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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020216880
(22)【出願日】2020-12-25
(62)【分割の表示】P 2017105149の分割
【原出願日】2017-05-29
(65)【公開番号】P2021045671
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 葵
(72)【発明者】
【氏名】倉地 良幸
(72)【発明者】
【氏名】大秋 善幸
【審査官】篠崎 正
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-180995(JP,A)
【文献】特開2012-152456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
待機状態にて前記表示手段を通じて待機用画像を出力する待機状態制御手段と、
所定のインターバル時間が経過する度に基準時点に到達したと判断する判断手段と、
を備え、
前記待機用画像は、前記基準時点に到達した後は開始態様から規定時間経過で再び当該開始態様に戻るように循環して出力されるものであり、
前記基準時点以外の時点で前記待機状態に移行した場合、前記基準時点に到達するまでの時間の長短によらず前記基準時点に到達するまでは前記待機用画像は前記開始態様とは異なる特定態様とされ、前記基準時点に到達することを契機として前記待機用画像が前記特定態様から前記開始態様に切り替わるよう制御されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの遊技機では、一定期間遊技がなされなかったときに移行する待機状態中には、いわゆるデモ画像等の画像が表示される(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-022196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、待機状態にある遊技機を目立たせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示手段と、待機状態にて前記表示手段を通じて待機用画像を出力する待機状態制御手段と、所定のインターバル時間が経過する度に基準時点に到達したと判断する判断手段と、を備え、前記待機用画像は、開始態様から規定時間経過で再び当該開始態様に戻るように循環して出力されるものであり、前記待機状態に移行した場合、前記基準時点に到達することを契機として、前記開始態様から前記待機用画像が出力されるように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、待機状態にある遊技機を目立たせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示装置の表示領域に表示される装飾図柄と保留画像を示した図である。
図3】待機状態中に待機用画像と待機用楽曲が出力されることを説明するための図である。
図4】待機用画像を構成する複数の画像要素部と、これら画像要素部の長さを説明するための図である。
図5】各画像要素部の具体例を示した図である。
図6】(a)は基準時間の概念を説明するための図であり、(b)は図7および図8に示す例が発生する待機状態移行時点(P1、P2)を示した図である。
図7図6(b)のP1の時点で待機状態に移行した場合における待機用画像の推移を示す図である。
図8図6(b)のP2の時点で待機状態に移行した場合における待機用画像の推移を示す図である。
図9】本実施形態における待機用画像の制御を実行した場合に奏される効果を説明するための概念図である。
図10】第一具体例を説明するための図である。
図11】第二具体例を説明するための図である。
図12】第三具体例を説明するための図である。
図13】第四具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、装飾図柄80(図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。本実施形態では、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄80群が変動表示され、それぞれから一の図柄が選択されて停止することで、当否判定結果を示す組み合わせを構築する。
【0015】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(装飾図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(装飾図柄80の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている上記数値(当否判定情報)であって、当否判定結果を報知する演出が開始(装飾図柄80の変動が開始)されていないものに対応するマークである保留画像70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留画像70が表示装置91の表示領域911に表示される(図2参照)。また、既に当否判定結果を報知する演出が開始(装飾図柄80の変動が開始)されているものの、当否判定結果の報知が完了(全ての装飾図柄80の変動が停止)していないもの、いわゆる「当該変動保留」が存在していることを示す当該変動保留画像(図示省略)が表示領域911に表示されるようにしてもよい。これら保留画像70や当該変動保留画像として、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が異なる複数種の具体的態様が設定された構成としてもよい。すなわち、いわゆる保留変化演出が発生しうる構成としてもよい。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1では、所定期間遊技がなされなかった場合には、待機状態に移行する(図3参照)。所定期間遊技がなされたことを検出する手法はどのようなものであってもよい。その一例としては、上述した発射装置908が所定期間操作されなかったこと(発射装置908に設けられたタッチセンサが一定期間OFFであり続けたこと)を契機として待機状態に移行するようにすることが挙げられる。待機状態中に遊技が開始されたこと(例えば、発射装置908に設けられたタッチセンサがONとなったこと)が検出されたときには、当該待機状態が解消される(遊技状態に移行する)。以下、待機状態中における各種制御について説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明で「画像」というときは、静止画と動画の両方を含むものとする。
【0018】
1)待機状態に関する基本的な構成
待機状態に移行したとき、表示装置91(表示手段)には、待機用画像10が出力される(図3(b)参照)。本実施形態における待機用画像10の詳細については後述するが、それはあくまで一例であって、待機用画像10の具体的態様は適宜変更可能である。また、待機状態に移行したとき、スピーカ92(音出力手段)から待機用楽曲20が出力される(図3(b)参照)。つまり、本実施形態では、遊技が実行されていない状態である待機状態であっても、楽曲が出力されるように構成されている。したがって、待機状態中にある遊技機を目立たせることが可能である。
【0019】
本実施形態にかかる遊技機1は、スピーカ92を通じた待機用楽曲20の出力の大きさは音量調整手段により調整することが可能となっている。ただし、当該音量調整手段による音量調整は、遊技者が行うことができないものである。つまり、音量調整手段による音量調整は、遊技店(店員)側が行うことができるものである。したがって、音量調整時に操作される部材(音量調整用のツマミ等)は、遊技機1内部に設けられる。具体的には、遊技機1の前扉を開放しなければ操作することができない位置に設けられる。このようにすることで、待機状態中にある遊技機を待機用楽曲20によりどの程度目立たせるかを遊技店が適宜調整することが可能となる。
【0020】
また、当該音量調整手段は、待機用楽曲20の音量を0とすること(待機用楽曲20が聴こえない状態とすること)を可能とするものであることが好ましい。遊技店によっては、待機状態中に待機用楽曲20が出力されないようにすることで、待機状態中であることを分かりやすくしたいと考える可能性がある。よって、これに対応するため、待機用楽曲20の音量を0にすることができるようにしておくことが好ましい。
【0021】
遊技状態中に出力される音(以下、演出用音と称する)が出力されるチャネルと、待機用楽曲20を出力されるチャネルを別にするとよい。つまり、演出用音が出力されるチャネルと、待機用楽曲20が出力されるチャネルとを備え、各チャネルにより出力される音の音量を調整可能とする。演出用音については、その音量を遊技者が任意に調整可能とする。一方、上述したように、待機用楽曲20については、その音量を遊技者が調整することができないものとする。つまり、両者は、遊技者が任意に調整することができるか否かという機能面において相違する。このような機能の相違に対応するため、予め演出用音を出力するためのチャネルと、待機用楽曲20を出力するためのチャネルを別にしておくことが好ましい。演出用音が出力されるスピーカと、待機用楽曲20が出力されるスピーカを別にしてもよい。
【0022】
待機用楽曲20は、待機用画像10の態様に合わせて進行するように出力される。換言すれば、待機用楽曲20と待機用画像10はそれぞれが独立して出力されるものではなく、互いに関連付けて出力されるということである。待機用画像10が動画である場合には、当該動画に合わせて待機用楽曲20が出力される。このようにすることで、待機状態中にある遊技機をより目立たせることが可能となる。
【0023】
また、本実施形態にかかる遊技機1は、待機用画像10の明度については明度調整手段により調整することが可能となっている。当該明度調整手段による明度調整についても、遊技店(店員)側が行うことは可能であるが、遊技者が行うことは不可能とされている。待機用画像10の明度が高すぎると待機状態中ではないのではないかと勘違いしてしまうおそれがある。また、待機用画像10の明度が低すぎると待機状態中にある遊技機が目立たなくなってしまうおそれがある。したがって、遊技店が(店内の明るさ等に応じて)待機用画像10の明度を任意に調整することができるようにしておくとよい。
【0024】
2)待機用画像に関する具体的な構成
本実施形態における待機用画像10は、時間経過とともに変化する時間情報に基づき制御される。時間情報に基づく制御の詳細(基準時間に基づく制御の詳細)については後述するが、時間情報は遊技機1の電源が投入された時点を基準として得られる時間である。簡潔にいえば、遊技機1の電源が投入されてから経過した時間である。したがって、複数の遊技機が設置された遊技店において、全ての遊技機に一斉に電源が投入された場合には、各遊技機において得られる時間情報は同じとなる。本実施形態では、当該時間情報に基づき待機用画像10が制御される。
【0025】
本実施形態における待機用画像10は、複数の画像要素部を含む。換言すれば、待機用画像10は、基本的態様が共通する複数の部分に区分けされるということである。本実施形態における待機用画像10は、第一画像要素部11、第二画像要素部12、第三画像要素部13、第四画像要素部14を含む(図4および図5参照)。
【0026】
待機用画像10は、基本的には、待機状態が解消されない限りにおいて、第一画像要素部11、第二画像要素部12、第三画像要素部13、第四画像要素部14、第一画像要素部11、第二画像要素部12・・・というような順で出力されていく。つまり、各画像要素部には所定の順番が設定されており、基本的には当該順番で画像要素部が出力されていくことで待機用画像10が構成される。各画像要素部の基本的な長さ(後述するように例外はある)は予め定まっている。本実施形態では、第一画像要素部11は30秒、第二画像要素部12は15秒、第三画像要素部13は15秒、第四画像要素部14は90秒である(図4参照)。待機用画像10は、第一画像要素部11~第四画像要素部14を1セットとしてそれが循環されて出力されていくものであるが、1セット分の長さは150秒(2分30秒)である(図4参照)。つまり、待機用画像10が継続的に出力される場合、150秒を1セットとする第一画像要素部11~第四画像要素部14から構成される画像が、循環されて出力されることになる。
【0027】
各画像要素部の具体的態様はどのようなものであってもよい。特に明示する場合を除き、各画像要素部は静止画であっても動画であってもよい。ただし、「静止画」には画像を構成する図柄等がわずかに揺れているようなものであって、実質的には静止画のように捉えられるものを含むものとする。本実施形態では、第一画像要素部11は装飾図柄80とその背景画像が表示されるとともに、音量、光量調整等の案内を表示する静止画であり(図5(a)参照)、第二画像要素部12は機種名とともに遊技機が設置される遊技店名を表示することが可能な画像であり(図5(b)参照)、第三要素画像部はモバイル端末を利用したサービスを案内する画像(モバイル端末で読み取り可能な二次元コード等を表示する画像)であり(図5(c)参照)、第四要素画像部は対象の遊技機を紹介するような動画(デモ映像)である(図5(d)参照)。なお、第一画像要素部11は、装飾図柄80がわずかに揺れるように表示される画像であるが、実質的には静止画のように捉えられる(遊技者には静止画のように見える)ものである。装飾図柄80が完全に止まった状態で表示されるようにしてもよい。また、第一画像要素部11における装飾図柄80の組み合わせは、待機状態に移行する前の最後の当否判定結果(はずれ)を示すものが表示されるため、その都度変化しうる。
【0028】
これらの画像要素部のうち、第二画像要素部12が基準要素部として設定されている。以下、基準要素部の機能について説明する。本実施形態にかかる遊技機1は、遊技店において複数台設置されたことを想定し、当該設置された各台の待機用画像10をリンクさせる機能を有する。基本的には、ある時点で待機状態にある複数台の遊技機の全てにおいて、同じ画像が出力されているようにするものである。
【0029】
具体的には、待機状態にあるとき、上記時間情報に基づく時間が基準時間に到達した時点で待機用画像10が基準要素部から出力されるように制御する。基準時間は、150秒刻みで訪れる時間(待機用画像10の制御のために基準とする時点)である(図6(a)参照)。つまり、当該基準時間の間隔は、第一画像要素部11~第四画像要素部14から構成される1セット分の画像の長さと同じである。時間情報は、遊技機1の電源が投入された時点を基準とする(0とする)ものであるから、複数台の遊技機1に一斉に電源が投入されたのであれば、これらすべてについて、基準時間が150秒刻みで訪れる(同じタイミングで基準時間が訪れる)ことになる。
【0030】
このように構成されているため、待機状態に移行してから、最大150秒経過するまでに、必ず基準時間が訪れることになる。基準時間に到達した時点で待機用画像10が基準要素部から出力されるのであるから、一斉に電源が投入された複数の遊技機1のうち、待機状態にある対象台については、最大150秒経過するまでの間に(途中で待機状態が解消されたものを除き)基準要素部から待機用画像10の出力されることになる。つまり、最大150秒経過するまでの間に、全ての対象台の待機用画像10が一致する(電源の投入タイミングがずれたことによる誤差を除く)ことになる(図9参照)。
【0031】
このように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、待機状態にある複数の対象台が存在するときに、各対象台が出力する待機用画像10を一致させること(少なくとも基準時間に到達した後は一致させること)が可能となる。
【0032】
また、本実施形態にかかる遊技機1は、基準要素部である第二画像要素部12の一つ前(上記所定の順番に基づく一つ前)の要素部である第一画像要素部11を特定要素部として設定し、以下のような制御を行う。
【0033】
遊技状態から待機状態に移行してから最初に基準時間に到達するまで(電源投入後、はじめて(一回目)の待機状態についてのみいうものではない。電源投入後、二回目以降に移行した待機状態についても、当該待機状態に移行してから「最初」の基準時間に到達するまでのことをいう)の初期期間においては、特定要素部が出力され続けるようにする。例えば、150秒刻みで訪れるある基準時間の経過後、1秒後に待機状態に移行した場合(図6(b)においてP1で示す時点で待機状態に移行した場合)には、次の基準時間に到達するまで、すなわち149秒間待機用画像10として特定要素部(第一画像要素部11)が出力され続けることとなる(図7(特に図7(a)(b))参照)。また、150秒刻みで訪れるある基準時間の経過後、140秒後に待機状態に移行した場合(図6(b)においてP2で示す時点で待機状態に移行した場合)には、次の基準時間に到達するまで、すなわち10秒間待機用画像10として特定要素部(第一画像要素部11)が出力され続けることとなる(図8(特に図8(a)(b))参照)。上述したように、第一画像要素部11の出力時間は基本的には30秒であるが、これはあくまで第一画像要素部11~第四画像要素部14がループして継続的に出力され続ける場合(通常の出力状態にある場合。図7(b)~(e)、図8(b)~(e)参照)の時間であって、待機状態に移行してから最初の基準時間に到達するまでの初期期間の長さは待機状態に移行するタイミングによって変化するため、当該初期期間中に特定要素部としての第一画像要素部11が出力される時間は変化する。
【0034】
このように制御する理由は次の通りである。待機状態に移行するタイミングは不定期に訪れる。待機用画像10は第一画像要素部11~第四画像要素部14が150秒刻みでループして出力されるのであるから、待機状態に移行するタイミングで時間情報を取得し(最新の基準時間から経過した秒数(150秒未満)を取得し)、それに応じて待機用画像10を出力すれば、待機状態にある全ての各対象台が出力する待機用画像10を一致させることが可能である。しかし、制御が複雑化するという問題がある。また、待機状態に移行するタイミングによっては、動画(映像)が途中から急に出力されてしまうという問題がある。例えば、本実施形態における第四要素画像部は対象の遊技機を紹介するような動画であるところ、当該第四画像要素部14が途中から出力されてしまうという事態が生じ得る。
【0035】
これを踏まえ、待機状態に移行してから最初の基準時間に到達するまでの初期期間中は、「帳尻合わせ」のための画像(以下、特定画像Sと称する)を出力する。本実施形態では、当該特定画像Sとして、特定要素部である第一画像要素部11が出力されるようにする。つまり、待機用画像10に移行したときには、(移行した時点が基準時間とぴったり一致した場合を除き)必ず特定画像Sとして特定要素部である第一画像要素部11が出力されるようにする。これにより、待機用画像10の制御が容易になるという利点がある。
【0036】
また、特定画像Sである第一画像要素部11は「静止画」であるから、出力される画像の態様は時間経過とともに変化しない(図柄がわずかに揺れているような画像とする場合であっても、出力される画像の態様は時間経過とともにほとんど変化しない)。したがって、待機状態に移行するタイミングがどのようなものであっても、待機状態に移行した時点で表示される画像の態様は常に一定である。また、待機状態に移行してから基準時間に到達するまでの初期期間の長さは、その都度変化しうるものであるところ、特定画像Sが静止画であれば初期期間の長さが種々変化しても対応が容易である。つまり、動画を特定画像Sとした場合には、動画の途中から出力する、動画を途中で打ち切る、といった対応が必要になるところ、本実施形態では静止画を特定画像Sとしているため、このような対応は必要ない。
【0037】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0038】
○第一具体例
上記実施形態における時間情報は、遊技機1に電源が投入された時点を基準として得られる時間(電源投入時点から所定間隔(上記実施形態では150秒)で基準時間が訪れるもの)であることを説明したが、現実の時間(時刻)に基づき得られる時間としてもよい。具体的には、公知のRTC(リアルタイムクロック)を備えた構成とし、当該RTCに基づき待機用画像10を制御する。上記実施形態のように待機用画像10の長さを150秒とするのであれば、RTCによって取得される時刻が150秒(2分30秒)経過する度に基準時間が訪れるものとして制御する(図10参照)。
【0039】
上記実施形態のように電源投入時点を基準とする場合、電源投入を一斉に行わないと待機用画像10にずれが生じてしまうという問題がある。また、発生した不具合等の解消のために一旦電源をOFFとすることが考えられるが、このような事態が発生してしまうと、当該電源をOFFした遊技機についてのみ、他の遊技機と待機用画像10がずれてしまうという問題もある。上記RTCを用いた制御手法とすれば、電源投入のタイミングによらず、全ての対象台について基準時間が同じタイミング(同じ時刻)に訪れることになるため、このような問題は生じない。ただし、上記実施形態のように電源投入時点を基準とする場合には、別途RTCを設ける必要がないという利点がある。
【0040】
また、遊技機1に基準時間の計測をリセットする手段(時間計測の開始時点を定める手段)を設けてもよい。当該手段によりリセットされた時点から、所定間隔(上記実施形態では150秒)で基準時間が訪れるものとする。当該手段は、遊技店内部に設けられた制御装置(いわゆるホールコンピュータ)等により動作させることができるようにしてもよい。このようにすれば、任意の時間(時点)を基準として、基準時間を計測することができる。
【0041】
○第二具体例
上記実施形態では、基準時間に到達した時点で複数の対象台にて表示される待機用画像10の内容を一致させるため、「帳尻合わせ」の画像として特定画像Sを表示すること、および当該特定画像Sとして複数の画像要素部の一つである第一画像要素部11(特定要素部)が設定されていることを説明したが、特定画像Sは適宜変更することができる。例えば、特定画像Sとして、複数の画像要素部に含まれない専用の画像(「帳尻合わせ」専用の画像。以下専用画像11aと称する)が設定された構成としてもよい。つまり、待機状態に移行してから最初の基準時間に到達するまでの初期期間は、待機用画像10として上記専用画像11aが表示され、基準時間に到達してからは複数の画像要素部が順に出力される構成とする(図11(特に図11(a))参照)。すなわち、初期期間に限り表示されうるものとして専用画像11aが用意された構成とする。なお、このような構成とする場合であっても、特定画像Sとされる上記専用画像11aは「静止画」であることが好ましい。
【0042】
○第三具体例
上記実施形態では、複数の画像要素部に設定された所定の順番に基づき、基準要素部の一つ前の画像要素部が特定要素部(特定画像S)として設定されていることを説明したが、所定の順番に基づく一つ前の画像要素部以外の画像要素部が特定要素部として設定された構成としてもよい。例えば、上記実施形態における第三画像要素部13が特定要素部として設定された構成とすることが考えられる。このようにすれば、待機状態に移行してから最初の基準時間に到達するまでの初期期間は、特定画像Sとして第三画像要素部13が出力され続け(図12(a)参照)、基準時間に到達してからは、第二画像要素部12、第三画像要素部13、第四画像要素部14、第一画像要素部11、第二画像要素部12・・・というような順で待機用画像10が出力される構成となる(図12(b)~(e)参照)。なお、このような構成とする場合であっても、特定要素部(特定画像S)とされる画像要素部は「静止画」であることが好ましい。上記実施形態における第三画像要素部13は静止画であるから、かかる条件を満たしている。
【0043】
ただし、本例のようにした場合、基準時間に到達する時点で、第三画像要素部13から第二画像要素部12への切替わりが生じることになる。つまり、「所定の順番」とは異なる順で画像要素部の切替わりが生じることになる。一方、上記実施形態のように、基準要素部の一つ前の画像要素部が特定要素部として設定された構成とすれば、基準間に到達する時点で発生するのは第一画像要素部11から第二画像要素部12への切替わりである。つまり、上記実施形態のようにすれば、基準時間に到達する時点で発生する画像要素部の切替わりが「所定の順番」に沿ったものとなる(画像の切替わりの流れが一定である)ため、制御が容易であるという利点がある。
【0044】
○第四具体例
上記実施形態では、複数の画像要素部に設定された所定の順番に基づき、基準要素部の一つ前の画像要素部が特定要素部として設定されていることを説明したが、所定の順番に基づき、基準要素部よりも前の二以上の画像要素部が特定要素部(特定画像S)として設定された構成としてもよい。例えば、上記実施形態における第四画像要素部14および第一画像要素部11が特定要素部として設定された構成としてもよい(図13(特に図13(a-1)(a-2))参照)。なお、このような構成とする場合であっても、特定要素部(特定画像S)とされる画像要素部は「静止画」であることが好ましい。つまり、上記実施形態では、第四画像要素部14は動画であることを説明したが、当該第四画像要素部14を特定要素部として設定するのであれば、第四画像要素部14は静止画とされることが好ましい。
【0045】
この場合、特定要素部(特定画像S)とされる二以上の画像要素部の切替わりのタイミングは適宜設定することができる。基準時間に到達するまで、特定要素部とされる二以上の画像要素部が循環されて出力されるようにしてもよい。
【0046】
○第五具体例
上記実施形態における待機用画像10は、基本的には、第一画像要素部11~第四画像要素部14が循環するよう出力されるものであることを説明したが、これ以外の画像が待機用画像10として出力されることがあってもよい。例えば、電源投入後、最初の遊技が開始される(最初の遊技状態に移行する)までの待機状態中に表示される画像(いわゆる朝一用の画像)が設定された構成としてもよい。つまり、特殊な条件が成立した場合に待機用画像10として出力される画像が設定されていてもよい。
【0047】
○第六具体例
上記実施形態では、待機状態中に待機用楽曲20が出力されることを説明したが、待機用楽曲20が出力される条件は種々設定することができる。待機状態に移行した上で、所定の画像が出力されているときに限り待機用楽曲20が出力されるようにしてもよい。例えば、待機用画像10として装飾図柄80を含まない画像が出力されているときに、待機用楽曲20が出力されるようにすることが考えられる(別の見方をすれば、装飾図柄80を含む画像が出力されているときは、待機状態ではないとみなすよう制御するということである)。上記実施形態に則していえば、第一画像要素部11が出力されているときには楽曲が出力されず、それ以外の画像要素部が出力されているときに楽曲が出力されるようにする。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、表示装置やスピーカを備える遊技機であれば、その他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。例えば、回動式遊技機(スロットマシン)等にも同様の技術思想が適用可能である。
【0050】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0051】
・手段1
表示手段と、
音出力手段と、
一定期間遊技がなされなかった場合に、前記表示手段を通じて待機用画像を出力しつつ、前記音出力手段を通じて待機用楽曲を出力する待機状態に移行させる待機状態制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
このように、待機状態に移行したときに、待機用画像だけでなく、待機用楽曲が出力されるようにすることで、待機状態にある遊技機を目立たせることが可能となる。
【0052】
・手段2
前記待機用楽曲の出力の大きさを調整する音量調整手段を備えることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技店の状況に応じた待機用楽曲の大きさとすることが可能となる。
【0053】
・手段3
前記音量調整手段は、前記待機用楽曲の音量を0とすることが可能であることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
遊技店によっては、待機状態中に待機用楽曲20が出力されないようにすることで、待機状態中であることを分かりやすくしたいと考える可能性があるから、上記構成のようにしておくことが好ましい。
【0054】
・手段4
前記音量調整手段は、遊技者による音量調整が不可能となるように構成されていることを特徴とする手段2または手段3に記載の遊技機。
待機状態中にある遊技機をどの程度目立たせるかは、遊技店の裁量により決定されるべきものであるから、遊技者が待機用楽曲の音量を調整することができるようにすることは好ましくない(遊技者による調整を可能とする必要はない)。
【0055】
・手段5
前記待機用楽曲は、前記待機用画像の態様に合わせて進行するように出力されるものであることを特徴とする手段1から手段4のいずれか一項に記載の遊技機。
このようにすることで、待機状態中の遊技機をより目立たせることが可能となる。
【0056】
・手段6
前記待機用画像の明度を調整する明度調整手段を備えることを特徴とする手段1から手段5のいずれか一項に記載の遊技機。
待機用画像の明度が高すぎると待機状態中ではないのではないかと勘違いしてしまうおそれがあるし、明度が低すぎると待機状態中にある遊技機が目立たなくなってしまうおそれがある。したがって、遊技店が(店内の明るさ等に応じて)待機用画像の明度を任意に調整することができるようにしておくとよい。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機
10 待機用画像
11 第一画像要素部
12 第二画像要素部
13 第三画像要素部
14 第四画像要素部
S 特定画像
11a 専用画像
20 待機用楽曲
80 装飾図柄
91 表示装置
911 表示領域
92 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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図13