(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】バッグインボックスおよびブランクシート
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20220927BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B65D77/06 E
B65D5/50 B
(21)【出願番号】P 2017054478
(22)【出願日】2017-03-21
【審査請求日】2019-12-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 勝博
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 傳美
(72)【発明者】
【氏名】万年 夏之
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】柳本 幸雄
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-26235(JP,A)
【文献】実開平6-3902(JP,U)
【文献】実開平5-68872(JP,U)
【文献】登録実用新案第3030527(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0004321(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0252075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D77/06
B65D5/50
B67D3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端を有する首部と、前記開口端を開閉可能な口栓とを有する容器と、前記容器を収容するための箱と、を有するバッグインボックスであって、
前記箱は、相互に平行に第1の方向に対向する一対の第1側面部と、前記第1側面部と直交する第2の方向に相互に平行に対向する一対の第2側面部と、前記第1の方向および前記第2の方向と直交する第3の方向に対向する底部および蓋部と、を有し、
前記容器は前記首部が前記蓋部側を向くように前記箱内に収容され、
前記蓋部は、前記第1側面部にそれぞれつながる一対の外フラップと、前記外フラップの内側に位置すると共に前記第2側面部にそれぞれつながる一対の内フラップと、を有し、
前記一対の内フラップは、前記第
1の方向と平行な折り曲げ罫線と、前記折り曲げ罫線の両端から各内フラップの先端辺にかけて一対のスリットと、前記底部に向けて前記第2の方向に沿って傾斜する傾斜部と、前記
傾斜部の先端辺にあって、前記箱内での第3の方向に沿って前記口栓の変位を抑えるための手段と、をそれぞれ有し、
前記一対の外フラップは、前記口栓と当接していることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項2】
前記手段は、前記首部の輪郭形状に対応した形状を有する凹部を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス。
【請求項3】
前記手段は、前記口栓の周囲の一部に当接し、第2の方向に関して前記口栓の位置を規制する保持部をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス。
【請求項4】
請求項1または請求項
3に記載のバッグインボックスの箱を構成するブランクシートであって、
矩形の第1面部と第1罫線を介して接続する矩形の第2面部と、
前記第2面部と前記第1罫線と平行な第2罫線を介して接続する矩形の第3面部と、
前記第3面部と前記第2罫線と平行な第3罫線を介して接続する矩形の第4面部と、
前記第1罫線と直角に対向する相互に平行に一対の第4罫線を介して前記第1面部とそれぞれに接続する一対の第1フラップと、
前記第2罫線と直角に対向する相互に平行に一対の第5罫線を介して前記第2面部とそれぞれに接続する一対の第2フラップと、
前記第3罫線と直角に対向する相互に平行に一対の第6罫線を介して前記第3面部とそれぞれに接続する一対の第3フラップと、
前記第4面部は、前記第3罫線と直角に対向する相互に平行に一対の第7罫線にそれぞれに接続する一対の第4フラップと、
を備え、
前記対向する方向の一方側に位置する前記第1フラップおよび前記第3フラップ、または、前記第2フラップおよび前記第4フラップは、前記第4罫線および前記第6罫線、または、前記第5罫線および前記第7罫線に沿って、前記第4罫線および前記第6罫線、または、前記第5罫線および前記第7罫線と平行に形成された第2折り曲げ罫線と、
前記第2折り曲げ罫線の両端から前記第4罫線および前記第6罫線、または、前記第5罫線および前記第7罫線のそれぞれ反対側の先端辺にわたって形成される一対の第1スリットと、
前記一対の第1スリットの間に位置している前記第2折り曲げ罫線と平行な第3折り曲げ罫線と、
前記第3折り曲げ罫線の両端から前記第4罫線および前記第6罫線、または、前記第5罫線および前記第7罫線のそれぞれ反対側の先端辺にわたって形成される一対の第2スリットと、
をさらに備えることを特徴とするブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグインボックスおよびブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体または液体と同様の流動体の輸送容器として、ドラム缶やスチール缶などが使用されている。ドラム缶やスチール缶などは頑丈で繰り返し使用できるが、容器重量が重く、輸送などの流通コストが高いという不便がある。
【0003】
そのため、近年ではドラム缶やスチール缶などよりも軽量であり、廃棄処理や輸送などしやすいバッグインボックスが採用されつつある。このバッグインボックスは、樹脂フィルム等の柔軟性を有した容器と、その容器を収容する段ボール等で作られる箱と、を用いた輸送容器である。その容器には、例えば醤油や酒などの食品類や洗剤、油、現像液等などの業務用流動体が収容される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッグインボックスの輸送等に際して、落下や何らかの衝撃が加わり、その衝撃により容器から内容物が漏れ出す可能性がある。漏れ出す要因として、流動体を収容する本体と流動体を出し入れする開口端が形成された首部との相対的な位置ずれや箱内での首部の位置ずれが生ずることを挙げることができる。このため、この衝撃に対する首部の位置ずれを防止できる構造が必要である。
【0005】
よって、本発明の目的は、バッグインボックスの落下や他の何らかの原因で容器の首部に衝撃が加わっても、液漏れが防止される構成の箱とそのためのブランクシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、開口端を有する首部と、前記開口端を開閉可能な口栓とを有する容器と、前記容器を収容するための箱と、を有するバッグインボックスであって、前記箱は、相互に平行に第1の方向に対向する一対の第1側面部と、前記第1側面部と直交する第2の方向に相互に平行に対向する一対の第2側面部と、前記第1の方向および前記第2の方向と直交する第3の方向に対向する底部および蓋部と、を有し、前記容器は前記首部が前記蓋部側を向くように前記箱内に収容され、前記蓋部は、前記第1側面部にそれぞれつながる一対の外フラップと、前記外フラップの内側に位置すると共に前記第2側面部にそれぞれつながる一対の内フラップと、を有し、前記一対の内フラップは、前記底部に向けて前記第2の方向に沿って傾斜する傾斜部と、各内フラップの先端辺にあって、前記箱内での第3の方向に沿って前記口栓の変位を抑えるための手段と、をそれぞれ有していることを特徴とする。なお、前記容器の前記口栓の直径は、前記首部より大きいことがより好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッグインボックスの容器の首部の開口端を開閉可能な口栓の変位が箱の内フラップに設けられた手段によって抑制されることで、液漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るバッグインボックスの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るバッグインボックスの断面図である。
【
図3】
図1に示した箱のブランクシートの平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るバッグインボックスの容器を収容する斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るバッグインボックスの斜視図である。
【
図6】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の第2実施形態に係るバッグインボックスの断面図および上面図である
【
図7】
図5に示した箱のブランクシートの平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るバッグインボックスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るバッグインボックスの斜視図である。このバッグインボックスは直方体形状の外観を有し、段ボール紙で作られる箱55と、この箱55の中に収容される容器52とで主要部が形成されている。容器52は、その内部には醤油や酒等の流動体が充填されている。また、容器52は、可撓性を有する容器本体54とこの容器本体54よりも比較的剛性の高い開口端51を有する首部53とを有し、この開口端51を介して、流動体の出し入れが行われる。さらに、容器52の開口端51は、首部53の直径よりも大きく、開閉可能な口栓56によって密閉される。したがって、箱55を開いて口栓56を外すことで流動体を外部へと取り出すことができる。なお、本発明において、箱55に収容される容器52は、可撓性を有するものであれば、その形状材質は特に限定されない。容器52は、例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどの公知の単層または複層のプラスチックフィルムによって成形したものを用いることができる。
【0011】
図1に示されるように、箱55は、相互に平行に第1の方向Cに対向する一対の第1側面部11、13と、第1側面部11、13と直交する第2の方向Dに相互に平行に対向する一対の第2側面部12、14と、第1の方向Cおよび第2の方向Dと直交する第3の方向Eに対向する底部30および蓋部40とを有する。なお、側面部を基準として底部30側を下とし、蓋部40側を上として以下に記述する。
【0012】
蓋部40は、第1側面部11、13にその上端辺である第4罫線L4、第6罫線L6を介してつながる一対の第1外フラップ21、22と、第1外フラップ21、22の内側に位置して第2側面部12、14にその上端辺である第5罫線L5、第7罫線L7を介してつながる一対の第1内フラップ23、24とを有している。後述するように、箱55を組み立てたときに、第1外フラップ21、22および第1内フラップ23、24の一部が重なり合うようになっている。また、底部30は、第1側面部11、13にその下端辺である第4罫線L4、第6罫線L6を介してつながる一対の第2外フラップ25、26と、第2外フラップ25、26の内側に位置して第2側面部12、14にその下端辺にそれぞれつながる一対の第2内フラップ27、28とを有している。蓋部40と同様に第2外フラップ25、26および第2内フラップ27、28が重なり合い、これらの部分が接合されている。
【0013】
図2は、本発明の第1実施形態にかかるバッグインボックスの断面図である。第1内フラップ23、24は、底部30と平行な第1内フラップ接合部23a、24aと、これらにそれぞれつながる一対の傾斜部29とを有している。この第1内フラップ接合部23a、24aは、箱55を塞ぐ際に、第1外フラップ21、22と接合される部分である。また、第1内フラップ23、24、それぞれの先端辺L23’、L24’の長手方向中央部には、箱55内での第3の方向Eに沿った口栓56の変位を抑えるための手段、すなわち、首部53の輪郭形状に対応した形状を有する切り欠き23C、24Cが形成されている。箱55に容器52が収容された状態では、第1内フラップ23、24の切り欠き23C、24Cが、容器52の首部53を取り囲む状態となり、箱55に対する首部53および口栓56を第1の方向Cおよび第2の方向Dの揺動が抑制される。本実施形態では、第1内フラップ23の先端辺L23’から第5罫線L5までの第1の方向Dに沿った長さBを、第2罫線L2から第3罫線L3までの長さAの2分の一よりも大きく設置している。そのため、第1内フラップ23、24の先端辺L23’、L24’は、これらが当接した状態で、口栓56より下の首部53に位置し、また第1外フラップ21、22と口栓56が当接するので、第3の方向Eの揺動も抑制することができる。
【0014】
箱55は、
図3に示すこのブランクシートから形成される。
【0015】
このブランクシートは、箱55の側面部を形成する矩形の第1面部11と第1罫線L1を介して接続する矩形の第2面部12を備えている。そして、第2面部12と第1罫線L1と平行な第2罫線L2を介して接続する矩形の第3面部13を備えている。また、第3面部13と第2罫線L2と平行な第3罫線L3を介して接続する矩形の第4面部14を備えている。したがって、各面部は、第1面部11、第2面部12、第3面部13および第4面部14の順につながっている。さらに、第1面部11には、第1罫線L1と平行な第8罫線L8を介して継ぎしろ15が接続している。本発明では、継ぎしろ15を第1面部11と接続させているが、第4面部14に接続するようにしてもよい。
【0016】
第1面部11には、第1罫線L1と直角に対向する平行な一対の第4罫線L4を介して第1フラップ21、25がそれぞれ接続している。そして、第2面部12には、第2罫線L2と直角に対向する平行な一対の第5罫線L5を介して第2フラップ23、27がそれぞれ接続している。また、第3面部13には、第3罫線L3と直角に対向する平行な一対の第6罫線L6を介して第3フラップ22、26がそれぞれ接続している。さらに、第4面部14には、第3罫線L3と直角に対向する平行な一対の第7罫線L7を介して第4フラップ24、28がそれぞれ接続している。
【0017】
第2フラップ23は、第5罫線L5と平行に先端辺L23’を有している。また、第2フラップ23は、先端辺L23’の両端にわたって、第5罫線L5と平行に形成された第1折り曲げ罫線L23を有している。また、第2フラップ23は、先端辺L23’に形成された切り欠き23Cを有している。第4フラップ24も同様に、第7罫線L7と平行な先端辺L24’を有しており、さらに、先端辺L24’の両端にわたって、第7罫線L7と平行に形成された第1折り曲げ罫線L24を有している。そして、第4フラップ24は、先端辺L24’に形成された切り欠き24Cを有している。
【0018】
この
図3で示したブランクシートを組み立て、箱55を形成する。第1面部11と第4面部14とを接合するための継ぎしろ15は、この第1面部11に第8罫線L8を介して接続されている。第4面部14と継ぎしろ15と重なり合う部分を接合し、四角形状にする。本発明では、継ぎしろ15を第4面部14の内側に重ね合わせて外部に露出しないようにしているが、継ぎしろ15を第4面部14の外側に重ね合わせて外部に露出するようにしてもよい。
【0019】
しかるのち、第2外フラップ25、26および第2内フラップ27、28を折り曲げ、第2内フラップ27、28が、第2フラップ25、26と接合され、底部30が形成される。この状態で、
図4に示すように、容器52を首部53が上を向くように箱55に収容する。次に、第1内フラップ23、24を折り曲げて先端辺L23’、L24’をそれぞれ当接させ、切り欠き23C,24Cを口栓56の首部53を取り囲むように位置させる。しかるのち、第1外フラップ21、22を折り曲げて、これと第1内フラップ接合部23a、24aとを重ね合わせて接合する。
【0020】
なお、第1実施形態の箱55は、シングルフルートと両面段ボールを貼合してなる複両面段ボールを用いてもよい。
【0021】
(第2実施形態)
本発明に係るバッグインボックスの第2実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、内フラップの切り欠きと、内フラップに先端辺から側面部との接続されている罫線までの長さが第1実施形態とは異なっている。以下、本実施形態に係る内フラップについて、主に第1実施形態との相違について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
図5および
図6に示されるように、第1実施形態と比べ異なり、第1内フラップ203、204は、第1内フラップ接合部203a、204aと、一対の傾斜部69と、一対の保持部301とを有している。また、この第1内フラップ接合部203a、204aは、蓋部40を形成する際に、第1外フラップ21、22と接合される部分である。第1内フラップ203、204、それぞれの先端辺L203’、L204’の中央部には、箱55内で第3の方向Eに沿って口栓56の変位を抑えるための手段、すなわち、第1内フラップ203、204それぞれに口栓56の周囲の一部に当接し、第2の方向Dに関して口栓56の位置を規制する一対の保持部301が形成されている。箱55に容器52を収容した状態では、第1内フラップ203、204の保持部301が、口栓56の一部に当接した状態で、第1の方向Dに口栓56を挟んで対向し、箱55に対して口栓56および首部53を第1の方向Cおよび第2の方向Dの揺動を抑制するようにしている。
【0023】
本実施形態では、
図8に示すように、各側面11、12、13、14の内面に接するように胴枠67が入れられている。
【0024】
図7に示すこのブランクシートの第1内フラップ203、204について説明する。
【0025】
第2フラップ203は、第5罫線L5と平行に第2折り曲げ罫線L203を有している。また、第2フラップ203は、第2折り曲げ罫線L203の両端から第2フラップ203の先端辺L203’にかけて一対の第1スリット203bを有している。そして、第2フラップ203は、一対の第1スリット203bの間に、第2折り曲げ罫線L203と平行な第3折り曲げ罫線203cを有している。さらに、第3折り曲げ罫線203cの両端から先端辺L203’にかけて第2スリット203dを有している。そして、第4フラップ204も同様に、第4フラップ204は、第7罫線L7と平行に第2折り曲げ罫線L204を有している。また、第4フラップ204は、第2折り曲げ罫線L204の両端から第4フラップ204の先端辺L204’にかけて一対の第1スリット204bを有している。そして、第4フラップ204は、一対の第1スリット204bの間に、第2折り曲げ罫線L204と平行な第3折り曲げ罫線204cを有している。さらに第3折り曲げ罫線204cの両端から先端辺L203’にかけて第2スリット204dを有している。
【0026】
図8に示すように、箱55の内面に接するように胴枠67を入れ、容器52を首部53が蓋部40側に向くように箱55に収容する。第1内フラップ203、204の保持部301を口栓56の周囲の一部に当接させる。第1内フラップ接合部203a、204aと第1外フラップ21,22の内側と接合するように重ね合わせる。
【0027】
以上、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0028】
11、12、13、14 側面部
21、22、23、24、25、203、204 フラップ
23C、24C 切り欠き
301 保持部
29 傾斜部
52 容器
53 首部
55 箱
56 口栓