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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 334
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019057206
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020156616
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲平
(72)【発明者】
【氏名】大秋 善幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴晶
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
【審査官】平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-148266(JP,A)
【文献】特開2013-099479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により動作する可動部材と、
所定の検出範囲内に前記可動部材が位置するかどうかを検出する検出手段と、
前記検出範囲外に位置する前記可動部材が前記検出範囲に入り込み前記検出手段が非検出状態から検出状態に切り替わる切替時点からの前記駆動源の駆動量である実駆動量を取得する駆動情報取得手段と、
を備え、
前記可動部材は、前記検出範囲内である特定位置に位置することが可能であり、
前記実駆動量が基準駆動量に達していないときには、前記可動部材は前記特定位置に位置していないと判断され、
前記基準駆動量から前記実駆動量を差し引いた不足駆動量を記憶する記憶手段を有し、
前記可動部材を前記特定位置まで変位させるべき状況にて、前記検出範囲内にあるものの前記特定位置に位置していない状態で前記可動部材が停止した場合であっても、所定条件成立を契機として前記記憶手段に記憶された不足駆動量分、前記駆動源を駆動して前記可動部材を前記特定位置に向かって変位させる補填動作を行うことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機が備える可動部材(可動役物)は、所定位置に位置するか否かを判別するためのセンサを用いて制御されるのが通常である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-78957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、可動部材を精度良く制御することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、駆動源により動作する可動部材と、所定の検出範囲内に前記可動部材が位置するかどうかを検出する検出手段と、前記検出範囲外に位置する前記可動部材が前記検出範囲に入り込み前記検出手段が非検出状態から検出状態に切り替わる切替時点からの前記駆動源の駆動量である実駆動量を取得する駆動情報取得手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、可動部材を精度良く制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された装飾図柄および保留図柄を示した図である。
図3】可動部材およびそれを制御する構成の関係を示したブロック図である。
図4】センサの検出範囲と可動部材の位置の関係を示した図である。
図5】基準駆動量、実駆動量、不足駆動量を説明するための図である。
図6】第一具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞領域10、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞領域10や一般入賞領域20、大入賞口906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞領域10への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動入賞領域10として、第一始動入賞領域10a(いわゆる「特図1」の始動入賞領域)と第二始動入賞領域10b(いわゆる「特図2」の始動入賞領域)が設けられている。始動入賞領域10への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動入賞領域10aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動入賞領域10bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。装飾図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
2)可動部材の制御
本実施形態にかかる遊技機1は、可動部材10(可動役物)を備える(図1等参照)。以下、当該可動部材10の制御に関し、詳細に説明する。可動部材10は、所定範囲を動作することが可能なものである。可動部材10の具体的な動作態様はどのようなものであってもよい。直線状、曲線状に動作するものであってもよいし、回転動作を含むものであってもよい。本実施形態では、可動部材10は、原位置と演出位置との間を直線状に往復動作するものとする(図1等参照)。可動部材10は、原位置に位置するときよりも、演出位置に位置するときの方が、他の部材に覆われずに露出する範囲が大きいものとする。
【0018】
当該可動部材10の駆動源としてステッピングモータ(以下、単にモータ20と称する)が設けられている(図3参照)。駆動源は、その駆動量を制御することが可能なものであればよい。本実施形態では、モータ20の駆動量(ステップ数)に応じて比例的に可動部材10が変位することになる。モータ20から可動部材10までの動力伝達機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0019】
上記可動部材10が所定位置に位置しているかどうかを判断するための検出手段としてのセンサを備える(図3参照)。当該センサの一つとして、可動部材10が原位置に位置しているかどうかを判断するための原点センサ30を備える。当該原点センサ30は、所定の検出範囲を有しているものである。つまり、検出範囲に可動部材10が入り込んでいれば検出状態(ON)となり、可動部材10が入り込んでいなければ非検出状態(OFF)となるものである。当然ではあるが、可動部材10が原位置に位置するときには、原点センサ30は検出状態となる。なお、センサは、可動部材10自体を検出するものでなくてもよい。可動部材10と一緒に変位するものを検出するようにしてもよい。つまり、間接的に可動部材10が所定の検出範囲内に位置しているかどうかを検出するものであってもよい。
【0020】
上記可動部材10、モータ20、原点センサ30を司る制御手段40(コントローラ)(図3参照)により、可動部材10が制御されることになる。つまり、モータ20の駆動量(ステップ数)や、原点センサ30の検出・非検出に基づき、可動部材10が制御されることになる。以下、可動部材10を原位置に位置させる(原位置に戻す)際の制御について説明する。
【0021】
例えば、所定の演出を実行するために演出位置に位置させた可動部材10を、当該演出の終了を契機として、図4に示すように演出位置から原位置に向かって変位させるものとする。当然ではあるが、原位置に位置する可動部材10は原点センサ30の検出範囲外に位置するものであり、可動部材10が演出位置に位置する状態において原点センサ30は非検出状態にある。
【0022】
可動部材10が原位置に向かって演出位置から所定量変位した段階で、可動部材10が原点センサ30の検出範囲内に入り込む。つまり、未だ原位置には到達していないものの、その手前の所定位置(以下、当該位置を境界位置と称することもある)に到達した段階で原点センサ30が非検出状態から検出状態に切り替わる(以下、当該原点センサ30が非検出状態から検出状態に切り替わる時点を切替時点と称することもある)ことになる(図4参照)。
【0023】
本実施形態における制御手段40は、切替時点からのモータ20の駆動量(ステップ数)である実駆動量R(図5参照)を取得する(制御手段40は、駆動量取得手段でもある)。具体的には、可動部材10が境界位置に到達した後のモータ20の駆動量(ステップ数)を取得する。当該実駆動量Rが多くなるほど、可動部材10は原位置に近づくということになる。
【0024】
可動部材10が境界位置(切替時点)から原位置に到達するまでに必要な駆動量(ステップ数)を基準駆動量B(図5参照)とすると、実駆動量Rが基準駆動量Bに到達していない状態においては可動部材10が原位置に到達していないということになる。例えば、基準駆動量Bが「10」(10ステップ分)であるとすると、実駆動量Rが「10」未満である段階においては、可動部材10は原点センサ30の検出範囲には入り込んでいるものの、原位置には到達していないということになる。
【0025】
これを踏まえ、制御手段40は、実駆動量Rが基準駆動量Bに到達していない段階においては、可動部材10は原位置に位置していないと判断する。つまり、制御手段40は、可動部材10を原位置に位置させるために、上述した境界位置(切替時点)から、実駆動量Rが基準駆動量Bに到達するまでモータ20を駆動する。このようにすることで、可動部材10が原位置に位置することになる。なお、確実に可動部材10を原位置に位置させるため、余裕をみて基準駆動量Bを設定してもよい。例えば、厳密には境界位置から原位置までに必要なモータ20のステップ数が「10」であるものの、基準駆動量Bを「11」としてもよい。
【0026】
このように制御されるため、可動部材10が境界位置と原位置の間で停止させられたとしても、当該可動部材10を確実に原位置に戻すことができる。例えば、可動部材10が境界位置(切替時点)から「6」ステップ分原位置に向かって進んだ状態で、停電等により電源がOFFになったものとする。つまり、残り「4」ステップ分、可動部材10が原位置に到達するのにモータ20を駆動させることが必要であったにも拘わらず、電源がOFFになり、可動部材10が原位置に到達しなかった(境界位置と原位置の間の停止位置(図5参照)で停止した)ものとする。より具体的には、基準駆動量B(「10」ステップ)から実駆動量R(「6」ステップ)を差し引いた不足駆動量S(「4」ステップ)分、可動部材10が原位置に位置するのに足りなかったものとし、当該不足駆動量S分、可動部材10を変位させる(図5参照)。
【0027】
このように、可動部材10が原位置に位置しておらず、境界位置と原位置との間に位置するときであっても、可動部材10は原点センサ30の検出範囲内にあるため、原点センサ30は検出状態となる。つまり、可動部材10が原位置に到達せずに電源がOFFとなった後、電源がONとなったときには、原点センサ30は検出状態にある(可動部材10が原位置に位置するときと同じ状態である)から、可動部材10が原位置に位置すると誤って認識してしまうおそれがある。つまり、可動部材10が原位置に位置していないにも拘わらず、原位置に位置しているものとして取り扱われてしまう。
【0028】
これに対し本実施形態では、上述した不足駆動量Sを記憶させておく記憶手段を備え、実駆動量Rが基準駆動量Bに達していない状態(不足駆動量Sが0でない状態)においては、制御手段40は不足駆動量S分モータ20を駆動させる。可動部材10が原位置に到達せずに電源がOFFとなった後、電源がONとなったときには、不足駆動量Sが0でない状態であるため、不足駆動量S分モータ20を駆動させる(図5参照)。上述した例に則していえば、足りなかった「4」ステップ分、モータ20を駆動させる。これにより、可動部材10が原位置に到達することになる。
【0029】
つまり、「電源ON」等、実駆動量Rが基準駆動量Bに達しているかどうか(不足駆動量Sが0でないか)を判断(判定)する契機となる所定条件を設定しておき、当該所定条件が成立したときに実駆動量Rが基準駆動量Bに達していないと判断される場合には、不足駆動量S分可動部材10を原位置に向かって変位させる補填動作が行われることになる。なお、上記所定条件は、種々の観点から設定することができる。「電源ON時」以外にも、「前回の判定から所定時間経過したこと」等を設定することが考えられる。
【0030】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、原点センサ30が非検出状態から検出状態に切り替わる切替時点からのモータ20の駆動量である実駆動量Rを取得する手段を備える。つまり、原点センサ30の検出・非検出だけで可動部材10が原位置に位置しているかどうかを判断するものではないため、可動部材10を精度良く制御することが可能である。
【0031】
具体的には、原点センサ30が検出状態にあっても、実駆動量Rが基準駆動量Bに到達しているか否かにより、可動部材10が原位置に到達しているか否かを判別することが可能である。
【0032】
また、所定条件成立時に実駆動量Rが基準駆動量Bに達していないと判断されるときには、不足駆動量S分可動部材10を原位置に向かって変位させる補填動作が行われるため、所定条件成立時に可動部材10が原位置に位置していない状態にあっても、当該所定条件成立の契機として可動部材10が原位置に位置することになる。
【0033】
なお、上記の制御は、原位置から演出位置に向かう可動部材10が、検出範囲内で停止した場合(停電等により電源OFFとなった場合)にも行われる。例えば、原位置から「4」ステップ分可動部材10が演出位置に向かって変位した状態で、停電等により電源がOFFとなり可動部材10が停止したとする。この後、電源がONとなったときには、「4」ステップ分モータ20を駆動させて可動部材10を原位置に位置させる(原位置に戻す)。つまり、上記不足駆動量Sは可動部材10が原位置に到達するのに必要な駆動量を示すものであるといえ、当該不足駆動量Sが0でないと判断されるときには、所定条件成立時に補填動作が行われる。
【0034】
3)以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0035】
〇第一具体例
上記実施形態のような可動部材10の制御手法を採用することは、可動部材10が以下のようなものである場合に特に有効である。可動部材10は、演出位置に位置しているときや、演出位置に向かう変位の途中であっても、遊技者が操作可能な操作手段60(例えば押しボタン)(図6参照)が操作されることを契機として可動部材10が原位置に戻るものとする。なお、遊技者が触れることが可能な位置に可動部材10が設けられる場合(可動部材10が外部に露出した状態になりうるものとする場合)、操作手段60の操作を契機として可動部材10が原位置に戻るように構成されることが多い。このような可動部材10である場合、遊技者の遊技の邪魔にならないように可動部材10を原位置に戻すことができるようにすることが要求されるからである。この種の可動部材10としては、原位置においては遊技機の筐体1K上部に収納された状態(図6(a)参照)にあり、演出位置では筐体1K上部の上側に露出する(図6(b)参照)ようなものが知られている。
【0036】
このような可動部材10である場合、遊技者が操作手段60を操作することで、可動部材10が境界位置と原位置の間で停止させられるおそれが生じることになる。具体的には、可動部材10が境界位置と原位置との間を変位しているときに操作手段60が操作されると、可動部材10が原位置に位置していなくも、原点センサ30が検出状態にあるため、可動部材10が原位置に位置していると判断してしまうおそれがある。これに対し、実駆動量Rが基準駆動量Bに達していないと判断されるとき(不足駆動量Sが0でないと判断されるとき)には、不足駆動量S分モータ20が駆動されるから、可動部材10は原位置まで強制的に戻されることになる。
【0037】
本例の場合、原点センサ30が検出状態にあるときに、操作手段60の操作がなされたことを所定条件の成立として設定するとよい。このようにすることで、操作手段60の操作がなされ、可動部材10の変位が停止することと併せて、実駆動量Rが基準駆動量Bに達している(不足駆動量Sが0である)か否かが判断されることになる。つまり、どのような場合であっても、可動部材10が原位置に戻ることになる。
【0038】
〇第二具体例
上記実施形態は、制御の対象(基準)となる位置(特定位置)が原位置である例であるが、その他の位置を対象としてもよい。例えば、演出位置を制御の対象となる位置としてもよい。つまり、可動部材10が演出位置に位置しているかどうかを判別するためのセンサを備え、原位置側から移動してきた可動部材10が当該センサの検出範囲内に入り込み、非検出状態から検出状態に切り替わる時点を上述した切替時点(境界位置)とすればよい。また、当該切替時点となってから可動部材10が演出位置に位置するまでに必要なモータ20の駆動量を基準駆動量Bとすればよい。
【0039】
〇第三具体例
上記実施形態における基準駆動量Bが、任意に変更することが可能なものであるとする。可動部材10が境界位置から原位置まで変位するのに必要な駆動量は、各種部材の位置ずれやセンサの劣化等により変化する可能性がある。これに対応するため、遊技店側が基準駆動量Bの値を自在に変更することができる機能が搭載されるものとする(基準駆動量Bを可変値とする)。例えば、各種部材の位置ずれ等により、境界位置から原位置までの距離が伸びた場合には、それに合わせて基準駆動量Bの値を増加させることができるようにする。
【0040】
4)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0041】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0042】
・手段1
駆動源により動作する可動部材と、所定の検出範囲内に前記可動部材が位置するかどうかを検出する検出手段と、前記検出範囲外に位置する前記可動部材が前記検出範囲に入り込み前記検出手段が非検出状態から検出状態に切り替わる切替時点からの前記駆動源の駆動量である実駆動量を取得する駆動情報取得手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、検出手段の状態が切り替わる時点からの実駆動量に基づき、可動部材を精度良く制御することが可能である。
【0043】
・手段2
前記可動部材は、前記検出範囲内である特定位置に位置することが可能であり、前記実駆動量が基準駆動量に達していないときには、前記可動部材は前記特定位置に位置していないと判断することを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように、実駆動量が基準駆動量に達しているかどうかに基づき、可動部材が特定位置に位置しているかどうかを判断することが可能である。
【0044】
・手段3
所定条件成立時に、前記実駆動量が前記基準駆動量に達していないと判断されるときには、前記基準駆動量から前記実駆動量を差し引いた不足駆動量分、前記駆動源を駆動して前記可動部材を前記特定位置に向かって変位させる補填動作を行うことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、補填動作後には、確実に可動部材が特定位置に位置していることになる。
【符号の説明】
【0045】
1 遊技機
10 可動部材
20 モータ
30 原点センサ
60 操作手段
B 基準駆動量
R 実駆動量
S 不足駆動量
図1
図2
図3
図4
図5
図6