(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
(21)【出願番号】P 2018064206
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】青山 俊也
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-312750(JP,A)
【文献】特開2006-020955(JP,A)
【文献】特開平04-317678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を第一経路に案内する第一案内位置と、前記遊技球を前記第一経路とは異なる第二経路に案内する第二案内位置との間を移動する案内部材と、
前記案内部材に摺動可能に接触し、
前記第一経路及び前記第二経路と異なる第三経路に案内される前記遊技球との接触によって移動し、前記案内部材を前記第一案内位置から前記第二案内位置に移動させる移動部材と
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第二経路に案内される前記遊技球との接触によって回転する回転体と、
前記回転体に接触し、前記回転体の回転によって
付勢されることで前記移動部材を
移動可能な状態とする可動部材
と、
を備え、
前記移動部材は、
前記可動部材により移動可能な状態となった場合、自重により移動して前記案内部材を前記第
二案内位置から前記第
一案内位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記案内部材を前記第一案内位置から前記第二案内位置に移動させるときの前記移動部材の移動方向とは反対方向から、前記移動部材に対向する対向部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球を案内する経路を切り替える遊技機が知られている。例えば、特許文献1に開示される遊技機は、モータ、右回転体、及び、左回転体を備える。右回転体は、モータの駆動力により回転する。右回転体は、その回転位置に応じて、受け入れた遊技球を、左回転体へと至る経路、又は、左回転体とは異なる部材へと至る経路のいずれかに案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記遊技機は、右回転体の駆動源となるモータを備える必要がある。従って、遊技機の機構が複雑になる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、遊技球を案内する経路を簡易な機構で切り替えることができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、遊技球を第一経路に案内する第一案内位置と、前記遊技球を前記第一経路とは異なる第二経路に案内する第二案内位置との間を移動する案内部材と、前記案内部材に摺動可能に接触し、前記第一経路及び前記第二経路と異なる第三経路に案内される前記遊技球との接触によって移動し、前記案内部材を前記第一案内位置から前記第二案内位置に移動させる移動部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、案内部材は、遊技球が流下する力で、第一案内位置から第二案内位置に移動する。よって、遊技機は遊技球を案内する経路を簡易な機構で切り替えることができる。
【0008】
前記遊技機は、前記第二経路に案内される前記遊技球との接触によって回転する回転体と、前記回転体に接触し、前記回転体の回転によって付勢されることで前記移動部材を移動可能な状態とする可動部材と、を備え、前記移動部材は、前記可動部材により移動可能な状態となった場合、自重により移動して前記案内部材を前記第二案内位置から前記第一案内位置に移動させてもよい。この場合、遊技機は、自重により移動する移動部材によって案内部材を第二案内位置から第一案内位置に移動させることができる。
【0009】
前記遊技機において、前記案内部材を前記第一案内位置から前記第二案内位置に移動させるときの前記移動部材の移動方向とは反対方向から、前記移動部材に対向する対向部材を備えてもよい。案内部材が誤作動で第一案内位置から第二案内位置に移動するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】移動部材80、規制部材90、及び案内部材100の斜視図である。
【
図8】閉状態と開状態の間を変化する入球装置30の流れを示す説明図である。
【
図9】
図8に続く、入球装置30の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技機の実施形態の一例であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1および
図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(
図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球Pを供給し、且つ賞球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上部の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。
【0013】
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4には、枠体67が取り付けられている。枠体67の上部は、円弧状に湾曲した形成されたガイドレール20である。遊技領域4の下部には、上方から順に、第一特別図柄始動電動役物14及びアウト口19が設けられている。遊技領域4の右部には、普通電動役物18が設けられる。普通電動役物18に入球した遊技球Pは、振分装置(図示略)によって、排出流路(図示略)又は後述の第三経路43(
図3参照)に振り分けられる。普通電動役物18の下方には、二つの入球装置30が上下方向に並ぶ。入球装置30は、所定タイミングで遊技球Pが入球可能となる装置である。入球装置30の詳細は後述する。
【0014】
図示しないが、パチンコ機1の背面側には制御部(図示略)が設けられている。制御部は、主基板、サブ制御基板、及び払出制御基板等を備える。各基板は、CPU、RAM、ROM等を備えており、パチンコ機1の各種動作を制御する。例えば、主基板は、普通当たり判定、大当たり判定等を行い、パチンコ機1の主制御を司る。サブ制御基板は、主基板から受信するコマンドに従って、表示装置28等を駆動制御する。主基板は、第一特別図柄始動電動役物14等に接続されている。サブ制御基板は、主基板で行われた各種判定の結果等に基づいて、各種演出動作を実行する。サブ制御基板は、表示装置28の表示制御を行う演出制御基板等に接続されている。払出制御基板は、パチンコ機1に設けられた賞球払出装置(図示略)を、主制御基板から送信されるコマンドに応じて駆動し、賞球としての遊技球を上皿5に払い出させる。
【0015】
図2、
図3を参照し、入球装置30の概要を説明する。入球装置30の前部には、上下方向に開口する開口穴49が形成される。開口穴49に進入した遊技球Pは、入球し損ねると下方にある第一経路41を流下し、入球すると後方にある第二経路42を流下する。入球装置30は、閉状態と開状態の間で変化する。遊技球Pは、閉状態である入球装置30には入球できない。そして、入球装置30の後部に形成された第三経路43を流下する遊技球Pの力によって、入球装置30は閉状態から開状態に切り替わる。入球装置30は、所定の球数である規定球数が入球すると、第二経路42を流下する遊技球Pの力によって開状態から閉状態に変化する。つまり、入球装置30の状態(開状態と閉状態)は、遊技球Pの流下する力によって切り替わる。
【0016】
図3~
図7を参照し、入球装置30の構造を説明する。以下では、入球装置30の閉状態を基準にして、構造説明する。
【0017】
図3、
図4に示すように、入球装置30は、前壁部39、誘導部38、及び筐体40を備える。前壁部39は正面視で矩形状の板状体である。誘導部38は、前壁部39を前後方向に貫通する入球口39Aを前方から覆うように設けられた略箱状である。誘導部38と前壁部39とによって、上下方向に開口する開口穴49が形成される。開口穴49の内側には上方から順に、凸部31と傾斜部32とが設けられる。凸部31は、前壁部39から前方に突出し、左右方向に延びる。傾斜部32は、凸部31の前下方且つ入球口39Aの前上方に配置される。傾斜部32は下側に向けて後方へ傾斜する。入球口39Aの上方となる前壁部39後面には、緩衝材37が固定される。緩衝材37は、衝撃を吸収可能な部材であり、本実施形態では弾性変形可能な部材によって形成される。
【0018】
筐体40は前壁部39の後方に設けられる。筐体40は、左右方向に沿って隙間を空けて配置された一対の側壁部45と、一対の側壁部45の上端部を連結する連結壁部44とを備える。入球口39Aを通過した遊技球Pは、一対の側壁部45の間に形成された第二経路42を流下する(矢印A)。入球口39Aに入球し損ねた遊技球Pは、第一経路41を流下する(矢印B)。一対の側壁部45には、左右方向を軸方向とする軸部材59,69,79,89,99(後述)が固定される。
【0019】
また、筐体40の後部には上下方向に延びる第三経路43が形成される。第三経路43は、普通電動役物18に入球する遊技球Pの流下経路と連通しており、この流下経路に設けられた振分装置(図示略)によって振り分けられた特定の遊技球Pのみが、第三経路43を流下する(矢印C)。第三経路43の左側の内壁上部には、案内部43Aが設けられる。案内部43Aは、下側に向けて第三経路43の内側(本実施形態では右側)へ傾斜する平面である。
【0020】
図4に示すように、一対の側壁部45の間には、回転体50、作動部材60、移動部材80、可動部材70、規制部材90、及び案内部材100(
図6参照)が設けられる。
【0021】
図4、
図5に示すように、回転体50は入球口39Aの後下方に配置される。回転体50は、一対の側壁部45に固定された軸部材59によって、回転自在に支持される。回転体50は、六つの当接部53、三つの第一対向部51、及び三つの第二対向部52を備える。当接部53は、回転体50の左右方向中央部に形成される。当接部53は、軸部材59に向けて凹む円弧状の湾曲面であり、遊技球Pの半径と略同じ曲率半径を有する。六つの当接部53は、軸部材59を中心とした周方向に沿って等間隔に配置される。
【0022】
三つの第一対向部51は、当接部53の右側に配置されると共に、軸部材59を中心とした周方向に沿って等間隔に配置される。各第一対向部51は、周方向に沿って隣接し合う二つの当接部53の連結部分と、左右方向に隣り合う。各第一対向部51の形状は、軸部材59の周方向に対称な形状である。各第一対向部51は、軸部材59から離間するに従って先細る。三つの第二対向部52は、当接部53の左側に配置される。三つの第二対向部52は三つの第一対向部51と互いに左右対称である。
【0023】
軸部材59の周方向における第一対向部51の両端面のうちで、軸部材59の径方向外側部分は、当接部53の径方向外側端部と単一の湾曲面を形成する。第一対向部51と左右対称な第二対向部52の両端面についても同様である。つまり、第一対向部51、第二対向部52、及び当接部53によって形成される湾曲する面が合計で六つある。これら六つの湾曲する面のうちで、右側面視で反時計回り側における第一対向部51と第二対向部52との端面、及び、当接部53によって形成される湾曲する面を「湾曲面S」と称す(
図5参照)。湾曲面Sは、合計で三つ形成される。
【0024】
図4に示すように、作動部材60は、軸部材59の後上方で一対の側壁部45に固定された軸部材69によって、回転自在に支持される。作動部材60は、筒状部62と突出部63を備える。筒状部62は、左右方向に沿う円筒状である。筒状部62は、軸部材69の前方、且つ回転体50の後上方に配置される。筒状部62が湾曲面Sに摺動可能に上方から接触することで、作動部材60は回転体50の回転を規制する。突出部63は、筒状部62から上方に突出する。作動部材60の重心位置は軸部材69よりも前方であり、筒状部62が回転体50に接触する位置で作動部材60は位置決めされている。
【0025】
回転体50の回転位置について説明する。回転体50の回転位置は、非作動回転位置(
図7、
図8(a)、
図9(b)参照)と、作動回転位置(
図8(c)参照)とに切り替わる。非作動回転位置は、いずれかの第一対向部51と第二対向部52とが、作動部材60の筒状部62に下方から接触する回転体50の回転位置である。作動回転位置は、いずれかの第一対向部51と第二対向部52とが、前方から作動部材60の筒状部62に接触する回転体50の回転位置である。回転体50が略60°回転する度に、回転体50の回転位置は切り替わる。
【0026】
図4、
図6に示すように、移動部材80は、軸部材69の後上方で一対の側壁部45に固定された軸部材89によって、回転自在に支持される。移動部材80は、球当接部81、板部83、開口部84、及びピン85を備える。球当接部81は、軸部材89の後方に設けられた板状体であり、軸部材89の周方向に厚さを有する。球当接部81は、第三経路43を流下する遊技球Pと接触可能である。球当接部81には、球当接部81の厚さ方向に開放された孔81Aが形成される。板部83は、軸部材89の前側に設けられた板状体であり、軸部材89の周方向に厚さを有する。開口部84は、板部83を厚さ方向に貫通する。以下、開口部84を取り囲む板部83の内表面のうちで、軸部材89側にある内表面を「内面84A」と称す。ピン85は、板部83のうちで軸部材89とは反対側の端部に固定され、左右方向に延びる。移動部材80の重心位置は軸部材89の前側にある。板部83が作動部材60の突出部63の上端に接触する回転位置で移動部材80は位置決めされている。
【0027】
図4、
図5、
図7に示すように、可動部材70は、軸部材89の前上方で一対の側壁部45に固定された軸部材79によって、回転自在に支持される。可動部材70は、円筒部72、壁部73、及び一対のフック部75を備える。円筒部72は、軸部材79の前側、且つ緩衝材37の上方に配置される。円筒部72は左右方向に沿う。壁部73は、円筒部72の下方に配置されており、軸部材79を中心とした周方向に厚さを有する。一対のフック部75は、壁部73から下方に延びると共に、左右方向に沿って隙間を空けて配置される。一対のフック部75は、第一対向部51及び第二対向部52と同じ左右方向位置にある。円筒部72の内部には重り78が収容されており、可動部材70の重心位置は軸部材89よりも前側にある。壁部73が前方から移動部材80のピン85に接触する回転位置で可動部材70は位置決めされている。
【0028】
可動部材70は、第一規制位置(
図8(a)参照)と退避位置(
図7参照)との間を、第二規制位置(
図9(a)参照)を経由して回転移動する。第一規制位置(
図8(a)参照)は、一対のフック部75が、作動部材60の筒状部62に前方から近接して対向する可動部材70の回転位置である。このとき、一対のフック部75は、筒状部62に摺動可能に接触し、且つ、円筒部72は緩衝材37に上方から接触する。一対のフック部75と筒状部62との接触により、第一規制位置にある可動部材70は、作動部材60の上方への移動を規制できる(つまり、第一規制位置にある可動部材70は回転体50の回転を規制できる)。可動部材70が第一規制位置にあるとき、回転体50の回転位置は非作動回転位置である。
【0029】
退避位置(
図7参照)は、第一規制位置から後方に退避した可動部材70の回転位置である。このとき、一対のフック部75は、回転体50の後上方に配置され、円筒部72は緩衝材37から上方に離間する。退避位置にある可動部材70は、作動部材60の上下動と、回転体50の回転を規制しない。可動部材70が退避位置にあるとき、回転体50の回転位置は非作動回転位置である。
【0030】
第二規制位置(
図9(a)参照)は、第一規制位置よりも僅かに後方となる可動部材70の回転位置である。このとき、一対のフック部75は、それぞれ、第一対向部51と第二対向部52とに接触し、円筒部72は緩衝材37から上方に離間する。一対のフック部75と第一対向部51及び第二対向部52との接触により、第二規制位置にある可動部材70は回転体50の回転を規制できる(つまり、第二規制位置にある可動部材70は作動部材60の上方への移動を規制できる)。可動部材70が第二規制位置にあるとき、回転体50の回転位置は、作動回転位置である。
【0031】
図4、
図6に示すように、規制部材90は、軸部材89の前上方で一対の側壁部45に固定された軸部材99によって、回転自在に支持される。規制部材90は、球当接部91、筒状部92、及び接触突部93を備える。球当接部91は、軸部材99の後方に設けられた板状体であり、第三経路43に進入する。球当接部91は、移動部材80の孔81Aに進入可能である。筒状部92は、軸部材99の前下方に配置された左右方向に延びる円筒状である。接触突部93は、筒状部92から下側に突出する。接触突部93は、移動部材80の内面84Aよりも後方にあり、微小な隙間を空けて板部83に上方から対向する。筒状部92は内部に重り98を収容する。これにより、規制部材90の重心位置は、軸部材99よりも前側となる。規制部材90は、球当接部91が筐体40の連結壁部44の下端に接触する回転位置で位置決めされる。
【0032】
図6に示すように、案内部材100は、開口穴49(
図3参照)に進入した遊技球Pを第一経路41又は第二経路42に案内する部材である。案内部材100は、一対の対向壁部105、一対の支軸部109、一対の摺動孔107、及び一対の連結棒108を備える。一対の対向壁部105は、左右方向に隙間を空けて対向する。一対の対向壁部105の間には、可動部材70の一対のフック部75が配置される。一対の支軸部109はそれぞれ一対の対向壁部105から左右方向外側に向けて突出する円柱体であり、誘導部38(
図3参照)によって回転自在に支持される。一対の摺動孔107はそれぞれ一対の対向壁部105を左右方向に貫通しており、前後方向に延びる。一対の摺動孔107には、移動部材80のピン85が摺動可能に嵌る(つまり、移動部材80は案内部材100に摺動可能に接触する)。案内部材100は、移動部材80の回転に従動して、支軸部109を中心に回転する。一対の連結棒108は、前下方から後上方に沿って隙間を空けて配置される。各連結棒108は、左右方向に延び、一対の対向壁部105を連結する。以下、一対の連結棒108の間の隙間を、案内孔110と称す。案内孔110は、遊技球Pが通過可能な隙間である。
【0033】
案内部材100の重心位置は、支軸部109よりも後下方にある。従って、案内部材100は、支軸部109を中心に右側面視で反時計回りに付勢されており、移動部材80の板部83と作動部材60の突出部63との接触により回転を規制されている。
【0034】
案内部材100は、第一案内位置(
図7、
図9(d)参照)と第二案内位置(
図8(a)参照)との間を回転可能である。案内部材100は、右側面視で反時計回りに回転することで、第二案内位置から第一案内位置に到達する。
【0035】
案内部材100が第一案内位置にある場合(
図7参照)、前側の連結棒108は傾斜部32の下方にあり、後側の連結棒108は入球口39Aの上下方向略中心に配置される。このとき、開口穴49に進入した遊技球Pは、後側の連結棒108によって入球口39Aへの入球が不能となり、案内孔110を通過して第一経路41に案内される。案内部材100が第二案内位置にある場合(
図8(a)参照)、前側の連結棒108は開口穴49の前後方向略中心に配置され、後側の連結棒108は入球口39Aの後上方に配置される。このとき、開口穴49に進入した遊技球Pは、前側の連結棒108によって、第一経路41に流下不能となり、案内孔110して入球口39Aへ入球する。結果、遊技球Pは、第二経路42に案内される。
【0036】
図7を参照し、閉状態の入球装置30に流下する遊技球Pの流下経路を説明する。上述したように、入球装置30が閉状態であるとき、案内部材100は第一案内位置にあり、可動部材70は退避位置にあり、回転体50は非作動回転位置にある。
【0037】
開口穴49に進入した遊技球Pは、凸部31、傾斜部32に当たり、減速しながら流下した後、一対の連結棒108まで到達する。後側にある連結棒108によって入球口39Aへの入球を規制された遊技球Pは、案内孔110を通過して、第一経路41に案内される。入球装置30が閉状態であるとき、開口穴49に進入する遊技球Pは、すべて第一経路41に振り分けられる。
【0038】
図7~
図9を参照し、閉状態と開状態との間で変化する入球装置30の動作を説明する。動作開始前、入球装置30は閉状態である。
【0039】
図7、
図8(a)に示すように、遊技球Pが第三経路43を流下する。例えば大当たり判定がなされた場合に、振分装置(図示略)は、普通電動役物18(
図2参照)に入球した遊技球Pを一球だけ第三経路43に向けて振り分けることで、第三経路43に遊技球Pが流下する。遊技球Pは、案内部43Aに当たって減速し且つ球当接部91に向けて案内される。遊技球Pは、案内部43Aに当たることなく球当接部91に到達してもよい。
【0040】
遊技球Pは、球当接部91を押し下げながら流下する。規制部材90は右側面視で時計回りに回転し、接触突部93は内面84Aから大きく離間し、球当接部91は、移動部材80の孔81Aに進入する。次いで、遊技球Pは、移動部材80の球当接部81に当たって押し下げる。移動部材80は右側面視で時計回りに回転する。移動部材80のピン85は、可動部材70の壁部73と案内部材100の一対の摺動孔107とに対して摺動しながら、上方に移動する。ピン85が壁部73に対して上方に摺動するに従い、可動部材70は右側面視で反時計回りに回転する。同時に、ピン85が一対の摺動孔107に対して摺動することで、第一案内位置にあった案内部材100は、右側面視で反時計回りに回転する。
【0041】
ピン85が壁部73に乗り上げるタイミングで、案内部材100は第二案内位置に到達する。ピン85が乗り上げることで、可動部材70は、右側面視で反時計回りに回転する。円筒部72が緩衝材37に接触した後に、一対のフック部75は作動部材60の筒状部62に接触し、可動部材70は停止する(
図8(a)参照)。
【0042】
図8(a)、(b)に示すように、遊技球Pが球当接部91から下方に離間することで、規制部材90は右側面視で反時計回りに回転する。接触突部93が内面84Aに接触する回転位置にて、規制部材90は停止する。接触突部93と内面84Aとの接触により、移動部材80は、軸部材89を中心とした右側面視反時計回りへの回転を規制され、それ故、案内部材100は第二案内位置から第一案内位置に向けた回転を規制される。
【0043】
図8(b)、(c)に示すように、案内部材100が第二案内位置に到達した後に最初に開口穴49に進入した遊技球P(以下、便宜上「遊技球P1」と称す)は、前側の連結棒108に当たって後方に案内され、案内孔110と入球口39Aを通過して回転体50に到達する。遊技球P1は、回転体50のうちで一つの当接部53のみに当たる。遊技球P1の流下する力によって、回転体50は右側面視で反時計回りに約60°回転する(
図8(c)の矢印R1)。回転する回転体50は、遊技球P1を第二経路42に案内する。
【0044】
回転する回転体50の当接部53によって、作動部材60の筒状部62は上方に押し上げられる。作動部材60の突出部63は、移動部材80の板部83には到達しない。別の当接部53が、筒状部62の下方まで回転移動し、第一対向部51と第二対向部52(
図5参照)は一対のフック部75部に接触して前方に付勢する。可動部材70は、第一規制位置から第二規制位置に向けて回転する。これにより壁部73は前方に変位するが、ピン85は壁部73によって支持されたままなので、案内部材100は回転しない。つまり、案内部材100は第二案内位置に配置されたままとなる。
【0045】
回転体50の回転に伴い徐々に下降する筒状部62が、下方にある当接部53に嵌ることで、回転体50は回転停止する(
図8(c)参照)。これにより、回転体50の回転位置は、非作動回転位置から作動回転位置に切り替わり、可動部材70は第二規制位置で停止する。筒状部62は、回転体50の当接部53と湾曲面S(
図5参照)に摺動可能に接触する。遊技球P1に続く二球の遊技球P(以下、便宜上、先頭から順に「遊技球P2」、「遊技球P3」と称す)が開口穴49を進入する(
図8(c)参照)。
【0046】
図9(a)、(b)に示すように、遊技球P2は、前側の連結棒108によって回転体50に向けて案内される。遊技球P2は、回転体50の当接部53と湾曲面Sに接触して、回転体50を右側面視反時計回りに回転させる。遊技球P2は、回転体50の回転によって、第二経路42に案内される。
【0047】
回転体50の回転によって、第一対向部51と第二対向部52(
図5参照)が、それぞれ一対のフック部75を前方に付勢し、可動部材70は、第二規制位置から右側面視反時計回りに回転する。可動部材70の回転によって、壁部73はピン85よりも前方に変位する。これにより、移動部材80は、自重によって右側面視で反時計回りに回転する。移動部材80の回転により前下方に変位するピン85は、可動部材70を退避位置に向けて移動させると共に、案内部材100を第一案内位置に向けて回転させる。また、移動部材80が回転することで、移動部材80の内面84Aは、規制部材90の接触突部93よりも下方に変位する。規制部材90は右側面視で反時計回りに回転する。移動部材80が作動部材60の突出部63の上端に接触して停止するとき、可動部材70は退避位置に到達し、案内部材100は第一案内位置に到達する。同時に、作動部材60の筒状部62は下方にある当接部53に嵌り、回転体50の回転位置は、作動回転位置から非作動回転位置に切り替わる。また、球当接部91は連結棒108に下方から接触し、規制部材90は停止し、接触突部93は上方から板部83に対向する。入球装置30は閉状態に戻る。
【0048】
遊技球P3が入球口39Aに進入するまでには、入球装置30は閉状態に戻る。従って、遊技球P3は、入球口39Aに進入できず、第一経路41に向けて案内される。
【0049】
以上説明したように、案内部材100は、第一案内位置にある場合には遊技球Pを第一経路41に案内し、第二案内位置にある場合には遊技球Pを第二経路42に案内する。第三経路43に案内される遊技球Pによって回転させられる移動部材80は、案内部材100を第一案内位置から第二案内位置まで回転させる。つまり、案内部材100は、遊技球Pが流下する力で第一案内位置から第二案内位置に回転する。パチンコ機1は、モータ等の駆動源を備えることなく、案内部材100を第一案内位置から第二案内位置まで回転できる。よって、パチンコ機1は、遊技球Pを案内する経路を簡易な機構で切り替えることができる。
【0050】
回転移動する移動部材80は案内部材100を第一案内位置から第二案内位置に回転させる。回転体50の回転力で移動部材80は回転可能な状態になる。これにより、移動部材80は自重により回転し、案内部材100を第二案内位置から第一案内位置に移動させる。
【0051】
入球装置30が閉状態であるとき、規制部材90の接触突部93は、移動部材80の内面84Aに対して、軸部材89を中心とした右側面視反時計回り側から対向し、移動部材80の右側面視時計回り側への回転を規制する。また、入球装置30が開状態であるとき(
図8(c)、
図9(a)参照)、規制部材90の接触突部93は、移動部材80の板部83に対して、軸部材89を中心とした右側面視反時計回り側から対向し、移動部材80の右側面視時計回り側への回転を規制する。従って、パチンコ機1に突発的な振動が作用したときであても、入球装置30が閉状態であるか開状態であるか否かに関わらず、移動部材80は上側への回転移動を規制部材90によって規制される。従って、案内部材100は位置ずれしにくい。
【0052】
入球装置30は、閉状態である場合に遊技球Pを第一経路41に案内し、開状態である場合に遊技球Pを第二経路42に案内する。入球装置30は、入球口39Aを遊技球P1,P2が通過するまで開状態を維持する。そして、遊技球P2が通過した直後、回転体50の回転位置は作動回転位置から非作動回転位置に切り替わる過程で、入球装置30は開状態から閉状態に変化する。入球装置30は、モータ等の駆動源を備えることなく、開状態から閉状態に変化できる。よって、遊技球Pを振り分ける経路を簡易な機構で切り替えることができるパチンコ機1が実現する。
【0053】
第三経路43を流下する遊技球Pが、球当接部91,81に順に当たることで、入球装置30は、閉状態から開状態に切り替わる。入球装置30は、モータ等の駆動源を備えることなく閉状態と開状態との間を変化できるので、パチンコ機1は入球装置30を更に簡易化できる。
【0054】
遊技球P2によって回転体50が回転する時、回転体50の回転位置は作動回転位置から非作動回転位置に切り替わり、作動部材60及び移動部材80が移動させられて、案内部材100は第二案内位置から第一案内位置に移動する。回転体50の回転位置が作動回転位置から非作動回転位置に切り替わるタイミングで、案内部材100は第二案内位置から第一案内位置に移動できる。よって、入球装置30は、二球目で確実に開状態から閉状態に変化できる。
【0055】
遊技球P1が回転体50を回転させるタイミングで、可動部材70は第二規制位置に配置される。これにより、遊技球P2が回転体50を回転させるとき(
図9(a)参照)、可動部材70は回転体50が回りすぎるのを抑制できる。よって、回転体50は遊技球P2を第二経路42に安定的に案内できると共に、遊技球P3の第二経路42への流下を確実に阻止できる。特に、本実施形態では、可動部材70が第二規制位置から退避位置へと回転移動するとき(
図9(a)、(b)参照)、移動部材80の左側面視反時計回りの回転が許容され、案内部材100の第二案内位置から第一案内位置への回転が許容される。これにより、案内部材100は素早く第一案内位置に回転できるので、遊技球P3が回転体50へと流下するのを更に確実に阻止できる。
【0056】
遊技球P2と当接部53との接触で回転体50が回転する場合、当接部53の左右両側にある第一対向部51と第二対向部52がそれぞれ一対のフック部75を後方へ移動させる。これにより、遊技球P2との接触で回転する回転体50の回転力が、左右均一に可動部材70に伝わる。よって、回転体50は軸部材59を中心に安定的に回転でき、可動部材70は安定的に軸部材79を中心に回転できる。
【0057】
パチンコ機1は、案内部材100と移動部材80を備える。案内部材100は、第一案内位置にある場合には遊技球Pを第一経路41に案内し、第二案内位置にある場合には遊技球Pを第二経路42に案内する。移動部材80は、案内部材100と摺動可能に接触し、案内部材100を第一案内位置と第二案内位置との間で回転移動させる。移動部材80は、第三経路43を流下する遊技球Pと当接して、軸部材89を中心に回転することで、案内部材100を第一案内位置から第二案内位置に回転させる。パチンコ機1は、モータ等の駆動源を備えることなく、案内部材100を第一案内位置から第二案内位置に回転させる。よって、パチンコ機1は、遊技球Pを案内する経路を簡易な機構で切り替えることができる。
【0058】
規制部材90は、第三経路43を流下する遊技球Pとの当接によって、軸部材99を中心に右側面視で時計回りに回転する。その直度、移動部材80は、第三経路43を流下する遊技球Pとの当接によって、軸部材89を中心に右側面視で時計回りに回転する。接触突部93が上方に移動しているので、移動部材80は、規制部材90を避けて回転できる。よって、遊技球Pが第三経路43を流下することに伴い、移動部材80が安定的に回転できるので、案内部材100は、第一案内位置から第二案内位置に安定的に回転できる。移動部材80は確実に規制部材90を避けて回転できるので、案内部材100の回転移動は更に安定化する。
【0059】
第三経路43を流下する遊技球Pは、規制部材90の球当接部91に接触してから、移動部材80の球当接部81に接触する。接触突部93は、移動部材80の回転開始前に上昇するので、移動部材80は、規制部材90による規制をより確実に回避できる。よって、案内部材100は、第一案内位置から第二案内位置に更に回転移動し易くなる。
【0060】
以上説明にて、パチンコ機1は本発明の「遊技機」の一例である。規制部材90は本発明の「対向部材」の一例である。
【0061】
本発明は上記実施例に限定されない。案内部材100は、支軸部109を中心に回転可能である代わりに、直線移動可能であってもよい。例えば、ピン85と案内部材100の間に周知のクランク機構が設けられれば、案内部材100は移動部材80の回転力で直線移動可能となる。
【0062】
作動部材60は、軸部材69に回転移動可能に設けられる代わりに、例えば上下動可能に設けられてもよい。移動部材80は、軸部材89に回転可能に設けられる代わりに、例えば前後動可能に設けられてもよい。
【0063】
図10に示すように、回転体150は、当接部153、第一対向部151、及び第二対向部(図示外)を備える。当接部153は、軸部材59の周方向に沿って等間隔に三つ配置される。第一対向部151は、特定の当接部153と左右方向に並ぶ位置に一つ設けられる。第一対向部151の形状は、第一対向部51の形状と同一である。第二対向部は、特定の当接部53を挟んで第一対向部151と左右対称である。
【0064】
入球口39Aに入球する遊技球Pが、当接部153に当たるたびに、回転体150は120°回転する。
図10で示される第一対向部151と第二対向部が筒状部62(
図7参照)の下方にある回転位置(作動回転位置)から、回転体150が120°回転することで、回転体150の回転は非作動回転位置に切り替わり、案内部材100は第二案内位置から第一案内位置に回転できる。その後、第三経路43に遊技球Pが流下して、案内部材100は第一案内位置から第二案内位置に移動する。入球口39Aに遊技球Pが入球する度に回転体150は回転する。入球口39Aに二球の遊技球Pが入球することで、回転体150は合計で240°回転し、回転体150の回転位置は非作動回転位置から作動回転位置(
図10参照)に切り替わる。そして、三球目の遊技球が入球口39Aに入球して回転体150を回転させることで、案内部材100は、第二案内位置から第一案内位置に移動する。つまり、回転体150を入球装置30に搭載すれば、入球装置30の規定球数は三球になる。
【0065】
規定球数は、二球以上であることに限定されない。以下、
図11を参照し、規定球数が一球となる入球装置130を説明する。
図11では、入球装置30と同一部材に同一符号を付与する。入球装置130は、回転体50に代えて、回転体250を備える。回転体250は、六つの第一対向部51と、六つの第二対向部52(
図5参照)とを備える。六つの第一対向部51は回転体250の回転方向に等間隔に配置される。第二対向部52も同様に等間隔に配置される。回転体250は、回転体50と同様、当接する一球の遊技球Pから受ける力により、120°回転する。
【0066】
入球装置130が閉状態である場合に、遊技球Pが第三経路43を流下すると、規制部材90と移動部材80がそれぞれ回転する。これにより、可動部材70は、退避位置(
図11(a)参照)から、第二規制位置(
図11(b)参照)まで回転移動する(本変形例では、可動部材70は、第一規制位置には回転移動しない)。可動部材70が第二規制位置に移動することで、案内部材100は、第一案内位置から第二案内位置まで移動する(
図11(b)参照)。これにより、入球装置130は閉状態から開状態に変化する。
【0067】
遊技球P1が案内部材100により回転体250に向けて案内される。遊技球P1が回転体250に接触することにより、回転体250は、右側面視で約120°回転する。回転体250の回転に伴い、第一対向部51と第二対向部52は、一対のフック部75を前方に付勢する。結果、可動部材70は退避位置まで移動し、案内部材100は第一案内位置まで移動する(作動部材60、移動部材80、及び規制部材90の動作は、上述の実施例と同じであるので、説明を省略する)。入球装置130は、開状態から閉状態に変化する。よって、規定球数が一球となる入球装置130が実現する。
【0068】
また、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、図柄表示装置、大入賞装置、始動入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。 従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「入球装置」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。
【0069】
更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0070】
1 パチンコ機
41 第一経路
42 第二経路
4 遊技領域
40 装飾体
50、150、250 回転体
60 作動部材
80 移動部材
90 規制部材
P 遊技球