(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】移動間仕切装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20220927BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20220927BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220927BHJP
E04C 2/54 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
E05D15/00 A
E05D15/00 C
E06B3/66 D
E04B2/74 561E
E04C2/54 A
(21)【出願番号】P 2018114749
(22)【出願日】2018-06-15
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】安立 直也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛人
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆久
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-196642(JP,A)
【文献】特開2016-148168(JP,A)
【文献】特開2008-121267(JP,A)
【文献】特開2006-132235(JP,A)
【文献】特開2014-015743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
E06B 3/54- 3/88
E04B 2/74
E04C 2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられる誘導路に吊支部材を介して吊支され該誘導路に沿って移動可能であり、間隔をおいて対向して配置される一対の透光パネル部材を有する間仕切パネルを複数連接させて空間を仕切る移動間仕切装置であって、
前記一対の透光パネル部材の間には、上下方向に亘って延びる縦杆部材が配置されており、前記縦杆部材に前記一対の透光パネル部材の側端面に亘って延びる側部カバー部材が取付けられており、前記側部カバー部材の縁部が前記一対の透光パネル部材の側端面に固着されて
おり、
前記縦杆部材と前記一対の透光パネル部材の対向内面とは、接着材により固着されており、前記縦杆部材と前記一対の透光パネル部材の対向内面との間には、前記接着材により固着された位置とは異なる位置に、緩衝部材が配置されていることを特徴とする移動間仕切装置。
【請求項2】
前記側部カバー部材は、前記透光パネル部材の表面に沿って該透光パネル部材の
固着されている側端面とは反対側の側端面方向に延びる延出部を有することを特徴とする請求項
1に記載の移動間仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の室内を所定の区画に仕切って使用するための移動間仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の室内は、天井に設けられたレールに吊支され、該レールに沿って移動可能な間仕切パネルを連接して所定の区画に仕切って、所望の小区画のレイアウトを実現している。このような間仕切パネルにあっては、連接された際に室内が天井から床に亘って仕切られ閉塞感を与えることがあるため、間仕切パネルを構成するパネル材にガラス板等の透光パネル部材を用いて室内空間に開放感を演出するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示される間仕切パネルは、間仕切パネルの厚み方向に対向して配設される一対の透光パネル部材と、一対の透光パネル部材が取付けられる四方枠形状の枠体と、を備えており、枠体は、一対の透光パネル部材を支持した状態で、吊支部材により天井に設けられるレールに吊支されている。
【0004】
透光パネル部材は、その四辺が上下一対の横サッシ及び左右一対の縦サッシにより取り囲まれており、枠体は、縦サッシよりも外側に張り出しており、縦サッシに設けられた係止孔に枠体を構成する縦杆部材に設けられたフックを係止させることで、枠体に対して一対の透光パネル部材が支持されている。また、間仕切パネルを連接するときには、隣接する間仕切パネルの縦杆部材同士を接触させることで、透光パネル部材の破損が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4981582号公報(第6頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、縦杆部材が透光パネル部材よりも側方に張り出して配設されているため、間仕切パネルを連接したときに、隣接する透光パネル部材同士の間に縦杆部材が位置し、透光パネル部材同士が連接方向において分断された印象を与えてしまい、室内空間の開放感を十分に演出できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、隣接する透光パネル部材同士に連続性を持たせることができる移動間仕切装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の移動間仕切装置は、
天井に設けられる誘導路に吊支部材を介して吊支され該誘導路に沿って移動可能であり、間隔をおいて対向して配置される一対の透光パネル部材を有する間仕切パネルを複数連接させて空間を仕切る移動間仕切装置であって、
前記一対の透光パネル部材の間には、上下方向に亘って延びる縦杆部材が配置されており、前記縦杆部材に前記一対の透光パネル部材の側端面に亘って延びる側部カバー部材が取付けられており、前記側部カバー部材の縁部が前記一対の透光パネル部材の側端面に固着されており、
前記縦杆部材と前記一対の透光パネル部材の対向内面とは、接着材により固着されており、前記縦杆部材と前記一対の透光パネル部材の対向内面との間には、前記接着材により固着された位置とは異なる位置に、緩衝部材が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、側部カバー部材の縁部が透光パネル部材の側端面に固着されて一体化されることで、側部カバー部材の縁部の強度が高くなるため、側部カバー部材の縁部を薄く形成することができ、隣接する間仕切パネルの透光パネル部材同士を近付けて配置して連続性を持たせることができる。
【0009】
前記一対の透光パネル部材の間には、上下方向に亘って延びる縦杆部材が配置されており、前記縦杆部材に前記側部カバー部材が取付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、強度の高い縦杆部材に側部カバー部材が取付けられているので、一対の透光パネル部材の相対移動を規制することができる。
【0010】
前記縦杆部材と前記一対の透光パネル部材の対向内面とは、接着材により固着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、一対の透光パネル部材が直交する2面で側部カバー部材と縦杆部材とに固着されるので、側部カバー部材と縦杆部材と一対の透光パネル部材とが一体化され、夫々の相対移動を防止できる。
【0011】
前記縦杆部材と前記一対の透光パネル部材の対向内面との間には、前記接着材が固着された位置とは異なる位置に、緩衝部材が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、縦杆部材と透光パネル部材との接触を防止することができる。
【0012】
前記側部カバー部材は、前記透光パネル部材の表面に沿って該透光パネル部材の固着されている側端面とは反対側の側端面方向に延びる延出部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、延出部により透光パネル部材の側端面と側部カバー部材との固着部分が透光パネル部材の表面側から視認不能または視認しにくくすることができるため、美観が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例における移動間仕切装置を示す正面図である。
【
図2】間仕切パネルの構造を示す分解斜視図である。
【
図3】上部閉塞部材及び下部閉塞部材の収納状態を示す縦断面図である。
【
図4】上部閉塞部材及び下部閉塞部材の閉塞状態を示す縦断面図である。
【
図5】上部フレームと縦フレームとの連結構造を拡大して示した分解斜視図である。
【
図6】実施例における側部カバー部材周辺の構造を示す上面視における断面図である。
【
図7】間仕切パネルの変形例1を示す上面視における断面図である。
【
図8】間仕切パネルの変形例2を示す上面視における断面図である。
【
図9】間仕切パネルの変形例3を示す上面視における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る移動間仕切装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
実施例に係る移動間仕切装置につき、
図1から
図6を参照して説明する。以下、
図1の紙面手前側及び
図3の紙面右側を移動間仕切装置の正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0016】
間仕切パネル1は、例えば、オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の建物内の室内を所定の区画に仕切るために用いられるものであり、
図1に示されるように、本実施例では、複数の間仕切パネル1,1,…を組み合わせて移動間仕切装置10を構成している。
【0017】
移動間仕切装置10は、室内空間の天井面Rに設けられるレール3(誘導路)に沿って移動可能な一対の吊支部材9,9により上端が吊支される複数の間仕切パネル1,1,…から主に構成され、間仕切パネル1,1,…をレール3に沿って所定の位置まで手動で順次移動させ、間仕切パネル1,1,…を左右方向(進行方向)に一列に連接させることができるとともに、後述する上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに向けて押し付けられることにより天井面Rから床面Fに亘って室内空間を仕切ることができるようになっている。
【0018】
図2に示されるように、間仕切パネル1は、前後に間隔をおいて対向配置される一対のガラスパネル4,4(透光パネル部材)と、ガラスパネル4,4を一体に保持する枠部材5(上部フレーム6、縦フレーム7,7(縦杆部材)及び下部フレーム8)と、上部フレーム6及び下部フレーム8(枠部材5の上下端部)に収納される上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12と、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退動作させる進退機構(図示略)と、から主に構成される二重ガラスパネル構造を成し、パネル材として透明のガラスパネル4が使用されることにより、間仕切パネル1によって仕切られる室内空間の開放感を演出することができるとともに、強度や遮音性に優れている。尚、本実施例では、ガラスパネル4,4と枠部材5とが一体化されてパネル本体20を構成している。
【0019】
図3を用いて、先ずガラスパネル4の構造について説明する。ガラスパネル4は、2枚の透明な板ガラス41,41を重合して強化された合わせガラスとなっている。板ガラス41,41は透明な接着層17(
図6参照)により固着されているため、板ガラス41,41が一体化されてガラスパネル4の強度が高くなっている。尚、板ガラス41,41は、透明度の高いポリカーボネートやアクリル樹脂製を使用してもよい。
【0020】
次いで、枠部材5の構造について説明する。
図2に示されるように、枠部材5は、ガラスパネル4,4の上端部に沿って取付けられる上部フレーム6と、上端部が上部フレーム6の左右両端部に接続される一対の縦フレーム7,7と、ガラスパネル4,4の下端部に沿って取付けられ、左右両端部が一対の縦フレーム7,7の下端部に接続される下部フレーム8と、から主に構成され、一対のガラスパネル4,4の上下左右端に沿って配置される、いわゆる四方枠形状を成している。
【0021】
図3を参照し、上部フレーム6は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、下面側の前後に長手方向に沿って設けられる凹溝部61,61と、上面側の前後略中央部に長手方向に沿って設けられる上部チャンネル部62と、を備えている。凹溝部61は、側方から見て下向きコ字状を成し、ガラスパネル4,4の上端部を上方から嵌合している。上部チャンネル部62は、側方から見て上向きコ字状を成し、上部閉塞部材11を収容している。
【0022】
また、
図5に示されるように、上部フレーム6は、左右方向に貫通して延びる溝6dを備え、溝6dの左右両端部には、鋼製の芯部材63,63(左側のみ図示)が挿入された状態で固定されている。芯部材63は、左右方向に延びる鋼製等の棒状を成し、その左右方向略中央部に上方向に突出し吊支部材9を接続可能な筒状の接続部63aが設けられている。芯部材63は、接続部63aに対して吊支部材9が上方からアクセス可能な状態で上部フレーム6の溝6dに固定されており、上部閉塞部材11を貫通した吊支部材9の軸部が接続部63aの上方から挿入されて固定されている。
【0023】
図3に戻って、下部フレーム8は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、上面側の前後に長手方向に沿って設けられる凹溝部81,81と、下面側の前後略中央部に長手方向に沿って設けられる下部チャンネル部82と、を備えている。凹溝部81は、側方から見て上向きコ字状を成し、ガラスパネル4,4の下端部を下方から嵌合している。下部チャンネル部82は、側方から見て下向きコ字状を成し、下部閉塞部材12を収容している。
【0024】
図2及び
図5に示されるように、縦フレーム7は、間仕切パネル1の上下方向に延びる芯部材71が前後面において上下方向に延びる被覆部材70に被覆されて構成され、左右方向に厚みを有する略板状を成し、ガラスパネル4,4の間に配設されている。また、縦フレーム7は、一対のガラスパネル4,4間の間隔の寸法L2よりも板厚(左右方向の厚み)の寸法L1が短寸に形成されている(L1<L2,
図6参照)。尚、被覆部材70は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、芯部材71は、左右方向に厚みを有する鋼製の板材である。
【0025】
このように、縦フレーム7,7は、芯部材71,71を鋼製等の剛性の高い素材により構成し、芯部材71,71を薄く構成したアルミ合金製の被覆部材70,70で被覆することにより、縦フレーム7,7を左右方向の厚みの薄い板状に構成しつつ、芯部材71,71により縦フレーム7,7の縦方向の強度を確保できる。
【0026】
尚、縦フレーム7,7の上端部は、ネジ13により上部フレーム6に対して側方から固定されているとともに、ネジ13の外側からカバー部材78がネジ15により芯部材63に固定されている(特に
図5参照)。
【0027】
図6に示されるように、縦フレーム7は、ガラスパネル4,4間に配置され、縦フレーム7を構成する被覆部材70の前後の支持面70a,70bと、ガラスパネル4,4の対向面4a,4a(対向内面)との間には、上下方向に延びる透明な両面テープ75,75(接着材,接着層)が配置されている。具体的には、支持面70a,70bには、ガラスパネル4,4側に突出する凸条部72,72及び凸状部73が左右方向に離間してそれぞれ設けられており、凸条部72,72の突出側先端面72a,72aには、上下方向に沿って両面テープ75,75が貼付されて、両面テープ75,75の他方の面はガラスパネル4,4の対向面4a,4aに貼付され、ガラスパネル4,4と縦フレーム7とが固着されている。
【0028】
間仕切パネル1の左側に配置される縦フレーム7において、凸条部72,72は被覆部材70のガラスパネル4の側端面4b(左側端面)側と、被覆部材70の左右方向略中央部とに設けられており、凸状部73は被覆部材70のガラスパネル4の側端面4c(右側端面)側に設けられている。また、間仕切パネル1の右側に配置される縦フレーム7において、凸条部72,72はガラスパネル4の側端面4c側と、被覆部材70の略中央部とに設けられており、凸状部73は被覆部材70のガラスパネル4の側端面4b側に設けられている。
【0029】
また、被覆部材70の支持面70a,70bにおける各凸状部73(両面テープ75が固着された位置とは異なる位置)には、ガラスパネル4側に開口する上下方向に延びる凹溝73aが形成されており、該凹溝73aには透明な合成樹脂製の緩衝部材22が配置されている。すなわち、緩衝部材22は、被覆部材70の支持面70a,70bにおける両面テープ75よりもガラスパネル4,4の中央側の位置に配置されている。尚、緩衝部材22は、両面テープ75よりも厚みを有しており、弾性変形可能となっている。
【0030】
尚、本実施例では、両面テープ75及び緩衝部材22が透明な部材で形成されているため、両面テープ75や緩衝部材22がガラスパネル4,4を通して視認し難くなっているが、例えば、両面テープ75や緩衝部材22が被覆部材70と略同色に着色されていても同様の効果を発揮できる。
【0031】
図2、
図5及び
図6に示されるように、縦フレーム7,7の左、右側部には、それぞれ側部カバー部材76,77が取付けられている。具体的には、側部カバー部材76,77は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、縦フレーム7と略同一の上下寸法を有するとともに、一対のガラスパネル4,4に亘って延びる前後幅を有している。
【0032】
特に
図6に示されるように、間仕切パネル1の左側部に設けられる側部カバー部材76は、前後中央部において右側に凹むように形成され右側の側部カバー部材77の凸嵌合部77aが嵌合する凹嵌合部76aと、凹嵌合部76aの前後に連続して形成される縁部76b,76bと、から構成されている。凹嵌合部76aは、縦フレーム7の芯部材71にネジ16により固定されており、凹嵌合部76aにおける開口部(左側)の前後スリットには、ゴム等の弾性部材76fが設けられている。尚、側部カバー部材76は、縦フレーム7に対して溶着されていてもよいし、他の固定手段により取付けられていてもよい。
【0033】
縁部76b,76bは、ガラスパネル4,4の側端面4b,4b(左側端面)の左側に対向配置される上面視平板状の対向部76c,76cと、対向部76c,76cの前後端縁から右側(透光パネル部材の反対側の側端面方向)に延びる上面視略直角三角形状の延出部76d,76dと、を有している。
【0034】
対向部76c,76cは、対向するガラスパネル4,4の側端面4b,4bに対して、上下方向に延びる透明な両面テープ21,21(接着材,接着層)により固着されている。また、ガラスパネル4,4の側端面4b,4bと表面4d及び裏面4eとの角部4fは面取り加工されており、延出部76d,76dは、面取り加工された該角部4fと斜面同士が略平行になるように角部4f内に配設されている。
【0035】
また、凹嵌合部76aと縁部76b,76bとの間には、右側に突出する鉤状の係止片76e,76eが形成されており、係止片76e,76eは、被覆部材70の上下方向に沿って設けられた係合溝70c,70cに挿入されて係合可能となっている。
【0036】
また、間仕切パネル1の右側部に設けられる側部カバー部材77は、前後中央部が右側に突出し、隣接する間仕切パネル1の側部カバー部材76の凹嵌合部76aに嵌合可能な凸嵌合部77aを有している。尚、側部カバー部材77は、凸嵌合部77a以外の構成は側部カバー部材76と同一の縁部77b、対向部77c、延出部77d、係止片77eを有している。
【0037】
隣接した間仕切パネル1,1が左右方向に連設される際には、側部カバー部材76,77同士が直接接触するため、ガラスパネル4,4の両側端面4b,4cを保護できるようになっている。また、側部カバー部材76の凹嵌合部76aと側部カバー部材77の凸嵌合部77aと嵌合により該弾性部材76fが圧接されるため、隣接する間仕切パネル1,1間における密閉性及び遮音性が高められている。尚、間仕切パネル1,1が左右方向に連設した際には、側部カバー部材76の縁部76bと側部カバー部材77の縁部77b同士が左右方向に若干離間するようになっており、縦方向に目地を形成することができ、美観が向上する。
【0038】
次に、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12について説明する。
図2~
図4に示されるように、上部閉塞部材11は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、上部フレーム6と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て下向きコ字形状を成している。下部閉塞部材12は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、下部フレーム8と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て上向きコ字形状を成している。
【0039】
図1に戻って、上部閉塞部材11は、上部フレーム6の上部チャンネル部62に収納された状態において、パネル本体20よりも左側(間仕切り位置への進行方向)に向かって左端部(先端部)が突出している。尚、下部閉塞部材12も同様に、下部チャンネル部82に収納された状態において、パネル本体20よりも左側(間仕切り位置への進行方向)に向かって左端部(先端部)が突出している。上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12は、その左端部が左側に隣接する間仕切パネル1に接触した状態で押し込まれることによりレール3及び床面Fに対して進退動作するようになっている。
【0040】
また、
図3及び
図4に示されるように、上部閉塞部材11の上面側の前後及び下部閉塞部材12の下面側の前後には、左右方向に沿って延びるゴム製等のシール部材14が固着されており、特に
図4に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに近づく方向に延出した状態にあっては、シール部材14がそれぞれ上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12とレール3の下面及び床面Fとの間で圧接され、密閉性及び遮音性が高められる。尚、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退動作させる図示を省略する進退機構は、捻りコイルバネ、または捻りコイルバネ及びリンク部材を組み合わせたリンク機構等により構成されている。
【0041】
以上説明したように、本実施例の移動間仕切装置10における間仕切パネル1は、一対のガラスパネル4,4の側端面4b,4b及び側端面4c,4cに亘って延びる側部カバー部材76,77を有し、側部カバー部材76,77の縁部76b,77bがガラスパネル4,4の側端面4b,4cに両面テープ21,21により固着されている。
【0042】
これによれば、側部カバー部材76,77の片持支持されている縁部76b,77bがガラスパネル4,4の側端面4b,4cに固着されて一体化されることで、側部カバー部材76,77の縁部76b,77bの強度が高くなる。すなわち、側部カバー部材76,77の縁部76b,77b自体に高い強度を持たせる必要がないため、縁部76b,77bを薄く形成することができ、隣接する間仕切パネル1,1のガラスパネル4,4同士を近付けて配置して連続性を持たせることができる。これにより、ガラスパネル4,4同士が側部カバー部材76,77により連接方向において分断された印象を与えることが抑制され、室内空間の開放感を十分に演出することができる。
【0043】
また、縁部76b,77bは、間仕切パネル1を連接させるときに使用者に把持されることも多いが、縁部76b,77bはガラスパネル4,4に固着されて強度が高いため、使用者に把持されても縁部76b,77bが屈曲変形することが防止される。
【0044】
また、ガラスパネル4,4の間には、上下方向に亘って延びる縦フレーム7,7が配置されており、縦フレーム7,7に側部カバー部材76,77が固定されている。これによれば、ガラスパネル4,4を一体に保持する枠部材5を構成する強度の高い縦フレーム7,7に側部カバー部材76,77が固定されているので、側部カバー部材76,77の位置を安定させることができ、ガラスパネル4,4の相対移動を規制することができる。
【0045】
また、縦フレーム7,7は、一対のガラスパネル4,4の対向面4a,4a間に配置されているため、従来のように縦フレーム7,7がガラスパネル4,4の左右側端に配置される形態に比べ、縦フレーム7,7を目立ちにくくすることができる。
【0046】
また、縦フレーム7,7とガラスパネル4,4の対向面4a,4aとは、両面テープ75,75により固着されているので、ガラスパネル4が側端面4b,4cと対向面4a(直交する2面)とで側部カバー部材76,77と縦フレーム7,7とに固着されるので、側部カバー部材76,77と縦フレーム7,7とガラスパネル4,4とが一体化され、夫々の相対移動を防止できる。
【0047】
また、ガラスパネル4,4の荷重を縦方向の支持強度が高い縦フレーム7,7に支持させる構造であることから、下部フレーム8にガラスパネル4,4を支持させるだけの支持強度を持たせる必要がなく、該下部フレーム8を薄く構成することができるため、ガラスパネル4,4の透光領域を大きくすることができる。
【0048】
さらに、両面テープ75,75によりガラスパネル4,4と縦フレーム7,7が固着されているため、ガラスパネル4,4に接続用の孔や特殊な接続具などを用意する必要がなく、簡単な構造で縦フレーム7,7に一対のガラスパネル4,4を支持させることができる。
【0049】
また、縦フレーム7,7は、略板状を成し、一対のガラスパネル4,4間の間隔L2よりも左右方向の板厚の寸法L1が短寸に形成されているため、縦フレーム7,7とガラスパネル4,4とが左右に重畳する領域が小さくなり、ガラスパネル4,4の透光領域を広く見せることができ、室内空間に開放感を好適に演出できる。
【0050】
また、縦フレーム7,7とガラスパネル4,4の対向面4a,4aとの間には、両面テープ75,75が固着された位置とは異なる位置(両面テープ75よりもガラスパネル4,4の左右方向中央側の位置)に緩衝部材22が配置されているので、ガラスパネル4,4に撓みや変形等が生じても縦フレーム7,7とガラスパネル4,4との接触を防止することができる。
【0051】
具体的には、両面テープ75は、縦フレーム7の支持面70a,70bよりも左右幅が短寸となっているため、気泡が入りになっている。また、縦フレーム7の支持面70a,70bには、両面テープ75よりも左右方向にずれて緩衝部材22が配置されているので、ガラスパネル4,4に変形が生じたり外力が作用しても、縦フレーム7,7とガラスパネル4,4との直接接触することを防止することができる。
【0052】
また、縦フレーム7には、前後の支持面70a,70bに上下方向に延びる凸条部72,72が設けられており、該凸条部72,72の突出側先端面72a,72aに両面テープ75,75が貼付されている。そのため、ガラスパネル4,4の対向面4a,4aが押し付けられる際に、凸条部72,72に圧力が集中するので、ガラスパネル4,4に対して両面テープ75,75を貼り付けやすい。
【0053】
また、両面テープ75,75が凸条部72,72の突出側先端面72a,72aに貼付されるため、両面テープ75,75が凸条部72,72に対してずれたとしても目立ちにくく見栄えが良いとともに、両面テープ75,75の凸条部72,72への貼付作業が簡便である。
【0054】
また、側部カバー部材76,77は、ガラスパネル4,4の表面4dまたは裏面4eに沿ってガラスパネル4,4の反対側の側端面4b,4c方向に延びる延出部76d,77dを有するため、延出部76d,77dによりガラスパネル4,4と側部カバー部材76,77との固着部分がガラスパネル4,4の表面4d側または裏面4e側から視認不能または視認しにくくすることができ、美観が向上する。
【0055】
また、延出部76d,77dは、面取り加工されたガラスパネル4,4の側端面4b,4cと表裏面4d,4eとの角部4fに配設されているため、延出部76d,77dの表裏面をガラスパネル4,4の表裏面4d,4eと略面一とすることができ、間仕切パネル1,1,…を連接したときに、間仕切パネル1,1,…の前後の表面に凹凸が形成されることがないため、見栄えが良い。
【0056】
次に、間仕切パネルの変形例1について説明する。
図7に示されるように、本変形例1の間仕切パネル101は、前記実施例における側部カバー部材76,77の延出部76d,77dが設けられておらず、対向部76c’,77c’がガラスパネル4,4の側端面4b,4cと平行で、且つ対向部76c’,77c’の端面76g,77gがガラスパネル4,4の表裏面4d,4eと略面一となるように形成されている。この場合、対向部76c’,77c’とガラスパネル4,4の表裏面4d,4eとの間に配置される両面テープ211は、対向部76c’の端面76gとガラスパネル4の表面4dまたは裏面4eとの間が略面一となるように設けられることが好ましい。
【0057】
次に、間仕切パネルの変形例2について説明する。
図8に示されるように、本変形例2の間仕切パネル102は、被覆部材70の支持面70a,70bが平坦に形成されている(前記実施例の凸条部72,72及び凸状部73が設けられていない)。このような形態であっても、両面テープ75によりガラスパネル4,4の荷重を縦方向の支持強度が高い縦フレーム7,7に支持させることができるとともに、緩衝部材22により縦フレーム7,7とガラスパネル4,4との接触を防止することができる。
【0058】
尚、間仕切パネルの変形例3として次のようなものもある。
図9に示されるように、本変形例3の間仕切パネル103は、両面テープ175の左右幅L10が縦フレーム7の支持面70a,70bの板厚(左右方向の厚み)の寸法L1と略同一となっている(実際には、両面テープ175が縦フレーム7の支持面70a,70bよりも若干短寸)。これによれば、ガラスパネル4と縦フレーム7との間に隙間が形成されないので、ガラスパネル4,4が変形して縦フレーム7,7とガラスパネル4,4との接触を防止することができる。さらに尚、縦フレーム7とガラスパネル4との間に亘って左右に離間して複数の接着材を配置しても同様の効果を発揮することができる。
【0059】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0060】
例えば、前記実施例及び前記変形例1~3では、縦フレーム7,7と側部カバー部材76,77とが別体である形態を例示したが、これに限られず、縦フレーム7,7からガラスパネル4,4の側端面4b,4b又は側端面4c,4cを覆うカバー部が延出して設けられていてもよい。また、上部フレーム6でガラスパネル4,4を支持するものであれば、縦フレーム7,7及び下部フレーム8の構成を省略してもよい。
【0061】
また、前記実施例及び前記変形例1~3では、側部カバー部材76,77とガラスパネル4,4とが接着材としての両面テープ21,21により固着された形態を例示したが、本発明はこれに限られず、側部カバー部材76,77とガラスパネル4,4とが溶着などにより固着されていてもよい。また、緩衝部材は、合成樹脂製に限られず、ガラスパネル4との接触を緩衝できるものであれば自由に変更できる。
【0062】
また、前記実施例及び前記変形例2,3では、対向部76c,76cとガラスパネル4,4の側端面4b,4cとが両面テープ21,21により固着され、延出部76d,77dとガラスパネル4,4の角部4fとの斜面同士の間に隙間が形成されるように略平行に配置される形態を例示したが、延出部76d,77dとガラスパネル4,4の角部4fとの斜面同士の間も接着材または溶着により固着されていてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、ガラスパネル4,4が前後に2枚設けられる間仕切パネル1について説明したが、これに限られず、間仕切パネルは、ガラスパネル4が対向して少なくとも一対設けられていればよく、ガラスパネル4が3枚以上の複数設けられるものであってもよい。
【0064】
また、前記実施例では、透光パネル部材として透明なガラスパネル4,4を利用する形態を例示したが、パネル部材は、透光性を有していればよく、例えば、半透明のパネル部材で構成されていてもよい。
【0065】
また、一対のガラスパネル4,4と縦フレーム7,7とを固着する両面テープ75,75等の接着材は、上下方向に亘って連続するものに限らず、上下方向に分断されていてもよい。
【0066】
また、一対のガラスパネル4,4と縦フレーム7,7との固着は、両面テープ75,75に加えて、付加的に他の固定手段を併用してもよいし、両面テープ75,75に代えてビスやネジ、溶着等の他の固定手段で固着されていてもよい。
【0067】
また、前記実施例では、枠部材5を構成する一対の縦フレームに対して一対のガラスパネル4,4がそれぞれ両面テープ75,75により固着されて支持されるものについて説明したが、これに限らず、ガラスパネル4,4は、縦フレームだけでなく、上部フレーム6に対して両面テープにより固着されていてもよい。また、上部フレーム6及び縦フレームに対するガラスパネル4,4の固着は、両面テープによるもの限らず、他の接着剤や粘着剤が使用されてもよい。また、一対のガラスパネル4,4と縦フレームとを固着する接着材は、上下方向に分割されていてもよい。
【0068】
また、前記実施例では、側部カバー部材76,77がアルミ合金で形成されている形態を例示したが、これに限られず、その他金属や合成樹脂等から構成されていてもよい。
【0069】
また、前記実施例では、間仕切パネル1,1,…を連接したときに、側部カバー部材76の凹嵌合部76aと側部カバー部材77の凸嵌合部77aとが接触(嵌合)し、縁部76b,76b同士が若干離間する形態を例示したが、縁部76b,76b同士が直接接触するようになっていてもよい。
【0070】
また、側部カバー部材は、縁部のみを薄く形成し、側部カバー部材の前後中央部は板厚を厚く形成して間仕切パネル連接時の衝撃に対する強度を高めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 間仕切パネル
4 ガラスパネル(透光パネル部材)
4a 対向面(対向内面)
4b,4c 側端面
5 枠部材
6 上部フレーム
7 縦フレーム(対向内面)
8 下部フレーム
10 移動間仕切装置
21 両面テープ(接着材)
22 緩衝部材
75 両面テープ(接着材)
76,77 側部カバー部材
76b,77b 縁部
76c,77c 対向部
76d,77d 延出部
100 間仕切パネル
175 両面テープ(接着材)