(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ナイフ折り機
(51)【国際特許分類】
B65H 45/18 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
B65H45/18
(21)【出願番号】P 2018202498
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏生
(72)【発明者】
【氏名】中村 至一
(72)【発明者】
【氏名】脇本 茂
(72)【発明者】
【氏名】田渕 秀明
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第000029904757(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送
方向に沿って搬送する搬送ユニットと、
前記搬送
方向を直角に横切ってのび、用紙の前端を衝突させることによって、当該用紙を前記搬送
方向の予め決定された折位置に位置決めするストッパーと、
前記折位置に位置決めされた用紙を
前記搬送方向に折るナイフ折りユニットと、
用紙の前記ストッパーからの跳ね返りを防止する跳ね返り防止ローラユニットと、を備え、
前記跳ね返り防止ローラユニットは、
前記搬送ユニッ
トに圧接した状態で前記搬送方向に対し直角にのびる水平軸のまわりに回転可能とされた少なくとも1つの跳ね返り防止ローラと、
前記跳ね返り防止ローラの前記搬送方向の位置を調節する駆動機構と、
前記跳ね返り防止ローラを前記折位置に位置決めされた用紙の後端の前記搬送方向の上流側から前記後端に向けて移動させるよう前記駆動機構を作動させ、前記跳ね返り防止ローラが用紙の前記後端に当接したことに応じて前記駆動機構を停止させるローラ位置設定部と、を備えたものであることを特徴とするナイフ折り機。
【請求項2】
前記跳ね返り防止ローラユニットの前記跳ね返り防止ローラの回転速度を検出するセンサを備え、
前記ローラ位置設定部は、前記跳ね返り防止ローラの回転速度が低下し始めることを示す前記センサの検出信号を受信したことに応じて、前記駆動機構を停止させることを特徴とする請求項1に記載のナイフ折り機。
【請求項3】
前記センサは、
前記跳ね返り防止ローラの一方の端面に固定されるとともに、前記跳ね返り防止ローラの回転軸を中心とする円周に沿って一定の角度ピッチで配置された複数の被検出素子と、
前記
折位置の上方に配置されたローラ支持体に対し前記被検出素子に対向する配置で取り付けられ、前記被検出素子を検出する近接センサと、を有していることを特徴とする請求項
2に記載のナイフ折り機。
【請求項4】
前記センサは、
前記跳ね返り防止ローラの一方の端面に同心的に固定された検出円板を有し、前記検出円板には、複数の孔が前記検出円板の円周方向に一定の角度ピッチで形成されており、
前記センサは、さらに、
前記
折位置の上方に配置されたローラ支持体に対し、前記検出円板を挟んで前記孔に対向する配置で取り付けられた一対の光電素子を有していることを特徴とする請求項
2に記載のナイフ折り機。
【請求項5】
前記センサは、前記跳ね返り防止ローラの回転軸に備えられたロータリーエンコーダまたはポテンショメータからなっていることを特徴とする請求項
2に記載のナイフ折り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙をナイフブレードによって折るナイフ折り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナイフ折り機は、用紙(用紙のほかに折丁も含む)の搬送路を有するフレームと、フレームに取り付けられ、用紙を搬送路に沿って搬送する搬送ユニットと、フレームに取り付けられて搬送路を直角に横切ってのび、用紙の前端を衝突させることによって、用紙を搬送路上の予め決定された折位置に位置決めするストッパーを備えている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
搬送ユニットは、フレームに取り付けられ、搬送路の上下流端においてそれぞれ搬送方向に対し直角にのびる一対の駆動ローラおよびアイドルローラと、駆動ローラおよびアイドルローラ間に張られたコンベヤベルトと、コンベヤベルトを回転させるモータとから構成されている。そして、コンベヤベルトの搬送面は搬送路内に位置している。
【0004】
また、ストッパーには、一対のサイドガイドが取り付けられて折位置の両側において搬送方向にのびている。一対のサイドガイドのうちの一方のサイドガイドは、用紙の搬送方向に直角な方向における位置決めの基準ガイドとして機能し、一対のサイドガイドのうちの他方のサイドガイドはバネによって弾性付勢されていて、折位置に進入する用紙を一側縁側から押して他側縁を一方のサイドガイドに当接させることで、用紙を折位置において搬送方向に直角な方向に位置決めする。
【0005】
ナイフ折り機は、また、フレームに取り付けられ、折位置の下側において搬送路に沿ってのびる一対の折ローラと、一対の折ローラに平行にのび、一対の折ローラの上方において一対の折ローラ間の間隙に対向配置されたナイフブレードを備えている。
【0006】
さらに、搬送路にナイフブレードが上下に通過し得る開口部が形成され、フレームには、ナイフブレードを、上下に、ナイフブレードが折位置の上方に配置される第1の位置と、ナイフブレードが折位置の下側において一対の折ローラ間の間隙に近接する第2の位置との間で往復運動させるスライダクランク機構が取り付けられている。
【0007】
こうして、用紙が折位置に位置決めされるたびに、スライダクランク機構のクランクが1回転し、その間に、クランクに連結されたロッドの一端に固定されたナイフブレードが、第1の位置から第2の位置を経て再び第1の位置に戻るように往復運動し、ナイフブレードが第1の位置から第2の位置まで下降するとき、用紙がナイフブレードによって2つ折りにされつつ搬送路の開口部を通過して一対の折ローラ間に導入され、次いで、ナイフブレードが第の位置から第1の位置まで上昇するとともに、用紙が一対の折ローラによって折り畳まれる。
【0008】
このナイフ折り機において生産性を上げるためには、用紙を折位置まで高速で搬送し、それにナイフブレードの折り動作のタイミングを合わせればよいが、用紙の搬送速度が上がると、用紙がストッパーに衝突した後跳ね返り、折位置に正確に位置決めされなくなる。
【0009】
そのため、従来のナイフ折り機のいくつかは、折位置の上流端に用紙の跳ね返りを防止する跳ね返り防止ローラユニットを備えている。
跳ね返り防止ローラユニットは、折位置の上方に配置され、搬送路の開口部を横切ってのびるローラ支持体と、搬送路の上方において搬送方向にのび、ローラ支持体がスライド可能に取り付けられた少なくとも1本のスライドガイドと、ローラ支持体を往復スライド運動させる支持体駆動機構と、ローラ支持体に取り付けられ、搬送ユニットのコンベヤベルトに圧接した状態で搬送方向に対し直角にのびる水平軸のまわりに回転可能とされた少なくとも1つの跳ね返り防止ローラを有している。
【0010】
そして、ナイフ折機の運転前に、跳ね返り防止ローラの位置が手作業で設定されるが、この場合、跳ね返り防止ローラがストッパーに衝突した用紙の後端に当たり過ぎると、一対のサイドガイドの搬送方向に直角な方向への用紙の位置決め作用が働かなくなり、また、用紙がナイフブレードによって一対の折ローラ間に導入される際に抵抗力が生じて、用紙のストッパーに対する傾きの原因となる。
一方、跳ね返り防止ローラがストッパーに衝突した用紙の後端から離れていると跳ね返り防止効果が得られない。
【0011】
そのため、作業者は、ストッパーに衝突した用紙の後端と跳ね返り防止ローラの外周面との接触具合を目で確認しつつ、跳ね返り防止ローラの位置を繰り返し微調整することによって、折位置に位置決めされた用紙の後端に跳ね返り防止ローラの外周面が適度に当接するように跳ね返り防止ローラの設定を行っている。
【0012】
しかしながら、この跳ね返り防止ローラの設定作業には手間がかかり、作業効率の低下の一因となっていた。
【0013】
また、最近では、用紙の長さとストッパーの設定位置に基づいて、跳ね返り防止ローラの位置が自動的に設定されるナイフ折り機も存在するが、用紙の長さは同じであっても、用紙の厚み(用紙が折丁の場合は、用紙の重なり枚数)に応じて、用紙の後端に跳ね返り防止ローラの外周面が適度に当接する位置は変動する。
【0014】
そのため、より高い精度が求められる場合には、自動的に設定された跳ね返り防止ローラの位置を作業者によって微調整する必要があり、上記と同様に作業効率の低下をきたしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2007-261726号公報
【文献】国際公開第WO2011/086700号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の課題は、跳ね返り防止ローラの設定が迅速に行えるナイフ折り機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明によれば、用紙を搬送方向に沿って搬送する搬送ユニットと、前記搬送方向を直角に横切ってのび、用紙の前端を衝突させることによって、当該用紙を前記搬送方向の予め決定された折位置に位置決めするストッパーと、前記折位置に位置決めされた用紙を前記搬送方向に折るナイフ折りユニットと、用紙の前記ストッパーからの跳ね返りを防止する跳ね返り防止ローラユニットと、を備え、前記跳ね返り防止ローラユニットは、前記搬送ユニットに圧接した状態で前記搬送方向に対し直角にのびる水平軸のまわりに回転可能とされた少なくとも1つの跳ね返り防止ローラと、前記跳ね返り防止ローラの前記搬送方向の位置を調節する駆動機構と、前記跳ね返り防止ローラを前記折位置に位置決めされた用紙の後端の前記搬送方向の上流側から前記後端に向けて移動させるよう前記駆動機構を作動させ、前記跳ね返り防止ローラが用紙の前記後端に当接したことに応じて前記駆動機構を停止させるローラ位置設定部と、を備えたものであることを特徴とするナイフ折り機が提供される。ナイフ折り機は、前記跳ね返り防止ローラユニットの前記跳ね返り防止ローラの回転速度を検出するセンサを備え、前記ローラ位置設定部は、前記跳ね返り防止ローラの回転速度が低下し始めることを示す前記センサの検出信号を受信したことに応じて、前記駆動機構を停止させることが好ましい。
ここで、「用紙」には、用紙のほかに折丁も含まれるものとする(以下同様)。
【0018】
本発明の好ましい実施例によれば、前記センサは、前記跳ね返り防止ローラの一方の端面に固定されるとともに、前記跳ね返り防止ローラの回転軸を中心とする円周に沿って一定の角度ピッチで配置された複数の被検出素子と、前記折位置の上方に配置されたローラ支持体に対し前記被検出素子に対向する配置で取り付けられ、前記被検出素子を検出する近接センサと、を有している。
【0019】
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記センサは、前記跳ね返り防止ローラの一方の端面に同心的に固定された検出円板を有し、前記検出円板には、複数の孔が前記検出円板の円周方向に一定の角度ピッチで形成されており、前記センサは、さらに、前記折位置の上方に配置されたローラ支持体に対し、前記検出円板を挟んで前記孔に対向する配置で取り付けられた一対の光電素子を有している。
【0020】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記センサは、前記跳ね返り防止ローラの回転軸に備えられたロータリーエンコーダまたはポテンショメータからなっている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、跳ね返り防止ローラを折位置に位置決めされた用紙の後端に向けて移動させ、跳ね返り防止ローラが用紙の後端に当接したことに応じて、跳ね返り防止ローラの搬送方向の位置を調節する駆動機構を停止させる。
そして、跳ね返り防止ローラの外周面が、折位置に位置決めされた用紙の後端に適度に当接する。
【0022】
こうして、跳ね返り防止ローラの設定作業を自動的に行うことができ、作業効率が大幅にアップする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の1実施例によるナイフ折り機の斜視図であって、ナイフ折り機が設定モードで動作している状態を示す図である。
【
図2】(A)は
図1の円で囲まれた領域の拡大斜視図であり、(B)は(A)の跳ね返り防止ローラ近傍の構成を示す平面図であり、(C)は(A)の跳ね返り防止ローラ近傍の構成を示す側面図である。
【
図3】
図1のナイフ折り機の設定モードにおける、跳ね返り防止ローラの位置設定動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例によるナイフ折り機の斜視図であって、ナイフ折り機が設定モードで動作している状態を示す図である。
【0025】
図1を参照して、本発明のナイフ折り機は、用紙Sを、搬送路1に沿って搬送する搬送ユニット2と、搬送路1を直角に横切ってのび、用紙Sの前端を衝突させることによって、用紙Sを搬送路1上の予め決定された折位置Pに位置決めするストッパー3と、折位置Pに位置決めされた用紙Sを搬送方向(矢印X)に折るナイフ折りユニット4を備えている。
【0026】
搬送ユニット2は、フレームFに取り付けられ、搬送路1の上下流端において、それぞれ搬送方向(矢印X)に対し直角にのびる一対の駆動ローラ5およびアイドルローラ6と、駆動ローラ5およびアイドルローラ6間に張られた複数本のコンベヤベルト7を有し、コンベヤベルト7の搬送面が搬送路1を構成している。
【0027】
フレームFの上面であって、コンベヤベルト7の下側には、コンベヤベルト7の搬送面を下側から支持する複数の細長い支持プレート8、8a(一部の支持プレートのみを図示した)が取り付けられ、搬送路1に沿ってのびている。
搬送ユニット2は、さらに、フレームFに取り付けられ、駆動ローラ5を回転させるモータ(ローラ駆動機構)9を有している。
【0028】
そして、駆動ローラ5がモータ9によって回転せしめられることでコンベヤベルト7が回転運動し、それによって、用紙Sが搬送路1に沿って搬送されるようになっている。
【0029】
ストッパー3は、搬送路1の両側においてフレームFに固定された、搬送方向(矢印X)にのびる一対のスライドガイド10a、10bにスライド可能にかつ所望の位置に固定可能に取り付けられ、搬送方向(矢印X)に位置調節が可能になっている。
【0030】
また、ストッパー3には、一対のサイドガイド33a、33bが取り付けられて折位置Pの両側において搬送方向(矢印X)にのびている。
一対のサイドガイド33a、33bのうちの一方のサイドガイド33aは、用紙Sの搬送方向(矢印X)に直角な方向における位置決めの基準ガイドとして機能し、一対のサイドガイド33a、33bのうちの他方のサイドガイド33bはバネ(図示されない)によって弾性付勢されていて、折位置Pに進入する用紙Sを一側縁側から押して他側縁をサイドガイド33aに当接させることで、用紙Sを折位置Pにおいて搬送方向(矢印X)に直角な方向に位置決めする。
【0031】
一対のサイドガイド33a、33bは、それぞれ独立に駆動機構(図示されない)によって搬送方向(矢印X)に直角な方向に移動可能とされ、これらのスライドガイド33a、33bの位置が用紙Sのサイズに基づいて自動的に設定されるようになっている。
【0032】
ナイフ折りユニット4は、搬送路1を挟んで上下に対向配置されたナイフブレード11および一対の折ローラ12a、12bを有している。
一対の折ローラ12a、12bは、フレームFに取り付けられて、搬送路1(中央の支持プレート8a)の下側において搬送方向(矢印X)にのび、ナイフブレード11は、一対の折ローラ12a、12bに平行にのび、一対の折ローラ12a、12bの上方において一対の折ローラ12a、12b間の間隙に対向して配置されている。
そして、支持プレート8aには、ナイフブレード11が上下に通過し得る開口部13が形成されている。
【0033】
ナイフ折りユニット4は、また、支持アーム14を介してフレームFに取り付けられ、ナイフブレード11を、上下に、ナイフブレード11が搬送路1の上方に配置される第1の位置と、ナイフブレード11が搬送路1の下側において一対の折ローラ12a、12b間の間隙に近接する第2の位置との間で往復運動させるナイフ駆動ユニット15を備えている。
【0034】
そして、用紙Sが折位置Pに位置決めされるたびに、ナイフブレード11が第1の位置から第2の位置を経て第1の位置に戻るように往復運動し、ナイフブレード11が第1の位置から第2の位置まで下降するとき、用紙Sがナイフブレード11によって2つ折りにされつつ開口部13を通過して一対の折ローラ12a、12b間に導入され、次いで、ナイフブレード11が第2の位置から第1の位置まで上昇するとともに、用紙Sが一対の折ローラ12a、12bによって折り畳まれる。
【0035】
この実施例では、ナイフ折り機は、また、折位置Pの上流端に配置されて、用紙Sのストッパー3からの跳ね返りを防止する跳ね返り防止ローラユニット16を備えている。
跳ね返り防止ローラユニット16は、折位置Pの上方において開口部13を横切ってのびる逆U字状のブラケット17、およびブラケット17の上面に固定された直方体状のブロック18から構成されたローラ支持体19を有している。
【0036】
ブロック18の両側には、搬送方向(矢印X)にのびる貫通穴が形成され、ブロック18の中央には、ブロック18を搬送方向(矢印X)に貫通するネジ穴が形成されている。
【0037】
跳ね返り防止ローラユニット16は、また、フレームFに取り付けられ、搬送路2の上方において搬送方向(矢印X)にのび、ブロック18の貫通穴に挿通された一対のスライドガイド20a、20bと、搬送方向(矢印X)にのびるとともに、フレームFによって定位置で軸まわりに回転可能に支持され、一端側がブロック18のネジ穴に螺合するネジ軸21と、フレームFに固定され、駆動軸がネジ軸21の他端に直結されたモータ22を有している。
【0038】
ネジ軸21とモータ22から支持体駆動機構が構成され、ネジ軸21がモータ22によって正逆回転せしめられることによって、ローラ支持体19が搬送方向(矢印X)に位置調節可能になっている。
【0039】
図2(A)は
図1の円で囲まれた領域の拡大斜視図であり、
図2(B)は
図2(A)の跳ね返り防止ローラ近傍の構成を示す平面図であり、
図2(C)は
図2(A)の跳ね返り防止ローラ近傍の構成を示す側面図である。
【0040】
図2を参照して、ブラケット17の両側の外面に、一対のレバー23a、23bがネジ24によって一端のまわりに回動可能に取り付けられ、一対のレバー23a、23bのそれぞれの他端に各1つの跳ね返り防止ローラ25a、25bが取り付けられて、関係するコンベヤベルト7上において搬送方向(矢印X)に対し直角にのびる水平な軸26のまわりに回転可能になっている。
【0041】
ネジ24およびレバー23a、23b間にはトーションバネ27が配置され、レバー23a、23bを、跳ね返り防止ローラ25a、25bがコンベヤベルト7に押し付けられる向きに弾性付勢する。
この場合、ネジ24の締付け具合を調節することで、ローラ25a、25bのコンベヤベルト7への圧接の強さを調節することができる。
【0042】
さらに、一方の跳ね返り防止ローラ25bの関係するレバー23bと向き合う端面に、被検出板28が同心に固定されている。被検出板28は、円板状の本体28aと、本体28aの外周縁に等間隔をあけて設けられた複数の突出部28bとから形成されている。
一方、レバー23bの被検出板28に対向する面上であって、突出部28bに対応する位置には、突出部28bを検出する近接センサ29が取り付けられている。
【0043】
こうして、跳ね返り防止ローラ25bが回転すると、被検出板28の突出部28bが順次近接センサ29によって検出され、近接センサ29から検出信号がパルス信号として出力される。
そして、このパルス信号を監視することによって、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度の検出が可能になる。
【0044】
また、一対のガイドプレート30a、30bが、フレームFに取り付けられて、搬送路1の上方の開口部13の両側において搬送方向(矢印X)にのび、用紙Sが搬送路1およびガイドプレート30a、30bの下端間の間隙を通過しつつ折位置Pに搬送されるようになっている。
【0045】
本発明のナイフ折り機は、通常運転モードと設定モードとに切り換えて動作し得るようになっている。
そして、ナイフ折り機が設定モードで動作するとき、搬送ユニット2のコンベヤベルト7が定速度で連続回転し、用紙Sが折位置Pまで搬送されて折位置Pに位置決めされる一方、ナイフ折りユニット4は待機状態(ナイフブレード11が第1の位置に静止した状態)に維持される。
【0046】
さらに、本発明のナイフ折り機は、設定モードにおいて、近接センサ29の検出信号を受信して、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度が変化し始めたときに適正位置到達信号を発信するローラ回転速度監視部31と、跳ね返り防止ローラユニット16のモータ22に作動的に接続され、設定モードにおいて、モータ22(およびネジ軸21)を動作させて、跳ね返り防止ローラ25bを折位置Pに位置決めされた用紙Sの後端の上流側または下流側から当該後端に向けて定速度で移動させ、適正位置到達信号を受信したときにモータ22(およびネジ軸21)を停止させるローラ位置設定部32を備えている。
【0047】
次に、ローラ回転速度監視部31およびローラ位置設定部32の動作を詳細に説明する。
図3は、本発明のナイフ折り機の設定モードにおける、跳ね返り防止ローラ25bの位置設定動作を説明する側面図である。
【0048】
図3(A)および(B)を参照して、設定モードにおいて、ローラ位置設定部32は、モータ22(およびネジ軸21)を作動させ、跳ね返り防止ローラ25bを折位置Pに位置決めされた用紙Sの後端の上流側(
図3(A)参照)から当該後端に向けて定速度で移動させる。
【0049】
跳ね返り防止ローラ25bが移動を開始してから用紙Sの後端に当接するまでの間は、跳ね返り防止ローラ25bは定速度で回転するコンベヤベルト7に圧接しており、よって、跳ね返り防止ローラ25bは、跳ね返り防止ローラ25bの移動速度とコンベヤベルト7の回転速度との速度差に応じた一定の回転速度で回転し、この間、近接センサ29は周波数が一定のパルス信号(検出信号)を出力する。
【0050】
そして、
図3(B)に示すように、跳ね返り防止ローラ25bの外周面が用紙Sの後端に当接すると、跳ね返り防止ローラ25bの回転に対する抵抗力が生じ、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度が低下し始める。このとき、近接センサ29から出力されるパルス信号の周波数が変化し、ローラ回転速度監視部31は適正位置到達信号を発信する。
【0051】
適正位置到達信号はローラ位置設定部32に受信され、ローラ位置設定部32はモータ22(およびネジ軸21)を停止させる。
このとき、跳ね返り防止ローラ25bは、その外周面が、折位置Pに位置決めされた用紙Sの後端に適度に当接する位置にある。
【0052】
あるいは、
図3(C)および(D)を参照して、設定モードにおいて、ローラ位置設定部32は、モータ22(およびネジ軸23)を作動させ、跳ね返り防止ローラ25bを折位置Pに位置決めされた用紙Sの後端の下流側(
図3(C)参照)から当該後端に向けて定速度で移動させる。
【0053】
跳ね返り防止ローラ25bが移動を開始してからコンベヤベルト7上に載るまでの間は、跳ね返り防止ローラ25bは、静止した用紙S上に圧接しており、よって、跳ね返り防止ローラ25bは、跳ね返り防止ローラ25bの移動速度に応じた一定の回転速度で回転し、この間、近接センサ29は周波数が一定のパルス信号(検出信号)を出力する。
【0054】
そして、
図3(D)に示すように、跳ね返り防止ローラ25bがコンベヤベルト7上に載ると、コンベヤベルト7の回転力が跳ね返り防止ローラ25bの回転力を増加させ、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度が上昇し始める。このとき、近接センサ29から出力されるパルス信号の周波数が変化し、ローラ回転速度監視部31は適正位置到達信号を発信する。
【0055】
適正位置到達信号はローラ位置設定部32に受信され、ローラ位置設定部32はモータ22(およびネジ軸23)を停止させる。
このとき、跳ね返り防止ローラ25bは、その外周面が、折位置Pに位置決めされた用紙Sの後端に適度に当接する位置にある。
【0056】
そして、跳ね返り防止ローラ25bがこの位置に設定されることによって、用紙Sは、ストッパー3および一対のサイドガイド33a、33bによって折位置Pに正確に位置決めされ、また、ナイフブレード11によって一対の折ローラ12a、12b間に導入される際にストッパー3に対して傾くこともない。
こうして、本発明によれば、跳ね返り防止ローラ25bの設定作業を自動的に行うことができ、作業効率が大幅にアップする。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されず、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0058】
例えば、上記実施例では、被検出板28と近接センサ29から、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度を検出するセンサを構成したが、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度を検出するセンサが、跳ね返り防止ローラ25bの一方の端面に同心的に固定された検出円板を有し、検出円板には、複数の孔が検出円板の円周方向に一定の角度ピッチで形成され、センサは、さらに、ローラ支持体19に対し、検出円板を挟んで孔に対向する配置で取り付けられた一対の光電素子を有していてもよい。
【0059】
跳ね返り防止ローラ25bの回転速度を検出するセンサは、また、跳ね返り防止ローラ25bの回転軸に備えられたロータリーエンコーダまたはポテンショメータからなっていてもよい。
【0060】
また、例えば、ローラ回転速度監視部31を、跳ね返り防止ローラ25bの回転速度を表示するディスプレイと、適正位置到達信号発信ボタンとから構成し、作業員が、ディスプレイを見ながら跳ね返り防止ローラ25bの回転速度の変化を監視し、回転速度が変化したときに適正位置到達信号発信ボタンを押すことによって、ローラ位置設定部32に適正位置到達信号を発信するような構成としてもよい。
なお、この実施例の場合には、跳ね返り防止ローラ25bの設定作業が半自動化されることになる。
【符号の説明】
【0061】
1 搬送路
2 搬送ユニット
3 ストッパー
4 ナイフ折りユニット
5 駆動ローラ
6 アイドルローラ
7 コンベヤベルト
8、8a 支持プレート
9 モータ
10a、10b スライドガイド
11 ナイフブレード
12a、12b 折ローラ
13 開口部
14 支持アーム
15 ナイフ駆動ユニット
16 跳ね返り防止ローラユニット
17 ブラケット
18 ブロック
19 ローラ支持体
20a、20b スライドガイド
21 ネジ軸
22 モータ
23a、23b レバー
24 ネジ
25a、25b 跳ね返り防止ローラ
26 軸
27 トーションバネ
28 被検出板
28a 本体
28b 突出部
29 近接センサ
30a、30b ガイドプレート
31 ローラ回転速度監視部
32 ローラ位置設定部
33a、33b サイドガイド
F フレーム
P 折位置
S 用紙
X 搬送方向