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特許7146542経路案内プログラム、経路案内装置、および経路案内システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】経路案内プログラム、経路案内装置、および経路案内システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20220927BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018173793
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020046254
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121348
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100114247
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】永田 光
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072523(JP,A)
【文献】特開2015-219119(JP,A)
【文献】特開2006-194665(JP,A)
【文献】国際公開第2008/044309(WO,A1)
【文献】特開2012-244630(JP,A)
【文献】特開2004-274653(JP,A)
【文献】特開2004-056408(JP,A)
【文献】特開2003-222532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影映像を表示部に表示する機能を有する携帯端末装置に含まれるコンピュータを、
自装置の現在位置の情報を随時取得する位置情報取得手段、
前記自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する位置情報共有手段、
前記位置情報取得手段によって取得された前記自装置の現在位置の情報と前記位置情報共有手段によって共有された前記他装置の現在位置の情報とに基づいて前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う経路探索手段、および、
前記経路探索手段によって得られた進行経路を示す拡張現実画像を前記撮影映像に重ねて表示する経路表示手段
として機能させ
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が所定の閾値以上であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの道路に沿った経路が得られ、
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が前記所定の閾値未満であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの直線の経路が得られることを特徴とする、経路案内プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記他装置に対して現在位置の情報の共有を要求する共有要求手段、および、
前記他装置から現在位置の情報の共有の要求があったときに当該要求を許容するか否かを前記他装置に通知する応答手段
として更に機能させ、
前記共有要求手段による要求に対して前記他装置から当該要求を許容する旨の通知があった場合および前記応答手段が前記他装置からの要求を許容した場合に、前記位置情報共有手段による現在位置の情報の共有が行われることを特徴とする、請求項1に記載の経路案内プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記共有要求手段による要求に対して前記他装置から当該要求を許容する旨の通知があった場合に現在位置の情報の共有を許容する承認時間を設定する承認時間設定手段として更に機能させ、
所定のタイミングから前記承認時間設定手段によって設定された承認時間が経過するまでの期間、前記位置情報共有手段による現在位置の情報の共有が行われることを特徴とする、請求項2に記載の経路案内プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、
前記所定のタイミングから前記承認時間設定手段によって設定された承認時間が経過したときに承認時間の再設定を行う承認時間再設定手段として更に機能させることを特徴とする、請求項3に記載の経路案内プログラム。
【請求項5】
前記経路表示手段は、前記進行経路を示す拡張現実画像に加えて、前記他装置の進行方向を示す拡張現実画像を表示することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の経路案内プログラム。
【請求項6】
前記経路表示手段は、前記進行経路を示す拡張現実画像に加えて、前記他装置の所持者の向きを示す拡張現実画像を表示することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の経路案内プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
前記他装置に対して撮影映像の送信を要求する撮影映像要求手段、
前記他装置から撮影映像の送信の要求があったときに前記自装置の撮影映像を前記他装置に送信する撮影映像送信手段、および、
前記撮影映像要求手段による要求に対して前記他装置から撮影映像の送信があった場合に当該撮影映像を前記表示部に表示する他装置映像表示手段
として更に機能させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の経路案内プログラム。
【請求項8】
表示部を有する経路案内装置であって、
前記表示部に撮影映像を表示する撮影映像表示手段と、
自装置の現在位置の情報を随時取得する位置情報取得手段と、
前記自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する位置情報共有手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記自装置の現在位置の情報と前記位置情報共有手段によって共有された前記他装置の現在位置の情報とに基づいて前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う経路探索手段と、
前記経路探索手段によって得られた進行経路を示す拡張現実画像を前記撮影映像に重ねて表示する経路表示手段と
を備え
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が所定の閾値以上であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの道路に沿った経路が得られ、
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が前記所定の閾値未満であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの直線の経路が得られることを特徴とする、経路案内装置。
【請求項9】
表示部を有する2つの携帯端末装置である第1の携帯端末装置と第2の携帯端末装置とによって実現される経路案内システムであって、
各携帯端末装置は、
前記表示部に撮影映像を表示する撮影映像表示手段と、
自装置の現在位置の情報を随時取得する位置情報取得手段と、
前記自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する位置情報共有手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記自装置の現在位置の情報と前記位置情報共有手段によって共有された前記他装置の現在位置の情報とに基づいて前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う経路探索手段と、
前記経路探索手段によって得られた進行経路を示す拡張現実画像を前記撮影映像に重ねて表示する経路表示手段と
を備え
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が所定の閾値以上であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの道路に沿った経路が得られ、
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が前記所定の閾値未満であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの直線の経路が得られることを特徴とする、経路案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置(典型的には携帯電話などの携帯端末装置)のユーザーに拡張現実(AR)技術を用いて経路案内を行う経路案内プログラム、経路案内装置、および経路案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯端末装置の高機能化・高解像度化により、近年、地図を利用するアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリ」と略記する。)が多く開発されている。そのようなアプリの1つとして、携帯端末装置の利用者(以下、「ユーザー」という。)を目的地に案内するための「経路案内アプリ」などと呼ばれるアプリが知られている。経路案内アプリでは、ユーザーの現在位置から目的地までの経路探索が行われ、その結果が携帯端末装置の画面上に地図とともに表示される。このような経路案内アプリを利用することにより、ユーザーは手元に地図がない場合でも目的地に容易にたどり着くことができる。
【0003】
ところで、人の行為として「待ち合わせ」は日常的になされる行為である。一般に、待ち合わせは場所を特定して行われる。従って、上述した経路案内アプリは、待ち合わせの際にもユーザーに利用される。ところが、待ち合わせ時間になっても待ち合わせ場所に相手が現れない場合、人はストレスを感じることが多い。また、そのような場合、人は相手の現在位置を知りたくなることが多い。そこで、近年、携帯端末装置の複数のユーザーが互いの位置情報を共有できるようにするサービスが提供されている。このサービスによれば、待ち合わせの際に、ユーザーは他人の現在位置を地図上で確認することができる。
【0004】
また、特開2000-348286号公報および特開2010-192994号公報には、1対1で互いに自己の現在位置から相手の現在位置までの経路の探索・表示(2次元の地図上での表示)を行うシステムの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-348286号公報
【文献】特開2010-192994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術によれば、相手の現在位置の情報は2次元の地図(以下、「2D地図」という。)上に表示される。従って、待ち合わせの際に自己の現在位置と相手の現在位置との平面的な関係を把握することができる。ところが、待ち合わせ場所の環境によっては、2D地図上では自己と相手とが近い距離にいるにも関わらず両者が落ち合うまでに相当の時間を要することが多々ある。これに関し、例えば以下に記すような要因によって、待ち合わせの際に両者が互いに相手を発見することが阻害されることがある。
1:待ち合わせ場所が混雑している(例えば、主要駅の改札口前、イベント会場前)。
2:待ち合わせ場所が空間的に広くかつ好適な目印が存在しない(例えば、巨大なライブ会場、巨大なテーマパーク)。
3:待ち合わせ場所としての建物の構造が複雑である(例えば、主要駅の地下街、デパートやショッピングモールなどの巨大な商業施設)。
【0007】
以上の点に鑑み、本発明は、待ち合わせ(2人での待ち合わせ)の際に両者が落ち合う場所の環境(混雑度、空間の広さ、建物等の構造の複雑さ)に関わらず両者が容易に落ち合うことを可能にする経路案内プログラム、経路案内装置、および経路案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、撮影映像を表示部に表示する機能を有する携帯端末装置に含まれるコンピュータを、
自装置の現在位置の情報を随時取得する位置情報取得手段、
前記自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する位置情報共有手段、
前記位置情報取得手段によって取得された前記自装置の現在位置の情報と前記位置情報共有手段によって共有された前記他装置の現在位置の情報とに基づいて前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う経路探索手段、および、
前記経路探索手段によって得られた進行経路を示す拡張現実画像を前記撮影映像に重ねて表示する経路表示手段
として機能させ
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が所定の閾値以上であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの道路に沿った経路が得られ、
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が前記所定の閾値未満であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの直線の経路が得られることを特徴とする、経路案内プログラムである。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
前記コンピュータを、
前記他装置に対して現在位置の情報の共有を要求する共有要求手段、および、
前記他装置から現在位置の情報の共有の要求があったときに当該要求を許容するか否かを前記他装置に通知する応答手段
として更に機能させ、
前記共有要求手段による要求に対して前記他装置から当該要求を許容する旨の通知があった場合および前記応答手段が前記他装置からの要求を許容した場合に、前記位置情報共有手段による現在位置の情報の共有が行われることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、
前記コンピュータを、
前記共有要求手段による要求に対して前記他装置から当該要求を許容する旨の通知があった場合に現在位置の情報の共有を許容する承認時間を設定する承認時間設定手段として更に機能させ、
所定のタイミングから前記承認時間設定手段によって設定された承認時間が経過するまでの期間、前記位置情報共有手段による現在位置の情報の共有が行われることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、
前記コンピュータを、
前記所定のタイミングから前記承認時間設定手段によって設定された承認時間が経過したときに承認時間の再設定を行う承認時間再設定手段として更に機能させることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明において、
前記経路表示手段は、前記進行経路を示す拡張現実画像に加えて、前記他装置の進行方向を示す拡張現実画像を表示することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記経路表示手段は、前記進行経路を示す拡張現実画像に加えて、前記他装置の所持者の向きを示す拡張現実画像を表示することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明において、
前記コンピュータを、
前記他装置に対して撮影映像の送信を要求する撮影映像要求手段、
前記他装置から撮影映像の送信の要求があったときに前記自装置の撮影映像を前記他装置に送信する撮影映像送信手段、および、
前記撮影映像要求手段による要求に対して前記他装置から撮影映像の送信があった場合に当該撮影映像を前記表示部に表示する他装置映像表示手段
として更に機能させることを特徴とする。
【0016】
の発明は、表示部を有する経路案内装置であって、
前記表示部に撮影映像を表示する撮影映像表示手段と、
自装置の現在位置の情報を随時取得する位置情報取得手段と、
前記自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する位置情報共有手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記自装置の現在位置の情報と前記位置情報共有手段によって共有された前記他装置の現在位置の情報とに基づいて前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う経路探索手段と、
前記経路探索手段によって得られた進行経路を示す拡張現実画像を前記撮影映像に重ねて表示する経路表示手段と
を備え
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が所定の閾値以上であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの道路に沿った経路が得られ、
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が前記所定の閾値未満であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの直線の経路が得られることを特徴とする。
【0017】
の発明は、表示部を有する2つの携帯端末装置である第1の携帯端末装置と第2の携帯端末装置とによって実現される経路案内システムであって、
各携帯端末装置は、
前記表示部に撮影映像を表示する撮影映像表示手段と、
自装置の現在位置の情報を随時取得する位置情報取得手段と、
前記自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する位置情報共有手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記自装置の現在位置の情報と前記位置情報共有手段によって共有された前記他装置の現在位置の情報とに基づいて前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う経路探索手段と、
前記経路探索手段によって得られた進行経路を示す拡張現実画像を前記撮影映像に重ねて表示する経路表示手段と
を備え
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が所定の閾値以上であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの道路に沿った経路が得られ、
前記自装置の現在位置と前記他装置の現在位置との間の直線距離が前記所定の閾値未満であれば、前記経路探索手段によって、前記進行経路として、前記自装置の現在位置から前記他装置の現在位置までの直線の経路が得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記第1の発明によれば、自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報が共有される。そして、経路探索手段によって自装置の現在位置から他装置の現在位置までの進行経路の探索が行われ、進行経路を示す拡張現実画像が撮影映像に重ねて表示される。このように待ち合わせ相手の現在位置の方向が拡張現実画像を用いて示されることから、自己と待ち合わせ相手とが接近したときに周囲の環境に関わらず待ち合わせ相手を容易に発見することができる。以上のように、待ち合わせ(2人での待ち合わせ)の際に、両者が落ち合う場所の環境(混雑度、空間の広さ、建物等の構造の複雑さ)に関わらず、両者が容易に落ち合うことが可能となる。また、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの進行経路が示されることから、待ち合わせの際に特定の待ち合わせ場所を定めることが不要となる。さらに、進行経路は拡張現実画像を用いて示されるので、ユーザーは自己の進むべき方向を直感的に把握することができ、ユーザーは進行経路を示す拡張現実画像に従って進行するだけで相手と落ち合うことができる。
また、自己と相手とが離れている時には相手に近づくように移動することが容易となり、自己と相手とが近い位置にいる時には相手を探すのが容易となる。
【0019】
上記第2の発明によれば、互いに認証された者同士で現在位置の情報の共有が行われることになるので、現在位置の情報が不正に共有されることによるプライバシーの侵害が防止される。
【0020】
上記第3の発明によれば、現在位置の情報の共有状態が意図せず長時間継続することによるプライバシーの侵害が防止される。
【0021】
上記第4の発明によれば、承認時間の再設定が可能であるので、承認時間が経過したときに2人のユーザー間で互いに認証を行う処理を再度やり直すことなく待ち合わせのための経路案内を継続することができる。
【0022】
上記第5の発明によれば、待ち合わせ相手が自己に近づくように移動しているかどうかを確認することが可能となる。
【0023】
上記第6の発明によれば、例えば初対面の人と待ち合わせをする際に、両者が落ち合う場所が混雑していても相手の特定が容易となる。
【0024】
上記第7の発明によれば、待ち合わせ相手が見ている風景を確認することができるので、待ち合わせ相手の現在位置を詳細に把握することが可能となる。
【0026】
上記第の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0027】
上記第の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る経路案内システムを実現する機器構成を示すブロック図である。
図2】上記実施形態において、携帯端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】上記実施形態において、経路案内装置として機能する携帯端末装置の詳細な機能構成を示すブロック図である。
図4】上記実施形態において、リクエスト送信側の携帯端末装置の処理手順を示すフローチャートである。
図5】上記実施形態において、リクエスト受信側の携帯端末装置の処理手順を示すフローチャートである。
図6】上記実施形態において、表示部に表示される撮影映像の一例を表した図である。
図7】上記実施形態において、進行経路を示す拡張現実画像の表示例を表した図である。
図8】上記実施形態において、進行経路を示す拡張現実画像の別の表示例を表した図である。
図9】上記実施形態において、相手の進行方向を示す拡張現実画像の表示例を表した図である。
図10】上記実施形態において、相手の向きを示す拡張現実画像の表示例を表した図である。
図11】上記実施形態において、自己との関係で相手がどちらを向いているかを表す拡張現実画像の例を表した図である。
図12】上記実施形態において、相手の向きおよび相手の進行方向を示す拡張現実画像の表示例を表した図である。
図13】上記実施形態において、他装置からの撮影映像を表示部に表示した際の表示例を表した図である。
図14】上記実施形態において、相手の位置から遠ざかっている旨の警告画面の一例を表した図である。
図15】上記実施形態において、自己と相手とが落ち合えるまでの所要時間の表示例を表した図である。
図16】上記実施形態において、自己と相手との距離に応じて経路画像の幅を変化させる一例を表した図である。
図17】上記実施形態において、実際の撮影映像に拡張現実画像を重ねて表示した例を示す図である。
図18】上記実施形態において、実際の撮影映像に拡張現実画像を重ねて表示した例を示す図である。
図19】上記実施形態において、実際の撮影映像に拡張現実画像を重ねて表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0030】
<1.全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る経路案内システムを実現する機器構成を示すブロック図である。この経路案内システムは、サーバ20と2台の携帯端末装置10とによって実現される。サーバ20と携帯端末装置10とは、インターネットなどの通信回線を介して接続される。本実施形態においては、この経路案内システムを実現するために、経路案内アプリが携帯端末装置10にインストールされる。本実施形態における経路案内アプリは、待ち合わせをして人と落ち合う際に自己の現在位置から待ち合わせ相手の現在位置までの経路を提示するためのソフトウェアである。ユーザーは、所定の操作により経路案内アプリを起動することができる。なお、目的地として固定された位置を設定して自己の現在位置から当該目的地までの経路を提示する機能がこの経路案内アプリに設けられていても良いが、そのような機能は本発明には直接には関係しないので、それについての説明は省略する。
【0031】
<2.携帯端末装置のハードウェア構成>
図2は、携帯端末装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯端末装置10は、CPU11,フラッシュROM12,RAM13,通信制御部14,映像撮影部(カメラ)15,入力操作部16,表示部17,GPSセンサ18,および地磁気センサ19を有している。CPU11は、この携帯端末装置10の全体を制御するために各種演算処理等を行う。フラッシュROM12は、書き込み可能な不揮発性のメモリであって、携帯端末装置10の電源がオフされても保持されるべき各種プログラム・各種データを格納する。RAM13は、書き込み可能な揮発性のメモリであって、実行中のプログラムやデータ等を一時的に格納する。通信制御部14は、外部へのデータ送信の制御や外部からのデータ受信の制御を行う。映像撮影部(カメラ)15は、ユーザーによる操作に基づいて、現在位置から見える風景の撮影を行う。入力操作部16は、例えばタッチパネルであって、ユーザーによる入力操作を受け付ける。表示部17は、CPU11からの指令に基づいて、画像の表示を行う。GPSセンサ18は、GPS衛星から受信する電波に基づいて、ユーザーの現在位置を特定するための位置情報(緯度・経度の情報)を取得する。地磁気センサ19は、この携帯端末装置10の向いている方位(例えば表示部17の向いている方位)を示す方位情報を取得する。なお、ここではセンサとしてGPSセンサ18および地磁気センサ19が携帯端末装置10に設けられている例を挙げて説明しているが、それら以外のセンサ(例えば、加速度センサ)が携帯端末装置10に設けられていることもある。
【0032】
携帯端末装置10内において、経路案内アプリを実現する経路案内プログラムは、フラッシュROM12に格納される。ユーザーによって経路案内アプリの起動が指示されると、フラッシュROM12に格納されている経路案内プログラムがRAM13に読み出され、そのRAM13に読み出された経路案内プログラムをCPU11が実行する。これによる、携帯端末装置10は、経路案内のための各種機能をユーザーに提供する経路案内装置として機能する。
【0033】
<3.機能構成>
図3は、経路案内装置として機能する携帯端末装置10の詳細な機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、この携帯端末装置10は、機能的には、共有確立手段100,情報共有手段110,承認時間設定手段120,承認時間再設定手段130,方位検出手段140,現在位置検出手段150,経路探索手段160,映像撮影手段170,ARルート表示手段180,および映像参照手段190を有している。共有確立手段100には、共有要求手段102と応答手段104とが含まれている。情報共有手段110には、位置情報共有手段112が含まれている。映像参照手段190には、撮影映像要求手段192と撮影映像送信手段194と他装置映像表示手段196とが含まれている。
【0034】
なお、以下においては、経路案内システムを実現する2台の携帯端末装置10のうちここで着目している携帯端末装置10を「自装置」といい、他方の携帯端末装置10を「他装置」という。自装置と他装置との間のデータ等のやりとりはサーバ20を介して行われる。但し、自装置と他装置との間でデータ等のやりとりが直接的に行われても良い。
【0035】
共有確立手段100は、自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報が共有された状態を確立する。共有要求手段102は、他装置に対して現在位置の情報の共有を要求する。応答手段104は、他装置から現在位置の情報の共有の要求があったときに当該要求を許容するか否かを他装置に通知する。自装置の共有要求手段102による要求に対して他装置の応答手段104から当該要求を許容する旨の通知があった場合および他装置の共有要求手段102による要求に対して自装置の応答手段104が当該要求を許容する旨の通知を行った場合に、自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報が共有された状態が確立される。なお、共有要求手段102による要求が行われる際および応答手段104による応答が行われる際にパスコードの入力を促す画面を表示し、2人のユーザーによって予め定められているパスコードの入力が行われた場合に限って現在位置の情報の共有が可能となるようにしても良い。
【0036】
情報共有手段110は、自装置と他装置との間で現在位置の情報を含む各種情報がサーバ20を介して共有された状態を維持する。換言すれば、情報共有手段110は、他装置が自装置の情報を参照することができるよう自装置の情報をサーバ20に送信するとともにサーバ20から他装置の情報を取得する。位置情報共有手段112は、自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報を共有する。
【0037】
承認時間設定手段120は、自装置の共有要求手段102による要求に対して他装置の応答手段104から当該要求を許容する旨の通知があった場合に現在位置の情報の共有を許容する承認時間(時間の長さ)を設定する。承認時間再設定手段130は、承認時間設定手段120によって設定された承認時間が経過したときに承認時間の再設定を行う。
【0038】
方位検出手段140は、この携帯端末装置10の向いている方位を検出する。この方位検出手段140は、ハードウェアとしての地磁気センサ19(図2参照)によって実現される。現在位置検出手段150は、GPS衛星から受信する電波に基づいて、ユーザーの現在位置を検出する。この現在位置検出手段150は、ハードウェアとしてのGPSセンサ18(図2参照)によって実現される。なお、ここではGPSを用いた位置検出を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、Wi-Fi(登録商標)やビーコンなどの屋内測位技術を用いて現在位置を検出しても良いし、VIO(Visual-Inertial Odometry)技術(カメラの映像および慣性センサを使って位置の認識を行う技術)を用いて現在位置を検出しても良い。
【0039】
経路探索手段160は、現在位置検出手段150によって検出された自装置の現在位置の情報と位置情報共有手段112によって共有されている他装置の現在位置の情報とに基づいて、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの進行経路の探索を行う。なお、経路探索手段160による進行経路の探索の際には適宜のタイミングでサーバ20からダウンロードされる道路情報等が用いられるが、これについては本発明には直接には関係しないので、それに関する説明は省略する。映像撮影手段170は、風景映像の撮影を行う。この映像撮影手段170は、ハードウェアとしての映像撮影部(カメラ)15(図2参照)によって実現される。映像撮影手段170による撮影の結果である撮影映像(風景映像)は表示部17に表示される。ARルート表示手段180は、経路探索手段160によって得られた進行経路を示す拡張現実(AR)画像を撮影映像に重ねて表示する。これにより、表示部17には、拡張現実画像が埋め込まれた撮影映像が表示される。
【0040】
映像参照手段190は、他装置で撮影された映像の自装置での表示および自装置で撮影された映像の他装置での表示を実現する。撮影映像要求手段192は、他装置に対して撮影映像(他装置の映像撮影手段170による撮影の結果である撮影映像)の送信を要求する。撮影映像送信手段194は、他装置から撮影映像の送信の要求があったときに撮影映像(自装置の映像撮影手段170による撮影の結果である撮影映像)を他装置に送信する。他装置映像表示手段196は、撮影映像要求手段192による要求に対して他装置から撮影映像の送信があった場合に当該撮影映像を表示部17に表示する。
【0041】
なお、本実施形態においては、現在位置検出手段150によって位置情報取得手段が実現され、ARルート表示手段180によって経路表示手段が実現されている。
【0042】
<4.処理手順>
次に、本実施形態における経路案内(自己の現在位置から相手の現在位置までの進行経路の案内)の処理手順について説明する。ここでは、まず現在位置の情報の共有を要求する側(以下、「リクエスト送信側」という。)の処理手順(図4参照)について説明し、次いで現在位置の情報の共有が要求される側(以下、「リクエスト受信側」という。)の処理手順(図5参照)について説明する。
【0043】
<4.1 リクエスト送信側の処理手順>
図4は、自装置がリクエスト送信側の携帯端末装置10となる場合の処理手順を示すフローチャートである。経路案内アプリの起動後に待機状態(ステップS100)があった後、自装置のユーザーによって、他装置に対して現在位置の情報の共有を要求する指令が送信される(ステップS110)。すなわち、自装置の共有要求手段102によって、他装置に対して現在位置の情報の共有が要求される。
【0044】
その後、他装置から送信される通知に基づいて、上述の要求が許可されたか否かの判定が行われる(ステップS120)。その結果、上述の要求が許可されなかった場合には、処理はステップS100に戻る。一方、上述の要求が許可された場合には、承認時間設定手段120によって、現在位置の情報の共有を許容する時間(承認時間)を設定する処理が行われる(ステップS130)。このステップS130では、例えば、自装置の表示部17に承認時間を入力するための画面が表示され、当該画面からユーザーが適宜の長さの時間を入力する。これにより、このステップS130で設定された承認時間が経過するまで、以下のステップS140~S160の処理が繰り返される。なお、ステップS120では、現在位置の情報の共有を要求する指令を送信してから一定時間内に他装置から何ら通知が送信されなければ、要求が許可されなかったと判断すれば良い。
【0045】
ステップS140では、経路探索に必要な位置情報である自装置および他装置の現在位置の情報の取得が行われる。詳しくは、GPS衛星から受信する電波に基づき現在位置検出手段150(GPSセンサ18)によって自装置の現在位置の情報が取得されるとともに、サーバ20に保持されている他装置の現在位置の情報が位置情報共有手段112によって取得される。その後、ステップS140で取得された位置情報に基づいて、経路探索手段160によって、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの進行経路の探索が行われる(ステップS150)。
【0046】
進行経路の探索後、自装置の表示部17において、撮影映像(映像撮影手段170によって撮影されている映像)に重ねて進行経路を示す拡張現実画像が表示される(ステップS160)。本実施形態においては、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの道路に沿った経路(実際に進行することのできる経路)が進行経路として拡張現実技術を用いて表示される。これに関し、例えば拡張現実画像の表示前に表示部17に図6に示すような撮影映像が表示されていると仮定する。この場合、ステップS160では、表示部17には、図7に示すように撮影映像内に拡張現実画像が表示される。図7に示す例では、拡張現実画像として、現在位置から遠ざかるにつれて線幅を狭くした経路画像41と、進行方向を表す矢印画像42とが撮影映像に重ねて表示されている。
【0047】
なお、例えば図8に示すように、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの直線の経路が進行経路として拡張現実技術を用いて表示されても良い。また、自装置の現在位置と他装置の現在位置との間の直線距離に応じて進行経路を示す拡張現実画像の表示態様を変化させるようにしても良い。例えば、上記直線距離が所定の閾値以上であれば図7に示すように自装置の現在位置から他装置の現在位置までの道路に沿った経路を進行経路として拡張現実画像で表示し、上記直線距離が所定の閾値未満であれば図8に示すように自装置の現在位置から他装置の現在位置までの直線の経路を進行経路として拡張現実画像で表示するようにしても良い。
【0048】
拡張現実画像の表示後、ステップS130で設定された承認時間が経過したか否かの判定(承認時間の設定完了時点などの所定のタイミングから承認時間が経過したか否かの判定)が行われる(ステップS170)。その結果、承認時間が経過していなければ処理はステップS140に戻り、承認時間が経過していれば処理はステップS180に進む。
【0049】
ステップS180では、承認時間が再設定されたか否かの判定が行われる。その結果、承認時間が再設定された場合には処理はステップS130に戻り、承認時間が再設定されなかった場合には処理はステップS190に進む。このステップS180では、まず、承認時間を延長するか否かをユーザーに確認する画面が自装置の表示部17に表示される。その画面において、ユーザーは承認時間を延長するか否かを選択する。承認時間を延長する旨の選択が行われた場合には、再度承認時間を入力するための画面が自装置の表示部17に表示され、当該画面からユーザーが適宜の長さの時間を入力する。なお、承認時間が再設定された場合には、再設定後の承認時間の情報がサーバ20に送信され、承認時間が再設定されなかった場合には、その旨の情報がサーバ20に送信される。
【0050】
ステップS190では、自装置と他装置との間での位置情報等の共有が終了する。その結果、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの経路案内が終了する。
【0051】
ところで、上述したようにステップS140~S160の処理が繰り返されることにより、自己の現在位置・向きの変化および相手の現在位置の変化に応じて表示部17内の撮影映像・拡張現実画像は随時変化する。ユーザーは、進行経路を示す拡張現実画像に従って進行すれば良い。
【0052】
なお、本実施形態では承認時間の再設定が可能であるが、本発明はこれに限定されず、最初に設定された承認時間が経過した時に現在位置の情報の共有状態が強制的に解消されるようにしても良い。
【0053】
<4.2 リクエスト受信側の処理手順>
図5は、自装置がリクエスト受信側の携帯端末装置10となる場合の処理手順を示すフローチャートである。経路案内アプリの起動後に待機状態(ステップS200)があった後、他装置からの現在位置の情報の共有を要求する指令が受信される(ステップS210)。すなわち、他装置から送信された指令(現在位置の情報の共有を要求する指令)を共有確立手段100が受信する。ユーザーは、他装置からの要求を許可するか否かを決定する。すなわち、応答手段104が、他装置からの要求を許可するか否かを当該他装置に対して通知する。そして、他装置からの要求が許可されたか否かの判定が行われる(ステップS220)。その結果、要求が許可されなかった場合には、処理はステップS200に戻る。一方、要求が許可された場合には、処理はステップS230に進む。
【0054】
ユーザーが他装置からの要求を許可した場合には、他装置で上述した承認時間の設定が行われる。その承認時間の情報は、他装置からサーバ20に送信される。そして、ステップS230において、情報共有手段110によってサーバ20から承認時間の情報が取得される。これにより、その承認時間が経過するまで、以下のステップS240~S260の処理が繰り返される。
【0055】
ステップS240では、経路探索に必要な位置情報である自装置および他装置の現在位置の情報の取得が行われる。なお、これらの情報は上記ステップS140と同様にして取得される。そして、ステップS240で取得された位置情報に基づいて、経路探索手段160によって、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの進行経路の探索が行われる(ステップS250)。
【0056】
進行経路の探索後、自装置の表示部17において、撮影映像に重ねて進行経路を示す拡張現実画像が表示される(ステップS260)。このステップS260での拡張現実画像の表示は上記ステップS160と同様にして行われる。
【0057】
拡張現実画像の表示後、承認時間が経過したか否かの判定が行われる(ステップS270)。その結果、承認時間が経過していなければ処理はステップS240に戻り、承認時間が経過していれば処理はステップS280に進む。
【0058】
承認時間が経過したとき、承認時間の再設定を行うか否かの判断が他装置のユーザーによって行われる。自装置では、ステップS280において、承認時間の再設定が他装置で行われたか否かの判定が行われる。その結果、承認時間が再設定された場合には処理はステップS230に戻り、承認時間が再設定されなかった場合には処理はステップS290に進む。なお、承認時間が再設定された場合には、再設定後の承認時間の情報が情報共有手段110によってサーバ20から取得される。
【0059】
ステップS290では、自装置と他装置との間での位置情報等の共有が終了する。その結果、自装置の現在位置から他装置の現在位置までの経路案内が終了する。
【0060】
リクエスト受信側においても、リクエスト送信側のステップS140~S160と同様、ステップS240~S260の処理が繰り返される。これにより、自己の現在位置・向きの変化および相手の現在位置の変化に応じて表示部17内の撮影映像・拡張現実画像は随時変化する。ユーザーは、進行経路を示す拡張現実画像に従って進行すれば良い。
【0061】
<4.3 まとめ>
以上のように、まず、リクエスト送信側のユーザーとリクエスト受信側のユーザーとの間で互いに認証を行う処理が行われる。その後、両者の現在位置の情報が共有され、リクエスト送信側の携帯端末装置10の表示部17にはリクエスト送信側のユーザーの現在位置からリクエスト受信側のユーザーの現在位置までの進行経路が拡張現実画像を用いて表示され、リクエスト受信側の携帯端末装置10の表示部17にはリクエスト受信側のユーザーの現在位置からリクエスト送信側のユーザーの現在位置までの進行経路が拡張現実画像を用いて表示される。両者は、進行経路を示す拡張現実画像に従って進行する。その際、両者の少なくとも一方が移動するのに応じて、両者の携帯端末装置10の表示部17に表示されている拡張現実画像が更新される。また、承認時間内に両者が落ち合わなければ、必要に応じて承認時間が再設定される。以上のようにして両者が進行経路を示す拡張現実画像に従って進行することにより、最終的に両者は落ち合う。
【0062】
<5.表示画面>
上記においては、撮影映像に重ねて表示される拡張現実画像の例として、進行経路を示す拡張現実画像(図7および図8を参照)を例示した。しかしながら、進行経路を示す拡張現実画像の他に付加的な情報を示す拡張現実画像を表示するようにしても良い。これについて以下に説明する。
【0063】
この経路案内アプリを用いて待ち合わせをする際、相手の進行方向の情報は有用な情報となる。例えば、相手が自己から遠ざかるように移動していることがわかれば、相手に電話をかけるなどによって進行方向を確認するよう伝えることができる。そこで、図9で符号43を付した点線部分に示すように、相手の進行方向(他装置の進行方向)を示す拡張現実画像を表示部17の所定の位置に表示するようにしても良い。図9に示す例では、ユーザーは人のマークと矢印とで構成される拡張現実画像によって相手の進行方向を把握することが可能となっている。
【0064】
また、特に初対面の人と待ち合わせをする際には、混雑していても相手の特定が容易となるよう相手の向きを把握できることが好ましい。そこで、方位検出手段140(地磁気センサ19)によって検出される方位の情報に基づいてユーザーの向きを特定する機能を携帯端末装置10に設け、図10で符号44を付した点線部分に示すように、相手(他装置の所持者)の向きを示す拡張現実画像を表示部17の所定の位置に表示するようにしても良い。これに関し、例えば、自己との関係で相手がどちらを向いているかを表す図11に示すような複数の画像(拡張現実画像)を用意しておき、実際の相手の向きに応じた画像を表示部17の所定の位置に表示すれば良い。
【0065】
なお、図12で符号45を付した点線部分に示すように、向きを示す顔のマークと矢印とで構成される拡張現実画像を表示部17の所定の位置に表示するようにしても良い。これにより、ユーザーは相手の向きと相手の進行方向とを把握することが可能となる。
【0066】
待ち合わせをする際、相手の現在位置を把握するために相手が見ている風景を知りたいことが多々ある。そこで、この経路案内アプリには、他装置で撮影された映像を自装置の表示部17に表示する機能が設けられている。この機能は映像参照手段190(図3参照)によって実現される。本実施形態においては、この機能を実行するメニューがユーザーによって選択されると、撮影映像要求手段192によって他装置に対して撮影映像の送信の要求が行われる。これに対して、他装置の撮影映像送信手段194は、当該他装置の映像撮影手段170による撮影の結果である撮影映像(ここでは静止画)の送信を行う。なお、撮影映像の送信の要求に対して当該要求を拒否することができるようにしても良い。自装置では、撮影映像要求手段192による要求に対して他装置から撮影映像の送信があると、他装置映像表示手段196によって当該撮影映像が表示部17に表示される。これにより、自装置の表示部17には、例えば図13に示すような映像が表示される。図13に示す例では、符号51を付した部分に自装置からの撮影映像(拡張現実画像を含む)が表示され、符号52を付した部分に他装置からの撮影映像が表示されている。このように、相手が見ている風景を確認することができるので、相手の現在位置を詳細に把握することが可能となる。
【0067】
この経路案内アプリを用いて待ち合わせをしている際、誤った方向に進行したときに進行方向の誤りについてできるだけ早く気づくことが好ましい。そこで、そのような場合に図14で符号46を付した画面のように相手の位置から遠ざかっている旨の警告を行う画面(典型的にはポップアップ画面)を表示部17に表示するようにしても良い。
【0068】
待ち合わせをしている際、人は、相手と落ち合えるまでの時間が不明な時にストレスを感じることが多々ある。そこで、図15で符号47を付した点線部分に示すように、自己と相手とが落ち合えるまでの所要時間を表示部17の所定の位置に表示するようにしても良い。これにより、ユーザーは相手と落ち合えるまでの所要時間を把握することができるので、待ち合わせの際のユーザーのストレスが軽減される。なお、自己と相手との接近の程度を視覚的に把握することができるよう、例えば図16に示すように、自己と相手との距離が短くなるにつれて経路画像41の幅が太く表示されるようにしても良い。
【0069】
図17図19には、実際の撮影映像に拡張現実画像を重ねて表示した例を示している。図17および図18に示す例では、進行経路を示す拡張現実画像の他、方角を示す拡張現実画像や相手の現在位置を示す拡張現実画像(「G」と表示されている画像)が表示されている。図19に示す例では、進行経路を示す拡張現実画像の他、方角を示す拡張現実画像や自己の現在位置から次に曲がる位置までの距離を示す拡張現実画像が表示されている。以上のように、進行経路を示す拡張現実画像の他に付加的な情報を示す様々な拡張現実画像を表示するようにしても良い。
【0070】
<6.効果>
本実施形態によれば、自装置と他装置との間で互いの現在位置の情報が共有される。そして、経路探索手段160によって自装置の現在位置から他装置の現在位置までの進行経路の探索が行われ、表示部17には進行経路を示す拡張現実画像が撮影映像に重ねて表示される。このように待ち合わせ相手の現在位置の方向が拡張現実画像を用いて示されることから、自己と待ち合わせ相手とが接近したときに周囲の環境に関わらず待ち合わせ相手を容易に発見することができる。以上より、本実施形態によれば、待ち合わせ(2人での待ち合わせ)の際に、両者が落ち合う場所の環境(混雑度、空間の広さ、建物等の構造の複雑さ)に関わらず、両者が容易に落ち合うことが可能となる。
【0071】
また、両者の携帯端末装置10の表示部17には互いに相手の現在位置までの進行経路が表示されるので、待ち合わせの際に特定の待ち合わせ場所を定めることが不要となる。
【0072】
さらに、進行経路は拡張現実画像を用いて示されるので、ユーザーは自己の進むべき方向を直感的に把握することができ、ユーザーは進行経路を示す拡張現実画像に従って進行するだけで相手と落ち合うことができる。このように、2D地図を用いた従来技術と比較して待ち合わせが顕著に容易となる。
【0073】
さらにまた、一方の装置からの要求(現在位置の情報の共有の要求)に対して他方の装置が当該要求を許容した場合にのみ互いの現在位置の情報が共有される。すなわち、互いに認証された者同士で、現在位置の情報の共有が行われる。これにより、現在位置の情報が不正に共有されることによるプライバシーの侵害が防止される。また、現在位置の情報が共有される時間の長さ(承認時間)を設定することができるので、現在位置の情報の共有状態が意図せず長時間継続することによるプライバシーの侵害が防止される。また、承認時間の再設定が可能であるので、承認時間が経過したときに両者間で互いに認証を行う処理を再度やり直すことなく待ち合わせのための経路案内を継続することができる。
【0074】
<7.その他>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
10…携帯端末装置
20…サーバ
100…共有確立手段
102…共有要求手段
104…応答手段
110…情報共有手段
112…位置情報共有手段
120…承認時間設定手段
130…承認時間再設定手段
140…方位検出手段
150…現在位置検出手段
160…経路探索手段
170…映像撮影手段
180…ARルート表示手段
190…映像参照手段
192…撮影映像要求手段
194…撮影映像送信手段
196…他装置映像表示手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図18
図19