(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】包被食品成形方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A21C 11/16 20060101AFI20220927BHJP
A21C 9/06 20060101ALI20220927BHJP
A23P 20/20 20160101ALI20220927BHJP
【FI】
A21C11/16 B
A21C9/06 A
A23P20/20
(21)【出願番号】P 2021027030
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390013941
【氏名又は名称】株式会社コバード
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 博紀
(72)【発明者】
【氏名】吹上 透
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-310141(JP,A)
【文献】特開2010-035489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 11/16
A21C 9/06
A23P 20/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシャッタ片を備えたシャッタ手段を動作させて生地玉の周囲にシャッタ片を当接させることで生地玉を所定位置に位置決めする位置決め工程と、前記生地玉の中心部分に向かって内材供給手段の先端部を進入させて
中心部分の生地を周辺部分に向かって拡がるように移動させて所定の厚さに形成されるとともに周辺部分に向かった生地が周囲に当接する前記シャッタ片によりせき止められて上方に盛り上がることで前記シャッタ片と
前記内材供給手段の先端部との間に前記生地玉の周辺部分を筒状に形成する予備形成工程と、前記内材供給手段の先端部から内材を吐出して前記生地玉の中心部分に充填する充填工程と、前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記内材を包み込むように前記生地玉の周辺部分を寄せ集めて封着する封着工程とを備えている包被食品成形方法。
【請求項2】
前記位置決め工程では、前記シャッタ手段として複数のシャッタ片からなる第一シャッタ及び第一シャッタの下方に設けられた複数のシャッタ片からなる第二シャッタを用い、第一シャッタを開いた状態とするとともに第二シャッタを閉じた状態として、第二シャッタのシャッタ片上に前記生地玉を載置して第一シャッタを閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる請求項1に記載の包被食品成形方法。
【請求項3】
前記位置決め工程では、前記シャッタ手段の下方に設けられた支持手段に前記生地玉を載置して前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる位置決め工程を備えている請求項1に記載の包被食品成形方法。
【請求項4】
複数のシャッタ片を開閉動作させるシャッタ手段と、先端部より内材を吐出して供給する内材供給手段と、
前記シャッタ手段及び前記内材供給手段を動作制御する制御手段とを備えている包被食品成形装置であって、
前記制御手段は、前記シャッタ手段を動作させて生地玉の周囲に前記シャッタ片を当接させることで生地玉を所定位置に位置決めする位置決め動作、生地玉の中心部分に向かって前記内材供給手段の先端部を進入させて
中心部分の生地を周辺部分に向かって拡がるように移動させて所定の厚さに形成されるとともに周辺部分に向かった生地が周囲に当接する前記シャッタ片によりせき止められて上方に盛り上がることで前記シャッタ手段のシャッタ片と前記内材供給手段の先端部との間に前記生地玉の周辺部分を筒状に形成する予備形成動作、前記内材供給手段の先端部から内材を吐出して前記生地玉の中心部分に充填する充填動作及び前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記内材を包み込むように前記生地玉の周辺部分を寄せ集めて封着する封着動作を行うように動作制御する包被食品成形装置。
【請求項5】
前記シャッタ手段は、複数のシャッタ片からなる第一シャッタ及び第一シャッタの下方に設けられた複数のシャッタ片からなる第二シャッタを備えており、前記制御手段は、前記第二シャッタに載置された前記生地玉に対して前記第一シャッタを閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる位置決め動作を行うように動作制御する請求項4に記載の包被食品成形装置。
【請求項6】
前記シャッタ手段の下方に設けられた支持手段を備えており、前記制御手段は、前記支持手段に前記生地玉を載置して前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる位置決め動作を行うように動作制御する請求項4に記載の包被食品成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン生地、饅頭生地等からなる生地玉を用いて内材を包み込むように成形する包被食品成形方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の外皮材上に内材を配置して、外皮材の周縁部をシャッタ手段により寄せ集めて内材を包み込むように封着成形する成形方法が実用化されており、多数の包被食品を安定して成形することが行われている。
【0003】
こうした成形方法では、生地玉を圧延ローラ等によりシート状に形成した外皮材を用いて成形を行っている。例えば、特許文献1では、生地玉を圧延ローラによりシート状に圧延した後型打ち機により整形した外皮材を用いて内材を包み込みようにした点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、生地玉を圧延処理して型打ち処理するようにしているため、生地がその影響を受けることは避けられず、例えば、パン生地では型打ち処理により成形処理後の成形品の発酵による膨らみに影響が生じるおそれがある。また、略円形状に拡げるようにシート状に形成した外皮材の周縁部を寄せ集めて封着するため、生地玉をいったん薄く延ばした後薄くなった生地を再度集めて厚みのある生地にまとめる処理しており、成形品の生地の厚さ調整が難しくなるといった課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、生地玉の状態で包被成形することで生地への成形による影響を少なくして所望の形状に成形することができる包被食品の成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包被食品成形方法は、複数のシャッタ片を備えたシャッタ手段を動作させて生地玉の周囲にシャッタ片を当接させることで生地玉を所定位置に位置決めする位置決め工程と、前記生地玉の中心部分に向かって内材供給手段の先端部を進入させて中心部分の生地を周辺部分に向かって拡がるように移動させて所定の厚さに形成されるとともに周辺部分に向かった生地が周囲に当接する前記シャッタ片によりせき止められて上方に盛り上がることで前記シャッタ片と前記内材供給手段の先端部との間に前記生地玉の周辺部分を筒状に形成する予備形成工程と、前記内材供給手段の先端部から内材を吐出して前記生地玉の中心部分に充填する充填工程と、前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記内材を包み込むように前記生地玉の周辺部分を寄せ集めて封着する封着工程とを備えている。さらに、前記位置決め工程では、前記シャッタ手段として複数のシャッタ片からなる第一シャッタ及び第一シャッタの下方に設けられた複数のシャッタ片からなる第二シャッタを用い、第一シャッタを開いた状態とするとともに第二シャッタを閉じた状態として、第二シャッタのシャッタ片上に前記生地玉を載置して第一シャッタを閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる。さらに、前記位置決め工程では、前記シャッタ手段の下方に設けられた支持手段に前記生地玉を載置して前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる位置決め工程を備えている。
【0008】
本発明に係る包被食品成形装置は、複数のシャッタ片を開閉動作させるシャッタ手段と、先端部より内材を吐出して供給する内材供給手段と、前記シャッタ手段及び前記内材供給手段を動作制御する制御手段とを備えている包被食品成形装置であって、
前記制御手段は、前記シャッタ手段を動作させて生地玉の周囲に前記シャッタ片を当接させることで生地玉を所定位置に位置決めする位置決め動作、生地玉の中心部分に向かって前記内材供給手段の先端部を進入させて中心部分の生地を周辺部分に向かって拡がるように移動させて所定の厚さに形成されるとともに周辺部分に向かった生地が周囲に当接する前記シャッタ片によりせき止められて上方に盛り上がることで前記シャッタ手段のシャッタ片と前記内材供給手段の先端部との間に前記生地玉の周辺部分を筒状に形成する予備形成動作、前記内材供給手段の先端部から内材を吐出して前記生地玉の中心部分に充填する充填動作及び前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記内材を包み込むように前記生地玉の周辺部分を寄せ集めて封着する封着動作を行うように動作制御する。さらに、前記シャッタ手段は、複数のシャッタ片からなる第一シャッタ及び第一シャッタの下方に設けられた複数のシャッタ片からなる第二シャッタを備えており、前記制御手段は、前記第二シャッタに載置された前記生地玉に対して前記第一シャッタを閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる位置決め動作を行うように動作制御する。さらに、前記シャッタ手段の下方に設けられた支持手段を備えており、前記制御手段は、前記支持手段に前記生地玉を載置して前記シャッタ手段を閉じる方向に動作させて前記生地玉に当接させる位置決め動作を行うように動作制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のような構成を有することで、生地玉の中心部分に内材供給手段の先端部を進入させて所定の厚さに形成し、シャッタ片及び先端部の間に生地玉の周辺部分を筒状に形成して、筒状に形成した周辺部分を寄せ集めて包み込むように封着するので、シート状に薄く延ばす場合に比べて生地への成形による影響を少なくして無理なく所望の形状に成形することができ、高品質の成形品を得ることが可能となる。
【0010】
また、生地玉の状態で成形動作を行うので、生地の弾力性が高い状態で成形することができ、成形品の表面に張りが出るとともに腰の高い成形品を得ることが可能となる。
【0011】
また、内材供給手段の先端部を生地玉内に進入させて内材を充填しているので、充填の際に生地との間に空気が入り込まないように成形することができる。
【0012】
また、内材供給手段の先端部のサイズを調整することで成形品のサイズを調整することが可能となり、様々なサイズの成形品を簡単に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る実施形態に関する概略正面図である。
【
図3】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図4】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図5】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図6】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図7】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図8】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図9】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図10】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図11】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図12】包被食品成形装置の成形工程に関する説明図である。
【
図13】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図14】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図15】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図16】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図17】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図18】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図19】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図20】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図21】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図22】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図23】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図24】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図25】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図26】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図27】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図28】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図29】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図30】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図31】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【
図32】さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る包被食品成形装置に関する概略正面図である。包被食品成形装置1は、筺体2、内材を送給する送給部3、送給部3より送入された内材を吐出ノズル41より吐出する吐出部4、吐出部4を上下動させて吐出ノズル41を生地玉の中心部分に向かって進入させる移動部5、生地玉を搬入する搬入部6、複数のシャッタ片からなる第一シャッタ70及び第一シャッタ70の下方に設けられた複数のシャッタ片からなる第二シャッタ71を動作させて生地玉の位置決め及び筒状に形成された生地玉の周辺部分を寄せ集めて封着するシャッタ部7、及び、生地玉を支持するとともに成形品を搬出する支持部8を備えている。この例では、吐出部4及び移動部5は、内材供給手段に相当し、シャッタ部7がシャッタ手段に相当する。また、図示されていないが、各部の動作を制御して成形動作を行う制御手段である制御部を備えている。
【0016】
制御部は、後述するように、シャッタ部7を動作させて生地玉の周囲にシャッタ片を当接させることで生地玉を所定位置に位置決めする位置決め動作、生地玉の中心部分に向かって吐出部4の先端部である吐出ノズル41を進入させて中心部分を所定の厚さに形成するとともにシャッタ片と吐出ノズル41との間に生地玉の周辺部分を筒状に形成する予備形成動作、吐出ノズルから内材を吐出して生地玉の中心部分に充填する充填動作及びシャッタ部7手段を閉じる方向に動作させて内材を包み込むように生地玉の周辺部分を寄せ集めて封着する封着動作を行うように動作制御する。
【0017】
成形に用いる内材としては、例えば、粒餡や漉し餡等の豆類の餡、豆腐ペースト、野菜ペースト、カレーペースト、クリームチーズ等のペースト状の食材が挙げられ、こうしたペースト状の食材には固形食材を混ぜ込んで用いることもできる。混ぜ込む固形食材としては、例えば、大栗、アーモンド、マカダミア・ナッツ、ブルーベリー等の果実類、リンゴやオレンジ等の果肉の角切り、甘納豆、乾燥フルーツ、金時豆、ナッツ類の粒状物、ウィンナ、角切り肉、角切りジャガイモ、角切りニンジン等の加工食材といったものが挙げられる。
【0018】
成形に用いる生地玉としては、例えば、パン生地、中華饅頭生地、ドーナツ生地といった食材が挙げられる。ここで、生地玉は、小麦粉等の原料を適宜配合して調製された生地を成形品に応じた分量で分割した生地で、一般に丸められて玉状に形成されているが、分割したままの形状で用いられる場合も含まれる。本発明では、生地玉をガス抜き、圧延等の処理を行うことなくそのままの状態で使用することができる。
【0019】
送給部3は、筺体2の上部に設けられており、ペースト状の食材等の内材を収容するホッパ30、ホッパ30内の内材を送給管32に圧送するベーンポンプ31を備えている。送給管32は、吐出部4に接続されており、可撓性を有する管材が用いられ、後述する吐出部4の上下動に対して柔軟に対応することができるようになっている。
【0020】
吐出部4は、先端部に吐出ノズル41が形成されて送給管32が接続された円筒状の吐出管40及び吐出管40を支持する支持フレーム42を備えており、吐出管40の内部には円柱状の開閉部材が挿入されている。開閉部材は、駆動ロッドを介してエアアクチュエータ43に接続されており、エアアクチュエータ43を揺動駆動することで、開閉部材を吐出管40内で揺動させることができる。また、支持フレーム42には、開閉部材を上下動させるエアシリンダ44が設けられており、エアシリンダ44を動作させることで、吐出管40内を開閉部材が上下方向に摺動するようになり、開閉手段として機能するようになる。
【0021】
移動部5は、吐出部4の支持フレーム42が固定された作動部材を備えており、作動部材は、筺体2の内面に設けられた駆動機構(図示せず)により上下方向に移動するようになっている。そのため、作動部材が上下動することで、吐出部4全体が上昇及び下降の動作を行うようになる。
【0022】
搬入部6は、シャトルコンベヤからなり、生地玉を搬送する搬送ベルト60及び搬送ベルト60を移動させる駆動プーリ61を備えている。シャトル動作を行うための従動プーリ62を搬送方向に移動させることで、搬送ベルト60を吐出部4の下方まで延長させるように動作する。なお、搬入部6の搬送方向上流側には、生地玉を形成する分割装置等を配置することもでき、分割された生地玉が搬入部6に移送されるようになっている。
【0023】
シャッタ部7は、上下二段の第一シャッタ70及び第二シャッタ71を備えており、第一シャッタ70及び第二シャッタ71は、吐出管40の下方に配置されている。第一シャッタ70及び第二シャッタ71のシャッタ片により形成される開口領域の中心が吐出管40の中心軸とほぼ一致するように筺体2に取り付けられている。
【0024】
第一シャッタ70及び第二シャッタ71は、それぞれ支持基板に複数のシャッタ片が回動可能に取り付けられており、各シャッタ片の回動軸が連結されて一体化している。そして、下段の第二シャッタ71の下側に設けられた支持バーを筐体2に取り付けるようになっている。
【0025】
図2は、上段の第一シャッタ70に関する平面図である。第一シャッタ70は、6枚のシャッタ片70aを備えており、各シャッタ片70aは、中心軸を中心とする円周に等間隔で配置された回動軸に回動可能に取り付けられている。各回動軸には、回動板70bがシャッタ片70aと係合ピン等の係合部材により取り外し可能に連結されて装着されており、回動板70b及びシャッタ片70aが回動軸を中心に一体的に回動するようになっている。回動板70bの回動軸よりも外側の外周縁部には、上面側にリンク部材70cの端部が枢支されており、隣り合う回動板70b同士がリンク部材70cにより連結されている。そのため、6枚の回動板70bは、連動して回動動作を行うようになっており、回動板70bの回動動作によりシャッタ片70aが回動動作を行うようになっている。第一シャッタ70の筐体2側に配置された回動板70bには、連結ロッド70dの一方の端部が揺動可能に取り付けられており、他方の端部は連結ナットにより駆動ロッド73と着脱可能に連結されるようになっている。駆動ロッド73は、筐体2内に配置された駆動機構に連結されており、駆動機構を往復動作させることで、回動板70bを回動軸を中心に揺動させてシャッタ片70aを開閉動作させている。
【0026】
この例では、6枚のシャッタ片70aを時計回りに回動させることで開く方向に動作し、反時計回りに回動させることで閉じる方向に動作するようになっている。そして、回動する角度を調整することで、シャッタ片70aにより囲まれた開口領域の面積を調整することができる。
【0027】
下段の第二シャッタ71についても上段の第一シャッタ70と同様に構成されており、6枚のシャッタ片を開閉動作させて封着動作を行うようになっている。
【0028】
上述したシャッタ部7の例では、6枚シャッタを用いているが、シャッタのシャッタ片の枚数は6枚に限定されることはなく、2枚以上のシャッタ片を用いたシャッタであれば使用することができる。また、第一シャッタ及び第二シャッタのシャッタ片の枚数が異なるように設定することも可能であり、後述するように、第一シャッタ及び第二シャッタのどちらか一方を省略した一段シャッタで構成することもできる。
【0029】
支持部8は、成形品を搬出する搬送ベルト80を備えており、搬送ベルト80は、従動プーリ81及び82に張架されるとともに駆動機構83の駆動プーリに巻回されて張設されている。そして、搬送ベルト80の従動プーリ81側は、第二シャッタ71の下方に延設されており、第二シャッタ71の開口領域のほぼ直下の位置に支持部材84が設けられている。支持部材84は、搬送ベルト80の上側の下面に当接するように配置されている。
【0030】
支持部材84は、筺体2の内部に設けられた支持部8の作動部材に作動フレームを介して固定されており、作動部材は、筺体2の内部に設けられた駆動機構により上下動するようになっている。作動部材が上下動することで支持部材84が上昇及び下降の動作を行うようになり、後述するように、シャッタ部7において成形動作を行う際に支持部材84が搬送ベルト80とともに上昇して生地玉を支持し、生地玉に内材が包み込まれた成形品を搬送ベルト80上に載置した状態で支持部材84を下降させて搬送ベルト80を駆動することで、成形品を搬出することができる。
【0031】
図3から
図12は、包被食品成形装置1の成形工程に関する説明図である。説明図では、成形動作に関連する吐出部4、シャッタ部7及び支持部8の動作を示している。
図3は、初期設定の状態で生地玉Dが投入された状態を示している。吐出部4は、予め上昇して待機位置に設定されており、吐出管40内の開閉部材45は上昇して送給管32との接続口が開いた状態に設定されている。シャッタ部7は、第一シャッタ70が開いた状態に設定されており、第二シャッタ71が閉じた状態に設定されている。閉じた状態の第二シャッタ71の上面には、搬入部6より生地玉Dが投入される。支持部材84は、上昇して生地玉Dを支持可能な位置に設定されている。
【0032】
図4は、第二シャッタ71の上面に載置された生地玉Dに対して第一シャッタ70を閉じる方向に動作させて位置決めする位置決め工程を示している。位置決め工程では、第一シャッタ70のシャッタ片70aを生地玉Dの周囲に当接させて生地玉Dの中心が吐出管40の中心軸と一致するように位置決めする。位置決め工程により、載置された生地玉Dの周縁形状が円形でない場合でも第一シャッタ70の中心軸を中心とする円周に沿って生地玉Dの周縁を揃えることができる。また、生地玉Dが柔らかい生地の場合でも周囲に第一シャッタ70を当接させることで、腰高の状態に設定することができる。位置決め工程の後吐出管40が下降動作を開始するようになる。
【0033】
図5は、吐出管40が下降して先端部の吐出ノズル41が生地玉Dの中心部分に向かって進入する状態を示している。位置決め工程により生地玉Dの中心は吐出ノズル41の中心と一致しており、吐出ノズル41は生地玉Dの中心部分に正確に進入するようになる。吐出ノズル41が中心部分に進入することで、中心部分の生地が周辺部分に向かって拡がるように移動して所定の厚さに形成され、周辺部分に向かった生地は周囲に当接するシャッタ片70aによりせき止められて上方に盛り上がるようになり、吐出ノズル41とシャッタ片70aとの間に周辺部分が筒状に形成されるようになる。
【0034】
図6は、第二シャッタ71が開く方向に動作して生地玉Dの中心部分が押し込まれて支持部材84に支持される状態を示している。第二シャッタ71は、第一シャッタ70の開口領域とほぼ同じ広さに開くように動作し、支持部材84は第二シャッタ71の下面近傍まで上昇する。吐出ノズル41は下降動作を継続して生地玉Dの中心部分を押し込むように作用する。そのため、生地玉Dは、中心部分が支持部材84の上面で支持され、筒状に形成された周辺部分が第一シャッタ70及び第二シャッタ71の各シャッタ片と吐出ノズル41との間に挟まれて当接された状態となり、全体として容器状に形成されるようになる。
【0035】
予備形成工程では、生地玉Dの中心部分の厚さは、吐出ノズル41の進入深さ及び第二シャッタ71の開くタイミングにより調整することが可能で、筒状の周辺部分の厚さ及び高さは吐出ノズル41のサイズ及び吐出ノズル41と各シャッタ片との間の間隔により調整することが可能である。そのため、様々なサイズの成形品を成形することができる。
【0036】
また、生地を成形品の形状に合わせて容器状に形成しているので、予め生地を薄く延ばしてシート状に形成する場合に比べて、生地が受ける影響を最小限とすることができ、生地玉が備えている高い弾力性を維持した状態で成形を行うことが可能となる。
【0037】
予備形成工程の後、送給管32より内材Gが吐出管40内に導入されるようになる。
【0038】
図7は、吐出管40内の開閉部材45が下降して内材Gを吐出する充填工程を示している。開閉部材45が下降することで、吐出管40内に導入された内材Gが生地玉Dの中心部分に向かって吐出ノズル41から押し出されるように吐出する。内材Gが吐出されて充填されるタイミングで吐出部4を上昇させて支持部材84の位置調整を行うことで、生地玉Dの中心部分を丸く膨らんだ形状に形成することができる。
【0039】
充填工程では、吐出ノズル41を生地玉D内に進入させて中心部分に密着させた状態で内材Gの吐出動作を開始するので、吐出の際に空気の流入をできるだけ抑えて内材を充填することができる。
【0040】
図8は、吐出部4が上昇して生地玉D内に内材Gを充填した状態を示している。吐出部4を上昇させて吐出ノズル41及び開閉部材45の先端を内材Gから離すように動作させる。その際に、開閉部材45を中心軸を中心に揺動させながら上昇させることで内材Gの切れをよくすることができ、内材Gの垂れ等を防止することが可能となる。
【0041】
図9は、生地玉Dの周辺部分を寄せ集めて内材Gを包み込むようにする状態を示している。第一シャッタ70を閉じる方向に動作させることで、シャッタ片70aに当接する生地玉Dの周辺部分を中心に向かって寄せ集めるようになり、周辺部分の周縁が中心に集まって内材Gを包み込むようになる。
【0042】
図10は、寄せ集められた生地玉Dの周辺部分を封着する状態を示している。生地玉Dの周辺部分を寄せ集めた状態で第二シャッタ71を閉じる方向に動作させることで、寄せ集められた周辺部分が圧着して封着されるようになる。
【0043】
図11は、封着して成形品を得た状態を示している。支持部材84の位置を固定した状態で第二シャッタ71を閉じ切るように動作させて封着部分の突起を横方向から押し均すようにすることで、成形品Hの表面を凹凸のないきれいな表面に仕上げることができる。また、吐出部4は、上昇して待機位置に設定されるようになる。
【0044】
図12では、成形品Hは、支持部材84に載置された状態で下降し、搬送ベルト80により搬送されて次の工程に搬出されるようになる。また、第一シャッタ70及び第二シャッタ71は開く方向に動作して次の成形動作に備えた待機位置に設定される。
【0045】
得られた成形品Hは反転されて生地玉Dの中心部分に相当する部分が上面側となり、周辺部分を封着した部分が底面側となる。そのため、上面側の厚さを吐出ノズル41の進入深さにより調整でき、底面側の厚さを筒状に形成された周辺部分の生地量により調整することができるようになり、より高品質の成形品を安定して得ることができる。また、生地玉の高い弾力性を維持して成形されているので、表面に張りのある腰の高い成形品に仕上げることが可能となる。
【0046】
図13から
図22は、別の実施形態の成形工程に関する説明図である。この実施形態では、吐出部4’は、吐出管40’の内径が吐出管40に比べて小径に形成されており、それに対応して吐出ノズル41’及び開閉部材45’も小径に形成されている。それ以外の装置構成については
図1に示す装置と同様であるので省略する。
【0047】
この実施形態では、柔らかい生地からなる生地玉を成形する場合に好適であり、厚みのある予備形成された形状で確実に成形動作を行うことができる。
【0048】
図13は、初期設定の状態で生地玉Dが投入された状態を示している。吐出部4’は、予め上昇して待機位置に設定されており、吐出管40’内の開閉部材45’は上昇して送給管32との接続口が開いた状態に設定されている。シャッタ部7は、第一シャッタ70が開いた状態に設定されており、第二シャッタ71が閉じた状態に設定されている。閉じた状態の第二シャッタ71の上面には、搬入部6より生地玉D’が投入される。支持部材84は、上昇して生地玉D’を支持可能な位置に設定されている。
【0049】
図14は、第二シャッタ71の上面に載置された生地玉D’に対して第一シャッタ70を閉じる方向に動作させて位置決めする位置決め工程を示している。位置決め工程では、第一シャッタ70のシャッタ片70aを生地玉D’の周囲に当接させて生地玉D’の中心が吐出管40’の中心軸と一致するように位置決めする。位置決め工程により、載置された生地玉D’の周縁形状が円形でない場合でも第一シャッタ70の中心軸を中心とする円周に沿って生地玉D’の周縁を揃えることができる。また、生地玉D’が柔らかい生地の場合でも周囲に第一シャッタ70を当接させることで、腰高の状態に設定することができる。位置決め工程の後吐出管40’が下降動作を開始するようになる。
【0050】
図15は、吐出管40’が下降して先端部の吐出ノズル41’が生地玉D’の中心部分に向かって進入する状態を示している。位置決め工程により生地玉D’の中心は吐出ノズル41’の中心と一致しており、吐出ノズル41’は生地玉D’の中心部分に正確に進入するようになる。吐出ノズル41’が中心部分に進入することで、中心部分の生地が周辺部分に向かって拡がるように移動して所定の厚さに形成され、周辺部分に向かった生地は周囲に当接するシャッタ片70aによりせき止められて上方に盛り上げるようになり、吐出ノズル41とシャッタ片70aとの間に周辺部分が筒状に形成されるようになる。この場合、柔らかい生地が吐出ノズル41’の進入動作で破れることのない厚さとなるようにを進入深さを調整する。また、吐出ノズル41’が生地玉D’に比べて小径に形成されているので、生地玉D’の周辺部分を厚みのある状態で進入するようになる。
【0051】
図16は、第二シャッタ71が開く方向に動作して生地玉D’の中心部分が押し込まれて支持部材84に支持される状態を示している。第二シャッタ71は、第一シャッタ70の開口領域とほぼ同じ広さに開くように動作し、支持部材84は第二シャッタ71の下面近傍まで上昇する。吐出ノズル41’は下降動作を継続して生地玉D’の中心部分を押し込むように作用する。そのため、生地玉D’は、中心部分が支持部材84の上面で支持され、筒状に形成された周辺部分が第一シャッタ70及び第二シャッタ71の各シャッタ片と吐出ノズル41’との間に挟まれて当接された状態となり、全体として厚みのある容器状に形成されるようになる。
【0052】
予備形成工程では、生地玉Dの中心部分の厚さは、吐出ノズル41の進入深さ及び第二シャッタ71の開くタイミングにより調整することが可能で、筒状の周辺部分の厚さ及び高さは吐出ノズル41のサイズ及び吐出ノズル41と各シャッタ片との間の間隔により調整することが可能であるので、柔らかい生地の特性に合わせて厚みのある形状に形成することができる。
【0053】
予備形成工程の後、送給管32より内材Gが吐出管40’内に導入されるようになる。
【0054】
図17は、吐出管40’内の開閉部材45’が下降して内材Gを吐出する充填工程を示している。開閉部材45’が下降することで、吐出管40’内に導入された内材Gが生地玉D’の中心部分に向かって吐出ノズル41’から押し出されるように吐出する。内材Gが吐出されて充填されるタイミングで吐出部4’を上昇させて支持部材84の位置調整を行うことで、生地玉D’の中心部分を丸く膨らんだ形状に形成することができる。また、柔らかい生地の場合、内材Gの吐出の際の圧力及び充填された内材Gの重量により風船のように膨らんで厚みのある生地が伸びるようになる。
【0055】
充填工程では、吐出ノズル41を生地玉D’内に進入させて中心部分に密着させた状態で内材Gの吐出動作を開始するので、吐出の際に空気の流入をできるだけ抑えて内材Gを充填することができる。
【0056】
図18は、吐出部4’が上昇して生地玉D’内に内材Gを充填した状態を示している。吐出部4’を上昇させて吐出ノズル41’及び開閉部材45’の先端を内材Gから離すように動作させる。その際に、開閉部材45’を中心軸を中心に揺動させながら上昇させることで内材Gの切れをよくすることができ、内材Gの垂れ等を防止することが可能となる。
【0057】
図19は、生地玉D’の周辺部分を寄せ集めて内材Gを包み込むようにする状態を示している。第一シャッタ70を閉じる方向に動作させることで、シャッタ片70aに当接する生地玉D’の周辺部分を中心に向かって寄せ集めるようになり、周辺部分の周縁が中心に集まって内材Gを包み込むようになる。
【0058】
図20は、寄せ集められた生地玉D’の周辺部分を封着する状態を示している。生地玉Dの周辺部分を寄せ集めた状態で第二シャッタ71を閉じる方向に動作させることで、寄せ集められた周辺部分が圧着して封着されるようになる。
【0059】
図21は、封着して成形品を得た状態を示している。支持部材84の位置を固定した状態で第二シャッタ71を閉じ切るように動作させて封着部分の突起を横方向から押し均すようにすることで、成形品H’の表面を凹凸のないきれいな表面に仕上げることができる。また、吐出部4’は、上昇して待機位置に設定されるようになる。
【0060】
図22では、成形品H’は、支持部材84に載置された状態で下降し、搬送ベルト80により搬送されて次の工程に搬出されるようになる。また、第一シャッタ70及び第二シャッタ71は開く方向に動作して次の成形動作に備えた待機位置に設定される。
【0061】
以上説明したように、生地玉の特性に合わせて吐出部の吐出ノズル及び開閉部材のサイズを変更して予備形成する形状を調整することができるので、様々な特性の生地に応じて吐出部を交換して成形動作を行うことで、幅広い食材に対応して高品質の成形品を得ることが可能となる。
【0062】
図23から
図32は、さらに別の実施形態の成形工程に関する説明図である。この実施形態では、
図1に示す包被食品成形装置1において、シャッタ部7が第二シャッタ71と同様に構成されたシャッタ72の一段シャッタにより構成されている。簡易な装置構成となっているため、効率よく成形動作を行うことが可能となっている。
【0063】
図23は、初期設定の状態で生地玉Dが投入された状態を示している。吐出部4は、予め上昇して待機位置に設定されており、吐出管40内の開閉部材45は上昇して送給管32との接続口が開いた状態に設定されている。シャッタ部7は、シャッタ72が開いた状態に設定されており、上昇した支持部材84の上面に、搬入部6より生地玉Dが投入される。
【0064】
図24は、支持部材84の上面に載置された生地玉Dに対してシャッタ72を閉じる方向に動作させて位置決めする位置決め工程を示している。位置決め工程では、シャッタ72のシャッタ片72aを生地玉Dの周囲に当接させて生地玉Dの中心が吐出管40の中心軸と一致するように位置決めする。位置決め工程により、載置された生地玉Dの周縁形状が円形でない場合でもシャッタ72の中心軸を中心とする円周に沿って生地玉Dの周縁を揃えることができる。また、生地玉Dが柔らかい生地の場合でも周囲にシャッタ72を当接させることで、腰高の状態に設定することができる。位置決め工程の後吐出管40が下降動作を開始するようになる。
【0065】
図25は、吐出管40が下降して先端部の吐出ノズル41が生地玉Dの中心部分に向かって進入する状態を示している。位置決め工程により生地玉Dの中心は吐出ノズル41の中心と一致しており、吐出ノズル41は生地玉Dの中心部分に正確に進入するようになる。吐出ノズル41が中心部分に進入することで、中心部分の生地が周辺部分に向かって拡がるように移動して所定の厚さに形成され、周辺部分に向かった生地は周囲に当接するシャッタ片72aによりせき止められて上方に盛り上がるようになり、吐出ノズル41とシャッタ片72aとの間に周辺部分が筒状に形成されるようになる。
【0066】
図26は、支持部材84に支持された生地玉Dの中心部分が吐出ノズル41により押し込まれる状態を示している。吐出ノズル41は下降動作を継続して生地玉Dの中心部分を押し込むようになり、それに合わせて支持部材84が下降することで、生地玉Dの周辺部分は吐出ノズル41とシャッタ片72aとの間に挟まれた状態で全体として容器状に形成されるようになる。
【0067】
予備形成工程では、生地玉Dの中心部分の厚さは、吐出ノズル41の進入深さ及び支持部材84の下降するタイミングにより調整することが可能で、筒状の周辺部分の厚さ及び高さは吐出ノズル41のサイズ及び吐出ノズル41と各シャッタ片との間の間隔により調整することが可能である。そのため、様々なサイズの成形品を成形することができる。
【0068】
また、生地を成形品の形状に合わせて容器状に形成しているので、予め生地を薄く延ばしてシート状に形成する場合に比べて、生地が受ける影響を最小限とすることができ、生地玉が備えている高い弾力性を維持した状態で成形を行うことが可能となる。
【0069】
予備形成工程の後、送給管32より内材Gが吐出管40内に導入されるようになる。
【0070】
図27は、吐出管40内の開閉部材45が下降して内材Gを吐出する充填工程を示している。開閉部材45が下降することで、吐出管40内に導入された内材Gが生地玉Dの中心部分に向かって吐出ノズル41から押し出されるように吐出する。内材Gが吐出されて充填されるタイミングで吐出部4を上昇させて支持部材84の位置調整を行うことで、生地玉Dの中心部分を丸く膨らんだ形状に形成することができる。
【0071】
充填工程では、吐出ノズル41を生地玉D内に進入させて中心部分に密着させた状態で内材Gの吐出動作を開始するので、吐出の際に空気の流入をできるだけ抑えて内材を充填することができる。
【0072】
図28は、吐出部4が上昇して生地玉D内に内材Gを充填した状態を示している。吐出部4を上昇させて吐出ノズル41及び開閉部材45の先端を内材Gから離すように動作させる。その際に、開閉部材45を中心軸を中心に揺動させながら上昇させることで内材Gの切れをよくすることができ、内材Gの垂れ等を防止することが可能となる。
【0073】
図29は、生地玉Dの周辺部分を寄せ集めて内材Gを包み込むようにする状態を示している。シャッタ72を閉じる方向に動作させることで、シャッタ片72aに当接する生地玉Dの周辺部分を中心に向かって寄せ集めるようになり、周辺部分の周縁が中心に集まって内材Gを包み込むようになる。
【0074】
図30は、寄せ集められた生地玉Dの周辺部分を封着する状態を示している。生地玉Dの周辺部分を寄せ集めた状態でシャッタ72をさらに閉じる方向に動作させることで、寄せ集められた周辺部分が圧着して封着されるようになる。
【0075】
図31は、封着して成形品を得た状態を示している。支持部材84の位置を固定した状態でシャッタ72を閉じ切るように動作させて封着部分の突起を横方向から押し均すようにすることで、成形品Hの表面を凹凸のないきれいな表面に仕上げることができる。また、吐出部4は、上昇して待機位置に設定されるようになる。
【0076】
図32では、成形品Hは、支持部材84に載置された状態で下降し、搬送ベルト80により搬送されて次の工程に搬出されるようになる。また、シャッタ72は開く方向に動作して次の成形動作に備えた待機位置に設定される。
【0077】
以上説明したように、生地玉をシャッタ及び吐出ノズルで予備形成して成形動作を行うので、生地玉を予めシート状に形成することがなく圧延等の影響の少ない状態で成形することができる。そのため、生地玉の高い弾力性のある状態で成形することができ、成形品の表面に張りが出るとともに腰の高い成形品を得ることが可能となる。
【0078】
吐出ノズルの進入深さ及びシャッタ片と吐出ノズルとの間の間隔を調整することで、所望の形状の成形品を得ることが可能となり、高品質の成形品を安定して成形することができる。
【符号の説明】
【0079】
D・・・生地玉、G・・・内材、H・・・成形品、1・・・包被食品成形装置、2・・・筺体、3・・・供給部、4・・・吐出部、40・・・吐出管、41・・・吐出ノズル、45・・・開閉部材、5・・・移動部、6・・・搬入部、7・・・シャッタ部、70・・・第一シャッタ、71・・・第二シャッタ、72・・・シャッタ、8・・・支持部、84・・・支持部材