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  • 特許-太陽電池敷設構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】太陽電池敷設構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/40 20060101AFI20220927BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20220927BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20220927BHJP
【FI】
E04D3/40 V ETD
E04D13/18
H02S20/23 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2016041979
(22)【出願日】2016-03-04
(65)【公開番号】P2017155541
(43)【公開日】2017-09-07
【審査請求日】2018-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【合議体】
【審判長】前川 慎喜
【審判官】西田 秀彦
【審判官】有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-353194(JP,A)
【文献】特開平9-296570(JP,A)
【文献】特開2002-4525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D13/18
E04D3/40
H02S20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と少なくとも表面が非透水性である断熱材とが空間を隔てて一体化された太陽電池複合パネルが、太陽電池の表面が略平坦状になるように流れ方向及び流れ方向に交わる方向に敷設されることで、前記空間が連通状に形成され
両方向に隣り合う太陽電池複合パネルを形成する前記断熱材は、隣り合う前記断熱材の端縁同士が相決り状に重合されているか、或いは裏面に排水部材を配設して防水処理を施して前記断熱材の端縁同士が対向状に配設されていることで、防水状に接続されていることを特徴とする太陽電池敷設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の裏面側に断熱材を配設してなる太陽電池複合パネルを用いて屋根構造として各種の建築物に適用できる太陽電池敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池を取り付けた屋根としては、種々の構造のものが知られており、各種の屋根構造に支持材や架台を介して太陽電池パネルを取り付ける構造と、例えば屋根板に太陽電池を一体化させて取り付ける構造とが知られているが、雨仕舞い性を屋根構造に依存する前者に比べ、後者はそれ自体に雨仕舞い性を有するので、全体厚みが薄くできる点で有利である。
後者に属する特許文献1は、凹凸状金属板(外囲板2)の表面に太陽電池(太陽電池モジュールパネル18)が取り付けられている構成である。また、この提案における凹凸状金属板の裏面凹部には、発泡ウレタンからなる下地層14が形成されている(充填されている)。
また、特許文献2に記載の太陽光発電ユニット10は、断熱層11と防水層12とソーラパネル13とが積層されたパネルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4229516号公報
【文献】特開2014-169532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1では、凹凸状金属板(外囲板2)を全域に敷設することで「雨仕舞」を行い、その後に太陽電池(太陽電池モジュールパネル18)を敷設するものであって、作業効率が悪いものであった。
また、前記特許文献2では、太陽電池(ソーラパネル13)裏面が防水層12に密着しているため、自身が発生する熱量が放散されず滞留されるため、太陽電池の効率低下は避けられない構成である。しかもユニット同士の隣接部分は、防水テープ(図4)や突き合わせ(図12)によるものであって雨仕舞に大きな問題を有していた。
【0005】
そこで、本発明は、太陽電池の裏面側に断熱材を配設してなる太陽電池複合パネルを用いて屋根構造として各種の建築物に適用できる太陽電池敷設構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、太陽電池と少なくとも表面が非透水性である断熱材とが空間を隔てて一体化された太陽電池複合パネルが、太陽電池の表面が略平坦状になるように流れ方向及び流れ方向に交わる方向に敷設されることで、前記空間が連通状に形成され、両方向に隣り合う太陽電池複合パネルを形成する前記断熱材は、隣り合う前記断熱材の端縁同士が相決り状に重合されているか、或いは裏面に排水部材を配設して防水処理を施して前記断熱材の端縁同士が対向状に配設されていることで、防水状に接続されていることを特徴とする太陽電池敷設構造に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の太陽電池敷設構造は、太陽電池と少なくとも表面が非透水性である断熱材とが空間を隔てて一体化されているため、連通する空間により空気の流通が行われるので、太陽電池自体の発熱による効率低下を招くことがなく、また万が一太陽電池の裏面側に浸入した雨水や空間内にて結露した雨水等を非透水性である断熱材の表面にて流下させることができる。そのため、雨仕舞い性を備える屋根(下地)を必要としないので、全体厚みを薄く構築することができ、各種の太陽電池敷設構造に適用できる。
また、両方向に隣り合う太陽電池複合パネルを形成する前記断熱材は、隣り合う前記断熱材の端縁同士が相決り状に重合されているか、或いは裏面に排水部材を配設して防水処理を施して前記断熱材の端縁同士が対向状に配設されていることで、防水状に接続されているので、継続的に且つ物理的に雨仕舞いに優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明の第1実施例の太陽電池敷設構造の流れ方向に交わる方向における接続部分を示す正断面図、(b)流れ方向における接続部分を示す側断面図、(c)用いた太陽電池を示す正面図、(d)用いた固定部(材)を示す側面図及び正面図、(e)用いた断熱材を示す正面図、(f)組み付けられた太陽電池複合パネルを示す正断面図、(g)用いた太陽電池複合パネルを縮小して示す側断面図である。
図2】(a)第2実施例の太陽電池複合パネルを流れ方向に交わる方向に接続しようとする状態を示す正断面図、(b)接続した状態を示す正断面図、(c)流れ方向に接続しようとする状態を示す側断面図である。
図3】(a)第3実施例の太陽電池敷設構造の流れ方向に交わる方向における接続部分を示す正断面図、(b)流れ方向における接続部分を示す側断面図、(c)太陽電池と断熱材とを一体化する別の一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の太陽電池敷設構造は、太陽電池と少なくとも表面が非透水性である断熱材とが空間を隔てて一体化された太陽電池複合パネルが、太陽電池の表面が略平坦状になるように流れ方向及び流れ方向に交わる方向に敷設されてなるので、連通する空間が形成されて空気の流通が行われるものである。なお、流れ方向に交わる方向とは、例えば切妻屋根の桁行方向に相当するものである。
また、両方向に隣接する太陽電池複合パネルは、隣り合う前記断熱材の端縁同士が相決り状に重合されているか、或いは裏面に排水部材を配設して防水処理を施して前記断熱材の端縁同士が対向状に配設されていることで、防水状に接続されている。
【0013】
本発明に用いる太陽電池は、太陽電池モジュールとその周縁に取り付ける枠体とで形成されるものである。
前記太陽電池モジュールとしては、特にその構成及び形状を限定するものではなく、多結晶、単結晶、アモルファス等のシリコン系、化合物系、有機系などどのような太陽電池を用いてもよい。
また、前記枠体は、前記太陽電池モジュールの周縁に取り付けられて矩形状のパネルを形成するものであり、太陽電池モジュールの端縁を保持するために略コ字状(溝部を有する)であることが多いが、その構成は特に限定するものではない。
【0014】
本発明に用いる断熱材は、少なくとも表面が非透水性であれば、それ自体が非透水性の発泡樹脂で形成されるものでも、慣用的に断熱性能を有する材料の表面を非透水性の防水処理をしたものでもよいが、施工性を考慮すると軽量である発泡樹脂製(例えばEPS等)が好ましい。
この断熱材は、平板状であっても凹凸状であってもよい。また、この断熱材の表面は、浸入水等を円滑に流下、排出するための「溝」を有するものであってもよい。
さらに、この断熱材は、後述する第1実施例のように固定用の部材を固定部として一体的に備えるものでも良い。
【0015】
前記太陽電池と前記断熱材との間に形成される空間は、太陽電池裏面に形成され、隣接するパネル同士の空間が連通可能であれば、その形状を限定するものではない。また、この空間は、前記太陽電池と前記断熱材とが完全に離間するものでも、部分的に当接するものでもよい。
【0016】
そして、流れ方向とそれと交わる方向の両方向に隣接する太陽電池複合パネルは、防水状に接続されている。
この防水状の接続としては、隣接する端縁同士を重合状に接続する構成、或いは裏面に排水部材を配設して防水処理を施して接続する構成などの中から適宜に選択すればよい。
前者の態様、即ち断熱材の端縁に重合部、重合受部を形成する場合には、後述する図示実施例のように流れ方向の端縁、それと交わる方向の端縁のそれぞれに設けてもよいし、一方のみに設けてもよい。また、これらの重合部、重合受部は、単に重ねる(段差ができる)ものでも、相決り状(平坦状)であってもよく、空気流路としての機能を備えるものでもよいし、表面での排水を妨げなければ重合部分の態様は問わない。更に、重合と捨て板を併用してもよい。
後者の態様、即ち裏面に排水部材を配設して防水処理を施して接続する場合についても、公知の種々の防水構造を採用すればよい。
【0017】
前記太陽電池、前記断熱材、前記空間より形成される太陽電池複合パネルは、太陽電池と断熱材との一体化方法について特に限定するものではない。例えば接着等によるものでも、太陽電池の枠体を利用するものでも、別途取付具(固定具を兼用でもよい)等を用いるものでもよい。なお、ここでの一体化とは、パネルとして施工可能な態様であればよく、恒久的な一体を意味するものではない。
【0018】
前記太陽電池の枠体を利用して前記太陽電池と前記断熱材とを一体化する場合、断熱材は枠体の高さ内に収まる厚みであっても、枠体下部より下方に突出するものであってもよい。また、この太陽電池の枠体を用いて一体化する場合には、太陽電池は少なくとも対向する2辺に枠体を備えればよい。
また、前記断熱材は、太陽電池の端部に対してから延出状であっても、太陽電池に対して位相状でもよく、太陽電池と同等の大きさでも異なる大きさであってもよく、表面は雨水等の流下を円滑に行うために溝状部を設けてもよい。また、溝状部や相決りを採用する場合、円滑な流下を促すために下り傾斜状に形成してもよい。
【0019】
以上の構成を有する本発明の太陽電池敷設構造は、太陽電池と断熱材とが空間を隔てて一体化されているため、連通する空間により太陽電池自体の発熱による効率低下を招くことがなく、また万が一太陽電池の裏面側に浸入した雨水や空間内にて結露した雨水等を断熱材の表面にて流下させることができる。また、そのため、雨仕舞い性を備える屋根(下地)を必要としないので、全体厚みを薄く構築することができる。
【実施例1】
【0020】
図1(a),(b)に示す本発明の第1実施例の太陽電池敷設構造は、太陽電池1と少なくとも表面が非透水性である断熱材3を空間2を隔てて一体化した太陽電池複合パネル4を、太陽電池1の表面が略平坦状になるように流れ方向及び流れ方向に交わる方向に敷設してなるものであり、両方向に隣接する太陽電池複合パネル4,4は、防水状に接続されている。
なお、図1(a)における左右方向が流れ方向と交わる方向を示し、図1(b)における右左方向が流れ方向を示す。
【0021】
この第1実施例における太陽電池複合パネル4を構成する太陽電池1は、図1(c)に示すように太陽電池モジュール11とその周縁に取り付けた枠体12,12'とで形成され、流れ方向に交わる方向(以下、単に左右方向という)の端縁に取り付けた枠体12,12には、その下端から内側へ突出する係止片121を備えている。なお、全ての枠体12,12'は、上端に太陽電池モジュール11の端縁を保持するように略コ字状に形成されている。
【0022】
また、この第1実施例における太陽電池複合パネル4を構成する断熱材3は、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の成形体であって、図1(e)に示すように表面が略平坦状の面板部31の左右方向の一方の端縁に重合受部32が、他方の端縁に重合部33が形成されている。また、図1(b),(g)に示すように面板部31の流れ方向の一方の端縁に重合受部34が、他方の端縁に重合部35が形成されている。したがって、この断熱材3は、左右方向における接続部分においても、流れ方向における接続部分においてもそれぞれ相決り状の防水構造を形成して接続されるものである。なお、前記重合受部34は、図1(e)に示すように左右方向の他方側(図では左側)から一方側(図では右側)に下り傾斜するものであり、当該接続部分に至る雨水も他方側から一方側へ流下させるものである。
【0023】
また、この断熱材3の表面側には、図1(g)に示すように複数の凹状部36が形成され、該凹状部36にはそれぞれ図1(d)に示すフレーム状の固定部(材)3bを嵌合状に取り付けたものを用いている。
この固定部(材)3bは、前記断熱材3を前記太陽電池1に一体的に取り付けるための固定部の役割を果たすものであって、その上面には左右に係止片121,121に取り付けるための係止爪39,39を有する断面逆U字状の帯状材である。なお、前記凹状部36は、断熱材3の取り付けに固定部(材)3bが干渉しないための部位である。
【0024】
この第1実施例において、前記太陽電池1と前記断熱材3とを一体化するには、図1(c)と図1(d)との間に矢印にて示すように前記太陽電池1に対して前記固定部(材)3bを回転させて取り付ける。即ち長尺な太陽電池1の枠体12,12の係止片121,121に対し、短幅の固定部(材)3bの係止片39が係合するように取り付ける。そして、太陽電池1に対して固定した固定部(材)3bが前記凹状部36に嵌合状に取り付けられるように断熱材3(本体)を臨ませて固定することができる。
【0025】
さらに、前記断熱材3の左右方向の端縁の表面側には、それぞれ段状に切り欠いた形状の受部37,37'が形成され、太陽電池1の枠体12,12の下面を受支するため、安定な一体化構造が得られる。なお、各受部37,37'の隅部には太陽電池1の枠体12,12の係止片121,121が嵌合する嵌合溝37,371'が形成されている。
同様な構成は、流れ方向の水上側及び水下側にも形成され、受部38,38が太陽電池1の枠体12',12'の下面を受支するため、安定な一体化構造が得られる。
【0026】
こうして一体化された太陽電池複合パネル4は、流れ方向の接続については、その太陽電池1,1同士を突き合わせるように、断熱材3,3同士は重合受部34に重合部35を重合させて相決り状に接続している。
【0027】
また、左右方向の接続については、断熱材3,3同士は重合受部32に重合部33を重合させて相決り状に接続しているが、固定部(材)3b,3b同士を重合して固定具6aにて接続し、太陽電池1,1同士は対向状に配設し、その対向間隔に化粧カバー用下地6b及び化粧カバー6cを配設して固定ビス6dで防水状に接続している。
なお、前述のように断熱材3の左右方向の端縁には、それぞれ段状の受部37,37'を形成しているが、前記化粧カバー用下地6bを設置するために右方側の受部37を長く形成している。
【0028】
このように施工される第1実施例の太陽電池敷設構造は、太陽電池1と断熱材3とが空間2を隔てて一体化されているため、連通する空間2により太陽電池1自体の発熱による効率低下を招くことがない。特にこの第1実施例では太陽電池1の裏面と断熱材3とは全く接触していない。そのため、熱量が滞留することがないので、効率低下を生じ難い。また万が一太陽電池1の裏面側に浸入した雨水や空間2内にて結露した雨水等を断熱材3の表面や相決り状の接続部分(32,33)にて流下できる。そのため、雨仕舞い性を備える屋根(下地)を必要としないので、全体厚みを薄く構築することができる。
【0029】
図2(a)に示す第2実施例の太陽電池敷設構造は、太陽電池1B自体については前記第1実施例における太陽電池1とほぼ同様であるが、太陽電池1Bと断熱材5との一体化は、別部材(固定具7)にて行っており、更に流れ方向の接続については図2(c)に示すように前記第1実施例と同様に相決り状に接続しているが、左右方向の接続については図2(b)に示すように排水部材8を用いて防水状に接続する態様である。
【0030】
この第2実施例における太陽電池1Bは、前述のように前記第1実施例における太陽電池1とほぼ同様であるから、図面に同一符号(但し、符号の末尾にbを付記した)を付して説明を省略する。
【0031】
また、この第2実施例における断熱材5は、前記第1実施例と同様にビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の成形体であって、表面側には流れ方向に連続する凹状溝511を複数(7条)備え、図2(c)に示すように流れ方向の中程に裏面側から切り欠かれた空部52を備える構成であり、該空部52には前記固定材7が嵌合状に配設され、この固定材7を介して断熱材5と太陽電池1Bとが一体化される構成である。なお、固定材7は、太陽電池1Bの係止片121bに裏面側からビス止め(ビス7b)されている。
そして、この第2実施例における太陽電池1Bと断熱材5とは、空間2Bを隔てて一体化されて太陽電池複合パネル4Bを形成している。
【0032】
前記固定材7は、前述のように所定幅の金属板等からなり、略中央が谷状(谷状部分71)に形成される成型材であって、該谷状部分71の左右の端縁に太陽電池1Bの係止片121bに重合状に固定される固定横片72,72を有し、該固定横片72のさらに外側に取付縦片73を有する構成である。なお、この取付縦片73の下端には、内側へ折り返した係合片731が形成されている。
【0033】
この第2実施例の太陽電池複合パネル4Bを左右方向に接続については、図2(a),(b)に示すように裏面に排水部材8を配設して防水処理を施して接続する構成を採用した。
即ち流れ方向に連続する排水部材8を所定箇所に配し、それに跨るように取付材8bを固定し、この取付材8bに設けた接続受部83に前記固定材7の取付縦片73を取り付けて左右の太陽電池複合パネル4B,4Bを接続している。
なお、前記排水部材8は、排水部81を形成する左右の側壁の上端が折り返された樋状であり、前記取付材8bは、前記排水部材8に跨る略門状の規制部82と、その中央に設けられた左右の一対の起立片に形成される接続部83とからなる、なお、この接続部83を形成する起立片の上端には、内側へくさび状に形成した係合受片831が形成されている。したがって、前記取付材8bの接続受部83に前記固定材7の取付縦片73を取り付ける構成とは、具体的には係合受片831に係合片731を係合させる構成である。
【0034】
この第2実施例の太陽電池複合パネル4Bの流れ方向の接続については、図2(c)に示すように前記第1実施例と同様に相決り状に接続する構成を採用した。即ち太陽電池1B,1B同士を突き合わせるように、断熱材5,5同士は重合受部53に重合部54を重合させて相決り状に接続している。なお、その相決り状の接続に際し、重合受部53に設けた凹部531に重合部54に設けた凸部541も係合する。
【0035】
こうして施工される第2実施例の太陽電池敷設構造は、太陽電池1Bと断熱材5とが空間2Bを隔てて一体化されているため、前記第1実施例と同様に空間2Bにて太陽電池1B自体の発熱による効率低下を防ぐ。また万が一太陽電池1Bの裏面側に浸入した雨水や空間2B内にて結露した雨水等については、断熱材5の表面の凹部511や排水部材8の排水部81にて流下させることができる。
【0036】
図3(a)に示す第3実施例の太陽電池敷設構造は、太陽電池1C自体については前記第1,2実施例における太陽電池1,1Bとほぼ同様であるが、太陽電池1Cと断熱材5Cとの一体化は、太陽電池1Cの枠体12cにて行っており、更に流れ方向の接続については図2(c)に示すように前記第1,2実施例と同様に相決り状に接続しているが、左右方向の接続については図3)に示すように縦桟部材9の排水部94を用いて防水状に接続する態様である。
【0037】
この第3実施例における太陽電池1Cは、前述のように前記第1,2実施例における太陽電池1,1Bとほぼ同様であるから、図面に同一符号(但し、符号の末尾にcを付記した)を付して説明を省略する。
この太陽電池1Cの枠体12c,12c間に断熱材5Cを挟み込む構成であるが、その作成手段を限定するものではない。例えば上端に略コ字状部分を、下方に横溝部分を有する枠体12c,12c間に、太陽電池モジュール11c及び断熱材5Cをそれぞれ配設しつつ一体化する(=枠体12cの後付け)ようにしてもよいし、先に太陽電池モジュール11cに枠体12,12を嵌め付けた太陽電池1Cの裏面側から断熱材5Cを嵌め付ける(=枠体12cの先付け)ようにしてもよい。
【0038】
また、この第3実施例における断熱材5Cは、前記第1,2実施例と同様にビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の成形体であって、表面側には流れ方向に連続する凹状溝511cを複数(3条)備え、前述のように太陽電池1Cの枠体12c,12c間に一体化される構成である。
そして、この第3実施例における太陽電池1Cと断熱材5Cとは、空間2Cを隔てて一体化されて太陽電池複合パネル4Cを形成している。
【0039】
この第3実施例の太陽電池複合パネル4Cを左右方向に接続については、図3(a),(b)に示すように裏面に縦桟部材9の排水部94を配設して接続する構成を採用した。
即ち流れ方向に連続する縦桟部材9を所定箇所に配し、この縦桟部材9に設けた肩状の支持部92,92に左右の太陽電池複合パネル4C,4Cを支持させ、その対向間隔に化粧カバー兼押さえ材9dを取付ボルト9c及びナット9eにて取り付けて接続している。
【0040】
なお、前記縦桟部材9は、その頂部に上方が開放する溝部911を有する二段隆状部を備え、その上段を隆状部91、下段の肩状部を支持部92とし、その左右に外方へ延在する横片が形成される形状であって、該横片の中程に起立片93を設けて前記下段との間を排水部94とし、この排水部94の外側に位置する横片を固定片95とし、固定具9bを打ち込んで固定することができる。前記溝部911には、取付ボルト9cの頭部が収容され、太陽電池複合パネル4C,4C間を覆う化粧カバー兼押さえ材9dを配した上からナット9eを締め付けて固定することができる。
そのため、太陽電池複合パネル4Cを前記隆状部91に当接するように配設することができ、仮に前記化粧カバー兼押さえ材9dから雨水等が裏面側へ浸入しても、排水部94に導いて流下させることができる。
【0041】
この第3実施例の太陽電池複合パネル4Cの流れ方向の接続については、図3)に示すように前記第1,2実施例と同様に相決り状に接続する構成を採用した。即ち太陽電池1C,1C同士を突き合わせるように、断熱材5C,5C同士は重合受部53cに重合部54cを重合させて相決り状に接続している。
【0042】
こうして施工される第3実施例の太陽電池敷設構造は、太陽電池1Cと断熱材5Cとが空間2Cを隔てて一体化されているため、前記第1,2実施例と同様に空間2Cにて太陽電池1C自体の発熱による効率低下を防ぐ。また万が一太陽電池1Cの裏面側に浸入した雨水や空間2C内にて結露した雨水等については、断熱材5Cの表面の凹部511cや縦桟部材9の排水部94にて流下させることができる。
【0043】
3(c)は、太陽電池41と断熱材43とを一体化する別の一例(手段)を示すものであって、太陽電池41の枠体42が断熱材43の表面に突き刺さって一体化している態様を示すものである。なお、図中44は、太陽電池41と断熱材43との間に形成される空間を示し、相互に係合可能な接続部材45,46として、ピース材を用いることにより、図中に矢印で示すように空間44が連通することを示している。
【符号の説明】
【0044】
1 太陽電池
11 太陽電池モジュール
12 枠体
2 空間
3 断熱材
3b 固定部(材)
4 太陽電池複合パネル
図1
図2
図3