(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】センサ装置及び入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 19/14 20060101AFI20220927BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20220927BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220927BHJP
H01H 25/06 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
H01H19/14
G06F3/0362 461
G06F3/044 120
H01H25/06 D
(21)【出願番号】P 2018197677
(22)【出願日】2018-10-19
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】西本 拓也
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0256090(US,A1)
【文献】国際公開第2015/174092(WO,A1)
【文献】特許第6342105(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00-21/88
G06F 3/0362
G06F 3/044
H01H 25/00-25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量型のタッチパネルと、
前記タッチパネルに装着される入力装置と、を備え、
前記入力装置は、
回転軸を中心として回転自在に設けられたノブと、
前記ノブに保持され、前記回転軸を中心とした円周上の一部で前記タッチパネルに
接触している第1導体と、
前記ノブに保持され、前記第1導体から離間した第2導体と、
を備え
、
前記第2導体は、前記ノブが押圧されるのに伴って前記タッチパネルに接触し、
前記第1導体及び前記第2導体のうちの一方の導体は、前記円周に沿って延出し、前記円周の一部に切欠を有するC字状に形成され、
前記第1導体及び前記第2導体のうちの他方の導体は、前記切欠に位置している、センサ装置。
【請求項2】
前記タッチパネルは、複数の駆動電極と、前記駆動電極と交差する複数の検出電極と、を備え、
前記第1導体と前記第2導体との前記円周に沿った間隔は、隣接する前記検出電極のピッチ以上であり、前記円周の1/2以下である、請求項
1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記タッチパネルは、複数の駆動電極と、前記駆動電極と交差する複数の検出電極と、を備え、
前記他方の導体の前記円周に沿った幅は、前記駆動電極の幅の1倍以上、2倍以下である、請求項
1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
さらに、センサコントローラを備え、
前記センサコントローラは、前記駆動電極に対して駆動信号を送信し、前記検出電極からのセンサ信号を受信し、前記ノブの回転情報及び前記ノブの押圧情報を検出する、請求項
2または
3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
静電容量式のタッチパネルに装着される入力装置であって、
回転軸を中心として回転自在に設けられたノブと、
前記ノブに保持され、前記回転軸を中心とした円周上の一部で前記タッチパネルに接触している第1導体と、
前記ノブに保持され、前記第1導体から離間した第2導体と、
を備え
、
前記第1導体及び前記第2導体は、同一の円周上に位置し、
前記第2導体は、前記ノブが押圧されるのに伴って前記タッチパネルに接触し、
前記第1導体及び前記第2導体のうちの一方の導体は、前記円周に沿って延出し、前記円周の一部に切欠を有するC字状に形成され、
前記第1導体及び前記第2導体のうちの他方の導体は、前記切欠に位置している、入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサ装置及び入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置のインターフェイス等として、指などの物体の接触あるいは接近を検出するセンサが実用化されている。一例として、表示装置に対して着脱可能な入力装置が開示されている。この入力装置は、静止部に対して回転移動する操作入力部の回転操作を、機械的、光学的、あるいは、磁気的に検知するものである。検知信号は、無線通信により表示装置に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、操作性を向上することが可能なセンサ装置及び入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、
静電容量型のタッチパネルと、前記タッチパネルに装着される入力装置と、を備え、前記入力装置は、回転軸を中心として回転自在に設けられたノブと、前記ノブに保持され、前記回転軸を中心とした円周上の一部で前記タッチパネルに接触している第1導体と、を備えた、センサ装置が提供される。
一実施形態によれば、
静電容量式のタッチパネルに装着される入力装置であって、回転軸を中心として回転自在に設けられたノブと、前記ノブに保持され、前記回転軸を中心とした円周上の一部で前記タッチパネルに接触している第1導体と、を備えた、入力装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるセンサ装置1の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したセンサ装置1の主要部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ノブ210の回転情報を検出する原理を説明するための図である。
【
図4】
図4は、入力装置200の第1構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、入力装置200の第2構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、電源投入直後の初期状態を説明するための図である。
【
図7】
図7は、初期状態に対して導体220が45°回転した状態を説明するための図である。
【
図8】
図8は、初期状態に対して導体220が90°回転した状態を説明するための図である。
【
図9】
図9は、電源投入直後の初期状態を説明するための図である。
【
図10】
図10は、初期状態に対して導体220が45°回転した状態を説明するための図である。
【
図11】
図11は、初期状態に対して導体220が90°回転した状態を説明するための図である。
【
図12】
図12は、入力装置200の第3構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、入力装置200の第4構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、入力装置200における第1導体221及び第2導体222の寸法例を説明するための図である。
【
図15】
図15は、センサ装置1を搭載した表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態におけるセンサ装置1の一構成例を示す図である。センサ装置1は、タッチパネル100と、入力装置200と、センサコントローラ300と、を備えている。タッチパネル100は、例えば、静電容量型のタッチパネルである。ここでは、相互容量方式のタッチパネル100について説明する。
タッチパネル100は、駆動電極Tx及び検出電極Rxを備えている。複数の駆動電極Txは、一方向に間隔をおいて並んでいる。複数の検出電極Rxは、間隔をおいて並び、駆動電極Txと交差するように配置されている。駆動電極Tx及び検出電極Rxが互いに交差する領域SAは、物体のタッチパネル100への接触または接近を検出する検出領域に相当する。
センサコントローラ300は、タッチパネル100を制御する。すなわち、センサコントローラ300は、駆動電極Txに対して駆動信号Stxを送信する。これにより、駆動電極Txは、検出電極Rxとの間で容量を発生させる。検出電極Rxは、駆動電極Txへの駆動信号Stxの供給に伴って、センシングに必要なセンサ信号(つまり、駆動電極Txと検出電極Rxとの間の容量の変化に基づいた信号)Srxを出力する。センサコントローラ300は、各検出電極Rxからのセンサ信号Srxを受信し、タッチパネル100に接触あるいは接近する物体の有無を検出し、また、物体の位置座標などを検出する。
【0009】
入力装置200は、タッチパネル100の検出領域SAに装着されている。入力装置200の詳細については後述するが、入力装置200は、回転自在に設けられたノブ210と、ノブ210に保持された導体220と、を備えている。導体220は、タッチパネル100に対向し接触している。尚、導体220はタッチパネル100に対向し接触せず近接して配置されていても良い。
センサコントローラ300は、駆動電極Txに対して駆動信号を送信し、各検出電極Rxからのセンサ信号を受信し、ノブ210の回転情報及びノブ210の押圧情報を検出する。回転情報とは、ノブ210の回転角度、導体220の位置座標などを含んでいる。押圧情報とは、ノブ210の押圧操作の有無、押圧された際の導体220の位置座標などを含んでいる。センサコントローラ300は、回転情報及び押圧情報をホスト側に送信する。
【0010】
なお、上記したタッチパネル100は、相互容量方式に限らず、自己容量方式であってもよい。
【0011】
図2は、
図1に示したセンサ装置1の主要部を示す断面図である。タッチパネル100において、誘電体層Deは、駆動電極Txと検出電極Rxとの間に位置している。カバー部材CVは、検出電極Rxをカバーしている。カバー部材CVの表面CVaは、ユーザと向かい合う面であり、ユーザまたは物体がタッチ可能な面である。入力装置200は、表面CVaに設けられている。検出電極Rxは、駆動電極Txと入力装置200との間に位置している。
【0012】
入力装置200において、固定体230は、表面CVaに接着されるなどしてタッチパネル100に固定されている。ノブ210は、固定体230に対して回転自在に設けられている。ノブ210は、表面CVaから離間している。図示した例では、ノブ210及び固定体230は、回転軸Oに沿って延びた筒状に形成されている。なお、回転軸Oは、例えば表面CVaに直交している。ノブ210及び固定体230は、絶縁材料によって形成されている。導体220は、固定体230よりも外側に位置し、ノブ210に保持されている。導体220の先端は、表面CVaに接している。上記の導体220がタッチパネル100に接触した状態とは、ここでは、導体220がタッチパネル100のカバー部材CVに接触している状態に相当する。
【0013】
図3は、ノブ210の回転情報を検出する原理を説明するための図である。
図3の(A)は電源投入直後の初期状態を説明するための図であり、
図3の(B)はノブ210を回転させた後の状態を説明するための図である。
【0014】
図中に点線で示すベースライン(Baseline)は、電源投入直後の駆動電極Txと検出電極Rxとの相互容量に相当する基準データである。
図中に実線で示すローデータ(RawData)は、毎フレーム更新される駆動電極Txと検出電極Rxとの相互容量に相当するデータである。
図中のデルタ(Delta)は、差分値〔(ベースライン)-(ローデータ)〕に相当するデータである。
【0015】
図3の(A)に示すように、初期状態では、導体220は、位置P0でタッチパネル100に接している。位置P0のローデータの値は、導体220が置かれていない位置P1のローデータの値より小さい。導体220が置かれていない他の位置のローデータの値は、すべて同レベルである。このような初期状態では、ローデータは、ベースラインと一致する。このため、デルタは、導体220の位置にかかわらず、全域においてゼロである。
【0016】
図3の(B)に示すように、ノブ210を回転させた状態では、導体220は、位置P2でタッチパネル100に接し、位置P0から除去される。このような状態であっても、ベースラインは、初期状態と変わらない。位置P0のローデータの値は、導体220が除去されたのに伴って初期状態よりも増加し、導体220が置かれていない位置P1のローデータの値と同レベルとなる。このため、位置P0のデルタは、負のシグナルとなる。
位置P2のローデータの値は、導体220の接触により、初期状態よりも低下し、導体220が置かれていない位置P1のローデータの値より小さくなる。このため、位置P2のデルタは、正のシグナルとなる。
図1に示したセンサコントローラ300は、検出領域SA全域の位置にわたり、
図3を参照して説明したシグナルの解析を行うことにより、ノブ210の回転情報を検出することができる。
【0017】
本実施形態の入力装置200によれば、音量調整やアイコン選択などの回転を伴う操作を容易に行うことができ、平坦なタッチパネルで回転を伴う操作を行う場合と比較して、操作性を向上することができる。また、入力装置200は、電源が不要であり、また、配線も不要であるため、容易に設置することができる。さらに、入力装置200の設置場所を自由に選択することができるとともに、タッチパネル側でのアイコンの位置を自由に設定することができる。
【0018】
図4は、入力装置200の第1構成例を示す図である。ノブ210と重畳する位置において、回転軸Oを中心とした円周Cを一点鎖線で示している。
導体220は、円周C上の一部に位置している。本実施形態では、導体220は、非環状に形成されており、円周C上には導体が存在しない無効領域NAが形成されている。図示した例では、導体220は、点状に形成されている。円周C上において、導体220の円周Cに沿った長さは、無効領域NAの円周Cに沿った長さより短い。
図2を参照して説明したように、導体220はタッチパネル100に接触している一方で、無効領域NAはタッチパネル100から離間している。
ノブ210が回転軸Oを中心として図中の矢印Aに沿って回転された場合、導体220は、円周C上を移動する。導体220はノブ210に保持されているため、導体220の回転角はノブ210の回転角と等しい。
【0019】
図5は、入力装置200の第2構成例を示す図である。
図5に示した第2構成例は、
図4に示した第1構成例と比較して、導体220がC字状に形成された点で相違している。すなわち、導体220は、円周Cに沿って延出し、円周C上の一部に切欠NTを有している。円周C上において切欠NTに重畳する領域は、無効領域NAに相当する。導体220の円周Cに沿った長さは、円周Cの1/2より長い。つまり、円周C上において、導体220の円周Cに沿った長さは、無効領域NAの円周Cに沿った長さより長い。あるいは、中心Oと導体220の一端とを結ぶ線を基準線とし、その角度を0°とすると、導体220に沿った側の、中心Oと導体220の他端とを結ぶ線と基準線との角度は180°よりも大きい。このような第2構成例の導体220も、
図2に示したように、タッチパネル100に対向し接触している。
【0020】
次に、入力装置200の第1構成例における回転情報の検出例について
図6乃至
図8を参照しながら説明する。
【0021】
図6は、電源投入直後の初期状態を説明するための図である。
図6の(A)は、入力装置200の導体220がタッチパネル100に接触している状態を示す図である。ここでは、タッチパネル100は、駆動電極Tx1~Tx11と、検出電極Rx1~Rx11と、を備えている。図中の環状の領域MAは、導体220が移動可能な領域に相当する。図示した初期状態では、導体220は、駆動電極Tx6と検出電極Rx10との交差部に重畳している。
【0022】
図6の(B)は、駆動電極Tx6に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。検出電極Rx10におけるベースライン及びローデータのそれぞれの値は、他の検出電極におけるベースライン及びローデータのそれぞれの値より小さい。検出電極Rx1~Rx11のすべてにおいて、ローデータはベースラインと一致するため、デルタはゼロである。
【0023】
図6の(C)は、駆動電極Tx9に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。導体220は、駆動電極Tx9に重畳する位置に存在しないため、検出電極Rx1~Rx11のすべてにおいて、ベースライン及びローデータのそれぞれの値は同レベルであり、デルタはゼロである。
【0024】
図7は、初期状態に対して導体220が45°回転した状態を説明するための図である。
図7の(A)に示すように、導体220は、駆動電極Tx9と検出電極Rx9との交差部に重畳している。導体220は、駆動電極Tx6と検出電極Rx10との交差部には存在しない。
図7の(B)は、駆動電極Tx6に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。検出電極Rx10におけるローデータの値は、導体220が除去されたのに伴い、他の検出電極におけるローデータの値と同レベルとなる。このため、検出電極Rx10におけるデルタは、負のシグナルとなる。
図7の(C)は、駆動電極Tx9に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。検出電極Rx9におけるローデータの値は、導体220が重畳するのに伴い、他の検出電極におけるローデータの値より小さくなる。このため、検出電極Rx9におけるデルタは、正のシグナルとなる。
【0025】
図8は、初期状態に対して導体220が90°回転した状態を説明するための図である。
図8の(A)に示すように、導体220は、駆動電極Tx10と検出電極Rx6との交差部に重畳している。
図8の(B)に示すように、駆動電極Tx6に駆動信号を送信した際、
図7の(B)に示した例と同様に、検出電極Rx10におけるデルタは、負のシグナルとなる。
図8の(C)は、駆動電極Tx10に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。検出電極Rx6におけるローデータの値は、導体220が重畳するのに伴い、他の検出電極におけるローデータの値より小さくなる。このため、検出電極Rx6におけるデルタは、正のシグナルとなる。
【0026】
このような第1構成例によれば、デルタを解析することにより、入力装置200の回転情報を検出することができる。
【0027】
次に、入力装置200の第2構成例における回転情報の検出例について
図9乃至
図11を参照しながら説明する。
【0028】
図9は、電源投入直後の初期状態を説明するための図である。
図9の(A)は、入力装置200の導体220がタッチパネル100に接触している状態を示す図である。図示した初期状態では、導体220の切欠NTは、駆動電極Tx6と検出電極Rx10との交差部に重畳している。
【0029】
図9の(B)は、駆動電極Tx6に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。導体220は、駆動電極Tx6と検出電極Rx2との交差部に重畳している。このため、検出電極Rx2におけるベースライン及びローデータのそれぞれの値は、他の検出電極におけるベースライン及びローデータのそれぞれの値より小さい。検出電極Rx1~Rx11のすべてにおいて、ベースライン及びローデータのそれぞれの値は同レベルであり、デルタはゼロである。
【0030】
図9の(C)は、駆動電極Tx9に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。導体220は、駆動電極Tx9と検出電極Rx3との交差部、及び、駆動電極Tx9と検出電極Rx9との交差部にそれぞれ重畳している。このため、検出電極Rx3及びRx9におけるベースライン及びローデータのそれぞれの値は、他の検出電極におけるベースライン及びローデータのそれぞれの値より小さい。検出電極Rx1~Rx11のすべてにおいて、ベースライン及びローデータのそれぞれの値は同レベルであり、デルタはゼロである。
【0031】
図10は、初期状態に対して導体220が45°回転した状態を説明するための図である。
図10の(A)に示すように、切欠NTは、駆動電極Tx9と検出電極Rx9との交差部に重畳している。
図10の(B)は、駆動電極Tx6に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。導体220は、駆動電極Tx6と検出電極Rx2との交差部、及び、駆動電極Tx6と検出電極Rx10との交差部にそれぞれ重畳している。検出電極Rx10におけるローデータの値は、検出電極Rx2におけるローデータの値と同様に、他の検出電極におけるローデータの値より小さくなる。このため、検出電極Rx10におけるデルタは、正のシグナルとなる。
図10の(C)は、駆動電極Tx9に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。導体220は、駆動電極Tx9と検出電極Rx3との交差部に重畳している。検出電極Rx9におけるローデータの値は、切欠NTが重畳するのに伴い、他の検出電極におけるローデータの値と同レベルとなる。このため、検出電極Rx9におけるデルタは、負のシグナルとなる。
【0032】
図11は、初期状態に対して導体220が90°回転した状態を説明するための図である。
図11の(A)に示すように、切欠NTは、駆動電極Tx10と検出電極Rx6との交差部に重畳している。
図11の(B)に示すように、駆動電極Tx6に駆動信号を送信した際、
図10の(B)に示した例と同様に、検出電極Rx10におけるデルタは、正のシグナルとなる。
図11の(C)は、駆動電極Tx10に駆動信号を送信した際のベースライン、ローデータ、及び、デルタをそれぞれ示している。ここに示すベースラインは、
図9の(A)に示した初期状態において、導体220が駆動電極Tx10と検出電極Rx4~Rx8との交差部にそれぞれ重畳していたことに依存して得られたデータである。
図11の(C)に示す状態では、導体220は、駆動電極Tx10と検出電極Rx4及びRx5との交差部、及び、駆動電極Tx10と検出電極Rx7及びRx8との交差部にそれぞれ重畳している。検出電極Rx6におけるローデータの値は、切欠NTが重畳するのに伴い、他の検出電極におけるローデータの値と同レベルとなる。このため、検出電極Rx6におけるデルタは、負のシグナルとなる。
【0033】
このような第2構成例によれば、デルタを解析することにより、入力装置200の回転情報を検出することができる。
【0034】
図12は、入力装置200の第3構成例を示す図である。
図12の(A)は、入力装置200の平面図である。
図12の(B)は、
図12の(A)に示す入力装置200をA-B線に沿って切断したセンサ装置1の断面図である。
【0035】
図12の(A)に示すように、入力装置200は、円周C上に位置する第1導体221及び第2導体222を備えている。第1導体221及び第2導体222は、いずれもノブ210に保持されている。また、第1導体221及び第2導体222は、互いに離間している。第1導体221及び第2導体222は、互いに電気的に絶縁されていることが望ましい。第1導体221は、
図4に示した第1構成例と同様に、円周C上において点状に形成され、タッチパネル100に接触している。第2導体222は、
図5に示した第2構成例と同様に、C字状に形成されているが、タッチパネル100から離間している。第1導体221は、第2導体222の切欠NTに位置している。
【0036】
図12の(B)に示すように、回転軸Oに沿って、ノブ210と第1導体221との間、及び、ノブ210と固定体230との間には、ばね241及び242がそれぞれ配置されている。ばね242は、保持板251及び252の間に保持されている。保持板251及び252がノブ210に固定されている場合には、ノブ210が回転された際に、保持板252が固定体230に接触しながら回転する。あるいは、保持板251及び252が固定体230に固定されている場合には、ノブ210は、保持板251に接触しながら回転する。
ばね241及び242は、ノブ210がタッチパネル100に向かって押圧されるのに伴って圧縮される。第2導体222は、ノブ210が押圧されるのに伴ってタッチパネル100に接触する。また、ばね241及び242はノブ210が解放されると伸長し、第2導体222はタッチパネル100から離間する。
【0037】
第1導体221は、ノブ210の押圧の有無にかかわらず、タッチパネル100に接触しており、上記の導体220の如く、入力装置200の回転情報を検出するための物体に相当する。第2導体222は、ノブ210が押圧されたときにタッチパネル100に接触するものであり、入力装置200の押圧を検出するための物体に相当する。
【0038】
図13は、入力装置200の第4構成例を示す図である。
図13の(A)は、入力装置200の平面図である。
図13の(B)は、
図13の(A)に示す入力装置200をA-B線に沿って切断したセンサ装置1の断面図である。
図13に示した第4構成例は、
図12に示した第3構成例と比較して、第1導体221がC字状に形成され、第2導体222が点状に形成された点で相違している。
【0039】
このような第3構成例及び第4構成例によれば、入力装置200の回転情報及び押圧情報を検出することができる。
【0040】
図14は、入力装置200における第1導体221及び第2導体222の寸法例を説明するための図である。ここでは、第1導体221が点状に形成され且つ第2導体222がC字状に形成された第3構成例に基づいて説明する。なお、以下に説明する寸法例は、第4構成例においても適用可能である。
第1導体221と第2導体222との円周Cに沿った間隔W1は、隣接する検出電極Rxの間隔Prと同等以上であり、円周Cの1/2以下である。一例では、
図1に示した検出電極Rxの幅Wrは、0.1mm以上であり、センサピッチPより小さい。ここでのセンサピッチPとは、
図1において、隣接する検出電極Rxのピッチに相当する。この場合、検出電極Rxの間隔Prは、(P-Wr)で規定される。
第1導体221の円周Cに沿った幅W2は、駆動電極Txの幅Wtの1倍以上、2倍以下である。一例では、
図1に示した駆動電極Txの幅Wtは5mm~10mmであり、幅W2は5mm~20mmである。
【0041】
図15は、センサ装置1を搭載した表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネルPNL及び照明装置ILを備えている。一例では、表示パネルPNLは、例えば、液晶表示パネルであり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シールSEによって接着されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持されている。なお、表示パネルPNLは、表示素子として、有機エレクトロルミネッセンス素子、電気泳動素子等を備えた表示パネルであってもよい。
【0042】
表示パネルPNLは、センサ装置1のタッチパネル100を内蔵している。すなわち、第1基板SUB1は、タッチパネル100の駆動電極Txと、画素電極PEとを備えている。1つの駆動電極Txは、複数の画素電極PEと対向している。第2基板SUB2は、タッチパネル100の検出電極Rxを備えている。駆動電極Tx及び検出電極Rxは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面において互いに交差するように配置されている。一例では、複数の駆動電極Txは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並び、各々の駆動電極Txは、第2方向Yに延出している。また、複数の検出電極Rxは、第2方向Yに沿って間隔をおいて並び、各々の検出電極Rxは、第1方向Xに延出している。詳述しないが、第2基板SUB2の絶縁基板や有機絶縁膜、及び、液晶層LCは、タッチパネル100の誘電体層Deに相当する。
【0043】
偏光板PL1を含む光学素子OD1は、第1基板SUB1と照明装置ILとの間に位置し、第1基板SUB1に接着されている。偏光板PL2を含む光学素子OD2は、第2基板SUB2とカバー部材CVとの間に位置し、第2基板SUB2に接着されている。カバー部材CVは、透明な接着剤ADにより光学素子OD2に接着されている。
【0044】
入力装置200は、カバー部材CVの表面CVaに設けられている。導体220は、表面CVaに接している。ノブ210は、回転軸Oに沿って延出した筒状に形成されている。このため、入力装置200の外側の領域のみならず、ノブ210によって囲まれた内側の領域において、表示パネルPNLに表示された画像を視認することができる。
なお、
図15に示した構成例は、タッチパネル100が表示パネルPNLに内蔵されたいわゆるインセル型を示す構成例に相当するが、タッチパネル100は、表示パネルPNLと重畳するように設けられるアウトセル型あるいはオンセル型であってもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作性を向上することが可能なセンサ装置及び入力装置を提供することができる。
【0046】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…センサ装置
100…タッチパネル Tx…駆動電極 Rx…検出電極 De…誘電体層
200…入力装置 210…ノブ 220…導体 221…第1導体 222…第2導体 230…固定体 O…回転軸 C…円周 NA…無効領域 NT…切欠
300…センサコントローラ
CV…カバー部材