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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】混合水栓
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/08 20060101AFI20220927BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F16L27/08 B
E03C1/044
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018181750
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020051526
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 重倫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 喜康
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-042927(JP,A)
【文献】特開2014-070423(JP,A)
【文献】特開2005-314937(JP,A)
【文献】特開2002-115289(JP,A)
【文献】特開2003-184143(JP,A)
【文献】特開2002-115287(JP,A)
【文献】実開昭60-086691(JP,U)
【文献】実開昭53-114622(JP,U)
【文献】特開2016-169518(JP,A)
【文献】特開2020-023822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/08
F16L 5/00
E03C 1/04-1/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ハンドルが幅方向の側部に取り付けられた水栓本体と設置面との間で各々の前記幅方向に並ぶ給湯口同士と給水口同士とを個別に流路接続する一対の継手管を有する混合水栓であって、
前記一対の継手管が、前記水栓本体と前記設置面との対向方向にそれぞれに対する接続口を向け、各前記接続口同士が互いに前記幅方向に偏心するクランク形状とされ、
当該混合水栓が、更に、前記一対の継手管のうちの一方を、前記水栓本体又は前記設置面に対して、対応する前記接続口を基軸にクランクの偏心方向を前記幅方向の一側に真っ直ぐ向けた第1の向き状態と前記幅方向の他側に真っ直ぐ向けた第2の向き状態とに回転による切り換えが可能な首振り構造を有し、前記一対の継手管のうちの他方は、前記一方が前記第1の向き状態又は前記第2の向き状態に切り換えられたときの接続相手となる各前記給湯口間又は各前記給水口間の偏心寸法に合う、前記一方とは異なる偏心寸法を備えるものが選択的に適用される構成とされて、前記設置面に対する前記水栓本体の取付位置を前記第1の向き状態に対応する位置と前記第2の向き状態に対応する位置とに選択可能とされる混合水栓。
【請求項2】
操作ハンドルが幅方向の側部に取り付けられた水栓本体と設置面との間で各々の前記幅方向に並ぶ給湯口同士と給水口同士とを個別に流路接続する一対の継手管を有する混合水栓であって、
前記一対の継手管が、前記水栓本体と前記設置面との対向方向にそれぞれに対する接続口を向け、各前記接続口同士が互いに前記幅方向に偏心するクランク形状とされ、
当該混合水栓が、更に、前記一対の継手管のうちの一方を、前記水栓本体又は前記設置面に対して、対応する前記接続口を基軸にクランクの偏心方向を前記幅方向の一側に真っ直ぐ向けた第1の向き状態と前記幅方向の他側に真っ直ぐ向けた第2の向き状態とに回転による切り換えが可能な首振り構造を有し、前記一対の継手管のうちの他方は、前記一方が前記第1の向き状態又は前記第2の向き状態に切り換えられたときの接続相手となる各前記給湯口間又は各前記給水口間の偏心寸法に合う形を備えるものが選択的に適用される構成とされて、前記設置面に対する前記水栓本体の取付位置を前記第1の向き状態に対応する位置と前記第2の向き状態に対応する位置とに選択可能とされ、
当該混合水栓が、更に、前記一対の継手管の前記設置面に接続される側の管路部を前記幅方向に直線状に延びる長孔内に通ガイド固定体を有し、前記ガイド固定体が、前記水栓本体との係合により前記水栓本体の前記設置面に対する移動を規制する規制係合部を有する混合水栓。
【請求項3】
請求項2に記載の混合水栓であって、
前記ガイド固定体が、前記水栓本体と前記設置面との間を延びる前記一対の継手管をひとまとめに取り囲む取り囲み部を更に有する混合水栓。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の混合水栓であって、
前記ガイド固定体が、前記一対の継手管と前記設置面との間に挟持される混合水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合水栓に関する。詳しくは、水栓本体と設置面との間で互いの給湯口同士と給水口同士とを個別に流路接続する一対の継手管を有する混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、混合水栓において、水栓本体の給湯口及び給水口と、設置面側の給湯口及び給水口と、を一対の継手管によって個別に接続する構成が知られている(特許文献1)。同特許文献1に開示の混合水栓では、一対の継手管が互いに異なる偏心量を持つクランク形状に形成されている。それにより、個々の継手管の偏心向きを切り換えることで、取り付け先の給湯口と給水口との間の寸法に合わせて、接続口間の寸法を様々に変化させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-86691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、各継手管の向きを変えることで、各々の接続口間の寸法を変えることはできる。しかし、例えば、水栓本体の側部に温調ハンドルや切換ハンドル等の操作ハンドルが設けられている場合、同操作ハンドルと側壁との間の間隔を広げるような調整は行えない。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、混合水栓の設置面に対する幅方向の取付位置を簡便に調整できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の混合水栓は次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明の混合水栓は、操作ハンドルが幅方向の側部に取り付けられた水栓本体と設置面との間で互いの給湯口同士と給水口同士とを個別に流路接続する一対の継手管を有する混合水栓である。一対の継手管が、水栓本体と設置面との対向方向にそれぞれに対する接続口を向けると共に、これら接続口同士が互いに偏心した配置関係となって幅方向に4つともが同一平面上に並ぶ形となって設けられるクランク形状を有する。混合水栓が、更に、一対の継手管のうちの一方を、水栓本体又は設置面に対して、対応する接続口を基軸にクランクの偏心方向を幅方向の一側に向けた第1の向き状態と幅方向の他側に向けた第2の向き状態とに回転による切り換えが可能な首振り構造を有し、一対の継手管のうちの他方は、一方の切り換えられた第1の向き状態又は第2の向き状態に対応する偏心形状を有するものが適宜選択的に適用されるものとされて、設置面に対する水栓本体の取付位置を第1の向き状態と第2の向き状態とに選択可能とされる。
【0007】
上記構成によれば、一対の継手管のうちの一方を第1の向き状態又は第2の向き状態に切り換えて、他方をその向き状態に対応する偏心形状を持つものにするという簡便な構成により、幅方向の側部に操作ハンドルが設けられた混合水栓の設置面に対する幅方向の取付位置を調整することができる。
【0008】
また、本発明の混合水栓は、更に次のように構成されていてもよい。混合水栓が、更に、一対の継手管の設置面に接続される側の管路部を幅方向に直線状に延びる長孔内に通した状態として一対の継手管と設置面との間に挟持されるガイド固定体を有する。ガイド固定体が、水栓本体との係合により水栓本体の設置面に対する移動を規制する規制係合部を有する。
【0009】
上記構成によれば、一対の継手管の設置面に接続される側の管路部により位置決めされた状態として固定されるガイド固定体により、水栓本体を設置面に対して適切な取付位置に固定することができる。
【0010】
また、本発明の混合水栓は、更に次のように構成されていてもよい。ガイド固定体が、水栓本体と設置面との間を延びる一対の継手管をひとまとめに取り囲む取り囲み部を更に有する。
【0011】
上記構成によれば、ガイド固定体の取り囲み部によって、水栓本体と設置面との間を延びる一対の継手管を見栄え良く安定した形で覆い隠すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の混合水栓の概略構成を表した斜視図である。
図2】混合水栓の分解斜視図である。
図3】混合水栓の組立斜視図である。
図4図1の正面図である。
図5図4の部分断面図である。
図6図4のVI-VI線断面図である。
図7】混合水栓を第1の向き状態として設置面に取り付ける状態を表した部分断面図である。
図8図7の状態に適合するもう一方の継手管をセットした状態を表した部分断面図である。
図9】混合水栓を第1の向き状態として設置面に取り付けた状態を表した部分断面図である。
図10】混合水栓を第2の向き状態として設置面に取り付ける状態を表した部分断面図である。
図11図10の状態に適合するもう一方の継手管をセットした状態を表した部分断面図である。
図12】混合水栓を第2の向き状態とした時の適宜選択されるもう一方の継手管の種類を表した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
《第1の実施形態》
始めに、本発明の第1の実施形態に係る混合水栓1の構成について、図1図12を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る混合水栓1は、浴槽の上縁面を成す天板B上に設置される、いわゆる台付きタイプの水栓金具として構成されている。上記混合水栓1は、天板Bの下側から供給される湯と水とを内部で混合して吐出することができる機能を備える。具体的には、混合水栓1は、上記供給される湯水の混合割合を調節する温調機能と、混合した湯水の吐水・止水を切り替える切替機能と、吐出する湯水の吐出量を調節する吐出量の調節機能と、を備える。
【0016】
上記温調機能は、水栓本体2の向かって左側の側部(幅方向Wの側部)に取り付けられた略円筒型の温調ハンドル20により操作されるようになっている。また、吐止水の切替機能と吐出量の調節機能は、水栓本体2の向かって右側の側部(幅方向Wの側部)に取り付けられた略円筒型の切替ハンドル30により操作されるようになっている。具体的には、使用者が温調ハンドル20を所望の回転位置に合わせることにより、水栓本体の内部で混合される湯水の混合割合が温調ハンドル20の回転位置に応じた設定温度となるように調節されるようになっている。
【0017】
また、使用者が切替ハンドル30を所定の止水位置(図示位置)から上向き又は下向きに回すことにより、その回転移動量に応じた量の湯水を水栓本体2の上部の第1の吐出口5又は第2の吐出口6から吐出できるようになっている。本実施形態では、切替ハンドル30を上記所定の止水位置から下向きに回すことにより、水栓本体2の天板面上に設けられた第1の吐出口5から湯水が吐出されるようになっている。また、切替ハンドル30を上記所定の止水位置から上向きに回すことにより、水栓本体2の上部裏側(後側)の面上に設けられた第2の吐出口6から湯水が吐出されるようになっている。
【0018】
第1の吐出口5には、不図示の吐水管(カラン)が取り付けられている。また、第2の吐出口6には、L字形のシャワーエルボ40及び不図示のシャワーホースを介して不図示のシャワーヘッドが取り付けられている。温調ハンドル20及び切替ハンドル30は、それぞれ、水栓本体2に対して、幅方向Wに延びる軸回りに回転操作が可能な状態に取り付けられている。ここで、上記水栓本体2の左側の側部に取り付けられた温調ハンドル20が、本発明の「操作ハンドル」に相当する。上記混合水栓1の左側には、浴室の横壁Sが幅方向Wに対向している。
【0019】
水栓本体2は、横長な略円筒形状に形成されている。上記水栓本体2は、図2に示すように、その底面に、不図示の給湯源から湯の供給を受ける丸孔状の給湯口3と、不図示の給水源から水の供給を受ける丸孔状の給水口4と、を幅方向Wに並んで有する。上記給湯口3には、クランク状に折り曲げられた偏心形状を持つ湯側継手管8の図示上側の接続口8Aが流路接続されている。具体的には、給湯口3に取り付けられた袋ナット3Aに湯側継手管8の上側の接続口8Aが螺着されることにより、同接続口8Aが給湯口3に流路接続されている。
【0020】
上記湯側継手管8は、そのクランク状に折れ曲がって図示下側の接続口8Bへと延びる管路部8Cが、天板B上の対応する位置に貫通して形成された丸孔状の湯側差込口B1に上側から差し込まれて天板Bに固定されている(図4図5参照)。そして、上記湯側継手管8は、その天板Bの湯側差込口B1を下側へ抜けた先の接続口8Bに、不図示の給湯源から延びる給湯管が流路接続されている。上記湯側継手管8の各接続口8A,8Bは、水栓本体2と天板Bとが対向する上下方向(対向方向L)に真っ直ぐ向けられている。
【0021】
ここで、上記湯側継手管8の管路部8Cが差し込まれる天板Bの湯側差込口B1は、不図示の給湯源から延びる給湯管の接続口である給湯口(本発明の「給湯口」に相当。)と同軸線上の位置にある構成とされる。したがって、同湯側差込口B1が、上記天板B側の不図示の給湯口と位置的には同じ意味合いを持つ構成となる。
【0022】
上記湯側継手管8は、詳しくは、図3に示すように、その図示下側の接続口8Bへと延びる管路部8Cが、水栓本体2を覆う樹脂製の本体カバー7に下側から装着される樹脂製のガイドカバー10の座板11に形成された長孔11Aに通された状態として、同長孔11Aから下側へ延び出す形に設けられている。より詳しくは、湯側継手管8は、図6に示すように、その管路部8Cの途中箇所に形成されたフランジ状に張り出す座部8Eが、上記ガイドカバー10の長孔11Aの周囲の座板11上に上側から当接された状態として、管路部8Cが長孔11Aに通された状態とされている。ここで、ガイドカバー10が本発明の「ガイド固定体」に相当する。
【0023】
上記構成の湯側継手管8は、図4図5に示すように、上記長孔11Aから下側へ延び出す管路部8Cが、天板Bの湯側差込口B1内に上側から差し込まれることにより、ガイドカバー10の座板11が天板B上の設置面Baに当接する位置にて、その差し込み方向の移動が規制された状態となる。上記状態では、湯側継手管8は、その座部8Eがガイドカバー10の座板11を天板Bとの間に挟み込む形にセットされる状態となる。
【0024】
したがって、次に、上記湯側継手管8の湯側差込口B1を下側に貫通した先の端部から、不図示の締結ナットを管路部8Cの外周壁に形成された雄ねじ8Dに螺合させて、同締結ナットを天板Bの裏面に締結される位置まで締め付ける。これにより、上記湯側継手管8の座部8Eと不図示の締結ナットとの間に天板Bとガイドカバー10の座板11とが一体的に押し挟まれた状態に締結される。以上により、湯側継手管8の図示下側へ延びる管路部8Cが、天板Bの湯側差込口B1に上側から差し込まれた状態として、天板Bに一体的に組み付けられる。
【0025】
また、図2に示すように、上記と同様に、給水口4には、クランク状に折り曲げられた偏心形状を持つ水側継手管9の図示上側の接続口9Aが流路接続されている。具体的には、給水口4に取り付けられた袋ナット4Aに水側継手管9の上側の接続口9Aが螺着されることにより、同接続口9Aが給水口4に流路接続されている。
【0026】
上記水側継手管9は、そのクランク状に折れ曲がって図示下側の接続口9Bへと延びる管路部9Cが、天板B上の対応する位置に貫通して形成された丸孔状の水側差込口B2に上側から差し込まれて天板Bに固定されている(図4図5参照)。そして、上記水側継手管9は、その天板Bの水側差込口B2を下側へ抜けた先の接続口9Bに、不図示の給水源から延びる給水管が流路接続されている。上記水側継手管9の各接続口9A,9Bは、水栓本体2と天板Bとが対向する上下方向(対向方向L)に真っ直ぐ向けられている。
【0027】
ここで、上記水側継手管9の管路部9Cが差し込まれる天板Bの水側差込口B2は、不図示の給水源から延びる給水管の接続口である給水口(本発明の「給水口」に相当。)と同軸線上の位置にある構成とされる。したがって、同水側差込口B2が、上記天板B側の不図示の給水口と位置的に同じ意味合いを持つ構成となる。
【0028】
上記水側継手管9は、詳しくは、図3に示すように、その図示下側の接続口9Bへと延びる管路部9Cが、上述した樹脂製のガイドカバー10の座板11に形成された長孔11Aに通された状態として、同長孔11Aから下側へ延び出す形に設けられている。より詳しくは、水側継手管9は、図6に示すように、その管路部9Cの途中箇所に形成されたフランジ状に張り出す座部9Eが、上記ガイドカバー10の長孔11Aの周囲の座板11上に上側から当接された状態として、管路部9Cが長孔11Aに通された状態とされている。
【0029】
上記構成の水側継手管9は、図4図5に示すように、上記長孔11Aから下側へ延び出す管路部9Cが、天板Bの水側差込口B2内に上側から差し込まれることにより、ガイドカバー10の座板11が天板B上の設置面Baに当接する位置にて、その差し込み方向の移動が規制された状態となる。上記状態では、水側継手管9は、その座部9Eがガイドカバー10の座板11を天板Bとの間に挟み込む形にセットされる状態となる。
【0030】
したがって、次に、上記水側継手管9の水側差込口B2を下側に貫通した先の端部から、不図示の締結ナットを管路部9Cの外周壁に形成された雄ねじ9Dに螺合させて、同締結ナットを天板Bの裏面に締結される位置まで締め付ける。これにより、上記水側継手管9の座部9Eと不図示の締結ナットとの間に天板Bとガイドカバー10の座板11とが一体的に押し挟まれた状態に締結される。以上により、水側継手管9の図示下側へ延びる管路部9Cが、天板Bの水側差込口B2に上側から差し込まれた状態として、天板Bに一体的に組み付けられる。
【0031】
そして、上記組み付けにより、ガイドカバー10が、その長孔11A内に通された湯側継手管8の管路部8Cと水側継手管9の管路部9Cとによって、天板B上の設置面Baに対する前後方向の移動が規制された状態に固定される。それにより、同ガイドカバー10の装着された水栓本体2を覆う本体カバー7も同じように固定され、水栓本体2が定位置に固定される。上記本体カバー7は、図2に示すように、水栓本体2の給湯口3や給水口4等の他部材と接続される箇所を除く略全域を覆う横長な箱形状に形成されている。上記本体カバー7は、水栓本体2に一体的に固定された状態に組み付けられている。
【0032】
更に、本体カバー7は、その前縁部位の幅方向Wの全域から垂下板状に張り出す張出板部7Aを有する形状とされる。ガイドカバー10は、本体カバー7に下側から嵌め込まれることにより本体カバー7と合致する、上向き開口の横長な箱形状に形成されている。具体的には、ガイドカバー10は、横長板状の座板11と、座板11の周縁から角筒状に立ち上がる取り囲み部12と、を有する上向き開口の横長な箱形状に形成されている。
【0033】
座板11には、幅方向Wに真っ直ぐ延びる形に貫通する長孔11Aが形成されている。上記長孔11Aは、その前後方向の孔幅が、湯側継手管8の管路部8C及び水側継手管9の管路部9Cの外径よりも僅かに大きいが、これらに形成されたフランジ状に張り出す座部8E,9Eの外径よりは小さくなっている。上記ガイドカバー10は、その長孔11A内に湯側継手管8の管路部8Cと水側継手管9の管路部9Cとを通して、その上側の開口を本体カバー7の張出板部7Aの裏側の底面上に押し込むようにセットすることにより、本体カバー7と一体感のある横長寸胴な略箱型形状を成す形に組み付けられる(図3参照)。
【0034】
具体的には、図2に示すように、ガイドカバー10には、その取り囲み部12の開口側の縁部の四隅箇所に、本体カバー7の底面上の対応する四隅箇所に形成された係合孔7B内に下側から押し込まれることで嵌合する突ピン状の規制係合部13が形成されている。したがって、上記各規制係合部13を対応する各係合孔7B内に嵌合させるようにガイドカバー10を本体カバー7に組み付けることで、ガイドカバー10が本体カバー7と一体的に組み付けられる(図3参照)。上記組み付けにより、水栓本体2から下側へ延びる湯側継手管8及び水側継手管9の管路の一部が、ガイドカバー10の取り囲み部12によって外部から見えないように全周囲に亘って見栄え良く被覆される。
【0035】
そして、上記組み付けにより、ガイドカバー10の長孔11A内に通された湯側継手管8の管路部8C及び水側継手管9の管路部9Cが、それぞれ、長孔11Aによる規制により回転止めされた状態に保持される。上記ガイドカバー10の長孔11Aは、図5に示すように、湯側継手管8及び水側継手管9を、それぞれ、幅方向Wに真っ直ぐ偏心させる向きに保持するように形成されている。すなわち、ガイドカバー10の長孔11Aは、水栓本体2の給湯口3及び給水口4と上下方向に対向する位置を通るように幅方向Wに真っ直ぐ延びる形に形成されている。
【0036】
上記ガイドカバー10の長孔11Aによる位置規制により、湯側継手管8は、水栓本体2に対して、その給湯口3に接続される上側の接続口8Aと、天板Bの湯側差込口B1に通される下側の接続口8Bと、が互いに幅方向Wに真っ直ぐ偏心する回転向きに保持されるようになっている。また、水側継手管9も、水栓本体2に対して、その給水口4に接続される上側の接続口9Aと、天板Bの水側差込口B2に通される下側の接続口9Bと、が互いに幅方向Wに真っ直ぐ偏心する回転向きに保持されるようになっている。それにより、湯側継手管8の各接続口8A,8B及び水側継手管9の各接続口9A,9Bの4つともが、互いに幅方向Wに延びる同一平面(鉛直平面)上に並んだ状態に保持されるようになっている。
【0037】
したがって、湯側継手管8と水側継手管9とが互いにハの字を成す形に角度を付けて組み付けられるような構成と比べて、混合水栓1全体としての前後方向の設置スペースを小さく抑えることができる。また、湯側継手管8と水側継手管9とを取り囲むガイドカバー10も、前後幅の嵩張らない形に形成することができる。
【0038】
上述した混合水栓1は、湯側継手管8と水側継手管9とが、それぞれ、天板Bの湯側差込口B1と水側差込口B2とに対する差し込み位置から、右側に偏心した回転向きの状態(第2の向き状態P2)とされて天板B上に設置されている。上記湯側継手管8と水側継手管9とは、本実施形態では、互いに同一の形状及び大きさを有する構成とされている。上記回転向きによる設置により、混合水栓1は、浴槽の左側の横壁Sから右側に幅寸法W2だけ広く離間された状態として天板B上に設置される。それにより、混合水栓1は、その向かって左側の側部に取り付けられた温調ハンドル20と左側の横壁Sとの間に広い操作スペースが確保されて、温調ハンドル20の操作を窮屈感なく快適に行えるようになっている。
【0039】
しかし、上記混合水栓1は、図7に示すように、湯側継手管8を、天板Bの湯側差込口B1に対する差し込み位置から左側に偏心した回転向きの状態(第1の向き状態P1)として、天板B上に設置することもできるようになっている。具体的には、先ず、上記のように湯側継手管8を第1の向き状態P1にセットする。次に、図8に示すように、その時の水栓本体2の給水口4と天板Bの水側差込口B2との偏心寸法に合う形を持つ水側継手管9を水栓本体2にセットする。これにより、図9に示すように、上記第1の向き状態P1とした湯側継手管8と水側継手管9とを、天板Bの湯側差込口B1と水側差込口B2とに差し込んで天板B上に組み付けることができる。ここで、湯側継手管8が本発明の「一対の継手管のうちの一方」に相当する。また、水側継手管9が本発明の「一対の継手管のうちの他方」に相当する。
【0040】
なお、本実施形態では、図5で前述したように、湯側継手管8と水側継手管9とが互いに同一の形状及び大きさを有する構成とされている。そのため、図8図9に示すように、湯側継手管8が第1の向き状態P1とされた時に適用される水側継手管9は、先の水側継手管9と同一のものが左右反対向きにセットされたものとなる。上記回転向きによる設置により、混合水栓1は、図9に示すように、浴槽の左側の横壁Sから右側に幅寸法W1だけ狭く離間された状態として天板B上に設置される。その場合には、混合水栓1は、その向かって左側の側部に取り付けられた温調ハンドル20と左側の横壁Sとの間の操作スペースが狭くなるため、温調ハンドル20の操作がしづらくなる。
【0041】
したがって、その場合には、図10に示すように、先の場合とは逆に、先ず、湯側継手管8を、天板Bの湯側差込口B1に対する差し込み位置から右側に偏心した回転向きの状態(第2の向き状態P2)にセットする。次に、図11に示すように、その時の水栓本体2の給水口4と天板Bの水側差込口B2との偏心寸法に合う形を持つ水側継手管9(先と同じもの)を水栓本体2にセットする。これにより、図5に示すように、上記第2の向き状態P2とした湯側継手管8と水側継手管9とを、天板Bの湯側差込口B1と水側差込口B2とに差し込んで天板Bに組み付けることができる。
【0042】
なお、上記湯側継手管8を第2の向き状態P2とした時に適用される水側継手管9は、先述もしたように、その時の水栓本体2の給水口4と天板Bの水側差込口B2との偏心寸法に合う形を持つものが適宜選択的に適用されるものである。したがって、図12に示すように、同混合水栓1の設置される場所の給水口4と水側差込口B2との偏心寸法に合わせて、対応する形を持つ水側継手管9、9'、9"を適宜選択してセットすればよい。
【0043】
上記のような混合水栓1の幅方向Wの組み付け位置の切り換えは、上述したように、湯側継手管8を基軸として湯側継手管8の偏心方向の向きを左右に変えて、水側継手管9、9'、9"をその時の形の合うものに交換しても良い。しかし、水側継手管9を基軸として水側継手管9の偏心方向の向きを左右に変えて、湯側継手管(8)をその時の形の合うものに交換するようにしても良い。上記混合水栓1の幅方向Wの組み付け位置は、混合水栓1の設置場所の制約や使用目的に応じて、第1の向き状態P1で設置するか第2の向き状態P2で設置するかを組み付け施工時に適宜自由に選択すればよい。
【0044】
以上をまとめると、第1の実施形態に係る混合水栓1は次のような構成となっている。すなわち、操作ハンドル(20)が幅方向(W)の側部に取り付けられた水栓本体(2)と設置面(Ba)との間で互いの給湯口(3,B1)同士と給水口(4,B2)同士とを個別に流路接続する一対の継手管(8,9)を有する混合水栓(1)である。一対の継手管(8,9)が、水栓本体(2)と設置面(Ba)との対向方向(L)にそれぞれに対する接続口(8A,8B,9A,9B)を向けると共に、これら接続口(8A,8B,9A,9B)同士が互いに偏心した配置関係となって幅方向(W)に4つともが同一平面上に並ぶ形となって設けられるクランク形状を有する。
【0045】
混合水栓(1)が、更に、一対の継手管(8,9)のうちの一方(8)を、水栓本体(2)又は設置面(Ba)に対して、対応する接続口(8A)を基軸にクランクの偏心方向を幅方向(W)の一側に向けた第1の向き状態(P1)と幅方向(W)の他側に向けた第2の向き状態(P2)とに回転による切り換えが可能な首振り構造を有し、一対の継手管(8,9)のうちの他方(9)は、一方(8)の切り換えられた第1の向き状態(P1)又は第2の向き状態(P2)に対応する偏心形状を有するものが適宜選択的に適用されるものとされて、設置面(Ba)に対する水栓本体(2)の取付位置を第1の向き状態(P1)と第2の向き状態(P2)とに選択可能とされる。
【0046】
上記構成によれば、一対の継手管(8,9)のうちの一方(8)を第1の向き状態(P1)又は第2の向き状態(P2)に切り換えて、他方(9)をその向き状態に対応する偏心形状を持つものにするという簡便な構成により、幅方向(W)の側部に操作ハンドル(20)が設けられた混合水栓(1)の設置面(Ba)に対する幅方向(W)の取付位置を調整することができる。
【0047】
また、混合水栓(1)が、更に、一対の継手管(8,9)の設置面(Ba)に接続される側の管路部(8C,9C)を幅方向(W)に直線状に延びる長孔(11A)内に通した状態として一対の継手管(8,9)と設置面(Ba)との間に挟持されるガイド固定体(10)を有する。ガイド固定体(10)が、水栓本体(2)との係合により水栓本体(2)の設置面(Ba)に対する移動を規制する規制係合部(13)を有する。上記構成によれば、一対の継手管(8,9)の設置面(Ba)に接続される側の管路部(8C,9C)により位置決めされた状態として固定されるガイド固定体(10)により、水栓本体(2)を設置面(Ba)に対して適切な取付位置に固定することができる。
【0048】
また、ガイド固定体(10)が、水栓本体(2)と設置面(Ba)との間を延びる一対の継手管(8,9)をひとまとめに取り囲む取り囲み部(12)を更に有する。上記構成によれば、ガイド固定体(10)の取り囲み部(12)によって、水栓本体(2)と設置面(Ba)との間を延びる一対の継手管(8,9)を見栄え良く安定した形で覆い隠すことができる。
【0049】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0050】
1.本発明の混合水栓は、浴槽の上縁面等の天板上に設置されるいわゆる台付きタイプの他、浴室やキッチンの壁に設置される壁付きタイプにも適用可能である。
【0051】
2.水栓本体の幅方向の側部に取り付けられる操作ハンドルは、温調ハンドルの他、切替ハンドルであってもよい。また、その他の機能を操作する目的で設けられる操作ハンドルであってもよい。
【0052】
3.ガイド固定部は、水栓本体との係合により水栓本体の設置面に対する移動を規制する構成を備えるものであれば良く、必ずしも一対の継手管をひとまとめに取り囲む取り囲み部を有した構成でなくても良い。ガイド固定部は、水栓本体に直接当接して水栓本体の移動を規制するものでも良いが、上記実施形態で示したように、本体カバーとの嵌合を介して水栓本体の移動を間接的に規制するものであっても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 混合水栓
2 水栓本体
3 給湯口
3A 袋ナット
4 給水口
4A 袋ナット
5 第1の吐出口
6 第2の吐出口
7 本体カバー
7A 張出板部
7B 係合孔
8 湯側継手管(一対の継手管のうちの一方)
8A 接続口
8B 接続口
8C 管路部
8D 雄ねじ
8E 座部
9 水側継手管(一対の継手管のうちの他方)
9A 接続口
9B 接続口
9C 管路部
9D 雄ねじ
9E 座部
9' 水側継手管
9" 水側継手管
10 ガイドカバー(ガイド固定体)
11 座板
11A 長孔
12 取り囲み部
13 規制係合部
20 温調ハンドル(操作ハンドル)
30 切替ハンドル
40 シャワーエルボ
B 天板
Ba 設置面
B1 湯側差込口(給湯口)
B2 水側差込口(給水口)
L 対向方向
W 幅方向
W1 幅寸法
W2 幅寸法
S 横壁
P1 第1の向き状態
P2 第2の向き状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12