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特許7146570工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造
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  • 特許-工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造 図1
  • 特許-工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造 図2
  • 特許-工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造 図3
  • 特許-工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造 図4
  • 特許-工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20220927BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20220927BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B23K26/70
B23Q17/24 Z
B23Q11/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018201111
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020066032
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】中務 芳雄
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073636(JP,A)
【文献】特開平07-016768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0277736(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0312970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/70
B23Q 17/24
B23Q 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のカバーに設けた保護窓に、テスト光の発光部を有する動作確認テスタを設けたレーザ光検知センサを取り付けるための構造であって、
前記保護窓と前記レーザ光検知センサとの間にスペーサを介在させると共に、前記スペーサの内部に、当該介在状態で前記動作確認テスタの前記発光部からのテスト光が前記レーザ光検知センサの受光部に到達可能な伝播空間を形成していることを特徴とする工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造。
【請求項2】
前記スペーサは、前記介在状態で前記発光部と前記受光部とを囲んで前記伝播空間を形成する枠体であることを特徴とする請求項1に記載の工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造。
【請求項3】
前記スペーサの内側には、前記保護窓へ前記レーザ光検知センサを取り付けるためのボルトの貫通部が複数形成され、前記発光部は前記ボルトに代えて何れかの前記貫通部に合わせて配置されることを特徴とする請求項2に記載の工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工が可能な工作機械において、カバーに設けられる保護窓にレーザ光検知センサを取り付ける構造関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工ユニット等を備えて金属積層や焼入れ等のレーザ加工が可能な工作機械(例えば特許文献1参照)では、工作機械からのレーザ光の漏洩を検知するレーザ光検知センサが設けられる。このレーザ光検知センサの取付構造の一例を図3に示す。ここでは所定の空間を隔てた2枚の板金31A,31Bからなるカバー30の外側に、レーザ光検知センサ1をボルト3で固定し、レーザ光検知センサ1の中央に設けた受光部2を外側の板金31Bを貫通させて空間内に突出させている。
このレーザ光検知センサ1には、正常に動作しているか否かを確認するために、動作確認テスタ10が設けられている。この動作確認テスタ10は、レーザ光検知センサ1を外側から貫通して保持されて、テスト光の発光部11を外側の板金31B越しにカバー30内の空間に臨ませた状態で取り付けられる。よって、図示しないテストボタンの操作により発光部11から照射されたテスト光Lは、矢印に示すようにカバー30内で反射を繰り返し、その反射光L’が受光部2に到達するため、レーザ光検知センサ1の動作確認を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-79540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、図4に示すように、レーザ光検知センサ1が、半透明のアクリル板等からなる前後2枚の保護層21A,21Bと、両保護層21A,21B間に挟まれて透明なアクリル板等からなる中間層22とからなる3層構造の保護窓20にボルト3で取り付けられる場合、ここでは受光部2の位置を内側の保護層21Aに合わせるために、外側の保護層21Bとレーザ光検知センサ1との間に板状のスペーサ4が介在され、内側の保護層21Aの内側には、ボルト3をねじ込むための取付板5が設けられる。
この取付構造の場合、図5に示すようにボルト3の位置に動作確認テスタ10を取り付けても、保護窓20内には発光部11からのテスト光Lが反射して受光部2まで伝播する空間がないため、レーザ光検知センサ1の動作確認を行うことができなくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、内部にテスト光の伝播空間がない保護窓であっても動作確認テスタを取り付けてレーザ光検知センサの動作確認を行うことができる工作機械における保護窓へのレーザ光検知センサの取付構造提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、工作機械のカバーに設けた保護窓に、テスト光の発光部を有する動作確認テスタを設けたレーザ光検知センサを取り付けるための構造であって、
前記保護窓と前記レーザ光検知センサとの間にスペーサを介在させると共に、前記スペーサの内部に、当該介在状態で前記動作確認テスタの前記発光部からのテスト光が前記レーザ光検知センサの受光部に到達可能な伝播空間を形成していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、前記スペーサは、前記介在状態で前記発光部と前記受光部とを囲んで前記伝播空間を形成する枠体であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、前記スペーサの内側には、前記保護窓へ前記レーザ光検知センサを取り付けるためのボルトの貫通部が複数形成され、前記発光部は前記ボルトに代えて何れかの前記貫通部に合わせて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動作確認テスタの発光部からのテスト光がレーザ光検知センサの受光部に到達可能な伝播空間を内部に形成するスペーサの採用により、内部にテスト光の伝播空間がない保護窓であっても動作確認テスタを取り付けてレーザ光検知センサの動作確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】保護窓にレーザ光検知センサを取り付けた構造を示す説明図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】従来のカバーにレーザ光検知センサを取り付けた構造を示す説明図である。
図4】保護窓にレーザ光検知センサを取り付けた構造を示す説明図である。
図5図4のレーザ光検知センサに動作確認テスタを取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、図4に示した保護窓20へレーザ光検知センサ1を取り付けた構造の一例を示す説明図で、保護窓20及びレーザ光検知センサ1等の構成は図4,5と同じであるため、同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
ここでは外側の保護層21Bとレーザ光検知センサ1との間に設けられるスペーサの構造が図4,5とは異なっている。このレーザ光検知センサ取付用スペーサとしてのスペーサ6は、図2に示すように、内側が中空となる横長矩形状の枠体で、内側の四隅には、4本のボルト3,3・・を位置決めして貫通させるための円形状の貫通部7,7・・が、内側の空間との連通状態で形成されている。
【0010】
この取付構造においては、何れか1つの貫通部7の位置に、ボルト3に代えて動作確認テスタ10を取り付けて、発光部11を貫通部7に臨ませている。これによりスペーサ6内で発光部11と受光部2とが連通し、スペーサ6内には、発光部11からのテスト光Lが矢印で示すように反射を繰り返し、その反射光L’が受光部2に到達できる伝播空間Sが形成される。
【0011】
このように、上記形態のレーザ光検知センサ1の取付構造及びスペーサ6によれば、スペーサ6の内部に、保護窓20とレーザ光検知センサ1との間への介在状態で動作確認テスタ10の発光部11からのテスト光Lがレーザ光検知センサ1の受光部2に到達可能な伝播空間Sを形成しているので、内部にテスト光Lの伝播空間がない保護窓20であっても動作確認テスタ10を取り付けてレーザ光検知センサ1の動作確認を行うことができる。
【0012】
特にここでは、スペーサ6を、保護窓20とレーザ光検知センサ1との間への介在状態で発光部11と受光部2とを囲んで伝播空間Sを形成する枠体としているので、スペーサ6の取付と共に伝播空間Sを簡単に形成することができる。
また、スペーサ6の内側には、保護窓20へレーザ光検知センサ1を取り付けるためのボルト3の貫通部7が複数形成され、発光部11はボルト3に代えて何れかの貫通部7に合わせて配置されるので、貫通部7を利用して発光部11を容易に位置決め可能となる。
【0013】
なお、スペーサに設けた貫通部への動作確認テスタの取り付け位置は上記形態に限らず、他の貫通部を利用してもよい。また、貫通部を利用せずに受光部と連通する位置へ動作確認テスタを取り付けることもできる。
スペーサの形状も、伝播空間は内側に広く取る形態に限らず、少なくとも動作確認テスタの発光部とレーザ光検知センサの受光部とを連通させる空間が内部に形成されていれば、伝播空間は上記形態より小さくしてもよい。また、スペーサの厚み方向に貫通する伝播空間でなく、片面に形成した凹部で発光部と受光部とを連通させる伝播空間を形成することもできる。スペーサの外形状も矩形状以外に円形状等の他の形状も採用できる。
さらに、保護窓の構造も上記形態に限らず、2層構造や4層構造等であっても本発明の取付構造及びスペーサの採用は可能である。
【符号の説明】
【0014】
1・・レーザ光検知センサ、2・・受光部、3・・ボルト、6・・スペーサ、7・・貫通部、10・・動作確認テスタ、11・・発光部、20・・保護窓、21A,21B・・保護層、22・・中間層、30・・カバー、L・・テスト光、L’・・反射光、S・・伝播空間。
図1
図2
図3
図4
図5