(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
E04B2/74 561J
E04B2/74 561E
(21)【出願番号】P 2017208953
(22)【出願日】2017-10-30
【審査請求日】2020-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 延忠
(72)【発明者】
【氏名】巴 大輔
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-018841(JP,U)
【文献】特開2001-211978(JP,A)
【文献】特開2001-262923(JP,A)
【文献】特開2001-262748(JP,A)
【文献】実開昭52-147556(JP,U)
【文献】特開平03-047385(JP,A)
【文献】特開昭58-028372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のパネルと、
前記パネルの厚み方向における端部に位置し、前記一対のパネル同士を互いに連結
する、可撓部を有するヒンジと、を備え、
前記一対のパネルは、それぞれのパネル面同士が互いに向かい合う折り畳み状態と、前記折り畳み状態から前記パネル面同士のなす角を広げた展開状態と、の間で前記ヒンジ回りに揺動可能に構成され、
上面視において前記一対のパネル
が延びる方向における前記ヒンジ側の端部のそれぞれには、
前記パネルの厚み方向における中央位置に対して前記ヒンジと同じ側に、上面視において前記パネル面に対して角度αをなす直線状に形成された角度規制部
と、
前記角度規制部の端部から、前記中央位置に対して前記ヒンジおよび前記角度規制部とは反対側まで延びる曲面と、が設けられており、
前記展開状態における上面視において、前記一対のパネルに設けられた一対の前記曲面同士の間隔は、前記厚み方向において前記ヒンジおよび前記角度規制部とは反対側に向かうにしたがって広がっている、パーティション。
【請求項2】
前記角度αが90°より大き
い、請求項
1に記載のパーティション。
【請求項3】
前記一対のパネルのうち少なくとも一方の上端部および下端部にそれぞれ前記角度規制部が設けられている、請求項1から
2のいずれか1項に記載のパーティション。
【請求項4】
前記一対のパネルがキャスターを備えている、請求項1から
3のいずれか1項に記載のパーティション。
【請求項5】
複数の走行体が設けられた土台と、
前記土台に固定された揺動支持部と、を備え、
前記一対のパネルの一方は、前記揺動支持部によって揺動可能に支持されている、請求項1から
4のいずれか1項に記載のパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されるように、複数のパネルを備え、各パネルを折り畳んだり展開したりできるように構成されたパーティションが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のパネルを展開した際、例えば各パネルが上面視で一直線状に延びた姿勢となった場合には、各パネルが延びる平面に対して直交する方向に、これらのパネルが倒れやすくなってしまう。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、複数のパネルを展開した際に、各パネルが一直線状に延びた姿勢となることを防止したパーティションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様に係るパーティションは、一対のパネルと、前記一対のパネル同士を互いに連結するヒンジと、を備え、前記一対のパネルは、それぞれのパネル面同士が互いに向かい合う折り畳み状態と、前記折り畳み状態から前記パネル面同士のなす角を広げた展開状態と、の間で前記ヒンジ回りに揺動可能に構成され、前記一対のパネルのうち少なくとも一方には、前記パネル面同士のなす角が所定の角度以上となることを規制する角度規制部が設けられている。
【0007】
上記第1態様によれば、角度規制部が、一対のパネル同士がなす角が所定の角度以上となることを規制する。このため、各パネルを開いた際に、これらのパネルが上面視で一直線状に延びることが防止され、パネルを倒れにくくすることができる。
【0008】
ここで、前記角度規制部は、前記一対のパネルの前記ヒンジ側の端部にそれぞれ設けられ、前記パネル面同士のなす角が前記所定の角度となったとき、前記一対のパネルの前記角度規制部同士が互いに当接してもよい。
【0009】
この場合、角度規制部が各パネルのヒンジ側の端部に設けられていることで、パネルを展開状態としたときに、角度規制部が目立たなくなる。従って、パーティションの外観を良好にすることができる。
【0010】
また、上面視において、前記角度規制部が、当該角度規制部が設けられたパネルのパネル面に対して角度αをなす直線状に形成され、前記角度αが90°より大きくてもよい。
【0011】
この場合、角度規制部が直線状に形成されていることで、角度規制部同士が互いに当接した際の接触面積が大きくなり、角度規制部に作用する応力が小さく抑えられ、角度規制部の強度を向上させることができる。また、角度αが90°より大きいため、展開状態となった一対のパネルのパネル面同士がなす角が自ずと180°より小さくなる。従って、これらのパネルが一直線状に延びることをより確実に抑えることができる。
【0012】
また、前記一対のパネルのうち少なくとも一方の上端部および下端部にそれぞれ前記角度規制部が設けられていてもよい。
【0013】
この場合、パネルの上端部および下端部にそれぞれ角度規制部が配されることで、パネルが上下方向に対して捻じれるように変形することが抑えられる。さらに、角度規制部に作用する力が、上下に分散されて小さくなるため、パネルの強度を向上させることができる。また、一対のパネル同士が開き得る最大角度を変更する際には、パネルの上端部および下端部のそれぞれの形状を変更すれば足りるため、設計自由度の高いパーティションとすることができる。
【0014】
また、前記一対のパネルがキャスターを備えていてもよい。
【0015】
この場合、パネルを移動しやすくすることができる。なお、パネルがキャスターを備えている場合は、パネル同士の角度が変化しやすくなり、パネルが一直線上に延びることによる上述した課題が生じやすくなる。しかしながら、上記した通りパネルに角度規制部を設けることで、このような課題を抑えることができるため、パネルが倒れにくく、かつ移動させることが容易なパーティションを提供することができる。
【0016】
また、前記パーティションは、複数の走行体が設けられた土台と、前記土台に固定された揺動支持部と、を備え、前記一対のパネルの一方は、前記揺動支持部によって揺動可能に支持されていてもよい。
【0017】
この場合、上述したようにパネルが倒れにくく、かつ移動させることが容易なパーティションを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のパネルを展開した際に、各パネルが一直線状に延びた姿勢となることを防止したパーティションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係るパーティションの展開状態における斜視図である。
【
図4】折り畳み状態におけるパーティションの上面図である。
【
図5】(a)は
図1の揺動支持部近傍の上面図である。(b)は(a)の正面図である。
【
図6】(a)はヒンジ近傍の上面図である。(b)は(a)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態のパーティションについて図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0021】
図1に示すように、パーティション1は、複数のキャスター(走行体)50が設けられた土台10と、土台10に立設された支柱20と、支柱20を介して土台10に接続されたパネル群30と、を備える。パネル群30は、
図1~3に示す展開状態と、
図4に示す折り畳み状態と、の間で、土台10に対する位置を変化させることができるように構成されている。パネル群30は、支柱20に接続された第1パネル40Aと、第1パネル40Aに連結された第2パネル40Bと、第2パネル40Bに連結された複数の副パネル40Cと、を含んでいる。各パネル40A~40Cは、板状を呈している。折り畳み状態は、各パネル40A~40Cのパネル面(パネル本体42の面)同士を互いに向い合せた状態であり、展開状態は、折り畳み状態から前記パネル面同士のなす角を広げた状態である。
【0022】
(方向定義)
ここで本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。Z軸が延びる方向は上下方向である。Y軸が延びる方向(パネル幅方向)は、パネル群30が折り畳まれた状態(
図4参照)において、上面視で各パネル40A~40Cが延びる方向である。X軸が延びる方向(直交方向)は、パネル幅方向および上下方向の双方に直交する方向である。以下、パネル幅方向における一方側を単に+Y側といい、パネル幅方向における他方側を単に-Y側という。同様に、直交方向における一方側を単に+X側といい、直交方向における他方側を単に-X側という。
以下の説明では、パネル群30を展開させた際に、パネル群30の-X側の端部が土台10から直交方向に最も離れる状態を「展開状態」という。すなわち、以下の説明における展開状態とは、各パネル40A~40Cが最も開かれた状態をいう。
【0023】
(土台)
図1および
図2に示すように、土台10は、パネル幅方向に延びる縦梁部11と、縦梁部11のパネル幅方向における両端部にそれぞれ配された一対の横梁部12と、を備えている。縦梁部11は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。上面視において、縦梁部11は、パネル幅方向における長さが直交方向における長さよりも大きい長方形状に形成されている。縦梁部11のパネル幅方向における長さは、折り畳み状態にある各パネル40A~40Cのパネル幅方向における幅よりも大きい。一対の横梁部12はそれぞれ、縦梁部11のパネル幅方向における両端部を基点として、+X側および-X側の双方に向けて延びている。折り畳み状態にある各パネル40A~40Cは、上面視において、一対の横梁部12同士の間に位置する(
図4参照)。
【0024】
一対の横梁部12の直交方向における両端部の下面にはそれぞれ、土台10を移動可能に支持するキャスター50が取り付けられている。キャスター50は、このキャスター50の床面に対する走行を規制するロック機構を有している。なお、キャスター50に代えて、戸車などの他の走行体を土台10に設けてもよい。
土台10は、各パネル40A~40Cの倒れを抑止するため、比較的質量の大きい部材となっている。
【0025】
(支柱)
支柱20は、縦梁部11のパネル幅方向における中央部に立設されている。支柱20は、表裏面がパネル幅方向を向く板状に形成されている。支柱20は、各パネル40A~40Cを支えて、これらのパネル40A~40Cが倒れることを抑止する役割を有している。このため、支柱20も土台10と同様に、比較的質量の大きい部材となっている。
【0026】
図1に示すように、支柱20のうち、+X側を向く端面には、操作部60が設けられている。操作部60は、パーティション1を移動させる場合に、使用者が把持して押したり引いたりする部分である。操作部60は、上下方向に延びる把持部61と、把持部61の上下両端部から-X側に延びる一対の連結部62と、を有し、パネル幅方向から見てC字状に形成されている。把持部61は、縦梁部11よりも+X側に位置している。連結部62は、把持部61を支柱20に連結している。
【0027】
図4に示すように、支柱20のうち-X側を向く端面には、当接部材26が設けられている。当接部材26は、支柱20に固定された固定部26aと、折り畳み状態の第1パネル40Aに当接する当接部26cと、固定部26aおよび当接部26cを互いに接続する接続部26bと、を有し、上面視でZ字状に形成されている。当接部材26は曲げられた板状の部材であり、固定部26aおよび当接部26cの各表裏面は直交方向を向き、接続部26bの表裏面はパネル幅方向を向いている。
【0028】
図1に示すように、支柱20の上端部および下端部にはそれぞれ、オフセット部材21が設けられている。一対のオフセット部材21は、支柱20の-Y側を向く端面から、-Y側に向けて延びている。一対のオフセット部材21の-Y側の端部にはそれぞれ、揺動支持部22が設けられている。一対の揺動支持部22は、オフセット部材21および支柱20を介して土台10に固定されている。一対の揺動支持部22は、第1パネル40Aを上下方向で挟んで配置されている。
【0029】
(揺動支持部)
一対の揺動支持部22は、互いに同様の構成を有している。以下、一対の揺動支持部22を代表させて、上側の揺動支持部22の構成について説明する。
図5(b)に示すように、上側の揺動支持部22の下面には、上方に向けて窪む凹部22aが形成されている。凹部22aは、揺動支持部22の-X側の端部から、揺動支持部22の直交方向における中央部にかけて形成されている。
図5(a)に示すように、凹部22aの内面の少なくとも一部は、-Y側を向き、+Y側に向かうに従って漸次-X側に向けて延びる傾斜面22bとされている。揺動支持部22には、上下方向に延びるピンPが設けられている。ピンPの少なくとも一部は、凹部22a内に位置しており、ピンPの下端部は第1パネル40Aの不図示の孔部内に遊嵌されている。この構成により、揺動支持部22が第1パネル40Aを揺動可能に支持している。
【0030】
また、
図5(a)では、展開状態にある第1パネル40Aを実線で示し、折り畳み状態にある第1パネル40Aを2点鎖線で示している。
図5(a)の実線で示すように、第1パネル40Aが展開状態にある場合、第1パネル40Aの後述する上フレーム43が、傾斜面22bに当接する。この構成により、第1パネル40Aの土台10に対する所定量以上の揺動が規制される。
【0031】
以上説明した通り、各揺動支持部22には、上下方向における内側の端面から上下方向における外側に向けて窪む凹部22aが形成され、凹部22aの内面の少なくとも一部が、-Y側を向き、+Y側に向かうに従って漸次-X側に向けて延びる傾斜面22bとされている。また、各揺動支持部22には、上下方向に延びるピンPが設けられ、ピンPの上下方向における内側の端部は、第1パネル40Aの不図示の孔部内に遊嵌されている。この構成により、一対の揺動支持部22は、第1パネル40Aを揺動可能に支持している。
なお、揺動支持部22の構成は、上記に限定されない。例えば揺動支持部22が、第1パネル40Aをオフセット部材21に対して揺動可能に接続する蝶番などを有していてもよい。
【0032】
(パネル群)
図1に示すように、各パネル40A~40Cは、蛇腹状に接続されており、直交方向に展開可能に構成されている。少なくとも一部のパネル40A~40Cの下端部には、シャフト51を介して、キャスター50が設けられている。なお、全てのパネル40A~40Cにそれぞれキャスター50を設けてもよい。また、1つのパネルに複数のキャスター50を設けてもよい。
第1パネル40Aは、パネル群30のうち、最も土台10側に位置している。第1パネル40Aは、揺動支持部22によって、土台10および支柱20に対して揺動可能に支持されている。揺動支持部22は、第1パネル40Aの-Y側の端部を支持している。
【0033】
各パネル40A~40Cは同様の構成を有しているため、これらのパネル40A~40Cを代表させて第1パネル40Aの構成について説明する。
図3に示すように、第1パネル40Aは、長方形の枠状に形成されたフレーム41と、フレーム41内に嵌め込まれたパネル本体42と、を備えている。フレーム41は、上フレーム43、一対の縦フレーム44、および下フレーム45を有している。上フレーム43はパネル本体42の上方に位置し、下フレーム45はパネル本体42の下方に位置している。上フレーム43および下フレーム45は、第1パネル40Aが折り畳み状態にある場合、パネル幅方向に延びている。一対の縦フレーム44は、上下方向に延びており、上フレーム43および下フレーム45のパネル幅方向における両端部同士を接続している。
【0034】
図1に示すように、パネル群30のうち、最も-X側に位置する副パネル40Cには、副操作部70が設けられている。副操作部70は、上下方向に延びる把持部71と、把持部71の上下両端部と副パネル40Cとを接続する一対の連結部72と、を有している。副操作部70は、操作部60と同一種類の部品であってもよい。
【0035】
(ヒンジ)
第1パネル40Aおよび第2パネル40Bは、
図6(a)に示すヒンジ80によって、互いに揺動可能に連結されている。なお、図示は省略するが、第2パネル40Bと副パネル40C、および副パネル40C同士も、同様のヒンジ80によって、互いに揺動可能に連結されている。
図6(a)に示すように、ヒンジ80は、一対の係止部81と、係止部81同士を互いに連結する可撓部82と、を有している。一対の係止部81および可撓部82は、上下方向に延びている。各係止部81は、上面視で略三角形状を呈しており、パネル40Aなどの縦フレーム44内に係止されている。
【0036】
一対の係止部81と可撓部82とは、異なる材質によって一体に形成されている。係止部81の材質としては、例えば硬質の塩化ビニル樹脂などの、高い剛性を有した樹脂材料が適している。可撓部82の材質としては、例えば軟質の塩化ビニル樹脂などの、可撓性の大きい樹脂材料が適している。ヒンジ80は、二色成型によって成形されていてもよい。
【0037】
なお、
図6(b)に示すように、展開状態において、隣り合う一対のパネルにおける縦フレーム44同士の間には隙間が生じるが、この隙間は可撓部82によって覆われる。すなわち、可撓部82は、隣り合う一対のパネル間に生じる隙間を埋める役割を有している。
【0038】
ここで、
図6(a)に示すように、パネル40A、40Bの各上フレーム43におけるヒンジ80側の端部にはそれぞれ、角度規制部43aが設けられている。角度規制部43aは、上面視において、上フレーム43の-Y側を向く面に対して角度αをなす直線状に形成されている。角度αは、90°より大きい角度であり、一例では105°である。
【0039】
図6(b)に示すように、角度規制部43aは、上下方向に延びている。図示は省略するが、角度規制部43aは、パネル40A、40Bの各下フレーム45にも設けられている。また、角度規制部43aは、第2パネル40Bおよび副パネル40Cの、これらパネル同士を連結するヒンジ側の端部にも設けられている。同様に、隣り合う一対の副パネル40Cの、これら副パネル40C同士を連結するヒンジ側の端部にも、同様の角度規制部43aが設けられている。
【0040】
次に、以上のように構成されたパーティション1の作用について説明する。
【0041】
例えば土台10に設けられた各キャスター50のロック機構などを作動させて土台10を固定した状態で、副操作部70を把持して-X側に引っ張ると、パネル群30を展開することができる。このとき、第1パネル40Aが、揺動支持部22のピンP回りに揺動するとともに、隣り合うパネル40A~40C同士がそれぞれヒンジ80回りに揺動する(
図1、
図4等参照)。
【0042】
ここで、隣り合う一対のパネル同士が所定の角度まで開かれると、
図6(a)に示すように、当該一対のパネルの角度規制部43a同士が当接し、一対のパネルがそれ以上開かない状態となる。このとき、上面視において、隣り合う一対のパネルのパネル面42a同士がなす角度は、360°-2×αとなる。また、αは90°より大きい角度であるため、上記パネル面42a同士がなす角度は180°より小さくなる。例えばαが105°である場合には、上記パネル面同士がなす角度は150°となる。
【0043】
隣り合う一対のパネルのパネル面42a同士がなす角度が180°より小さくなるため、パネル群30を展開状態にすると、
図2に示すように、各パネル40A~40Cが上面視でジグザグ状(屏風状)に配置されることになる。これにより、各パネル40A~40Cが+Y側若しくは-Y側に倒れにくくなり、パーティション1の姿勢を安定させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のパーティション1によれば、角度規制部43aが、隣り合う一対のパネル同士がなす角が所定の角度以上となることを規制する。そして、角度規制部43aが、当該角度規制部43aが設けられたパネルのパネル面42aに対して角度αをなす直線状に形成され、角度αが90°より大きくなっている。この構成により、隣り合う一対のパネル同士がなす角度が180°より大きくなることが規制され、パネル群30を展開状態とした際に、パネル40A~40Cが上面視で一直線状に延びることが防止される。従って、展開状態におけるパネル40A~40Cをジグザグ状(屏風状)に配置して、倒れにくくすることができる。
【0045】
また、角度規制部43aが各パネル40A~40Cのヒンジ80側の端部に設けられていることで、パネル群30を展開状態としたときに、角度規制部43aが目立たなくなる。従って、パーティション1の外観を良好にすることができる。
【0046】
また、角度規制部43aが上面視で直線状に形成されているため、角度規制部43a同士が互いに当接した際の接触面積を大きくして、角度規制部43aに作用する応力を小さく抑えることができる。従って、角度規制部43aの強度を向上させることができる。
また、角度規制部43aが上下方向に延びていることで、上記接触面積がさらに大きくなり、角度規制部43aに作用する応力をより低減することができる。
【0047】
また、パネル40A~40Cの上端部および下端部にそれぞれ角度規制部43aが配されることで、パネル40A~40Cが上下方向に対して捻じれるように変形することが抑えられる。さらに、角度規制部43aに作用する力が、上下に分散されて小さくなるため、パネルの強度をより向上させることができる。また、一対のパネル同士が開き得る最大角度を変更する際には、パネルの上端部(上フレーム43)および下端部(下フレーム45)のそれぞれの形状を変更すれば足りるため、設計自由度の高いパーティション1とすることができる。
【0048】
また、揺動支持部22が、第1パネル40Aを上下方向で挟んで一対配置され、支柱20の上端部および下端部には、パネル幅方向に延び、かつ一対の揺動支持部22をそれぞれ支持する一対のオフセット部材21が設けられている。この構成により、第1パネル40Aを支柱20に揺動可能に接続するとともに、第1パネル40Aの外観を他のパネル40B、40Cの外観と同等にすることができる。
【0049】
また、パネル40A~40Cがキャスター50を備えているため、パネル40A~40Cを移動しやすくすることができる。なお、キャスター50があることでパネル40A~40C同士の角度が変化しやすくなり、パネル40A~40Cが一直線上に延びた状態になりやすくなるとも考えられる。しかしながら、上記した通りパネル40A~40Cに角度規制部43aを設けることで、このような課題を抑えることができため、パネル40A~40Cが倒れにくく、かつ移動させることが容易なパーティション1を提供することができる。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば前記実施形態のパーティション1は5枚の副パネル40Cを備えているが、副パネル40Cの数は適宜変更可能である。例えば、副パネル40Cは設けられていなくてもよいし、4枚以下あるいは6枚以上の副パネル40Cが設けられていてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、隣り合う一対のパネルにそれぞれ角度規制部43aが設けられていたが、角度規制部43aは一対のパネルの少なくとも一方に設けられていてもよい。
また、角度規制部43aは、各パネル40A~40Cの上端部または下端部のいずれか一方に設けられていてもよい。
【0053】
また、土台10は、キャスター50を備えていなくてもよい。
あるいは、パーティション1は、土台10を備えていなくてもよい。この場合、例えば揺動支持部22が壁面などに固定されていてもよい。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…パーティション 10…土台 22…揺動支持部 30…パネル群 40A…第1パネル 40B…第2パネル 40C…副パネル 42a…パネル面 43a…角度規制部 50…キャスター 60…操作部 X…直交方向 Y…パネル幅方向 Z…上下方向