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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】流体供給回収装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/00 20060101AFI20220927BHJP
   F17D 1/02 20060101ALI20220927BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B65D90/00 H
F17D1/02
F16L55/24 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018138750
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020015515
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 宏
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0417933(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0089418(US,A1)
【文献】特公平06-006416(JP,B2)
【文献】特開2000-320798(JP,A)
【文献】特開2000-074300(JP,A)
【文献】特開2004-276963(JP,A)
【文献】特開2004-278674(JP,A)
【文献】特開平11-079293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/00
B60P 3/22
B67D 7/00-7/86
F17D 1/02
F16L 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯留するタンクに接続される接続口、および、前記タンクに貯留された流体を外部に供給するべく流体を吐出するか又は前記タンクに流体を回収するべく外部から流体を受け入れるための給排口を有するメイン流路と、
前記メイン流路に設定される第1位置に設けられ、前記第1位置において前記メイン流路を開閉する第1開閉弁と、
前記メイン流路において前記第1開閉弁よりも前記給排口側に設けられ、前記接続口側から前記給排口側に流体を通流させるための駆動力を発生させるポンプと、
前記メイン流路において前記ポンプよりも前記給排口側に設定される第2位置に設けられ、前記第2位置において前記メイン流路を開閉する第2開閉弁と、
前記メイン流路における前記第2開閉弁と前記給排口との間の部分に接続される流入口および前記メイン流路における前記第1開閉弁と前記ポンプとの間の部分に接続される流出口を有する第1回収用流路と、
前記第1回収用流路に設けられ、前記第1回収用流路を開閉する第3開閉弁と、
前記メイン流路における前記ポンプと前記第2開閉弁との間の部分に接続される流入口および前記タンクに接続される流出口を有する第2回収用流路と、
前記第2回収用流路に設けられ、前記第2回収用流路を開閉する第4開閉弁と、
前記メイン流路に設けられ、前記ポンプの駆動開始から自身を通過した流体の流量を検出する流量計と、
流体を供給する際、前記流量計が検出した流体の流量が予め記録された閾値以上になったときに、前記ポンプの駆動を停止する制御装置と、を備え、
前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁および前記第4開閉弁は電磁弁であり、
前記制御装置は、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁および前記第4開閉弁の開閉状態を検出することで、流体を回収する状態であるか否かを判定し、流体を回収する際、前記ポンプの駆動開始からの時間が所定時間を越えたときに、前記ポンプの駆動を停止することを特徴とする、流体供給回収装置。
【請求項2】
流体を貯留するタンクに接続される接続口、および、前記タンクに貯留された流体を外部に供給するべく流体を吐出するか又は前記タンクに流体を回収するべく外部から流体を受け入れるための給排口を有するメイン流路と、
前記メイン流路に設定される第1位置に設けられ、前記第1位置において前記メイン流路を開閉する第1開閉弁と、
前記メイン流路において前記第1開閉弁よりも前記給排口側に設けられ、前記接続口側から前記給排口側に流体を通流させるための駆動力を発生させるポンプと、
前記メイン流路において前記ポンプよりも前記給排口側に設定される第2位置に設けられ、前記第2位置において前記メイン流路を開閉する第2開閉弁と、
前記メイン流路における前記第2開閉弁と前記給排口との間の部分に接続される流入口および前記メイン流路における前記第1開閉弁と前記ポンプとの間の部分に接続される流出口を有する第1回収用流路と、
前記第1回収用流路に設けられ、前記第1回収用流路を開閉する第3開閉弁と、
前記メイン流路における前記ポンプと前記第2開閉弁との間の部分に接続される流入口および前記タンクに接続される流出口を有する第2回収用流路と、
前記第2回収用流路に設けられ、前記第2回収用流路を開閉する第4開閉弁と、
制御装置と、を備え、
前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁および前記第4開閉弁は電磁弁であり、
前記制御装置は、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁および前記第4開閉弁の開閉状態を検出することで、流体を回収する状態であるか否かを判定し、流体を回収する際、前記ポンプの駆動開始からの時間が所定時間を越えたときに、前記ポンプの駆動を停止することを特徴とする、流体供給回収装置。
【請求項3】
前記第1回収用流路における、その前記流入口と前記第3開閉弁との間の部分に設けられ、流体に混入される異物を捕捉する回収側フィルタを更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体供給回収装置。
【請求項4】
前記メイン流路における前記第2開閉弁と前記第1回収用流路の前記流入口の接続位置との間の部分に設けられ、流体に混入される異物を捕捉する供給側フィルタを更に備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の流体供給回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の供給と回収とを切り換えて実施可能な流体供給回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の流体供給回収装置は種々の分野で利用されている。例えば特許文献1には、タンク内のガスをバルク貯槽に充填可能であるとともに、バルク貯槽のガスをタンク内に回収可能なシステムが開示されている。このシステムでは、ガスを通流させるための1つのピストンポンプと1つの四方切換弁とを利用することで、コンパクト化を図りつつガスの供給と回収を切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-199982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、ガスの供給の際に使用される流路(配管部分)の全体がガスの回収の際にも利用されるようになっている。しかしながら、このような流路構成は、供給及び回収する流体によっては望まれない場合がある。
【0005】
例えば外部に供給する流体への異物混入の抑制が強く望まれる一方で、回収する流体には異物が混入し得るような場合、特許文献1に係る流路構成では、回収時の流体に混入した異物が供給時と回収時とで共有される流路に広範囲にわたって付着し得ることで、その後に供給する流体が流路に付着した異物によって汚れてしまう虞がある。このように供給する流体への異物混入の抑制が強く望まれる場合には、特許文献1に係る流路構成は望ましくなく、むしろ、この場合は、コンパクト化を犠牲にしてでも供給時に使用される流路と回収時に使用される流路との重複部分を極力抑制するほうが望ましい。
【0006】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、流体を回収した後の流体の供給の際に、回収時に流体に混入されていた異物が、その後に供給する流体に混入することを抑制できる流体供給回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる流体供給回収装置は、流体を貯留するタンクに接続される接続口、および、前記タンクに貯留された流体を外部に供給するべく流体を吐出するか又は前記タンクに流体を回収するべく外部から流体を受け入れるための給排口を有するメイン流路と、前記メイン流路に設定される第1位置に設けられ、前記第1位置において前記メイン流路を開閉する第1開閉弁と、前記メイン流路において前記第1開閉弁よりも前記給排口側に設けられ、前記接続口側から前記給排口側に流体を通流させるための駆動力を発生させるポンプと、前記メイン流路において前記ポンプよりも前記給排口側に設定される第2位置に設けられ、前記第2位置において前記メイン流路を開閉する第2開閉弁と、前記メイン流路における前記第2開閉弁と前記給排口との間の部分に接続される流入口および前記メイン流路における前記第1開閉弁と前記ポンプとの間の部分に接続される流出口を有する第1回収用流路と、前記第1回収用流路に設けられ、前記第1回収用流路を開閉する第3開閉弁と、前記メイン流路における前記ポンプと前記第2開閉弁との間の部分に接続される流入口および前記タンクに接続される流出口を有する第2回収用流路と、前記第2回収用流路に設けられ、前記第2回収用流路を開閉する第4開閉弁と、を備える。
【0008】
本発明にかかる流体供給回収装置では、第1開閉弁および第2開閉弁が開状態にセットされ、第3開閉弁および第4開閉弁が閉状態にセットされて、ポンプが駆動されることで、タンクに貯留された流体をメイン流路を介して外部に供給することができる。一方で、第1開閉弁および第2開閉弁が閉状態にセットされ、第3開閉弁および第4開閉弁が開状態にセットされて、ポンプが駆動されることで、メイン流路の給排口から流体を受け入れて、当該流体を、メイン流路における給排口から第1回収用流路の流入口の接続位置までの部分、第1回収用流路、メイン流路における第1回収用流路の流出口の接続位置と第2回収用流路の流入口の接続位置との間の部分および第2回収用流路を介して、タンク内に回収することができる。ここで、供給時に使用される流路と回収時に使用される流路との重複部分は、メイン流路における給排口から第1回収用流路の流入口の接続位置までの部分、および、メイン流路における第1回収用流路の流出口の接続位置と第2回収用流路の流入口の接続位置との間の部分のみとなる。そのため、供給時に使用される流路と回収時に使用される流路との重複部分が抑制され、その結果、回収時の流体に混入された異物が、流体供給時に使用される流路に広範囲にわたって付着する状況が抑制される。これにより、流体を回収した後の流体の供給の際に、回収時の流体に混入されていた異物が、その後に供給する流体に混入することを抑制できる。
【0009】
また、本発明にかかる流体供給回収装置は、前記第1回収用流路における、その前記流入口と前記第3開閉弁との間の部分に設けられ、流体に混入される異物を捕捉する回収側フィルタを更に備えてもよい。
【0010】
この場合、流体の回収時に第1回収用流路に流入した流体が回収側フィルタによって濾過されることで、第1回収用流路から流出してメイン流路に流入する流体がメイン流路を汚すことが抑制される。これにより、回収時に流体に混入されていた異物が、その後に供給する流体に混入されることを一層効果的に抑制できる。
【0011】
また、本発明にかかる流体供給回収装置は、前記メイン流路における前記第2開閉弁と前記第1回収用流路の前記流入口の接続位置との間の部分に設けられ、流体に混入される異物を捕捉する供給側フィルタを更に備えてもよい。
【0012】
この場合、流体の供給時に、タンクからの流体が供給側フィルタによって濾過されるため、異物が混入された状態で流体が供給されることを一層効果的に抑制できる。
また、回収時の流体は基本的に供給側フィルタを通過しないため、回収時の流体によって供給側フィルタが汚れることが抑制され、流体を供給する際、供給側フィルタで生じる圧損が大きくなることが抑制される。また、供給側フィルタの寿命を長くすることもできる。
【0013】
また、本発明にかかる流体供給回収装置は、前記メイン流路における前記ポンプと前記第2回収用流路の前記流入口の接続位置との間の部分、および、前記第2回収用流路における、その前記流出口と前記第4開閉弁との間の部分を接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記バイパス流路において前記メイン流路側から前記第2回収用流路側に向かう流体の圧力が閾値以上となった際に開くことで、前記メイン流路から前記第2回収用流路に流体を流入させるリリーフ弁と、を更に備えてもよい。
【0014】
この場合、流体の供給又は回収の際に、操作ミスにより第2開閉弁と第4開閉弁とを同時に閉状態にしてしまった場合であっても、ブラインをバイパス流路を介してタンクに戻すことが可能となり、第2開閉弁および第4開閉弁の遮断によって流体の圧力が上昇することを回避でき、流路の損傷を回避できる。
【0015】
また、本発明にかかる流体供給回収装置は、前記メイン流路に設けられ、前記ポンプの駆動開始から自身を通過した流体の流量を検出する流量計と、流体を供給する際、前記流量計が検出した流体の流量が予め記録された閾値以上になったときに、前記ポンプの駆動を停止する制御装置と、を更に備えてもよい。
【0016】
この場合、所望される流体の供給量を閾値として予め記録しておくことで、所望の供給量の流体を正確に供給することができる。
【0017】
また、本発明にかかる流体供給回収装置において、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁および前記第4開閉弁は電磁弁であり、前記制御装置は、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁および前記第4開閉弁の開閉状態を検出することで、流体を回収する状態であるか否かを判定し、流体を回収する際、前記ポンプの駆動開始からの時間が所定時間を越えたときに、前記ポンプの駆動を停止してもよい。
【0018】
流体の供給先となる装置が例えばブラインによって温調を行うチラー装置等のように回路構成が複雑な装置である場合、このような装置から液体を回収しようとすると、回収する液体に気泡が多く含まれる場合があり、多くの気泡を含む液体を流量計で計測しようとすると、精度良く流量が検出できなかったり、流量計が損傷したりする虞がある。これに対して、所定時間を基準に所望の量の流体を回収する場合には、所定時間を適正に設定することで、流量計を用いる場合よりも正確に且つ不所望な機器損傷を抑制しつつ所望の量の流体を回収することができる。
【0019】
なお、上記所定時間は、流体の供給先となる装置に応じて定められる特有の時間として実験的に予め導出しておくのがよい。
この場合の所定時間の導出と、その後の所定時間の利用は、例えば以下の手順で行ってもよい。
まず、前記ポンプを駆動して供給先の装置に所定の量の流体、特に液体を供給した後、各開閉弁を切り換えて前記ポンプを再度駆動して、前記供給先の装置から前記所定の量の流体を回収し、前記ポンプの駆動開始から前記所定の量の流体が回収されるまでの基準回収時間を計測する工程を行う。
次に、前記制御装置に、流体回収時に前記ポンプを停止する基準となる所定時間として、前記基準回収時間を記録する工程を行う。
そして、その後、前記供給先の装置から流体を回収する際、前記ポンプの駆動開始からの時間が前記所定時間を越えたときに、前記ポンプの駆動を停止する工程を行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流体を回収した後の流体の供給の際に、回収時の流体に混入されていた異物が、その後に供給する流体に混入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる流体供給回収装置の概略図である。
図2】第1の実施の形態にかかる流体供給回収装置の流体供給時の状態を説明するための図である。
図3】第1の実施の形態にかかる流体供給回収装置の流体回収時の状態を説明するための図である。
図4】本発明の第2の実施の形態にかかる流体供給回収装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の各実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる流体供給回収装置1の概略図である。図1に示される本実施の形態にかかる流体供給回収装置1は、流体を貯留するタンク2と、タンク2に接続されるメイン流路3と、メイン流路3に設けられる第1開閉弁4、ポンプ5、第2開閉弁6および供給側フィルタ7と、メイン流路3から分岐して再びメイン流路3に接続される第1回収用流路8と、第1回収用流路8に設けられる第3開閉弁9および回収側フィルタ10と、メイン流路3とタンク2とを接続する第2回収用流路11と、第2回収用流路11に設けられる第4開閉弁12と、を備えている。なお、図1においては、メイン流路3が占める範囲を二点鎖線によって概略的に示している。
【0024】
本実施の形態にかかる流体供給回収装置1は、一例としてタンク2にチラー装置で使用されるブラインを貯留しており、ブラインをチラー装置に供給するために用いられるとともに、チラー装置からブラインをタンク2に回収するために用いられる。しかしながら、流体供給回収装置1が供給および回収する流体はブラインに限定されるものではなく、ガスであってもよいし、ブラインとは異なる他の液体であってもよい。以下、流体供給回収装置1の構成要素について詳述する。
【0025】
メイン流路3は、タンク2に接続される接続口3A、および、タンク2に貯留された流体を外部(本例では、チラー装置)に供給するべく流体を吐出するか又はタンク2に流体を回収するべく流体を外部から受け入れるための給排口3Bを有している。接続口3Aは、タンク2に着脱可能であり、給排口3Bは、本例ではチラー装置に着脱可能となっている。
【0026】
第1開閉弁4は、メイン流路3に設定される第1位置P1に設けられ、第1位置P1においてメイン流路3を開閉するように構成されている。本実施の形態における第1開閉弁4は手動の開閉弁であるが、特に限定されるものではなく、電磁弁やエアオペレートバルブ等であってもよい。また、第1位置P1は、メイン流路3がタンク2に接続された際にタンク2の近傍となる位置に設定されているが、このような位置は特に限定されるものではない。
【0027】
ポンプ5は、メイン流路3において第1開閉弁4よりも給排口3B側に設けられており、メイン流路3において接続口3A側から給排口3B側に流体を通流させるための駆動力を発生させるようになっている。本実施の形態におけるポンプ5は、一例として一方向に回転する渦巻きポンプであり、インバータ50によって回転数を制御されることにより、吐出する流体の流量を制御されるようになっている。なお、ポンプ5は渦巻きポンプでなくもよく、他の非容積型ポンプであってもよいし、ピストンポンプ等の容積型ポンプであってもよい。
【0028】
第2開閉弁6は、メイン流路3においてポンプ5よりも給排口3B側に設定される第2位置P2に設けられ、第2位置P2においてメイン流路3を開閉するように構成されている。本実施の形態における第2開閉弁6も、第1開閉弁4と同様に手動の開閉弁であるが、特に限定されるものではなく、電磁弁やエアオペレートバルブ等であってもよい。また、図示の例では、第2位置P2がメイン流路3における中央よりも給排口3B側に設定されているが、このような位置は特に限定されるものではない。
【0029】
供給側フィルタ7は、メイン流路3における第2開閉弁6と給排口3Bとの間の部分に設けられ、より詳しくは、メイン流路3における第2開閉弁6と第1回収用流路8の後述する流入口8Aの接続位置との間の部分に設けられている。供給側フィルタ7は、流体に混入される異物を捕捉するために設けられている。本実施の形態における供給側フィルタ7は、一例として耐熱性や耐薬品性に優れた金属フィルタであるが、特に限定されるものではない。
【0030】
続いて第1回収用流路8は、メイン流路3における第2開閉弁6と給排口3Bとの間の部分に接続される上述した流入口8Aと、メイン流路3における第1開閉弁4とポンプ5との間の部分に接続される流出口8Bとを有している。
【0031】
第1回収用流路8に設けられる第3開閉弁9は、第1回収用流路8を開閉するように構成されている。本実施の形態における第3開閉弁9は手動の開閉弁であるが、特に限定されるものではなく、電磁弁やエアオペレートバルブ等であってもよい。
【0032】
また回収側フィルタ10は、第1回収用流路8における流入口8Aと第3開閉弁9との間の部分に設けられ、流体に混入される異物を捕捉するようになっている。本実施の形態における回収側フィルタ10は、一例として耐熱性や耐薬品性に優れた金属フィルタであるが、特に限定されるものではない。
【0033】
続いて第2回収用流路11は、メイン流路3におけるポンプ5と第2開閉弁6との間の部分に接続される流入口11Aと、タンク2に接続される流出口11Bとを有し、このうちの流出口11Bは、タンク2に着脱可能となっている。
【0034】
第2回収用流路11に設けられる第4開閉弁12は、第2回収用流路11を開閉するように構成されている。本実施の形態における第4開閉弁12も手動の開閉弁であるが、特に限定されるものではなく、電磁弁やエアオペレートバルブ等であってもよい。
【0035】
また、本実施の形態にかかる流体供給回収装置1は、バイパス流路14とバイパス流路14に設けられたリリーフ弁15と、を更に備えている。バイパス流路14は、メイン流路3におけるポンプ5と第2回収用流路11の流入口11Aの接続位置との間の部分、および、第2回収用流路11における流出口11Bと第4開閉弁12との間の部分を接続している。リリーフ弁15は、バイパス流路14においてメイン流路3側から第2回収用流路11側に向かうブラインの圧力が閾値以上となった際に開くことで、メイン流路3から第2回収用流路11に流体を流入させるように構成されている。
【0036】
次に、本実施の形態にかかる流体供給回収装置1の動作について図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0037】
まず、流体供給回収装置1から外部、本例ではチラー装置に流体であるブラインを供給する場合には、第1開閉弁4および第2開閉弁6が開状態にセットされ、第3開閉弁9および第4開閉弁12が閉状態にセットされて、ポンプ5が駆動される。これにより、図2の太線で強調して示されるように、タンク2に貯留されたブラインを、メイン流路3を介してチラー装置に供給することができる。
【0038】
一方で、チラー装置に供給されたブラインを回収する場合には、第1開閉弁4および第2開閉弁6が閉状態にセットされ、第3開閉弁9および第4開閉弁12が開状態にセットされて、ポンプ5が駆動される。これにより、図3の太線で強調して示されるように、メイン流路3の給排口3Bからブラインを受け入れて、タンク2に回収することができる。この際に回収するブラインは、メイン流路3における給排口3Bから第1回収用流路8の流入口8Aの接続位置までの部分、第1回収用流路8、メイン流路3における第1回収用流路8の流出口8Bの接続位置と第2回収用流路11の流入口11Aの接続位置との間の部分および第2回収用流路11を介して、タンク2内に流入する。
【0039】
ここで、本実施の形態では、供給時に使用される流路と回収時に使用される流路との重複部分が、メイン流路3における給排口3Bから第1回収用流路8の流入口8Aの接続位置までの部分、および、メイン流路3における第1回収用流路8の流出口8Bの接続位置と第2回収用流路11の流入口11Aの接続位置との間の部分のみとなる。そのため、供給時に使用される流路と回収時に使用される流路との重複部分が抑制され、その結果、回収時のブラインに混入されていた異物が、ブライン供給時に使用される流路に広範囲にわたって付着する状況が抑制される。
【0040】
これにより、本実施の形態によれば、ブラインを回収した後のブラインの供給の際に、回収時のブラインに混入されていた異物が、その後に供給するブラインに混入することを抑制できる。
【0041】
また、本実施の形態では、第1回収用流路8における流入口8Aと第3開閉弁9との間の部分に回収側フィルタ10が設けられている。これにより、ブラインの回収時に第1回収用流路8に流入したブラインが回収側フィルタ10によって濾過されることで、第1回収用流路8から流出してメイン流路3に流入するブラインがメイン流路3を汚すことが抑制される。これにより、回収時のブラインに混入されていた異物が、その後に供給するブラインにメイン流路3の壁面等から混入されることを一層効果的に抑制できる。
【0042】
また、本実施の形態では、メイン流路3における第2開閉弁6と第1回収用流路8の流入口8Aの接続位置との間の部分に供給側フィルタ7が設けられている。これにより、ブラインの供給時にタンク2からのブラインが供給側フィルタ7によって濾過されるため、異物が混入された状態でブラインが供給されることを一層効果的に抑制できる。また、回収時のブラインは基本的に供給側フィルタ7を通過しないため、回収時のブラインによって供給側フィルタ7が汚れることが抑制され、ブラインを供給する際、供給側フィルタ7で生じる圧損が大きくなることが抑制される。また、供給側フィルタ7の寿命を長くすることもできる。
【0043】
また、本実施の形態では、メイン流路3におけるポンプ5と第2回収用流路11の流入口11Aの接続位置との間の部分、および、第2回収用流路11における流出口11Bと第4開閉弁12との間の部分を接続するバイパス流路14が設けられ、バイパス流路14にはリリーフ弁15が設けられる。これにより、操作ミスにより第2開閉弁6と第4開閉弁12とを閉状態にしてしまった場合であっても、ブラインをバイパス流路14を介してタンク2に戻すことが可能となり、第2開閉弁6および第4開閉弁12の遮断によってブラインの圧力が上昇することを回避でき、流路の損傷を回避できる。
【0044】
<第2の実施の形態>
次に、図4を参照しつつ第2の実施の形態にかかる流体供給回収装置1’について説明する。第2の実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
本実施の形態では、第1開閉弁4,第2開閉弁6、第3開閉弁9および第4開閉弁12が電磁弁になっている。各開閉弁は、制御装置60に電気的に接続され、制御装置60によって開閉を制御されるようになっている。制御装置60はCPU、ROM、RAM等を有するコンピュータである。なお、図4においては、機器間の電気的な接続が破線で示されている。また制御装置60は、キーボードやタッチパネル等の操作部材を有していてもよく、この場合には、操作部材への入力に応じて、制御装置60内部の演算機器が開閉弁を制御したり、ポンプ5の駆動開始および停止をインバータ50を介して制御したりしてもよい。
【0046】
また本実施の形態では、メイン流路3におけるポンプ5と第2回収用流路11の流入口11Aの接続位置との間の部分に、流体であるブラインの圧力を検出する圧力センサ70(PS)が設けられている。ここで、第1の実施の形態で説明したバイパス流路14およびリリーフ弁15は設けられていない。また、メイン流路3における供給側フィルタ7と第1回収用流路8の流入口8Aの接続位置との間の部分には、自身を通過したブラインの流量を検出する流量計80(FS)が設けられている。
【0047】
そして制御装置60は、圧力センサ70、流量計80およびインバータ50にも電気的に接続されている。そして本実施の形態における制御装置60は、まず、圧力センサ70が検出するブラインの圧力が閾値以上になったときに、インバータ50を介してポンプ5を停止するようになっている。ポンプ5を停止するか否かを判定するための圧力に関する閾値は、ブラインの圧力上昇によって流路に損傷が生じることを回避するために定められており、予め制御装置60に記録されている。
【0048】
また制御装置60は、第1開閉弁4、第2開閉弁6、第3開閉弁9および第4開閉弁12の開閉状態を検出することで、現在のステータスが、ブラインを供給する状態かブラインを回収する状態かを判定できるようになっている。具体的に制御装置60は、第1開閉弁4および第2開閉弁6が開状態で且つ第3開閉弁9および第4開閉弁12が閉状態の場合、ブラインを供給する状態であると判定し、第1開閉弁4および第2開閉弁6が閉状態で且つ第3開閉弁9および第4開閉弁12が開状態の場合、ブラインを回収する状態であると判定する。
【0049】
そしてブラインを供給する際、本実施の形態における制御装置60は、ポンプ5の駆動開始と同時に流量計80にブラインの通過流量の検出開始を指示する。これにより、流量計80は、ポンプ5の駆動開始から自身を通過したブラインの流量を検出することが可能となる。そして流量計80が検出した流量は制御装置60に出力され、制御装置60は、流量計80が検出したブラインの流量が予め記録された閾値以上になったときに、ポンプ5の駆動を停止するようになっている。
【0050】
また制御装置60は内部にタイマーを有しており、ブラインを回収する際、ポンプ5の駆動開始からの時間をタイマーで計測し、駆動開始からの時間が所定時間を越えたときに、ポンプ5の駆動を停止する。上記所定時間は、所望量のブラインを回収できる時間として予め制御装置60に記録されている。
【0051】
所望量のブラインを回収するための上記所定時間は、本実施の形態では、実験的に導出されている。具体的に本実施の形態では、上記所定時間を導出する際、まず、ポンプ5を駆動して供給先の装置(チラー装置)に所定の量のブラインを供給した後、各開閉弁を切り換えてポンプ5を再度駆動して、チラー装置から前記所定の量のブラインを回収し、ポンプ5の駆動開始から前記所定の量のブラインが回収されるまでの基準回収時間を計測した。続いて、制御装置60に、上記所定時間として、前記基準回収時間を記録した。なお、基準回収時間に余剰時間を足した時間を上記所定時間として記録してもよい。
【0052】
以上に説明した第2の実施の形態では、ブラインの供給の際、制御装置60が、流量計80が検出したブラインの流量が予め記録された閾値以上になったときに、ポンプ5の駆動を停止する。これにより、所望されるブラインの供給量を閾値として予め記録しておくことで、所望の供給量のブラインを正確に供給することができる。
【0053】
また、制御装置60は、ブラインを回収する際、ポンプ5の駆動開始からの時間が所定時間を越えた際に、ポンプ5の駆動を停止する。流体の供給先となる装置が本実施の形態のようにブラインによって温調を行うチラー装置等のように回路構成が複雑な装置である場合、このような装置から液体を回収しようとすると、回収する液体に気泡が多く含まれる場合があり、多くの気泡を含む液体を流量計で計測しようとすると、精度良く流量が検出できなかったり、流量計が損傷したりする虞がある。これに対して、本実施の形態のように所定時間を基準に所望の量のブラインを回収する場合には、所定時間を適正に設定することで、流量計を用いる場合よりも正確に且つ不所望な機器損傷を抑制しつつ所望の量のブラインを回収することができるようになる。
【0054】
なお本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、上述の実施の形態においては種々の変更を加えることができる。例えば、第2の実施の形態で説明した流量計80の設置位置は特に限定されるものではなく、流量計80は、メイン流路3上のいずれかの位置に設けられればよい。
【符号の説明】
【0055】
1, 1’…流体供給回収装置、2…タンク、3…メイン流路、3A…接続口、3B…給排口、4…第1開閉弁、5…ポンプ、6…第2開閉弁、7…供給側フィルタ、8…第1回収用流路、8A…流入口、8B…流出口、9…第3開閉弁、10…回収側フィルタ、11…第2回収用流路、11A…流入口、11B…流出口、12…第4開閉弁、14…バイパス流路、15…リリーフ弁、50…インバータ、60…制御装置、70…圧力センサ、80…流量計
図1
図2
図3
図4