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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20220927BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B65G47/90 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018052424
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019162695
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-085439(JP,A)
【文献】特開2014-042965(JP,A)
【文献】特開平03-026445(JP,A)
【文献】特開平11-332486(JP,A)
【文献】特開2013-086186(JP,A)
【文献】特開2015-196580(JP,A)
【文献】特開2016-183451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0119125(US,A1)
【文献】中国実用新案第2602608(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 5/08
B25J 13/00-15/08
B65B 5/10
B65G 47/90
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持する把持部を有し、前記把持部が把持した前記物品を移載先に移載するロボットハンドと、
複数の前記物品が配置される物品領域に前記把持部を差し込んで予め定められた量の前記物品を把持し、把持した前記物品を前記移載先に移載するように前記ロボットハンドの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記把持部が前記物品領域に差し込まれ、前記物品が前記把持部の周囲に配置されるときの前記把持部の位置において、前記把持部内に位置する前記物品を、前記把持部の周りに位置する前記物品から切り離して前記把持部内に寄せ集めるように前記把持部を一旦閉じ、その後に前記把持部を開く開閉動作を、1回以上実行した後に、前記把持部を閉じて予め定められた量の前記物品を把持するように前記ロボットハンドの動作を制御する、物品移載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記把持部が前記物品領域に差し込まれたときの前記把持部の位置において、前記把持部を一旦閉じた後に前記把持部を開きその後に再び前記把持部を閉じるまでの間に、前記把持部の差し込み方向に沿った軸周りに前記把持部が予め定められた第1角度回転するように前記ロボットハンドの動作を制御する、請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記把持部が前記物品領域に差し込まれたときの前記把持部の位置において、前記把持部が閉じた状態のときに、前記把持部の差し込み方向に沿った軸周りに前記把持部が予め定められた第2角度回転するように前記ロボットハンドの動作を制御する、請求項1又は2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記把持部が前記物品領域に差し込まれた状態で前記把持部を一旦閉じた後に前記把持部を開くときの開き量が、前記物品領域に前記把持部が差し込まれるときの前記把持部の開き量よりも小さくなるように前記ロボットハンドの動作を制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記把持部を前記物品領域に差し込み、前記把持部を一旦閉じた後に前記把持部を開く開閉動作を1回以上実行した後に、前記把持部を閉じて予め定められた量の前記物品を把持して前記移載先に移載する一連の動作を、複数回連続して実行するように前記ロボットハンドの動作を制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナに収容された食品等の物品をロボットハンドによって把持し、把持した部分の物品を他の容器等に移載する物品移載装置がある。このような物品移載装置に用いられるロボットハンドが、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-47481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような物品移載装置では、物品の種類によってはロボットハンドによって物品を安定して把持することができず、物品の移載中に物品の一部が脱落してしまうことが考えられる。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、物品を安定して把持可能な物品移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る物品移載装置は、物品を把持する把持部を有し、把持部が把持した物品を移載先に移載するロボットハンドと、複数の物品が配置される物品領域に把持部を差し込んで予め定められた量の物品を把持し、把持した物品を移載先に移載するようにロボットハンドの動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、把持部が物品領域に差し込まれたときの把持部の位置において、把持部を一旦閉じた後に把持部を開く開閉動作を1回以上実行した後に、把持部を閉じて予め定められた量の物品を把持するようにロボットハンドの動作を制御する。
【0007】
この物品移載装置は、複数の物品が配置された物品領域に把持部が差し込まれた状態で、把持部の開閉動作を一回以上行い、その後に把持部を閉じて物品を把持する。すなわち、物品移載装置は、把持部の開閉動作によって把持対象とする予め定められた量の物品を一旦寄せ集めた後、寄せ集めた物品を把持する。このように、寄せ集められた状態の物品を把持部によって把持するため、物品移載装置は、把持部によって物品を安定して把持できる。
【0008】
物品移載装置において、制御部は、把持部が物品領域に差し込まれたときの把持部の位置において、把持部を一旦閉じた後に把持部を開きその後に再び把持部を閉じるまでの間に、把持部の差し込み方向に沿った軸周りに把持部が予め定められた第1角度回転するようにロボットハンドの動作を制御してもよい。この場合、物品移載装置は、把持対象となる予め定められた量の物品に対し、前回把持部を閉じたときとは異なる向きから当接することによって、把持対象となる物品を寄せ集める又は把持できる。このように、異なる向きから把持部によって物品を寄せ集める又は把持するため、物品移載装置は、物品をより一層寄せ集めてさらに安定して把持できる。
【0009】
物品移載装置において、制御部は、把持部が物品領域に差し込まれたときの把持部の位置において、把持部が閉じた状態のときに、把持部の差し込み方向に沿った軸周りに把持部が予め定められた第2角度回転するようにロボットハンドの動作を制御してもよい。この場合、物品移載装置は、複数の物品のうちの一部の物品が把持された状態で把持部を回転させることで、把持部によって把持された物品とその周囲の物品(把持対象外の物品)とを分離させることができる。これにより、物品移載装置は、把持対象となる予め定められた量の物品を安定して把持できる。
【0010】
物品移載装置において、制御部は、把持部が前記物品領域に差し込まれた状態で把持部を一旦閉じた後に把持部を開くときの開き量が、物品領域に把持部が差し込まれるときの把持部の開き量よりも小さくなるようにロボットハンドの動作を制御してもよい。この場合、物品移載装置は、把持部を開く動作のための時間を短縮でき、物品を素早く把持できる。
【0011】
物品移載装置において、制御部は、把持部を物品領域に差し込み、把持部を一旦閉じた後に把持部を開く開閉動作を1回以上実行した後に、把持部を閉じて予め定められた量の物品を把持して移載先に移載する一連の動作を、複数回連続して実行するようにロボットハンドの動作を制御してもよい。この場合、物品移載装置は、物品領域内の複数の物品から予め定められた量の物品を、移載先に順次移載できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、物品を安定して把持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る物品移載装置の概略構成を示す図である。
図2図2(a)は、把持部の側面図である。図2(b)は、把持部を下方から見た図である。
図3】把持部が食材群に差し込まれる様子を示す図である。
図4図4(a)は、把持部材が食材群に差し込まれた様子を示す図である。図4(b)は、予備動作において把持部材が一旦閉じた状態を示す図である。図4(c)は、予備動作において把持部材が開いた状態を示す図である。図4(d)は、把持動作において把持部材が閉じた状態を示す図である。
図5】把持部を回転させることによって食材が把持される位置が変化する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。「上」及び「下」の語は、鉛直方向の「上方」及び「下方」にそれぞれ対応する。
【0015】
図1に示されるように、トレー2内には、複数の食材(物品)B1(図3参照)の集合体である食材群Bが収容(配置)される。物品移載装置1は、トレー2内から予め定められた量の食材B1を取り出し、弁当ケース等の容器3に移載する。具体的には、物品移載装置1は、ロボットハンド10、及び制御部20を備える。
【0016】
ロボットハンド10は、作業台5に載置されたトレー2及び容器3の近傍に設けられる。作業台5上には、複数の容器3が配置される。トレー2及び容器3は、それぞれ上部が開口する箱体である。ロボットハンド10は、トレー2から目標把持量(予め定められた量)の食材B1を取り出し、複数の容器3に順次移載する。ロボットハンド10は、アーム部11、及び把持部12を備える。
【0017】
把持部12は、アーム部11の先端部に取り付けられる。アーム部11は、複数の関節を有している。アーム部11は、旋回及び関節を屈曲させることにより、把持部12を所望の位置に移動させることができる。アーム部11の動作は、制御部20により制御される。アーム部11は、制御部20から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0018】
把持部12は、食材群Bから、食材B1の一部を把持する。本実施形態において、把持部12は、図2(a)及び図2(b)に示されるように、本体部12a、3つの把持部材12b、及び駆動部12cを備える。本体部12aは、中心軸Cを有する筐体である。本体部12aは、例えば、円柱状の外形を呈する。本体部12aは、例えば、金属で形成される。本体部12aは、アーム部11の先端部に取り付けられる。
【0019】
把持部材12bは、棒状の部材である。把持部材12bは、例えば、樹脂、金属等で形成される。把持部材12bは、本体部12aから下方へ突出するように、本体部12aに取り付けられる。3つの把持部材12bは、中心軸Cを中心とする仮想円上にそれぞれ配置される。3つの把持部材12bは、当該仮想円の周方向において、等間隔(120°間隔)で配置される。
【0020】
また、把持部材12bは、移動可能に本体部12aに設けられる。具体的には、把持部材12bは、駆動部12cによって駆動されることにより移動する。駆動部12cは、把持部材12bを、中心軸Cに近づく方向及び中心軸Cから離れる方向に移動させる。駆動部12cは、3つの把持部材12bを同期して移動させる。これにより、3つの把持部材12bは、互いに近づく方向及び互いに離れる方向に移動する。駆動部12cは、例えば、モータ及びリンク機構を含んで構成される。駆動部12cの動作は、制御部20により制御される。駆動部12cは、制御部20から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0021】
図3に示されるように、アーム部11が把持部12を鉛直方向に沿って上方から下方に向かって移動させることよって、把持部12の把持部材12bが食材群Bに差し込まれる。つまり、把持部12の食材群Bへの差し込み方向は、鉛直方向と一致している。なお、把持部12は、食材群Bに差し込まれるときに、中心軸Cの延在方向が鉛直方向と一致するようにアーム部11によって傾きが調整される。続いて、駆動部12cが3つの把持部材12bを互いに近づく方向に移動させることにより、把持部12は、3つの把持部材12bに内接する内接円R(図2(b)参照)よりも内側に位置する食材B1を把持する。
【0022】
把持部12によって把持される食材B1の把持量(把持された食材B1の質量)は、食材群Bに差し込まれる把持部材12bの差し込み深さと、把持部材12bが食材群Bに差し込まれるときの3つの把持部材12bの開き量とによって定まる。把持部12は、食材群Bへの把持部材12bの差し込み深さが深いほど、多くの量の食材B1を把持できる。把持部12は、3つの把持部材12bの開き量が大きいほど、多くの量の食材B1を把持できる。
【0023】
ロボットハンド10は、トレー2内の食材群Bに把持部12の把持部材12bを差し込んで、食材群Bから食材B1の一部を把持する。続いて、ロボットハンド10は、アーム部11を動作させることによって、移載先の容器3の上方へ把持部12を移動させる。そして、ロボットハンド10は、把持部12から食材B1を解放することで、把持した食材B1を移載先の容器3に移載することができる。
【0024】
制御部20は、ロボットハンド10の動作を制御する。制御部20は、ロボットハンド10内に収容されてもよく、ロボットハンド10の外部に設けられてもよい。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する電子制御ユニットである。制御部20は、制御信号をロボットハンド10に出力することによって、ロボットハンド10の動作を制御する。
【0025】
具体的には、制御部20は、トレー2内の食材群B(食材B1が載置される物品領域)に把持部材12bを差し込んで予め定められた量の食材B1を把持し、把持した食材B1を移載先の容器3に移載するようにロボットハンド10の動作を制御する。このとき、制御部20は、上述したように、予め定められた量の食材B1が把持部12によって把持されるように、把持部材12bを食材群Bに差し込むときの差し込み深さ及び開き量を制御する。
【0026】
ここで、制御部20は、把持部材12bが食材群Bに差し込まれたときの把持部12(本体部12a)の位置において、3つの把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開く開閉動作を1回以上実行する。そして、制御部20は、把持部材12bの開閉動作の後に、把持部材12bを閉じて予め定められた量の食材B1を把持するようにロボットハンド10の動作を制御する。
【0027】
より詳細には、制御部20は、予め定められた量の食材B1が把持できるように、把持部材12bを食材群Bに差し込むときの差し込み深さ及び開き量を決定する。制御部20は、決定した把持部材12bの開き量となるように把持部12の動作を制御する。続いて、制御部20は、図4(a)に示されるように、決定した差し込み深さまで把持部材12bが食材群Bに差し込まれるようにロボットハンド10の動作を制御する。
【0028】
把持部材12bが食材群Bに差し込まれた後、制御部20は、図4(b)に示されるように、3つの把持部材12bを一旦閉じるように把持部12の動作を制御する。これにより、3つの把持部材12bの内側に位置する予め定められた量の食材B1が、周囲の食材B1から切り離されて寄せ集められる。そして、制御部20は、図4(c)に示されるように、再度、把持部材12bが開くように把持部12の動作を制御する。
【0029】
なお、制御部20は、把持部材12bが食材群Bに差し込まれた状態で把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開くときの開き量が、食材群Bに把持部材12bが差し込まれるときの把持部材12bの開き量よりも小さくなるように把持部12の動作を制御する。すなわち、制御部20は、図4(c)に示されるように把持部材12bを再度開くときの開き量が、図4(a)に示されるように把持部材12bが食材群Bに差し込まれるときの把持部材12bの開き量よりも小さくなるように、把持部12の動作を制御する。図4(c)では、中心軸Cから把持部材12bまでの長さL(開き量)が、図4(a)に示される長さLよりも短くなっている。
【0030】
制御部20は、把持部材12bが食材群Bに差し込まれたときの把持部12の位置において、図4(b)及び図4(c)に示されるように3つの把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開く開閉動作を、1回以上把持部12に実行させる。以下、図4(b)及び図4(c)に示されるように把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開く開閉動作を、「予備動作」と称する。制御部20は、図4(b)及び図4(c)に示される予備動作を、1回以上把持部12に実行させる。つまり、把持部12は、予備動作によって食材B1を寄せ集める。
【0031】
把持部材12bの予備動作の後、制御部20は、図4(d)に示されるように、把持部材12bを閉じて食材B1を把持するように把持部12を制御する。その後、制御部20は、把持した食材B1を移載先の容器3へ移載するようにロボットハンド10の動作を制御する。以下、図4(d)に示されるように、食材B1を移載先に移載するために把持部材12bを閉じて食材B1を把持する動作を「把持動作」と称する。
【0032】
ここで、制御部20は、把持部材12bが食材群Bに差し込まれたときの把持部12の位置において、把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開きその後に再び把持部材12bを閉じるまでの間に、中心軸C周り(把持部12の差し込み方向に沿った軸周り)に把持部12が予め定められた第1角度回転するようにロボットハンド10の動作を制御する。すなわち、制御部20は、図5に示されるように、把持部12を第1角度回転させることで、把持部材12bを閉じたときに把持部材12bが食材B1を把持する位置を変化させる。
【0033】
なお、制御部20は、図4(b)及び図4(c)に示される予備動作を複数回実行させる場合、予備動作中において把持部材12bを閉じる毎に、把持部12を第1角度回転ずつ回転させてもよい。また、制御部20は、予備動作において把持部材12bを閉じた後、把持動作において把持部材12bを閉じるまでの間に、把持部12を第1角度回転させてもよい。
【0034】
また、制御部20は、把持部材12bが食材群Bに差し込まれたときの把持部12の位置において、把持部材12bが閉じた状態のときに、中心軸C周りに把持部12が予め定められた第2角度回転するようにロボットハンド10の動作を制御する。つまり、制御部20は、把持部材12bが閉じた状態で把持部12全体を第2角度回転させる。
【0035】
なお、制御部20は、図4(b)に示されるように、予備動作において把持部材12bが閉じた状態のときに、把持部12を第2角度回転させてもよい。また、制御部20は、図4(d)に示されるように、把持動作において把持部材12bが閉じた状態のときに、把持部12を第2角度回転させてもよい。なお、この第2角度は、上述した第1角度と同じ角度であってもよく、異なる角度であってもよい。
【0036】
制御部20は、図4(a)~図4(d)を用いて説明した一連の動作を繰り返し実行するようにロボットハンド10の動作を制御し、複数の容器3に食材B1を順次移載する。すなわち、制御部20は、把持部材12bを食材群Bに差し込み、把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開く開閉動作(予備動作)を1回以上実行した後に、把持部材12bを閉じて予め定められた量の食材B1を把持する一連の動作を、複数回連続して実行するようにロボットハンド10の動作を制御する。
【0037】
以上のように、物品移載装置1は、食材群Bに把持部材12bが差し込まれた状態で、把持部材12bの開閉動作(予備動作)を一回以上行い、その後に把持部材12bを閉じて食材B1を把持する。すなわち、物品移載装置1は、把持部材12bの開閉動作によって把持対象とする予め定められた量の食材B1を一旦寄せ集めた後、寄せ集めた食材B1を把持する。このように、寄せ集められた状態の食材B1を把持部材12bによって把持するため、物品移載装置1は、把持部12によって食材B1を安定して把持できる。
【0038】
物品移載装置1は、把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開き、その後に再び把持部材12bを閉じるまでの間に、把持部12を中心軸C周りに第1角度回転させる。この場合、物品移載装置1は、把持対象となる予め定められた量の食材B1に対し、把持部材12bを前回閉じたときとは異なる向きから当接することによって、食材B1を寄せ集める又は把持できる。このように、異なる向きから把持部材12bによって食材B1を寄せ集める又は把持するため、物品移載装置1は、食材B1をより一層寄せ集めてさらに安定して把持できる。
【0039】
物品移載装置1は、把持部材12bが閉じた状態で、把持部12を中心軸C周りに第2角度回転させる。このように、物品移載装置1は、食材群Bの一部の食材B1が把持された状態で把持部12を回転させることで、把持部材12bによって把持された食材B1とその周囲の食材B1(把持対象外の食材B1)とを分離させることができる。これにより、物品移載装置1は、把持対象となる予め定められた量の食材B1を安定して把持できる。
【0040】
制御部20は、把持部材12bが食材群Bに差し込まれた状態で把持部材12bを一旦閉じた後に把持部材12bを開くときの開き量が、食材群Bに把持部材12bが差し込まれるときの把持部材12bの開き量よりも小さくなるように把持部12の動作を制御する。この場合、物品移載装置1は、把持部材12bを開く動作のための時間を短縮でき、食材B1を素早く把持できる。
【0041】
物品移載装置1は、把持部材12bを食材群Bに差し込み、把持部材12bの予備動作を1回以上実行した後に、把持部材12bを閉じて予め定められた量の食材B1を把持して移載先に移載する一連の動作を、複数回連続して実行する。この場合、物品移載装置1は、食材群Bから予め定められた量の食材B1を、移載先の複数の容器3に順次移載できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、把持部12が3つの把持部材12bを有する形態を一例に説明した。しかし、把持部12は、少なくとも2つの把持部材を有していればよい。把持部12は、食材B1を把持する構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0043】
上記の実施形態において物品移載装置1は、トレー2内の食材B1を把持して容器3に移載した。しかしながら、物品移載装置1は、移載対象として食材B1以外の種々の物品を移載できる。また、物品移載装置1は、トレー2から容器3へ食材B1を移載することに限定されず、種々の用途に用いられてもよい。
【0044】
また、ロボットハンド10は、把持部12を水平方向及び鉛直方向の両方に移動させる構成に限定されない。例えば、ロボットハンド10のアーム部11は、把持部12を鉛直方向にのみ移動させ、かつ把持部12を鉛直方向に沿った軸周りに回転させる構成であってもよい。この場合、物品移載装置1は、食材群Bが収容されたトレー2と空の容器3とを、把持部12の下方の位置に交互に搬送する搬送装置を備える。ロボットハンド10は、把持部12の下方に搬送されたトレー2に向けて把持部12を降下させて食材B1を把持し、把持部12を上昇させる。そして、ロボットハンド10は、把持部12の下方に搬送された空の容器3に向けて把持部12を降下させて、容器3内に食材B1を投下することにより、食材B1を移載できる。
【0045】
また、把持部12には、把持部材12bを閉じて食材B1を把持するときの力(駆動部12cのトルク)が予め設定されていてもよい。この場合、把持部12は、予め設定された力で把持部材12bを閉じることができる位置まで把持部材12bを移動させる。すなわち、把持部12は、食材B1の把持状態によっては、目標閉じ位置に把持部材12bが到達する前に把持部材12bを閉じる動作を停止してもよい。これにより、把持部12は、把持部材12bを閉じて食材B1を把持するときに、食材B1の損傷を抑制できる。
【符号の説明】
【0046】
1…物品移載装置、3…容器(移載先)、10…ロボットハンド、12…把持部、20…制御部、B1…食材(物品)。
図1
図2
図3
図4
図5