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  • 特許-冷却装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/02 20060101AFI20220927BHJP
   F25D 7/00 20060101ALI20220927BHJP
   F25B 29/00 20060101ALI20220927BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F25D17/02 303
F25D7/00 Z
F25B29/00 391Z
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022534785
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2021026697
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2020203727
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520484667
【氏名又は名称】安田 誠
(73)【特許権者】
【識別番号】508115897
【氏名又は名称】株式会社湘南貿易
(74)【代理人】
【識別番号】100142550
【弁理士】
【氏名又は名称】重泉 達志
(72)【発明者】
【氏名】安田 誠
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-154957(JP,A)
【文献】特開2009-300077(JP,A)
【文献】特表2016-517503(JP,A)
【文献】特開2006-258384(JP,A)
【文献】特開2017-197703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 19/00
F25B 29/00
F25D 7/00
F25D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象物を、霧状の水が混合された空気に曝し、水の気化熱を利用して冷却する冷却装置であって、
前記冷却対象物を前記霧状の水が混合された空気で冷却する対象物冷却区間及び前記対象物冷却区間で加熱された空気を冷却する空気冷却区間を含む空気循環路と、前記空気循環路の空気を循環させるファンと、を有する空気循環機構と、
前記空気循環路の前記対象物冷却区間で前記空気に混合される前記水を吐出する吐出部と、前記空気循環路の前記空気冷却区間で凝縮した水が回収されるタンクと、前記タンクの水を前記吐出部へ送出するポンプと、を有する水循環機構と、
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、前記空気循環路の前記空気冷却区間に配置され空気を冷却する蒸発器と、をこの順で有し、所定の冷媒が流通する冷凍回路と、を備え、
前記空気循環路は、前記空気冷却区間で冷却された空気を前記対象物冷却区間に流入する前に加熱する空気加熱区間を含み、
前記冷凍回路は、前記圧縮機と前記膨張弁の間に前記凝縮器と並列に設けられ、前記空気循環路の前記空気加熱区間に配置される空気加熱用の熱交換器を有し、
前記水循環機構は、前記吐出部へ送出される前に水を冷却する水冷却部を含み、
前記冷凍回路は、前記蒸発器と前記圧縮機の間に設けられ、前記水冷却部に配置される水冷却用の熱交換器を有する冷却装置。
【請求項2】
前記空気循環機構は、前記空気循環路の所定箇所に設置され空気と水を分離する気水分離器を有し、
前記水循環機構は、前記気水分離器で空気から分離された水を前記タンクへ案内する案内路を有する請求項に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記水循環機構は、前記タンクの水の貯留量を検出する検出器と、前記検出器にて検出された水の貯留量が所定量を下回ったときに外部から前記タンクに水を補給する貯水量制御部と、を有する請求項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却対象物を、霧状の水を含む空気に曝し、水の気化熱を利用して冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温部品の冷却装置として、高温部品を収容する冷却室と、冷却室内で高温部品を移送する搬送装置と、冷却室内に冷却用空気を送風する冷却用空気供給装置と、冷却室と上部空間で連通するとともに下部空間に水槽が構成される水槽容器と、上部空間内に水を噴霧する噴霧装置と、を具備したものが提案されている(特許文献1参照)。この冷却装置では、冷却用空気供給装置によって冷却用空気を冷却室と水槽容器間で循環させるとともに、噴霧装置によって水槽容器内の冷却用空気を冷却している。この冷却装置では、高温部品の冷却を空気により行っているため、冷却能力に限界がある。
【0003】
また、冷却対象物を、水を霧状とした空気で冷却する方法も知られている(特許文献2参照)。特許文献2では、押出機で溶融混練され押し出されるポリカーボネート樹脂を、水を霧状とした空気で冷却しつつカッティングし、ペレットとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-258384号公報
【文献】特開2017-197703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の冷却装置では、冷却のための水が連続的に消費されるため、外部から大量の水を供給し続けなければならず、装置の設置条件が限られてしまう。さらに、加熱された空気及び気化した水蒸気がそのまま大気に放出されるため、環境負荷が懸念される。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、外部から大量の水を供給し続ける必要がなく、また、環境負荷を軽減することのできる、水の気化熱を利用した冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では、
冷却対象物を、霧状の水が混合された空気に曝し、水の気化熱を利用して冷却する冷却装置であって、
前記冷却対象物を前記霧状の水が混合された空気で冷却する対象物冷却区間及び前記対象物冷却区間で加熱された空気を冷却する空気冷却区間を含む空気循環路と、前記空気循環路の空気を循環させるファンと、を有する空気循環機構と、
前記空気循環路の前記対象物冷却区間で前記空気に混合される前記水を吐出する吐出部と、前記空気循環路の前記空気冷却区間で凝縮した水が回収されるタンクと、前記タンクの水を前記吐出部へ送出するポンプと、を有する水循環機構と、を備えた冷却装置が提供される。
【0008】
この冷却装置によれば、冷却対象物は、空気循環路の対象物冷却区間で、霧状の水を含む空気に曝され、蒸発する水の気化熱により冷却される。このとき、対象物冷却区間には、空気冷却区間で冷却されて除湿された空気が流入しているので、水の気化が効率よく行われる。対象物冷却区間で加熱及び加湿された空気は、空気冷却区間で冷却及び除湿された後、再び対象物冷却区間へ流入する。従って、加熱された空気が大気へ放出されることはない。
対象物冷却区間で気化した水蒸気は、空気に含まれた状態で空気冷却区間へ流入する。空気冷却区間で空気が冷却されると、飽和水蒸気量が小さくなることから、水蒸気の一部が凝縮する。凝縮した水は、タンクに回収される。タンク内の水は、対象物冷却区間に配置された吐出部へ送出され、再び冷却対象物の冷却に使用される。従って、気化した水蒸気が大気へ放出されることはない。
【0009】
上記冷却装置において、
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、前記空気循環路の前記空気冷却区間に配置され空気を冷却する蒸発器と、をこの順で有し、所定の冷媒が流通する冷凍回路を備え、
前記空気循環路は、前記空気冷却区間で冷却された空気を前記対象物冷却区間に流入する前に加熱する空気加熱区間を含み、
前記冷凍回路は、前記圧縮機と前記膨張弁の間に前記凝縮器と並列に設けられ、前記空気循環路の前記空気加熱区間に配置される空気加熱用の熱交換器を有することが好ましい。
【0010】
この冷却装置によれば、空気冷却区間の空気は冷凍回路の蒸発器により冷却され、空気加熱区間の空気は冷凍回路の熱交換器により加熱される。すなわち、空気冷却区間で冷却及び除湿された空気は、対象物冷却区間に流入する前に加熱されて湿度が低下する。これにより、対象物冷却区間での水の気化をより効率よく行うことができる。
【0011】
上記冷却装置において、
前記水循環機構は、前記吐出部へ送出される前に水を冷却する水冷却部を含み、
前記冷凍回路は、前記蒸発器と前記圧縮機の間に設けられ、前記水冷却部に配置される水冷却用の熱交換器を有することが好ましい。
【0012】
この冷却装置によれば、冷凍回路の熱交換器で冷却された水が対象物冷却区間に供給される。これにより、対象物冷却区間での冷却対象物の冷却効果が増大する。
【0013】
上記冷却装置において、
前記空気循環機構は、前記空気循環路の所定箇所に設置され空気と水を分離する気水分離器を有し、
前記水循環機構は、前記気水分離器で空気から分離された水を前記タンクへ案内する案内路を有することが好ましい。
【0014】
この冷却装置によれば、対象物冷却区間で気化しなかった水は、気水分離器で空気から分離され、案内路を通じてタンクに回収される。
【0015】
上記冷却装置において、
前記水循環機構は、前記タンクの水の貯留量を検出する検出器と、前記検出器にて検出された水の貯留量が所定量を下回ったときに外部から前記タンクに水を補給する貯水量制御部と、を有することが好ましい。
【0016】
この冷却装置によれば、タンクの水の貯留量が所定量を下回ると外部からタンクに水が補給される。これにより、対象物冷却区間に供給される水が不足することはない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷却装置によれば、外部から大量の水を供給し続ける必要がなく、水の気化熱を利用して冷却対象物を冷却することができる。また、冷却に供された空気及び水蒸気がそのまま大気に放出されることはなく、環境負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態を示す冷却装置の概略説明図である。
図2】変形例を示す冷却装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、この冷却装置1は、押出機2から棒状に押し出される溶融樹脂3を冷却する。溶融樹脂3は、連続的に押し出され、冷却装置1で冷却された後にカッターにより切断されてペレットとなる。冷却装置1は、冷却対象物としての溶融樹脂3を、霧状の水が混合された空気に曝し、水の気化熱を利用して冷却する。溶融樹脂3の材料は任意であるが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を用いることができる。冷却装置1は、空気を循環させる空気循環機構10と、水を循環させる水循環機構20と、空気の冷却及び加熱並びに水の冷却を行う冷凍回路30と、を備えている。
【0020】
空気循環機構10は、空気が循環する空気循環路11と、空気循環路の空気を循環させるファン12と、を有する。空気循環路11は、溶融樹脂3を霧状の水が混合された空気で冷却する対象物冷却区間11aと、対象物冷却区間11aで加熱された空気を冷却する空気冷却区間11bと、空気冷却区間11bで冷却された空気を対象物冷却区間11aに流入する前に加熱する空気加熱区間11cと、を含んでいる。また、空気循環機構10は、対象物冷却区間11aから流出した空気を水から分離する気水分離器13を有する。本実施形態においては、気水分離機13は、ファン12の上流側に設けられる。
【0021】
空気循環路11には、溶融樹脂3の入口14及び出口15が形成される。本実施形態においては、入口14及び出口15は、例えばゴム等の溶融樹脂3の移動を許容するシール手段により気密が保たれている。溶融樹脂3は入口14から出口15に掛け渡され、対象物冷却区間11aにわたって延びている。本実施形態においては、空気循環路11の空気の流通方向について、入口14は出口15よりもの下流側に配置される。すなわち、押出機2から押し出される溶融樹脂3は、対象物冷却区間11a内で空気の流通方向と反対方向へ移動する。本実施形態においては、出口15の外側に配置されるカッターが樹脂の送出機構を具備しており、この送出機構により対象物冷却区間11a内の溶融樹脂3が移動させられる。すなわち、カッターの送出機構が、溶融樹脂3の移動機構をなしている。
【0022】
また、空気循環路11には、溶融樹脂3付近で空気を蛇行させる複数のバッフルプレート16が設けられる。本実施形態においては、溶融樹脂3及び対象物冷却区間11aは水平方向へ延び、各バッフルプレート16は通路の上部及び下部に水平方向に間隔をおいて配置される。対象物冷却区間11aには、水循環機構20から水が供給され、霧状の水が混合された空気が溶融樹脂3に沿って蛇行する。
【0023】
また、本実施形態においては、空気循環路11は、対象物冷却区間11aの上流側に設けられた風量調整ダンパ17を有する。風量調整ダンパ17の開度を小さくすると、対象物冷却区間11aの空気の圧力が低下する。
【0024】
水循環機構20は、空気循環路11の対象物冷却区間11aで空気に混合される水を吐出する吐出部21と、空気循環路11の空気冷却区間11bで凝縮した水が回収されるタンク22と、タンク22の水を吐出部21へ送出するポンプ23と、吐出部21へ送出される前に水を冷却する水冷却部24と、を有する。また、水循環機構20は、空気冷却区間11bで凝縮した水をタンク22へ案内する第1案内路25と、空気循環機構10の気水分離器13で空気から分離された水をタンク22へ案内する第2案内路26と、を有している。
【0025】
本実施形態においては、吐出部21は、対象物冷却区間11a内に配置され、溶融樹脂3へ向かって水を噴射する複数の噴霧ノズル21aと、溶融樹脂3の下流側で溶融樹脂3により加熱された空気へ向かって水を噴射する噴霧ノズル21bと、を有する。溶融樹脂3へ向かって水を噴射する各噴霧ノズル21aは、溶融樹脂3に沿って間隔をおいて並べられる。本実施形態においては、各噴霧ノズル21aは、水平方向に延びる溶融樹脂3の上方及び下方に間隔をおいて、各バッフルプレート16が設置されている蛇行区間に配置される。溶融樹脂3の下流側で空気へ向かって水を噴射する噴霧ノズル21bは、各バッフルプレート16が設置されている蛇行区間の下流側に配置される。
【0026】
また、水循環機構20は、タンク22の水の貯留量を検出する検出器27と、検出器27にて検出された水の貯留量が所定量を下回ったときに外部からタンク22に水を補給する貯水量制御部28と、を有している。具体的に、水循環機構20は、外部からのタンク22への水補給路29と、水補給路29に設けられた開閉弁29aと、を有し、貯水量制御部28は、検出器27からの信号に基づいて、開閉弁29aの開閉状態を制御する。
【0027】
冷凍回路30は、圧縮機31と、凝縮器32と、膨張弁33と、蒸発器34と、をこの順で有し、所定の冷媒が流通する。冷媒の種類は任意であるが、例えば、R32、R410A等を用いることができる。蒸発器34は、空気循環路11の空気冷却区間11bに配置され、冷媒と流通空気とで熱交換を行って、流通空気を冷却する。また、凝縮器32は、空気循環路11の外部に配置され、冷媒と外部空気とで熱交換を行う。本実施形態においては、凝縮器32と熱交換された外気を、空気循環路11の出口15から送り出される溶融樹脂3へ案内する導風路32aが設けられる。これにより、冷凍回路30の排熱を利用して、溶融樹脂3の乾燥を促進させることができる。尚、凝縮器32と熱交換された外気を、押出機2へ投入される樹脂原料へ案内するようにしてもよい。この場合、冷凍回路30の排熱を利用して、樹脂原料を予め加熱し、押出機2における樹脂の溶融を促進させることができる。
【0028】
本実施形態においては、冷凍回路30は、圧縮機31と膨張弁33の間に凝縮器32と並列に設けられ、空気循環路11の空気加熱区間11cに配置される空気加熱用の熱交換器35を有する。この熱交換器35は、冷媒と流通空気とで熱交換を行って、流通空気を加熱する。
【0029】
また、本実施形態においては、冷凍回路30は、蒸発器34と圧縮機31の間に設けられ、水循環機構20の水冷却部24に配置される水冷却用の熱交換器36を有する。この熱交換器36は、冷媒と水とで熱交換を行って、水を冷却する。
【0030】
以上のように構成された冷却装置1によれば、溶融樹脂3は、空気循環路11の対象物冷却区間11aで、霧状の水を含む空気に曝され、蒸発する水の気化熱により冷却される。溶融樹脂3により加温及び加湿された空気は、空気冷却区間11bへ流入し、冷凍回路30の蒸発器34により冷却及び除湿される。本実施形態によれば、溶融樹脂3の下流側に噴霧ノズル21bを設けたので、溶融樹脂3により加温された空気が空気冷却区間11bへ流入する前に冷却され、冷凍回路30の蒸発器34の負荷が軽減されている。空気冷却区間11bで冷却及び除湿された空気は、空気加熱区間11cへ流入し、冷凍回路30の熱交換器35により加熱されて湿度が低下する。このように、対象物冷却区間11aに流入する空気は、空気冷却区間11bで除湿された後、空気加熱区間11cで加熱され低湿度となっているので、対象物冷却区間11aでの水の気化を効率よく行うことができる。また、風量調整ダンパ17の開度を小さくすることで、対象物冷却区間11aの圧力を低下させ、水の気化を促進させることができる。
【0031】
対象物冷却区間11aで気化した水蒸気は、空気に含まれた状態で空気冷却区間11bへ流入する。空気冷却区間11bで空気が冷却されると、飽和水蒸気量が小さくなることから、水蒸気の一部が凝縮する。凝縮した水は、第1案内路25を通じてタンク22に回収される。また、対象物冷却区間11aで気化しなかった水は、気水分離器13で空気から分離され、第2案内路26を通じてタンク22に回収される。タンク22内の水は、対象物冷却区間11aに配置された吐出部21へ送出され、再び溶融樹脂3の冷却に使用される。本実施形態によれば、冷凍回路30の熱交換器36で冷却された水が対象物冷却区間11aに供給されるので、対象物冷却区間11aでの溶融樹脂3の冷却効果が増大している。
【0032】
このように、本実施形態の冷却装置1によれば、外部から大量の水を供給し続けることなく、水の気化熱を利用して溶融樹脂3を冷却することができる。また、冷却に供された空気及び水蒸気がそのまま大気に放出されることはなく、環境負荷を軽減することができる。さらに、貯水量制御部28により、タンク22の水の貯留量が所定量を下回ったときに、外部からタンク22に水が補給されるようにしたので、対象物冷却区間11aに供給される水が不足することはない。
【0033】
また、空気循環路11内の空気を溶融樹脂3付近で蛇行させるようにしたので、溶融樹脂3を通過する空気の経路を長くし、霧状の水を含んだ空気による溶融樹脂3の冷却をより効率的に行うことができる。
【0034】
尚、前記実施形態において、例えば図2に示すように、循環する空気を浄化するフィルター10a、循環する水を浄化するフィルター20aを、適宜設けることができる。図2の冷却装置1では、空気循環機構10のフィルター10aが空気加熱区間11cと対象物冷却区間11aの間に設けられるとともに、水循環機構20のフィルター20aが水冷却部24と吐出部21の間に設けられる。例えば、フィルター10aとしてHEPAフィルターを用いることにより、空気循環路11内の空気の高いクリーン度が実現される。また、例えば、フィルター20aとして除菌フィルターを用いることにより、溶融樹脂3の冷却に使用される水の衛生状態を保つことができる。このように、各フィルター10a,20aを設ける構成は、高いクリーン度が要求されるカテーテル等の医療用器具の冷却に好適である。
【0035】
また、前記実施形態においては、気水分離機13をファン12の上流側に設けたものを示したが、気水分離機13の設置個所は任意であり、例えば、気水分離機13を蒸発器34と空気加熱用の熱交換器35の間に設けてもよい。また、気水分離機13を、ファン12の上流側と、蒸発器34と空気加熱用の熱交換器35の間の両方に設けてもよい。
【0036】
また、前記実施形態においては、溶融樹脂3を冷却するものを示したが、他の材料等を冷却するものであってもよく、例えば、熱処理された金属を冷却するものであってもよい。また、溶融樹脂3が入口14から出口15まで掛け渡された状態で押し出されて移動するものを示したが、冷却対象物の移動方法は任意であり、例えば、冷却対象物をベルト等に載置して対象物冷却区間11aを搬送するものであってもよい。この場合、入口14及び出口15は、複数の扉を設けるなどして、空気循環路11の気密を保つ構成とすることが好ましい。
【0037】
また、前記実施形態においては、対象物冷却区間11aが水平方向へ延びるものを示したが、例えば垂直方向へ延びるようにしてもよく、対象物冷却区間11の延在方向は任意に変更することができる。さらに、前記実施形態においては、溶融樹脂3が空気の流通方向と反対方向へ移動するものを示したが、例えば冷却対象物が空気の流通方向と同方向へ移動するようにしてもよく、対象物冷却区間内における冷却対象物の移動方向は任意に変更することができる。
【0038】
また、前記実施形態においては、吐出部21が溶融樹脂3へ向けて水を噴霧する複数の噴霧ノズル21aと、溶融樹脂3の下流側で空気へ向けて水を噴霧する噴霧ノズル21bと、からなるものを示したが、例えば、対象物冷却区間11aの入口で水を吐出する吐出口からなるようにし、対象物冷却区間11a内に霧状の水を行き渡らせてもよい。
【0039】
また、前記実施形態においては、複数のバッフルプレート16により溶融樹脂3付近の空気を蛇行させるものを示したが、要求される冷却能力等に応じ、バッフルプレート16を省略した構成としてもよい。さらに、気水分離機13、空気加熱用の熱交換器35、水冷却用の熱交換器36、導風路32a等も、必要に応じて適宜省略することができる。さらにまた、空気冷却区間11bによる空気の冷却を冷凍回路30以外の手段で行うようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 冷却装置
2 押出機
3 溶融樹脂
10 空気循環機構
10a フィルター
11 空気循環路
11a 冷却対象物冷却区間
11b 空気冷却区間
11c 空気加熱区間
12 ファン
13 気水分離器
14 入口
15 出口
16 バッフルプレート
17 風量調整ダンパ
20 水循環機構
21 吐出部
21a 噴霧ノズル
21b 噴霧ノズル
22 タンク
23 ポンプ
24 水冷却部
25 第1案内路
26 第2案内路
27 検出器
28 貯水量制御部
29 水補給路
29a 開閉弁
30 冷凍回路
31 圧縮機
32 凝縮器
32a 導風路
33 膨張弁
34 蒸発器
35 空気加熱用の熱交換器
36 水冷却用の熱交換器
【要約】
外部から大量の水を供給し続ける必要がなく、また、環境負荷を軽減することのできる、水の気化熱を利用した冷却装置を提供する。冷却対象物3を水の気化熱を利用して冷却する冷却装置1であって、冷却対象物3を霧状の水が混合された空気で冷却する対象物冷却区間11a及び加熱された空気を冷却する空気冷却区間11bを含む空気循環路11を有する空気循環機構10を備えるとともに、対象物冷却区間11bで水を吐出する吐出部21と、空気冷却区間10bで凝縮した水が回収されるタンク22と、タンク22の水を吐出部21へ送出するポンプ22と、を有する水循環機構20を備えた。
図1
図2