(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】建築物の軒先下地構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/15 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
E04D13/15 G
(21)【出願番号】P 2018122852
(22)【出願日】2018-06-28
(62)【分割の表示】P 2014108015の分割
【原出願日】2014-05-26
【審査請求日】2018-06-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】奈良田 新一
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-310392(JP,A)
【文献】特開平9-287233(JP,A)
【文献】特開平7-305463(JP,A)
【文献】特開平7-133645(JP,A)
【文献】特開平5-295831(JP,A)
【文献】実開昭57-199620(JP,U)
【文献】特開2010-7371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0138865(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0197527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/40, 13/15
E04B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装構造を形成する外装材の水下端、又は外装構造を形成する複数の外装材のうちの最水下側に位置する外装材の水下端
、の更に水下側に延設され、それぞれが棒状材又はパイプ材よりなる
複数の上部支持部材と下部支持部材とこれらの両支持部材を連結する連絡支持部材とからなる建築物の軒先下地構造であって、
前記それぞれの上部支持部材は、外装構造を支持する部材を水下側へ長く延出したものであって、その上面に流れ方向に直交する方向に隣り合う上部支持部材に跨る軒先外装材を沿設することができ、
前記下部支持部材は、前記上部支持部材の裏面側に配され、
前記連絡支持部材は、その上端が前記上部支持部材と直交状に連結されると共にその下端が前記下部支持部材と連結されるものであり、
流れ方向に直交する方向に隣り合う上部支持部材は、前記軒先外装材にて連結され、前記上部支持部材の延出端と前記下部支持部材の軒先端とが締着部材にて連結され、これらの両支持部材が前記連絡支持部材の上下端と締着部材にて一体的に連結されることで軒先下地
が構築
されると共に、前記上部支持部材、前記下部支持部材、前記連絡支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられていることを特徴とする建築物の軒先下地構造。
【請求項2】
前記下部支持部材は、
前記躯体に連結
される補助部材
が設け
られていることを特徴とする請求項1に記載の建築物の軒先下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定で強固な軒先下地を施工でき、けらば等の端部を含む軒先における意匠性及び汎用性を向上し、更に施工作業を迅速に容易く行なえ、しかも軒天井等の化粧まで仕上げることが可能な建築物の軒先下地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の軒先は、躯体や下地材等を覆うように形成され、その施工方法及び構造としては、特許文献1に記載されるように、屋根の下地材等を覆う部材(唐草と称される)を用いるものや、さらに特許文献2に記載の軒先唐草のように、幕板、水切り等の別部材を組み付けるもの等が存在する。
前記特許文献1に記載の唐草は、横葺屋根板の成形部等と係合する係合部と建築物の軒先に取り付けられる取付部と建築物の軒先を覆う垂下部を主構成としている。さらに詳細には、固定部は、躯体あるいは下地材にビス止めするフラット状やL字状、あるいは下地材に嵌める略コ字状等で構成され、垂下部は躯体の形状に沿う階段状に形成されている。
一方、前記特許文献2に記載の唐草では、水切りや幕板をビス等の固着具で固定したものが提案されている。さらに、化粧を目的として、壁から支持材を持ち出し、軒天井等を設けることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-156766号公報
【文献】特開平7-317255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の唐草は、躯体の形状に沿わせるため、外観意匠が「階段状」にならざるを得ず、意匠性に乏しいものであった。
一方、前記特許文献2に記載の唐草は、部品点数の増加が避けられず、施工に手間がかかるという問題があった。さらに壁から支持材等を持ち出すため、屋根工事とは別に行なわなければならないという問題もあった。
そして、かかる特許文献1、2に共通していえることとして、軒先における意匠性および汎用性の向上について未だ不十分であった。
【0005】
そこで、本発明は、安定で強固な軒先下地を施工でき、けらば等の端部を含む軒先における意匠性及び汎用性を向上し、更に施工作業を迅速に容易く行なえ、しかも軒天井等の化粧まで仕上げることが可能な建築物の軒先下地構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであり、外装構造を形成する外装材の水下端、又は外装構造を形成する複数の外装材のうちの最水下側に位置する外装材の水下端、の更に水下側に延設され、それぞれが棒状材又はパイプ材よりなる複数の上部支持部材と下部支持部材とこれらの両支持部材を連結する連絡支持部材とからなる建築物の軒先下地構造であって、前記それぞれの上部支持部材は、外装構造を支持する部材を水下側へ長く延出したものであって、その上面に流れ方向に直交する方向に隣り合う上部支持部材に跨る軒先外装材を沿設でき、前記下部支持部材は、前記上部支持部材の裏面側に配され、前記連絡支持部材は、その上端が前記上部支持部材と直交状に連結されると共にその下端が前記下部支持部材と連結されるものであり、流れ方向に直交する方向に隣り合う前記上部支持部材は、前記軒先外装材にて連結され、前記上部支持部材の延出端と前記下部支持部材の軒先端とが締着部材にて連結され、これらの両支持部材が前記連絡支持部材の上下端と締着部材にて一体的に連結されることで軒先下地が構築されると共に、前記上部支持部材、前記下部支持部材、前記連絡支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられていることを特徴とする建築物の軒先下地構造に関するものである。
なお、軒先外装材とは、外装構造を構成する最も水下側に位置する外装材の更に水下側に配設される外装材を指すものであって、「最も水下側に位置する外装材」とは、流れ方向に複数の外装材を配設する横葺きや瓦等をイメージし易いが、流れ方向に連続する縦葺き外装材でもよく、その場合には該縦葺き外装材の水下端よりも更に水下側に軒先外装材を配設されることを意味している。
【0007】
また、本発明は、前記軒先下地構造において、下部支持部材は、躯体に連結される補助部材が設けられていることを特徴とする建築物の軒先下地構造をも提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の建築物の軒先下地構造は、種々の外装構造の水下側に延設され、その上面に軒先外装材を沿設する複数の上部支持部材とその裏面側に配する下部支持部材とこれらを連結する連絡支持部材との3つの棒状材又はパイプ材よりなる支持部材をボルト等の締着部材にて一体的に連結したものであるから、後述する図示実施例に示すように通常の一般屋根に比べて先端がシャープな先鋭な印象を受ける屋根を容易に施工することができる。即ち図示実施例は、各支持部材としてコ字状やハット状の棒状材又はパイプ材を用いているから、上部支持部材も下部支持部材も軒先側へ長く延在させることができ、両支持部材を連結した軒先端を鋭角状に連結することができ、先鋭な軒先構造を施工することも可能である。また、3つ支持部材のうちの少なくとも一つが躯体に取り付けられているため、外装構造の水下側に容易に且つ強固に一体化させた構造である。しかも流れ方向に直交する方向に隣り合う上部支持部材は、流れ方向に直交する方向に隣り合う上部支持部材に跨って配設される前記軒先外装材にて連結されるので、上部支持部材とその裏面側の下部支持部材と両支持部材を連結する連絡支持部材とが一体的に連結される構成と相俟って、屋根面全体に及ぶ安定な軒先下地構造を一体的に構築できる。そして、この軒先下地構造の上面に固定される軒先外装材などにて形成される軒先外装構造は、通常の一般屋根に比べて先端がシャープな先鋭な印象を受ける屋根を施工し易く、該軒先により所定領域の雨避けや日光避けの庇(ひさし)として有効利用する空間を形成することも可能である。さらに、例えば上方から雨水や風が吹き付けられる等の正荷重が作用しても、例えば下方から吹き上げ風が吹き付けられる等の負荷重が作用することがあっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる下地構造となる。
このように本発明では、取付施工が容易であって、意匠性に富んだ、デザイン性に優れた軒先構造とするための下地構造として有用である。
【0009】
また、下部支持部材が、躯体に連結される補助部材が設けられている場合には、容易に躯体に取り付けることができ、より強度で安定な軒先下地構造を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)本発明の
第1実施例の建築物の軒先下地構造を示す側断面図、(b)その正断面図、(c)用いた上部支持部材と下部支持部材と軒先支持部材と躯体の一部のみを示す側断面図である。
【
図2】(a)
第2実施例の軒先下地構造を示す側断面図、(b)用いた軒先外装材を示す拡大側面図、(c)用いた軒天部材を示す拡大側面図、(d)用いた取付補助材を示す拡大側面図である。
【
図3】(a)
第2実施例の軒先下地構造を用いた軒先構造の他の例を示す側断面図、(b)用いた軒天部材を分解して示す拡大側断面図である。
【
図4】(a)
第3実施例の軒先下地構造を示す側断面図、(b)参考例の軒先下地構造を示す側断面図である。
【
図5】
第4実施例の軒先下地構造を示す側断面図である。
【
図6】
第1参考例の軒先下地構造を示す側断面図である。
【
図7】
第2参考例の軒先下地構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の建築物の軒先下地構造は、種々の外装構造の水下端の更に水下側に延設され、それぞれが棒状材又はパイプ材よりなる複数の上部支持部材と下部支持部材とこれらの両支持部材を連結する連絡支持部材とからなる建築物の軒先下地構造であって、前記それぞれの上部支持部材は、外装構造を支持する部材を水下側へ長く延出したものであって、その上面に流れ方向に直交する方向に隣り合う上部支持部材に跨る軒先外装材を沿設でき、前記下部支持部材は、前記上部支持部材の裏面側に配され、前記連絡支持部材は、その上端が前記上部支持部材と直交状に連結されると共にその下端が前記下部支持部材と連結されるものであり、流れ方向に直交する方向に隣り合う前記上部支持部材は、前記軒先外装材にて連結され、前記上部支持部材は、その上面に少なくとも軒先外装材を沿設することができ、前記上部支持部材の延出端と前記下部支持部材の軒先端とが締着部材にて連結され、これらの両支持部材が前記連絡支持部材の上下端と締着部材にて一体的に連結されることで軒先下地が構築されると共に、前記上部支持部材、前記下部支持部材、前記連絡支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の軒先下地構造は、前述のように種々の外装構造の水下側に延設される、3つの支持部材である(A)上部支持部材、(B)下部支持部材、(C)連絡支持部材とをボルト等の締着部材にて一体的に連結してなるものであって、これらの3つの支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられている。
【0013】
本発明における外装構造は、縦葺き、横葺き、瓦等いかなるものであってもよく、それを取り付ける下地や該下地へ取り付けるための部材や構造についても何等限定するものではない。ここで、前述のように上部支持部材の上面に沿設する軒先外装材とは、外装構造を構成する最も水下側に位置する外装材の更に水下側に配設される外装材を指すが、「最も水下側に位置する外装材」とは、流れ方向に複数の外装材を配設する横葺きや瓦等をイメージし易いが、流れ方向に連続する縦葺き外装材でもよく、その場合には該縦葺き外装材の水下端よりも更に水下側に軒先外装材を配設するものである。
また、外装材を例えば前記下地や該下地へ取り付けるための構造等としては、木材製の躯体、鉄骨製の躯体、コンクリート製の躯体などの各種材料で構築される躯体、躯体上に配された垂木等の支持部材又は野地材等の下地材等でもよい。
【0014】
前記外装材のうち、外装構造を構成する最も水下側(軒側)に位置する外装材の更に水下側に配設する軒先外装材は、それらの外装材の外観形状やそれらによって構築される外装構造の外観形状に応じた形状でもよいし、それらの形状と全く異なる形状でもよく、形状選択の自由度は極めて大きい。
例えば外装材が水上側から水下側に向かって一定勾配(角度)で傾斜している構造は一般的であって、広く知られているから、最も水下側に位置する外装材の更に水下側に配する軒先外装材にて形成される軒先部分は、一般屋根に比べて先端がシャープな先鋭な印象を受ける屋根となりやすい。更に、このような軒先部分により、所定領域の雨避けや日光避けの庇(ひさし)として有効利用する空間を形成することも可能である。
また、一般の外装材の傾斜勾配と敢えて相違するように例えば異なる傾斜面の面板部、或いは湾曲した面板部を有するように形成してもよく、この場合の軒先外装材は、軒端が跳ね上がったような印象を与える屋根とすることもできるし、逆に軒端が深く垂れ下がったような印象を与える屋根とすることもでき、意匠性を高くすることができる。
【0015】
この軒先外装材は、詳細を後述する(A)上部支持部材の上面に沿設されるものであって、どのような形状構成でもよいことを既に説明したが、後述する取付補助材と一体化するための係合部を有するものである。最もこの係合部としては、取付補助材に取り付けられる構成であれば、特にその構成を限定するものではない。
【0016】
本発明の軒先下地構造を構成する3つの支持部材である(A)上部支持部材、(B)下部支持部材、(C)連絡支持部材を以下に説明するが、これらの支持部材は、それぞれがボルトとの締着部材によって連結されている。
また、各支持部材は、断面形状がハット状、角型、管状、Z状、L状、コ字状等の慣用的に用いられている棒状材又はパイプ材であり、全てを同一形状で形成する必要はない。例えばコ字状(或いはハット状)棒状材と角型パイプ材とを、コ字状棒状材の内部に角型パイプ材が内包されるように組み付けることにより、締着時の作業性が容易となり、締着後に高い取付強度を得ることができる。
【0017】
(A)上部支持部材
本発明における上部支持部材は、外装構造から水下側へ延設され、その上面に前記軒先外装材を沿設するものであり、外装構造を支持する部材を水下側へ長く延出したものでもよい(即ち外装構造の支持部材を兼ねる)し、別途新たに設けたものであってもよい(即ち外装構造の支持部材に新たな支持部材を接続する)。後者の態様では、後述する図示実施例のように、断面形状がハット状の棒状材である外装構造の支持部材に角型パイプ材であるこの上部支持部材を内包状に組み付けて締着して接続してもよい。
【0018】
(B)下部支持部材
本発明における下部支持部材は、前記上部支持部材の裏面側に配するものであって、後述する図示実施例のように、軒天部材(軒先天井材)を支持する部材を兼ねる部材でもよい。この下部支持部材は、略水平状に配されるものでも、傾斜状に配されるものであってもよい。
また、前述のようにこの下部支持部材に限らず、何れかの支持部材の少なくとも一つが躯体に取り付けられているが、この下部支持部材に躯体に連絡する補助部材を設けて取り付けるようにしてもよい。
【0019】
この補助部材としては、一端が下部支持部材と直接或いは別部材を介して連結され、他端が躯体(壁部)に取り付けられるものとなる。
この補助部材は、直線状であっても湾曲状であってもよい。
また、補助部材は、全ての下部支持部材に設けるものでも、一定間隔(例えば一本おき)で設けるものであってもよい。
なお、このような補助部材を設ける場合には、軒天部材は下部支持部材に取り付けるものでも、この補助部材に取り付けるものであってもよい。
【0020】
(C)連絡支持部材
本発明における連絡支持部材は、前記(A)上部支持部材と前記(B)下部支持部材とを接続(連絡)するものであって、略鉛直状に配されるものであっても、傾斜状に配されるものであってもよい。この連絡支持部材は、単一部材であってもよいし、例えば長さ調整を可能とする複数部材を組み合わせて連絡支持部材としてもよい。また、この連絡支持部材は、前記(A)上部支持部材と前記(B)下部支持部材との端部同士を連結するものに限定されず、何れか一方又は両方の長さの途中部分を連結するものであってもよい。そのため、この連絡支持部材は、複数設けてもよく、その場合、連結箇所が増加して一体化強度が向上する。
【0021】
なお、本発明では、必ずしも必須の構成ではないが、前記説明中で触れた軒天部材について以下に簡単に説明する。
軒天部材は、前記軒先外装材の裏面と軒先裏面とのうち何れか一方又は両方を被覆する部材であり、前記軒先外装材と同様に特にその形状構成を限定するものではないが、裏面側の最も水下側の化粧材を指す。それに対し、前記軒先外装材は、表面側の最も水下側の化粧材(兼外装材)ということができる。また、前記軒先外装材と同様に前記取付補助材へ取り付けるための構成(係合受部)を有する。
一般的に広義の軒天部材とは、軒先裏面を化粧する化粧材の全てを指すものである。即ち本発明における軒天部材は、単一部材であっても、複数部材によって構成されるものでもよく、最も先端(外側)の化粧材が、軒先外装材と一体的に取り付けられていればよいものである。
【0022】
さらに、本発明における各支持部材を連結するための締着部材は、ボルト等が一般的であるが、特にその具体的な構成を限定するものではない。一般的にこの締着部材を用いて軒先下地構造を構成する各支持部材を取り付ける場合には、外装構造の更に水下側に構築されるものであるから、雨仕舞いの懸念は必要なく、例えば係止等により取付(一体化)に比べて高い強度で一体化することができる。
【0023】
また、前記軒先外装材は、最も水下側に位置する外装材やそれらが構築する外装構造に少なくとも一部が取付られていることが望ましく、前記軒天部材は、前記外装材が構築する外装構造の裏面側に、少なくとも一部が取付られていることが望ましい。
このように前記軒先外装材も前記軒天部材も、軒先外装材以外の外装材が構築する外装構造に少なくともその一部が取付されていることが望ましいが、この場合の取付とは、他の部材を介しての取付でもよく、それ自体は一体的である必要はなく、例えば係止や重合などをも含むものである。軒先外装材と軒天部材を直接的に取付することにより、両部材が高い強度の連結状態を得ることができる。
【0024】
また、前記軒先外装材と前記軒天部材とは、流れ方向に交わる方向に介在して上部支持部材の水下端に取り付けられる取付補助材を介して取付していてもよいが、この態様における取付補助材は、桁行き方向に連続するプレート状であっても、部分的に介在させるものであってもよい。部分的に介在させる場合には、躯体から延出状に設けてもよい。そして、この取付補助材を用いる態様において、軒先外装材及び軒天部材を安定的に保持(意匠性をも含めて)するためには、連続する取付補助材を用いることが好ましい。
そして、この取付補助材は、軒先外装材の係合部と軒天部材の係合受部との重合部分に介在すればよく、重合部分のみに介在するものであっても、躯体側から持ち出した部材に固定されるものであってもよい。
【0025】
また、前記軒先外装材と前記軒天部材とは、離間状に配置されると共にこの離間空間内には補強部材が配されていてもよいが、この態様における補強部材は、躯体側から延出した垂木等の外装材支持部材でもよいし、発泡系の断熱材等を充填するものであってもよい。
【実施例】
【0026】
図1に示す本発明の建築物の軒先構造の第1実施例は、縦葺き外装材である外装材9Aにより構成される縦葺き外装構造の水下端の更に水下側に延設され、上部支持部材1Aと下部支持部材1Bとこれらの両支持部材1A,1Bを連結する
連絡支持部材1Cとからなる。これらの3つの支持部材1A,1B,1Cは、
図1(c)に示すようにボルト等の締着部材1dにて一体的に連結されている。
【0027】
この第1実施例における外装材9Aは、流れ方向に連続する長尺材であって、下地材(野地材)6f上に所定間隔にて固定された保持部材9bに弾性的に保持される縦葺き外装材であり、
図1(b)に示すように略平坦状の面板部91の左右に上方へ突出する隆状係合部を93を介して側縁成形部92,92'を有する構成であり、各成形部92,92'には保持部材9bに弾性的に係合する係合部がそれぞれ形成され、一方の側縁成形部92に他方の側縁成形部92'がオーバーハング状に重合すると共に係合する構成である。
この外装材9Aを下地材6fに取り付けるための保持部材9bは、左右に起立部を有してその内側にビス9cを打ち込んで下地材6fを貫通して躯体6eに固定する固定部が設けられ、略中央に外装材9Aの各成形部92,92'の裏面を支持する支持部分が形成された左右対称の部材であって、長さ方向に間隔を隔てて長さが異なるピース状の保持部材9b'も併用している。
なお、これらの外装材9Aや保持部材9bから構成される外装構造の水下端には、図中に符号9dで示される端部納め材が配設されている。
【0028】
また、これらの外装材9Aにて形成される外装構造は、鋼材等にて形成される縦母屋6aの上端に屋根裏面側へ延在する横母屋6b、及び軒先側へ延在する軒先母屋6cが一体的に固定され、前記横母屋6b及び軒先母屋6cにはL字材6dを介してC形鋼からなる躯体6eが桁行き方向に延在するように固定され、該躯体6e上には木毛セメント板等からなる下地材(野地材)6fが敷設されている。この下地材6fは、
図1(b)に示すように流れ方向に長尺な断面略ハット状の支持材6g(及び溝状材6h)を介して連続する下地層を形成し、最も水下側の下地材6fzは水下側へ長く延在している。また、前記支持材6gも水下側へ長く延在している。そして、前記縦母屋6aの外側には、鋼材類を介して外壁6kが取り付けられ、前記軒先母屋6cの裏面側に前記縦母屋6aから略水平状に延在するように下部支持部材1Bが配設され、この下部支持部材1Bの下面に軒天部材(軒先天井材)3Aが吊設状に配設されている。
【0029】
前記上部支持部材1Aは、外装構造から水下側へ延設され、その上面に前記外装材9Aの更に水下側に配設される軒先外装材4が沿設されるものであり、外装構造を支持する支持材6gを水下側へ長く延出したものと一体的に接続(連結)されている。この上部支持部材1Aの水下端には、その水下端が下方へ折曲された取付補助材1fが取り付けられている。
この上部支持部材1Aと支持材6gとの接続は、前述のように支持材6gが断面略ハット状に成形しているので、例えば上部支持部材1Aを角型パイプ材とすれば、前記支持材6gに上部支持部材1Aを内包状に組み付けることができ、締着して強固に接続(連結)することができる。
また、この上部支持部材1Aは、
図1(c)に示すように水上側の端部を躯体6iに取り付けられている。
【0030】
前記下部支持部材1Bは、前述のようにその下方に軒天部材3を吊設するための部材であって、略水平状に配設されており、前記上部支持部材1Aとは、軒先側の先端が締着部材1dにて連結されている。
また、この下部支持部材1Bは、
図1(a)に示すように建築物側の端部を縦母屋6aにL字材である補助部材6jを介して支持されている。
【0031】
前記
連絡支持材1Cは、前記上部支持部材1Aと前記下部支持部材1Bとを接続(連絡)するものであって、詳しくは両支持部材1A.1Bの長さの途中部分を締着部材1d,1dにて連結するものであり、傾斜状に配されるように組み付けられている。この
連絡支持部材1Cは、長さ調整可能な二部材からなり、さらに
図1(c)に示すように符号1eにて示した補助部材にて躯体6lに取り付けられている。
【0032】
前記軒先外装材4は、前述のように上部支持部材1Aの上面に沿設されるものであって、略平坦状の面板部の水上端が前記外装材9Aの裏面側の水下端付近に固定され、前記面板部の水下部分が前記取付補助材1fの上面に沿い、その水下端が折り下げられ、その下端を内側へ折り返して係合部を形成している。この取付補助材1fは、前記上部支持部材1Aの水下端の上面に沿設状に固定され、その水下端が折り下げられた形状である。
【0033】
前記軒天部材3Aは、前記下部支持部材1Bの裏面及び軒先裏面を被覆する略平坦状の化粧面部を有する部材であって、前記下部支持部材1Bの裏面側に吊設され、建築物側の端部は前記下部支持部材1Bの裏面にビス止めされ、軒先側の端部は前記軒先外装材4の水下端と重合すると共に係合部に係合している。
【0034】
なお、図示していないが、前記重合部分に、上方からビス等の締着具を打ち込むことにより、これらの軒天部材3と軒先外装材4とを一体的に強固に取り付けるようにしてもよい。
また、前記軒先外装材4の水下端には取付補助材1fが固定されているが、この取付補助材1fは、前記重合部分に介在して両者の取付安定性を向上する作用を施す。
【0035】
このような部材により構築されている本発明の建築物の軒先下地構造は、上部支持部材1Aと下部支持部材1Bと連絡支持部材1Cとの3つの支持部材を合計3つの締着部材1dにて一体的に連結したものであり、3つ支持部材1A,1B,1Cのうちの少なくとも一つが躯体に取り付けられているため、外装構造の水下側に容易に且つ強固に一体化させた構造である。特にこの第1実施例では、3つの支持材の全てが躯体(6i,6j,6l)に取り付けられているため、極めて安定性及び強度が高い構造である。そして、この軒先下地構造の上面に固定される軒先外装材4や軒天部材3にて形成される軒先外装構造は、通常の一般屋根に比べて先端がシャープな先鋭な印象を受ける屋根であり、該軒先により所定領域の雨避けや日光避けの庇(ひさし)として有効利用する空間を形成することも可能である。
このように本発明では、取付施工が容易であって、意匠性に富んだ、デザイン性に優れた軒先構造とするための下地構造として有用である。
【0036】
図2(a)に示す第2実施例の軒先下地構造では、その上面に軒先外装材4IIを支持する上部支持部材1A
2は、複数の横葺き外装材9IIより形成される横葺き外装構造の支持部材を兼ね、断面略ハット
状の長尺材である。また、下部支持部材1B
2は、前記横葺き外装構造の裏面側に略水平状に配設され、その下面に軒天部材3IIを固定する部材であって、断面略ハット
状の長尺材で形成されている。さらに、
連絡支持部材1C
2は、それらを連結する
短尺状の板状材であって、C型鋼である躯体6mに固定され、前記第1実施例と同様に合計3つの締着部材1dにて一体的に連結されている。
この第2実施例では、前述のように上部支持部材1A
2と下部支持部材1B
2として共通する部材(断面略ハット
状の長尺材)を併用することができるという利点がある。
【0037】
この第2実施例における軒先外装材4IIと軒天部材3IIとは、
図2(b),(c)にそれぞれ拡大して示す通りであって前記第1実施例と略同様である。
軒先外装材4IIは、略平坦状の面板部41の水上端42が最も水下側の外装材9IIZの裏面側の水下端付近に固定され、前記面板部41の水下部分が前記取付補助材1f
2の上面に沿い、その水下端43が折り下げられ、その下端に折り返し係合部を形成している。
軒天部材3IIは、前記下部支持部材1B
2の裏面及び軒先裏面を被覆する略平坦状の化粧面部31,32を有し、前記下部支持部材1B
2の裏面側に吊設状に固定され、軒先側の端部33は前記軒先外装材4IIの水下端と重合すると共に係合部に係合している。なお、この軒天部材3IIの化粧面部31,32は、下部支持部材1B
2の裏面側に沿う部分を化粧面部31とし、上部支持部材1A
2の裏面側に沿う部分を化粧面部32とした。
【0038】
なお、
図2(d)に示す取付補助材1f
2は、前記上部支持部材1A
2の水下端の上面に固定され、その水下端が折り下げられた形状であるという点では前記第1実施例と同様であるが、水上側が開放する略コ状の取付部分が形成され、安定に上部支持部材1Aの水下端に取り付けることができる構成である。
また、
図2(a)における9biiは横葺き外装材である外装材9IIを保持する保持部材(吊子)であり、9ciiは外装材9IIの裏面側に添装された裏貼り材であり、9diiはバックアップ材である。
【0039】
図3は、前記第2実施例の軒先下地構造の上に異なる軒先構造を取り付けた例であり、下部支持部材1B
2の裏面及び軒先裏面を被覆する軒天部材3IV以外は、前述の通りであって、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この例における軒天部材3IVは、
図3(b)に拡大して示すように軒先端側に配設される第1部材3IVaと、その建築物側に連続的に複数が配設される第2部材3IVbとからなる。
前記第1部材3IVaは、取付補助材1f
2等への取付形状を有する構成である。
また、前記第2部材3IVbは、その裏面側に部分的に薄肉部分を備える断熱材3IVcがそれぞれに配設され、一方の側端に下面側が開放する略溝状の収容部39と、他方の側端を側方から挿入状に係合可能な係合溝38とを有する構成であり、ボルト等の固定具3IVdにて前記下部支持部材1B
2の裏面側に、前記第1部材3IVaや複数の第2部材3IVbや断熱材3IVcを一体的に固定することができる。なお、前記収容部39には前記固定具3IVdの頭部が収容され、該頭部を含めて収容部39の開放部分は、前記係合溝38に他方の側端を係合したことで覆われ、裏面側から見上げても露出することがない。
【0040】
図4(a)に示す第3実施例の軒先下地構造では、その上面に軒先外装材4IIを支持する上部支持部材1A
3は、複数の横葺き外装材9IIより形成される横葺き外装構造の支持部材を兼ねる点で前記第2実施例と同様である。また、下部支持部材1B
3は、前記横葺き外装構造の裏面側に略水平状に配設される点で前記第2実施例と同様である。さらに、
連絡支持部材1C
3は、それらを連結する
短尺状の板状材である点で前記第2実施例と同様である。
そして、前記第1実施例及び前記第2実施例と同様に合計3つの締着部材1dにて一体的に連結されている。なお、前記
連絡支持部材1C
3は、軒先躯体6nに一体的に固定された躯体に取り付けられている。
【0041】
この第3実施例では、上部支持部材1A3と下部支持部材1B3とが先鋭な角度を形成するように組み付けられている点で前記第2実施例とは相違するが、前述のように3つの支持部材1A3,1B3,1C3も、軒先外装材4IIや横葺き外装材9II等の部材は前記第2実施例と共通する部材が多い。なお、この第3実施例にて用いた軒天部材3II'は、略平坦状(コシ折れ部がない)化粧面部32'が形成されている以外は前記第2実施例における軒天部材3IIと同様である。
【0042】
図4(b)に示す
参考例の軒先下地構造でも、用いた部材は前記第2実施例と共通する部材が多く、図面に同一符号を付して説明を省略するが、この横葺き外装構造を支持する支持部材9eの水下端に上部支持部材1A
4を一体的に連結(接続し)しており、支持部材9eの配設角度と上部支持部材1A
4の配設角度とは、異なる傾斜角度を形成している。また、下部支持部材1B
4についても、略水平状ではなく前記屋根勾配とは逆方向に傾斜状に配設されている。
なお、前記上部支持部材としては、符号1A
4を付した部材に加え、横葺き外装構造の支持部材9eも併せて上部支持部材と見なすことができる。そのため、前記
連絡支持部材1C
4については、図面の左側に位置する部材のみならず、右側に配置されている部材も
連絡支持部材とした。
【0043】
このように参考例では、上部支持部材1A4も連絡支持部材1C4も複数部材から構成されるものとしたので、それらを連結する締着部材1dは、合計5箇所に設けられている。したがって、連結箇所が増加して一体化強度が向上する。なお、この参考例にて用いた軒先外装材4II及び軒天部材3IIは、配設角度がそれぞれ異なるものの、前記第2実施例と全く同一の部材であるから説明を省略する。
【0044】
図5に示す第
4実施例の軒先下地構造では、その上面に軒先外装材4IIIを支持する上部支持部材1A
5が、複数の横葺き外装材9IIIより形成される横葺き外装構造の支持部材を兼ねる点で前記第2実施例や前記第3実施例と同様であるが、この上部支持部材1A
5は断面略ハット状の長尺材であって、最も水下側の外装材9IIIZの水下側にて異なる傾斜角度(17°から8°へ)にコシ折れしている。また、下部支持部材1B
5は、前記横葺き外装構造の裏面側に略水平状に配設される点で前記第2実施例及び第3実施例と同様である。さらに、
連絡支持部材1C
5は、それらを連結する短尺状の板状材である点で前記第2実施例及び第3実施例と同様である。
そして、前記第1実施例及び前記第2実施例と同様に合計3つの締着部材1dにて一体的に連結されている。なお、前記上部支持部材1A
5は躯体6e等に一体的に固定され、前記
連絡支持部材1C
5は躯体6oに一体的に固定されているため、これらの支持部材1A
5,1B
5,1C
5からなる軒先下地構造は、外装構造の水下側に容易に且つ強固に一体化させた構造である。
【0045】
この第
4実施例では、横葺き外装構造を構成する外装材9IIIとして前述のように横葺き外装材を用い、この外装材9IIIを保持する保持部材(吊子)9biii、前記外装材9IIIの裏面側に添装された裏貼り材9ciiiを用いた。
また、軒先外装材4IIIとしては、面板部41'の水上付近が異なる角度に折れ曲がった以外は前記第2実施例の軒先外装材4IIと同様である。
さらに、軒天部材3IIIとしては、軒先端側に配設される、前記第2実施例における軒天部材3IIにおける取付補助材1f
2等への取付部を有する第1部材3IIIaと、その建築物側に4枚が連続的に配設される第2部材3IIIbと、更にその建築物側に3枚が連続的に配設される第3部材3IIIcとからなる。なお、第2部材3IIIbと第3部材3IIIcとは、何れも中央面板部に厚肉の断熱材3IIIdを載置する構成であって、第2部材3IIIbの方が第3部材3IIIcよりも僅かに面板部が長い。また、各第2部材3IIIb及び各第3部材3IIIcは、図中に一点鎖線にて示す位置に前記
図3に示した第2実施例における固定具3IVdと同様の固定具を打ち込んで前記断熱材3IIIdも含めて一体的に前記下側支持部材1B
5の裏面側に固定されている。
【0046】
図6に示す第1参考例の軒先下地構造では、その上面に軒先外装材4IVの一部を支持する上部支持部材1A
6は、複数の横葺き外装材9IIより形成される横葺き外装構造の支持部材を兼ねるので、屋根勾配に略平行状に水下側へ延出している。また、その下面に軒天部材3Vを支持すると共にその上面に軒先外装材4IVの一部を支持する下部支持部材1B
6は、大きく反り返るように湾曲している部材であり、その先端には取付補助材1f
3が取り付けられている。さらに、それらを繋ぐ連絡支持部材1C
6は、略鉛直状に配設されている。
そして、前述のように前記上部支持部材1A
6は横葺き外装構造の支持部材を兼ねているので、図示する躯体6pやそれ以外の躯体等に固定されている。
また、前記連絡支持部材1C
6は、前記上部支持部材1A
6及び前記下部支持部材1B
6のそれぞれの長さの中程を締着部材1dにて連結しており、前記上部支持部材1A
6と前記下部支持部材1B
6とは、前記上部支持部材1A
6の先端と前記下部支持部材1B
6の軒先付近
と締着部材1dにて連結し、前記下部支持部材1B
6の軒先端が突出状に配設されるように組み付けられている。
【0047】
この
第1参考例における軒先外装材4IVは、前記上部支持部材1A
6の上面に沿う水上部分と前記下部支持部材1B
6の上面に沿う水下部分とを有し、これらの水上部分と水下部分とは浅いV字状の排水溝を形成するように谷折れした形状を有する第2部材4IVbと、その軒先側に配設される第1部材4IVaと、それら4IVa,4IVbを連結する連結具4IVcとからなる。
この
第1参考例における軒天部材3Vは、前記
図3の第2実施例に用いた軒天部材3IVを大きく反り返るように湾曲させた化粧面を形成する複数の第2部材3Vb、その軒先側に配設される第1部材3Vaと、それらを連絡する第3部材3Vcとからなり、図中、3Vd及び3Veはそれらを連結する連絡具である。
【0048】
なお、前記取付補助材1f3は、水上側が開放する略コ状の取付部分が形成され、前記下部支持部材1B6の軒先端に固定され、その上面に前記軒先外装材4IVの第1部材4IVaが固定され、その下面に前記軒天部材3Vの第1部材3Vaが固定されている。
【0049】
この第1参考例では、前述のように浅いV字状の排水溝が形成され、符号Wで示す雨水を貯留、排水することができる。
この雨水Wのように上方から正荷重が作用するような軒先構造であっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる。
【0050】
図7に示す第2参考例の軒先下地構造では、その上面に軒先外装材4Vの一部を支持する上部支持部材1A
7は、複数の横葺き外装材9IIより形成される横葺き外装構造の支持部材を兼ねるので、屋根勾配に略平行状に水下側へ延出している。また、その下面に軒天部材3VIを支持する下部支持部材1B
7は、略水平状に配設される部材であり、その先端には略W字状の取付補助材1f
4が取り付けられている。さらに、それらを繋ぐ連絡支持部材1C
7,1C
7’は、複数配設されている。
そして、前述のように前記上部支持部材1A
7は横葺き外装構造の支持部材を兼ねているので、図示する躯体6qやそれ以外の躯体等に固定され、前記二つの連絡支持部材1C
7,1C
7’も躯体6qに固定されている。
また、前記連絡支持部材1C
7,1C
7’は、前記上部支持部材1A
7及び前記下部支持部材1B
7のそれぞれの長さの中程を締着部材1dにて連結しており、前記上部支持部材1A
7と前記下部支持部材1B
7とは、前記上部支持部材1A
7の先端と前記下部支持部材1B
7の軒先付近
と締着部材1dにて連結し、前記下部支持部材1B
7の軒先端が突出状に配設されるように組み付けられている。
【0051】
この第
2参考例における軒先外装材4Vは、前記上部支持部材1A
7の上面に沿う水上部分と前記下部支持部材1B
7の上面に沿う水下部分と更に水下端を立ち上げた側面部とを有し、これらの水上部分と水下部分とで上方が開放する浅い溝状部が形成される第2部材4Vbと、その軒先側に配設される第1部材4Vaとからなる。
この第
2参考例における軒天部材3VIは、前記
図3の第2実施例に用いた軒天部材3IVとほぼ同様の化粧面を形成する複数の第2部材3VIbと、その軒先側に配設される第1部材3VIaとからなる。
【0052】
なお、前記取付補助材1f4は、前述のように略W字状に成形され、前記下部支持部材1B7の軒先端に配設され、その上面に前記軒先外装材4Vの第1部材4Vaが固定され、その下面に前記軒天部材3VIの第1部材3VIaが配設され、それぞれ固定されている。
【0053】
この第2参考例では、前述のように浅い溝状部が形成され、雨水を貯留、排水することができる。
この雨水のように上方から正荷重が作用するような軒先構造であっても、堅牢で強固な軒先構造を維持できる。
【符号の説明】
【0054】
1A,1A2,1A3,1A4,1A5,1A6,1A7 上部支持部材
1B,1B2,1B3,1B4,1B5,1B6,1B7 下部支持部材
1C,1C2,1C3,1C4,1C5,1C6,1C7 連絡支持部材
1d 締着部材
1f,1f2,1f3,1f4 取付補助材
1e 補助部材
3,3II,3III,3IV,3V,3VI 軒天部材
4,4II,4III,4IV,4V 軒先外装材
9,9II,9III 外装材
9IIZ 最も水下側に位置する外装材