(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】発電プラントの始動時間を予測し強化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F01D 19/00 20060101AFI20220927BHJP
F02C 9/00 20060101ALI20220927BHJP
F01D 21/00 20060101ALI20220927BHJP
F02C 7/262 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F01D19/00 R
F02C9/00 B
F01D19/00 A
F01D21/00 M
F02C7/262
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018029306
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ラジェーブ・クマール・ベルマ
(72)【発明者】
【氏名】ビクラム・スリニバサ・ムラリダラン
(72)【発明者】
【氏名】プラモドクマール・ヤダブ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エドワード・スウィート
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・オーガスト・スナイダー
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0146118(US,A1)
【文献】特開2011-069356(JP,A)
【文献】特開2016-156306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0030582(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308347(US,A1)
【文献】特開2017-025819(JP,A)
【文献】特開昭59-018240(JP,A)
【文献】特開平09-152903(JP,A)
【文献】特開平07-180567(JP,A)
【文献】特開昭62-118012(JP,A)
【文献】特開2015-227633(JP,A)
【文献】特開昭61-173306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
F01D 13/00-15/12;23/00-25/36
F01D 17/00-21/20
F01K 1/00-21/26
F01K 23/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1以上のプロセッサ実行可能命令が、コントローラ(56)のプロセッサ(58)によって実行された場合に、
ガスタービンエンジン(24)の周囲条件及び前記ガスタービンエンジン(24)の1以上の動作条件を表す1以上の信号を取得する動作と、
前記周囲条件及び前記1以上の動作条件に基づいて前記ガスタービンエンジン(24)の始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作と、
ディスプレイに前記ガスタービンエンジン(24)の始動時間の予測された持続時間を表示させる動作と
を含む動作を実行させ、
前記始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作が、前記始動時間中に前記ガスタービンエンジン(24)のパージ持続時間を予測するための履歴学習モデル(74)を実行する動作を含み、前記始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作が、排気温度の低下率及び前記低下率のパージ持続時間への影響を決定するためのヒートソークモデル(76)を実行する動作を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項2】
前記実行される動作が、前記ガスタービンエンジン(24)が現時刻より後の時刻に始動されるとした場合に、前記周囲条件及び前記1以上の動作条件に基づいて、前記ガスタービンエンジン(24)の第1の始動時間の現在の持続時間及び前記ガスタービンエンジン(24)の第2の始動時間の将来の持続時間を予測するためにモデル(70)を実行する動作を含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項3】
前記始動時間の持続時間を予測する動作が、前記ガスタービンエンジン(24)の空気流量を決定するために排気体積流量モデル(72)を実行する動作を含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項4】
前記排気体積流量モデル(72)が、種々の周囲条件における前記ガスタービンエンジン(24)のシャフト速度を利用する、請求項3に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項5】
排気温度の低下率及び前記低下率のパージ持続時間への影響を決定する動作が、ガスタービンエンジン(24)の始動のタイプに基づく空気密度変動に起因するヒートソーク変動に少なくとも基づく、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
前記始動時間の持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作が、前記ガスタービンエンジン(24)を始動するための特定の期間中の特定の時間を決定する動作を含み、前記実行される動作が、前記ガスタービンエンジン(24)を始動させるための特定の時間の表示を前記ディスプレイに表示させる動作を含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項7】
前記始動時間の持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作が、
特定の時間に前記ガスタービンエンジン(24)を始動することによって節約されるNOxの量を予測し決定するためにNOxモデル(75)を実行する動作を含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
1以上のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1以上のプロセッサ実行可能命令が、コントローラ(56)のプロセッサ(58)によって実行された場合に、
発電プラントの複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)についての周囲条件及び1以上の動作条件を表す1以上の信号を取得する動作と、
前記周囲条件及び前記1以上の動作条件に基づいて、特定の期間中の様々な時間における前記複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)の始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作と、
前記特定の期間中の様々な時間における前記複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)の始動時間の予測された持続時間をディスプレイに表示させる動作と
を含む動作を実行させ、
前記始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作が、前記始動時間中に前記ガスタービンエンジン(24)のパージ持続時間を予測するための履歴学習モデル(74)を実行する動作を含み、前記始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作が、排気温度の低下率及び前記低下率のパージ持続時間への影響を決定するためのヒートソークモデル(76)を実行する動作を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記実行される動作が、前記モデル(70)を実行して、プラント全体の始動時間を改善するために、前記発電プラント内の複数のガスタービンエンジン(24)の始動順序を決定する動作を含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記実行される動作が、前記モデル(70)を実行して前記発電プラントにいつ停止が必要となるかを決定する動作と、前記停止がいつ必要となるかの表示を提供する動作とを含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、発電プラント、より具体的には、発電プラントの始動を予測して強化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の発電プラントには複合サイクルが含まれる。複合サイクルは、例えば、排熱によって通常失われたであろうエネルギーを取り込むことによって、より大きなエネルギー効率を可能にすることができる。したがって、複合サイクルは、排熱から有用な動力にエネルギーを変換するシステムを含むことができる。燃料がガスタービンエンジンの燃焼器に供給される。ガスタービンエンジンは、次に、発電用の発電機を駆動するか、または別のタイプの負荷を駆動する。ガスタービンエンジンからの排気は、(例えば、蒸気タービン用の蒸気を生成するために)熱回収システムに供給することができる。このように、複合サイクル発電プラントは、燃料および排熱を動力に変換するのに有用であり得る。複合サイクル発電プラントの始動時間は、ガスタービン、熱回収蒸気発生器(HRSG)、ボイラー、ダクトバーナ、および蒸気タービンなどの発電プラントの様々な下位構成要素に大きく依存する場合がある。通常、各ガスタービンエンジンの最高速度無負荷動作状態までの始動時間は、動作シナリオ(例えば、周囲条件、ガスタービン動作条件など)に関係なく一定である。これは、発電プラントの効率を制限する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
最初に特許請求する発明の範囲に相応する特定の実施形態を、以下に要約する。これらの実施形態は特許請求される発明の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ、これらの実施形態は本発明の可能性がある形態の概要を提供しようとするものにすぎない。実際、本発明は、以下に記載する実施形態に類似してもよく、あるいは異なってもよい様々な形態を含むことができる。
【0005】
第1の実施形態によれば、1つまたは複数のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、1つまたは複数の命令は、コントローラのプロセッサによって実行された場合に、動作を実行させる。実行される動作は、ガスタービンエンジンの周囲条件と1つまたは複数の動作条件とを表す1つまたは複数の信号を取得する動作と、周囲条件および1つまたは複数の動作条件に基づいてガスタービンエンジンの始動時間の持続時間を予測するモデルを実行する動作と、ディスプレイにガスタービンエンジンの始動時間の予測された持続時間を表示させる動作と、を含む。
【0006】
第2の実施形態によれば、1つまたは複数のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、1つまたは複数の命令は、コントローラのプロセッサによって実行された場合に、動作を実行させる。実行される動作は、発電プラントの複数のガスタービンエンジンの各ガスタービンエンジンについての周囲条件および1つもしくは複数の動作条件を表す1つまたは複数の信号を取得する動作と、周囲条件および1つもしくは複数の動作条件に基づいて、特定の期間についての異なる時間またはシフトにおける複数のガスタービンエンジンの各ガスタービンエンジンの始動時間の持続時間を予測するためのモデルを実行する動作と、特定の期間中の異なる時間またはシフトにおける複数のガスタービンエンジンの各ガスタービンエンジンの始動時間の予測された持続時間をディスプレイに表示させる動作と、を含む。
【0007】
第3の実施形態では、方法が提供される。本方法は、プロセッサにおいて、発電プラントの複数のガスタービンエンジンの各ガスタービンエンジンについての周囲条件および1つもしくは複数の動作条件を表す1つまたは複数の信号を取得するステップを含む。本方法はまた、プロセッサ上で、周囲条件および1つもしくは複数の動作条件に基づいて、特定の期間についての異なる時間またはシフトにおける複数のガスタービンエンジンの各ガスタービンエンジンの始動時間の持続時間を予測するためのモデルを実行するステップを含む。本方法は、プロセッサにより、特定の期間中の異なる時間またはシフトにおける複数のガスタービンエンジンの各ガスタービンエンジンの始動時間の予測された持続時間をディスプレイに表示させるステップをさらに含む。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。図面を通じて、同様の符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】熱回収蒸気発生器(HRSG)に結合されたガスタービンを有する複合サイクルシステムの一実施形態の概略図である。
【
図2】複合サイクルシステムの始動時間を予測して強化するためのモデルの一実施形態の概略図である。
【
図3】単一の複合サイクルシステムの始動時間を予測して強化するための方法の一実施形態の流れ図である。
【
図4】マルチユニット複合サイクルシステムの始動時間を予測して強化するための方法の一実施形態の流れ図である。
【
図5】始動時間を管理し、補助動力およびNO
xの低減を推定し、複合サイクルガスタービンシステムの寿命への影響を予測するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一実施形態のスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つまたは複数の具体的な実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されていなくてもよい。エンジニアリングまたは設計プロジェクトのような実際の実施の開発においては、開発者の特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約条件への対応等実施に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約条件は実施ごとに異なる可能性があることが理解されるべきである。さらに、このような開発作業は複雑で時間がかかるかもしれないが、にもかかわらず、この開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることが理解されるべきである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するとき、「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」という冠詞は、それらの要素が1つまたは複数存在することを意味するものである。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的なものであって、列挙された要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味している。
【0012】
開示される実施形態は、発電プラント(例えば、複合サイクル発電プラント)のガスタービン始動時間を予測して強化する(例えば、改善する)ためのシステムおよび方法を含む。実施形態は、発電プラントの個々の複合サイクルガスタービンエンジンの始動時間を予測して強化するために、複合サイクルガスタービンの周囲条件および1つもしくは複数の動作条件を利用するモデル(例えば、物理ベースのモデル)を利用することを含む。特に、このモデルは(例えば、少なくとも排気体積流量モデルを利用する)、現在の時刻および将来の時刻における各複合サイクルガスタービンエンジンの始動時間の持続時間を予測して強化する(例えば、改善する)ことができる。特定の実施形態では、このモデルは、発電プラントのガスタービンエンジンの始動順序を決定することができる。開示される実施形態は、各複合サイクルガスタービンエンジンおよび発電プラント全体の始動時間を短縮することができる。さらに、開示される実施形態は、発電プラントの構成要素のハードウェア寿命消費の影響を予測することができる。さらに、開示される実施形態は、始動中の消費される補助動力およびNOxを低減し予測することができる。
【0013】
上記を念頭に置いて、
図1は、システム10(例えば、統合ガス化複合サイクル(IGCC)発電プラントなどの複合サイクル発電プラント(CCCP))の一実施形態のブロック図であり、IGCCシステムの一部を形成することができるHRSG12などの熱回収システム(例えば、一回通過またはダクト燃焼)を含む。IGCCシステム10が示されているが、システムは異なるCCCPであってもよい。HRSG12の入口部分22は、排気ガス20をHRSG12に供給するガスタービン24に流体結合されている。例えば、ガスタービン24は、燃料26を燃焼させて第1の負荷28を駆動し、排気ガス20を生成する。第1の負荷28は、例えば、電力を生成する発電機であってもよい。ガスタービン24は、タービン30、燃焼器もしくは燃焼室32、および圧縮機34を含むことができる。しかしながら、ガスタービン24の特定の構成は、実施態様に特有のものであってもよく、タービン段、圧縮機段および燃焼器の任意の数および構成を含んでもよい。単一のガスタービン24のみが示されているが、システム10は、複数のガスタービンエンジン24を含んでもよい。
【0014】
特定の実施形態では、例えば統合動作中に、ガスタービン24は、IGCCシステムのガス化装置36で生成された合成ガス35を燃料26として利用することができる。他の実施形態では、ガスタービン24は、(例えば、非統合動作中に)限定はしないが、天然ガス、留出物、またはこれらの組み合わせなどのバックアップ燃料38を燃料26として使用することができる。留意すべきことであるが、ガスタービン24はまた、合成ガス35とバックアップ燃料38との混合物を燃料26として使用してもよい。ガスタービン24によって使用される燃料26のタイプは、負荷28の動力要件に基づいて決定されてもよい。特定の実施形態では、排気ガス20の組成および温度は、ガスタービン24によって使用される燃料26のタイプに基づいて変化し得るので、HRSG12は、HRSG12内の蒸気の効率的な生成のために排気ガス20を所望の温度に加熱するダクトバーナを含むことができる。
【0015】
システム10はまた、第2の負荷48を駆動するための蒸気タービン46を含むことができる。第1の負荷28と同様に、第2の負荷48は、電力を生成するための発電機であってもよい。しかしながら、第1の負荷28および第2の負荷48の両方が、ガスタービン24および蒸気タービン46によって駆動可能な他のタイプの負荷であってもよい。さらに、ガスタービン24および蒸気タービン46は、図示する実施形態に示すように、別個の負荷28、48を駆動してもよいが、ガスタービン24および蒸気タービン46をタンデムで利用して、単一のシャフトを介して単一の負荷を駆動してもよい。
【0016】
システム10などの複合サイクルシステムでは、高温の排気(例えば排気ガス20)がガスタービン24から流れてHRSG12を通過して、過熱蒸気などの高圧高温の蒸気を発生させることができる。HRSG12によって生成された蒸気は、発電のために蒸気タービン46を通過することができる。さらに、生成された蒸気は、過熱蒸気を使用する任意の他のプロセスに供給されてもよい。ガスタービン24の生成サイクルは、しばしば「トッピングサイクル」と呼ばれ、蒸気タービン46の生成サイクルは、しばしば「ボトミングサイクル」と呼ばれる。
図1に示すようにこれらの2つのサイクルを組み合わせることにより、システム10は両方のサイクルにおいてより大きな効率をもたらすことができる。特に、トッピングサイクルからの排熱を取り込み、それを用いて、ボトミングサイクルで使用するための蒸気を発生させることができる。
【0017】
システム10は、システム10の動作を制御するコントローラ56(例えば、電子ベースおよび/またはプロセッサベースのコントローラ)を含む。コントローラ56は、発電プラント用の分散制御システムの一部であってもよい。コントローラ56は、少なくともセンサ(例えば、温度センサおよび圧力センサ)、制御バルブ、およびポンプ、あるいはシステム10(ガスタービン24)全体の他の機構から受け取られるフィードバックに基づいて、システム10の動作を独立に制御することができる。各コントローラ56は、プロセッサ58に通信可能に結合されたメモリ60(例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体/メモリ回路)を含む。各メモリ60は、システム10の構成要素に関連する動作(例えば、発電プラントまたは個々のガスタービンエンジン24の始動時間を予測して強化し、始動時間および関連情報をディスプレイ上に表示させるなど)を実行するために実装される1つまたは複数の命令セット(例えば、プロセッサ実行可能命令)を格納する。より具体的には、メモリ60は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、および/または読み出し専用メモリ(ROM)、光ドライブ、ハードディスクドライブ、もしくはソリッドステートドライブなどの不揮発性メモリを含むことができる。さらに、プロセッサ58は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つまたは複数の汎用プロセッサ、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、プロセッサという用語は、当技術分野でプロセッサと呼ばれる集積回路に限定されず、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、特定用途向け集積回路、および他のプログラム可能回路を広く指している。コントローラ56は、サービスプラットフォーム62に結合されている。サービスプラットフォーム62は、システム10からデータを収集するためのソフトウェアプラットフォームであってもよい。特定の実施形態では、サービスプラットフォーム62は、サービス(PaaS)などのクラウドベースのプラットフォームであってもよい。特定の実施形態では、サービスプラットフォーム62は、発電プラント10と発電プラント10の各構成要素(例えば、ガスタービンエンジン24)との両方の動作(例えば始動)の性能を解析し、それを強化または改善するために、産業規模の解析を実行することができる。サービスプラットフォーム62はデータベース64に結合されている。データベース64および/またはメモリ60は、システム10、1つまたは複数のモデル、および他のデータに関連する履歴データを格納することができる。例えば、データベースおよび/またはメモリは、以下でより詳細に説明するように、発電プラントおよびガスタービンエンジン24の始動時間を予測し強化するためのモデル(例えば、物理ベースのモデル)を格納することができる。
【0018】
図2は、複合サイクルシステム10および/またはガスタービンエンジン24の始動時間を予測し強化する(例えば、改善する)ためのモデル70の概略図である。モデル70は、物理ベースのモデルであってもよい。モデル70への入力には、システム10の周囲条件(例えば、圧力、温度など)、履歴データ(例えば、パージ持続時間などに関連する)、およびガスタービンエンジン24の動作条件に関連する入力(例えば、システム10全体のセンサから)が含まれる。例えば、モデル70は、ヒートソーク変動、異なる周囲条件、空気流条件、フレームブロワに関連するデータ、可変速度パージ、パージ速度での入口ガイドベーン変調、可変加速率、および可変負荷率を利用することができる。モデル70は、現在の時刻および将来の時刻における各ガスタービンエンジン24の始動時間の持続時間を予測し強化することができる。特定の実施形態では、モデル70は、発電プラントのガスタービンエンジン24の始動順序を決定することができる。モデル70は、停止が発生したときの発電プラントの構成要素のハードウェア寿命消費をより良くバランスさせるために、停止の最良の日付を予測することができる。モデル70は、始動中に消費される補助動力およびNO
xを低減するためにガスタービンエンジン24を始動させる最良の(例えば、最も効率的な)時間を決定することができる。
【0019】
モデル70は、体積パージ流量モデル72、自己学習履歴モデル74、ヒートソークモデル76、NOxモデル75、リフティングモデル77、および補助動力低減モデル78を含み、これらは複合サイクルシステム10および/またはガスタービンエンジン24の始動時間を一緒におよび/または個別に予測し強化する(例えば、改善する)ことを可能にする。体積パージ流量モデル72は、システム10(例えば、ガスタービンエンジン24およびHRSG12あるいはガスタービンエンジン24)を通る空気流量を決定する。特に、体積パージ流量モデル72は、異なる周囲条件(例えば、圧力、温度など)におけるシャフト速度に基づいて空気流量(例えば、パージ流量)を決定し、タービン30が燃焼速度に到達するのと実質的に同時にパージ流を終了することを可能にするパージサイクルの完了を決定することを可能にする。体積モデルと共に自己学習履歴モデル74は、履歴データに基づいて複合サイクルユニットの予測始動時間の持続時間の誤差を低減するために利用することができる。ヒートソークモデル76は、排気温度の低下率およびその始動時間の持続時間に対する影響を決定する。ガスタービンエンジンの始動のタイプ(例えば、ホットスタート、ウォームスタート、コールドスタート)に基づく空気密度変化を利用して、ヒートソーク効果を決定することができる。低温の周囲条件下では、空気の密度は高温の周囲条件よりも高くなり、より高い質量流量が生じる。高温の周囲条件下では、空気の密度はより低くなり、より高い体積流量が生じる。これは、最良の始動時間を決定し、ガスタービンの始動時間を最小にするのに役立つ。補助動力低減モデルは、異なる条件下で特定の時間にガスタービンを始動させることによって節約される動力の量を予測または決定を可能にする。NOxモデル75は、異なる条件下で特定の時間に複合サイクルガスタービンを始動させることによって、節約されるNOxの量(すなわち、NOXの減少)の予測または決定を可能にする。リフティングモデル77は、異なる条件下で特定の時間に複合サイクルガスタービンを始動させることにより、複合サイクルガスタービンシステムのハードウェアの寿命消費に対する影響の予測または決定を可能にする。
【0020】
図3は、単一の複合サイクルシステム10(例えば、単一のガスタービンエンジン24を有する)の始動時間を予測し強化する(例えば、改善する)ための方法80の流れ図である。方法80は、コントローラ56および/またはサービスプラットフォーム62によって実行することができる。方法80の1つまたは複数のステップは、
図3のシーケンスと同時にまたは異なるシーケンスで実行することができる。方法80は、周囲条件(例えば、圧力、温度など)およびガスタービンエンジン24の1つもしくは複数の動作条件を表す1つまたは複数の信号(例えば、センサから)を取得するステップを含む(ブロック82)。特定の実施形態では、ガスタービンエンジン24および/またはシステム10に関連する履歴データを(例えば、メモリ60および/またはデータベース64から)取得することができる。
【0021】
方法80はまた、モデル70を実行して、補助動力およびNOXの節約とともにガスタービン24の始動時間の現在の持続時間を予測し強化するステップを含む(ブロック84)。方法80はまた、モデル70を実行して、将来の始動時間(例えば持続時間)および関連データを予測するステップを含む(ブロック85)。特定の実施形態では、モデル70は、異なる条件(例えば、コールドスタートアップ、ウォームスタートアップ、ホットスタートアップ)下で(熱変動を考慮して)将来の始動時間を予測することができる。特定の実施形態では、モデル70は、現在のシフトもしくは日または次の期間(例えば、24時間)内で最良の(例えば、最も効率的な)始動時間を決定する(例えば、始動を最小限に抑え、補助動力節約を増加させ、ハードウェアの寿命消費を均衡させるなど)ことができる。上述したように、モデル70は排気体積流量モデル72を利用して、異なる周囲条件でのシャフト速度を利用するガスタービンエンジン24の空気流量を決定することができる。モデル70はまた、始動時間の間のガスタービンエンジン24のパージ持続時間を(例えば、モデル74を利用して)予測することもできる。モデル70は、排気温度の低下率およびパージ持続時間へのその影響を(例えば、モデル76を利用して)決定することもできる。モデル70は、特定の時間(例えば、1日またはシフト中の最良の時間)にガスタービンエンジン24を始動させることによって節約される動力の量およびNOxを(例えば、モデル78を利用して)さらに予測することができる。
【0022】
方法80は、ガスタービンエンジン24の現在の始動時間および関連データ(例えば、補助動力およびNOxの節約)の表示を提供するステップ(ブロック86)と、予測された始動時間および関連データの表示を提供するステップ(ブロック87)と、をさらに含む。例えば、現在の始動時間の持続時間、異なる条件(例えば、コールドスタート、ウォームスタート、ホットスタート)下での次のシフトもしくは期間(例えば24時間)内の将来の始動時間の持続時間、パージ時間(例えば、過去、現在、最良など)の表示、および/または異なる始動時間(現行および現在)に節約された補助電力およびNOxの量の表示を、デバイス(例えば、コントローラ56またはサービスプラットフォーム62に結合された別のデバイス)のディスプレイ上に表示することができる。特定の実施形態では、ガスタービンエンジン24の現在の動作状態(例えば、パージ、始動、停止など)を提供することができる。特定の実施形態では、グラフィックディスプレイは、始動時間が全始動時間に対してどのくらいの時間経過したかを示すことができる。
【0023】
方法80はさらに、モデル70を実行して、システム10の構成要素(例えば、ガスタービン24)のハードウェアの寿命消費の影響を予測するステップを含む(ブロック81)。方法80は、複合サイクルガスタービンシステムのハードウェア寿命消費に対する影響の表示を提供するステップを含む(ブロック83)。例えば、ハードウェア寿命消費の表示は、デバイス(例えば、コントローラ56またはサービスプラットフォーム62に結合された別のデバイス)のディスプレイ上に表示されてもよい。
【0024】
図4は、マルチユニット複合サイクルシステム10およびそのガスタービンエンジン24の始動時間を予測し強化する(例えば、改善する)ための方法88の流れ図である。方法88は、コントローラ56および/またはサービスプラットフォーム62によって実行することができる。方法88の1つまたは複数のステップは、
図4のシーケンスと同時にまたは異なるシーケンスで実行することができる。方法88は、周囲条件(例えば、圧力、温度など)およびガスタービンエンジン24の1つもしくは複数の動作条件を表す1つまたは複数の信号(例えば、センサから)を取得するステップを含む(ブロック90)。特定の実施形態では、ガスタービンエンジン24および/またはシステム10に関連する履歴データを(例えば、メモリ60および/またはデータベース64から)取得することができる。
【0025】
方法88はまた、モデル70を実行して、補助動力およびNOXの節約とともに、ガスタービンエンジン24の各々の始動時間の現在の持続時間を予測し強化(例えば改善)するステップを含む(ブロック92)。特定の実施形態では、モデル70は、複数のガスタービンエンジン24の始動順序を決定して、プラント全体の始動時間を強化する(例えば、改善する)ことができる。方法88はまた、モデルを実行して、将来の始動時間(例えば持続時間)および関連データを予測するステップを含む(ブロック93)。特定の実施形態では、モデル70は、各ガスタービンエンジン24の異なる条件(例えば、コールドスタートアップ、ウォームスタートアップ、ホットスタートアップ)下で(熱変動を考慮して)将来の始動時間を予測することができる。特定の実施形態では、モデル70は、各ガスタービンエンジン24の現在のシフトもしくは日または次の期間(例えば、24時間)内で最良の(例えば、最も効率的な)始動時間を決定する(例えば、始動を最小限に抑え、補助動力節約を増加させ、ハードウェアの寿命消費を均衡させるなど)ことができる。上述したように、モデル70は排気体積流量モデル72を利用して、異なる周囲条件でのシャフト速度を利用する各ガスタービンエンジン24の空気流量を決定することができる。モデル70はまた、始動時間の間の各ガスタービンエンジン24のパージ持続時間を(例えば、モデル74を利用して)予測することもできる。モデル70は、排気温度の低下率およびパージ持続時間へのその影響を(例えば、モデル76を利用して)決定することもできる。モデル70は、特定の時間(例えば、1日またはシフト中の最良の(例えば、最も効率的な)時間)に各ガスタービンエンジン24を始動させることによって節約される動力の量およびNOxの低減を(例えば、モデル78を利用して)さらに予測することができる。
【0026】
方法88は、ガスタービンエンジン24の始動順序、始動時間、および関連データ(例えば、補助動力およびNOxの節約)の表示を提供するステップ(ブロック94)と、予測された始動時間および関連データの表示を提供するステップ(ブロック95)と、をさらに含む。例えば、現在の始動時間の持続時間、異なる条件(例えば、コールドスタート、ウォームスタート、ホットスタート)下での次のシフトもしくは期間(例えば24時間)内の将来の始動時間の持続時間、パージ時間(例えば、過去、現在、最良など)の表示、および/または異なる始動時間(現行および現在)に節約された補助電力およびNOxの量の表示を、デバイス(例えば、コントローラ56またはサービスプラットフォーム62に結合された別のデバイス)のディスプレイ上に表示することができる。特定の実施形態では、各ガスタービンエンジン24の現在の動作状態(例えば、パージ、始動、停止など)を提供することができる。特定の実施形態では、グラフィックディスプレイは、始動時間が全始動時間に対してどのくらいの時間経過したかを示すことができる。特定の実施形態では、各ガスタービンエンジン24の累積データ(例えば、始動回数、節約された時間、節約された動力など)を提供することができる。また、周囲条件(例えば、圧力、温度など)を提供することもできる。
【0027】
方法88はさらに、モデル70を実行して、システム10の構成要素(例えば、ガスタービン24)のハードウェアの寿命消費の影響を予測するステップを含む(ブロック96)。方法88は、複合サイクルガスタービンシステムのハードウェア寿命消費に対する影響の表示を提供するステップを含む(ブロック98)。例えば、ハードウェア寿命消費の表示は、デバイス(例えば、コントローラ56またはサービスプラットフォーム62に結合された別のデバイス)のディスプレイ上に表示されてもよい。
【0028】
図5は、複合サイクルシステム10の始動時間を管理し、補助動力およびNO
xの低減を推定し、複合サイクルガスタービンシステムの寿命への影響を予測するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)100の一実施形態のスクリーンショットである。同様のGUIを単一のガスタービンエンジンに利用することができる。また、特定の実施形態では、GUI100は、
図5に示されるものよりも多くのアイテムまたはより少ないアイテムを含んでもよい。
図5に示すように、GUI100は、システム10の周囲条件(例えば、圧力および温度)のインジケータ102を提供する。インジケータ102は、リアルタイムの周囲条件の値および/または周囲条件の値のグラフ表示を提供することができる。GUI100はまた、各ガスタービンエンジン24の推奨または予測された始動順序ならびに関連情報(例えば、時間節約、加速率、負荷率など)を示す始動順序または助言104を提供する。GUI100は、ガスタービンエンジン24の各々の累積始動データをさらに提供する。累積始動データは、始動回数、節約された時間、節約されたNO
x、および/または節約された動力を含むことができる。
【0029】
GUI100は、セクション108に各ガスタービンエンジン24の関連情報を提供する。各セクション108は、ガスタービンエンジンの現在の状態(例えば、パージ、始動、停止など)のインジケータ110を含むことができる。各セクション108は、現在または最後の始動時間のインジケータ112を含むことができる。インジケータ112は、始動の全体の予測時間に対する経過した始動時間の量のグラフィカルインジケータおよび/または値を含むことができる。各セクション108はまた、節約された時間、節約されたNOxのインジケータ114、および/または現在もしくは最後の始動時間の間に節約された補助動力のインジケータ116を含むことができる。また、各セクション108は、(例えば、所与の期間(例えば、24時間)またはシフト内の)将来における予測された始動時間118および関連データ(例えば、節約された時間、節約された動力、開始時刻、終了時刻、節約されたNOxなど)を含む。
【0030】
特定の実施形態では、GUI100は、ユーザが所望の始動時間を入力するための領域120を含むことができる。他の実施形態では、GUIは、ユーザが所望の時間範囲を入力し、パラメータ(例えば、加速率、メンテナンス因子の負荷率調整(すなわち、メンテナンス前の時間の表示)、メンテナンス因子の影響など)を調整することができる領域を含むことができる。特定の実施形態では、GUI100は、ガスタービンエンジンの寿命の消費を反映する、ガスタービンエンジンのインジケータ(例えば、寿命オドメータ)を表示することができる。
【0031】
本発明の技術的効果は、発電プラントおよびそれに関連するガスタービンエンジンの始動時間を強化するシステムおよび方法を提供することを含む。特に、ガスタービンエンジンの現在および将来の始動時間を予測するモデル(例えば、物理ベースのモデル)を実行することができる。このモデルはまた、ガスタービンエンジンを始動するための最良の(例えば、最も効率的な)時間を決定する。このモデルはまた、ガスタービンエンジンの始動順序を提供して、プラント全体の始動時間を強化する(例えば、低減する)ことができる。プラント(およびガスタービン)の始動時間を短縮することに加えて、このモデルは補助動力およびNOxの節約を予測および決定することができる。さらに、このモデルは、停止が発生したときのハードウェアの寿命をより良くバランスさせるために、発電プラントの最良の停止日を予測することができる。
【0032】
本明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許され得る範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が特許請求の範囲の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
[実施態様1]
1つまたは複数のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数の命令は、コントローラ(56)のプロセッサ(58)によって実行された場合に、動作を実行させ、前記動作は、
ガスタービンエンジン(24)の周囲条件と、前記ガスタービンエンジン(24)の1つまたは複数の動作条件と、を表す1つまたは複数の信号を取得する動作と、
前記周囲条件および前記1つまたは複数の動作条件に基づいて前記ガスタービンエンジン(24)の始動時間の持続時間を予測するモデル(70)を実行する動作と、
ディスプレイに前記ガスタービンエンジン(24)の前記始動時間の前記予測された持続時間を表示させる動作と、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様2]
前記実行される動作は、前記ガスタービンエンジン(24)が現時刻より後の時刻に始動されるとした場合に、前記周囲条件および前記1つまたは複数の動作条件に基づいて、前記ガスタービンエンジン(24)の第1の始動時間の現在の持続時間および前記ガスタービンエンジン(24)の第2の始動時間の将来の持続時間を予測するためにモデル(70)を実行する動作を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様3]
前記始動時間の前記持続時間を予測する動作は、前記ガスタービンエンジン(24)の空気流量を決定するために排気体積流量モデル(72)を実行する動作を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様4]
前記排気体積流量モデル(72)は、種々の周囲条件における前記ガスタービンエンジン(24)のシャフト速度を利用する、実施態様3に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様5]
前記始動時間の前記持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作は、前記始動時間中に前記ガスタービンエンジン(24)のパージ持続時間を予測するために履歴学習モデル(74)を実行する動作を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様6]
前記始動時間の前記持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作は、排気温度の低下率および前記低下率の前記パージ持続時間への影響を決定するためにヒートソークモデル(76)を実行する動作を含む、実施態様5に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様7]
排気温度の前記低下率および前記低下率の前記パージ持続時間への影響を決定する動作は、始動中の前記ガスタービンエンジン(24)の温度に基づく空気密度変動に起因するヒートソーク変動に少なくとも基づく、実施態様6に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様8]
前記始動時間の前記持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作は、前記ガスタービンエンジン(24)を始動するための特定の期間中の特定の時間またはシフトを決定する動作を含み、前記実行される動作は、前記ガスタービンエンジン(24)を始動させるための前記特定の時間またはシフトの表示を前記ディスプレイに表示させる動作を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様9]
前記始動時間の前記持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作は、前記特定の時間またはシフトで前記ガスタービンエンジン(24)を始動することによって節約される動力の量を予測し決定するために補助動力低減モデル(78)を実行する動作を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様10]
前記始動時間の前記持続時間を予測するために前記モデル(70)を実行する動作は、前記特定の時間またはシフトで前記ガスタービンエンジン(24)を始動することによって節約されるNOxの量を予測し決定するためにNOxモデル(75)を実行する動作を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様11]
前記1つまたは複数の動作条件は、ヒートソーク変動、空気流量、フレームブロワ、可変速度パージ、パージ速度での入口ガイドベーン変調、可変加速率、可変負荷率を含む、実施態様1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様12]
1つまたは複数のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数の命令は、コントローラ(56)のプロセッサ(58)によって実行された場合に、動作を実行させ、前記動作は、
発電プラントの複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)についての周囲条件および1つもしくは複数の動作条件を表す1つまたは複数の信号を取得する動作と、
前記周囲条件および前記1つもしくは複数の動作条件に基づいて、特定の期間についての異なる時間またはシフトにおける前記複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)の始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行する動作と、
前記特定の期間中の異なる時間またはシフトにおける前記複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)の前記始動時間の前記予測された持続時間をディスプレイに表示させる動作と、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様13]
前記実行される動作は、前記モデル(70)を実行して、プラント全体の始動時間を改善するために、前記発電プラント内の前記複数のガスタービンエンジン(24)の始動順序を決定する動作を含む、実施態様12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様14]
前記実行される動作は、前記モデル(70)を実行して前記発電プラントにいつ停止が必要となるかを決定する動作と、前記停止がいつ必要となるかの表示を提供する動作と、を含む、実施態様12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様15]
前記実行される動作は、前記モデル(70)を実行して、現在の始動時間、過去の始動時間、または将来の始動時間について、前記複数のガスタービンエンジン(24)のそれぞれのガスタービンエンジン(24)の節約された時間、節約されたNOx、および節約された補助動力を決定する動作と、前記節約された時間、前記節約されたNOx、前記節約された補助動力をディスプレイに表示させる動作と、を含む、実施態様12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様16]
前記発電プラントは、複合サイクルプラントを含む、実施態様12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[実施態様17]
発電プラントの始動時間を予測し強化するための方法(80,88)であって、
プロセッサ(58)において、前記発電プラントの複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)についての周囲条件および1つもしくは複数の動作条件を表す1つまたは複数の信号を取得するステップと、
前記プロセッサ(58)上で、前記周囲条件および前記1つもしくは複数の動作条件に基づいて、特定の期間についての異なる時間またはシフトにおける前記複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)の始動時間の持続時間を予測するためのモデル(70)を実行するステップと、
前記プロセッサ(58)により、前記特定の期間中の異なる時間またはシフトにおける前記複数のガスタービンエンジン(24)の各ガスタービンエンジン(24)の前記始動時間の前記予測された持続時間をディスプレイに表示させるステップと、を含む方法(80,88)。
[実施態様18]
前記モデル(70)を実行して、プラント全体の始動時間を改善するために、前記発電プラント内の前記複数のガスタービンエンジン(24)の始動順序を決定するステップを含む、実施態様17に記載の方法(80,88)。
[実施態様19]
前記モデル(70)を実行して前記発電プラントにいつ停止が必要となるかを決定するステップと、前記停止がいつ必要となるかの表示を提供するステップと、を含む、実施態様17に記載の方法(80,88)。
[実施態様20]
前記モデル(70)を実行して、現在の始動時間、過去の始動時間、または将来の始動時間について、前記複数のガスタービンエンジン(24)のそれぞれのガスタービンエンジン(24)の節約された時間、節約されたNOx、および節約された補助動力を決定するステップと、前記節約された時間、前記節約されたNOx、前記節約された補助動力をディスプレイに表示させるステップと、を含む、実施態様17に記載の方法(80,88)。
【符号の説明】
【0033】
10 複合サイクルシステム
12 HRSG
20 排気ガス
22 入口部分
24 ガスタービンエンジン
26 燃料
28 第1の負荷
30 タービン
32 燃焼室
34 圧縮機
35 合成ガス
36 ガス化装置
38 バックアップ燃料
46 蒸気タービン
48 第2の負荷
56 コントローラ
58 プロセッサ
60 メモリ
62 サービスプラットフォーム
64 データベース
70 モデル
72 排気体積流量モデル/体積パージ流量モデル
74 自己学習履歴モデル
75 NOxモデル
76 ヒートソークモデル
77 リフティングモデル
78 補助動力低減モデル
80 方法
81 ブロック
82 ブロック
83 ブロック
84 ブロック
85 ブロック
86 ブロック
87 ブロック
88 方法
90 ブロック
92 ブロック
93 ブロック
94 ブロック
95 ブロック
96 ブロック
98 ブロック
100 グラフィカルユーザインターフェース(GUI)
102 インジケータ
104 助言
108 セクション
110 インジケータ
112 インジケータ
114 インジケータ
116 インジケータ
118 開始時間
120 領域