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▶ アカデミッシュ ジーケンハイス レイデン アー/ユー レイデン ウニ メディカル セーテーエルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】繊毛形成の調節
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20220927BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220927BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220927BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220927BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220927BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220927BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20220927BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220927BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K38/16
A61K39/395 N
A61K48/00
A61P11/00
A61P43/00 101
C12N15/12 ZNA
C07K14/47
C12N15/113
C07K16/18
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018526127
(86)(22)【出願日】2016-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2016078075
(87)【国際公開番号】W WO2017085225
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】1520258.3
(32)【優先日】2015-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510110507
【氏名又は名称】アカデミッシュ ジーケンハイス レイデン アー/ユー レイデン ウニ メディカル セーテーエル
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ファン ブレンプト ロナルド カレル ルイーザ
【審査官】植原 克典
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 48/00
A61K 31/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊毛形成の異常又は欠陥に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防に使用するための、PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合、会合又は相互作用する化合物を含有する医薬組成物であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、又は4配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(d) R2R1と結合可能な抗体、又はPRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合可能な抗体である、
前記医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物が、呼吸細胞再生遺伝子1(R2R1)と呼ばれる遺伝子の発現、機能及び/又は活性を調節又は模倣する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記化合物が、PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合又は会合する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記化合物が、天然型又は野生型R2R1と、PRC1及び/又はTrxG-MLL及び/又はR2R1結合部位を含むPRC1又はTrxG-MMの成分又はサブユニットとの間の結合を妨害、予防又は抑制する、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物が、PRC1のリングフィンガータンパク質2(RNF2)サブユニットと結合又は会合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記化合物が、TrxG-MllのDPY-30及び/又はASH2Lサブユニットタンパク質と結合又は会合する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物が、異常な繊毛形成の治療又は予防に使用するためのものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記化合物が、繊毛関連疾患の治療又は予防に使するためのものである、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記化合物が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療又は予防に使用するためのものである、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記化合物が、(i)PRC1のリングフィンガータンパク質2(RNF2)サブユニットと結合又は会合する、及び/又は(ii)TrxG-MllのDPY-30及び/又はASH2Lサブユニットタンパク質と結合又は会合する、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
繊毛形成の調節に用いるための、PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合、会合又は相互作用する化合物を含有する医薬組成物であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、又は4の配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(d) R2R1と結合可能な抗体、又はPRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合可能な抗体である、
前記医薬組成物。
【請求項12】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患っているか、又はCOPDに罹患しやすい対象の繊毛形成の調節に用いるための、天然型又は野生型R2R1とPRC1及び/又はTrxG-MLLとの間の結合を妨害、予防又は抑制する化合物を含有する医薬組成物であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、又は4配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質/ペプチド、
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質/ペプチドの活性、機能及び/又は発現を阻害する化合物、
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び
(d) R2R1と結合可能な抗体
から選択される、前記医薬組成物。
【請求項13】
繊毛形成の異常又は欠陥に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防のための医薬の製造における、PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合、会合又は相互作用する化合物の使用であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、又は4の配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(d) R2R1と結合可能な抗体、又はPRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合可能な抗体である、
前記使用。
【請求項14】
繊毛形成の異常又は欠陥に関連する疾患又は状態を治療又は予防するための医薬組成物であって、前記医薬組成物はPRC1及び/又はTrxG-MLLと結合、会合又は相互作用する化合物を治療的に有効な量含む、医薬組成物であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、又は4の配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(d) R2R1と結合可能な抗体、又はPRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合可能な抗体である、
前記医薬組成物。
【請求項15】
繊毛形成の異常又は欠陥に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防に用いるための、クロマチンリモデリング/バインディング複合体と結合、会合又は相互作用する化合物を含有する医薬組成物であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、4又はの配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(d) R2R1と結合可能な抗体、又はPRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合可能な抗体である、
前記医薬組成物。
【請求項16】
繊毛形成の異常又は欠陥に関連する疾患及び/又は状態の治療又は予防に用いるための、R2R1遺伝子の発現及び/又は細胞中のR2R1タンパク質/ペプチドの活性、機能及び/又は発現を調節する化合物を含有する医薬組成物であって、前記化合物が、
(a) 配列番号1、2、3、又は4の配列を有する核酸分子によりコードされるタンパク質
(b) 配列番号5、又は6配列を有するタンパク質
(c) R2R1遺伝子の発現、機能及び/又は活性を減少、抑制及び/又は除去するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(d) R2R1と結合可能な抗体、又はPRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中のR2R1結合サイトと結合可能な抗体である、
前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞における繊毛形成に関し、繊毛形成の調節やそれに関連する疾病の予防及び/又は治療に用いる化合物、組成物、使用、医薬、及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
R2R1と呼ばれるタンパク質は、FAM25タンパク質ファミリーに属し、肺上皮、より具体的には基底細胞プログラムの維持及び再生に不可欠である。水中の正常ヒト気管支上皮細胞(PBECs)における実験によりこの機能が発見された。水中培養状態は、未分化PBECsの急速細胞分裂により評価される。ゆえに、水中培養状態は基底細胞(ヒトの気管支肺(気道)表皮の肝細胞)の研究に理想的である。
【0003】
繊毛細胞の欠損は、特にCOPDを患っている患者における非効率な粘膜繊毛クリアランスへと導く。これは実際、COPDの病的特徴である:異常な気管支上皮(繊毛細胞の欠損、扁平分化及び基底細胞過形成)は粘液、バクテリア、ウイルス及び残がいを気道から取り除くことができない。この非効率なクリアランス機構は深刻な症状を引き起こし(咳、気管支肺感染及び肺の非効率なガス交換を含む)、高確率で死に至るだろう。
【0004】
本発明は、繊毛形成に関連する障害や疾患の治療方法を提供するための繊毛形成におけるR2R1の役割を利用する化合物、組成物、使用、医薬及び方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、クロマチンバインディング/リモデリング複合体(例えばポリコーム群PRC1やトライソラックス群MLL)と結合(又は相互作用)可能な化合物を見出し、及び/又はその調節が、例えばヒトの肺気管支上皮で起こり得る繊毛形成を調節するため(例えばスイッチのオン/オフスイッチ)に用いることができることを見出したことに基づく。
【0006】
特に、呼吸細胞再生遺伝子1(R2R1)と呼ばれる遺伝子はポリコーム抑制複合体1(PRC1)とトライソラックス群-MLL(TrxG-MLL)複合体の成分の結合パートナーとして同定されているタンパク質をコードする。PRC1複合体は一組の定義されたポリコーム群(PcG)タンパク質から構成される。TrxG-MLL複合体は、COMPASS様複合体とも呼ばれており、一組の定義されたトライソラックス群(TrxG)タンパク質から構成される。R2R1タンパク質とPRC1/trxG-MLL複合体及び/又はPcG又はTrxGタンパク質との相互作用は、結果としてヒト気管支上皮における繊毛形成の調節となる。
【0007】
第一の態様において、本発明は、異常または欠陥のある繊毛形成に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防に使用するためのクロマチンバインディング/リモデリング複合体と結合、会合又は相互作用する化合物を提供する。
【0008】
更には、異常又は欠陥のある繊毛形成に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防のための医薬の製造におけるクロマチンバインディング/リモデリング複合体と結合、会合又は相互作用する化合物の使用を提供する。
【0009】
更には、異常又は欠陥のある繊毛形成に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防の方法を提供し、前記方法はクロマチンバインディング/リモデリング複合体と結合、会合、相互作用する化合物を対象に治療的に有効な量投与する工程を含む。
PRC1級複合体はクロマチンをコンパクトにし、クロマチンのリモデリングを抑制する。同様にトライソラックス群-MLL(TrxG-MLL)もまたクロマチンのバインディング/リモデリングに関与する。
【0010】
それゆえ、本発明の更なる態様は、異常又は欠陥のある繊毛形成に関連する疾患及び/又は状態の治療及び/又は予防に用いる、PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合、会合又は相互作用する化合物を提供する。
【0011】
更なる態様は、異常又は欠陥のある繊毛形成に関連する疾患及び/又は状態の治療又は予防のための医薬の製造における、PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体と結合、会合又は相互作用する化合物の使用を提供する。
【0012】
更に本発明は、異常又は欠陥のある繊毛形成に関連する疾病又は状態の治療及び/又は予防する方法を提供し、前記方法はPRC1及び/又はTrxG-MLLと結合、会合又は相互作用する化合物を対象に治療的に有効な量投与する工程を含む。
【0013】
仮説に縛られることなく、下記により詳細を説明するように、発明者らはR2R1タンパク質が、例えば、PRC1及びTrxG-MLL複合体を含むクロマチンバインディング/リモデリング複合体の成分(例えばタンパク質又はペプチド成分)と結合又は会合/相互作用できることを発見した。そうすることで、R2R1タンパク質がヒト気管支上皮における繊毛形成の“on/off”スイッチとして働くことができる。そのようなものとして、R2R1の発現、機能及び/又は活性を調節又は模倣(ミミック)する化合物が、細胞中の繊毛形成を調節する(例えば復元、増殖又は抑制(すなわち、スイッチの“on/off”))手段として使用されてもよく、及び/又は異常又は欠陥のある繊毛形成によって引き起こし又は助長される疾病、状態又は症状の治療の基本として使用されてもよい。R2R1の発現、機能及び/又は活性を調節又は模倣する化合物は、PRC1/TrxG-MLL複合体などのクロマチンバインディング/リモデリング複合体中、又はそのある成分(又は特定の成分)中に存在するR2R1結合サイト(結合部位)と結合することができ、又はそうでなければ会合することができる。これら(PRC1/TrxG-MLL)複合体(又はその成分)中のR2R1結合サイトとのあらゆる結合又は会合の効果は、細胞中の繊毛形成の調節であることができる。それゆえ、これら複合体(例えばPRC1/TrxG-MLL R2R1結合サイト)中のR2R1結合サイトと結合及び/又は会合する化合物は、繊毛形成を調節するために及び/又は異常又は欠陥のある繊毛形成により引き起こされ又は助長される疾病、状態又は症状の治療及び/又は予防のために使用され又は利用されることができる。
【0014】
上記の観点から、この開示は使用のための化合物(その化合物はクロマチンバインディング/リモデリング複合体、PRC1、TrxG-MLL及び/又はそのR2R1結合サイトと結合、会合又は相互作用できる)、使用のための組成物(クロマチンバインディング/リモデリング複合体、PRC1、TrxG-MLL及び/又はそのR2R1結合サイトと結合、会合又は相互作用できる1以上の化合物を含む)、クロマチンバインディング/リモデリング複合体、PRC1、TrxG-MLL及び/又はそのR2R1結合サイトと結合、会合又は相互作用できる化合物を含む組成物/医薬の使用、及びそれを利用する方法に関する。加えて、本発明は、(使用のための)化合物、(使用のための)組成物、(使用のための)医薬及びR2R1の発現、機能及び/又は活性を模倣又は調節する化合物を利用する方法に関する。R2R1の機能を模倣する化合物は、1以上の野生型R2R1タンパク質の特性及び/又は機能を利用することができる。例えば、R2R1模倣体はPRC1、TrxG-MLL又は成分又はそのサブユニットと結合し又は会合してもよい。R2R1模倣型化合物は、例えば、クロマチンバインディング/リモデリング複合体、PRC1、TrxG-Mll又はその成分に、R2R1結合サイトを介して結合又は会合/相互作用することができる-言い換えると、R2R1模倣型化合物はクロマチンバインディング/リモデリング複合体、PRC1及び/又はTrxG-Mll R2R1結合サイトと結合又は会合/相互作用することができる。R2R1の発現、機能及び/又は活性を調節する化合物は、その発現、機能及び/又は活性を増加させ又は抑制する。本発明における使用のための化合物は、天然型又は野生型R2R1とPRC1 TrxG-MLL及び/又は成分又はいずれかのサブユニット間の結合を干渉し、予防し又は抑制してもよい。
【0015】
この開示全体を通して、これらの態様及び実施形態は“化合物、組成物、使用、医薬及び方法”である。更に、本開示は定期的に“PRC1”や“TrxG-Mll”に言及するが、これらは“クロマチンバインディング/リモデリング”複合体の例示的な(ただし必ずしも限定しない)例えである。
【0016】
本明細書全体を通して、“含む”という用語は、本開示の態様及び実施形態が特定の特徴又は複数の特徴を“含む”ことを意味するために使われることを理解されたい。“含む”という用語はまた、関連する特徴又は複数の特徴を“必須で構成する”又は“構成する”態様及び/又は実施形態を包含することができると理解されたい。
【0017】
ポリコーム抑制複合体1(PRC1)は、本発明の様々な態様及び実施形態(すなわち、使用、組成物、医薬及び方法)において有益な多タンパク質複合体及び化合物であり、1以上のPRC1サブユニットまたはそのR2R1結合サイトと結合又は会合しているものを含んでもよい。PRC1はその成分を入れ替えて、結果として標準的及び非標準的複合体となることで知られている。クロマチンに対するPRC1の効果(H2Aユビキチン化、PRC2の呼び込み及びPRC2の抑制機能の補助)は、その様々な成分のタンパク質により決定される。しかしながら、PRC1のリングフィンガータンパク質2(RNF2)サブユニットが常に存在することが知られている。本発明に照らして、様々な組成物、使用、医薬及び方法は、PRC1のリングフィンガータンパク質2(RNF2)と結合可能な化合物を利用することができる。RNF2と結合又は会合可能な化合物は、そのR2R1結合サイトを標的してもよい。
【0018】
本発明の様々な態様及び実施形態(すなわち使用、組成物、医薬及び方法)において有益な化合物は、TrxG-MLL(トライソラックス群混合血統白血病)複合体を修飾するクロマチンの成分と結合又は会合するものを含んでもよい。PRC1とは対照的に、TrxG-MLLはH3K4メチル化によって活性遺伝子発現を維持する。実際、TrxG-MLLの機能はPRC1の機能を補完する。PRC1はクロマチンの抑圧的修飾の要因であり、結果としてTrxG-MLL、すなわち転写を活性化するクロマチン修飾を調節する複合体との激しいストロークに関与する。TrxG-MLLは、例えばDYP-30及びASH2Lと呼ばれるタンパク質を含む、多くのサブユニットタンパク質を有するコア構造を有する。DYP-30及びASH2Lは常に種々のTrxG-MLL複合体中に存在し、TrxG-MLLのヒストンH3 Lys-4(トリ)メチル化活性のために不可欠である。本発明の化合物はDPY-30及び/又はASH2L成分を介してTrxG-MLL複合体と結合又は会合することができる。つまり、本発明において使用される化合物は、DYP-30及び/又はASH2Lと結合又は会合できる。DYP-30及び/又はASH2L成分と結合又は会合できる化合物は、これらの成分のいずれか(又は両方の)R2R1結合サイトを標的することができる。
【0019】
本発明の様々な態様及び実施形態(すなわち使用、組成物、医薬及び方法)において有益な化合物は、更にSF3B2タンパク質、すなわち非標準的PRC1複合体の成分と結合するものを含んでもよい。本発明において、様々な組成物、使用、医薬及び方法は、PRC1のSF3B2サブユニットと結合可能な化合物を利用することができる。PRC1のSF3B2サブユニットのR2R1結合サイトを標的可能な化合物は、そのR2R1結合サイトを標的できる。
【0020】
本発明の様々な態様において有益な化合物(その化合物はPRC1、TrxG-MLL(その成分、サブユニット及び/又はR2R1結合サイトを含む)と結合又は会合する)は、核酸(RNA、DNA及び/又は合成/人工型)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、糖質、タンパク質、ペプチド、小分子、抗体(抗原又はその標的結合断片を含む)という形をとることができる。
【0021】
本発明において((i)上に開示されたいずれかの複合体を(ii)そのいずれかのR2R1結合サイトに結合するか、(iii)それ自身がR2R1の機能、発現及び/又は活性を調節する、R2R1タンパク質/ペプチドを発現またはコードする物質として)用いられる核酸分子は、下記の配列番号1で示された配列を含むか又は誘導される。
【0022】
配列番号1
acactgacacggaccgaaggagtggaaaaagctttacctgtcactgtctgctgccatacgATGCTGGGAGGCCTGGGGAAGCTGGCGGCCGAGGGCCTGGCCCACCGCACAGAGAAAGCCACTGGGGGAGCAGTTCACGCAGTGGAAGAGGTGGTGAGCGAGGTGGTGGGCCACGCCAAGGAGGTTGGAGAGAAGACCATTAATGACGCCCTAAAGAAAGCCCAAGAATCAGGAGACAGGGTGGTGAAGGAGGTCACTGAGAAGGTCACCCACACCATCACTGATGCTGTTACCCATGCGGCAGAAGGCCTGGGAAGACTGGGACAGtgagcctgcctaccagcatggctggcccttcctgaaggtcaataaagagtgtgaaacgtgaaaaaaaaaaaaaaaataacaaaaaaaaaaaaaaaaaa
【0023】
配列番号1はマウスR2R1遺伝子の例示的な転写物を表す。この配列のコード又は翻訳部分は下線が引かれ、約267個のヌクレオチドを含む。配列番号1の特にこの部分は配列番号2に規定される。
【0024】
本発明で用いられる核酸分子は、下記の配列番号3で示された配列を含み又は誘導される。
【0025】
配列番号3
actgtctgctgccacacgATGCTGGGAGGCCTGGGGAAGCTGGCTGCCGAAGGCCTGGCCCACCGCACCGAGAAGGCCACCGAGGGAGCCATTCATGCCGTGGAAGAAGTGGTGAAGGAGGTGGTGGGACACGCCAAGGAGACTGGAGAGAAAGCCATTGCTGAAGCCATAAAGAAAGCCCAAGAGTCAGGGGACAAAAAGATGAAGGAAATCACTGAGACAGTGACCAACACAGTCACAAATGCCATCACCCATGCAGCAGAGAGTCTGGACAAACTTGGACAGtgagtgcacctgctaccacggcccttccccagtctcaataaaaagccatgacatgtg
【0026】
配列番号3はヒトR2R1遺伝子の例示的な転写物を表す。この配列のコード又は翻訳部分は下線が引かれ、約267個のヌクレオチドを含む。配列番号3の特にこの部分は配列番号4に規定される。
【0027】
配列番号2の267個のヌクレオチド残基は、89個のアミノ酸を含むタンパク質/ペプチドをコードし、次の配列(配列番号5で示される)を有する。
【0028】
配列番号5
MLGGLGKLAAEGLAHRTEKATGGAVHAVEEWSEWGHAKEVGEKTINDALKKAQESGDRWKEVTEKVTHTITDAVTHAAEGLGRLGQ
【0029】
配列番号4の267個のヌクレオチドは89個のアミノ酸を含むタンパク質/ペプチドをコードし、次の配列(配列番号6と呼ぶ)を有する。
【0030】
配列番号6
MLGGLGKLAAEGLAHRTEKATEGAIHAVEEWKEWGHAKETGEKAIAEAIKKAQESGDKKMKE ITETVTNTVTNAITHAAESLDKLGQ
【0031】
このように、本発明は配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の全て又は部分(一部又は断片)を含む核酸配列、すなわち、配列番号5又は配列番号6の全て又は部分(一部又は断片)を含むアミノ酸配列と同様にコードされたアミノ酸配列に関する。本発明は更に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6とある程度同一性及び/又は相同性を示す核酸及び/又はアミノ配列に関する。
【0032】
便宜上、配列番号1-6(それぞれR2R1タンパク質をコード又は提供する)の配列は、以下“参照配列”という。
【0033】
本開示の参照配列の断片は、いずれかの数の核酸/アミノ酸残基を含んでいてもよい。例えば、本発明で使用される断片は約5~10残基から約n-1残基まで含んでもよい。ここで“n”は、参照配列中の(核酸/アミノ酸の)合計残基である。例えば、本発明の参照配列の断片又は部分は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、80、85、88、90、95、100、150、200、250、265、267、300、341、350、400又は424残基を含んでもよい上限(n-1)は完全タンパク質をコードする核酸配列の大きさ(n)又はタンパク質の完全一次配列を構成するアミノ酸残基の数(n)に依存する。
【0034】
相同性の又は同一性の配列は、自然に生じたものでもよく、齧歯類及び/又はヒトのような哺乳類において見出されたものでもよい。本明細書で説明する核酸及び/又はアミノ酸配列を用いれば、当業者はより大きなゲノム配列中及び哺乳類等のような他の種において、関連のある(例えば相同性の又は同一性の)配列を容易に同定することができる。例えば、本明細書に開示するいずれの核酸配列に由来する核酸配列は、他の種(非ネズミ又はヒト)のゲノム中に相同性の/同一性の又は非常に関連のある配列を検出するために使用することができる。
【0035】
相同性の又は同一性の配列は例えば、分子、シークエンシング、PCR及び/又はクローン技術を使って組み立てることができる。この分野の当業者は、本明細書に開示する配列(以下“参照配列”という)のいずれに対して相同性又は同一性の配列(そのような配列の(機能的な)断片を含む)が、その関連する配列又は断片の全て又は部分の約20又は30%程度の相同性又は同一性しか示さないことを容易に理解することができる。他のケースでは、相同性の又は同一性の配列は、本明細書に開示するいずれかの配列に対して40、50、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の相同性又は同一性を示すことができる。例えば、配列番号2及び4は、いずれも本発明(それ自体医薬として又は有用なタンパク質若しくはペプチドをコードする配列として)において有益な核酸配列を提供するが、全体267個のアミノ酸長さに対して81.3%の一致である。従って、配列番号2に関しては、例えば、約80%の配列相同性又は同一性を示す配列は有益である。配列番号1及び3を一列に並べたとき、配列は約64%の一致であるので、配列番号1に関しては、例えば、約64%の配列相同性又は同一性を示す配列は有益である。
【0036】
2以上の(アミノ酸又は核酸の)配列間の“相同性”の程度(又はパーセンテージ)は、配列を一致するように並べて、一致している、又は一致ではなく余分な塩基置換により種々の、並べられた残基の数を決定することで決定する(余分な塩基置換は特定のコドン又は保存アミノ酸置換によりコードされたアミノ酸には効果がない)。相同性は、Basic Local Alignment Search Tool(BLAST: Altschl, S.F., Gish, W., Miller, W., Myers, E.W. & D.J. (1990) "Basic local alignment search tool." J. Mol. Biol. 215:403-410)を用いて評価できる。
【0037】
2以上の(アミノ酸又は核酸の)配列間の“同一性”の程度(又はパーセンテージ)はまた、配列を一致するように並べて、並べられた配列間の正確な残基の一致数を確認し、その数を合計残基の数で除することで決定することができる。得られた数字に100を乗じた数が、配列間の一致パーセンテージとなる。
【0038】
参照配列の各々は、PRC1び/又はTrxG-MLL(の成分/複数の成分又はR2R1結合サイト)と結合、相互作用又はそうでなければ会合するタンパク質又はペプチドをコードする;本明細書で説明された参照配列のうちの一つの有用な断片又は配列番号1-6(又はその断片)のうち要求されるレベルの相同性又は同一性を示す実際に有用な配列は、機能的なタンパク質又はペプチドをコード又は提供することができる。それはPRC1及び/又はTRXG-MLL及び/又はそれらの成分又はサブユニットと結合できるか、又は親和性が高いタンパク質又はペプチドである。PRC1及び/又はTRXG-MLLと結合/会合できるか、又は親和性が高いタンパク質又はペプチドは、そのR2R1結合サイトと結合/会合するか、親和性を備えることができる。
【0039】
上記の観点から、本発明の様々な態様で有益な化合物は、本明細書に開示された核酸(例えば配列番号1、2、3又は4により提供される核酸)、前記核酸によりコードされたペプチド/タンパク質あるいは本明細書に開示されたタンパク質又はペプチド(例えば配列番号5又は6により提供されるタンパク質又はペプチド)、本明細書に開示された核酸/アミノ酸配列の部分又は断片を含む核酸又はタンパク質/ペプチド配列、本明細書に開示された核酸又はアミノ酸といくらかのレベルの相同性又は同一性を示す核酸又はタンパク質/ペプチド配列を含んでいてもよく、実質的にそれらからなるものであってもよく、又はそれらからなってもよい。
【0040】
加えて、本発明は変異核酸又はアミノ酸配列を利用してもよい。例えば、変異核酸又はアミノ酸配列は本発明の参照配列と比較して、1以上の多型又は核酸/アミノ酸の添加、置換、反転又は欠失を含む(又は抱え又は包含する)自然変異であることができる。更に、技術的に知られているように、遺伝子コードの縮重は、一次アミノ酸配列の変化なしにコドン中で一以上の塩基の置換を許容する。そのため、遺伝子縮重は、本明細書に記載された参照配列と十分に同一のペプチド又はタンパク質をコードする変異核酸配列を作るために利用することができる。有用な変異配列はまた、1以上の“保存”残基置換の利用を通じて生成されることができる。この分野の当業者は、“保存置換”という用語が例えば、この開示の参照タンパク質又はペプチド配列の1以上のアミノ酸を、似た特性を備える代わりのアミノ酸に置き換える行動を含む意図であり、自然型(又は野生型)タンパク質の物理化学的特性及び/又は構造又は機能を実質的に変えるものではないことを理解するだろう。
【0041】
したがって、そのような変異体、特に機能的又は所望の活性を示し又は機能的なペプチド/タンパク質をコードする変異体、つまり、PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体及び/又はそれらの成分又はサブユニットと結合又は会合可能なタンパク質/ペプチドは、本発明において有用であることは理解されるべきである。
【0042】
本発明はR2R1遺伝子の発現(例示的な配列は上記の配列番号1-4で与えられる)及び/又は細胞中のR2R1タンパク質/ペプチド(例示的な配列は上記の配列番号5及び6で与えられる)の活性、機能及び/又は発現を調節する化合物(例えば阻害化合物)を利用することができる。例えば、本発明で用いられる化合物はRNAi型阻害剤のアンチセンスオリゴヌクレオチドの形態をとることができる。この型の化合物は、特定のDNA又はRNAを標的にすることによって転写/翻訳を妨害するように設計されている。アンチセンスオリゴヌクレオチド/分子はDNA及び/又はRNAを含み、R2R1遺伝子又はそのタンパク性生成物を著しく減らし又は除去することができる。例えば、アンチセンスDNA配列は、本明細書に開示された核酸参照配列のいずれの一部と補完的な短い配列を構成し得る。例えば、アンチセンス配列は、配列番号1-4で与えられる配列のいずれの約5~50の間の連続的な核酸残基を含んでもよい。本発明で用いられるアンチセンスRNA配列は、R2R1 mRNA配列のいくつかの部分と補完的であることができる。他の型の有益なアンチセンス又は阻害性RNA/DNAベース分子は、マイクロRNA(miRNA)、低分子/短干渉RNA(siRNA)又はshRNAとして知られるものを含んでもよい。そのようなRNAオリゴヌクレオチドは、(例えば化学修飾のような)何らかの手法でヌクレアーゼ耐性を持つよう修飾された天然RNA二本鎖の形態をとり得る。加えて、また、RNAオリゴヌクレオチドは本明細書に述べた型のsiRNAに対応又は含む短ヘアピンRNA(shRNA)発現又はプラスミドコンストラクトの形態をとることができる。有利なことに、潜在的に有益なRNAi分子は二本鎖RNA分子の形態をとることができる。全てのケースにおいて、アンチセンスDNA又はRNA分子は、本明細書に開示されたR2R1配列と補完的な配列を含んでもよい。ここで注目すべきは、本明細書に記載されたアンチセンス技術の全ての応用のために、遺伝子発現のアンチセンス制御を達成する技術及びプロトコルが知られており、所定の遺伝子に対する最適なノックダウン効果を有するアンチセンス配列をコンピュータ予測するアルゴリズムが、適切なアンチセンス分子/オリゴマーの設計に使用することができる。
【0043】
本発明は組み換え型化合物-特に組み換え型タンパク質/ペプチド及び/又は核酸配列を利用することができる。例えば、本明細書に開示された参照配列を用いれば、当業者は、本発明で用いるための組み換え型R2R1配列及び/又はタンパク質/ペプチドを生産するための分子、クローニング及びPCR技術を使うことができる。組み換え型配列の生産のためのPCR及びクローンベース技術に関する更なる情報は、例えば、PCR Primer: A Laboratory Manual, Second Edition Edited by Carl W. Dieffenbach & Gabriela S. Dveksler: Cold Spring Harbour Laboratory Press and Molecular Cloning: A Laboratory Manual by Joseph Sambrook & David Russell: Cold Spring Harbour Laboratory Pressにおいて見出すことができる。
【0044】
本発明で用いられる化合物は抗体(抗原又はその標的結合断片)を含んでもよい。抗体は、PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体結合サイト中のR2R1によって占有されている結合サイトに相当するか、又はその中に位置するR2R1タンパク質/ペプチド(又はそのエピトープ)又はエピトープと結合することができる。“抗体”という用語は、ポリクローナル及び/又はモノクローナル抗体及び、例えば、lgG、lgM、lgD、lgE及び/又はlgAアイソタイプを含んでもよい。更に、“抗体断片”という用語は、Fab断片、Fab2断片及びscfv断片として知られる断片並びに一つ又は両方の軽鎖及び/又は一つ又は両方の重鎖を構成するものを包含すると解釈されるべきである。その適切な抗体及び/又は断片は、機能であることができ、PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体との結合を干渉し、ブロックし又は中和することができるものを含んでもよい。あるいは、その有益な抗体又は断片は、PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中の前記R2R1結合サイトと結合することができる。PRC1及び/又はTrxG-MLL複合体中の前記R2R1結合サイトと結合するその抗体又は機能的断片は、R2R1のような機能に作用するために使用されることができる。言い換えると、この種の抗体(又はその機能的断片)は、R2R1の不存在下、R2R1機能を置き換えるために使用されることができる。
【0045】
述べたように、本明細書で用いられる抗体という用語はポリクローナル及び/又はモノクローナル抗体を含んでもよい。ポリクローナル抗体は、抗原で免疫された動物の血清又はその抗原的機能のある誘導体に由来した抗体分子の異種集団である。それゆえ、R2R1と選択性又は親和性を有するポリクローナル抗体を生産するために、例えばウサギ、羊、豚等の宿主動物は、R2R1タンパク質/ペプチド(例えば本明細書に記載された配列又は適切な(抗原性タンパク質/プロテインをコードする)その断片によりコードされ又は提供されたタンパク質又はペプチド)で(恐らく注射により)免疫されてもよい。免疫された動物は、R2R1に選択性又は親和性を有する抗体を生産し、血清から採集することができる。モノクローナル抗体は、特定の抗原又はそのエピトープに選択性又は親和性を有する抗体の異種集団である。それらは培養液中で連続細胞系によって抗体分子の生産のために提供するいずれかの技術を用いて得ることができる。これらは、Nature 256:495-497; 及び米国特許第4,376,100号のKohler及びMilstein(1975)のハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al., 1983, Immunology Today 4:72; Cole et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 80:2026-2030)、及びEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., 1985, Monoclonal Anti-bodied and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)が含まれるが、これらに限定されない。本発明で用いられるモノクローナル抗体は、本明細書に開示された核酸、タンパク質又はペプチド配列(例えば、配列番号1-4のいずれか又は配列番号5又は6の核酸配列によりコードされたタンパク質又はペプチド)を利用した方法を用いて作ることができる。
【0046】
本発明で用いられる化合物は更に、R2R1の効果を置換又は抑制できる小分子(例えば小有機化合物)を含んでもよい。例えば、(i)RNF2、DPY-30/ASH2L又はSF3B2へのR2R1の結合に相互作用又は干渉するか、(ii)RNF2、DPY-30/ASH2L又はSF3B2へのR2R1の結合を抑制するか、(iii)RNF2、DYP-30/ASH2L又はSF3B2へのR2R1の結合を増幅するか、(iv)RNF2、DYP-30/ASH2L又はSF3B2へのR2R1の結合を調節する小分子がまた、本発明では有用である。
【0047】
本発明での使用に適切な化合物(すなわち、繊毛形成を調節する及び/又は繊毛形成を修復する際に使用するのに最適、及び/又は疾病を治療又は予防する化合物)は、試験化合物を準備し、前記化合物と細胞とを接触させ、試験化合物と接触させた後、細胞中で繊毛形成の調節が行われたかどうかを決定する手法を用いて同定することができる。(前記)テスト薬剤と接触させなかった細胞中の繊毛形成、発達又は活性のレベルに対する、繊毛形成及び/又は繊毛の形成、発達又は活性の観測された増加又は減少により、繊毛形成の調節を検出することができる。この種の方法で用いられる細胞は、繊毛形成を受ける又は実行することができるいずれかの細胞であってもよい。前記細胞は、ヒトのドナー由来の未分化の、分化中の、又は分化された正常ヒト気管支上皮細胞(PBEC)であることができる。前記細胞はまた、未分化の、分化中の、又は分化されたiPS細胞(人工多能性幹細胞)であって、遺伝子修飾された又はされていないiPS細胞であることができる。例えば、iPS細胞はR2R1をコードする遺伝子中の遺伝子修飾を起こすことができる。前記細胞は例えば、単層として、懸濁液中で、又は気相液相界面状況下という特定の状況下で培養してもよい。
【0048】
“異常又は欠陥のある繊毛形成”という用語は、過剰又は不適切な繊毛形成を含むか、又は、繊毛形成の過程、又は繊毛形成に関連する過程が除去されてしまったか、抑制されているか、機能しなくなってしまった(又は機能していない)状態のいずれかを含んでもよい。“異常又は欠陥のある繊毛形成”という用語は、繊毛関連疾患として広く分類されている疾病又は状態を含んでもよい。繊毛形成の欠損は、異常な気管支上皮の原因となり得る。
【0049】
当業者は、繊毛形成が、粘膜クリアランスの促進において重大な役割を担う繊毛細胞の形成を導く重要な過程であることを十分理解するだろう。繊毛細胞の欠損(例えば異常又は欠陥のある繊毛形成の幾つかの形態を通じて)は、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患っている患者の非効率な粘膜クリアランスを導くことができる。そのような場合、異常な気管支上皮(繊毛細胞の欠損、扁平分化、及び基底細胞過形成により特徴づけられる)は、粘膜、バクテリア、ウイルス及び他の残がいを気道から取り除くことができない。この非効率なクリアランス機構は、例えば、咳、気管支肺感染及び肺における非効率なガス交換のような重篤な症状を導き得る。そのような合併症は、しばしば高い死亡率を伴うものである。
【0050】
このように、本明細書に記載された様々な化合物(前記化合物は、PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合又は相互作用/会合し、核酸(センス/アンチセンスDNA/RNA)、タンパク質/ペプチド、小分子及び/又は抗体の形態をとることができる)は、上記に述べた異常な(例えば、減少した、抑制された、損傷した、欠陥のある又は除去された)繊毛形成を示す細胞中の繊毛形成の修復や修正をするのに役立つことができる。他の化合物(例えば、核酸(センス/アンチセンスDNA/RNA)、タンパク質/ペプチド、小分子及び/又は抗体)を、細胞中の繊毛形成を抑制又は減少させるために使用してもよい。
【0051】
当業者は、異常な繊毛形成が、標準レベルの繊毛形成(健康な細胞で起きるときの)と比較したときに、増加又は減少したいずれの繊毛形成であってもよいことを理解する。異常な繊毛形成(増加していようと減少していようと)は、繊毛関連疾患(例えば原発性線毛ジスキネジア、水頭症、多嚢胞肝及び腎疾患、髄質性嚢胞腎、バルデー・ビードル症候群、アルストレーム症候群及びメッケル症候群と同じようなある種の網膜変性)といわれるものを含む多くの疾病と関連があり得る。異常又は欠陥のある繊毛形成はまた、例えばCOPD等を含む、肺の系や気道の疾病を引き起こすか、原因となり得る。このように、本明細書に述べた様々な化合物(PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合又は相互作用/会合できる化合物)は、繊毛関連疾患及び/又はCOPDの治療及び/又は予防に有用であることができる。例えば、本発明の化合物はCOPDを患っているか、又は罹患しやすい及び/又は影響を受けやすい患者において、繊毛形成を修復するために用いることができる。
【0052】
本発明で用いられる化合物は、その必要としている対象に投与するための組成物として処方されてもよい。前記化合物は、医薬組成物として提供されてもよい。使用のための組成物は、適切な(例えば医薬的に適切な)賦形剤、希釈剤及び/又は緩衝剤を含んでもよい。本発明の前記化合物は、投与のための1以上の他の化合物-例えば1以上の薬剤と共に処方してもよく、前記薬剤は他の疾病及び/又は繊毛形成に関連する疾患及び/又は状態の予防及び/又は治療のために使用してもよい。好ましくは、本発明により提供される前記医薬組成物は、無菌医薬組成物としての処方である。
【0053】
適切な賦形剤、担体又は希釈剤は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、D形グルコース、グリセロール、エタノール、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、硫酸プロタミンのような水塩又は電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック重合体、ポリエチレングリコール及び羊毛脂等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0054】
本発明で用いられる医薬製剤は、例えば、経口、非経口、粘膜又は局所投与に適した形態で処方されることができる。前記組成物は、吸入できるように処方されてもよい。吸入により投与される組成物は、エアロゾル化され飛沫として吸入することができる微粉末又は溶液の形態であってもよい。この分野の当業者は、例えば吸入により肺に直接組成物を送るために使われる装置について詳しいだろう。組成物の飛沫又は粒子の大きさは、薬物が種々の肺の領域にアクセスできるように変更することができる。例えば、一度吸入した後は、小さな粒子又は飛沫は肺組織の深くに浸透し、場合によっては肺胞に到達することができる。
【0055】
担体が固体である場合の経口投与に適した組成物は、本発明の1以上の前記PRC1及び/又はTrxG-MLLと結合する化合物の規定量を含有するボーラス、カプセル又はタブレットのような単位投与剤型として存在することが最も好ましい。タブレットは、任意で含んでいても良い1以上の補助的な原料と共に、圧縮又は成型して作ることができる。圧縮されたタブレットは、任意でバインダー、滑剤、不活性の希釈剤、平滑剤、界面活性剤又は分散剤を混合した粉末又は顆粒のような自由流動性の形態で、活性PRC1及び/又はTrxG-MLL結合化合物を最適な機械中で圧縮することで調製することができる。成型されたタブレットは、活性PRC1及び/又はTrxG-MLL結合化合物を不活性希釈液とともに型に入れることで作ることができる。タブレットは任意でコーティングしてもよく、もしコーティングしない場合、印をつけてもよい。カプセルは、活性化合物を、単独で又は1以上の補助的な原料と共に混合したものを、カプセルの殻に充填し、通常の方法で密閉することで調製することができる。活性剤(例えば本発明のPRC1及び/又はTRXG-MLL結合化合物)は、また分散性顆粒として処方されてもよく、それは投与前に水中に懸濁するか、又は食物に振りかけてもよい。顆粒は例えば小袋にパッケージされてもよい。担体が液体の場合の経口投与に適切な処方は、溶液、水性又は非水性液体中の懸濁液又は水中油型乳剤として存在してもよい。
【0056】
経口投与に適切な組成物は、例えば、活性PRC1及び/又はTrxG-MLL結合化合物が適切な放出制御マトリックス中で処方されるタブレット、又は、適切な放出制御フィルムでコーティングされているタブレットのような、制御放出剤形態を含む。そのような組成物は、特に予防的使用のために重宝され得る。
【0057】
非経口の投与のために処方された組成物は、水性又は油性の媒体中の本発明の活性PRC1及び/又はTrxG-MLL化合物の無菌溶液又は無菌懸濁液を含む。本発明の組成物は、抗凍結剤化合物又は組成物、防腐剤、抗生物質、補助剤等を含んでいてもよく、又は更に含んでもよい。
【0058】
注入可能な組成物及びワクチンは、ボーラス注射や連続注入のために適応されてもよい。そのような製剤は、使用の要求があるまで処方の導入後に密閉される、単位投与容器又は複数回投与容器に存在することが簡便である。あるいは、本発明の活性PRC1及び/又はTrxG-MLL化合物は、使用前、無菌、ピロゲンフリーの水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のような適切な媒体で構成される粉末状であってもよい。
【0059】
本発明の1以上のPRC1及び/又はTrxG-MLL化合物を含む組成物もまた、長時間効果のある持続性薬剤の調製として処方してもよく、筋肉内の注射又は移植する(例えば皮下若しくは筋肉内に)ことにより、投与してもよい。持続性薬剤の調製は、例えば、適切な重合体の若しくは疎水性の材料、又はイオン交換樹脂を含んでもよい。それらはまた、例えばウシ、ヒツジ、ヤギのような動物の免疫反応の親和性及び/又は免疫応答の寿命を高めることで知られている、一重又は二重の水中油型乳剤のような、調合液又は補助剤を含んでもよい。そのような長時間効果のある組成物は、予防的使用のために特に重宝される。
【0060】
粘膜投与に適した(又は処方された)組成物は、エアロゾル分散、又は飲料中に分散された粒子を含む組成物を含む。分散される際、そのような組成物は例えば鼻腔に保持できるように10~200μmの範囲の粒子径を望ましく備えるのが良い。これは、必要に応じて、粉末の最適な粒子サイズを用いることか、適切なバルブを選択することにより達成することができる。他の適切な組成物は、鼻の接近を維持した容器から鼻道を通じて急速な吸入による投与のために20~500μmの範囲の粒子径をもつ粗い粉末と、水性、又は油性溶液又は懸濁液中に活性化合物を0.2~5%w/v含む点鼻薬を含む。
【0061】
上述した担体材料に加えて、本明細書に述べた様々な組成物は、希釈剤、緩衝剤、香料、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、防腐剤(酸化防止剤を含む)等、及び処方を受取人の血液で等張性にするために含まれた物質のような1以上の適切な担体材料を含んでもよい。医薬的に許容できる担体は、当業者によく知られており、0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液又は0.8%の生理食塩水を含むが、これに限定されない。加えて、医薬的に許容できる担体は、水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳剤であることができる。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、オレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルであることができる。水性担体は、水、アルコール/水溶液、乳剤又は懸濁液、生理食塩水及び緩衝された媒体を含む。非経口の媒介物は、塩化ナトリウム水溶液、リンガーのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー溶液、又は不揮発性油があげられる。防腐剤及び例えば、抗菌薬、酸化防止剤、キレート剤、不活性ガス等のような他の添加剤も存在してもよい。
【0062】
局所処方に適した組成物は、例えばゲル、クリーム、又は軟膏として提供してもよい。
【0063】
獣医学的な使用のための組成物は、都合よく粉末又は原液系のどちらかであってもよい。標準的な獣医学の処方慣行に従って、ラクトース又はスクロースのような従来の水溶性賦形剤が、物理特性を改善するために粉末に組み込まれてもよい。このように、本発明の適切な粉末は活性薬剤(例えば1以上の本発明のPRC1及び/又はTrxG-MLL化合物)を50~100%w/w、好ましくは60~80%w/w含み、従来の獣医賦形剤を0~50%w/w、好ましくは20~40%w/w含むことが好ましい。これらの粉末は例えば動物の餌に、恐らく中間プレミックスの方法により添加されるか、動物の飲料水中に希釈されるかのどちらかであってもよい。
【0064】
本発明の原液は、1以上の本発明のPRC1及び/又はTrxG-MLLを適切に含み、任意で更に獣医学的な使用のために、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、グリセロールホルマール、又はエタノール30%v/vまで含む混合溶媒のような、許容可能な水混和性の溶媒を含んでもよい。原液は動物の飲料水に投与されてもよい。
【0065】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、以下の図面を参照して詳細を説明される:
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1繊毛形成におけるR2R1の機能を図示したものである。
図2】R1R2共免疫沈降法試験のウェスタンブロットを図示したものである。
図3】R2R1ノックダウン(FAM25_KD)及びCOPD病状の転写効果に対する種々の発現を示すLogRatiosの比較を示す図である。
図4-1】例示的な繊毛遺伝子のアップレギュレーションを図示したLog2強度プロットである。
図4-2】図4-1続き。
図4-3】図4-2続き。
図4-4】図4-3続き。
図4-5】図4-4続き。
図5-1】FAM25(R2R1)遺伝子発現のノックダウンを仲介するshRNAに対する差次的に発現された繊毛遺伝子の有意性を図示したボックスプロットである。
図5-2】図5-1続き。
図5-3】図5-2続き。
図5-4】図5-3続き。
図5-5】図5-4続き。
図5-6】図5-5続き。
図5-7】図5-6続き。
図5-8】図5-7続き。
図6】FAM25(R2R1)遺伝子発現のダウンレギュレーションを仲介するshRNAによって引き起こされる繊毛遺伝子(繊毛運動)のアップレギュレーションを図示したLog2 Ratioプロットである。
図7】FAM25(R2R1)遺伝子発現のダウンレギュレーションを仲介するshRNAによって引き起こされる繊毛遺伝子(繊毛形態形成)のアップレギュレーションを図示したLog2 Ratioプロットである。
図8】第一主成分分析(X-軸上のPC1)及び第二主成分分析(Y-軸上のPC2)のスペクトル図である。
図9】DYNLRB2遺伝子発現プロフィール、COPD(Br370)ドナーに対するMC PBECs、非COPD(Br331)である。
図10-1】非COPD Br331 PBECs及びCOPD BR370 PBECsにおけるshRNA_R2R1の構成発現に対するR2R1遺伝子発現(Assay ABI Hs0494072_mH及びAssay ABI Hs04194073)のRTqPCRである。
図10-2】図10-1続き。
図11-1】非COPD Br331 PBECs及びCOPD Br370 PBECsにおけるFHR2R1の構成発現に対するR2R1遺伝子発現(Assay ABI Hs0494072_mH及びAssay ABI Hs04194073)のRTqPCRである。
図11-2】図11-1続き。
図12】第1週における大気暴露のCOPD Br370 PBECsの蛍光パターンを示す。
図13】第1週、第2週及び第3週における大気暴露の非COPD Br331 PBECsにおけるR2R1タンパク質発現の測定としての補正された総細胞蛍光(CTCF)を示す。
図14】第1週、第2週及び第3週における大気暴露の非COPD Br331 PBECsにおけるR2R1タンパク質発現の測定としての補正された総細胞蛍光(CTCF)を一つのグラフにまとめたものである。
図15】試験の全サンプルの遺伝子発現レベルのSPM分析である。
図16】R2R1‘ダウンレギュレーション’状態のサブセットの遺伝子発現レベルのSPM分析である。
図17】R2R1‘アップレギュレーション’状態のサブセットの遺伝子発現レベルのSPM分析である。
図18】試験の全サンプルの遺伝子発現レベルのSPM分析である。
図19】R2R1遺伝子発現のダウンレギュレーションに対するROPN1L発現のアップレギュレーションを図示したLog2強度プロットである。
図20】R2R1遺伝子発現のダウンレギュレーションに対するROPN1L発現のアップレギュレーションを図示したLog2強度プロットである。
図21】R2R1遺伝子発現のアップレギュレーションに対するROPN1L発現のダウンレギュレーションを図示したLog2強度プロットである。
図22】繊毛細胞非COPD BR331の数である。
図23】繊毛細胞COPD BR370の数である。
図24】粘液生成細胞非COPD Br331の数である。
図25】粘液生成細胞非COPD Br331の数である。
図26】非COPD Br331/2w AE/MC, shRNA_NC, shRNA_R2R1の染色の図示である。
図27】COPD Br370/2w AE/MC, shRNA_NC, shRNA_R2R1の染色の図示である。
図28】非COPD Br331/2w AE/MC, FH, FHR2R1の染色の図示である。
図29】COPD Br370/2w AE/MC, FH, FHR2R1の染色の図示である。
図30】非COPD Br331/3w AE/MC, shRNA_NC, shRNA_R2R1の染色の図示である。
図31】COPD Br370/3w AE/MC, shRNA_NC, shRNA_R2R1の染色の図示である。
図32】非COPD Br331/3w AE/MC, FH, FHR2R1の染色の図示である。
図33】COPD Br370/3w AE/MC, FH, FHR2R1の染色の図示である。
【0067】
実施例1
1.1:R2R1タンパク質(FAM25タンパク質族)と、ポリコーム群PRC1(サブユニットRNF2を介した)及びトライソラックス群TrxG-MLL(DYP-30及びASH2Lを介した)クロマチンバインディング/リモデリング複合体との結合は、ヒト肺気管支上皮の繊毛形成に対するon/offスイッチである。
R2R1は、肺上皮、より特には基底細胞プログラムの維持及び再生に不可欠である。水中の正常ヒト気管支上皮細胞(PBECs)における実験によりこの機能が発見された。水中培養状態は、未分化PBECsの急速細胞分裂により評価される。ゆえに、水中培養状態は基底細胞(ヒトの気管支肺(気道)表皮の幹細胞)の研究に理想的である。
【0068】
分化している/分化したPBECsにおけるR2R1の機能を研究するため、続きの実験が行われた。PBECsは気相液相界面状態(‘ALI’)で成長された。ALI状態で成長したPBECsのR2R1遺伝子発現のノックダウンを仲介されたshRNAは、2つの独立した実験において、ヒト気管支上皮細胞の分化においてR2R1の補完機能を見出した。構造的及び誘導的に発現した、R2R1発現に対するshRNA ‘FAM25 147'(=TRCN0000284147、shRNA_R2R1とも呼ばれる)の効果は、図4-7により示される。
【0069】
1.2:R2R1の発現のノックダウンは、繊毛形成又は繊毛遺伝子発現プログラムの著しいアップレギュレーションを導く。
繊毛遺伝子発現プログラムは、運動性繊毛の構造上及びモーター/移動タンパク質を包含する。R2R1は基底細胞と繊毛細胞間のゲートウェイをコントロールするということである。R2R1の機能は‘対称性を有する’ことである。特に、R2R1の存在下で基底細胞プログラムが実行され、R2R1の不存在下では繊毛細胞プログラムが開始する。前記対称は、基底細胞⇔繊毛細胞である(図1参照)。基底細胞⇔粘液生成細胞の対称性、すなわち重要な治療結果となる知見の証拠がないことには注意すべきである。
【0070】
繊毛細胞の欠損は、COPDを患っている患者における非効率な粘膜繊毛クリアランスへと導く。これは実際、COPDの病理学的特徴である。異常な気管支上皮(繊毛細胞の欠損、扁平分化及び基底細胞過形成)は粘液、バクテリア、ウイルス及び残がい(デブリ)を気道から取り除くことができない。この非効率なクリアランス機構は深刻な症状を引き起こし(咳、気管支肺感染及び肺での非効率なガス交換を含む)、高い死亡率をもたらすであろう。
【0071】
ALI状態で成長したPBECsは、繊毛細胞発現プログラムの持続的なダウンレギュレーションを示すことが分かった。この現象は、2つの独立した実験における複数のドナーからのPBECsにおいて観察された。
【0072】
COPD疾病状態の転写効果と、PBECs(ALI培養条件)におけるshRNAを介したR2R1のノックダウンとの間で比較がなされた。図3を参照されたい。左上四分の一は、繊毛形成及びCOPDに対するR2R1の影響を強調表示している。PBECs(ALI条件)におけるshRNAを介したR2R1のノックダウンのために、差次的に発現された遺伝子は、Y-軸に沿って示される。R2R1ノックダウンのためにアップレギュレートされている遺伝子は、Y軸のゼロより上に現れるだろう。差次的に発現した(COPD状態対非COPD状態)遺伝子は、X軸に沿って示される。COPD疾病状態のためにダウンレギュレートされている遺伝子は、X軸のゼロの左側に現れるだろう。左上四分の一は、R2R1ノックダウンによりアップレギュレートされる遺伝子と、COPDによりダウンレギュレートされる遺伝子との交わりを表すだろう。この遺伝子セットの大部分は、繊毛形成に関わっている。
【0073】
1.3:R2R1がこのゲートウェイ機能(基底細胞⇔繊毛細胞)を発揮する作用機序の調査。
繊毛形成は多くの繊毛タンパク質の生成を必要とする。これらの複数の遺伝子の同時発現は、しっかりと制御されなければならない。結果として、この制御はon/offスイッチとして働く。
【0074】
我々は、2つの独立した酵母ツーハイブリッド(Y2H)試験(第1の実験:7個のヒット、4個がRNF2-第2の実験:4個のヒット、1個がRNF2)において、R2R1結合パートナーとして、PRC1複合体のコア成分であるRNF2を同定した。TrxG-MLL複合体の成分であるDPY-30は、他の結合パートナー(1/7ヒット、第1のY2H実験)として同定された。最後に、SF3B2(第2 Y2H実験において1/4ヒット)がクロマチン結合パートナーのセットを完成させた。
【0075】
R2R1とPRC1/TrxGタンパク質との相互作用は、in vitro翻訳系(1-Step CHO High-Yield IVT Kit、Thermo Scientific社製)で確認された。N-末端にHAタグを付けたR2R1コンストラクト(pT7CFE1ベクター中)は、種々の組み合わせのN-末端にFLAGタグを付けたPcG及びTrxGコンストラクト(pT7CFE1ベクター中)と共発現させた。共免疫沈降法は、R2R1と反応混合物中の関連タンパク質とを結合させるために、EZviewTM Red Anti-HA Affinity Gel(Sigma Aldrich社製)を用いて行われた。結合タンパク質は、SDS-PAGE及びMonoclonal ANTI-FLAG(登録商標) M2 抗体(Sigma Aldrich社製)を使ったウェスタンブロット法により解析された。
【0076】
種々の組み合わせを以下の表に示す(N-term=N-末端):
【0077】
図2は、種々の組み合わせを用いての、R2R1と種々のPRC1/TrxGタンパク質との共免疫沈降を示している。RNF2は、標準形態のPRC1複合体(レーン5)と比べると、非標準的な組み合わせのPRC1複合体(KMT2D(MLL4)及びRYBPの存在下である、レーン4)のにおいて、R2R1とより強く結合する。TrxG-MLLタンパク質KMT2D(MLL4)、DYP-30及びASH2Lを含む組み合わせにおいて(レーン3)、ASH2Lは、R2R1の明確な結合パートナーである。ASH2L及びDYP-30は、相互の結合パートナーでありTrxG-MLL複合体の不可欠なサブユニットとして知られている。最後に、R2R1及びDPY-30間の推定ヘテロ二量体化が、R2R1及びDYP-30のみを含むタンパク質混合物の組み合わせにおいて示されている。
【0078】
従って、転写効果(多くの遺伝子がR2R1によって同時に制御される)は、クロマチンリモデラーの結合特性を変化させることにより引き起こされるということになり、PRC1は最も際立った複合体である。PRC1は自身の成分を交換して標準的及び非標準的複合体となることが知られている。クロマチンに対するPRC1の効果(H2Aユビキチン化、PRC2の呼び込み、PRC2の抑制機能の補助)は、その種々の成分のタンパク質により決定される。しかしながら、RNF2は常にPRC1複合体の中に存在する。
【0079】
そのような訳で、我々はPRC1の明確な非標準的機能を発見した。この機能はR2R1のPRC1複合体への結合により決定される。PRC1へのR2R1結合は、毛様体形成へのゲートウェイである。更にR2R1は、DYP-30及びASH2Lを介して、クロマチンを修飾するTrxG-MLL複合体(トライソラックス群又はTrxG)と相互作用する。PRC1とは対照的に、TrxGはH3K4メチル化により活性的な遺伝子発現を維持する。ポリコーム群及びトライソラックス群タンパク質の相互作用により、明確な一群の遺伝子が活性状態又は抑制状態に維持されている。従って、R2R1は、ポリコーム群(PcG)のPRC1及びTrxGタンパク質への結合により、クロマチンドメイン及び遺伝子発現に大きな影響を与える。R2R1タンパク質(R2R1に(部分的に)似たタンパク質)由来のペプチド、又はR2R1-RNF2及び/又はR2R1-DYP-30/ASH2Lの結合サイトと相互作用する小分子は、COPDを患っている患者の毛様体形成を回復させることができる。
【0080】
R2R1タンパク質が、ヒトPBECsにおける毛様体形成の因子である遺伝子群を制御することを実証することが必要である。別の言い方をすれば、我々はR2R1が、毛様体形成を制御又は補助する遺伝子の特定のDNA配列(プロモーター又はエンハンサー)と結合するという証拠を示さなければならない。
【0081】
ヒトPBECsのゲノムにあるR2R1-結合サイトは、CHIP-Seq実験(クロマチン免疫沈降と、その後の豊富なDNAフラグメントの次世代シーケンシング)により同定された。N-末端FLAG-HAタンデムエピトープ-R2R1タンパク質及びN-末端FLAG-HAタンデムエピトープのみのタンパク質は、ALI条件下で生育したヒトPEBCs中で構成的に発現(レンチウイルスの形質導入)させた。クロマチンを構成するゲノムのDNA及びタンパク質は、DSG(グルタル酸ジスクシンイミジル)とホルムアルデヒドで架橋させた。クロマチンを適切な大きさ(約200bp)に超音波分解し、FLAG-HA-タンデムエピトープのみが結合したゲノムのDNAフラグメント、及びFLAG-HAタンデムエピトープ-R2R1が結合したゲノムのDNAフラグメントと結合させるために、EZviewTM Red 抗HA抗体アフィニティーゲル(Sigma Aldrich社製)を用いて免疫沈降した。その後、(タンパク質の架橋分解及び消化の後の)これらのDNAフラグメントから次世代シーケンシング(NGS)のためのライブラリを調製し、少なくとも40×106リード(reads)の深さでシーケンスした。FLAG-HAタンデムエピトープのみの‘コントロール’ライブラリにおける結合サイトに対する、FLAG-HAタンデムエピトープ-R2R1ライブラリにおけるR2R1-結合サイトの豊富さを比較(EaSeq, http://easeq.net/)することで一群のR2R1-結合サイトが得られた。技術的及び生物学的反復により(ドナーはBr331及びBr363)模倣性を評価及び実証した。
【0082】
まず、一群のR2R1結合サイトの解析により、R2R1は、運動性繊毛の生成を刺激するマスター転写因子である、TP73とFOXJのプロモーター部位と結合することが分かった。更にR2R1はまた、繊毛の中心小体/基底小体機構の成分(CROCC, CCDC41, CEP131, CEP164, CEP170, CEP170B, CEP192等)をコードする遺伝子のプロモーター部位と結合する。最後に、毛様体形成及び上皮分化の他のマスター調節因子(転写因子、miRNA、クロマチン修飾因子等)もまた同定された(FUZ, FGFR1, MIR34AHG, ARID1B, JARID2, YY1, KDM2A, KDM2B, KDM4B, KDM6B, KMT2A, KMT5B, SETD1A等)。従って、本発明は繊毛の中心小体/基底小体機構の成分をコードする遺伝子及び/又は毛様体及び上皮分化の調節因子を調節し、これらと結合、又はこれらと会合することができる化合物(例えば本明細書に述べたR2R1ベースの化合物)に関する。
【0083】
R2R1結合サイトの例示的なDNA配列を以下に示す。
【0084】
TP73
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GTTCCCCAGCATCCTCGGCTCCTGCCTCACTAGCTGCGGAGCCTCTCCCGCTCGGTCCACGCTGCCGGGCGGCCACGACCGTGACCCTTCCCCTCGGGCCGCCCAGATCCATGCCTCGTCCCACGGGACACCAGTTCCCTGGCGTGTGCAGACCCCCCGGCGCCTACCATGCTGTACGTCGGTGACCCCGCACGGCACCT
FOXJ1
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GCGGAGGCAGAGCGGCCCTGGGGCCCCGGCGTCAGCTGAGGTTGCACTGTGTTTGGAGAGGAGCCTCGGAGGGGTGGGCTGCCTGGCAGCAGTGGCCTGGGGGCCGCAAATGAGGAGGGTGCAGTGCCTTGGGCAGTAAATTAGAAGACACAGGCTGCTGGCTGGGGGCGGGAGGGCACAGGGAAGCCCTGCCCGGGAGC
FUZ
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CGGGACTTCCTGACGCCCCCGCTGCTGTCCGTGCGCTTCCGGTGAGTCAGGTACGGCGCGGCCGGTGGGCGGAGCCTCCGGGGTGAGGGGCGGGGCCTAATGGAGCCTCCCTTTCACCTCATCAGGTACGGTGGCGCCCCCCAGGCCCTCACCCTGAAGCTCCCAGTGACCATCAACAAGTTCTTCCAGCCCACCGAGAT
FUZ
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ATCCTAGGGAGGGGCACCTCTCGAGGGGGTTTCTGGGAGAGGGCAGTGGAACCTGGCCCCGCTGACACCCACTCCTGCACACAGCCCCCCAGTGCAGTTCTCCCTGCTCCACTCCAAGTTCCATCTGTGCAGCGTGGCCACGCGGGCGCTGCTGCTGTCCACCTACATCAAGTTCATCAACCTCTTCCCCGAGACCAAGG
CROCC
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CCCAGGGAGGTGAGGGCTCAGAGGGTGGCGAGGGCACATAGGAGGGGAGCGGAAGCCTGGCTCTCAGGCCTAGGCCCCTATCCTGCCCCAGGCCAGGTCCAGGCCCTGGACCCCGCCTAGCGTAGGCTAGTGTGTATCCCTGGAACCAGAAGAGAGTAGGTGGCTCTGGAGGCCTCTCAGGCCCCCCCAGACTCTGTGACCCCCCACACCCCAGGACATGCGTGGGCGCTATGAGGCAAGCCAGGACCTACTGGGCACCCTGCGGAAGCAGCTTAGCGACAGCGAGAGCGAGCG
CROCC
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TCCAGGGACTGGCTGTGCATACTGGCAGATGTCAGTCAGCCCTCCTGCAGTTGGGCCAGGGACACCTCAGGGAAACTGTGACCTTCCTTCCAATCTTGGTAACATCACCCTTCCACCCCAAATCCCAGGGAATGGCCCGAATCTCTCCTGACAAACAGCTCTCAGCCCTGGTCCAGGCCACAGTCTTGCTTGCACCGGGCCGGGTTTCAGAGCCCGAAGGGCACACTGGCAGCCTTTAGTGCAGTGTTTCAGATGTCA
CROCC
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GTGGCGCACACGGTGTAGTTATGTGGCTTGAGGATCTGGGAAAGGCACACTCAGTTGCAGCTGGTGTGCTGGCGTGTGGCGTTTTGGTGCTCTAACCATTGTCTGTGTTCAACTCCCAAGCTACAGACGGGCCCCCTCCTTGGGAGCGCCAGGGATGTTGGCGCCCTGGAGCCCCAGACAGGGAGAGACTCAGAGGGCCC
CROCCP2 (CROCC region)
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CGACTACAGGGAATGGAAATGGTATAGCCATCATCTAAAAACCATCTCCCGGGTTGGAAACCCACCAGCATTTCCCTTCCTGGTTCTGTCTGGCTCAGGTGTACATGGACAGGAAAATTAATTTCCATGACCCAAGTAGGTGCTTAGTTAATGTTAGATGAGCAGAAAGAAGCCCTGAGTTCAGAGATTCGATGGGGAACGGTGCAGGGAAGTGGGGCTCGGATTCTGGGGCCAAGAGAGTCATCTGAAAACCACAGAGAAC
CROCCP3 (CROCC region)
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AGGGGACCCCGACCGGCGGAGGGACGGCTGCGCCCTGCAGGCCGCTGCGCCCAGGCAGGCCTCTGCGCCCGGGCAGGCCTCGGCCTCCTGTCGCGCCCCCGGCCCGCGACAATCCGGGCAGGATGGGCGGCAGGACGCGGAGGGGCATCTGCGGAGCCCGTCGGGAACGCCCTCTTGGCTTCCGGTGCCGGGCAGCGGCG
CEP131
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TGCGCCCTGCAACCCCCTCCCTTGCCCGGGCCCCCCTCACCTGCGCGGGCCGGGGGCGCAGCCGCGAAGCCTGCCTGGCGCGCGGGGCCTGCAGATTCGGCCGGCGGGGAGGGGATGCGGAACCAGTCGCGCCCAAACCTCGGGTCGGCGACCTGGCGCCCCGCCACCCCCAACACTGCCCCGAGGCCCGGTGACAATGA
CEP164
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GTTGGGTGGCGTTGGGGGAGCTGCGCCTCGCCCAGAGCCTCGCCCGGAGCCTCGCCCGGAGCCTTCCGGGGTGGGGGATAGTTGAGGACCTCATCGAGGGAGGGGTTGGGCGGCGGGGAAGGGAGCGAGCGTGGCGGGGGACCCGAGGCACGCTCTCGAGCCAACGAGCGTGATGCGCTCGAGTGTGGGCGGGGACTGAG
CEP170
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AAGCCCCGGGTCCCAGGCGGGCAGAGGGTGGGGGTGGCGGCGCCGCGCGGAGCACCCGGGAAGCGCCCCCTTCGCGGTCCAGCCCCGCACCCCCGCCCCGCGGCGGGCGGCGCCCGAGTCCTCGCCGCAAACCCGAGGAGCAGGATGTGGAAAGCAGCCGCGGCGGTGGCTGCGGCTGCGGCGCCTACACCGAGCAGCCGATCGCATCACTTACCCCTTACCGTGGAGAGAGGGACCGGACGGGGGAGGCGGGGCGCGTCGCGTCCCGTGAGTCTCTCGCACGCCGT
CEP170B
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CGCTCTGCCGTGGGCTCGGCCCGGGCTGCCACGAGCGTGCGGGCCTCGCCGGGCATGTCCTAGGCGGCGGCCCCGCCCAGCGCTCGGCCGGGCGGGCGGGCGGGCGCGAGGGCAGGGACCGAGCCGGGCCGAGCTGGGGAACAAGCCGGGGACCAAGCCGGGGACCAAGCCGGGGACTAAGGCGAGCCGGAGACCGAGCCCGAACAGCAGGTAGGACGCGCCGGCCCAGCGCTGGCCGCGGCCCGGGCCTCCCATCGCCCGCACCTGCACGGCTGTGGGGTCTCACGGGG
CEP170B
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AGACCTTGGGCGTGGGCACTGGGCAAAGTAGGGACAAGGAGCCACTCACTCCTCTGCCTGGCACCCTCATGTGGTGTGGCCCTGCCCTCAGGATGCACTCAGCCCGGCAGCCTCCCCTTCTCCTCTGCTCCACTGGGCCTCAGCTGCTGTCATCCCTGTCCTGGGTTATTGTCCTCACTTCTTGACTGGCCTCCTGAGTC
CEP170B
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GGGCCGCGGCAGGTGATGGCAGAGGGTGAGGCCTAGGAGGGCTGGCTGGGGGCCGGAGGTGCAATGGTGGGGTAGGCCCTGCCCGATAGAGCACCCTGTGGTCTCCCCCAGCAGCCCTAGGGAGGGTGGGGCTGTAGAGGCCTCCTGGAGGCTTTGCTGTCTGGGGCTGCAGGGTCATCGAAGTGCCAGCCCCTTGGCCT
CEP170B
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TGGTGTTTCATGACGGTGCCCTGTGGTGGGGCAGTGATGGCCAGCTGCCAGGGTGGCCTGCACGTGGCAGGCTAAGAGTGACCAGCCTGAGGGGCCCAGGCTCTCACCTGGGAGACTGAGAAGCCGTGCTGGCACTCAGGAGGGACTTCCAGCTCCTAGTCGTGTGGGTTGCAGGCCGTCCTGTCCCAGGGCTGGGGGAC
CEP192
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GAAGTCGGGGACGCGGGCTCGGTGAGGGGGGACGCTGGTGCCTCGGCCTGCGCCTAGGCGGGAGGCAGACGCATGCACCTTTGGCCTACGTTTCGGCTGCCGGACCGACGGGACAGTGACGGTTGGGCCGGGTGGGGGCGCAGGCTGTGGGGCGGCCTCAGGGCGCGAGCAAGGGGACTGCCGCGCTTCCCGCGCCTCTG
CCDC41
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TTGGCCCAGCGGCACGCGAAGCAGGAAGTCCCACCCCCCACGCCGACGTCACCCACGCCACCGACGCCGGTTGCTGCCGGAGCCGTTAGAGGGAGGAGACAAACGAACCGAGGCGGGAGCGGCCACGGGTGACAGCGGCAGCGGCGGGGCCGGGCTGCGCTCCCGAAGGCGTTCCTGGAGGGCCCTGGGATGGACTCAGA
MIR34AHG
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ACCGACGGGACAGCGGCATCTCCTCCACCTGAAAAGGAAAGAGGACCAGGTGGGGGCCAGGCAGGGCGCATGAAGGCGGCGCCAGCACCGCGCGATCCGAATCACGTCGGTGCGGGGGAGGGGTCGGAGCCTGGCCTCGGCCTAGGGCGCAGATGCGGTGCGCACCGCAGGGGGGCGGCGTGGGGTGCGGGGCCAGTCC
【0085】
例示的なR2R1-結合サイトのDNA配列は、高GC(塩基)含量により特徴づけられる。実際、全ての組のR2R1-結合サイト(約3000サイト)の塩基含量の解析は、GC含量がAT含量を超えることを示す。G&C塩基は、ゲノムR2R1-結合サイトの塩基含量の66%以上を示す。Regulatory Sequence Analysis Tools(RSAT, http://rsat.sb-roscoff.fr/)を用いたR2R1-結合サイトにおけるモチーフの発見により、非常に特異的なGC-モチーフが明らかになった。これらのモチーフは、RSATにおけるモチーフ発見方法とは独立に再度生じた(一群の配列中のオリゴヌクレオチド存在量の計算(これは過剰に存在するオリゴヌクレオチドの検出につながる)、一群の配列中のオリゴヌクレオチドの位置分布の計算(これは均一な分布と有意に異なる分布の検出、及び同じサイズの一対のオリゴヌクレオチドである対(dyad)を有する一群のDNA配列中の過剰に存在する間隔の空いた対の検出につながる) - 定義はRSATサーバー:http://rsat.sb-roscoff.fr/により提供される)。頻発するGCC(CGG)パターンは、発見されたモチーフにおいて明らかである。一般的に、高GC含量及びGCヌクレオチドの繰り返し伸張は、CpGアイランド(CGIs)の特徴である。これらのCGIsは、現在、PcG(ポリコーム応答エレメント(Polycomb Response Elements又はPREs))及びTrxG複合体(トライソラックス応答エレメント(Trithorax Response Elements又はTREs))のゲノム結合サイトを含むと考えられており、また一般にPREsと呼ばれている。結果として、我々はポリコーム機能への他の関連性を証明した。R2R1はPRE-認識エレメントを表す。これはPcG複合体にとって特別な意味を持つ。TrxG複合体とは対照的に普遍的なPRE-認識エレメントはPcG複合体において同定されていない。
【0086】
実施例2
2.1:ALI状態におけるCOPDドナー由来PBECs中の毛様体形成の回復
第一に我々はR2R1の不存在による毛様体形成が非COPDドナー由来のPBECsに限定されないことを決定しなければならない。従って我々は以下のことを確立しなければならない。
(a) R2R1の発現が、COPD及び非COPDドナーからのPBECsにおいて、確実にアップ又はダウンレギュレーションされ得ること。
(b) R2R1タンパク質の発現が、R2R1の発現(転写)に関連していること。
(c) R2R1発現のノックダウンが、COPD及び非COPDドナーからのPBECsにおいて繊毛遺伝子発現プログラムを誘発すること。反対に、R2R1発現のアップレギュレーションが、繊毛トランスクリプトーム(transcriptome)の抑制につながること。
(d) トランスクリプトームの変化が、細胞の表現型に映し出される必要があること。毛様体形成トランスクリプトームは、COPD-由来のPBECsのALI培養中における繊毛細胞の数の増加につながるはずである。
以下の実験は上記2.1(a)、2.1(b)、2.1(c)及び2.1(d)を実証する。
【0087】
非COPDドナー(Br331)及びCOPDドナー(Br370)由来のPBECsは、ALI条件下で育成された。トランスクリプトーム及び細胞表現型解析は大気暴露の第1週、第2週及び第3週目で行われる。それぞれの条件は3回行われた。
【0088】
種々の条件は:
(i) MC(媒体制御)はいかなる介入なしに育成する細胞集団である。
(ii) PBECsにおけるR2R1発現のダウンレギュレーションは、FAM25 147=TRCN0000284147(shRNA_R2R1と呼ばれる)の構造発現(レンチウイルス形質導入)により実現する。混合shRNA(shRNA_NCと呼ばれる)を構造発現するPBECsは、この条件下におけるネガティブコントロール細胞である。
(iii) R2R1発現のアップレギュレーションはN-末端FLAG-HAタンデムエピトープR2R1(FHR2R1と呼ばれる)コンストラクトの構造発現により実現する。FLAG-HAタンデムエピトープのみのコンストラクト(FHと呼ばれる)を構造発現するPBECsは、この条件下におけるネガティブコントロール細胞である。
(iv) ドナー:非COPD(Br331)及びCOPD(Br370)
(v) 期間:PBECsはAE(大気暴露)の第1週、第2週及び第3週目で採取される。
【0089】
2.2:Br370 (COPD) PBECsは経時的に繊毛発現プログラムの持続的なダウンレギュレーションを示す。
仮説は、(1)毛様体形成がALI培養中のPBECsの遺伝子発現プロフィールにおいて経時的に次第に明らかになるだろうということである。我々はまた、(2)毛様体形成トランスクリプトームはBr331(非COPD)PBECsと比較するとBr370(COPD)PBECsでは遅れるだろうという仮説を立てている。
【0090】
MC PBECs(レンチウイルス形質導入されていないPBECs)における遺伝子発現プログラムの解析は、我々の仮説を証明又は反証するだろう。
【0091】
スペクトル図(SPM)解析が我々の仮説を確認する。スペクトル図解析(図8を参照)は、データ・セット中に存在する主要な遺伝子群や対象群のバイアスのかかっていない同定を提供する。遺伝子発現データの教師なし解析によると、期間中(大気暴露の週)の遺伝子発現変化が、データ・セットの最も大きな変化(56%)を占めることが明らかになった。この変化はスペクトル図の第1の主成分(X-軸又はPC1)において図的によく表されている。前記データ・セットの第2に大きな変化(17%)は、疾病状態(COPD対非COPD)により説明できる。この変化は第2の主成分(Y-軸又はPC2)において表されている。最も強い発現変化を示す遺伝子は、X及びY軸の両端に位置する。
【0092】
最も大きな差分を有する発現変化に関与する遺伝子のサブセットは、繊毛遺伝子から完全になる(図8を参照)。
【0093】
DYNLRB2及びROPNL1は例示的な繊毛遺伝子として強調表示されている。予想通り、このセブセットは実際にX-軸の端に位置している(PC1、時間によって占有される変化)。これは我々の仮説の第一(1)部分を確認する。
【0094】
続いて、種々のMC PBECsサンプルのスペクトル図上への重ね合わせは、第1の2つの主成分に沿った分布を示す。我々はCOPD(Br370)及び非COPD(Br331)群が、PC1及びPC2に沿った繊毛遺伝子発現プログラムに従って明確に分けられることを観察する。非COPD Br331 PBECsは繊毛遺伝子のサブセットに最も近くに集まる。COPD Br370 PBECsは繊毛遺伝子のサブセットの反対側の端に集まる。これは我々の仮説の第二部分(2)を確認する。例として、我々はDYNLRB2の遺伝子発現プロフィールを含む(図9を参照)。この独立した教師つき一変量(一遺伝子ずつ)解析は、COPD対非COPD起源(Br370対Br331)の効果を確認する。最初の時間点(AE week=1)で採取された非COPD Br331 PBECsは、最も低いレベルのDYNLRB2発現を示す。逆に、3回目の時間点(AE week=3)で採取された非COPD BR331 PEBCsは非常に高いレベルのDYNLRB2発現を示す。COPD Br370 PBECsはこの例示的な遺伝子をほとんど発現しない。
【0095】
2:3:R2R1の発現は、COPD及び非COPDドナーからのPBECsにおいて確実にアップ又はダウンレギュレーションされ得る。
R2R1遺伝子発現(Assay ABI Hs04194072_mH及びAssay ABI Hs04194073_mH)のRTqPCRは、非COPD Br331 PBECs及びCOPD Br370 PBECsにおいてshRNA_R2R1の構造発現についての完全なダウンレギュレーション(ノックアウト)を示す(図10を参照)。逆に、R2R1遺伝子発現(Assay ABI HS04194072_mH及びAssay ABI Hs04194073_mH)のRTqPCRは非COPD Br331 PBECs及びCOPD Br370 PBECsにおけるFHR2R1の構造発現について104を超えるアップレギュレーションを示す(図11を参照)。データは散布図で表す(ラインは平均値を意味する)。RTqPCRデータは、R2R1発現を、非常に有意且つ確実な様式でアップ又はダウンレギュレーションできることを示す。
【0096】
2:4:R2R1タンパク質の発現はR2R1の発現(転写)に関連している。
核における合計R2R1タンパク質含量は、次の手順により評価する。PBECsは1/500 抗-FAM25A 抗体(Abcam社製、ab177969)で免疫組織化学的に染色される。二次抗体染色は、1/1500 ヤギ(ゴート)の抗-ウサギ lgG (H+L) 二次抗体, Alexa Flour(登録商標)594 conjugate (Thermo-Fisher Scientific社製、A-11037)を用いて行われる。Image J (http://rsbweb.nih.gov/ij/index.html)を用いて、補正された総細胞蛍光(CTCF)が20倍率で10領域において決定される。CTCFは核中の合計R2R1タンパク質含量の評価として用いられる。図12は定められた大気暴露の時間点における種々の条件(MC、FH、FHR2R1、shRNA_NC及びshRNA_R2R1)の特徴的な蛍光パターンを図示している。散布図のドット(ラインはSDを有する平均を示す)は、第1週目の大気暴露(AE)のCOPD Br370 PBECsの蛍光パターンを示す。図13は非COPD Br331 PBECsにおける蛍光パターンの経時的な流れを示す。図14図13の3つの種々の時間点を1つのグラフにまとめたものである。
【0097】
CTCFデータによると、R2R1遺伝子発現のアップ又はダウンレギュレーションの後、核におけるR2R1タンパク質発現のアップ又はダウンレギュレーションが起きることがわかる。更に、R2R1タンパク質の核局在性は、R2R1-PcG及びR2R1-TrxG相互作用と一致している。
【0098】
2.5:R2R1発現のノックダウンは、COPD及び非COPDドナーからのPBECsにおいて繊毛遺伝子発現プログラムを誘発する。逆に、R2R1発現のアップレギュレーションは、繊毛トランスクリプトームの抑制を導く。
2.5を実証するために、我々は全ての実験サンプルの遺伝子発現レベルの教師なし解析(SPM)を実行した。全サンプルのセットは、非COPD Br331及びCOPD Br370 PBECsにおける第1週、第2週及び第3週目における大気暴露のMC、FH、FHR2R1、shRNA_NC及びshRNA_R2R1という条件からなる。結果は、最も大きな差分を有する発現変化に関与する遺伝子のサブセットが、完全に繊毛遺伝子からなることを示している(図15を参照)。更に、同じことがR2R1‘ダウンレギュレーション’(サンプルMC、shRNA_NC、shRNA_R2R1)及びR2R1‘アップレギュレーション’条件(サンプルMC、FH、FHR2R1)のサブセットにあてはまる(それぞれ図16及び図17)。例示的なROPN1L遺伝子はそれぞれのSPMグラフにおいて強調されている。
【0099】
より詳しく調査すると、ダウンレギュレーションされたR2R1発現を有するサンプルが、図15及び図16において、繊毛遺伝子クラスターのより近くに集まっていることが観察される。例えば、非COPD Br331 shRNA_R2R1(第3週目の大気暴露)サンプルは、繊毛遺伝子クラスターに非常に近い位置にある。逆のことがR2R1遺伝子発現のアップレギュレーションに当てはまる:アップレギュレーションされたR2R1発現を有するサンプル(‘FHR2R1サンプル’)は、XY-軸上の繊毛遺伝子クラスターとかなり離れた位置にある。例えば、COPD Br370 FHR2R1(第1週目の大気暴露)サンプルは繊毛遺伝子クラスターの反対端に位置している。COPD Br370 PBECsにおける毛様体形成のR2R1ノックダウン効果は、図15、16及び17のSPMグラフに直ちには現れない。しかしながら、更なる解析により、Br370 PBECsにおけるR2R1遺伝子発現のノックダウンが、XY-軸上の繊毛遺伝子クラスターのより近い位置へと導くことがわかる(図18)。この教師なし解析は、COPD PBECsにおける‘毛様体形成の復活’を暗示している。
【0100】
最後に、一遺伝子ずつ解析(LIMMA)は、COPD Br370 PBECsにおける毛様体形成のR2R1ノックダウン効果を確認する。例示的なROPN1L遺伝子発現のlog2強度プロット(図19、20及び21)は、COPD Br370 PBECsにおける‘毛様体形成の復活’を例証する。
【0101】
2:6:トランスクリプトームの変化は細胞表現型において反映されるだろう。毛様体形成トランスクリプトームは、COPD-由来のPBECsのALI培養における繊毛細胞数の増加を導くだろう。
COPD表現型を逆転させるために、より多くの繊毛細胞が存在する必要がある。ゆえに、我々は繊毛遺伝子発現のアップレギュレーションにより、繊毛細胞の数の増加がもたらされることを解明する必要がある。
【0102】
PBECs(上述した実験で同時に育成された)は、以下のとおり免疫組織化学的に染色される:
-DAPI:核の染色
-粘液生成細胞の染色:抗-MUC5AC 抗体 (45M1) + ニワトリの抗-マウス lgG (H+L) 二次抗体, Alexa Fluor(登録商標)488 conjugate
-繊毛細胞の染色:モノクローナル抗-アセチル化チューブリン抗体 (clone 6-11B-1) + ヤギ(ゴート)の抗-マウス lgG (H+L) 二次抗体, Alexa Fluor(登録商標)594 conjugate
【0103】
染色された細胞は、10領域(20倍率)でカウントされる。散布ドットプロット(ラインはSDを有する平均を示す)は、R2R1発現(shRNA_R2R1)のダウンレギュレーションが繊毛非COPD (Br331) 及びCOPD (Br370) PBECsの数の増加を導くことを例証する(図22を参照)。逆のことも当てはまる:R2R1発現のアップレギュレーションは、繊毛細胞集団の消失を導く(図23を参照)。shRNA_R2R1を介したノックダウン用のネガティブコントロール条件は、ネガティブコントロールshRNA_NCの発現である。FHR2R1発現用のネガティブコントロール条件は、FH-tagのみコンストラクトの発現である。
R2R1発現の変化は、粘液生成細胞の数の変化を導かない(図24、25を参照)。これは粘液生成細胞の数の増加が、疾病症候群を悪化させるため、特に重要である。実際、非COPD Br331 及びCOPD Br370 PBECsは(条件に関わらず)3週目のAEで同数の粘液生成細胞を生成する。これは欠陥のある毛様体形成がCOPD表現型の主要な要因である事実であることを再度強調する。
【0104】
説明用に、図26、27、28及び29が含まれる。それぞれの図の上段は、PEBCsの3つの染色(青:核、緑:粘液生成細胞、赤:繊毛細胞)を示している。下段は単に上段と同じ領域の繊毛細胞(赤)を示している。
図1
図2
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【配列表】
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