(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】マルチモードイメージングマーカー
(51)【国際特許分類】
A61L 31/12 20060101AFI20220927BHJP
A61L 31/02 20060101ALI20220927BHJP
A61L 31/08 20060101ALI20220927BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20220927BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20220927BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20220927BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A61L31/12 100
A61L31/02
A61L31/08
A61L31/04 120
A61L31/06
A61B18/12
A61B8/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021063419
(22)【出願日】2021-04-02
(62)【分割の表示】P 2019555229の分割
【原出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-04-08
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519357903
【氏名又は名称】ビュー ポイント メディカル, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】VIEW POINT MEDICAL, INC.
【住所又は居所原語表記】5621 Palmer Way, Carlsbad, California 92010, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ブレイヤー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,マイク
(72)【発明者】
【氏名】メリット,ジョーン
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/187594(WO,A1)
【文献】特許第6898603(JP,B2)
【文献】特表2016-505475(JP,A)
【文献】特表2013-536024(JP,A)
【文献】特表2016-516729(JP,A)
【文献】ACS Appl. Mater. Interfaces,2017年01月25日,9,p.5817-5827
【文献】Frontiers in Pharmacology,2015年,6,Article 197, p.1-16
【文献】Langmuir,2007年,23,p.8194-8199
【文献】Procedia Materials Science,2015年,8,p.567-576
【文献】Biomaterials,2011年,32,p.556-564
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波イメージングのためのマルチモード複合ゲルマーカーであって、
複数のシリカシェルであって、各シリカシェルは、シリカから形成される第1の内側層と、シリカから形成される前記第1の内側層の内側表面内に配置される中空の空隙と、前記第1の内側層上に配置されるシリカから形成される第2の層とを有するシェル本体を含む、前記複数のシリカシェルと、
患者の周囲組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料と、
前記複数のシリカシェルの周りに配置されたゲル材料を有する膨張可能なゲルマーカー本体と、
前記ゲル材料によってカプセル化された放射線不透過性マーカーと、
を含み、
前記複数のシリカシェルは、外面に配置された疎水性ポリマーコーティングをさらに含み、
前記マルチモード複合ゲルマーカーは前記イメージング材料と前記放射線不透過性マーカーを含む、マルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項2】
前記疎水性ポリマーコーティングがオクチルトリエトキシシランを含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項3】
前記ゲル材料が吸湿性ゲル材料を含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項4】
前記吸湿性ゲル材料がキトサンを含む、請求項3に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項5】
前記ゲル材料がポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項6】
前記イメージング材料が、直接目視観察によるイメージングのための染料を含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項7】
前記染料がメチレンブルーを含む、請求項6に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項8】
前記イメージング材料が放射線不透過性材料を含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項9】
前記イメージング材料がMRIイメージング材料を含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項10】
前記ゲル材料によってカプセル化されたMRI画像化可能なマーカーをさらに含む、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項11】
膨張可能な前記ゲルマーカー本体が非膨張状態で2mm~40mmの長さ及び0.5mm~2mmの横断寸法を有する、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項12】
膨張可能な前記ゲルマーカー本体が1:1.5~1:10の乾燥した非膨張状態から水飽和膨張状態へのサイズ膨張比を有する、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項13】
膨張可能な前記ゲルマーカー本体が、1:2~1:3の乾燥した非膨張状態から水飽和膨張状態へのサイズ膨張比を有する、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項14】
前記放射線不透過性マーカーはガンマ形状の放射線不透過性のリボンマーカーである、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【請求項15】
前記放射線不透過性マーカーは金、白金、タンタル、ビスマス、又は、バリウムを有する、請求項1に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願はW. Blairらによって2017年4月7日に出願された「マルチモードイメージングマーカー及びその方法並びに要素」という名称の米国仮特許出願第62/483,274号、及びW. Blairらによって2018年3月20日に出願された「マルチモードイメージングマーカー及びその方法並びに要素」という名称の米国仮特許出願第62/645,677号からの優先権を主張し、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
患者の身体内の特徴を識別し、位置決めし、マーキングすることを可能にすることは、多くの有用な適用例(又は、指標/indication)を提供する。後に画像化され得るマーカーを用いた患者の身体内の特定の領域の識別は、そのマーキングされた領域の経時的な観察、組織病変(又は、損傷/lesion)のその後の研究または除去のための腫瘍または他のタイプの組織病変や異常の位置特定及び他の目的を含む様々な目的のために有用であり得る。特定の臨床状況では、問題の組織病変が第1のイメージングモダリティ(又は、手段/modality)を使用して最も効率的に画像化され、マーキングされるが、組織病変の外科的除去などの後続の介入(又は、処置/intervention)が、第2のイメージングモダリティまたは相当な時間経過後に生じる後続の介入を使用して最良に達成される場合に、困難が生じることがある。特定の臨床処置に利用可能なイメージングモダリティが、超音波エネルギー伝播を妨害する組織界面に対する高密度の空気で多孔質である肺組織の超音波イメージングの使用など、イメージング(又は、画像化/撮像/imaging)される組織のタイプと適合しない場合に、他の困難が生じ得る。必要とされているのは、複数のイメージングモダリティを使用して患者の身体内の関心位置をマーキングするのに有用なイメージングマーカー(又は、画像化マーカー/撮像マーカー/imaging marker)である。また、必要とされているのは、適切な期間にわたって位置決め及び機能的完全性が安定しているイメージングマーカーある。
【0003】
マルチモードイメージング(又は、マルチモード画像形成)のためのシリカシェル(シリカ殻)のいくつかの実施形態は、シリカから形成される第1の内側層と、前記第1の内側層の外側表面上に配置され、周囲の組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料を含むシリカから形成される第2の層を含む。シリカシェルはまた、前記第2の層の外側表面上に配置された疎水性ポリマーコーティングを含んでもよい。
【0004】
マルチモードイメージングのためのシリカシェルを製造する方法のいくつかの実施形態は、テンプレート上にシリカから第1の内側層を形成するステップと、焼成によってテンプレートを除去するステップと、イメージング材料(画像形成材料/造影材料)と混合されたシリカの第2の層を第1の層の外面上に塗布するステップとを含むことができる。このような方法の実施形態は、疎水性ポリマーコーティングを第2の層の外面上に塗布することをさらに含むことができる。
【0005】
超音波イメージングのためのマルチモード複合ゲルマーカーのいくつかの実施形態は複数のシリカシェルを含むことができ、各シリカシェルは、シリカから形成された層と、シリカから形成された層の内側表面内に配置された中空ボイドとを有するシェル本体(又は、殻体/殻本体)を含む。複合ゲルマーカーはまた、周囲の組織と識別できる(とは異なる)イメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料と、膨張(又は、拡張)可能なゲルマーカー本体を形成するように複数のシリカシェル及びイメージング材料の周りに配置された吸湿性ゲル材料とを含んでもよい。そのようなマルチモード複合ゲルマーカーのいくつかの実施形態では、前記複数のシリカシェルは、シリカから形成される第1の内側層と、第1の内側層の外側表面上に配置され、周囲の組織とは異なるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料を含む、シリカから形成される第2の層とを有するシェル本体を含むことができる。シリカシェルはまた、第1の内側層の内側表面内に配置された中空ボイドを含む。場合によっては、疎水性ポリマーコーティングが複数のシリカシェルの第2の層の外面上に配置されてもよい。
【0006】
患者の皮下組織内の標的部位にマルチモード複合ゲルマーカーを送達するためのアプリケータのいくつかの実施形態は、内部キャビティと、スライドボアと、収縮スロット(後退スロット)とを含むハンドルを含み得る。アプリケータはまた、その長さにわたって延在する内側管腔を有するカニューレと、カニューレの内側管腔内に配置され、ハンドルに固定された近位端を有する位置決めロッドとを含んでもよい。アプリケータはまた、カニューレの近位端に固定され、カニューレの内側管腔と同軸の管腔を含み、ハンドルのスライドボア内でスライドすることでカニューレと位置決めロッドとの間に相対的な軸方向変位を与える収縮シャトル(後退シャトル)を有してもよい。アプリケータはまた、前記収縮シャトルに固定された収縮ノブ(後退ノブ)であって、前記カニューレの遠位端が前記位置決めロッドの遠位端を超えて遠位に延在する遠位側軸方向位置と前記カニューレの遠位端が前記位置決めロッドの遠位端の近位に配置された近位側軸方向位置の間で、前記収縮スロットが前記収縮ノブと前記カニューレの軸方向移動を機械的に制限するように前記ハンドルの前記収縮スロット内で遠位側軸方向位置に配置された前記収縮ノブを含み得る。非膨張状態の複合ゲルマーカーは、前記収縮ノブ及びカニューレが遠位側軸方向位置にある状態で、前記カニューレの遠位端と前記位置決めロッドの遠位端との間の前記カニューレの前記内側管腔内に形成されたキャビティ内に配置され得る。
【0007】
いくつかの例では、アプリケータはまた、ハンドルの内部空洞の内側に固定され、そこから内向きに延びる第1のタブと、収縮シャトルから外向きに延びる第2のタブとを有するインターロックを含んでもよい。第2のタブは位置決めロッド及びカニューレの長手方向軸に実質的に平行な方向に沿って、第1のタブに対してオーバーラップした構成であってもよく、その結果、遠位側軸方向位置にある間の収縮ノブの近位への収縮(又は、後退)は、第1のタブと第2のタブとの間のオーバーラップを排除するように収縮ノブが押し下げられるまで、第1のタブ及び第2のタブのオーバーラップした構成によって機械的に防止される。いくつかの実施形態では、そのようなアプリケータはまた、収縮ノブが遠位側軸方向位置にあるときに、収縮ノブの近位の収縮スロット内にスナップ嵌合するスナップを有する取り外し可能なブロックを含む取り外し可能なインターロックを有し得る。この構成は、取り外し可能なインターロックが収縮スロットから手動で取り外されるまで、収縮ノブの近位への収縮を機械的に防止する役割を果たす。
【0008】
患者の身体内の標的部位をマーキングし、超音波撮像するいくつかの方法は、アプリケータのカニューレの遠位端を、患者の皮膚の表面の下の患者の身体内の標的部位に前進させることを含むことができる。カニューレの遠位端は、カニューレの遠位端とカニューレの内側管腔内に配置された位置決めロッドの遠位端との間のカニューレの内側管腔内の空洞内に配置されたマルチモード複合ゲルマーカーが標的部位に対して所望の位置にあるように、前進され得る。このような方法はまた、カニューレの内側管腔の内側表面の外側半径方向の拘束が複合ゲルマーカーから除去されるまで、標的部位の組織、複合ゲルマーカー、位置決めロッド、及びアプリケータのハンドルに対してアプリケータのカニューレ及び収縮ノブを近位方向に収縮させて複合ゲルマーカーを標的部位に展開(又は、配備)することを含み得る。その後、カニューレ及び位置決めロッドを患者の身体から引き抜くことができる。複合ゲルマーカー及び隣接する標的部位は、続いて、超音波イメージングによって画像化され得る。
【0009】
患者の身体の肺組織内に配置された標的部位をマーキングし、超音波イメージングする方法は、複合ゲルマーカーが標的部位から患者の肺の外表面レベルまで延在した状態で患者の肺組織内の前記標的部位に前記複合ゲルマーカーを展開するステップを含み得る。その後、標的部位は、外表面レベルから標的部位まで複合ゲルマーカーを通って移動する超音波イメージング信号を用いて、患者の肺の外表面レベルからマーカーを通って標的部位まで超音波で画像化されてもよい。
【0010】
特定の実施形態は、以下の説明、実施例、特許請求の範囲、及び図面においてさらに説明される。実施形態のこれらの特徴は、添付の例示的な図面と併せて以下の詳細な説明からより明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1は、腫瘍の外科的除去中のマルチモードイメージングの一般的なプロセスのフローチャートである。
【0012】
図2はテーブル上に横たわり、複数のイメージングモダリティによって撮像されている患者の概略図である。
【0013】
図3は、中空球状構造を製造するための球状テンプレートの実施形態の立面図である。
【0014】
図4は、
図3のテンプレートの実施例の断面図である。
【0015】
図5は、球状シリカシェルを形成するシリカ粒子の層がその上に配置された状態のシリカ粒子の層の実施形態を有する、
図3のテンプレート実施形態の断面図である。
【0016】
図6は、
図5のシリカシェルの実施形態の断面図であり、球形テンプレートは、シリカシェルの内部容積内から取り除かれている。
【0017】
図7は、
図6のシリカシェルの外面に配置された視覚的に識別できる染料と組み合わされたシリカ粒子の第2の層の実施形態を有する、
図6のシリカシェルの実施形態の断面図である。
【0018】
図8は、
図7のシリカシェルの断面図であり、疎水性ポリマーの任意の外側層が、シリカ粒子及び染料の外側第2層の外側表面上にコーティングされている。
【0019】
図9は、
図8の輪郭部分9-9によって示される
図8のシリカシェル構造の拡大図である。
【0020】
図10は、
図8に示すシリカシェルの実施例の製造方法を示すフローチャートである。
【0021】
図11は、
図8に示すシリカシェルの実施例の製造方法を示すフローチャートである。
【0022】
図12は、
図8の複数のシリカシェル、ならびに膨張可能な親水性ゲルで互いに実質的に固定された関係で一緒に成形された少なくとも1つの他のマーカーの実施形態を含む複合ゲルマーカーの実施形態を作製するための成形方法の斜視図である。
【0023】
図13は、
図12の線13-13に沿った
図12の複合ゲルマーカーの実施形態の横断面図である。
【0024】
図14は、複合ワイヤの実施形態で巻回された複合ゲルマーカーの実施形態の立面図である。
【0025】
図15は、
図12に示す成形方法の実施例のフローチャートである。
【0026】
図16は、遠位非展開位置にある細長いカニューレとカニューレ収縮ノブを有する、
図12及び13に示されるような複合ゲルマーカーの実施形態の展開のための、マーカー展開デバイスとも呼ばれるアプリケータの斜視図である。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
図20は、
図19に示すアプリケータの円で囲まれた部分20-20の拡大図である。
【0031】
図21は、ロック位置にあるアプリケータのハウジングのウェビングとシャトルのフィンの間に形成されたインターロックの立面図である。
【0032】
図22は、ロック解除位置にある
図21のインターロックを示す。
【0033】
図22Aは、調整可能なスタンドオフを含むアプリケータ実施形態の斜視図である。
【0034】
図23Aは、遠位非展開位置にあるカニューレ及び収縮ノブを有する
図16のアプリケータの長手方向断面の立面図である。
【0035】
図23Bは、中間の部分的に展開された位置にあるカニューレ及び収縮ノブを有する
図16のアプリケータの長手方向断面の立面図である。
【0036】
図23Cは、近位展開位置にあるカニューレ及び収縮ノブを有する
図16のアプリケータの長手方向断面の立面図である。
【0037】
図24Aは、カニューレ内の非展開位置にある複合ゲルマーカーの実施形態を示す、
図23Aのアプリケータの円で囲まれた部分24A-24Aの拡大図である。
【0038】
図24Bは、
図23Bのアプリケータの円で囲まれた部分24B-24Bの拡大図であり、カニューレ内及びカニューレの外側の両方に配置された部分的に展開された位置にある複合ゲルマーカーの実施形態を示す。
【0039】
図24Cは、カニューレの外側及び遠位の展開位置にある複合ゲルマーカーの実施形態を示す、
図23Cのアプリケータの円で囲まれた部分24C~24Cの拡大図である。
【0040】
図25は、患者の肺組織の上方に配置された生検カニューレの遠位端と、肺組織の表面の下方に位置する腫瘍とを示す、部分断面の部分的に破断した立面図である。
【0041】
図26は、肺組織内に進められた
図25の生検カニューレを示し、生検カニューレの遠位端は腫瘍内に配置されている。
【0042】
図27は、生検カニューレの後退により腫瘍から組織サンプルを除去した後の
図26の肺組織を示す。
【0043】
図28は、前の生検プロセスから肺組織に残された空隙(ボイド)の上方に配置された、
図16のアプリケータのカニューレの遠位端を示す。
【0044】
図29は、生検試料の除去によって残された空隙内に配置された装填されたアプリケータのカニューレの遠位部分を示し、複合ゲルマーカーの実施形態の第1の端部は腫瘍内の空隙内に配置され、複合ゲルマーカーの第2の端部は肺の外面に隣接して配置されている。
【0045】
図30は、アプリケータの位置決めロッドが複合ゲルマーカーの第2の端部を押圧して、カニューレの後退中に周囲組織に対する複合マーカーの軸方向位置を維持する間の、アプリケータのカニューレの近位への後退を示す。
【0046】
図31は、生検サンプルの除去によって残された組織チャネル内に配置された複合ゲルマーカーを示す。
【0047】
図32は、マーカーの上に配置されたトランスデューサのトランスデューサウィンドウと、トランスデューサウィンドウと複合ゲルマーカーとの間に配置され、それらと接触している液体で満たされた膨張可能なレンズとを有する超音波システムによって撮像されている複合ゲルマーカーを示す。
【0048】
図33は、
図32の膨張した複合ゲルマーカーの超音波画像の視覚画像ディスプレイの実施形態を示す表示画面を示す。
【0049】
図34は、腫瘍組織及び複合ゲルマーカーが外科的切除によって除去された、
図32の肺組織を示す。
【0050】
図35は、患者の乳房組織の腫瘍内に配置された装填されたアプリケータのカニューレの遠位部分の立面図を示し、複合ゲルマーカーの第1の端部は空隙の底部に配置され、複合ゲルマーカーの第2の端部は腫瘍の外側境界に隣接して配置されている。
【0051】
図36は、カニューレの後退の間、組織に対して実質的に静止したままであるアプリケータの位置決めロッドを複合ゲルマーカーの第2の端部に対して遠位に押し付けて複合ゲルマーカーの軸方向位置を維持しつつ、近位に後退するアプリケータのカニューレの遠位端を示す。
【0052】
図37は、腫瘍の中心から生検試料を除去することによって残された組織チャネル内に配置された複合ゲルマーカーを示す。
【0053】
図38は、腫瘍の周辺をマーキングするために、
図35~37の方法によって展開され、乳房組織に位置する腫瘍の両端に配置された2つの複合ゲルマーカーを示す。
【0054】
図面は特定の例示的な実施形態を示すことを意図しており、限定するものではない。説明を明確かつ容易にするために、図面は一定の縮尺で作られておらず、場合によっては、特定の実施形態の理解を容易にするために、様々な態様が誇張または拡大されて示されていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0055】
上述したように、患者の身体内の特徴を識別し、位置決めし、マーキングする能力は、多くの有用な適応例を有する。後の時点で撮像され得るマーカーを用いて患者の身体内の特定の領域を識別することは、そのマーキングされた領域の経時的な観察、腫瘍または他のタイプの組織病変または異常の位置特定、後続の研究、除去、またはアブレーション(又は、切除)もしくはアジュバント療法などの他のタイプの治療、ならびに他の目的を含む、様々な目的に有用であり得る。特定の臨床状況では問題の組織病変が第1のイメージングモダリティを使用して最も効率的に画像化され、マーキングされるが、組織病変の外科的除去が第2のイメージングモダリティを使用して最良に達成される場合に、困難が生じ得る。そのような場合、位置的及び展開後のある時間にわたって安定であり、少なくとも2つの別個のイメージングモダリティによって撮像することができるマーカーの実施形態が有用であり得る。
【0056】
例えば、X線透視法、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング、またはMRIの下で、放射線専門医などの専門家によって、組織病変を撮像し、マーキングすることが好ましい場合がある。したがって、例えば、X線透視下で放射線科医によって展開(又は、配備)される組織病変の位置を識別するために使用されるマーカーはそのマーカーの展開を容易にするために、対応するX線透視下での撮像に適していなければならない。放射線科医によるその展開に続いて、可能性としては組織病変の外科的除去または他のタイプの治療中に、後続の治療手順を容易にするために、異なるタイプの画像化が使用されてもよい。例えば、外科医の眼によるマーカーの直接観察を伴う視覚イメージング及び/またはカラーフロードップラー超音波イメージングを含む超音波イメージングを、このような外科手術中に使用することができる。マーカーを直接観察する場合、マーカーの実施形態は、視覚的イメージングのために周囲の組織と視覚的に区別(又は、識別)されなければならない。超音波イメージングの場合、マーカーは、周囲の組織から反射された超音波信号とは異なる超音波信号を反射しなければならない。さらに、場合によっては、第2、第3、または第4のタイプの画像化を使用して、患者から外科的に除去した後、または任意の他の適切な指標のために切除組織を評価することが有用であり得る。このタイプのマルチモードイメージング及び対応する診断及び治療手順の一例として、
図1に示すフローチャート10を参照されたい。このような場合、マーカーまたはその部分は切除された組織内に配置され得、そして再び、処置後分析の間、切除された組織内の腫瘍または他の異常な組織の位置決定を容易にする。さらに、いくつかのマーカーが病変部位に残っている場合、これらは、補助療法(又は、アジュバント療法)などのための基準として使用され得る。
【0057】
図2は、4つの異なるモダリティを含む複数のイメージングモダリティによって撮像されている患者の身体組織の概略図である。特に、患者の身体12及びマーカー13(本明細書で論じられるマーカーの実施形態のいずれかを含み得る)は、観察者の眼14を通しての直接観察によって視覚的に撮像されている。そのような視覚的観察はまた、手術中に、または病理学において、または任意の他の適切な使用において使用され得る、ロボット手術デバイスまたは顕微鏡検査によって使用され得るようなカメライメージング(又は、画像化、撮像)を含み得る。特定のオーディオイメージングは、状況によっては有用である場合もある。
図2に示される患者の身体12及びマーカー13はまた、超音波プローブ16及びモニター18を使用する超音波、cアーム型ユニット20を使用する蛍光透視法、及びMRI(破線の輪郭はMRI装置の磁石22を示し、明確にするためにMRI装置の残りの部分は図示されていない)で画像化されている。患者12及びマーカー13は
図2では4つの異なるイメージングモダリティによって同時に撮像されているように示されているが、これらのイメージングモダリティのいずれかまたはそれぞれは異なる時間及び異なる位置で実行されてもよい。さらに、患者12及びマーカー13は任意の他の適切なイメージングモダリティによって、同時に、または異なる時間に、さらに画像化され得る。
【0058】
別段の指示がない限り、本明細書におけるマーカー13を画像化し、又は、画像化されという用語の使用は、マーカーの周囲又は隣接する組織(又は他の材料)の戻り信号と識別できる(又は、異なる)マーカーの実施形態からの戻り信号の認識を指す。例えば、マーカーの実施形態13の直接視覚イメージングは、マーカーの実施形態13と周囲組織との間の色の差(例えば)に起因して、周囲組織に対してマーカーの実施形態13を見る観察者の能力を含み得る。超音波で撮像されたマーカーの実施形態13は、このようなマーカーの実施形態13の周囲又は隣接する組織によって反射された超音波信号に対して強度、波長、位相などが異なる超音波信号を反射することができる。加えて、多くの場合、イメージングは、典型的には蛍光透視法、超音波及び磁気共鳴画像化(MRI)の場合のように、実質的にはオペレータが見るためのディスプレイスクリーン上への画像投影を含む必要がない。マーカーの実施形態13の撮像は三角測量などの方法によって三次元空間内のマーカーの実施形態の位置を指定するために、複数の原点から投影され得る、マーカーの実施形態13による何らかのタイプのエネルギー信号の反射又は戻りを含むことができる。そのような技法は、エネルギー信号の複数の原点の位置に対するマーカーの実施形態13の位置情報を提供することができる。オーディオイメージングに関して、可聴音は、マーカーに対するプローブの近接度及び/又はマーカー13に対するプローブの適切な方向性の関数として、ピッチ、強度、周波数などを増加させるように構成されてもよい。
【0059】
特定の適用例については、特定のタイプのイメージングモダリティを使用することが望ましい場合がある。多くの場合、直接視覚観察及び超音波撮像などのイメージングモダリティは、患者又は担当臨床医を高エネルギー電磁放射線にさらさず、使用するのに便利で比較的安価であるため、他のイメージングモダリティよりも望ましい場合がある。
図3~9は、適切な数のそのような染色されたシリカ球体が裸眼で視覚化されることを可能にし、ならびに超音波シグネチャ(又は、サイン)を増強するシリカシェル24の中空の性質ならびに他の特性に起因する強力な超音波イメージングシグネチャを提供する、そのような小さいシリカシェル構造への染料の添加を含む、シリカシェル24の構造を図示する。
【0060】
マルチモードイメージングのためのシリカシェル24のいくつかの実施形態は、シリカから形成される第1の内側層28と、第1の内側層28の外側表面32上に配置され、周囲の組織とは異なるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料29を含む、シリカから形成される第2の層30とを有するシェル本体26を含むことができる。シリカシェル24はまた、第1の内側層の内側表面内に配置された中空ボイド34を含む。いくつかの実施形態では、シリカシェル24はまた、第2の層30の外面38上に配置された疎水性ポリマーコーティング36を含んでもよい。適切なイメージング材料29の実施形態は、直接視覚観察、超音波撮像、蛍光透視法、MRIなどを含む様々な対応するイメージングモダリティのためのはっきり判る戻り信号を具体的に生成するのに適した様々な材料を含むことができる。
【0061】
いくつかの場合に球形構成を有し得るこれらの小シリカシェルの実施形態24は、直接視覚観察、超音波イメージング、又はこれらのモダリティの両方を利用するマルチモードイメージング適用例に有用であり得る。幾つかの複合ゲルマーカーの実施形態40(以下に説明する)は、ドップラー超音波イメージングで明瞭な信号を有する中空シリカシェル24を含むことができる。いくつかの場合において、このようなシリカシェル24を注入された腫瘍は、従来のワイヤ位置特定(又は、有線位置特定)と比較して、有意に少ないマーカー移動で切除されている。いくつかのこのようなシリカシェルの実施形態24は、術中設定において、カラードップラー超音波イメージング及びBモード超音波イメージングを用いて、術中に識別されてもよい。
【0062】
Bモード超音波イメージングの下では、本明細書で論じるいくつかの複合ゲルマーカーの実施形態が他の市販の超音波マーカーと類似に見えることがある。しかしながら、場合によってはドップラーモード下では中空シリカシェル24を含み、本明細書で論じられる複合ゲルマーカーの実施形態のいくつかはロバストで高度に着色された信号を生成することができる。標準Bモード超音波下で可視であり、本明細書で論じられる複合ゲルマーカーの実施形態40は、以前に利用可能であったイメージングマーカーのイメージングシグネチャ又は反射信号に類似するイメージングシグネチャと共に現れ得るが、中空シリカシェルの実施形態24などを含むこれらの同じ複合ゲルマーカー40は、ドップラー超音波下で色彩豊かな信号を放出することもでき、任意の標準超音波機械による迅速な識別を可能にする。さらに、本明細書で論じるいくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40は、超音波で撮像することができる任意の深さで可視であり得る。本明細書で論じられるいくつかのゲルマーカーの実施形態40はまた、周囲の肺組織と外観が相違し得る青灰色のマークとして肺の表面上に現れる場合があり、そのような複合ゲルマーカー40の位置特定を更に容易化する。
【0063】
マルチモード画像形成のためのシリカシェルを製造する方法のいくつかの実施形態は、テンプレート42上にシリカから第1の内側層28を形成するステップと、焼成によってテンプレート42を除去するステップと、イメージング材料29と混合されたシリカの第2の層30を第1の層28の外面32上に塗布(又は、形成)するステップとを含むことができる。このような方法の実施形態は、疎水性ポリマーコーティング36を第2の層30の外面38上に塗布することをさらに含むことができる。
図3は、シリカシェルの実施形態24を形成するためのテンプレート42の役割をすることができるポリスチレンビーズを示す。場合によってはポリスチレンビーズ42が球形の構成及び約1.8ミクロン~約2.2ミクロンの直径を有することができ、これは場合によっては約1.8ミクロン~約2.2ミクロンの外径であり得る外側横方向寸法を有するシリカシェル24を生成することができる。しかしながら、場合によっては、異なる形状及び他のサイズを有する実施形態が適切であり得る。例えば、約50nm、100nm、200nm、350nmの直径、ならびにより大きなサイズを含む他のサイズを有するこのようなシリカシェル24は、周囲の組織からはっきり識別できる強い反射性及び別個の超音波シグネチャ及び戻り信号を生成し、本明細書中で議論される複合ゲルマーカーの実施形態40を含む、マーカーの実施形態のいずれかのために使用され得ることが示されている。超音波イメージングに有用であり、複合ゲルマーカー40などに使用されるこのようなシリカシェルの実施形態24のいくつかは、約50nm~約20ミクロン、より具体的には約100nm~約2.2ミクロン、さらにより具体的には約200nm~約1.8ミクロンの外側横方向寸法又は直径を有し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリスチレンビーズ42は、Polyscience Co. Part No. 19814-15によって作製することができる。一般に、
図10のフローチャート44に示す中空シリカシェル24を製造する方法は、複数のポリスチレンテンプレートビーズ42を95%エタノールのような混合溶媒と混合し、テトラメトキシシラン(TMOS)を溶媒に添加し、成分を高剪断下で長時間、例えば場合によっては約4~6時間混合して、
図5に示すようなポリスチレンテンプレート42に付着したシリカ粒子を製造することを含むことができる。
【0065】
次に、焼成プロセスを約530℃~約570℃の温度で約5時間行い、シリカシェル24の中心からポリスチレンテンプレート42を除去して、
図6に示すような中空シリカ球体を形成する。この段階で第1の層28のみを含むこれらの新たに形成された中空シリカシェルは、次いで、第1の内側層28として取り扱われ、中空シリカシェル28を、より多くのTMOS、混合溶媒、及び視覚的染料、より具体的にはメチレンブルーなどの視覚的観察のためのイメージング材料29と組み合わせる(混合する)ことによって2回目に処理され、容器に入れられ、高剪断条件下で再び混合されて、シリカ粒子の第2の層30を既存のシリカシェル28の第1の内側層にシリカ粒子の第2の層30を被覆するか、さもなければ追加することができ、第2の層30にメチレンブルーを含むイメージング材料29が注入される。場合によっては、第2の混合プロセスの間に、メチレンブルーはまた、
図7に示されるように、シリカ粒子の第1の又は内側層28の隙間に注入されてプレディケートの(又は、含意する/predicate)シリカシェルを形成し得る。場合によっては、メチレンブルーが第1の層28の内部空隙34からテンプレート42を除去するために使用される焼成プロセスの温度に容易に耐えることができないので、第2の層被覆プロセス中にメチレンブルーが添加される。
【0066】
次に、染色されたシリカシェル24を乾燥させて、残りの混合溶媒を追い出すことができる。乾燥したシリカシェル24はここでは多層で中空であり、シェル材料、又はその一部はメチレンブルーで注入され、それにより、外科的処置の間に典型的に遭遇する組織の色と同様の色を有する材料に対して配置された場合に、肉眼で見える明確な青色をそれらに与える。その後、シリカシェル24は各シリカシェル24内の中空キャビティ34を密封し、体液などの流体の進入を防止するために、任意的な疎水性ポリマーコーティング36又は任意の他の適切なコーティングでコーティングされてもよい。インビボ環境で展開されたときにシリカシェル24の中空特性を維持するために使用され得る他の適切なコーティング又は構成は、射出成形又は押出プロセスにそのような中空シリカシェル24を配合することに加えて、塗装、粉末コーティング、分散コーティングを含み得る。コーティングされたシリカシェル24のこのような実施形態は、
図8及び
図9に示されている。場合によっては、シリカシェル24がエタノールなどの溶媒に溶解されたオクチルトリエトキシシランなどのポリマーを使用してコーティングされてもよい。
【0067】
したがって、この構成のシリカシェル24は、人間のオペレータの裸眼(又はロボット装置のビジュアル撮像システム)によって認識することができる別個の視覚信号を提供することによって、ならびにカラードップラー撮像を含む超音波撮像のための強力な超音波イメージングシグネチャを提供することによって、マルチモードイメージングマーカーとして働くことができる。
図11はシリカシェル24を作製するための同様の手順を概説し、特定のプロセス実施形態の特定のパラメータに関するより詳細を含むフローチャート46を示す。場合によっては、シリカシェル24の第1の層28、第2の層30、又は両方の層、それらのそれぞれの内部容積34、又はそれらの外面32、38に、他のイメージング材料29をさらに含むか、又は置き換えることが可能であり得る。例えば、放射線不透過性材料などのイメージング材料29を、このようなシリカシェル24の第1の層28又は第2の層30に含めて、蛍光透視法などの下で画像形成シグネチャを提供することができる。本明細書で論じるMRIイメージング材料のいずれかなどのMRIイメージング材料29を、そのようなシリカシェル24の第1の層28又は第2の層30に含めて、MRIイメージング下でのMRI画像シグネチャを提供することもできる。本明細書で説明されるシリカシェルの実施形態24は一般にシリカから作製されるものとして説明されるが、本明細書で説明されるのと同じ機能性及び使用は主としてシリカから作製されず、球形からは変形しているが中空構成を保持する同様の構造で達成されてもよいことにも留意されたい。
【0068】
場合によっては、シリカシェル24を製造するための上記のプロセスのために、特に場合によってはシェルのカラードップラー超音波イメージング品質に関して、シリカシェル24の完全性及びイメージング品質を保証するために、各シリカシェル24の外面38上にある量の任意的な疎水性コーティングを保持することが望ましいことがある。したがって、場合によっては、任意選択の疎水性コーティング36が塗布された後に疎水性コーティング36を溶解する可能性がある溶媒中でのシリカシェル24のすすぎ(リンス)を回避することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、完成し乾燥したシリカシェル24がシリカシェル24の第2の層30の外面38上に配置されたシリカシェル24の総重量の約0.1重量%~約5.0重量%である任意的な疎水性ポリマーコーティング36を有することが望ましい場合がある。いくつかの他の場合において、任意的な疎水性コーティング36は、カラードップラー超音波イメージングを含むシリカシェル24の完全なイメージング品質(完全性やイメージング品質)を維持するために必要でない場合がある。このような場合には、シリカシェル24の内部容積への液体の進入を防止することによって、シリカシェル24の中空特性を維持することが望ましいだけである。場合によっては、外側疎水性ポリマーコーティング36が上述のようにオクチルトリエトキシシランなどから作製されてもよい。
【0069】
約1.8ミクロン~約2.2ミクロン、より具体的には約2ミクロンの外径を有するシリカシェルを含むいくつかの例示的な中空シリカシェルの実施形態24は、(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(DETA)約18マイクロリットル(±1mg)を100%エタノールアルコール約40ml(±2%)と混合することによって製造し得る。約2ミクロンの外径を有する約60mlのポリスチレンテンプレートビーズ42及び約400g(±1%)の95%エタノールアルコールもまた、1リットルの脱発熱FEP(発熱物質が除去されたFEP)容器中のDETA/アルコール混合物に添加され、そして約3,500rpmで約1時間撹拌され得る。一般に、以下の手順のために使用される全ての容器は処理される成分の純度を維持するために脱発熱(発熱物質が除去/depyrogenated)され、そして以下の手順の多く又は全ては制御された環境領域において実施される。その後、約3.3ml(3.4534g±2%)のテトラメトキシシラン(TMOS)をアルコール、DETA及びポリスチレンテンプレートビーズ42の混合物に添加し、撹拌をさらに約4時間続けて、ポリスチレンテンプレートビーズ42の外表面上にシリカの第1の内側層28を被覆することができる。
【0070】
攪拌されたTMOS材料はその後、滅菌試験管に移され、約3,000rpmで約30分間遠心分離され、その後、遠心分離されたTMOS混合物からの流体は滅菌シリンジなどで除去され、その後、廃棄されてもよい。次いで、試験管中に残存する粒子を、各試験管中で約50mlの95%エタノールアルコールですすぎ(リンス)を行い、再び約3,000rpmで約30分間遠心分離することができる。次いで、このすすぎ工程を2回繰り返すことができる。場合によっては、粒子を固化させ、各すすぎサイクル後に使用される試験管の数を減らすために、粒子を1つの試験管から別の試験管に移すことも望ましいことがある。
【0071】
次いで、粒子を1つ以上のるつぼ、例えば2つの20ml~30mlのるつぼに移し、層流フードなどの下で一晩空気乾燥させることができる。次いで、粒子を含むるつぼをオーブンに移し、オーブン内の温度を約2℃/分で約550℃の温度まで上昇させることができる。その後、粒子構造を焼成し、ポリスチレンテンプレートビーズ42を粒子の内部キャビティ34から除去して中空シリカシェル構造28を残すために、るつぼ内の粒子を約550℃の温度に約5時間維持することができる。その後、シリカシェル28を冷却し、次いで、脱発熱スチールスパチュラ等を用いて互いに分離することができる。
【0072】
焼成された中空シリカシェル28に被覆される材料30の第2の層のために、約6gのメチレンブルー29を約6,000rpmで約1時間、約500ml(400g±1%)の95%エタノールと混合し、次いで濾過することができる。次いで、このメチレンブルー混合物を50mlの試験管に移し、約3,000rpmで約10分間遠心分離することができる。再び、約18マイクロリットルのDETAを、50ml試験管中で約40ml(31.3g±2%)の95%エタノールアルコールと混合し、これをFEP容器中で前の工程のアルコール及びメチレンブルー混合物に添加することができる。焼成された中空シリカシェル28はまた、このアルコール、DETA及びメチレンブルー混合物に添加され、次いで、混合物全体は、約3,500rpmで約1時間撹拌され得る。約1時間で、約3.3ml(3.4534g±2%)のTMOSを添加し、撹拌をさらに約3.5時間続けて、最初に製造されたシリカシェル28上に染色及びシェル塗布をすることができる。
【0073】
再び、この物質を50mlの試験管に移し、約3,000rpmで約30分間遠心分離し、その後、遠心分離したTMOS及びメチレンブルー混合物からの流体を滅菌シリンジで除去し、次いで廃棄することができる。次に、試験管内に残っているシリカシェル24を、約20ml~約30mlの95%エタノールアルコールでリンスし、再び約3,000rpmで約30分間遠心分離することができる。次いで、このすすぎ工程をさらに2回繰り返して、シリカシェル24を固化させるための各すすぎ後の試験管の数を減らし、上述のように試験管の数を減らすことができる。次に、シェルを1つ以上のるつぼに移し、層流フード等の下で一晩空気乾燥させることができる。
【0074】
次に、約100マイクロリットル(90mg ±2%)のオクチルトリエトキシシランを、約10ml(7.6957g±2%)の100%エタノールアルコールとボルテックスミキサー中で約30秒間混合することによって、疎水性外層溶液を調製することができる。次いで、2層中空シリカシェル24をこの混合物に添加し、スパチュラ等で混合して、均一な懸濁液を生成することができる。シリカシェル24をこの混合物に浸漬し、疎水性外層36をシリカシェル24に適用するために一晩乾燥させてもよい。次いで、シリカシェル24を50mlの試験管に移し、95%エタノールアルコール中で1回すすぎし、約3,000rpmで約30分間遠心分離し、その後、流体を廃棄することができる。このすすぎ、遠心分離、及び液体すすぎのステップの廃棄は、さらに2回繰り返されてもよい。三度すすぎをした2層中空シリカシェル24を1つ以上のるつぼに移し、層流フードなどの下で一晩空気乾燥させることができる。
【0075】
次いで、乾燥したシリカシェル24を再び95%エタノールアルコールですすぎ、再び遠心分離し、再び一晩乾燥させてもよい。次いで、るつぼ及びその中に配置されたシリカシェルを、安定なオーブン中で約60℃で約2時間加熱することができる。得られた2層中空シリカシェル24はシリカシェル24の製造プロセス及び品質を検証するために、測定及び観察することができる。場合によってはこのようなプロセスに使用されるポリスチレンテンプレートビーズ42がPolysciences Companyによって製造される製品番号19814~15を含むことができ、DETAはGelest Companyによって製造される製品番号SIT8398.0を含むことができ、TMOSはSpectrum Companyによって製造される製品番号T2033を含むことができ、オクチルトリエトキシシランはSpectrum Companyによって製造される製品番号01472を含むことができ、メチレンブルーはAlfa Aesar Companyによって製造される製品番号J60823を含むことができる。
【0076】
場合によっては、上述の被覆プロセスによって製造された2層中空シリカシェル24がシリカシェル24の試験、複合ゲルマーカー40の試験、又は患者の身体12に関連する部位をマーキングする際の臨床使用に使用するために、
図12~15に一般的に示されるように、複合ゲルマーカー40にさらに加工されてもよい。場合によっては、機能性試験試料が上記のプロセスによって製造された中空シリカシェル24を、キトサン、より具体的には加工キトサン(又は、処理済キトサン)70/2000などのゲル材料48と組み合わせることによって製造することができる。このようなサンプルの場合、約1mlのキトサン48への約2mgの中空シリカ2層シェル24の混合物を、約2.3mm~約2.5mmの内腔直径を有するいくつかのシリコーン管50に注入することができる。次いで、チューブ50を凍結させ、次いで、約100mlの蒸留水と混合した約25mlの水酸化ナトリウムを含む水酸化ナトリウム溶液で凍結乾燥させることができる。次いで、このような凍結乾燥ゲルマーカーの実施形態40は、シリコーンチューブ50から取り出され、試験、臨床使用、又は任意的な他の適切な目的のために使用され得る。場合によっては、このようなゲルマーカーの実施形態40は急速に水和することができ、場合によっては24時間以内に水性環境内に配置された場合に完全な水和を達成することができる。このようなゲルマーカーの実施形態40は、正確かつ時宜を得た展開のために十分な干渉を伴って20ゲージのシリンジアプリケータデバイスに嵌合するようにサイズ決定及び構成され得る。このようなゲルマーカーの実施形態40はまた、組織内での移動が最小である外部の急性可視肺組織マーカーとして機能し、注射後の24時間又はそれ以上カラードップラー超音波イメージングシステムを使用して可視であり、約2週間以上超音波可視性を維持するように構成されてもよい。
【0077】
シリカナノスフェア(ナノ球)及びシリカマイクロスフェア(マイクロ球)を含み得るシリカシェルの種々の実施形態が、本明細書中で議論される。様々なナノスフェア及びミクロスフェアの実施形態の製造及び特性に関するさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2008年8月13日に出願されて2009年2月19日に公開された「中空シリカナノスフィア及びその製造方法」という名称のThe Regents of University of CaliforniaによるPCT公開番号WO2009/023697、及び2013年9月29日に出願されて2014年4月3日に公開された「超音波イメージング/治療のための分解可能なシリカナノシェル」という名称のThe Regents of University of CaliforniaによるPCT公開番号WO2014/052911、及び、2016年3月21日に出願されて2016年9月22日に出願された「シリカナノ構造、その大規模製造方法及び用途」という名称のThe Regents of University of Californiaによる国際公開番号WO2016/149711に開示されている。
【0078】
上述したこれらのシリカシェルの実施形態24が作製されると、それらは、マルチモードイメージングマーカー13として機能し、様々な条件及び様々な構成で撮像するために使用することができる。本明細書中で議論されるシリカシェルの実施形態24はそれ自体、内部身体プロセスの観察及び/又は測定、ならびに患者の身体12内の特定の組織又は流体のタイプの分布を含む、広範な種々の適用例に有用であり得る。例えば、カラーフロードップラー超音波で撮像することができるシリカシェル24は、組織内への直接の展開、血流、リンパ系への全身注入など、又は任意的な他の適切な方法によって、患者の身体12内に導入されてもよい。次いで、2層シリカシェル24の分散は例えば、カラーフロードップラー撮像によって観察することができる。場合によっては、カラードップラー画像化によって生成された画像データのピクセルカウント(計数)分析を実行することによって、患者の身体12内の組織又は流体の体積内のシリカシェルの実施形態24の濃度を測定することが可能であり得ることが発見された。このように、一旦、このようなシリカシェル24が患者の身体12に導入されると、患者の身体12内の所望の位置は、カラーフロードップラー超音波を使用して画像化され得る。次いで、カラードップラー超音波プロセスによって収集された画像データに対してピクセルカウント分析を実行し、画像化された組織又は流体の所与の体積についてシリカシェル24の濃度レベルを決定することができる。このような方法は患者の組織内の腫瘍を画像化し、腫瘍によって吸収されたシリカシェル24の濃度を測定し、ならびに腫瘍又は他のタイプの組織病変の位置を特定するために使用され得る。
【0079】
患者の身体12内の撮像目的のための自立型(又は、独立型/個別型/freestanding)シリカシェル24の使用についての前述の議論にもかかわらず、シリカシェルの実施形態24が安定した位置を維持し、患者の関心のある組織内に展開した後に所望の機能性及び寿命(持続性)を提供するために、所望の数のシリカシェルの実施形態24を複合ゲルマーカー40内に封入することが望ましい場合がある。上述のように、このような複合ゲルマーカー40は、ゲル材料48、ゲル材料48によって結合された所望の濃度のシリカシェル24、ならびにゲル材料48によって結合され得る任意的な他の成分を含み得る。例えば、
図12及び
図13に示すように、X線不透過性(又は、放射線不透過性)イメージング材料29又は別個のX線不透過性(又は、放射線不透過性)マーカー52を複合ゲルマーカー40に含めて、X線透視法、CT等のようなX線に基づくイメージング方法によるイメージングを容易にすることができる。このような放射線不透過性イメージング材料29及びマーカー52の例としては、金、白金、タンタル、ビスマス、バリウムなどが挙げられる。いくつかの場合において、硫酸バリウムの使用は放射線不透過性のために意図され、ここで、少量の硫酸バリウムはCT、蛍光透視法などによる画像化のために有用であり得る。いくつかの例では、ゲル材料48重量に対して少なくとも約1%の硫酸バリウムの比率でゼラチン材料48と混合された硫酸バリウムがマンモグラフィーによって画像形成可能であることが見出されている。このような実施形態では、約2ミクロン~約5ミクロンの粒径を有する硫酸バリウム粉末が有用であり得る。ガドリニウムDTPA、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄などの化合物を含むガドリニウムなどの、MRI使用に適したイメージング材料を、MRIイメージングモダリティを容易にするために、複合ゲルマーカーの実施形態40に含めることができる。
【0080】
超音波イメージングのためのマルチモード複合ゲルマーカー40のいくつかの実施形態は複数のシリカシェル24を含むことができ、各シリカシェル24は
図6のシリカシェルの実施形態24に示すように、シリカから形成された層28と、シリカ層28の内側表面35内に配置された中空ボイド34とを有するシェル本体26を含む。複合ゲルマーカー40はまた、周囲の組織とは異なるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料29と、膨張可能な複合ゲルマーカー本体54を形成するように複数のシリカシェル24及びイメージング材料29の周りに配置された吸湿性ゲル材料48とを含んでもよい。このようなマルチモード複合ゲルマーカー40のいくつかの実施形態では、複数のシリカシェル24がシリカから形成される第1の内側層28と、第1の内側層28の外面32上に配置され、
図7に示されるシリカシェルの実施形態24のような周囲の組織とは異なるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料29を含む、シリカから形成される第2の層30とを有するシェル本体26を含むことができる。シリカシェル24はまた、第1の内側層28の内側表面35内に配置された中空ボイド34を含む。いくつかの場合において、疎水性ポリマーコーティング36は
図8に示されるように、複数のシリカシェル24の第2の層30の外側表面38上に配置され得る。
【0081】
メチレンブルーなどの染料を含む視覚的にはっきり認識できるイメージング材料29もまた、このような複合ゲルマーカー本体54を、このようなゲルマーカーの実施形態40の直接的な視覚的観察を容易にするために配置された後に周囲の組織と視覚的に識別できるようにするために、複合ゲルマーカー40のゲル材料48に含まれ得る。様々な複合ゲルマーカーの実施形態40の所望のマルチモードイメージングマーカー特性を達成するために、本明細書で論じるシリカシェルの実施形態24のシェル構造又はこのようなシリカシェル24を含む複合ゲルマーカーの実施形態40のゲル材料48に、イメージングの増強のためのイメージング材料29の任意的な適切な又は望ましい組み合わせを含めることができる。例えば、放射線不透過性材料、MRI材料などのイメージング材料29のいずれか、染料などの視覚的に識別可能な材料をシリカシェルの実施形態24の構造に含めるか、又はシリカシェル構造24とは別個に複合ゲルマーカーの実施形態40のゲル材料48内に封入するか、又は別の方法でゲル材料48に固定するかのいずれかで含めることができる。異なるタイプのシリカシェル24もまた、特定の複合ゲルマーカーの実施形態40に含まれ得る。例えば、いくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40は寿命、機能、時間放出機能、又は任意的な他の所望の機能における所望の変動を提供するために、様々な直径、壁厚、コーティング厚、画像化機能などのシリカシェル24を含み得る。さらに、いくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40は、異なる画像形成材料を有する様々なシリカシェルを含むことができる。例えば、単一の複合ゲルマーカーの幾つかの実施形態は、外側層30に放射線不透過性イメージング材料29を有する複数のシリカシェル24、外側層30にMRIイメージング材料29を有する追加のシリカシェル、及び外側層30にメチレンブルーのような染料のような視覚的に識別可能なイメージング材料29を有する更に別の追加のシリカシェル24を含むことができる。したがって、異なるイメージング材料29を有するシリカシェル24の各タイプは、同じ複合ゲルマーカーの実施形態40内で異なる画像形成機能を果たすことができる。このようなマルチモード複合ゲルマーカー40の複合ゲルマーカー本体54のいくつかの実施形態は、ゲル材料48の体積に対するシリカシェルの実施形態24の約0.1mg/ml~約8.0mg/mlの比を含み得る。
【0082】
図12は、複数のシリカシェル24が一緒に結合され、シリコーンチューブ50の内側円筒形キャビティに成形されたゲル材料48によって単一のガンマ形状の放射線不透過性リボンマーカー52とともにゲル材料48によって封入される成形プロセスを示す。得られたマルチモード複合ゲルマーカー40は次いで、内側円筒形空洞から押し出され、複合ゲルマーカー本体54を圧縮することによってさらに処理されて、体積及び外径(外側プロファイル/外側輪郭)を減少させ、その結果、複合ゲルマーカー40は次いで、
図16~24に示されるアプリケータのようなアプリケータのカニューレの内側管腔の遠位部分に装填され得る。複合ゲルマーカーの実施形態40はまた、シリコーンチューブ50の内腔内に配置されたまま、凍結乾燥された後に圧縮され、場合によっては脱気されてもよい。一般に、いくつかのそのような複合ゲルマーカーの実施形態40は、約2mm~約40mmの非膨張乾燥長さ、及び約0.5mm~約2mmの非膨張乾燥横断方向外側寸法を有し得る。いくつかの場合において、このような複合ゲルマーカー40は、インビボ移植環境における生体適合性、持続時間又は寿命、水性流体に曝された場合の膨張比、水性流体に曝された場合の膨張率などに特有の(又は、特異的な)特性を有するゲル材料48を含み得る。
【0083】
いくつかの場合において、多モード複合ゲルマーカー40は
図15に示されるフローチャート55のプロセス工程に従って一般的に構築されることができ、ここで、乾燥ゲル材料48は蒸留水及び本明細書中で議論される任意の適切なシリカシェルの実施形態24と組み合わされる。いくつかの実施形態ではゲル材料48、シリカシェル24、及び蒸留水の重量による組成は約88%のゲル材料48、約3%のシリカシェル24、及び約10%未満の水であってもよい。次に、ゲル-水-シリカシェル混合物を、
図12に示す管状シリコーンモールド50のような軟質弾性材料から作られた管状モールドの内側円筒キャビティ内に吐出(射出)することができる。リボン放射線不透過性マーカーの実施形態52もまた、空洞内に分配される混合物に含まれてもよい。次いで、モールドされた複合ゲルマーカー40を凍結させ、続いて凍結乾燥させることができる。
【0084】
凍結乾燥されると、
図24Aに示されるように複合ゲルマーカー40がアプリケータのカニューレの遠位部分の内側管腔内に適合するように、空気を除去し、そして横断寸法及び面積を減少させるために、複合ゲルマーカー40はシリコーンチューブ50の円筒形空洞から押し出され、そして圧縮され得る。いくつかの実施形態では、凍結乾燥複合ゲルマーカー40は、2つのシリコーンシート表面(図示せず)の間でそれらを転がすことによって圧縮されて、エアポケットを除去し、輪郭を縮小し得る。いくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40では、ゲル材料48、特に、キトサンゲル、ブタゲル、コラーゲン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、適切な多糖類、適切なヒドロゲルなどの親水性ゲル材料48を使用することができる。また、場合によっては、患者の身体12内での複合ゲルマーカー40の物理的完全性の持続時間や膨張時間、ならびに他の属性を調整するために、複合ゲルマーカー40のゲル材料48の配合を調整することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、放射線不透過性リボンマーカー52は金、白金、タンタルなどの金属の放射線不透過性材料の細長い要素から作製されてもよい。
【0085】
場合によっては、ゼラチン材料48は、最終的な材料の所望の特性を達成するために、様々な配合物を使用して製造することができる。例えば、得られるゼラチン材料特性を特定の指示又は使用に合わせるために、ゼラチン材料48(例えば、Gelita Madella Pro 100)が種々の比率で蒸留水と混合され得る。このようなゼラチン材料48は、約4gのゼラチン材料対約100mlの蒸留水、約4.5gのゼラチン材料対約100mlの蒸留水、又は5.0gのゼラチン材料対約100mlの蒸留水のような比率で混合され得る。次に、これらの様々な比率で混合されたゼラチン製剤を、長さ約3cm、内側管腔の横方向内側寸法約2mm、約2.4mm、又は任意的な他の適切な内側横方向寸法を有するシリコーンチューブ50の内側管腔に吐出することができる。内部管腔への注入後、ゼラチン材料48の周りに配置されたゼラチン材48及びシリコーンチューブ50は、次いで凍結され得る。その後、シリコーンチューブ50の内側に配置されたゼラチン材料48を凍結乾燥することができる。凍結乾燥後、ゼラチン材料48から空気を除去し、ゼラチン材料48の全体積を減少させるために、ゼラチン材料48を加圧下で圧延(又は、ローリング/転動)することができる。
【0086】
これらのプロセスに供されるゼラチン材料48については、2mmシリコーン管に成形されたゼラチンの外側横方向寸法が約0.025インチ~約0.031インチ、より具体的には約0.026インチ~約0.030インチ、さらにより具体的には約0.027インチ~約0.028インチであってもよい。これらの圧延ゼラチンパッドはまた、約7mg~約7.8mgの乾燥重量を有してもよく、場合によっては、約22mm~約24mmの軸方向長さを有してもよい。このようなゼラチンパッドを水に浸すと、ゼラチンパッドは、場合によっては約23mm~約25mmの軸方向長さで、約1.5mmの外側横方向寸法まで膨張し得る。これらのプロセスが行われたゼラチン材料については、2.4mmシリコーン管内で成形されたゼラチンの外側横方向寸法が凍結乾燥され、続いて圧縮された後、約0.026インチ~約0.034インチ、より具体的には約0.029インチ~約0.033インチ、さらにより具体的には約0.031インチ~約0.032インチであってもよい。これらの圧延ゼラチンパッドは、約6.2mg~約8mgの乾燥重量を有することができる。
【0087】
患者12の皮下組織内の腫瘍位置、病変位置、関心領域位置などの標的部位にマルチモード複合ゲルマーカー40を送達するためのアプリケータ56のいくつかの実施形態は、内部空洞60、スライドボア62、及び収縮スロット64を有するハンドル58を含み得る。アプリケータ56はまた、その長さにわたって延在する内側管腔68を有するカニューレ66と、カニューレ66の内側管腔68内に配置され、ハンドル58に固定された近位端72を有する位置決めロッド70とを含むことができる。アプリケータ実施形態56はまた、カニューレ66の近位端76に固定された収縮シャトル74を有してもよく、これは、カニューレ66の内側管腔68と同軸であり、ハンドル58のスライドボア62内でスライドし、カニューレ66と位置決めロッド70との間に相対的な軸方向変位を与える内側管腔78を含む。また、アプリケータ56は収縮シャトル74に固定され、ハンドル58の収縮スロット64内で遠位側軸方向位置に配置された収縮ノブ80を含んでもよく、それにより、収縮スロット64は、収縮ノブ80とカニューレ66の軸方向移動をカニューレ66の遠位端82が位置決めロッド70の遠位端84を越えて遠位側に延在する遠位側軸方向位置(
図16及び23Aに示される)と、カニューレ66の遠位端82が位置決めロッド70の遠位端84の近位側に配置される近位軸方向位置(
図23Cに示される)の間で機械的に制限する。
【0088】
非膨張状態の複合ゲルマーカー40はカニューレ66の遠位端82と位置決めロッド70の遠位端84との間のカニューレ66の内側管腔68内に形成された空洞内に配置され得、収縮ノブ80及びカニューレ66は遠位側軸方向位置にある。そのように配置された複合ゲルマーカー40は、本明細書で論じられる複合ゲルマーカーの実施形態40のいずれかを含むことができる。場合によっては、展開前に内側管腔68内に配置された複合ゲルマーカー40が内側管腔68から偶発的に脱落するのを防止するために、複合ゲルマーカー40をカニューレ66の内側管腔68に取り外し可能に固定する、カニューレ66の内側管腔68内の任意的なプラグ85を含むことが望ましい場合がある。このようなプラグ85の一例を
図24Aに示す。プラグの実施形態85は複合ゲルマーカー本体54の一部として形成されてもよく(例えば、以下に記載されるその第1の端部又は遠位端120において)、又はカニューレ66の内側管腔68の内側表面と複合ゲルマーカー40の外面との間に別個に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、プラグ85がPEGなどのゲル材料48から作製されてもよい。プラグ85はカニューレ66の遠位端82が複合ゲルマーカー40及び位置決めロッド70に対して近位に引っ込められたときに、収縮ノブ80の作動時に複合ゲルマーカー40を離脱及び解放するように構成されてもよい。
【0089】
いくつかの例では、アプリケータ56はまた、ハンドル58の内部空洞60の内側表面に固定され、そこから内向きに延びる第1のタブ88と、収縮シャトル74から外向きに延びる第2のタブ90とを有するインターロック86を含むことができる。第2のタブ90は、位置決めロッド70及びカニューレ66の長手方向軸92に実質的に平行な方向に沿って、第1のタブ88に対して重なり合った構成であってもよく、その結果、遠位側軸方向位置にある間、収縮ノブ74の近位収縮は第1のタブ88及び第2のタブ90の重なり合った構成(
図20及び21に示されるように)によって、第1のタブ88と第2のタブ90との間の重なり合いを排除するように収縮ノブ80が下向きの力Fによって押し下げられる(
図22に示されるように)まで、機械的に防止される。いくつかの実施形態では、そのようなアプリケータ56はまた、収縮ノブ80が遠位側軸方向位置にあるときに、収縮ノブ80の近位の収縮スロット64にスナップ嵌めされる、取り外し可能なブロック96を含む取り外し可能なインターロック94を有し得る。この構成は、取り外し可能なインターロック94が収縮スロット64から手動で取り外されるまで、収縮ノブ80の近位方向への引き込みを機械的に防止する役割を果たす。内側管腔を有するルアー装具(Luer fitting)98は、収縮シャトル74の遠位端100上に配置され、固定され、ルアー装具98の内側管腔はカニューレ66の内側管腔68と流体連通し、同軸である。取り外し可能であり、剛性の管状本体を有するシールド102は、カニューレ66の上に配置され、シールド102の剛性の管状本体の近位端に固定された対応するルアー装具104を用いて、収縮シャトル74のルアー装具98に固定される。シールド102は、使用前のアプリケータ56の保管及び輸送中にカニューレ66を保護するために使用される。
【0090】
このような凍結乾燥ゲルパッドを含む複合ゲルマーカー40を展開する際に使用するためのいくつかのアプリケータ実施形態56は現在入手可能な19のゲージ導入器(イントロデューサー)デバイス106(
図28~30に示されるように)の内腔に滑らかに嵌合するように構成されることができ、現在入手可能な19のゲージ導入器デバイス106と適合するルアーロック装具98を含み、そのシャフト上に0.5cm間隔の深さ挿入マーキング108を含む。また、そのようなアプリケータの実施形態56が滑らかで低力の作動/展開機構を有し、軽量であり、複合ゲルマーカー40の片手での展開に適しており、上述のインターロック86及び取り外し可能なインターロック94などの、複合ゲルマーカーがそこから不注意に展開するのを防止する機構を含むことも有用であり得る。複合ゲルマーカーの展開のためのこのようなアプリケータ56は標的位置から1cm以内に患者の身体12の組織内の腫瘍をマーキングし、腫瘍位置から3cm以内に肺腫瘍をマーキングするのに適し得る。
【0091】
上述のように、
図16~24Cは、
図12及び13に示される複合ゲルマーカーの実施形態40などの1つ以上のマーカーを展開するために使用され得るアプリケータ56の実施形態を図示する。上述のように、いくつかのアプリケータ実施形態56は、ハンドル58と、組織内に前進するように構成されたカニューレ66と、ハンドル58と固定関係で配置された位置決めロッド70とを含む。収縮ノブ80はハンドル58に対して軸方向に摺動可能に配置され、収縮シャトル74に固定され、この収縮シャトル76はカニューレ66の近位端76に固定され、その結果、収縮ノブ80及びカニューレ66の近位端76は収縮ノブ80が捕捉されるハンドル58内の収縮スロット64によって規定される軸方向運動の限られた範囲にわたって軸方向に変位され得る。このような配置では収縮ノブ80及びカニューレ66が位置決めロッド70に対して遠位に前方に摺動すると、位置決めロッド70の遠位端84とカニューレ66の遠位端82との間のカニューレ66の内側管腔68にはその中に配置される複合ゲルマーカーの実施形態40の外側寸法を収容するのに十分な長さ及び横断寸法を有する軸方向ギャップが存在する。収縮ノブ80及びカニューレ66がハンドル58及び位置決めロッド70に対して近位に引っ込められる(収縮する)と、例えば
図25に示されるように、カニューレ66及び位置決めロッド70がマーカー展開標的部位110から近位に引っ込められるにつれて複合ゲルマーカー40のうちの1つ以上が露出され、適所に展開され得る。この展開モードでは、収縮ノブ80及びカニューレ66の収縮変位が展開されている複合ゲルマーカー40の軸方向長さと少なくとも同じ大きさであることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では収縮スロット64及び対応する収縮変位長さは約1cm~約5cm、より具体的には約2cm~約4cmであってもよい。加えて、アプリケータ56は2つ以上の複合ゲルメーカー40を保持し、収縮ノブ80を引き込むたびにそれらを順次展開するように構成されてもよい。上述したアプリケータの実施形態56では、カニューレ66及び位置決めロッド70がステンレス鋼のような適切な弾性及び高強度材料から形成することができる。ハンドル58、収縮シャトル74、収縮ノブ80、ルアー装具98、ならびにこれらのアセンブリの他の構成要素は、ABSプラスチック、PVCプラスチックなどの適切な実質的に剛性のポリマーから作製され得る。いくつかの実施形態では、カニューレ66が約5cm~約20cmの長さを有してもよく、対応する位置決めロッド70はカニューレが
図23C及び24Cに示されるように近位に後退した位置にあるときに、カニューレ66の遠位端をわずかに超えて延在するようにサイズ決めされる。いくつかの実施形態では、カニューレ66の内側管腔68は約0.5mm~約2mmの内径を有し得る。
【0092】
図22Aはアプリケータ56’の実施形態を示し、アプリケータ56’は上述のアプリケータ56と同じ特徴、寸法、及び材料のすべてを有し得るが、組織の外表面レベルから測定されたときの患者12の組織内へのカニューレ66の遠位端82の侵入の深さを調節可能に制限するように構成された調節可能なスタンドオフ105も含む。スタンドオフ105は、位置決めロッド70の長手方向軸線92に対して実質的に垂直に位置する実質的に平坦な形状を有する。スタンドオフ105は、カニューレ66が摺動可能に配置される開口105Aをさらに含む。スタンドオフ105は、その遠位端でスタンドオフ105に固定され、その近位端でラチェットシャトル109に固定される剛性スタンドオフシャフト103によって支持される。ラチェットシャトル109は半径方向に押し下げられたときに、ラチェットシャトル109が位置決めロッド70の長手方向軸線92に実質的に平行な軸線方向に平行移動され、それに対応してスタンドオフ105をカニューレ66に対して軸線方向に平行移動させることができるように、ハンドル58’に結合されている。スタンドオフ105は組織表面の位置に対してハンドル58’の位置を固定するために、ハンドル58’が組織表面の方向に軽く押されるように、患者の組織の外面に対して十分な表面積を提供する。したがって、ラチェットシャトル109のラチェット軸方向調整によって実行されるスタンドオフ105の軸方向調整を使用して、患者の組織内へのカニューレ66の貫入深さを設定することができる。場合によっては、ラチェットシャトル109は、ラチェットシャトル109が弾性付勢力に抗して半径方向に押し下げられたときに、それぞれのラチェットシャトル109及びハンドル58’の関連するラチェット面を係合解除することによって、ラチェットシャトル109の軸方向位置を解放するように構成されてもよい。次いで、ラチェットシャトル109は、半径方向内向きの力が解放され、関連するラチェット表面(図示せず)が再係合すると、スタンドオフ105の軸方向位置に関して一時的にロックされてもよい。場合によっては、スタンドオフ105が約2cm~約20cmの軸方向調整範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、スタンドオフ105及びラチェットシャトル109がABSプラスチック、PVCプラスチックなどの硬質ポリマーから作製されてもよい。スタンドオフシャフト103は、ステンレス鋼などの適切な高強度弾性材料から作製され得る。
【0093】
上述したように、特定のイメージングモダリティは、特定のタイプの組織を画像化するのにあまり適していない。超音波による肺組織の画像化は一例である。肺の組織はあまりにもスポンジ状であり、多孔質であり、一般に超音波イメージング装置を用いて効率的に画像化することができないエアポケットの割合が大きい。しかしながら、肺組織、特に肺結節(lung nodule)の局在化(位置決め)の最小侵襲性、低コスト、及び便利な方法に対する必要性が示されている。手術の十分前に配置された超音波可視マーカーは、肺結節等を撮像するための既存のワイヤ位置決め技術に関連する問題の多くを軽減することができる。しかしながら、上述したように、肺実質(又は、肺柔組織)及び気道内の空気に対する超音波のため肺を撮像することは、伝統的に困難である。この困難にもかかわらず、本明細書で論じられるいくつかのシリカシェルの実施形態24及び関連する複合ゲルマーカーの実施形態40は超音波イメージングを使用して肺組織を画像化するために、肺実質において使用され得る。
【0094】
一般に親水性である特定の複合ゲルマーカーの実施形態40はさもなければ特定の画像化エネルギーの伝達を導かない組織内での展開のための画像化信号コンジット(又は、導管)として有用であり得る。幾つかのマルチモード複合ゲルマーカーの実施形態40は、カラーフロードップラー超音波イメージングを含む超音波イメージングのようなイメージングモダリティによる強いリターン信号と超音波イメージング信号導管として機能する可能性を含み得る。このような用途では、複合ゲルマーカーの実施形態40を使用して、患者12の肺組織内の病変をマーキングし、複合ゲルマーカー40及び複合ゲルマーカー40の周り又はそれに隣接して配置された病変110の周辺への超音波イメージング信号導管を提供することができる。
【0095】
患者の身体の肺組織内に配置された標的部位110をマーキングし、超音波イメージングするいくつかの方法は患者の肺組織内の標的部位110に複合ゲルマーカー40を展開することを含んでもよく、複合ゲルマーカー40は標的部位110から患者の肺の外表面レベルまで延在し得る。その後、標的部位110は、複合ゲルマーカー40を通って外側表面レベルから標的部位110まで伝搬する超音波イメージング信号を用い、患者の肺の外側表面レベルから複合ゲルマーカーを通り、特に水性流体で飽和された複合ゲルマーカーを通り、複合ゲルマーカー40を通して標的部位110まで通る超音波イメージング信号で画像化されてもよい。このような複合ゲルマーカー40は、画像化信号導管として使用されない同様の複合ゲルマーカー40よりも長い長さを必要とし得る。マルチモード複合ゲルマーカー40のいくつかのそのような実施形態は約1cm~約10cm、より具体的には約3cm~約8cmの軸方向長さを有し得る。いくつかの例では、複合ゲルマーカーの実施形態40は直径約1.6mm、長さ約15mmを有し、ゼラチン及び2μmの微小球を含むことができる。
【0096】
図25~
図34は、マルチモード複合ゲルマーカーの実施形態40が肺組織114内に展開される医療処置の実施形態を示す。複合ゲルマーカー40は、カラードップラー超音波イメージング及びメチレンブルー成分による視覚的識別のための上述したようなシリカシェル24と、X線透視法のような放射線写真イメージングに適した放射線不透過性リボン52とを含む。複合ゲルマーカー40はまた、複合ゲルマーカー本体54の全体又は一部にわたって分散される放射線不透過性粉末などの放射線不透過性イメージング材料29を含んでもよい。
図25において、生検カニューレ112の遠位端は患者12の肺組織114の上に配置され、腫瘍標的部位110は肺組織114の外表面116の下に配置されて示される。生検カニューレ112は、生検カニューレの遠位端が腫瘍110内に配置されるまで、
図26に示すように肺組織114内に進められる。一旦、生検カニューレ112がサンプリングされるべき生検組織の境界を切断すると、生検カニューレ112及び生検サンプルは、次いで、近位に引っ込められ、そして患者の肺組織114から除去され得る。
図27は生検カニューレの後退に起因して腫瘍110から組織サンプルを除去した後の肺組織114を示し、肺組織114及び腫瘍110には、生検サンプルが除去されたチャネル118がある。
【0097】
その後、アプリケータ56のカニューレ66はその遠位端82に複合ゲルマーカーの実施形態40が装填されており、任意的な導入器106の内腔を通って、前の生検プロセスから肺組織114に残された組織チャネル118内に遠位に前進させられ得る。カニューレ66は
図29に示すように、複合ゲルマーカー40の第1の端部120が腫瘍110内のチャネル118内に配置され、複合ゲルマーカー40の第2の端部122が肺組織114の外面116に隣接して配置されるまで前進させることができる。複合ゲルマーカー40はまた、場合によっては、複合ゲルマーカー40の第2の端部122が肺組織114の外面レベル116から外側に延在するように軸方向に配置されてもよい。例えば、複合ゲルマーカー40の第2の端部122は場合によっては展開時に、肺組織114の表面116から少なくとも約0.1cm~約1.0cm延在することができる。次いで、アプリケータ56のカニューレ66は、近位に後退され、一方、アプリケータ56の位置決めロッド70の遠位端84はカニューレ66の後退の間、複合ゲルマーカー40の第2の端部122を押して標的部位110の組織の位置に対して複合ゲルマーカー40の軸方向位置を維持し得る。
図16~24Cに示されるアプリケータの実施形態56では、カニューレ66は、肺組織114に対するハンドル58の軸方向位置を維持しながら、ハンドル58及び位置決めロッド70に対して近位方向に収縮ノブ80を並進させることによって、複合ゲルマーカー40に対して近位に引き込まれ得る。さらに、図示のアプリケータの実施形態56では、収縮ノブ80の作動の前に、
図21及び
図22に示すように、収縮シャトル74のインターロック86とハンドル58との係合を解除するために、収縮ノブ80を最初に位置決めロッド70の長手方向軸92に対して力Fで半径方向内向きに押し下げることができる。さらに、いくつかの実施形態では、取外しノブ80との取外し可能なインターロック94の機械的干渉を除去することによって取外しノブ80の近位への後退を可能にするために、取外し可能なインターロック94の取外し可能なブロック96がハンドル58がハンドル58の収縮スロット64から係合解除されるように、取外し可能なブロック96がハンドル58から取り外されてもよい。カニューレ66が近位に引っ込められ、複合ゲルマーカー40が展開されると、次に、
図31に示されるように、生検サンプルの除去によって残された組織チャネル118内に複合ゲルマーカー40を配置した状態で、カニューレ66及びアプリケータ56の位置決めロッド70は近位に引っ込められ得る。導入器106はまた、それと同時又は処置の間の任意的な他の適切な時間に組織チャネル118から近位に引き抜かれ得る。
【0098】
いくつかの場合において、複合ゲルマーカー40の展開の前に生検が行われない場合、導入器106は、典型的には導入器106の内側管腔内に配置されたスタイレット(又は、せん刺棘/stylet/図示せず)を用いて、組織114を通って直接前進され得る。このようなスタイレットは、導入器106の遠位端をわずかに越えて延在し、そして導入器106のための尖った組織貫通先端を提供するように構成され得る。導入器が所定の位置に置かれると、スタイレットは、導入器106の内側管腔から近位方向に引き抜かれ得る。場合によっては導入器106を利用する処置のために、導入器106は導入器106の遠位端107が外面レベル116から肺組織114内に約1cm~約2cmのところに配置されるように配置されてもよい。導入器の遠位端107の他の適切な位置も考えられる。この手順は、導入器106又は既存の組織チャネル118を使用せずに実施され得ることにも留意されたい。いくつかの展開の実施形態では、アプリケータ56のカニューレ66が蛍光透視法、CT、MRIなどの任意的な適切な画像化モダリティの下で、肺組織114内の標的部位まで直接前進させられてもよい。一旦、カニューレ66及びその遠位端82に配置された複合ゲルマーカー40が標的部位110に適切に配置されると、複合ゲルマーカー40は次いで、上記のように、標的部位110においてカニューレ66の遠位端82から展開され得る。
【0099】
そのように展開されると、複合ゲルマーカー40は
図32に示すように、ゲル材料48の親水性のために、膨張し始め、周囲の水性体液を吸収し始め得る。このような膨張は生検された組織によって残された空隙118を充填し、周囲の肺組織114に対する複合ゲルマーカー40の位置を固定するために有用であり得る。膨張した複合ゲルマーカー40はまた、場合によっては、組織チャネル118を密封する機能を果たし、これは、生検部位で止血を提供するために有用であり得る。ゲル材料48及び処理は、場合によっては膨張比及び速度を所望の値に調整するように選択されてもよいことに留意されたい。場合によっては複合ゲルマーカー40が約1:1.5~約1:10、より具体的には約1:2~約1:3の体積膨張比を有し得る。
【0100】
図25~32に示される生検処置の実施形態及び展開処置の実施形態は、典型的にはこの処置のための視覚的イメージング、蛍光透視イメージング、CTイメージング、マンモグラフィ、及びMRIを含む、任意的な適切なタイプのイメージングモダリティのうちの1つ又は複数の助けを借りて実行されてもよい。MRIイメージング材料29を含む複合ゲルマーカーの実施形態40では、そのような材料がガドリニウム、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄、チタンなどを含むことができる。上述したように、カラードップラー超音波イメージングを含む超音波イメージングは、肺組織114の生理学的特性のため、典型的には肺組織表示に適していない。しかしながら、一旦、細長い複合ゲルマーカー40が肺組織114の表面116又はその上方に配置された複合ゲルマーカー40の第2の端部122と共に展開され、そして複合ゲルマーカー40が十分な流体を吸収した後は、超音波イメージング信号は、次いで、複合ゲルマーカー40を通って肺組織114中の腫瘍110まで伝播し得る。複合ゲルマーカー40のこのイメージング信号導管は、他のイメージングモダリティオプションと比較してより適切かつ便利なイメージングモダリティであり得る超音波イメージング装置16を用いて、腫瘍のイメージングを治療する医師を補助するように機能する。
【0101】
いくつかの場合において、本明細書中で議論される複合ゲルマーカーの実施形態40を展開するための肺注射は、20ゲージ針を有する19ゲージ導入器106を使用して実施され得る。このような注射は肺114における配置を確認するために、CT又はX線透視ガイダンスの下で行われ得る。超音波イメージングはいくつかの場合において、注射の約1分~約10分後に、複合ゲルマーカーの実施形態40に対して効果的に実施され得る。いくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40について、超音波イメージングは注入後約1分~約10分、注入後7日、注入後21日、又は任意的な他の適切な時間に移植部位を観察するために、胸壁を通るカラードップラーを使用して実施されることができ、そしてなお高度に可視的な超音波イメージングシグナルを提供することが示された。複合ゲルマーカー配置の領域は、いくつかの場合において、肺表面からのドップラー超音波を用いて画像化され得る。したがって、本明細書で論じられる複合ゲルマーカーの実施形態40は最初の肺生検中に、又は計画された外科的切除の数週間前の任意的な時点に配置されてもよく、手術当日のスケジューリングを容易にする。次いで、超音波イメージングを、胸腔鏡手術又は小開胸術の間に使用して、切除の前に結節の位置を確認し得る。
【0102】
さらに、膨張した複合ゲルマーカー40によって形成されたイメージング信号導管を使用して肺腫瘍110をより効率的に撮像するために、特定の修正又は撮像オプションを使用することができる。例えば、
図32は、複合ゲルマーカー40の第2の端部122の上に配置されたトランスデューサ126のトランスデューサ窓124と、トランスデューサ窓124と複合ゲルマーカー40の第2の端部122との間に配置され、これらに接触している任意的な液体充填膨張可能レンズ128とを有する超音波システムによって撮像されている複合ゲルマーカー40及び腫瘍110を示す。複合ゲルマーカー40及び標的部位110のこのような画像化の視覚的表示の例は
図33に示され、これは画像化プロセスの間の超音波イメージングシステムコンソールのスクリーン129を示す。画像化されている複合ゲルマーカーの実施形態40の画像化された表示127が、ディスプレイスクリーン129上に示されている。腫瘍110が識別され、超音波イメージングによって位置特定されると、腫瘍組織110及び複合ゲルマーカー40は、
図34に示されるように外科的切除又は任意的な他の適切な方法によって除去され得る。場合によっては、複合ゲルマーカー40も肺組織114から除去される点まで、複合ゲルマーカー40を撮像導管として使用して超音波撮像ガイダンス下で切除が実行されてもよい。
【0103】
患者の身体内の標的部位をマーキングし、超音波撮像するいくつかの方法はアプリケータ56のカニューレ66からシールド102を取り外すことで使用のためにアプリケータ56を準備するステップと、アプリケータ56のカニューレ66の遠位端82を患者の皮膚の表面下の患者の身体12内の標的部位110に前進させるステップを含むことができる。場合によっては、患者の身体12内の標的部位110がX線透視法又はMRIなどの超音波イメージングモダリティ以外のイメージングモダリティで識別され、位置決めされ得る。さらに、いくつかの例では導入器106が標的部位110まで前進させられ、続いて、カニューレ66が導入器106の内側管腔を通って標的部位110まで前進させられ得る。場合によっては導入器106の位置がカニューレ66の軸方向位置を案内するために使用されてもよく、それによって、導入器106はその遠位端が標的部位110に隣接する位置に配置される。次いで、カニューレ66は、導入器106の内腔を通って前進させられ、そして導入器106に対して固定され得る。いくつかの実施形態では、カニューレ66及び導入器106のそれぞれのルアー装具を連結することによって、カニューレ66が導入器106に対して固定されてもよい。
【0104】
カニューレ66の遠位端82は、カニューレ66の遠位端82とカニューレ66の内側管腔68内に配置された位置決めロッド70の遠位端84との間のカニューレ66の内側管腔68内の空洞内に配置されたマルチモード複合ゲルマーカー40が標的部位110に対して所望の位置にあるように、前進され得る。このような方法はまた、標的部位110の組織114、複合ゲルマーカー40、位置決めロッド70、及びアプリケータ56のハンドル58に対してアプリケータ56の収縮ノブ80及びカニューレ66を、カニューレ66の内側管腔68の内側表面の外側半径方向の拘束が複合ゲルマーカー40から除去されて複合ゲルマーカー40を標的部位110に展開するまで、近位側に後退させる工程を包含し得る。その後、カニューレ66及び位置決めロッド70を患者の身体12から引き抜くことができる。複合ゲルマーカー40及び隣接する標的部位110は、その後、超音波イメージングを用いてイメージングされることができ、標的部位110は標的部位110の超音波イメージングの間に、又はそれと併せて、任意に処置され得る。
【0105】
図35~38は乳房組織130内の標的部位病変110をマーキングするために、乳房組織130内に1つ以上のマルチモード複合ゲルマーカー40を展開するための展開方法の実施形態を示す。腫瘍の組織及び周囲の組織130内の結果として生じるチャネル118及び生検部位は、肺組織114の画像化及び処置に関して上記で議論されたものと同じ生検方法及びデバイスによって、乳房組織130内に作製され得る。その後、
図35に示すように、1つ以上のマルチモード複合ゲルマーカー40を装填したアプリケータ56のカニューレ66は、腫瘍110の実質的に中心に位置する空所118の底部又は遠位端に複合ゲルマーカー40の第1の端部120が配置され、複合ゲルマーカー40の第2の端部122が腫瘍110の外境界132に隣接して配置されるように、カニューレ66が患者の乳房組織130の腫瘍110内に空所118内に配置されるまで、任意選択の導入器106の内腔を介して前進され得る。カニューレ66のこのような位置決めの後、
図36に示されるように、アプリケータ56のカニューレ66の遠位端82は近位に引っ込められ、カニューレ66の引っ込めの間、複合ゲルマーカー40の軸方向位置を維持するために、アプリケータ56の位置決めロッド70が複合ゲルマーカー40の第2の端部122に対して遠位に押し付ける。その後、カニューレ66、位置決めロッド70及びアプリケータ56は、
図37に示されるように、腫瘍の中心の生検サンプルの除去によって残された組織チャネル内にマルチモード複合ゲルマーカー40を配置したまま、除去され得る。
【0106】
いくつかの状況では、
図35~37に示されるように、組織病変又は腫瘍110の中心をマーキングするためにマルチモード複合ゲルマーカー40のそのような実施形態を使用するのではなく、
図35~37の方法によって、
図38に示されるように、2つ以上の複合ゲルマーカー40が組織病変110の周辺をマーキングするために、患者12の乳房組織130又は肺組織114などの任意的な他の組織中の腫瘍110の両端に配置された位置に展開され得る。さらに、場合によっては、臨床医が組織の表面から腫瘍110の中心まで細長い複合ゲルマーカー40の経路をたどることが可能であり得るという点で、局在化「ワイヤ」又は導管として機能し、腫瘍110の中心をマーキングするという二重の目的を果たすために、複合ゲルマーカー40の第2の端部122を組織の表面まで、又はそれを超えて延在させる、そのような方法のための細長い複合ゲルマーカー40を使用することが望ましい場合がある。このような細長い複合ゲルマーカー40は、同様の実施形態に関して上述したものと同様の寸法を有することができる。
【0107】
図35~38に示される乳房腫瘍イメージングなどの適用(又は、指示、表示)のために使用される複合ゲルマーカーの実施形態40はいくつかの場合において、肺組織114の処置及びイメージングに関して上記で議論されるようなシグナル導管をイメージングするために使用される複合ゲルマーカー40よりも軸方向長さが短くてもよい。したがって、腫瘍110の中心をマーキングするために主に使用されるペレット型複合ゲルマーカーの実施形態40は、場合によっては約1mm~約3mmの横断寸法及び約2mm~約10mmの軸方向長さを有し得る。そのような適用(又は、指示、表示)のためのいくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40は、ゼラチンペレット中に分散された2μmの超音波可視シリカシェルの2mg/ml濃度を含み得る(又は、2mg/ml濃度の2μmの超音波可視シリカシェルを含み得る)。約5mmペレットの寸法を有する複合ゲルマーカーの実施形態40は、標準的な14ゲージアプリケータ56内に配置され得る。場合によっては、このような複合ゲルマーカーの実施形態40は
図14の複合ゲルマーカーの実施形態40に示されるような放射線不透過性コイルワイヤ134で包まれてもよい。このような放射線不透過性コイルワイヤ134は、金、白金、タンタル等を含む放射線不透過性イメージング材料29の細いワイヤを含むことができる。放射線不透過性コイルワイヤは、場合によってはマルチモードマーカーとしても機能し得る。特に、放射線不透過性コイルワイヤ134は1つの層に放射線不透過性イメージング材料29を含み、別の層にMRIイメージング材料29を含む延伸(又は、引っ張り/引き込み/drawn)充填管材料を含むことができる。そのような放射線不透過性コイルワイヤの実施形態は約0.0005インチ~約0.005インチの外側横方向寸法を有することができ、これらのモダリティのいずれにおいても著しいブルーム(又は、曇り/bloom)を生じることなく、放射線不透過性イメージングシグネチャならびにMRIシグネチャを提供するように構成することができる。いくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40は、ゼラチン材料48及び2μmのシリカシェルを含み得る。このような複合ゲルマーカー40は、約1.6mmの外径及び約6mmの長さを有し得る。いくつかの複合ゲルマーカーの実施形態40は、約1.6mmの外径及び約6mmの長さを有する2μmシリカシェルとゼラチン材料48を含んでもよい。複合ゲルマーカーのこのような実施形態はまた、上述の放射線不透過性コイルワイヤ134のようなコイルワイヤを含んでもよく、ワイヤ134は約0.12mmの直径を有し、ワイヤは、約1.6mmのコイル直径及び約2mmの長さを有するコイル構成を形成し得る。
【0108】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない要素が存在しない場合に適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む」、「本質的に含む」、及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。使用された用語及び表現は説明の用語として使用され、限定の用語ではなく、そのような用語及び表現の使用は示され、説明された特徴又はその一部のいかなる均等物も除外せず、様々な修正が可能である。用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」はそれが文脈上明らかでない限り、それが改変する要素の1つ又は複数を指すことができる(例えば、「1つの試薬」は、1つ又は複数の試薬を意味することができる)。したがって、実施形態は代表的な実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書で開示された概念の修正及び変形は当業者に頼ることができ、そのような修正及び変形は本開示の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【0109】
上記の詳細な説明に関して、その中で使用される同様の参照番号は、同じ又は同様の寸法、材料、及び構成を有し得る同様の要素を指す。特定の形態の実施形態を図示し説明してきたが、本発明の実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、本発明は、前述の詳細な説明によって限定されることを意図するものではない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
シリカから形成される第1の内側層と、
前記第1の内側層の外側表面上に配置され、周囲の組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料を含むシリカから形成される第2の層と、
前記第1の内側層の内側表面内に配置された中空の空隙
を含むシェル本体を有する、マルチモードイメージングのためのシリカシェル。
<請求項2>
前記第2の層の外側表面上に配置された疎水性ポリマーコーティングをさらに含む、請求項1に記載のシリカシェル。
<請求項3>
前記疎水性ポリマーコーティングがオクチルトリエトキシシランを含む、請求項2に記載のシリカシェル。
<請求項4>
前記シェル本体が、約50nm~約2.2ミクロンの外側横方向寸法を有する、請求項1に記載のシリカシェル。
<請求項5>
前記シェル本体が、約1.8ミクロン~約2.2ミクロンの外側横方向寸法を有する、請求項4に記載のシリカシェル。
<請求項6>
前記第2の層の前記イメージング材料が、直接目視観察による画像形成のための染料を含む、請求項1に記載のシリカシェル。
<請求項7>
前記染料がメチレンブルーを含む、請求項6に記載のシリカシェル。
<請求項8>
前記第2の層の前記イメージング材料が放射線不透過性材料を含む、請求項1に記載のシリカシェル。
<請求項9>
前記第2の層の前記イメージング材料がMRIイメージング材料を含む、請求項1に記載のシリカシェル。
<請求項10>
テンプレート上にシリカから第1の内側層を形成するステップと、
焼成によって前記テンプレートを除去するステップと、
シリカを含み、イメージング材料と混合された第2の層を前記第1の内側層の外側表面上に塗布するステップ
を有する、マルチモードイメージングのためのシリカシェルを製造する方法。
<請求項11>
前記第2の層の外側表面上に疎水性ポリマーコーティングを適用するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
<請求項12>
イメージング材料と混合された第2の層を適用するステップが、直接目視観察によるイメージングのために構成された染料と混合された第2の層を適用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
<請求項13>
直接目視観察によるイメージングのために構成された染料と混合された第2の層を適用するステップが、メチレンブルーと混合された第2の層を適用するステップを含む、請求項12に記載の方法。
<請求項14>
イメージング材料と混合された第2の層を適用するステップが、放射線不透過性材料と混合された第2の層を適用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
<請求項15>
イメージング材料と混合された第2の層を適用するステップが、MRIイメージング材料と混合された第2の層を適用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
<請求項16>
複数のシリカシェルであって、各シリカシェルは、シリカから形成される層と、前記シリカから形成される層の内側表面内に配置される中空ボイドとを有するシェル本体を含む、前記複数のシリカシェルと、
患者の周囲組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料と、
前記複数のシリカシェル及び前記イメージング材料の周りに配置され、膨張可能なゲルマーカー本体を形成するゲル材料
を含む、超音波イメージングのためのマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項17>
前記複数のシリカシェルが、
シリカから形成される第1の内側層と、
前記第1の内側層の外側表面上に配置され、周囲の組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料を含むシリカから形成される第2の層と、
前記第1の内側層の内側表面内に配置された中空の空隙
を含むシェル本体含む、請求項16に記載のマルチモード複合ゲルマーカー:
<請求項18>
前記複数のシリカシェルが、前記第2の層の外側表面上に配置された疎水性ポリマーコーティングをさらに含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項19>
前記疎水性ポリマーコーティングがオクチルトリエトキシシランを含む、請求項18に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項20>
前記ゲル材料が吸湿性ゲル材料を含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項21>
前記吸湿性ゲル材料がキトサンを含む、請求項20に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項22>
前記ゲル材料がポリエチレングリコールを含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項23>
前記第2の層の前記イメージング材料が、直接目視観察によるイメージングのための染料を含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項24>
前記染料がメチレンブルーを含む、請求項23に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項25>
前記第2の層の前記イメージング材料が放射線不透過性材料を含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項26>
前記第2の層の前記イメージング材料がMRIイメージング材料を含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項27>
前記ゲル材料によってカプセル化された放射線不透過性マーカーをさらに含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項28>
前記ゲル材料によってカプセル化されたMRI画像化可能なマーカーをさらに含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項29>
膨張可能な前記ゲルマーカー本体の外側表面の周りに巻き付けられるMRI画像化可能なワイヤをさらに含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項30>
前記ゲル材料が、生体適合性、崩壊までの体内持続時間、膨張比、膨張率に特有な特性を含む、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項31>
膨張可能な前記ゲルマーカー本体が非膨張状態で約2mm~約40mmの長さ及び約0.5mm~約2mmの横断寸法を有する、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項32>
膨張可能な前記ゲルマーカー本体が約1:1.5~約1:10の乾燥した非膨張状態から水飽和膨張状態へのサイズ膨張比を有する、請求項17に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項33>
膨張可能な前記ゲルマーカー本体が、約1:2~約1:3の乾燥した非膨張状態から水飽和膨張状態へのサイズ膨張比を有する、請求項32に記載のマルチモード複合ゲルマーカー。
<請求項34>
内部キャビティと、スライドボアと、収縮スロットとを含むハンドルと、
その長さにわたって延在する内側管腔を有するカニューレと、
前記カニューレの前記内側管腔内に配置され、前記ハンドルに固定された近位端を有する位置決めロッドと、
前記カニューレの近位端に固定され、前記カニューレの前記内側管腔と同軸の内側管腔を有し、前記ハンドルの前記スライドボア内でスライドすることで前記カニューレと前記位置決めロッドとの間の相対的な軸方向変位を与える前記収縮シャトルと、
前記収縮シャトルに固定された収縮ノブであって、前記カニューレの遠位端が前記位置決めロッドの遠位端を超えて遠位に延在する遠位側軸方向位置と前記カニューレの遠位端が前記位置決めロッドの遠位端の近位に配置された近位側軸方向位置の間で、前記収縮スロットが前記収縮ノブと前記カニューレの軸方向移動を機械的に制限するように前記ハンドルの前記収縮スロット内で遠位側軸方向位置に配置された前記収縮ノブと、
前記収縮ノブ及びカニューレが遠位側軸方向位置にある状態で、前記カニューレの遠位端と前記位置決めロッドの遠位端との間の前記カニューレの前記内側管腔内に形成されたキャビティ内に配置された非膨張状態の複合ゲルマーカー
を有する、患者の皮下組織内の標的部位にマルチモード複合ゲルマーカーを送達するためのアプリケータ。
<請求項35>
前記ハンドルの前記内部キャビティの内側表面に固定され、当該内側表面から内側に延びる第1のタブと、
前記カニューレ及び前記位置決めロッドの長手方向軸に実質的に平行な方向に沿って前記第1のタブに対して重なり合った構成で前記収縮シャトルから外向きに延在する第2のタブであって、前記第1のタブと第2のタブの間の重なり合いを排除するように前記収縮ノブが押し下げられるまで、遠位側軸方向位置にある間の前記収縮ノブの近位側への収縮が前記第1のタブと第2のタブとの重なり合った構成によって機械的に防止される、前記第2のタブ
を有するインターロックをさらに含む、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項36>
取り外し可能なインターロックであって、前記収縮ノブが遠位側軸方向位置にあるときに前記収縮ノブの近位側の前記収縮スロットにスナップ嵌合し、それによって、前記取り外し可能なインターロックが前記収縮スロットから手動で取り外されるまで、前記収縮ノブの近位側への収縮を機械的に防止する、前記取り外し可能なインターロックをさらに有する、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項37>
内側管腔を有するルアー装具をさらに含み、前記ルアー装具は前記収縮シャトルの遠位端に配置及び固定され、前記ルアー装具の内側管腔が前記カニューレの内側管腔と流体連通する、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項38>
剛性管状本体を含み、前記カニューレ上に取り外し可能に配置されるシールドをさらに有する、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項39>
前記シールドは、前記シールドの前記剛性管状本体の近位端に固定されたルアー装具をさらに有する、請求項38に記載のアプリケータ。
<請求項40>
前記複合ゲルマーカーが、超音波イメージングのためのマルチモード複合ゲルマーカーを含み、
複数のシリカシェルであって、各シリカシェルは、シリカから形成される層と、前記シリカから形成される層の内側表面内に配置される中空ボイドとを有するシェル本体を含む、前記複数のシリカシェルと、
患者の周囲組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料と、
前記複数のシリカシェル及び前記イメージング材料の周りに配置され、膨張可能なゲルマーカー本体を形成する吸湿性ゲル材料を含む、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項41>
前記複数のシリカシェルが、
シリカから形成される第1の内側層と、
前記第1の内側層の外側表面上に配置され、周囲の組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料を含むシリカから形成される第2の層と、
前記第1の内側層の内側表面内に配置された中空の空隙
を含むシェル本体含む複数のシリカシェルを含む、請求項40に記載のアプリケータ。
<請求項42>
前記カニューレの内側管腔の遠位端に配置されたプラグをさらに含み、前記プラグは、前記カニューレの内側管腔の内側表面及び前記複合ゲルマーカーの外側表面に着脱可能に固定される、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項43>
プラグがポリエチレングリコールを含む、請求項42に記載のアプリケータ。
<請求項44>
前記位置決めロッドの長手方向軸に実質的に垂直に位置する実質的に平面の構成を有し、前記カニューレが摺動可能に配置される開口を有する調整可能なスタンドオフをさらに有し、前記調整可能なスタンドオフは、その遠位端で前記調整可能なスタンドオフに固定された剛性スタンドオフシャフトに支持され、その近位端でラチェットシャトルに固定される、請求項34に記載のアプリケータ。
<請求項45>
前記ラチェットシャトルは、前記ラチェットシャトルが付勢力に抗して半径方向に押し下げられたときに、前記ラチェットシャトル及び調整可能なスタンドオフが前記カニューレの位置に対して軸方向に自由に平行移動されるように、前記ハンドルに連結される、請求項44に記載のアプリケータ。
<請求項46>
前記カニューレの内側管腔内に配置された位置決めロッドの遠位端とカニューレの遠位端の間の前記カニューレの内側管腔内のキャビティ内に配置された複合ゲルマーカーが標的部位に対して所望の位置となるように、患者の身体の表面下の患者の身体内の標的部位にアプリケータの前記カニューレの遠位端を前進させるステップと、
カニューレの内側管腔の内側表面の外側半径方向の拘束が複合ゲルマーカーから除去されるまで、標的部位の組織、複合ゲルマーカー、位置決めロッド、及びアプリケータのハンドルに対してアプリケータのカニューレ及び収縮ノブを近位方向に収縮させて複合ゲルマーカーを標的部位に展開するステップと、
カニューレ及び位置決めロッドを患者の身体から引き抜くステップと、
その後、標的部位及び複合ゲルマーカーを超音波イメージングで画像化するステップ
を有する、患者の身体内の標的部位をマーキングし、超音波撮像する方法。
<請求項47>
前記複合ゲルマーカーの展開の前に、蛍光透視法を用いて前記患者の身体内の前記標的部位を特定することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
<請求項48>
前記カニューレの遠位端を前記標的部位に前進させる前に、前記アプリケータの前記カニューレからシールドを除去するステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
<請求項49>
前記標的部位に隣接する位置に導入器を前進させ、次いで、前記導入器の内側管腔を通して前記アプリケータの前記カニューレを前記標的部位に前進させることをさらに含む、請求項46に記載の方法。
<請求項50>
前記複合ゲルマーカーの展開前に、前記アプリケータのルアー装具を前記導入器のルアー装具に係合させるステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
<請求項51>
患者の身体の肺組織内に配置された標的部位をマーキングし、超音波イメージングする方法であって、
複合ゲルマーカーが標的部位から患者の肺の外表面レベルまで延在した状態で患者の肺組織内の前記標的部位に前記複合ゲルマーカーを展開するステップと、
複合ゲルマーカーを通って肺の外表面レベルから標的部位まで伝搬する超音波イメージング信号で肺の外表面レベルから複合ゲルマーカーを通って標的部位まで標的部位及び複合ゲルマーカーを画像化するステップを含む、方法。
<請求項52>
前記複合ゲルマーカーを展開するステップが、
複数のシリカシェルであって、各シリカシェルは、シリカから形成される層と、前記シリカから形成される層の内側表面内に配置される中空ボイドとを有するシェル本体を含む、前記複数のシリカシェルと、
患者の周囲組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料と、
前記複数のシリカシェル及び前記イメージング材料の周りに配置され、膨張可能なゲルマーカー本体を形成するゲル材料を含む超音波イメージングのために前記複合ゲルマーカーを展開するステップを含む、請求項51に記載の方法。
<請求項53>
前記複合ゲルマーカーを展開するステップが、前記複合ゲルマーカーを展開するステップを含み、前記複合ゲルマーカーの複数のシリカシェルは、
シリカから形成される第1の内側層と、
前記第1の内側層の外側表面上に配置され、患者の周囲の組織と識別できるイメージング信号を生成するように構成されたイメージング材料を含むシリカから形成される第2の層と、
前記第1の内側層の内側表面内に配置された中空の空隙
を含む、請求項52に記載の方法。
<請求項54>
前記複合ゲルマーカーを展開するステップの前に、コンピュータ断層撮影法を用いて、前記患者の肺内の前記標的部位を同定及び位置特定するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
<請求項55>
前記標的部位が腫瘍を含み、前記複合ゲルマーカーを展開するステップの前に前記標的部位から組織生検試料を除去することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
<請求項56>
前記標的部位に前記複合ゲルマーカーを展開するステップは、前記組織生検試料の除去によって作製されたチャネル内にアプリケータのカニューレを前進させるステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。
<請求項57>
前記複合ゲルマーカーを展開するステップが、アプリケータのカニューレと前記カニューレの遠位端に配置された前記複合ゲルマーカーとを肺組織の外側表面レベルから前記標的部位まで前進させるステップと、位置決めロッドの遠位端を用いて前記標的部位に対する前記複合ゲルマーカーの軸方向位置を維持しながら、前記カニューレを近位に引き出すこととを含む、請求項51に記載の方法。
<請求項58>
前記カニューレを、導入器の内側管腔を通して前記標的部位まで前進させるステップをさらに含む、請求項57に記載の方法。
<請求項59>
前記標的部位を画像化することと、複合ゲルマーカーコンピュータ断層撮影画像化とをさらに含む、請求項51に記載の方法。
<請求項60>
前記標的部位は腫瘍を含み、さらに、超音波イメージングガイダンスを使用しながら、前記腫瘍を外科的に切除することを含む、請求項51に記載の方法。