(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】管理装置、管理システムおよび管理方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/00 20060101AFI20220927BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20220927BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20220927BHJP
G08G 1/08 20060101ALI20220927BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20220927BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220927BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W30/10
G08G1/123 A
G08G1/08 A
G01C21/34
B60W60/00
G08G1/01 E
(21)【出願番号】P 2018092063
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-03-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度経済産業省「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業:自動バレーパーキングの実証及び高度な自動走行システムの実現に必要な研究開発」(一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証)委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(73)【特許権者】
【識別番号】591056927
【氏名又は名称】一般財団法人日本自動車研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】追立 知浩
(72)【発明者】
【氏名】泉 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 晃央
(72)【発明者】
【氏名】露梨 真史
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204151(JP,A)
【文献】特開2018-067111(JP,A)
【文献】特開2018-005532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0052373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管轄エリアにおける自動運転車両の駐車予約を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた前記駐車予約に基づいて前記自動運転車両へ前記管轄エリア内の駐車場を割り当てる割当部と、
前記割当部によって割り当てられた前記駐車場までの前記自動運転車両の走行計画を作成する作成部と
を備え、
前記受付部は、
前記自動運転車両のユーザが降車を希望する降車位置であって、前記ユーザが設定可能な前記降車位置に関する降車位置情報を含む前記駐車予約を受け付け、
前記作成部は、
前記管轄エリア内を走行予定である他車両の動向から予測される混雑状況に基づいて前記走行計画を作成すること
を特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記作成部は、
所要時間が最短となる前記走行計画を作成すること
を特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記混雑状況に応じて前記管轄エリア内の交差点における各信号灯の点灯状態を制御する信号灯制御部
をさらに備え、
前記作成部は、
前記信号灯制御部によって制御される前記各信号灯の点灯状態から予測される前記混雑状況に基づいて前記走行計画を作成すること
を特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記混雑状況に応じて前記管轄エリア内の交通規則を変更する規則変更部
をさらに備え、
前記作成部は、
前記規則変更部によって変更される前記交通規則から予測される前記混雑状況に基づいて前記走行計画を作成すること
を特徴とする請求項1、2または3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記割当部は、
前記降車位置における前記ユーザの滞在時間に基づいて前記降車位置を基準とする前記駐車場を割り当てる範囲を決定すること
を特徴とする請求項
1~4のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一つに記載の管理装置と、
前記管理装置によって作成された前記走行計画に基づいて前記自動運転車両を制御する車載装置と
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項7】
コンピュータが実行する管理方法であって、
管轄エリアにおける自動運転車両の駐車予約を受け付ける受付工程と、
前記受付工程によって受け付けられた前記駐車予約に基づいて前記自動運転車両へ前記管轄エリア内の駐車場を割り当てる割当工程と、
前記割当工程によって割り当てられた前記駐車場までの前記自動運転車両の走行計画を作成する作成工程と
を含み、
前記受付工程は、
前記自動運転車両のユーザが降車を希望する降車位置であって、前記ユーザが設定可能な前記降車位置に関する降車位置情報を含む前記駐車予約を受け付け、
前記作成工程は、
前記管轄エリア内を走行予定である他車両の動向から予測される混雑状況に基づいて前記走行計画を作成すること
を特徴とする管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システムおよび管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、駐車場が併設された施設において、自動運転車両をユーザの要求に応じて自動で駐車させる自動バレーパーキング装置がある。かかる自動バレーパーキング装置では、ユーザの希望に沿う希望駐車スペースへ自動運転車両を駐車させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、複数の自動運転車両がそれぞれ駐車場内を自由に移動するため、駐車場内で渋滞等が発生するおそれがあり、特定のエリア内において自動運転車両を円滑に走行させるうえで改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特定のエリア内において自動運転車両を円滑に走行させることができる管理装置、管理システムおよび管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る管理装置は、受付部と、割当部と、作成部とを備える。前記受付部は、管轄エリアにおける自動運転車両の駐車予約を受け付ける。前記割当部は、前記受付部によって受け付けられた前記駐車予約に基づいて前記自動運転車両へ前記管轄エリア内の駐車場を割り当てる。前記作成部は、前記割当部によって割り当てられた前記駐車場までの前記自動運転車両の走行計画を作成する。また、前記作成部は、前記管轄エリアを走行予定である他車両の動向から予測される混雑状況に基づいて前記走行計画を作成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定のエリア内において自動運転車両を円滑に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、管理システムの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、駐車予約の受け付け画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、割当部による処理の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、点灯制御部による処理の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、規則変更部の処理の具体例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、管理装置が実行する処理手順を示すフロチャート(その1)である。
【
図8B】
図8Bは、管理装置が実行する処理手順を示すフロチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る管理装置、管理システムおよび管理方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて実施形態に係る管理方法の概要について説明する。
図1は、管理方法の概要を示す図である。なお、かかる管理方法は、
図1に示す管理装置1によって実行される。
【0011】
図1に示す管理装置1は、管轄エリアA内で各自動運転車両Cの運行管理を行うサーバ装置である。また、管理装置1は、管轄エリアA内の駐車場を管理する。
【0012】
ところで、従来技術では、施設内に併設された駐車場に対して自動運転車両を自動で駐車させる自動バレーパーキング装置がある。かかる自動バレーパーキング装置では、ユーザの希望に沿う希望駐車スペースへ自動運転車両を駐車させる。
【0013】
しかしながら、上記の従来技術では、それぞれの自動運転車両が独立して駐車場内を走行するため、入出庫が多い時間等に駐車場内で渋滞が発生するおそれがある。
【0014】
すなわち、従来技術では、各自動運転車両をそれぞれ円滑に走行させることができないおそれがあった。また、従来技術では、施設内の駐車場を対象とするため、仮に、駐車場が全て満車である場合、自動運転車両を駐車させることができない。
【0015】
そこで、実施形態に係る管理方法では、駐車場の割り当てから、かかる駐車場までの走行経路の管理を一括して行うこととした。
【0016】
具体的には、
図1に示すように、まず、実施形態に係る管理方法では、自動運転車両Cの駐車予約を受け付ける(ステップS1)。例えば、駐車予約は、駐車を希望する時間帯、自動運転車両Cのユーザの降車位置に関する情報等が含まれる。
【0017】
そして、実施形態に係る管理方法では、駐車予約に基づき、自動運転車両Cに対して管轄エリアAにおける駐車場を割り当てる(ステップS2)。実施形態に係る管理方法では、例えば、駐車を希望する時間帯に空車がある駐車場であり、ユーザの降車位置に近い駐車場を割り当てることができる。
【0018】
図1に示す例では、駐車場P1および駐車場P2のうち、駐車場P1を自動運転車両Cに割り当てた場合を示す。続いて、実施形態に係る管理方法では、駐車場P1までの自動運転車両Cの走行計画を作成する(ステップS3)。
【0019】
具体的には、実施形態に係る管理方法では、管轄エリアAを走行予定の他車両の動向から予測される混雑状況に基づいて走行計画を作成する。
【0020】
例えば、自動運転車両Cが駐車場P1へ向かう時間帯において、自動運転車両Cのスタート地点Stから駐車場P1までの各走行経路の所要時間を算出する。
【0021】
このとき、例えば、スタート地点Stから駐車場P1までの最短距離である走行経路R1で渋滞の発生が予測される場合、かかる走行経路を回避した走行経路R2を走行する走行計画を作成する。
【0022】
つまり、実施形態に係る管理方法では、所用時間が最短となる走行経路を自動運転車両Cが走行する走行計画を作成する。
【0023】
例えば、実施形態に係る管理方法では、全ての車両の目的地と目的地までの走行経路を管理装置1へアップロードする場合、アップロードされた情報に基づいて他車両の動向を取得することが可能である。
【0024】
なお、上記の例以外にも、実施形態に係る管理方法では、他車両の動向について、過去のシチュエーションから予測することが可能である。具体的には、例えば実施形態に係る管理方法では、過去の各車両の走行経路を蓄積しておく。
【0025】
そして、実施形態に係る管理方法では、蓄積した情報を参照し、自動運転車両Cが駐車場P1に向かう時間帯と類似する過去のシチュエーションにおける他車両の動向を抽出する。
【0026】
なお、以下では、管轄エリアA内を走行する全ての車両が自動運転車両Cである場合について説明するが、その一部に運転者が運転操作を行う車両が含まれることにしてもよい。
【0027】
すなわち、本実施形態では、走行する全ての車両が自動運転車両Cであり、管轄エリアAを走行する全ての車両の行先や走行経路が管理装置1側に逐次アップロードされるものとして説明する。
【0028】
その後、実施形態に係る管理方法では、自動運転車両Cへ作成した走行計画を通知する(ステップS4)。これにより、自動運転車両Cの車載装置10は、かかる走行計画に基づいて自動運転車両Cを制御することとなる。
【0029】
このように、実施形態に係る管理方法では、他車両の動向に基づいて駐車場へ駐車する自動運転車両Cの走行計画を作成する。したがって、実施形態に係る管理方法によれば、各自動運転車両Cが効率的に管轄エリアA内を走行することができるので、特定のエリア内において自動運転車両Cを円滑に走行させることができる。
【0030】
なお、ここでは、1つの自動運転車両Cの走行計画を作成する場合について説明したが、実施形態に係る管理方法は、管轄エリアAで駐車を希望する全ての自動運転車両Cに対して走行計画を作成する。
【0031】
すなわち、実施形態に係る管理方法では、1つの自動運転車両Cに対する走行計画を他の自動運転車両Cの走行計画に基づいて作成する。言い換えれば、全ての自動運転車両Cが他の自動運転車両Cの動向を考慮した走行計画に基づき、管轄エリアA内を走行することとなる。
【0032】
また、実施形態に係る管理方法では、管轄エリアAで混雑が予想される場合、信号灯を制御したり、交通規則を緩和したりすることで、管轄エリアA内の混雑を未然に抑制することも可能である。
【0033】
つまり、実施形態に係る管理方法では、管轄エリアA内の交通の流れを制御することが可能である。
【0034】
次に、
図2を用いて実施形態に係る管理システム100について説明する。
図2は、管理システム100の構成例を示す図である。
図2に示すように、管理システム100は、上述の管理装置1および車載装置10に加えて、駐車場端末40と、端末装置50とを備える。
【0035】
例えば、管理装置1、車載装置10、駐車場端末40および端末装置50は、それぞれネットワークNを介して相互に情報を送受信することが可能である。
【0036】
駐車場端末40は、各駐車場に設けられ、例えば、駐車場の管理人によって操作される端末である。例えば、駐車場端末40は、駐車場内において駐車可能な駐車枠を車載装置10へ通知する機能を有する。また、例えば、駐車場端末40は、駐車場の出入り口に設けられた侵入防止ゲートの開閉を制御することも可能である。
【0037】
端末装置50は、自動運転車両Cのユーザが所有する端末であり、例えば、上述の駐車予約をネットワークNを介して管理装置1へ送信する。管理装置1は、かかる駐車予約に基づき、駐車場を自動運転車両Cへ割り当てるとともに、自動運転車両Cの走行計画を作成する。かかる走行計画は、ネットワークNを介して車載装置10へ送信される。車載装置10は、かかる走行計画に基づいて自動運転車両Cを走行することとなる。
【0038】
次に、
図3を用いて実施形態に係る管理装置1の構成例について説明する。
図3は、管理装置1のブロック図である。
【0039】
図3に示すように、管理装置1は、制御部2と、記憶部3とを備える。制御部2は、受付部21と、取得部22と、割当部23と、点灯制御部24と、規則変更部25と、作成部26とを備える。
【0040】
制御部2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0041】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2の受付部21、取得部22、割当部23、点灯制御部24、規則変更部25および作成部26として機能する。
【0042】
また、制御部2の受付部21、取得部22、割当部23、点灯制御部24、規則変更部25および作成部26の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0043】
また、記憶部3は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、駐車場データベース31、走行情報データベース32、信号灯データベース33および規則情報データベース34や各種プログラムの情報を記憶することができる。なお、管理装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0044】
制御部2の受付部21は、管轄エリアAにおける自動運転車両Cの駐車予約を受け付ける。受付部21は、端末装置50からネットワークNを介して駐車予約を受け付けることができる。
【0045】
図4は、駐車予約の受け付け画面の一例を示す図である。
図4に示すように、端末装置50には、駐車予約の受け付け画面において、「降車位置」、「希望到着日時」、「お迎え希望日時」等の項目の入力項目が表示される。
【0046】
「降車位置」は、ユーザが降車する位置を示す。すなわち、実施形態に係る管理システム100では、自動運転車両Cは、降車位置までユーザを一旦送り届けた後に、駐車場へ駐車する。
【0047】
「希望到着日時」は、ユーザが降車位置に到着を希望する日時である。自動運転車両Cは、希望到着時刻までに降車位置にユーザを送り届けることが必要となる。
【0048】
「お迎え希望日時」は、ユーザが降車位置で自動運転車両Cにピックアップされる希望の日時である。すなわち、希望到着時刻からお迎え希望日時までの期間がユーザの降車位置における滞在時間となる。
【0049】
また、例えば、ユーザが、自動運転車両Cを降車後に別々の位置で複数の用事を行うことも想定される。このため、降車位置と、自動運転車両Cがユーザをピックアップする位置とが異なる場所を入力するようにしてもよい。また、ユーザが駐車場を降車位置とする場合、降車位置は駐車場となる。かかる場合に、例えば、ユーザが駐車を希望する駐車場を指定することも可能である。
【0050】
この際、管理システム100では、ユーザが希望する駐車場と異なる駐車場をやむを得ず割り当てる場合、例えば、管轄エリアA内で使用可能なクーポン券をユーザ、すなわち、端末装置50へ付与することにしてもよい。
【0051】
図3の説明に戻り、取得部22について説明する。取得部22は、管轄エリアAを走行する自動運転車両Cの走行情報を取得する。ここでの自動運転車両Cは、駐車予約を行わず、単に管轄エリアA内を走行する車両を示す。
【0052】
なお、以下では、駐車予約を行った自動運転車両Cについて対象車両C1と記載し、駐車予約を行っておらず、管轄エリアAを単に走行する自動運転車両Cについて非対象車両C2と記載する。
【0053】
取得部22は、例えば、非対象車両C2の現在地、目的地および目的地までの走行経路に関する情報を走行情報として逐次取得し、記憶部3の走行情報データベース32に格納する。すなわち、走行情報データベース32には、上述の他車両の動向が記憶される。
【0054】
割当部23は、受付部21によって受け付けられた駐車予約に基づいて対象車両C1へ管轄エリアA内の駐車場を割り当てる。割当部23は、記憶部3の駐車場データベース31を参照し、駐車場を割り当てる。
【0055】
そして、割当部23は、駐車場を割り当てると、駐車場データベース31を更新する。駐車場データベース31は、管轄エリアA内の駐車場の所在地と、各駐車場の収容台数、割当状況等が記憶されたデータベースである。割当部23は、駐車場データベース31の割当状況を更新することとなる。
【0056】
図5は、割当部23による処理の具体例を示す図である。
図5に示すように、割当部23は、降車位置Dpにおけるユーザの滞在時間に基づいて降車位置Dpを基準とする駐車場を割り当てる範囲を決定する。なお、上述のように、滞在時間は、「お迎え希望日時」から「希望到着日時」を差し引いた時間である(
図4参照)。
【0057】
例えば、降車位置Dpの滞在時間が短い場合、降車位置Dpから所定範囲T1が駐車場を割り当てる範囲となり、降車位置Dpの滞在時間が長くなるにつれて、所定範囲T2、所定範囲T3と徐々に範囲が拡大する。
【0058】
すなわち、対象車両C1が降車位置Dpから駐車場までを往復する際の所要時間がユーザの降車位置Dpにおける滞在時間よりも長い場合、対象車両C1が駐車場に入庫する前に、降車位置Dpに向かう必要がある。
【0059】
すなわち、かかる場合に、対象車両C1は、ユーザが降車位置Dpに滞在している期間中、常に走行することとなり、エネルギーを浪費することとなる。
【0060】
このため、割当部23は、ユーザの降車位置Dpの滞在時間に応じて駐車場を割り当てる範囲を限定することで、各対象車両C1に対して適切な駐車場を割り当てることが可能となる。
【0061】
なお、
図5では、所定範囲T1~T3が円形状の範囲である場合について示しているが、所定範囲T1~T3は、対象車両C1が駐車場と、降車位置Dpとを往復するのにかかる所要時間に基づいて決定される。
【0062】
また、割当部23は、受付部21が新たな駐車予約を受け付けた場合、先に割り当てた駐車場の割り当てを更新することも可能である。例えば、降車位置Dpにおける滞在時間が短い駐車予約を受け付けた際に、所定範囲T1にある駐車場P1の予約が満車だったとする。
【0063】
かかる場合に、割当部23は、駐車場P1に駐車する対象車両C1のうち、滞在時間が長く、ユーザの送迎に支障をきたさない対象車両C1を例えば、所定範囲T2に属する駐車場P2や所定範囲T3に属する駐車場P3へ割り当てる。
【0064】
このように、割当部23は、新たな駐車予約を受け付けた場合に、既に駐車場を割り当てた対象車両C1の駐車場の割り当てを変更することで、効率的に駐車場を管理することができる。
【0065】
なお、割当部23は、対象車両C1の車種によって割り当てる駐車場を変更することにしてもよい。例えば、対象車両C1が電気自動車であり、駐車中に充電を要する場合、かかる対象車両C1に対して充電設備が完備された駐車場を割り当てることができる。また、駐車場によっては、高さ制限があるので、高さ制限に収まるように、駐車場を割り当てることも可能である。
【0066】
図3の説明に戻り、点灯制御部24について説明する。点灯制御部24は、管轄エリアA内の混雑状況に応じて管轄エリアA内の交差点における各信号灯の点灯状態を制御する。
【0067】
具体的には、点灯制御部24は、走行情報データベース32を参照して、管轄エリアAにおいて各自動運転車両C(対象車両C1および非対象車両C2を含む)が走行を予定している走行経路から管轄エリアA内の混雑状況を予測する。
【0068】
そして、点灯制御部24は、かかる混雑状況を解消するように、各信号灯の点灯状態を制御する。例えば、点灯制御部24は、点灯状態として各信号灯の青信号および赤信号の周期を制御し、制御結果を信号灯データベース33に書き込む。
【0069】
信号灯データベース33は、管轄エリアA内における各信号灯の点灯周期が記憶されたデータベースである。
図6は、点灯制御部24による処理の具体例を示す図である。なお、ここでは、1つの交差点における信号灯の制御を例に挙げて説明する。
【0070】
図6に示すように、例えば、上側から交差点へ進入予定の自動運転車両Cが計3台であり、左側から交差点へ進入予定の自動運転車両Cが計30台である場合について説明する。
【0071】
かかる場合に、点灯制御部24は、交通量が相対的に多い道路に設置された信号機L1が青で点灯する時間を長くし、交通量が相対的に少ない道路に設置された信号機L2が赤で点灯する時間を長くする。
【0072】
例えば、点灯制御部24は、走行予定の台数に応じて信号機L1および信号機L2の青信号の時間を配分する。すなわち、点灯制御部24は、走行予定の台数の割合が多い道路ほど、青信号の時間が長くなるように点灯状態を制御する。
【0073】
これにより、交通量の多い道路における混雑状況を回避することができる。なお、各交差点における交通量は動的に変化するので、点灯制御部24は、上記の処理を各交差点の交通量にあわせて適宜変更する。
【0074】
図3の説明に戻り、規則変更部25について説明する。規則変更部25は、管轄エリアA内の混雑状況に応じて管轄エリアA内の交通規則を変更し、記憶部3の規則情報データベース34を更新し、更新内容を各車載装置10へ通知する。なお、規則情報データベース34は、管轄エリアA内の交通規制に関する情報を記憶したデータベースである。
【0075】
図7は、規則変更部25の処理の具体例を示す図である。
図7に示すように、規則変更部25は、管轄エリアA内の一方通行の交通規則を逆向きに変更する。
【0076】
規則変更部25は、一方通行の道路を通行が許可された方向(図中右向き)に通過する自動運転車両Cがおらず、かかる道路を逆向きの一方通行(図中左向き)にすることで、混雑状況が緩和される場合に、上記の措置を取る。
【0077】
また、例えば、規則変更部25は、混雑されると見込まれる道路の速度制限を緩和することも可能である。同図に示す例では、速度制限が30km/hから40km/hへ緩和した場合を示す。
【0078】
また、規則変更部25は、対向車線の交通量が少ない場合、対面通行の交通規則を交通量が多い向きに向かう一方通行へ変更することも可能である。すなわち、交通量が多い向きの車線数を増加させることも可能である。
【0079】
このように、規則変更部25は、各自動運転車両Cの動向を把握しておき、混雑状態が緩和されるように交通規則を変更する。これにより、管轄エリアA内において自動運転車両Cを円滑に走行させることができる。
【0080】
また、点灯制御部24による処理と規則変更部25による処理とを組み合わせることで、自動運転車両Cをより円滑に走行させることが可能となる。なお、管理装置1は、点灯制御部24と規則変更部25とのうち、一方のみを備える構成とすることにしてもよいし、点灯制御部24および規則変更部25は、警察署等のサーバで管理されることにしてもよい。
【0081】
図3の説明に戻り、作成部26について説明する。作成部26は、割当部23によって割り当てられた駐車場までの管轄エリアAにおける対象車両C1の走行計画を作成する。作成部26は、他車両の動向から予測される混雑状況に基づいて走行計画を作成する。
【0082】
作成部26が走行計画を作成するに当たり、降車位置が駐車場と同じ位置(例えば、同一の施設)である場合と、降車位置が駐車場と別の位置である場合とが考えられる。まず、降車位置が駐車場と同じ施設である場合について説明する。
【0083】
かかる場合に、まず、作成部26は、対象車両C1のスタート地点Stから駐車場までの走行経路を算出する。このとき、作成部26は、複数の走行経路が考えられる場合、全ての走行経路を算出する。
【0084】
続いて、作成部26は、走行経路毎に所要時間を算出する。例えば、走行経路の交通量が多いほど、所要時間を長く算出し、走行経路の交通量が少ないほど、所要時間を短く算出する。
【0085】
ここで、上述のように、管轄エリアAでは、点灯制御部24および規則変更部25によって混雑状態が緩和される。このため、作成部26は、点灯制御部24および規則変更部25による制御に基づいて走行経路毎の所要時間を算出する。
【0086】
例えば、作成部26は、信号灯の点灯状態が制御された状態において、走行経路を走行した場合の所要時間や、交通規則が変更された状態において、走行経路を走行した場合の所要時間を算出する。
【0087】
続いて、作成部26は、複数の走行経路のうち、所要時間が最短である走行経路を対象車両C1が走行する走行計画を作成し、車載装置10へ送信するとともに、記憶部3の走行情報データベース32を更新する。かかる走行計画には、走行経路の各地点における走行速度、走行車線等が含まれる。車載装置10は、かかる走行計画に基づいて対象車両C1を制御することになる。
【0088】
このように、作成部26は、混雑状況が緩和された状態において、走行計画を作成することで、対象車両C1を効率的な走行経路で走行させることが可能となる。
【0089】
続いて、降車位置が駐車場と別である場合について説明する。かかる場合に、まず、作成部26は、スタート地点Stから降車位置までの走行経路と、降車位置から駐車場までの走行経路とを算出する。
【0090】
すなわち、作成部26は、降車位置を経由し、駐車場に至る走行経路を算出する。そして、作成部26は、例えば、所要時間が最短となる走行経路を組み合わせた走行計画を作成する。
【0091】
このように、作成部26は、降車位置を経由し、駐車場に至るまでの走行計画を作成することで、ユーザのニーズにあわせて適切な走行計画を作成することが可能となる。
【0092】
このとき、対象車両C1には、降車位置から駐車場まではユーザが乗車していない。このため、作成部26は、例えば、ユーザが乗車中である他の対象車両C1の走行の妨げとならないように走行経路を算出するようにしてもよい。
【0093】
また、交通量は逐次変化するため、作成部26は、対象車両C1が走行を開始してから駐車場に到着するまでの期間に、作成した走行計画の更新を行う。例えば、作成部26は、対象車両C1に対して作成した走行計画よりも所要時間が短い走行経路がある場合には、かかる走行経路を走行するように走行計画を更新する。
【0094】
その後、作成部26は、対象車両C1が「お迎え希望日時」(
図4参照)までに降車位置に到着する走行計画を作成し、車載装置10へ通知することとなる。
【0095】
次に、
図8Aおよび
図8Bを用いて実施形態に係る管理装置1が実行する処理手順について説明する。
図8Aおよび
図8Bは、管理装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0096】
まず、
図8Aを用いて駐車予約を受け付けてから走行計画を通知するまでの一連の処理について説明する。
図8Aに示すように、まず、受付部21は、駐車予約を受け付け(ステップS101)、割当部23は、駐車予約に基づいて駐車場を割り当てる(ステップS102)。
【0097】
続いて、作成部26は、降車位置と駐車場とが同一であるか否かを判定する(ステップS103)。かかる判定において、降車位置と駐車場が一致する場合(ステップS103,Yes)、作成部26は、駐車場までの走行計画を作成し(ステップS104)、車載装置10へ走行計画を通知して(ステップS105)、処理を終了する。
【0098】
一方、降車位置と駐車場とが異なる場合(ステップS103,No)、作成部26は、降車位置を経由する走行計画を作成し(ステップS106)、ステップS105の処理へ移行する。
【0099】
次に、
図8Bを用いて通知した走行計画を更新する場合の処理について説明する。
図8Bに示すように、作成部26は、車載装置10へ通知した走行計画の所要時間は最短か否かを判定する(ステップS201)。
【0100】
走行計画の所要時間が最短でない場合(ステップS201,No)、作成部26は、所要時間が最短となるように走行計画を更新する(ステップS202)。
【0101】
続いて、作成部26は、車載装置10へ更新後の走行計画を通知し(ステップS203)、対象車両C1が駐車場へ到着済みか否かを判定する(ステップS204)。
【0102】
ここで、管理装置1は、対象車両C1が駐車場へ到着済みだった場合(ステップS204,Yes)、かかる対象車両C1に対する処理を終了する。一方、駐車場へ到着済みでない場合(ステップS204,No)、ステップS201の処理へ移行する。
【0103】
また、ステップS201の処理において、通知した走行計画の所要時間が最短であった場合(ステップS201,Yes)、ステップS204の処理へ移行する。すなわち、ステップS201からステップS204の処理は、対象車両C1が駐車場に到着するまで継続して行われる。なお、
図8BのステップS204に示す駐車場を降車位置として置き換えて処理を行うことにしてもよい。
【0104】
上述したように、実施形態に係る管理装置1は、受付部21と、割当部23と、作成部26とを備える。受付部21は、管轄エリアAにおける自動運転車両Cの駐車予約を受け付ける。割当部23は、受付部21によって受け付けられた駐車予約に基づいて自動運転車両Cへ管轄エリアA内の駐車場を割り当てる。
【0105】
作成部26は、割当部23によって割り当てられた駐車場までの自動運転車両Cの走行計画を作成する。また、作成部26は、管轄エリアAを走行予定である他車両の動向から予測される混雑状況に基づいて走行計画を作成する。したがって、実施形態に係る管理装置1によれば、特定のエリア内において自動運転車両Cを円滑に走行させることができる。
【0106】
ところで、上述した実施形態では、管理装置1が、対象車両C1に対して複数の駐車施設の中から駐車場を割り当てる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、管理装置1は、同一の駐車施設内で駐車場を割り当てることにしてもよい。すなわち、管轄エリアAは、1つの駐車施設であってもよい。
【0107】
また、上述した実施形態では、管理装置1が、自動運転車両Cである対象車両C1に対して走行計画を作成する場合について説明したが、対象車両C1は、自動運転車両Cに限られず、運転者が運転操作を行う車両であってもよい。
【0108】
また、上述した実施形態では、管理装置1が、対象車両C1に対して走行計画を作成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、管轄エリアAを走行する全ての車両に対して走行計画を作成することにしてもよい。
【0109】
また、予定していた滞在時間が、実際の滞在時間と異なる場合も想定される。このため、管理装置1は、例えば、端末装置50(
図2参照)から対象車両C1の出庫指示を受け付けた場合に、対象車両C1がユーザのもとに向かう走行計画を作成することにしてもよい。
【0110】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 管理装置
10 車載装置
21 受付部
22 取得部
23 割当部
24 点灯制御部
25 規則変更部
26 作成部
100 管理システム
A 管轄エリア
C 自動運転車両
C1 対象車両
C2 非対象車両