(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】追跡装置
(51)【国際特許分類】
F24S 50/20 20180101AFI20220927BHJP
H02S 20/32 20140101ALI20220927BHJP
H02S 30/00 20140101ALI20220927BHJP
F24S 23/30 20180101ALI20220927BHJP
F24S 23/70 20180101ALI20220927BHJP
F24S 30/40 20180101ALI20220927BHJP
【FI】
F24S50/20
H02S20/32
H02S30/00
F24S23/30
F24S23/70
F24S30/40
(21)【出願番号】P 2020555771
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(86)【国際出願番号】 ES2018070303
(87)【国際公開番号】W WO2019197689
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520390689
【氏名又は名称】ソラル アヴァンシス イ システマス デ エネルジア エス. エル.
【氏名又は名称原語表記】SOLAR AVANCES Y SISTEMAS DE ENERGIA, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン アレクサンデル アスキンス
(72)【発明者】
【氏名】ジャイメ カセレス フォルネス
(72)【発明者】
【氏名】イグナシオ アントン ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】マルタ ヴィクトーリア ペレス
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00059690(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/189097(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0251569(US,A1)
【文献】特表2013-520785(JP,A)
【文献】特開昭53-103239(JP,A)
【文献】特開昭51-105641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0100354(US,A1)
【文献】特開2017-096571(JP,A)
【文献】特開2005-062785(JP,A)
【文献】米国特許第4306541(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24S 50/20
H02S 20/32
H02S 30/00
F24S 23/30
F24S 23/70
F24S 30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を含み2つずつ対向する少なくとも2つの放射線吸収サイドチャンバと、中空の
円錐台形状ハウジング(14)と、前記
中空の円錐台形状ハウジング(14)の上端に配置され、入射太陽放射線を前記
中空の円錐台形状ハウジング(14)の下端近傍に集中させる一次レンズ(12)と、を備え、
前記放射線吸収サイドチャンバは、圧力連通線であって、放射線吸収サイドチャンバと、圧力増加を回転運動に変換して前記中空の円錐台形状ハウジング(14)を回転させるための、対応するアクチュエータピストンとの間に接続された、前記圧力連通線を含む、閉じた中空の本体であり、
前記中空の
円錐台形状ハウジング(14)は、
逆円錐台形状を有し、
太陽放射線を前記放射線吸収サイドチャンバに反射させるための複数の湾曲した凹状のアーチ型の反射側面と、前記
中空の円錐台形状ハウジング(14)が太
陽と位置合わせされてい
るときに、集中した入射太陽放射線を少なくとも1つの放射線吸収サイドチャンバ(17)に反射させる
ための、前記
中空の円錐台形状ハウジング(14)の前記下端に配置された識別反射器(18)
と、を備え
る、太陽位置追跡装置。
【請求項2】
前記放射線吸収サイドチャンバ(17)は、それぞれのアーチ状の反射傾斜側面(16)に平行かつ近接して配置された、閉じた中空円筒型の形状を有す
る、請求項
1に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項3】
前記放射線吸収サイドチャンバ(17)は、前記太陽放射線のスペクトルを通過可能にし、内部熱によって生成される下側の周波数波長の放射線の放射を妨げて、内部に温室効果を提供する透明材料から作製され
る、請求項
2に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項4】
放射線選択吸収体(41)が、前記放射線吸収サイドチャンバ(17)の内側に配置されてい
る、請求項
2に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項5】
少なくとも2つの対向する側面(16)は、フレネル型の形状を有する、
前記中空の円錐台形状ハウジングの前記下端に隣接する下部と、線形レンズ型のサイドレンズ(13)
であって、前記サイドレンズに対向する前記放射線吸収サイドチャンバに入射太陽放射線を線形に収束させるための前記サイドレンズを有する、
前記中空の円錐台形状ハウジングの前記上端に隣接する上部と、を有す
る、請求項
1に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項6】
前記サイドレンズ(13)が、前記サイドレンズ(13)の反対側の側面(16)の近傍に位置する前記放射線吸収サイドチャンバ(17)に前記入射太陽放射線を集中させ
る、請求項
5に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項7】
少なくとも2つの対向する側面(16)が、フレネル型の形状を有する、
前記中空の円錐台形状ハウジング(14)の前記下端に隣接する下部と、アクチュエータピストン(21)が配置され、前記太陽位置追跡装置(11)の回転軸に連結された、前記太陽位置追跡装置(11)の重心を中心とするアンカーと、を有す
る、請求項
1に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項8】
前記一次レンズ(12)は、前記識別反射器(18)の近傍の焦点又は焦線上に前記太陽放射線を集中させる、平坦な上側の形状とフレネルの下側の形状とを有するフレネルレンズであ
る、請求項1に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項9】
前記識別反射器(18)は、前記集中した入射太陽放射線を前記放射線吸収サイドチャンバ(17)上に投影するために、逆V字形断面を有する少なくとも2つのアーチ状反射面(51)を備え
る、請求項1に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項10】
前記識別反射器(18)は、非球面レンズ
又はパラボラ回転ミラー
である、請求項
9に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項11】
前記識別反射器(18)の前記反射面(51)は、
逆V字型のアーチ状又は湾曲した凹状の断面を有す
る、請求項
9に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項12】
前記識別反射器(18)は、熱エネルギー
及び電気エネルギー
の少なくとも1つを提供するように適合された放射線を収集するための下側レシーバ(71)が下方に配置される貫通スロット(52)を備え
る、請求項
9に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項13】
前記アクチュエータピストン(21)は、
前記重心の近傍に配置され、前記太陽位置追跡装置(11)と共に、前記中空の円錐台形状ハウジング(14)の回転軸に接続され、太陽の光路を追跡中に、前記太陽位置追跡装置(11)を、移動させることなく回転運動可能にする、請求項
7に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項14】
前記アクチュエータピストン(21)は、前記放射線吸収サイドチャンバ(17)の内部で生成される圧力上昇を吸収するために、可撓性チューブによって対応する前記放射線吸収サイドチャンバ(17)に連結されてい
る、請求項
13に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項15】
前記アクチュエータピストン(21)は、前記アクチュエータピストン(21)の両端に配置された可撓性膜又はダイアフラム(31)を備え、前記膜又はダイアフラム(31)を折り畳む又は展開することによってスラストを及ぼすことを特徴とする、請求項
7に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項16】
前記アクチュエータピストン(21)は、前記太陽位置追跡装置(11)の回転軸上に配置され、前記太陽の位置に従う東西
又は南北の動きに応じた前記太陽位置追跡装置(11)の回転を提供す
る、請求項
7に記載の太陽位置追跡装置。
【請求項17】
前記アクチュエータピストン(21)は、前記太陽位置追跡装置(11)の前記アクチュエータピストンの端部において、東西
又は南北の、前記対向する放射線吸収サイドチャンバ(17)内で生成された体積膨張をそれぞれ受け
る、請求項
16に記載の太陽位置追跡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いレベルの太陽エネルギー利用を達成するために、光起電性エネルギー及び/又は熱エネルギー利用装置の位置決めをリアルタイムでガイドするために集中太陽放射線(concentrated solar radiation)を使用するパッシブ太陽位置追跡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、太陽光線に敏感なモーションカメラを通して働く、太陽を追跡するための装置が知られている。装置は、フォーカスレンズを備え、モーションカメラに共通する領域に太陽光線を集光し、ガイドする。
【0003】
モーションカメラは、低沸点を有する液体、又はモーションカメラ内で加熱されると、太陽光線のエネルギーの結果として膨張する任意の液体を含む。
【0004】
太陽光線は、フォーカスレンズを通過して、太陽位置合わせ装置が正しく位置合わせされている場合には共通領域にインパクトを与え、或いは、装置が太陽と望ましい位置合わせから外れている場合にはモーションカメラにインパクトを与える。これにより、モーションカメラが起動され、その結果、太陽光線コレクタが所望の方向に移動する。
【0005】
モーションカメラは、動作可能な方法で静止フレームに連結されたディスプレーサを含み、これにより、モーションカメラ内の圧力上昇がディスプレーサに加えられる力をもたらし、太陽追跡装置をフレームに対して推進する。
【0006】
太陽追跡装置の共通領域上の太陽放射線の高い集光は、放射線源が、太陽放射線の集光によって、小さく、非常に熱く、局所化された領域を生成するという欠点を有し、この領域は、生成された熱を、収容された作動流体の体積膨張が生じる全てのモーションカメラに、迅速に、均一に、広く、かつ効率的に伝送することができない。したがって、太陽が移動している間に追跡装置を駆動するディスプレーサの起動に遅延が生じ、その結果、太陽位置の追跡が遅れ、これにより、高太陽集光の歩留まりが低下する。
【0007】
追跡装置の移動の遅れは、モーションカメラ内に収容された作動流体の非効率的な膨張の結果である。これは、モーションカメラ内に強い温度勾配があり、したがって、加熱された流体体積の体積が最大化されないためである。その結果、作動流体の急激な体積増加はない。
【0008】
追跡装置の1つの欠点は、太陽放射線が装置の法線/垂直位置に対して大きな角度で追跡装置を貫通するとき、外部要素がそれ自体を配向することを要求することである。例えば、日の出と日没の間、太陽の位置が非常に低いとき、フォーカスレンズに当たる放射線のレベルは非常に低く、太陽位置合わせ装置をトリガするには不十分である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、特許請求の範囲に定義されるような集中太陽放射線を使用するパッシブ太陽位置追跡装置によって、記載された問題の1つ以上を解決しようとするものである。
【0010】
集中太陽放射線を利用したパッシブ太陽位置追跡装置は、中空の平行六面体ハウジングを備え、ハウジングは、入射太陽放射線に貫通され、当該ハウジングの下端に配置された識別反射器(discriminating reflector)上の上端に配置された一次フォーカスレンズにより集光される。これは、平行六面体ハウジングが太陽の位置と完全に位置合わせされ、及び/又は位置ずれしているときに、少なくとも1つの放射線吸収サイドチャンバ上に異なる角度で入射する太陽放射線を反射する。
【0011】
平行六面体ハウジングは、ハウジングに入射する太陽放射線を異なる角度で少なくとも1つの放射線吸収サイドチャンバに反射させる幾何学的形状の複数の反射側面を更に備え、太陽放射線は、太陽放射線の入射角にかかわらず、反射によって少なくとも1つの吸収サイドチャンバへガイドされる。
【0012】
太陽位置が、追跡装置の法線/垂直の太陽位置とほとんど完全に位置合わせされているとき、集中した入射太陽放射線は、集中した太陽放射線を第1吸収サイドチャンバ又は第1サイドチャンバと反対側の第2吸収サイドチャンバに反射する識別反射器に当たる。
【0013】
識別反射器は、一次レンズによって集光される入射太陽放射線の焦点の位置の小さな変化が吸収サイドチャンバの1つに反射されるように、互いに隣接する複数の急峻なアーチ状の形状を含む。
【0014】
平行六面体ハウジングは、逆円錐台形状の平行六面体型の形状を有している。これは、アーチ状反射傾斜側面が湾曲した凹状の反射側面型であり、少なくとも2つの対向する側面が、フレネル型の形状を有する、下端に隣接する下部と、線状レンズ型のサイドレンズを有する、上端に隣接する上部とを有する。また、少なくとも2つの対向する側面は、フレネル型の形状を有する下端に隣接する下部と、アクチュエータピストンが配置された、上端に隣接する上部とを有する。
【0015】
フレネルレンズ型の一次フォーカスレンズは、太陽放射線を識別反射器の近傍の焦点又は焦線上に集中させる平坦で低いフレネルの外側の形状を有し、これは、各々が逆V字形断面を有する、少なくとも2つのアーチ状の反射面を含み、集中した入射太陽放射線を、平行六面体ハウジングの傾斜反射側面と平行かつそれに近接して配置された吸収サイドチャンバの1つに投影する。
【0016】
放射線源の識別反射器は、非球面レンズ、パラボラ回転ミラー、又はフレネルゾーンプレートなどとすることができ、識別反射器の反射面は、凹面、パラボラ面、又は楕円面などの平坦なアーチ状断面を有する。
【0017】
さらに、放射線源の識別反射器は、平行六面体ハウジングが太陽の位置に完全に配向されているときに、集中した入射太陽放射線の全てによって貫通される貫通スロットを備える。その結果、集中した入射太陽放射線のいかなる部分も、吸収サイドチャンバに反射されない。
【0018】
貫通スロットの物理的寸法は、集中した入射太陽放射線のどの部分がターゲットとなる吸収サイドチャンバに向かって反射されるかを予め定める。したがって、追跡装置は、太陽の位置との位置合わせを自動的に維持することができる。
【0019】
さらに、吸収サイドチャンバに向かって反射されない集中入射太陽放射線の部分、すなわち、太陽の位置との位置合わせを維持するために追跡装置の回転運動を生成するために必要とされない集中した入射太陽放射線の部分を利用することによって、熱エネルギー又は電気エネルギーをそれぞれ生成するために、下側の熱又は光起電性レシーバが貫通スロットの下に配置されてもよい。
【0020】
放射線吸収サイドチャンバは、入射太陽放射線の吸収にしたがって体積が増加する作動流体を含む。これは、平行六面体ハウジングの回転軸上に配置された少なくとも1つのアクチュエータピストンに伝送される作動流体の温度及び圧力の上昇をもたらす。
【0021】
アクチュエータピストンは、平行六面体ハウジングの重心の近傍に配置され、太陽位置追跡装置の回転運動を可能にするために固定された回転可能なツールを備える平行六面体ハウジングの回転軸に連結される。
【0022】
アクチュエータピストンは、対応する放射線吸収サイドチャンバに可撓性チューブで接続され、同じ吸収サイドチャンバからの圧力上昇を回転要素に伝送するようにされた、回転要素から成っている。
【0023】
アクチュエータピストンは、アクチュエータピストンの両端に配置された少なくとも2つの可撓性膜を更に備え、当該膜の折り畳み及び展開を通して、滑らかで、漸進的で、正確なスラストを及ぼす。
【0024】
太陽位置追跡装置によって実行される、東から西及びその逆方向、並びに北から南及びその逆方向への傾斜運動は、線材及び/又はケーブルなどの機械的運動伝達コンポーネントによって、第1の追跡装置の追跡運動が誘導される少なくとも1つの他の追跡装置に伝送される。
【0025】
第2の追跡装置は、フォーカスレンズによって集束された入射太陽放射線を利用して、それぞれ熱又は電気エネルギーを生成する、少なくとも1つの熱又は光起電性レシーバを含む。
【0026】
太陽位置追跡装置は、小さな焦点領域に集中した入射太陽放射線を正確に区別することにより、高速で、正確かつ強力なパッシブ太陽位置追跡を自動的に実行し、それにより、太陽位置との小さな位置合わせ誤差が、少なくとも1つの吸収サイドチャンバ又はその反対側に大きな強力なエネルギー変化を生じさせる。吸収サイドチャンバは、吸収サイドチャンバのより大きな領域で迅速かつ均一な温度上昇を達成するために、より分散された方法で放射され、チャンバの側面又は作動流体を介した伝導により伝送される熱エネルギーを必要としない。これらにより、高太陽集光での使用に適した精密で強力な太陽位置追跡装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下において、添付の図面に基づいて、より詳細な説明が行われる。
【
図1】
図1は、集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽位置追跡装置の断面の斜視図である。
【
図2】
図2は、集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽位置追跡装置の後方斜視図である。
【
図3】
図3は、集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽追跡装置のアクチュエータピストンの俯瞰図である。
【
図4】
図4は、集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽追跡装置の放射線吸収サイドチャンバの俯瞰図である。
【
図5】
図5は、集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽位置追跡装置の識別反射器の平面図である。
【
図6】
図6は、軸上状態及び軸外状態で集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽位置追跡装置の俯瞰図である。
【
図7】
図7は、軸上状態及び軸外状態での集中した太陽放射線を使用する太陽位置追跡装置の識別反射器の貫通スロットの模式俯瞰図である。
【
図8】
図8は、貫通スロットなし又はありの、識別反射器の代替例の斜視図である。
【
図9】
図9は、貫通スロットなし又はありの、識別反射器の更なる代替例の斜視図である。
【
図10】
図10は、非活性反射面が存在しない、識別反射器の更なる代替例の斜視図である。
【
図11】
図11は、集中した太陽放射線を使用するパッシブ太陽位置追跡装置の放射線吸収サイドチャンバの代替例の俯瞰図である。
【
図12】
図12は、光起電性及び/又は熱エネルギー利用装置の位置決めをリアルタイムでガイドするために、東西軸に従って水平フレームに配置された追跡装置の正面斜視図である。
【
図13】
図13は、光起電性及び/又は熱エネルギー利用装置の位置決めをリアルタイムでガイドするために、東西軸に沿って水平フレームに配置された追跡装置の正面斜視図である。
【
図14】
図14は、光起電性及び/又は熱エネルギー利用装置の位置決めをリアルタイムでガイドするために、垂直フレームに配置された追跡装置の正面斜視図である。
【
図15】
図15は、光起電性及び/又は熱エネルギー利用装置の位置決めをリアルタイムでガイドするために、垂直フレームに配置された追跡装置の背面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1、
図2及び
図3を参照すると、集中太陽熱エネルギー追跡装置11が、装置の所定の位置における太陽放射線をターゲットとし、光起電性及び/又は熱エネルギー配置の位置合わせの方向をガイドするように示されている。
【0029】
パッシブ太陽位置追跡装置11は、最大入射放射線を高速かつ精密に放射線吸収サイドチャンバ17に向け直すように構成されており、当該サイドチャンバ17内に格納された作動流体を加熱し、それにより、追跡装置11のいくつかの回転軸に伝達される作動流体の体積膨張を生じさせ、太陽の位置に対する法線/垂直位置を有する追跡装置11の自動方向付けをリアルタイムで可能にし、他の追跡装置の位置合わせの方向をガイドして、パッシブ追跡装置11のトラクタ及び位置マーカに機械的に連結された光起電性及び/又は熱エネルギー利用装置によってエネルギーが高度に集中した方法で利用されるようにし、それによって、非常に集中した方法で最大太陽放射線の利用を実現する。
【0030】
パッシブ太陽位置追跡装置11及び太陽集光器は、中空の平行六面体ハウジング14を備え、平行六面体ハウジング14は、太陽の位置が追跡装置11の法線/垂直位置の近傍にある場合に、平行六面体ハウジング14の上端に位置する一次集光レンズ12を通って当該ハウジング14の下端に位置する識別反射器18に入射する太陽放射線によって貫通される。
【0031】
平行六面体ケーシング14は、逆円錐台形状の平行六面体型の形状を有している。それは、太陽の位置が追跡装置11の法線/垂直位置と完全な位置合わせから離れているときに、太陽放射線を吸収サイドチャンバに反射する、湾曲した凹型の反射側面型の、複数のアーチ状の反射側面16を備えている。
【0032】
追跡装置11は、日の出に対応する初期位置から日没に相対的な終端位置まで、或いはその逆も同様に、追跡装置11を移動させることなく、回転運動を可能にするために、固定されかつ回転可能なツールを備える平行六面体ハウジング14の重心近傍に配置されたアクチュエータピストン21に機械的に連結されている。
【0033】
少なくとも2つの対向する側面16は、フレネル型の形状を有する、平行六面体ハウジング14の下端に隣接する下部と、当該平行六面体ハウジング14の上端に隣接する上部とを有し、上部は、線状レンズ型のサイドレンズ13を有し、日の出及び日没に太陽が地平線上の低い位置にあるときに、入射太陽放射線を、対応するサイドレンズ13に対向する放射線吸収サイドチャンバ17上に線形に収束させる。
【0034】
側面16はそれぞれ異なる反対側の基点に向けて配置され、これにより、第1の面16が東側基点に向けて配置され、第2の面16が西側基点に向けて配置される。
【0035】
少なくとも2つの対向する側面16は、フレネル型の形状を有する下端に隣接する下部と、アクチュエータピストン21が位置する平行六面体状ハウジング14の上端に隣接する上部15とを有する。側面16は、それぞれ対向する基点に向けて配置され、これにより、第3の面16が北側基点に向けて配置され、第4の面16が南側基点に向けて配置される。
【0036】
円錐台形状の平行六面体ケーシング14は、フレネルレンズ型の一次集光レンズ12を備え、平行六面体ハウジング14の上端に機械的に連結されており、太陽の位置が一次レンズの法線/垂直位置の近傍にあるときに、太陽放射線を識別反射器18に近接して又はその上に位置する焦点に集光する。
【0037】
一次集光レンズ12は、軸上状態で、太陽の入射光線が一次レンズ12に垂直であるとき、識別反射器18の焦点に太陽放射線を集光する、平坦な上側及び下側のフレネルの形状を有する。
【0038】
図5~
図10を参照すると、識別反射器18は、集中した太陽放射線を対応する放射線吸収サイドチャンバ17に向けて投影する、それぞれ、逆V字形のアーチ状、湾曲した凹状、又は同様の断面を有する、少なくとも2つの反射面51を備える。
【0039】
逆アーチ状のV字の頂点は、太陽の位置が一次集光レンズ12に対して法線/垂直に位置する場合、一次集光レンズ12の焦点に対応する。識別反射器18の反射面51は、それぞれ、凹面、放物面、又は楕円面などの、アーチ状平面断面を有する。
【0040】
識別反射器18は、(フレネルレンズではない)非球面レンズ、パラボラ回転鏡、又はフレネルゾーンプレートなどである。
【0041】
太陽位置追跡装置11は、液体又は気体などのタイプの作動流体を含む2つずつ対向する、少なくとも2つの放射線吸収サイドチャンバ17を更に備える。したがって、放射線吸収サイドチャンバ17内部の相対圧力の変化に応じて、追跡装置11の位置決めが自動的に変更される。
【0042】
放射線吸収サイドチャンバ17内部の圧力上昇は、可撓性チューブを介して、対応する放射線吸収サイドチャンバ17からアクチュエータピストン21に伝送され、太陽の位置と協調して追跡装置11の回転運動をリアルタイムでガイドする。
【0043】
このようにして、追跡装置11の東西又は南北の回転運動の完全な同期が達成され、それにより、追跡装置11は、太陽の位置に応じて自動的に向きを変える。
【0044】
西側の吸収サイドチャンバ17の圧力は、東西のアクチュエータピストンの東側に連動しており、アクチュエータピストン21の東側の圧力の増加に伴い、東西のアクチュエータピストン21を西に押して、アクチュエータピストン21の回転コンポーネントが時計回りに回転し、追跡装置11が東に回転する。
【0045】
したがって、アクチュエータピストン21の東側又は西側の圧力変化は、東西軸に沿った太陽の位置のリアルタイム追跡を提供する。
【0046】
同様の追跡機構が南北季節運動において発生し、日ごとの東西運動について説明した東西のアクチュエータピストン21と全く同じ方法で、南北の放射線吸収サイドチャンバ及び南北のアクチュエータピストン21に介在する。
【0047】
図3及び
図11を参照すると、放射線吸収サイドチャンバ17は、放射線吸収サイドチャンバ17と、圧力増加を回転運動に変換するための機械的装置を含む、対応するアクチュエータピストン21との間に接続された圧力連通線を含む、シリンダ型の細長い管状構造を有する、閉じた中空の本体である。
【0048】
放射線吸収サイドチャンバ17は、対応するアーチ状の反射傾斜側面16に、吊るされた状態でかつ平行に機械的に連結されている。それは、反射傾斜側面16と円錐台形状の平行六面体ハウジングの対称軸線との間に位置する。
【0049】
次に、作動流体は、直射太陽放射線及び/又は平行六面体の円錐台形状のハウジングの内面によって反射された放射線によって、放射線吸収サイドチャンバ17自体の内圧を増大させるために高温に加熱される。
【0050】
それによって、円錐台形状の平行六面体ハウジング14のアーチ状の反射傾斜側面16は、放射線を反射するためにアーチ状の反射傾斜側面16と平行に且つ所定の距離を置いて配置された、対応する放射線吸収サイドチャンバ17に向かって、受けた太陽放射線を反射する。それぞれの吸収サイドチャンバ17におけるこの衝撃により、吸収サイドチャンバ17が加熱され、その結果、追跡装置11の回転軸に向かって伝達される圧力による体積膨張を生じさせ、リアルタイムでの回転運動を提供し、太陽の位置に応じて最も適切な方向を探索するように、放射線吸収サイドチャンバ17の内圧の機能を提供する。
【0051】
側部チューブ状放射線吸収チャンバは、基点にしたがって東西及び南北の軸上に十字形に配置され、同じ追跡装置11内にあってもよく、或いは、第1の追跡装置11が東西移動を実行し、第2の追跡装置11が南北移動を実行して、太陽の位置を追跡する、2つの追跡装置11内にあってもよい。
【0052】
放射線吸収サイドチャンバ17は、作動流体をハウジングするように適合されたガラス又は他の透明材料で作られる。
【0053】
薄い同心円状の環状チューブ41が、放射線吸収サイドチャンバ1の内側に設けられている。チューブ41は、金属などの材料とされ、入射する太陽放射線がサイドチャンバ17の透明な壁を通過し、作動流体を直接加熱する金属チューブ41に吸収されるように暗い色にされる。
【0054】
ガラス又は他の透明材料を有する構成は、温室効果を提供し、それにより、放射線による室内エネルギー損失を限定するために、太陽放射線の波長を区別することができる。
【0055】
あるいは、薄いチューブ41は、識別反射器18に面するチューブ41の底端部に配置された斜めの穴42を特徴としており、これにより、同じ識別反射器18によって反射された放射線が斜めの穴42を通って薄いチューブ41に入り込み、これにより、薄いチューブ41の内側部分で加熱が生じる。
【0056】
薄いチューブ41は、比較的高い反射率を有する、被覆されていない下部を有し、これにより、下部に入射する太陽放射線が、より散乱されるように薄いチューブ41の上部に追加的に反射され、太陽放射線の拡散を増加させ、より均質な加熱を生じさせる。
【0057】
ここで
図6及び
図7を参照すると、太陽位置追跡装置11が、異なる入射角で直進する太陽放射線とともに示され、集中した入射太陽放射線の精密な違いが軸上の状態でどのように生じるかが詳細に示され、このため、集中した太陽放射線が、それぞれ東及び西の基点にしたがって配置された2つの放射線吸収サイドチャンバ17に太陽放射線を反射する、区別反射器18の頂点である焦点に落ち、太陽放射線の等しい部分は、互いに反対側に配置された放射線吸収サイドチャンバ17のいずれかに向けられる。
【0058】
しかしながら、追跡装置11は、
図6のような軸外の状態で、太陽との位置ずれをしていてもよい。ここでは、垂直と太陽の位置との間に5°の角度で位置ずれが示されており、集中した入射太陽放射線の焦点が識別反射器18の反射面51のうちの1つに位置し、これにより、上記の反射面51は集中入射太陽放射線の全てを、対応する放射線吸収サイドチャンバ17に向ける。例えば、西の放射線吸収サイドチャンバ17は動作可能であり、東の放射線吸収サイドチャンバ17はアイドル状態である。
【0059】
要するに、太陽が移動すると、放射線吸収サイドチャンバ17の温度の変化の結果として、吸収サイドチャンバ17に反射される放射線が増加し、反対側の放射線吸収サイドチャンバ17が受ける反射放射線が減少する。作動流体の温度の変化は、太陽の位置の非常に小さな変化で起こり、これにより、迅速、正確かつ強力に太陽の位置のリアルタイムでの追跡が可能になる。
【0060】
あるいは、識別反射器18は、太陽放射線の一部が同じスロット52を通過可能な貫通スロット52を有し、それにより、入射太陽放射線の残りが、太陽の位置に基づいて、対応する吸収サイドチャンバ17に向けられる。
【0061】
貫通スロット52の物理的寸法に応じて、かつ、一次上側レンズ12によって生成される焦点又は焦線の寸法に応じて、何パーセンテージのエネルギーがそれぞれの放射線吸収サイドチャンバ17に向けられるか、又は貫通スロット52を貫通するかを調節することが完全に可能であり、このため、太陽の位置を追跡する動作中の追跡装置11の回転運動の挙動及び進展を調節する。
【0062】
貫通スロット52は、異なる形状、例えば、それにより、より小さな寸法、幅が一次レンズ12によって生成される焦点によって交差するように配置された細長い形状とされる。
【0063】
貫通スロット52の下方には、追跡装置11が軸位置に対して法線/垂直位置にあるときに、熱エネルギーを発生させるために、下側熱レシーバ型の下側レシーバ71が設けられている。例えば、下側熱レシーバ71の内側を循環する液体流体が、清浄水のため、或いは別の目的のために加熱される。
【0064】
あるいは、下側光起電性セルが、貫通スロット52の下方に配置されて、電気エネルギーを生成する。
【0065】
下側受取放射線コレクタ71は、識別反射器18が吸収サイドチャンバ17に反射させない太陽放射線を受け取る。
【0066】
ここで
図9及び
図10を参照すると、識別反射器18は十字形に配置された逆アーチ状V字の形状の4つの反射面51を備え、この反射面は、集中した入射太陽放射線を、東西及び南北の2つの軸に沿って回転可能な、単一の追跡装置11の平行六面体ハウジング14内に十字形に配置された4つの放射線吸収サイドチャンバ17のうちの1つに投影する。
【0067】
したがって、識別反射器18は、少なくとも4つの湾曲した反射面51に分割され、集中太陽放射線を4つの対応する放射線吸収サイドチャンバ17のうちの1つに向けて、作動流体の膨張を生じさせ、これにより、2つのサイドチャンバ17内の圧力が増加し、作動ピストン21の対応する端部に伝達されて、2つの東西軸及び南北軸に沿った回転をトリガする。
【0068】
軸に沿った回転は、作動流体の圧力上昇及び/又は体積膨張の結果として、いずれかの吸収サイドチャンバ、つまり、東又は西チャンバ、及び北又は南チャンバにおいて生じる。
【0069】
追跡装置11は、吸収サイドチャンバによって提供される回転運動に反する戻り力を提供する機構を含むようにされ、この機構は、ばね、カウンタウェイト、又は加圧シリンダなどのコンポーネントである。このため、識別反射器18には、非活性な反射面111が存在しない。言い換えれば、識別反射器18は、平行六面体ハウジングの非活性な部分である下端の全領域にわたって物理的に延在していない。
【0070】
したがって、反射面111を有さない識別反射器18の部分では、より大きな寸法を有する下側放射線コレクタ71が配置されて、集中した太陽放射線を、この領域に対応するすべての角度について熱又は電気エネルギーに変換することができる。
【0071】
図12、
図13、
図14及び
図15を参照すると、正面斜視図にて、光起電性及び/又は熱エネルギーを使用するための複数の装置の向きをリアルタイムでガイドする太陽集光を追跡する太陽位置追跡装置11が示されている。
図13は、同じ装置及び構成の後方斜視図を示す。
【0072】
図12及び
図13は、システムが北半球に設置されていると仮定した、基点による方向を示している。南半球での使用のためには、この組み立ては、北を指すように180°回転させられる。
【0073】
剛性の垂直フレーム141が床に固定され、東西軸の周りを回転する複数のスイベルフレーム142の組み立てを可能にするスイベルジョイントが取り付けられている。
【0074】
それぞれの回転フレーム141には、光起電性及び/又は熱エネルギーを使用する追跡コンポーネントの移動をガイドする牽引ユニットである、複数の追跡装置11の設置を可能にするスイベルジョイントが取り付けられる。
【0075】
剛性のバーは、いくつかのエネルギー収集追跡コンポーネントを追跡装置11と機械的に連結し、同時に回転するようにする。このようにして、追跡装置11の回転は、自動的にエネルギー収集コンポーネントに伝達される。
【0076】
2軸追跡装置11の動作は、2つの回転システムに連結されていることを除いて、同様である。第1の軸は、単軸牽引ユニットにおいてと同様に、スイベルフレームに対して東西方向の移動を引き起こし、第2の軸は、スイベルフレームの南北方向の回転を提供する。すべてのスイベルフレームは、エネルギー収集コンポーネントに両軸上の回転を提供する機械的ジョイントによって連結される。
【0077】
図13は、光起電性及び/又は熱エネルギーの配置の向きをガイドする、太陽集光追跡装置11の後方斜視図を示しており、少なくとも1つの集光追跡装置11が回転可能なフレーム上に配置された複数のエネルギー収集コンポーネントと組み合わされており、この配置が、エネルギー収集コンポーネントの光軸が天頂に近づく又は遠ざかるように、仰角方向に回転するようにされる。
【0078】
スイベルフレームは、スイベルフレーム142が方位角方向に回転可能なように、単一のポスト又は台座のような固定フレーム141上に取り付けられる。この回転を引き起こすために、第2の機械的ツールが提供される。
【0079】
一次アクチュエータピストン21と回転コンポーネントとの間の連通は、回転コンポーネントに嵌合された歯付き円形ピニオンと係合する一次アクチュエータピストン21に長手方向のラックを生成するケーブルによって実行され得る。
【0080】
図3を参照すると、可撓性エラストマ膜又はダイヤフラム31は、アクチュエータピストン21の両端に配置されており、これにより、アクチュエータピストン21上の圧力スラストが、膜31を折り畳み及び展開することによって、並びにピストンシリンダライナー上のアクチュエータピストン21の摩擦をトリガすることによって、滑らかで、漸進的かつ正確な方法で生じる。
【0081】
集光器追跡装置11は、地平線を等分する4つの基点にしたがって配置されており、このため、平行六面体ハウジング14の各側面16が直接基点を向き、平行六面体筒ハウジング14の側面16が北側の側面、東側の側面、南側の側面、西側の側面として識別されるようになっている。
【0082】
したがって、放射線吸収サイドチャンバ17は、それぞれ東、西、北及び南の傾斜したアーチ状の側面16の中心に近接して配置されている。