルブ100のその位置への移行を許容している。
【0027】
カムシャフト132を円筒形カムエレメント124に対して相対的に回転させるために、キー付き通路キー164が円筒形カムエレメントの側部124に設けられる。このキー164は円筒形キー付き通路158内に延び出ており、カムシャフト132の回転に伴い、途中、円筒形カムエレメント停止部材124に係合し、その結果、カムシャフト132と共に更に回転しようとする円筒形カムエレメント124の回転が停止・阻止される。バルブ本体円筒形キー付き通路158は、円筒形カムエレメント124の全周囲またはその周りに円筒形の空隙として構成されてもよい。望ましくは、バルブ本体円筒形キー付き通路158内に、キー付き通路キー164の反対側にキー付き通路第2キー166を設けて、逆回転したときに先と同様の係合および係合解除が行えるようにしても構わない。したがって、円筒形カムエレメント停止部材156は、バルブ本体円筒形キー付き通路第2キー166に接触するように配置されても良い。同様に、円筒形カムエレメント第2停止部材257が円筒形カムエレメント124上に、停止部材156と対向するように配置されてもよい。バルブ本体円筒形キー付き通路キー164と、場合によってはバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー166のそれぞれは、バルブ本体円筒形キー付き通路158内において、バルブ本体140に貼り付けられた停止部材であっても構わない。カムシャフト132が図1Aの高圧位置から図1Bの位置に回転するときは、カムシャフト132は、係合状態を維持し、ロータ120と一緒に回転する。このようにして、ロータ120は、高圧動作のためにステータ面154に対して相対的に配置される。
【0028】
バルブ100は、高圧配置構成とそれより更に高い高圧配置構成(超高圧配置構成)を有する。高圧配置構成の間、バルブ100は単一の圧力で動作する。同様に、より高い超高圧の配置構成では、バルブ100は、第2の圧力下で動作する。各配置構成において一定の圧力が達成されるため、いずれの配置構成においても印加される圧力の変動は生じない。
【0029】
高圧配置構成では、少なくとも2つのカムシャフトクレストのそれぞれが、円筒形カムエレメントトラフ286の1つの内に入り込んで配置され、スプリング136が第1の高さ196で圧縮状態に維持される。その結果、スプリング136は、その伸張力全体を、ロータ120をステータ面154に対してバイアスするように機能する。高圧配置構成では、スプリング136に対しては追加の負荷は加えられない。高圧配置構成では、スプリング136は第1の高さ196にあり、圧縮状態は、バルブ本体内部円筒形肩部134とカムシャフト肩部178の位置的規制のみによるものである。
【0030】
より高い高圧配置(超高圧配置)では、円筒形カムエレメント停止部材156は、カムシャフト132に対する円筒形カムエレメント124の第1方向502(図5A参照)への回転を止めるようにバルブ本体円筒形キー付き通路キー164に接触し、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276の各々は、円筒形カムエレメントクレスト272の上に配置される(つまり乗り上げた状態になる)。この超高圧配置では、カムシャフト132は、ロータ120から離れる方向の第1の変位状態にあり、スプリング136は、上記のカムシャフト132の第1の変位により、第1の高さ196(図1A及び図1B参照)よりも小さい(低い)第2の高さ298(図2参照)に維持される。ステータ面154に対するロータ120からの圧力を増加させるための外部負荷は一切加えられず、すべての圧力は、クレスト対トラフの位置関係からクレスト対クレストの関係への位置変化に伴うスプリングのたわみ量の変化の結果によるものである。
【0031】
バルブ100は、このように、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体内の円筒形キー付き通路キー164に接触により、ステータ面154に対するロータ120の回転が阻止されている間に、カムシャフト132の第1方向502(図5A)への回転によって、高圧配置からより高い超高圧配置へと移行することができ、また、バルブ100は、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体内の円筒形キー付き通路キー164に接触することにより、ステータ面154に対するロータ120の回転が阻止されている間に、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276のそれぞれが円筒形カムエレメントトラフ286の1つに配置される(嵌り込む)までカムシャフト132を第1方向502への回転することにより、超高圧配置から高圧配置へと移行することができる。
【0032】
図2は、それぞれのクレスト272、276が互いの上に乗り上げている、より高い超高圧配置におけるバルブの状態を示している。バルブ本体の円筒形キー付き通路キー164への円筒形カムエレメント停止部材156の接触による円筒形カムエレメント124の回転停止後のカムシャフト132の更なる回転は、クレスト(山部)とトラフ(谷部)との嵌り合い状態を解除し、これにより、カムシャフト132はバルブ第2端152の方に向けて駆動する。このようなカムシャフト132の回転後の、スプリング136を更に圧縮するようなカムシャフト132のバルブボディ140に対する相対的な変位は、より高い超高圧配置に対応するために、ロータ120とステータ面154との間の圧力の増加をもたらす。したがって、その後、バルブ100は、カムシャフト132が更に回転するまで、より高い超高圧動作状態を維持する。バルブ100は、図1Aおよび図1Bに示されているポジションの単一の高圧でも、あるいは、図2に示されているポジションでの単一の更に高い高圧(超高圧)でも動作することができる。図2に示される、超高圧配置構成への移行後は、ロータ120が単一の超高圧での動作を継続するものであり、カムシャフト132の反対方向への回転は、ロータ120およびステータ面154の損傷をもたらすので許されない。
【0033】
ロータ120によってステータ面154に加えられる単一のより高い圧力は、カムシャフト132とバルブ本体140との間に収容されているスプリング136の圧縮力が増加した結果である。円筒形カムエレメント124の上に取り付けられたロータ120は、カムシャフト132から加えられる力によって、ステータ面154との接触状態が維持される。スプリング136は、カムシャフト132を包囲すると共に、少なくともベアリング135と、好ましくはカムシャフト第1端に位置するカムシャフト肩部178またはバルブ本体内部円筒形肩部134の何れか一方と接触していることが望ましい。ベアリング135は、バルブ本体内部円筒形肩部134またはカムシャフト肩部178に隣接して配置されてもよく、または、スプリング136が2つの部分に分割して設けられ場合には、それらの中間に配置されてもよい。必要により、ベアリング135をバルブ本体内部円筒形肩部134に隣接して1つ配置し、さらに第2のベアリング135をカムシャフト肩部178に隣接して配置してもよい。ベアリング135は、必ずしも必須ではないが、カムシャフト132の回転中にスプリング136が摩耗して破壊してしまう可能性を回避する上で、それを装着していることは特に有益である。ベアリング135が設けられない場合、スプリング136は、バルブ本体内部円筒形肩部134およびカムシャフト肩部178に直接接触することになる。
【0034】
カムシャフト肩部178は、カムシャフト132を包囲すると共に、スプリング136のための第1ベアリング面を提供する。カムシャフト132を同様に包囲するバルブ本体円筒形肩部134は、スプリング136のための第2ベアリング面を提供する。カムシャフト132は、同様に、カムシャフト132に隣接するバルブ本体内部円筒形肩部134と、バルブボディ本体140に隣接するカムシャフト肩部178とによって、バルブ本体140に対して相対的な位置関係を持って所定の位置に保持される。カムシャフトクレスト276および円筒形カムエレメントクレスト272の一体性および嵌合構造、ならびにリング126による拘束力は、カムシャフト132および円筒形カムエレメント124が共通軸に沿って整列した状態を維持することを確実にする。バルブ本体内部円筒形肩部134とカムシャフト肩部178との間の距離は可変であり、可変であることにより、カムシャフト肩部178に加えられる力、したがって、ロータ120がステータ面154に対して加える力を決定することになる。単一の高圧力は、カムシャフト132からカムエレメント124への力の結果として、ステータ面154にロータ120によって与えられる。この力は、カムエレメント124に対してカムシャフト132をバイアスするスプリング136の長さの変位により生じるものであり、カムシャフトクレスト276と円筒形カムエレメントクレスト272が横方向に互いに隣接している、即ちトラフ内にクレストが篏合している状態なので固定された大きさである。他方、単一のより高い圧力(超高圧)は、円筒形カムエレメントクレスト272がカムシャフトクレスト276の上にあるとき、すなわちクレスト‐クレスト状態(クレスト同士が当接している状態)にあるときに、カムシャフト132を円筒形カムエレメント124に対してバイアスするスプリング136の、より大きなたわみから生じるカムシャフト132から円筒形カムエレメント124への力の結果として、ロータ120によってステータ面154に印加される。カムシャフトクレスト276と円筒形カムエレメントクレスト272が2つの先端部最大位置の間を互いにスライドして通過するので、ポジション移行中の、印加される圧力の増加または減少は極めて急峻なものに過ぎない。
【0035】
カムシャフト132が更に回転し且つ円筒形カムエレメント124が回転しないことで、図2に示すように、円筒形カムエレメントクレスト272がカムシャフトクレスト276に乗り上げて、双方のクレスト同士が互いに重なり合うところまでスライドし、カムシャフト132を変位させると共にスプリング136を圧縮する。その結果、カムシャフト132によって円筒形カムエレメント124に与えられる力、したがって、ロータ120からステータ面154に与えられる力が増加する。この変位は、カムシャフト132をバルブ本体内部円筒形肩部134に向けて押し下げ、これにより、スプリング136をより高い圧縮状態に維持する。スプリング136の定荷重特性により、スプリング136のこの圧縮による力の変化は、カムシャフト肩部178に加えられる力、したがって、円筒形カムエレメント124に対するカムシャフト132による力を増加させる。この円筒形カムエレメント124の増加した力は、次にステータ面154に対して圧力を加えるロータ120に伝達され、バルブ100の動作を高圧動作からより高い高圧動作(超高圧動作)へと移行させる。
【0036】
このように、単一の高圧配置(ポジション)から単一の更に高い超高圧配置(ポジション)への移行は、カムエレメント停止部材156とバルブ本体円筒形キー付き通路キー164およびバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー166の係合動作とも関連しながら、円筒形カムエレメント124とカムシャフト132との間の境界部分で行われる。したがって、カムシャフト132は、バルブ本体円筒形キー付き通路キー接触位置を超えて、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276のそれぞれが対応する円筒形カムエレメント124クレスト272の上となる、円筒形カムエレメントクレストとカムシャフトクレストと対峙・接触する位置まで回転するようになっている。この位置では、スプリング136は、その高さが第1の高さ196(図1A、1B参照)よりも短い第2の高さ298に維持され、そして、ステータ面154上の少なくとも2つのポート112がロータ120上のスロット194のうちの少なくとも1つと連通し、単一のより高い圧力(超高圧)の下で、ロータ120を動かすことなく、1つの入力ポート112から出力ポート112への流体の流れを可能にするバルブ100の動作を実現する。
【0037】
図2に示される超高圧動作から図1Aに示される高圧動作への復帰は、カムシャフト132を更に回転し、これまで接触していたクレスト272、276を関連するトラフ286、288の中にスライドして戻すことによって行われる。したがって、カムシャフト132は、円筒形カムエレメントクレストとカムシャフトクレストの対峙・接触位置を超えて、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276のそれぞれが対応する円筒形カムエレメントトラフ286に嵌り込む、初期位置を含む、円筒形カムエレメントクレストとカムシャフトトラフが対峙・接触する位置まで回転される。そのために、カムシャフト132および円筒形カムエレメント124は逆回転されても構わない。カムシャフト132が回転して円筒形カムエレメント124と再係合する間、ロータ120は所定の位置に留まりその状態を維持するので、ロータの位置に変動・変化はなく、したがって、より高い超高圧の動作においてロータ120とステータ面154との間には摩耗は生じない。
【0038】
このように、カムシャフト132は、バルブ本体円筒形キー付き通路キー164による円筒形カムエレメント停止部材156の回転阻止が無いときに、前記円筒形カムエレメント124に力を付与し、且つステータ面164に対して単一の高圧力を提供するように、円筒形カムエレメント124を位置決めし且つ回転するようになっている。さらに、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体円筒形キー付き通路キー164と接触し、少なくとも2つのカムシャフトクレスト(山)276のそれぞれが円筒形カムエレメントトラフ(谷)286内に位置しないようにカムシャフト132が回転している間は、カムシャフト132は、円筒形カムエレメント124に対して相対的に回転するようになっており、また、増強された力を円筒形カムエレメント124に対して提供し、同時に、単一の高い圧力(超高圧)をロータ120からステータ面154に対して提供するようになっている。これは、円筒形カムエレメント124は、円筒形カムエレメント156とバルブ本体円筒形キー付き通路キー164との間の接触がない状態では、バルブ本体140に対して相対的に回転可能なようになっており、また、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体円筒形キー付き通路キー164に接触し、かつ、少なくとも2つのカムシャフトクレスト276のそれぞれが円筒形カムエレメントトラフ286内に嵌り込んだ位置でないようにカムシャフト132が回転されている間は、円筒形カムエレメント124は、バルブ本体140に対しては相対的に回転が静止するようになっている。
【0039】
図3は、本発明のバルブ100の一部特定部分を分解して示した分解斜視図である。 この図3には、バルブ本体上部部分182と、例えば図1Aに示されるキー付き通路158、キー付き通路キー164およびキー付き通路第2キー166が設けられると共にその中をカムシャフト132が貫通して配置さるバルブ本体下部部分180とが示されている。これら2つ部分の間に位置するのは、円筒形カムエレメント124に取り付けられたロータ120である。円筒形カムエレメント124は、そのカムシャフトクレスト276および円筒形カムエレメントクレスト272がそれぞれ対応するトラフ286、288内に嵌り込むような状態で、カムシャフト132上に載置される。停止部材156および円筒形カムエレメント第2停止部材257は、円筒形カムエレメント124の外側に設けられ、これらはバルブ本体下部部分180の内側に設けられたキー付き通路と相互に作用する。
【0040】
この構造によれば、停止部材156が係合した後の増加した圧力が、超高圧に対応する高い性能を発揮する。一般に、クロマトグラフィーカラムまたはプレカラムの何れか一方とサンプルループと共に本発明によるバルブ100を用いたクロマトグラフィー分析の開始時には、ロータ120は、より高い高圧のインジェクトポジションに移動される。サンプルループが、典型的には6ポートサンプルバルブの使用によってカラムに、または、典型的には10ポートサンプルバルブの使用によってプレカラムにロードされた後、本発明のバルブ100は、カム円筒形エレメント124が係合する前に、高圧動作位置に復帰される。
【0041】
実際の動作では、バルブ100は、図1A内の切断線5-5に沿った上断面図、図4A図4Dに示される4つのステップを循環する。図4A図4Dに示すバルブは、円筒形カムエレメント124が4つの円筒形カムエレメントクレスト276を、またカムシャフト132が同様に4つの円筒形カムエレメントクレスト272を有する、8ポート外部サンプルインジェクション構造の一例である。理解できるように、カムシャフト132および円筒形カムエレメント124に、4つより多くの、または4つより少ない数のクレストを設けることもできるが、そうした場合には、回転する範囲を変更する必要がある。いずれの場合も、動作を一方の圧力領域から他方の圧力領域に移行する際は、円筒形カムエレメント124に対するカムシャフト132の回転角度は、360度をクレストの数の2倍で割った数字の角度である。
【0042】
図4Aは、バルブの使用時の、4つのステップのうちの第1ステップを示す図であり、高圧インジェクトポジションから高圧ロードポジションへの移行状態を示すものであり、図4Bは、第2ステップを示し、高圧ロードポジションから高圧インジェクトポジションへの移行状態を示す図である。図4Cは、第3ステップを示し、高圧インジェクトポジションから超高圧インジェクトポジションへの移行状態を示すものであり、そして、図4Dは、第4ステップを示し、超高圧インジェクトポジションから高圧インジェクトポジションへの移行状態を示すものである。逆に、インジェクトポジションが代わりにロードポジションとして使用されてもよく、またロードポジションがインジェクトポジションとして使用されても構わない。
【0043】
切断線5-5(図1参照)の所を上から見た図4Aに示されるステップでは、カムシャフト132は、高圧インジェクトポジションから高圧ロードポジションへの移行となるように、45度反時計方向、即ち矢印402で示す方向に回転される。この動きは、バルブ本体円筒通路キー164からバルブ本体円筒通路第2キー166に移動させるための、カムシャフト132及び円筒形カムエレメント124の動きであり、増加した圧力は一切導入されず、したがって、ロータとステータとの間の接触及び摩耗は単一の高圧の時のままである。これは、どちらも単一の高圧下で行われる、ロードポジションからインジェクトポジションへのポジションの移行動作である。円筒形カムエレメント124とカムシャフト132は共に、ロードサンプル停止位置として機能するバルブ本体円筒形通路キー164から、インジェクトサンプル停止位置として機能するバルブ本体円筒形通路第2キー166まで、反時計回りに45度回転される。注目すべきは、バルブ100は、高圧ロードのためのポジションにある間、高圧ロードポジションから高圧インジェクトポジションに回転移行している間、および高圧インジェクトのためのポジションにある間、これらすべての間、同じ高圧下で動作することである。高圧ロード用のポジションおよび高圧インジェクト用のポジションでは、バルブ100が動作中、ロータ120およびステータ面154は、相互に固定・静止した状態である。
【0044】
図4Bに示されたステップでは、カムシャフト132は、共に高圧下で動作する高圧ロードポジションから高圧インジェクトポジションへと移行するために、時計回りに45度逆回転されて、図4Aの第1のステップの時の元のポジションに復帰される。ここでは、ロータ120がステータ面154に対して相対的に移動している。これは、円筒形カムエレメント124とカムシャフト132が、バルブ本体円筒形通路第2キー166の位置からバルブ本体円筒形通路キー164の位置へ移動する動きである。この場合も、ロータとステータとの間の接触および摩耗は、やはり単一の高圧下で行われる。注目すべきは、バルブ100は、両方のポジションで、またその間で回転している間も、同じ高圧下で動作することである。
【0045】
図4Cに示されているステップでは、カムシャフト132が再び時計回り45度回転されるが、この時はカムシャフト132のみの回転であり、ロータ120の回転はなく、これにより、バルブ100は、図1Bに示されているような高圧インジェクトポジションから、円筒状カムエレメントクレスト272とカムシャフトクレスト276との間に移動が生じ、この動きが動作圧力を上昇させることになる図2に示されているような超高圧インジェクトポジションへと移行する。ここでは、ロータ120はステータ面154に対して、それぞれが他方に対して一定の位置で静止したままであり、相対的には移動しない。超高圧での動作を実行している間、ロータ120およびステータ面154の超高圧に伴う摩耗は発生しない。円筒形カムエレメント124が静止している間に、カムシャフト132は時計回りに45度回転され、円筒形カムエレメントクレスト272がカムシャフトクレスト276の上に位置するようになる。このように、ロータ120とステータ面154とが互いに静止している間、バルブ100は高圧ロードポジションのための高圧であったが、ロータ120とステータ面154とが互いに静止している間、バルブ100は、超高圧ロードポジションのための超高圧下でも動作する。
【0046】
図4Dに示すステップでは、カムシャフト132は、時計回りに更に45度再び回転される。ここでは、ロータ120はステータ面154に対して、それぞれが他方に対して一定の位置で静止したままであり、相対的には移動しない。バルブ100は、図2に示されているような超高圧インジェクトポジションから、図1Aに示されているような高圧インジェクトポジションに移動される。具体的には、カムシャフト132の回転に伴い、円筒状カムエレメントクレスト272とカムシャフトクレスト276との間の移動が発生し、各クレスト(山)がそれぞれ対応するトラフ(谷)に再び落ち込み、それにより動作圧力が低下することになる。図4Aに示されるホームポジションは、このように一巡の動作位置移行を行う毎に90度進められることになる。ロータ120およびステータ面154の超高圧による摩耗は発生しない。円筒形カムエレメント124が静止している間に、カムシャフト132は更に時計回りに45度回転され、円筒形カムエレメントクレスト272がカムシャフトクレスト276と横方向に隣接する位置ようになり、動作圧力が、最大圧力から圧力の減少過程を経て単一の高圧へと移行することになる。
【0047】
上記の実施例に代えて、バルブ100は、円筒形カムエレメント124が3つの円筒形カムエレメントクレスト272を含み、且つカムシャフト132も同様に3つの円筒形カムシャフトクレスト276を含むものであっても良く、この場合の動作は、図5A~5E、図6A~6E、図7A~7Eに示されるように、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジション、第4ポジション、および第5ポジションの5つのステップを循環することになる。したがって、ある圧力領域から別の圧力領域への移行は、カムシャフト132が円筒形カムエレメント124に対して60回転することによって達成される。これは、超高圧などのより高い圧力でサンプル(試料)を、単一のより高い圧力のキャリアを用いるシステムを介して搬送する場合に特に適している。図5A~5E、図6A~6E、図7A~7Eに示されるバルブ100は6ポートバルブであってもよい。図5A~5Eは、バルブ100が3つの円筒形カムエレメントクレスト272および3つのカムシャフトクレスト276を具えたバルブにおいて、バルブ本体円筒形キー付き通路158内の円筒形カムエレメント124を、図1Aの切断線5-5の所から見上げた図であり、5つのポジションA~Eを示すものである。図6A~6Eは、この5つのポジションA~Eを示す、円筒形カムエレメント124およびカムシャフト132の側面図である。図7A~7Eは、上記5つのポジションA~Eを、バルブ100内のカムシャフト132を、図1の切断線7-7の所から見上げた図であり、したがって、回転方向は全て逆となり、時計方向の回転は反時計回りの回転となる。
【0048】
図5A、6Aおよび7Aに示されている第1ポジションは、円筒形カムエレメント124がカムシャフト132と篏合・合体している状態で、バルブ100の高圧配置における使用のための準備段階である。具体的には、このポジションでは、円筒形カムエレメントクレスト(山)272およびカムシャフトクレスト(山)276がそれぞれ対応するトラフ(谷)内に嵌り込んでおり、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体円筒形キー付き通路キー164に隣接しており、3つのカムシャフトクレスト276が3つの円筒形カムエレメントクレスト272に横方向に隣接しており、そして、スプリング136は、ロータ120とステータ面154との間に単一の圧力である高圧境界面を提供するように、第1の高さ196(図1参照)に維持されている。この単一の高圧は、7,000psiを超えないような所望のレベルに設定される。例えば1,000のようなより低い圧力であっても構わない。この第1ポジションは高圧インジェクトポジションである。したがって、ステータ面154は、この第1ポジションにおいて、単一の高圧下でロータ120と接触している。この第1位置では、ロータ120およびステータ面154の接触面での高圧摩耗は発生しない。このことは、単一のより高い高圧が液体クロマトグラフィーの超高圧領域内にある場合に特に有益である。
【0049】
図5B、6B及び7Bに示される第2ポジションでは、バルブ100はインジェクトのための位置であり、カムシャフト132は、円筒形カムエレメント停止部材156がバルブ本体円筒形キー付き通路第2キー166に隣接するまで回転されている。円筒形カムエレメント124はこのときまだ、単一の高圧下で、カムシャフト132に嵌合したままである。これは、図面上、時計回りに60度の回転、すなわち、図5Aに第1の方向502で示される回転である。この第2ポジションでは、3つのカムシャフトクレスト276は、3つの円筒形カムエレメントクレスト272と横方向に隣接しており、且つスプリング136は第1の高さ196(図1A参照)に維持されている。これにより、単一の高圧下における、バルブ100のロードのためのロードポジションが提供される。この第2ポジションでは、ステータ面154は単一の高圧でロータ120に接触する。ロータ120および円筒形カムエレメント124が第1ポジションから第2ポジションへ時計回りに回転する間、及び第2ポジションにある間は、ステータ面154は単一の高圧でロータ120に接触している。バルブ100のポジションが変更されている間、ロータ120およびステータ面154の高圧摩耗は発生しない。
【0050】
図5C、6Cおよび7Cに示される第3ポジションでは、カムシャフト132は、より高い圧力のインジェクトを見越して、第1ポジションに関連する位置に戻るように逆方向に回転される。逆回転の結果、円筒形カムエレメント停止部材156は、バルブ本体第円筒形キー付き通路キー164に接触し且つこれと隣接することになる。この時、円筒形カムエレメント124はカムシャフト132とまだ嵌合した状態のままである。この時の回転は、図面上、反時計回りに60度の回転であればよい。3つのカムシャフトクレスト276は3つの円筒形カムエレメントクレスト272と横方向に隣接しており、スプリング136は第1の高さ196(図1A)に維持され、その結果、ロータ120とステータ面154との間には高圧境界部(高圧インターフェイス)が提供される。ステータ面154は、この第3ポジションにおいては単一の高圧でロータ120に接し、また、第2ポジションから第3ポジションへの移行のためにカムシャフト132および円筒形カムエレメント124が反時計回りに回転している間も、ステータ面154およびロータ120は単一の高圧の下で接触している。この第3ポジションへの変更においても、ステータ面154に対するロータ120の移動はないので、ロータ120及びステータ面154の高圧摩耗は発生しない。カムシャフ132の更なる反時計回りの回転は、ロータ120の更なる回転を生じさせることなく、その代わりに、円筒形カムエレメント124に対してのカムシャフト132の相対的に回転のみになり、結果として、カムシャフトクレスト276がこれまで嵌り込んでいた関連するトラフから円筒形カムエレメントクレスト272に乗り上げて行く間に、カムシャフト132を外側方向(図2のようにロータ120から離れる状態)に駆動することになる。
【0051】
図5D、6Dおよび7Dに示される第4のポジションは、より高い圧力ロードポジション(超高圧ロードポジション)になるために、カムシャフト132が、円筒状カムエレメントのクレスト272がカムシャフトのクレスト276の上に来るまで回転された状態である。円筒形カムエレメントクレスト停止部材156が、図5Cに関連した第3ポジションでバルブ本体の円筒形キー付き第1通路キー164と既に接触しているので、図5Cからの更なる反時計回りの回転では、カムシャフト132が円筒形カムエレメント124とは独立・別個に回転し、その結果、円筒形カムエレメントクレスト272をそれがカムシャフトのクレスト276の上に乗り上げ整列させることになる。これと同時に、ロータ120は、カムシャフト肩部178とバルブ本体内部円筒状肩部134との間に設けられたスプリング136のバイアスに応じて、円筒形カムエレメント124に、したがって、ステータ面154に力を与えるロータ120に対して、以前よりも増した増強された力を与えることになる。この第4のポジションでは、円筒形カムエレメント停止部材156はバルブ本体円筒形キー付き通路キー164に隣接しており、3つのカムシャフトクレスト276は3つの円筒形カムエレメントクレスト272の上にあり、またスプリング136は、より強い力を発する圧縮状態の第2の高さ298(図2参照)に維持されている。円筒形カムエレメントクレスト272が6つ存在する場合、60度の反時計回りの回転が必要となる。なお、円筒形カムエレメントクレスト272が、図4A図4で説明したように4つ存在する場合には、45度の反時計回りの回転となる。
【0052】
第3ポジションと第4のポジションとの間で生じる、スプリング136の第1の高さ196(図1A)から2の高さ298(図2)への高さの変化は、ロータ120とステータ面154との間に、単一の高圧よりも更に高い圧力での超高圧境界面(インターフェイス)を提供することになる。ここで、単一の超高圧とは、15,000psiを超えるような比較的高い圧力であってもよいが、単一の高圧を超える任意の圧力が選択されてもよい。有益なことは、第3ポジションからこの第4ポジションへの移行中に、ステータ面154に対するロータ120の移動が起こらないことである。このように、ステータ面154は、この第4ポジションにおいては単一の超高圧でロータ120に接触し、また第3ポジションから第4ポジション位置へカムシャフト132が反時計回りに回転している間は、単一の高圧から単一の超高圧でロータ120に接触する。バルブ100の第4ポジションへの移行が完了した後は、ロータ120およびステータ面154の超高圧に伴う摩耗は発生しない。
【0053】
図5E、6Eおよび7Eに示されている第5のポジションでは、カムシャフト132は、円筒状カムエレメントのクレスト(山)272とカムシャフトのクレスト(山)278がそれぞれ次の対応するトラス(谷)に入るまで回転される。カムシャフト132の反時計回りの回転は、カムシャフト132が回転し続ける間は円筒形カムエレメント124が所定の位置に維持されているので必要である。この第5のポジションでは、円筒形カム要素停止部材156はバルブ本体円筒形キー付き通路キー164に隣接しており、3つのカムシャフトクレスト276は3つの円筒形カムエレメントクレスト272と横方向に隣接しており、且つスプリング136は大きい第1の高さ196(図1A)に維持されており、その結果、ロータ120とステータ面154との間には高圧境界面が提供される。このように、第5ポジションは、単一の高圧でのバルブの動作を容易にする。3つの円筒形カムエレメントクレスト272が存在する場合、カムシャフト132を反時計回りに60度回転させる必要がある。
【0054】
第4のポジションと第5のポジションの中間での、スプリング136の第2の高さ298(図2参照)から第1の高さ196(図1A参照)への高さの直接的な変化により、ロータ120とステータ面154との間に、高圧境界面(インターフェース)が提供される。高圧配置の間は、スプリング136の高さの変化はない。これが有益なことは、ロータ120のステータ面154に対する動きが、ポジションの移行中には起こらないことである。
【0055】
第5ポジションにある間は、ステップータ面154は単一の高圧でロータ120に接触し、またカムシャフト132が第4ポジションから第5ポジションまで反時計回りに回転している間は、ステータ面154は、単一の超高圧から単一の高圧でロータ120に接触する。バルブ100のポジションが移行されれば、ロータ120およびステータ面154の間の超高圧による摩耗は発生しない。
【0056】
ステータ面154に対するロータ120の動き、したがって、超高圧動作での摩擦の発生及び摩耗の発生は、超高圧境界面に入るとき又はそこから抜け出るときに、ロータ120および関連する円筒形カムエレメント124の動きが阻止・排除されることによって回避されることになる。カムシャフト132が回転している間は、円筒形カムエレメント124の回転は、円筒形カムエレメント停止部材がバルブ本体の円筒形キー付き通路キーに接触することにより、拘束・停止される。円筒形カムエレメント124の回転が拘束・停止している間に、カムシャフトクレスト276が円筒形カムエレメンクレスト272の上に乗り上がるように駆動され、その結果、動作圧力が、初期バイアス時のスプリング136によって生成された単一の高圧から、カムシャフトクレスト高さ175および円筒形カムエレメンクレスト高さ174のうちの小さい方に変化することに伴うスプリング136によって生成される単一のより高い高圧(超高圧)に変化することになる。
【0057】
本発明のバルブの使用に際してユーザが知っておくべきことは、高圧運転に再突入した後、ロータ120に対するカムシャフト132の位置が、使用しているクレストの数に応じた係数で前進または後退していることである。具体的には、3つのクレストが採用されている場合、高圧動作からより高い圧力動作(超高圧動作)を一旦経て元の高圧動作に戻ったときには120度の前進が起こる。
【0058】
最後に図8を参照すると、ここには、図5A~5Eに示された5つのポジションに関連して、高圧配置と超高圧力配置との間の二元的な選択において、ロータ120によってステータ面154に印加される圧力の変化がグラフ表示で提供されている。第1ポジション801では、ロータ120およびカムシャフト132は、高圧配置構成に置かれ、動作中、単一の高圧850で動作する。第1ポジション801から第2ポジション802への移行中は、ロータ120とカムシャフト132は、ロータ120とカムシャフト132が高圧配置を維持して単一の高圧850の下で一緒に回転し、その結果、ステータ面154に対するロータ120の高圧時の摩耗は回避される。第2ポジション802では、ロータ120およびカムシャフト132は、高圧配置のままである。第2ポジション802から第3ポジション803への移動中は、ロータ120とカムシャフト132は、ロータ120とカムシャフト132が高圧配置に留まる単一の高圧850で、高圧配置内で一緒に逆回転するので、ステータ面154に対するロータ120の高圧時での如何なる摩耗も回避される。第3ポジション803では、ロータ120およびカムシャフト132は高圧配置のままである。第3ポジション803から第4ポジション804への移行中は、ロータ120の回転は阻止され、一方、カムシャフト132は、高圧配置から超高圧配置へと逆回転され、その結果、ロータ120の移動なしに、したがって、ロータ120の移動に伴う圧力が変化することなく、高圧850から超高圧852へと瞬時かつ直接的に移行する。第4ポジション804では、ロータ120およびカムシャフト132は、より高い圧力(超高圧)の配置にあり、ステータ面154に対するロータ120の高圧時の摩耗を回避することができる。第4ポジション804では、ロータ120およびカムシャフト132は、より高い圧力(超高圧)の配置構成のままである。第4ポジション804から第5ポジション805への移行中は、カムシャフト132が超高圧配置から高圧配置へとさらに逆回転されている間、ロータ120の回転は引き続き拘束・停止されており、その結果、ロータ120が動くことなく、したがって、ロータ120の動きに伴う圧力が変化することなく、超高圧852から高圧850へと即時かつ直接的に移行することができる。第5ポジション805では、ロータ120およびカムシャフト132は、高圧配置にあり、ステータ面154に対するロータ120の超高圧での摩耗を回避することができる。第5ポジション805では、ロータ12-およびカムシャフト132は、高圧配置に復帰する。注目すべきことは、高圧配置およびより高い圧力配置(超高圧配置)の両方において、適用または印加される力は、各配置に関連する一定の長さに維持されるスプリング136によってのみ提供され、ロータ120の任意の回転中に、ロータ120に印加される圧力またはより高い圧力が傾斜的になることを回避することができることである。いずれの配置においても、スプリング136には外力は一切加えられておらず、スプリング136が高圧850とそれより高い圧力(超高圧)852の両方を提供する。
【0059】
本明細書で上に説明してきたように、そのようなより高い圧力(超高圧)は、超高速液体クロマトグラフィーで用いられている最低圧力か、それ以上の圧力であれば良い。
【0060】
上述した本明細書内で使用されている用語や表現は、あくまでも説明のためのものであり、限定のためのものではなく、そのような用語や表現の使用において、図示され、説明された特徴またはその一部の均等物を、本発明の範囲から除外する意図はない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8