(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ファンヒータ制御回路
(51)【国際特許分類】
F24C 5/18 20060101AFI20220927BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20220927BHJP
F24C 5/16 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F24C5/18 S
F24H15/10
F24C5/16 A
(21)【出願番号】P 2018117560
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】奥村 文雄
(72)【発明者】
【氏名】鹿田 順規
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-095253(JP,A)
【文献】特開2003-240230(JP,A)
【文献】特開2002-277060(JP,A)
【文献】特開平07-151387(JP,A)
【文献】特開平04-335916(JP,A)
【文献】特開昭60-099930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 5/18
F24H 15/10
F24C 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されて
おり、
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされ、
前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされ、
前記第1入力信号は、前記第1アクチュエータが駆動している場合に該駆動動作の周期に応じたパルス波形とされる、ことを特徴とするファンヒータ制御回路。
【請求項2】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されており、
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされ、
前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされ
、
前記第1入力信号は、
前記ブロワ用モータに設けられたホールICから出力される信号である、ことを特徴とす
るファンヒータ制御回路。
【請求項3】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されており、
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされ、
前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされ
、
前記駆動許可回路は、前記外部指令信号がパルス波形とされる第1条件、及び、前記動作確認信号が前記第1アクチュエータの運転最中を示す信号状態である第2条件、の双方の条件が満足された場合に前記駆動許可信号を出力する、ことを特徴とす
るファン
ヒータ制御回路。
【請求項4】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されており、
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされ、
前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされ
、
前記駆動許可信号は、パルス状の波形とされる、ことを特徴とす
るファン
ヒータ制御回路。
【請求項5】
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、
前記ブロワ用モータに設けられたホールICの信号出力部と前記駆動許可回路の信号入力部との間に介挿される状態で配線されている、ことを特徴とする請求項1
または請求項
2に記載のファン
ヒータ制御回路。
【請求項6】
前記駆動許可信号のパルス状の波形は、
パルス波形とされる前記外部指令信号の周期的成分に応じて波形形成される、ことを特徴とす
る請求項
4に記載のファン
ヒータ制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンヒータの制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ポット式液体燃料ファンヒータは、燃料ポンプ,気化器,ブロアファン,燃焼釜,燃料加熱ヒータ,この他,電機的構成を制御する制御回路(ファンヒータ制御回路)が設けられている。液体燃料(以下、石油)は、燃料ポンプによって気化器へ導入され、ここで蒸発した石油の気化微粒子成分が気体燃料となって当該気化器から離脱する。この気体燃料は、ブロワファンによって導入された空気と混合され、燃焼に適した混合比に調整される。この混合気は、燃焼釜に配置された燃料点火ヒータによって燃焼される。
【0003】
また、制御回路は、マイコンが実装され、燃料ポンプ,ブロアファン,を適宜に制御する。また、この制御に関しては、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)から適宜の信号が出力され、これに応じて燃料ポンプ用アクチュエータ(ソレノイド式プランジャ駆動機構)を始めとする各種アクチュエータが制御される。特に、引用文献1では、上述したマイコンへ各種信号が入力され、当該マイコンが集約的に処理を実行し各種制御信号を出力することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マイコンの誤動作によっては、ブロワ用モータをオフさせたまま、燃料点火ヒータ及び燃料ポンプを駆動させる故障モードが考えられる。この場合、石油ファンヒータの気化器では、石油が導引され続けて高濃度の混合気が形成されるので、ブロワ用モータがオフ状態とされる故障モードの場合、ファンヒータから白煙が発生し外気へ可燃性の気体を漏出し続けるという危険な状況を招く。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、ブロワ用モータの予期せぬ誤動作に起因する白煙発生を回避し得るファンヒータ制御回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では次のような液体燃料ファンヒータ制御回路の構成とする。即ち、第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されていることとする。
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされる。前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされる。前記第1入力信号は、前記第1アクチュエータが駆動している場合に該駆動動作の周期に応じたパルス波形とされる。
【0009】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されていることとする。
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされる。前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされる。前記第1入力信号は、前記ブロワ用モータに設けられたホールICから出力される信号であることとする。
【0011】
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記ブロワ用モータに設けられたホールICの信号出力部と前記駆動許可回路の信号入力部との間に介挿される状態で配線されていることとする。
【0012】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されていることとする。
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされる。前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされる。前記駆動許可回路は、前記外部指令信号がパルス波形とされる第1条件、及び、前記動作確認信号が前記第1アクチュエータの運転最中を示す信号状態である第2条件、の双方の条件が満足された場合に前記駆動許可信号を出力することとする。
【0013】
第1入力信号及び第2入力信号の双方の状態に基づいて外部指令信号を出力するマイクロコンピュータと、第1アクチュエータが動作中の場合に動作確認信号を出力する第1アクチュエータ動作検出回路と、前記外部指令信号及び前記動作確認信号の双方の信号状態に基づいて第2アクチュエータの駆動許可信号を出力する駆動許可回路と、前記駆動許可信号に基づいて前記第2アクチュエータの運転を行うドライブ回路と、を備え、
前記第1アクチュエータ動作検出回路は、前記マイクロコンピュータの外部に設けられ、且つ、回路基板に実装されていることとする。
前記第1アクチュエータは、ブロワ装置に設けられたブロワ用モータとされる。前記第2アクチュエータは、燃料ポンプ装置に設けられたポンプ用アクチュエータとされる。前記駆動許可信号は、パルス状の波形とされることとする。
【0014】
好ましくは、前記駆動許可信号のパルス状の波形は、パルス波形とされる前記外部指令信号の周期的成分に応じて波形形成されることとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るファンヒータ制御回路によると、ブロワ用モータの動作確認を行う回路が設けられ、当該ブロワ用モータの運転を確認した上で燃料ポンプの運転が実施される。従って、かかる制御回路では、ブロワ用モータのみが故障停止した場面で燃料ポンプを駆動できなくなるので、気化燃料による危険な白煙の発生を未然に防止させることができる。
【0016】
また、かかる制御回路は、マイコンが暴走動作してブロワ用モータを停止させていても、マイコン以外のトラブルでブロワ用モータを停止させていても、ブロワ用モータの駆動事実に基づいて燃料ポンプの運転許可が判定される。即ち、本制御回路は、故障モードに関わりなく、気化装置系への不要な燃料供給を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係るファンヒータ制御回路の回路構成を示す図。
【
図2】実施の形態に係るポンプ動作シーケンスを表したフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。本実施の形態に係る液体燃料ファンヒータ(以下、石油ファンヒータ)は、ポット式燃焼装置とされており、
図1に示す如く、燃料ポンプP,燃料気化装置120,ブロワファン(ブロワ用モータMfによって駆動される装置),燃焼釜,この他、電機的構成を制御する制御回路100が設けられている。尚、符号付与されていない構成名称は、図面上での記載がない場合がある。
【0019】
燃料ポンプPは、プランジャの摺動機構を配備させ、該プランジャの収容配管を包囲する状態にてソレノイドコイルが設けられる。該プランジャは、この収容配管を軸方向に摺動する際、一次側へ移動するときに逆止弁を開放させ、二次側へ移動するときに逆止弁を閉止させる機構が設けられている。これにより、プランジャは、一次側から二次側へ移動するタイミングで、該二次側から定量の燃油を連続的に吐出させる。二次側へ燃油を蓄え所定極性に磁化された磁性体が該プランジャに配備されている。このプランジャは、ソレノイドコイルの通電遮断動作に応動して、燃油の吐出作用を与える。以下、プランジャ、磁性体(永久磁石等)、ソレノイドコイルから構成される機構を第2アクチュエータと呼ぶ。
【0020】
この燃料ポンプPは、配管を介して、燃料タンクと燃料気化装置120との間に設けられている。該燃料ポンプPは、第2アクチュエータによって駆動制御され、燃料タンクから供給される石油供給量を適宜に調整する。
【0021】
燃料気化装置は、燃焼釜の底部に気化シートが配備されており、此処へ、燃料ポンプPによって供給される燃料が適量滴下される。この気化シートでは、供給燃料を気化させ、これを点火ヒータ121へ導く。
【0022】
燃焼釜の近傍には、バイメタル式通電切換装置122(過熱防止機能部122)が配備されている。該バイメタル式通電切換装置122は、温度特性の異なるメタルを積層させた構成によって、所定温度の検知及び通電切換が行われる。該バイメタル式通電切換装置122は、燃焼釜の温度が安全状態の温度に保たれているときは通電状態を保持し、燃焼釜の温度が安全状態を逸脱すると非通電状態とされる。即ち、バイメタル式通電切換装置122は、バイメタル変形が燃焼釜の危険温度に適合されており、これが危険温度に達すると、電源Vaからの電力供給を遮断する。
【0023】
ブロワファン(ブロワ装置)は、石油ファンヒータ内のダクトを介して、外気を装置内へ導く機能を果たす。このブロワファンは、ブロワ用モータMf(第1アクチュエータ)のシャフトに軸着され、当該モータMfに連動して回動動作する。即ち、ブロワファンは、ブロワ用モータMfの動作に応じて、外気の供給量を制御することとなる。この外気は、後述する燃焼釜へ投入され、上述した微粒子状の石油燃料と混合される。この混合気は、燃焼に適した空燃比に調整され、NOx若しくはCOの少ない燃焼状態が実現される。
【0024】
燃焼釜は、混合気の通路に点火ヒータ121が配備され、該点火ヒータ121が与える熱エネルギーによって混合気を着火させ連続的な燃焼を実現させる。そして、燃焼状態に達した混合気は、燃焼釜を通過する間に完全燃焼に至り、燃焼釜の表面では、混合気から受けた高い熱量を外部へ放熱する。
【0025】
上述の如く、本実施の形態に係る石油ファンヒータは、燃料供給系統(燃料タンク→燃料ポンプ→燃料気化装置)、燃料燃焼系統(燃料気化装置→燃焼釜)、送風系統(ダクト→燃料気化装置→燃焼釜)、から成る機能部がシステム化され、装置全体として、石油燃料の燃焼によって生じた熱量を装置外部へ提供する。
【0026】
ファンヒータ制御回路100は、マイコン110と、点火ヒータ121と、バイメタル式通電切換装置122と、指令信号検出回路150と,ブロワ用モータ動作検出回路170(第1アクチュエータ動作検出回路170)と,駆動許可回路130と,ドライブ回路180と,ブロワ用モータMf及びそのホールIC160と、燃料ポンプP及びポンプ用アクチュエータ(第2アクチュエータ)と、から構成される。
【0027】
尚、マイコン110については、その機能に関して追って詳述するが、一般的構成については説明の便宜上ここで説明する。図示の如く、マイコン110は、電源入力ポートP1、GNDポートP2、信号出力ポートP3,P6、及び、信号入力ポートP5,P7、が各々配備されている。また、当該マイコン110は、演算処理回路CPU,AD変換及びDA変換を行う各種変換回路AD,デジタル情報を記録するメモリ回路Me,この他、バスシステムに対してクロックタイミングを提供するクロック回路(図示なし)等が内蔵されている。
【0028】
かかるマイコン110は、ハードウェア資源とソフトウェア資源とが協働機能することで、所望の機能部を構築し当該機能を発揮させる。具体的には、メモリ回路Meに記述されたソフトウェアをシーケンス順に処理することで、所望の結果情報を作成し、必要に応じてメモリ回路Meへ該情報を記録させ、若しくは、必要に応じて適宜の信号を出力する。この動作にあたり、マイコン110へ入力される信号は、入力ポートへ印加され、これがAD変換回路によってデジタル情報化される。
【0029】
点火ヒータ121は、マイコン110の出力ポートP3へ電気的に接続され、H/Lの二値化された出力信号SGhが与えられる。本実施の形態では、出力信号SGhがHigh値の場合、点火ヒータ121に電流が通電し、燃料気化装置120から導引される気化燃料に対して、着火エネルギーを与える。
【0030】
また、図示されていないが、燃焼釜には、その近傍にサーミスタが配備される。このサーミスタで検出される情報は、マイコン110によって、温度情報に基づく適宜の処理にて利用される。
【0031】
マイコン110は、信号ラインを介して、入力ポートP5へ信号SGxが入力される。このとき、マイコン110では、バイメタル式通電切換装置122が実際に解列状態であるか否かを判定する(過熱防止判定処理S01)。過熱防止判定処理S01は、信号SGxの電位がLow状態のとき、バイメタル式通電切換装置122が非通電状態であることを認識し、燃焼釜が危険温度(高温)に達していると判定する。一方、同処理は、信号SGxの電位がHigh状態のとき、バイメタル式通電切換装置122が通電状態であることを認識し、燃焼釜が安全な温度域であると判定する。
【0032】
マイコン110は、燃焼釜の温度状態が危険であると認識した場合、エラーフラグを設定する(S05)。このエラーフラグは、運転開始条件が整うまでリトライ動作が入力されてもこれを拒絶し、運転許可させないことを定義づけるフラグである。外部指令信号停止処理S06は、上記エラーフラグが立っている場合、外部指令信号としての信号SG1を出力させない。本実施の形態の場合、外部指令信号の出力停止とは信号SG1の波形が一定値に安定する様をいい、外部指令信号の出力状態とは信号SG1の波形が周期的波形(例えば、パルス波形)とされる様をいう。
【0033】
ブロワ用モータMfは、同期モータが用いられ、回転子の回転位置(位相)がホールIC160によって検出される。このホールIC160は、固定子の回転位置を報知させる為、検出信号を適宜のタイミングで出力させる。即ち、ホールIC160は、回転子が回動している場合、その動作に応じてパルス信号を出力する。このパルス信号は、検出信号SG4とされ、回転速度に応じてパルス波形の周期が変化する。
【0034】
図示の如く、ホールIC160の信号出力部は、一の配線から分枝され、その一方がマイコン110の入力ポートP7へ電気的に接続され、その他方がブロワ動作検出回路170の信号入力部へ電気的に接続されている。従って、ホールIC160から出力される検出信号SG4は、入力ポートP7及びブロワ動作検出回路170の双方へ伝送される。
【0035】
マイコン110は、バイメタル式通電切換装置122が通電状態であるかを信号SGxによって判定し(処理S01)、その後、ブロワ用モータMfが十分な回転速度に達していているかを検出する(処理S02)。そして、この双方の条件が整うと、出力ポートP6からは、周期的なパルス状の外部指令信号SG1を出力する(処理S03、処理S04)。
【0036】
本実施の形態では、ブロワ用モータMfが回動している場合に限り、パルス状の外部指令信号SG1が出力許可される。但し、本実施の形態では、後述するブロワ用モータ動作検出回路170(第1アクチュエータ動作検出回路170)が設けられ、これによって、ブロワ用モータMfが回動しているか否かの判定が実施される。その意味では、マイコン側のブロワ用モータ回動判定は、バックアップ的機能として位置づけされる。
【0037】
指令信号検出回路150は、外部指令信号SG1が入力されると、これを信号SG2として後段回路へ出力する。即ち、外部指令信号SG1と信号SG2とは、実質的には同一の信号と言える。即ち、後段回路とされる駆動許可回路130は、一方の入力として、パルス状の外部指令信号SG1が間接的に入力されることとなる。
【0038】
ポンプ用アクチュエータは、ソレノイドコイルにドライブ回路180が接続され、内蔵されるトランジスタTr4のON/OFF動作によって、プランジャの摺動制御が行われる。これにより、ポンプ用アクチュエータは、単位時間当たりの燃油送り料、即ち、燃料に係る管内流量を調整する。
【0039】
ブロワ用モータ動作検出回路170は、
図1に示す如く、抵抗R7、R9、コンデンサC1から成るハイパスフィルタ、ダイオードD1,D2から成る整流回路、抵抗R8及びコンデンサC2から成る平滑回路、によって構成される。ブロワ用モータ駆動検出回路170へ信号SG4が入力されると、点Aの電位状態は、ブロワ用モータMfの回転数に応じた急峻な鋸状波形とされる。この電気状態が点Bへ伝達されると、この点Bでの電気状態は、点Aでの波形が平滑され、穏やかに減衰する鋸状波とされる。この鋸状波(動作確認信号SG3)は、ブロワ用モータMfの回転数が高いと波形谷部が高レベル(電位)の波形とされ、この回転数が低いと波形谷部が低レベル(電位)の波形とされる。即ち、該鋸刃波は、モータ回転数に応じて、全体が上方(高い電位)または下方(低い電位)へと推移する。
【0040】
そして、本実施の形態では、トランジスタTr5(MOSFET)のスレッショルド電位と、ポンプ運転に際しブロワ用モータMfの最低許容回転数に相当する動作確認信号SG3の電位とが、略一致するようにブロワ用モータ動作検出回路170の回路素子が設定されている。従って、ブロワ用モータ動作検出回路170は、ブロワ用モータMfが上記最低許容回転数に達していなければ、動作確認信号SG3が低電位とされ、このとき、トランジスタTr5が非通電状態とされる。一方、ブロワ用モータMfが上記最低許容回転数に達していれば、動作確認信号SG3がゲートチャンネルを形成できる程度の高電位とされ、このとき、トランジスタTr5が通電状態とされる。
【0041】
駆動許可回路130は、トランジスタTr2、Tr3、Tr5、その他、抵抗素子R1~R4から構成される。このうち、トランジスタTr5はnチャンネルMOSFETとされ、その他のトランジスタはpnp型バイポーラトランジスタとされる。トランジスタTr2は、エミッタにバイメタル式通電切換装置122が接続され、抵抗素子R1及びR2の分圧点がベースに接続される。トランジスタTr3は、抵抗素子R3とエミッタの共通接点がトランジスタTr2のコレクタへ接続され、抵抗素子R3及びR4の分圧点が其のベースに接続され、コレクタが駆動許可回路130に於ける出力点とされる。また、トランジスタTr5は、抵抗素子R4へドレインが接続され、ソースがGNDへ接続される。
【0042】
この駆動許可回路130は、マイコンの出力ポートP6から外部指令信号SG1(パルス波)が与えられると、トランジスタTr2は、其のコレクタ後段の電位が低下していれば、外部指令信号SG1の波形を反転させた状態で通電遮断を繰り返す。このとき、トランジスタTr3は、トランジスタTr2の動作に応じてパルス波形を出力する。以後では、この波形状態の信号を駆動許可信号SG5と呼ぶ。
【0043】
これまでの説明では、トランジスタTr2のコレクタ後段の電位が低い場合としている。この場合、過熱防止機能が働かない安全な状況では、外部指令信号SG1のパルス波形を反転させた信号(駆動許可信号SG5)が、トランジスタTr3のコレクタ端子から出力される。一方、過熱防止機能が作動する危険な状況では、トランジスタTr2、Tr3が非通電状態へ切替わり、駆動許可信号SG5が出力されなくなる。
【0044】
但し、駆動許可回路130には、駆動許可信号SG5の出力を規定する条件が、もう一つ設けられている。その条件は、ブロワ用モータ動作検出回路170の動作状態によって与えられる。具体的に説明すると、ブロワ用モータ動作検出回路170は、上述したように、ブロワ用モータMfが所定回転数に達すると、トランジスタTr5は、ゲート-ソース間の電位差が上昇し、Tr5が通電状態とされる。この場面では、ブロワ用モータ動作検出回路170は、パルス状の信号SG2が入力されていれば、駆動許可信号SG5も、これに応動して断続的な出力電流となる。
【0045】
一方、ブロワ用モータ動作検出回路170は、ブロワ用モータMfが所定回転数未満の場合、トランジスタTr5は、ゲート-ソース間の電位差が低下し、Tr5が非通電状態へ戻る。この場面では、ブロワ用モータ動作検出回路170は、パルス状の信号SG2が入力されていても、トランジスタTr3が非導通状態とされるので、駆動許可信号SG5を出力させることはない。
【0046】
即ち、駆動許可回路130は、外部指令信号SG1(SG2)及び動作確認信号SG3の双方の信号状態に基づき、駆動許可信号SG5を出力させている。具体的には、駆動許可回路130は、過熱防止機能部が作動していない安全状態であって、且つ、ブロワ用モータMfが所定回転数以上で運転されている場合に限り、駆動許可信号SG5を出力させる。言い換えると、駆動許可回路130は、外部指令信号SG1及び動作確認信号SG3のAND条件によって、駆動許可信号SG5を出力させる。
【0047】
その後段に設けられるドライブ回路180は、トランジスタTr4と、このベースに設けられる抵抗素子R5と、ベース-エミッタ間に設けられる抵抗素子R6とから構成される。かかるドライブ回路180は、トランジスタTr4へ駆動許可信号SG5が入力されなければ、ベース-エミッタ間の通電が行われないので、非導通状態のままである。一方、トランジスタTr4は、ベースへ駆動許可信号SG5が入力されると、ベース-エミッタ間の通電が断続的に行われ、これに応じた導通状態を形成する。
【0048】
このように、トランジスタTr4は、駆動許可信号SG5が入力されていると、これに応じてポンプ用アクチュエータのピストン動作を行う。ポンプ用アクチュエータでは、トランジスタTr4の通電動作に応じてプランジャを駆動させ、燃料供給動作を実現させる。即ち、外部指令信号SG1(SG2)及び動作確認信号SG3の双方が所定条件に合致した状態でなければ、駆動許可信号SG5が出力されることはない。従って、本実施の形態に係る制御回路100では、ブロワ用モータMfのみが故障停止した場面で燃料ポンプPを駆動できなくなるので、気化燃料による危険な白煙の発生を未然に防止させることができる。
【0049】
上述した回路構成は、ブロワ用モータ動作検出回路170がマイコン110の外部構成とされ、これが回路基板へ適宜に実装されたものである。そして、ブロワ用モータMfの動作を示す信号SG4は、マイコン110を介さず、直接にブロワ用モータ動作検出回路170へ送信される。従って、制御回路100は、マイコン110が暴走動作してブロワ用モータを停止させていても、マイコン以外のトラブルでブロワ用モータMfを停止させていても、ブロワ用モータMfの駆動事実に基づいて燃料ポンプの運転が許可される。即ち、本制御回路は、故障モードに関わりなく、気化装置系の安全を保障できる。
【符号の説明】
【0050】
100 液体燃料ファンヒータ制御回路(制御回路), 110 マイクロコンピュータ(マイコン), 121 点火ヒータ, 122 バイメタル式通電切換装置(過熱防止機能部), 130 駆動許可回路, 150 指令信号検出回路, 160 ホールIC, 170 ブロワ用モータ動作検出回路(第1アクチュエータ動作検出回路), 180 ドライブ回路, Mf ブロワ用モータ, P 燃料ポンプ。