(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】絶縁接着フィルム及びその製造方法、多層プリント配線板
(51)【国際特許分類】
C09J 7/30 20180101AFI20220927BHJP
C08G 59/62 20060101ALI20220927BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20220927BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20220927BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220927BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220927BHJP
C09J 161/20 20060101ALI20220927BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
C09J7/30
C08G59/62
C09J163/00
C09J167/00
C09J11/06
C09J11/04
C09J161/20
H05K3/46 T
(21)【出願番号】P 2020567138
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2019106789
(87)【国際公開番号】W WO2021042418
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-12-01
(31)【優先権主張番号】201910838331.5
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512200343
【氏名又は名称】深▲セン▼市柳▲キン▼実業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 岳山
(72)【発明者】
【氏名】劉 飛
(72)【発明者】
【氏名】賀 ▲チオン▼
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109135647(CN,A)
【文献】特開昭60-149679(JP,A)
【文献】特開昭60-032874(JP,A)
【文献】特開昭61-120876(JP,A)
【文献】特開昭61-195115(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101538397(CN,A)
【文献】特開2017-186519(JP,A)
【文献】特開2017-205902(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105838272(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107779154(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105199649(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104178044(CN,A)
【文献】国際公開第2006/045662(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00ー201/10
C08G 59/62
H05K 3/46
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型フィルムと、前記離型フィルムの表面に設置された絶縁材層とを含む、前記絶縁材層の材料が、飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート、エポキシ樹脂、
非イソシアネート硬化剤、無機充填剤、
および硬化促進剤を含む、ことを特徴とする絶縁接着フィルム
であって、
前記飽和ポリエステル樹脂の相対分子量が8000~30000であって、その下記式
(1);
【化1】
(式中、nが1-100であり、R1、R2はそれぞれ炭素原子数20個未満のアルキル基、フェニル基、ナフチル基またはそれらの組み合わせから選択される。)で表される、ことを特徴とする絶縁接着フィルム。
【請求項2】
飽和ポリエステル樹脂5-30重量部、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート0.5-3重量部、エポキシ樹脂45-75重量部、硬化剤1-25重量部、無機充填剤1-100重量部、硬化促進剤0.1-5重量部配合する、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁接着フィルム。
【請求項3】
前記アミノ樹脂がメラミンまたはベンゾグアナミンとホルムアルデヒド及び有機アルコールの縮合重合により形成される樹脂である、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁接着フィルム。
【請求項4】
前記ブロック型イソシアネートがフェノールをブロック剤としてのHDI、MDI、TDI、PDIのうち一種類または多種類であり;あるいは、前記ブロック型イソシアネートはカプロラクタムをブロック剤としてのHDI、MDI、TDI、PDIのうち一種類または多種類である、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁接着フィルム。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂がビスフェノ-ルAエポキシ樹脂、ビスフェノ-ルFエポキシ樹脂、DCPDエポキシ樹脂、トリフェノ-ルエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、ナフト-ルエポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂のうち一種類または多種類である、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁接着フィルム。
【請求項6】
前記硬化剤がジシアンジアミド、芳香族アミン、フェノール化合物、活性エステル化合物、リン含有フェノールアルデヒドのうち一種類または多種類である、ことを特徴とする、請求項1に記載の絶縁接着フィルム。
【請求項7】
前記離型フィルムの厚さが10-100μmであり、前記絶縁材層の厚さが10-200μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁接着フィルム。
【請求項8】
アミノ樹脂またはブロック型イソシアネートを飽和ポリエステル樹脂溶液に加え、混合することにより第1接着剤溶液を得る工程と、
前記第1接着剤溶液にエポキシ樹脂と硬化剤を加え、混合することにより第2接着剤溶液を得る工程と、
前記第2接着剤溶液に無機充填剤と硬化促進剤を加え、混合することにより第3接着剤溶液を得る工程と、
前記第3接着剤溶液を離型フィルム上に塗布して硬化処理を行い、前記絶縁接着フィルムを得る工程と、を含む、ことを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の前記絶縁接着フィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の前記絶縁接着フィルムを含む、ことを特徴とする多層プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高密度多層配線板封止材料の分野に関し、特に絶縁接着フィルム及びその製造方法、多層プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能の急速な発展に伴い、電化製品も徐々に薄型化、高密度化の方向に進んでいる。高密度多層配線板を普通に携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコンなどの携帯用の電化製品の封止基板として使用し、IC(集積回路)の封止基板としてコア基板からより一層薄いコアレス基板へ進化しており、高密度多層配線板の改良も研究のホットスポットとなっている。
【0003】
高密度多層配線板とは絶縁基板、従来の両面基板または多層基板の上に、銅めっき及び電気銅めっきの加工でガラス繊維補強絶縁材に電線ワイヤ及び貫通孔を形成し、繰り返して、必要な層数まで累積するより多層プリント配線板を作成する。従来の多層配線板の製造工程は銅張積層板の表面にある銅箔の一部を選択的に除去して導電パターンを得ることで、この方法の工程数が多い、管理の困難性及び高コストという問題がある。
【0004】
多層配線板に対して、一般に線幅/線間隔が40ミクロン未満になると回線の品質を保証することができない。しかし半導体チップキャリアの線幅/線間隔は一般に15ミクロン未満である。現在の解決策としてセミアディティブ法(SAP)またはモディファイドセミアディティブ工法(MSAP)しかないので、これは現在において最も先進的なHDI(高密度相互接続多層配線板)の製造技術である。セミアディティブ工法という技術の要点として層間材料-絶縁膜材料は、すなわち日本の味の素株式会社の製品ABF/GXであり、その製品は主にエポキシ硬化剤及び熱可塑性のフェノキシ樹脂により成膜する。一定の厚さのPET担持膜に一定の厚さの接着剤を塗布した後、赤外線加熱または熱風で溶剤を乾燥させて粘性のある薄膜を得る、しかしフェノキシ樹脂はフェノールでエポキシの鎖を延長されるより形成するので、大量のアルコール性ヒドロキシル基が絶縁材の誘電特性に与える影響が深刻であるので、高周波・高速分野の応用が制限されている。
【0005】
中国特許第ZL201810631718.9号にウレタンアクリレートメタクリレート樹脂、メタクリル酸ヒドロキシエチルの光硬化をエポキシ樹脂の成膜成分として、脂肪族エポキシを本体として無溶媒糊塗布方法で絶縁材フィルムを製造することが記載されているが、無溶媒糊塗布方法は配合設計に適しておらず、またこの技術で作成製造した絶縁材フィルムの難燃性が悪い、熱膨張しやすいという問題がある。
【0006】
ABF(絶縁材)フィルム材料として低表面粗さ、低熱膨張率、低誘電損因子および高いガラス転移温度等の特性を要求し、現在中国において実現されていない、従って中国においてABFフィルム材料は常に輸入に依存しており、これにより多層配線板のコストを大幅に増加させて、中国の配線板産業の健全な発展に及ぼす不利な影響は極めて大きい。したがって、現存技術の改善の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許第ZL201810631718.9号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の現有技術における欠点を鑑み、本発明の目的は絶縁接着フィルム及びその製造方法、多層プリント配線板を提供するにより、現有の絶縁接着フィルムにおける低柔軟性、高誘電率と誘電損率、および熱膨張しやすいという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術方案は以下に示す。絶縁接着フィルムは、すなわち、離型フィルムと、離型フィルム表面に設置された絶縁材層を含む、前記絶縁材層の材料は、飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、硬化促進剤を含む。
【0010】
前記絶縁接着フィルムは、そのうち、飽和ポリエステル樹脂5-30重量部、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート0.5-3重量部、エポキシ樹脂45-75重量部、硬化剤1-25重量部、無機充填剤1-100重量部、硬化促進剤0.1-5重量部を配合する。
【0011】
前記絶縁接着フィルムは、そのうち、前記飽和ポリエステル樹脂の化学構造式が下記一般式で表される:
【0012】
【化1】
式中、nが1-100であり、R1、R2はそれぞれ炭素原子数20個未満のアルキル基、フェニル基、ナフチル基またはそれらの組み合わせから選択される。
【0013】
前記絶縁接着フィルムは、そのうち、前記アミノ樹脂がメラミンまたはベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとを有機アルコールの縮合重合により形成された樹脂である。
【0014】
前記絶縁接着フィルムに、そのうち、前記ブロック型イソシアネートはフェノールをブロック剤としてのHDI、MDI、TDI、PDIのうち一種類または多種類であり;あるいは、前記ブロック型イソシアネートはカプロラクタムをブロック剤としてのHDI、MDI、TDI、PDIのうち一種類または多種類である。
【0015】
前記絶縁接着フィルムに、そのうち、前記エポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DCPDエポキシ樹脂、トリフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂及びリン含有エポキシ樹脂のうち一種類または多種類である。
【0016】
前記絶縁接着フィルムに、そのうち、前記硬化剤はジシアンジアミド、芳香族アミン、フェノール化合物、活性エステル化合物、リン含有フェノールアルデヒドのうち一種類または多種類である。
【0017】
前記絶縁接着フィルムに、そのうち、前記離型フィルムの厚さが10-100μmであり、前記絶縁材層の厚さが10-200μmである。
【0018】
前記絶縁接着フィルムの製造方法について、そのうち、下記工程を含む:
アミノ樹脂またはブロック型イソシアネートを飽和ポリエステル樹脂溶液に加え、混合することにより第1接着剤溶液を得る工程と;
前記第1接着剤溶液にエポキシ樹脂と硬化剤を加え、混合することにより第2接着剤溶液を得る工程と;
前記第2接着剤溶液に無機充填剤と硬化促進剤を加え、混合することにより第3接着剤溶液を得る工程と;
前記第3接着剤溶液を離型フィルム上に塗布して硬化処理を行い、前記絶縁接着フィルムを得る工程と、を含む。
【0019】
多層プリント配線板は、そのうち、本発明に係る前記絶縁接着フィルムを含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば離型フィルム及び離型フィルム表面に設置された絶縁材層を含む絶縁接着フィルムを提供し、前記絶縁材層の材料に飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、硬化促進剤を含む。本発明においてエポキシ樹脂組成物に飽和ポリエステル樹脂成分を導入することにより、製造した絶縁接着フィルムは低誘電率、低誘電損率及び強粘着力等の利点を与える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明に係る絶縁接着フィルムの製造方法について好ましい実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に開示した絶縁接着フィルム及びその製造方法、多層プリント配線板について、本発明の目的、技術手段及び効果をよりはっきりと明確にするため、以下に詳しく説明する。理解されるべきは、ここに示す具体的な実施例は単に本発明について説明するために用いるものであり、本発明を限定するために用いないことである。
【0023】
本発明の実施例において、離型フィルム及び離型フィルム表面に設置された絶縁材層を含む絶縁接着フィルムを提供し、前記絶縁材層の材料に飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、硬化促進剤を含む。
【0024】
具体的には、従来技術では熱可塑性フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との混合により絶縁材フィルムを製造する方法を一般的使用し、しかしフェノキシ樹脂はフェノールでエポキシの鎖を延長されるより形成するので、大量のアルコール性ヒドロキシル基があり、前記アルコール性ヒドロキシル基の強い極性が絶縁材の誘電特性に影響を与える。本実施例ではエポキシ樹脂に飽和ポリエステル樹脂成分を導入し、前記飽和ポリエステル樹脂は多価アルコールと多塩基酸を重合反応によって合成され、前記飽和ポリエステル樹脂が末端のみヒドロキシル基を有し、分子鎖に極性を持つヒドロキシル基を含まないため、前記飽和ポリエステル樹脂の極性は比較的弱い前記飽和ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との混合により形成した絶縁接着フィルムの誘電率及び誘電損率が低い、これにより優れた誘電特性を有する;同時に、本実施例ではさらにエポキシ樹脂にアミノ樹脂またはブロック型イソシアネートを導入し、前記アミノ樹脂またはブロック型イソシアネートと飽和ポリエステル樹脂との架橋反応が起こすことにより、飽和ポリエステル樹脂両端のヒドロキシル基を除去することができる一方で、飽和ポリエステル樹脂の極性が弱くなり、誘電特性が改善することができ、さらに飽和ポリエステル樹脂の分子量が増加し、成膜効果を改善することができる。
【0025】
一部の実施態様において、絶縁材層の加工性および最終的な耐熱性、接着性および誘電特性等を総合的に考慮し、好ましい実施例において飽和ポリエステル樹脂5-30重量部、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート0.5-3重量部、エポキシ樹脂45-75重量部、硬化剤1-25重量部、無機充填剤1-100重量部及び硬化促進剤0.1-5重量部、本実施例の配合に基づく製造された絶縁材層は優れた誘電特性を有する。
【0026】
一部の実施態様において、前記飽和ポリエステル樹脂の化学構造式下記一般式で表される:
【0027】
【化1】
式中、nが1-100であり、R1、R2はそれぞれ炭素原子数20個未満のアルキル基、フェニル基、ナフチル基またはそれらの組み合わせから選択される。本実施例に開示した飽和ポリエステル樹脂は優れた成膜特性を有し、前記飽和ポリエステル樹脂に含むヒドロキシル基の量が少ない、極性が比較的弱い、前記飽和ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート、硬化剤、無機充填剤及び硬化促進剤との混合により得た絶縁材層の誘電率と誘電損率が低い。
【0028】
一部の実施態様において、前記飽和ポリエステル樹脂の相対分子量は8000-30000である。前記飽和ポリエステル樹脂の相対分子量が8000未満になれば、成膜性に不利な影響を与える、前記飽和ポリエステル樹脂の相対分子量が30000より大きくなれば、分子量が大きすぎて、溶解性が低くなりすぎ、エポキシ樹脂との混合により成膜することに不利な影響を与える。
【0029】
一部の実施態様において、前記アミノ樹脂はメラミンまたはベンゾグアナミンとホルムアルデヒド及び有機アルコールを重合反応によって合成された樹脂である。本実施例において、アミノ樹脂は多官能性ポリマーであって、架橋剤として末端にヒドロキシル基を有する飽和ポリエステル樹脂と架橋反応が起こすことができ、それによって飽和ポリエステル樹脂の分子量を増加し、かつ当該飽和ポリエステル樹脂の極性を減少し、絶縁材層の誘電特性を改善した。
【0030】
一部の実施態様において、前記ブロック型イソシアネートはフェノールブロック型のHDI、MDI、TDI、PDIのうちのいずれか1つまたは複数であるが、これらに限らない。本実施例において、当該ブロック型イソシアネートは同様に架橋剤として末端にヒドロキシル基を含む飽和ポリエステル樹脂と架橋反応を発生することができ、それにより飽和ポリエステル樹脂の分子量を増加させ、かつ当該飽和ポリエステル樹脂の極性を低下させるとともに、絶縁材層の誘電特性を強化する。
【0031】
一部の実施態様において、前記ブロック型イソシアネートはカプロラクタムブロック型のHDI、MDI、TDI、PDIのうち一種類または多種類であるが、これらに限らない。
【0032】
一部の実施態様において、前記エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、DCPDエポキシ樹脂、トリフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、ナフトールエポキシ樹脂及びリン含有エポキシ樹脂のうち一種類または多種類が好ましいが、これらに限らない。最良と考えている実施態様において、前記エポキシ樹脂はリン含有エポキシ樹脂であり、前記リン含有エポキシ樹脂中のリン含有量は2-5%であり、エポキシ当量が200-600g/molである。
【0033】
一部の実施態様において、前記硬化剤はジシアンジアミド、芳香族アミン、フェノール化合物、活性エステル化合物及びリン含有フェノールアルデヒドのうち一種類または多種類が好ましいが、これらに限らない。
【0034】
一部の実施態様において、前記硬化促進剤は2-メチルイミダゾ-ル、2-エチル-4メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、DMP-30、ピリジンおよびp-トルエンスルホン酸のうち一種類または多種類が好ましいが、これらに限らない。
【0035】
一部の実施態様において、前記無機充填剤は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、沸石、珪灰石、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、粘土、滑石及び雲母のうち一種類または多種類が好ましいが、これらに限らない。本実施例において、前記無機充填剤の量は使用目的に応じて適宜調整することができる。好ましい実施態様において、前記絶縁材層材料に無機充填剤25-100重量部である。
【0036】
一部の実施態様において、前記離型フィルムの厚さは10-100μmであり、前記絶縁材層の厚さは10-200μmである。
【0037】
一部の実施態様において、さらに絶縁接着フィルムの製造方法を開示し、そのうち、
図1に示すように、下記工程を含む:
S10、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネートを飽和ポリエステル樹脂溶液中に加え、混合することにより第1接着剤溶液を得る工程と;
S20、前記第1接着剤溶液中にエポキシ樹脂と硬化剤を加え、混合することにより第2接着剤溶液を得る工程と;
S30、前記第2接着剤溶液中に無機充填剤と硬化促進剤を加え、混合することにより第3接着剤溶液を得る工程と;
S40、前記第3接着剤溶液を離型フィルム上に塗布して硬化処理を行い、前記絶縁接着フィルムを得る工程と、を含む。
【0038】
一部の実施態様において、前記飽和ポリエステル樹脂溶液に有機溶媒及び前記有機溶媒中に分散された飽和ポリエステル樹脂を含み、前記有機溶媒はメチルエチルケトンとシクロヘキサノンのうち一種類または二種類が好ましい。
【0039】
一部の実施態様において、直接加熱または熱風加熱の方式で離型フィルム上に塗布した第3接着剤溶液の硬化処理を行い、前記第3接着剤溶液に用いて絶縁材層を形成する。直接加熱の方式で前記第3接着剤溶液の硬化処理を行うとき、加熱温度は第3接着剤溶液の溶媒の沸点に基づいて設定し、その設定した加熱温度は80-130℃であり、加熱時間は5-20分であることが好ましい。
【0040】
一部の実施態様において、さらに多層プリント配線板を開示し、それに前記絶縁接着フィルムを含む。
【0041】
具体的には、前記絶縁接着フィルムと配線層を持つPCB基板を80-130℃、0.1-1MPaの条件で接着した後、真空熱圧縮機を用いて押圧し、押圧の温度が150-200℃で、硬化時間が30-90分で、圧力が0.5-4MPaで押圧することにより、多層プリント配線板を得る。
【0042】
以下の実施例を用いて本発明について詳細に説明する。
【実施例1】
【0043】
DYNAPOL LH826-05A(ドイツDegussaの商品名、飽和ポリエステル樹脂)20重量部を、イソホロン溶媒に溶かし、室温または中温条件下で完全に溶解した後にHMMM(ヘキサメトキシメチルメラミン)1重量部を加え、一定時間の撹拌をした後待機溶液を得た;NPEL-128(二官能エポキシ樹脂、南亜塑膠工業有限公司の商品名)30重量部、XZ92530リン含有エポキシ樹脂35重量部をさらに加えて、均一的に分散させるまで撹拌し、硬化剤ジシアンジアミド2.5重量部をDMF溶媒に溶けた後上述の接着剤溶液に加え、球状シリカ50重量部を上述の接着剤溶液に加え、十分に分散するまで撹拌し、最後に少量な硬化促進剤2-エチル-4メチルイミダゾールとBYK450を入れて、均一的に分散させるまで撹拌した後使用するまで置いておく。300×300cm、平坦で清潔な表面を有する、厚さ38μmのPET離型フィルムを用意し、離型フィルムの片面に上述の接着剤溶液を均一に塗布し、120℃のオーブンで7分間ベーキングして接着シートを得る。2枚の絶縁フィルムを重ね合わせ、真空ホットプレスに入れ170℃で60分間硬化させ、サンプル基板を得る。
【実施例2】
【0044】
DYNAPOL L411 20重量部を、イソホロン溶媒に溶かし、室温または中温条件下で完全に溶解した後にHMMM 1重量部を加え、一定時間の撹拌をした後待機溶液を得た;NPEL-128二官能エポキシ樹脂30重量部、XZ92530リン含有エポキシ樹脂35重量部をさらに加えて、均一的に分散させるまで撹拌し、硬化剤ジシアンジアミド2.5重量部をDMF溶媒に溶けた後上述の接着剤溶液に加え、球状シリカ50重量部を上述の接着剤溶液に加え、十分に分散するまで撹拌し、最後に少量の硬化促進剤2-エチル-4メチルイミダゾールとBYK450を入れて、均一的に分散させるまで撹拌した後使用するまで置いておく。300×300cm、平坦で清潔な表面を有する、厚さ38μmのPET離型フィルムを用意し、離型フィルムの片面に上述の接着剤溶液を均一に塗布し、120℃のオーブンで7分間ベーキングして接着シートを得る。2枚の絶縁フィルムを重ね合わせ、真空ホットプレスに入れ170℃で60分間硬化させ、サンプル基板を得る。
【実施例3】
【0045】
DYNAPOL L411 20重量部を、イソホロン溶媒に溶かし、室温または中温条件下で完全に溶解した後にDesmodur RL1265 1重量部を加え、一定時間の撹拌をした後待機溶液を得た;NPEL-128二官能エポキシ樹脂30重量部、XZ92530リン含有エポキシ樹脂35重量部をさらに加えて、均一的に分散させるまで撹拌し、硬化剤ジシアンジアミド2.5重量部をDMF溶媒に溶けた後上述の接着剤溶液に加え、球状シリカ50重量部を上述の接着剤溶液に加え、十分に分散するまで撹拌し、最後に少量な硬化促進剤2-エチル-4メチルイミダゾールを入れて、均一的に分散させるまで撹拌した後使用するまで置いておく。300×300cm、平坦で清潔な表面を有する、厚さ38μmのPET離型フィルムを用意し、離型フィルムの片面に上述の接着剤溶液を均一に塗布し、120℃のオ-ブンで7分間ベーキングして接着シートを得る。2枚の絶縁フィルムを重ね合わせ、真空ホットプレスに入れ170℃で60分間硬化させ、サンプル基板を得る。
【実施例4】
【0046】
DYNAPOL L411 20重量部を、イソホロン溶媒に溶かし、室温または中温条件下で完全に溶解した後にHMMM 1重量部を加え、一定時間の撹拌をした後待機溶液を得た;NPEL-128二官能エポキシ樹脂30重量部、YEP250リン含有エポキシ樹脂35重量部をさらに加えて、均一的に分散させるまで撹拌し、硬化剤ジシアンジアミド1.5重量部、DDS 3重量部をDMF溶媒に溶けた後上述の接着剤溶液に加え、球状シリカ50重量部を上述の接着剤溶液に加え、十分に分散するまで撹拌し、最後に少量な硬化促進剤2-エチル-4メチルイミダゾール、三フッ化ホウ素モノエチルアミンとBYK450を入れて、均一的に分散させるまで撹拌した後使用するまで置いておく。300×300cm、平坦で清潔な表面を有する、厚さ38μmのPET離型フィルムを用意し、離型フィルムの片面に上述の接着剤溶液を均一に塗布し、120℃のオ-ブンで7分間ベーキングして接着シートを得る。2枚の絶縁フィルムを重ね合わせ、真空ホットプレスに入れ180℃で60分間硬化させ、サンプル基板を得る。
【実施例5】
【0047】
DYNAPOL L411 20重量部を、イソホロン溶媒に溶かし、室温または中温条件下で完全に溶解した後にHMMM 1重量部を加え、一定時間の撹拌をした後待機溶液を得た;NPEL-128二官能エポキシ樹脂30重量部、YEP250リン含有エポキシ樹脂35重量部をさらに加えて、均一的に分散させるまで撹拌し、硬化剤LA-7052 1.5重量部、DDS 3重量部をPM溶媒に溶けた後上述の接着剤溶液に加え、球状シリカ50重量部を上述の接着剤溶液に加え、十分に分散するまで撹拌し、最後に少量な硬化促進剤2-エチル-4メチルイミダゾール、三フッ化ホウ素モノエチルアミンとBYK450を入れて、均一的に分散させるまで撹拌した後使用するまで置いておく。300×300cm、平坦で清潔な表面を有する、厚さ38μmのPET離型フィルムを用意し、離型フィルムの片面に上述の接着剤溶液を均一に塗布し、120℃のオ-ブンで7分間ベーキングして接着シートを得る。2枚の絶縁フィルムを重ね合わせ、真空ホットプレスに入れ180℃で60分間硬化させ、サンプル基板を得る。
(比較例)
YL6747H3020重量部と、NPEL-128二官能エポキシ樹脂30重量部と、XZ 92530リン含有エポキシ樹脂35重量部、を均一的に分散させるまで撹拌し、硬化剤ジシアンジアミド2.5重量部をDMF溶媒に溶けた後上述の接着剤溶液に加え、球状シリカ50重量部を上述の接着剤溶液に加えて、十分に分散するまで撹拌し、最後に少量な硬化促進剤2-エチル-4メチルイミダゾール入れて、均一的に分散させるまで撹拌した後使用するまで置いておく。300×300cm、平坦で清潔な表面を有する、厚さ38μmのPET離型フィルムを用意し、離型フィルムの片面に上述の接着剤溶液を均一に塗布し、120℃のオ-ブンで7分間ベーキングして接着シートを得る。2枚の絶縁フィルムを重ね合わせ、真空ホットプレスに入れ170℃で60分間硬化させ、サンプル基板を得る。
【0048】
上述の実施例1から実施例5及び比較例で作成したサンプル基板の性能試験を実施し、結果を表1に示す。
【0049】
【0050】
上述の評価試験の結果によると、実施例に記載された発明により提供する絶縁接着フィルムについて成膜性を保持する前提として誘電率、及び誘電損率を下げられ、同時にガラス転移温度を維持し、熱膨張係数が顕著に劣化せず、かつハロゲン含有量がJPCAハロゲンフリー規格要件の範囲内で難燃性試験UL94のV-0規格の規準まで達成できる。
【0051】
結論として、本発明により提供する絶縁接着フィルムは離型フィルムと及び離型フィルム表面に設置された絶縁材層を含み、前記絶縁材層の材料は、飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂またはブロック型イソシアネート、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤及び硬化促進剤を含む。本発明においてエポキシ樹脂組成物に飽和ポリエステル樹脂成分を導入することにより、製造した絶縁接着フィルムには柔軟性に優れるだけでなく、誘電率が低い、誘電損率が低い、熱膨張しにくい、かつ粘着力が強いという利点がある。
【0052】
理解されるべきは、本発明の応用は上述の実施例に限られず、当業者であれば、上述の説明に基づき改良または変更を加えることが可能であり、それらの改良と変更はすべて本発明の特許請求の範囲の保護範囲に含まれる。