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  • 特許-ボード取付金物および建物の室内構造 図1
  • 特許-ボード取付金物および建物の室内構造 図2
  • 特許-ボード取付金物および建物の室内構造 図3
  • 特許-ボード取付金物および建物の室内構造 図4
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  • 特許-ボード取付金物および建物の室内構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ボード取付金物および建物の室内構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20220927BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20220927BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20220927BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
E04B1/80 100A
E04B2/56 645B
E04B1/76 500C
E04B2/72 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018062827
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019173391
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 直子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和也
(72)【発明者】
【氏名】修行 淳
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-261114(JP,A)
【文献】特開2014-173257(JP,A)
【文献】米国特許第04584811(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/76-1/94
E04B 2/56-2/70,2/88-2/96
E04B 2/72
E04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードが取り付けられる下地となる本体部と、建物躯体である横架部材に係合して取り付けられる取付部と、上記横架部材に近接させて配置する被保持材を保持する保持部と、を備えており、上記保持部は、上記本体部の側面側に位置する保持面部と、上記被保持材を上記保持面部の側に押圧する押圧部とを備えることを特徴とするボード取付金物。
【請求項2】
請求項に記載のボード取付金物において、上記押圧部は、上記保持面部をなす板材の一部に切り込みを入れて折り曲げた部位から成ることを特徴とするボード取付金物。
【請求項3】
ボードが取り付けられる下地となる本体部と、建物躯体である横架部材に係合して取り付けられる取付部と、上記横架部材に近接させて配置する被保持材を保持する保持部と、を備えており、上記保持部は、上記被保持材を受け入れる開口を、上記本体部の側に向けていることを特徴とするボード取付金物。
【請求項4】
ボードが取り付けられる下地となる本体部と、建物躯体である横架部材に係合して取り付けられる取付部と、上記横架部材に近接させて配置する被保持材を保持する保持部と、を備えており、上記横架部材に取り付けられる部材との干渉を回避する切欠き部が形成されていることを特徴とするボード取付金物。
【請求項5】
ボード取付金物であって、ボードが取り付けられる下地となる本体部と、建物躯体である横架部材に係合して取り付けられる取付部と、上記横架部材に近接させて配置する被保持材を当該ボード取付金物単体で保持する保持部と、を備え、上記被保持材が保持されたボード取付金物が、建物躯体である横架部材に設けられており、
上記横架部材が交差する箇所の下側に、室内の出隅部が形成されており、この出隅部の上方側に、上記被保持材が保持されたボード取付金物が取り付けられていることを特徴とする建物の室内構造。
【請求項6】
被保持材が保持された請求項1~請求項のいずれか1項に記載のボード取付金物が、建物躯体である横架部材に設けられていることを特徴とする建物の室内構造。
【請求項7】
請求項6に記載の建物の室内構造において、横架部材が交差する箇所の下側に、室内の出隅部が形成されており、この出隅部の上方側に、上記被保持材が保持されたボード取付金物が取り付けられていることを特徴とする建物の室内構造。
【請求項8】
請求項~請求項7のいずれか1項に記載の建物の室内構造において、横架部材同士を連結するジョイント部材が設けられており、上記横架部材と上記ジョイント部材の接合箇所の近傍が上記被保持材で覆われるように上記ボード取付金物が設けられていることを特徴とする建物の室内構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、建物の梁に壁用ボードを取り付けるための下地にすることができるボード取付金物および建物の室内構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、溶接およびボルト固定が不要で簡易に配設可能であり、壁体立設作業における工数及びコストを削減することが可能なボード取付金物が開示されている。具体的には、上記ボード取付金物は、ボードが固定される本体部と、この本体部の上側端辺及び下側端辺のうち少なくとも一方から突出する係止部とを有して構成される。上記係止部の自由端側は、板バネ部として構成されており、この板バネ部により、梁の上下フランジ部間を突っ張ることによって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5501873号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術は、建物の梁等に配置される断熱材等の部材を設ける作業や構造については何ら開示していない。
【0005】
この発明は、建物の梁等に断熱材等の部材を設ける作業を効率的に行うことができるボード取付金物および建物の室内構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、ボードが取り付けられる下地となる本体部と、建物躯体である横架部材に係合して取り付けられる取付部と、上記横架部材に近接させて配置する被保持材を保持する保持部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記横架部材に取り付けられる上記ボード取付金物の上記保持部によって断熱材等の被保持材を上記横架部材に近接させて保持させることができる。
【0008】
上記保持部は、上記本体部の側面側に位置する保持面部と、上記被保持材を上記保持面部の側に押圧する押圧部とを備えていてもよい。これによれば、上記押圧部による押圧によって上記被保持材をしっかりと保持することができる。
【0009】
上記押圧部は、上記保持面部をなす板材の一部に切り込みを入れて折り曲げた部位から成っていてもよい。これによれば、上記押圧部と上記保持面部とを別部材で構成するのに比べて、作製が容易であり、またコスト低減が容易になる。
【0010】
上記保持部は、上記被保持材を受け入れる開口を、上記本体部の側に向けていてもよい。これによれば、上記ボード取付金物を上記横架部材に取り付けた状態で、上記被保持材を上記開口に押し込む作業によって上記保持部に保持させることができる。
【0011】
上記横架部材に取り付けられる部材との干渉を回避する切欠き部が形成されていてもよい。これによれば、上記横架部材に水平ブレース等の部材が取り付けられるような場合でも、支障なく上記ボード取付金物を上記横架部材に取り付けることができる。
【0012】
また、この発明の建物の室内構造は、被保持材が保持された上記ボード取付金物が、建物躯体となる横架部材に設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記建物の室内構造において、横架部材が交差する箇所の下側に、室内の出隅部が形成されており、この出隅部の上方側に、上記被保持材が保持されたボード取付金物が取り付けられていてもよい。
【0014】
上記建物の室内構造において、横架部材同士を連結するジョイント部材が設けられており、上記横架部材と上記ジョイント部材の接合箇所の近傍が上記被保持材で覆われるように上記ボード取付金物が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、断熱材等の被保持材を建物躯体である梁等に設ける作業を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】同図(A)、(B)は、実施形態にかかる建物の室内構造の施工段階を示した説明図である。
図2】同図(A)、(B)は、実施形態にかかる建物の室内構造の施工段階を示した説明図である。
図3】同図(A)は、実施形態にかかる建物の室内構造における梁交差部の平面視の説明図であり、同図(B)は同断面視の説明図である。
図4】実施形態にかかるボード取付金物を示した正面図、平面図および両側面図である。
図5図1のボード取付金物の斜視図である。
図6図1のボード取付金物の斜視図である。
図7】他の実施形態にかかる建物の室内構造を示した説明図である。
図8】他の実施形態にかかる建物の室内構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1(A)、(B)および図2(A)、(B)は、この実施形態のボード取付金物1および、このボード取付金物1が取り付けられる胴差レベル位置の梁(横架部材)2の梁交差箇所を示している。この梁交差箇所には、略T字所に交差する梁2A、2Bによる交差部101が存在している。上記梁2は例えばH形鋼からなっており、その上フランジおよび下フランジの各々には所定配置で複数の貫通孔2aが形成されている。
【0018】
また、上記交差部101においては、石こうボード等のボードからなる界壁41と界壁42が上記梁2Aから上記梁2Bにかけて形成されており、これら梁のうち梁2Aの側であって、上記梁2Bの接合側と反対の側に、ボード取付金物1が取り付けられる。そして、上記交差部101の下位置(ボード取付金物1の下側)に、上記界壁41と界壁42とが交差する出隅が形成される。
【0019】
また、図3(A)、(B)にも示すように、上記ボード取付金物1によって、上記梁2に近接して配置される被保持材であるロックウール5が保持される。このロックウール5は、例えば、断熱性、耐火性、遮音性を有する。
【0020】
上記ボード取付金物1は、図4図5および図6にも示すように、ボードが取り付けられる下地となる本体部11と、上記梁2に係合して取り付けられる取付部12と、上記ロックウール5を保持する保持部13と、を備えている。なお、上記ボード取付金物1の他、上記梁2には、ボード取付専用金物が取り付けられる。このボード取付専用金物は、ボードが取り付けられる下地となる本体部と、上記梁に係合して取り付けられる取付部のみを備えている。
【0021】
上記ボード取付金物1は、例えば、亜鉛メッキが施された鋼板からなり、この鋼板の折り曲げ加工によって形成されている。上記本体部11は略平板形状を有しており、上記ボードを取り付けるための釘等が打ち込めるようになっている。
【0022】
上記取付部12は、上記本体部11の上側と下側の2箇所において、上記本体部11に形成された袋状留め部によって留め付けられている。各取付部12は、上側であれば斜め上に、下側であれば斜め下に張り出す弾性張出部12aと、この弾性張出部12aから上側または下側に突出するように形成された半円状突起12bとを備える。上記半円状突起12bは、上記梁2の上フランジまたは下フランジの上記貫通孔2aに嵌る形状を有する。上記ボード取付金物1の取り付けにおいては、例えば、このボード取付金物1の下側を上記下フランジに近づけ、下側の弾性張出部12aの上記半円状突起12bを下フランジの上記貫通孔2aに差し込んだ後、上記ボード取付金物1の上側を上フランジの側に押し当てて、上側の弾性張出部12aの半円状突起12bを上フランジの上記貫通孔2aに嵌合させる。これにより、上記ボード取付金物1は、上下の弾性張出部12aの弾性によって、上記梁2の上下フランジ間を突っ張るようにして固定されることになる。なお、上記本体部11の上端は上フランジの縁面に当接し、上記本体部11の下端は下フランジの縁面に当接できるようになっている。
【0023】
上記保持部13は、上記本体部11の上側と下側の2箇所に設けられている。各保持部13は、上記本体部11の側面側に当該本体部11から延設された保持面部13aと、上記ロックウール5を上記保持面部13aの側に押圧する押圧部13bとを備える。上記押圧部13bは、上記保持面部13aをなす中央側の部位の一部に切り込みを入れて折り曲げた部位から成る。また、上記保持部13は、上記ロックウール5を受け入れる開口を、上記本体部11の側に向けている。
【0024】
また、上記ボード取付金物1には、上記梁2に取り付けられる部材との干渉を回避する切欠き部14が形成されている。この切欠き部14は、上記2箇所の保持部13の間の箇所において、上記保持面部13aとなる部分をそれぞれ本体部11側に折り曲げることによって形成されており、この折り曲げ部が本体部11の裏面に当たることで、上記保持面部13aの本体部11側への傾倒に対する剛性向上も図られている。もちろん、上記切欠き部14が形成されない構造を採用することもできる。
【0025】
上記の構成であれば、上記取付部12によって上記梁2に取り付けられたボード取付金物1の上記保持部13によって上記ロックウール5を上記梁2に近接させて保持させることができる。
【0026】
上記保持部13が、上記本体部11の側面側に位置する保持面部13aと、上記ロックウール5を上記保持面部13aの側に押圧する押圧部13bとを備えると、上記押圧部13bによる押圧によって上記ロックウール5をしっかりと保持することができる。
【0027】
上記押圧部13bが、上記保持面部13aをなす部位の一部に切り込みを入れて折り曲げた部位から成っていると、上記押圧部13bと上記保持面部13aとを別部材で構成するのに比べて、作製が容易であり、またコストを低減することができる。
【0028】
上記保持部13が、上記ロックウール5を受け入れる開口を、上記本体部11の側に向けていると、上記ボード取付金物1を上記梁2に取り付けた状態で、上記ロックウール5を上記開口に押し込む作業によって上記保持部13に保持させることができる。上記開口が上記本体部11の側に向いていなくてもよいものであり、この場合、先に上記ロックウール5を上記保持部13に保持させてからボード取付金物1を上記梁2に取り付ける手順を用いることができる。なお、上記開口が上記本体部11の側に向いていれば、上記貫通孔2aの視認がやり易くなる。
【0029】
図7に示す他の部屋構造においては、柱8上のジョイントボックス(ジョイント部材)81の3面に梁2C,2D,2Eが接合板25を介して取り付けられている。そして、上記接合板25に設けられた水平板部材に水平ブレース7がボルト固定されている。かかる構造においては、上記梁2に取り付けられる水平ブレース7等の部材との干渉を回避する切欠き部14が上記ボード取付金物1に形成されているので、上記梁2に上記水平ブレース7等の部材が取り付けられる場合でも、支障なく上記ボード取付金物1を上記梁2に取り付けることができる。なお、この部屋構造においても、先述した界壁41,42と同様、界壁41Aと界壁42Aが形成されるとともに、これら界壁41Aと界壁42Aが交差する出隅が形成される。
【0030】
図8に示す他の部屋構造においては、上記ジョイントボックス81の上記3面以外の面に水平配置でつなぎ部材6が設けられた構造となっている。
【0031】
また、図示はしないが、上記梁2は胴差レベルの梁に限らず、屋根梁でもよい。また、この場合において、屋根梁同士を連結するジョイントボックスに屋根トラスを設ける構造とすることもできる。
【0032】
また、上記の例では、上記ボード取付金物1における上記取付部12は、上下フランジ間で突っ張ることで取り付けられる構造としたが、上フランジおよび下フランジをそれぞれ挟持する挟持部を備えるものでもよい。また、位置保持が可能なスライド片を上記貫通孔2aに差し込む構造のものでもよい。
【0033】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 :ボード取付金物
2 :梁
2A :梁
2B :梁
2C :梁
2D :梁
2E :梁
2a :貫通孔
5 :ロックウール
6 :つなぎ部材
7 :水平ブレース
8 :柱
11 :本体部
12 :取付部
12a :弾性張出部
12b :半円状突起
13 :保持部
13a :保持面部
13b :押圧部
14 :切欠き部
25 :接合板
41 :界壁
41A :界壁
42 :界壁
42A :界壁
81 :ジョイントボックス(ジョイント部材)
101 :交差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8