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  • 特許-シングルアクション・ペダルハープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】シングルアクション・ペダルハープ
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/147 20200101AFI20220927BHJP
   G10D 1/04 20200101ALI20220927BHJP
【FI】
G10D3/147
G10D1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021130972
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521349842
【氏名又は名称】土井 利紀
(72)【発明者】
【氏名】土井 利紀
【審査官】泉 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-145873(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109817185(CN,A)
【文献】米国特許第5796020(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0133562(US,A1)
【文献】米国特許第4936182(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 1/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記調音ロッドは挟み型ロッド(24)であることを特徴とする請求項1記載のシングルアクション・ペダルハープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハープの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量かつペダルによる半音操作出来るハープが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭34-7049号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】サルヴィハープ製品情報 http://salviharps.jp/
【発明の概要】
【発明を解決するための課題】
【0005】
オーケストラで使うグランドハープは多数の重い金属材料を用いるため音が固くなりやすく、木材特有の暖かみのある音色が損なわれてしまい、又大変重く大型なため運搬にも大きな負担となりやすい。一方特許文献1に開示されているように、アイリッシュハープは重い金属材料を用いないため、暖かみのある音色は得られるが半音操作に必要な操作を左手で行うため、半音操作の間両手での演奏が出来ないという課題がある。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、ハープに於て軽量で持ち運びができて暖かみのある音色を損なうことなく、かつ演奏者の負担にならないよう、ペダルを用いてワンタッチで半音操作出来る新たな機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ウデ木21と支柱22とペダル17を有するシングルアクション・ペダルハープにおいて、前記ウデ木21には貫通穴4が設けられており、前記貫通穴4に挿入された調音ロッド5、24と、前記調音ロッド5、24を有する欠け込みを持つリンク機構7と、前記ウデ木21の側面と前記支柱22の側面に設けられた一本の動力伝達機構とを備え、前記欠け込みを持つリンク機構7は、前記一本の動力伝達機構を介して、前記ペダル17に接続されており、前記ペダル17が操作されることにより、その操作が前記調音ロッド5,24まで導かれ調音を可能にすることを特徴とするシングルアクション・ペダルハープ。
【発明の効果】
【0008】
ウデ木21全体がほぼ木で出来ているため暖かみのある音色が得られ、かつ軽量であるが、ペダル17を用いて弦の半音操作をワンタッチで得ることができる。
又極めて小型軽量で、27弦モデルで約10Kg、34弦モデルで約14Kgしかないので、公共交通機関においては手荷物として運搬出来る利便性があり、非常に身近なものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 本発明に係るシングルアクション・ペダルハープの左手側詳細側面図
図2】 シングルアクション・ペダルハープの右手側詳細側面図
図3】 ウデ木高音側からの拡大断面図、弦開放状態
図4】 ウデ木高音側からの拡大断面図、弦半音上昇状態
図5】 ウデ木上方からの拡大断面図、弦開放状態
図6】 ウデ木上方からの拡大断面図、弦半音上昇状態
図7】 グランドハープの調音構造
図8】 挟み型 ロッドを調音ロッドとして用いる場合の図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に係るシングルアクション・ペダルハープの演奏者の左手側の構造を示す側面図であり、一部分(丸で囲んだAの部分)を詳細拡大して示す図である。シングルアクション・ペダルハープはウデ木21と支柱22とペダル17を有しており、ウデ木21には調弦ピン1と弦保持ピン2と弦支持金具9が取り付けられている。また、ウデ木21には貫通穴4が設けられており、戻しバネ付引っかけ形状ロッド(調音ロッド)5の先端はガイドピン3によって回転規制手段が設けられ、貫通穴4に挿入されている。
【0011】
図2は本発明に係るシングルアクション・ペダルハープの演奏者の右手側の構造を示す側面図であり、一部分(丸で囲んだBの部分)を詳細拡大して示す図である。図2の詳細部分Bは、リンク軸支持金具8によって軸支された欠け込み70を持つリンク機構7に、ロッド長さ調節可能な後端部6が接続されていることを示している。又、欠け込み70を持つリンク機構7は戻しバネ付引っかけ形状ロッド(調音ロッド)5を有するものである。
【0012】
低音側の欠け込み70を持つリンク機構7と第2リンク機構11の間はフレクシブルワイヤー12で結び、第2リンク機構11から先もフレクシブルワイヤー12を使用し、上部ガイド部材13を通し、細ロープ15を巻着する。細ロープ15は下部ガイド部材14の中に通しそのままペダルロッド16と連結する。ペダルロッド16はペダル17と連結し、ペダル17はペダル後端取付け軸19によりペダル取り付け板18に回動可能な状態で取り付けられる。ペダル17は音階の(ド)から(シ)まで各々に対応して7つ設けられ、全ての音を調音することができる。
【0013】
図3は高音側よりのウデ木21の断面を示す図で、戻しバネ付引っかけ形状ロッド5の先端と弦支持金具9に対し、弦20は非接触状態を示す。
図4は高音側よりのウデ木21の断面を示す図で、戻しバネ付引っかけ形状ロッド5の先端部がペダル17を踏むことにより弦20と接し牽引され弦支持金具9に当たり調音された状態。
【0014】
図5は上方からのウデ木21の拡大断面図、前図3と同様。
図6は上方からのウデ木21の拡大断面図、長ロッド10がペダル17を踏むことで牽引され調音状態を示す図。
一方、図7はグランドハープの調音構造を示す図で、本発明とは異なり、重い金属材料が使われていることを示す図である。この図7の斜線部は重い金属材料で出来ていることを示す。
【0015】
図2はペダル17に接続されている、調音する(嬰音にする)ための、ウデ木21の側面と支柱22の側面に設けられた一本の動力伝達機構を示しており、以下は弦20までの全ての順路を説明するものである。
ペダル17と連結するペダルロッド16とペダルロッド16に巻着する細ロープ15が有り、細ロープ15は下部ガイド部材14の中を通り、フレクシブルワイヤー12に巻着する。フレクシブルワイヤー12は上部ガイド部材13の中を通り、第2リンク機構11と連結する、第2リンク機構11から最低音部に設けられた、欠け込み70を持つリンク機構7、までは同様にフレクシブルワイヤー12を結び、それら全ての音に有する欠け込み70を持つリンク機構7までは長ロッド10を用いて互いに連結する。
【0016】
戻しバネ付引っかけ形状ロッド5に、ロッド長さ調節可能な後端部6が、欠け込み70に遊動状態で食い込んでいる。今この状態ではペダル17が操作されていない状態で弦20は基音を保持している。次にペダル17を踏むと、戻しバネ付引っかけ形状ロッド5の先端部が弦20を牽引し、更に戻しバネ付引っかけ形状ロッド5の先端部が弦20を牽引し、更に弦支持金具9に接触し、さらに牽引することで調音(嬰音を得る)ことができる。
以上はシングルアクション・ペダルハープの調音に必要な全ての部材とその働きについて説明した。ハープの基本部分とそれ以外の全ての調音に必要な部材で構成されたこのシステムこそ、一本の動力伝達機構と言える。
【0017】
すなわち、欠け込み70を持つリンク機構7は一本の動力伝達機構を介して、ペダル17に接続されている。そして、ペダル17が操作されることにより、その操作が戻しバネ付引っかけ形状ロッド(調音ロッド)5まで導かれ調音を可能とする。この時、リンク機構7が欠け込み70を持つことにより、戻しバネ付引っかけ形状ロッド(調音ロッド)5を確実に引っぱることが出来る。
【0018】
図8は、図1から図6までと全く異なる様式である。今までは戻しバネ付引っかけ形状ロッド5を具備するタイプのシングルアクション・ペダルハープについて説明したが、戻しバネ付引っかけ形状ロッド5に替えて、挟み型ロッド24を調音ロッドとして用いる場合の図である。
図8は挟み型ロッド(調音ロッド)24の弦列側からの斜図で、弦20は開放状態を示す。挟み型ロッドの先端はナイフ状の広い部分が、弦20の左側に接してコーンピン34まで移動するが、更に押圧されることで調音される。
【0019】
以上のように、この発明のシングルアクション・ペダルハープはウデ木に貫通穴をあけ、貫通穴に挿入された調音ロッドと、その調音ロッドを有する欠け込みを持つリンク機構が一本の動力伝達機構を介してペダルに接続され、ペダルを操作することにより調音することが可能であるように構成されているため、重い金属材料を使う必要がないので、暖かみのある音色が得られ、また楽器に使用される金属の総重量も極めて軽く収まるため、小型軽量で、公共交通機関においては手荷物として運べる利便性があり、非常に身近なものである。
【符号の説明】
【0020】
1 調弦ピン
2 弦保持ピン
3 ガイドピン
4 貫通穴
5 戻しバネ付引っかけ形状ロッド(調音ロッド)
6 ロッド長さ調節可能な後端部
7 欠け込み70を持つリンク機構
8 リンク軸支持金具
9 弦支持金具
10 長ロッド
11 第2リンク機構
12 フレクシブルワイヤー
13 上部ガイド部材
14 下部ガイド部材
15 細ロープ
16 ペダルロッド
17 ペダル
18 ペダル取り付け板
19 ペダル後端取り付け軸
20 弦
21 ウデ木
22 支柱
23 戻しバネ
24 挟み型ロッド(調音ロッド)
26 バネ付引っかけ形状
33 ガイド細ピン
34 コーンピン
70 欠け込み
【要約】
【課題】軽量かつ持ち運び出来てペダルによる半音操作出来るハープを提供する。
【解決手段】ウデ木21と支柱22とペダル17を有するシングルアクション・ペダルハープにおいて、前記ウデ木21には貫通穴4が設けられており、前記貫通穴4に挿入された調音ロッド5、24と前記調音ロッド5、24を有する欠け込みを持つリンク機構7と、前記ウデ木21の側面と前記支柱22の側面に設けられた一本の動力伝達機構とを備え、前記欠け込みを持つリンク機構7は、前記一本の動力伝達機構を介して、前記ペダル17に接続されており、前記ペダル17が操作されることにより、その操作が前記調音ロッド5、24まで導かれ、調音を可能とすることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8