(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】飲料供給ユニット及びそれを備える飲料サーバ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20220927BHJP
B67D 3/00 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
B67D3/00 H
(21)【出願番号】P 2018133675
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000179373
【氏名又は名称】山田電器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 益夫
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-274730(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0035334(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
B67D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を入れる飲料容器が収容される有底の冷却釜を有し、該冷却釜の外周が断熱材で覆われている収容容器と、
前記冷却釜
の外底面に当接するように取り付けられかつ前記断熱材により側面が覆われており、前記飲料容器の飲料を冷却させる冷却手段と、
前記冷却釜を介して飲料の温度を測定する温度測定手段とを備え、
前記収容容器の前記断熱材は、前記冷却釜の底部及び前記冷却手段の側面を覆いかつ前記収容容器から分離可能に構成された後方断熱材を含み、前記収容容器から前記後方断熱材を分離させた際に前記冷却手段及び前記温度測定手段
が露出するように構成されている
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料供給ユニットにおいて、
前記冷却手段及び前記温度測定手段は、前記冷却釜の底部の外表面に取り付けられている
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飲料供給ユニットにおいて、
前記冷却手段と前記温度測定手段とは、近接して配置されている
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の飲料供給ユニットにおいて、
前記冷却釜に着脱可能に固定された熱伝導性を有する取付台を備え、
前記温度測定手段としての測温素子が前記取付台に取り付けられている
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の飲料供給ユニットにおいて、
前記冷却手段は、冷却面が前記冷却釜に当接するように配置されたペルチェ素子であり、
前記収容容器は、前記ペルチェ素子の発熱面が露出するように開口する開口部を有している
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の飲料供給ユニットにおいて、
前記収容容器には、前記冷却手段及び前記温度測定手段に接続された導線を引き出すための導線路が形成され、前記冷却手段及び前記温度測定手段に加えて前記導線路を露出させることができるように分割されている
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の飲料供給ユニットにおいて、
前記冷却釜
の底部には、内部に溜まった水を排出するための排水口が設けられており、
前記排水口には、外周が前記断熱材で覆われたドレインが接続され、
前記ドレインは、前記後方断熱材と前記断熱材の他部との境界に沿って前記収容容器の外部に引き出され、前記収容容器から前記後方断熱材を分離させた際に前記ドレインが露出するように構成されている
ことを特徴とする飲料供給ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の飲料供給ユニットを備える飲料サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機能を有する飲料供給ユニット及びそれを備える飲料サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却機能を有する飲料サーバとして、種々のものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ペットボトル等の飲料ボトル(飲料容器に相当)を使用した飲料サーバが開示されている。一般的に、このような飲料ボトルを使用した飲料サーバでは、ボトル収納室の周囲を断熱材で覆うことにより、保冷温度が一定に保たれるようにしている(
図1,
図20等参照)。特許文献1の飲料サーバでは、冷却支持部の側面に冷却器(冷却手段に相当)が固定され、その冷却器の冷却温度は温度センサ(温度測定手段)によって検出されており、冷却制御部により、冷却温度がほぼ一定の低温度(冷水としての適温)になるように温度制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来技術では、冷却器及び温度センサをボトル収容室に取り付けた後に、ボトル収容室、冷却器及び温度センサの全体の周りに断熱材を充填させ、ボトル収容室、冷却器及び温度センサと断熱材とを一体的に構成することが行われている。
【0006】
しかしながら、上記従来技術は、冷却器及び/又は温度センサの故障等が生じたときに、断熱材が邪魔になって交換ができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することを目的としてなされたものであり、高い保冷性能を確保しつつ、冷却手段及び温度測定手段の交換が可能に構成された飲料供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る飲料供給ユニットの一態様では、飲料を入れる飲料容器が収容される有底の冷却釜を有し、該冷却釜の外周が断熱材で覆われている収容容器と、前記冷却釜に当接し、前記飲料容器の飲料を冷却させる冷却手段と、前記冷却釜を介して飲料の温度を測定する温度測定手段とを備え、前記収容容器は、前記冷却手段及び前記温度測定手段を露出させることができるように分割されている。
【0009】
上記構成によると、収容容器が、冷却釜の外周を断熱材で覆うように構成されているので、使用時に、高い保冷性能を発揮することができる。さらに、冷却手段及び温度測定手段を露出させることができるように分割されているので、冷却手段や温度測定手段を露出させて、これらを容易に交換することができる。
【0010】
飲料供給ユニットにおいて、前記冷却手段及び前記温度測定手段は、前記冷却釜の底部の外表面に取り付けられている、としてもよい。
【0011】
これにより、飲料供給ユニット11をコンパクトに構成することができる。
【0012】
前記冷却手段と前記温度測定手段とは、近接して配置されていてもよい。
【0013】
これにより、冷却釜の温度制御の精度を上げることが可能になる。
【0014】
飲料供給ユニットにおいて、前記冷却釜に着脱可能に固定された熱伝導性を有する取付台を備え、前記温度測定手段としての測温素子が前記取付台に取り付けられていてもよい。
【0015】
これにより、測温素子による温度測定精度を確保しつつ、測温素子の交換をしやすくすることができる。
【0016】
飲料供給ユニットにおいて、前記冷却手段は、冷却面が前記冷却釜に当接するように配置されたペルチェ素子であり、前記収容容器は、前記ペルチェ素子の発熱面が露出するように開口する開口部を有していてもよい。
【0017】
このように冷却素子としてペルチェ素子を用いることで、飲料供給ユニットを小型化することができる。
【0018】
飲料供給ユニットにおいて、前記冷却釜には、内部に溜まった水を排出するための排水口が設けられており、前記収容容器は、前記冷却手段、前記温度測定手段及び前記排水口を露出させることができるように分割されていてもよい。
【0019】
上記の構成によると、冷却手段や温度測定手段に加えて、例えば、排水口に取り付けたドレイン等の交換を行うことができるようになる。
【0020】
本発明に係る飲料サーバの一態様では、上記飲料供給ユニットのいずれか1つを備えている。
【0021】
上記の構成によると、使用時には高い保冷性能を発揮するとともに、冷却手段や温度測定手段を容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の飲料供給ユニットは、使用時には高い保冷性能を発揮するとともに、冷却手段や温度測定手段を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】飲料サーバを左前方の斜め上側から見た一部分解斜視図
【
図2】飲料サーバを右前方の斜め上側から見た一部分解斜視図
【
図3】飲料供給ユニットを右前方の斜め上側から見た一部分解斜視図
【
図4】飲料供給ユニットを右後方の斜め下側から見た一部分解斜視図
【
図5】飲料供給ユニットを右後方の斜め下側から見た一部分解斜視図
【
図8】本体後側ユニットを左前方の斜め上側から見た一部分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
-飲料サーバの構成-
図1は、飲料サーバSを左前方の斜め上側から見た一部分解斜視図であり、後述する左パネル82と上パネル81を取り外した状態を示している。
図2は、飲料サーバSを右前方の斜め上側から見た一部分解斜視図であり、後述するケース80と、支柱72a~72c,73a~73cを省いて図示している。
【0026】
本開示の飲料サーバSは、前側に複数の注出コック21が設けられ、その注出コック21に取り付けられた注出レバー22への操作を受けて、注出コック21からグラスやジョッキ(図示省略)にビール等の飲料を注出するために使用される。複数の注出コック21は、それぞれ、互いに異なる飲料容器23(
図3参照)の開口部(図示省略)に装着されている。これにより、本開示の飲料サーバSでは、飲料容器23毎に異なる飲料を収容することで、各注出コック21から、互いに異なる複数種の飲料が注出できるようになっている。以下の説明では、飲料サーバSの設置状態に基づいて上下を定義するものとし、使用者との対向面側を「前」とする。また、前から見た正面視に基づいて、左右を定義する。
【0027】
飲料サーバSは、2タップ構成であり、上下に並べて配置された2つの飲料供給ユニット11がケース80に収容されている。以下の説明では、便宜上、上側の飲料供給ユニットに11A、下側の飲料供給ユニットに11Bの符号を付している。
【0028】
ケース80の内部には、飲料供給ユニット11A,11Bを支持する支持構造70が設けられている。
【0029】
具体的に、支持構造70は、四角形状の基台71と、基台71の左右方向の両端において、前後方向に離間して立設された3対の支柱72a,72b,72c,73a,73b,73cを備えている。なお、説明の便宜上、左前側の支柱に72a,左中間に支柱に72b,左後側の支柱に72cの符号を付している。同様に、右前側の支柱に73a,右中間に支柱に73b,右後側の支柱に73cの符号を付している。支柱72aと支柱73aとは、互いに鏡映対称な形状であり、前後方向の位置を揃えて、対向するように配置されている。同様に、支柱72bと支柱73b、及び、支柱72cと支柱73cとは、それぞれ、互いに鏡映対称な形状であり、前後方向の位置を揃えて、対向するように配置されている。さらに、3本の支柱72a,72b,72c(以下、72a~72cとも記載する)は、互いの左右方向の位置が揃えられ、3本の支柱73a,73b,73c(以下、73a~73cとも記載する)は、互いの左右方向の位置が揃えられている。
【0030】
3本の支柱72a~72cには、互いの上下方向の高さ位置を異ならせて、支持部材74a,75aが架設されている。同様に、3本の支柱73a~73cには、互いの上下方向の高さ位置を異ならせて、支持部材74b,75bが架設されている。なお、説明の便宜上、下側の支持部材に74a,74bの符号を、上側の支持部材に75a,75bの符号を付している。そして、支持部材74aと支持部材74bとは、互いの高さ位置が同じに設定され、支持部材75aと支持部材75bとは、互いの高さ位置が同じに設定されている。
【0031】
各支持部材74a,74b,75a,75bは、取り付けの対象となる支柱72a~72c,73a~73cに沿って上下方向に延び、下端部がそれぞれ内側に向かって折り曲げられており、正面視で略L字形状をしている。また、支持部材74a,75aは、各々が、3本の支柱72a~72cの間において、前から後に向かって斜め下がりに傾斜するように架設され、ねじ止め固定されている。同様に、支持部材74b,75bは、3本の支柱73a~73cの間において、前から後に向かって斜め下がりに傾斜するように架設され、ねじ止め固定されている。
【0032】
このような構成にすることにより、飲料供給ユニット11の装着時に、支持部材74a,74b,75a,75bを飲料供給ユニット11A,11Bの案内部として機能させることができるので、組立作業性が高いという特徴がある。
【0033】
上側の飲料供給ユニット11Aと上パネル81との間には、飲料供給ユニット11A(収容容器30)の上面に沿って前後方向に延びる板状の設置台77が設けられている。設置台77上には、上側の飲料供給ユニット11Aに電源を供給する電源ユニット61Aと、下側の飲料供給ユニット11Bに電源を供給する電源ユニット61Bとが前後方向に並べて配置されている。なお、電源ユニット61A,61Bは、説明の便宜上異なる符号を付しているが、互いに共通の部品で構成された電源ユニット61を用いることができる。
【0034】
このような配置にすることにより、スペースを有効に活用することができ、飲料サーバSをコンパクトにすることができる。また、下側の飲料供給ユニット11Bの電源も、上側の飲料供給ユニット11Aの上側に設置することにより、飲料供給ユニット11A,11Bからの水漏れ等の影響を回避することができる。
【0035】
まとめると、支持構造70は、四角形状の基台71と、3対の支柱72a,72b,72c,73a,73b,73cと、支持部材74a,74b,75a,75bと、設置台77とを備えている。
【0036】
ケース80は、基台71の左右両端において、互いに対向するように立設された左右のサイドパネル82を備えている。そして、両サイドパネル82の上端間が上パネル81に、前端間が前パネル83に、後端間が後パネル84によってそれぞれ接続されている。換言すると、ケース80は、前パネル83と、両サイドパネル82と、後パネル84とによって囲まれた構成をしている。
【0037】
前パネル83は、飲料供給ユニット11の装着状態における、飲料注出部20に対応する位置が円形状に切り抜かれている。これにより、飲料注出部20が装着された飲料容器23を、前側から収容容器30に装着したり、取り出したりすることができるようになっている。
【0038】
また、下側の飲料供給ユニット11Bが、上側の飲料供給ユニット11Aよりも少し後側に下げて配置され、上下間で前後方向に段違いの構成になっている。これにより、上側の飲料供給ユニット11Aからジョッキ等に飲料を注ぐ際に、下側の飲料供給ユニット11Bに装着された飲料注出部20が邪魔にならないようにしている。さらに、前パネル83には、各飲料注出部20の右下部分に、前述の発光素子からなる表示部64及び各種操作用のスイッチ65が設けられている。なお、表示部64やスイッチ65の構成は、従来技術と同様であり、ここではその詳細説明を省略する。
【0039】
-飲料供給ユニットの構成-
次に、本実施形態の飲料供給ユニット11の構成について詳細に説明する。
【0040】
図3に示すように、飲料供給ユニット11は、飲料注出部20と、収容容器30と、ペルチェ素子40と、冷却フィン41と、ファン42と、電源ユニット61と、駆動回路62と、コントローラ63とを備えている。
【0041】
飲料容器23は、例えば、有底の円筒状のペットボトル(例えば、樹脂製)であり、その先端には、飲料容器23の内外を連通させて、飲料の充填や取り出しが可能に構成された開口部(図示省略)が形成されている。
【0042】
飲料注出部20は、使用者がグラスやジョッキに飲料を注ぎ出すためのものであり、飲料容器23の先端部に装着されている。飲料注出部20は、注出コック21と、注出レバー22と、後述する収容容器30の前側の開口部を塞ぐ蓋部24とを備えている。
【0043】
前述のとおり、注出コック21は、飲料容器23の開口部が気密かつ水密の状態となるように封止する。注出レバー22は、注出コック21の上側に一体的に取り付けられており、使用者による前後方向への操作にしたがって注出コック21を介して導かれた飲料の注ぎ出し及びその停止を切り替える。
【0044】
収容容器30は、飲料容器23が収容される容器であり、収容された飲料容器23の飲料を保冷する断熱構造を有する。具体的に、収容容器30は、飲料容器23が収容される有底の冷却釜32と、冷却釜32が収容された箱状の収容容器本体31とを備えている。
【0045】
図6に示すように、冷却釜32は、熱伝導性を有する素材、例えば、金属製であり、内部に、飲料容器23を収容するための収容空間32rが形成されている。
【0046】
収容容器本体31は、矩形状の箱体であり、前壁31aが円形状に切り抜かれていて、その開口部の内側に開口部31bから後側に向かって冷却釜32が取り付けられている。収容容器本体31と冷却釜32との間には、断熱材33が充填されている。
【0047】
そして、冷却釜32に飲料容器23が底部側から挿入されると、前述のように、注出レバー22及び注出コック21が前側に露出し、注出レバー22の操作及び注出コック21からの飲料の注ぎ出しができる状態になる。
【0048】
図3に戻り、蓋部24は、略円筒状の断熱構造体であり、飲料容器23が冷却釜32に収容されたときに、この蓋部24に設けられたロック機構(図示省略)が開口部31b内側に係止されることで、飲料容器23が収容容器30にロック固定されるようになっている。これにより、冷却釜32の内外が気密状態かつ水密状態に封止され、飲料容器23内の飲料の温度変化が生じにくくなっている。
【0049】
図4に示すように、冷却釜32では、内部に溜まった水を、ドレイン87及びそのドレイン87に接続されたホース(図示省略)を介して水受け88に排出するように構成されている。具体的に、冷却釜底部32aの下側面には、内部に溜まった水を排出するための排水口32fが設けられており、そこにドレイン87が装着されている。
【0050】
収容容器本体31は、冷却釜32の冷却釜底部32aを覆う本体後側ユニット31cが前後方向に分離できるように、分割された構成となっている。そして、本体後側ユニット31cを取り外すことにより、冷却手段としてのペルチェ素子40及び温度測定手段としてのサーミスタ50を露出させることができるようになっている。換言すると、収容容器30は、ペルチェ素子40及びサーミスタ50を露出させることができるように分割されているといえる。同様に、排水口32fが冷却釜底部32aに設けられているので、収容容器30は、排水口32f及びそこに装着されたドレイン87を露出させることができるように分割されているといえる。なお、
図8に示すように、収容容器本体31と同様に、本体後側ユニット31cに、断熱材38が充填されている。
【0051】
ペルチェ素子40は、冷却釜32底の外表面32bに、冷却面40aが冷却釜32に当接するように配置され、冷却釜32の内側からねじ36(
図7参照)を用いてねじ止め固定されている。このように、ペルチェ素子40で冷却釜32の冷却釜底部32aを冷却することにより、収容容器30に収容された飲料容器23の飲料を間接的に、所定の冷却温度に冷却する。
【0052】
なお、冷却手段は、ペルチェ素子40に限定されるものではない。例えば、ペルチェ素子40以外の熱電素子を用いてもよいし、熱電素子以外の冷却素子や冷却装置を用いてもよい。また、ペルチェ素子40の固定方法は、ねじ止めに限定されず、他の方法であってもよい。
【0053】
図4に示すように、本体後側ユニット31cには、ペルチェ素子40の冷却面40a(
図6参照)と対向する発熱面40b(
図6参照)が露出するように開口する開口部31gが形成されている。そして、この開口部31gを介してペルチェ素子40の発熱面40bに当接するように冷却フィン41が設けられている。これにより、冷却フィン41を介して伝達された熱が、冷却フィン41上側に設けられたファン42(
図2参照)によりダクト43(
図2参照)を介して外部に排出され、放熱されるようになっている。
【0054】
ペルチェ素子40には、前後方向間の熱伝導を防止するために、その上下左右方向の外周を囲むように断熱材44が取り付けられている。この断熱材44は、上下方向の中央位置で上下に分離できるように構成されており、
図4では断熱材44を上下に分離させた状態を示している。
【0055】
冷却釜底部32aの外表面32bには、ペルチェ素子40と隣接する位置にサーミスタ50を取り付けるための取付台51が設けられている。取付台51は、冷却釜32の内側からねじ37(
図6参照)を用いてねじ止め固定されている。なお、取付台51の素材は、特に限定されないが、伝熱性を有する素材であるのが好ましく、例えば、金属製である。
【0056】
また、取付台51の形状は特に限定されない。
図4では、取付台51が、矩形状であり、上下方向の中央位置に左右方向に延びる挿入部51aを設けている例を示している。挿入部51aは、サーミスタ50の外径よりも若干大きく形成されており、サーミスタ50が挿入部51aに対して右から左に嵌入されている。サーミスタ50は、嵌入時における挿入部51aとの摩擦を低減させ、伝熱性を高める観点から、周囲にグリース(図示省略)等を塗った状態で挿入部51aに嵌入されてもよい。
【0057】
図8に示すように、本体後側ユニット31cの上下左右方向の略中央には、冷却釜32を嵌め込むための凹部31fが形成され、その凹部31fの中央が矩形状に切り抜かれて前述の開口部31gが形成されている。同様に、本体後側ユニット31cには、取付台51と対応する位置に形成された凹部31h、ドレイン87と対応する位置に形成された凹部31nが形成されている。さらに、本体後側ユニット31cには、サーミスタ50からの測温信号を伝達するためのリード線(図示省略)及びペルチェ素子40に電流を供給するためのリード線(図示省略)を収容容器30の外部に引き出すための凹部31mが形成されている。さらに、収容容器本体31側における凹部31mと対応する位置には、上記リード線を案内すると共に、凹部31mの内側の気密性を確保する観点から、凹部31mに沿って延びるリード線案内用の凸状部31d(
図5参照)が設けられている。
【0058】
以上のような構成にすることにより、本体後側ユニット31cを装着した際に、冷却釜32と本体後側ユニット31cとの間に空間ができにくく、冷却釜32の保冷効果を高めることができる。
【0059】
図2に戻り、電源ユニット61は、飲料供給ユニット11毎に設けられており、コンセント(図示省略)を介して商用電源に接続され、電力変換して駆動回路62に電源を供給する。
【0060】
駆動回路62は、電源ユニット61からの電源供給を受けて、飲料供給ユニット11の各構成要素を駆動する回路である。換言すると、電源ユニット61は、駆動回路62を介してコントローラ63をはじめとする飲料供給ユニット11の各構成要素に電源を供給する機能を有する。
【0061】
コントローラ63は、飲料供給ユニット11の全体動作を制御する機能を有する。例えば、コントローラ63は、サーミスタ50で測定された測定温度に基づいて、ペルチェ素子40の冷却温度をあらかじめ設定された所定の冷却温度に制御する。所定の冷却温度は、任意に設定することができるが、例えば、0℃~5℃前後の温度である。
【0062】
以上のように、本実施形態によると、収容容器本体31から本体後側ユニット31cを取り外すことにより、ペルチェ素子40及びサーミスタ50を露出させることができるので、それらの交換作業を実施することができ、さらに、作業容易性も非常に高いものである。
【0063】
例えば、従来から知られている方法として、箱状の収容容器内に、冷却手段や温度測定手段を取り付けた状態の冷却釜を収容させ、その収容容器内に、冷却釜の全体を覆うように断熱材を充填する方法が用いられている。そうすると、冷却手段(例えば、ペルチェ素子)や温度測定手段(例えば、サーミスタ)は、断熱材の中に埋め込まれた状態となり、収容容器を壊すことなく冷却手段や温度測定手段を交換することがほぼできなかったが、本開示の技術ではそのようなことがない。
【0064】
さらに、ペルチェ素子40及びサーミスタ50を冷却釜底部32aの外表面32bに取り付けるようにしているので、飲料供給ユニット11をコンパクトにすることができ、ひいては、飲料サーバSをコンパクトにすることができる。さらに、飲料サーバSのケース80内に、複数の飲料供給ユニット11を上下又は左右に並べて収容する場合に、ペルチェ素子の発熱部が1ヶ所(例えば、ケース80の後側)に集約されるので、放熱構造(例えば、ファンやダクトの構成)をコンパクトでかつ効率的な冷却ができるような構成にできるという効果が得られる。
【0065】
また、ペルチェ素子40とサーミスタ50とを近接配置しているので、冷却釜の温度制御の精度を上げることが可能になる。
【0066】
なお、上記実施形態では、ペルチェ素子40及びサーミスタ50を冷却釜底部32aの外表面32bに取り付けるものとしたが、これに限定されない。例えば、ペルチェ素子40及びサーミスタ50の少なくとも一方を、冷却釜32の側壁に取り付けるようにしてもよい。この場合、本体後側ユニットに加えて、又は、代えて、その冷却釜32の側壁部分に対応する収容容器本体31がペルチェ素子40やサーミスタ50を露出させることができるように分割されているとよい。なお、例えば、冷却釜32を絞り工程を経て生成した場合には、冷却釜32の側面は曲面となるので、冷却釜底部32aの方が、ペルチェ素子40を取り付けやすく、熱伝導性も高い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る飲料サーバは、供給可能な飲料種類の変更自由度が高いので、飲食店等に用いられるビール等の飲料用サーバとして極めて有用である。
【符号の説明】
【0068】
A 飲料サーバ
11 飲料供給ユニット
30 収容容器
31g 開口部
32 冷却釜
32a 冷却釜底部
33 断熱材
40 ペルチェ素子(冷却手段)
50 サーミスタ(温度測定手段)
51 取付台