(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】吸入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021513030
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(86)【国際出願番号】 IT2018000066
(87)【国際公開番号】W WO2019215767
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520435809
【氏名又は名称】ファルマデバイシーズ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】PHARMADEVICES S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・メルカンデッリ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-100695(JP,A)
【文献】特表2015-530214(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00581473(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインカプセル軸(X)に沿って結合された二つの部分(2’,2”)によって形成され
たカプセル(2)に含まれる粉末物質の吸入装置であって:
-第一ボディ部分(12;12a;12b)と第二ボディ部分(14;14a;14b)とを有する本体(10;10a;10b)であって,
第一ボディ部分と第二ボディ部分とが,それぞれの第一カプセル部分(2’)を保持するように適合され,第一ボディ部分と第二ボディ部分とが第一カプセルシート部分内に第一カプセル部分を保持するように適合されている閉じた本体位置と,第一カプセルシート部分からの第一カプセル部分の排出を可能にするように適合されている開いた本体位置との間で,メインカプセル軸と平行な回転本体軸(X’)について回転可能であるように,互いにヒンジされている,第一カプセルシート部分(16;16a,16a’16b,16b’)を少なくとも共同で画定する,本体;
-第一スライド部分(20;20a;20b)と第二スライド部分(22;22a;22b)によって形成された少なくとも一つのスライド(18;18a;18b)であって,
第一スライド部分と第二スライド部分とが,それぞれの第二カプセル部分(2”)を保持するように適合され,スライド部分および第二スライド部分が第二カプセルシート部分内に第二カプセル部分を保持するように適合されている閉じたスライド位置と,第二カプセルシート部分からの第二カプセル部分の排出を可能にするように適合されている開いたスライド位置との間で,メインカプセル軸と平行なスライド回転軸(X”)について回転可能であるように,互いにヒンジされている,第二カプセルシート部分(24;24a,24a’;24b,24b’)を共同で画定する,スライド;
を含み,
各スライド部分は,それぞれのボディ部分に収容され,各スライド部分は,メインカプセル軸(X)に平行な引出軸(Y)に沿って,第一および第二カプセルシート部分がカプセルを受けるためのカプセルシートを形成するように相互に接触して配置される前進位置と,二つのカプセルシート部分の分離を引き起こすように二つのカプセルシート部分が間隔を空けている後退位置との間で並進可能である,吸入装置。
【請求項2】
二つのボディ部分のうちの一つにおいて,少なくとも一つのカプセルに含まれる粉末物質の吸引マウスピース(26)が得られ,マウスピースは少なくとも一つのカプセルシートと流体連通する排出ダクト(28)を画定する,請求項1に記載の装置。
【請求項3】
二つのボディ部分のうちの一つにおいて,二つのカプセルシート部分の間に,それらが相互に間隔を空けられたときに,開口した内端(32)を有する,少なくとも一つの吸引孔(30)が設けられている,請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
排出ダクトおよび吸引孔の内端が,それぞれのボディ部分に形成され,装置本体が閉じられたときに,引き出し軸(Y)に実質的に直交する吸引軸(Z)に沿って実質的に整列されている,請求項2および3に記載の装置。
【請求項5】
各スライド部分が,引出し方向(Y)に沿って排他的に移動可能であるように,それぞれのボディ部分に形成されたそれぞれのスライドシート(34,35)の中に形状結合された状態で挿入されている,
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
二つのスライド部分のうちの一つは,ボディ部分のうちの一つに沿ってスライドするスライダ(36)と一体であり,スライダは,スライドの並進を引き起こすためにユーザーによって手動で操作される,
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
二つのスライド部分のうちの一つは,それが前進位置にある場合であっても,本体(10)から軸方向に突出しており,スライドの並進を引き起こすためにユーザーによって把持されることができる把持要素(222)で終わる,請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
スライドが本体と一体的に回転し,他のボディ部分に対するボディ部分の相対的な動きが,他のスライド部分に対するスライド部分の対応する動きを引き起こす,
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ボディ回転軸(X’)とスライド回転軸(X”)が一致する,
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
本体がカプセル軸(X)の方向に延在部を有し,本体の一端近傍に第一カプセルシート部分が得られ,後退位置にあっても本体内に留まるようにスライドがカプセル軸(X)の方向に延在する延在部を有する,
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
本体の各部分およびスライドの各部分が,実質的にそれぞれのカプセルシート部分(16,24)の半部(16’,24’)を形成している,
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
二つのカプセルのシート部分のそれぞれが
カプセル部分の壁との干渉によってカプセルをロックするように適合されている,
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
各カプセルシート部分の半部のうちの少なくとも一つが,カプセル軸(X)に実質的に直交する方向にカプセルシート部分の底部から延在する少なくとも一つのロック歯(38)を備えている,
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
ロック歯が,本体の開口におけるカプセル部分の排出を容易にするように,カプセルシート部分の底部から狭まっているセクションを有する,
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
本体(10a)と単一のスライド(18a)が少なくとも二つのカプセルシート(16a,16a’,24,24a’)を横並びに形成する,
請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
本体(10b)が少なくとも二つのカプセルシート部分(16b,16b’)を横並びに形成し,少なくとも二つのスライド(18b,18b’)が,それぞれのカプセルに含まれる物質の吸入を異なる時間でも可能にするために,互いに独立してスライドする本体に収容されている,請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
二つのボディ部分がスナップ結合手段を備えている,
請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二つの分離可能な部分で形成されたオペルクルムとも呼ばれる密閉容器を有するカプセルに含まれる粉末物質を患者の気道に放出するために適合された吸入装置に関する。例えば,カプセルは吸入用途に使用される医薬品の分類に従って,任意の色,サイズおよび寸法を有することができる。
【0002】
カプセルに含まれる製剤は,実際には,単一の化学単位または複数の化学単位からなり,そのうちの一つまたは複数の化学単位は,認識された医薬活性を有する医薬活性成分と賦形剤の両方であり得る。特に,例えば,カプセルに含まれる物質の製剤はマイクロ化された物質(活性物質または賦形剤)または非マイクロ化された物質のいずれかから構成され得る。ミクロン化されたものとは平均空気力学的寸法が20ミクロン未満(好ましくは0~5ミクロン)の製品を意味し,非ミクロン化されたものとは20ミクロン以上,好ましくは20ミクロン~200ミクロンの間の製品を意味する。
【0003】
このタイプの吸入装置はすでに知られており,マウスピースおよび吸入される粉末物質を含むカプセルを受けるのに適したシートが得られる本体を含む。本体は,ユーザーによって操作可能なカプセルを開くための手段,または,カプセルまたはオペルクルム内に外部からの空気の流れを通過させるために必要な自動手段と関連しており,粉末物質と混合することで,オペルクルムから粉末物質を抽出し,装置のマウスピースに向けて,患者のユーザーに向けてリダイレクトさせることができる。
【0004】
特許出願WO2014054059A1に例示された実施形態では,カプセルに含まれる粉末物質の吸入を可能にするように,吸入装置内の二つのカプセル部分を取り外すことによってカプセルが開放される。この技術的解決策は,粉末物質の抽出を可能にするために,カプセルの一つ以上の部分の穿孔,切断または破断を回避することを可能にするという点で特に有利である。前記特許出願に記載された吸入装置は,したがって,粉末物質と混合されて患者に吸入される可能性のあるオペルクルムの断片が形成される可能性があるという欠点を克服することを可能にする。
【0005】
WOで提案された技術的解決策は,カプセルを,弾性アームによって支持された二つの別々の部分によって形成されたカプセルシートに挿入することを想定している。マウスピースに関連した楔形分離手段は,弾性アームに作用して,その発散を引き起こし,したがってカプセルシートの二つの部分の除去を引き起こす。
【0006】
弾性アームの反対方向への屈曲により,カプセルシートの二つの部分が円周方向の円弧に沿って移動するので,二つのカプセル部分の重なり合う部分の間には,場合によっては,カプセルの壁とそれぞれのシートの壁との間の干渉による摩擦よりも高い摺動摩擦が発生する。これらの場合には,カプセルの二つの部分が分離しないか,またはいずれにしても正しい位置に相対的に移動できず,最適な吸入を妨げたり,妨げたりする。
【0007】
明らかにこれらの状況は非常に危険であり,目的物のような「命を救う」装置としては容認できない。
【0008】
さらに,カプセルがカプセルシートに挿入された状態では,吸入装置の閉鎖により二つのカプセルシート部分が分離してしまい,ユーザーは直ちに物質の吸入を進めなければならない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は,吸入装置の信頼性と安全性をさらに向上させることにある。
【0010】
本発明の別の目的は,閉じたときに,すぐに使用準備ができているが,まだそのままの状態(intact)である一つ以上のカプセルを収容することも可能な吸入装置を提案することである。言い換えれば,本発明の目的は,カプセル輸送容器としても機能する吸入装置を提供することである。
【0011】
そのような目的は,請求項1に係る吸入装置によって達成される。
【0012】
従属請求項は,吸入装置の好ましいまたは有利な実施形態を記載している。
【0013】
本発明に係る吸入装置の特徴および利点は,添付の図を参照しながら,純粋に非限定的な例として提供される,その好ましい実施形態の以下の説明から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
-
図1は,本発明における吸入装置の一実施形態による分解透視図である。
【0015】
-
図2~2Fは,
図1の装置の動作ステップにおける吸入装置の透視図である。
【0016】
-
図3および
図3aは,それぞれ,
図2dおよび
図2eの動作ステップにおける吸入装置の軸方向断面における二つの透視図である。
【0017】
-
図4は,本発明に係る吸入装置の変形実施形態による分解透視図である。
【0018】
-
図5~5fは,
図4の吸入装置の多くの動作ステップにおける透視図である。
【0019】
-
図6および
図6aは,それぞれ,
図5dおよび
図5eの動作ステップにおける吸入装置の軸方向断面における二つの透視図である。
【0020】
図7は,本発明に係る吸入装置のさらなる実施形態による分解透視図である。
【0021】
-
図8~8gは,
図7の吸入装置の多くの動作ステップにおける透視図である。
【0022】
-
図9,9aおよび9bは,それぞれ,
図8c,8dおよび8eの動作ステップにおける吸入装置の軸方向断面の透視図である。
【0023】
-
図10は,本発明に係る吸入装置のさらなる実施形態による分解透視図である。
【0024】
-
図11~11cは,
図10の吸入装置を,閉状態の構成,カプセルを挿入するための開状態の構成,スライドが後退位置にある構成,およびスライドが前進位置にある構成をそれぞれ示している。
【0025】
-
図12は,さらなる実施形態による本発明に係る吸入装置の分解透視図であり;そして
【0026】
-
図13~13dは,
図12の装置を,多くの動作ステップで示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1~3aを参照して,参照番号1は,全体として,第一実施形態において,メインカプセル軸Xに沿って結合された二つの部分2',2”によって形成されたオペルクルムを有するタイプのカプセル2内に収容された少なくとも一つの粉末物質の吸入装置を示す。
【0028】
吸入装置1は,第一ボディ部分12と第二ボディ部分14を有する本体10を含む。二つのボディ部分12,14は,カプセル2のそれぞれの第一部分2'を保持するように適合された第一カプセルシート部分16を共同で画定する。
【0029】
二つのボディ部分12,14は,メインカプセル軸(X)に平行な本体回転軸(X')について回転可能であるように,互いにヒンジされている。二つのボディ部分12,14は,閉じた本体位置と開いた本体位置との間で互いに相対的に回転可能である。
【0030】
閉じた本体位置では,二つのボディ部分12,14は,第一カプセル部分2'を第一カプセルシート部分16に保持するように適合されている。例えば,この閉じた本体位置では,二つのボディ部分12,14は,重なり合っているか,または互いに対向して閉じている。
【0031】
開放された本体位置において,二つのボディ部分12,14は,吸入装置1内にカプセル2を挿入し,吸入の終了時には,カプセルシート16の第一部分から第一カプセル部分2'を排出することを可能にするように適合されている。
【0032】
例えば,二つのボディ部分12,14を約180°回転させることができる。
【0033】
吸入装置1はさらに,第一スライド部分20および第二スライド部分22によって形成されたスライド18を含む。二つのスライド部分20,22は,それぞれの第二カプセル部分24を保持するように適合された第二カプセルシート部分24を共同で画定する。二つのスライド部分20,22は,メインカプセル軸(X)に平行なスライド回転軸(X”)について回転可能であるように,互いにヒンジされている。
【0034】
二つのスライド部分20,22は,閉じたスライド位置と開いたスライド位置との間で回転可能である。
【0035】
閉じたスライド位置では,二つのスライド部分20,22は,第二カプセル部分2”を第二カプセルシート部分24に保持するように適合されている。例えば,この閉じたスライド位置では,二つのスライド部分20,22は,重なり合っているか,または,互いに対向して閉じている。
【0036】
開放スライド位置では,二つのスライド部分20,22は,吸入装置1内にカプセル2を挿入し,カプセル内に含まれる物質を吸入した後,カプセルシート24の第二部分から第二カプセル部分2”を排出することを可能にするように適合されている。
【0037】
第一スライド部分20は,第一ボディ部分12に収容されている。第二スライド部分22は,第二ボディ部分14に収容されている。
【0038】
各スライド部分20,22は,それぞれのボディ部分12,14内で,かつ,それについてメインカプセル軸(X)に平行な引出軸(Y)に沿って移動することができる。
【0039】
換言すれば,二つのボディ部分12,14がヒンジ式であり,したがって互いに一体であり,二つのスライド部分20,22がヒンジ式であり,したがって互いに一体であり,スライド18全体が本体10内で,かつ本体10に対して移動することができる。
【0040】
二つのスライド部分20,22は,第一カプセルシート部分16と第二カプセルシート部分24がカプセルシート4,すなわちカプセル2を受けるように適合されたカプセルコンパートメントを形成するように相互に接触して配置される前進位置と,二つのカプセルシート部分16,24が二つのカプセル部分2',2”の分離を引き起こすように間隔をあけている後退位置との間で共同で移動させることができる。
【0041】
二つのボディ部分12,14のうちの一つ,例えば,図面では上側のボディ部分である第二ボディ部分14において,カプセル2内に含まれる粉末物質を空気と混合して吸入するための吸引マウスピース26が得られる。吸引マウスピース26は,カプセルシート4と流体連通する排出ダクト28を画定している。
【0042】
より詳細には,排出ダクト28は,スライド18が後退位置に並進されたときに,二つのカプセルシート部分16,24の間に形成された本体内部のチャンバで開口する。
【0043】
一実施形態では,フィルタ要素29は,吸入される微粒子の寸法を決定する排出ダクトと関連している。
【0044】
有利なことに,二つのカプセル部分2',2”が分離されたときに,二つのカプセル部分2',2'の開放端に可能な限り近い位置で,排出ダクト28が終端することに留意すべきである。このようにして,二つのカプセル部分から出てくる粉末物質の全体が排出ダクト28内に導入される。
【0045】
外部から吸引された空気の流れと混合するために,二つのボディ部分12,14の一方において,二つのカプセルシート部分16,24の間に,それらが相互に間隔を置いたとき,開放された内端32を有する吸引孔30が,設けられる。
【0046】
吸引孔30は,例えば,本体10の下部12に形成されている。
【0047】
一実施形態では,排出ダクト28および吸引孔30の内端32は,それぞれのボディ部分12,14に形成され,装置本体が閉じられているときに,引き出し軸(Y)に実質的に直交する吸引軸(Z)に沿って実質的に整列している。
【0048】
一実施形態では,各スライド部分20,22は,それぞれのボディ部分12,14に形成されたそれぞれのスライドシート34,35内に形状結合された状態で挿入され,引出し方向(Y)に沿って排他的に移動可能であるようになっている。
【0049】
例えば,スライド部分20,22およびスライドシート34,35は,「ダブテール(dovetail)」形状を有している。
【0050】
一実施形態では,二つのスライド部分20,22のうちの一つは,ボディ部分12,14のうちの一つに沿ってスライドするスライダ36と一体である。スライダ36は,スライド18を並進させるために,ユーザーが手動で操作することができる。
【0051】
例えば,スライド18の上側部分22は,第二ボディ部分14に形成された細長い貫通開口37を介して,第二ボディ部分14の平坦な上面14'に沿ってスライドするスライダ36に連結されている。
【0052】
一実施形態では,スライダ36は,第二スライド部分22に形成された凹部22'にスナップするのに適したラッチ歯36'を備えている。
【0053】
図10および
図11~11cに図示された代替実施形態では,スライダ36の代わりに,二つのスライド部分20;22のうちの一つ,例えば上側部分22は,前進位置にある場合でも,そのシートスライド34;35から軸方向に突出しており,ユーザーがスライドを並進操作することができるように,グリップ要素,例えばグリップフランジ222で後方に終端する。
【0054】
したがって,この実施形態では,スライダ36の製作および組み立てを省略することが可能となる。
【0055】
一実施形態では,スライドの上部部分22は,いかなる場合でも,ユーザーが本体10に対するスライド18の位置を見ることができるように,貫通開口37内にスライドする指示突起224を備えていてもよい。
【0056】
しかし,スライド18は,本体10と回転可能に一体化されているため,ボディ部分の他方のボディ部分に対する相対的な移動が,スライド部分の他方のスライド部分に対する相対的な移動に対応した移動を引き起こすことになる。
【0057】
したがって,スライド部分20,22において,スライド18の開閉位置に向けて回転させるために動作させる必要はなく,二つのスライド部分はボディ部分12,14によって回転駆動される。
【0058】
一実施形態では,本体回転軸(X')とスライド回転軸(X”)は一致しており,装置を非常にコンパクトな吸入器とし,特に高さを低減したものとする。換言すれば,本体10のヒンジを形成する要素は,引出し方向(Y)においてスライダ18のヒンジを形成する要素によってフランク(flanked)されている。
【0059】
図面に図示された実施形態では,本体10は,カプセル軸(X)の方向にプリバレント(prevalent)な延在部を有している。第一カプセルシート部分16が本体10の一端近傍に形成されている。後退位置にあるときにも本体10内に留まるように,スライドは,同じくカプセル軸(X)方向にプリバレントな延在部を有している。
【0060】
一実施形態では,各ボディ部分12,14および各スライド部分20,22は,実質的に,それぞれのカプセルシート部分16,24の半部16',24'を形成している。言い換えれば,二つのカプセルシート部分16,24は,メインカプセル軸(X)に直交する分離平面によって分離されているが,各カプセルシート部分16,24は,そのようなメインカプセル軸(X)に平行な分離平面によって分離されている。
【0061】
一実施形態では,第一カプセルシート部分16の二つの半部16'および二つのスライドシート34,35は,二つのボディ部分12,14のそれぞれの対向面(閉鎖された本体を考慮して)において得られる実質的に鏡面状の凹部として形成されている。
【0062】
同様に,第二カプセルシート部分24の二つの半部24'は,二つのスライド部分20,22のそれぞれの対向面(閉じたスライドを考慮して)に形成された実質的に鏡面状の凹部として形成されている。
【0063】
一実施形態では,二つのカプセルシート部分16,24の各々は,オペルクルム壁との干渉によってカプセル2をロックするように適合されている。
【0064】
例えば,各カプセルシート部分の少なくとも一方,好ましくは両方において,カプセルシート部分の底部からカプセル軸Xに実質的に直交する方向に延びる少なくとも一つのロック歯38が設けられている。
【0065】
一実施形態では,各ロック歯38は,本体の開口におけるカプセル部分の排出を容易にするように,カプセルシート部分の底部から,例えば楔形状である,減少部(decreasing section)を有する。
【0066】
一実施形態では,二つのボディ部分12,14は,スナップ結合手段(snap coupling means)を備えている。例えば,第一ボディ部分12には,二つのアンダーカット40が互いに離間して形成されており,その中で,第二ボディ部分14から延びるそれぞれのラッチングタブ42が係合している。
【0067】
一実施形態では,吸入装置1は,吸引マウスピース26を備えた少なくともボディ部分,例えば第二ボディ部分14(上側部分)に重なるように適合された保護カバー70を備えている。
【0068】
一実施形態では,保護カバー70は,本体回転軸(X')に直交する回転軸カバー(W)を中心に回転するように本体10にヒンジされている。保護カバー70は,ヒンジに対して反対側に,本体10の対応する端部に形成されたアンダーカット74にスナップオン係合するためのラッチ歯72を備えることができる。
【0069】
図10および11~11cに示された実施形態では,保護カバー70は,本体10から突出したスライド部分の端部を囲い込み,保護するように適合された箱状の端部702で終わることに留意すべきである。
【0070】
図4,5-5fおよび6,6aは,封じ込め,同時開封,および,それゆえの二以上のカプセル2の吸入を可能にする変形実施形態の吸入装置1aを示す。
【0071】
この実施形態は,本体10aおよび単一のスライド18aが,少なくとも二つのカプセルシート16a,16a';24,24a'を横並びに形成している点でのみ,前の実施形態とは異なる。この場合,排出ダクト28は,少なくともカプセルシートに面した端部が,両方のカプセルに含まれる粉末物質を受けるように適合された通路部を有するように配置されている。
【0072】
図7,8~8gおよび9~9bに示されるさらなる実施形態では,吸入装置1bは,複数のカプセル2,2aを同時に封入するだけでなく,それらの開封およびそれゆえのそれらの吸入を独立した方法で,あるいは異なる時間に行うことも可能にする。
【0073】
実際には,この場合,本体10bは,少なくとも二つのカプセルシート部分16b,16b'を横並びに形成し,互いに独立してスライドする少なくとも二つのスライド18b,18b'を収容している。
【0074】
それぞれのスライダ36b,36b'が各スライド18b,18b'に接続されていることに注目すべきである。
【0075】
単一のスライドを有する装置の場合と同様に,
図12および
図13に示された実施形態では,スライダ36b,36b'の代わりに,二つのスライドの各々は,それぞれのシート部分から後方に突出し,把持要素222b,222b'で終了する部分を有する。
【0076】
さらに,一実施形態では,スライド18bの動きが他のスライド18b'と干渉することを防止し,装置の長さおよび高さの全体寸法を含むように,第一スライド18bは,本体10bのヒンジ要素と遠位部分,すなわちカプセルシート部分24bに関して反対側を向いた部分との間に配置されたヒンジ要素を有し,二つのスライド部分20b,22bの間にスロット50を形成している。第二スライド18b'は,本体のヒンジ要素に対して軸方向外側に位置するヒンジ要素を有している。さらに,第二スライド18b'のヒンジ要素は,第一スライド18bのスロット50内をスライドする横スライドアーム52,すなわちスライド18b'の軸方向部分と「L」を形成する部分から延びている。
【0077】
次に,本発明に係る吸入装置の動作について説明する。
【0078】
完全に閉じた装置構成から出発して,スライドまたは複数のスライドが前進位置にある状態で,少なくとも一つのカプセルをそれぞれのカプセルシートに挿入するために,本体は,まず,本体の一方の部分を他方の部分に対して回転させることによって開放される。この時点で,少なくとも一つのカプセルをそれぞれのカプセルシートに挿入することが可能である。その後,本体は閉じられる。
【0079】
この構成では,吸入装置は,使用の準備ができた少なくとも一つのカプセルを受け取り,保持可能であり,したがって,カプセルホルダー容器として機能し,カプセルに含まれる物質の吸入を後で実行することもできることに留意すべきである。
【0080】
ユーザーが吸入を実施しなければならないときには,スライドまたは複数のスライドが(同時にまたは連続した回数で)引き込まれた位置に並進され,それによって二つのカプセル部分の分離を引き起こす。
【0081】
この時点で,ユーザーはカバーを外し,マウスピースを介して吸入を進めることができる。
【0082】
吸入後,ユーザーは上記のようなロック歯の形状により空の二つのカプセル部分を容易に取り出すことができる。
【0083】
当業者であれば,以下の請求項の範囲から逸脱することなく,付随的なニーズを満たすために,本発明に係る吸入装置の実施形態に対して,いくつかの変更,調整,適応,および他の機能的に等価なものとの要素の置換を行うことができる。可能な実施形態に属するものとして記載された特徴の各々は,記載された他の実施形態とは独立して得ることができる。