(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】乾燥コンテナ
(51)【国際特許分類】
F26B 25/00 20060101AFI20220927BHJP
G01G 19/52 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F26B25/00 F
G01G19/52 Z
(21)【出願番号】P 2018207442
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政登
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-296622(JP,A)
【文献】特開2017-132146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/00
G01G 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容した被乾燥物を乾燥させるために内部に送風するための送風口を備えた箱状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体を支持する接地面と、を備えた乾燥コンテナにおいて、
伸長時に前記接地面の一部を接地させたまま前記コンテナ本体を上方へ持ち上げるための伸縮式のアクチュエータと、該アクチュエータで前記コンテナ本体を持ち上げたときに受ける荷重を測定する計測機構と、を備
え、
前記計測機構は、前記コンテナ本体に設けられ、前記アクチュエータで前記コンテナ本体を持ち上げたときに該コンテナ本体から受ける荷重を測定するロードセルから構成されていることを特徴とする乾燥コンテナ。
【請求項2】
前記接地面は複数に分かれており、
前記アクチュエータは、伸長時に少なくとも1つの前記接地面よりも下方に伸びることを特徴とする請求項1に記載の乾燥コンテナ。
【請求項3】
前記接地面は、前記コンテナ本体の前側、後側、左側、右側のうちの少なくとも一方側に複数備えられ、
前記アクチュエータは、前記一方側に備えた複数の接地面の間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乾燥コンテナ。
【請求項4】
前記コンテナ本体は、車両に設けたフックアームのフックを係止可能なリフトバーを前面に備え、前記コンテナ本体の前側に、前記アクチュエータが設けられ、前記コンテナ本体の後側に、回転可能なローラが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の乾燥コンテナ。
【請求項5】
前記送風口が、前記コンテナ本体の後面に設けられていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の乾燥コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被乾燥物を乾燥させるために使用する乾燥コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
上記乾燥コンテナは、被乾燥物を収容するコンテナ本体の下部に被乾燥物を載置するとともに送風口から供給される熱風を上方に供給するための通風部が形成されたデッキを備えている。そして、送風口に熱風を送るためのダクトホースが接続されることにより、ダクトホースからの熱風が送風口からデッキの通風部を介して被乾燥物に供給されて、被乾燥物を乾燥させることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、被乾燥物の乾燥中に、被乾燥物の乾燥度合いが予め決められた所定以上になると、ダクトホースからの熱風を停止したい場合がある。しかし、被乾燥物の含水率にバラツキがある。このため、被乾燥物が乾燥するまでバラツキが生じる。したがって、ダクトホースからの熱風を送る時間にバラツキが発生する。そのため、被乾燥物の重量変化に基づいて判断することが考えられている。そこで、乾燥コンテナの全荷重を測るべく、例えば乾燥コンテナを支持している接地面を有する4つの脚部のそれぞれにロードセルを設けて、それぞれに設けたロードセルにより測定される荷重の変化を検出する、つまり荷重の値が減少していくことを検出することで被乾燥物の乾燥度合いが所定以上になったことを判断することが考えられる。
【0005】
しかし、上記のように4つのロードセルを接地面を有する脚部にそれぞれ設ける必要があるため、コスト面において不利であり、改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、コスト面において有利な乾燥コンテナ内の被乾燥物の重量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の乾燥コンテナは、収容した被乾燥物を乾燥させるために内部に送風するための送風口を備えた箱状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体を支持する接地面と、を備えた乾燥コンテナにおいて、伸長時に前記接地面の一部を接地させたまま前記コンテナ本体を上方へ持ち上げるための伸縮式のアクチュエータと、該アクチュエータで前記コンテナ本体を持ち上げたときに受ける荷重を測定する計測機構と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、コンテナ本体の送風口を介して送り込まれる送風によって、コンテナ本体内の被乾燥物が乾燥する。この乾燥に伴い、被乾燥物の重量が減少する。前記被乾燥物を乾燥させる前に、アクチュエータの伸長時にコンテナ本体を上方へ持ち上げる。このとき、受ける荷重を計測機構で計測することで、乾燥する前の被乾燥物の重量を計測することができる。そして、例えば被乾燥物の乾燥が進むにつれて計測機構で計測している被乾燥物の重量が減少していくため、この重量が所定値以下になったときに、被乾燥物の乾燥度合いが予め決められた所定以上になったと判断して、乾燥を終了する。また、アクチュエータが受ける荷重を計測する計測機構を設けるだけであるため、計測機構を少なくでき、コスト面において有利になる。
【0009】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記接地面が複数に分かれており、前記アクチュエータは、伸長時に少なくとも1つの前記接地面よりも下方に伸びるように構成されていてもよい。
【0010】
上記のように、接地面が複数に分かれているので、複数の接地面に持ち上げられたコンテナ本体の荷重を分散して支持することができる。
【0011】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記接地面が、前記コンテナ本体の前側、後側、左側、右側のうちの少なくとも一方側に複数備えられ、前記アクチュエータは、前記一方側に備えた複数の接地面の間に設けられていてもよい。
【0012】
上記のように、アクチュエータを一方側に備えた複数の接地面の間に設けることによって、コンテナ本体を安定して持ち上げることができる。
【0013】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記コンテナ本体が、車両に設けたフックアームのフックを係止可能なリフトバーを前面に備え、前記コンテナ本体の前側に、前記アクチュエータが設けられ、前記コンテナ本体の後側に、回転可能なローラが設けられていてもよい。
【0014】
上記のように、コンテナ本体の後側に設けられた複数の脚部が、回転可能なローラから構成されているので、車両に設けたフックアームのフックをリフトバーに係止してコンテナ本体の前側を持ち上げながら車両にコンテナ本体を搭載する際やコンテナ本体の前面に設けたアクチュエータを伸長させてコンテナ本体の前側を持ち上げる際に、後側のローラが回転することによって、接地している後側の接地面と地面との間で擦れることがなく、接地面が損傷してしまうことを防止できる。
【0015】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記送風口が、前記コンテナ本体の後面に設けられていてもよい。
【0016】
例えばコンテナ本体が左右方向に横並びに配置されるように車両からコンテナ本体を降ろしていった場合に、降ろしたコンテナ本体の前方には車両が位置しているとともに、左右横側方のそれぞれにはコンテナ本体が位置している状況となるが、上記のように送風口が、コンテナ本体の後方が解放されているコンテナ本体の後面に設けられることによって、送風口に熱風供給用のダクトホースを容易かつ迅速に接続することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、アクチュエータと、このアクチュエータでコンテナ本体を持ち上げたときに受ける荷重を測定して被乾燥物の重量を計測する計測機構と、を備えるだけで済むので、コスト面において有利な乾燥コンテナ内の被乾燥物の重量測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナ内の被乾燥物の重量測定装置を含む乾燥コンテナシステムを示す側面図である。
【
図2】同乾燥コンテナシステムを示す平面図である。
【
図5】乾燥コンテナを持ち上げた状態を示す側面図である。
【
図6】ロードセルを他の部分に取り付けた別の形態を示す要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナについて説明する。なお、説明の都合上、以下の方向の表現は、上下方向については
図1に示す方向を基準とする。また、前後方向については、
図1及び
図2に示す状態における左方が車載時に車両前方に位置することから前方とし、同右方が車載時に車両後方に位置することから後方とする。また、幅方向とは車載時の車幅方向に一致する方向である。
【0020】
被乾燥物である多数の粒状体である木材チップ(以下「チップ」)を収容する乾燥コンテナ1は、
図1及び
図2に示すような乾燥コンテナシステムSの一構成要素である。ここで、乾燥コンテナシステムSについて説明する。乾燥コンテナシステムSは主に、乾燥コンテナ1、気流供給機構2、連結管3から構成されている。乾燥コンテナ1は、図示していない車両に搭載可能に構成されている。具体的には、図示していない車両に設けたフックアームのフックを、乾燥コンテナ1に備えるリフトバー6(
図2、
図3参照)に係止した状態で持ち上げて車両側に移動させることで乾燥コンテナ1を車両に搭載させることができる。乾燥コンテナ1内に収容された多数のチップは送風により、外面に付着した水分及び木材組織内に含まれた水分が蒸発することで乾燥させられる。乾燥したチップは、例えば木質バイオマス発電に用いられる。乾燥により、発電時の燃焼がしやすくなり、かつ、水分が抜けた分軽量化されるため、例えば運搬時において有利である。
【0021】
気流供給機構2は、例えば熱風を発生できる機構であって、図示していないが、送風機とヒーターとを備えている。なお、気流を加熱するための熱源は、例えば、他の装置の排熱を利用して加熱を行う場合、気流供給機構2の外部に設けることもできる。気流の加熱温度及び加熱時間は、乾燥コンテナ1に収容されたチップの乾燥度合や収容量に応じて適宜設定することになる。また、状況によっては加熱を行わず、送風だけを行うこともできる。連結管3は、気流供給機構2で生じた気流(熱風)を乾燥コンテナ1に送るため、乾燥コンテナ1と気流供給機構2とを連結する管であって、パイプやホースを用いることができる。本実施形態では、横断面形状が円形のホース(ダクトホース)が用いられている。
【0022】
乾燥コンテナ1は、一般的な車載コンテナと同様の略直方体形状であって、
図1~
図3に示す乾燥コンテナシステムSとしての使用状態において上面が開口しており、底面については閉鎖され、側面については、連結管3が接続される送風口1Kを除いて閉鎖された箱状体である。チップは、乾燥コンテナ1の上面から内部に投入される。
【0023】
乾燥コンテナ1は、気流供給機構2から連結管3を経由して送られた気流(熱風)を底面近傍の部分である底部で受け、その後、収容された多数のチップに気流を当てることができるよう、2重底構造とされている。このため乾燥コンテナ1は、主に、コンテナ本体4、デッキ5を備える。
【0024】
コンテナ本体4は、乾燥コンテナ1の外観に現れる部分である。前部側面(前面)4Aには、乾燥コンテナ1を車両に搭載する際に、前述したように車両のフックアームの先端に備えるフックが引っ掛けられるフック係合部であるリフトバー6が左右のブラケット7,7に貫通している(
図2参照)。また、車両への上げ下ろしの際に、地面または路面に対して転がるローラ(脚部)8が底部の後方に設けられている。ローラ底部に接地面8Aを有する前記ローラ8は、
図3に示すように、コンテナ本体4の幅方向(左右方向)に間隔を置いて一対設けられている。また、設置時に前記ローラ8と共に接地する接地面9Aを有する脚部9が底部の前方に設けられている。接地面8A,9Aとは、地面に接触している部分を言う。ローラ8は回転すると、接地面8Aは、移動する。なお、ここでは面状に接触しているが、線状に接触、又は点状に接触している部分も接地面である。この脚部9も、コンテナ本体4の幅方向(左右方向)に一対設けられている。前記のように、コンテナ本体4の後側に設けた左右の脚部のそれぞれが、ローラ8から構成されているので、車両に設けたフックアームのフックをリフトバー6に係止してコンテナ本体4の前側を持ち上げながら車両に搭載する際やコンテナ本体4の前面4Aに設けた後述のアクチュエータを伸長させてコンテナ本体4の前側を持ち上げる際に、後側のローラ8,8が回転することによって、接地している後側の脚部(接地面)と地面との間で擦れることがなく、脚部(接地面)が損傷してしまうことを防止できる。コンテナ本体4の設置時は、複数の接地面(ここでは脚部8,8、9,9)で設置しており、アクチュエータで持ち上げた時、接地面のうちローラ8,8を接地させたままとしている。すなわち、接地面の一部(ローラ8,8)を接地させたままコンテナ本体4を持ち上げている。
【0025】
図3に示すように、コンテナ本体4の後部側面(後面)4Bにおける下部で幅方向中央の位置には、コンテナ本体4の内外を連通するものであって、連結管3を接続できる送風口1Kが設けられている。また、
図3に示すように、コンテナ本体4の後部側面(後面)4Bには、左右一対の扉10,10が設けられており、例えばチップの取り出しを行う際、または、コンテナ本体4の内部を清掃する際に、送風口1Kの周囲部分を除いて開放できる。また、コンテナ本体4の底面及び側面は、リブ等が形成されることで補強されている。例えばコンテナ本体4が左右方向に横並びに配置されるように車両からコンテナ本体4を降ろしていった場合に、降ろしたコンテナ本体4の前方には車両が位置しているとともに、左右横側方のそれぞれには、コンテナ本体4が位置している状況となるが、上記のように送風口1Kが、コンテナ本体の後方が解放されているコンテナ本体4の後部側面(後面)4Bに設けられていることによって、送風口1Kに連結管(ダクトホース)3を容易かつ迅速に接続することができる。
【0026】
次に、デッキ5は、
図2に示すように、厚さ方向(上下方向)に貫通した複数の貫通孔5A…を有する板状の部分であり、コンテナ本体4の底面から一定高さを空けて、図示していない支持部材を介して底面と平行に配置されている。コンテナ本体4の底面とデッキ5との間に気流滞留空間(図示せず)が形成される。送風口1Kは、コンテナ本体4の底面とデッキ5との間で、コンテナ本体4の外部へと連通している。なお、大風量の気流を導入するために、コンテナ本体4の底面とデッキ5との高さ方向の距離に比べ、送風口1Kの高さ寸法が大きく設定されている。このため、コンテナ本体4の内部に、高さ寸法を調整するための送風ガイド部12が設けられている。したがって、送風口1Kから導入された気流(熱風)は、送風ガイド部12を介して気流滞留空間に流れ、デッキ5の複数の貫通孔5A…を通して多数のチップに供給される。
【0027】
デッキ5は、
図2に示すように、複数のデッキ単板5a…が並べられて構成されている。本実施形態では、前後方向に並べられた6枚のデッキ単板5a…からデッキ5が構成されている。各デッキ単板5aとして、本実施形態では、パンチングプレートが用いられている。ただしこれに限らず、例えば、金網と開口率を調整するための部材(スリットを設けた板状体等)との組み合わせを用いてもよく、構成は種々に選択できる。
【0028】
次に、乾燥コンテナに備えている重量測定装置について説明する。この重量測定装置は、コンテナ内の被乾燥物(ここでは、チップ)の重量を測定するための装置である。この重量測定装置は、後側の左右の脚部(ローラ8,8)で支持させた状態においてコンテナ本体4及び前側の左右の脚部9,9を上方へ持ち上げるための単一の伸縮自在なアクチュエータと、アクチュエータでコンテナ本体4及び前側の左右の脚部9,9を持ち上げたときにコンテナ本体4から受ける荷重を測定してチップの重量を計測する計測機構14と、を備えている。
【0029】
アクチュエータは、複動式の油圧シリンダ13からなり、油圧ユニット15(
図4参照)により伸縮作動される。油圧シリンダ13のシリンダチューブ13Aが、コンテナ本体4の前部側面(前面)4Aの左右方向中央部に取り付けられ、油圧シリンダ13の伸長作動時にピストンロッド13Bが地面よりも下方まで移動して、コンテナ本体4及び前側の左右の脚部9,9を持ち上げるようにしている。また、油圧シリンダ13が、4つの脚部8,8、9,9以外の位置でコンテナ本体4の下部に固定されている。具体的には、左右の脚部8,8が設けられた側とは反対側の前側、ここでは前面4Aに配置され、かつ、左右の脚部9,9の間、ここでは左右中央部に油圧シリンダ13が配置されている。このように配置することによって、油圧シリンダ13のみでコンテナ本体4を持ち上げて支持するのに比べて脚8,8を接地したまま持ち上げるので、脚8,8でも支持でき、単一の油圧シリンダ13でコンテナ本体4を安定よく持ち上げることができる。また、油圧シリンダ13のみで持ち上げるのに比べて、脚8,8に荷重分散できるのため、ロードセル14Aにかかる荷重が減り、ロードセル14Aを小型化でき、低コスト化を実現できる。更に、脚9,9とは別に油圧シリンダ13を設け、その油圧シリンダ13にロードセル14Aを設けているので、油圧シリンダ13を短縮したとき(測定しないとき)は、接地せず、コンテナ本体4を地面に置いた状態では、常時ロードセル14Aに負荷がかからないため、ロードセル14Aの寿命を延ばすことができ、低コスト化を実現できる。
【0030】
油圧ユニット15は、
図4に示すように、油圧シリンダ13の上方に配置され、油を貯留するタンク15Aと、タンク15Aの油を油圧シリンダ13に供給するポンプ(図示省略)と、ポンプを駆動する電動モータ15Bと、図示していない切替バルブと、を備えている。この切替バルブの切り替え動作により油圧シリンダ13を伸縮させるようにしている。
【0031】
計測機構14は、コンテナ本体4から受ける荷重を測定する圧縮型のロードセル14Aからなり、ロードセル14Aからの測定値に基づいてチップの重量に演算するための演算部(図示せず)を備えている。チップの重量は、次式により求められる。
チップの重量(kg)=ロードセル14Aにかかる荷重(N)/重力加速度(9.8m/s2)×距離A/距離B
【0032】
図1に示すように、前記距離Aは、コンテナ接地部(ローラ8,8)からロードセル14Aの支持部までの間の距離である。また、前記距離Bは、コンテナ接地部(ローラ8,8)からチップ重心Gまでのコンテナ内法長中心間距離である。内法長は、コンテナ本体4の前端部の内側から後端部の内側までの距離である。
【0033】
また、
図4に示すように、コンテナ本体4の前部側面(前面)4Aの左右方向中央部に、内側に凹む凹部16が形成されている。この凹部16は、油圧シリンダ13よりも少し大きな幅寸法と上下寸法を有する大きさに構成され、左側壁部16Aと右側壁部16Bと上側壁部16Cと後側壁部16Dを備え、下方が解放されている。また、油圧シリンダ13のシリンダチューブ13Aの上端にロードセル14Aを取り付け、ロードセル14Aを上側壁部16Cに取り付けている。したがって、
図5に示すように、コンテナ本体4が地面に置かれた状態で油圧シリンダ13を伸長作動することによって、ピストンロッド13Bの先端のプレート板13bを地面に押し当ててコンテナ本体4の前側及び前側の左右の脚部9,9を持ち上げる。これにより、持ち上げられたコンテナ本体4及び左右の脚部9,9からの荷重をロードセル14Aにて測定することができる。この測定した測定値に基づいて前記演算部が演算してチップの重量を演算することができる。チップの重量は、コンテナ本体4の後面に備える表示部17(
図3参照)に表示できるようになっている。また、表示部17は、チップの重量の他、コンテナ本体4内の温度や湿度、乾燥が完了する残り時間等を表示することができる。
【0034】
前記チップを乾燥させる前に、前述したように、油圧シリンダ13を伸長させて(
図5参照)、チップの重量を計測機構14で計測した後において、チップを前述したように乾燥させる。この乾燥が進むにつれて計測機構14で計測しているチップの重量が減少していく。この重量が所定値以下になったときに、チップの乾燥度合いが予め決められた所定以上になったと判断して、乾燥を終了する。この乾燥終了は、乾燥コンテナに備えている制御部に、表示部17に表示される残り時間が0になったときの出力信号が入力されることにより、制御部が、気流供給機構2の作動を自動的に停止するように構成されている。又、制御部が、前記残り時間が0になったときに、気流供給機構2からの風を弱風にするように構成してもよい。
【0035】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態の乾燥コンテナ1は車載が可能に構成されていたが、これに限られず、車載しないものであってもよい。この場合、リフトバー6及びローラ8を省略して、乾燥コンテナ1を一定位置で動かさない固定式としてもよいし、適宜移動できる可搬式としてもよい。特に、車載を前提としない場合、乾燥コンテナ1は、前記実施形態のような略直方体形状に限られず、例えば円筒形状とする等、種々の形状とできる。
【0036】
また、前記実施形態の乾燥コンテナ1は上面が常に開放されていた。しかしこれに限定されず、例えばチップに雨水が当たらないようにするため、上面を必要により閉じることができる、硬質材料または軟質材料からなる蓋を設けることもできる。
【0037】
また、前記実施形態の送風口1Kは、コンテナ本体4の後面4Bに設ける方が好ましいが、これに限定されず、送風口1Kをコンテナ本体4の幅方向側面、底面、また、角部に設けることもできる。
【0038】
また、乾燥コンテナシステムSの被乾燥物は、前記実施形態では木材チップであったが、これに限定されず、例えば鉱石、石材、樹脂、金属、木材以外の動植物由来の素材、食品材料、燃料等、種々の粒状体であってもよい。また、水分が外面にのみ存在するものであってもよいし、外面及び内部に存在するものであってもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、ロードセル14Aを用いてコンテナ本体4から受ける荷重を測定するようにしたが、油圧シリンダ13内の油の圧力を圧力計により測定してコンテナ本体4から受ける荷重を測定するようにしてもよい。この場合、油圧計の圧力値が所定値以下になると、被乾燥物の重量が軽くなったと判断できる。この場合、計測機構は、圧力計である。また、ロードセル14Aをコンテナ本体4と油圧シリンダ13のシリンダチューブ13Aの上端との間に配置したが、
図6に示すように、油圧シリンダ13のピストンロッド13Bの先端に取り付けたプレート板13bの下面に配置してもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、コンテナ本体4を持ち上げるアクチュエータとして、油圧シリンダを用いたが、エアシリンダや伸縮式の電動モータであってもよいし、手動のジャッキでもよい。また、前記実施形態では、単一のアクチュエータを設けることによって、コスト面において有利になるが、2個のアクチュエータを設けて実施してもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、コンテナ本体4を持ち上げるアクチュエータをコンテナ本体4の前面4Aに配置したが、コンテナ本体4の前側にアクチュエータを配置した方が好ましいが、コンテナ本体4の前後方向中間部の任意の位置にアクチュエータを配置してもよいし、送風口1Kが設けられた後面にアクチュエータを配置してもよい。また、コンテナ本体4の左右方向中央部にアクチュエータを配置する場合が好ましいが、コンテナ本体4の左右方向中央部以外の部分に配置してもよい。例えば、アクチュエータをコンテナ本体4の左側や右側に設けてもよい。この場合、持ち上げる複数の脚部とは、左側にアクチュエータを設けた場合には、前側で左側の脚部と後側で左側の脚部であり、右側にアクチュエータを設けた場合には、前側で右側の脚部と後側で右側の脚部である。
【0042】
また、前記実施形態では、コンテナ本体4の前側及び後側のそれぞれに一対の脚部8,8、9,9を備えたが、後側のみに一対の脚部を備えてもよいし、前側のみに一対の脚部を備えてもよい。また、幅寸法のある脚部であれば、後側又は前側に1つのみ設けて実施することもできる。この場合、脚部を設けた側とは反対側にアクチュエータを設ける場合は、アクチュエータを設けた側に脚部が無いため、アクチュエータを伸長させたときにコンテナ本体4のみを持ち上げることになる。
【0043】
また、前記実施形態では、コンテナ本体4にデッキ5を設けることによって、2重底構造としたが、デッキ5のない(2重底構造でない)ものであってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、コンテナ本体4をリフトバー6とローラ8で車体から積み降ろし可能としたが、コンテナ本体4にジャッキを設け、ジャッキを伸ばして車体に対してコンテナ本体4を上昇させて積み降ろしする(所謂水平脱着式)のものでもよい。この場合でも、コンテナ本体4の後面に送風口を設けることで、ホースを迅速に接続することができる。
【0045】
また、前記実施形態では、コンテナ本体4に脚部8,8、9,9を設けたが、脚部の無いコンテナ本体4であってもよい。この場合、コンテナ本体4の底面を地面に接地させることになる。そして、アクチュエータを伸長させてコンテナ本体4を持ち上げる際には、コンテナ本体4の底面(接地面)の一部が地面に接地した状態になる。
【符号の説明】
【0046】
1…乾燥コンテナ、1K…送風口、2…気流供給機構、3…連結管、4…コンテナ本体、4A…前部側面(前面)、4B…後部側面(後面)、5…デッキ、5A…貫通孔、5a…デッキ単板、6…リフトバー、7…ブラケット、8…ローラ(脚部)、9…脚部、8A,9A…接地面、10…扉、12…送風ガイド部、13…油圧シリンダ(アクチュエータ)、13A…シリンダチューブ、13B…ピストンロッド、13b…プレート板、14…計測機構、14A…ロードセル、15…油圧ユニット、15A…タンク、15B…モータ(ポンプ)、16…凹部、16A…左側壁部、16B…右側壁部、16C…上側壁部、16D…後側壁部、17…表示部、G…チップ重心、S…乾燥コンテナシステム